JP2024021710A - ラベル付きパルプモールド - Google Patents

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Seiya Fushida
奈央子 和田
Naoko Wada
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Abstract

【課題】良好な外観上の美観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドを提供する。【解決手段】ラベル付きパルプモールド1Aは、パルプモールド2Aとラベル3Aとを備える。パルプモールド2Aは、曲面部と、ラベル3Aから遠ざかる方向に向けてパルプモールド2Aが屈曲または湾曲することでその少なくとも一部に構成された凹部21aとを有する。ラベル3Aは、曲面部を覆う第1領域と、曲面部以外の部分のパルプモールド2Aを覆う第2領域32とを有する。第1領域には、ラベル3Aの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置し、当該部分のラベル3Aは、パルプモールド2A側に向けて入り込む。第2領域32が凹部21aの周囲に位置する部分のパルプモールド2Aの表面に貼り付けられて凹部21aの開口部が第2領域32によって閉塞されることで、第2領域32と凹部21aとの間に空間10が設けられる。【選択図】図2

Description

本発明は、ラベル付きパルプモールドに関する。
近年、環境負荷の低減の観点から、容器としてのパルプモールドに対するニーズが高まっている。また、パルプモールドに収容される商品が多様化していることから、その商品の形状に合わせてパルプモールドの形状も多様化しており、特に、立体的な形状を有しかつ美観に優れたパルプモールドが求められている。
立体的な形状を有するパルプモールドの美観を向上させるための方法として、たとえば特開2002-201599号公報(特許文献1)や特開2002-138400号公報(特許文献2)には、デザインが施されたラベルを貼り付けることによって美観の向上が図られたラベル付きパルプモールドが開示されている。
特開2002-201599号公報 特開2002-138400号公報
ここで、パルプモールドが曲面部を有する場合、当該曲面部に沿って貼り付けられた部分のラベルに生じる皺や折り重なりが原因となって、ラベル付きパルプモールドの表面の手触り感や美観が損なわれてしまう問題があった。
一方で、ラベル付きパルプモールドにおいては、内部に収容される物品の大きさや形状、性質等に応じた最適な収容形態とすることが求められており、たとえば物品を収容するための収容空間を如何に構成するかといった点や、強度を如何に担保するかといった点の検討が必要不可欠である。
したがって、本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、良好な外観上の美観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドを提供することを目的とする。
本発明の第1の局面に基づくラベル付きパルプモールドは、パルプモールドと、上記パルプモールドを覆うラベルとを備えている。上記パルプモールドは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部と、上記ラベルから遠ざかる方向に向けて上記パルプモールドが屈曲または湾曲することで当該パルプモールドの少なくとも一部に構成された凹部とを有している。上記ラベルは、上記曲面部を覆う第1領域と、上記曲面部以外の部分の上記パルプモールドを覆う第2領域とを有している。上記第1領域には、上記ラベルの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置している。上記皺および上記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分の上記パルプモールドは、上記皺および上記折り重なりが位置しない部分に対応する部分の上記パルプモールドよりも圧縮された状態とされ、これにより、上記皺および上記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分の上記ラベルが、上記パルプモールド側に向けて入り込んでいる。上記本発明の第1の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記第2領域が上記凹部の周囲に位置する部分の上記パルプモールドの表面に貼り付けられることで上記凹部の開口部が上記第2領域によって閉塞されることにより、上記第2領域と上記凹部との間に空間が設けられている。
本発明の第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドは、パルプモールドと、上記パルプモールドを覆うラベルとを備えている。上記パルプモールドは、上記ラベルに覆われた部分である非露出面と、上記ラベルに覆われていない部分である露出面とを含んでいる。上記非露出面と上記露出面との境界部において、上記非露出面が上記露出面よりも後退していることにより、上記パルプモールドに段差部が設けられている。上記段差部に対応する部分の上記ラベルは、上記段差部に対応する部分の上記ラベルの厚み方向における少なくとも一部が上記段差部に入り込んだ状態で上記非露出面に貼り付けられている。上記非露出面を規定する部分の上記パルプモールドは、上記ラベルから遠ざかる方向に向けて上記非露出面を規定する部分の上記パルプモールドが屈曲または湾曲することで上記非露出面を規定する部分の上記パルプモールドの少なくとも一部に構成された凹部を有している。上記本発明の第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記ラベルが上記凹部の周囲に位置する部分の上記非露出面に貼り付けられることで上記凹部の開口部が上記ラベルによって閉塞されることにより、上記ラベルと上記凹部との間に空間が設けられている。
上記本発明の第1および第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記空間が、物品を収容するための空間である。
上記本発明の第1および第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記パルプモールドのうちの上記凹部を構成する部分が、当該パルプモールドを補強するためのものである。
本発明によれば、良好な外観上の美観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールドを提供することが可能になる。
