JP2024023140A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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正幸 池上
Masayuki Ikegami
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Kenichi Shiiba
智章 石井
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Abstract

【課題】発色性及び耐光性が良好な画像を記録することが可能であるとともに、間欠吐出安定性が良好な水性インクを提供する。【解決手段】顔料、ウレタン樹脂、及びシリコーン系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクである。顔料が、第1顔料及び第2顔料を含み、第1顔料が、ナフトールAS系アゾ顔料であり、第2顔料が、キナクリドン系顔料である。ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する水溶性のウレタン樹脂である。シリコーン系界面活性剤が、特定の構造を有し、かつ、重量平均分子量が800以上10,000以下であるとともにグリフィン法によるHLB値が4以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録方法により、銀塩写真やオフセット記録で実現されているような高精細で発色性に優れた画像を記録することが可能となっている。インクに用いられる色材としては、染料や顔料がある。なかでも、堅牢性(光、オゾンガス、水などへの耐性)に優れた画像を記録しうる観点から、顔料が広く用いられている。
しかし、色材が粒子の状態で水性媒体中に分散されている顔料インクは、色材が溶解した状態で水性媒体中に存在する染料インクと比べて、画像の鮮明性や発色性が劣る場合がある。このため、顔料インクを用いた場合でも、染料インクに匹敵する色再現性を実現することが求められる。このような要求に対しては、記録に用いるインクの各色の色材の発色特性を改善することや、色材の含有量を高めることが有効である。
従来、マゼンタインクに用いられる顔料(以下、「マゼンタ顔料」と記載することがある。)としては、堅牢性に優れるキナクリドン系顔料が広く用いられてきた。しかし、キナクリドン系顔料は着色力が弱いという弱点があり、顔料の含有量を高めたとしても、近年要求される高いレベルの色再現性を達成することは困難であった。
一方、発色性及び鮮明性が高く色再現領域が広いマゼンタ顔料として、アゾ顔料が知られている。なかでも、ナフトールAS系アゾ顔料は、着色力に優れる。ナフトールAS系アゾ顔料とキナクリドン固溶体顔料とを併用することで、マゼンタ~レッド色域の彩度や濃度を向上させた画像を記録することができるインクが提案されている(特許文献1)。
ところで、耐光性に優れた画像を記録しうるインクへの要求も高まっている。これまでに、紫外線吸収剤や光安定化剤を含有させたインクが提案されている(特許文献2)。しかし、紫外線吸収剤及び光安定化剤は、インクの吐出性に影響を及ぼす場合がある。紫外線吸収剤や光安定化剤を使用せずに、ウレタン樹脂を添加することで耐光性が向上した画像を記録することができるインクが提案されている(特許文献3)。
特開2021-014535号公報 特開2016-006150号公報 特開2021-008563号公報
本発明者らの検討により、ナフトールAS系アゾ顔料とキナクリドン系顔料を併用した、特許文献1に記載のインクを用いると、発色性に優れる画像を記録できることがわかった。しかし、ナフトールAS系アゾ顔料は耐光性が低いため、画像が長期間にわたって光にさらされると退色することがわかった。この課題を解決すべく、本発明者らは、特許文献3を参考に、ウレタン樹脂を含有するインクを検討した。その結果、耐光性はやや向上したものの、近年求められるレベルを満足するものではなかった。また、画像の記録中や記録後に、記録ヘッドの回復動作を行わず、かつ、一定時間インクが吐出されない状態とした後、記録を再開するという条件で画像の記録を行った場合、インクの吐出精度が低下し、画像に乱れが生ずるという別の課題が発生した。上記のような状態から画像の記録が再開された際に、インクの吐出精度を良好に維持することができる性能は「間欠吐出安定性」と称されている。
したがって、本発明の目的は、発色性及び耐光性が良好な画像を記録することが可能であるとともに、間欠吐出安定性が良好な水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、顔料、ウレタン樹脂、及びシリコーン系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、前記顔料が、第1顔料及び第2顔料を含み、前記第1顔料が、ナフトールAS系アゾ顔料であり、前記第2顔料が、キナクリドン系顔料であり、前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する水溶性のウレタン樹脂であり、前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ、重量平均分子量が800以上10,000以下であるとともにグリフィン法によるHLB値が4以上であることを特徴とする水性インクが提供される。
Figure 2024023140000001
(前記一般式(1)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。m及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
Figure 2024023140000002
(前記一般式(2)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。pは1以上の整数を表し、c及びdは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
Figure 2024023140000003
(前記一般式(3)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。q及びrは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、e及びfは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
本発明によれば、発色性及び耐光性が良好な画像を記録することが可能であるとともに、間欠吐出安定性が良好な水性インクを提供することができる。また、本発明によれば、この水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らは、発色性と耐光性に優れる画像を記録するために、ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料、及びウレタン樹脂を含有するインクについて検討した。検討の結果、特定の条件で画像の記録を行った場合に、インクの吐出精度が低下し、画像に乱れが生ずることが判明した。
記録ヘッドの吐出口が形成された面が大気に接している場合、インクが吐出されるノズルの先端(吐出口)からはインクから液体成分(主に水)が蒸発している。画像を記録する際、記録ヘッドの回復を行わず、かつ、一定時間インクが吐出されない状態が続くと、吐出口からの液体成分の蒸発が進み、インクが濃縮され、インクの増粘や吐出口の目詰まりにより正常な吐出が行われなくなる場合がある。上記のような状態においても、画像の記録が再開された際に、インクの吐出精度を良好に維持することができる性能を、「間欠吐出安定性」と呼ぶ。ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料、及びウレタン樹脂を含有するインクでは、この間欠吐出安定性が低下しやすいことが判明した。
本発明者らは、ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料、及びウレタン樹脂を含有するインクで間欠吐出安定性が低下した原因を検討した。まず、間欠吐出安定性が低下した記録ヘッドを観察すると、インクの流路内に凝集物が堆積していることがわかった。このような堆積した凝集物がインクの正常な吐出の妨げとなり、吐出精度の低下の原因となっていると考えられる。さらなる検討の結果、上記凝集物は、ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料、及びウレタン樹脂の3成分のうちの1成分でも含有しないインクでは発生せず、3成分がインク中に共存する場合に特有に発生することがわかった。凝集物が発生する原因について、本発明者らは次のように推測している。
キナクリドン系顔料は、疎水性相互作用と水素結合の2つの相互作用によって、ウレタン樹脂に対して特異的に高い親和性を示す。そのため、キナクリドン系顔料にはウレタン樹脂が吸着しやすいと考えられる。
まず、キナクリドン系顔料は疎水性相互作用によって、ウレタン樹脂の吸着を生じさせしやすい。ウレタン樹脂は、通常、強度を発現するハードセグメントと、柔軟性を発現するソフトセグメントとで構成されている。ハードセグメントは、ポリイソシアネート、酸基含有成分、及び鎖延長剤などのそれぞれに由来するユニットで構成される。ソフトセグメントは、ポリオールなどに由来するユニットで構成される。一般的に、ハードセグメントは疎水性部位、ソフトセグメントは親水性部位である。キナクリドン系顔料は複数の芳香族環を有し疎水性が高い顔料であるため、ウレタン樹脂のハードセグメントと強く相互作用する。
さらに、キナクリドン系顔料は、水素結合によってもウレタン樹脂の吸着を生じさせしやすい。平面性の高い構造を持つ分子で構成されるキナクリドン系顔料は、芳香族環のπ-πスタッキングにより、分子平面に対して垂直方向に積層する結晶構造をとる。このとき、積層方向に対して垂直な方向には、キナクリドン骨格がもつアミノ基やカルボニル基などの構造が密集する結晶面が存在すると考えられる。この結晶面には、プロトン供与体となるアミノ基と、プロトン受容体となるカルボニル基が豊富に存在している。一方、ウレタン樹脂のハードセグメントとソフトセグメントの結合部には、ウレタン結合やウレア結合が存在する。これらの結合もまた、プロトン供与体と受容体となり得る構造の両方を持っているため、キナクリドン系顔料が非常に強い水素結合を形成することができると考えられる。
キナクリドン以外の骨格をもつマゼンタ顔料、例えば、アントラピリドン及びジオキサジンなどの顔料は、芳香族環が連なった分子骨格を有しており、疎水性が高い。しかし、これらの顔料は、プロトン受容体となるカルボニル基を有するものの、プロトン供与体となる構造を有しないため、ウレタン樹脂との相互作用はキナクリドン系顔料と比較して弱い。ジケトピロロピロールは、プロトン受容体となるカルボニル基と、プロトン供与体となるアミノ基をともに有しているが、疎水性が低いためキナクリドン系顔料ほどウレタン樹脂に対する親和性は高くない。疎水性が高く、かつ水素結合を形成しやすい置換基が結晶の一定方向に密集して存在するキナクリドン系顔料が、特異的にウレタン樹脂と相互作用しやすいと考えられる。
一方、マゼンタ顔料のなかでも、ナフトールAS系アゾ顔料はウレタン樹脂との相互作用が特に弱いと考えられる。ナフトールAS系アゾ顔料はカルバモイル基やヒドロキシ基などの親水基を有するため、顔料の粒子表面の親水性が高く、ウレタン樹脂の吸着を生じさせにくい。加えて、キナクリドン系顔料のように水素結合を形成できる置換基が密集した結晶面を形成しにくいため、ウレタン樹脂との親和性が特異的に低いと考えられる。
このように、ウレタン樹脂との親和性が特異的に高い顔料と、低い顔料とがインク中でウレタン樹脂と共存し、さらにインクが濃縮されて両顔料の距離が縮まり、相互作用を及ぼしやすい環境下では、下記のような現象が起こると推測される。
