JP2024024585A - ジオキサジン系顔料含有着色組成物およびカラーフィルタ - Google Patents

ジオキサジン系顔料含有着色組成物およびカラーフィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】ジオキサジン系顔料の分散性が優れ、コントラスト比が優れる塗膜を形成することができる着色組成物を提供する。【解決手段】着色組成物は、ジオキサジン系顔料、分散剤組成物、バインダー樹脂、および、分散媒体を含有する着色組成物であり、前記分散剤組成物が、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ジオキサジン系顔料を含有する着色組成物、および、前記着色組成物を用いて形成された着色層を備えるカラーフィルタに関する。
従来、液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルタの製造において、基板への着色材の付与方法としては、顔料分散法、染色法、電着法、印刷法等が知られている。これらの中でも、分光特性、耐久性、パターン形状および精度の観点から、顔料分散法が広く使用されている。顔料分散法では、例えば、顔料、分散剤、分散媒体(溶媒)等を混合した着色組成物からなる塗布膜を基板上に形成し、所望のパターン形状のフォトマスクを介して露光し、アルカリ現像が行われる。
近年、カラーフィルタに対して、より高透過、高輝度、高コントラストかつ高色域化が要求されている。そのため、着色組成物中の顔料の高濃度化や、固有の透過吸収スペクトルがバックライトの蛍光体スペクトルと合致する顔料の開発など、種々の検討が行われている。
フタロシアニン系顔料の高輝度化に関して、例えば、特許文献1および2に記載のような、特定の色相を有する新しいハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料が提案されている。これにより、従来のハロゲン化銅フタロシアニン緑色顔料に対する高輝度化が実現された。しかしながら、特許文献1および2に記載されている顔料を用いると顔料分散液の粘度が高くなるため、この顔料分散液を用いた着色樹脂組成を工業的に製造することが困難であった。
そこで、特許文献3では、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有するビニル共重合体と、芳香族ジカルボン酸イミド、酸性基含有芳香族化合物およびフェノール性ヒドロキシ基含有芳香族化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の芳香族化合物と、3級アミン化合物を混合してなる分散剤組成物を用いることを提案している。
特開2004-70342号公報 特開2004-70343号公報 国際公開第2019/208210号
着色組成物には、有機顔料としてジオキサジン系顔料もよく使用されている。ジオキサジン系顔料は、顔料分散性が悪く、このようなジオキサジン系顔料を添加した従来のカラーフィルタは、コントラストが大幅に低下するという問題がある。なお、特許文献3に記載された分散剤組成物を用いても、ジオキサジン系顔料に対しては、顔料分散性およびコントラストは十分なものではなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ジオキサジン系顔料の分散性が優れ、コントラスト比が優れる塗膜を形成することができる着色組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明の着色組成物は、ジオキサジン系顔料、分散剤組成物、バインダー樹脂、および、分散媒体を含有する着色組成物であり、前記分散剤組成物が、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなることを特徴とする。
本発明のジオキサジン系顔料含有着色組成物は、ジオキサジン系顔料の分散性が優れ、かつ、粘度が低い。さらに、本発明の着色組成物を用いて形成される塗膜は、コントラスト比が優れている。
<着色組成物>
本発明の着色組成物は、ジオキサジン系顔料、分散剤組成物、バインダー樹脂、および、分散媒体を含有する。
[着色材]
前記着色組成物は、着色材として、ジオキサジン系顔料を含有する。前記ジオキサジン系顔料は、特に限定されないが、従来、カラーフィルタに使用されるものが採用できる。前記ジオキサジン系顔料は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジオキサジン系顔料としては、式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024024585000001
[式中、X11およびX12は、同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアミノ基を表す。R11~R18は、同一または異なって、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアリール基を表す。R11~R14は、互いに結合して環状構造を形成してもよい。R15~R18は、互いに結合して環状構造を形成してもよい。]
11またはX12で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
11またはX12で表されるアミノ基が有する置換基としては、炭素数1~5のアルキルカルボニル基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基等が挙げられる。
11~R18で表されるアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。前記直鎖状のアルキル基の炭素数は1~20が好ましく、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~5である。前記直鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等が挙げられる。前記分岐鎖状のアルキル基の炭素数は3~20が好ましく、より好ましくは3~10、さらに好ましくは3~5である。前記分岐鎖状のアルキル基としては、イソプロピル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ペンチル基、イソペンチル基、t-ペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。前記環状のアルキル基の炭素数は3~20が好ましく、より好ましくは3~10、さらに好ましくは3~5である。前記環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。R11~R18で表されるアルキル基が有する置換基としては、炭素数6~20のアリール基、アルデヒド基等が挙げられる。
11~R18で表されるアルコキシ基の炭素数は1~20が好ましく、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~5である。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。R11~R18で表されるアルコキシ基が有する置換基としては、炭素数6~20のアリール基等が挙げられる。
11~R18で表されるアリール基の炭素数は6~20が好ましく、より好ましくは6~12、さらに好ましくは6~10である。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。R11~R18で表されるアリール基が有する置換基としては、炭素数1~20のアルキル基等が挙げられる。
11~R18で表されるアミノ基が有する置換基としては、炭素数2~6のアルキルカルボニル基、炭素数7~21のアリールカルボニル基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基、アルデヒド基等が挙げられる。
11~R14またはR15~R18が形成する環状構造は、単環でも、多環でもよく、また芳香環でも非芳香環でもよい。さらに、R11~R14またはR15~R18が形成する環状構造は、環員原子として炭素原子以外を含むヘテロ環であってもよい。
前記ジオキサジン系顔料としては、C.I.Pigment Violet 23、34、35、37等の紫色顔料;C.I.Pigment Blue 80等の青色顔料等が挙げられる。
前記着色組成物は、着色材として、ジオキサジン系顔料以外の着色材を含有してもよい。この場合、着色材100質量%中のジオキサジン系顔料の含有率は、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上である。前記着色材として、ジオキサジン系顔料のみを含有してもよい。
本発明の着色組成物には、ジオキサジン系顔料を他の着色材の補色として含有する態様も含む。この場合、着色材100質量%中のジオキサジン系顔料の含有率は、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上であり、80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下である。
前記他の着色材としては、顔料が好ましく、有機化合物を主成分とする有機顔料が特に好ましい。顔料としては、例えば、赤色顔料、黄色顔料、橙色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料等の各色の顔料が挙げられる。顔料の構造は、モノアゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合ジアゾ系顔料等のアゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、キナクリドン系顔料、インディゴ系顔料、チオインディゴ系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料等の多環系顔料等が挙げられる。着色組成物に含まれる他の着色材は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
着色組成物中の着色材に対する(a)後述の樹脂型分散剤の含有量は、着色材100質量部(着色組成物が後述の顔料誘導体を含む場合は、着色材と顔料誘導体の合計100質量部)に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、100質量部以下が好ましく、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下である。
[分散剤組成物]
前記着色組成物は、分散剤組成物を含有する。前記分散剤組成物は、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなる。
〔(a)樹脂型分散剤〕
前記(a)樹脂型分散剤は、酸価およびアミン価を有していれば特に限定されず、カラーフィルタ用着色組成物に使用されている樹脂型分散剤が使用できる。前記(a)樹脂型分散剤としては、例えば、ポリエステル系樹脂型分散剤、(メタ)アクリル系樹脂型分散剤、ポリウレタン系樹脂型分散剤、ポリアリルアミン系樹脂型分散剤、カルボジイミド樹脂型分散剤等が挙げられる。前記(a)樹脂型分散剤は、1種類のみを配合してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明において、「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。
前記(a)樹脂型分散剤は、酸価およびアミン価を有する。すなわち、前記(a)樹脂型分散剤は、分子中に酸性基、および、塩基性基を有する。
前記酸性基としては、カルボキシ基(-COOH)、スルホン酸基(-SO3H)、リン酸基(-OPO32)、ホスホン酸基(-PO32)、ホスフィン酸基(-PO22)が挙げられる。前記酸性基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。前記(a)樹脂型分散剤は、酸価を有することでアルカリへの溶解性が良好となる。
前記塩基性基としては、原料の入手および合成の容易さからアミノ基であることが好ましい。本明細書においてアミノ基とは、一般的なアミノ基(-NH2)に加え、Hが炭化水素基により置換された2級アミノ基(-NHR1(R1は炭化水素基))、3級アミノ基(-NR12(R1およびR2は炭化水素基、R1およびR2は互いに結合して環状構造を形成してもよい。))、および、含窒素ヘテロ環基(ピリジル基、イミダゾール基)などを包含する。前記(a)樹脂型分散剤は、アミン価を有することで着色材との親和性が良好となり、安定な分散状態を得ることが可能である。
前記(a)樹脂型分散剤のアミン価は、5mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以上、さらに好ましくは40mgKOH/g以上であり、160mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは140mgKOH/g以下、さらに好ましくは120mgKOH/g以下である。アミン価が、5mgKOH/g以上であれば着色組成物の粘度の経時安定性がより向上し、160mgKOH/g以下であれば着色組成物の粘度の増大をより抑制できる。