実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。 図1に示すラベル付きパルプモールドの模式断面図および要部拡大断面図である。 図1に示すパルプモールドの平面図である。 図1に示すラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図、および、図1に示すラベル付きパルプモールドとは異なる構成のラベルを備えるラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図である。 図1に示すラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図である。 図5に示す工程S4、工程S5および工程S6を表わした模式断面図である。 図5に示す工程S7を表わした模式断面図である。 図5に示す工程S8を表わした模式断面図である。 実施の形態2に係るラベル付きパルプモールドの平面図である。 図9に示すラベル付きパルプモールドの模式断面図および要部拡大断面図である。 実施の形態3に係るラベル付きパルプモールドの平面図である。 図11に示すラベル付きパルプモールドの模式断面図である。 図11に示すパルプモールドの平面図である。 図11に示すラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図である。 図14に示す工程S4および工程S6を表わした模式断面図である。 図14に示す工程S7を表わした模式断面図である。 図14に示す工程S8を表わした模式断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、ファンデーションおよびパフを収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドに本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの形状および構成を示す図であり、図1(A)は、開閉可能な蓋になる上側容器部が閉じられた状態の斜視図、図1(B)は、上側容器部が開かれた状態の斜視図である。図2は、図1(A)に示す状態のラベル付きパルプモールドの形状および構成を示す図であり、図2(A)は、図1(A)中に示すIIA-IIA線に沿った模式断面図、図2(B)は、図2(A)の上側容器部近傍を拡大した要部拡大断面図である。図3は、図1に示すパルプモールドの平面図である。図4は、複数方向に湾曲した曲面からなる第1部分に貼り付けられたラベルに生じた折り重なり部を示したものである。図4(A)は、図1に示すラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図であり、図4(B)は、図1に示すラベル付きパルプモールドとは異なる構成のラベルを備えるラベル付きパルプモールドの要部拡大断面図である。まず、これら図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aについて説明する。
ここで、図1においては、パルプモールド2Aと、ラベル3Aと、これらの間に設けられた空間10に収容された物品220との関係を、当該図1を参照することで理解できるようにするため、ラベル3Aに覆われることで直接的には視認することができない部分のパルプモールド2Aおよび物品220の表面を想像線(二点鎖線)にて図示するとともに、ラベル3Aに色を付している(後述する図9、図11においても同様である)。
図1および図2に示すように、ラベル付きパルプモールド1Aは、偏平形状の内容物であるファンデーション200およびパフ210を収容するための容器であり、パルプモールド2Aと、当該パルプモールド2Aを覆うラベル3Aとを備えている。
パルプモールド2Aは、これが閉じられた状態において、全体として平面視略矩形状の外形を有しており、下面開口の上側容器部21と、上面開口の下側容器部22と、これら上側容器部21および下側容器部22を回動可能に連結するヒンジ部23とを有している。下側容器部22には、上側容器部21が閉じられた状態において当該上側容器部21に面する2つの凹状の収容部22aが設けられている。これら2つの収容部22aの各々は、上側容器部21が閉じられた状態において、当該上側容器部21と共に、内容物としてのファンデーション200およびパフ210が収容される2つの収容空間20を規定する。
図3に示すように、パルプモールド2Aの上側容器部21は、略平板状の部位と、その周囲に位置する湾曲状の部位とを含んでおり、これにより上側容器部21の内側表面には、凹形状の部位が設けられている。また、上側容器部21の外側表面の中央部は、略平面形状を有するように構成されており、上側容器部21の外側表面の周縁部の四隅は、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を含んでおり、当該四隅以外の上記周縁部には、一方向に湾曲した曲面からなる曲面部が位置している。
説明の便宜上、上側容器部21のうちの上述した複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を第1部分Xと称し、それ以外の部分(すなわち、上述した略平面形状を有する部分、および、上記周縁部のうちの一方向に湾曲した曲面からなる曲面部)を第2部分Yと称する。なお、図3においては、理解を容易とするために、第1部分Xに濃い色を付すとともに、第2部分Yに薄い色を付している(後述する図13においても同様である)。
図1ないし図3に示すように、第2部分Yのうちの略平面形状の部分の上側容器部21は、その一部に、平面視略矩形状の凹部21aを有している。凹部21aは、ラベル3Aから遠ざかる方向(すなわち、図2(A)における下方)に向けてパルプモールド2Aが屈曲または湾曲することで当該パルプモールド2Aに構成されている。
凹部21aの平面視した場合の形状は、特にこれが略矩形状に限定されるものではなく、たとえば略円形状、略楕円形状、多角形状等であってもよい。また、凹部21aの数は、特にこれが単数に限定されるものではなく、複数であってもよい。
凹部21aの深さは、最も深い部分において、下側容器部22に設けられた凹状の収容部22a深さを超えない範囲であれば、特にこれが制限されるものではない。凹部21aの深さは、後述する物品220の大きさ等に合わせて適宜設定されてよい。
パルプモールド2Aの原料としては、新聞紙、チラシ、中質紙、および上質紙等からなる印刷使用済み古紙に、湿式で離解、および精選等の処理を施すことによって得られる古紙パルプ、または、上記処理に加えて脱墨および漂白等の処理を施すことによって得られる脱墨古紙パルプ、もしくは晒パルプまたは未晒パルプ等のセルロースパルプが用いられる。パルプモールド2Aは、これらのパルプにサイズ剤、填料、染料、定着剤、および耐水化剤等が適宜添加されてなるパルプスラリーが、所望の形状に成形されることによって製作される。
なお、上述した各種パルプに代えて、バージンパルプ、または、サトウキビの搾りかすであるバガスもしくは竹等の非木材系パルプが用いられてもよい。また、いずれのパルプにおいても、合成樹脂が少量(好ましくは5%以下程度)含まれていてもよい。
図1および図2に示すように、ラベル3Aは、パルプモールド2Aの上側容器部21の外側表面の全面に貼り付けられたシート状のものであり、基材3aおよび当該基材3aの一方の主面に設けられた接着剤層3bを有している(特に図2(B)参照)。これにより、ラベル3Aの一対の主面のうちの一方である第2主面3(2)は、接着剤層3bによって規定され、他方である第1主面3(1)は、基材3aによって規定されている。
ラベル3Aの平面視した場合の外形は、パルプモールド2Aの上側容器部21の外形に合わせて適宜変更されてもよく、たとえば、略円形状、略楕円形状、多角形状等であってもよい。
