JP2024023621A - ポリオレフィン樹脂組成物、再生炭素繊維強化樹脂成形体、再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法、及び再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂組成物、再生炭素繊維強化樹脂成形体、再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法、及び再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】再生炭素繊維を使用して良好な品質の成形体を得ることができるポリオレフィン樹脂組成物、再生炭素繊維強化樹脂成形体、再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法、及び再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法の提供を目的とする。【解決手段】ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むポリオレフィン樹脂組成物、及び該ポリオレフィン樹脂組成物からなる再生炭素繊維強化樹脂成形体、及び再生炭素繊維を、ポリオレフィン樹脂とイミン変性ポリオレフィン樹脂と共に混練押出機で混練りし、該混練物を混練押出機から押し出してペレットにする再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法、及び該再生炭素繊維強化樹脂ペレットを用いて射出成形、押出成形、ブロー成形の何れかによって成形体を製造する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、再生炭素繊維を含むポリオレフィン樹脂組成物と、再生炭素繊維強化樹脂成形体と、再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法と、再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法に関する。
炭素繊維強化樹脂成形体は、軽量で高い剛性を有するため、各種の分野で使用されている。例えば、自動車や航空機の部品、ノートパソコンなどの携帯機器の筐体等に炭素繊維強化樹脂成形体は使用されている。
炭素繊維強化樹脂成形体の使用量が増加するにしたがい、使用後の炭素繊維強化樹脂成形体の廃棄量も増加し、その再利用が求められている。
炭素繊維強化樹脂成形体の再利用の一つとして、廃炭素繊維強化樹脂成形体から再生炭素繊維を得る方法が提案されている。
特開2013-64219号公報 特開平7-33904号公報
しかし、再生炭素繊維を使用した再生炭素繊維強化樹脂成形体は、バージン(未使用)の炭素繊維を使用した炭素繊維強化樹脂成形体と比べて物性が劣る問題があった。
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、再生炭素繊維を使用して良好な品質の成形体を得ることができるポリオレフィン樹脂組成物、再生炭素繊維強化樹脂成形体、再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法、及び再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法の提供を目的とする。
請求項1の発明は、ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むポリオレフィン樹脂組成物に係る。
請求項2の発明は、請求項1において、前記イミン変性ポリオレフィン樹脂は、前記再生炭素繊維の10~50重量%であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2において、前記再生炭素繊維は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、5~40重量部であることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記再生炭素繊維は、裁断されたチョップド再生炭素繊維、または粉砕されたミルド再生炭素繊維であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記再生炭素繊維は、廃炭素繊維強化樹脂の熱分解物であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1から5の何れか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物からなる再生炭素繊維強化樹脂成形体に係る。
請求項7の発明は、再生炭素繊維を、ポリオレフィン樹脂とイミン変性ポリオレフィン樹脂と共に混練押出機で混練りし、該混練物を前記混練押出機から押し出してペレットにすることを特徴とする再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法に係る。
請求項8の発明は、ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むポリオレフィン樹脂組成物から得られた再生炭素繊維強化樹脂ペレットを用い、射出成形、押出成形、ブロー成形の何れかによって成形体を得ることを特徴とする再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法に係る。
本発明によって得られるポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むものからなるため、再生炭素繊維を使用しているにもかかわらず、良好な品質の成形体を得ることができる。
実施例と比較例のポリオレフィン樹脂組成物の配合と物性等を示す表である。
以下、以下本発明における、ポリオレフィン樹脂組成物、再生炭素繊維強化樹脂成形体、再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法、及び再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法について説明する。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むものからなる。
ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレンとメチル、エチル、プロピル若しくはブチルの各アクリル酸エステルとの共重合体、又はこれらの塩素化物、あるいはそれらの混合物、さらにはそれらとアイソタクチックポリプロピレン若しくはアタクチックポリプロピレンの混合物等を挙げることができる。特に好ましいポリオレフィン樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレンである。
再生炭素繊維は、廃炭素繊維強化樹脂を加熱処理して得られる熱分解物が好ましい。廃炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維と樹脂とからなる炭素繊維強化樹脂(CFRP)成形体の廃棄物である。また、廃炭素繊維強化樹脂から再生炭素繊維を得るための加熱処理は、廃炭素繊維強化樹脂を加熱して樹脂を炭化物とし、その炭化物を酸化分解して炭素繊維(再生炭素繊維)を得る処理であり、公知の処理技術である。
再生炭素繊維は、裁断されたチョップド再生炭素繊維(好ましくは1~15mmの長さ)、または粉砕されたミルド再生炭素繊維の何れでもよい。チョップド再生炭素繊維は、ミルド再生炭素繊維よりも、成形体の線膨張係数が小になって伸縮性が小さくなる。一方、ミルド再生炭素繊維は、チョップド再生炭素繊維よりも、成形体の外観(平滑性)が良好になる。
再生炭素繊維の配合量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、5~40重量部が好ましく、より好ましくは5~10重量部である。再生炭素繊維の配合量が少なすぎると成形体の剛性が低くなり、逆に多すぎると成形体の成形性が低下するようになる。また、再生炭素繊維と共にバージンの炭素繊維を併用してもよい。
イミン変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィンにイミノ基を多数含有しているポリイミド化合物を、ラジカル発生剤の存在下でグラフト処理することによって得られるものである。ポリイミド化合物の基となるポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
イミン変性ポリオレフィン樹脂をポリオレフィン樹脂組成物に配合することにより、ポリオレフィン樹脂組成物の溶融押出時におけるメルトテンションの限界速度の値が大になり、成形体の外観(成形体表面の平滑性)を良好にできる。メルトテンションの限界速度は、樹脂の溶融押出時における増速引取による破断時の最大速度であり、JIS K7199に基づいて測定される。メルトテンションの限界速度の値が大きいほど、溶融体の破裂を生じ難いため、得られる成形体の表面の平滑性が良好なものになる。
イミン変性ポリオレフィン樹脂の配合量は、再生炭素繊維の10~50重量%が好ましい。イミン変性ポリオレフィン樹脂の配合量が少なすぎると、成形体の平滑性及び衝撃強度が悪くなる。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、再生炭素繊維強化樹脂ペレットにされて、再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造に用いられる。
再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造は、再生炭素繊維を、ポリオレフィン樹脂とイミン変性ポリオレフィン樹脂と共に、混練押出機で混練りし、該混練物をストランド状に押出し、水中冷却槽に通して冷却硬化し、ペレタイザーで切断してペレットとすることにより行うことができる。なお、樹脂のペレット化は、公知の方法である。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物を用いて行う再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造は、射出成形、押出成形、ブロー成形の何れかによって行われ、成形体の用途に応じた成形方法が採用される。
射出成形では、前記再生炭素繊維強化樹脂ペレットを、射出成形機に投入して溶融し、その溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出してキャビティ形状の再生炭素繊維強化樹脂成形体を形成し、その後金型から取り出す。
押出成形では、前記再生炭素繊維強化樹脂ペレットを、押出機に投入して溶融し、溶融樹脂をダイスから押し出してダイス形状の長尺品からなる再生炭素繊維強化樹脂成形体を形成する。
ブロー成形では、前記再生炭素繊維強化樹脂ペレットを押出機に投入して溶融し、ヘッドから筒状のパリソンを押し出し、前記パリソンをブロー金型内に挟み込み、その状態でパリソン内に気体を吹き込んで金型内面形状に膨らませることにより、中空の再生炭素繊維強化樹脂成形体を形成し、その後金型から取り出す。
なお、ブロー成形は、筒状のパリソンに代えてシート状に押し出して形成したシート状パリソンの2枚をブロー金型で挟み、2枚のシート状パリソン間に気体を吹き込んで金型内面形状に膨らませる方法でもよい。
図1の配合からなる各実施例及び各比較例のポリオレフィン樹脂組成物を、混練押出機(品名:KTX-30、神戸製鋼製)で溶融混練し、直径3mmのストランド状で水中冷却層に押し出し、ペレタイザー(品名:ストランドカッター、タナカ社製)で長さ3~4mmに切断して各実施例及び各比較例のペレットを製造した。溶融混練条件はバレルおよびダイ温度200℃、スクリュー回転数400rpm、吐出量20kg/hである。
使用した原料を以下に示す。
・ポリエチレン:高密度ポリエチレン(HDPE)、品名;ハイゼックス5000H、株式会社プライムポリマー製
・再生炭素繊維(チョップド):廃炭素繊維強化樹脂の熱分解物からなる繊維長10mm以下の再生炭素繊維、品名;チョップド再生CF繊維、カーボンファイバーリサイクル工業株式会社製