前記(a)樹脂型分散剤の酸価は、5mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上、さらに好ましくは20mgKOH/g以上であり、100mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下である。酸価が、5mgKOH/g以上であればアルカリに対する溶解性が向上し、アルカリに溶解する速度がより速くなり、100mgKOH/g以下であれば着色組成物の粘度が高くなり過ぎず、着色組成物の塗工性がより良好となる。
前記(a)樹脂型分散剤の重量平均分子量(Mw)は、5000以上が好ましく、より好ましくは6000以上、さらに好ましくは7000以上であり、30000以下が好ましく、より好ましくは20000以下、さらに好ましくは15000以下である。重量平均分子量が上記範囲内にあれば、分散剤として使用した際の分散性能がより良好となる。前記(a)樹脂型分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーショングラフィー(以下「GPC」という)法により測定する。
前記(a)樹脂型分散剤の分子量分布(Mw/Mn)は、2.5以下であることが好ましく、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.6以下である。なお、本発明において、分子量分布(Mw/Mn)とは、(重量平均分子量(Mw))/(数平均分子量(Mn))によって求められるものである。値が小さいほど分子量分布の幅が狭い、分子量のそろった共重合体となり、その値が1.0のとき最も分子量分布の幅が狭い。即ち、分子量分布の下限値は1.0である。分子量分布(Mw/Mn)が、2.5を超えると、分子量の小さいものや、分子量の大きいものが含まれることになる。
前記(a)樹脂型分散剤は、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および塩基性基(好ましくは3級アミノ基)を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有する共重合体が好ましい。
本発明において、「ビニルモノマー」とは分子中にラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合を有するモノマーのことをいう。「ビニルモノマーに由来する構造単位」とは、ビニルモノマーのラジカル重合可能な炭素-炭素二重結合のうち一方の結合が開いて炭素-炭素単結合になった構造単位をいう。「(メタ)アクリレート」は「アクレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。
前記(a)樹脂型分散剤における酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
前記(a)樹脂型分散剤における塩基性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
(酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位)
前記酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を構成する酸性基を有するビニルモノマーとしては、カルボキシ基を有するビニルモノマー、スルホン酸基を有するビニルモノマー、および、リン酸基を有するビニルモノマーよりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらの中でも好ましくは、カルボキシ基を有する(メタ)アクリルモノマー、スルホン酸基を有する(メタ)アクリルモノマー、および、リン酸基を有する(メタ)アクリルモノマーよりなる群から選択される少なくとも1種である。
カルボキシ基を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレアート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のヒドロキシ基を有するビニルモノマー(好ましくはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)に無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物を反応させたモノマー(例えば、コハク酸水素2-アクリロイルオキシエチル、コハク酸水素2-メタクリロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸水素2-(アクリロイルオキシ)エチル、ヘキサヒドロフタル酸水素2-(メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸1-(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸1-(2-メタクリロイルオキシエチル));クロトン酸;マレイン酸;イタコン酸等が挙げられる。
スルホン酸基を有するビニルモノマーとしては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ジスルホン酸エチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スルホン酸エチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
リン酸基を有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2-(ホスホノオキシ)エチル等が挙げられる。
(3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位)
前記3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位としては、式(2)で表される構造単位が好ましい。
式(2)で表される構造単位は、3級アミン構造を有する。共重合体が有する式(2)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし2種以上でもよい。
Figure 2024024585000002
[式(2)において、R21およびR22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を示す。R21およびR22が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。X2は2価の連結基を示す。R23は水素原子またはメチル基を示す。]
前記R21またはR22で表される鎖状の炭化水素基には、直鎖状および分岐鎖状のいずれも含まれる。前記R21またはR22で表される鎖状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、ベンゾイル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。前記R21またはR22で表される環状の炭化水素基が有する置換基としては、鎖状のアルキル基、ハロゲン基、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
前記R21またはR22で表される基としては、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~16のアラルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基がより好ましい。
前記R21またはR22が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば、5~7員環の含窒素複素単環またはこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香族性を有しないものが好ましく、飽和環がより好ましい。具体的には下記式(2-1)、(2-2)、(2-3)で表される構造が挙げられる。
Figure 2024024585000003
[式(2-1)、(2-2)、(2-3)において、R24は、炭素数1~6のアルキル基を示す。lは0~5の整数を表す。mは0~4の整数を表す。nは0~4の整数を表す。*は結合手を表す。lが2~5、mが2~4、nが2~4の場合、複数存在するR24は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
上記式(2)において、2価の連結基X2としては、例えば、炭素数1~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R25-基(アミド基)、-COO-R26-基(エステル基)等が挙げられ、好ましくは-COO-R26-基および/または-CONH-R25-基であり、より好ましくは-COO-R26-基である。なお、アミド基、エステル基の結合方向は特に限定されないが、アミド基の結合態様としてはC-CO-NH-R25-NR2122が好ましく、エステル基の結合態様としては、C-CO-O-R26-NR2122が好ましい。
前記R25は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または、炭素数1~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)であり、好ましくは炭素数1~10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~4のアルキレン基である。具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等を挙げることができる。
前記R26は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または、炭素数1~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)であり、好ましくは炭素数1~10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~4のアルキレン基である。具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等を挙げることができる。
前記式(2)で示される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチルアミノブチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、プロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、プロピルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
(4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位)
前記共重合体は、4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有していてもよい。前記4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位としては、式(3)で表される構造単位が好ましい。式(3)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし2種以上を有していてもよい。なお、4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位には、4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーを重合することで得られる構造単位だけでなく、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の3級アミン構造を4級化した構造単位も含む。
Figure 2024024585000004
[式(3)において、R31、R32およびR33は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい鎖状もしくは環状の炭化水素基を示す。R31、R32およびR33のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。X3は2価の連結基を示す。R34は水素原子またはメチル基を示す。Y-は対イオンを示す。]
前記R31~R33で表される鎖状の炭化水素基には、直鎖状および分岐鎖状のいずれも含まれる。前記R31~R33で表される鎖状の炭化水素基が有する置換基としては、ハロゲン基、アルコキシ基、ベンゾイル基(-COC65)、ヒドロキシ基等が挙げられる。前記R31~R33で表される環状の炭化水素基が有する置換基としては、鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基等が挙げられる。
前記R31~R33で表される基としては、置換基を有していてもよい炭素数1~4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数7~16のアラルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基(-CH265)がより好ましい。
前記R31~R33のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば、5~7員環の含窒素複素単環またはこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香族性を有しないものが好ましく、飽和環がより好ましい。具体的には下記式(3-1)、(3-2)、(3-3)で表される構造が挙げられる。