基材3aとしては、純白洋紙や晒クラフト紙、未晒クラフト紙等の紙、合成紙、透明性を有するセロファン、およびプラスチックフィルム等が用いられる。基材3aに用いられる上記紙の米坪は、たとえば20g/m2以上100g/m2以下であることが好ましい。基材3aに用いられる上記セロファンの厚みは、たとえば20μm以上50μm以下であることが好ましい。基材3aに用いられるプラスチックフィルムとしては、たとえばポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸等のポリエステル系、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン等のポリオレフィン系、スチレンブタジエン共重合体等のスチレン系のフィルムであって、厚みが10μm以上80μm以下のものが挙げられる。
なお、基材3aは、デザイン印刷層を含んでいてもよい。この場合、基材3aは、たとえば、ベースとなる層としての紙や合成紙、セロファン、プラスチックフィルム等の一対の主面のうちの接着剤層3bとは反対側に位置する主面に、デザイン印刷層が施されたものによって構成される。
接着剤層3bは、透明性を有しかつ熱接着性を有するものであることが好ましい。具体的には、接着剤層3bは、熱接着性を有する樹脂である、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene(LDPE))、エチレン酢酸ビニル共重合体(Ethylene-Vinyl Acetate(EVA))、エチレンアクリル酸共重合体、塩素化ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を主成分とするものであることが好ましいが、その他アクリル系樹脂、スチレンブタジエン共重合体、ウレタン系樹脂、アイオノマー等からなりかつ良好な接着性を有する樹脂等であってもよい。
さらに、接着剤層3bは、植物由来の原料を用いたPBS(Poly Butylene Succinate)やPLA(Poly Lactic Acid)等の生分解性樹脂であってもよく、このようにすれば、石油由来材料の使用を抑制することができる。なお、接着剤層3bは、粘着付与剤や滑剤等が添加されたものであってもよい。
接着剤層3bは、熱接着性を有するもの以外のものでもよい。より具体的には、接着剤層3bとして、水の塗布や加湿によって活性化することで接着性が生じる再湿性接着剤が用いられてもよい。再湿性接着剤としては、ポリビニルアルコール樹脂や水溶性アクリル系樹脂、天然ゴム、カゼイン等からなるものが挙げられる。
また、接着剤層3bとして、接着剤含有マイクロカプセルからなるものが用いられてもよい。このように構成された接着剤層3bは、加圧プレスされることでマイクロカプセルが破裂し、これによって露出した接着剤によって接着性が生じることになる。
接着剤層3bを基材3aの主面に設ける手法としては、接着剤層3bを構成する上述した熱接着性を有する樹脂等を押出しラミネートによって基材3aにコーティングする手法でもよく、溶液もしくはエマルジョンの状態とした当該樹脂等を基材3aにコーティングして乾燥させる手法等でもよい。なお、接着剤層3bの厚みは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。
図1ないし図3に示すように、ラベル3Aは、上側容器部21のうちの複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部である第1部分Xを覆う第1領域31と、上側容器部21のうちの第1部分X以外の部分である第2部分Yを覆う第2領域32とを有している。
ここで、第1部分Xは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部であることから、何らの手当ても行なわずに第1領域31が接着剤層3bを介して当該第1部分Xに貼り付けられた場合には、第1領域31が皺になったり、折り重なったりすることによってラベル3Aの表面に段差が生じ易くなる。この点、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、皺や折り重なりが生じた第1領域31の厚みが、柔らかさを有するパルプモールド2Aの厚みに吸収された状態で貼り付けられることにより、上述した問題の解決が図られている。
具体的には、図4(A)に示すように、ラベル3Aの第1領域31の折り重なりが位置する部分に対応する部分のパルプモールド2Aは、当該折り重なりが位置しない部分に対応する部分のパルプモールド2Aよりも圧縮された状態とされている。これにより、折り重なりが位置する部分のラベル3Aが、パルプモールド2A側に向けて入り込んだ状態となるように、ラベル3Aがパルプモールド2Aに貼り付けられている。
より具体的には、第1部分Xに貼り付けられたラベル3Aに生じた折り重なり部分においては、パルプモールド2Aのうちの、ラベル3Aの第1領域31に生じた折り重なりに対応する部分の表面が、これらに対応しない部分の表面よりも後退することになる。これにより、パルプモールド2Aの表面には段差部分21cが形成されることになり、第1領域31の折り重なりは、段差部分21cに入り込んだ状態でパルプモールド2Aの表面に貼り付けられることになる。その結果、折り重なりが生じた第1領域31の厚みは、柔らかさを有するパルプモールド2Aの厚みに吸収されることになる。なお、このような構成は、第1領域31に生じた皺が位置する部分においても同様である。また、第1部分Xにおいて生じた皺や折り重なりの影響によって当該第1部分Xの近傍に貼り付けられた第2領域32において皺や折り重なりが生じた部分においても同様である。
したがって、このように構成した場合には、第1領域31に皺や折り重なりが生じることで発生する第1領域31の厚みの増加が段差部分21cによって吸収されることになるため、これら皺や折り重なりを目立たなくさせることができるばかりでなく、ラベル付きパルプモールド1Aの表面を平滑化できることになる。
ここで、ラベルの皺や折り重なりをさらに目立たなくさせるために、接着剤層が基材3aの一対の主面の一方にのみ設けられているラベル3Aの代わりに、接着剤層が基材3aの一対の主面の両方に設けられたラベル3A’が用いられてもよい。具体的には、ラベル3A’は、当該ラベル3A’のパルプモールド2A側に位置する第2主面3(2)が、接着剤層3bによって規定されるとともに、他方である第1主面3(1)もまた、接着剤層3b’によって規定されることとなるように構成される。
当該ラベル3A’が用いられた場合には、図4(B)に示すように、第1部分Xに貼り付けられたラベル3A’に生じた折り重なり部分においては、第2主面3(2)のうちの折り重なりを規定する部分同士が、接着剤層3bを介して接着されるとともに、第1主面3(1)のうちの折り重なりを規定する部分同士が、接着剤層3b’を介して接着されることになる。これにより、皺や折り重なりが捲れることを防止することができるため、ラベルの皺や折り重なりをさらに目立たなくさせることができる。ここで、図4(B)においては、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aと区別するため、ラベル3A’が用いられたラベル付きパルプモールドには、符号1A’を付している。
なお、ラベル3A’が用いられたラベル付きパルプモールド1A’が製造される場合には、後述する第2型110のラベル3A’に面する側の表面には、離型性に優れたポリテトラフルオロエチレン系樹脂等によるコーティングが施されていることが好ましい。これにより、ラベル3A’の表面が、第2型110に接着することを防止することができる。
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、ラベル3Aの第1領域31に所定のデザインを施し、さらに、第1領域31の絞り率が所定の値となるようにこれを貼り付けることにより、上述した第1領域31の皺や折り重なりの問題の解決を図ることができる。