インクが濃縮されると、ナフトールAS系アゾ顔料に吸着していたウレタン樹脂の多くは、ナフトールAS系アゾ顔料の粒子表面から脱離し、より強い相互作用の働くキナクリドン系顔料の粒子表面に吸着する。このとき、ウレタン樹脂の脱離によりナフトールAS系アゾ顔料の分散状態が不安定化する。不安定化したナフトールAS系アゾ顔料が、ナフトールAS系アゾ顔料同士やキナクリドン系顔料と会合体を形成する。さらに、ウレタン樹脂が、会合体に含まれるキナクリドン系顔料と強く相互作用し、会合体の分子を橋かけすることで、結着力の強い凝集物が生じる。この凝集物は、ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料、及びウレタン樹脂の3成分が疎水性相互作用と水素結合により強く相互作用し、複雑に絡み合っているため、インクの流路内に起こるインクの流れによって再分散させることが困難である。そのため、記録ヘッドは予備吐出などの回復動作では回復せず、次第にインクの流路内に凝集物が堆積して間欠吐出安定性が低下すると考えられる。
インクがキナクリドン系顔料とウレタン樹脂を含有し、ナフトールAS系アゾ顔料を含有しない場合、又は、ナフトールAS系アゾ顔料とウレタン樹脂を含有し、キナクリドン系顔料を含有しない場合、間欠吐出安定性が低下するという課題は発生しない。これは、インクが、キナクリドン系顔料及びナフトールAS系アゾ顔料のうちの一方を含有しないことから、上述した両顔料間でのウレタン樹脂の吸着と脱離が起こらず、顔料の分散状態が不安定化しにくいためである。また、インクが、ナフトールAS系アゾ顔料とキナクリドン系顔料を含有し、ウレタン樹脂を含有しない場合は、顔料同士の接近により分散状態が不安定化し会合体が形成されることがある。しかし、この場合は、ウレタン樹脂による橋かけが生じないため、顔料同士の結着力は弱い。会合体はインクの流路内のインクの流れによって再分散され、インクの流路内に堆積しないため、間欠吐出安定性は低下しない。ただし、この場合、インクがウレタン樹脂を含有しないことから耐光性が低下し、発色性、耐光性、及び間欠吐出安定性の全てを同時に満足することができない。ウレタン樹脂以外の樹脂として、例えばアクリル樹脂などを含有させた場合も、凝集物は発生しないが耐光性との両立が困難である。
本発明者らは、画像の発色性及び耐光性、並びに間欠吐出安定性を両立する水性インクの構成について検討した。その結果、ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料、及びウレタン樹脂を含有するインクに、特定のシリコーン系界面活性剤を添加することで、発色性と耐光性が良好な画像を記録可能であり、間欠吐出安定性が良好なインクが得られることを見出した。このインクは、間欠吐出安定性が良好であることから、吐出精度が良好であり、記録される画像には乱れが生じにくくなる。
上記のような効果が得られる理由を、本発明者らは次のように推測している。上記特定のシリコーン系界面活性剤として用いうる後述の一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表される化合物は、いずれもエチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基を有する。このシリコーン系界面活性剤におけるエチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基の酸素原子には非共有電子対が存在し、これらが電子供与体となって分極した水素原子と水素結合を形成することができる。このとき、エチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基の分極の程度が小さいため、電子供与性は小さく、シリコーン系界面活性剤が形成する水素結合は比較的弱いものであると考えられる。
ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料、及びウレタン樹脂を含有するインクに、一般式(1)、(2)、又は(3)で表されるシリコーン系界面活性剤を添加すると、シリコーン系界面活性剤はキナクリドン系顔料やウレタン樹脂に吸着する。これにより、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂との間に形成される強固な水素結合の一部が、上述したシリコーン系界面活性剤が形成する弱い水素結合に置き換えられる。これによりキナクリドン系顔料とウレタン樹脂との間に働く相互作用が緩められたことで、ナフトールAS系アゾ顔料に吸着したウレタン樹脂がキナクリドン系顔料に奪われにくく、ナフトールAS系アゾ顔料の分散状態が安定に保たれる。
さらに、ナフトールAS系アゾ顔料の粒子表面には、少ないながらもシリコーン系界面活性剤が吸着する。これにより、ナフトールAS系アゾ顔料の近傍にシリコーン系界面活性剤のエチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基が存在するようになる。この水素結合部位を介してウレタン樹脂と相互作用しやすくなるため、ナフトールAS系アゾ顔料の分散状態がより安定に保たれる。
シリコーン系界面活性剤によって、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂との間の水素結合も弱まるため、3成分が強い力で凝集した凝集物が生じにくくなり、間欠吐出安定性が向上したと考えられる。
エチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基を有する他の界面活性剤、例えばアセチレングリコール系界面活性剤やフッ素系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤では、間欠吐出安定性は向上しなかった。シリコーン系界面活性剤を用いた場合でのみ効果が得られた理由を、本発明者らは以下のように推測している。
シリコーン系界面活性剤は、ケイ素原子と酸素原子が交互に連なったシロキサン結合を主骨格とする化合物である。シロキサン結合は、原子間の結合距離が長く、結合角が大きいことが特徴である。この特徴に起因して、シロキサン結合は柔軟性が高く、結合の自由度が高い。
水素結合には方向依存性があり、特定の方向にしか結合をつくることができない。主骨格の配置の自由度が高いシリコーン系界面活性剤では、水素結合部位であるエチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基がキナクリドン系顔料やウレタン樹脂の水素結合部位と効率的に相互作用できるような分子の配置をとりうると考えられる。それにより、シリコーン系界面活性剤は、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂との水素結合を弱めることができると考えられる。一方、炭素-フッ素結合や炭素-炭素結合は、シロキサン結合よりも原子間距離が短く、自由度が低い。そのため、これらを主骨格にもつフッ素系界面活性剤やポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤は、水素結合部位を、キナクリドン系顔料やウレタン樹脂と水素結合できる適切な位置に配置させることが難しいと考えられる。それゆえ、フッ素系界面活性剤やポリオキシアルキレンアルキルエーテル系界面活性剤では、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂との水素結合を緩めることができないため、間欠吐出安定性が向上しなかったと考えられる。
また、アセチレングリコール系界面活性剤は、気液界面への配向が速すぎるために間欠吐出安定性が向上しなかったと考えられる。気液界面への配向が速すぎると、界面活性剤がインクの流路に素早く吸着し、顔料やウレタン樹脂の近傍から失われる。記録が長期間休止した場合には、界面活性剤の大部分が顔料やウレタン樹脂から脱離してしまうため、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂との間の水素結合を緩めることができず、間欠吐出安定性が低下する。シリコーン系界面活性剤は、他の界面活性剤よりも気液界面への配向が遅い。そのため、記録の休止時間が長期に渡ったとしても、インクの流路に吸着しにくく、顔料やウレタン樹脂の近傍に残存するシリコーン系界面活性剤が多く存在する。したがって、シリコーン系界面活性剤は、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂との間の水素結合を緩めることができ、間欠吐出安定性が向上する。
上記の効果を得るためには、インクが含有するシリコーン系界面活性剤は、重量平均分子量が800以上10,000以下である必要がある。シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量が10,000を超えると、分子のサイズが大きくなり、立体障害のためにウレタン樹脂やキナクリドン系顔料の近傍に存在しにくくなる。すると、ウレタン樹脂とキナクリドン系顔料との水素結合を緩めることができず、間欠吐出安定性の向上効果が得られない。一方、シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量が800未満であると、エチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基のユニット数も必然的に小さくなる。これらの水素結合を形成できるユニット数が少ないと、ウレタン樹脂とキナクリドン系顔料に代わって水素結合を形成し、ウレタン樹脂とキナクリドン系顔料との相互作用を緩める作用が弱くなりすぎるため、間欠吐出安定性の向上効果が得られない。
また、シリコーン系界面活性剤のグリフィン法によるHLB値は4以上である必要がある。HLB値が4未満であると、シリコーン系界面活性剤がインクに溶解することができず、間欠吐出安定性の向上効果が得られない。
さらに、シリコーン系界面活性剤を含有したインクを用いると、間欠吐出安定性が向上しただけでなく、画像の耐光性をより一層向上させることができた。この理由を、本発明者らは以下のように推測している。ナフトールAS系アゾ顔料、キナクリドン系顔料及びウレタン樹脂を含有し、シリコーン系界面活性剤を含有しないインクで記録を行った画像を電子顕微鏡で観察した。その結果、ウレタン樹脂と考えられる不定形の物質は、顔料の粒子表面の全体を均一に被覆しておらず、偏在していたことが確認された。上述の通り、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂との間には強い水素結合が働く。そのため、インク中で多くのウレタン樹脂がキナクリドン系顔料に吸着し、ナフトールAS系アゾ顔料への吸着量が少なくなったために、ナフトールAS系アゾ顔料の粒子表面が露出した状態で存在していると推測される。ウレタン樹脂に十分被覆されていないナフトールAS系アゾ顔料は、光から保護されず、直射日光や蛍光灯の光などに直接曝露されるため、耐光性が低下したと考えられる。
ここで、インクにシリコーン系界面活性剤を含有させると、先述のとおり、シリコーン系界面活性剤が、キナクリドン系顔料とウレタン樹脂に作用し、これらの間に働く特異的に強い水素結合を弱める。つまり、ナフトールAS系アゾ顔料とキナクリドン系顔料に対する、ウレタン樹脂の吸着量の偏りが解消されうる。このようなインクを用いて画像を記録すると、顔料層上でのウレタン樹脂の偏在が解消され、ナフトールAS系アゾ顔料とキナクリドン系顔料とが万遍なく被覆された状態になりやすい。耐光性が低いナフトールAS系アゾ顔料が光から保護された状態になりやすいため、画像の耐光性が向上したと考えられる。
