JP2024024199A - 液体吐出装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、液体吐出装置に関する。
従来、特許文献1に示すように、複数種類のインクを貯留するインクタンクと、インクを吐出するヘッドと、インクタンクからヘッドにインクを供給するインク供給路部であって、複数のインク配管を収容するケーブルベア(登録商標)を含むインク供給路部を備えた液体吐出装置が開示されている。
ケーブルベアは、液体吐出装置の使用時に屈曲と伸長を繰り返すものであるので、劣化することがある。しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置では、当該劣化の検出について何ら考慮されていなかった。
ケーブルベアの劣化について具体的に説明する。ヘッドの移動に伴いケーブルベアが屈曲と伸長を繰り返すうちに、ケーブルベアを構成する複数個の単位ユニットを互いに連結するピン及び孔部が摩耗する。ケーブルベアは、ピン及び孔部が摩耗する前は、ピンと孔部との間に働く摩擦力によって、自重に耐えることができるため、垂れ量が小さい状態を維持できる。しかし、ピン及び孔部が摩耗した後では、当該摩擦力が小さくなることで自重に耐えられなくなり、垂れ量が大きくなる。
ケーブルベアの劣化について具体的に説明する。ヘッドの移動に伴いケーブルベアが屈曲と伸長を繰り返すうちに、ケーブルベアを構成する複数個の単位ユニットを互いに連結するピン及び孔部が摩耗する。ケーブルベアは、ピン及び孔部が摩耗する前は、ピンと孔部との間に働く摩擦力によって、自重に耐えることができるため、垂れ量が小さい状態を維持できる。しかし、ピン及び孔部が摩耗した後では、当該摩擦力が小さくなることで自重に耐えられなくなり、垂れ量が大きくなる。
このようにケーブルベアの垂れ量が大きくなると、ケーブルベアの挙動が不安定になる。詳細には、ケーブルベアの垂れ量が大きい部分が、正常に屈曲できずに詰まってしまうことで、ヘッドの正常な移動を妨げる虞がある。また、ケーブルベアがこのような不安定な挙動をすると、ケーブルベアに収容されるインク配管などの長尺部材も大きく変形することになり、長尺部材への負荷が大きくなる。長尺部材への負荷が大きくなると、長尺部材が破損する虞がある。
液体吐出装置は、メディアに液体を吐出する吐出ヘッドが配置され、第1方向及び前記第1方向に対し反対の方向である第2方向に移動可能なキャリッジと、一端が前記吐出ヘッドに接続される長尺部材と、前記長尺部材を収容して前記長尺部材の経路を案内する保護案内部と、前記保護案内部の垂れ量を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する制御部と、を備える。
1.実施形態1
以下、実施形態1に係るプリンター10の概略構成について説明する。
本実施形態のプリンター10は、液体吐出装置の一例である。プリンター10は、布帛などのメディアMにインクを吐出し、模様などの画像を印刷するインクジェットプリンターである。
以下、実施形態1に係るプリンター10の概略構成について説明する。
本実施形態のプリンター10は、液体吐出装置の一例である。プリンター10は、布帛などのメディアMにインクを吐出し、模様などの画像を印刷するインクジェットプリンターである。
図1は、実施形態1のプリンター10の構成を示す断面模式図である。図1に示されるように、プリンター10は、一例として工場1の設置面2に設置される。
なお、図1を含む各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせて図示している。また、説明の便宜上、互いに直交する三軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。
なお、図1を含む各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせて図示している。また、説明の便宜上、互いに直交する三軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。
X軸は、プリンター10の設置面2に対して平行な水平方向であり、プリンター10の幅方向に対応する。X軸に平行な+X方向は、後述の印刷部30に対して後述の駆動ローラー24を左に配置したときの、プリンター10の手前から奥に向かう方向である。図1の場合、+X方向は、図の奥に向かう方向である。X軸に平行な-X方向は、+X方向の反対の方向である。また、X軸は、メディアMの幅方向に相当する。
Y軸は、プリンター10の設置面2に対して平行な水平方向であり、プリンター10の奥行き方向に対応する。Y軸に平行な+Y方向は、後述の従動ローラー23から後述の駆動ローラー24へ向かう方向である。図1の場合、+Y方向は、図の左に向かう方向である。Y軸に平行な-Y方向は、+Y方向の反対の方向である。また、+Y方向は、メディアMの搬送方向に相当する。
Z軸は、プリンター10の設置面2に対して垂直な方向、すなわち重力が作用する重力方向に沿う方向あり、プリンター10の高さ方向に対応する。Z軸に平行な+Z方向は、プリンター10の設置面2から上方に向かう方向である。図1の場合、+Z方向は、図の上に向かう方向である。Z軸に平行な-Z方向は、+Z方向の反対の方向である。
図1に示すように、プリンター10は、メディアMを搬送する搬送部20と、搬送されるメディアMに印刷を行う印刷部30と、メディアMを搬送ベルトに押圧する押圧部60と、搬送ベルトを洗浄する洗浄部70と、を備えている。そして、プリンター10は、これら各構成部を制御する制御部90を備えている。なお、メディアMは、本実施形態では、綿、絹、ウール、化学繊維、混紡などの布帛である。
搬送部20は、グルーベルト22、プラテン221、従動ローラー23、駆動ローラー24などで構成されている。
グルーベルト22は、メディアMを搬送可能な搬送ベルトの一例であり、弾性を有する平板の両端を接合した無端ベルトとして構成される。グルーベルト22は、ゴムベルトである。また、グルーベルト22は、従動ローラー23及び駆動ローラー24に巻き掛けられる。換言すると、グルーベルト22は、周回移動されることでメディアMを+Y方向に搬送可能である。
グルーベルト22は、メディアMを搬送可能な搬送ベルトの一例であり、弾性を有する平板の両端を接合した無端ベルトとして構成される。グルーベルト22は、ゴムベルトである。また、グルーベルト22は、従動ローラー23及び駆動ローラー24に巻き掛けられる。換言すると、グルーベルト22は、周回移動されることでメディアMを+Y方向に搬送可能である。
グルーベルト22の外周面22Aは、一例として、不図示の粘着剤が塗布されることで粘着性を有しており、メディアMを支持可能で且つ吸着可能である。粘着性とは、他の部材と一時的に接着可能であり且つ接着状態からの剥離が可能となる特性を意味する。これにより、伸縮性のある布帛などを、印刷可能なメディアMとして扱うことができる。
印刷部30によって印刷されたメディアMは、不図示の巻取ローラーによって巻き取られることで、外周面22Aのうち駆動ローラー24に巻き掛けられた部位から剥離される。