Figure 2024024585000005
[式(3-1)、(3-2)、(3-3)において、R35は、R31~R33のいずれかである。R36は、炭素数1~6のアルキル基を示す。lは0~5の整数を表す。mは0~4の整数を表す。nは0~4の整数を表す。*は結合手を表す。lが2~5、mが2~4、nが2~4の場合、複数存在するR36は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
式(3)において、2価の連結基X3としては、例えば、炭素数1~10のアルキレン基、アリーレン基、-CONH-R37-基(アミド基)、-COO-R38-基(エステル基)等が挙げられ、好ましくは-CONH-R37-基および/または-COO-R38-基であり、より好ましくは-COO-R38-基である。なお、アミド基、エステル基の結合方向は特に限定されないが、アミド基の結合態様としてはC-CO-NH-R37-N+313233が好ましく、エステル基の結合態様としてはC-CO-O-R38-N+313233が好ましい。
前記R37は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または、炭素数1~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)であり、好ましくは炭素数1~10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~4のアルキレン基である。具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等を挙げることができる。
前記R38は、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または、炭素数1~10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基)であり、好ましくは炭素数1~10のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1~4のアルキレン基である。具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基等を挙げることができる。
-としては、ハロゲンアニオン、カルボキシレートアニオン、ニトロキシドアニオン、スルフェートアニオン、スルホネートアニオン、ホスフェートアニオン等が挙げられる。
前記ハロゲンアニオンとしては、フルオロアニオン、クロロアニオン、ブロモアニオン、ヨードアニオンが挙げられる。
前記カルボキシレートアニオンとしては、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン等のアルキルカルボキシレートアニオン;安息香酸アニオン等の芳香族カルボキシレートアニオンが挙げられる。
前記スルフェートアニオンとしては、メチル硫酸アニオン、エチル硫酸アニオン等アルキルスルフェートアニオン;フェニル硫酸アニオン、ベンジル硫酸アニオン等の芳香族硫酸アニオンが挙げられる。
前記スルホネートアニオンとしては、メタンスルホン酸アニオン、エタンスルホン酸アニオン等のアルキルスルホネートアニオン;ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン等の芳香族スルホネートアニオンが挙げられる。
前記ホスフェートアニオンとしては、メチルホスフェートアニオン等のアルキルホスフェートアニオン;フェニルホスフェートアニオン等の芳香族ホスフェートアニオンが挙げられる。
前記式(3)で示される構造単位を形成するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルアミドプロピルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムヨージド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジメチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルベンジルジエチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシブチルベンジルジエチルアンモニウムフロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム=メチルスルファート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム=メチルスルファート、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウム=メチルスルファート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウム=エチルスルファート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルエチルアンモニウム=エチルスルファート、(メタ)アクリロイルオキシブチルジメチルエチルアンモニウム=エチルスルファート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム=トルエン-4-スルホナート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウム=トルエン-4-スルホナート、(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメチルアンモニウム=トルエン-4-スルホナート、(メタ)アクリロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウム=メチルスルファート、(メタ)アクリロイルアミドプロピルエチルジメチルアンモニウム=エチルスルファート等が挙げられる。
前記(a)樹脂型分散剤が4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有する場合、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の合計含有率は、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
(他の構造単位)
前記共重合体は、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。
前記他の構造単位は、酸性基を有するビニルモノマー、3級アミノ基を有するビニルモノマーおよび4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーと共重合し得るビニルモノマーにより形成されるものであれば特に制限はない。前記他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記他の構造単位を形成し得るビニルモノマーの具体例としては、α-オレフィン、芳香族ビニルモノマー、ヘテロ環を含有するビニルモノマー、ビニルアミド、カルボン酸ビニル、ジエン類、(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。これらのビニルモノマーはヒドロキシ基、エポキシ基を有していてもよい。
α-オレフィンとしては、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン等が挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メトキシスチレン、2-ヒドロキシメチルスチレン、1-ビニルナフタレン等が挙げられる。
ヘテロ環を含有するビニルモノマーとしては、2-ビニルチオフェン、N-メチル-2-ビニルピロール、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン等が挙げられる。
ビニルアミドとしては、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、1-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム等が挙げられる。
カルボン酸ビニルとしては、酢酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル等が挙げられる。
ジエン類としては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン等が挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、鎖状アルキル基(直鎖アルキル基または分岐鎖状アルキル基)を有する(メタ)アクリレート;環状アルキル基(単環構造)を有する(メタ)アクリレート;芳香環基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド;ポリアルキレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート;ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート;アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート;環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。環状アルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。芳香環基を有する(メタ)アクリレートとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ポリアルキレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度=2~10)フェニルエーテル(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)エチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)プロピルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度=2~10)フェニルエーテル(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートにラクトンを付加したものが挙げられ、カプロラクトンを付加したものが好ましい。ラクトンの付加量は、1mol~10molが好ましく、1mol~5molがより好ましい。前記ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン1mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン2mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン3mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン4mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン5mol付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン10mol付加物等が挙げられる。
アルコキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸2-(4-モルホリニル)エチル、(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2-〔(2-テトラヒドロピラニル)オキシ〕エチル(メタ)アクリレート、1,3-ジオキサン-(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(ブロック共重合体)
前記共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体の何れでもよく、好ましくはブロック共重合体である。
前記ブロック共重合体の構造は、線状ブロック共重合体であることが好ましい。また、線状ブロック共重合体は、いずれの構造(配列)であっても良いが、線状ブロック共重合体の物性、または組成物の物性の観点から、AブロックをA、BブロックをBと表現したとき、(A-B)m型、(A-B)m-A型、(B-A)m-B型(mは1以上の整数、例えば1~3の整数)よりなる群から選択される少なくとも1種の構造を持つ共重合体であることが好ましい。本発明において、「Aブロック」は「Aセグメント」と言い換えることができ、「Bブロック」は「Bセグメント」と言い換えることができる。
前記共重合体は、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むAブロックと、塩基性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むBブロックとを有するブロック共重合体がより好ましい。
