JP2024027456A - 電動車両の動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータ軸の偏心回転に起因するギヤ軸の心振れを抑制する。【解決手段】スプライン嵌合部46が、内スプライン歯45a、45bが設けられた軸方向の2箇所に分離して設けられており、その2箇所のスプライン嵌合部46を介してギヤ軸42によってもロータ軸44が支持されるため、ロータ軸44の姿勢変化が抑制されて偏心回転する際の偏心量が低減される。これにより、スプライン嵌合部46におけるギヤ軸42の心振れ幅が小さくなり、第2軸受96aを支点として反対側のモータ出力歯車40に伝達される心振れ幅Aも低減されて、そのモータ出力歯車40の偏心回転に起因して生じるNVが改善される。【選択図】図2
Description
本発明は電動車両の動力伝達装置に係り、特に、電動機のロータ軸とギヤ軸とがスプライン嵌合部を介して連結されている動力伝達装置の改良に関するものである。
(a) 走行用の動力源として用いられる電動機のロータ軸と、そのロータ軸の回転を駆動輪側へ伝達するギヤが設けられたギヤ軸とが、共通の一軸線上に軸方向に隣接して配設されているとともに、(b) 前記ロータ軸および前記ギヤ軸は、互いに近接する側の軸端部において、前記ロータ軸に設けられた内スプライン歯と前記ギヤ軸に設けられた外スプライン歯とが互いに噛み合わされたスプライン嵌合部を介して動力伝達可能に連結されている、電動車両の動力伝達装置が知られている(特許文献1参照)。
ところで、電動機のロータ軸は、軸受部分の径方向の遊び等により偏心回転させられるため、その偏心回転によりスプライン嵌合部を介してギヤ軸が心振れさせられ、ギヤ軸に設けられたギヤが偏心回転させられてNV〔Noise(騒音) 、Vibration(振動) 〕が悪化する可能性があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、ロータ軸の偏心回転に起因するギヤ軸の心振れを抑制することにある。
本発明は、(a) 走行用の動力源として用いられる電動機のロータ軸と、そのロータ軸の回転を駆動輪側へ伝達するギヤが設けられたギヤ軸とが、共通の一軸線上に軸方向に隣接して配設されているとともに、(b) 前記ロータ軸および前記ギヤ軸は、互いに近接する側の軸端部において、前記ロータ軸に設けられた内スプライン歯と前記ギヤ軸に設けられた外スプライン歯とが互いに噛み合わされたスプライン嵌合部を介して動力伝達可能に連結されている、電動車両の動力伝達装置において、(c) 前記スプライン嵌合部は前記軸方向に離間した複数箇所に分離して設けられ、或いは前記軸方向において前記電動機のロータの重心位置を含む位置に前記スプライン嵌合部が設けられている、ことを特徴とする。
このような電動車両の動力伝達装置においては、スプライン嵌合部が軸方向に離間した複数箇所に分離して設けられる場合には、その複数のスプライン嵌合部を介してギヤ軸によってもロータ軸が支持されるため、ロータ軸の姿勢変化が抑制されて偏心回転する際の偏心量が低減され、スプライン嵌合部におけるギヤ軸の心振れ幅が小さくなる。また、軸方向において電動機のロータの重心位置を含む位置にスプライン嵌合部が設けられる場合には、偏心回転するロータ軸の偏心量は重心位置付近で最小になるため、そのスプライン嵌合部におけるギヤ軸の心振れ幅が小さくなる。すなわち、何れの場合もロータ軸の偏心回転に起因するギヤ軸の心振れ幅が低減されるため、そのギヤ軸に設けられたギヤの心振れも小さくなり、そのギヤの偏心回転に起因して生じるNVが改善される。
本発明は、例えば動力源として電動機のみを備えている電気自動車に適用されるが、電動機の他にエンジン(内燃機関)を備えているハイブリッド式電動車両にも適用され得る。前後輪の一方を電動機で駆動し、他方をエンジンで駆動する場合でも良い。電動機は、例えば発電機としても機能するモータジェネレータが好適に採用されるが、電動機としてのみ用いられるものでも良い。ギヤ軸に設けられるギヤは、例えばはすば歯車や平歯車等の平行軸歯車が用いられるが、傘歯車やハイポイドギヤなどが設けられても良い。
スプライン嵌合部を軸方向に離間して複数箇所に設ける方法としては、互いに噛み合う外スプライン歯および内スプライン歯を1組として、それ等の外スプライン歯および内スプライン歯を軸方向に離間して複数組設けても良いが、軸方向に長い共通の外スプライン歯に対して軸方向に分離して設けられた内スプライン歯を複数箇所で噛み合わせたり、軸方向に長い共通の内スプライン歯に対して軸方向に分離して設けられた外スプライン歯を複数箇所で噛み合わせたりしても良い。スプライン嵌合部の数は、少なくとも2箇所設けられれば良いが、3箇所以上に設けることも可能である。