さらに、インク中のシリコーン系界面活性剤は、形成されるウレタン樹脂の膜の均一性を高める。シリコーン系界面活性剤のエチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基がウレタン樹脂同士の水素結合を緩めるため、顔料層中でウレタン樹脂が成膜する際のウレタン樹脂同士の凝集が抑制される。その結果、顔料がよりウレタン樹脂に被覆されやすく、耐光性の向上効果が得られたと考えられる。
また、上記の効果を得るためにはウレタン樹脂は水溶性である必要がある。ウレタン樹脂が水分散性であると、液体成分が蒸発した際に増粘しにくく、インクが浸透しやすい記録媒体を用いた場合にウレタン樹脂が顔料層に残らず、耐光性に優れた画像を記録することができなかった。また、インクにキナクリドン系顔料を含有させない場合も、ウレタン樹脂が記録媒体に浸透してしまい、画像の顔料層に効率的に残すことができず、耐光性が向上しなかった。このことから、ウレタン樹脂との特異的な相互作用は弱められるものの、キナクリドン系顔料はウレタン樹脂に相互作用を及ぼし、顔料層にウレタン樹脂をとどめる作用を有すると考えられる。
<インク>
上述の通り、本発明のインクは、特定の、顔料、ウレタン樹脂、及びシリコーン系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクである。本発明のインクは、いわゆる「硬化型インク」である必要はない。したがって、本発明のインクは、外部エネルギーの付加により重合しうる重合性モノマーなどの化合物を含有しなくてもよい。以下、インクを構成する各成分などについて詳細に説明する。
(顔料)
インクは、顔料として、少なくとも、第1顔料であるナフトールAS系アゾ顔料と、第2顔料であるキナクリドン系顔料とを含有する。インクには、1種又は2種以上の第1顔料と、1種又は2種以上の第2顔料を含有させることができる。
〔第1顔料〕
第1顔料は、ナフトールAS系アゾ顔料である。アゾ顔料は、芳香族アミンをジアゾ化したジアゾ成分と、カップラー成分とをカップリングした構造を有する化合物によって形成される顔料である。ナフトールAS系アゾ顔料は、カップラー成分として、ナフトールAS類を使用して得られるものである。ナフトールASは3-ヒドロキシ-2-カルボキシナフタレンアニリドであり、ナフトールAS類はヒドロキシ基やカルボキシナフタレンアニリドの置換位置が異なる化合物の総称である。
ナフトールAS系アゾ顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド:2、5、17、22、31、112、146、147、150、170、176、185、266、269;C.I.ピグメントオレンジ22;C.I.ピグメントバイオレット50などを挙げることができる。上記のナフトールAS系アゾ顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド:31、146、147、150、269が好ましく、C.I.ピグメントレッド150がさらに好ましい。C.I.ピグメントレッド:31、146、147、150、269では、カップラー成分として、下記一般式(4)で表される化合物が使用されている。このような構造をとるカップラー成分を使用して得られるナフトールAS系アゾ顔料は、ウレタン樹脂と水素結合を形成しやすくなるため、画像の耐光性が向上しやすくなる。また、濃縮された状態のインクにおける第1顔料の分散状態が安定に保たれやすいため、インクの間欠吐出安定性が向上しやすい。
C.I.ピグメントレッド150を用いると、耐光性をさらに向上させることができるため好ましい。C.I.ピグメントレッド150では、カップラー成分として、下記一般式(4)で表される化合物のうち、当該式中のRが水素原子である化合物が使用されている。このカップラー成分が使用されたことでこのような構造を持つC.I.ピグメントレッド150は、CONH基の窒素原子に結合した2つの水素原子が水素結合を形成することができる。そのため、C.I.ピグメントレッド150は、ウレタン樹脂とより相互作用しやすくなるため、画像の耐光性とインクの間欠吐出安定性が向上しやすい。
Figure 2024023140000004
(一般式(4)中、Rは、水素原子、又は下記一般式(5)で表される基を表す。)
Figure 2024023140000005
(一般式(5)中、R、R、及びR10は、以下の(5-1)乃至(5-4)のいずれかを表し、*は一般式(4)中のRが結合する窒素原子との結合手を表す。
(5-1)R及びRが水素原子であるとともにR10がニトロ基である。
(5-2)R及びR10がメトキシ基であるとともにRが塩素原子である。
(5-3)Rがメチル基、Rが水素原子、R10が塩素原子である。
(5-4)Rがメトキシ基、Rが水素原子、R10が塩素原子である。)
〔第2顔料〕
第2顔料は、キナクリドン系顔料である。キナクリドン系顔料は、キナクリドン(5,12-ジヒドロ-キノ[2,3-b]アクリジン-7,14-ジオン)やキナクリドン誘導体で形成される顔料である。
キナクリドン系顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド:122、192、202、206、207、209;C.I.ピグメントバイオレット19などを挙げることができる。2種以上のキナクリドン系顔料の固溶体を用いてもよい。固溶体は、混晶とも呼ばれ、2種以上の顔料が相互に溶け合って全体として均一な固相を形成しているものであり、2種以上の顔料を単純に混合したものとは異なる。2種以上のキナクリドン系顔料の固溶体の市販品としては、以下商品名で、「CROMOPHTAL Jet 2BC」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)、「Cinquasia Magenta D 4500 J」、「Cinquasia Magenta D 4400」(以上、BASF製)、「Inkjet Magenta E 02」、「Inkjet Magenta E7B LV 3958」、「Inkjet Magenta E7B 02 VP 3958」(以上、クラリアント製)、「FASTOGEN Super Magenta JM2120」(DIC製)などを挙げることができる。
上記のキナクリドン系顔料のなかでも、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料がさらに好ましい。キナクリドンの固溶体は、結晶形成過程で配列にひずみが生じており、1種類のキナクリドンからなる顔料よりも、キナクリドン骨格のアミノ基が結晶表面に表れる頻度が高い。そのため、ウレタン樹脂と水素結合を形成しやすくなる。一方、固溶体を構成するキナクリドン系顔料が嵩高い置換基を有していると、置換基の立体障害により水素結合面に乱れが生じ、ウレタン樹脂が吸着しにくくなる。メチル基で置換されたC.I.ピグメントレッド122と、無修飾キナクリドンであるC.I.ピグメントバイオレット19とを含む固溶体顔料では、置換基のサイズが小さい。そのために、固溶体の水素結合面が乱されにくく、ウレタン樹脂の吸着量が多くなるため、耐光性が向上しやすい。
インクは、上記の顔料以外にも、必要に応じて、その他の顔料を含有させることができる。その他の顔料としては、当該分野で公知のカーボンブラックなどの無機顔料や有機顔料を挙げることができる。水性インク中の顔料の含有量(質量%)に占める、第1顔料及び第2顔料の合計の含有量(質量%)の割合は、95.0質量%以上であることが好ましく、100.0質量%であってもよい。
〔顔料の分散方式〕
顔料の分散方式としては、樹脂分散剤を用いる樹脂分散顔料、界面活性剤により分散させた顔料、顔料の粒子表面の少なくとも一部を樹脂などで被覆したマイクロカプセル顔料などを挙げることができる。また、顔料の粒子表面にアニオン性基などの親水性基を含む官能基を結合させた自己分散顔料や、顔料の粒子表面に高分子を含む有機基を化学的に結合させた顔料(樹脂結合型の自己分散顔料)などを用いることもできる。インクには、いずれの分散方式の顔料であっても用いることができる。さらに、分散方式の異なる顔料を組み合わせて使用することも可能である。なかでも、その粒子表面に物理吸着させた樹脂分散剤の作用によって顔料を分散させる方式(樹脂分散顔料)が好ましい。
〔顔料の含有量〕
インク中の顔料(第1顔料及び第2顔料の合計)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の第1顔料(ナフトールAS系アゾ顔料)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.02質量%以上3.00質量%以下であることが好ましく、0.20質量%以上2.00質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の第2顔料(キナクリドン系顔料)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.08質量%以上12.00質量%以下であることが好ましく、0.80質量%以上8.00質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の第1顔料(ナフトールAS系アゾ顔料)の含有量(質量%)は、第2顔料(キナクリドン系顔料)の含有量(質量%)よりも小さいことが好ましい。
インク中の、顔料の含有量(質量%)は、ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.00倍以上であることが好ましく、また、25.00倍以下であることが好ましく、6.00倍以下であることがさらに好ましい。上記質量比率が1.00倍以上であることにより、画像の顔料層に占めるウレタン樹脂の割合が抑えられ、顔料層の表面平滑性が高まり、散乱が生じ難くなることで画像の発色性を高めやすくなる。一方、上記質量比率が25.00倍以下であることにより、顔料がウレタン樹脂で十分に被覆され、画像の耐光性の向上効果が得られやすくなる。
インク中の、第2顔料(キナクリドン系顔料)の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.80倍以上であることが好ましく、また、0.95倍以下であることが好ましく、0.94倍以下であることがさらに好ましい。上記質量比率が0.80倍以上であることにより、ウレタン樹脂を吸着しやすい性質であるキナクリドン系顔料の質量比率が高いことで顔料層に存在するウレタン樹脂の量が十分となり、画像の耐光性の向上効果が得られやすくなる。一方、上記質量比率が0.95倍以下であることにより、発色効率に優れるナフトールAS系アゾ顔料の含有量を確保できることで、画像の発色性を高めやすくなる。また、インク中の、第1顔料(ナフトールAS系アゾ顔料)の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.01倍以上0.20倍以下であることが好ましい。インク中の、第1顔料(ナフトールAS系アゾ顔料)の含有量(質量%)は、第2顔料(キナクリドン系顔料)の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.01倍以上0.50倍以下であることが好ましく、0.01倍以上0.40倍以下であることが好ましい。
(ウレタン樹脂)
ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する。これらのユニットを有するウレタン樹脂の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。本明細書において、樹脂の「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位を意味する。
インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上6.00質量%以下であることがさらに好ましい。ウレタン樹脂の含有量(質量%)が0.10質量%以上であることにより、画像の耐光性の向上効果が得られやすい。ウレタン樹脂の含有量(質量%)が10.00質量%以下であることにより、インクの粘度上昇が抑えられ、インクの吐出安定性を維持しやすい。
〔ポリイソシアネート〕
ポリイソシアネートは、その分子構造中に2以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。これらのポリイソシアネートは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ウレタン樹脂中のポリイソシアネートに由来するユニットの割合(質量%)は、10.0質量%以上80.0質量%以下であることが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、及び3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネートなどを挙げることができる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、及び1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、及び1,4-フェニレンジイソシアネートなどを挙げることができる。芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。
上記のポリイソシアネートのなかでも、イソホロンジイソシアネートが好ましい。ポリウレタン樹脂の構造において、ポリイソシアネートに由来するユニットは疎水性部位として存在する。ポリイソシアネートの中でもイソホロンジイソシアネートは、シクロヘキサン環の3位の炭素に2つのメチル基を有するため、特に疎水性が強い。そのため、イソホロンジイソシアネートに由来するユニットを有するポリウレタン樹脂を用いると、シリコーン系界面活性剤が疎水性相互作用により吸着しやすい。シリコーン系界面活性剤が多く吸着すると、ウレタン樹脂とキナクリドン系顔料の間の水素結合を弱める作用が強くなり、間欠吐出安定性と耐光性が向上しやすい。
〔酸基を有しないポリオール〕
酸基を有しないポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシポリアセタール、ポリヒドロキシポリアクリレート、ポリヒドロキシポリエステルアミド、及びポリヒドロキシポリチオエーテルなどを挙げることができる。これらの酸基を有しないポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸基を有しないポリオールの数平均分子量は、1,500以上4,000以下であることが好ましい。酸基を有しないポリオールの数平均分子量が1,500以上であることにより、ウレタン樹脂中のソフトセグメントであるポリオールの鎖長が長いためウレタン分子鎖の運動性が上がり、ウレタン樹脂同士のハードセグメント間で水素結合を形成し難くなる。その結果、ウレタン樹脂は、顔料との間で水素結合を形成できる部位が増え、顔料層上に残るウレタン樹脂の量が増えるため、画像の耐光性の向上効果が得られやすい。一方、酸基を有しないポリオールの数平均分子量が4,000以下であることにより、ウレタン樹脂の親水性を適度にしやすく、シリコーン系界面活性剤の吸着量が多くなる。そのため、キナクリドン系顔料との間の水素結合を弱めやすく、間欠吐出安定性や画像の耐光性を向上させる効果が得られやすい。
ポリエステルポリオールとしては、酸成分と、ポリアルキレングリコール、2価アルコール、又は3価以上の多価アルコールとのエステルを挙げることができる。酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、及び脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、及びテトラヒドロフタル酸などを挙げることができる。脂環族ジカルボン酸としては、上記の芳香族ジカルボン酸の水素添加物などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、琥珀酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキル琥珀酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、及びイタコン酸などを挙げることができる。これらの酸成分の酸無水物、アルキルエステル又は酸ハライドなどの反応性誘導体も、ポリエステルポリオールを構成する酸成分として用いることができる。これらの酸成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びエチレングリコール-プロピレングリコール共重合体などを挙げることができる。2価アルコールとしては、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、4,4-ジヒドロキシフェニルプロパン、及び4,4-ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5-ヘキサントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、及びペンタエリスリトールなどを挙げることができる。これらのポリエステルポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、ポリアルキレングリコール、アルキレンオキサイドと、2価アルコール又は3価以上の多価アルコールとの付加重合物を挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、及びα-オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。ポリアルキレングリコール、2価アルコール、及び3価以上の多価アルコールとしては、上記のポリエステルポリオールを構成する成分として例示したものを挙げることができる。これらのポリエーテルポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートジオールを用いることができる。例えば、ヘキサンジオール系のポリカーボネートジオールである、ポリヘキサメチレンカーボネートを挙げることができる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、及びジアルキルカーボネートなどのカーボネートと、ホスゲンと、脂肪族ジオールと、を反応させて得られるポリカーボネートジオールを挙げることができる。これらのポリカーボネートジオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の酸基を有しないポリオールのなかでも、ポリエーテルポリオールを用いることがより好ましく、ポリプロピレングリコールを用いることがさらに好ましい。ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールに由来するユニットを含むウレタン樹脂では、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテルポリオールの分岐鎖が立体障害となり、ウレタン樹脂同士の水素結合の形成が抑制される。ウレタン樹脂同士の水素結合が抑制されることで、顔料と水素結合を形成できる水素結合部位が増えるため、顔料層に残るウレタン樹脂の量が多くなり、耐光性向上効果がより得られやすい。
〔酸基を有するポリオール〕
酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、及びホスホン酸基などの酸基を有するポリオールを挙げることができる。酸基は、カルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、及びジメチロールブタン酸などを挙げることができる。酸基を有するポリオールの酸基は塩型であってもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン;アンモニウムイオン、ジメチルアミンなどの有機アミンのカチオンなどを挙げることができる。酸基を有するポリオールは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔ポリアミン〕
ウレタン樹脂は、ポリアミンをさらに反応させたものであってもよい。ポリアミンとしては、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、及びジブタノールメチルアミンなどの複数のヒドロキシ基を有するモノアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、及びヒドラジンなどの2官能ポリアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリアミドポリアミン、及びポリエチレンポリイミンなどの3官能以上のポリアミン;などを挙げることができる。これらのポリアミンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、上記では便宜上、複数のヒドロキシ基と、1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物も「ポリアミン」として列挙した。
〔架橋剤、鎖延長剤〕
ウレタン樹脂を合成する際には、架橋剤や鎖延長剤を用いることができる。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長などの目的に応じて、水や、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
〔分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合〕
また、ウレタン樹脂は、酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合が、30.0モル%以下であることが好ましい。上記の割合が30.0モル%以下であることにより、記録媒体の表面近傍にウレタン樹脂が残りやすくなり、画像の耐光性をさらに高めやすくなる。前記割合は、0.0モル%以上であることが好ましい。
〔検証方法〕
ウレタン樹脂の、酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合は、以下に示す方法により検証することができる。検証対象とするウレタン樹脂としては、インクの調製のために準備したウレタン樹脂や、インクから適宜に取り出したウレタン樹脂を用いることができる。まず、ウレタン樹脂を熱分解ガスクロマトグラフィーで分析して、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールの種類を特定する。次に、特定したポリイソシアネートと、酸基を有するポリオールとの反応物を重水素化ジメチルスルホキシド(重DMSO)に溶解させ、カーボン核磁気共鳴分光法(13C-NMR)で分析する。これにより、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素(低磁場側)の化学シフトを確認する。さらに、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素(高磁場側)の化学シフトを確認する。
