JP2024026935A - 硬化性組成物、硬化物の製造方法および硬化物のタックを抑制する方法 - Google Patents

硬化性組成物、硬化物の製造方法および硬化物のタックを抑制する方法 Download PDF

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秀典 田中
Hidenori Tanaka
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Abstract

【課題】硬化後の表面のタックを抑制し得る硬化性組成物を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る硬化性組成物は、1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方と、ラジカル開始剤(D)と、を含む。-OC(O)C(R1)=CH2(1)(式中、R1は、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、硬化物の製造方法および硬化物のタックを抑制する方法に関する。
ゴム材料は、建築、自動車等様々な分野において、接着剤、シール材および封止材等として利用されている。
このようなゴム材料に好適なものとして、これまでに末端に(メタ)アクリロイル基を有し、主鎖がリビングラジカル重合により得られる(メタ)アクリル系重合体およびそれらを用いた硬化性組成物について報告されている(例えば特許文献1)。
国際公開第2016/181742号
しかしながら、上述のような従来技術では、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物の表面にタック(べたつき)がある場合があり、この観点から改善の余地があった。
本発明の一態様は、硬化後の表面のタックを抑制し得る硬化性組成物を実現することを目的とする。
本発明の一態様に係る硬化性組成物は、1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方と、ラジカル開始剤(D)と、を含む。
-OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
本発明の一態様に係る硬化物のタックを抑制する方法は、1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ラジカル開始剤(D)とを含む硬化性組成物に、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方を添加する工程と、
得られた硬化性組成物を硬化させる工程と、を有する。
-OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
本発明の一態様によれば、硬化後の表面のタックを抑制し得る硬化性組成物を提供することができる。
本発明の一実施形態について、以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび
/またはメタクリルを意味する。
〔1.硬化性組成物〕
本発明の一実施形態に係る硬化性組成物は、1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方と、ラジカル開始剤(D)と、を含む。
-OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
本発明者は、(i)硬化性ゴム組成物を硬化させる際、酸素が存在する硬化条件下では、酸素による硬化阻害によって硬化物の表面にタックが生じ得ること、(ii)特に、ガラス転移温度(Tg)が低く、分子量が大きい(メタ)アクリル系重合体の硬化物は、表面にタックが生じやすい性質を持つことを見出した。本発明者は、表面タックの改善について鋭意検討した結果、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方を用いることにより、酸素が存在する硬化条件下でも硬化物のタックを抑制できることを見出した。
<(メタ)アクリル系重合体(A)>
(メタ)アクリル系重合体(A)は、1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する。
-OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
としては、-H、-CH、-CHCH、-(CHCH(nは2~19の整数を表す)、-C(フェニル基)、-CHOH、-CN等が挙げられる。反応性の観点から、Rは、-Hまたは-CHが好ましい。すなわち、一般式(1)で表される基は(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A)の1分子当たりの一般式(1)で表される基の数は、硬化性向上の観点から、好ましくは1個以上であり、より好ましくは1.5個以上である。一方、硬化物の柔軟性の観点から、一般式(1)で表される基の数は、好ましくは2.0個以下であり、より好ましくは2.0個未満である。
(メタ)アクリル系重合体(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した場合に、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは10,000~90,000であり、さらに好ましくは30,000~80,000である。数平均分子量が3,000以上であれば、硬化物の柔軟性およびゴム弾性を十分に得ることができる。数平均分子量が100,000以下であれば、重合体の粘度を抑えることができ、取扱いが容易である。本明細書において、GPC測定は、移動相としてクロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムにて行い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めることができる。
(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖を構成する(メタ)アクリルモノマーは、特に限定されない。(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシ
ル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種類を共重合させてもよい。
