JP2024020276A - 歯肉炎の診断方法、使用、キット - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒト患者が歯肉炎であるかを評価するインビトロ方法を開示する。【解決手段】歯肉炎に罹患した患者の唾液試料において、特定のタンパク質の組み合わせで濃度が測定される。そのような組み合わせの1つは、α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)とS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びに、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つである。他の組み合わせは、α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4)である。当該測定濃度に基づき、当該値を、歯肉炎に関連する結合濃度を同様に反映する閾値との比較により、試験値が前記患者における歯肉炎の存在の指標となるかの評価をすることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、口腔ケアの分野における、歯周疾患の唾液ベースの診断に関連する。特に、本発明は、歯肉炎を診断するキット、使用及び方法に関する。
歯肉炎症、すなわち歯肉炎は、主に歯の細菌性バイオフィルム、すなわち歯垢の歯表面への付着によって引き起こされる非破壊的な歯周疾患である。もし検出されて治療されなければ、可逆性歯肉炎は通常、歯の周辺の組織(すなわち歯周組織)の炎症を引き起こすが、これは不可逆性歯周病として定義される状態であり、組織破壊及び歯槽骨喪失が起こり、最終的に歯の喪失に至る。歯肉疾患の進行中には、歯肉の腫れ、淡紅色から暗赤色への色の変化、歯肉の出血、息苦しさ、歯肉の圧痛や痛み等、関連する臨床徴候や症状が現れる。
歯周病は、口腔微生物が原因の慢性多因子性炎症性疾患であり、硬(骨)及び軟(歯周靭帯)組織の進行性破壊を特徴とし、最終的に歯の可動性及び喪失にいたる。これは、歯肉組織の可逆的な感染及び炎症である歯肉炎とは区別されるべきである。炎症性歯周病は最も一般的な慢性ヒト疾患の1つで、成人の歯の喪失の主な原因である。歯周病が口腔の健康に及ぼす実質的な悪影響に加えて、歯周病は全身的な結果をもたらし、それが心疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、脳卒中)、糖尿病、妊娠合併症、結合リウマチ及び呼吸器感染症を含むいくつかの全身性疾患の危険因子であるというエビデンスも増加している。
したがって、歯周疾患の早期かつ正確な診断は、口腔及び全身の健康の観点から重要である。
一般的な歯科診療では、歯周疾患の診断は依然として不十分であり、その結果、治療的介入の割合が比較的低く、未治療の症例がかなり多い。現在の診断は、歯科医による不正確で主観的な口腔組織の臨床試験(色、腫脹、プロービングでの出血の程度、プロービングポケットの深さ、及び口腔X線による骨損失)に依存する。これらの従来の方法は時間がかかり、用いられる技術(ポケット深度、X線)のいくつかは、現在の疾患活動性又はさらなる疾患感受性よりもむしろ、過去の疾患活動性などの歴史的事象を反映する。従って、より客観的、より迅速、正確、より簡便な診断法(理想的には予測値を伴う)が望ましく、非専門家でも実施され得るものが好ましい。それにより、現在の疾患活動性、被験体のさらなる歯周疾患に対する感受性を判定することが望ましい。
唾液又は経口液剤は、長い間、口腔疾患及び一般疾患の診断用液として提唱されてきた。また、ラボ・オン・チップという小型バイオセンサーの出現により、迅速な診察室での診療現場試験診断法は、科学的及び臨床的により大きな関心を集めている。特に歯周疾患の検出では、組織の炎症及び破壊に関連する炎症性バイオマーカーは、近接するために唾液中に容易に到達する可能性があり、唾液は歯周疾患の検出について、強力な可能性があることを示唆する。実際、この分野は大きな関心を集めており、有望な結果が得られている。例えば、非特許文献1は、歯周疾患と相関する宿主及び細菌由来のバイオマーカーを同定した。しかし、まだ明確な試験は確立されていない。
バイオマーカーは、臨床症状を裏付ける生物学的指標であり、歯周疾患の臨床転帰を診断する客観的尺度である。最終的には、証明されたバイオマーカーを用いて、将来の疾患のリスクを評価し、極めて早期の段階で疾患を同定し、初期治療への反応を同定し、予防戦略を実施することができる。
Ramseier et al(J Periodontol.2009 Mar;80(3):436-46)
唾液中のバイオマーカーに関する診療現場試験の開発については、これまで、診察室での応用に適応できる技術の欠如及び個々の試料中の複数のバイオマーカーの分析が不可能であるという制限があった。また、当該試験に含める複数のバイオマーカーの選択は、文献で十分に扱われておらず、実用的な試験でも実施されていない。
より単純なプロセス、特に少量の唾液試料を患者から、できれば患者自身が採取しうるプロセスの提供が望まれる。当該試料は、唾液試料を分類できる体外診断装置に入力されて、その測定に基づき、当該患者の歯肉炎の罹患と分類される見込みの指標を返すことができることが望ましい。
上記要望により良く対処するために、本発明は、一態様では、ヒト患者が歯肉炎であるかを評価するインビトロ方法であって、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質濃度の検出工程;
-前記タンパク質について決定された結合濃度を反映する試験値の決定工程;
-前記試験値を、歯肉炎に関連する結合濃度を同じ方法で反映する閾値と比較して、前記試験値が前記患者の歯肉炎の指標となるかの評価工程;
を含む。
他の態様では、本発明は、患者が歯肉炎であるかを評価するバイオマーカーとして、ヒト患者の唾液試料中の第1態様のタンパク質の使用を提供する。
場合によっては、患者の年齢もまた、バイオマーカーとして用いられる。
さらなる態様では、ヒト患者が歯肉炎であるかを評価するシステムであって、以下の:
-ヒト患者の唾液試料中で以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質を検出することができ、かつそそのように適合された検出手段;
-前記タンパク質の決定された濃度から歯肉炎である患者の指標を決定するように適合されたプロセッサ;
を含む、システムを提供する。
当該システムは、場合によっては、情報を提示することができ、好ましくは、被験体の年齢等の情報、及び場合によっては、性別及び/又はBMI(ボディマスインデックス)等の他の情報も提示することができるインタフェース、特にグラフィカルユーザインタフェースへのデータ接続を含み、前記インタフェースは、システムの部分であるか又はリモートインタフェースである。
場合によっては、前記アイテムのうちの1又はそれ以上、特にプロセッサは、「クラウド内」、すなわち固定マシン上ではなく、インターネット系アプリケーションによって機能することができる。
