JP2024025467A - レーザ加工装置及びレーザ加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望のレーザ加工を実施すること。【解決手段】レーザ加工装置1は、ウエハ11を支持する支持部2と、光源3と、空間光変調器5と、集光部6と、集光部6を、表面11aに対して垂直な方向である光軸方向に、表面11aに対して相対的に移動させる移動部7と、集光部6を介してウエハ11を伝搬した光を検出することにより撮像画像を取得する可視撮像部8と、移動部7を制御する第1処理と、連続的にレーザ光が出射されるように光源3を制御する第2処理と、ウエハ11の裏面11bにおいて反射された光が検出されて連続的に複数の撮像画像が取得されるように可視撮像部8を制御する第3処理と、複数の撮像画像を合成することにより、光軸方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルを取得する第4処理と、を実行するように構成された制御部10と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、レーザ加工装置及びレーザ加工方法に関する。
対象物にレーザ光を照射することで対象物に改質領域を形成するレーザ加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなレーザ加工装置は、例えば、対象物を支持する支持部と、レーザ光を出射する光源と、光源から出射されたレーザ光を変調する空間光変調器と、空間光変調器によって変調されたレーザ光を集光する集光部と、を備えている。
特開2011-051011号公報
空間光変調器に設定される変調パターンは、例えば、シミュレーション等に基づき設定され、実際に加工が行われることにより最適化が図られる。ここで、上記方法により変調パターンを最適化した場合であっても、様々な要因によって、該変調パターンを用いて所望のレーザ加工ができないことがある。
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、所望のレーザ加工を実施することができるレーザ加工装置及びレーザ加工方法を提供することを目的とする。
[E1]
本発明の一態様に係るレーザ加工装置は、第1表面及び第2表面を有するウエハを支持する支持部と、レーザ光を出射する光源と、光源から出射されたレーザ光を変調する空間光変調器と、空間光変調器によって変調されたレーザ光をウエハの第1表面側からウエハに集光する集光部と、集光部を、第1表面に対して垂直な方向である光軸方向に、第1表面に対して相対的に移動させる移動部と、集光部を介してウエハを伝搬した光を検出することにより撮像画像を取得する撮像部と、集光部が光軸方向において第1表面に対して相対的に移動するように移動部を制御する第1処理と、第1処理が実行されている状態において連続的にレーザ光が出射されるように光源を制御する第2処理と、第2処理が実行されている状態においてウエハの第2表面において反射された光が検出されて連続的に複数の撮像画像が取得されるように撮像部を制御する第3処理と、第3処理において連続的に取得された複数の撮像画像を合成することにより、光軸方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルを取得する第4処理と、を実行するように構成された制御部と、を備える。
本発明の一態様に係るレーザ加工装置では、集光部を光軸方向に移動させながらレーザ光が照射され、ウエハの第2表面において反射された光が検出されて連続的に複数の撮像画像が取得される。そして、本レーザ加工装置では、複数の撮像画像が合成されることにより、光軸方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルが取得される。このように、レーザ光の集光点を光軸方向(ウエハの深さ方向)に移動させながら、ウエハの裏面である第2表面からの反射光が検出されて、上記光軸プロファイルが取得されることにより、光軸方向に沿ったレーザ光の照射状況(例えば集光点の位置や強度)の把握、すなわちレーザ内部加工の集光状態の把握が可能になる。これにより、例えば、レーザ加工装置における何らかの異常の発生有無や、空間光変調器に設定される変調パターンの調整の要否等を判断することができ、より適切に所望のレーザ加工を実施することができる。なお、本発明の一態様に係るレーザ加工装置では、ウエハに対する実際のレーザ加工を行うことなく(レーザ加工前に)レーザ内部加工の集光状態を把握し、変調パターンの最適化等を実現することができる。
[E2]
上記[E1]記載のレーザ加工装置において、制御部は、第4処理において取得された光軸プロファイルに基づき、空間光変調器の変調パターンを調整する第5処理を更に実行してもよい。このような構成によれば、光軸プロファイルを考慮して変調パターンを最適化することができ、より適切に所望のレーザ加工を実施することができる。すなわち、取得済みのレーザ内部加工の集光状態の情報を変調パターン生成にフィードバックすることができ、所望のレーザ加工を実施することができる。
[E3]
上記[E2]記載のレーザ加工装置において、ウエハは、複屈折材料を含んで構成されており、制御部は、第5処理において、光軸プロファイルに基づき、常光線に係る集光点と異常光線に係る集光点とを特定し、特定した2つの集光点のうち一方の集光点における光の強度が大きくなり、他方の集光点における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整してもよい。複屈折材料を含んで構成されたウエハにレーザ光を集光させる場合、入射光におけるP偏光成分とS偏光成分とで屈折率が互いに異なる。また、それらの入射光は常光線と異常光線とに分けられるが、その中の異常光線はスネルの法則に従わず常光線とは異なる屈折角で光が伝搬する。これらのことから、ウエハの深さ方向において、互いに異なる位置にP偏光成分及びS偏光成分が集光する。このように集光点が深さ方向に分岐することによってウエハにおいて意図せず複数の集光点が形成されることとなり、適切でない亀裂を生じさせてしまう。このことで、例えばスライシング等の加工の品質が低下するおそれがある。この点、光軸プロファイルに基づき、一方の集光点の強度が大きくなり、且つ、他方の集光点の強度が小さくなるように変調パターンが調整されることにより、上述した複数の集光点が形成されることによる加工品質の低下を抑制することができる。
[E4]
上記[E3]記載のレーザ加工装置において、制御部は、第5処理において、2つの集光点のうち、第2表面に近い側の集光点における光の強度が大きくなり、第2表面に遠い側の集光点における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整してもよい。変調パターンの調整によって、2つの集光点の強度比を変えることはできるが、いずれかの集光点を完全になくすことはできない。例えば、第2表面に遠い側の集光点を主に利用し、第2表面に近い側の集光点における光の強度を極力小さくする場合には、第2表面に遠い側の集光点が加工狙い高さに設定され、微弱ではあるものの第2表面に近い側の集光点が存在することとなる。第2表面には、デバイスが設けられているため、第2表面に近い側の集光点の影響によってデバイスにダメージが生じてしまうことが考えられる。この点、第2表面に近い側の集光点を主に利用する場合には、第2表面に近い側の集光点が加工狙い高さに設定され、それよりも第2表面側に集光点が存在しないこととなるので、第2表面のデバイスのダメージを軽減することができる。なお、第2表面にデバイスが設けられていないウエハについても、レーザ加工装置が上記構成を備えることにより、第2表面におけるダメージを軽減することができる。
[E5]
上記[E2]~[E4]のいずれか一項記載のレーザ加工装置において、制御部は、第5処理において、レーザ光における一部の偏光成分を遮断するスリットパターンにより変調パターンを調整してもよい。このような構成によれば、容易に、いずれかの集光点における光の強度を小さくすることができる。
[E6]
上記[E2]~[E5]のいずれか一項記載のレーザ加工装置において、制御部は、変調パターンにより定まる球面収差の条件を変えながら、それぞれの条件下で、第1処理、第2処理、第3処理、及び第4処理を実施し、第5処理において、各条件下で取得された光軸プロファイルが示すレーザ光の輝度値の最大値を互いに比較し、輝度値が最大である光軸プロファイルに係る球面収差の条件となるように、変調パターンを調整してもよい。このような構成によれば、例えば屈折率が未知のウエハに対しても、適切な球面収差補正を実施することができる。
