JP2024021517A - アンカーピン用筒部材、車止めブロック固定具及び車止めブロック固定構造 - Google Patents
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Abstract
Description
車止めブロックは、車の後輪や前輪のタイヤが当たる傾斜面と駐車場の設置面に置かれる底面を備えたコンクリート製等のブロックであり、駐車場等の設置面がアスファルト面等の場合、車止めブロックに挿通させたアンカーピンをアスファルト面等内に打ち込んで、車止めブロックを設置面であるアスファルト面等に固定する。
この場合、プラスチック製の筒部材をブロック内に埋設し、アンカーピンを筒部材の挿通穴に挿通して設置面内に打ち込み、アンカーピンが設置面に対して垂直に(真っ直ぐに)打ち込まれるようにされる。
この特許文献1のアンカーホルダーでは、アンカーボルト(アンカーピン)のボルト頭部の下面がホルダー筒部の上面に接触するまで、アンカーボルトを設置面内に打ち込むこととなる。ボルト頭部の下面がホルダー筒部の上面から離れた位置でアンカーボルト打ち込みを止めると、ボルト頭部の上面がホルダー頭部の突起部の突条で押さえられず、車止めブロック設置後にアンカーボルトが車止めブロックから飛び出しやすくなるからである。
しかしながら、作業者にとって、アンカーボルト(アンカーピン)のボルト頭部の下面がホルダー筒部の上面に接触する位置まで打ち込まれたこと、すなわち、アンカーボルトが最下位置まで打ち込まれたことを感知することは難しく、アンカーボルトが最下位置まで打ち込まれた後も打ち込み作業を続ける場合があり、その場合は、アンカーボルトのボルト頭部がホルダー筒部の上面を打ち続け、ホルダー筒部が変形して、ブロックを破損させる等して、車止めブロックを設置面に強固に固定できないという問題が生ずる。
しかしながら、特許文献2のアンカーは、壁にねじ込んでいくものであって、車止めブロックを固定するアンカーピンのような設置面に打ち込むものではなく、しかも、特許文献2のアンカーでは、スクリュ(20)が前方穿孔部(6)の分離可能なアーム(6a)(6b)を結合する結合バー(7)をスクリュ(20)が折ることにより音を発することから、特許文献2の技術を車止めブロックを固定するアンカーピンが最下位置まで打ち込まれたことを感知する手段に適用することはできない。
図1は、本発明のアンカーピン用筒部材の実施形態を表した図であり、図1(a)は、アンカーピン用筒部材の平面図、図1(b)は、アンカーピン用筒部材の正面図、図1(c)は、アンカーピン用筒部材の右側面図、図1(d)は、図1(a)のA-A断面図、図2は、図1に示すアンカーピン用筒部材の筒部材本体を表した図であり、図2(a)は、筒部材本体の平面図、図2(b)は、筒部材本体の正面図、図2(c)は、筒部材本体の右側面図、図2(d)は、筒部材本体の底面図、図3(a)は、図2(a)のB-B断面図、図3(b)は、図2(a)のC-C断面図、図3(c)は、図2(b)のD-D拡大断面図、図4は、図1に示すアンカーピン用筒部材の筒部材上部を表した図であり、図4(a)は、筒部材上部の平面図、図4(b)は、筒部材上部の正面図、図4(c)は、筒部材上部の右側面図、図4(d)は、図4(a)のE-E断面図である。
図中、1はアンカーピン用筒部材、10は筒部材本体、11は鍔部、12は円環部、13は頭部保持部、13aは接触面、13bは薄肉部、14a、14bは係合部、15a、15bは係合穴、16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16hは補強リブ、17は円筒部、18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18hは内リブ、19はリブ先端穴、20は筒部材上部、21は周壁部、22は底部、22hは底部穴、23a、23b、24c、24dは爪部、24a、24bは係合突起、HKは保持空間、SAは挿通穴であり、各図において、Xは左右方向、X’はC-C断面方向、Yは前後方向、Zは上下方向である。
図1に示すように、アンカーピン用筒部材1は、筒部材本体10と筒部材上部20を備えている。
鍔部11は、筒部材上部20(後述する)が被せられる部分であり、上面に凸形状の円環部12が設けられている。
