JP2024017993A - X線管及びx線発生装置 - Google Patents

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【課題】空間電荷効果が現れるような電子ビームを用いる場合においても、ターゲットの後段に設けられるX線窓に電子ビームが直接到達することを抑制する。【解決手段】本X線管は、(A)空間電荷効果が現れるような電子ビームを発生させる電子源と、(B)電子源と対向する第1の面と当該第1の面と反対側の第2の面とを有し、第1の面と第2の面とを貫く1又は複数種類の貫通孔を有する1又は複数のターゲット材を含むターゲット部と、(C)電子ビームを偏向させる偏向磁場を発生させる偏向磁場生成部とを有する。そして、上記貫通孔は、当該貫通孔の内壁面に対して、偏向磁場によりターゲット部の手前で偏向された電子ビームの少なくとも一部が照射されて、第2の面側にX線を出力するような位置に形成されており、偏向磁場生成部は、偏向磁場を、ターゲット部内部においても電子ビームに作用するように生成するものである。【選択図】図3

Description

本発明は、X線を発生する装置に関する。
X線はX線イメージング、X線CT(Computed Tomography)、X線分析、X線照射など様々な用途に使用されている。これらの用途において、近年、撮影時間や検査時間を短縮するため、短時間に高出力のX線又はパルス状のX線を発生することができるX線源が求められてきている。それに加えて、可搬型のX線撮影装置や検査装置の用途では、小型軽量であることが望まれている。さらに、様々な対象物に対応するため、X線の照射範囲や焦点サイズを容易に変更可能なX線源が望まれている。
X線は、通常電子源で発生した電子を加速してターゲットに照射することによって発生するが、従来、電子ビームの入射方向に対して垂直な面から若干傾けて配置されたターゲットに照射し、電子ビームの入射方向ではなく、当該入射方向に対して横方向にX線を放出するX線源が一般的であった。しかし、この方式では高い電流密度の電子ビームがターゲットに照射されると、ターゲットからの排熱が追いつかずターゲットが損傷するという問題がある。
これに対して、電子ビームの入射方向と同じような方向にX線を放出する技術が幾つか存在している。例えば、特許文献1のように、ロート状の径の小さい貫通孔を有するターゲットに対して偏向なしで電子ビームを照射し、当該貫通孔の内壁面でX線を発生させ、X線窓から細径のX線を出力するX線ビーム発生装置が存在している。この特許文献1では、ターゲットの外側に、貫通孔内で電子ビームを偏向させて貫通孔の内壁面に入射させる偏向手段を設けており、これによってX線窓に対する電子ビームの衝突を避けている。
また、特許文献2には、電子ビームを複数の方向に偏向するためのビーム偏向部と、偏向された電子ビームの進路上に配置されており且つX線窓に対して傾斜を付けて設置されている複数の直線状のターゲットと、各ターゲットから電子ビームの反射方向に放射するX線を透過するX線窓とを備える走査型X線管が開示されている。本特許文献2では、ビーム偏向部は、ターゲットよりも電子ビーム源近くに配置されており、ターゲットに対する電子ビームの入射角はそれほど小さくはなく、X線窓に電子ビームが当たることについては考慮されていない。また、走査型のX線管であり、細長いターゲットに沿って電子ビームを照射してX線が放射されるので、細径の貫通孔に電子ビームを照射するような態様は考慮されていない。
これらの文献では、電子ビームの入射方向にX線が放出されるという点において共通するが、目的とするX線の放出形状が異なっているので、ターゲットに対する電子ビームの放射形態、電子ビームに対する偏向磁場のかけ方が異っている。また、空間電荷効果については、考慮されていない。
