JP2024021552A - Scr触媒塗工パティキュレートフィルター、及びこれを用いた排ガス浄化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】排ガス浄化性能に優れるのみならず、煤等の粒子状物質を捕集した状態でも圧力損失が低く、実用性の高いSCR触媒塗工パティキュレートフィルター、及びこれを用いた排ガス浄化システム等を提供する。【解決手段】導入側セルと排出側セルと多孔質の隔壁とを備えるウォールフロー型のハニカム構造体、前記隔壁内に設けられた、SCR触媒材料を含むインウォールSCR触媒層、並びに前記導入側セルの前記隔壁上の一部に設けられた、SCR触媒材料を含むオンウォールSCR触媒層、を少なくとも備え、前記オンウォールSCR触媒層は、前記隔壁の断面視の全長Lに対して、長さLo=0.3~0.9Lを有し、前記インウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の総量が、前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の総量よりも多い、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター。【選択図】図1

Description

本発明は、ウォールフロー型ハニカム構造体にSCR触媒が塗工されたSCR触媒塗工パティキュレートフィルター、及びこれを用いた排ガス浄化システム等に関する。
希薄燃焼エンジン等の内燃機関から生じる排ガスの浄化技術については、従来から数多くの提案がなされている。例えば、排ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)等の有害成分を浄化するためのディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)や、排ガス中に含まれる煤等の粒子状物質(PM:Particulate matter)を捕集するためのディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF:Diesel Particulate Filter)等を、ディーゼルエンジンの排ガス流路に配置した排ガス浄化装置が広く知られている。さらに近年では、搭載スペースの省スペース化等の観点から、粒子状物質の排出抑制と、CO/HC/NOx等の除去を同時に行うために、ウォールフロー型のハニカム構造体(DPF)上に触媒スラリーを塗工し、これを焼成することでDPF上に触媒層を設けた、触媒塗工DPF等も提案されている。
また、希薄燃焼エンジンから生じる排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を選択的に還元して浄化する触媒として、尿素を用いた尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムが開発されている。この尿素SCRシステムでは、尿素の加水分解により生成するアンモニアを吸着するSCR触媒が採用されている。尿素SCRシステムで用いられるSCR触媒としては、例えば鉄や銅等の遷移金属が担持されたゼオライト(遷移金属担持ゼオライト)が、比較的に高いNOx浄化性能が得られ易いとの理由で、尿素SCRシステムにおいて幅広く採用されている。尿素SCRシステムでは、このようなSCR触媒上でNOxをアンモニアと化学反応させることにより、NOxを窒素及び水に浄化している。尿素SCR触媒では、主として次に示す反応式〔1〕~〔3〕によって、NOxを最終的にN2に還元している。
4NO+4NH+O→4N+6HO ・・・(1)
6NO+8NH→7N+12HO ・・・(2)
NO+NO+2NH→2N+3HO ・・・(3)
しかしながら、もともと粒子状物質の堆積により圧力損失が上昇しやすいDPFに触媒層を設ければ、排ガスの流路がより狭くなり圧力損失がより一層上昇しやすくなり、エンジン出力の低下を招くという問題がある。このような問題を解決するため、例えば、特許文献1及び特許文献2には、圧力損失の上昇の抑制と排ガス浄化性能の向上を目的として、ウォールフロー型のハニカム構造体上に、複数の触媒層を塗り分けることが提案されている。
特表2020-513296号公報 特開2020-176601号公報
しかしながら、これら従来の触媒塗工DPFは、圧力損失の上昇抑制と排ガス浄化性能の向上の適正化が不十分である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、排ガス浄化性能に優れるのみならず、煤等の粒子状物質を捕集した状態でも圧力損失が低い、実用性の高いSCR触媒塗工パティキュレートフィルター、及びこれを用いた排ガス浄化システム等を提供することにある。なお、ここでいう目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも、本発明の他の目的として位置づけることができる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、所定のインウォールSCR触媒層とオンウォールSCR触媒層をウォールフロー型のハニカム構造体上にそれぞれ設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
(1)排ガス流路中に配置され、前記排ガス流路中を通過する排ガスを浄化する、SCR触媒塗工パティキュレートフィルターであって、排ガス導入側の端部が開口した導入側セルと、排ガス排出側の端部が開口した排出側セルと、前記導入側セル及び前記排出側セルを画定する多孔質の隔壁と、を備えるウォールフロー型のハニカム構造体、前記隔壁内に設けられた、SCR触媒材料を含むインウォールSCR触媒層、並びに前記導入側セルの前記隔壁上の一部に設けられた、SCR触媒材料を含むオンウォールSCR触媒層、を少なくとも備え、
前記オンウォールSCR触媒層は、前記隔壁の断面視の全長Lに対して、長さLo=0.3L~0.9Lを有し、前記インウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の総量が、前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の総量よりも多い、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(2)前記インウォールSCR触媒層は、前記隔壁の断面視の全長Lにわたって形成されている(1)に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(3)前記オンウォールSCR触媒層の前記長さLoが、0.4L~0.7Lである(1)又は(2)に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(4)前記インウォールSCR触媒層中及び前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の合計量が、前記ウォールフロー型のハニカム構造体の容積1Lあたり60g/L~210g/Lであり、前記インウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の量が、前記ウォールフロー型のハニカム構造体の容積1Lあたり50g/L~140g/Lであり、前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の量が、前記ウォールフロー型のハニカム構造体の容積1Lあたり10g/L~70g/Lである(1)~(3)のいずれか一項に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(5)前記インウォールSCR触媒層が設けられた前記隔壁は、5μm~25μmの平均気孔径を有する(1)~(4)のいずれか一項に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(6)前記インウォールSCR触媒層中及び前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料は、Cu担持ゼオライト、Fe担持ゼオライト、及び、Ce-W系複合酸化物よりなる群から選択される1種以上を含む(1)~(5)のいずれか一項に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(7)前記ゼオライトは、CHA、AEI、AFX、KFI、SFW、MFI、及びBEAよりなる群から選択される1種以上を含む(6)に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(8)前記排ガス流路が、ディーゼルエンジンの排ガス流路である(1)~(7)のいずれか一項に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