次いで、酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の合計に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の割合を算出する。これにより、ウレタン樹脂の、酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合を求めることができる。例えば、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)を用いた場合、測定条件により多少のずれは生ずるが、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、176ppm付近に検出される。また、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、175ppm付近に検出される。さらに、ジメチロールブタン酸(DMBA)を用いた場合、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、175ppm付近に検出される。そして、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、174ppm付近に検出される。なお、上記の13C-NMRにより分析することで、ポリオールに由来するユニットの繰り返し数を求め、数平均分子量を算出することもできる。
(シリコーン系界面活性剤)
インクは、下記一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のシリコーン系界面活性剤を含有する。なお、一般式(1)乃至(3)において、(CO)はエチレンオキサイド基、(CO)はプロピレンオキサイド基を示す。各シリコーン系界面活性剤は、エチレンオキサイド基及びプロピレンオキサイド基の少なくとも一方を有する。各シリコーン系界面活性剤においては、エチレンオキサイド基とプロピレンオキサイド基とがその構造中に存在する状態は、ランダムの形態やブロックの形態など、どのような状態で存在していてもよい。ここで、各基がランダムの状態で存在することとは、エチレンオキサイド基とプロピレンオキサイド基とが「基(ユニット)」の単位で不規則に配列していることを意味している。また、各基がブロックの状態で存在することとは、各ブロックがそれぞれいくつかの上記「基(ユニット)」を単位として構成され、このように構成されたブロックの単位で配列していることを意味している。
Figure 2024023140000006
Figure 2024023140000007
Figure 2024023140000008
一般式(1)、(2)、及び(3)中、R、R、及びRは、アルキレン基を表し、R、R、及びRは、水素原子又はアルキル基を表す。m及びnはそれぞれ独立して、また、q及びrはそれぞれ独立して、m、n、p、q、及びrは、1以上の整数を表す。a及びb、c及びd、並びにe及びfは、いずれもそれぞれ独立して、a、b、c、d、e、及びfは、0以上の整数を表す。ただし、aとb、cとd、並びにeとfが、それぞれ同時に0になることはない。
シリコーン系界面活性剤における、一般式(1)中のR、一般式(2)中のR、及び一般式(3)中のRで表されるアルキレン基は、炭素原子数が2以上6以下のアルキレン基であることが好ましい。このアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、プロピレン基がさらに好ましい。
シリコーン系界面活性剤における、一般式(1)中のR、一般式(2)中のR、及び一般式(3)中のRがとりうるアルキル基は、炭素原子数が1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基がより好ましい。なかでも、シリコーン系界面活性剤における、一般式(1)乃至(3)中のR、R、又はRはメチル基であることがさらに好ましい。メチル基は凝集力が低く、対象物との相互作用が小さい特徴がある。シリコーン系界面活性剤のエチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基の末端がメチル基の場合、メチル基によってウレタン樹脂同士の相互作用が弱まり、凝集が緩やかになる。その結果、顔料層上で形成されるウレタン樹脂の膜の均一性が高くなり、画像の耐光性が向上しやすくなる。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記一般式(A)で表される化合物と、下記一般式(B)で表される化合物との付加反応で得られる。また、一般式(2)で表される化合物は、例えば、下記一般式(C)で表される化合物と、下記一般式(D)で表される化合物との付加反応で得られる。また、一般式(3)で表される化合物は、例えば、下記一般式(E)で表される化合物と、下記一般式(F)で表される化合物との付加反応で得られる。一般式(A)で表される化合物は、一般式(A)中のn個のSiに結合したn個の水素原子を有するポリシロキサン化合物である。一般式(C)で表される化合物及び一般式(E)で表される化合物は、両末端に水素原子を有するポリシロキサン化合物である。一般式(B)で表される化合物、一般式(D)で表される化合物、及び一般式(F)で表される化合物は、エチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基を有するポリオキシアルキレン化合物である。
Figure 2024023140000009
(一般式(A)中のm及びnは、それぞれ、一般式(1)中のm及びnと同義である。)
Figure 2024023140000010
(一般式(B)中のR11はアルケニル基を表し、R、a及びbは、それぞれ、一般式(1)中のR、a及びbと同義である。)
Figure 2024023140000011
(一般式(C)中のpは、一般式(2)中のpと同義である。)
Figure 2024023140000012
(一般式(D)中のR31はアルケニル基を表し、R、c及びdは、それぞれ、一般式(2)中のR、c及びdと同義である。)
Figure 2024023140000013
(一般式(E)中のqは、一般式(3)中のqと同義である。)
Figure 2024023140000014
(一般式(F)中のR51及びR61はそれぞれ独立に、アルケニル基を表し、e及びfは、それぞれ、一般式(3)中のe及びfと同義である。)
一般式(B)中のR11は、一般式(A)で表される化合物と一般式(B)で表される化合物との付加反応により、一般式(1)中のRとなる基である。一般式(D)中のR31は、一般式(C)で表される化合物と一般式(D)で表される化合物との付加反応により、一般式(2)中のRとなる基である。一般式(F)中のR51及びR61は、一般式(E)で表される化合物と一般式(F)で表される化合物との付加反応により、それぞれ、一般式(3)中のR及びRとなる基である。一般式(B)中のR11、一般式(D)中のR31、並びに一般式(F)中のR51及びR61で表されるアルケニル基は、炭素原子数が2以上6以下のアルケニル基であることが好ましく、アリル基であることがさらに好ましい。
シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は、800以上10,000以下である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布における、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表されるシリコーン系界面活性剤は、種々の分子量を持つものの混合物であるため、その分子量は、平均分子量として求められる。
〔シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量の測定〕
シリコーン系界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。シリコーン系界面活性剤のMwの測定方法は、具体的には以下の通りであり、後述する実施例で使用した界面活性剤1~13のMwは、以下に述べる好ましい測定方法によって測定した。なお、フィルター、カラム、標準ポリスチレン試料及びその分子量などの測定条件は、下記に限られるものではない。
まず、測定対象の試料をテトラヒドロフラン(THF)に入れて数時間静置して溶解し、溶液を調製する。その後、ポアサイズ0.2μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで前記溶液をろ過して試料溶液とする。試料溶液中の試料の濃度は、シリコーン系界面活性剤の含有量が0.1質量%乃至0.3質量%になるように調整する。GPCには、RI検出器(Refractive Index Detector)を用いる。また、10乃至2×10の分子量の範囲を正確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせることが好ましい。例えば、Shodex LF-804(昭和電工製)を4本組み合わせて用いることや、これに相当するものを用いることができる。40.0℃のヒートチャンバー中で安定化したカラムに移動相としてTHFを流速1mL/minで流し、上記の試料溶液を約0.1mL注入する。試料の重量平均分子量は、標準ポリスチレン試料で作成した分子量検量線を用いて決定する。標準ポリスチレン試料は、分子量が10乃至10程度のもの(例えば、Polymer Laboratories製)を用い、また、少なくとも10種程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適切である。
〔シリコーン系界面活性剤のHLB値〕
ノニオン性界面活性剤の親水性や親油性の程度を表す物性値として、グリフィン法により求められるHLB値があり、0以上20以下の値をとる。HLB値が小さいほど親油性が高く、HLB値が大きいほど親水性が高い。グリフィン法によるHLB値は、下記式(6)より算出することができる。上記のシリコーン系界面活性剤の場合、下記式(6)中の親水部は、エチレンオキサイド基及び/又はプロピレンオキサイド基である。
HLB値=20×界面活性剤の親水部の式量の総和/界面活性剤の分子量 (6)
シリコーン系界面活性剤のグリフィン法によるHLB値は4以上である。また、前記HLB値は18以下であることが好ましい。インクに2種以上のシリコーン系界面活性剤を含有させる場合には、シリコーン系界面活性剤のHLB値は、2種以上のシリコーン系界面活性剤のHLB値の平均値(好ましくは、質量基準の含有量で重みづけした平均値)をとる。
インク中のシリコーン系界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.01質量%以上1.00質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上0.50質量%以下であることがさらに好ましい。インク中の第1顔料の含有量(質量%)は、シリコーン系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.00倍以上15.00倍以下であることが好ましい。インク中の第2顔料の含有量(質量%)は、シリコーン系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、40.00倍以上55.00倍以下であることが好ましい。インク中の水溶性のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、シリコーン系界面活性剤の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.00倍以上60.00倍以下であることが好ましく、5.00倍以上20.00倍以下であることがさらに好ましい。
(水性媒体)
インクは、水性媒体として少なくとも水を含有する水性のインクである。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましく、50.00質量%以上90.00質量%以下であることがさらに好ましい。