[E7]
上記[E1]~[E6]のいずれか一項記載のレーザ加工装置において、制御部は、第4処理において取得された光軸プロファイルと、比較用のプロファイル画像である比較データとを比較し、比較したデータ間の差分が所定範囲内である場合に光軸プロファイルが正常であると判定し、差分が所定範囲外である場合に光軸プロファイルが異常であると判定し、判定結果を出力する第6処理を更に実行してもよい。このような構成によれば、レーザ加工装置が正常である場合のプロファイル画像を比較データとして設定しておくことにより、光軸プロファイルと比較データとの比較に基づき、レーザ加工装置において何らかの異常が発生しているか否かを容易に判定することができる。そして、判定結果が出力されることによって、該判定結果を考慮してレーザ加工装置の調整を実施することが可能になる。以上のように、上述した構成によれば、より適切に所望のレーザ加工を実施することができる。
[E8]
上記[E1]~[E7]のいずれか一項記載のレーザ加工装置において、制御部は、第2処理において、ウエハ加工時における出力よりも低い出力のレーザ光が出射されるように、光源を制御してもよい。これにより、実際のレーザ加工を行うことなく、光軸プロファイルを取得することができる。
[E9]
上記[E1]~[E8]のいずれか一項記載のレーザ加工装置において、光軸プロファイルは、複数の2次元の撮像画像が合成されることにより取得される3次元データであってもよい。3次元データとして光軸プロファイルが取得されることによって、光軸方向に沿ったレーザ光の照射状況(例えば集光点の位置や強度)をより詳細に把握することができる。
[E10]
本発明の一態様に係るレーザ加工方法は、空間光変調器によって変調されたレーザ光を第1表面及び第2表面を有するウエハの第1表面側からウエハに集光する集光部を、第1表面に対して垂直な方向である光軸方向に移動させる第1ステップと、第1ステップが実行されている状態において、連続的にレーザ光を出射する第2ステップと、第2ステップが実行されている状態において、第2表面において反射された光を検出することにより連続的に複数の撮像画像を取得する第3ステップと、第3ステップにおいて連続的に取得された複数の撮像画像を合成することにより、光軸方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルを取得する第4ステップと、を含む。
[E11]
上記[E10]記載のレーザ加工方法において、上記レーザ加工方法は、第4ステップにおいて取得された光軸プロファイルに基づき、空間光変調器の変調パターンを調整する第5ステップ、を更に含んでいてもよい。
[E12]
上記[E11]記載のレーザ加工方法において、ウエハは、複屈折材料を含んで構成されており、第5ステップでは、光軸プロファイルに基づき、常光線に係る集光点と異常光線に係る集光点とを特定し、特定した2つの集光点のうち一方の集光点における光の強度が大きくなり、他方の集光点における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整してもよい。
[E13]
上記[E12]記載のレーザ加工方法において、第5ステップでは、2つの集光点のうち、第2表面に近い側の集光点における光の強度が大きくなり、第2表面に遠い側の集光点における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整してもよい。
[E14]
上記[E11]~[E13]のいずれか一項記載のレーザ加工方法において、第5ステップでは、レーザ光における一部の偏光成分を遮断するスリットパターンにより変調パターンを調整してもよい。
[E15]
上記[E11]~[E14]のいずれか一項記載のレーザ加工方法において、変調パターンにより定まる球面収差の条件を変えながら、それぞれの条件下で、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、及び第4ステップを実施し、第5ステップでは、各条件下で取得された光軸プロファイルが示すレーザ光の輝度値の最大値を互いに比較し、輝度値が最大である光軸プロファイルに係る球面収差の条件となるように、変調パターンを調整してもよい。
[E16]
上記[E10]~[E15]のいずれか一項記載のレーザ加工方法は、第4ステップにおいて取得された光軸プロファイルと、比較用のプロファイル画像である比較データとを比較し、比較したデータ間の差分が所定範囲内である場合に光軸プロファイルが正常であると判定し、差分が所定範囲外である場合に光軸プロファイルが異常であると判定し、判定結果を出力する第6ステップ、を更に含んでいてもよい。
[E17]
上記[E10]~[E16]のいずれか一項記載のレーザ加工方法において、第2ステップでは、ウエハ加工時における出力よりも低い出力のレーザ光を出射してもよい。
[E18]
上記[E10]~[E17]のいずれか一項記載のレーザ加工方法において、光軸プロファイルは、複数の2次元の撮像画像が合成されることにより取得される3次元データであってもよい。
本発明の一態様に係るレーザ加工装置及びレーザ加工方法によれば、所望のレーザ加工を実施することができる。
図1は、一実施形態のレーザ加工装置の構成図である。 図2は、図1に示される空間光変調器の一部分の断面図である。 図3(a)はZ方向に沿った連続的な撮像を説明する図であり、図3(b)は撮像画像を合成することにより取得される光軸プロファイルを示す図である。 図4(a)は2次元データで示された光軸プロファイルを示す断面図であり、図4(b)は3次元データで示された光軸プロファイルを示す図である。 図5は、光軸プロファイル取得処理を示すフローチャートである。 図6(a)は複屈折材料を含んで構成されたウエハについての光軸プロファイルを示す図であり、図6(b)は抜け光によるデバイスのダメージについて説明する図である。 図7(a)(b)は、複屈折材料に応じた集光点を説明する図である。 図8(a)は複屈折材料を含んで構成されたウエハの光軸プロファイルを示す図であり、図8(b)は図8(a)に示される光軸プロファイルを考慮して変調パターンが調整された場合の光軸プロファイルを示す図である。 図9(a)は対策をしていない場合の集光点のイメージであり、図9(b)は表面側集光点の強度を大きくした場合の集光点のイメージであり、図9(c)は裏面側集光点の強度を大きくした場合の集光点のイメージである。 図10(a)はスリットパターン無しの場合の強度比を示す図であり、図10(b)はスリットAを設けた場合の強度比を示す図である。 図11(a)はスリットBを設けた場合の強度比を示す図であり、図11(b)はスリットCを設けた場合の強度比を示す図である。 図12は、変調パターン調整処理のフローチャートである。 図13は、レーザ加工装置のエラー状態特定処理のフローチャートである。 図14(a)は屈折率が未知のウエハについて適切でない変調パターンで加工する場合の光軸プロファイルを示す図であり、図14(b)は図14(a)に示される光軸プロファイルを考慮して変調パターンが調整された場合の光軸プロファイルを示す図である。 球面収差調整について説明する図である。 球面収差調整処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[レーザ加工装置の構成]
図1に示されるように、レーザ加工装置1は、支持部2と、光源3と、光軸調整部4と、空間光変調器5と、集光部6と、移動部7と、可視撮像部8(撮像部)と、制御部10と、を備えている。なお、撮像部は赤外カメラであってもよい。レーザ加工装置1は、ウエハ11にレーザ光Lを照射することでウエハ11に改質領域12を形成する装置である。以下の説明では、互いに直交する3方向を、それぞれ、X方向、Y方向及びZ方向という。本実施形態では、X方向は第1水平方向であり、Y方向は第1水平方向に垂直な第2水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。
支持部2は、表面11a(第1表面)及び裏面11b(第2表面)を有するウエハ11を支持する。一例として、支持部2は、ウエハ11に貼り付けられたフィルム(図示省略)を吸着することで、ウエハ11の表面11aがZ方向と直交するようにウエハ11を支持する。支持部2は、X方向及びY方向のそれぞれの方向に沿って移動可能であり、Z方向に平行な軸線を中心線として回転可能である。