特に、加工時の取扱い性、組成物の物性の観点から、A-Bで表されるジブロック共重合体であることが好ましい。A-Bで表されるジブロック共重合体を構成することで、Aブロックに有する酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位と、Bブロックに有する3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位とが局在化しやすく、より効率的に着色材と、溶媒、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂)と好適に作用することができると考えられる。
Aブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、35質量%以上が好ましく、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、85質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。Bブロックの含有率は、ブロック共重合体全体100質量%中において、15質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、65質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。AブロックおよびBブロックの含有率を、上記範囲内に調整することで、分散剤として使用した際の分散性能が良好となる。
ブロック共重合体中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)は、50/50以上が好ましく、より好ましくは55/45以上、さらに好ましくは60/40以上であり、95/5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは80/20以下、一層好ましくは75/25以下である。AブロックとBブロックとの質量比が前記範囲内であれば、分散剤として使用した際の分散性能とアルカリ現像性をバランスよく両立できる。
(Aブロック)
Aブロックは、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有するポリマーブロックである。Aブロックが、酸性基を有することで、アルカリ現像が容易になると考えられる。そのため、前記ブロック共重合体は、アルカリ現像を採用したカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用の着色組成物に好適に使用できる。Aブロックは、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を1種のみ有してもよいし、2種以上有していてもよい。
酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率は、Aブロック100質量%中において2質量%以上が好ましく、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上であり、20質量%以下が好ましく、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは16質量%以下である。酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位の含有率が2質量%以上であればアルカリ現像において、アルカリで中和した際の溶解速度が速くなり、20質量%以下であれば親水性が高すぎず、形成される画素が乱雑になることを抑制できる。
前記Aブロックは、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。Aブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Aブロックに含まれ得る他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは、(メタ)アクリルモノマーが好ましく、鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリレート、芳香環基を有する(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール構造単位を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、環状エーテル基を有する(メタ)アクリレートよりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。Aブロックで使用し得る前記ビニルモノマーは、それぞれ1種または2種以上を使用することができる。
Aブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Aブロックに含有される各種構造単位は、Aブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等の何れの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Aブロックが、a1ブロックからなる構造単位とa2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
(Bブロック)
Bブロックは、塩基性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有するポリマーブロックである。Bブロックは、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を有することが好ましく、式(2)で表される構造単位を有することがより好ましい。Bブロックは、塩基性基(好ましくは3級アミノ基)を有することで、着色材との高い親和性を有すると考えられる。Bブロックは、塩基性基(好ましくは3級アミノ基)を有するビニルモノマーに由来する構造単位を1種のみ有してもよいし、2種以上有していてもよい。
式(2)で表される構造単位の含有率は、Bブロック100質量%中において15質量%以上が好ましく、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、一層好ましくは30質量%以上、より一層好ましくは40質量%以上であり、75質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。式(2)で表される構造単位の含有率をこの範囲にすることで顔料と高い親和性を有すると考えられる。
前記Bブロックは、4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位、好ましくは式(3)で表される構造単位を含有してもよい。式(3)で表される構造単位は、1種のみであってもよいし2種以上を有していてもよい。
前記Bブロックが式(3)で表される構造単位を含有する場合、式(3)で表される構造単位の含有率は、Bブロック100質量%中において25質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上であり、85質量%以下が好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、一層好ましくは60質量%以下である。式(3)で表される構造単位の含有率をこの範囲にすることで顔料と高い親和性を有すると考えられる。
前記Bブロックは、アミン基を有するビニルモノマーに由来する構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。Bブロックの他の構造単位を形成し得るビニルモノマーは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
Bブロックにおいて2種以上の構造単位が含有される場合は、Bブロックに含有される各種構造単位は、Bブロック中においてランダム共重合、ブロック共重合等の何れの態様で含有されていてもよく、均一性の観点からランダム共重合の態様で含有されていることが好ましい。例えば、Bブロックが、b1ブロックからなる構造単位とb2ブロックとからなる構造単位との共重合体により形成されていてもよい。
(ブロック共重合体の製造方法)
前記ブロック共重合体の製造方法としては、ビニルモノマーの重合反応によって、Aブロックを先に製造し、AブロックにBブロックのモノマーを重合する方法;Bブロックを先に製造し、BブロックにAブロックのモノマーを重合する方法;AブロックとBブロックとを別々に製造した後、AブロックとBブロックとをカップリングする方法;Aブロックを先に製造し、Bブロックに式(2)で表される構造単位を形成し得るビニルモノマーを含有するモノマー組成物を重合し、得られた重合物中の式(2)で表される構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法;式(2)で表される構造単位を形成し得るビニルモノマーを含有するモノマー組成物を重合し、この重合物にAブロックのモノマーを重合し、得られた重合物中の式(2)で表される構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法;Aブロックと式(2)で表される構造単位を有するブロックとを別々に製造し、これらのブロックをカップリングした後、得られた重合物中の式(2)で表される構造単位の一部の3級アミン構造を4級化する方法等が挙げられる。
重合法は特に限定されないが、リビングラジカル重合が好ましい。すなわち、前記ブロック共重合体としては、リビングラジカル重合により重合されたものが好ましい。従来のラジカル重合法は、開始反応、成長反応だけでなく、停止反応、連鎖移動反応により成長末端の失活が起こり、様々な分子量、不均一な組成のポリマーの混合物となり易い傾向がある。これに対してリビングラジカル重合法は、従来のラジカル重合法の簡便性と汎用性を保ちながら、停止反応や、連鎖移動が起こりにくく、成長末端が失活することなく成長するため、分子量分布の精密制御、均一な組成のポリマーの製造が容易である点で好ましい。
リビングラジカル重合法には、重合成長末端を安定化させる手法の違いにより、ニトロキサイドラジカルを生じ得る化合物を用いる方法(ニトロキサイド法;NMP法);銅、ルテニウム等の金属錯体を用いて、ハロゲン化化合物を重合開始化合物として、その重合開始化合物からリビング的に重合させる方法(ATRP法);ジチオカルボン酸エステルやザンテート化合物を用いる方法(RAFT法);有機テルル化合物を用いる方法(TERP法);有機ヨウ素化合物を用いる方法(ITP法);ヨウ素化合物を重合開始化合物とし、リン化合物、窒素化合物、酸素化合物、又は炭化水素などの有機化合物を触媒として用いる方法(可逆的移動触媒重合;RTCP法、可逆的触媒媒介重合;RCMP法)等の方法がある。これらの方法の中でも、使用できるモノマーの多様性、高分子領域での分子量制御、均一な組成、あるいは着色の観点から、TERP法を用いることが好ましい。
〔(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物〕
前記分散剤組成物は、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を含有する。前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物は、縮合多環芳香族化合物であって、縮合多環構造を構成する環員原子として窒素原子を含有する。分散剤組成物が、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物および(c)3級アミン化合物を含有することで、ジオキサジン系顔料の分散性が良好となり、着色組成物から形成される塗膜のコントラストが良好となる。
前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物としては、インドール類、キノリン類、カルバゾール類、フェナントリジン類、アクリジン類、プリン類、ピラジン類、イソキノリン類、ナフチリジン類、ベンゾイミダゾール類等が挙げられる。前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物としては、インドール類およびカルバゾール類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましい。(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物は、1種類のみを配合してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(インドール類)
前記インドール類とは、インドール骨格を有する化合物であり、インドールおよびインドールが有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された化合物である。前記インドール類としては、式(4)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024024585000006
[式(4)において、R41~R46は、同一または異なって、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、シアノ基、アミノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、水素原子を示す。]
41~R46で表されるアルキル基としては、炭素数が1~20のアルキル基が好ましく、炭素数が1~10のアルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