空間電荷効果は、電子ビームの電流密度が高い場合や電子のエネルギーが低い場合に、収束レンズなどの手段によって電子ビームを収束させても、電子が互いにクーロン斥力を及ぼしながら真空中を移動するため、電子ビームが発散してしまう現象である。図1は、電子ビームを収束した場合において、電子ビームの外径最小位置近傍のビームの形を示しており、空間電荷効果がなければ、外径最小位置より上流側の収束半角αと、下流側の発散半角βは一致するが、空間電荷効果があると、βがαに比べて大きくなる。一例として、管電圧30kVで10mm程度に拡がった、電流1アンペアの電子ビームを収束して最小外径2mmとした場合における電子ビームの軌道計算のシミュレーションを行ったところ、外径最小位置近傍の収束半角αは2.5°、発散半角βは9°であった。このような電子ビームでは、実効的なビーム径(ビーム中心からの距離の平均値)の最小点は、一般的に外径最小位置より下流側にずれることから、ターゲットは外径最小位置より下流側に配置することになる。そうなると、電子ビームが広がってしまっており、空間電荷効果を考慮しないターゲットでは電子ビームがX線窓に直接到達してX線窓が損傷する可能性が高まる。これに対して、ターゲットに対する電子ビームの入射角度を大きくするか、ターゲット部の厚みを厚くするといった対策を行うことになるが、コストが増加したり、装置のサイズや重量が大きくなったり、ターゲットにおける電子ビームの照射面積が小さくなって排熱問題が生じたりする。
特公昭48-11512号公報 特開2010-146992号公報
従って、本発明の目的は、一側面によれば、空間電荷効果が現れるような電子ビームを用いる場合においても、ターゲットの後段に設けられるX線窓に電子ビームが直接到達することを抑制するための新規なX線管X線生成装置を提供することである。
本発明に係るX線管は、(A)空間電荷効果が現れるような電子ビームを発生させる電子源と、(B)電子源と対向する第1の面と当該第1の面と反対側の第2の面とを有し、第1の面と第2の面とを貫く1又は複数種類の貫通孔を有する1又は複数のターゲット材を含むターゲット部と、(C)電子ビームを偏向させる偏向磁場を発生させる偏向磁場生成部とを有する。そして、上記貫通孔は、当該貫通孔の内壁面に対して、偏向磁場によりターゲット部の手前で偏向された電子ビームの少なくとも一部が照射されて、第2の面側にX線を出力するような位置に形成されており、偏向磁場生成部は、偏向磁場を、ターゲット部内部においても電子ビームに作用するように生成するものである。
本発明に係るX線生成装置は、(A)空間電荷効果が現れるような電子ビームを発生させる電子源と、電子源と対向する第1の面と当該第1の面と反対側の第2の面とを有し、第1の面と第2の面とを貫く1又は複数種類の貫通孔を有する1又は複数のターゲット材を含むターゲット部とを有するX線管と、(B)X線管を回転させる回転機構と、(C)電子ビームを偏向させる偏向磁場を発生させる偏向磁場生成部とを有する。そして、上記貫通孔は、当該貫通孔の内壁面に対して、偏向磁場によりターゲット部の手前で偏向された電子ビームの少なくとも一部が照射されて、第2の面側にX線を出力するような位置に形成されており、偏向磁場生成部は、偏向磁場を、ターゲット部内部においても電子ビームに作用するように生成するものである。
一側面によれば、空間電荷効果が現れるような電子ビームを用いる場合においても、ターゲットの後段に設けられるX線窓に電子ビームが直接到達することを抑制できるようになる。
図1は、空間電荷効果を説明するための図である。 図2は、電子がX線窓に直接到達しないようにするために要するターゲット厚と、偏向した電子ビームの入射方向と貫通孔の方向のなす角度θとの関係を表す図である。 図3は、第1の実施の形態に係るX線管を示す図である。 図4は、第1の実施の形態に係るターゲットの上面図及び断面図である。 図5は、電子源側の端部にテーパーが付された貫通孔を説明するための断面図である。 図6は、スリット状貫通孔に電子ビームを照射した場合におけるX線の放出範囲を模式的に示す断面図である。 図7は、X線窓側の端部にテーパーが付された貫通孔を説明するための断面図である。 図8は、X線の放出範囲の重なりを説明するための断面図である。 図9は、第2の実施の形態に係るX線生成装置を示す図である。 図10は、第2の実施の形態に係るターゲットの一例を示す上面図である。
[本発明の実施の形態の基本的な考え方]
以下で詳細に説明するが、本発明の実施の形態に係るX線管のターゲットには、円柱状又はスリット状の1又は複数の貫通孔をX線管の管軸方向と平行又はほぼ平行にあけてあり、当該貫通孔を、ターゲットと管軸とが交わる点(管軸中心とも呼ぶ)からずれた位置に配置している。スリット状の貫通孔については、その長手方向が管軸中心からX線管外部に伸びる直線とは非平行であり、好ましくは直交している。そして、電子源から射出された、空間電荷効果が現れるような電子ビームを、偏向磁場で偏向させることで所望の貫通孔に導き、貫通孔の内壁面に照射し、当該貫通孔の内壁面で発生したX線を、ターゲットに対する電子ビームの入射の向きと同様の方向に放射させる。ここで、偏向磁場の範囲は、ターゲット部分及びターゲットの手前部分(好ましくは直前)とすることで、ターゲットより手前(好ましくは直前)で電子ビームを偏向させて、さらにターゲットに設けられた貫通孔内においても偏向磁場を電子ビームに作用させることで、ターゲットでの電子ビームの拡がりを最小限にし、電子ビームが直接、ターゲットの後段に設けられたX線窓に到達しないようにする。
