JP2024018121A - 鉄塔の測定方法、及びこれを用いた付属部材強調図の作成方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、作業者の感電リスクを抑制しながら、高圧鉄塔の全体に亘って十分に三次元点群データを取得可能な鉄塔測定方法の提供を目的とする。
また、レーザー測定器を背中に背負うことで、両手が空く、梯子を上る際に邪魔にならない等の利点がある。
さらに、本発明の高圧鉄塔の測定方法は、作業者が高圧鉄塔に上り下りしながらレーザースキャンを行うので、鉄塔の上下方向からレーザースキャンした場合に影になるような部分にまでレーザー照射を行うことができる。
このように、レーザーの照射方向が、第1軸周りに回動するとともに、第1軸に交差する第2軸周りにも回動する携帯式レーザー測定器を用いることで、より広い範囲にレーザー照射を行うことができる。
尚、ここで、「レーザーの照射方向が、第1軸周りに回動するとともに、第1軸に交差する第2軸周りにも回動する」とは、第1軸周りに回動するレーザー光と第2軸周りに回動するレーザー光が同一の場合と異なる場合の両方を含むものとする。
このように、作業者が上半身を捩じってレーザー照射を行うことで、より満遍なく高圧鉄塔にレーザーを照射することができる。
第1実施形態に係る高圧鉄塔の測定方法は、図1に示すような、携帯式のレーザー測定器10を用いて、図3に示すような、高圧鉄塔80を測定し、高圧鉄塔80の三次元点群データを取得するために用いられる。
高圧鉄塔80は、図3に示すように、4本の主柱81Aから81Dに、斜材や水平材からなる補助材82,…を組み合わせて、6つのアーム85,85,…を支持するよう構成され、主柱81Aと主柱81Bを含む面83ABと、主柱81Cと主柱81Dを含む面83CDとに、地上から人が直接乗れる高さから頂部86近傍まで延びる一対の梯子84,84を備えている。一対の梯子84,84は、高圧鉄塔80の軸心(不図示)を挟んで対称な位置に設けられている。本実施形態では、面83ABの梯子84が昇塔ルートを面83CDの梯子84が降塔ルートを構成する。
測定準備工程S1は、高圧鉄塔80のレーザー測定を開始する前に、作業者Aが地上でレーザー測定器10を背負う工程である。
レーザー測定器10は、図1に示すように、照射方向を変えながらレーザー光を照射し受光するスキャン部1と、スキャン部1を回動可能に支持する駆動部2と、スキャン部1で受光したレーザー光に基づく情報をデジタル化して保管するデータロガー3と、バッテリー4と、駆動部2とデータロガー3を連結する複合ケーブル5とを備えている。
レーザー測定器の安全性の観点から、例えば、IEC(国際電気標準会議)規格60825-1によるクラス分類において、遠距離の対象物であっても十分に測定可能である一方で作業者の目にレーザー光が入った際のリスクが比較的少ないクラス3が好ましく用いられる。
昇塔工程S2は、高圧鉄塔80に上りながら高圧鉄塔80のレーザー測定を行う工程である。作業者Aは、レーザー測定器10の電源を入れ、スキャン部1からレーザー光を照射しながら、図3に矢印で示すように、高圧鉄塔80の梯子84を上っていく。
頂部回動工程S3は、昇塔工程S2で上った梯子84から、次の降塔工程S4で高圧鉄塔80を降りる反対側の梯子84へ移動すべく、高圧鉄塔80の頂部86を半周移動する工程である。作業者Aは、頂部86に設けられた足場や、足場が無ければ横桟を頼りに梯子84から反対側の梯子84へと移動する。作業者Aは、レーダー光の照射範囲に死角が生じないように、適宜上半身を左右に45度以上ずつ捻りながら反対側の梯子84まで移動する。ここで、頂部86を1周半回ってから反対側の梯子84へ移動するようにしてもよい。
降塔工程S4は、高圧鉄塔80を降りながら高圧鉄塔80のレーダー測定を行う工程である。本実施形態では、昇塔工程S2で上った梯子84と高圧鉄塔80の軸心について対称位置にある梯子84を用いて、高圧鉄塔80を降りる。作業者Aは、梯子84を降りながら、適宜上半身を左右に45度以上ずつ回転させ、レーサー光を全方向に満遍なく照射する。