41~R46で表されるアリール基としては、炭素数が4~20のアリール基が好ましく、炭素数4~10のアリール基がより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
41~R46で表されるアラルキル基としては、炭素数が5~20のアラルキル基が好ましく、炭素数5~10のアラルキル基がより好ましい。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
41~R46で表されるアルケニル基としては、炭素数が2~20のアルケニル基が好ましく、炭素数2~10のアルケニル基がより好ましい。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、アリル基等が挙げられる。
41~R46で表されるアルコキシ基としては、炭素数が1~20のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~10のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
41~R46で表されるアリールオキシ基としては、炭素数が4~20のアリールオキシ基が好ましく、炭素数4~10のアリールオキシ基がより好ましい。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
41~R46で表されるアラルキルオキシ基としては、炭素数が5~20のアラルキルオキシ基が好ましく、炭素数5~10のアラルキルオキシ基がより好ましい。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
41~R46で表されるアルケニルオキシ基としては、炭素数が2~20のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素数2~10のアルケニルオキシ基がより好ましい。アルケニルオキシ基としては、ビニルオキシ基等が挙げられる。
前記インドール類の具体例としては、例えば、インドール、メチルインドール、ニトロインドール、フルオロインドール、クロロインドール、ブロモインドール、ヨードインドール、インドロール、メトキシインドール、ベンジルオキシインドール等が挙げられる。これらの中でも、インドール類としては、インドールが好ましい。
(カルバゾール類)
前記カルバゾール類とは、カルバゾール骨格を有する化合物であり、カルバゾールおよびカルバゾールが有する水素原子の一部または全部が置換基で置換された化合物である。前記カルバゾール類としては、式(5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2024024585000007
[式(5)において、R51~R58は、同一または異なって、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、シアノ基、アミノ基、メルカプト基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、水素原子を示す。]
51~R58で表されるアルキル基としては、炭素数が1~20のアルキル基が好ましく、炭素数が1~10のアルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
51~R58で表されるアリール基としては、炭素数が4~20のアリール基が好ましく、炭素数4~10のアリール基がより好ましい。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
51~R58で表されるアラルキル基としては、炭素数が5~20のアラルキル基が好ましく、炭素数5~10のアラルキル基がより好ましい。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
51~R58で表されるアルケニル基としては、炭素数が2~20のアルケニル基が好ましく、炭素数2~10のアルケニル基がより好ましい。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、アリル基等が挙げられる。
51~R58で表されるアルコキシ基としては、炭素数が1~20のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~10のアルコキシ基がより好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
51~R58で表されるアリールオキシ基としては、炭素数が4~20のアリールオキシ基が好ましく、炭素数4~10のアリールオキシ基がより好ましい。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
51~R58で表されるアラルキルオキシ基としては、炭素数が5~20のアラルキルオキシ基が好ましく、炭素数5~10のアラルキルオキシ基がより好ましい。アラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
51~R58で表されるアルケニルオキシ基としては、炭素数が2~20のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素数2~10のアルケニルオキシ基がより好ましい。アルケニルオキシ基としては、ビニルオキシ基等が挙げられる。
前記カルバゾール類の具体例としては、例えば、カルバゾール、メチルカルバゾール、ニトロカルバゾール、フルオロカルバゾール、クロロカルバゾール、ブロモカルバゾール、ヨードカルバゾール、メトキシカルバゾール、ベンジルオキシカルバゾール等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール類としては、カルバゾールが好ましい。
〔(c)3級アミン化合物〕
前記分散剤組成物は、(c)3級アミン化合物を含有する。前記(c)3級アミン化合物は、分子中に3級アミン構造を有する。分散剤組成物が、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物および(c)3級アミン化合物を含有することで、ジオキサジン系顔料の分散性が良好となり、着色組成物から形成される塗膜のコントラストが良好となる。(c)3級アミン化合物は、1種類のみを配合してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(c)3級アミン化合物としては、式(6)で表される化合物および式(7)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましく、式(7)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2024024585000008
[式(6)において、R61、R62およびR63は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R62およびR63は互いに結合して環状構造を形成してよい。]
61、R62およびR63で表される炭素数1~10の炭化水素基としては、炭素数1~10の鎖状アルキル基、炭素数1~10の環状アルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアラルキル基、炭素数7~10のアルキルアリール基が挙げられる。
式(6)で表される化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ―n-プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N-メチル―ジエチルアミン、N-エチルジアミルアミン等の脂肪族アミン;N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジエチルアニリン等の芳香族アミン;N,N-ジメチル―シクロヘキシルアミン、N,N-ジエチル―シクロヘキシルアミン等の脂環式アミン等が挙げられる。
Figure 2024024585000009
[式(7)において、R71は置換基を有してもよい炭素数2~6の2価の炭化水素基を示し、R72およびR73は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R72およびR73は互いに結合して環状構造を形成してよい。]
71で表される2価の炭素数2~6の炭化水素基としては、炭素数2~6のアルキレン基が挙げられる。前記R71で表される2価の炭素数2~6の炭化水素基が有する置換基としては、炭素数1~10の鎖状アルキル基、炭素数1~10の環状アルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアラルキル基、炭素数7~10のアルキルアリール基が挙げられる。
72およびR73で表される炭素数1~10の炭化水素基としては、炭素数1~10の鎖状アルキル基、炭素数1~10の環状アルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアラルキル基、炭素数7~10のアルキルアリール基が挙げられる。
前記式(7)で表される化合物としては、式(8)で表される環状アミジン化合物が好ましい。
Figure 2024024585000010
[式(8)において、R80~R89は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基を示す。nは、1~4の整数である。mは1~4の整数である。]
前記式(8)で表される化合物の具体的としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2024024585000011
前記分散剤組成物は、溶媒を含有してもよい。前記溶媒としては、有機溶剤を使用することができ、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコール-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート等のグリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジアセテート、1,3-ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサノールジアセテート等のグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテート等のアルキルアセテート類;アミルエーテル、プロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシプロパノール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコール等の1価または多価アルコール類;n-ペンタン、n-オクタン、ジイソブチレン、n-ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、γ-ブチロラクトン等の鎖状または環状エステル類;3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸等のアルコキシカルボン酸類;ブチルクロライド、アミルクロライド等のハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノン等のエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類等が挙げられる。分散剤組成物に含まれる有機溶剤は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
前記分散剤組成物は、(a)樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、(c)3級アミン化合物および必要に応じて溶媒を混合することで調整できる。なお、混合後は、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物と(c)3級アミン化合物とが反応し、有機塩を形成すると考えられることから、事前に(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物と(c)3級アミン化合物と混合した混合物と、(a)樹脂型分散剤とを混合して調整してもよい。各原料の混合は、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー等の混合分散機を用いて混合することができる。分散剤組成物を調製する際の混合温度は、50℃以上が好ましく、より好ましくは55℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、75℃以下が好ましく、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
前記分散剤組成物は、前記(a)樹脂型分散剤中の4級アンモニウム塩基と前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物とのモル比((b)/(a)中の4級アンモニウム塩基)が、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上であり、1.2以下が好ましく、より好ましくは1.1以下、さらに好ましくは1.05以下である。