光源3は、レーザ光Lを出射する。一例として、光源3は、パルス発振方式によってレーザ光Lを出射する。レーザ光Lは、ウエハ11に対して透過性を有している。
光軸調整部4は、光源3から出射されたレーザ光Lの光軸を調整する。本実施形態では、光軸調整部4は、光源3から出射されたレーザ光Lの進行方向をZ方向に沿うように変更しつつ、レーザ光Lの光軸を調整する。光軸調整部4は、例えば、位置及び角度の調整が可能な複数の反射ミラーによって構成されている。
空間光変調器5は、筐体H内に配置されている。空間光変調器5は、光源3から出射されたレーザ光Lを変調する。本実施形態では、光軸調整部4からZ方向に沿って下側に進行したレーザ光Lが筐体H内に入射し、筐体H内に入射したレーザ光LがミラーM1によってY方向に対して角度を成すように水平に反射され、ミラーM1によって反射されたレーザ光Lが空間光変調器5に入射する。空間光変調器5は、そのように入射したレーザ光LをY方向に沿って水平に反射しつつ変調する。
本実施形態の空間光変調器5は、反射型液晶(LCOS:Liquid Crystal on Silicon)の空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)である。図2に示されるように、空間光変調器5は、半導体基板51上に、駆動回路層52、画素電極層53、反射膜54、配向膜55、液晶層56、配向膜57、透明導電膜58及び透明基板59がこの順序で積層されることで、構成されている。
半導体基板51は、例えば、シリコン基板である。駆動回路層52は、半導体基板51上において、アクティブ・マトリクス回路を構成している。画素電極層53は、半導体基板51の表面に沿ってマトリックス状に配列された複数の画素電極53aを含んでいる。各画素電極53aは、例えば、アルミニウム等の金属材料によって形成されている。各画素電極53aには、駆動回路層52によって電圧が印加される。
反射膜54は、例えば、誘電体多層膜である。配向膜55は、液晶層56における反射膜54側の表面に設けられており、配向膜57は、液晶層56における反射膜54とは反対側の表面に設けられている。各配向膜55,57は、例えば、ポリイミド等の高分子材料によって形成されており、各配向膜55,57における液晶層56との接触面には、例えば、ラビング処理が施されている。配向膜55,57は、液晶層56に含まれる液晶分子56aを一定方向に配列させる。
透明導電膜58は、透明基板59における配向膜57側の表面に設けられており、液晶層56等を挟んで画素電極層53と向かい合っている。透明基板59は、例えば、ガラス基板である。透明導電膜58は、例えば、ITO等の光透過性且つ導電性材料によって形成されている。透明基板59及び透明導電膜58は、レーザ光Lを透過させる。
以上のように構成された空間光変調器5では、変調パターンを示す信号が制御部10から駆動回路層52に入力されると、当該信号に応じた電圧が各画素電極53aに印加され、各画素電極53aと透明導電膜58との間に電界が形成される。当該電界が形成されると、液晶層56において、各画素電極53aに対応する領域ごとに液晶分子216aの配列方向が変化し、各画素電極53aに対応する領域ごとに屈折率が変化する。この状態が、液晶層56に変調パターンが表示された状態である。
液晶層56に変調パターンが表示された状態で、レーザ光Lが、外部から透明基板59及び透明導電膜58を介して液晶層56に入射し、反射膜54で反射されて、液晶層56から透明導電膜58及び透明基板59を介して外部に出射させられると、液晶層56に表示された変調パターンに応じて、レーザ光Lが変調される。このように、空間光変調器5によれば、液晶層56に表示する変調パターンを適宜設定することで、レーザ光Lの変調(例えば、レーザ光Lの強度、振幅、位相、偏光等の変調)が可能である。
図1に戻り、集光部6は、筐体Hの底壁に取り付けられている。集光部6は、空間光変調器5によって変調されたレーザ光Lを、支持部2によって支持されたウエハ11に集光する。本実施形態では、空間光変調器5によってY方向に沿って水平に反射されたレーザ光LがダイクロイックミラーM2によってZ方向に沿って下側に反射され、ダイクロイックミラーM2によって反射されたレーザ光Lが集光部6に入射する。集光部6は、そのように入射したレーザ光LをZ方向に沿って表面11a(第1表面)側からウエハ11に集光する。本実施形態では、集光部6は、集光レンズユニット61が駆動機構62を介して筐体Hの底壁に取り付けられることで構成されている。集光レンズユニット61は、平行光を光軸上の一点に集光する機能を有している。駆動機構62は、例えば圧電素子の駆動力によって、集光レンズユニット61をZ方向に沿って移動させる。
なお、筐体H内において、空間光変調器5と集光部6との間には、結像光学系(図示省略)が配置されている。結像光学系は、空間光変調器5の反射面と集光部6の入射瞳面とが結像関係にある両側テレセントリック光学系を構成している。これにより、空間光変調器5の反射面でのレーザ光Lの像(空間光変調器5によって変調されたレーザ光Lの像)が集光部6の入射瞳面に相似に転像(結像)される。
筐体Hの底壁には、X方向において集光レンズユニット61の両側に位置するように一対の測距センサS1,S2が取り付けられている。各測距センサS1,S2は、ウエハ11の表面11aに対して測距用の光(例えば、レーザ光)を出射し、表面11aで反射された測距用の光を検出することで、表面11aの変位データを取得する。
移動部7は、集光部6を、ウエハ11の表面11aに対して垂直な方向である光軸方向(すなわちZ方向)に、表面11aに対して相対的に移動させる。移動部7は、筐体H及び支持部2の少なくとも一方を移動させることで、集光部6をウエハ11の表面11aに対して相対的に移動させる移動機構(アクチュエータ、モータ等の駆動源を含む)である。本実施形態では、移動部7は、X方向及びY方向のそれぞれの方向に沿って支持部2を移動させ、Z方向に平行な軸線を中心線として支持部2を回転させ、Z方向に沿って筐体Hを移動させる。
可視撮像部8は、筐体H内に配置されている。可視撮像部8は、可視光Vを出射し、可視光Vによるウエハ11の像を画像として取得する。本実施形態では、可視撮像部8から出射された可視光VがダイクロイックミラーM2及び集光部6を介してウエハ11に照射され、ウエハ11で反射された可視光Vが集光部6及びダイクロイックミラーM2を介して可視撮像部8で検出される。すなわち、可視撮像部8は、集光部6を介してウエハ11を伝搬した光を検出することにより撮像画像を取得する。
制御部10は、レーザ加工装置1の各部の動作を制御する。制御部10は、処理部101と、記憶部102と、インターフェース部103と、を有している。処理部101は、プロセッサ、メモリ、ストレージ及び通信デバイス等を含むコンピュータ装置として構成されている。処理部101では、プロセッサが、メモリ等に読み込まれたソフトウェア(プログラム)を実行し、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込み、並びに、通信デバイスによる通信を制御する。記憶部102は、例えばハードディスク等であり、各種データを記憶する。インターフェース部103は、オペレータに各種データを表示したり、オペレータから各種データの入力を受け付けたりする。本実施形態では、インターフェース部103は、GUI(Graphical User Interface)を構成している。
以上のように構成されたレーザ加工装置1では、ウエハ11の内部にレーザ光Lが集光されると、レーザ光Lの集光点Cに対応する部分においてレーザ光Lが吸収され、ウエハ11の内部に改質領域12が形成される。改質領域12は、密度、屈折率、機械的強度、その他の物理的特性が周囲の非改質領域とは異なる領域である。改質領域12としては、例えば、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域等がある。改質領域12は、改質領域12からレーザ光Lの入射側及びその反対側に亀裂が延び易いという特性を有している。このような改質領域12の特性は、例えば、ウエハ11の切断に利用される。
一例として、ウエハ11を切断するためのライン15に沿って、ウエハ11の内部に改質領域12を形成する場合におけるレーザ加工装置1の動作について説明する。