印刷部30によって印刷されたメディアMは、不図示の巻取ローラーによって巻き取られることで、外周面22Aのうち駆動ローラー24に巻き掛けられた部位から剥離される。
プラテン221は、Z軸方向において、グルーベルト22を挟んで、後述する吐出ヘッド31とは反対側に設けられる。プラテン221上に搬送されたメディアMに、吐出ヘッド31によってインクが吐出されることにより、そのメディアMに画像が形成される。
従動ローラー23及び駆動ローラー24は、グルーベルト22の内周面22Bを支持する。駆動ローラー24は、不図示の搬送モーターによって回転駆動される。駆動ローラー24が回転駆動されると、駆動ローラー24の回転に伴ってグルーベルト22が周回し、グルーベルト22の周回により従動ローラー23が従動回転する。
グルーベルト22は、駆動ローラー24の回転により、図1において反時計回り方向に周回することで、外周面22Aに支持された状態のメディアMを、+Y方向となる搬送方向に搬送させる。そして、グルーベルト22により、メディアMが搬送方向に搬送され、後述する印刷部30でメディアMに画像が形成される。
なお、本実施形態において、グルーベルト22が反時計回り方向に周回する道筋を、以降では周回経路という。そして、周回経路のうち、メディアMを搬送する経路を搬送経路といい、それ以外の経路、すなわちメディアMの搬送経路を構成しない経路を搬送準備経路という。従って、搬送経路は、繰り出されたメディアMが後述する押圧部60で押圧されてグルーベルト22に支持された位置から、印刷が終了してメディアMがグルーベルト22から剥離される位置までの経路となる。
搬送経路では、周回するグルーベルト22の外周面22Aが、印刷部30と対向する+Z方向側にメディアMを支持し、従動ローラー23側から駆動ローラー24側に搬送する。また、搬送準備経路では、周回するグルーベルト22の外周面22Aが、後述する洗浄部70と対向する-Z方向側を向き、メディアMが剥離された後のグルーベルト22のみが、駆動ローラー24側から従動ローラー23側に移動する。
押圧部60は、グルーベルト22にメディアMを押圧して密着させるものである。押圧部60は、搬送方向において、印刷部30より上流の-Y方向側で、従動ローラー23より下流の+Y方向側に設けられている。押圧部60は、押圧ローラー61、ローラー支持部63、及び不図示の押圧ローラー駆動部を備えている。
押圧ローラー61は、円筒状または円柱状に形成されており、押圧ローラー61の円筒面に沿う円周方向に回転可能に設けられている。押圧ローラー61は、搬送方向に沿った方向に回転するように、不図示のローラー軸が搬送方向と交差する幅方向となるように配置されている。ローラー支持部63は、グルーベルト22を挟んで押圧ローラー61と対向するグルーベルト22の内周面22B側に設けられている。
押圧ローラー61の幅方向における長さは、グルーベルト22の幅方向の長さと同程度としている。なお、メディアMの幅方向の長さは、押圧ローラー61及びグルーベルト22の幅方向の長さより短い。ローラー支持部63の幅方向における長さは、押圧ローラー61の幅方向の長さと同程度としている。
押圧ローラー61は、押圧ローラー駆動部によって下方向、すなわち-Z方向に押圧される。押圧された押圧ローラー61は、グルーベルト22の搬送方向への移動に従動して回転する。グルーベルト22に重ね合されたメディアMは、押圧ローラー61とローラー支持部63との間でグルーベルト22に押圧される。押圧部60の動作により、グルーベルト22にメディアMを粘着させることができ、グルーベルト22上でのメディアMの浮きの発生を抑制することができる。
印刷部30は、搬送方向である+Y方向に移動するグルーベルト22に対して上方向、すなわち+Z方向に配置され、グルーベルト22の外周面22Aに支持されたメディアMに印刷を行うものである。印刷部30は、吐出ヘッド31、キャリッジ32、及びキャリッジガイド33などを備えている。吐出ヘッド31は、グルーベルト22に支持されたメディアMに対して、液体としてのインクを吐出する。
キャリッジガイド33は、X軸方向に延在し、キャリッジ32を支持する。キャリッジ32は、キャリッジガイド33に支持されるL字板状の第1キャリッジ部321と、第1キャリッジ部321に対して+Y方向の位置に固定される第2キャリッジ部322とを有している。第2キャリッジ部322内には、1または複数の吐出ヘッド31が配置されている。キャリッジガイド33は、X軸方向における長さがグルーベルト22のX軸方向における長さよりも長くなるように形成されている。キャリッジ32は、キャリッジガイド33に沿って、X軸方向、すなわち+X方向及び-X方向に移動可能に構成されている。なお、+X方向は第1方向に相当し、-X方向は第2方向に相当する。
図2は、キャリッジ32を斜め方向に見上げた斜視図であり、図3は、キャリッジ32を-Y方向側から見た背面図である。
図2に示すように、本実施形態のキャリッジ32には、4つの吐出ヘッド31が配置されており、各吐出ヘッド31は、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど、それぞれ異なる色のインクを吐出可能となっている。各吐出ヘッド31には、インクを吐出するための複数のノズルからなる1または複数のノズル列34が形成されている。ノズル列34は、グルーベルト22によって搬送されるメディアMと対向している。
図2に示すように、本実施形態のキャリッジ32には、4つの吐出ヘッド31が配置されており、各吐出ヘッド31は、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックなど、それぞれ異なる色のインクを吐出可能となっている。各吐出ヘッド31には、インクを吐出するための複数のノズルからなる1または複数のノズル列34が形成されている。ノズル列34は、グルーベルト22によって搬送されるメディアMと対向している。
吐出ヘッド31には、不図示のインクタンクからチューブを介してインクが供給される。そして、キャリッジ32がX軸方向に移動しつつ、プラテン221上に搬送されたメディアMに対して、ノズル列34からインクが吐出されることにより、そのメディアMに画像が形成される。
図2に示すように、第1キャリッジ部321は、Y軸方向と直交する略矩形板状の支持壁311と、支持壁311のZ軸方向上端から-Y方向側に真っ直ぐに延びる略矩形板状の天壁312とを有している。支持壁311と天壁312とは、直角をなすように一体形成されている。図2及び3に示すように、支持壁311の-Y方向側の面である支持面311Aには、X軸方向に間隔を置いて配置される一対のブロック36がZ軸方向に間隔を置いて二組固定されている。つまり、本実施形態の支持面311Aには、4つのブロック36が固定されている。
各ブロック36には、X軸方向に延びる溝37が形成されている。キャリッジガイド33は、支持面311Aと対向する面33A(図1及び図4参照)に、X軸方向に延びる一対のレール38を有している。一対のレール38は、Z軸方向に間隔を置いて配置されている。キャリッジガイド33の+Z方向側のレール38には、支持面311Aに固定された+Z方向側の一対のブロック36の溝37がそれぞれ摺動可能に嵌合されている。