図1に示すように、ラベル3Aの第1領域31には、当該第1領域31において生じる皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインが施されてもよい。このようなデザインとしては、たとえば、木目調、石目調、石垣模様、岩肌模様、大理石模様、空模様、砂地柄、波柄、織物柄、小花柄、草花柄、樹木柄、唐草模様、小紋柄、ボタニカル柄、ペイズリー柄、カモフラージュ柄、ドット柄、水彩柄、およびマーブル模様等が挙げられる。第1領域31には、これらのうちのいずれかのデザインが施されることが好ましい。
ここで、木目調は材木の断面に表れる年輪、繊維、導管等で成された模様、石目調は天然石やレンガの地肌を表した模様、石垣模様は城壁等に様々な形状の石が積み重ねられた雰囲気を表した模様、空模様は様々な雲が青空に浮かんでいる景色や曇り空を表した模様、波柄は波立つ海原や波紋を表した柄、織物柄は綿や麻の糸を織ったり藁や竹を編んだ風合いを表した柄、ドット柄は水玉模様を含みシャンプードット、バブルドット、コインドット、ランダムドットと呼ばれる柄、水彩柄は水彩絵の具で濃淡を描いた雰囲気のある柄である。
第1領域31に施されるデザインは、上記のデザインに限られず、第1領域31において生じる皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインであればよい。すなわち、第1領域31に施されるデザインは、上述したデザイン以外にも、たとえば、パルプモールドの地模様と同一の模様、自然物を散在させたようなデザイン、および、実質的に同一の単位デザインが繰り返し並ぶように配置された連続柄のうちのいずれかとすることができる。
ここで、パルプモールドの地模様と同一の模様とは、パルプモールドを構成する紙やパルプの種々の微細な繊維が不規則に絡み合うことによってパルプモールドの表面に現れる模様のことである。また、実質的に同一の単位デザインには、大きさ、形状、および色彩が完全に同一の単位デザインだけではなく、大きさ、形状、および色彩のうち少なくとも1つが同一ではない単位デザインが含まれていてもよい。実質的に同一の単位デザインには、たとえば、種類が異なる花や植物であっても、そのそれぞれを単位デザインとして配置したものが含まれてもよい。
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、ラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、当該ラベル3Aの第1領域31が、10%以上50%以下の絞り率でパルプモールド2Aの第1部分Xに貼り付けられており、ラベル3Aの第2領域32が、10%未満の絞り率で凹部21a以外の部分の第2部分Yに貼り付けられている。
絞り率とは、パルプモールド2Aに貼り付けられるラベル3Aの周長と、パルプモールド2Aのうち当該ラベル3Aが貼り付けられる領域の周長とによって算出することができる。パルプモールド2Aのうち当該ラベル3Aが貼り付けられる領域のある位置で測定した周長をP1とし、パルプモールド2Aに貼り付けられるラベル3AのうちP1の測定位置に相当する位置の周長をP2とした場合、絞り率は以下に示す式1により算出される。なお、絞り率の算出においては、P2をたとえば2mmにする等、短い単位で算出することが好ましい。
(式1) 絞り率=100-(P1/P2×100)
ここで、上述したように、上側容器部21の第2部分Yは、凹部21aを有している(図3等参照)。図2(A)および図2(B)に示すように、ラベル3Aの第2領域32は、凹部21aの周囲に位置する部分を含む、凹部21a以外の部分の第2部分Yの表面に接着剤層3bを介して貼り付けられている一方で、凹部21aの表面に貼り付けられていない。
これにより、凹部21aの開口部が第2領域32によって閉塞されることになり、その結果、凹部21aと当該凹部21aを覆う部分の第2領域32との間に、物品220を収容可能な空間10が設けられることになる。なお、空間10に収容された物品220は、ラベル3Aを破るか、あるいはラベル3Aをパルプモールド2Aから剥離させることにより、当該空間10から取り出し可能となる。また、物品220の取り出しを容易にするため、空間10を規定する部分のラベル3Aに、十字状やU字状等の切断用ミシン目を施してもよい。
また、図2(B)に示すように、ラベル3Aは、これが後述するようにプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、凹部21aを覆う部分の第2領域32は、その厚み方向における少なくとも一部が凹部21a側に向けて入り込んだ状態となる。そのため、凹部21aを覆う部分の第2領域32は、その余の部分の第2領域32よりも、全体として後退して位置することになる。これにより、ラベル付きパルプモールド1Aの輸送時および陳列時等において、凹部21aを覆う部分の第2領域32が周囲の物体と接触すること等によって破損してしまうことを効果的に防止できることになる。
図5は、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図であり、図6ないし図8は、図5に示す工程の一部を表わした模式断面図である。次に、これら図5ないし図8を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法について具体的に説明する。
ここで、図6は、図1(B)中に示すVI-VI線に対応した位置でのパルプモールド2A、ラベル3A、および後述する第1型100および第2型110の断面を表わした図である。図7および図8についても同様である。
図5に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法においては、まず、後述するプレス工程(工程S7)を経ることでそれ自体が圧縮されることが可能に構成されたパルプモールド2Aが準備される(工程S1)。このようなパルプモールド2Aは、たとえば、抄造成形される工程と乾燥される工程とを経ることで得られるものである。具体的には、まず、パルプモールド2Aの表面形状に沿う形状を有しかつ吸引用貫通孔が設けられた抄造成形用型の表面に網を張り、これらをパルプスラリーが充填された材料槽の中に浸漬する。次に、抄造成形用型の網が張られた側の主面とは反対側の主面が位置する側からパルプスラリーを吸引して上記網の表面にパルプスラリーを堆積させる。次に、堆積したパルプスラリーを抄造成形用型から取り外し、さらに乾燥させることにより、上述したパルプモールド2Aが得られることになる。
次に、パルプモールド2Aの上側容器部21の外側表面の全面を覆うことが可能な大きさの外形を有するラベル3Aが準備される(工程S2)。次に、上側容器部21が開かれた状態におけるパルプモールド2Aの形状に沿う形状を有する第1型100と、上側容器部21が開かれた状態におけるパルプモールド2Aおよびこれを覆うラベル3Aの形状に沿う形状を有する第2型110が準備される(工程S3)。
ここで、パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aを構成するパルプモールド2Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、第2型110によってプレスされる工程(工程S7)の前のパルプモールド2Aの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、工程S7においてラベル3Aと共に第2型110によってプレスされた後の(すなわち、プレスによって圧縮変形した後の)パルプモールド2Aに沿う形状を意味している。