前記分散剤組成物は、前記(a)樹脂型分散剤中の4級アンモニウム塩基と前記(c)3級アミン化合物とのモル比((c)/(a)中の4級アンモニウム塩基)が、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、さらに好ましくは1.0以上であり、1.2以下が好ましく、より好ましくは1.1以下、さらに好ましくは1.05以下である。
前記分散剤組成物は、前記(a)樹脂型分散剤中の酸性基と前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物との合計と(c)3級アミン化合物とのモル比((c)/((a)中の酸性基+(b))が、0.1以上が好ましく、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.5以上であり、1.0以下が好ましく、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下である。
前記分散剤組成物は、前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物と前記(c)3級アミン化合物とのモル比((b)/(c))が、0.9以上が好ましく、より好ましくは0.95以上、さらに好ましくは1.0以上であり、1.1以下が好ましく、より好ましくは1.05以下、さらに好ましくは1.02以下である。
前記溶媒の使用量は、前記(a)樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物および(c)3級アミン化合物の合計を100質量部としたとき、50質量部以上が好ましく、より好ましくは100質量部以上、さらに好ましくは200質量部以上であり、500質量部以下が好ましく、より好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは250質量部以下である。
前記分散剤組成物の固形分の酸価は、5mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上、さらに好ましくは15mgKOH/g以上であり、70mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは65mgKOH/g以下、さらに好ましくは60mgKOH/g以下である。酸価が、5mgKOH/g以上であればアルカリに対する溶解性が高く、アルカリに溶解する速度がより速くなり、70mgKOH/g以下であれば着色組成物の粘度が高くなり過ぎず、着色組成物の塗工性がより良好となる。ここで固形分とは、溶媒以外の成分である。
前記分散剤組成物の固形分のアミン価は、10mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは30mgKOH/g以上、さらに好ましくは50mgKOH/g以上であり、150mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは120mgKOH/g以下、さらに好ましくは95mgKOH/g以下である。アミン価が、10mgKOH/g以上であれば着色組成物の粘度の経時安定性がより向上し、150mgKOH/g以下であれば着色組成物の粘度の増大を抑制できる。
[バインダー樹脂]
本発明の着色組成物は、バインダー樹脂(ただし、前記(a)樹脂型分散剤は除く。)を含有する。これにより、着色組成物のアルカリ現像性や基板への結着性を高めることができる。このようなバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシ基、フェノール性ヒドロキシ基等の酸性基を有する樹脂であることが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂が挙げられ、特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体等が好ましい。前記共重合可能な他の単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物等が挙げられる。ここで、アルキル基およびアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。また、アリール基がアルキレン基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基に結合していてもよい。
前記アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記アリール(メタ)アクリレートの具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH2=CXY、CH2=C(X)(COOZ)(ここで、Xは水素原子または炭素数1~5のアルキル基を表す。Yは炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表す。Zは炭素数1~8のアルキル基または炭素数6~12のアラルキル基を表す。)等が挙げられる。
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000以上が好ましく、より好ましくは4000以上、さらに好ましくは5000以上であり、50000以下が好ましく、より好ましくは40000以下、さらに好ましくは30000以下である。バインダー樹脂のMwが3000以上であれば着色組成物から形成された着色層の耐熱性、膜強度等が良好となり、Mwが50000以下であれば、着色組成物から形成された塗布膜のアルカリ現像性がより一層良好となる。
バインダー樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上が好ましく、より好ましくは60mgKOH/g以上、さらに好ましくは70mgKOH/g以上であり、200mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは180mgKOH/g以下、さらに好ましくは150mgKOH/g以下である。バインダー樹脂の酸価が50mgKOH/g以上であれば、着色組成物から形成された塗布膜のアルカリ現像性がより一層良好となり、200mgKOH/g以下であると着色組成物から形成された着色層の耐熱性がより良好となる。
着色組成物に含まれるバインダー樹脂は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。着色組成物において、バインダー樹脂の含有量は、着色材100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに20質量部以上、特に好ましくは30質量部以上であり、100質量部以下が好ましく、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下である。
前記バインダー樹脂は、溶媒を含有してもよく、前記溶媒としては有機溶剤が好ましい。前記有機溶剤としては、従来公知の有機溶媒を使用することができ、前記分散剤組成物の溶媒として例示したものを使用できる。
[分散媒体]
前記着色組成物は、分散媒体を含有する。なお、着色組成物の構成成分が溶媒を含有する場合(例えば、前記分散剤組成物の溶媒、前記バインダー樹脂の溶媒)、これらの溶媒も分散剤体に含まれる。前記分散媒体としては、着色組成物を構成する他の成分を分散または溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度に揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用できる。例えば、従来公知の有機溶媒を使用することができ、前記分散剤組成物の溶媒として例示したものを使用できる。有機溶媒は、着色材等の分散性、分散剤の溶解性、着色組成物の塗布性等の観点から、芳香族系、ケトン系、エステル系、グリコールエーテル系、アルコール系、脂肪族系の有機溶媒が好ましい。着色組成物に含まれる溶媒は、1種類のみであってもよいし、複数種類であってもよい。
芳香族系の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
ケトン系の有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、イソホロン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
エステル系の有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、酢酸-3-メトキシブチル、エチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ブチルカルビトールアセテート、乳酸ブチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸プロピル、1,3-ブチレングリコールジアセテート等が挙げられる。
グリコールエーテル系の有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等の水溶性のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート等の非水溶性のグリコールエーテル類等が挙げられる。
アルコール系の有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1~4のアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
脂肪族系の有機溶媒としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。
着色組成物中の分散媒体の含有量は、特に限定されず、適宜調整することができる。着色組成物中の分散媒体の含有量の上限値は、通常99質量%である。また、着色組成物中の分散媒体の含有量の下限値は、着色組成物の塗布に適した粘度を考慮して、通常70質量%であり、75質量%であることが好ましい。前記分散媒体は、着色組成物から形成される析出物を溶解、除去するための溶媒として使用できる。
[顔料誘導体]
前記着色組成物は、顔料誘導体を含有してもよい。顔料誘導体を含有することで、ジオキサジン系顔料の分散性がより向上する。顔料誘導体は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記顔料誘導体としては、ジオキサジン系顔料の表面に、極性官能基を導入したジオキサジン系顔料の誘導体が好ましい。前記極性官能基としては、スルホン酸基、-SO3M(Mは、アンモニウムカチオンまたは金属カチオンを表す。)、-SO2NH-(CH23-N(C252、-SO2NH-(CH23-N(C492、フタルイミドメチル基、イミダゾリルメチル基等が挙げられる。
ジオキサジン系顔料に極性官能基を導入する方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用すればよい。例えば、ジオキサジン系顔料をクロロスルホン酸によりクロロスルホン化し、導入されたクロロスルホン酸基を加水分解する方法;ジオキサジン系顔料を濃硫酸または発煙硫酸でスルホン化する方法;ジオキサジン系顔料をスルホン化またはクロロスルホン化した後、アミン成分(例えば、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン)と反応させる方法等が挙げられる。
前記顔料誘導体に導入される極性官能基の平均個数は、一分子当たり0.1以上が好ましく、より好ましくは1以上であり、5以下が好ましく、より好ましくは3以下である。顔料誘導体が有する極性官能基の平均個数が上記範囲内であれば、顔料の分散性がより向上する。
前記着色組成物が顔料誘導体を含有する場合、顔料誘導体の含有量は、前記着色材100質量部に対して5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは30質量部以下である。顔料誘導体の含有量が上記範囲内であれば、顔料の分散性がより向上する。
[架橋剤]
前記着色組成物は、架橋剤を含有してもよい。架橋剤とは、2個以上の重合可能な基を有する化合物をいう。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N-アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。前記架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、または2個以上のN-アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。前記架橋剤は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
前記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシ基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物が挙げられる。
前記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
前記酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の二塩基酸の無水物;無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の四塩基酸二無水物が挙げられる。