頭部保持部13は、鍔部11と円筒部17を繋ぐ部分であり、アンカーピン(後述する)の頭部の一部を保持する保持空間HKを有し、頭部保持部13の保持空間HK側の面は、アンカーピンの頭部を球面と面接触する接触面13aとなっており、頭部保持部13の補強リブ16a~16hのない部分は薄肉部13bとなっている(図2(b)、図3(b)参照)。
そして、この頭部保持部13は、設置面に打ち込まれるアンカーピンが最下位置に達するまで打ち込まれたときに、アンカーピンの頭部の球面の一部と接触面13aが面接触して、アンカーピンの頭部に加える打撃によるアンカーピンの頭部の振動を減衰させずに車止めブロックに伝達し、車止めブロックがアンカーピンの打撃音と異なる音であって作業者が感知できる異種感知音を発するようにする機能を有する。
すなわち、頭部保持部13においては、薄肉部13bを設けて補強リブ16a~16hのない部分の厚みを円筒部17等の厚みより小さく(薄く)し、アンカーピンの頭部に加える打撃によるアンカーピンの頭部から接触面13aへの衝撃に対して、頭部保持部13部の変形をできるだけ小さくして、アンカーピンの頭部から車止めブロックに伝達される振動が減衰しないようにしている。
係合部14a、14bは、鍔部11に被せられた筒部材上部20が係合する部分であり、鍔部11の左右端部に垂下され、係合部14a、14bには係合穴15a、15bが設けられている。
補強リブ16a、16b、16c、16d、16e、16f、16g、16hは、頭部保持部13を補強して、頭部保持部13に薄肉部13bを設けたことによる強度低下を防ぎ、車止めブロック製造時において、アンカーピン用筒部材1を型枠に固定ロッドで締め付け固定する際に筒部材本体10が座屈変形するのを防止すると共に、コンクリート製の車止めブロックに埋設されたアンカーピン用筒部材1が回転するのを防止するためのもので、鍔部11の下面から円筒部17の上部にかけてその外周に等間隔に設けられている。
円筒部17は、アンカーピンを挿通させるためのもので、頭部保持部13の下端に設けられ、その内壁面の内側部分はアンカーピンが挿通する挿通穴SAとなっている。
この円筒部17の内壁面の上部には、8個の内リブ18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18hが設けられている。
この8個の内リブ18a~18hは、円筒部17の内壁面の円周方向に等間隔をもって放射状に配置され、挿通穴SAの軸方向に沿って延びる凸形状となっており、内リブ18a~18hの先端によりリブ先端穴19(図3(c)に二点鎖線で示す。)が形成されている。
そして、内リブ18a~18hは、アンカーピンが挿通穴SAを挿通するときにアンカーピンの軸線と挿通穴SAの軸線が一致するようにアンカーピンの軸部を案内する。
また、アンカーピンが傾いて(アンカーピンの軸線が挿通穴の軸線に対して傾いて)挿通穴SAを挿通でき、その傾きを維持できる程度に、挿通穴SAの直径(円筒部17の内径)は、アンカーピンの軸部の外径より大きくなっている。
周壁部21は、アンカーピン用筒部材1にアンカーピンを挿通させた場合に、アンカーピンの頭部の一部を収納する部分であり、周壁部21の外径は、筒部材本体10の鍔部11の外径と同じとなっている。
底部22は、筒部材上部20を筒部材本体10に被せた場合に鍔部11と重なる部分であり、底部22の内側には、円環部12が嵌め込まれる底部穴22hが形成されている。
この底部22の上面には、底部穴22hの周方向に等間隔で配置された4個の爪部23a、23b、23c、23dが立設され、この爪部23a、23b、23c、23dは、設置面に打ち込まれるアンカーピンが最下位置に達したことの目安となる(アンカーピンが最下位置に到達する直前にアンカーピンの頭部が爪部23a~23dのフック部を通過する。)と共に、車止めブロック設置後にタイヤが車止めブロックに当たった衝撃でアンカーピンが上方に跳ね上がるのを防止する。
また、底部22の下面の左右端部には、係合突起24a、24bが垂下されている。
係合突起24a、24bは、筒部材上部20を筒部材本体10に被せた場合に、係合穴15a、15bに嵌め込まれ、係合突起24a、24bの外側に突出している部分が係合部14a、14b(係合穴15a、15bの外側部分)に係合する。