なお、さらなる態様では、本発明は、ヒト患者の唾液試料中の歯肉炎用の少なくとも3つのバイオマーカーを検出するキットであって、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
を、検出する、1又はそれ以上の検出試薬を含む、前記キットを提供する。
通常、3又はそれ以上の検出試薬が用いられ、各試薬は異なるバイオマーカーに結合する。1つの実施形態では、第1検出試薬はA1AGPを検出することができ、第2検出試薬はS100A8を検出することができ、第3検出試薬はHb-ベータ、K-4及びPKの1つを検出することができる。さらなる実施形態では、第1検出試薬はA1AGPを検出することができ、第2検出試薬はHb-ベータを検出することができ、第3検出試薬はK-4を検出することができる。他の実施形態では、第1検出試薬はA1AGPを検出することができ、第2検出試薬はS100A8を検出することができ、第3検出試薬はHb-ベータ、K-4及びPKの1つを検出することができ、第4検出試薬はHb-ベータ、K-4及びPKの異なる1つを検出することができる。
さらにもう1つの態様では、本発明は、歯肉炎に罹患しているヒト患者において、第1時点t1から第2時点t2までの時間にわたり、歯肉炎の状態の変化を決定するインビトロ方法であって、前記患者から得られた唾液の少なくとも1つの試料において、t1及び前記患者から得られた唾液の少なくとも1つの試料で、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質の濃度の検出工程;及び、
前記濃度の少なくとも1、2又はそれ以上の差が、状態の変化を反映するような濃度の比較工程;
を含む方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、ヒト患者が歯肉炎であるかを診断する方法であって、前記ヒト患者の唾液試料中で以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質の検出工程;及び、
前記試料中の前記タンパク質の濃度に基づく、患者における歯肉炎の存在の評価工程;を、含む。場合によっては、この態様の方法は、患者の歯肉炎を治療するさらなる工程を含む。
なお、さらなる態様では、本発明は、ヒト患者において、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);のタンパク質を検出する方法であって、以下の:
(a)ヒト患者から唾液試料を得る工程;及び、
(b)前記タンパク質と結合する1又はそれ以上の検出試薬と試料を接触させて、前記タンパク質が試料中に存在するか否かの検出工程、及び各タンパク質と1又はそれ以上の検出試薬との間の結合の検出工程;
を含む、方法を提供する。通常、本明細書の他の箇所に記載されているように、少なくとも第1及び第2、場合によっては第3及び第4検出試薬が存在する。
本開示に記載される方法で使用するためのシステムを概略的に表す図である。
一般的な意味では、本発明は、歯肉炎が、少数のタンパク質バイオマーカーの測定に基づいて十分な精度で、健常口腔から区別され得るという賢明な洞察に基づく。特に、ヒト患者の唾液試料中のわずか3つのタンパク質が、歯肉炎の有無を同定するバイオマーカーとして機能することが見出されている。
バイオマーカータンパク質は、α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットベータ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)、及びピルビン酸キナーゼ(PK)である。これらのタンパク質の以下の組み合わせ:
α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4)
が、本発明による歯肉炎の診断に用いられる。
被験体の年齢は、場合によっては、追加のマーカーとして含まれ得る。
α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)は、主に肝臓で合成される血漿α‐グロブリン糖タンパク質である。オロソムコイドとしても知られる血液中の輸送タンパク質として機能し、塩基性で中性に荷電したリポ親和性化合物の運搬体として作用する。また、血液細胞と内皮細胞との相互作用を調節すると考えられている。
S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)は、炎症過程及び免疫応答の調節で重要な役割を果たすカルシウム及び亜鉛結合タンパク質である。好中球の走化性、接着を誘導することができる。
カルグラニュリンBとしても知られるS100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)は、炎症過程及び免疫反応の調節で重要な役割を果たすカルシウム及び亜鉛結合タンパク質である。好中球走化性、接着を誘導し、SYK、PI3K/AKT及びERK1/2の活性化を介して食作用を促進して、好中球の殺菌活性を高めることができ、MAPK依存性機序により好中球の脱顆粒を誘導することができる。
ヘモグロビン(Hb)は、ほとんどすべての脊椎動物及び一部の無脊椎動物の組織の赤血球中の鉄含有酸素輸送金属タンパク質である。ヘモグロビンβ(βグロビン、HBB、βグロビン、及びヘモグロビンサブユニットβとしても知られる)はグロビンタンパク質であり、αグロビン(HBA)とともに成人のヘモグロビンの最も一般的な形態であるHbAを構成する。Hb-βは通常、146個のアミノ酸の長さであり、分子量は15,867Daである。正常な成人のHbAは2つのα鎖と2つのβ鎖からなるヘテロ四量体である。Hb-βはヒト11番染色体上のHBB遺伝子にコードされる。
ヘモグロビンのサブユニットデルタ(デルタグロビン、HBD、δ-グロビン、ヘモグロビンデルタとしても知られる)はグロビンタンパク質であり、アルファグロビン(HBA)とともに、成人のヘモグロビンHbA-2のあまり一般的ではない形態を構成する。Hbデルタは通常、147個のアミノ酸からなり、分子量は16,055Daである。成人ヒトHbA-2は2個のα鎖と2個のδ鎖からなるヘテロ四量体である。Hbデルタは、ヒト11番染色体上のHBD遺伝子によってコードされている。
ケラチン-4(K4)は、細胞骨格ケラチン4(CYK4)又はサイトケラチン-4(CK-4)としても知られるが、ヒトではKRT4遺伝子によってコードされるタンパク質である。ケラチン遺伝子ファミリーに属する。II型サイトケラチンは、単純及び重層上皮組織の分化の間に共発現される一対の異型ケラチン鎖に配列する塩基性又は中性のタンパク質からなる。II型サイトケラチンCK4は、KRT13ファミリーの粘膜上皮及び食道上皮の分化した層において特異的に発現する。当該遺伝子の突然変異は、口腔、食道、及び肛門の白板症を特徴とする白色スポンジ状母斑と関連する。II型サイトケラチンは染色体12q12-q13の領域にクラスターを形成する。
ピルビン酸キナーゼは解糖の最終段階を触媒する。ピルビン酸キナーゼには4つの組織特異的アイソザイムがあり、各々には異なる組織に必要な特定の速度論的性質がある。