まず、レーザ加工装置1は、ウエハ11に設定されたライン15がX方向に平行となるように、Z方向に平行な軸線を中心線として支持部2を回転させる。続いて、レーザ加工装置1は、Z方向から見た場合にレーザ光Lの集光点Cがライン15上に位置するように、X方向及びY方向のそれぞれの方向に沿って支持部2を移動させる。
続いて、レーザ加工装置1は、可視撮像部8によって取得された画像(例えば、ウエハ11の表面11aの像)に基づいて、レーザ光Lの集光点Cが表面11a上に位置するように、Z方向に沿って筐体H(すなわち、集光部6)を移動させる。続いて、レーザ加工装置1は、その位置を基準として、レーザ光Lの集光点Cが表面11aから所定深さに位置するように、Z方向に沿って筐体H(すなわち、集光部6)を移動させる。
続いて、レーザ加工装置1は、光源3からレーザ光Lを出射させると共に、レーザ光Lの集光点Cがライン15に沿って相対的に移動するように、X方向に沿って支持部2を移動させる。このとき、レーザ加工装置1は、一対の測距センサS1,S2のうち前側(ウエハ11に対するレーザ光Lの相対的移動方向における前側)に位置する測距センサによって取得された表面11aの変位データに基づいて、レーザ光Lの集光点Cが表面11aから所定深さに位置するように、集光部6の駆動機構62を動作させる。
以上により、ライン15に沿って且つウエハ11の表面11aから一定深さに、一列の改質領域12が形成される。パルス発振方式によって光源3からレーザ光Lが出射されると、複数の改質スポット12sがX方向に沿って一列に並ぶように形成される。一つの改質スポット12sは、1パルスのレーザ光Lの照射によって形成される。一列の改質領域12は、一列に並んだ複数の改質スポット12sの集合である。隣り合う改質スポット12sは、レーザ光Lのパルスピッチ(ウエハ11に対する集光点Cの相対的な移動速度をレーザ光Lの繰り返し周波数で除した値)によって、互いに繋がる場合も、互いに離れる場合もある。
[光軸プロファイルの取得]
以下では、レーザ加工装置1において実行される光軸プロファイルの取得処理について説明する。光軸プロファイルとは、集光部6が表面11aに対してZ方向に相対的に移動すると共にレーザ光が出射されている状態において、可視撮像部8によってウエハ11の裏面11bにおいて反射された光が検出されて連続的に取得された複数の撮像画像を合成することにより取得されるデータである。具体的には、光軸プロファイルは、上記複数の撮像画像を合成することにより取得される、Z方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である。光軸プロファイルによれば、光軸方向に沿ったレーザ光の照射状況(例えばウエハ11における集光点の位置や強度)が特定される。これにより、例えば、レーザ加工装置1における何らかの異常の発生有無や、空間光変調器5に設定される変調パターンの調整の要否等を判断することができる(詳細は後述)。
図3(a)はZ方向に沿った連続的な撮像を説明する図である。図3(a)においては、左から、断面Aの撮像、断面Bの撮像、断面Cの撮像、及び断面Dの撮像が示されている。図3(a)に示される例では、図中の左から右に向かって、集光部6が、ウエハ11に徐々に近づくようにZ方向に相対的に移動している。図3(a)に示されるように、集光部6の位置がΔZだけ動くと、ウエハ11の裏面11bにおいて反射し可視撮像部8に撮像されるレーザ光の経路は、往路・復路を合わせてΔZ×2だけ変化することとなる。集光部6は、例えば移動部7によって、可視撮像部8と共に移動させられる。すなわち、レーザ光の集光点と可視撮像部8の観察面(カメラ結像面)とが共に移動する。なお、集光部6の集光レンズユニット61等は、駆動機構62によって移動させられてもよい。
この場合、制御部10は、集光部6がZ方向においてウエハ11の表面11aに対して相対的に移動するように移動部7を制御する第1処理と、第1処理が実行されている状態において連続的にレーザ光が出射されるように光源3を制御する第2処理と、を実行する。制御部10は、第2処理において、ウエハ11の加工時における出力よりも低い出力のレーザ光が出射されるように、光源3を制御する。更に、制御部10は、第2処理が実行されている状態においてウエハ11の裏面11bにおいて反射された光が検出されて連続的に複数の撮像画像が取得されるように、可視撮像部8を制御する第3処理を実行する。更に、制御部10は、第3処理において連続的に取得された複数の撮像画像を合成することにより、Z方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルを取得する第4処理を実行する。
図3(b)は撮像画像を合成することにより取得される光軸プロファイルを示す図である。図3(a)の下段には、断面A、断面B、断面C、断面Dのそれぞれの撮像画像が示されている。連続的に取得される各撮像画像が合成されることにより、図3(b)に示されるように、レーザ光の照射状況(例えば集光点Cの位置や強度)の特定が可能な光軸プロファイルが取得される。
図4(a)は2次元データで示された光軸プロファイルを示す断面図であり、図4(b)は3次元データで示された光軸プロファイルを示す図である。光軸プロファイルは、例えば、複数の2次元の撮像画像が合成されることにより取得される3次元データ(図4(b)参照)であってもよい。図4(b)に示されるように、3次元データにおいては、レーザ光の強度に応じて色分けされていてもよい。或いは、光軸プロファイルは、取得された3次元データから生成される2次元データ(図4(a)参照)であってもよい。図4(a)の右図に示されるように、2次元データに並べて、各領域におけるレーザ光の強度を示すグラフが表示されてもよい。
図5は、レーザ加工装置1によって実施される光軸プロファイル取得処理を示すフローチャートである。光軸プロファイル取得処理では、最初に、支持部2によってウエハ11に貼り付けられるフィルムが吸着される(ステップS1)。
つづいて、制御部10の制御に応じて移動部7が集光部6を移動させることにより、集光部6の対物レンズの直下にウエハ11が移動する(ステップS2)。この状態で、レチクルピント位置にZ方向の高さが設定されるように、制御部10の制御に応じて移動部7が移動する(ステップS3)。さらに、ウエハ11の厚さ分だけZ方向の高さが下がるように、制御部10の制御に応じて移動部7が移動する(ステップS4)。
つづいて、制御部10から空間光変調器5に対して、変調パターンを示す信号が入力される。具体的には、空間光変調器5において、例えば、歪補正パターンとウエハ厚さの2倍の球面収差となる変調パターンが表示される(ステップS5)。
つづいて、レーザ加工装置1における光源3以外の光源を全てOFFし、制御部10によって、レーザ光が出射されるように光源3が制御される(ステップS6)。レーザ光が確実に確認されるように、制御部10によってレーザ光の出力等の各種設定が行われる。
つづいて、ウエハ11の表面においてアブレーションが発生しているか否かが判定される(ステップS8)。アブレーションが発生している場合には、レーザ出力調整又はアッテネータ出力調整等でアブレーションが発生しない状態とされる(ステップS9)。そして、レーザ加工装置1における光源3以外の光源がONされて(ステップS10)、アブレーションを起こしていない位置且つウエハ11の上方に集光部6の対物レンズがあることが確認され(ステップS11)、再度ステップS3の処理から実施される。
一方で、ステップS8においてアブレーションが発生していないと判定された場合には、レーザ光が最集光する位置にZ方向の微調整が行われ(ステップS12)、レーザ光を確認する可視撮像部8等の設定値が最適状態にされる(ステップS13)。
そして、制御部10の制御に応じて、集光部6の対物レンズ用のアクチュエータである駆動機構62又はZ軸方向の移動に係る移動部7が移動しながら、可視撮像部8によって連続的に撮像される(ステップS14)。最後に、制御部10によって複数の撮像画像が合成されることにより、集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS15)。
以上が、光軸プロファイル取得処理の一例である。以下では、上述した第4処理において取得された光軸プロファイルを用いて行う処理として、複屈折材料の集光点調整、レーザ加工装置1のエラー状態特定、及び、球面収差調整の各処理を順に説明する。