ターゲット部分に磁場が無い場合、X線窓に電子が到達しない条件は、偏向した電子ビームの入射方向と貫通孔の方向のなす角θと、電子ビームの発散半角β(空間電荷効果が無い場合は収束半角αと等しい)、ターゲットの厚みT、円柱状の貫通孔径又はスリット状の貫通孔の幅Dとの関係は、D<Ttan(θ-β)となる。図2に、電子がX線窓に直接到達しないようにするために要するターゲット厚と、上記角度θとの関係を表す。ここでは、D=2mm、βが、空間電荷効果がある場合9°、空間電荷効果が無い場合2.5°、偏向磁場によるビームの軌道半径200mmであることを前提としている。θが20°以下では、空間電荷効果によって必要なターゲットの厚みが顕著に増大する。一方、電子ビームが照射される面積は、θ=90°で入射する場合に比べてθ=20°で入射する場合には、約3倍となり、θ=15°で約4倍となり、θ=12°で約5倍となり、θが小さくなるほど、電子ビームが照射される面積が大きくなり、発熱が分散してターゲットの損傷を抑える効果が高まる。しかし、ターゲットに偏向磁場が無い状態では空間電荷効果がある場合、ターゲットの厚みを厚くしなければならず、ターゲットが厚くなりすぎるとX線の発生方向が制限されたり、X線管の重量が重くなるなど不都合が生じる。
本実施の形態においては、ターゲット手前だけではなくターゲット部分にも偏向磁場をかけることによって、空間電荷効果によって拡がる電子ビームの軌道を貫通孔の内壁面側に戻し、X線窓に到達する電子を抑制する。角度θが小さく偏向磁場が弱い場合等では、ターゲット部分の磁場強度をターゲット手前の磁場強度よりも高くしてもよい。また、この偏向磁場によって、貫通孔の内壁面に当たらず、直接X線窓に到達する電子が減るだけでなく、エネルギーの低い散乱電子や2次電子も軌道が曲げられてX線窓に到達する割合が減る。エネルギーの高い散乱電子や2次電子は、X線窓に到達する場合もあるが、散乱電子や2次電子のエネルギーは拡がっており、エネルギーが異なると磁場によって偏向される軌道半径が異なり、X線窓に到達する電子の範囲が拡がる。そのためX線窓において熱が局所的に集中しないため、X線窓の損傷を防ぐことができる。
[実施の形態1]
例えば、管電圧30kV、電流1アンペア、時間幅100マイクロ秒のパルス状の電子ビームを高融点金属であるタングステン製ターゲットに垂直に入射するような実施態様では、ターゲットでの電子ビーム径(半値幅)を1mm程度以下、外径2mm程度以下にするとタングステンターゲットが溶融して損傷することを実験的に確認している。これは、ターゲット面に垂直に近い角度で入射すると100マイクロ秒程度の短時間では照射領域からの熱伝導による排熱が追いつかないためである。以下、このような高いピーク強度の電子ビームでもターゲットを損傷させずにX線の発生を実現するX線管50の構成例について説明する。
図3に、本実施の形態に係るX線管50の構成例を示す。X線管50は、電子ビーム1を出力する電子源12と、電子ビーム1を加速させるための加速部11と、電子ビーム1を収束させる収束コイル10と、電子ビーム1に対する偏向及び変動磁場用コイル14と、ターゲット2と、ターゲット2の放熱を行うための放熱体5と、X線窓4(真空窓とも呼ぶ)とを有する。本実施の形態に係るX線管50では、電子ビーム1の出力方向と同様の方向にX線3が出力される。また、本X線管50は、ターゲット2の貫通孔と偏向及び変動磁場用コイル14の部分を除き、電子ビーム1とターゲット2の中心とを通る管軸に対して回転対称となっている。
図3に示すように、電子源12に近い順に、加速部11、収束コイル10、偏向及び変動磁場コイル14が配置されており、ターゲット2の側部を覆うように放熱体5が巻いてあり、ターゲット2の電子源12とは反対側の面にX線窓4が配置されている。なお、電子源12から出力される電子ビームや、偏向及び変動磁場コイル14による偏向磁場などを制御するための制御ユニット100も設けられている。