プロフィリンは、アクチン細胞骨格の動的な代謝回転と再構築に関与するアクチン結合タンパク質であり、ほとんどの細胞でみられる。アクチンミクロフィラメントの空間的及び時間的に制御された成長には重要であり、これは細胞の移動及び細胞の形態変化に不可欠な過程である。ヒトプロフィリン-1は、発現されると通常140アミノ酸の長さであるが、多くの場合、さらにプロセシングされて成熟型になる。
上記タンパク質は、当該分野で公知である。当業者は、それらの構造、及び唾液試料等の水性試料中でそれらを検出する方法を知っている。以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);のタンパク質のバイオマーカーを「本発明のバイオマーカーパネル」と総称する。
実施例の表1は、本発明に関する21の特に好ましいタンパク質バイオマーカーの組み合わせを提供する。
本発明のバイオマーカーパネルは、1の実施形態では、以下の当該同定されたタンパク質バイオマーカーからなりうる。好ましくは、本発明のバイオマーカーパネルは、本発明で同定されたタンパク質バイオマーカーのうちの4つ以下、例えば、本発明の3又は4つのタンパク質バイオマーカーからなる。本発明のバイオマーカーパネルに加えて、人口統計学的データ(例えば、年齢、性別)等の他のバイオマーカー及び/又はデータを、歯肉炎の決定に適用されるデータのセットに含めることができる。他のタンパク質バイオマーカーの例としては、ヘモグロビンサブユニットのデルタ(Hb-デルタ)、プロフィリン又はS100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)がある。これらの付加的なタンパク質の一つが、以下の表1に例示されているいくつかのパネルに含まれる。
他のバイオマーカーが、場合によっては、含まれる場合、バイオマーカーの総数(すなわち、本発明のバイオマーカーパネル+他のバイオマーカー)は、通常3、4、5又は6である。
しかしながら、本発明の望ましい利点は、好ましくは4つ以下のバイオマーカー、例えば3つ、又は4つのタンパク質バイオマーカーを測定して、患者の歯肉炎の分類を決定できることである。特に、この決定には、有利には、簡易かつ簡便な診断テストを提供する他のデータを用いる必要がない。
本方法は、必要に応じて、少量の唾液試料、例えば、液滴を被験体から採取するだけでよい。試料のサイズは、通常、0.1μl~2ml、例えば、1~2mlの範囲であり、それにより、より少量、例えば、0.1~100μlを体外装置処理に用いることができ、それにより、より大きな試料、例えば、最大20ml、例えば、7.5~17mlを採取することも可能である。
この試料は、関与するタンパク質の濃度を測定し、診断結果を返す体外診断装置に入力され、歯肉炎の可能性に基づいて被験体を分類する。
本発明の使用の簡便性により、歯肉炎である、又は歯肉炎を発症するリスクが高い歯科患者の大部分を、定期的に(例えば、定期的な歯科試験の一部として、又は自宅においてさえ)試験することができる。これにより、特に、歯肉炎発症直後に歯肉炎の存在が検出できるため、より時宜を得た口腔ケアを行い、歯周病への進行を防止し、歯肉炎の進行を逆行させることができる。あるいは、例えば、歯肉炎のリスクが高いことが知られており、患者の初回試験で、この方法により、歯肉炎の発症を同定することができる。特に、本方法は自己診断にも適し、試料を採取し、それを装置に入れる工程を、患者自身が実施することができる。
本発明が、歯肉炎の存在の確認に実施される場合、患者は通常、歯肉炎であることが知られているか、又は歯肉炎であることが疑われる。従って、特定の態様では、本方法は、歯肉炎であることが知られているか又は疑われるヒト患者が歯肉炎であるかを評価する。被験体に「健常又は歯肉炎分類」を実施する場合、被験体が歯周炎に罹患していないことが既に知られているか、又は想定されている。これは、例えば、以前に実施された歯周炎の検出/分類手順から知ることができるか、又は例えば、被験体の口腔の健康状態記録から想定することができる。
本発明の方法は、通常、1つ又はそれ以上の検出試薬を用いて、本発明のバイオマーカーパネルを構成する前記タンパク質、及び場合によっては、さらなるバイオマーカータンパク質を検出することを含む。
本発明により試験される「唾液」は、吐出又はスワブによって獲得しうる得る未希釈の唾液であってよく、又は液体で口をすすいで獲得しうる希釈された唾液であってよい。希釈唾液は、患者が滅菌水(例えば、5ml又は10ml)又は他の適当な流体で数秒間口をすすぎ又は振り動かし、容器に吐き出して得ることができる。当該希釈唾液は、口腔すすぎ液という場合もある。
「検出する」とは、バイオマーカータンパク質の濃度を測定、定量、スコアリング、又はアッセイすることを意味する。バイオマーカータンパク質を含む生物学的化合物を評価する方法は、当技術分野では公知である。タンパク質バイオマーカーを検出する方法には、直接測定及び間接測定が含まれることが認識されている。当業者は、特定のバイオマーカータンパク質をアッセイする適当な方法を選択することができるであろう。
タンパク質バイオマーカーに関する用語「濃度」には、その通常の意味、すなわち、体積中のタンパク質の存在量が与えられる。タンパク質濃度は、体積当たりの質量で測定される。最も通常には、mg/ml又はμg/mlであるが、ときにはpg/mlと低く測定される。別の尺度は、モラリティ(又はモル濃度)、モル/L又は「M」である。濃度は、公知の、決定された、又は所定の容量の試料中のタンパク質の量を検出して測定することができる。
濃度を測定する代わりに、試料中のタンパク質バイオマーカーの絶対量を測定すること、又は試料中のバイオマーカーの質量-分画を測定すること、例えば、試料中の他のすべてのタンパク質の合計に対するバイオマーカーの量を測定してもよい。
「検出試薬」とは、目的のタンパク質バイオマーカーに特異的に(又は選択的に)結合し、相互作用し、又は検出する物質又は化合物である。当該検出試薬は、限定されるものではないが、タンパク質バイオマーカーに優先的に結合する抗体、ポリクローナル抗体、又はモノクローナル抗体を含み得る。
用語「特異的に(又は選択的に)結合する」又は「特異的な(又は選択的な)免疫反応性がある(有する)」は、検出試薬を参照する場合、タンパク質及び他の生物学的製剤の不均一な集団におけるタンパク質バイオマーカーの存在を測定する結合反応をいう。従って、指定された免疫学的測定条件下では、特定の検出試薬(例えば、抗体)は、バックグラウンドの少なくとも2倍で特定のタンパク質に結合し、試料中に存在する他のタンパク質に実質的に有意量で結合しない。当該条件下での特異的結合には、特定のタンパク質に対する特異性のために選択される抗体が必要である。様々な免疫学的測定フォーマットを用いて、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択することができる。例えば、固相ELISA免疫学的測定法(酵素免疫測定法)は、タンパク質と特異的に免疫反応性のある抗体の選択に日常的に用いられる(例えば、Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(1988),for a description of immunoassay formats and conditions that can be used to determine specific immunoreactivity参照)。通常、特異的又は選択的反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍であり、より典型的には、バックグラウンドの10~100倍を超えるであろう。