(9)(1)~(8)のいずれか一項に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターと、前記SCR触媒塗工パティキュレートフィルターの下流側に設けられた、フロースルー型のハニカム構造体の隔壁上の少なくとも一部に設けられたSCR触媒及び/又はアンモニア酸化触媒と、を少なくとも備える、排ガス浄化システム。
本発明によれば、排ガス浄化性能に優れるのみならず、煤等の粒子状物質を捕集した状態でも圧力損失が低い、実用性の高いSCR触媒塗工パティキュレートフィルター、及びこれを用いた排ガス浄化システム等を実現することができる。
図1は、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター100を示す概略模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。一方、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いる。例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
ここで、本明細書において、「平均粒子径D50」とは、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の50%に達したときの粒子径をいい、所謂メディアン径を意味し、「平均粒子径D90」とは、体積基準の粒子径の累積分布において小粒径からの積算値が全体の90%に達したときの粒子径をいう。これらは、レーザー回折式粒子径分布測定装置(例えば、島津製作所社製、レーザー回折式粒子径分布測定装置SALD-3100等)で測定した値を意味する。
[SCR触媒塗工パティキュレートフィルター]
図1は、本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100(以降において、「SCRoF」と称する場合がある。)の概略構成を示す模式断面図である。本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、導入側セル11と排出側セル12と多孔質の隔壁13とを備えるウォールフロー型のハニカム構造体10、隔壁13内に設けられたインウォールSCR触媒層21、並びに、導入側セル11の隔壁13上の一部に設けられたオンウォールSCR触媒層22を少なくとも備える。なお、図1中の黒矢印は、排ガスの導入方向及び排出方向を示す。以下、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター100の全体構成について詳述する。
ウォールフロー型のハニカム構造体10は、排ガス導入側の端部11aが開口した導入側セル11と、排ガス排出側の端部12aが開口した排出側セル12とが、多孔質の隔壁13を介して複数並設された構造体(触媒担体)からなる。このウォールフロー型のハニカム構造体10において、セル延伸方向の一方の端部11aの開口と他方の端部12aの開口とは、目封じ壁51により交互に封止されており、これにより、隔壁13を介して隣り合う導入側セル11及び排出側セル12が交互に区画形成されている。そして本実施形態において、導入側セル11の端部11a側から導入される排ガスは、導入側セル11、隔壁13及び排出側セル12の順に通過して、排出側セル12の端部12a側から系外へと排出される。
ウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13内には、SCR触媒材料がウォッシュコートにより塗工されており、これによりインウォールSCR触媒層21が設けられている。このインウォールSCR触媒層21は、ウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13の気孔表面に設けられている。本実施形態では、インウォールSCR触媒層21は、排ガス導入側の端部11a側からウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13の延伸方向に向けて(排ガス排出側の端部12aに向けて)、隔壁13の断面視の全長Lにわたって形成されている。
一方、ウォールフロー型のハニカム構造体10の導入側セル11の隔壁13上には、SCR触媒材料がウォッシュコートにより塗工されており、これによりオンウォールSCR触媒層22が設けられている。このオンウォールSCR触媒層22は、導入側セル11の隔壁13の一部のみに設けられている。本実施形態では、オンウォールSCR触媒層22は、排ガス導入側の端部11a側からウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13の延伸方向に向けて、隔壁13の断面視の全長Lに対して、長さLo=0.3L~0.9Lを有している。オンウォールSCR触媒層22の長さLoは、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、煤等の粒子状物質の捕集後の圧力損失と排ガス浄化性能のバランスの観点から、Lo=0.4L~0.7Lであることが好ましい。
本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、希薄燃焼エンジン等の内燃機関から生じる排ガスが、排ガス導入側の端部11a(開口)から導入側セル11内へと流入し、オンウォールSCR触媒層22、インウォールSCR触媒層21及び隔壁13の気孔内を通過して、隣接する排出側セル12内へと流入し、排ガス排出側の端部12a(開口)から系外へと流出する。この過程において、排ガスは、オンウォールSCR触媒層22及びインウォールSCR触媒層21と接触し、これによって排ガスに含まれる有害成分が浄化される。本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、例えばディーゼルエンジン等の希薄燃焼エンジンから排出される排ガスを浄化する用途で好ましく用いられる。その好ましい一態様において、このSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、後述する還元剤供給手段Red.から供給される還元剤に起因するアンモニア(還元剤が尿素成分である場合には尿素成分が熱分解等して生成したアンモニア)を吸着し、NOxとアンモニアとを接触させて還元浄化する。一方、排ガス中に含まれる煤等の粒子状物質(PM:Particulate Matter)は、オンウォールSCR触媒層22の層上及び層内、インウォールSCR触媒層21内及び隔壁13上及び/又は隔壁13の気孔内に堆積し捕集される。なお、堆積された煤等の粒子状物質は、常法にしたがい、例えばオンウォールSCR触媒層22及びインウォールSCR触媒層21の触媒機能によって、或いは所定の温度(例えば500~700℃程度)で燃焼されることによって、除去される。
とりわけ、本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100においては、上述した通り隔壁13の全長LにわたってインウォールSCR触媒層21が形成され、導入側セル11の隔壁13上に長さLoのオンウォールSCR触媒層22がゾーンコートされていることにより、排ガスの触媒層への拡散性が高められるとともに、煤等がオンウォールSCR触媒層22の表面上で捕集され易くなり、また、インウォールSCR触媒層21の深層部の微小な気孔に煤等が捕集されて気孔が詰まることを抑制でき、その結果、煤付き圧損の抑制とNOx浄化性能の向上をより高レベルでバランスさせることができる。
以下、各構成要素について、さらに詳細に説明する。
(ハニカム構造体)