図4に、ターゲット2の上面図及び断面図を示す。本例の場合、図4(a)に示すように、円柱状のターゲット2の中心を通るA-A’線上には、スリット状の貫通孔8-1及び8-5と、上から見て円形の貫通孔8-2及び8-6とが設けられている。また、ターゲット2の中心(すなわち管軸中心)を通るB-B’線上には、スリット状の貫通孔8-3及び8-4が設けられている。このように、ターゲット2の中心を通る管軸から離れるように、貫通孔8-1乃至8-6が設けられている。また、スリット状の貫通孔の場合、A-A’線やB-B’線上に、スリットの長手方向が載らず、A-A’線やB-B’線とスリットの長手方向とが、直交又は略直交するように配置されている。図2より、貫通孔の方向と磁場により曲げられた電子ビームのなす角θがたとえば12°でターゲット部にも磁場がある場合、ターゲット厚は20mmにできる。一方、ターゲット部に磁場が無い場合は45mm必要である。また、ターゲット2の直径は20mmにできる。これによって、ターゲット部に磁場が無い場合に比べてターゲット厚を顕著に薄くでき、X線管のサイズを小さく、かつ重量を軽くできるだけでなく、ターゲット材に必要なコストも低減できる。
なお、図4(b)に示すように、スリット状の貫通孔8-1は、直方体の貫通孔であるが、スリット状の貫通孔8-5には、電子源12側の端部にテーパーが付されており、X線窓4側の開口部よりも電子源12側の開口部が広がった形を有している。また、貫通孔8-2は、円柱状の貫通孔であるが、貫通孔8-6は、ロート状で、電子源12側の端部にテーパーが付されており、電子源12側の開口部がX線窓4側の開口部よりも広がっている形をしている。これに対して、スリット状の貫通孔8-3及び8-4には、図4(c)に示すように、X線窓4側の端部に管軸に向かってテーパーが付されている。
本実施の形態に係る偏向及び変動磁場用コイル14は、ターゲット2の手前で電子ビーム1を偏向させると共に、ターゲット2の内部でも電子ビーム1に作用するような有効範囲を有しており、目的に応じて所望の貫通孔に電子ビームを導くものである。この偏向及び変動磁場用コイル14は、2対のコイルであり、一方の一対は、貫通孔8-1、8-2、8-5及び8-6のいずれかを選択するために用いられ、他の一対は、貫通孔8-3及び8-4のいずれかを選択するために用いられる。なお、偏向及び変動磁場用コイル14を、その中心が、ターゲット2の、電子源12側の面又はその付近の高さに配置すれば、上記のようにターゲット2の手前及びターゲット2内部にも偏向磁場を及ぼすことが出来る。
本実施の形態では、ターゲット2直前で電子ビームを偏向させるため、本実施の形態の場合、ターゲット2の直径を20mm以下にでき、熱伝導体(伝熱体とも呼ぶ)やX線窓などを付けてもピーク電流1アンペア程度に対応する高出力X線管50としては小型にできる。
本実施の形態では、管電圧30KV、すなわち電子エネルギー30KeVで1アンペアの電子ビーム1を電子源12からターゲット2まで輸送するが、電子ビーム1の加速部11も含めると、電子源12からターゲット2までは60mm以上あり、電子ビーム1の外径2mm程度のまま輸送すると空間電荷効果によってビームが発散する。そのため、ターゲット2に入る前に空間的に拡がった電子ビーム1を収束してターゲット2に入射させる。電子ビーム1の収束には、収束コイル10を用いるが、静電レンズや電子ビーム1の加速と収束を同時に行なう方法(例えば特開2011-8998号記載の方法)などを用いてもよい。
本実施の形態では、収束半角αは2.5°とする。この電子ビーム1に、偏向及び変動磁場用コイル14により1.8mTの磁場をかけると電子ビーム1は半径約23cmの円軌道で偏向する。この磁場は、空芯コイル、鉄やフェライト等にコイルを巻き付けた電磁石、永久磁石等によって実現され得る。この場合、48mm進むと電子ビーム1は約12°偏向し、管軸中心から約5mmの位置に入射する。図4では、管軸中心から5mmの位置に、直径2mmの貫通孔8-2、スリットの幅Dが2mmの貫通孔8-1、8-3及び8-4が配置されており、ターゲット2の厚みが20mmであるとすると、空間電荷効果で収束後電子ビーム1が拡がっていてもX線窓4に直接到達できない。また、ターゲット2内にも偏向磁場が及ぶので、散乱電子や2次電子も、X線窓4への到達割合が減るとともに到達位置も分散し、X線窓4の局所的な温度上昇を抑えることができる。電子ビーム1の外径が2mmである場合、直径2mmの貫通孔に全て入れることができるが、貫通孔の内壁面に対して12°の浅い角度で入射すると、電子ビームを垂直にターゲットに当てる場合よりも約5倍広い面積に電子ビーム1が照射されることになるので、熱の発生部を分散でき、ターゲット2の損傷を抑えることができる。