・再生炭素繊維(ミルド):廃炭素繊維強化樹脂の熱分解物からなる平均径25μmの再生炭素繊維、品名;ミルド再生CF繊維、カーボンファイバーリサイクル工業株式会社製
・イミン変性ポリオレフィン樹脂:品名:アドマー(登録商標)IP、三井化学株式会社製
・酸変性ポリオレフィン樹脂:マレイン酸変性ポリオレフィン、品名;ユーメックス、三洋化成株式会社製
各実施例及び各比較例のペレットを、押出成形機(品名:GS90、池貝社製)に投入し、押出成形によって、外径30mm、内径25mmからなるチューブ状の成形体を製造した。成形条件は、ダイ温度200℃、スクリュー回転数30rpm、引取速度2.0m/minである。
各実施例及び各比較例に対し、機械物性としてシャルピー衝撃強度(ノッチあり)、成形評価としてメルトテンション限界速度、線膨張係数(20℃°→60℃)を測定した。
シャルピー衝撃強度(ノッチあり)は、各実施例及び各比較例のペレットを、熱可塑性射出成形機に投入し、JIS K7111に定められたノッチ付き試験片サンプルを作成し、そのサンプルに対してJIS K7111に基づいて測定した。
メルトテンション限界速度は、JIS K7199に基づいて測定した。測定条件は、温度200℃ 、押出速度10m/minである。
メルトテンション限界速度は、樹脂の溶融押出時の増速引取による破断時の引取速度であり、限界速度の値が大きいほど、溶融樹脂の破断を生じ難いため、成形体外観(表面の平滑性)が良好になる。
メルトテンション限界速度の測定結果が9m/min未満の場合に、外観(表面の平滑性)評価「×」、9~12m/min未満の場合に「△」、12~18m/min未満の場合に「〇」、18m/min以上の場合に「◎」とした。
線膨張係数の測定方法は、長さ1000mmのサンプルを20℃の恒温槽に8時間収納した後、サンプルの長さLcを測定し、次に60℃の恒温槽に8時間収納した後、サンプルの長さLhを測定し、その値を用いて線膨張係数=(Lh-Lc)/[Lc(60-20)]の式によって線膨張係数(単位:/℃)を算出した。
実施例1は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部、イミン変性ポリオレフィン樹脂1重量部からなるポリオレフィン樹脂組成物の例である。
実施例1の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が10.1KJ/m、メルトテンション限界速度12.7m/min、外観(平滑性)「〇」、線膨張係数(20℃→60℃)が5.2×10-5/℃であり、十分な耐衝撃強度(シャルピー衝撃強度が十分に大きく)があり、外観の平滑性が良好で線膨張係数が十分に小さいものであった。
実施例2は、実施例1におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂を3重量部に増加させ、他を実施例1と同様にした例である。
実施例2の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が16.9KJ/m、メルトテンション限界速度17.1m/min、外観(平滑性)「〇」、線膨張係数(20℃→60℃)が2.7×10-5/℃であり、実施例1よりも耐衝撃強度が大きく、外観の平滑性が良好で線膨張係数が小さいものであった。
実施例3は、実施例1におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂を5重量部に増加させ、他を実施例1と同様にした例である。
実施例3の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が16.1KJ/m、メルトテンション限界速度16.8m/min、外観(平滑性)「〇」、線膨張係数(20℃→60℃)が3.4×10-5/℃であり、実施例1よりも耐衝撃強度が大きく、外観の平滑性が良好で線膨張係数が小さいものであった。
実施例4は、実施例2における再生炭素繊維(チョップド)10重量部に代えて再生炭素繊維(ミルド)10重量部を配合し、他を実施例2と同様にした例である。
実施例4の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が21.7KJ/m、メルトテンション限界速度18.6m/min、外観(平滑性)「◎」、線膨張係数(20℃→60℃)が8.5×10-5/℃であった。
実施例4は、実施例2の再生炭素繊維(チョップド)に代えて再生炭素繊維(ミルド)を配合した結果、実施例2よりも耐衝撃強度が大きく、外観の平滑性が良好になったが、線膨張係数については実施例2よりも大きくなった。
比較例1は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部からなり、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含まないポリオレフィン樹脂組成物の例であり、実施例1とは、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含まないことのみで相違する。
比較例1の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が7.8KJ/m、メルトテンション限界速度8.6m/min、外観(平滑性)「×」、線膨張係数(20℃→60℃)が6.1×10-5/℃であった。
比較例1は、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含まないため、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含む実施例1と比べて、耐衝撃強度が小さく(シャルピー衝撃強度の値が小さく)、外観の平滑性が悪く、線膨張係数が大きくなった。
比較例2は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部と、酸変性ポリオレフィン樹脂3重量部からなるポリオレフィン樹脂組成物の例であり、実施例2におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂3重量部に代えて酸変性ポリオレフィン樹脂3重量部を含む例である。