本発明の車止めブロック固定具は、車止めブロックを設置面に固定するアンカーピンとアンカーピン用筒部材を備えている。
図5(a)は、アンカーピンの平面図、図5(b)は、アンカーピンの正面図であり、図中、30はアンカーピン、31は頭部、31aはお椀部、31bは段差部、32は軸部、33は先端部である。
アンカーピン30は、車止めブロックを設置面に固定するための断面が円形の金属製の棒状部材であり、頭部31、軸部32及び先端部33からなる。
頭部31は、お椀部31aとお椀部の上面から上方に突出する段差部31bからなり、お椀部31aの周面は、球面となっており、お椀部31aの周面の一部(上下方向の中央とより下の部分)が、筒部材本体10の頭部保持部13の接触面13aと面接触する。
また、段差部31bは、打ち込み機によりアンカーピン30を設置面に打ち込む際に、打ち込み機の打撃を受ける部分であり、アンカーピン30が設置面に打ち込まれると、筒部材上部20内に段差部31bが収納される。
軸部32は、車止めブロック内に埋設されたアンカーピン用筒部材1(筒部材本体10)の挿通穴SA、挿通穴SAに連続する車止めブロック内の縦穴を挿通し、設置面内に入る部分であり、軸部32の外径は、筒部材本体10の内リブ18a~18hの先端により形成されるリブ先端穴19の径と同じとなっている。
先端部33は、軸部32に連続するアンカーピン30の先端部分であり、アスファルト面等の設置面内にアンカーピン30を打ち込んで突入させるために、鋭利な円錐形状となっている。
車止めブロック40は、コンクリート製の横長五角柱形状のブロックであり、上面41、斜面42、五角形の右側面43等を備えている。
車止めブロック40においては、左右の端部近傍に斜面42から上面41にかけて平面視が略U字形状の切欠き部44、45が設けられ、切欠き部44、45の底面から車止めブロック40の底面にかけて車止めブロック40を貫通し、コンリートのない部分からなるブロック穴44h、45h(図6(b)、(c)において破線で示す部分)が設けられている。
このブロック穴44h、45hは、車止めブロック40内にアンカーピン用筒部材1と固定ロッドを埋設することにより形成されるアンカーピン用筒部材1を覆う穴(アンカーピン用筒部材1の下側部分は空洞となっている)であり、図6は、アンカーピン用筒部材1を除いた状態の車止めブロック40を表わしている。
設置面50は、車止めブロック40が設置される面であり、具体的には、駐車場等のアスファルト面である。
なお、車止めブロック40は、アンカーピン用筒部材1と固定ロッドがセットされた型枠にコンクリートを流し込み、コンクリートが硬化した後、硬化したコンクリートから固定ロッドを引き抜き、型枠を外して製造されることから、実際には、車止めブロック40から埋設されたアンカーピン用筒部材1を除去することはできない。
図7は、本発明の実施形態の車止めブロック固定構造をアンカーピン用筒部材1、アンカーピン30、車止めブロック40に分解した状態の正面図である。
車止めブロック40には、左右の切欠き部44、45の位置にあるブロック穴44h、45hの各々にアンカーピン用筒部材1が埋設されており、この左右のアンカーピン用筒部材1の各々にアンカーピン30が挿通される。
図8(a)は、車止めブロック40のブロック穴44hに埋設されたアンカーピン用筒部材1にアンカーピン30をセットした状態の正面図、図8(b)は、図8(a)のアンカーピン30の頭部に打ち込み機の打ち込みヘッドを被せた状態の正面図であり、図中、55は打ち込みヘッドである。
車止めブロック40においては、ブック穴44h、45hの各々に埋設されたアンカーピン用筒部材1にアンカーピン30が挿通され、先端部33の先端が設置面50に当たるようにしてアンカーピン30がセットされる。
このとき、図8(a)に示すように、アンカーピン30は、頭部31と軸部32の上部が車止めブロック40の上面41から上方に飛び出た状態となる。
この状態で、図8(b)に示すように打ち込み機の打ち込みヘッド55を頭部31の段差部31bに被せて、打ち込み機でアンカーピン30を打ち込む。
これにより、アンカーピン30の先端部と軸部の一部が設置面50に打ち込まれて、車止めブロック40が設置面50に固定される。
この場合、さらに、車止めブロック40の底面が置かれる設置面50の部分に接着剤が塗布され、アンカーピン30と接着剤により車止めブロック40が設置面50に固定される。