局所領域の透過イメージング、分析用、走査型の後方散乱イメージングなどでは狭い放射角のX線が望まれるので、そのような場合は貫通孔の形状が円柱状の貫通孔(例えば8-2)を用い、当該貫通孔の入射側に電子ビーム1を導くことでX線の放射角を限定する。ターゲット2の厚みを厚くするか、X線管50の外に追加のコリメータを設置することで、放射角をさらに狭くすることも可能である。本実施の形態では、ターゲット2がX線のコリメータや遮蔽も兼ねているので、X線管の外に設置するX線遮蔽やコリメータは従来のX線管よりも削減できる。
また、本実施の形態に係るX線管50であれば、電子ビーム1の径よりも小さな径を有する貫通孔を使えば、X線の実効焦点サイズを電子ビーム1の径よりも小さくできる。たとえば、貫通孔の径を0.5mmとすれば、電子ビーム1の外径が2mm以上でも焦点サイズは0.5mm程度にできる。但し、貫通孔が単純な円柱状では、貫通孔に入らなかった電子ビーム1により貫通孔の入口付近で熱の発生が集中する。このため、ロート状で且つ貫通孔の電子源12側の端部にテーパーを付した貫通孔8-6を選択して使用することで、図5(a)に模式的に示すように、電子ビーム1が当たる面積が増え、熱の発生の集中は抑えられる。なお、図5(a)の例では、貫通孔の中心軸は、ターゲット2に対して垂直であり、テーパーの中心軸も貫通孔の中心軸とが同じである。
しかしながら、図5(a)に示した貫通孔のように貫通孔の中心軸とテーパーの中心軸とを同じにする場合よりも、図5(b)に模式的に示すように、テーパーの中心軸が入射する電子ビーム1の入射方向に向いている方が、入射面積が増加するので、熱の発生をより分散できる。テーパーで散乱した電子の一部は貫通孔の中に入ってX線を発生する可能性があり、テーパーが無い場合よりX線発生確率も増える。また、外径2mmの電子ビーム1をテーパー付きで内径0.5mmの貫通孔に入れる場合、テーパー部分で電子の多くが止まるため、0.5mmの貫通孔内に入った電子は空間電荷効の影響が少なくなる。
さらに、偏向磁場を12°で入射する場合より弱めて、電子ビーム1の主軸の偏向角が8°で入射する位置に配置された貫通孔(例えば8-6)を用いる場合には、内径0.5mmの貫通孔に入った電子の大部分は入射軸と貫通孔の中心軸のズレのために貫通孔内で止まる。さらに、ターゲット2内部に及ぶ偏向磁場によっても、電子ビーム1の軌道が曲げられてターゲット2内で電子が止まるため、貫通孔から出る電子を最小限にできる。電子ビーム1の偏向角が8°となる位置に配置された貫通孔8-5や8-6は、偏向角が12°となる位置に配置された貫通孔8-1や8-2よりも管軸中心に近い位置に配置されているので、貫通孔8-1や8-2と共存でき、必要に応じて使用する貫通孔を切り替えることで焦点サイズや照射範囲を変更することができる。
なお、広い放射角のX線を生成する場合は、貫通孔8-1のように、ターゲット2の中心を通る直線と直交する方向に長手方向を有し且つその形状をスリット状とする貫通孔を用いれば、図6に模式的に示すように、スリットの長手方向の放射角を広くすることができる。本実施の形態では、ターゲット部に磁場をかけることによりターゲット厚を磁場の無い場合より薄くできるが、ターゲット厚が薄くなれば、スリット状の貫通孔の長手方向の幅が同じなら長手方向のX線の放射角をより広くすることができる。あるいは、必要な放射角が決まっていれば、ターゲット厚が薄くなることにより貫通孔の長手方向の幅を狭くでき、ターゲットの径を小さくできる。X線CTなどのイメージングでは、扇型の放射特性を有するX線源が望まれており、このようなスリット状の貫通孔を用いることでX線CTに適したX線を発生することができる。