[複屈折材料の集光点調整]
図6(a)は、複屈折材料を含んで構成されたウエハ11についての光軸プロファイルを示す図である。複屈折材料にレーザ光が入射すると、シリコンやガラスとは異なり、偏光による屈折率の違いにより、常光線による集光点C1、及び、異常光線による集光点C2の2つの集光点が発生することとなる。例えば、レーザ光の照射によってダイシングを行う場合には、ダイシング方向(Z方向)において上下に集光点が分岐しても大きな問題とはならない。一方で、スライス方向においてスライシングをする場合には、集光点が分岐している影響を受けて、加工精度が悪化するおそれがある。また、図6(b)に示されるように、ウエハ11が薄くなるにつれて、抜け光によるデバイスのダメージ対策が必要になってきている。例えば、図6(b)の左図に示されるように、下側の集光点(ここでは、異常光線による集光点C2)が裏面11bのデバイス(例えば電極200)から十分に離間している場合には、抜け光による電極200へのダメージが問題とならない。一方で、図6(b)の右図に示されるように、下側の集光点(ここでは、異常光線による集光点C2)が裏面11bのデバイス(例えば電極200)に近い場合には、抜け光によって電極200がダメージを受けることが問題となる。以上のように、複屈折材料にレーザ光を入射させる場合には、加工精度悪化及びデバイスのダメージを抑制するために、何らかの対策が必要になっている。
なお、図7(a)及び図7(b)に示されるように、複屈折材料にレーザ光が入射した際に常光線による集光点C1が、異常光線による集光点C2よりも上方に分岐されるか(図7(a)参照)、反対に、異常光線による集光点C2よりも下方に分岐されるか(図7(b)参照)は、複屈折材料の種類による。具体的には、GaN又は水晶等の正の複屈折材料については、図7(a)に示されるように、常光線による集光点C1が異常光線による集光点C2よりも上方に分岐される。一方で、方解石又はサファイヤ等の負の複屈折材料については、図7(b)に示されるように、常光線による集光点C1が異常光線による集光点C2よりも下方に分岐される。
制御部10は、上述した第4処理において取得された光軸プロファイルに基づき、空間光変調器5の変調パターンを調整する第5処理を更に実行するように構成されている。制御部10は、第5処理において、光軸プロファイルに基づき、常光線に係る集光点C1と異常光線に係る集光点C2とを特定し、特定した2つの集光点のうち一方の集光点における光の強度が大きくなり、他方の集光点における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整する。
図8(a)は複屈折材料を含んで構成されたウエハ11の光軸プロファイルを示す図であり、図8(b)は図8(a)に示される光軸プロファイルを考慮して変調パターンが調整された場合の光軸プロファイルを示す図である。図8(a)に示される例では、制御部10は、光軸プロファイルから、上下に分岐された常光線による集光点C1及び異常光線による集光点C2を特定する。そして、制御部10は、当該光軸プロファイルを確認して、図8(b)に示されるように、異常光線による集光点C2における光の強度が大きくなり、常光線による集光点C1における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整する。これにより、光の強度を小さくした集光点C1の影響を極力小さくし、上下に集光点が分岐することによる弊害を抑制することができる。
ここで、常光線による集光点C1及び異常光線による集光点C2のいずれの強度を大きくするか(いずれの集光点を利用するか)については、ウエハ11が正の複屈折材料(図7(a)参照)により構成されているか、又は、負の複屈折材料(図7(b)参照)により構成されているか、によって異なっていてもよい。
例えば、正の複屈折材料(図7(a)参照)を用いる場合について説明する。図9(a)は対策をしていない(2つの集光点の強度比を変えていない)場合の集光点のイメージであり、図9(b)は表面側集光点の強度を大きくした場合の集光点のイメージであり、図9(c)は裏面側集光点の強度を大きくした場合の集光点のイメージである。いま、正の複屈折材料を用いているため、表面側集光点とは常光線による集光点C1である。また、裏面側集光点とは異常光線による集光点C2である。
図9(a)に示されるように、2つの集光点C1,C2の強度比を変えていない場合には、より裏面11bに近い異常光線による集光点C2に係る抜け光によって裏面11bに設けられたデバイス(例えば電極200)がダメージを受けることが考えられる。これに対して、図9(b)に示されるように、常光線による集光点C1の強度を大きくし、異常光線による集光点C2の強度を小さくした場合には、より裏面11bに近い異常光線による集光点C2の強度が小さくなるため、図9(a)に示される例よりはデバイス(例えば電極200)がダメージを受けにくくなるものの、集光点C2の影響が残るためデバイス(例えば電極200)のダメージを十分に軽減することができない。ここまでは、常光線による集光点C1を加工狙い高さに設定している例である(図9(a)及び図9(b)参照)。
一方で、図9(c)に示されるように、異常光線による集光点C2を加工狙い高さに設定すると共に、異常光線による集光点C2の強度を大きくし、常光線による集光点C1の強度を小さくした場合には、図9(b)に示される例と比較して、裏面11bから集光点C2までの距離が離れることとなる。この場合、広がった抜け光がデバイス(例えば電極200)にあたることとなるので、デバイス(例えば電極200)のダメージを十分に軽減することができる。なお、異常光線による集光点C2を加工狙い高さに設定するため、異常光線による集光点C2に係るレーザ光によって、適切にレーザ加工を実施することができる。以上のように、正の複屈折材料を用いる場合においては、制御部10は、上記第5処理において、2つの集光点のうち裏面11bに近い側の集光点(異常光線による集光点C2)の光の強度が大きくなり、裏面11bに遠い側の集光点(常光線による集光点C1)における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整してもよい。
制御部10は、上記第5処理において、レーザ光における一部の偏光成分を遮断するスリットパターンにより変調パターンを調整してもよい。このようなスリットパターンは、空間光変調器5の液晶層56に表示される変調パターンの一部として設定される。空間光変調器5では、液晶層56に表示される変調パターンが適宜設定されることにより、レーザ光Lが変調(例えば、レーザ光Lの強度、振幅、位相、偏光等が変調)可能となる。変調パターンとは、変調を付与するホログラムパターンであり、スリットパターンを含んでいる。
図10(a)はスリットパターン無しの場合の強度比を示す図であり、図10(b)はスリットAを設けた場合の強度比を示す図であり、図11(a)はスリットBを設けた場合の強度比を示す図であり、図11(b)はスリットCを設けた場合の強度比を示す図である。図10(a)~図11(b)のそれぞれにおいて、上段には空間光変調器5の液晶層56に表示される変調パターン(スリットパターンを含む)が示されており、下段には光軸プロファイルの2次元データが示されている。
図10(b)、図11(a)、及び図11(b)に示されるスリットパターンは、それぞれ扇形のスリットが設けられている。以下では、複屈折材料に関して集光点を一点に近づけるための考え方と、扇形のスリットを用いる理由について、説明する。
通常、複屈折材料を含むウエハにレーザ光を集光させた場合、レーザ光におけるP偏光成分とS偏光成分とで互いに屈折率が異なる。該レーザ光は常光線と異常光線とに分けられるが、異常光線はスネルの法則に従わずに常光線とは異なる屈折角で光が伝搬する。このため、ウエハの深さ方向において、互いに異なる位置にP偏光成分及びS偏光成分が集光する(集光点が二点となる)。
ラジアル偏光(放射状偏光)はP偏光でウエハに入射する。また、アジマス偏光(方位状偏光)はS偏光でウエハに入射する。このため、直線偏光がラジアル偏光又はアジマス偏光の一方に変換されることにより、レーザ光の偏光成分をP偏光又はS偏光のいずれか一方に統一することができ、集光点を適切に一点に近づけることができる。