水性媒体は、さらに水溶性有機溶剤を含有してもよい。水溶性有機溶剤としては、1価アルコール類、多価アルコール類、(ポリ)アルキレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素極性溶剤類、及び含硫黄極性溶剤類などを挙げることができる。水溶性有機溶剤の1種又は2種以上を用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましく、3.00質量%以上30.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(その他の添加剤)
インクは、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温(25℃)で固体の水溶性有機化合物を含有してもよい。さらに、インクは、必要に応じて、その他の樹脂、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂など、種々の添加剤を含有してもよい。
(インクの物性)
25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上10.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることがさらに好ましく、1.0mPa・s以上3.0mPa・s以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクの表面張力(静的表面張力)は、10.0mN/m以上60.0mN/m以下であることが好ましく、20.0mN/m以上60.0mN/m以下であることがさらに好ましく、30.0mN/m以上50.0mN/m以下であることが特に好ましい。25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明の水性インクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明の水性インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。本発明においては、インクを記録媒体に付与する工程を行えばよく、別処理(インクと反応する反応液を付与する工程、活性エネルギー線などの照射により画像を硬化する工程、画像を加熱する工程など)は行わなくてもよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
本発明のインクを用いて記録する対象の記録媒体としては、どのようなものを用いてもよいが、普通紙や、コート層を有する記録媒体(光沢紙やアート紙)などの、インクの浸透性を有する記録媒体を用いることが好ましい。なかでも、インク中の顔料粒子の少なくとも一部を記録媒体の表面やその近傍に存在させることができる、コート層を有する記録媒体を用いることが好ましい。このような記録媒体は、画像を記録した記録物の使用目的などに応じて選択することができる。例えば、写真画質の光沢感を有する画像を得るのに適している光沢紙や、絵画、写真、及びグラフィック画像などを好みに合わせて表現するために、基材の風合い(画用紙調、キャンバス地調、和紙調など)を生かしたアート紙などが挙げられる。なかでも、コート層の表面が光沢性を持つ、いわゆる光沢紙を用いることが特に好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<顔料の準備>
以下の固溶体顔料を準備した。
(固溶体顔料1)
3-アミノ-4-メトキシベンズアニリド23.4部を、水364.4部に添加し、よく撹拌して懸濁液を調製したのち、氷を加えて液温を5℃に調整して懸濁液を得た。この懸濁液に35%塩酸39.7部を添加し、1時間撹拌した。その後、亜硝酸ナトリウム7.1部を水22.0部に溶解させた水溶液を添加し、1時間撹拌することにより、3-アミノ-4-メトキシベンズアニリドをジアゾ化し、反応液を得た。得られた反応液にスルファミン酸1.0部を加え、亜硝酸を消失させたのち、酢酸ナトリウム20.7部、酢酸1.8部、水165.0部の水溶液を添加し、ジアゾニウム水溶液とした。3-ヒドロキシ-2-ナフトアミド15.0部及び3-ヒドロキシ-3’-ニトロ-2-ナフトアニリド5.0部を、25%水酸化ナトリウム水溶液31.8部及び水414.0部に添加し、よく撹拌して、カップラー水溶液を調製した。そして、上記で調製したジアゾニウム水溶液にカップラー水溶液を加え、1時間撹拌して反応を完結させた後、混合物スラリーを70℃に加熱処理し、さらにろ過、水洗することにより、ナフトールASアゾ顔料の固溶体顔料のプレスケーキを得た。さらにこのプレスケーキを、90℃、18時間の条件下で乾燥した後、粉砕することで、C.I.ピグメントレッド150とC.I.ピグメントレッド31の固溶体顔料1を得た。
(固溶体顔料2)
C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、及びC.I.ピグメントレッド202の固溶体顔料である市販の顔料(商品名「Inkjet Magenta E7B 02 VP 3958」、クラリアント製)を固溶体顔料2として用いた。
(固溶体顔料3)
C.I.ピグメントレッド122、及びC.I.ピグメントバイオレット19の固溶体顔料である市販の顔料(商品名「Inkjet Magenta E 02」、クラリアント製)を固溶体顔料3として用いた。
(固溶体顔料4)
C.I.ピグメントレッド202、及びC.I.ピグメントバイオレット19の固溶体顔料である市販の顔料(商品名「FASTOGEN Super Magenta JM2120」、DIC製)を固溶体顔料4として用いた。
<顔料分散液の調製>
常法により、スチレン80.7部及びアクリル酸19.3部を共重合して、酸価150mgKOH/g、重量平均分子量8,000の水溶性樹脂である、アクリル樹脂1を合成した。得られたアクリル樹脂1を酸価と等モルの水酸化カリウムを添加してイオン交換水に溶解させ、アクリル樹脂1の含有量が20.00%である、アクリル樹脂1の水溶液を調製した。
表1に示す種類の顔料10.0部、アクリル樹脂1の水溶液20.0部、及びイオン交換水70.0部の混合物を、サンドグラインダーに入れ、1時間分散処理を行った。その後、遠心分離処理を行って粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、適量のイオン交換水を加えて、顔料の含有量が10.00%、アクリル樹脂1の含有量が4.00%の各顔料分散液を得た。
Figure 2024023140000015
<ウレタン樹脂の合成>
(ウレタン樹脂1~14)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、表2に示す種類及び使用量の、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、ジメチロールプロピオン酸の一部(使用量a)、及びメチルエチルケトン200.0部を入れた。そして、窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間反応させた。次いで、表2に示す種類及び使用量の、ジメチロールプロピオン酸の一部(使用量b)、鎖延長剤、停止剤、及びメチルエチルケトン100.0部を添加した。FT-IRによりイソシアネート基の残存率を確認し、所望の残存率になるまで80℃で反応させて反応液を得た。得られた反応液を40℃まで冷却した後、イオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら、適量のイオン交換水、及び合成した樹脂の酸価と等モルの水酸化カリウムを添加して、液体を得た。得られた液体からメチルエチルケトンを加熱減圧して留去し、ウレタン樹脂の含有量が20.00%であり、水溶性のウレタン樹脂1~14を含む液体をそれぞれ得た。得られたウレタン樹脂1~14は、いずれも水溶性であった。表2中の略記号は、IPDI:イソホロンジイソシアネート、HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート、PPG:ポリプロピレングリコール、PTMG:ポリテトラメチレングリコール、EDA:エチレンジアミン、NPG:ネオペンチルグリコール、MeOH:メタノールであり、PPG及びPTMGに付した数字は数平均分子量を表す。
(分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合)
ウレタン樹脂を含む液体に塩酸を添加してウレタン樹脂を析出させた。乾燥させた樹脂を重DMSOに溶解して測定用試料を調製した。そして、13C-NMR(装置名「Avance500」、BRUKER Bio Spin製)により調製した試料を分析した。そして、酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の合計に占める、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピーク積算値の割合を算出した。このように算出した値(割合)を、「分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合」とした。例えば、ジメチロールプロピオン酸を用いた場合、測定条件により多少のずれは生ずるが、分子末端に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、176ppm付近に検出される。また、分子内部に存在する酸基を有するポリオールに由来するユニット中のカルボニル炭素のピークは、175ppm付近に検出される。結果を「末端酸基の割合(モル%)」として表2に示す。
Figure 2024023140000016
(ウレタン樹脂15)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、ポリプロピレングリコール(数平均分子量1,000)43.5部、イソホロンジイソシアネート44.5部、及びジブチル錫ジラウレート0.007部を入れた。そして、窒素ガス雰囲気下、100℃で5時間反応させた。反応系を60℃程度まで冷却した後、メチルエチルケトン150.0部、ジメチロールプロピオン酸9.0部、及びネオペンチルグリコール3.0部を添加し、反応容器内を80℃に加熱したのち、重合反応を行った。その後、反応系を室温まで冷却した後、メタノール20.0部を添加し、反応を停止させた。次いで、水を添加し、さらに水酸化カリウム水溶液を撹拌しながら添加し、中和した。そして、減圧下で混合溶液を加熱してメチルエチルケトン及び未反応のメタノールを留去し、水溶性のウレタン樹脂の含有量が20.00%である、ウレタン樹脂15の水溶液を得た。ウレタン樹脂15の、末端酸基の割合は50.0モル%であった。
(ウレタン樹脂16)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコに、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2,000)39.7部、イソホロンジイソシアネート44.2部、及びジブチル錫ジラウレート0.007部を入れた。そして、窒素ガス雰囲気下、100℃で5時間反応させた。反応系を60℃程度まで冷却した後、メチルエチルケトン150.0部、ジメチロールプロピオン酸13.1部、及びネオペンチルグリコール3.0部を添加し、反応容器内を80℃に加熱したのち、重合反応を行った。その後、反応系を室温まで冷却した後、メタノール20.0部を添加し、反応を停止させた。次いで、水を添加し、さらに水酸化カリウム水溶液を撹拌しながら添加し、中和した。そして、減圧下で混合溶液を加熱してメチルエチルケトン及び未反応のメタノールを留去し、水溶性のウレタン樹脂の含有量が20.00%である、ウレタン樹脂16の水溶液を得た。ウレタン樹脂16の、末端酸基の割合は50.0モル%であった。
(ウレタン樹脂粒子の合成)