ウォールフロー型のハニカム構造体10は、排ガス導入側の端部11aが開口した導入側セル11と、この導入側セル11に隣接し排ガス排出側の端部12aが開口した排出側セル12とが、多孔質の隔壁13によって仕切られている構造体である。このような構造体としては、従来のこの種の用途に用いられる種々の材質及び形体のものが使用可能である。例えば、ウォールフロー型のハニカム構造体10の材質は、内燃機関が高負荷条件で運転された際に生じる高温(例えば400℃以上)の排ガスに曝された場合や、粒子状物質を高温で燃焼除去する場合等にも対応可能なように、耐熱性素材からなるものが好ましい。耐熱性素材としては、例えば、コージェライト、シリコンカーバイド、窒化珪素、ムライト、チタン酸アルミニウム、及び炭化ケイ素(SiC)等のセラミック;ステンレス鋼等の合金が挙げられる。また、ウォールフロー型のハニカム構造体10の形体は、排ガス浄化性能及び圧力損失上昇抑制等の観点から適宜調整することが可能である。例えば、ウォールフロー型のハニカム構造体10の外形は、角柱形状、円筒形状、楕円筒形状、又は多角筒形状等とすることができる。また、組み込む先のスペース等にもよって異なるが、ウォールフロー型のハニカム構造体10の容量(セルの総体積)は、適用する希薄燃焼エンジンの種類や排気量等を考慮し、また、必要とされる触媒量や浄化性能等に応じて、適宜調整することができ、特に限定されない。例えばディーゼルエンジンの場合、排気量1L程度の小型自動車から、排気量50Lを超えるような重機用(ヘビーデューティー)ディーゼルエンジンまである。典型的な商用車のディーゼルエンジンにおいては、通常、ウォールフロー型のハニカム構造体10の容量(セルの総体積)は0.1L~5Lが好ましく、より好ましくは0.5L~3Lである。また、ウォールフロー型のハニカム構造体10の延伸方向の全長(隔壁13の延伸方向の全長)も、組み込む先のスペース等にもよって異なるが、通常は10mm~500mmが好ましく、より好ましくは50mm~300mmである。
導入側セル11と排出側セル12は、筒形状の軸方向に沿って規則的に配列されており、上述したとおり、隣り合うセル同士は延伸方向の一の開口端と他の一の開口端とが交互に封止されている。導入側セル11及び排出側セル12は、供給される排ガスの流量や成分を考慮して適当な形状および大きさに設定することができる。例えば、導入側セル11及び排出側セル12の口形状は、三角形;正方形、平行四辺形、長方形、及び台形等の矩形;六角形及び八角形等のその他の多角形;円形とすることができる。また、導入側セル11の断面積と、排出側セル12の断面積とを異ならせたHigh Ash Capacity(HAC)構造を有するものであってもよい。なお、導入側セル11及び排出側セル12の個数は、排ガスの乱流の発生を促進し、かつ、排ガスに含まれる微粒子等による目詰まりを抑制できるように適宜設定することができ、特に限定されないが、通常は200cpsi~400cpsiが好ましい。
隣り合うセル同士を仕切る隔壁13は、排ガスが通過可能な多孔質構造を有するものであれば特に制限されず、その構成については、排ガス浄化性能や圧力損失の上昇抑制、ハニカム構造体の機械的強度の向上等の観点から適宜調整することができる。例えば、インウォールSCR触媒層21の触媒スラリーを塗布乾燥して隔壁13内の気孔表面にインウォールSCR触媒層21を形成する際に、平均気孔径(例えば、モード径(気孔径の頻度分布における出現比率がもっとも大きい気孔径(分布の極大値)))が大きい場合には、一般的には、インウォールSCR触媒層21での気孔の閉塞が生じにくく、得られる排ガス浄化触媒は圧力損失が上昇しにくいものとなる傾向にあるが、粒子状物質の捕集能力が低下し、また、ハニカム構造体の機械的強度も低下する傾向にある。一方で、平均気孔径が小さい場合には、一般的には、圧力損失が上昇しやすいものとなるが、粒子状物質の捕集能力は向上し、ハニカム構造体の機械的強度も向上する傾向にある。
このような観点から、インウォールSCR触媒層21を形成する前のウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13の平均気孔径(モード径)は、好ましくは8μm~30μmであり、より好ましくは10μm~28μmであり、さらに好ましくは13μm~26μmである。なお、本明細書において、インウォールSCR触媒層21を形成する前の隔壁13の平均気孔径は、隔壁13から所定サイズ(1cm3)の測定用サンプルを採取し、水銀圧入法により算出される値を意味する。この測定では、測定用サンプルを乾燥後、水銀ポロシメーター(Thermo Fisher Scientific社製、商品名:PASCAL140及びPASCAL440)を用いて、水銀圧入法により気孔分布を測定し、PASCAL140により低圧領域(0~400Kpa)を測定し、PASCAL440により高圧領域(0.1Mpa~400Mpa)を測定する。得られた気孔分布から、平均気孔径(モード径)を求め、また、気孔径1μm以上の気孔における気孔容積を算出する。
また、インウォールSCR触媒層21を形成する前のウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13の厚みDは、好ましくは6mil~12milであり、より好ましくは6mil~10milである。さらに、インウォールSCR触媒層21を形成する前のウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13の気孔容積は、水銀圧入法で好ましくは0.2cm3/g~1.5cm3/gであり、より好ましくは0.25cm3/g~0.9cm3/gであり、さらに好ましくは0.3cm3/g~0.8cm3/gである。また、その際の隔壁13の気孔率は、好ましくは20%~80%であり、より好ましくは40%~70%であり、さらに好ましくは60%~70%である。気孔容積又は気孔率が下限以上であることにより、圧力損失の上昇がより抑制される傾向にある。また、気孔容積又は気孔率が上限以下であることにより、ハニカム構造体の強度がより向上する傾向にある。なお、平均気孔径(モード径)、気孔容積、及び気孔率は、下記実施例に記載の条件において水銀圧入法により算出される値を意味する。
(インウォールSCR触媒層)
本実施形態において、インウォールSCR触媒層21を構成する触媒材料として、ゼオライトを少なくとも含有するSCR触媒材料が用いられている(以下、「ゼオライト系SCR触媒材料」と称する場合がある。)。なお、ここで用いるゼオライトとしては、従来この種の排ガス浄化用触媒で使用される各種ゼオライトを特に制限なく用いることができる。ゼオライトの具体例としては、例えば、Y型、A型、L型、ベータ型、モルデナイト型、ZSM-5型、フェリエライト型、モルデナイト型、CHA型、AEI型、AFX型、KFI型、及びSFW型のゼオライトの他、SAPOやALPO等の結晶性金属アルミノリン酸塩が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらのゼオライトは、1種を単独であるいは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。これらの中でも、CHA、AEI、AFX、KFI、SFW、MFI、及びBEAよりなる群から選択される1種以上の骨格構造を有するゼオライトがより好ましい。ゼオライトは、各種グレードのものが国内外のメーカから数多く市販されており、要求性能に応じて各種グレードの市販品を用いることができる。また、当業界で公知の方法で製造することもできる。なお、ゼオライトの骨格構造は、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association,以降では「IZA」と略称することがある。)においてデータベース化されており、そのIUPAC構造コード(以下、単に「構造コード」ともいう。)に規定されている構造が参照される。なお、これらの構造は、Collection of simulated XRD powder patterns for zeolites, Fifth revised edition (2007)に記載の粉末X線回折(以下、「XRD」とする。)パターン、又は、IZAの構造委員会のホームページhttp://www.iza-struture.org/databases/のZeolite Framework Typesに記載のXRDパターンのいずれかと比較することで、同定することができる。ここで、ゼオライトは、Si/Al比に応じてその酸点の数が異なり、一般的にSi/Al比が低いゼオライトは酸点の数が多いが水蒸気共存下での耐久において劣化度合いが大きく、逆にSi/Al比が高いゼオライトは耐熱性に優れているが酸点は少ない傾向にある。これらの観点から、使用するゼオライトのSi/Al比は1~500が好ましく、1~100がより好ましく、1~50がさらに好ましい。