キャリッジガイド33の-Z方向側のレール38には、支持面311Aに固定された-Z方向側の一対のブロック36の溝37がそれぞれ摺動可能に嵌合されている。各ブロック36及び各レール38は、例えばリニアガイドによって構成される。したがって、支持壁311は、キャリッジ32におけるキャリッジガイド33によって支持される壁である。
図4は、印刷部30を+Y方向側から見た正面図である。
図4に示すように、キャリッジ32は、X軸に沿う幅方向において、メディアMに印刷が実行される印刷領域PLと、幅方向において印刷領域PLより外側の退避領域NPLと、に移動可能である。
図4に示すように、キャリッジ32は、X軸に沿う幅方向において、メディアMに印刷が実行される印刷領域PLと、幅方向において印刷領域PLより外側の退避領域NPLと、に移動可能である。
印刷領域PLは、幅方向においてプラテン221を含む領域であり、印刷部30によるメディアMへの印刷が実行可能な領域である。退避領域NPLは、幅方向において印刷領域PL以外の領域である。本実施形態では、印刷領域PLの-X方向側に退避領域NPLが設けられている。退避領域NPLは、例えば吐出ヘッド31のメンテナンスが行われる領域である。
図3に示すように、支持面311Aの略中央部には、長尺帯状のタイミングベルト39をZ軸方向から見て環状にした状態でタイミングベルト39の両端部を支持面311Aに固定する固定板40が配置されている。固定板40は、+Z方向側の一対のブロック36と-Z方向側の一対のブロック36との間に位置するように支持面311Aに固定されている。
環状にされたタイミングベルト39のX軸方向における一端部は、Z軸方向に延びる回転軸を有した不図示の駆動プーリーに巻き掛けられ、他端部はZ軸方向に延びる回転軸を有した不図示の従動プーリーに巻き掛けられている。そして、駆動プーリーを不図示のキャリッジモーターによって正逆両方向に回転駆動することで、当該キャリッジモーターの駆動力がタイミングベルト39を介してキャリッジ32に伝達され、キャリッジ32がX軸方向に往復移動する。なお、図3以外の図では、タイミングベルト39の図示を省略している。
支持面311AのZ軸方向上端におけるX軸方向の一端部には、光学センサー41が取り付けられている。この場合、光学センサー41は、支持面311Aにおける上側の一対のブロック36よりも上側に位置している。
さらに、印刷部30における、支持壁311の-Y方向側の位置には、光学目盛りを有した帯状の光学スケール部材43がX軸方向に延びるように配置されている。
光学スケール部材43は、光学センサー41と対応するように配置されている。光学センサー41は、光学スケール部材43と係合しており、光学スケール部材43の光学目盛りを読み取り可能に構成されている。光学センサー41及び光学スケール部材43は、例えばリニアエンコーダーによって構成される。光学センサー41の検出信号は、制御部90に入力される。制御部90は、キャリッジ32のX軸方向への移動に伴って光学センサー41が光学スケール部材43の光学目盛りをカウントして入力される検出信号を基に、キャリッジ32のX軸方向の位置を把握することができる。また、制御部90は、当該検出信号を基に、キャリッジ32の移動速度を判別することもできる。
図1に戻って、プリンター10は、グルーベルト22を間欠的に移動させることで、グルーベルト22に密着するメディアMを搬送方向に間欠的に移動させながら印刷を実行する。具体的には、制御部90が、キャリッジ32のX軸方向の往復移動とともに行われる吐出ヘッド31によるインクの吐出動作と、搬送部20によるメディアMの間欠移動とを、交互に実行させることにより印刷がなされる。
グルーベルト22は、搬送経路を移動し、印刷されたメディアMがグルーベルト22から剥離された後、駆動ローラー24で折り返されて、搬送準備経路を移動する。そして、布帛などのメディアMに模様などの印刷(捺染)を行った場合、グルーベルト22の外周面22Aには、メディアMを透過したインクや、メディアMの幅方向端部からはみ出したインクや、メディアMから脱落した繊維などが付着する。
洗浄部70は、搬送準備経路を移動中のグルーベルト22を洗浄液により洗浄することで、グルーベルト22の外周面22Aに付着したインクや繊維などを除去する。洗浄部70は、詳細には、無端状のグルーベルト22の配置位置に対して、駆動ローラー24側の下方に配置され、グルーベルト22の外周面22Aを、下方から洗浄する。
図5は、プリンター10の電気的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、制御部90は、例えば、コンピューターによって構成され、処理部91と、記憶部92とを有している。
図5に示すように、制御部90は、例えば、コンピューターによって構成され、処理部91と、記憶部92とを有している。
処理部91は、演算処理装置である不図示のCPU(Central Processing Unit)及びメモリーを含んで構成される。メモリーは、プログラムを格納する領域または作業領域などが確保された記憶装置であり、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などによって構成される。CPUは、記憶部92からメモリーに読み出された制御プログラムPRに従い、プリンター10の各部の動作を制御する。
記憶部92は、不揮発性の記憶装置によって構成され、上述した制御プログラムPRや、後述する閾値SHなどを記憶する。
また、制御部90には、印刷部30、搬送部20、押圧部60、洗浄部70が電気的に接続されており、制御部90は、これらを構成する各構成要素の動作を制御する。
例えば、制御部90は、上述のように印刷部30を構成する吐出ヘッド31を制御する。具体的には、制御部90は、FFC(Flexible Flat Cable)などの屈撓自在なケーブルを介して、吐出ヘッド31の不図示の駆動回路に接続されており、吐出ヘッド31からインクを吐出させるための印字信号を駆動回路に送信する。また、制御部90は、キャリッジ32をX軸方向に移動させるための駆動源である不図示のキャリッジモーターを制御する。
また、制御部90は、搬送部20を構成する駆動ローラー24の駆動源である不図示の搬送モーター、押圧部60を構成する不図示の押圧ローラー駆動部、及び、洗浄部70の不図時の駆動源をそれぞれ制御する。
例えば、制御部90は、上述のように印刷部30を構成する吐出ヘッド31を制御する。具体的には、制御部90は、FFC(Flexible Flat Cable)などの屈撓自在なケーブルを介して、吐出ヘッド31の不図示の駆動回路に接続されており、吐出ヘッド31からインクを吐出させるための印字信号を駆動回路に送信する。また、制御部90は、キャリッジ32をX軸方向に移動させるための駆動源である不図示のキャリッジモーターを制御する。
また、制御部90は、搬送部20を構成する駆動ローラー24の駆動源である不図示の搬送モーター、押圧部60を構成する不図示の押圧ローラー駆動部、及び、洗浄部70の不図時の駆動源をそれぞれ制御する。