(メタ)アクリル系重合体(A)は、炭素数1~3のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を有することが好ましい。炭素数1~3のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチルが挙げられる。(メタ)アクリル系重合体(A)は、炭素数1~3のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位を、全繰り返し単位中に1~35重量%有することが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A)は、炭素数3~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、炭素数1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび炭素数1~3のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体(A1)であることが好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A1)の主鎖を構成するモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチルが挙げられる。
(メタ)アクリル系重合体(A1)は、炭素数3~5のアルキル基を有するアクリル酸エステル、炭素数1~2のアルキル基を有するアクリル酸エステルおよび炭素数1~3のアルコキシ基を有するアクリル酸エステル由来の繰り返し単位を、(メタ)アクリル系重合体(A1)を構成する全繰り返し単位の80重量%以上有することが好ましく、90重量%以上有することがより好ましく、95重量%以上有することがさらに好ましく、上限は100重量%以下が好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A1)を構成する、炭素数3~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー、炭素数1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーおよび炭素数1~3のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーの比率(炭素数3~5のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー/炭素数1~2のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー/炭素数1~3のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー)は、80~15/19~50/1~35が好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量分布は、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.7以下であり、さらに好ましくは1.6以下であり、よりさらに好ましく
は1.5以下であり、特に好ましくは1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。分子量分布の理論上の下限は、1である。前記分子量分布は、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)である。分子量分布が1.8以下であれば、得られる硬化物の機械物性のコントロールが容易である。
(メタ)アクリル系重合体(A)のTgは、-130~0℃であってもよく、-80~-20℃であってもよい。本発明の一実施形態によれば、Tgが低く、分子量が大きい(メタ)アクリル系重合体(A)を用いる場合であってもタックを抑制することができる。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重合法は、特に限定されないが、例えば、特開2005-232419公報、特開2006-291073公報、特開2016-88944公報に記載の重合法が挙げられる。(メタ)アクリル系重合体(A)の末端に一般式(1)で表される基を導入する方法としては、例えば、特開2016-88944公報の段落〔0081〕~〔0087〕に記載の方法が挙げられる。
<ワックスエステル(B)>
ワックスエステル(B)は、タック改善の観点から、炭素数5~30の脂肪酸と炭素数10~30の脂肪族アルコールとのエステルであることが好ましく、炭素数14~22の脂肪酸と炭素数12~22の脂肪族アルコールとのエステルであることがより好ましい。このようなワックスエステル(B)としては、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸ラウリル、ステアリン酸パルミチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸アラキジル、イコサン酸イコシル、エルカ酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系重合体(A)に対するタック抑制の観点から、ワックスエステル(B)はステアリン酸ステアリルであることが好ましい。
硬化性組成物中のワックスエステル(B)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、0.1~10重量部であることが好ましく、0.25~5重量部であることがより好ましく、0.5~3重量部であることがさらに好ましい。ワックスエステル(B)の含有量が0.1重量部以上であれば、タック改善の効果を十分に得ることができる。ワックスエステル(B)の含有量が10重量部以下であれば、硬化性組成物の粘度を抑えることができ、作業性を向上することができる。
<パラフィンワックス(C)>
パラフィンワックス(C)としては、例えば融点40~80℃のパラフィンが挙げられる。硬化性組成物中のパラフィンワックス(C)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、0.1~5重量部であることが好ましく、0.25~3重量部であることがより好ましく、0.5~1重量部であることがさらに好ましい。パラフィンワックス(C)の含有量が0.1重量部以上であれば、タック改善の効果を十分に得ることができる。パラフィンワックス(C)の含有量が5重量部以下であれば、パラフィンワックス(C)の析出を抑えることができ、貯蔵安定性を向上することができる。