また、パルプモールド2Aおよびこれを覆うラベル3Aの形状に沿う形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aを構成するパルプモールド2Aおよびラベル3Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、第2型110によってプレスされる工程(工程S7)の前のパルプモールド2Aおよびラベル3Aの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、パルプモールド2Aおよびこれを覆うラベル3Aの形状に沿う形状とは、工程S7において第2型110によってプレスされた後の(すなわち、プレスによって圧縮変形した後の)パルプモールド2Aおよびラベル3Aに沿う形状を意味している。
次に、図5および図6に示すように、パルプモールド2Aが第1型100に載置される(工程S4)。
より具体的には、図6に示すように、第1型100には、その一対の主面のうちの一方から突出するように、第1凸状部101および第2凸状部102が設けられている。第1凸状部101は、パルプモールド2Aの上側容器部21に含まれる凹形状の部位に沿う形状を有しており、第2凸状部102は、パルプモールド2Aの下側容器部22の収容部22aに沿う形状を有している。また、第1凸状部101は、その一部に、上側容器部21の凹部21aに沿う凹状部101aを含んでいる。
パルプモールド2Aは、上側容器部21に含まれる凹形状の部位が第1凸状部101に当接するとともに、下側容器部22の収容部22aが第2凸状部102に当接するように、上側容器部21が開かれた状態で第1型100に載置される。
次に、図5および図6に示すように、物品220が、パルプモールド2Aの上側容器部21が有する凹部21a上に載置される(工程S5)。
次に、図5および図6に示すように、ラベル3Aが、パルプモールド2Aに対して位置決めされて配置される(工程S6)。
より具体的には、図6に示すように、パルプモールド2Aが第1型100に載置された状態において、ラベル3Aが、接着剤層3bが設けられた第2主面3(2)がパルプモールド2Aの上側容器部21に面し、かつ、後述するパルプモールド2Aおよびラベル3Aが第2型110によってプレスされる工程(工程S7)において上側容器部21の外側表面の全面を覆うこととなるように、パルプモールド2Aの上側容器部21に対して位置決めされて配置される。これにより、ラベル3Aは、第1型100と第2型110との間に配置されることになる。
次に、図5および図7に示すように、ラベル3Aが、第1型100および第2型110によってプレスされることでパルプモールド2Aに貼り付けられる(工程S7)。
具体的には、図7に示すように、ラベル3Aがパルプモールド2Aに対して位置決めされた状態において、ラベル3Aが、第2型110によってパルプモールド2Aに向けて(すなわち、図7中に示す矢印AR1方向に向けて)プレスされる。
第2型110のプレス面には、第1凹状部111および第2凹状部112が設けられている。第1凹状部111は、パルプモールド2Aの上側容器部21のうちの凹部21a以外の部分の外側表面(すなわち、図7中に示す上側の表面)に沿う形状を有している。第2凹状部112は、パルプモールド2Aの下側容器部22の収容部22aの外側表面(すなわち、図7中に示す上側の表面)に沿う形状を有している。
このように構成された第2型110によってプレスされることにより、パルプモールド2Aおよびラベル3Aが、積層された状態で第1型100および第2型110によって挟み込まれることになる。これにより、ラベル3Aは、上側容器部21の外側表面の全面を覆うように、熱接着性の接着剤層3bを介して凹部21a以外の部分の上側容器部21に貼り付けられる。その結果、凹部21aの開口部が第2領域32によって閉塞されるため、凹部21aとこれを覆う第2領域32との間に、物品220が収容された空間10が設けられることになる。
また、ラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、パルプモールド2Aの上側容器部21の第1部分Xのうちの、ラベル3Aの第1領域31の皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分は、これが位置しない部分に対応する部分のパルプモールド2Aよりも圧縮された状態とされる。これにより、皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分のラベル3Aが、パルプモールド2A側に向けて入り込んだ状態となるように、ラベル3Aがパルプモールド2Aに貼り付けられることとなる。
さらに、ラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、ラベル3Aの第1領域31が、皺や折り重なりを生じさせながら10%以上50%以下の絞り率で上側容器部21の第1部分Xに貼り付けられるとともに、ラベル3Aの第2領域32が、10%未満の絞り率で凹部21a以外の部分の第2部分Yに貼り付けられることとなる。
工程S7における第2型110によるプレスは、プレス温度が概ね70℃以上200℃以下であることが好ましく、さらに好適には、90℃以上150℃以下とされる。その際、第1型100も同程度に加熱されていてもよい。プレス時間は、1秒以上5秒以下程度であることが好ましい。なお、上述したプレス温度およびプレス時間は、基材3aの耐熱性や接着剤層3bの接着温度等によって適宜変更されるものである。パルプモールド2Aは、このような条件下でラベル3Aと共にプレスされて圧縮変形されることにより、プレス前の状態に比べて、硬く、薄く、その表面が平滑化したものになる。一例として、プレス前において厚みが0.8mm以上3.0mm以下あるいは1.5mm以上2.5mm以下のパルプモールド2Aは、このプレスによって厚みが0.8mm以上1.5mm以下等になる。
次に、図5および図8に示すように、第2型110によるパルプモールド2Aおよびラベル3Aのプレスが解除される(工程S8)。より具体的には、図8に示すように、第2型110がプレス前の位置に後退する(すなわち、図8中に示す矢印AR2方向に向けて移動する)ことにより、第2型110によるパルプモールド2Aおよびラベル3Aのプレスが解除される。これにより、図1および図2において示したラベル付きパルプモールド1Aの製造が完了する。
ここで、上側容器部21の第1部分Xは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部であることから、何らの手当ても行なわずにラベル3Aが当該第1部分Xに貼り付けられた場合には、ラベル3Aが皺になったり、折り重なったりしやすくなる。
この点、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、パルプモールド2Aの上側容器部21の第1部分Xのうちの、ラベル3Aの第1領域31の皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分が、これが位置しない部分に対応する部分のパルプモールド2Aよりも圧縮された状態とされ、これにより、皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分のラベル3Aが、パルプモールド2A側に向けて入り込んだ状態となるように、ラベル3Aがパルプモールド2Aに貼り付けられている。
このように構成することにより、皺や折り重なりが生じたラベル3Aの厚みが、柔らかさを有するパルプモールド2Aの厚みに吸収されることになり、結果として、皺や折り重なりを目立たなくさせることができるばかりでなく、ラベル付きパルプモールド1Aの表面を平滑化できることになる。
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにおいては、上述したように、ラベル3Aの第1領域31が、10%以上50%以下の絞り率で貼り付けられている。これにより、第1領域31を、上側容器部21の表面の形状に沿った形状で保持することができるとともに、当該部分に大きな皺や折り重なりが生じることを抑制することができ、さらには、生じた折り重なり同士が更に重なることを抑制できることとなる。そのため、ラベル付きパルプモールド1Aに良好な外観上の美観を付与可能になる。
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、凹部21aとこれを覆う第2領域32との間に、物品220が収容された空間10が設けられている。このように構成することにより、パルプモールドとラベルとによって規定された空間に物品を収容可能な、新規な形態のラベル付きパルプモールドとすることができる。
さらに、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにおいては、上述したように、上側容器部21および下側容器部22によって規定される収容空間20と、上側容器部21およびラベル3Aによって規定される空間10とが設けられている。そのため、空間10を有しない場合のラベル付きパルプモールドに比べ、より多くの物品を収容可能になる。また、空間10に収容される物品220は、当該空間10を規定するラベル3Aの第2領域32によって密封された状態で保護することが可能になる。
したがって、このように構成することにより、良好な外観上の美観を有する新規な形態のラベル付きパルプモールド1Aとすることができる。
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、ラベル3Aの第1領域31に、当該第1領域31の皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインが施されてもよい。このように構成した場合には、ラベル3Aの皺や折り重なりをさらに目立ち難くすることができるため、ラベル付きパルプモールド1Aの美観を向上させることができるとともに、ラベル付きパルプモールド1Aに収容される商品の購買欲を高めることができる。
さらに、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにおいて、ラベル3Aの基材3aとしてセロファンやプラスチックフィルム等の透明性を有するものを用いた場合には、当該ラベル3Aを介して外部から物品220が視認可能になる。そのため、意匠性に優れた物品220を空間10に収容すること等により、ラベル付きパルプモールド1Aに良好な外観上の美観を付与可能になる。
なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法においては、上述したように、工程S1において、抄造成形されかつ乾燥されることで得られるパルプモールド2Aが準備される場合を例示したが、工程S1において準備されるパルプモールド2Aは、抄造成形されかつ乾燥された後に、さらに、プレスによって粗成形されたものであってもよい。
このように構成した場合には、凹部21aを規定する部分の上側容器部21において、その表面を比較的平滑化されたものにすることができる。そのため、当該凹部21a上に物品220を安定した状態で載置可能になるだけでなく、ラベル付きパルプモールド1Aの美観が損なわれることを防止できることとなる。さらに、凹部21aを規定する部分以外の部分の上側容器部21にあっては、その表面の凹凸部分が粗成形によって平滑化された後に、当該表面にラベル3Aが貼り付けられることになる。これにより、表面の凹凸部分に貼り付けられることに起因してラベル3Aに破れや皺、折り重なり等が生じることを効果的に抑制することができる。
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係るラベル付きパルプモールドの上側容器部が閉じられた状態の平面図である。図10は、図9に示すラベル付きパルプモールドの断面図であり、図10(A)は、図9中に示すXA-XA線に沿った断面図に対応する部分の実施の形態2に係るラベル付きパルプモールドの断面図、図10(B)は、図10(A)の上側容器部近傍を拡大した要部拡大断面図である。以下、これら図9および図10を参照して、実施の形態2に係るラベル付きパルプモールド1Bについて説明する。
図9および図10に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bは、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、上側容器部21を覆うラベル3Bの構成が、上述したラベル3Aのそれと相違している。なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bの製造方法は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法と同様の工程を経るものである。
本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bにあっては、ラベル3Bが、上側容器部21のうちの曲面部以外の部分である第2部分Yを覆う、第2領域32のみを有している。また、ラベル3Bの第2領域32は、第2部分Yのうちの、凹部21aおよびその周囲に位置する部分のみを覆っている。
図10(A)および図10(B)に示すように、上側容器部21の外側表面は、ラベル3Bに覆われた部分である非露出面21(1)と、ラベル3Bに覆われていない部分である露出面21(2)とを含んでいる。
図10(B)に示すように、非露出面21(1)と露出面21(2)との境界部においては、非露出面21(1)は、露出面21(2)よりも後退して位置している。すなわち、非露出面21(1)は、上側容器部21が閉じられた状態において、露出面21(2)よりも収容空間20側に位置している。これにより、パルプモールド2Bの上側容器部21には段差部21bが設けられており、ラベル3Bは、当該ラベル3Bの厚み方向における少なくとも一部が段差部21bに入り込んだ状態で上側容器部21の非露出面21(1)に貼り付けられている。
このようなラベル付きパルプモールド1Bの構成は、上述したようにラベル3Bがパルプモールド2Bに積層された状態でプレスされることにより、当該パルプモールド2Bの非露出面21(1)が圧縮されつつ当該非露出面21(1)にラベル3Bが貼り付けられることに起因して生じるものである。
また、凹部21aは、ラベル3Bから遠ざかる方向に向けて非露出面21(1)を規定する部分の上側容器部21が屈曲または湾曲することにより、当該部分の上側容器部21の一部に構成されている。