電子ビーム1の径に比べて孔のサイズが大きなスリット状の貫通孔や円柱状の貫通孔を用いる場合には、偏向及び変動磁場コイル14によって磁場を変動させることによって貫通孔の内壁で電子ビーム1の入射位置を変えるようにしても良い。これによって、熱の発生部をさらに分散できる。貫通孔の厚み方向の変動は、偏向及び変動磁場コイル14において偏向磁場用のコイルの電流に変動磁場用の電流を加えるか、偏向磁場用のコイルに変動磁場用のコイルを加えておいて変動磁場用のコイルにそのための電流を流すことによって実現される。変動磁場用のコイルは、偏向磁場用コイルよりターン数を少なくしたもので、偏向磁場用コイルと一体で成形してもよい。スリットの長手方向に沿った変動は、貫通孔の選択に使用している偏向磁場用コイルとは別の偏向及び変動磁場用コイルを使用して、偏向磁場と垂直な方向から変動磁場を加えることで実現される。変動磁場を生成する場合には、制御ユニット100により流す電流を制御することになる。
X線イメージングにおいて、動きのあるものを撮影する場合、電子ビーム1の入射位置が変動する向きを被撮影物(すなわち対象物)の動きの向きと合わせることで、入射位置が変わることによる画像のボケを低減できる。例えば、X線管50の下に配置されたイメージング検出器面に平行に被撮影物が動いている場合、電子ビーム1の入射位置と被撮影物の動きの向きが一致し、電子ビーム1の変動の速度v、非撮影物の動きの速度u、X線源-イメージング検出器間の距離LSD、被撮影物-イメージング検出器間の距離LODとすると、
v=uLSD/LOD
の関係が成り立てば、入射位置が変わることによるボケが無い画像が得られる。この関係が成り立たない場合でも、電子ビーム1の入射位置の変動の向きと被撮影物の動きの向きが同じ方向なら、異なる方向に比べてボケの少ない画像が得られる。電子ビーム1の入射位置の変動する向きは、制御ユニット100により変動磁場の増加又は減少のどちらかのタイミングにX線パルスの出力タイミングを合わせることで実現される。X線管50の設置角度等を調整すれば、X線の変動の向きと被撮影物の動く方向を合わせられる。
また、ターゲット2で発生した熱は、熱伝導率の高い銅などの熱伝導体を用いてX線管50の側面から外に放熱するが、このX線管50の外形は管軸を中心に回転対称な形状をしているため、X線管50の側面1周360°に放熱体5を設置することで、放熱性を高めている。また、側面からX線が漏えいする可能性があるが、X線遮蔽能力が高く熱伝導率も高いタングステン銅合金等を放熱体5に用いることで、放熱とX線遮蔽を兼ねる。これによって、従来よりもX線の遮蔽体を少なくでき、小型且つ軽量なX線管を実現できる。X線パルスの発生頻度が高く、発熱が大きい場合は、水冷や油冷などの液体による冷却を行うが、放熱体5の外形は円柱状なので円柱に冷却パイプを巻き付けるなどによって容易に液体冷却ができる。
次に、図4に示した貫通孔8-3及び8-4について、図7を用いてさらに説明する。貫通孔8-3及び8-4は、図7(b)に示すように、X線出力側の、管軸に近い側にテーパーを付けたものである。言い換えれば、電子ビーム1が照射される内壁面とは反対側の内壁面側にテーパーが付されており、X線出力側の開口が広くなっている。これにより、図7(a)に示すようにこのようなテーパーを付けない場合に比べて管軸に向いたX線の出射角を拡げることができる。また、図8に示すように、対向する2つの貫通孔8-3及び8-4を組み合わせることによって、さらにX線の放射角を拡げることができる。貫通孔8-3及び8-4は、スリット状の貫通孔であり、長手方向にも広い照射角でX線を照射できる。この広い照射角を利用してX線透過像を撮る場合、図8のように2つの貫通孔でX線の照射エリアが重なる部分ができるが、それぞれの貫通孔を利用したX線の画像を撮って画像処理で画像を繋げるか、重なりの範囲をあらかじめ測定しておいて画像処理により重なりによる輝度変化を打ち消すことによって、広い範囲のX線透過像を撮ることができる。
なお、使用する貫通孔を選択する偏向磁場は、コイルや電磁石を用いても可能であるが、管電圧や使用する貫通孔を頻繁に変更しないのであれば永久磁石を使ってもよい。これらは、X線管50の外側又は放熱体5の外側に配置される。永久磁石を用いる場合、脱着可能なように枠を設けて、その枠に特定の貫通孔用の永久磁石を据え付け、交換することにより使用する貫通孔を変更できる。
この実施の形態は、管電圧30kVで直径20mm以下のターゲットを使用する場合を一例として挙げているが、環境や目的に応じて管電圧やターゲットの形状やサイズは、これに限定されるものではない。なお、管電圧が高いほど、前方に放射するX線の発生効率を上げることができることは知られている。
[実施の形態2]