<ラジカル開始剤(D)>
ラジカル開始剤(D)としては、光ラジカル開始剤および熱ラジカル開始剤が挙げられる。省エネルギー性に優れ、硬化時間が短いという観点からは光ラジカル開始剤が好ましい。
光ラジカル開始剤としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニル
アミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、3-ペンチルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、3-ブロモアセトフェノン、4-アリルアセトフェノン、p-ジアセチルベンゼン、3-メトキシベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4-クロロ-4’-ベンジルベンゾフェノン、3-クロロキサントーン、3,9-ジクロロキサントーン、3-クロロ-8-ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2-クロロチオキサントーン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(4-メチルベンジル)-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、ジベンゾイル、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン、1-〔4-(4-ベンゾイキシルフェニルサルファニル)フェニル〕-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オン、メチルベンゾイルフォーメート、O-エトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン、1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-
ベンゾイルオキシム)]1,2-オクタンジオン、1-〔9-エチル-6-(2-メチル
ベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(0-アセチルオキシム)エタノン、4-ベンゾイル-4’メチルジフェニルサルファイド、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’,4’’-(ヘキサメチルトリアミノ)トリフェニルメタン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメチルベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニル-エトキシ-フォスフィンオキサイド、商品名SPEEDCURE XKm(LAMBSON製)等のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス開始剤等が挙げられる。
アゾ系開始剤としては、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(メチルイソブチレ-ト)等が挙げられる。
過酸化物開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、過酸化ジクミル等が挙げられる。
過硫酸塩開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。
レドックス開始剤としては、上記過硫酸塩開始剤と還元剤(メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)との組み合わせ;有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例えば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系等が挙げられる。
硬化性組成物中のラジカル開始剤(D)の含有量は、硬化性および貯蔵安定性の観点から、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対し、0.01~10重量部であることが好ましく、0.1~5重量部であることがより好ましい。
<(メタ)アクリルモノマー(E)>
前記硬化性組成物はさらに、(メタ)アクリルモノマー(E)を含んでいてもよい。これにより、硬化性組成物の粘度を低減して作業性を向上すること、および/または、硬化物の物性を向上することができる。
(メタ)アクリルモノマー(E)としては、(メタ)アクリル系重合体(A)の主鎖を構成する(メタ)アクリルモノマーに加えて、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデカニル、(メタ)アクリル酸トリル、(メタ)アクリル酸4-tert-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸1-メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸1-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸3、5-ジヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸メチルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸m-フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸エチルカルビトール、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルジエチレングリコ-ル、(メタ)アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1,4-シクロヘキサンジメタノール、(メタ)アクリル酸グリセリン、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール-ポリテトラメチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール-ポリテトラメチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール-ポリブチレングリコール、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル-グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル四級化物、4-(メタ)アクリル酸-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、2-(メタ)アクリル酸-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デシ-2-イルメチル、(メタ)アクリル酸3-エチル-3-オキセタニル、(メタ)アクリル酸γ-ブチロラクトン、(メタ)アク
リル酸2-フェニルチオエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-(2-プロペニルオキシ)プロピル、無水フタル酸-(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル付加物、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、1,2-シクロヘキシルジカルボン酸-モノ[1-メチル-2-[(1-オキソ-2-プロペニル)オキシ]エチル]エステル、(メタ)アクリルロイルオキシ-エチルヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリルロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリルロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-ヒドロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-リン酸エステル、(メタ)アクリル酸エトキシ化-o-フェニルフェノール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸パラクミルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウロキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ステアロキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシ-ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリロキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ウンデシレノキシ、(メタ)アクリル酸ウンデシレノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン、アクリル酸ダイマー、(メタ)アクリル酸N-エチルマレイミド、(メタ)アクリル酸ペンタメチルピペリジニル、(メタ)アクリル酸テトラメチルピペリジニル、γ-[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]トリエトキシシラン、γ-[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]メチルジメトキシシラン、(メタ)アクリル酸2-イソシアネートエチル、(メタ)アクリル酸2-(0-[1’-メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸2-[(3,5-ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸バリウム、(メタ)アクリル酸ストロンチウム、(メタ)アクリル酸ニッケル、(メタ)アクリル酸銅、(メタ)アクリル酸アルミニウム、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸ネオジウム、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチルパーフルオロブチルメチル、(メタ)アクリル酸2,2-ジ-パーフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルメチル、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリルモノマー(E)としては、上記に加えて、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジ(メタ)アクリレート、1,2-エチレンジ(メタ)アクリレート等の飽和炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール-ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジエトキシジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO-EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジエトキシジ(メタ)アクリレート、4,4-ジメルカプトジフェニルサルファイドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ジメチル)-5-エチル-5-アクリロイルオキシメチル-1,3-ジオキサン、2-[5-エチル-5-[(アクリロイルオキシ)メチル]-1,3-ジオキサン-2-イル]-2,2-ジメチルエチル、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の2官能の(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の3官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物も使用できる。