また、アンカーピン30の全長は、車止めブロック40の高さの約1.5~2倍であり、アンカーピン30のうち頭部31と軸部32の約1/3~1/2の長さの部分が車止めブロック40内にあり、残りの部分が設置面50に打ち込まれる。
図中、46は拡張穴、P1は内リブ18eの先端の上端位置、P2は内リブ18eの先端の下端位置、P3は円筒部17の内壁面の右端最下位置、XAは挿通穴SAの軸線、XBはアンカーピン30の軸線である。
拡張穴46は、車止めブロック40の製造時に形成される挿通穴SAに連続する穴であり、円錐台形状の穴となっており、拡張穴46の長さ(高さ)は、アンカーピン用筒部材1の長さ(高さ)の1/2程度であるが、それより短く(低く)ても長く(高く)てもよい。
車止めブロック40の製造においては、固定ロッドが円筒部17の下端に取り付けられたアンカーピン用筒部材1を型枠にセットし、この型枠にコンクリートを流し込んで硬化させ、硬化したコンクリートから固定ロッドを引き抜き、型枠が外されるが、固定ロッドを引き抜いたことにより硬化したコンクリートのブロック内に形成される穴が拡張穴46となる。
本実施形態では、拡張穴46の上端の穴径は、円筒部17の外径より大きくなっている。
まず、車止めブロック40を、設置位置を示す基準線等に沿って設置面50に置く。
次いで、アンカーピン30の先端部33と軸部32をアンカーピン用筒部材1(筒部材本体10)の挿通穴SAと拡張穴46に挿通させ、先端部33の先端が設置面50に当たるようにする。
これにより、アンカーピン30のうち先端部33と軸部32の一部が車止めブロック40内にセット(収納)され、図8(a)に示すように頭部31と軸部32の残りの部分が車止めブロック40の上面41から上方に飛び出た状態となる。
このとき、アンカーピン30の軸部32の外径は、筒部材本体10の内リブ18a~18hの先端により形成されるリブ先端穴19の径と同じとなっていることから、アンカーピン30は、設置面50に対して垂直にアンカーピン用筒部材1内にセットされ、挿通穴の軸線XAとアンカーピン30の軸線XBは一致することとなる。
次いで、図8(b)に示すように打ち込み機の打ち込みヘッド55をアンカーピン30の頭部31の段差部31bに当てがい、打ち込み機のピストンが連続的に段差部31の上面を叩いてアンカーピン30の打ち込みを行い、アンカーピン30を先端部33から設置面50内に突入させる。
そして、お椀部31aの周面が筒部材本体10の接触面13aに当たるまでアンカーピン30の打ち込みを行う。
これより、お椀部31aの周面が接触面13aに当たった位置がアンカーピン30の最下位置となる。
このとき、図9に示すように、お椀部31aの周面の上部を除く部分が筒部材本体10の接触面13aと接触して頭部31(お椀部31a)の一部が頭部保持部13保持され、爪部23a、23b、23c、23dがお椀部31aの上面を覆い、段差部31bが筒部材上部20の周壁部21内に収納された状態となる。
この後、筒部材上部20の周壁部21に反射板付キャップ(図示せず)を嵌め込み、車止めブロック40の切欠き部44、45を反射板付キャップで覆い(これにより筒部材上部20に収納された段差部31bが反射板付キャップに隠される)、アンカーピン30による車止めブロック40の設置面50への固定作業を終了する。
なお、通常は接着剤によっても車止めブロック40を設置面50に固定するため、車止めブロック40を設置面50に置く前に、設置面50の車止めブロック40が載る部分に接着剤を塗布しておく。
これにより、アンカーピン30を打ち込んでいく途中で、特に打ち込みの初期段階で、先端部33の先端がアスファルト面等の設置面50内の骨材に当たってずれてアンカープンが傾こうとしなければ、アンカーピン30の軸部32は、8個の内リブ18a~18hに案内され、この8個の内リブのいずれかが軸部32に押されて変形することなく、図8(a)に示すように、アンカーピン30は設置面50に対して垂直に打ち込まれることとなる。
このとき、挿通穴の軸線XAとアンカーピン30の軸線XBは一致し、軸部32の右端の上部は、内リブ18eの先端に接触して位置P1、位置P2上にあり、位置P3から離れた位置にある。