ゼオライトの平均粒子径D50は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。大きな比表面積を保持させるとともに耐熱性を高めて自身の触媒活性サイトの数を増大させる等の観点から、ゼオライトの平均粒子径D50は、0.5μm~100μmが好ましく、0.5μm~50μmがより好ましく、0.5μm~30μmがさらに好ましい。
また、ゼオライトのBET比表面積は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、大きな比表面積を保持させるとともに触媒活性を高める等の観点から、BET一点法によるBET比表面積が10m/g~1000m/gが好ましく、より好ましくは50m/g~1000m/g、さらに好ましくは100m/g~1000m/gである。
一般にゼオライトには固体酸点として、カチオンがカウンターイオンとして存在し、そのカチオンとしては、アンモニウムイオンやプロトンが一般的である。本実施形態においては、このゼオライトのカチオンサイトをこれらの遷移金属元素とイオン交換した、遷移金属元素イオン交換ゼオライトとして使用することが好ましい。遷移金属元素は、ゼオライト中で分散保持されていてもよいが、上述したゼオライトの表面に担持されていることが好ましい。遷移金属元素としては、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、ニッケル、コバルト、銅、鉄、マンガンが好ましく、より好ましくは銅、鉄である。なお、これらの遷移金属元素は、1種を単独であるいは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。特に限定されないが、ゼオライトのイオン交換率は、1%~100%であることが好ましく、より好ましくは10%~95%、さらに好ましくは30%~90%である。なお、イオン交換率が100%である場合には、ゼオライト中のカチオン種すべてが遷移金属元素イオンでイオン交換されていることを意味する。また、ゼオライトに対する遷移金属元素の添加量は、酸化物(CuOやFe)換算で0.1質量%~10質量%が好ましく、1質量%~10質量%がより好ましく、2質量%~8質量%がさらに好ましい。なお、イオン交換種として添加される遷移金属元素は、そのすべてがイオン交換されていてもよいが、その一部が酸化銅や酸化鉄等の酸化物の状態で存在していてもよい。
ここで、インウォールSCR触媒層21は、SCR触媒材料として、Cu担持ゼオライト、Fe担持ゼオライトを含むことが特に好ましい。このようなゼオライト系のSCR触媒材料を含むインウォールSCR触媒層21を設けた構成とすることにより、圧力損失の上昇を抑止しつつ、高い排ガス浄化性能を実現することができる。
(オンウォールSCR触媒層)
次に、オンウォールSCR触媒層22について説明する。ウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13内には、排ガス導入側の端部11a側からウォールフロー型のハニカム構造体10の隔壁13の延伸方向に向けて(排ガス排出側の端部12aに向けて)、隔壁13の断面視の全長Lにわたって、インウォールSCR触媒層21が形成されている。
本実施形態において、オンウォールSCR触媒層22を構成する触媒材料として、ゼオライトを少なくとも含有するゼオライト系SCR触媒材料が用いられている。ゼオライト系SCR触媒材料としては、インウォールSCR触媒層21の項において説明したものを好適に用いることができ、ここでの重複した説明を省略する。
ここで、オンウォールSCR触媒層22は、SCR触媒材料として、Cu担持ゼオライト、Fe担持ゼオライトを含むことが特に好ましい。このようなゼオライト系のSCR触媒材料を含むオンウォールSCR触媒層22を設けた構成とすることにより、圧力損失の上昇を抑止しつつ、高い排ガス浄化性能を実現することができる。
(他の成分)
なお、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22は、本発明の効果を過度に阻害しない限り、当業界で各種公知の他の触媒材料や助触媒、各種添加剤を含有していてもよい。また、例えば、ベーマイト、アルミナゾル、チタニアゾル、シリカゾル、ジルコニアゾル等の種々のゾル;硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸チタン、酢酸チタン、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム等の可溶性の塩等のバインダーを含んでいてもよい。また、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22は、上述した成分以外に、Ba含有化合物をさらに含有していてもよい。Ba含有化合物を配合することで、耐熱性の向上、及び触媒性能の活性化を期待できる。Ba含有化合物としては、硫酸塩、炭酸塩、複合酸化物、酸化物等が挙げられるが、これらに特に限定されない。より具体的には、BaO、Ba(CH3COO)2、BaO2、BaSO4、BaCO3、BaZrO3、BaAl24等が挙げられ、これらの中でも、BaSO4が好ましい。さらに、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22は、非イオン系界面活性剤やアニオン系界面活性剤等の分散安定化剤;pH調整剤;粘度調整剤等を含有していてもよい。ここで、増粘剤としては、特に制限されないが、例えば、スクロース、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等の多糖類が挙げられる。
さらに、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22は、CaやMg等のアルカリ土類金属元素や、触媒活性成分として、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)等の白金族元素や、金(Au)、銀(Ag)等の貴金属元素を含んでいてもよい。白金族元素や貴金属元素は、1種を単独であるいは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。但し、白金族元素や貴金属元素は、アンモニア成分を酸化しNOxを生成するので実質的に含まないことが好ましい。かかる観点から、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22中の白金族元素や貴金属元素の含有量は、ウォールフロー型のハニカム構造体10の容積1Lあたりの金属量換算で、3g/L未満が好ましく、1g/L未満がより好ましく、0.5g/L未満がさらに好ましい。
なお、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22は、ウォールフロー型のハニカム構造体10上に直接載置されていてもよいが、バインダー層や下地層等を介して設けられていてもよい。これらのバインダー層や下地層等としては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、酸化セリウム(セリア:CeO)、セリア-ジルコニア複合酸化物(CZ複合酸化物)等の酸素吸蔵放出材料(OSC)、γ-アルミナ、β-アルミナ、δ-アルミナ、η-アルミナ、θ-アルミナ等の酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化チタン(チタニア:TiO)等の酸化物やこれらの酸化物を主成分とした複合酸化物等を用いることができる。なお、バインダー層や下地層等の塗工量は、特に限定されないが、ウォールフロー型のハニカム構造体10の容積1Lあたり、1g/L~150g/Lが好ましく、10g/L~100g/Lがより好ましい。
(Ce-W系複合酸化物)
なお、本実施形態においては、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22を構成するSCR触媒材料として、ゼオライト系SCR触媒材料を用いた例を示したが、ゼオライト系SCR触媒材料に代えて或いはゼオライト系SCR触媒材料とともに、セリア及び酸化タングステンを少なくとも含む複合酸化物(Ce-W系複合酸化物)を用いることができる。Ce-W系複合酸化物としては、セリア及び酸化タングステンを含むCe-W複合酸化物;セリア、ジルコニア及び酸化タングステンを含むCe-Zr-W複合酸化物;セリア、ジルコニア及び酸化タングステンを含むCe-Zr-W複合酸化物;シリカ、セリア、ジルコニア及び酸化タングステンを含むSi-Ce-Zr-W複合酸化物等、当業界で公知のものを適宜選択して用いることができる。Ce-W系複合酸化物を用いることで、NOx吸着が促進され、NHとNOxのSCR反応を促進させることができる。