本発明の着色組成物において、架橋剤を配合する場合、架橋剤の含有量は、着色組成物中の全固形分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、80質量部以下が好ましく、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。架橋剤の含有量が5質量部以上であれば、十分な硬化性が得られる。一方、架橋剤の含有量が80質量部以下であれば、着色組成物のアルカリ現像性が良好となり、未露光部の基板上または遮光層上の地汚れ、膜残り等の発生が抑制される。ここで、着色組成物中の全固形分とは、着色組成物に含まれる分散媒体を除いた成分である。
[光重合開始剤]
前記着色組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。前記光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠赤外線、電子線、X線等の放射線の露光により、架橋剤の重合を開始し得る活性種を発生する化合物である。
前記光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O-アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α-ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の着色組成物において、光重合開始剤を配合する場合、光重合開始剤の含有量は、架橋剤100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上であり、20質量部以下が好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。光重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であれば、露光により十分に硬化でき、20質量部以下であれば、形成された着色層が現像時に基板から脱落することが抑制される。
(他の配合剤)
前記着色組成物には、本発明の好ましい物性を損なわない範囲であれば、上述した配合剤以外に、他の配合剤を配合することができる。他の配合剤としては、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、防カビ剤、界面活性剤、凝集防止剤等が挙げられる。
<着色組成物およびカラーフィルタの製造方法>
着色組成物は、分散剤組成物、着色材、分散媒体、バインダー樹脂、必要に応じて架橋剤、光重合開始剤、他の配合剤等を混合することで調製できる。なお、着色組成物は、(a)樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、(c)3級アミン化合物、着色材、分散媒体、バインダー樹脂、必要に応じて他の成分を混合することで調製してもよい。混合は、例えば、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミル、ディゾルバー、ニーダー等の混合分散機を用いることができる。着色組成物は、混合後に濾過することが好ましい。
前記着色組成物は、アルカリ現像性を有することから、カラーフィルタ用として好適に使用することができる。
本発明のカラーフィルタは、前記着色組成物を用いて形成された着色層を備えるものである。カラーフィルタを製造する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。まず、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などの熱可塑性樹脂シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、各種ガラスなどの透明基板上に、例えば、赤色の顔料が分散された着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒(分散媒体)を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液(有機溶剤又は界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液など)を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。次いで、緑色または青色の各着色組成物を用い、上記と同様にして、各着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像およびポストベークを行って、緑色の画素アレイおよび青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜(ITOなど)をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。また、赤色、緑色および青色の三原色の画素アレイを形成に用いる透明基板上には、ブラックマトリックスが設けられていてもよい。
本発明のカラーフィルタは、寸法精度等が高く、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に好適に使用することができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。なお、分散剤およびバインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、アミン価及び酸価、ならびに、着色組成物の粘度、輝度、コントラスト比は、下記の方法に従って評価した。
なお、略語の意味は下記のとおりである。
MAA:メタクリル酸
DMAEMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート
DMAEMA・BzCl:メタクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド
PMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
MP:1-メトキシ-2-プロパノール
GBL:γ-ブチロラクトン
(重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn))
高速液体クロマトグラフ(東ソー製、型式:HLC8320)を用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた。カラムはSHODEX KF-603(Φ6.0mm×150mm)(SHODEX社製)を1本、移動相に臭化リチウム(30mmol/L)-酢酸(30mmol/L)-N-メチルピロリドン、検出器に示差屈折率検出器を使用した。測定条件は、カラム温度を40℃、試料濃度を20mg/mL、試料注入量を10μL、流速を0.2mL/minとした。標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、906)を使用して検量線(校正曲線)を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。これらの測定値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
(アミン価)
アミン価は、固形分1gあたりの塩基性成分と当量の水酸化カリウム(KOH)の質量で表したものである。測定試料をテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT-06、三菱化学社製)を用いて、得られた溶液を塩酸(0.1mol/L)-2-プロパノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式によりアミン価(B)を算出した。
B=56.11×Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した塩酸(0.1mol/L)-2-プロパノール溶液の使用量(mL)
f:塩酸(0.1mol/L)-2-プロパノール溶液の力価
w:測定試料の質量(g)(固形分換算)
(酸価)
酸価は、固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。測定試料をテトラヒドロフランに溶解し、指示薬としてフェノールフタレインエタノール溶液を数滴加え、水酸化カリウム(0.1mol/L)-エタノール溶液で中和滴定した。次式により酸価(A)を算出した。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した水酸化カリウム(0.1mol/L)-エタノール溶液の使用量(mL)
f:水酸化カリウム(0.1mol/L)-エタノール溶液の力価
w:測定試料の質量(g)(固形分換算)
(粘度)
E型粘度計(商品名:RE-80L、東機産業社製)を用い、コーンローター(1°34’×R24)を使用して、25℃下、ローター回転数50rpmで粘度(mPa・s)を測定した。なお、着色組成物No.8、9についてはローター回転数を20rpmに変更し、着色組成物No.10についてはローター回転数を2.5rpmに変更した。
着色組成物は、調製した直後、粘度を測定した。なお、表2における粘度評価は、着色組成物No.1、2、4、5については、No.3の粘度との差を示し、着色組成物No.6については、No.7の粘度との差を示し、着色組成物No.8、9については、No.10の粘度との差を示した。
(輝度およびコントラスト比)
各着色組成物について、色度が異なる3種の着色層を作製した。具体的には、着色組成物を、スピンコーター(ミカサ社製、スピンコーター「MS-150A」)を用いて、ガラス板(厚さ1mm、100mm角)に塗布し、90℃で2.5分間乾燥を行い、着色層を形成した。また、スピンコーターの回転数を変化させることで、着色層の厚さを変化させ、着色層の色度を調整した。なお、3種の着色層の色度は、1枚の色度が特定の値より小さい値、1枚の色度が特定の値より大きい値となるようにした。具体的には、着色組成物No.1~5については、色度yの0.052を前記特定の値とし、着色組成物No.6および7については、色度xの0.470を前記特定の値とし、着色組成物No.8~10については、色度yの0.065を前記特定の値とした。
作製した着色層について、測色計(大塚電子社製、「MCPD-6800」)を用いて色度座標(x,y)および輝度Yを測定し、色彩輝度計(トプコンテクノハウス社製、「BM-5AS」)を用いてコントラスト比を測定した。
そして、色度が異なる3種の着色層の測定値から近似直線(検量線)を作製し、この検量線からそれぞれの輝度およびコントラスト比を求めた。着色組成物No.1~5については、色度yが0.052における輝度およびコントラスト比を採用した。着色組成物No.6および7については、色度xが0.470における輝度およびコントラスト比を採用した。着色組成物No.8~10については、色度yが0.065における輝度およびコントラスト比を採用した。
なお、表2における輝度評価は、着色組成物No.1、2、4、5については、No.3の輝度との差を示し、着色組成物No.6については、No.7の輝度との差を示し、着色組成物No.8、9については、No.10の輝度との差を示した。
また、表2におけるコントラスト比評価は、着色組成物No.1、2、4、5については、No.3のコントラスト比を100として指数化した値を示し、着色組成物No.6については、No.7のコントラスト比を100として指数化した値を示し、着色組成物No.8、9については、No.10のコントラスト比を100として指数化した値を示した。
<(a)樹脂型分散剤の調製>
(a)樹脂型分散剤として、(メタ)アクリル系樹脂型分散剤を準備した。具体的には、TERP法により、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むAブロックと、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位および4級アンモニウム塩基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むBブロックとを有するA-Bジブロック共重合体を調製した。得られたジブロック共重合体は、Aブロック100質量%中のMAAに由来する構造単位の含有率が6質量%、Bブロック100質量%中のDMAEMAに由来する構造単位の含有率が65質量%、DMAEMA・BzClに由来する構造単位の含有率が35質量%である。前記ジブロック共重合体中のAブロックとBブロックとの質量比(Aブロック/Bブロック)は71/29である。前記ジブロック共重合体は、アミン価が51mgKOH/g、酸価が31mgKOH/g、Mwが12,798、Mw/Mnが1.54である。
<分散剤組成物の調製>
(分散剤組成物No.1)
撹拌機を備えたフラスコに、上記で得た(a)樹脂型分散剤 11.13g、カルバゾール 1.00g、ジアザビシクロウンデセン 0.92g、PMA 12.10g、MP 12.10gを加え、60℃で20時間加熱混合し、分散剤組成物を調製した。
(分散剤組成物No.2~4)
各成分の配合を表1に示すように変更して、分散剤組成物No.1の調製法と同様にして分散剤組成物No.2~4を得た。
Figure 2024024585000012
<顔料誘導体の調整>
(顔料誘導体A)