一方、アンカーピン30を打ち込んでいく途中で、特に打ち込みの初期段階で、先端部33の先端がアスファルト面等の設置面50内の骨材に当たってずれようとして、アンカーピン30の軸線XBが挿通穴の軸線XAに対して傾くと、内リブ18a~18hのうち頭部31が傾く側と反対側にある内リブが軸部32に押されて変形し、アンカーピン30は傾いて打ち込まれることとなる。
図9(b)は、アンカーピン30の頭部31が左側に傾き先端部33が最も右側に寄り、内リブ18eが軸部32に押されて変形し、軸部32の右端が円筒部17の内壁面の下端に接して位置P3にくるまで傾いて打ち込まれた状態を示し、軸線XBは軸線XAに対して角θだけ傾いている。
なお、アンカーピン30の周面の右端は拡張穴46の内壁面からは大きく離れている。
以下、図10に基づいてアンカーピン30が傾いて打ち込まれた場合の内リブの寸法・位置、変形量等の関係について、アンカーピン30が垂直に打ち込まれた場合との比較において説明する。
今、図10(a)に示すように円筒部17の内径をD、アンカーピン30の軸部32の外径をd、内リブ18a~18hの上端から円筒部17の下端までの長さをx、内リブ18a~18h軸方向(Z方向)の長さをyとすると、
内リブ18a~18hの高さHは、H=(D-d)/2となる。
アンカーピン30が設置面50に対して垂直に打ち込まれた場合、図9(a)に示すように、内リブ18a~18hは変形せずに、軸部32は内リブ18a~18hの先端部に接触し、軸部32の右端は位置P1、位置P2にある。
これに対して、頭部31が左側に傾いて先端部33が最も右側に寄ってアンカーピン30が打ち込まれた場合、図10(b)に示すように、軸部32の右端は円筒部17の内壁面の下端に接して位置P3にあり、右側の内リブ18eは軸部32に押されて変形し、この変形により、軸部32の右端が内リブ18eの先端部に接触する位置のうち、上端の接触位置は位置P1であるが、下端の接触位置は位置P2から右方向に動いた位置P2’となる。
このとき、軸線XBの軸線XAに対する傾き角θは、
tanθ=H/x=(D-d)/2xとなる。
これより、内リブ18eの先端部の下端の変形量(位置P2と位置P2’の距離)δは、
δ=ytanθ=y(D-d)/2xとなる。
例えば、D=14mm、d=10mm、x=40mm、y=10mmとすると
δ=10×(14-10)/(2×40)=0.5mmとなる。
この場合、アンカーピン30が傾き角θで打ち込まれるためには、内リブ18a~18hのうち頭部31が傾く側と反対側にある内リブがδだけ変形する必要があるが、この変形量δは、内リブ18a~18hの材質に応じて内リブ18a~18hの肉厚(円周方向の長さ)を適宜選択することにより得ることができる。
これにより、アンカーピン30を設置面50に打ち込んでいく途中において、車止めブロック40が最初に置かれた設置面50上の位置からずれることを防止できる。
また、アンカーピン30の設置面50への打ち込みが終了したとき、お椀部31aは筒部材本体10の頭部保持部13に保持されるが、お椀部31aの周面は球面で、頭部保持部13の接触面13aも同じ球面であることから、図9(b)に示すように、アンカーピン30が設置面50に対して傾いて打ち込まれた場合であっても、アンカーピン30が設置面50に対して垂直に打ち込まれた場合(図9(a))と同様に、お椀部31aの周面が頭部保持部13の接触面13aと面接触し、打ち込み機の打撃よるお椀部31aからの頭部保持部13への衝撃力が、接触面13a全体に分散される。
これにより、アンカーピン30のお椀部31aが頭部保持部13に接触した後も打ち込み機によるアンカーピン30の打ち込みを継続しても、打ち込み機の打撃よるお椀部31aからの頭部保持部13への衝撃力により、頭部保持部13(筒部材本体10)が破損し車止めブロック40が破損したり割れたりするのが防止される。
以下、打ち込まれたアンカーピン30が最下位置に達してお椀部31aの周面の一部(上下方向の中央とより下の部分)が、筒部材本体10の頭部保持部13の接触面13aと面接触し、車止めブロック40が異種感知音を発することについて説明する。
打ち込み機によるアンカーピン30の打ち込みにおいては、打ち込みヘッド55を頭部31の段差部31bに当てがい、打ち込みピストン56が連続的に段差部31bの上面を叩き、これによりアンカーピン30が設置面50内に突入していく。
このとき、打ち込みピストン56が連続的に段差部31bの上面を叩く打撃により、アンカーピン30が振動して打撃音が生ずる。