(担持量)
インウォールSCR触媒層21の担持量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、触媒性能や圧損のバランス等の観点から、ウォールフロー型のハニカム構造体10の容積1Lあたり、50g/L~140g/L以下が好ましく、60g/L~130g/Lがより好ましく、70g/L~120g/Lがさらに好ましい。
また、オンウォールSCR触媒層22の担持量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、触媒性能や圧損のバランス等の観点から、ウォールフロー型のハニカム構造体10の容積1Lあたり、10g/L~70g/L以下が好ましく、15g/L~60g/Lがより好ましく、20g/L~50g/Lがさらに好ましい。
なお、インウォールSCR触媒層21及びオンウォールSCR触媒層22の総担持量は、所望性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、触媒性能や圧損のバランス等の観点から、ウォールフロー型のハニカム構造体10の容積1Lあたり、60g/L以上、210g/L以下が好ましく、75g/L以上、190g/L以下がより好ましく、90g/L以上、170g/L以下がさらに好ましい。
(平均気孔系)
ここで、粒子径が小さなPMを高効率で捕集してPN捕集率を高めるとともにNOx浄化率を高める観点から、インウォールSCR触媒層21が設けられた隔壁13は、微小な空隙が多く且つ粗大な空隙が少ない微多孔性を有することが望ましい。インウォールSCR触媒層21が設けられた隔壁13の微多孔性は、水銀圧入法による平均気孔径(例えば、モード径(気孔径の頻度分布における出現比率がもっとも大きい気孔径(分布の極大値)))を測定することで検知可能である。より高いPN捕集率及びNOx浄化率を実現する観点から、インウォールSCR触媒層21が設けられた隔壁13は、上述した水銀圧入法による平均気孔径(D50)が、5μm~30μmであることが好ましく、より好ましくは7μm~28μm、さらに好ましくは10μm~26μmである。なお、本明細書において、インウォールSCR触媒層21が設けられた隔壁13の平均気孔径は、インウォールSCR触媒層21が設けられた隔壁13から所定サイズ(1cm3)の測定用サンプルを採取し、上述した水銀圧入法により算出される値を意味する。
<製造方法>
本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、上述したウォールフロー型のハニカム構造体10上に、常法にしたがってインウォールSCR触媒層21とオンウォールSCR触媒層22を設けることで製造可能である。例えば、ウォールフロー型のハニカム構造体10の表面に、これらのSCR触媒材料を含む前駆体組成物(例えば、触媒スラリー)を順次被覆(担持)させ、必要に応じて乾燥処理や熱処理を行うことで、本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100を得ることができる。ウォールフロー型のハニカム構造体10への前駆体組成物の付与方法は、既述のとおりウォッシュコート法が好ましく用いられるが、常法にしたがって行えばよく、特に限定されない。各種公知のコーティング法、ゾーンコート法等を適用することができる。そして、前駆体組成物の付与後においては、常法にしたがい乾燥や焼成を行うことができる。
以下、本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100の好適な製造方法の一例を説明する。本製造方法では、上述したウォールフロー型のハニカム構造体10を準備する工程(S11)と、このウォールフロー型のハニカム構造体10の排ガス導入側又は排ガス排出側の端部11a,12aからインウォールSCR触媒層21のSCR触媒材料を含む触媒スラリーを供給し、隔壁13の断面視の全長Lにわたって当該触媒スラリーを隔壁13の気孔内に塗工し、得られた塗工済みウォールフロー型のハニカム構造体10を熱処理し、焼成して、隔壁13の気孔内にインウォールSCR触媒層21を形成する工程(S21)、並びに、ウォールフロー型のハニカム構造体10の排ガス導入側の端部11aからオンウォールSCR触媒層22のSCR触媒材料を含む触媒スラリーを供給し、当該触媒スラリーを導入側セル11の隔壁13上の一部に塗工し、得られた塗工済みウォールフロー型のハニカム構造体10を熱処理し、焼成して、導入側セル11の隔壁13上の一部に長さLo=0.3L~0.9Lを有するオンウォールSCR触媒層22を形成する工程(S31)を少なくとも有することを特徴とする。
触媒スラリーの塗工方法としては、特に制限されないが、例えば、触媒スラリーに上述したウォールフロー型のハニカム構造体10を、その端部から一部或いは全部を浸漬させる方法が挙げられる。この方法においては、必要に応じて、反対側の端部から気体を排出(吸引)させることにより触媒スラリーを引き上げてもよい。触媒スラリーは、上述したSCR触媒材料と水等の溶剤とを含む。なお、隔壁13の延伸方向への塗工性や隔壁13の気孔内への塗工性の観点から、触媒スラリーの固形分率は、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは15~45質量%であり、さらに好ましくは20~40質量%である。このような固形分率とすることにより、触媒スラリーを隔壁13内の導入側セル11側に塗工しやすくなる傾向にあり、オンウォールSCR触媒層22の形成が容易である。
触媒スラリーは、上述したSCR触媒材料以外に、当業界で各種公知の当業界で公知のバインダー、Ba含有化合物、当業界で公知の触媒や助触媒、各種添加剤等を含有していてもよい。これらの種類や使用量は、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター100の項において説明したとおりであり、ここでの重複した説明は省略する。
また、触媒スラリーは、水溶性高分子化合物をさらに含有することが好ましい。水溶性高分子化合物は、ウォールフロー型のハニカム構造体10への浸透性(侵入性)を低減させる増粘剤として機能するため、水溶性高分子化合物を配合することで、ウォールフロー型のハニカム構造体10内部への触媒スラリーの塗工性のコントロールが容易となり、オンウォールSCR触媒層22の形成が容易となる。水溶性高分子化合物としては、水系分散液である触媒スラリーを増粘可能な高分子材料であれば、その種類は特に限定されない。その具体例としては、セルロース類、合成高分子、天然高分子、多糖類及びこれらの誘導体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。具体的には、セルロース類及びその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、イソプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロース等)、合成高分子(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチンポリオキシプロピレングリコール、ポリビニルカプトラクタム・ポリ酢酸ビニル・ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及びそれらの塩等)、天然高分子及び糖類(例えば、アラビアゴム、グァーガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プピレングリコールエステル、寒天、ゼラチン等)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、1種を単独であるいは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。
なお、触媒スラリーに含まれるSCR触媒材料のD90粒子径は、好ましくは1.0μm~9.0μmであり、より好ましくは1.0μm~8.0μmであり、さらに好ましくは2.0μm~7.0μmである。また、触媒スラリーに含まれるSCR触媒材料のD50粒子径は、好ましくは1.0μm~5μmであり、より好ましくは1.0μm~4.0μmであり、さらに好ましくは1.0~3.0μmである。D90粒子径やD50粒子径が上記好ましい範囲内にあることで、SCR触媒材料をミリング装置で破砕する場合の粉砕時間を短縮することができ、作業効率がより向上する傾向にある。また、粗大粒子が隔壁13内の気孔を閉塞することが抑制され、圧力損失の上昇が抑制される傾向にある。なお、本明細書において、D90粒子径やD50粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(例えば、島津製作所社製、レーザー回折式粒子径分布測定装置SALD-3100等)で測定することができる。