比較例2の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が10.3KJ/m、メルトテンション限界速度11.6m/min、外観(平滑性)「△」、線膨張係数(20℃→60℃)が5.6×10-5/℃であった。
比較例2は、酸変性ポリオレフィン樹脂を3重量部含むため、酸変性ポリオレフィン樹脂及びイミン変性ポリオレフィン樹脂を含まない比較例1と比べ、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てにおいて僅かに改善されたが、イミン変性ポリオレフィン樹脂を3重量部含む実施例2と比べると、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てについて劣っていた。
比較例3は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部と、酸変性ポリオレフィン樹脂5重量部からなるポリオレフィン樹脂組成物の例であり、実施例3におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂5重量部に代えて酸変性ポリオレフィン樹脂5重量部を含む例である。
比較例3の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が10.7KJ/m、メルトテンション限界速度11.3m/min、外観(平滑性)「△」、線膨張係数(20℃→60℃)が6.2×10-5/℃であった。
比較例3は、酸変性ポリオレフィン樹脂を比較例2の3重量部から5重量部に増加させたが、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てにおいて、比較例2と比べて殆ど変化がなく、イミン変性ポリオレフィン樹脂を5重量部含む実施例3と比べると、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てについて劣っていた。
このように、本発明のポリオレフィン樹脂組成物、再生炭素繊維強化樹脂成形体、再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法、及び再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法は、品質の良好な再生炭素繊維強化樹脂成形体を得ることができる。
第1の態様は、ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むポリオレフィン樹脂組成物に係る。
第2の態様は、第1の態様において、前記イミン変性ポリオレフィン樹脂は、前記再生炭素繊維の10~50重量%であることを特徴とする。
第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、前記再生炭素繊維は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、5~40重量部であることを特徴とする。
第4の態様は、第1の態様から第3の態様の何れか一において、前記再生炭素繊維は、裁断されたチョップド再生炭素繊維、または粉砕されたミルド再生炭素繊維であることを特徴とする。
第5の態様は、第1の態様から第4の態様の何れか一において、前記再生炭素繊維は、廃炭素繊維強化樹脂の熱分解物であることを特徴とする。
第6の態様は、第1の態様から第5の態様の何れか一に記載のポリオレフィン樹脂組成物からなる再生炭素繊維強化樹脂成形体に係る。
第7の態様は、再生炭素繊維を、ポリオレフィン樹脂とイミン変性ポリオレフィン樹脂と共に混練押出機で混練りし、該混練物を前記混練押出機から押し出してペレットにすることを特徴とする再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法に係る。
第8の態様は、ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むポリオレフィン樹脂組成物から得られた再生炭素繊維強化樹脂ペレットを用い、射出成形、押出成形、ブロー成形の何れかによって成形体を得ることを特徴とする再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法に係る。
実施例1は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部、イミン変性ポリオレフィン樹脂1重量部からなるポリオレフィン樹脂組成物の例である。
実施例1の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が10.1KJ/m、メルトテンション限界速度12.7m/min、外観(平滑性)「〇」、線膨張係数(20℃→60℃)が5.2×10 -5 /℃であり、十分な耐衝撃強度(シャルピー衝撃強度が十分に大きく)があり、外観の平滑性が良好で線膨張係数が十分に小さいものであった。
実施例2は、実施例1におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂を3重量部に増加させ、他を実施例1と同様にした例である。
実施例2の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が16.9KJ/m、メルトテンション限界速度17.1m/min、外観(平滑性)「〇」、線膨張係数(20℃→60℃)が2.7×10 -5 /℃であり、実施例1よりも耐衝撃強度が大きく、外観の平滑性が良好で線膨張係数が小さいものであった。
実施例3は、実施例1におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂を5重量部に増加させ、他を実施例1と同様にした例である。