本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bにあっては、ラベル3Bの第2領域32が、凹部21aの周囲に位置する部分の非露出面21(1)に貼り付けられている。これにより、凹部21aの開口部が第2領域32によって閉塞されることになり、結果として、凹部21aとこれを覆う第2領域32との間に空間10が設けられることになる。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになるばかりでなく、段差部21bによってラベル3Bの厚みの少なくとも一部が吸収されることになるため、結果として、ラベル付きパルプモールド1Bの表面の平滑性を大幅に向上させることができる。そのため、ラベル付きパルプモールド1Bに良好な外観上の美観を付与可能になる。
(実施の形態3)
図11は、実施の形態3に係るラベル付きパルプモールドの平面図である。図12(A)は、図11中に示すXIIA-XIIA線に沿った模式断面図、図12(B)は、図11中に示すXIIB-XIIB線に沿った模式断面図である。図13は、図11に示すパルプモールドの平面図である。以下、これら図11ないし図13を参照して、実施の形態3に係るラベル付きパルプモールド1Cについて説明する。
図11ないし図13に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cは、全体として偏平形状を有する蓋材として用いられるものである。
より具体的には、パルプモールド2Cは、これを平面視したときの中央部分に位置する主板部25と、当該主板部25の周囲に位置する湾曲部26と、当該湾曲部26の周囲に位置するフランジ部27とを有している。フランジ部27が主板部25よりも後退して位置していることにより、パルプモールド2Cは、主板部25および湾曲部26によって規定された凹形状の部位を含んでいる。
図13に示すように、湾曲部26の四隅は、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部からなり、当該四隅以外の湾曲部26は、一方向に湾曲した曲面からなる曲面部からなる。そのため、パルプモールド2Cにおいても、上述した実施の形態1におけるパルプモールド2Aと同様に、湾曲部26の四隅に位置する部分を第1部分Xと称し、それ以外の部分(すなわち、主板部25、フランジ部27、および、湾曲部26のうちの上記四隅以外の部分)を第2部分Yと称する。
図11および図12に示すように、パルプモールド2Cを覆うラベル3Cは、第1領域31と、第2領域32とを有している。第1領域31は、上述した第1部分Xを覆う部分である。第2領域32は、主板部25と湾曲部26とによって規定される部分の第2部分Yを覆っている。
図11ないし図13に示すように、主板部25は、その一部に、これを平面視した場合に一方向に沿って直線状に延びる3つの凹部25aを有している。3つの凹部25aは、ラベル3Cから遠ざかる方向に向けて主板部25が屈曲または湾曲することで当該主板部25に構成されている。なお、凹部25aの数は、特にこれが3つに限定されるものではなく、単数であってもよいし、3つ以外の複数であってもよい。
図12(A)および図12(B)に示すように、第2領域32は、3つの凹部25aの周囲に位置する部分を含む、凹部25a以外の部分の第2部分Yの表面に貼り付けられている一方で、凹部25aの表面に貼り付けられていない。
これにより、凹部25aの開口部が第2領域32によって閉塞されることになり、その結果、凹部25aを覆う部分の第2領域32と凹部25aとの間に、3つの空間10cが設けられることになる。
ラベル3Cの第1領域31は、10%以上50%以下の絞り率でパルプモールド2Cの第1部分Xに貼り付けられており、ラベル3Cの第2領域32は、10%未満の絞り率で凹部25a以外の部分の第2部分Yに貼り付けられている。
図14は、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図であり、図15ないし図17は、図14に示す工程の一部を表わした模式断面図である。次に、これら図14ないし図17を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cの製造方法について具体的に説明する。
ここで、図15は、図11中に示すXIIA-XIIA線に対応した位置でのパルプモールド2C、ラベル3C、および後述する第1型120および第2型130の断面を表わした図である。図16および図17についても同様である。
図14に示すように、ラベル付きパルプモールド1Cの製造方法は、その大部分がラベル付きパルプモールド1Aの製造方法に準じている。そのため、以下においては、ラベル付きパルプモールド1Cの製造方法のうち、ラベル付きパルプモールド1Aの製造方法と内容が共通する工程についてはその説明を省略し、ラベル付きパルプモールド1Aの製造方法と内容が異なる工程についてのみ説明することにする。
本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cの製造方法は、ラベル付きパルプモールド1Aの製造方法と比較した場合に、図5に示す工程S5(すなわち、パルプモールド上への物品の載置)が行なわれない点において、その製造方法が相違している。
より具体的には、図14および図15に示すように、工程S4において第1型120に載置されたパルプモールド2Cに対して、当該パルプモールド2Cの凹部25a上に物品が載置されることなく、ラベル3Cが位置決めされて配置される(工程S6)。第1型120は、パルプモールド2Cの形状に沿う形状を有している。
次に、図14および図16に示すように、ラベル3Cが、第1型120および第2型130によってプレスされることでパルプモールド2Cに貼り付けられる(工程S7)。
具体的には、図16に示すように、ラベル3Cがパルプモールド2Cに対して位置決めされた状態において、ラベル3Cが、第2型130によってパルプモールド2Cに向けて(すなわち、図16中に示す矢印AR3方向に向けて)プレスされる。第2型130は、パルプモールド2Cおよびこれを覆うラベル3Cの形状に沿う形状を有している。
第2型110のプレス面には、第3凹状部131が設けられている。第3凹状部131は、パルプモールド2Cの主板部25および湾曲部26によって規定された凹形状の部位のうちの凹部25a以外の部位の外側表面(すなわち、図16中に示す上側の表面)に沿う形状を有している。
このように構成された第2型130によってプレスされることにより、凹部25aの開口部が第2領域32によって閉塞されるため、凹部25aとこれを覆う第2領域32との間に、空間10cが設けられることになる。
次に、図14および図17に示すように、第2型130によるパルプモールド2Cおよびラベル3Cのプレスが解除される(工程S8)。より具体的には、図17に示すように、第2型130がプレス前の位置に後退する(すなわち、図17中に示す矢印AR4方向に向けて移動する)ことにより、第2型130によるパルプモールド2Cおよびラベル3Cのプレスが解除される。これにより、図11および図12において示したラベル付きパルプモールド1Cの製造が完了する。
以上のように構成された本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cにおいても、上述した実施の形態1において説明した効果に準じた効果が得られることになる。