触媒スラリーを熱処理する工程では、塗工した触媒スラリーを乾燥させる。乾燥条件は、触媒スラリーから溶媒が揮発するような条件であれば特に制限されない。例えば、乾燥温度は、好ましくは100~225℃であり、より好ましくは100~200℃であり、さらに好ましくは125~175℃である。また、乾燥時間は、好ましくは0.5~2時間であり、好ましくは0.5~1.5時間である。また、焼成する工程は、高温でさらに熱処理することでインウォールSCR触媒層21とオンウォールSCR触媒層22を形成する。焼成工程における焼成条件は、特に制限されないが、焼成温度は、好ましくは400~650℃であり、より好ましくは450~600℃であり、さらに好ましくは500~600℃である。また、焼成時間は、好ましくは0.5~2時間であり、好ましくは0.5~1.5時間である。
<用途>
本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、排ガス浄化性能にも優れるのみならず、煤等の粒子状物質を捕集した状態でも圧力損失が低く、実用性が高いため、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムにおいて使用する触媒塗工DPFとして殊に有用である。
[排ガス浄化システム]
本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、希薄燃焼エンジン用排ガス浄化装置の触媒塗工DPFとして用いることで、高性能な排ガス浄化システムを実現することができる。例えば、排ガス流路中に配置され、ディーゼルエンジン等の希薄燃焼エンジンから排出される排ガス中のCO、HC、NO及びNHよりなる群から選択される少なくとも1種以上を酸化する1以上の酸化触媒Oxと、前記排ガス流路中に配置され、前記排ガス中の微粒子成分PMを捕集し、燃焼ないしは酸化除去する触媒化燃焼フィルター(CSF:Catalyzed Soot Filter)と、尿素成分及びアンモニア成分よりなる群から選択される1以上の還元剤を前記排ガス流路内に供給する還元剤供給手段Red.と、アンモニアを吸着しNOxと接触させて還元するSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100と、を少なくとも備える排ガス浄化システムが挙げられる。尿素SCRシステムで用いる態様においては、上述したSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100の排ガス流路の下流側に、余剰のアンモニアを酸化除去するアンモニア酸化触媒(AMOX:Ammonia oxidation catalyst)が設けられた排ガス浄化システムが好ましい。以下、各構成要素について詳述する。
(酸化触媒Ox)
酸化触媒Oxは、排ガス中のCO、HC、NO、NH等を酸化する触媒である。なお、本明細書において、酸化触媒Oxとは、上述したDOCの他、リーン条件下でNOxを吸蔵しリッチ条件下でNOxを放出してCOやHCをCOやHOに酸化するとともにNOxをNに還元するリーンNOx吸蔵触媒(LNT:Lean NOx Trap)や、これらをPF上に塗布した触媒塗工PF(cPF)を包含する概念である。酸化触媒Oxとしては、アルミナ、ジルコニア、セリア等の金属酸化物やゼオライト等の母材粒子と、この担体上に担持された触媒活性成分として白金族元素(PGM:Platinum Group Metal)とを有する複合粒子が一般的に用いられている。白金族元素としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)が挙げられる。白金族元素は、1種を単独であるいは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。これらは当業界で各種のものが公知であり、酸化触媒Oxとしては、それら各種の酸化触媒を単独で用いることができ、また、任意の組み合わせで適宜組み合わせて用いることができる。
(触媒化燃焼フィルターCSF)
触媒化燃焼フィルター(CSF:Catalyzed Soot Filter)は、希薄燃料エンジンから排出される排ガス中の煤等の微粒子成分(PM)をトラップし、必要に応じて未燃の軽油を定期的に噴霧して燃焼ないしは酸化除去するためのものである。触媒化燃焼フィルターCSFは、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。このような触媒化燃焼フィルターCSFとしては、触媒塗工パティキュレートフィルターcPFや触媒塗工ディーゼル微粒子捕集フィルターcDPF等として、当業界で広く知られている。
(還元剤供給手段Red.)
還元剤供給手段Red.は、尿素成分及びアンモニア成分よりなる群から選択される1以上の還元剤を排ガス流路内に供給するものである。還元剤供給手段Red.は、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。通常、還元剤の貯蔵タンク、これに接続された配管、配管の先端に取り付けられた噴霧ノズルから構成されたものが用いられる。なお、還元剤供給手段Red.の噴霧ノズルの位置は、上述した触媒化燃焼フィルターCSFやSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100の上流側に設置される。なお、還元剤供給手段Red.の噴霧ノズルは複数箇所に設けられていてもよい。還元成分としては、尿素成分又はアンモニア成分から選ばれる。尿素成分としては、濃度31.8質量%~33.3質量%の規格化された尿素水溶液、例えば商品名アドブルー(Adblue)等を使用でき、またアンモニア成分であれば、アンモニア水の他、アンモニアガス等を使用することもできる。なお、還元成分であるNHは、それ自体に刺激臭等の有害性があるため、還元成分としてはNHをそのまま使用するよりも、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター100の上流側から尿素水を添加して、熱分解や加水分解によりNHを発生させ、これを還元剤として作用させる方式が好ましい。
(アンモニア酸化触媒AMOX)
アンモニア酸化触媒AMOXは、余剰のアンモニアを酸化除去する。アンモニア酸化触媒AMOXとしては、当業界で公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。通常、尿素SCRシステムではNOxやNHが規制値以下まで浄化し切れない場合にアンモニア酸化触媒AMOXが追加使用される。そのため、アンモニア酸化触媒AMOXにはNHの酸化機能を有する触媒の他、NOxの浄化機能を有する触媒成分も含まれている。NHの酸化機能を有する触媒としては、貴金属成分として、白金、パラジウム、ロジウムなどから選ばれる一種以上の元素をアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの一種以上からなる無機材料の上に担持したものが好ましい。また、希土類、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の助触媒を加えて耐熱性を向上させた無機材料を使用することも好ましい。貴金属としての白金及びパラジウムは、優れた酸化活性を発揮する。これを、比表面積が高く、耐熱性も高い上記無機材料に担持することにより、貴金属成分が焼結し難くなり、貴金属の比表面積を高く維持することで活性サイトが増え、高い活性を発揮することができる。一方、NOxの浄化機能を有する触媒としては、上述した非ゼオライト系触媒材料やゼオライト系触媒材料のすべてが使用できる。これら二種類の触媒は、均一に混合して、ハニカム構造体に塗布すればよいが、NHの酸化機能を有する触媒を下層に、NOxの浄化機能を有する触媒を上層に塗布してもよい。なお、自動車排ガス用途のハニカム構造体としては、気体流路が連通しているフロースルー型ハニカム構造体と、気体流路の一部端面が目封じされ且つ気体流路の壁面を通して気体が流通可能になっているウォールフロー型ハニカム構造体とが広く知られており、これらはいずれも適用可能である。圧力損失の過度の上昇を抑制する観点から、アンモニア酸化触媒AMOXで用いるハニカム構造としては、フロースルー型ハニカム構造体が好ましく用いられる。なお、アンモニア酸化触媒AMOXの容量(サイズ)や触媒材料の塗工量等は、適用するエンジンの種類や排気量等を考慮し、また、必要とされる触媒量や浄化性能等に応じて、適宜調整することができ、特に限定されない。余剰のアンモニアを酸化除去する観点から、少なくとも1つの複数個のアンモニア酸化触媒AMOXが、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター100の下流側に設けられていることが好ましく、好ましくは酸化触媒Ox及びSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100を含む排ガス流路において、アンモニア酸化触媒AMOXが、最下流に設けられていることがより好ましい。