また、制御部90には、操作部93、報知部94、及び検出部110が電気的に接続されている。操作部93は、操作ボタンやタッチパネルなどによって構成され、ユーザーによる入力操作を受け付けて、入力操作に応じた操作信号を制御部90に出力する。例えば、操作部93は、印刷条件や各種指示情報をユーザーから受け付ける。報知部94は、例えば、表示装置によって構成され、制御部90の制御に基づいて、画像や文字などを表示することにより、ユーザーに各種情報を報知する。なお、報知部94は、表示装置に限定されず、例えば、音声発生装置から音声を発生させることによってユーザーに各種情報を報知する構成であってもよいし、サーバー装置からスマートフォンなどの通信端末装置への通信を行うことでユーザーに各種情報を報知する構成であってもよい。検出部110については、後述する。
上記のように構成されるプリンター10において、吐出ヘッド31にインクを供給するチューブや、吐出ヘッド31の駆動回路に印字信号を送信するケーブルなどの長尺の部材、すなわち一端が吐出ヘッド31に接続される長尺部材C(図1及び図4参照)は、キャリッジ32の移動に伴って無理なねじれや屈曲、引っ張りなどが生じて損傷したり、キャリッジ32の円滑な移動を妨げたりしないように、保護案内ベルト100に収容されている。保護案内ベルト100は、内部に収容された長尺部材Cを、所定の経路に沿って案内するとともに、長尺部材Cを保護する。保護案内ベルト100は、保護案内部に相当する。
図6A及び図6Bは、印刷部30を-Y方向側から見た背面図であり、図6Aは、キャリッジ32が+X方向側の端部に位置している状態、図6Bは、キャリッジ32が-X方向側の端部、すなわち退避領域NPLに位置している状態を示している。また、図7は、印刷部30を-X方向側から見た側面図である。
図6A、図6B及び図7に示すように、長尺部材Cは、不図示のインクタンクや制御部90から、所定の位置に固定された固定部F0を経由してキャリッジ32内の吐出ヘッド31に接続される。固定部F0、インクタンク、制御部90は、プリンター10に固定されているため、長尺部材Cは、固定部F0からインクタンク、及び固定部F0から制御部90まで区間においては、変形する可能性が低い。一方、キャリッジ32から固定部F0までの区間では、キャリッジ32のX軸方向への移動に伴って変形する。このため、保護案内ベルト100は、その区間の長尺部材Cを保護する。これ以降、保護案内ベルト100の端部のうち、キャリッジ32側の端部を移動端部G1と称し、固定部F0側の端部を固定端部G2と称する。本実施形態では、固定端部G2は、キャリッジ32のX軸方向における移動範囲の略中央で、移動端部G1よりも-Z方向に位置している。また、本実施形態において、移動端部G1は、第1キャリッジ部321の天壁312に固定されている。つまり、保護案内ベルト100の一端は、キャリッジ32に接続される。
図6A、図6B及び図7に示すように、長尺部材Cは、不図示のインクタンクや制御部90から、所定の位置に固定された固定部F0を経由してキャリッジ32内の吐出ヘッド31に接続される。固定部F0、インクタンク、制御部90は、プリンター10に固定されているため、長尺部材Cは、固定部F0からインクタンク、及び固定部F0から制御部90まで区間においては、変形する可能性が低い。一方、キャリッジ32から固定部F0までの区間では、キャリッジ32のX軸方向への移動に伴って変形する。このため、保護案内ベルト100は、その区間の長尺部材Cを保護する。これ以降、保護案内ベルト100の端部のうち、キャリッジ32側の端部を移動端部G1と称し、固定部F0側の端部を固定端部G2と称する。本実施形態では、固定端部G2は、キャリッジ32のX軸方向における移動範囲の略中央で、移動端部G1よりも-Z方向に位置している。また、本実施形態において、移動端部G1は、第1キャリッジ部321の天壁312に固定されている。つまり、保護案内ベルト100の一端は、キャリッジ32に接続される。
図8は、本実施形態の保護案内ベルト100の構成例を示す斜視図である。
保護案内ベルト100は、多数個の単位ユニット101が互いに回動自在に長鎖状に連結されて形成される。単位ユニット101は、長尺部材CをY軸方向に挟む一対の側片102と、一対の側片102を、長尺部材Cに沿う方向の中央部で連結する一対の連結片103とを有している。この単位ユニット101は、例えば合成樹脂により形成される。
保護案内ベルト100は、多数個の単位ユニット101が互いに回動自在に長鎖状に連結されて形成される。単位ユニット101は、長尺部材CをY軸方向に挟む一対の側片102と、一対の側片102を、長尺部材Cに沿う方向の中央部で連結する一対の連結片103とを有している。この単位ユニット101は、例えば合成樹脂により形成される。
側片102の長尺部材Cに沿う方向の一端部には、Y軸方向に貫通する孔部104が開孔されており、他端部の外面には、Y軸方向に突出するピン105が形成されている。そして、ピン105が孔部104の内側に回動可能に嵌着されることで、多数個の単位ユニット101は互いに回動自在に長鎖状に連結される。そして、保護案内ベルト100は、多数個の単位ユニット101が互いに回動することによって、撓み変形が可能となる。
図6A及び図6Bに示すように、保護案内ベルト100は、キャリッジ32側を始点とすると、キャリッジ32に接続された移動端部G1から+X方向に延出する。そして、撓み変形によって下向きに180°折り曲げられ、固定端部G2まで-X方向に延出する。これ以降、移動端部G1から+X方向に延出する部分を、第1経路部分K1と称し、180°折り曲げられる部分を反転部分K3と称し、反転部分K3から-X方向に延出する部分を第2経路部分K2と称する。反転部分K3は、+X方向に凸となる略U字形状であり、長尺部材Cの経路を+X方向から-X方向に反転させる。反転部分K3は、+Z方向側で第1経路部分K1と連なり、-Z方向側で第2経路部分K2と連なる。つまり、本実施形態では、第1経路部分K1は、第2経路部分K2よりも+Z方向に位置している。なお、長尺部材Cは、保護案内ベルト100の内部で保護案内ベルト100と略同じ姿勢となるため、これ以降の説明では、長尺部材Cの説明を省略する。
図6Aに示すように、キャリッジ32が+X方向側に移動すると、第1経路部分K1の長さは相対的に短くなり、第2経路部分K2の長さは相対的に長くなる。反対に、図6Bに示すように、キャリッジ32が-X方向側に移動すると、第1経路部分K1の長さは相対的に長くなり、第2経路部分K2の長さは相対的に短くなる。また、キャリッジ32のX軸方向の移動に伴って、反転部分K3のX軸方向における位置も変化する。つまり、反転部分K3の位置は、キャリッジ32が-X方向に移動したときには-X方向に変化し、キャリッジ32が+X方向に移動したときには+X方向に変化する。
このような第1経路部分K1は、その自重により、-Z方向に垂れ下がる。このとき、第1経路部分K1のX軸方向における中央部分において、-Z方向への垂れ量が最も大きくなる。ここで、キャリッジ32の往復移動に伴って保護案内ベルト100が変形を繰り返していくと、保護案内ベルト100を構成する多数個の単位ユニット101は、互いに孔部104及びピン105を中心に回動を繰り返すため、ピン105の外周面及び孔部104の内周面が摩耗する。ピン105及び孔部104が摩耗することによって、第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量は次第に大きくなっていく。第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量が大きくなると、保護案内ベルト100による長尺部材Cの保護性や、保護案内ベルト100の安定した挙動が確保できなくなる虞がある。このような状態になった場合には、保護案内ベルト100は、ユーザーまたは修理担当者によって交換されることが望ましい。