図11(a)に示すように、設置面50に対して垂直に打ち込まれたアンカーピン30は、最下位置に達すると、お椀部31aの周面の一部が頭部保持部13の接触面13aと面接触するが、最下位置に到達する直前に頭部31のお椀部31aが筒部材上部20の爪部23a~24dのフック部を通過し、お椀部31aの上面が爪部23a~24dのフック部の下側にくる。
これにより、打ち込みを行う作業者は、直ぐにアンカーピン30が最下位置に達し、打ち込みが終了することを視覚で知ることができる。
この場合、頭部保持部13は、金属に比べて変形しやすいプラスチック材料からなるが、補強リブ16a~16hのない部分が薄肉部13bとなっており、打ち込み機(打ち込みピストン56)からの段差部31bの上面への打撃により、お椀部31aから頭部保持部13の接触面13aに加わる衝撃に対して、頭部保持部13の変形が極力小さく抑えられる。
このため、頭部保持部13は、打ち込み機の打撃による頭部30の振動を減衰させずに車止めブロック40に伝達し、これにより、車止めブロック40が振動して、アンカーピン30の打撃音とは異なる音であって、打ち込みを行う作業者が感知できる異種感知音を発する。
よって、アンカーピン30の打ち込みを行う作業者は、お椀部31aの上面が爪部23a~23dのフック部の下側にきたことにより、直ぐにアンカーピン30が最下位置に達することを知り、アンカーピン30の打撃音が車止めブロック40の振動による異種感知音に変化することにより、アンカーピン30が最下位置に達し、アンカーピン30の打ち込みが終了したことを感知することができる。
そして、この場合も、頭部保持部13は、打ち込み機の打撃による頭部30の振動を減衰させずに車止めブロック40に伝達し、車止めブロック40は、振動して異種感知音を発する。
よって、打ち込みを行う作業者は、アンカーピン30が設置面50に対して垂直に打ち込まれた場合と同様に、お椀部31aの上面が爪部23a~23dのフック部の下側にきたことにより、直ぐにアンカーピン30が最下位置に達することを知り、アンカーピン30の打撃音が異種感知音に変化することにより、アンカーピン30の打ち込みが終了したことを感知することができる。
なお、打ち込み機は、上記のような打ち込みヘッド55の内側に打ち込みピストン56を備えたものに限定されず、打ち込みピストン56を備えていないものであってもよい。
打ち込みピストン56を備えていない打ち込み機においては、打ち込みヘッド55の先端面が段差部31bの段差面を叩き、アンカーピン30が振動して打撃音が生ずる。
図12は、筒部材本体10に接続される延長筒部を表わした図であり、図12(a)は延長筒部の平面図、図12(b)は、延長筒部の正面図、図12(c)は、図12(a)のF-F断面図であり、図中、60は延長筒部、61は接続部、62は延長部である。
延長筒部60は、高さのある車止めブロック(例えば、通常の1.5倍の高さの車止めブロック)に使用され、筒部材本体10や筒部材上部20と同様にポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック材料からなり、接続部61と延長部62を備えている。
接続部61は、短い円筒体であって、筒部材本体10の円筒部17が嵌め込まれる部分であり、接続部61の内径は円筒部17の外径と同じである。
延長部62は、接続部61に連続する長い円筒体であり、この延長部62により、円筒部17で形成される挿通穴SAが延長され、高さのある車止めブロックに対しても、設置面50から挿通穴(延長部62で延長される挿通穴)の下端までの高さを、図9に示す通常の高さの車止めブロック40の設置面50から挿通穴SAの下端までの高さと同じになる。すなわち、高さのある車止めブロックの拡張穴の長さ(高さ)は、通常の高さの車止めブロックの拡張穴46の長さ(高さ)と同じになる。
この場合、延長部62の内径は下方にいくほど広がっており、延長部62の上端の内径は円筒部17の内径Dと同じであるが、延長部62の下端の内径D’はDより大きくなっている。
これにより、延長部62で形成される挿通穴を挿通するアンカーピンの軸線が、挿通穴の軸線に対してできるだけ大きく傾くようになっている。