以上詳述したとおり、本実施形態のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター100は、尿素SCRシステムを搭載したディーゼルエンジン等の内燃機関から生じる排ガスを浄化するための装置として特に好適に用いることができ、ディーゼルエンジン等の内燃機関の排ガス浄化用触媒、とりわけディーゼル自動車の排ガス浄化装置として有用である。なお、酸化触媒Ox、還元剤供給手段Red.、触媒塗工パティキュレートフィルターcPF、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター100、プラズマ発生装置Pl.還元剤供給手段Red.アンモニア酸化触媒AMOX等の設置個数、設置個所、これらの配列は、上述したとおり本実施形態のものに特に限定されず、排ガスの規制、適用する希薄燃焼エンジンの種類や排気量、必要とされる触媒量や浄化性能等に応じて、適宜調整することができ、特に限定されない。例えば、設置箇所は、排気系の直下位置、その後方の床下位置の複数箇所等から適宜選択することができる。また、SCR触媒塗工パティキュレートフィルター100以外の、他の選択型還元触媒SCRをさらに設けることもできる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによりなんら限定されるものではない。すなわち、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。また、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい上限値又は好ましい下限値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
(調製例1)Cu担持CHA型ゼオライトを含む触媒スラリーA
水熱合成法により調製したCHA型ゼオライトにCuを担持させて、Cu担持CHA型ゼオライトを得た(SAR:24、CuO換算で3.0質量%含有)。このCu担持CHA型ゼオライトに、バインダーと界面活性剤と脱イオン水とpH調整剤を所定量混合し、ボールミルを用いてミリングして、触媒スラリーAを得た。
(比較例1)
ウォールフロー型のハニカム構造体である一体構造型のSiC触媒担体(300cpsi/12mil、直径5.66inch×長さ6inch、2.475L、気孔率:63%、平均気孔径(D50):20μm)の排ガス排出側の端部を得られた触媒スラリーAに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、触媒担体端部に触媒スラリーAを含浸保持させた。その後、排ガス導入側の端部から触媒担体内へ気体を流入させて、隔壁内の気孔表面に触媒スラリーAを隔壁の断面視の全長Lにわたって塗工するとともに、触媒担体の排ガス排出側の端部から過剰分の触媒スラリーAを吹き払って、気体の流入を停止した。その後、触媒スラリーAを塗工した触媒担体を150℃で乾燥させた後、大気雰囲気下、550℃で30分焼成し、触媒担体の隔壁内に長さLを有するインウォールSCR触媒層を形成し、比較例1のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターを得た。この際、触媒担体1LあたりのインウォールSCR触媒層の担時量が60g/Lとなるようにした。
(比較例2)
ウォールフロー型のハニカム構造体である一体構造型のSiC触媒担体(300cpsi/12mil、直径5.66inch×長さ6inch、2.475L、気孔率:63%、平均気孔径(D50):20μm)の排ガス排出側の端部を得られた触媒スラリーAに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、触媒担体端部に触媒スラリーAを含浸保持させた。その後、排ガス導入側の端部から触媒担体内へ気体を流入させて、隔壁内の気孔表面に触媒スラリーAを隔壁の断面視の全長Lにわたって塗工するとともに、触媒担体の排ガス排出側の端部から過剰分の触媒スラリーAを吹き払って、気体の流入を停止した。その後、触媒スラリーAを塗工した触媒担体を150℃で乾燥させた後、大気雰囲気下、550℃で30分焼成し、触媒担体の隔壁内に長さLを有するインウォールSCR触媒層を形成し、比較例2のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターを得た。この際、触媒担体1LあたりのインウォールSCR触媒層の担時量が90g/Lとなるようにした。
(実施例1)
インウォールSCR触媒層を形成した比較例2のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターの排ガス導入側の端部を得られた触媒スラリーAに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、触媒担体端部に触媒スラリーAを含浸保持させた。その後、排ガス導入側の端部から触媒担体内へ気体を流入させて、導入側セルの隔壁上に触媒スラリーAを隔壁の断面視の全長Lに対して長さLo分だけ塗工し、気体の流入を停止した。その後、触媒スラリーAを塗工した触媒担体を150℃で乾燥させた後、大気雰囲気下、550℃で30分焼成し、触媒担体の導入側セルの隔壁上に、排ガス導入側の端部から長さLoを有するオンウォールSCR触媒層を形成し、実施例1のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターを得た。この際、触媒担体1LあたりのオンウォールSCR触媒層の担時量が27g/L、触媒担体1LあたりのインウォールSCR触媒層の担時量が90g/L、触媒担体1LあたりのSCR触媒層の総担時量が117g/Lとなるようにした。
(実施例2)
オンウォールSCR触媒層のコート長さLoを表1に記載のとおりに変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例2のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターを得た。この際、触媒担体1LあたりのオンウォールSCR触媒層の担時量が27g/L、触媒担体1LあたりのインウォールSCR触媒層の担時量が90g/L、触媒担体1LあたりのSCR触媒層の総担時量が117g/Lとなるようにした。
(実施例3)
オンウォールSCR触媒層のコート長さLoを表1に記載のとおりに変更する以外は、実施例1と同様に行い、実施例3のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターを得た。この際、触媒担体1LあたりのオンウォールSCR触媒層の担時量が27g/L、触媒担体1LあたりのインウォールSCR触媒層の担時量が90g/Lm触媒担体1LあたりのSCR触媒層の総担時量が117g/Lとなるようにした。
(比較例3)
ウォールフロー型のハニカム構造体である一体構造型のSiC触媒担体(300cpsi/12mil、直径5.66inch×長さ6inch、2.475L、気孔率:63%、平均気孔径(D50):20μm)の排ガス排出側の端部を得られた触媒スラリーAに浸漬させ、反対側の端部側から減圧吸引して、触媒担体端部に触媒スラリーAを含浸保持させた。その後、排ガス導入側の端部から触媒担体内へ気体を流入させて、隔壁内の気孔表面に触媒スラリーAを隔壁の断面視の全長Lにわたって塗工するとともに、触媒担体の排ガス排出側の端部から過剰分の触媒スラリーAを吹き払って、気体の流入を停止した。その後、触媒スラリーAを塗工した触媒担体を150℃で乾燥させた後、大気雰囲気下、550℃で30分焼成し、触媒担体の隔壁内に長さLを有するインウォールSCR触媒層を形成し、比較例3のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターを得た。この際、触媒担体1LあたりのインウォールSCR触媒層の担時量が117g/Lとなるようにした。