なお、直線偏光から完全にラジアル偏光又はアジマス偏光の一方だけを取り出すことはできない。ただし、上述したようなスリットをかけることにより、どちらか一方の強度比を高めることができる。特に、図10(b)、図11(a)、及び図11(b)に記載したような、光軸の中心を境にした扇形のスリットを用いることにより、効果的に、ラジアル偏光又はアジマス偏光の一方の偏光を利用することができる。例えば、直線偏光からラジアル偏光成分のみを活用して加工したい場合を考える。直線型のスリットを用いる場合、スリットを狭めないとアジマス偏光成分が残ってしまうが、スリットを狭めると有効なパターン面積が狭くなってしまう。この点、扇形のスリットでは、有効なパターン面積を確保したまま、ラジアル成分が強い部分を用いた加工を行うことができる。
図10(b)に示される扇形のスリットAが設けられたスリットパターンSP2を含む変調パターンMP2と、図11(a)に示される扇形のスリットBが設けられたスリットパターンSP3を含む変調パターンMP3と、図11(b)に示される扇形のスリットCが設けられたスリットパターンSP4を含む変調パターンMP4とを比較すると、スリットパターンSP2の面積よりもスリットパターンSP3の面積が大きく、該スリットパターンSP3の面積よりもスリットパターンSP4の面積が大きい。この場合、異常光線による集光点C2及び常光線による集光点C1の強度差は、スリットパターン無し(図10(a))が最も小さくなり、スリットパターンSP2を含む変調パターンMP2(図10(b))が次に小さくなり、スリットパターンSP3を含む変調パターンMP3(図11(a))が次に小さくなり、スリットパターンSP4を含む変調パターンMP4(図11(b))が最も大きくなる。
上述したように、スリットパターン面積を広げるほど2つの集光点の強度差が大きくなるが、有効なパターン面積が狭まるためレーザ光の出力を上げる必要がある。また、分岐等の他のパターンと合成した際の影響が出やすくなる。例えば、図11(b)に示される変調パターンMP4では、スリットパターンSP4によりレーザ光をカットしすぎてしまい、非点収差が発生する等、集光性に悪影響が出てしまっている。
図12は、変調パターン調整処理のフローチャートである。変調パターン調整処理では、最初に、集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS101)。
つづいて、常光線による集光点C1から異常光線による集光点C2までの距離が測定される(ステップS102)。当該距離は、常光線の屈折率で加工条件を作成していると仮定した場合、レーザ加工において異常光線を用いる場合に、異常光線による集光点C2を加工狙い高さに設定する際に必要になる情報である。
つづいて、レーザ加工において異常光線を用いるか否かが判定される(ステップS103)。ステップS103において異常光線を用いると判定された場合には、異常光線による集光点C2の強度が大きくなるように変調パターンの調整が行われる(ステップS104)。
そして、変調パターンの調整後において、再度集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS105)。そして、異常光線による集光点C2及び常光線による集光点C1の強度が比較され(ステップS106)、正常範囲内であるか否かが判定される(ステップS107)。正常範囲内でない場合には、再度ステップS104の処理が実施される。正常範囲内である場合には、ステップS102において取得された距離が加工レシピに反映され、異常光線による集光点C2が加工狙い高さに設定される(ステップS108)。
一方で、ステップS103において異常光線を用いない(常光線を用いる)と判定された場合には、常光線による集光点C1の強度が大きくなるように変調パターンの調整が行われる(ステップS109)。
そして、変調パターンの調整後において、再度集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS110)。そして、常光線による集光点C1及び異常光線による集光点C2の強度が比較され(ステップS111)、正常範囲内であるか否かが判定される(ステップS112)。正常範囲内でない場合には、再度ステップS109の処理が実施され、正常範囲内である場合には処理が終了する。
[レーザ加工装置のエラー状態特定]
制御部10は、第4処理において取得された光軸プロファイルと、比較用のプロファイル画像である比較データとを比較し、比較したデータ間の差分が所定範囲内である場合に光軸プロファイルが正常であると判定し、該差分が所定範囲外である場合に光軸プロファイルが異常であると判定し、判定結果を出力する第6処理を更に実行してもよい。ここでの光軸プロファイルが異常であるとは、レーザ加工装置1が何らかのエラー状態にあることを意味している。
制御部10は、例えば過去に取得された光軸プロファイルを、比較用のプロファイル画像としてもよい。或いは、制御部10は、例えばシミュレーションを基に作成されたデータを、比較用のプロファイル画像としてもよい。
制御部10は、光軸プロファイルにおいて集光点が確認されない場合には、重度のエラーと判定し、該判定結果を出力する。重度のエラーとは、例えばレーザ加工装置の異常や測定ミス(ウエハ誤り)等である。また、制御部10は、集光状態が理想的な状態と異なる場合において、レーザ光の調整が正しい場合には空間光変調器5の異常(例えば球面収差、歪補正の誤り等)であると判定し、レーザ光の調整が正しくない場合にはレーザ光の再調整を実施する。
図13は、レーザ加工装置1のエラー状態特定処理のフローチャートである。エラー状態特定処理では、最初に、集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS201)。
つづいて、取得された光軸プロファイルと、比較用のプロファイル画像(例えば過去に取得された光軸プロファイル)である比較データとが比較され(ステップS202)、比較したデータ間の差分が所定の正常範囲内であるか否かが判定される(ステップS203)。データ間の差分とは、例えば集光点の位置、強度等の差分である。ステップS203において正常であると判定された場合には、制御部10によって正常である旨が表示される(ステップS204)。
ステップS203において正常でないと判定された場合には、制御部10によってエラーである旨が表示される(ステップS205)。そして、制御部10によってエラー内容が確認され、集光点が存在しないか否かが判定される(ステップS206)。ステップS206において集光点が存在しないと判定された場合には、重度のエラーであると判定される(ステップS207)。重度のエラーとは、例えばレーザ加工装置の異常や測定ミス(ウエハ誤り等)である。
ステップS206において集光点が存在すると判定された場合には、制御部10によって、レーザ光の調整が正しいか否かが判定される(ステップS208)。レーザ光の調整が正しい場合には、空間光変調器5の異常(例えば球面収差、歪補正の誤り等)であると判定され(ステップS209)、レーザ光の調整が正しくない場合にはレーザ光の再調整が実施される(ステップS210)。
[球面収差調整]
制御部10は、変調パターンにより定まる球面収差の条件を変えながら、それぞれの条件下で、上述した第1処理、第2処理、第3処理、及び第4処理を実施し、第5処理において、各条件下で取得された光軸プロファイルが示すレーザ光の輝度値の最大値を互いに比較し、輝度値が最大である光軸プロファイルに係る球面収差の条件となるように、変調パターンを調整してもよい。
例えば屈折率が未知のウエハ11については、適切でない変調パターンで加工されてしまう場合がある。この点、図14(a)に示されるように、光軸プロファイルが取得されることによって、集光点の位置がずれていることが特定され、屈折率が未知のウエハ11に対して適切でない変調パターンが設定されていることに気づくことができる。そして、制御部10は、図14(a)に示されるような光軸プロファイルを確認しながら、図14(b)に示されるような光軸プロファイルが取得されるように、球面収差補正を行うことにより、屈折率が未知のウエハ11のレーザ加工に関して、適切な変調パターンを設定することができる。
制御部10は、例えば基準とする球面収差に対して、補正値を変更しながら補正を行い、集光点における輝度値が最大となる補正値を選択し、該補正値による補正後の球面収差の条件となるように変調パターンを調整する。基準とする球面収差は、例えば、ウエハ11の厚さの2倍の球面収差とされてもよい。