図7に示すように、本実施形態では、キャリッジガイド33の-Y方向側の面33B、すなわちレール38が配置される面33Aとは反対の面33Bに、第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量を検出する検出部110が配置されている。検出部110は、例えば、距離センサーである。検出部110は、Z軸方向から見て第1経路部分K1に重なる位置で、且つ、面33Bにおいて第1経路部分K1から-Z方向に所定距離だけ離れる位置に配置され、第1経路部分K1までの距離ΔLを検出する。なお、検出部110は、第1経路部分K1までの距離ΔLを検出できるのであれば、Z軸方向から見て第1経路部分K1に重ならない位置、すなわちX軸方向及びY軸方向における任意の位置に配置されていてもよい。このように、検出部110は、第1経路部分K1までの距離ΔLを検出するものであるが、距離ΔLは、第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量に応じた値であることから、距離ΔLを検出することは、第1経路部分K1の垂れ量を検出することと同義である。つまり、検出部110は、距離ΔLを検出する構成に限定されず、第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量に応じた量を検出する構成であればよい。
また、制御部90は、検出部110が検出した距離ΔLに基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定する。そして、制御部90は、保護案内ベルト100が劣化していると判定すると、報知部94に保護案内ベルト100が劣化している旨の情報を報知させる。具体的には、制御部90は、保護案内ベルト100が劣化している旨のメッセージなどを報知部94に表示させる。なお、報知部94が、スピーカーなどの音声発生装置で構成される場合、制御部90は、保護案内ベルト100が劣化している旨のアナウンスや、ブザーまたはチャイムなどの警報音を音声発生装置に発生させる。また、報知部94が、サーバー装置で構成される場合、制御部90は、保護案内ベルト100が劣化している旨の情報をサーバー装置からスマートフォンなどの通信端末装置へ送信させる。また、報知部94が報知する情報には、保護案内ベルト100の交換を促す情報が含まれていてもよい。報知部94により上記の報知がなされると、ユーザーは、プリンター10の使用を中止して、保護案内ベルト100を自分で交換したり、修理担当者に交換を依頼したりする。
ここで、「保護案内ベルト100の劣化」とは、ピン105の外周面及び孔部104の内周面の摩耗が進行することによって、保護案内ベルト100による長尺部材Cの保護性や、保護案内ベルト100の安定した挙動が確保できなくなる程度に、第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量が大きくなることである。
制御部90は、記憶部92に記憶されている制御プログラムPRを読み出して実行することにより、保護案内ベルト100の劣化判定処理を実行する。また、記憶部92には、保護案内ベルト100の劣化判定処理で必要な閾値SHが記憶されている。
制御部90は、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを、閾値SHを参照することで判定する。例えば、距離ΔLの閾値SHは、予備実験またはシミュレーション上の計算などにより決定され、記憶部92に記憶されている。制御部90は、検出部110が検出した距離ΔLとその閾値SHとを比較することで、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定する。具体的には、距離ΔLが閾値SHを下回った場合、つまり、保護案内ベルト100が保護案内する長尺部材Cの保護性や、保護案内ベルト100の安定した挙動が確保できなくなる程度に第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量が大きくなった場合、制御部90は、保護案内ベルト100が劣化していると判定する。なお、検出部110が、第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量を直接検出する構成の場合には、制御部90は、検出した垂れ量が所定の閾値を超える場合に、保護案内ベルト100が劣化していると判定する。
ここで、検出部110による距離ΔLの検出は、キャリッジ32がX軸方向における所定の位置に位置するときに行われることが好ましい。この場合、制御部90は、光学センサー41及び光学スケール部材43によってキャリッジ32がX軸方向の所定の位置に位置したことが検出されたことに基づいて、検出部110に距離ΔLの検出を行わせる。つまり、制御部90は、キャリッジ32が所定の位置に位置するときの距離ΔLに基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定する。これによれば、検出部110は、第1経路部分K1のX軸方向における長さが所定の長さになったときの距離ΔLを検出することができるため、制御部90は、保護案内ベルト100の劣化を正確に判定することができる。このとき、検出部110は、第1経路部分K1の垂れ量が最大となる位置、すなわち検出時において第1経路部分K1のX軸方向の中央となる部分において、距離ΔLを検出することが好ましい。つまり、制御部90は、第1経路部分K1のX軸方向の中央となる部分の距離ΔLに基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定することが好ましい。垂れ量が最大となる位置でΔLを検出することにより、検出誤差などの影響が抑制されるため、制御部90は、保護案内ベルト100の劣化をより正確に判定することができる。
また、検出部110による距離ΔLの検出は、キャリッジ32が退避領域NPLに位置するとき、すなわち、第1経路部分K1のX軸方向における長さが最長となる位置にキャリッジ32が位置するときに行われることがより好ましい。この場合、制御部90は、光学センサー41及び光学スケール部材43によってキャリッジ32が退避領域NPLに位置したことが検出されたことに基づいて、検出部110に距離ΔLの検出を行わせる。つまり、制御部90は、第1経路部分K1のX軸方向における長さが最長となる位置にキャリッジ32が位置するときの距離ΔLに基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定する。第1経路部分K1のX軸方向における長さが最長となるとき、第1経路部分K1の自重が最大となるため、第1経路部分K1の-Z方向への垂れ量が最も大きくなる。よって、制御部90は、保護案内ベルト100の劣化をより正確に判定することができる。