第1の実施の形態に係るX線管50の外形は、管軸を中心として回転対称な形状であることから、このX線管50を回転させる回転機構を含むX線生成装置を構成する場合もある。図9に模式的に示すように、本実施の形態に係るX線生成装置は、筐体18内に、ターゲット2及び放熱体5等を含むX線管51と、ベアリングやグリース等である摩擦低減機構16と、モータや手動での回転機構15と、コリメータ19とを含む。なお、X線管51に含まれる電子源12には、高電圧供給線17が接続されている。また、図9は、X線管の中心軸を含む断面を示しており、偏向及び変動磁場用コイル14は、紙面の手前及び奥に配置されているので、図9中には現れていない。但し、偏向及び変動磁場用コイル14は、回転機構15によりX線管51と一緒には回転せず、固定される。さらに、本実施の形態では、コリメータ19は、筐体18におけるX線窓4の後段に、2つの貫通孔位置に合わせて組み付けられている。
このようなX線生成装置において、X線管50を回転機構15で回転させるので、偏向及び変動磁場用コイル14は、一方向だけ電子ビーム1を偏向させるように一対でよい。この場合、異なる貫通孔で管軸中心からの距離を同じにすれば、回転により偏向磁場を変えずに電子ビーム1が入射する貫通孔を変えることができる。さらに貫通孔の形状を同じにすれば、発生するX線の位置や方向も同じになるので、X線の照射方向を規定するコリメータ14を固定できるようになる。
本実施の形態では、図10に示すようなターゲット2を採用することが好ましい。ターゲット2は、貫通孔8の周辺のみにターゲット材2-1乃至2-4を用い、これらのターゲット材2-1乃至2-4に密着させた、銅などの伝熱体2-10を含む。これによって、ターゲット材2-1乃至2-4で発生した熱は、伝熱体2-10に伝わる。さらに、伝熱体2-10と放熱体5も密着していることから、熱はすみやかにX線管51の外に放熱される。放熱体5は、発生するX線のパルスレートが低い場合は空冷で対応できる。パルスレートが高くなる場合は、X線管51全体を絶縁油等の液体に浸すことで冷却できる。そのため、タングステン等の高融点金属よりも融点の低い材質のターゲット材でも溶融による損傷を防ぐことができる。
さらに、図10に示すように材質の異なるターゲット材2-1乃至2-4をターゲット2の中心から放射状に、また、ターゲット2の中心からの距離が同じになるように各ターゲット材に貫通孔を配置する。図10の例では、各ターゲット材2-1乃至2-4につき、2つの異なる貫通孔8が設けられているが、その数についてはいくつでも良い。また、ターゲット材の種類も4種類に限定するものではない。例えば、ターゲット材2-1は銅、ターゲット材2-2はクロム、ターゲット材2-3はモリブデン、ターゲット材2-4はバナジウムにすれば、それぞれの材質に対応した特性X線が含まれるエネルギースペクトルのX線が発生するようになる。これによってコリメータ15の位置を変更すること無く、発生するX線のエネルギースペクトルを容易に変更できるようになる。
以上述べた第1及び第2の実施の形態によれば、ターゲット2の手前だけではなくターゲット2まで含まれる偏向磁場によって、電子ビームをターゲット直前で偏向させて貫通孔8に入射させることで、管軸中心から貫通孔8までの距離を短くでき、小型且つ軽量なX線管50又は51を実現できる。また、この偏向磁場は、X線窓4に到達する電子も低減でき、X線窓4の損傷を抑えることができる。
X線管50又は51の外形が管軸を中心に回転対称であれば、X線管50又は51の部品、X線遮蔽、伝熱体等の形状を単純な形状にでき、製作が容易になる。
X線管51自体をX線生成装置内で回転できるようにすれば、組み立て時や照射方向調整時の調整作業が容易になる。
ターゲット2に複数の貫通孔を配置し、電子ビーム1の入射位置を偏向磁場によって変えることで使用する貫通孔を変えれば、X線の放出角度範囲や焦点サイズを容易に変えることができる。
貫通孔8に電子ビーム1が入り込んで浅い角度で貫通孔8の内壁面に照射されることになることから、電子が照射されるターゲット面積が広く、熱の発生が分散する。さらに、径又は幅が大きな貫通孔又はスリット状の貫通孔を用いて、電子ビーム1の照射位置を変動させれば、さらに発熱が分散し、ターゲットの損傷を抑えることができる。
ターゲット2で発生した熱は、X線管50又は51の側面から放熱するが、側面の放熱体5はX線の遮蔽と兼用でき、冷却もしやすい。また、貫通孔8の中で発生した不要なX線の多くは、ターゲット、熱伝導体、放熱体で吸収されるため、X線管50又は51の外側のX線遮蔽を従来のX線管より軽減し、X線管50又は51の重量を抑えることができる。