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cにおいては、上述したように、主板部25に設けられた3つの凹部25aが、一方向に沿って直線状に延びるものである。このように構成することにより、これら3つの凹部25aが、パルプモールド2Cの強度を向上させる補強リブとして機能することになる。そのため、凹部25aが形成されていない場合に比べ、外力に対するパルプモールド2Cの強度を向上させることが可能になる。
さらに、上述したように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cにおいては、上記補強リブとしての3つの凹部25aが、ラベル3Cによって覆われることで外部から(すなわち、ラベル3Cによって覆われている側から)視認不能になる。
したがって、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cのように構成することにより、良好な外観上の美観を有しつつ強度が担保された、新規な形態のラベル付きパルプモールドとすることができる。
なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Cにおいては、主板部25が、これを平面視した場合に一方向に沿って直線状に延びる3つの凹部25aを有する場合を例示したが、凹部25aの構成は、特にこれに限定されるものではなく、パルプモールド2Cの強度を向上させることが可能な他の構成に適宜変更可能である。当該他の構成としては、たとえば、平面視した場合の外形が比較的小さな略円形状の凹部25aが主板部25に多数設けられた構成等が挙げられる。
(その他の形態等)
上述した実施の形態1,2においては、上側容器部と下側容器部とがヒンジ部によって連結された場合のラベル付きパルプモールドの構成を例示して説明を行なったが、上側容器部および下側容器部は、ヒンジ部によって連結されることなく、別個の部材として形成されていてもよい。この場合、上側容器部および下側容器部は、たとえば、各々に形成された嵌合部を介して互いに取り付けられてもよく、上述した凹部およびこれによって規定される空間は、これら上側容器部および下側容器部のうちのいずれか一方に設けられていればよい。
また、上述した実施の形態1,2においては、内容物としてファンデーションおよびパフを収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、上述したファンデーション等以外の種々の商品を内容物として収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドにも、本発明は当然に適用可能である。より具体的には、本発明は、たとえば、内容物として食品が収容可能に構成され、かつ、空間に、スプーンやフォーク、ピック等の簡易食器や、個包装の調味料やトッピング等が収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドにも適用可能である。あるいは本発明は、内容物として雑貨あるいは化粧品が収容可能に構成され、かつ、空間に、試供品や雑貨、装飾具、キャンペーン品等のおまけが収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドにも適用可能である。
さらに、上述した本発明の実施の形態において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
また、上述した本発明の実施の形態において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1A,1B,1C,1A’ ラベル付きパルプモールド、2A,2B,2C パルプモールド、3A,3B,3C,3A’ ラベル、3(1) 第1主面、3(2) 第2主面、3a 基材、3b,3b’ 接着剤層、10,10c 空間、20 収容空間、21(1) 非露出面、21(2) 露出面、21 上側容器部、21a 凹部、21b 段差部、21c 段差部分、22 下側容器部、22a 収容部、23 ヒンジ部、25 主板部、25a 凹部、26 湾曲部、27 フランジ部、31 第1領域、32 第2領域、100 第1型、101 第1凸状部、101a 凹状部、102 第2凸状部、110 第2型、111 第1凹状部、112 第2凹状部、120 第1型、130 第2型、131 第3凹状部、200 ファンデーション、210 パフ、220 物品、X 第1部分、Y 第2部分。

Claims (4)

  1. パルプモールドと、
    前記パルプモールドを覆うラベルとを備え、
    前記パルプモールドは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部と、前記ラベルから遠ざかる方向に向けて前記パルプモールドが屈曲または湾曲することで当該パルプモールドの少なくとも一部に構成された凹部とを有し、
    前記ラベルは、前記曲面部を覆う第1領域と、前記曲面部以外の部分の前記パルプモールドを覆う第2領域とを有し、
    前記第1領域には、前記ラベルの皺および折り重なりの少なくともいずれかが位置し、
    前記皺および前記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分に対応する部分の前記パルプモールドが、前記皺および前記折り重なりが位置しない部分に対応する部分の前記パルプモールドよりも圧縮された状態とされ、これにより、前記皺および前記折り重なりの少なくともいずれかが位置する部分の前記ラベルが、前記パルプモールド側に向けて入り込んでおり、
    前記第2領域が前記凹部の周囲に位置する部分の前記パルプモールドの表面に貼り付けられることで前記凹部の開口部が前記第2領域によって閉塞されることにより、前記第2領域と前記凹部との間に空間が設けられている、ラベル付きパルプモールド。
  2. パルプモールドと、
    前記パルプモールドを覆うラベルとを備え、
    前記パルプモールドは、前記ラベルに覆われた部分である非露出面と、前記ラベルに覆われていない部分である露出面とを含み、
    前記非露出面と前記露出面との境界部において、前記非露出面が前記露出面よりも後退していることにより、前記パルプモールドに段差部が設けられ、
    前記段差部に対応する部分の前記ラベルは、前記段差部に対応する部分の前記ラベルの厚み方向における少なくとも一部が前記段差部に入り込んだ状態で前記非露出面に貼り付けられ、
    前記非露出面を規定する部分の前記パルプモールドは、前記ラベルから遠ざかる方向に向けて前記非露出面を規定する部分の前記パルプモールドが屈曲または湾曲することで前記非露出面を規定する部分の前記パルプモールドの少なくとも一部に構成された凹部を有し、
    前記ラベルが前記凹部の周囲に位置する部分の前記非露出面に貼り付けられることで前記凹部の開口部が前記ラベルによって閉塞されることにより、前記ラベルと前記凹部との間に空間が設けられている、ラベル付きパルプモールド。
  3. 前記空間が、物品を収容するための空間である、請求項1または2に記載のラベル付きパルプモールド。
  4. 前記パルプモールドのうちの前記凹部を構成する部分が、当該パルプモールドを補強するためのものである、請求項1または2に記載のラベル付きパルプモールド。
JP2022124742A 2022-08-04 2022-08-04 ラベル付きパルプモールド Pending JP2024021710A (ja)

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