鉄塔周回工程S5は、作業者Aが、レーザー測定器10を背負った状態で、地上において高圧鉄塔80の周りを周回する工程である。本実施形態では、鉄塔周回工程S5は、降塔工程S4の後に続けて行われるが、昇塔工程S2の前に行うこともできる。作業者Aは、周回方向に体を向けた状態で、図3に示したように、高圧鉄塔80の周りを一周歩いて回る。
鉄塔潜り工程S6は、図3に示すように、作業者Aが、レーザー測定器10を背負った状態で、地上を歩いて高圧鉄塔80の下を潜る工程である。作業者Aは、高圧鉄塔80の中で、少なくとも1周回るようにして、レーダー光を全方位に対し満遍なく照射することが好ましい。図3の例では、作業者Aは、面83CD側から入り、反対側の面83AB側から高圧鉄塔80の外へ出ているが、入った側と同じ側から出るようにしてもよい。高圧鉄塔80の鉄塔潜り工程S6は、昇塔工程S2の前に行ってもよいし、降塔工程S4の後に行ってもよく、鉄塔周回工程S5の前、途中、後のいずれに行ってもよい。
第2実施形態は、図4に示すような高圧鉄塔90について、本発明に係るレーザー測定方法を適用する形態である。図4中、符号91Aから91Dは主柱を、符号92は補助材を、符号95はアームを示し、一本の主柱91Bの下端近傍から、高圧鉄塔90の高さ方向の中間位置に設けられる足場97まで千鳥に列設された多数のステップボルトからなるステップ93と、当該足場97と、足場97から鉄塔の頂部近傍まで延びる梯子94からなるルートが昇塔ルート、及び降塔ルートを構成する。
尚、第2実施形態以降の実施形態において、第1実施形態と共通するものについては、同一符号を付して説明を省略する。
昇塔工程S202は、レーザー測定器210を用いて高圧鉄塔90の測定を行いながら高圧鉄塔90を昇る工程である。昇塔工程S202は、第1実施形態同様、測定準備工程S1を実施してレーザー測定器210を背負ったのち実施する。第2実施形態に係る昇塔工程S202では、地上から足場97まで主柱91Bに設けられたステップ93を上る。
頂部回動工程S203は、作業者Aが、高圧鉄塔90の頂部96の周りを、足場や横桟を利用して少なくとも1周する工程である。作業者Aは、昇塔工程S202で、梯子94を上端まで登ったら、頂部96の周りを回動する。この際、作業者Aの体が終始、高圧鉄塔90の内側を向く場合は、適宜体を左右に2分のθ度以上ずつ回動させて、レーザー光の照射方向に死角が生じないようにする。
降塔工程S204は、レーザー測定器210を背負って高圧鉄塔90を降りながら高圧鉄塔90のレーザー測定を行う工程である。降塔工程S204では、昇塔工程S202で上った梯子94と、足場97と、ステップ93を降塔ルートとして高圧鉄塔90を降りる。
次に、上述した実施形態により得られた点群データを用いて、電線やジャンパ線、碍子等の付属部材を強調する付属部材強調図F3を作成する方法について説明する。付属部材強調図F3を作成する際には、まず上述した実施形態により高圧鉄塔80,90を測定して得られた三次元点群データを基に、図面に表示しない周囲の樹木や、鉄塔から所定の距離(例えば5m)以上離れた電線等の図面に表示しない点群データを削除する等して、高圧鉄塔の点群図F1を作成する。点群図F1は、高圧鉄塔の正面図や側面図等の六面図、任意の断面における断面図、任意の方向から見た斜視図のいずれであってもよい。例えば、図9(a)は、高圧鉄塔80の一部を正面視で示す部分正面点群図、図9(b)は、図9(a)の一のアーム85を含む符号Cで示した範囲の三次元点群データを平面視で見た水平断面点群図F1である。
付属部材強調図F3において、鉄塔構造図F2は、点群図F1とは異なる目立つ色にして、点群図F1に重ね合わせることが好ましい。点群図F1に表示された部材のうち鉄塔構造図F2の重ならない部分が、鉄塔構造図F2に記載されない付属部材である。図11の付属部材強調図F3では、碍子87やジャンパ線88、セイフティバー89が、鉄塔構造図F2と重ならないことで、付属部材であることが強調されている。
7 離隔範囲境界線
6 目印
80,90 高圧鉄塔
84,94 梯子(昇塔・降塔ルート)
87 碍子(付属部材)
88 ジャンパ線(付属部材)
89 セイフティバー(付属部材)
85,95 アーム
93 ステップ(昇塔・降塔ルート)
A 作業者
S 非照射範囲
X 第1軸
Y 第2軸
F1 点群図
F2 鉄塔構造図
F3 付属部材強調図
このように、レーザーの照射方向が、第1軸周りに回動するとともに、第1軸に交差す