クロロスルホン酸468質量部を反応容器に仕込み、紫色顔料(C.I.ピグメントバイオレット23) 25質量部を追加し、30℃以下に冷却しながら混合して混合液を調製した。次に、混合液を25℃で、3時間反応させて顔料をクロロスルホン化した。反応物を氷水に投入した後、反応物を濾取した。
濾物を反応容器に移し、水1500質量部を加えて撹拌分散し、分散液を調製した。続いて、分散液を10℃以下に冷却し、撹拌しながらジエチルアミノプロピルアミン58質量部を5分かけて滴下した後、分散液を50℃に昇温し30分間反応させてクロロスルホン化された顔料のアミド化を行った。その後、反応物を濾取し、水洗し、熱風乾燥機中で乾燥して、式(21)で表される顔料誘導体Aを得た。なお、式(21)において、n≒2である。
Figure 2024024585000013
(顔料誘導体B)
黄色顔料(C.I.ピグメントエロー138) 45質量部と、発煙硫酸340質量部とを反応容器に仕込み、60℃で4時間反応させた。反応物を、撹拌しながら水に投入し、10分撹拌した。その後、反応物を濾取し、水洗し、熱風乾燥機中で乾燥して、式(22)で表される顔料誘導体Bを得た。なお、式(22)において、n≒1である。
Figure 2024024585000014
(顔料誘導体C)
紫色顔料(C.I.ピグメントバイオレット23) 30質量部、95%硫酸300質量部、発煙硫酸230質量部を反応容器に仕込み、60℃で3時間反応させた。反応物を、撹拌しながら水に投入し、15分撹拌した。その後、反応物を濾取し、水洗し、熱風乾燥機中で乾燥して、式(23)で表される顔料誘導体Cを得た。なお、式(23)において、n≒3である。
Figure 2024024585000015
<着色組成物の調製>
(着色組成物No.1)
表2に示す組成になるように、各成分を100mLポリ容器に投入した。全成分の総質量30質量部に対してφ0.5mmジルコニアビーズを120質量部投入し、60分間ペイントシェーカーで分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズを除去して着色組成物を得た。得られた着色組成物の粘度、ならびに、着色層の輝度およびコントラスト比を評価した。結果を表2に示した。なお、表2において、分散媒体の含有量は、着色組成物の調製時に添加した分散媒体、ならびに、分散剤組成物およびバインダー樹脂に含有されている溶媒の合計量を記載している。
前記バインダー樹脂としては、カルボキシ基を有する(メタ)アクリレート樹脂(アルカリ可溶性(メタ)アクリル樹脂、酸価96mgKOH/g)を用いた。なお、前記(メタ)アクリレート樹脂は、溶媒(PMA)により低粘度化された溶液の状態で配合した。
(着色組成物No.2~10)
配合成分を表2に示したものに変更したこと以外は、着色組成物No.1の調製法と同様にして、着色組成物No.2~10を調製した。なお、着色組成物No.3および7では、分散剤として、前記で得た(a)樹脂型分散剤5.00質量部を、PMA 3.06質量部とMP 3.06質量部で希釈した溶液を使用した。また、着色組成物No.10では、分散剤として、前記で得た(a)樹脂型分散剤2.52質量部を、PMA 1.54質量部とMP 1.54質量部で希釈した溶液を使用した。
Figure 2024024585000016
着色組成物No.3は、着色材としてジオキサジン系顔料を含有し、分散剤として(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤のみを含有する。着色組成物No.1および2は、着色材としてジオキサジン系顔料を含有し、分散剤として、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなる分散剤組成物を含有する。これらの着色組成物No.1および2は、着色組成物No.3に比べて粘度が低下しており、また、得られる着色層のコントラスト比が高くなっている。
着色組成物No.4は、着色材としてジオキサジン系顔料を含有し、分散剤として(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を含有せず、ピロールを含有する分散剤組成物を含有する場合である。この着色組成物No.4は、着色組成物No.3に比べて得られる着色層のコントラスト比が高くなっているが、着色組成物の粘度が増大している。
着色組成物No.5は、着色材としてジオキサジン系顔料を含有し、分散剤として(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物を含有せず、フタルイミドを含有する分散剤組成物を含有する場合である。この着色組成物No.5は、着色組成物No.3に比べて粘度が低下しており、また、得られる着色層のコントラスト比は高くなっているが同程度である。
着色組成物No.7は、着色材としてイソインドリン系顔料を含有し、分散剤として(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤のみを含有する。着色組成物No.6は、着色材としてイソインドリン系顔料を含有し、分散剤として、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなる分散剤組成物を含有する。この着色組成物No.6は、着色組成物No.7に比べて粘度が増大している。
着色組成物No.10は、着色材としてジオキサジン系顔料を含有し、分散剤として(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤のみを含有する。着色組成物No.8および9は、着色材としてジオキサジン系顔料を含有し、分散剤として、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなる分散剤組成物を含有する。これらの着色組成物No.8および9は、着色組成物No.10に比べて粘度が低下しており、また、得られる着色層のコントラスト比が高くなっている。
本発明には、以下の実施態様が含まれる。
(実施態様1)
ジオキサジン系顔料、分散剤組成物、バインダー樹脂、および、分散媒体を含有する着色組成物であり、前記分散剤組成物が、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなることを特徴とする着色組成物。
(実施態様2)
前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物が、インドール類およびカルバゾール類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である実施態様1に記載の着色組成物。
(実施態様3)
前記(c)3級アミン化合物が、式(6)で表される化合物および式(7)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である実施態様1または2に記載の着色組成物。
Figure 2024024585000017
[式(6)において、R61、R62およびR63は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R62およびR63は互いに結合して環状構造を形成してよい。]
Figure 2024024585000018
[式(7)において、R71は置換基を有してもよい炭素数2~6の2価の炭化水素基を示し、R72およびR73は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R72およびR73は互いに結合して環状構造を形成してよい。]
(実施態様4)
顔料誘導体を含有する実施態様1~3のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様5)
前記バインダー樹脂の酸価が、50mgKOH/g~200mgKOH/gである実施態様1~4のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様6)
前記分散剤組成物の固形分の酸価が、5mgKOH/g~70mgKOH/gである実施態様1~5のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様7)
前記分散剤組成物の固形分のアミン価が、10mgKOH/g~150mgKOH/gである実施態様1~6のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様8)
前記(a)樹脂型分散剤の酸価が、5mgKOH/g~100mgKOH/gである実施態様1~7のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様9)
前記(a)樹脂型分散剤のアミン価が、5mgKOH/g~160mgKOH/gである実施態様1~8のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様10)
前記(a)樹脂型分散剤が、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むAブロックと、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むBブロックとを有するブロック共重合体である実施態様1~9のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様11)
(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、(c)3級アミン化合物、ジオキサジン系顔料、分散媒体およびバインダー樹脂を混合してなることを特徴とする着色組成物。
(実施態様12)
カラーフィルタ用である実施態様1~11のいずれか1項に記載の着色組成物。
(実施態様13)
実施態様12に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えることを特徴とするカラーフィルタ。
本発明の着色組成物は、カラーフィルタ用に好適に使用できる。前記カラーフィルタは、寸法精度等が高く、カラー液晶表示素子、カラー撮像管素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に好適に使用することができる。

Claims (13)

  1. ジオキサジン系顔料、分散剤組成物、バインダー樹脂、および、分散媒体を含有する着色組成物であり、
    前記分散剤組成物が、(a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、および、(c)3級アミン化合物を混合してなることを特徴とする着色組成物。
  2. 前記(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物が、インドール類およびカルバゾール類よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の着色組成物。
  3. 前記(c)3級アミン化合物が、式(6)で表される化合物および式(7)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物である請求項1または2に記載の着色組成物。
    Figure 2024024585000019
    [式(6)において、R61、R62およびR63は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R62およびR63は互いに結合して環状構造を形成してよい。]
    Figure 2024024585000020
    [式(7)において、R71は置換基を有してもよい炭素数2~6の2価の炭化水素基を示し、R72およびR73は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~10の炭化水素基を示す。また、R72およびR73は互いに結合して環状構造を形成してよい。]
  4. 顔料誘導体を含有する請求項1または2に記載の着色組成物。
  5. 前記バインダー樹脂の酸価が、50mgKOH/g~200mgKOH/gである請求項1または2に記載の着色組成物。
  6. 前記分散剤組成物の固形分の酸価が、5mgKOH/g~70mgKOH/gである請求項1または2に記載の着色組成物。
  7. 前記分散剤組成物の固形分のアミン価が、10mgKOH/g~150mgKOH/gである請求項1または2に記載の着色組成物。
  8. 前記(a)樹脂型分散剤の酸価が、5mgKOH/g~100mgKOH/gである請求項1または2に記載の着色組成物。
  9. 前記(a)樹脂型分散剤のアミン価が、5mgKOH/g~160mgKOH/gである請求項1または2に記載の着色組成物。
  10. 前記(a)樹脂型分散剤が、酸性基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むAブロックと、3級アミノ基を有するビニルモノマーに由来する構造単位を含むBブロックとを有するブロック共重合体である請求項1または2に記載の着色組成物。
  11. (a)酸価およびアミン価を有する樹脂型分散剤、(b)含窒素縮合多環式複素芳香環化合物、(c)3級アミン化合物、ジオキサジン系顔料、分散媒体およびバインダー樹脂を混合してなることを特徴とする着色組成物。
  12. カラーフィルタ用である請求項1または11に記載の着色組成物。
  13. 請求項12に記載の着色組成物を用いて形成された着色層を備えることを特徴とするカラーフィルタ。
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