ネオペンチルグリコール26.0部、1,4-ブタンジオール20.0部、アジピン酸54.0部、及びエステル化触媒(テトライソプロピルチタネート)0.003部をフラスコに入れた。120℃に加熱して溶融させた後、撹拌しながら3~4時間かけて220℃に昇温して10時間保持した。100℃まで冷却して、数平均分子量2,000のポリエステルポリオールを得た。撹拌機、還流冷却装置、温度計、及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、上記のポリエステルポリオール60.0部、イソホロンジイソシアネート36.0部、ジメチロールプロピオン酸4.0部、及びメチルエチルケトン60.1部を入れ、5時間反応させた。50%水酸化カリウム水溶液を添加して、カルボン酸基を中和した後、さらに水を加え十分に撹拌した。次いで、減圧下で加熱して溶剤を除去し、樹脂粒子の含有量が20.00%である、ウレタン樹脂粒子の水分散液を得た。
<アクリル樹脂2の合成>
撹拌機、還流冷却装置、及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコを用意した。この4つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル200.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下で撹拌して130℃に昇温した。単量体として、スチレン65.0部、アクリル酸ブチル20.0部、アクリル酸15.0部、重合開始剤としてt-ブチルパーオキサイド4.0部を3時間かけて滴下した。2時間エージングした後、エチレングリコールモノブチルエーテルを減圧下で留去して樹脂を得た。得られた樹脂に、その酸価と等モル量の水酸化カリウム、及び適量のイオン交換水を加え、80℃に加熱して溶解させた。これにより、アクリル樹脂の含有量が20.00%である、アクリル樹脂2を含む水溶液を得た。
<界面活性剤の準備>
(界面活性剤1~10)
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器に、以下に述べるポリシロキサン化合物及びポリオキシアルキレン化合物を入れ、白金触媒の存在下で付加反応させて、界面活性剤1~10を合成した。上記ポリシロキサン化合物には、前述の一般式(A)、並びに、一般式(A)中のm及びnが表3に示される数、で表される化合物を用いた。また、上記ポリオキシアルキレン化合物には、前述の一般式(B)、並びに、一般式(B)中のa、b、R11及びRが表3に示される数又は構造、で表される化合物を用いた。上記の合成により得られた各界面活性剤は、前述の一般式(1)、及び一般式(1)中のRが表3に示される構造で表される化合物である。一般式(1)中のm、n、a、b、及びRは、合成に用いた各化合物の構造を表す一般式(A)及び(B)中のm、n、a、b、及びRにそれぞれ対応する。表3には、得られた各界面活性剤の重量平均分子量(Mw)、及びHLB値も示す。
Figure 2024023140000017
(界面活性剤11及び12)
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器に、以下に述べるポリシロキサン化合物及びポリオキシアルキレン化合物を入れ、白金触媒の存在下で付加反応させて、界面活性剤11及び12を合成した。上記ポリシロキサン化合物には、前述の一般式(C)、並びに、一般式(C)中のpが表4に示される数、で表される化合物を用いた。また、上記ポリオキシアルキレン化合物には、前述の一般式(D)、並びに、一般式(D)中のc、d、R31及びRが表4に示される数又は構造、で表される化合物を用いた。上記の合成により得られた各界面活性剤は、前述の一般式(2)、及び一般式(2)中のRが表4に示される構造で表される化合物である。一般式(2)中のp、c、d、及びRは、合成に用いた各化合物の構造を表す一般式(C)及び(D)中のp、c、d、及びRにそれぞれ対応する。表4には、得られた各界面活性剤の重量平均分子量(Mw)、及びHLB値も示す。
Figure 2024023140000018
(界面活性剤13)
温度計及び撹拌手段を備えたガラス製の容器に、以下に述べるポリシロキサン化合物及びポリオキシアルキレン化合物を入れ、白金触媒の存在下で付加反応させて、界面活性剤13を合成した。上記ポリシロキサン化合物には、前述の一般式(E)中のqが表5に示される数で表される化合物を用いた。また、上記ポリオキシアルキレン化合物には、前述の一般式(F)中のe、f、R51及びR61が表5に示される数又は構造で表される化合物を用いた。上記の合成により得られた界面活性剤は、前述の一般式(3)、及び一般式(3)中のR、Rが表5に示される構造で表される化合物である。一般式(3)中のq、e、f、R及びRは、合成に用いた各化合物の構造を表す一般式(E)及び(F)中のq、e、f、R及びRにそれぞれ対応する。また、一般式(3)中のrは、表5に示されるrに対応する。表5には、得られた界面活性剤の重量平均分子量(Mw)、及びHLB値も示す。
Figure 2024023140000019
(界面活性剤14~19)
以下に示す市販の界面活性剤14~19を用いた。
・界面活性剤14
商品名「アセチレノールE100」(川研ファインケミカル製)、アセチレングリコール系界面活性剤
・界面活性剤15
商品名「Captone FS3100」(デュポン製)、フッ素系界面活性剤
・界面活性剤16
商品名「NIKKOL BC-20」(日光ケミカルズ製)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤
・界面活性剤17
商品名「サーフィノール440」(日信化学工業製)、アセチレングリコール系界面活性剤
・界面活性剤18
商品名「サンノールNL1430」(ライオン製)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤
・界面活性剤19
商品名「サーフィノール420」(日信化学工業製)、アセチレングリコール系界面活性剤
<インクの調製>
表6(表6-1~6-8)の中段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して各インクを調製した。表6の中段に示す「顔料分散液I」、「顔料分散液II」、「ウレタン樹脂の水溶液」、及び「界面活性剤」には、それぞれ、表6の上段に示す種類(番号)のものを用いた。ただし、表6の上段中の「-」は使用しなかったことを表す。表6の中段の「プロキセルGXL」は、アーチケミカルズ製の防腐剤の商品名である。表6の下段には、インクの特性をまとめて示した。すなわち、インク中の、第1顔料(顔料分散液I-1~I-8中の顔料)の含有量A(%)、第2顔料(顔料分散液II-1~II-5中の顔料)の含有量Q(%)、顔料の含有量P(%)、ウレタン樹脂の含有量U(%)、シリコーン系界面活性剤の含有量S(%)を示した。同様に、P/Uの値(倍)、A/Pの値(倍)、Q/Pの値(倍)、A/Qの値(倍)、A/Sの値(倍)、Q/Sの値(倍)、及びU/Sの値(倍)を示した。
Figure 2024023140000020
Figure 2024023140000021
Figure 2024023140000022
Figure 2024023140000023
Figure 2024023140000024
Figure 2024023140000025
Figure 2024023140000026
Figure 2024023140000027
(比較例22)
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、比較例22のインクを調製した。このインクは、第2顔料を含有しないインクである。
・顔料分散液I-7:40.00%
・ウレタン樹脂15の水溶液:25.00%
・界面活性剤10:1.00%
・1,2-ペンタンジオール:15.00%
・プロキセルGXL:0.05%
・イオン交換水:18.95%
(比較例23)
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、比較例23のインクを調製した。このインクは、水溶性のウレタン樹脂及び一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表される界面活性剤を含有しないインクである。
・顔料分散液I-1:24.00%
・顔料分散液II-3:56.00%
・界面活性剤17:0.40%
・界面活性剤18:0.40%
・グリセリン:8.00%
・数平均分子量200のポリエチレングリコール:3.00%
・トリエチレングリコール:5.00%
・トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル:2.00%
・イオン交換水:1.20%
(比較例24)
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、比較例24のインクを調製した。このインクは、水溶性のウレタン樹脂を含有しないインクである。
・顔料分散液I-1:15.60%
・顔料分散液II-2:34.51%
・界面活性剤6:0.50%
・グリセリン:10.00%
・ブチルジグリコール:20.00%
・イオン交換水19.39%
(比較例25)
下記に示す各成分を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過して、比較例25のインクを調製した。このインクは、一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表される界面活性剤を含有しないインクである。
・顔料分散液I-8:25.00%
・顔料分散液II-4:15.00%
・ウレタン樹脂16の水溶液:25.00%
・界面活性剤19:1.00%
・1,2-ペンタンジオール:15.00%
・イオン交換水:19.00%
<評価>
調製した各インクを用いて以下に示す各評価を行った。本実施例においては、以下に示す各評価項目の評価基準において、「AA」、「A」、及び「B」を許容できるレベル、「C」及び「D」を許容できないレベルとした。評価には、熱エネルギーによりインクを吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS PRO-10」)を用いた。本実施例では、1/600インチ×1/600インチの単位領域に35ngのインクを付与する条件で記録した画像を、記録デューティが100%であると定義した。評価環境は、温度25℃、相対湿度55%とした。評価結果を表7に示す。
(発色性)
調製した各インクをインクカートリッジに充填し、上記のインクジェット記録装置にセットした。記録媒体(光沢紙、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールドGL-101」、キヤノン製)に、記録デューティが50%であるベタ画像を記録し、25℃の環境で1日乾燥させた。分光測色計(商品名「FD-7」、コニカミノルタ製)を使用し、光源D50、視野2°の条件でベタ画像の光学濃度を測定した。得られた光学濃度のうち、マゼンタ成分の光学濃度を以下に示す評価基準にしたがって評価した。
A:光学濃度が2.0以上であった。
B:光学濃度が1.8以上2.0未満であった。
C:光学濃度が1.6以上1.8未満であった。
(耐光性)