なお、延長部62における内径の広がりに関し、上端から延長部62の長さの1/3~1/2程度の長さ部分の内径は同じとし、それより下側の部分の内径が次第に広がるようにしてもよい。
図中、1’はアンカーピン用筒部材、40’は車止めブロック、46’は 拡張穴、P4は延長筒部60(延長部62)の内壁面の右端最下位置、SA’は挿通穴である。
アンカーピン用筒部材1’は、筒部材本体10、筒部材上部20、筒部材本体10の円筒部17に接続された延長筒部60を備え、アンカーピン用筒部材1に延長筒部60を追加した構成となっている。
このアンカーピン用筒部材1’が埋設された車止めブロック40’は、図6に示す車止めブロック40と同じコンクリート製の横長五角柱形状のブロックであるが、高さが車止めブロック40の1.5~2倍程度ある。
この車止めブロック40’おいては、筒部材本体10の円筒部17により挿通穴SAが形成され、延長筒部60の延長部62により挿通穴SAに連続する挿通穴SA’が形成され、車止めブロック40と同じ拡張穴46’が挿通穴SA’に連続するように形成されている。
アンカーピン30による車止めブロック40’の設置面50への固定は、車止めブロック40の場合と同様にして行われる。
すなわち、車止めブロック40’を、設置位置を示す基準線等に沿って設置面50に置き、アンカーピン30の先端部33と軸部32を挿通穴SA、挿通穴SA’及び拡張穴46’に挿通させ、先端部33の先端が設置面50に当たるようにし、打ち込み機のホルダー(打撃を与える部分)をアンカーピン30の頭部31の段差部31bに当てがい、打ち込み機によるアンカーピン30の打ち込みを行い、アンカーピン30を先端部33から設置面50内に突入させ、お椀部31aの周面が筒部材本体10の接触面13aに当たるまでアンカーピン30の打ち込みを行い、最後に、筒部材上部20の周壁部21に反射板付キャップを嵌め込み、アンカーピン30による車止めブロック40’の設置面50への固定作業を終了する。
このとき、挿通穴の軸線XAとアンカーピン30の軸線XBは一致し、軸部32の右端の上部は、内リブ18eの先端に接触して位置P1、位置P2上にあり、位置P3、位置P4から離れた位置にある。
一方、アンカーピン30を打ち込んでいく途中で、特に打ち込みの初期段階で、先端部33の先端がアスファルト面等の設置面50内の骨材に当たってずれようとして、アンカーピン30の軸線XBが挿通穴の軸線XAに対して傾くと、図14(b)に示すように内リブ18a~18hのうち頭部31が傾く側と反対側にある内リブが軸部32に押されて変形し、アンカーピン30は傾いて打ち込まれ、軸線XBは軸線XAに対して角θ’だけ傾くこととなる。
今、頭部31が左側に傾いて先端部33が最も右側に寄ってアンカーピン30が打ち込まれた場合、図14(b)に示すように、軸部32の右端は位置P3からわずかに離れ、延長筒部60(延長部62)の内壁面の下端に接して位置P4にあり、内リブ18eは軸部32に押されて変形し、この変形により、軸部32の右端が内リブ18eの先端部に接触する位置のうち、上端の接触位置は位置P1であるが、下端の接触位置は位置P2から右方向に動いた位置P2”となる。
このとき、軸線XBの軸線XAに対する傾き角θ’は、延長部62の長さをzとすると、アンカーピン30の軸部32の外径がd、延長部62の下端の内径がD’、内リブ18a~18hの上端から円筒部17の下端までの長さがxであるから、
tanθ’=(D’-d)/(2(x+z))となる。
これより、内リブ18eの先端部の下端の変形量(位置P2と位置P2”の距離)δ’は、
δ’=ytanθ’=y(D’-d)/(2(x+z))となる。
例えば、D’=16mm、d=10mm、x=40mm、z=80mm、y=10mmとすると
δ’=10×(16-10)/(2×(40+80))=0.25mmとなる。
この場合、アンカーピン30が傾き角θ’で打ち込まれるためには、内リブ18a~18hのうち頭部31が傾く側と反対側にある内リブがδ’だけ変形する必要があるが、変形量δ’は車止めブロック40の場合の変形量δより小さく、変形量δが得られる内リブ18a~18hの材質・肉厚を選択すれば、変形量δ’も得ることができる。
10 筒部材本体
11 鍔部
12 円環部
13 頭部保持部
13a 接触面
13b 薄肉部
14a、14b 係合部
15a、15b 係合穴
16a、16b、16c、16d 回り止めリブ
17 円筒部