「抗体」とは、エピトープ(例えば、抗原)を特異的に結合し、認識する、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子、又はそれらの断片によって実質的にコードされるポリペプチドリガンドをいう。認識された免疫グロブリン遺伝子には、κ及びλ軽鎖定常領域遺伝子、α、γ、δ、ε及びμ重鎖定常領域遺伝子、及び無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。抗体は、例えば、無傷の免疫グロブリンとして、又は様々なペプチダーゼによる消化により産生される多数の十分に特徴付けられた断片として存在する。これは、例えば、Fab’及びF(ab)’2断片を含む。本明細書中で用いられる用語「抗体」はまた、全抗体の修飾によって産生された抗体断片、又は組換えDNA方法を用いて新規に合成された抗体断片を包含し、また、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、又は単鎖抗体を包含し、抗体の「Fc」部分は、1又はそれ以上の重鎖定常領域ドメインCH1、CH2、及びCH3を含むが、重鎖可変領域を含まない免疫グロブリン重鎖の部分を意味する。抗体は、二重特異性抗体、例えば、第1抗原に特異的に結合する第1可変領域及び第2の異なる抗原に特異的に結合する第2可変領域がある抗体であり得る。少なくとも1つの二重特異性抗体を用いて、必要な検出試薬の数を減らすことができる。
診断法は感度及び特異度が異なる。診断的アッセイの「感度」とは、試験が陽性であった患者の割合(「真の陽性」の割合)であり、アッセイで検出されなかった疾患患者は「偽陰性」である。病気ではないが試験で陰性となった被験体を「真陰性」といい、診断試験の「特異度」は1から偽陽性率を差し引いたものであり、「偽陽性」率は、試験で陽性となった罹患のない被験体の割合と定義される。
本発明のバイオマーカータンパク質は、いかなる手段によっても試料中で検出することができる。バイオマーカー検出の好ましい方法は、抗体系アッセイ、タンパク質アレイアッセイ、質量分析(MS)系アッセイ、及び(近赤外分光法系アッセイである。例えば、免疫学的測定法には、ウエスタンブロット、ラジオ免疫学的測定法、ELISA「サンドイッチ」免疫学的測定法、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、蛍光免疫学的測定法等の技術を用いる競合的及び非競合的アッセイシステムが含まれるが、これらに限定されない。当該アッセイは常套手段であり、当技術分野では周知である。例示的な免疫学的測定法は、以下に簡単に記載される(しかし、限定を意図するものではない)。
免疫沈降プロトコルは一般に、タンパク質ホスファターゼ及び/又はプロテアーゼ阻害剤(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)が添加されたRIPA緩衝液(1%NP-40又はTritonX-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaC1、pH7.2の0.01Mリン酸ナトリウム、1%トラシロール)等の溶解緩衝液中で細胞の集団を溶解し、細胞溶解液に目的の抗体を添加し、4℃で一定期間(例えば、1~4時間)インキュベートし、プロテインA及び/又はプロテインGセファロースビーズを細胞溶解液に添加し、約1時間以上4℃でインキュベートし、溶解緩衝液中でビーズを洗浄し、SDS/試料緩衝液中でビーズを再懸濁することを含む。抗体の特定の抗原を免疫沈降能は、例えば、ウエスタンブロット分析で評価することができる。当業者は、抗原への抗体の結合を高め、バックグラウンドを軽減する(例えば、セファロースビーズで細胞溶解物を予めクリアする)ために修飾され得るパラメータに関して知識があるであろう。
ウエスタンブロット分析は、一般に、タンパク質試料の調製、ポリアクリルアミドゲル中でのタンパク質試料の電気泳動(例えば、抗原の分子量に応じて8~20%のSDS-PAGE)、ポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDF又はナイロン等の膜へのタンパク質試料の移動、ブロッキング溶液(例えば、3%のBSA又は非脂肪ミルクを含むPBS)中での膜のブロッキング、洗浄緩衝液(例えば、PBS-Tween20)中での膜洗浄、ブロッキング緩衝液中で希釈された一次抗体(対象の抗体)を用いた膜のブロッキング、洗浄緩衝液中での膜の洗浄、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)に結合された一次抗体(例えば、抗ヒト抗体を認識する)又は放射性分子(例えば、32P又は125I)を用いた膜のブロッキング、ブロッキング緩衝液中での膜の洗浄、及び当該抗原の存在の検出を含む。当業者は、検出されたシグナルを高め、バックグラウンドノイズを低下するのに修正することができるパラメータの知識があるであろう。
ELISAは、通常、抗原(すなわち、目的のバイオマーカータンパク質又はその断片)の調製、96穴マイクロタイタープレートのウェルの抗原でのコーティング、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)等の検出可能な化合物に結合した目的の抗体をウェルに添加し、しばらくインキュベートすること、及び抗原の存在の検出を含む。ELISAでは、目的の抗体を検出可能な化合物に結合させる必要はなく、代わりに、検出可能な化合物に結合された第2抗体(目的の抗体を認識する)をウェルに添加することができる。さらに、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、抗体をウェルにコーティングしてもよい。この場合、検出可能な化合物に結合した第2抗体は、対象抗原がコーティングされたウェルに添加した後に添加することができる。当業者は、検出されたシグナル、及び当技術分野で公知のELISAの他のバリエーションを高めるのに改変することができるパラメータの知識があるであろう。
複数のマーカーを用いるため、当該バイオマーカーの結合濃度に基づいて閾値を決定することができる。当該閾値は、患者が歯肉炎に分類されるかどうかを決定する。本発明は、歯肉炎が、上記のバイオマーカーの組み合わせの測定に基づいて十分な精度で検出され得るという洞察を反映する。
当該洞察は、他の態様、すなわち、ヒト患者の唾液サンプルにおいて、患者が歯肉炎であるかを評価するバイオマーカーとしての、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質の使用を支持する。
この使用は、本明細書中及び本明細書中に実質的に記載された方法で実施することができる。