調製した各インクをインクカートリッジに充填し、上記のインクジェット記録装置にセットした。記録媒体(マット紙、商品名「キヤノン写真用紙・プレミアムマットPM-101」、キヤノン製)に、記録デューティが5%であるベタ画像を記録し、25℃の環境で1日乾燥させた。記録したベタ画像の光学濃度を、分光測色計(商品名「FD-7」、コニカミノルタ製)を使用して測定した(耐光性試験前の光学濃度)。その後、ベタ画像をキセノン光試験装置(低温サイクルキセノンウェザーメーターXL-75C:スガ試験機製)に投入した。そして、照度を50klx、槽内空気温度を23℃、相対湿度を50%、ブラックパネル温度を23℃として、積算放射照度が33,400klx・hrとなるまでキセノン光を照射した。その後、ベタ画像の光学濃度を測定した(耐光性試験後の光学濃度)。得られた耐光性試験前後の光学濃度の値から、光学濃度の残存率(%)(=(耐光性試験後の光学濃度/耐光性試験前の光学濃度)×100)を算出し、以下に示す評価基準にしたがって画像の耐光性を評価した。
AA:光学濃度の残存率が90%以上であった。
A:光学濃度の残存率が80%以上90%未満であった。
B:光学濃度の残存率が75%以上80%未満であった。
C:光学濃度の残存率が70%以上75%未満であった。
D:光学濃度の残存率が70%未満であった。
(間欠吐出安定性)
調製した各インクをインクカートリッジに充填し、上記のインクジェット記録装置にセットした。記録媒体(光沢紙、商品名「キヤノン写真用紙・光沢 ゴールドGL-101」、キヤノン製)に、記録デューティが50%であるベタ画像を1枚記録した後、インクジェット記録装置を所定時間休止させた。その後、各吐出口から1回だけインクを吐出させた。インクが正常に吐出されると、吐出口列と略同じ幅の縦罫線が記録される。記録された線を目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがって間欠吐出安定性を評価した。
AA:休止時間が10分の時点で、全体の90%以上の吐出口から正常にインクが吐出された。
A:休止時間が10分未満5分以上で、全体の90%以上の吐出口から正常にインクが吐出された。
B:休止時間が5分未満1分以上で、全体の90%以上の吐出口から正常にインクが吐出された。
C:休止時間が1分未満15秒以上で、全体の90%以上の吐出口から正常にインクが吐出された。
D:休止時間が15秒以上になると、全体の90%以上の吐出口から正常にインクが吐出されず、よれる又は不吐出になった。
Figure 2024023140000028
なお、本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)顔料、ウレタン樹脂、及びシリコーン系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
前記顔料が、第1顔料及び第2顔料を含み、前記第1顔料が、ナフトールAS系アゾ顔料であり、前記第2顔料が、キナクリドン系顔料であり、
前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する水溶性のウレタン樹脂であり、
前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ、重量平均分子量が800以上10,000以下であるとともにグリフィン法によるHLB値が4以上であることを特徴とする水性インク。
Figure 2024023140000029
(前記一般式(1)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。m及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
Figure 2024023140000030
(前記一般式(2)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。pは1以上の整数を表し、c及びdは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
Figure 2024023140000031
(前記一般式(3)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。q及びrは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、e及びfは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
(構成2)前記水性インク中の、前記顔料の含有量(質量%)が、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.00倍以上である構成1に記載の水性インク。
(構成3)前記水性インク中の、前記第2顔料の含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.80倍以上である構成1又は2に記載の水性インク。
(構成4)前記第1顔料が、C.I.ピグメントレッド:31、146、147、150、及び269からなる群より選択される少なくとも1種である構成1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成5)前記第1顔料が、C.I.ピグメントレッド150である構成1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成6)前記第2顔料が、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料である構成1乃至5のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成7)前記シリコーン系界面活性剤における、前記一般式(1)中のR、前記一般式(2)中のR、又は前記一般式(3)中のRが、メチル基である構成1乃至6のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成8)前記ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネートを含む構成1乃至7のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成9)前記酸基を有しないポリオールの数平均分子量が1,500以上4,000以下である構成1乃至8のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成10)前記酸基を有しないポリオールが、ポリプロピレングリコールである構成1乃至9のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成11)前記ウレタン樹脂における、前記酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する前記酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合が、30.0モル%以下である構成1乃至10のいずれか1項に記載の水性インク。
(構成12)インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、構成1乃至11のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
(方法1)インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、構成1乃至11のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

Claims (13)

  1. 顔料、ウレタン樹脂、及びシリコーン系界面活性剤を含有するインクジェット用の水性インクであって、
    前記顔料が、第1顔料及び第2顔料を含み、前記第1顔料が、ナフトールAS系アゾ顔料であり、前記第2顔料が、キナクリドン系顔料であり、
    前記ウレタン樹脂が、ポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、及び酸基を有するポリオールのそれぞれに由来するユニットを有する水溶性のウレタン樹脂であり、
    前記シリコーン系界面活性剤が、下記一般式(1)乃至(3)のそれぞれで表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ、重量平均分子量が800以上10,000以下であるとともにグリフィン法によるHLB値が4以上であることを特徴とする水性インク。
    Figure 2024023140000032
    (前記一般式(1)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。m及びnは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、a及びbは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
    Figure 2024023140000033
    (前記一般式(2)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。pは1以上の整数を表し、c及びdは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
    Figure 2024023140000034
    (前記一般式(3)中、Rはアルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表す。q及びrは、それぞれ独立に1以上の整数を表し、e及びfは、それぞれ独立に0以上の整数を表すが、同時に0になることはない。)
  2. 前記水性インク中の、前記顔料の含有量(質量%)が、前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)に対する質量比率で、1.00倍以上である請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記水性インク中の、前記第2顔料の含有量(質量%)が、前記顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.80倍以上である請求項1に記載の水性インク。
  4. 前記第1顔料が、C.I.ピグメントレッド:31、146、147、150、及び269からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の水性インク。
  5. 前記第1顔料が、C.I.ピグメントレッド150である請求項1に記載の水性インク。
  6. 前記第2顔料が、C.I.ピグメントレッド122とC.I.ピグメントバイオレット19を含む固溶体顔料である請求項1に記載の水性インク。
  7. 前記シリコーン系界面活性剤における、前記一般式(1)中のR、前記一般式(2)中のR、又は前記一般式(3)中のRが、メチル基である請求項1に記載の水性インク。
  8. 前記ポリイソシアネートが、イソホロンジイソシアネートを含む請求項1に記載の水性インク。
  9. 前記酸基を有しないポリオールの数平均分子量が1,500以上4,000以下である請求項1に記載の水性インク。
  10. 前記酸基を有しないポリオールが、ポリプロピレングリコールである請求項1に記載の水性インク。
  11. 前記ウレタン樹脂における、前記酸基を有するポリオールに由来するユニット全体に占める、分子末端に存在する前記酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合が、30.0モル%以下である請求項1に記載の水性インク。
  12. インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
    前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  13. インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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