18a、18b、18c、18d、18e、18f、18g、18h 内リブ
19 リブ先端穴
20 筒部材上部
21 周壁部
22 底部
22h 底部穴
23a、23b、23c、23d 爪部
24a、24b 係合突起
30 アンカーピン
31 頭部
31a お椀部
31b 段差部
32 軸部
33 先端部
40、40’ 車止めブロック
41 上面
42 斜面
43 右側面
44、45 切欠き部
44h、45h ブロック穴
46、46’ 拡張穴
50 設置面
55 打ち込みヘッド
56 打ち込みピストン
60 延長筒部
61 接続部
62 延長部
HK 保持空間
P1 内リブ18eの先端の上端位置
P2 内リブ18eの先端の下端位置
P2’ 変形後の内リブ18eの先端の下端位置
P3 円筒部17の内壁面の右端最下位置
P4 延長筒部60(延長部62)の内壁面の右端最下位置
SA、SA’ 挿通穴
XA 挿通穴SAの軸線
XB、XB’ アンカーピン30の軸線
Claims (6)
- 車止めブロック内に埋設されて、該車止めブロックを設置面に固定するアンカーピンが挿通する挿通穴を備えたアンカーピン用筒部材であって、
前記挿通穴を形成する筒部材本体は、前記アンカーピンの頭部を保持する頭部保持部を備え、
前記頭部保持部は、前記設置面に打ち込まれる前記アンカーピンが最下位置に達するまで打ち込まれたときに前記アンカーピンの頭部の周面を含む一部と面接触して、前記アンカーピンを前記設置面に打ち込むために前記アンカーピンの頭部に加える打撃による前記アンカーピンの頭部の振動を減衰させずに前記車止めブロックに伝達し、前記車止めブロックが前記アンカーピンの打撃音と異なる音であって感知できる異種感知音を発するようにすること
を特徴とするアンカーピン用筒部材。 - 前記アンカーピンの頭部は周面の全部又は一部が球面であるお椀部を備え、前記頭部保持部は、前記お椀部の球面と面接触する接触面と前記アンカーピンの頭部の振動を減衰させない薄肉部を備えていることを特徴とする請求項1記載のアンカーピン用筒部材。
- 前記筒部材本体に係合し、前記アンカーピン用筒部材の上部を形成する筒部材上部をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のアンカーピン用筒部材。
- 車止めブロックを設置面に固定するアンカーピンと、前記車止めブロック内に埋設されて前記アンカーピンが挿通する挿通穴を有するアンカーピン用筒部材とを備えた車止めブロック固定具であって、
前記挿通穴を形成する前筒部材本体は、前記アンカーピンの頭部を保持する頭部保持部を備え、
前記頭部保持部は、前記設置面に打ち込まれる前記アンカーピンが最下位置に達するまで打ち込まれたときに前記アンカーピンの頭部の周面を含む一部と面接触して、前記アンカーピンを前記設置面に打ち込むために前記アンカーピンの頭部に加える打撃による前記アンカーピンの頭部の振動を減衰させずに前記車止めブロックに伝達し、前記車止めブロックが前記アンカーピンの打撃音と異なる音であって感知できる異種感知音を発するようにすること
を特徴とする車止めブロック固定具。 - 前記アンカーピン用筒部材は、前記筒部材本体に係合し、前記アンカーピン用筒部材の上部を形成する筒部材上部をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の車止めブロック固定具。
- 車止めブロックをアンカーピンにより設置面に固定する車止めブロックの固定構造であって、
前記車止めブロック内には、前記アンカーピンが挿通する挿通穴を備えたアンカーピン用筒部材が埋設され、
前記挿通穴を形成する筒部材本体は、前記アンカーピンの頭部を保持する頭部保持部を備え、
前記頭部保持部は、前記設置面に打ち込まれる前記アンカーピンが最下位置に達するまで打ち込まれたときに前記アンカーピンの頭部の周面を含む一部と面接触して、前記アンカーピンを前記設置面に打ち込むために前記アンカーピンの頭部に加える打撃による前記アンカーピンの頭部の振動を減衰させずに前記車止めブロックに伝達し、前記車止めブロックが前記アンカーピンの打撃音と異なる音であって感知できる異種感知音を発するようにすること
を特徴とする車止めブロックの固定構造。
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