実施例3の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が16.1KJ/m、メルトテンション限界速度16.8m/min、外観(平滑性)「〇」、線膨張係数(20℃→60℃)が3.4×10 -5 /℃であり、実施例1よりも耐衝撃強度が大きく、外観の平滑性が良好で線膨張係数が小さいものであった。
実施例4は、実施例2における再生炭素繊維(チョップド)10重量部に代えて再生炭素繊維(ミルド)10重量部を配合し、他を実施例2と同様にした例である。
実施例4の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が21.7KJ/m、メルトテンション限界速度18.6m/min、外観(平滑性)「◎」、線膨張係数(20℃→60℃)が8.5×10 -5 /℃であった。
実施例4は、実施例2の再生炭素繊維(チョップド)に代えて再生炭素繊維(ミルド)を配合した結果、実施例2よりも耐衝撃強度が大きく、外観の平滑性が良好になったが、線膨張係数については実施例2よりも大きくなった。
比較例1は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部からなり、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含まないポリオレフィン樹脂組成物の例であり、実施例1とは、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含まないことのみで相違する。
比較例1の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が7.8KJ/m、メルトテンション限界速度8.6m/min、外観(平滑性)「×」、線膨張係数(20℃→60℃)が6.1×10 -5 /℃であった。
比較例1は、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含まないため、イミン変性ポリオレフィン樹脂を含む実施例1と比べて、耐衝撃強度が小さく(シャルピー衝撃強度の値が小さく)、外観の平滑性が悪く、線膨張係数が大きくなった。
比較例2は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部と、酸変性ポリオレフィン樹脂3重量部からなるポリオレフィン樹脂組成物の例であり、実施例2におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂3重量部に代えて酸変性ポリオレフィン樹脂3重量部を含む例である。
比較例2の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が10.3KJ/m、メルトテンション限界速度11.6m/min、外観(平滑性)「△」、線膨張係数(20℃→60℃)が5.6×10 -5 /℃であった。
比較例2は、酸変性ポリオレフィン樹脂を3重量部含むため、酸変性ポリオレフィン樹脂及びイミン変性ポリオレフィン樹脂を含まない比較例1と比べ、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てにおいて僅かに改善されたが、イミン変性ポリオレフィン樹脂を3重量部含む実施例2と比べると、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てについて劣っていた。
比較例3は、ポリエチレン100重量部、再生炭素繊維(チョップド)10重量部と、酸変性ポリオレフィン樹脂5重量部からなるポリオレフィン樹脂組成物の例であり、実施例3におけるイミン変性ポリオレフィン樹脂5重量部に代えて酸変性ポリオレフィン樹脂5重量部を含む例である。
比較例3の成形体は、シャルピー衝撃強度(ノッチあり)が10.7KJ/m、メルトテンション限界速度11.3m/min、外観(平滑性)「△」、線膨張係数(20℃→60℃)が6.2×10 -5 /℃であった。
比較例3は、酸変性ポリオレフィン樹脂を比較例2の3重量部から5重量部に増加させたが、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てにおいて、比較例2と比べて殆ど変化がなく、イミン変性ポリオレフィン樹脂を5重量部含む実施例3と比べると、耐衝撃強度、外観の平滑性及び線膨張係数の全てについて劣っていた。

Claims (8)

  1. ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むポリオレフィン樹脂組成物。
  2. 前記イミン変性ポリオレフィン樹脂は、前記再生炭素繊維の10~50重量%であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  3. 前記再生炭素繊維は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、5~40重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  4. 前記再生炭素繊維は、裁断されたチョップド再生炭素繊維、または粉砕されたミルド再生炭素繊維であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  5. 前記再生炭素繊維は、廃炭素繊維強化樹脂の熱分解物であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
  6. 請求項1から5の何れか一項に記載のポリオレフィン樹脂組成物からなる再生炭素繊維強化樹脂成形体。
  7. 再生炭素繊維を、ポリオレフィン樹脂とイミン変性ポリオレフィン樹脂と共に混練押出機で混練りし、該混練物を前記混練押出機から押し出してペレットにすることを特徴とする再生炭素繊維強化樹脂ペレットの製造方法。
  8. ポリオレフィン樹脂と、再生炭素繊維と、イミン変性ポリオレフィン樹脂とを含むポリオレフィン樹脂組成物から得られた再生炭素繊維強化樹脂ペレットを用い、射出成形、押出成形、ブロー成形の何れかによって成形体を得ることを特徴とする再生炭素繊維強化樹脂成形体の製造方法。
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