さらに、検出部110による距離ΔLの検出は、キャリッジ32が停止しているときに行われることがより好ましい。この場合、制御部90は、キャリッジ32がX軸方向に移動しないようにキャリッジ32の駆動源である不図示のキャリッジモーターを制御するときに、検出部110に距離ΔLの検出を行わせる。つまり、制御部90は、キャリッジ32が停止状態であるときの距離ΔLに基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定する。キャリッジ32がX軸方向に移動している際には、キャリッジ32の移動によって生じる慣性モーメントが保護案内ベルト100に作用する。そして、この慣性モーメントの影響により、保護案内ベルト100における第1経路部分K1の自重によって垂れた部分が変形する虞がある。このため、検出部110による距離ΔLの検出精度が低下する可能性がある。これに対し、キャリッジ32が停止状態である際には、第1経路部分K1に上記の慣性モーメントが作用しない。よって、検出部110は、自重によって垂れた部分に不要な変形が生じない状態で距離ΔLを検出することができるため、制御部90は、保護案内ベルト100の劣化をより正確に判定することができる。
なお、検出部110は、制御部90の制御に基づくタイミングで距離ΔLを検出する構成に限定されない。例えば、検出部110は、キャリッジ32の位置に関わらず、常時距離ΔLの検出を繰り返し、検出結果を制御部90に出力し続ける構成であってもよい。この場合、制御部90は、検出部110から順次入力される距離ΔLのうち、キャリッジ32が所定の位置に位置しているときに入力された距離ΔLに基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定すればよい。
また、閾値SHは、上述のように、プリンター10の出荷前に予め決定された距離ΔLでもよいが、購入後に設定された距離ΔLでもよい。例えば、保護案内ベルト100の劣化が進行し、ユーザーが保護案内ベルト100の交換が必要であると判断した場合に、ユーザーは、保護案内ベルト100を交換する直前のタイミングで、操作部93を操作してプリンター10に距離ΔLの検出を指示する。この指示を受け付けると、制御部90は、検出部110に距離ΔLを検出させ、得られた距離ΔLを記憶部92に記憶し、これ以降、この記憶した距離ΔLを閾値SHとして使用する。
2.実施形態2
実施形態2に係るプリンター10は、実施形態1と同様の構成であるが、検出部110による距離ΔLの検出を、キャリッジ32のX軸方向への移動中に行う点が、実施形態1と異なっている。
図9は、キャリッジ32のX軸方向における位置Pと、キャリッジの移動速度Vとの関係を示すグラフである。なお、図9では、X軸方向において、停止しているキャリッジ32の加速が開始される位置をP1、加速が停止して移動速度Vが一定となる位置をP2、減速が開始される位置をP3、移動速度Vが0になってキャリッジ32が停止する位置をP4と定義している。
実施形態2に係るプリンター10は、実施形態1と同様の構成であるが、検出部110による距離ΔLの検出を、キャリッジ32のX軸方向への移動中に行う点が、実施形態1と異なっている。
図9は、キャリッジ32のX軸方向における位置Pと、キャリッジの移動速度Vとの関係を示すグラフである。なお、図9では、X軸方向において、停止しているキャリッジ32の加速が開始される位置をP1、加速が停止して移動速度Vが一定となる位置をP2、減速が開始される位置をP3、移動速度Vが0になってキャリッジ32が停止する位置をP4と定義している。
図9に示すように、キャリッジ32が移動する経路は、加速領域RAと、加速領域RAの次の領域である定速領域RCと、定速領域RCの次の領域である減速領域RDとに区分される。加速領域RAは、キャリッジ32の移動速度Vが時間の経過とともに増加する領域、すなわち停止状態から所定の速度まで加速する領域である。定速領域RCは、キャリッジ32の移動速度Vが一定となる領域、すなわち所定の速度で定速移動する領域である。定速領域RCでは、キャリッジ32の移動速度Vが略一定となるのであれば、移動速度Vが完全に一定となっていなくてもよい。減速領域RDは、キャリッジ32の移動速度Vが時間の経過とともに減少する領域、すなわち所定の速度から停止状態まで減速する領域である。
加速領域RAは、制御部90が、キャリッジ32の移動速度Vを0からV1とするために、キャリッジ32の駆動源である不図示のキャリッジモーターを制御する領域である。また、減速領域RDは、制御部90が、キャリッジ32の移動速度VをV1から0とするために、キャリッジ32の駆動源である不図示のキャリッジモーターを制御する領域である。
加速領域RA及び減速領域RDのように、速度の変動を受ける領域では、正または負の加速度が与えられることによって、キャリッジ32は振動する。キャリッジ32が振動すると、この振動がキャリッジ32に接続される保護案内ベルト100の第1経路部分K1にも伝播してしまう。この場合、第1経路部分K1の垂れ量が振動によって変化してしまうため、検出部110による第1経路部分K1までの距離ΔLの検出精度が低下し、制御部90は、保護案内ベルト100の劣化を正確に判定することができなくなる可能性がある。
これに対し、本実施形態では、検出部110による距離ΔLの検出は、キャリッジ32が定速領域RCを移動しているときに行われる。この場合、制御部90は、光学センサー41及び光学スケール部材43によってキャリッジ32が定速領域RCを移動していることが検出されたことに基づいて、検出部110に距離ΔLの検出を行わせる。つまり、制御部90は、キャリッジ32が定速領域RCを移動しているときの距離ΔLに基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定する。キャリッジ32が定速領域RCを移動している際には、第1経路部分K1に働く加速度は略0であるため、速度の変動による振動の影響を受けにくい。よって、検出部110は、速度の変動による振動の影響が小さい状態で、距離ΔLを検出することができるため、制御部90は、保護案内ベルト100の劣化を正確に判定することができる。
上記の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
メディアMは、布帛に限定されるものではない。例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、アクリル樹脂などの樹脂材料、紙、ガラス、金属、セラミックス、革、木材、陶器や、これらのうちの少なくとも1種で構成された繊維、絹、羊毛、綿、麻、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、アクリル、ポリウレタン、セルロース、リンター、レーヨン、キュプラ、アセテートなどの各種天然繊維、合成繊維、半合成繊維などであってもよいし、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせた材料であってもよい。また、メディアMとしては、シート状に限定されず、球状、直方体形状などの立体的な形状を有する物を用いてもよい。