る第2軸周りにも回動する携帯式レーザー測定器を用いることで、より広い範囲にレーザ
ー照射を行うことができる。
尚、ここで、「レーザーの照射方向が、第1軸周りに回動するとともに、第1軸に交差
する第2軸周りにも回動する」とは、第1軸周りに回動するレーザー光と第2軸周りに回
動するレーザー光が同一の場合と異なる場合の両方を含むものとする。
このように、作業者が上半身を捩じってレーザー照射を行うことで、より満遍なく高圧
鉄塔にレーザーを照射することができる。
Claims (12)
- 照射方向を変えながらレーザーを照射する携帯式のレーザー測定器を用いて鉄塔を測定し、該鉄塔の三次元点群データを取得する鉄塔の測定方法であって、
レーザーの照射方向が第1軸周りに回動するレーザー測定器を、前記第1軸が鉛直方向となるよう操作可能な向きにして作業者が背負う測定準備工程と、
前記レーザー測定器を用いて鉄塔の測定を行いながら鉄塔を昇る昇塔工程と、
前記レーザー測定器を用いて鉄塔の測定を行いながら鉄塔を降りる降塔工程と
を備え、
前記昇塔工程、及び/又は前記降塔工程において、作業者が背負った前記携帯式レーザー測定器から、鉄塔にレーザーを照射することを特徴とする鉄塔の測定方法。 - 照射方向を変えながらレーザーを照射する携帯式のレーザー測定器を用いて鉄塔を測定し、該鉄塔の三次元点群データを取得する鉄塔の測定方法であって、
レーザーの照射方向が、第1軸周りに回動するとともに、第1軸に交差する第2軸周りにも回動する携帯式レーザー測定器を、レーザーの照射範囲が作業者の後方側を向くようにして背負う測定準備工程と、
前記レーザー測定器を用いて鉄塔の測定を行いながら鉄塔を昇る昇塔工程と、
前記レーザー測定器を用いて鉄塔の測定を行いながら鉄塔を降りる降塔工程と
を備え、
前記昇塔工程、及び/又は前記降塔工程において、作業者が背負った前記携帯式レーザー測定器から、鉄塔にレーザーを照射することを特徴とする鉄塔の測定方法。 - 前記昇塔工程、及び/又は前記降塔工程において、前記携帯式レーザー測定器を背負った作業者が上半身を左右に捩じりながら、鉄塔にレーザーを照射する請求項1、又は請求項2に記載の鉄塔の測定方法。
- 前記昇塔工程で用いる昇塔ルートと、前記降塔工程で用いる降塔ルートが、当該鉄塔の軸心について対称位置にある請求項1、又は請求項2に記載の鉄塔の測定方法。
- 前記昇塔工程の前に、又は前記降塔工程の後に、前記レーザー測定器を背負った作業者が、前記鉄塔の下を潜りながら前記鉄塔のレーザー測定を行う鉄塔潜り工程を備える請求項1、又は請求項2に記載の鉄塔の測定方法。
- 前記レーザー測定器を背負った作業者が、地上において前記鉄塔を周回する鉄塔周回工程を備える請求項1、又は請求項2に記載の鉄塔の測定方法。
- 前記鉄塔が高圧鉄塔であり、
請求項1に記載の鉄塔の測定方法により取得した三次元点群データを基に作成した前記鉄塔の点群図と、前記鉄塔の骨組みを表示する鉄塔構造図とを鉄塔の骨組みが一致するよう重ねて、前記点群図に表示されるとともに前記鉄塔構造図に表示されない付属部材を強調する付属部材強調図の作成方法。 - 作業者が感電しない充電電路からの距離を明示するセイフティバーを、セイフティバー以外の部分から色分けするか、又は目印を設けて表示する請求項7に記載の付属部材強調図の作成方法。
- 前記点群図として、前記鉄塔の複数のアームのうち一のアームのみを含む点群データから作成した水平断面を示す点群図を用い、前記鉄塔構造図として、前記一のアームの骨組みを表示した水平断面を示す鉄塔構造図を用いて、前記一のアーム部を水平断面視で表示する請求項7に記載の付属部材強調図の作成方法。
- 前記付属部材強調図に、作業者が感電防止のために送電線から離隔すべき離隔範囲を示す離隔範囲境界線を表示する請求項7に記載の付属部材強調図の作成方法。
- 前記離隔範囲内に一部、又は全部が侵入しているセイフティバーを、全部が前記離隔範囲外に出ているセイフティバーから色分けするか、又は異なる目印を付す請求項10に記載の付属部材強調図の作成方法。
- 前記離隔範囲境界線が、異なる離隔範囲を表示する複数本からなる請求項10に記載の付属部材強調図の作成方法。
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