硬化性組成物中の(メタ)アクリルモノマー(E)の含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、300重量部以下であることが好ましく、150重量部以下であることがより好ましい。(メタ)アクリルモノマー(E)の含有量が300重量部以下であれば、硬化性組成物の作業性が良好で、硬化収縮率への影響が小さい。使用に必要な強度を維持したまま柔軟な硬化物が得られる観点からは、(メタ)アクリルモノマー(E)の含有量は100重量部以下であることがさらに好ましい。
<その他の添加剤>
前記硬化性組成物は、(メタ)アクリル系重合体(A)、ワックスエステル(B)、パラフィンワックス(C)、ラジカル開始剤(D)および(メタ)アクリルモノマー(E)の他に添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、充填剤、微小中空粒子、可塑剤、溶剤、チクソ性付与剤(垂れ防止剤)、酸化防止剤(老化防止剤)、相溶化剤、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、消泡剤、発泡剤、防蟻剤、防かび剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられる。
前記添加剤の具体例は、特開2006-291073号公報の段落〔0134〕~〔0151〕、特開2007-308692号公報の段落〔0232〕~〔0235〕、国際公開第05/116134号の段落〔0089〕~〔0093〕、特公平4-69659号公報、特公平7-108928号公報、特開昭63-254149号公報、特開昭64-22904号公報、特開2001-72854号公報等に記載されている。
〔2.硬化物の製造方法〕
本発明の一実施形態に係る硬化物の製造方法は、上述の硬化性組成物を硬化させる工程
を有する。硬化性組成物を光照射によって硬化させてもよく、加熱によって硬化させてもよい。省エネルギー性に優れ、硬化時間が短いという観点からは光照射(例えばUV)によって硬化させることが好ましい。硬化性組成物を型枠に入れた後に硬化させてもよい。すなわち、硬化物は成型体であってもよい。
光照射の光源としては、例えば、水銀灯ランプ、LED、ハロゲンランプ等が挙げられる。ピーク照度は、1~10,000mW/cmであることが好ましく、10~5,000mW/cmであることがより好ましく、100~3,000mW/cmであることがさらに好ましい。積算光量は、10~10,000mJ/cmであることが好ましく、100~5,000mWmJ/cmであることがより好ましく、500~4,000mJ/cmであることがさらに好ましい。ピーク照度および積算光量が上記範囲であれば、硬化性組成物を良好に硬化させることができるとともに、得られる硬化物の機械物性を良好に維持することができる。加熱によって硬化させる場合の温度は、50~250℃であることが好ましく、70~200℃であることがより好ましい。
本発明の一態様としては、1分子当たり平均して0.8個以上の前記一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ラジカル開始剤(D)とを含む硬化性組成物に、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方を添加する工程と、得られた硬化性組成物を硬化させる工程と、を有する、硬化物のタックを抑制する方法も包含される。
〔3.用途〕
上述の硬化性組成物から得られる硬化物の用途としては、限定はされないが、スポーツ用品、玩具・遊具、文房具、医薬・医療・介護用品、履物、寝具・寝装品、家具、衣料、各種雑貨、輸送用品、OA機器、家電製品、オーディオ機器、携帯機器、産業用機械・機器、精密機器、電気・電子機器、電気・電子部品、建材用品、自動車部品、電池周辺材料等が挙げられる。これらの用途において、硬化物は、シール材、コーティング材、成形体、封止材、成形部品、塗料、インク、発泡体、レジスト材、ガスケット、衝撃吸収材、衝撃緩衝材、圧力分散材、制振材、防振材、吸音材、防音材、断熱材、感触改善部材、ブッシュ、各種マウント、ローラ、フィルム、シート、テープ、シール、チップ、パッキン、Oリング、ベルト、チューブ、ホース、弁としての利用も可能である。
自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特にウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに使用することができる。シャーシ部品として、防振、防音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジンマウントラバーに使用することができる。エンジン部品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホース類、エンジンカバーおよびオイルパン用のガスケット、エンジンオイル用シール材などに使用することができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品にも使用できる。タイヤ部品としては、ビード部位、サイドウォール部位、ショルダー部位、トレッド部位、インナーライナー用の樹脂、空気圧センサー・パンクセンサーのシール材として利用可能である。また、各種電子部品・制御部品のシール材、封止材、ガスケット、コーティング材、モールド部材として利用可能である。また、銅製・アルミ製ワイヤーハーネスの被覆材、コネクタ部のシール材としても利用可能である。その他、ランプ、バッテリー、ウィンドウォッシャー液ユニット、エアコンディショナーユニット、クーラントユニット、ブレーキオイルユニット、電装部品、各種内外装品、オイルフィルター等のシール材、ガスケット、Oリング、パッキン、ベルト等の成形部品、イグナイタHICもしくは自動車用ハイブリッドICのポッティング材等としても利用可能である。
電池周辺材料としては、硬化物は、電池のシール材、裏面封止材、各素子のモールド材
、封止材、封止フィルム、コーティング材、ポッティング材、充填材、セパレーター、触媒固定用皮膜、保護フィルム、電極の結着剤、冷媒油用シール材、ホース材等に利用可能である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施形態は、以下の構成を含んでいてもよい。
<1>1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方と、ラジカル開始剤(D)と、を含む、硬化性組成物。
-OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
<2>前記(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.8以下である、<1>に記載の硬化性組成物。
<3>前記ワックスエステル(B)がステアリン酸ステアリルである、<1>または<2>に記載の硬化性組成物。
<4>さらに、(メタ)アクリルモノマー(E)を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<5>前記ラジカル開始剤(D)が光ラジカル開始剤である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
<6><1>~<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を硬化させる工程を有する、硬化物の製造方法。
<7><5>に記載の硬化性組成物を光照射によって硬化させる工程を有する、硬化物の製造方法。
<8>1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ラジカル開始剤(D)とを含む硬化性組成物に、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方を添加する工程と、得られた硬化性組成物を硬化させる工程と、を有する、硬化物のタックを抑制する方法。
-OC(O)C(R)=CH (1)
(式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
本発明の一実施例について以下に説明する。本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
〔材料〕
●ワックスエステル(B)
・ユニスターM-9676(日油製、ステアリン酸ステアリル)
●パラフィンワックス(C)
・パラフィン(融点54~56℃)(富士フィルム和光純薬製)
・パラフィン(融点68~70℃)(富士フィルム和光純薬製)
●ラジカル開始剤(D)
・Omnirad1173(IGM Resins B.V.製、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン)
・Omnirad819(IGM Resins B.V.製、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)
●(メタ)アクリルモノマー(E)
・IBXA(大阪有機化学工業製、アクリル酸イソボルニル)
・INAA(大阪有機化学工業製、アクリル酸イソノニル)
・ACMO(KJケミカル製、アクリロイルモルホリン)
〔合成例1:(メタ)アクリル系重合体(A-1)の合成〕
(重合工程)
100重量部のアクリル酸n-ブチルを用意し、脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、0.42重量部の臭化第一銅、20重量部のアクリル酸n-ブチルを加え、加熱攪拌した。8.8重量部のアセトニトリル、3.5重量部のジエチル2,5-ジブロモアジペート(開始剤)を加えて混合した。混合液の温度を約80℃に調節した後、0.018重量部のペンタメチルジエチレントリアミンを加え、重合反応を開始させた。残る80重量部のアクリル酸n-ブチルを逐次加えて、重合反応を進めた。重合反応の途中で、適宜ペンタメチルジエチレントリアミンを追加で加え、重合速度を調節した。重合工程を通して使用したペンタメチルジエチレントリアミンの総量は、0.17重量部であった。重合工程においては、重合熱により系内が過熱されるのを防ぎ、系内温度は約80~約90℃に調節した。重合反応率が約95%以上となった時点で、反応容器の気相部に酸素-窒素混合ガスを導入した。系内温度を約80~約90℃に保ちながら、反応液を数時間加熱攪拌して、重合触媒と酸素とを接触させた。アセトニトリルおよび未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、(メタ)アクリル系重合体を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体は、濃緑色に着色していた。
(精製工程)
重合工程で得られた(メタ)アクリル系重合体を、酢酸ブチル((メタ)アクリル系重合体100重量部に対して約100重量部)で希釈した。希釈液に濾過助剤を加えて加熱処理し、濾過した。濾液に吸着剤(キョーワード700SENおよびキョーワード500SH)を加えて再度濾過し、清澄な液体を得た。この清澄な液体を濃縮し、ほぼ無色透明の精製物を得た。
(アクリロイル基導入工程)
精製物として得られた(メタ)アクリル系重合体をN,N-ジメチルアセトアミド((メタ)アクリル系重合体100重量部に対して約100重量部)に溶解させた。アクリル酸カリウム((メタ)アクリル系重合体末端のBr基に対して約2モル当量)、熱安定剤(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-n-オキシル)、および吸着剤(キョーワード700SEN)を加え、約70℃にて数時間加熱攪拌した。N,N-ジメチルアセトアミドを減圧留去した後、酢酸ブチル((メタ)アクリル系重合体100重量部に対して約100重量部)で再度希釈し、濾過助剤を加えて固形分を濾別した。濾液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A-1)を得た。(メタ)アクリル系重合体(A-1)は褐色に着色していた。
(メタ)アクリル系重合体(A-1)の、数平均分子量は約12,000であり、分子量分布は1.1であった。(メタ)アクリル系重合体に導入されたアクリロイル基の数は、1分子あたり平均で約1.9個であった。
(メタ)アクリル系重合体1分子当たりに導入された官能基数は、H-NMRによる濃度分析、および、GPCにより求まる数平均分子量を基に算出した。H-NMRはBruker製ASX-400を使用し、溶媒として重クロロホルムを用いて23℃にて測定した。合成例2についても同様である。
〔合成例2:(メタ)アクリル系重合体(A-2)の合成〕
(重合工程)