本発明の方法は、前記タンパク質について測定された結合濃度を反映する少なくとも1つの試験値を測定することを含む。結合濃度値は、測定された濃度の入力及びこれらの値の算術演算によって得られるいかなる値であってよい。これは、例えば、濃度の単純な添加であり得る。また、各濃度をこれらの濃度の所望の重量を反映する係数で乗算し、次いで結果を合計することを含むこともできる。また、濃度を互いに乗算すること、又は乗算、除算、減算、指数化、及び加算のいかなる組み合わせを含むこともできる。さらに、濃度をある程度まで上昇させることを含むことができる。
場合によっては、試験値は、被験体の年齢と組み合わせて、前記タンパク質について測定された結合濃度を反映する。
得られた結合濃度値は、歯肉炎の存在に関連する結合濃度を同じ方法で反映する閾値と比較することができる。この比較により、試験値が、唾液が試験を受けた患者における歯肉炎の存在を示す指標となるかを評価することができる。
閾値は、例えば、歯肉炎の存在に関連する参照試料、すなわち、歯肉炎と診断された患者において、同じタンパク質について決定された濃度に基づいて、同じ方法で得られた結合濃度値に基づくことができる。通常、結合濃度が同じかそれ以上であることを反映した値は、試験を受けた患者が歯肉炎であることを示す。同様に、試験を受けた歯肉炎患者の唾液中の結合濃度が低いことを反映する値は、歯肉炎でないことを示す。しかしながら、歯肉炎を示す試験値が閾値を下回り、歯肉炎でないことを示す試験値が閾値を上回るように、(例えば、負の乗数を用いることによって)閾値を計算することもできることが理解されるであろう。
閾値はまた、歯肉炎及び「非」歯肉炎と既知に診断された患者を含む、一連の試料中の本バイオマーカータンパク質の濃度を測定することに基づいて決定することもできる。それにより、測定された濃度値を、おそらく機械学習法を含む統計分析にかけ、望ましい感度及び特異度で、歯肉炎と分類された患者及び歯肉炎でないと分類された患者を識別することができる。これにより、所望の閾値を得ることができる。この閾値に基づいて、試験試料は、同じ濃度測定に供し、次いで、閾値が得られるのと同じ方法で、濃度値を処理し、閾値と比較され得る結合濃度値を決定し、従って、試験された試料を歯肉炎であるか否かに分類することができる。
興味深い実施形態では、結合濃度値は、以下のようなスコアの形式で得られる。数値(例えば、ng/mlのタンパク質濃度値)を各測定に割り当て、これらの値を線形又は非線形の組み合わせで用いて、スコアをゼロから1の間で計算する。上記のように、閾値が一組の被験体に基づいて決定される場合、通常、0~1のスコアは、結合濃度を入力とするシグモイド関数を用いて計算される(上記でさらに示すように)。
スコアがある閾値を超える場合、当該患者が歯肉炎に罹患していることを示す。当該閾値は、所望の感度及び特異度に基づいて選択され得る。
本発明によれば、被験体に対して「歯肉炎分類」を行う場合には、歯肉炎の状態についての知識又は認識がない被験体、又は歯肉炎のリスクがあるか又は歯肉炎であると考えられる被験体であり得ることが理解されよう。この事前知識は、通常、例えば、以前に行われた歯肉炎の診断から分かっていたが、その程度の識別能がないか、又は例えば、被験体の口腔の健康状態記録から想定されるかのいずれかである。
当該技術分野では認められている臨床的定義は、以下に基づく:
歯肉指数(GI)〕
以下の場合、ロベン修正歯肉指数(MGI)を0~4の尺度で評価し、それに基づいて全口腔歯肉指数を記録する:
-0 =炎症なし
-1 =軽度の炎症;辺縁又は乳頭状歯肉単位の全部ではなく、ある部分が、色の質感のわずかな変化がわずかに変化している
-2 =軽度の炎症;ただし、辺縁全体又は乳頭部に及ぶ;
-3 =中等度の炎症;開口、発赤、浮腫及び/又は辺縁又は乳頭部の肥大、
-4 =重度の炎症;著しい発赤、辺縁又は乳頭状歯肉単位の浮腫及び/又は肥厚、自然出血、うっ血、潰瘍形成。
プロービング深度(PD)
UNC-15手動歯周プロービングを用いて、最も近いmmまでプロービング深度を記録する。プロービング深度とは、プロービング先端(ポケットの基部と仮定)から歯肉縁までの距離をいう。
歯肉退縮(REC)
歯肉退縮は、UNC-15手動歯周プロービングを用いて、最も近いmmまで記録する。歯肉後退は、遊離歯肉縁からセメント質-エナメル境界までの距離である。歯肉退縮は正の数で示され、歯肉過成長は負の数で示される。
臨床的付着喪失(CAL)
臨床的付着喪失は、各部位におけるプロービング深度+後退の和として計算する。
プロービング時の出血(BOP)
プロービング後、プロービング時に各部位の出血を評価し、プロービング後30秒以内に出血が生じた場合は、その部位に1のスコアを割り当て、そうでない場合は0のスコアを割り当てる。
結果として得られる被験体群(患者群)の定義は以下の通りである:
-健常群(H):全部位でPD≦3mm(ただし、最終立位大臼歯の遠位部では4mmポケットまで可能)、近位部付着欠損のない部位、GI≧2.0、≦10%、%BOPスコア≦10%;
-歯肉炎群(G):GIが30%を超える部位で3.0以上、近位部付着欠損している部位がない、PDが4mmを超える部位がない、%BOPスコアが10%を超える;
-軽度~中等度の歯周病群(MP):8本以上の歯で5~7mmの歯間PD(約2~4mmのCALに等しい)、%BOPスコア>30%;
-進行性歯周病群(AP):12本以上の歯で7mm以上の歯間PD(CAL約5mm以上と等しい)、%BOPスコア>30%。
一の実施形態では、本発明の方法は、図1に概略的に示すシステムを用いる。当該システムは、その中に一体化された様々な装置構成要素(ユニット)を有する単一の装置であってよい。また、当該システムは、その様々な構成要素、又はこれらの構成要素の一部を、別個の装置として有することができる。図1に示す構成要素は、測定装置(A)、グラフィカルユーザインタフェース(B)、及びコンピュータ処理ユニット(C)である。
上記のように、本発明のシステムは、インタフェースへのデータ接続を含み、それによって、インタフェース自体は、システムの一部であっても、リモートインタフェースであってもよい。後者は、実際のインタフェースを提供するために、別の装置、好ましくはスマートフォン又はタブレットコンピュータ等のハンドヘルド装置をもちいることができる。このような場合のデータ接続は、好ましくは、Wi-Fi又はBluetooth等による、又は他の技術又は標準による無線データ転送を含む。
測定装置(A)は、唾液試料を、装置(A)に挿入可能なカートリッジ(A1)上に唾液滴を滴下して、唾液試料を受け取るように構成される。当該装置は、同一の唾液試料から、タンパク質の濃度を決定することができる既存の装置であり得る。
プロセシングユニット(C)は、部分(A)からのタンパク質濃度の数値を受け取る。単位(C)には、0から1のスコア(S)を計算できるソフトウェア(通常は組み込みソフトウェア)が付属する。当該ソフトウェアは、閾値(T)の数値をさらに含む。計算値(S)が(T)を超える場合、単位(C)はGUI(B)に「歯肉炎」の指示(I)を出力し、そうでない場合は「歯肉炎でない」を出力する。さらなる実施形態は、(S)の特定の値を用いて、指示(I)が行われる確実性を示すことができる。これは確率スコアであり、0.5は可能な閾値であり、例えば、スコアS=0.8は歯肉炎の確率を示す。興味深い選択肢は以下のとおりである:
スコアSに基づいて、S=0.8は歯肉炎の80%の確実性を直接示すことができる;又は、
R1<S<R2の場合、Iは「不確定」となるように、R1~R2の範囲を定義して表示する。
スコアの特定の計算は、例えば、ロジスティック回帰により、シグモイド関数を用いて実施することができる:
Figure 2024020276000002
(式中、Nは、用いたタンパク質/バイオマーカーの数、c0、c1等は係数(数値)、B1、B2等は各々タンパク質濃度である。)
係数ciの決定は以下の訓練手順:
-歯肉炎であるN1症例(現行基準で歯科医が判定)と、歯肉炎でないN2症例(歯肉が健常である症例)を選択する
-各被験体から唾液試料を採取し、上記のようにバイオマーカーの組み合わせのタンパク質濃度を測定する
-スコアSを歯肉炎については1とし、歯肉炎でない(健常歯肉)でない場合は0とする
-シグモイド関数をタンパク質濃度値とスコアに合わせる
により行うことができる。
スコアSが歯肉炎患者では高く、非歯肉炎/健常対照者では低い場合に、既存の回帰分析法や機械学習法(線形回帰、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシンなど)を用いることができる。
特に、歯肉炎又は健常口腔の状態(例えば、米国歯周病学会の基準等の、歯科専門家による現在の基準を介した臨床評価により同定される)のいずれかである被験体を対象とした臨床試験を用いて、当該処置を(実施例において)適用する。様々なバイオマーカーの組み合わせの性能を、leave-one-out cross validationによって評価し、本発明の好ましいバイオマーカーの組み合わせが得られた。
上記システムに関し、本発明はまた、さらなる態様では、ヒト患者が歯肉炎であるかを評価するシステムを提供し、以下の:
-ヒト患者の唾液試料中で以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質を検出することができ、かつそそのように適合された検出手段であって、上記のように、当該手段は公知であり、当業者が容易にアクセスできる。通常、被験体の口腔サンプルを受け取るための容器が提供され、その容器は当該検出手段を備え;;
-前記タンパク質の決定された濃度から歯肉炎である患者の指標を決定するように適合されたプロセッサ;
を含む。
場合によっては、当該システムは、ユーザインタフェース(又は、リモートインタフェースへのデータ接続)、特に、情報を提示することができるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)、GUIは、ユーザが、テキストベースのユーザインタフェース、タイプ化されたコマンドラベル、又は、テキストナビゲーション(本発明では除外されていない)の代わりに、グラフィカルアイコン及び二次表記などの視覚的インジケータを介して、電子装置と対話することを可能にするユーザインタフェース型であり、GUIは、一般的に公知であり、通常、MP3プレーヤ、ポータブルメディアプレーヤ、ゲーム装置、スマートフォン、及び、より小さな家庭用、オフィス及び産業用のコントロール等のハンドヘルドモバイル装置で使用され、上記のように、インタフェースは、場合によっては、例えば、被験体の年齢、性別、BMI(Body Mass Index)等の情報を入力できるように選択することができる。
本発明はまた、別個に又は上記システムの部分として、ヒト患者の唾液試料中の歯肉炎用の少なくとも3つのバイオマーカーを検出するキットであって、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
を、検出する、1又はそれ以上の検出試薬を含む、前記キットを提供する。
通常、キットは、各々が異なるバイオマーカーを指向する、3又はそれ以上の検出試薬を含む。1つの実施形態では、第1検出試薬はA1AGPを検出し、第2検出試薬はS100A8を検出り、第3検出試薬はHb-ベータ、K-4又はPKを検出する。他の実施形態では、第1検出試薬はA1AGPを検出し、第2検出試薬はHb-ベータを検出し、第3検出試薬はK-4を検出する。さらなる態様では、第1検出試薬はA1AGPを検出し、第2検出試薬はS100A8を検出し、第3検出試薬はHb-ベータ、K-4又はPKを検出し、第4検出試薬はHb-ベータ、K-4又はPKの異なるものを検出する。
本発明の方法に関して上記のように、当該キットは、他のタンパク質等のより多くの検出試薬を含み得る。好ましい態様では、キットにおいて利用可能な検出試薬は、上記のように、本発明のバイオマーカーパネルを含む、3又は4個のタンパク質を検出する検出試薬からなる。さらなる態様では、以下の実施例で表1に例示した組み合わせにおいて存在するバイオマーカータンパク質各々について別個の検出試薬が提供される。
好ましくは、当該キットは、チップ、マイクロタイタープレート、又は該検出試薬を含むビーズ又は樹脂等の固体支持体を含む。いくつかの態様では、キットは、ProteinChip(商標)等の質量分析プロービングを含む。
当該キットはまた、非結合検出試薬又は前記バイオマーカー(サンドイッチ型アッセイ)のいずれかに特異的な洗浄溶液及び/又は検出試薬を提供することができる。
興味深い態様では、本発明のバイオマーカーパネルの認識は、ヒト患者における歯肉炎の状態の経時的モニタリングに適用される。従って、本発明はまた、歯肉炎に罹患しているヒト患者において、第1時点t1から第2時点t2までの時間にわたり、歯肉炎の状態の変化を決定するインビトロ方法であって、前記患者から得られた唾液の少なくとも1つの試料において、t1及び前記患者から得られた唾液の少なくとも1つの試料で、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質の濃度の検出工程;及び、
前記濃度の少なくとも1、2又はそれ以上の差が、状態の変化を反映するような濃度の比較工程;
を含む方法を提供する。この差は、濃度の差として再検討することができ、したがって、最初に0と1の間の数字、又は他のいかなる分類も生成せずに、直接比較することができる。また、両時点で受信された測定値は、上記のように患者の状態を判定する際に行われるのと同じ方法で処理することもできることが理解されよう。
本発明はまた、ヒト患者が歯肉炎であるかを診断する方法であって、前記ヒト患者の唾液試料中で以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);
のタンパク質の検出工程;及び、
前記試料中の前記タンパク質の濃度に基づく、患者における歯肉炎の存在の評価工程;を、含む、方法を提供する。