上記実施形態では、従動ローラー23及び駆動ローラー24に巻き掛けられるグルーベルト22にメディアMを貼り付けて搬送する場合を例示したが、それ以外の構成であってもよい。例えば、搬送部20を、メディアMを支持する粘着性を有さないプラテンと、メディアMに対して+Z方向の位置に配置される第1搬送ローラーと、メディアMに対して-Z方向の位置に配置される第2搬送ローラーと、第1搬送ローラーもしくは第2搬送ローラーを回転駆動する搬送ローラー駆動機構とによって構成し、第1搬送ローラー及び第2搬送ローラーを互いに押圧させることによりメディアMを挟んだ状態で、プラテンに支持されるメディアMを+Y方向となる搬送方向に搬送させてもよい。
上記実施形態では、距離センサーである検出部110によって第1経路部分K1までの距離ΔLを検出することで、制御部90に保護案内ベルト100の劣化を判定させる場合を例示したが、それ以外の構成であってもよい。例えば、第1経路部分K1の-Z方向の位置であって、閾値SHと対応する位置に接触式のセンサーを配置してもよい。そして、制御部90は、接触式のセンサーから、第1経路部分K1を構成する複数個の単位ユニット101のうちのいずれかの単位ユニット101が当該接触式のセンサーに接触したこと示す信号が入力されることにより、保護案内ベルト100が劣化していると判定してもよい。
上記実施形態では、制御部90によって保護案内ベルト100が劣化していると判定された場合に、報知部94に保護案内ベルト100が劣化している旨の情報を報知させる場合を例示したが、それ以外の構成であってもよい。例えば、制御部90は、保護案内ベルト100が劣化していると判定した場合に、プリンター10の動作を停止させてもよい。
上記実施形態では、保護案内ベルト100は、吐出ヘッド31にインクを供給するチューブと、吐出ヘッド31の駆動回路に印字信号を送信するケーブルとを収容しているが、これらのうち、いずれか一方のみを収容する構成であってもよい。また、上記のチューブ及びケーブル以外の長尺部材Cを収容する構成であってもよい。
上記実施形態では、制御部90は、保護案内ベルト100の第1経路部分K1の垂れ量に基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定しているが、この構成に限定されない。例えば、検出部110が、第2経路部分K2の垂れ量を検出し、制御部90が、第2経路部分K2の垂れ量に基づいて、保護案内ベルト100が劣化しているか否かを判定してもよい。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
液体吐出装置は、メディアに液体を吐出する吐出ヘッドが配置され、第1方向及び前記第1方向に対し反対の方向である第2方向に移動可能なキャリッジと、一端が前記吐出ヘッドに接続される長尺部材と、前記長尺部材を収容して前記長尺部材の経路を案内する保護案内部と、前記保護案内部の垂れ量を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する制御部と、を備える。
上記構成によれば、制御部は、保護案内部の垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。これにより、保護案内部の挙動が不安定になること、及び、それに伴い保護案内部に収容される長尺部材への負荷が大きくなって長尺部材が破損してしまうことを抑制できる。
上記の液体吐出装置において、前記保護案内部は、前記キャリッジ側から前記第1方向に延出する第1経路部分と、前記第1経路部分と連なり、前記長尺部材の経路を前記第1方向から前記第2方向に反転させる反転部分と、前記反転部分と連なり、前記反転部分から前記第2方向に延出する第2経路部分と、を有し、前記反転部分は、前記キャリッジが移動することに伴って、前記第1方向及び前記第2方向における位置が変化し、前記検出部は、前記第1経路部分の垂れ量を検出する。
上記構成によれば、制御部は、保護案内部のうち、キャリッジ側に位置する第1経路部分の垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。第1経路部分は、キャリッジの移動に直接的に影響を与える部分であることから、第1経路部の劣化によってキャリッジの移動を妨げてしまうことを抑制できる。
上記の液体吐出装置において、前記制御部は、前記キャリッジが所定の位置に位置するときの前記第1経路部分の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する。
上記構成によれば、制御部は、キャリッジが所定の位置に位置するとき、すなわち第1経路部分の第1方向に沿う長さが所定の長さになったときの垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。これにより、第1経路部分の長さの相違による垂れ量の変動が抑制されるため、保護案内部の劣化をより正確に判定することができる。
上記の液体吐出装置において、前記所定の位置は、前記第1経路部分の前記第1方向に沿う長さが最長となる位置である。
上記構成によれば、制御部は、キャリッジの位置が、第1経路部分の長さが最長となる位置、すなわち自重による垂れ量が最大となる位置のときの垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。これにより、検出誤差などの影響が抑制されるため、保護案内部の劣化をより正確に判定することができる。
上記の液体吐出装置において、前記制御部は、前記第1経路部分の前記第1方向及び前記第2方向における中央の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する。
上記構成によれば、制御部は、第1経路部分において、垂れ量が大きくなりやすい中央の垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。これにより、検出誤差などの影響が抑制されるため、保護案内部の劣化をより正確に判定することができる。
上記の液体吐出装置において、前記制御部は、前記キャリッジが停止状態であるときの前記第1経路部分の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する。
キャリッジが移動している際には、キャリッジの移動によって生じる慣性モーメントが保護案内部に作用する。そして、この慣性モーメントの影響により、保護案内部における第1経路部分の自重によって垂れた部分が変形する。このため、保護案内部の劣化の判定が不正確となる可能性がある。
これに対し、上記構成によれば、制御部は、キャリッジが停止状態であるとき、すなわち第1経路部分に上記の慣性モーメントが作用しないときの垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。このため、保護案内部の劣化をより正確に判定することができる。
これに対し、上記構成によれば、制御部は、キャリッジが停止状態であるとき、すなわち第1経路部分に上記の慣性モーメントが作用しないときの垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。このため、保護案内部の劣化をより正確に判定することができる。