図15に示される例では、基準となる球面収差に対して、補正値Aにより補正を行った場合、補正値Bにより補正を行った場合、補正値Cにより補正を行った場合、補正値Dにより補正を行った場合、のそれぞれについて、最大輝度値が示されている。そして、これらの結果を考慮して、最適な補正値により補正を行って、最大輝度:248の球面収差の条件となるように変調パターンが調整されている。
図16は、球面収差調整処理を示すフローチャートである。球面収差調整処理では、最初に、最適と思われる、ウエハ厚さの2倍の球面収差が基準に決定される(ステップS301)。そして、制御部10によって、基準とした球面収差の条件となるように変調パターンが設定され(ステップS302)、集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS303)。
また、制御部10によって、基準とした球面収差より任意の値だけ小さい球面収差の条件となるように変調パターンが設定され(ステップS304)、集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS305)。また、制御部10によって、基準とした球面収差より任意の値だけ大きい球面収差の条件となるように変調パターンが設定され(ステップS306)、集光点付近の光軸プロファイルが取得される(ステップS307)。
つづいて、制御部10によって、取得された光軸プロファイルに基づき、基準とした球面収差より任意の値小さい球面収差に設定したほうが、最大輝度値が大きいか否かが判定される(ステップS308)。ステップS308において任意の値小さい球面収差に設定したほうが、最大輝度値が大きいと判定された場合、制御部10によって、任意の値小さい球面収差が新たな基準に設定されて(ステップS309)、再度ステップS302以降の処理が実施される。
一方で、ステップS308において、任意の値小さい球面収差に設定したほうが、最大輝度値が大きくない(すなわち基準に設定したほうが、最大輝度値が大きい)と判定された場合、制御部10によって、基準とした球面収差が、最大輝度値が最大であるか否かが判定される(ステップS310)。ステップS310において、基準とした球面収差が、最大輝度値が最大であると判定された場合、制御部10によって、基準とした球面収差の1/2の値が加工レシピに反映される(ステップS311)。
一方で、ステップS310において、基準とした球面収差が、最大輝度値が最大でない(すなわち、任意の値大きい球面収差が、最大輝度値が最大である)と判定された場合、制御部10によって、任意の値大きい球面収差が新たな基準に設定されて(ステップS312)、再度ステップS302以降の処理が実施される。
[作用効果]
レーザ加工装置1は、表面11a及び裏面11bを有するウエハ11を支持する支持部2と、レーザ光を出射する光源3と、光源3から出射されたレーザ光を変調する空間光変調器5と、空間光変調器5によって変調されたレーザ光をウエハ11の表面11a側からウエハ11に集光する集光部6と、集光部6を、表面11aに対して垂直な方向である光軸方向に、表面11aに対して相対的に移動させる移動部7と、集光部6を介してウエハ11を伝搬した光を検出することにより撮像画像を取得する可視撮像部8と、集光部6が光軸方向において表面11aに対して相対的に移動するように移動部7を制御する第1処理と、第1処理が実行されている状態において連続的にレーザ光が出射されるように光源3を制御する第2処理と、第2処理が実行されている状態においてウエハ11の裏面11bにおいて反射された光が検出されて連続的に複数の撮像画像が取得されるように可視撮像部8を制御する第3処理と、第3処理において連続的に取得された複数の撮像画像を合成することにより、光軸方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルを取得する第4処理と、を実行するように構成された制御部10と、を備える。
本実施形態に係るレーザ加工装置1では、集光部6を光軸方向に移動させながらレーザ光が照射され、ウエハ11の裏面11bにおいて反射された光が検出されて連続的に複数の撮像画像が取得される。そして、本レーザ加工装置1では、複数の撮像画像が合成されることにより、光軸方向に沿ったレーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルが取得される。このように、レーザ光の集光点を光軸方向(ウエハ11の深さ方向)に移動させながら、ウエハ11の裏面11bからの反射光が検出されて、上記光軸プロファイルが取得されることにより、光軸方向に沿ったレーザ光の照射状況(例えば集光点の位置や強度)の把握が可能になる。これにより、例えば、レーザ加工装置1における何らかの異常の発生有無や、空間光変調器5に設定される変調パターンの調整の要否等を判断することができ、より適切に所望のレーザ加工を実施することができる。
制御部10は、第4処理において取得された光軸プロファイルに基づき、空間光変調器5の変調パターンを調整する第5処理を更に実行してもよい。このような構成によれば、光軸プロファイルを考慮して変調パターンを最適化することができ、より適切に所望のレーザ加工を実施することができる。
ウエハ11は、複屈折材料を含んで構成されており、制御部10は、第5処理において、光軸プロファイルに基づき、常光線に係る集光点と異常光線に係る集光点とを特定し、特定した2つの集光点のうち一方の集光点における光の強度が大きくなり、他方の集光点における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整してもよい。複屈折材料を含んで構成されたウエハ11にレーザ光を集光させる場合、入射光におけるP偏光成分とS偏光成分とで屈折率が互いに異なる。また、それらの入射光は常光線と異常光線とに分けられるが、その中の異常光線はスネルの法則に従わず常光線とは異なる屈折角で光が伝搬する。これらのことから、ウエハ11の深さ方向において、互いに異なる位置にP偏光成分及びS偏光成分が集光する。このように集光点が深さ方向に分岐することによってウエハ11において意図せず複数の集光点が形成されることとなり、適切でない亀裂を生じさせてしまう。このことで、例えばスライシング等の加工の品質が低下するおそれがある。この点、光軸プロファイルに基づき、一方の集光点の強度が大きくなり、且つ、他方の集光点の強度が小さくなるように変調パターンが調整されることにより、上述した複数の集光点が形成されることによる加工品質の低下を抑制することができる。
制御部10は、第5処理において、2つの集光点のうち、裏面11bに近い側の集光点における光の強度が大きくなり、裏面11bに遠い側の集光点における光の強度が小さくなるように、変調パターンを調整してもよい。変調パターンの調整によって、2つの集光点の強度比を変えることはできるが、いずれかの集光点を完全になくすことはできない。例えば、裏面11bに遠い側の集光点を主に利用し、裏面11bに近い側の集光点を極力小さくする場合には、裏面11bに遠い側の集光点が加工狙い高さに設定され、微弱ではあるものの裏面11bに近い側の集光点が存在することとなる。裏面11bには、デバイスが設けられているため、裏面11bに近い側の集光点の影響によってデバイスにダメージが生じてしまうことが考えられる。この点、裏面11bに近い側の集光点を主に利用する場合には、裏面11bに近い側の集光点が加工狙い高さに設定され、それよりも裏面11b側に集光点が存在しないこととなるので、裏面11bのデバイスのダメージを軽減することができる。
制御部は、第5処理において、レーザ光における一部の偏光成分を遮断するスリットパターンにより変調パターンを調整してもよい。このような構成によれば、容易に、いずれかの集光点の強度を弱めることができる。
制御部10は、変調パターンにより定まる球面収差の条件を変えながら、それぞれの条件下で、第1処理、第2処理、第3処理、及び第4処理を実施し、第5処理において、各条件下で取得された光軸プロファイルが示すレーザ光の輝度値の最大値を互いに比較し、輝度値が最大である光軸プロファイルに係る球面収差の条件となるように、変調パターンを調整してもよい。このような構成によれば、例えば屈折率が未知のウエハ11に対しても、適切な球面収差補正を実施することができる。