(水熱耐久)
実施例1~3及び比較例1~3のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターをガス加湿装置(商品名RMG-1000、株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ製)を接続した電気炉(商品名OXK-600X、株式会社共栄電気炉製作所製)内に静置し、10%水蒸気を含むAirを70L/minの流量供給下650℃で100時間保持して、水熱耐久を行った。
(NOx変換率)
水熱耐久後の実施例1~3及び比較例1~3のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター(SCRoF)をそれぞれ用いて、エンジン試験を行った。このエンジン試験では、2L CRS TIの台上ディーゼルエンジン(2L コモンレールシステム ターボ・インタークーラー付き)を使用し、該エンジンのターボ出口の下流側にDOC及びCSFの順に設置し、さらにその下流側に水熱耐久後の実施例1~3及び比較例1~3のSCR触媒塗工パティキュレートをコンバーター内に設置して、NOx変換率の評価を行った。ここでは、CSF出口とSCRoFとの間の配管内でNRTC-hotモードの平均NOx濃度に対してNH/NOx=1.0となる一定量の尿素水を噴霧させながら、NRTC-hotモードを2回測定し、2回目のNOx浄化率を測定した。排ガス測定には、HORIBA製:MEXA ONE、HORIBA製:MEXA-1400QLを用いた。また、NRTC-hotモード運転中のSCRoF入口排ガス温度は130℃~350℃であった。NOx浄化評価中の平均温度は250℃であった。なお、このエンジン試験では、燃料としてJIS2号軽油(S含有量:質量基準で10ppm以下)を使用した。
(煤付き圧力損失)
水熱耐久後の実施例1~3及び比較例1~3のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター(SCRoF)をそれぞれ用いて、エンジン試験を行った。このエンジン試験では、3L CRS TIの台上ディーゼルエンジン(3L コモンレールシステム ターボ・インタークーラー付き)を使用し、該エンジンのターボ出口の下流側にDOCを設置し、さらにその下流側に水熱耐久後の実施例1~3及び比較例1~3のSCR触媒塗工パティキュレートをコンバーター内に設置して、煤付き圧力損失の評価をそれぞれ行った。ここでは、1800rpm/200Nmで運転しながらSCRoFに煤を捕集し、煤捕集量が3g/LとなったときのSCRoF入口と出口の差圧(kPa)を煤付き圧力損失とした。
本発明のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター等は、排ガス浄化性能に優れるのみならず、煤等の粒子状物質を捕集した状態でも圧力損失が低く、実用性が高いため、希薄燃焼の内燃機関の排ガス浄化装置として広く且つ有効に利用することができ、とりわけリーンバーンガソリン自動車やディーゼル自動車の排ガス浄化装置として有用である。
100 ・・・SCR触媒塗工パティキュレートフィルター
10 ・・・ウォールフロー型のハニカム構造体
11 ・・・導入側セル
11a・・・端部
12 ・・・排出側セル
12a・・・端部
13 ・・・隔壁
21 ・・・インウォールSCR触媒層
22 ・・・オンウォールSCR触媒層
51 ・・・目封じ壁
L ・・・隔壁13の全長
Lo・・・オンウォールSCR触媒層の長さ
Ox・・・酸化触媒
CSF・・・触媒化燃焼フィルター
DOC・・・ディーゼル酸化触媒
cPF・・・触媒塗工パティキュレートフィルター
Red・・・還元剤供給手段
SCR・・・選択型還元触媒
AMOX・・・アンモニア酸化触媒

Claims (9)

  1. 排ガス流路中に配置され、前記排ガス流路中を通過する排ガスを浄化する、SCR触媒塗工パティキュレートフィルターであって、
    排ガス導入側の端部が開口した導入側セルと、排ガス排出側の端部が開口した排出側セルと、前記導入側セル及び前記排出側セルを画定する多孔質の隔壁と、を備えるウォールフロー型のハニカム構造体、
    前記隔壁内に設けられた、SCR触媒材料を含むインウォールSCR触媒層、並びに
    前記導入側セルの前記隔壁上の一部に設けられた、SCR触媒材料を含むオンウォールSCR触媒層、を少なくとも備え、
    前記オンウォールSCR触媒層は、前記隔壁の断面視の全長Lに対して、長さLo=0.3L~0.9Lを有し、
    前記インウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の総量が、前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の総量よりも多い、
    SCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  2. 前記インウォールSCR触媒層は、前記隔壁の断面視の全長Lにわたって形成されている
    請求項1に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  3. 前記オンウォールSCR触媒層の前記長さLoが、0.4L~0.7Lである
    請求項1に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  4. 前記インウォールSCR触媒層中及び前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の合計量が、前記ウォールフロー型のハニカム構造体の容積1Lあたり60g/L~210g/Lであり、
    前記インウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の量が、前記ウォールフロー型のハニカム構造体の容積1Lあたり50g/L~140g/Lであり、
    前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料の量が、前記ウォールフロー型のハニカム構造体の容積1Lあたり10g/L~70g/Lである
    請求項1に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  5. 前記インウォールSCR触媒層が設けられた前記隔壁は、5μm~25μmの平均気孔径を有する
    請求項1に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  6. 前記インウォールSCR触媒層中及び前記オンウォールSCR触媒層中に含まれる前記SCR触媒材料は、Cu担持ゼオライト、Fe担持ゼオライト、及び、Ce-W系複合酸化物よりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項1に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  7. 前記ゼオライトは、CHA、AEI、AFX、KFI、SFW、MFI、及びBEAよりなる群から選択される1種以上を含む
    請求項6に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  8. 前記排ガス流路が、ディーゼルエンジンの排ガス流路である
    請求項1に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルター。
  9. 請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のSCR触媒塗工パティキュレートフィルターと、
    前記SCR触媒塗工パティキュレートフィルターの下流側に設けられた、フロースルー型のハニカム構造体の隔壁上の少なくとも一部に設けられたSCR触媒及び/又はアンモニア酸化触媒と、を少なくとも備える、
    排ガス浄化システム。
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