ロータ軸は、例えば軸方向においてロータの両側で一対の第1軸受により回転可能に支持され、ギヤ軸は、例えば軸方向においてギヤの両側で一対の第2軸受により回転可能に支持される。また、ギヤ軸の外スプライン歯は、上記第2軸受から電動機側へ片持ち状に突き出して、円筒形状のロータ軸の内部に挿入される嵌合軸部に設けられ、ロータ軸の内周面に設けられた内スプライン歯と噛み合わされる。上記第1軸受および第2軸受としては、ボールベアリングが好適に用いられるが、ローラベアリング等の他のころがり軸受やすべり軸受を採用することもできる。
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された電動車両10の駆動装置を説明する骨子図で、動力伝達装置12を備えている。図1は、動力伝達装置12を構成している複数の軸が共通の平面内に位置するように展開して示した展開図である。動力伝達装置12は、FF車両等の横置き型のハイブリッド式電動車両用のトランスアクスルで、車両幅方向と略平行な第1軸線S1~第4軸線S4を備えている。第1軸線S1上には、エンジン16にダンパ装置18を介して連結された入力軸22が設けられているとともに、その第1軸線S1と同心にシングルピニオン型の遊星歯車装置24および第1回転機MG1が配設されている。遊星歯車装置24および第1回転機MG1は電気式差動部26として機能するもので、遊星歯車装置24のキャリア24cに入力軸22が連結され、サンギヤ24sに第1回転機MG1のロータ軸28が連結され、リングギヤ24rにエンジン出力歯車30が設けられている。
図1は、本発明が適用された電動車両10の駆動装置を説明する骨子図で、動力伝達装置12を備えている。図1は、動力伝達装置12を構成している複数の軸が共通の平面内に位置するように展開して示した展開図である。動力伝達装置12は、FF車両等の横置き型のハイブリッド式電動車両用のトランスアクスルで、車両幅方向と略平行な第1軸線S1~第4軸線S4を備えている。第1軸線S1上には、エンジン16にダンパ装置18を介して連結された入力軸22が設けられているとともに、その第1軸線S1と同心にシングルピニオン型の遊星歯車装置24および第1回転機MG1が配設されている。遊星歯車装置24および第1回転機MG1は電気式差動部26として機能するもので、遊星歯車装置24のキャリア24cに入力軸22が連結され、サンギヤ24sに第1回転機MG1のロータ軸28が連結され、リングギヤ24rにエンジン出力歯車30が設けられている。
第1回転機MG1は、電動機および発電機として択一的に用いられるモータジェネレータで、発電機として機能する回生制御によりサンギヤ24sの回転速度が連続的に制御されることにより、エンジン16の回転速度が連続的に変化させられてエンジン出力歯車30から出力される。また、第1回転機MG1のトルクが0とされてサンギヤ24sが空転させられることにより、エンジン16からの出力が遮断されるとともに、モータ走行時や惰性走行時等におけるエンジン16の連れ廻りが防止される。エンジン16は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関で、走行用の動力源として用いられる。
第2軸線S2上には、減速大歯車32および減速小歯車34が設けられたカウンタ軸36が回転可能に配設されており、減速大歯車32は前記エンジン出力歯車30と噛み合わされている。減速大歯車32はまた、第3軸線S3上に配設されたモータ出力歯車40と噛み合わされている。モータ出力歯車40はギヤ軸42に設けられており、そのギヤ軸42は、第3軸線S3上に配設された第2回転機MG2のロータ軸44とスプライン嵌合部46を介して動力伝達可能に連結されている。第2回転機MG2は電動機および発電機として択一的に用いられるモータジェネレータで、電動機として機能するように力行制御されることにより走行用の動力源として用いられる。
上記減速小歯車34は、第4軸線S4上に配設されたディファレンシャル装置48のデフリングギヤ50と噛み合わされており、エンジン16および第2回転機MG2からの駆動力がディファレンシャル装置48を介して左右のドライブシャフト52に分配され、左右の駆動輪54に伝達される。