制御部10は、第4処理において取得された光軸プロファイルと、比較用のプロファイル画像である比較データとを比較し、比較したデータ間の差分が所定範囲内である場合に光軸プロファイルが正常であると判定し、差分が所定範囲外である場合に光軸プロファイルが異常であると判定し、判定結果を出力する第6処理を更に実行してもよい。このような構成によれば、レーザ加工装置が正常である場合のプロファイル画像を比較データとして設定しておくことにより、光軸プロファイルと比較データとの比較に基づき、レーザ加工装置1において何らかの異常が発生しているか否かを容易に判定することができる。そして、判定結果が出力されることによって、該判定結果を考慮してレーザ加工装置1の調整を実施することが可能になる。以上のように、上述した構成によれば、より適切に所望のレーザ加工を実施することができる。
制御部10は、第2処理において、ウエハ11加工時における出力よりも低い出力のレーザ光が出射されるように、光源3を制御してもよい。これにより、実際のレーザ加工を行うことなく、光軸プロファイルを取得することができる。
光軸プロファイルは、複数の2次元の撮像画像が合成されることにより取得される3次元データであってもよい。3次元データとして光軸プロファイルが取得されることによって、光軸方向に沿ったレーザ光の照射状況(例えば集光点の位置や強度)をより詳細に把握することができる。
1…レーザ加工装置、2…支持部、3…光源、5…空間光変調器、6…集光部、7…移動部、8…可視撮像部(撮像部)、10…制御部、11…ウエハ、11a…表面(第1表面)、11b…裏面(第2表面)。

Claims (18)

  1. 第1表面及び第2表面を有するウエハを支持する支持部と、
    レーザ光を出射する光源と、
    前記光源から出射された前記レーザ光を変調する空間光変調器と、
    前記空間光変調器によって変調された前記レーザ光を前記ウエハの前記第1表面側から前記ウエハに集光する集光部と、
    前記集光部を、前記第1表面に対して垂直な方向である光軸方向に、前記第1表面に対して相対的に移動させる移動部と、
    前記集光部を介して前記ウエハを伝搬した光を検出することにより撮像画像を取得する撮像部と、
    前記集光部が前記光軸方向において前記第1表面に対して相対的に移動するように前記移動部を制御する第1処理と、前記第1処理が実行されている状態において連続的に前記レーザ光が出射されるように前記光源を制御する第2処理と、前記第2処理が実行されている状態において前記ウエハの第2表面において反射された光が検出されて連続的に複数の前記撮像画像が取得されるように前記撮像部を制御する第3処理と、前記第3処理において連続的に取得された前記複数の撮像画像を合成することにより、前記光軸方向に沿った前記レーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルを取得する第4処理と、を実行するように構成された制御部と、を備えるレーザ加工装置。
  2. 前記制御部は、前記第4処理において取得された前記光軸プロファイルに基づき、前記空間光変調器の変調パターンを調整する第5処理を更に実行する、請求項1記載のレーザ加工装置。
  3. 前記ウエハは、複屈折材料を含んで構成されており、
    前記制御部は、前記第5処理において、前記光軸プロファイルに基づき、常光線に係る集光点と異常光線に係る集光点とを特定し、特定した2つの集光点のうち一方の集光点における光の強度が大きくなり、他方の集光点における光の強度が小さくなるように、前記変調パターンを調整する、請求項2記載のレーザ加工装置。
  4. 前記制御部は、前記第5処理において、前記2つの集光点のうち、前記第2表面に近い側の集光点における光の強度が大きくなり、前記第2表面に遠い側の集光点における光の強度が小さくなるように、前記変調パターンを調整する、請求項3記載のレーザ加工装置。
  5. 前記制御部は、前記第5処理において、前記レーザ光における一部の偏光成分を遮断するスリットパターンにより前記変調パターンを調整する、請求項2記載のレーザ加工装置。
  6. 前記制御部は、
    前記変調パターンにより定まる球面収差の条件を変えながら、それぞれの条件下で、前記第1処理、前記第2処理、前記第3処理、及び前記第4処理を実施し、
    前記第5処理において、各条件下で取得された前記光軸プロファイルが示す前記レーザ光の輝度値の最大値を互いに比較し、輝度値が最大である前記光軸プロファイルに係る球面収差の条件となるように、前記変調パターンを調整する、請求項2記載のレーザ加工装置。
  7. 前記制御部は、前記第4処理において取得された前記光軸プロファイルと、比較用のプロファイル画像である比較データとを比較し、比較したデータ間の差分が所定範囲内である場合に前記光軸プロファイルが正常であると判定し、前記差分が所定範囲外である場合に前記光軸プロファイルが異常であると判定し、判定結果を出力する第6処理を更に実行する、請求項1~6のいずれか一項記載のレーザ加工装置。
  8. 前記制御部は、前記第2処理において、ウエハ加工時における出力よりも低い出力の前記レーザ光が出射されるように、前記光源を制御する、請求項1~6のいずれか一項記載のレーザ加工装置。
  9. 前記光軸プロファイルは、複数の2次元の前記撮像画像が合成されることにより取得される3次元データである、請求項1~6のいずれか一項記載のレーザ加工装置。
  10. 空間光変調器によって変調されたレーザ光を第1表面及び第2表面を有するウエハの前記第1表面側から前記ウエハに集光する集光部を、前記第1表面に対して垂直な方向である光軸方向に移動させる第1ステップと、
    前記第1ステップが実行されている状態において、連続的にレーザ光を出射する第2ステップと、
    前記第2ステップが実行されている状態において、前記第2表面において反射された光を検出することにより連続的に複数の撮像画像を取得する第3ステップと、
    前記第3ステップにおいて連続的に取得された前記複数の撮像画像を合成することにより、前記光軸方向に沿った前記レーザ光のプロファイル画像である光軸プロファイルを取得する第4ステップと、を含むレーザ加工方法。
  11. 前記第4ステップにおいて取得された前記光軸プロファイルに基づき、前記空間光変調器の変調パターンを調整する第5ステップ、を更に含む、請求項10記載のレーザ加工方法。
  12. 前記ウエハは、複屈折材料を含んで構成されており、
    前記第5ステップでは、前記光軸プロファイルに基づき、常光線に係る集光点と異常光線に係る集光点とを特定し、特定した2つの集光点のうち一方の集光点における光の強度が大きくなり、他方の集光点における光の強度が小さくなるように、前記変調パターンを調整する、請求項11記載のレーザ加工方法。
  13. 前記第5ステップでは、前記2つの集光点のうち、前記第2表面に近い側の集光点における光の強度が大きくなり、前記第2表面に遠い側の集光点における光の強度が小さくなるように、前記変調パターンを調整する、請求項12記載のレーザ加工方法。
  14. 前記第5ステップでは、前記レーザ光における一部の偏光成分を遮断するスリットパターンにより前記変調パターンを調整する、請求項11記載のレーザ加工方法。
  15. 前記変調パターンにより定まる球面収差の条件を変えながら、それぞれの条件下で、前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ、及び前記第4ステップを実施し、
    前記第5ステップでは、各条件下で取得された前記光軸プロファイルが示す前記レーザ光の輝度値の最大値を互いに比較し、輝度値が最大である前記光軸プロファイルに係る球面収差の条件となるように、前記変調パターンを調整する、請求項11記載のレーザ加工方法。
  16. 前記第4ステップにおいて取得された前記光軸プロファイルと、比較用のプロファイル画像である比較データとを比較し、比較したデータ間の差分が所定範囲内である場合に前記光軸プロファイルが正常であると判定し、前記差分が所定範囲外である場合に前記光軸プロファイルが異常であると判定し、判定結果を出力する第6ステップ、を更に含む、請求項10~15のいずれか一項記載のレーザ加工方法。
  17. 前記第2ステップでは、ウエハ加工時における出力よりも低い出力の前記レーザ光を出射する、請求項10~15のいずれか一項記載のレーザ加工方法。
  18. 前記光軸プロファイルは、複数の2次元の前記撮像画像が合成されることにより取得される3次元データである、請求項10~15のいずれか一項記載のレーザ加工方法。
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