アクリル酸n-ブチル73重量部、アクリル酸エチル25重量部、アクリル酸2-メトキシエチル2重量部の混合物を用意し、脱酸素した。攪拌機付ステンレス製反応容器の内部を脱酸素し、0.31重量部の臭化第一銅、20重量部の上記の混合物を加え、加熱攪拌した。4.4重量部のアセトニトリル、1.3重量部のジエチル2,5-ジブロモアジペート(開始剤)を加えて混合した。混合液の温度を約80℃に調節した後、0.018重量部のペンタメチルジエチレントリアミンを加え、重合反応を開始させた。残る80重量部の上記混合物を逐次加えて、重合反応を進めた。重合反応の途中で、適宜ペンタメチルジエチレントリアミンを追加で加え、重合速度を調節した。重合工程を通して使用したペンタメチルジエチレントリアミンの総量は、0.10重量部であった。重合工程においては、重合熱により系内が過熱されるのを防ぎ、系内温度は約80~約90℃に調節した。重合反応率が約95%以上となった時点で、反応容器の気相部に酸素-窒素混合ガスを導入した。系内温度を約80~約90℃に保ちながら、反応液を数時間加熱攪拌して、重合触媒と酸素とを接触させた。アセトニトリルおよび未反応のモノマーを減圧脱揮して除去し、(メタ)アクリル系重合体を得た。得られた(メタ)アクリル系重合体は、濃緑色に着色していた。
(精製工程)
重合工程で得られた(メタ)アクリル系重合体を、酢酸ブチル((メタ)アクリル系重合体100重量部に対して約100重量部)で希釈した。希釈液に濾過助剤を加えて加熱処理し、濾過した。濾液に吸着剤(キョーワード700SENおよびキョーワード500SH)を加えて再度濾過し、清澄な液体を得た。この清澄な液体を濃縮し、ほぼ無色透明の精製物を得た。
(アクリロイル基導入工程)
精製物として得られた(メタ)アクリル系重合体をN,N-ジメチルアセトアミド((メタ)アクリル系重合体100重量部に対して約100重量部)に溶解させた。アクリル酸カリウム((メタ)アクリル系重合体末端のBr基に対して約2モル当量)、熱安定剤(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-n-オキシル)、および吸着剤(キョーワード700SEN)を加え、約70℃にて数時間加熱攪拌した。N,N-ジメチルアセトアミドを減圧留去した後、酢酸ブチル((メタ)アクリル系重合体100重量部に対して約100重量部)で再度希釈し、濾過助剤を加えて固形分を濾別した。濾液を濃縮し、末端にアクリロイル基を有する(メタ)アクリル系重合体(A-2)を得た。(メタ)アクリル系重合体(A-2)は褐色に着色していた。
(メタ)アクリル系重合体(A-2)の、数平均分子量は約34,000であり、分子量分布は1.1であった。(メタ)アクリル系重合体に導入されたアクリロイル基の数は、1分子あたり平均で約1.9個であった。
(硬化性組成物の調製)
表1~3の組成(重量部)となるように、各成分を混合した。具体的には、(メタ)アクリル系重合体(A-1)または(A-2)、ワックスエステル(B)またはパラフィンワックス(C)をマヨネーズ瓶に加えて加熱し、スパチュラで時折攪拌しながら、ワックスエステル(B)またはパラフィンワックス(C)を溶解させた。加熱温度は、ワックスエステル(B)の場合は60℃、パラフィンワックス(C)の場合は70℃とした。次に、ラジカル開始剤(D)およびアクリルモノマー(E)を加えてスパチュラで攪拌し、さらに、あわとり練太郎ARE-310(シンキー製)で、撹拌(1,600rpm×1.5分)および脱泡(2,200rpm×3分)を施し、硬化性組成物を得た。
(硬化物の作製)
ポリプロピレン製型枠に、得られた硬化性組成物を厚さが2mmになるように流し込ん
で静置した。これによって、硬化性組成物を脱泡した。UV照射装置(フュージョンUVシステム製、機種:LIGHT HAMMER 6、光源:水銀灯ランプ、ピーク照度:250mW/cm、積算光量:2,000mJ/cm)にて大気下でUV光を照射し、シート状硬化物を得た。
(表面タックの評価)
得られたシート状硬化物の表面を指で触り、全くタックを感じない場合は〇(優)、ほとんどタックを感じない場合は△(良)、強いタックを感じる場合は×(不可)とした。
〔評価結果〕
実施例および比較例の組成および評価結果を表1~3に示す。
ワックスエステル(B)またはパラフィンワックス(C)を含む実施例1~17では、これらを含まない比較例1~4に比べてタックが抑えられた。
本発明の一態様は、硬化性組成物の分野で利用できる。

Claims (8)

  1. 1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、
    ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方と、
    ラジカル開始剤(D)と、を含む、硬化性組成物。
    -OC(O)C(R)=CH (1)
    (式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
  2. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)が1.8以下である、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記ワックスエステル(B)がステアリン酸ステアリルである、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. さらに、(メタ)アクリルモノマー(E)を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  5. 前記ラジカル開始剤(D)が光ラジカル開始剤である、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項1または2に記載の硬化性組成物を硬化させる工程を有する、硬化物の製造方法。
  7. 請求項5に記載の硬化性組成物を光照射によって硬化させる工程を有する、硬化物の製造方法。
  8. 1分子当たり平均して0.8個以上の一般式(1)で表される基を分子の末端に有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、ラジカル開始剤(D)とを含む硬化性組成物に、ワックスエステル(B)およびパラフィンワックス(C)の少なくともいずれか一方を添加する工程と、
    得られた硬化性組成物を硬化させる工程と、を有する、硬化物のタックを抑制する方法。
    -OC(O)C(R)=CH (1)
    (式中、Rは、水素原子または炭素数1~20の有機基を表す。)
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