動力伝達装置12は、ブラケット等を介して車体によって支持されるケース60を備えている。ケース60は、フロントケース部材62、中間ケース部材64、およびリヤカバー66の3つのケース部材にて構成されている。フロントケース部材62は、エンジン16に一体的に固設されており、エンジン16との間にダンパ装置18を収容する第1収容空間72が形成される。中間ケース部材64は、筒形状の外筒74と仕切り壁76とを一体に備えており、フロントケース部材62と仕切り壁76との間に、前記電気式差動部26、カウンタ軸36、ギヤ軸42、ディファレンシャル装置48等を収容する第2収容空間78が形成される。また、リヤカバー66と仕切り壁76との間には、前記第1回転機MG1、第2回転機MG2を収容する第3収容空間80が形成される。
ここで、第2回転機MG2のロータ軸44は、一対の第1軸受92a、92bを介して第3軸線S3まわりに回転可能にケース60によって支持されている。ロータ軸44の軸方向の中央部分には、第2回転機MG2のロータ94が相対回転不能に連結されている。第1軸受92aおよび92bは、第3軸線S3の軸方向(第3軸線S3と平行な方向で図1における左右方向)においてロータ94の両側に配置されている。また、ギヤ軸42は、一対の第2軸受96a、96bを介して第3軸線S3まわりに回転可能にケース60によって支持されている。第2軸受96aおよび96bは、第3軸線S3の軸方向においてモータ出力歯車40の両側に配置されている。モータ出力歯車40は、第2回転機MG2の回転を駆動輪54側へ伝達するギヤで、本実施例でははすば歯車等の平行軸歯車である。上記第1軸受92a、92b、第2軸受96a、96bとして、本実施例ではボールベアリングが用いられている。
図2は、第3軸線S3上に配設されたギヤ軸42およびロータ軸44の連結構造を具体的に説明する断面図である。ギヤ軸42およびロータ軸44は、一軸線である第3軸線S3上に軸方向に隣接して配設されているとともに、互いに近接する側の軸端部においてスプライン嵌合部46を介して動力伝達可能に連結されている。ギヤ軸42の第2回転機MG2側の端部には、ロータ軸44よりも小径とされて円筒形状のロータ軸44の円筒内に挿入される嵌合軸部90が設けられている。嵌合軸部90は、第2回転機MG2側の第2軸受96aから第2回転機MG2側へ片持ち状に突き出すように設けられているとともに、嵌合軸部90の外周面には外スプライン歯43が設けられている。一方、円筒形状のロータ軸44の内周面には、軸方向に離間した2箇所に内スプライン歯45a、45bが設けられており、その内スプライン歯45a、45bが上記外スプライン歯43と噛み合わされてスプライン嵌合部46が構成されている。外スプライン歯43は、2箇所の内スプライン歯45a、45bと噛み合わされる共通の外スプライン歯で、2箇所の内スプライン歯45a、45bと噛み合うことができる長さ寸法で設けられている。すなわち、本実施例のスプライン嵌合部46は、実質的に内スプライン歯45a、45bが設けられた軸方向の2箇所に分離して設けられることになる。なお、ロータ軸44とギヤ軸42との嵌合部には、上記スプライン嵌合部46における歯打ち音等を低減するために、トレランスリング等のがたつき抑制部材98が介装されている。
上記ロータ軸44は第1軸受92a、92bの遊び等により偏心回転するが、本実施例の電動車両10の動力伝達装置12においては、スプライン嵌合部46が、実質的に内スプライン歯45a、45bが設けられた軸方向の2箇所に分離して設けられており、その2箇所のスプライン嵌合部46を介してギヤ軸42によってもロータ軸44が支持されるため、ロータ軸44の姿勢変化が抑制されて偏心回転する際の偏心量が低減される。これにより、スプライン嵌合部46におけるギヤ軸42の心振れ幅が小さくなり、第2軸受96aを支点として反対側のモータ出力歯車40に伝達される心振れ幅Aも低減されて、そのモータ出力歯車40の偏心回転に起因して生じるNVが改善される。
すなわち、従来は例えば図4に示されるように、スプライン嵌合部110がギヤ軸42およびロータ軸44の軸端部の1箇所に設けられていたため、ロータ軸44の偏心回転によるスプライン嵌合部110における偏心量が比較的大きいとともに、スプライン嵌合部110から第2軸受96aまでの距離が短いため、その第2軸受96aを支点として反対側のモータ出力歯車40に伝達される心振れ幅Aが大きくなり、そのモータ出力歯車40の偏心回転に起因してNVが悪化する可能性があった。