上記の液体吐出装置において、前記キャリッジが移動する経路は、停止状態から所定の速度まで加速する加速領域と、前記所定の速度で定速移動する定速領域と、前記所定の速度から前記停止状態まで減速する減速領域と、に区分され、前記制御部は、前記キャリッジが前記定速領域を移動しているときの前記第1経路部分の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する。
加速領域及び減速領域のように、速度の変動を受ける領域では、正または負の加速度が与えられることによって、キャリッジは振動する。キャリッジが振動すると、この振動が保護案内部の第1経路部分にも伝播してしまう。この場合、第1経路部分の垂れ量が振動によって変化してしまうため、保護案内部の劣化の判定が不正確となる可能性がある。
これに対し、上記構成によれば、制御部は、キャリッジが定速領域を移動しているとき、すなわち速度の変動による振動が生じにくいときの第1経路部分の垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。このため、保護案内部の劣化をより正確に判定することができる。
これに対し、上記構成によれば、制御部は、キャリッジが定速領域を移動しているとき、すなわち速度の変動による振動が生じにくいときの第1経路部分の垂れ量に基づいて、保護案内部が劣化しているか否かを判定する。このため、保護案内部の劣化をより正確に判定することができる。
上記の液体吐出装置において、報知部を備え、前記制御部は、前記保護案内部が劣化していると判定した場合に、前記保護案内部が劣化している旨の情報を前記報知部に報知させる。
上記構成によれば、ユーザーは、保護案内部が劣化したことを簡単に認識することができる。
1…工場、2…設置面、10…プリンター、20…搬送部、22…グルーベルト、22A…外周面、22B…内周面、221…プラテン、23…従動ローラー、24…駆動ローラー、30…印刷部、31…吐出ヘッド、32…キャリッジ、311…支持壁、311A…支持面、312…天壁、321…第1キャリッジ部、322…第2キャリッジ部、33…キャリッジガイド、33A…面、33B…面、34…ノズル列、36…ブロック、37…溝、38…レール、39…タイミングベルト、40…固定板、41…光学センサー、43…光学スケール部材、60…押圧部、61…押圧ローラー、63…ローラー支持部、70…洗浄部、90…制御部、91…処理部、92…記憶部、93…操作部、94…報知部、100…保護案内ベルト、101…単位ユニット、102…側片、103…連結片、104…孔部、105…ピン、110…検出部、C…長尺部材、F0…固定部、G1…移動端部、G2…固定端部、K1…第1経路部分、K2…第2経路部分、K3…反転部分、ΔL…距離、M…メディア、PL…印刷領域、NPL…退避領域、RA…加速領域、RC…定速領域、RD…減速領域、PR…制御プログラム、SH…閾値、P…位置、V…移動速度。
Claims (8)
- メディアに液体を吐出する吐出ヘッドが配置され、第1方向及び前記第1方向に対し反対の方向である第2方向に移動可能なキャリッジと、
一端が前記吐出ヘッドに接続される長尺部材と、
前記長尺部材を収容して前記長尺部材の経路を案内する保護案内部と、
前記保護案内部の垂れ量を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する制御部と、
を備える液体吐出装置。 - 前記保護案内部は、
前記キャリッジ側から前記第1方向に延出する第1経路部分と、
前記第1経路部分と連なり、前記長尺部材の経路を前記第1方向から前記第2方向に反転させる反転部分と、
前記反転部分と連なり、前記反転部分から前記第2方向に延出する第2経路部分と、
を有し、
前記反転部分は、前記キャリッジが移動することに伴って、前記第1方向及び前記第2方向における位置が変化し、
前記検出部は、前記第1経路部分の垂れ量を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。 - 前記制御部は、前記キャリッジが所定の位置に位置するときの前記第1経路部分の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。 - 前記所定の位置は、前記第1経路部分の前記第1方向に沿う長さが最長となる位置である
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。 - 前記制御部は、前記第1経路部分の前記第1方向及び前記第2方向における中央の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。 - 前記制御部は、前記キャリッジが停止状態であるときの前記第1経路部分の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 前記キャリッジが移動する経路は、
停止状態から所定の速度まで加速する加速領域と、
前記所定の速度で定速移動する定速領域と、
前記所定の速度から前記停止状態まで減速する減速領域と、
に区分され、
前記制御部は、前記キャリッジが前記定速領域を移動しているときの前記第1経路部分の垂れ量に基づいて、前記保護案内部が劣化しているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。 - 報知部を備え、
前記制御部は、前記保護案内部が劣化していると判定した場合に、前記保護案内部が劣化している旨の情報を前記報知部に報知させる
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022126861A JP2024024199A (ja) | 2022-08-09 | 2022-08-09 | 液体吐出装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022126861A JP2024024199A (ja) | 2022-08-09 | 2022-08-09 | 液体吐出装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024024199A true JP2024024199A (ja) | 2024-02-22 |
Family
ID=89940189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022126861A Pending JP2024024199A (ja) | 2022-08-09 | 2022-08-09 | 液体吐出装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024024199A (ja) |
-
2022
- 2022-08-09 JP JP2022126861A patent/JP2024024199A/ja active Pending
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