患者における歯肉炎の存在は、通常、前記試料中の前記タンパク質の濃度に基づいて評価される。場合によっては、この態様の方法は、患者の歯肉炎を治療するさらなる工程を含む。この任意の治療段階は、既知の治療剤又は歯科処置の投与、又は治療剤及び歯科処置の組み合わせを含むことができる。公知の治療剤としては、抗菌剤含有剤、例えば、洗口剤、チップ、ゲル又はミクロスフェアの投与が含まれる。歯肉炎の治療に用いられる典型的な抗菌剤は、クロルヘキシジンである。他の治療剤としては、抗生物質、通常経口投与される抗生物質、及びドキシサイクリン等の酵素抑制剤が挙げられる。既知の非外科的治療手技には、スケーリング及びルートプレーニング(SRP)がある。既知の外科的処置には、外科的ポケット整復、皮弁手術、歯肉移植片又は骨移植片が含まれるが、これらは通常進行性歯周炎にのみ用いられ、通常歯肉炎の治療には用いられない。
本発明はさらに、ヒト患者において、以下の:
(i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)及びS100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、並びにヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、ケラチン4(K-4)及びピルビン酸キナーゼ(PK)の少なくとも1つ;又は、
(ii)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)、及びケラチン4(K-4);のタンパク質を検出する方法であって、以下の:
(a)ヒト患者から唾液試料を得る工程;及び、
(b)前記タンパク質と結合する1又はそれ以上の検出試薬と試料を接触させて、前記タンパク質が試料中に存在するか否かの検出工程、及び各タンパク質と1又はそれ以上の検出試薬との間の結合の検出工程;
を含む、方法を提供する。
本発明は、以下の非限定的な実施例を参照してさらに例示される。
歯肉炎と診断された35例と健常歯肉である39例の被験体74例を対象に臨床試験を実施し、以下に示すように最大4つのタンパク質バイオマーカーを含むパネルを用いて、Receiver-Operator-Characteristic領域-曲線下面積値>0.75を得た。少なくとも3つのバイオマーカーを組み合わせると、0.8に近いAUCスコアが得られることがわかる。
ROC(Receiver Operator Characteristic)領域‐曲線下(AUC)値を得た。様々なバイオマーカーの組み合わせの性能を、leave-one-out cross validation (LOOCV)を用いたロジスティック回帰法により評価し、本明細書で説明するような好ましいバイオマーカーの組み合わせを得た。
統計では、Receiver-Operator-Characteristic曲線、すなわちROC曲線は、識別閾値が変化するにつれて、二進分類器システムの性能を示すグラフプロットである。この曲線は、様々な閾値設定での偽陽性率(FPR)に対して真の陽性率(TPR)をプロットすることによって作成される。真の陽性率は、機械学習における感度、想起又は検出の確率としても知られている。偽陽性率は、フォールアウト又は誤警報の確率としても知られており、(1-特異度)として計算することができる。したがって、ROC曲線は、フォールアウトの関数としての感度である。一般的に、検出と誤警報の両方の確率分布が既知であれば、ROC曲線は、検出確率の累積分布関数(-∞から識別閾値までの確率分布の下の面積)の値をy軸に、誤報確率の累積分布関数の値をx軸にプロットすることによって生成することができる。試験の精度は、試験が試験対象群を、問題の疾患のある群とない群とにどれだけうまく分けられるかに依存する。精度は、ROC曲線下面積で測定する。面積1は完全な試験を表し、面積0.5は価値のない試験を表す。診断試験の精度を分類するガイドは、伝統的な学術的ポイント制である:
-0.90-1 =優良(A)
-0.80-0.90 =良好(B)
-0.70-0.80 =公正(C)
-0.60-0.70 =不良(D)
-0.50-0.60 =失敗(F)
以上のことから、上記臨床試験の結果において、ROC AUC値が0.75を超えると、本発明に関する試験を実施する望ましい精度を表すと考えられる。
以下の21のパネルのタンパク質バイオマーカーは最大4つであり、歯肉炎対口腔衛生を分類するためのAUC LOOCV>0.75を提供することが見いだされた:
Figure 2024020276000003
表1
この表中の21のバイオマーカーの組み合わせの各々は、本発明の好ましい組み合わせとして強調されている。これらのパネルはすべてタンパク質マーカーが4つであることが分かる。
本表では、マーカー年齢の次に、以下の多数の8種類のタンパク質マーカー(以前は口腔の健康に関連していなかった)を考慮する:
-A1AGP
-Hb-ベータ(beta)
-Hb-デルタ(delta)
-ケラチン4
-プロフィリン
-ピルビン酸キナーゼ
-S100A8
-S100A9
AUC>0.75であると同定された21のパネルを視野に入れるには:
・8つのタンパク質マーカー及び、場合によっては年齢をマーカーにすると、タンパク質マーカーが最大4つである324のパネルが可能である(年齢のみを有するパネルは考慮されない)。合計324の可能性から唾液中で利用可能な限定された21の信頼できるバイオマーカーパネルのセットが同定されたことは予想外である。
・パネル内のタンパク質マーカーの数を制限せずに、これらの8つのマーカーから、多数の510個の可能なパネルが得られる(年齢のみのパネルは考慮されない)。
本発明は、図面及び上記説明では詳細に説明及び記載されているが、そのような説明及び記載は、例示的及び典型的であり、限定的ではないとみなされるべきであり、本発明は、開示された実施形態に限定されない。
例えば、異なるバイオマーカーについて異なる単位で検出試薬を提示することができる。又は、好都合には、本発明のキットは、すべての実施形態、例えば、A1AGP、MMP8又はHGF、及び場合によっては、S100A8及び/又はK-4等の他のバイオマーカー用の検出試薬を含む可撓性モジュールに対する固定セットの検出試薬を含むことができる。
開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示、及び添付の請求の範囲の研究から、当業者が請求する発明を実施する際に理解し、実施することができる。クレームでは、語「含む」は、他の要素又は工程を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」(原文)は、複数を除外しない。本発明の特定の特徴が相互に異なる従属クレームに記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。クレーム中の引用符号は、その範囲を限定するものと解釈してはならない。
要すれば、本発明者らは、ヒト患者が歯肉炎に罹患しているかを評価するインビトロ方法を開示する。この方法は、バイオマーカータンパク質を決定する洞察に基づく。従って、患者由来の唾液試料において、本明細書に記載されるタンパク質の濃度が測定される。当該測定濃度に基づき、当該タンパク質の結合濃度が反映された値が決定される。この値は歯肉炎関連結合濃度を同じように反映する閾値と比較される。当該比較により、試験値が前記患者における歯肉炎の存在の指標となるかを評価することができる。これにより、通常、閾値により反映される結合濃度未満の結合濃度を反映する試験値は、前記患者が歯肉炎でない指標であり、閾値により反映される結合濃度で又はそれ以上の結合濃度を反映する試験値は、前記患者が歯肉炎である指標となる。