一方、ロータ軸44の姿勢変化による偏心回転を抑制するだけであれば、内スプライン歯45a、45bを外スプライン歯43に対応して連続して設けることも可能であるが、嵌合長さが長くなって動力伝達時のトルク損失が大きくなる。本実施例では内スプライン歯45a、45bが分離して設けられているため、嵌合長さが短くなってトルク損失の増加が抑制される。また、スプライン嵌合部46を軸方向に分離して設けるだけで良いため、ケース60の剛性を高くしたり防音カバーやダンパ等を設けたりする場合に比較して、低コストで簡単にNVを改善できる。また、図3の実施例のように、第2回転機MG2のロータ94の重心位置Gを含む位置にスプライン嵌合部100を設ける場合、ロータ94の積厚(軸方向長さ)が大きくなると嵌合軸部90の突出寸法を長くする必要があり、重量が増加したり材料コストが高くなったりするが、本実施例ではその必要がない。なお、図2では、内スプライン歯45aが、ロータ94の重心位置Gを含む位置に設けられている。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
図3のスプライン嵌合部100は、ギヤ軸42の嵌合軸部90の軸方向の一箇所に設けられた外スプライン歯102と、ロータ軸44の軸方向の一箇所に設けられた内スプライン歯104とによって構成されているが、軸方向において第2回転機MG2のロータ94の重心位置Gを含む位置に設けられている。すなわち、偏心回転するロータ軸44の偏心量は、一対の第1軸受92a、92bによって支持されている軸方向の両端部で最大になり、重心位置G付近で最小になるため、その重心位置Gを含む位置にスプライン嵌合部100が設けられることにより、そのスプライン嵌合部100におけるギヤ軸42の心振れ幅が小さくなる。これにより、第2軸受96aを支点として反対側のモータ出力歯車40に伝達される心振れ幅Aも低減され、そのモータ出力歯車40の偏心回転に起因して生じるNVが改善される。また、ケース60の剛性を高くしたり防音カバーやダンパ等を設けたりする場合に比較して、低コストで簡単にNVを改善できる点は、前記実施例と同じである。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:電動車両 12:動力伝達装置 40:モータ出力歯車(ギヤ) 42:ギヤ軸 43、102:外スプライン歯 44:ロータ軸 45a、45b、104:内スプライン歯 46、100:スプライン嵌合部 54:駆動輪 94:ロータ MG2:第2回転機(電動機、動力源) S3:第3軸線(一軸線) G:重心位置
Claims (1)
- 走行用の動力源として用いられる電動機のロータ軸と、該ロータ軸の回転を駆動輪側へ伝達するギヤが設けられたギヤ軸とが、共通の一軸線上に軸方向に隣接して配設されているとともに、
前記ロータ軸および前記ギヤ軸は、互いに近接する側の軸端部において、前記ロータ軸に設けられた内スプライン歯と前記ギヤ軸に設けられた外スプライン歯とが互いに噛み合わされたスプライン嵌合部を介して動力伝達可能に連結されている、電動車両の動力伝達装置において、
前記スプライン嵌合部は前記軸方向に離間した複数箇所に分離して設けられ、或いは前記軸方向において前記電動機のロータの重心位置を含む位置に前記スプライン嵌合部が設けられている、
ことを特徴とする電動車両の動力伝達装置。
Priority Applications (1)
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JP2022130255A JP2024027456A (ja) | 2022-08-17 | 2022-08-17 | 電動車両の動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022130255A Pending JP2024027456A (ja) | 2022-08-17 | 2022-08-17 | 電動車両の動力伝達装置 |
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2022
- 2022-08-17 JP JP2022130255A patent/JP2024027456A/ja active Pending
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