Claims (19)

  1. ヒト患者が歯肉炎であるかを評価するためのインビトロ方法であって、以下の:
    -前記ヒト患者由来の唾液試料中の以下の:
    (i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4);又は、
    (ii)A1AGP、S100A8及びHb-ベータ:
    のタンパク質の濃度を検出する工程;
    -前記検出されたタンパク質の結合濃度を反映する試験値を決定する工程;
    -前記試験値を、歯肉炎に関連する結合濃度を同じ方法で反映する閾値と比較して、前記試験値が前記ヒト患者の歯肉炎の存在の指標となるかを評価する工程;
    を含む、インビトロ方法。
  2. 前記ヒト患者が歯肉炎であることが疑われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヒト患者の年齢が決定され、前記試験値が、前記ヒト患者の年齢と組み合わせて、前記検出されたタンパク質の結合濃度を反映する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記閾値が、歯肉炎の存在又は歯肉炎の非存在と関連する1又はそれ以上の参照試料各々における前記検出されたタンパク質について決定された濃度に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記閾値が、歯肉炎である被験体由来の試料及び歯肉炎でない被験体由来の試料を含む、一組の試料中のタンパク質の濃度に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記決定された濃度値は、0から1の間の数字に算術的に処理される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. ヒト患者の唾液試料において、前記ヒト患者が歯肉炎であるかを評価するバイオマーカーとしての以下の:
    (i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4);又は、
    (ii)A1AGP、S100A8及びHb-ベータ:
    のタンパク質の使用。
  8. 前記ヒト患者の年齢もまたバイオマーカーとして用いられる、請求項7に記載の使用。
  9. ヒト患者が歯肉炎であるかを評価するためのシステムであって、以下の:
    -ヒト患者の唾液試料中で以下の:
    (i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4);又は、
    (ii)A1AGP、S100A8及びHb-ベータ:
    のタンパク質の濃度を各々受け取ることができ、かつそのように適合された検出手段;
    -前記タンパク質の決定された濃度から前記ヒト患者の歯肉炎の存在の指標を決定するように適合されたプロセッサ;
    を含む、システム。
  10. 口腔液試料を受け入れるための容器をさらに含み、前記容器が前記検出手段を含む、請求項9に記載のシステム。
  11. さらに、以下の:
    -前記指標をユーザに提示するユーザインタフェース;
    -前記プロセッサから前記ユーザインタフェースに指示を転送する前記プロセッサと前記ユーザインタフェースとの間のデータ接続;
    を含む、請求項9又は10に記載のシステム。
  12. 前記プロセッサが、インターネット系アプリケーションによって機能されうる、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
  13. 前記ユーザインタフェースは、前記ヒト患者の年齢に関する情報を入力することができ、前記プロセッサは、前記決定された濃度から、前記ヒト患者の歯肉炎の存在の指標を決定することができ、かつそのように適合された、請求項11に記載のシステム。
  14. ヒト患者の唾液試料中の歯肉炎用の少なくとも3つのバイオマーカーを検出するためのキットであって、以下の:
    (i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4);又は、
    (ii)A1AGP、S100A8及びHb-ベータ:
    を、検出する、検出試薬を含む、キット。
  15. 前記1又はそれ以上の検出試薬が、(i)A1AGPを検出する第1検出試薬、S100A8を検出する第2検出試薬、並びにHb-ベータを検出する第3検出試薬及びK-4を検出する第4検出試薬、又は(ii)A1AGPを検出する第1検出試薬、S100A8を検出する第2検出試薬、並びにHb-ベータを検出する第3検出試薬を含む、請求項14に記載のキット。
  16. 前記1又はそれ以上の検出試薬が固体支持体上に含まれる、請求項14又は15に記載のキット。
  17. 歯肉炎に罹患しているヒト患者において、第1時点t1から第2時点t2までの時間にわたり、歯肉炎の状態の変化を決定するためのシステムにおけるプロセッサの作動方法であって、前記ヒト患者からt1で得られた唾液の少なくとも一つの試料及び前記ヒト患者からt2で得られた唾液の少なくとも一つの試料において、以下の:
    (i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4);又は、
    (ii)A1AGP、S100A8及びHb-ベータ:
    のタンパク質の濃度を各々受け取る工程;及び、
    前記タンパク質の各々の濃度の差が、状態の変化を反映するような濃度を比較する工程;
    を含む方法。
  18. ヒト患者が歯肉炎であるかを診断するためのシステムにおけるプロセッサの作動方法であって、前記ヒト患者の唾液試料中で以下の:
    (i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4);又は、
    (ii)A1AGP、S100A8及びHb-ベータ:
    のタンパク質の濃度を各々受け取る工程;及び、
    前記唾液試料中の前記タンパク質の濃度に基づく、前記ヒト患者における歯肉炎の存在を評価する工程;を、含む、方法。
  19. ヒト患者において、以下の:
    (i)α-1-酸性糖タンパク質(A1AGP)、S100カルシウム結合タンパク質A8(S100A8)、ヘモグロビンサブユニットβ(Hb-ベータ)及びケラチン4(K-4);又は、
    (ii)A1AGP、S100A8及びHb-ベータ:
    のタンパク質を検出するための方法であって、以下の:
    (a)ヒト患者から唾液試料を得る工程;及び、
    (b)前記タンパク質と結合する1又はそれ以上の検出試薬と試料を接触させて、前記タンパク質が試料中に存在するか否かを検出する工程、及び前記タンパク質各々と前記1又はそれ以上の検出試薬との間の結合を検出する工程;
    を含む、方法。
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