分析用X線源などのように狭い照射範囲を要する用途では、貫通孔8がコリメータの役目を果たすことから、X線管50又は51の外に配置する追加のコリメータを最小限にでき、X線管50又は51の重量を抑えることができる。
ターゲット2に入射した電子ビーム1の散乱電子や2次電子の多くは貫通孔8の中で吸収されるため、ターゲット2近くの管壁には、散乱電子や2次電子がターゲット2の入射側にあまり来ない。そのため、ターゲット2近くの管壁の内側にX線管50又は51の真空を維持するゲッター材などを配置できる。
スリット状の貫通孔を用いる場合には、スリットの長手方向のX線の照射範囲を拡げることができる。さらに、スリット状の貫通孔のX線出射側且つ管軸側にテーパーをつける場合には、管軸に向かう側に、X線の照射範囲も拡げることができる。複数のスリット状の貫通孔を使う場合には、さらに照射範囲を拡げることができる。
X線管51が管軸を中心にして回転対称である場合には、X線管51の回転と偏向磁場を組み合わせることによって使用するターゲット材及び貫通孔を容易に変更することができる。これは、放熱体5が巻かれたX線管51自体を回転することから、ターゲット2で発生した熱を簡便な機構で速やかにX線管51の外に排熱することができ、比較的融点の低いターゲットにも対応できる。この場合、偏向磁場は1方向だけで可能なことから、磁場の調整が容易になる。貫通孔の形状を同じにして材質が異なるターゲット材を用いる場合には、コリメータ位置を変更することなく発生するX線のスペクトルを容易に変更できる。これによって、蛍光X線分析や残留応力測定などの分析用X線源などにおいて、ターゲット交換あるいはX線管交換に要する手間や調整の時間を削減できる。
なお、上で述べた第1及び第2の実施の形態における技術要素については、その目的や実施の状況などに応じて、任意に組み合わせたり、除去したり、他の技術要素と置換したり、他の技術要素を第1又は第2の実施の形態に加えたりする場合がある。
以上述べた実施の形態をまとめると以下のようになる。
本実施の形態に係るX線管は、(A)空間電荷効果が現れるような電子ビーム(空間電荷効果が問題となる又は無視できない電子ビームと呼ぶ)を発生させる電子源と、(B)電子源と対向する第1の面と当該第1の面と反対側の第2の面とを有し、第1の面と第2の面とを貫く1又は複数種類の貫通孔を有する1又は複数のターゲット材を含むターゲット部と、(C)電子ビームを偏向させる偏向磁場を発生させる偏向磁場生成部とを有する。そして、上記貫通孔は、当該貫通孔の内壁面に対して、偏向磁場によりターゲット部の手前で偏向された電子ビームの少なくとも一部が照射されて、第2の面側にX線を出力するような位置に形成されており、偏向磁場生成部は、偏向磁場を、ターゲット部内部においても電子ビームに作用するように生成するものである。
このような偏向磁場を生成させて、貫通孔の内壁面に電子ビームを照射してX線を生成すれば、空間電荷効果が現れるような電子ビームであっても、ターゲットの後段に設けられるX線窓に電子ビームが直接到達することを抑制できるようになる。なお、偏向磁場発生部の一例である、対向する磁石の磁極又はコイルを、その中心位置が、ターゲットの第1の面の高さ又はその付近になるように配置すれば、上記のような偏向磁場が形成される。
なお、上で述べた貫通孔の第1の面側又は第2の面側の端部に、当該端部の開口が広くなるようにテーパーが付されている場合もある。第1の面側にテーパーが設けられる場合には、電子ビームの径が大きい場合でも貫通孔内壁面に電子ビームが当たるようにでき、X線の出力範囲を絞ることが出来るようになる。第2の面側にテーパーが設けられる場合には、X線の照射範囲を広くすることが出来るようになる。
また、貫通孔の第2の面側の端部にテーパーが付されている場合、テーパーが、貫通孔の内壁面において偏向磁場により偏向された電子ビームが照射される側とは反対側に設けられている場合もある。このようにすれば、X線の照射範囲を広くすることが出来る。
さらに、テーパーが付けられている貫通孔の形状が、第1の面の上から見て矩形状である場合がある。一方、第1の面から見て円形状である場合もある。矩形状の場合の方が、円形状である場合に比して、X線の照射範囲を広くすることが出来る。
また、テーパーが付けられている貫通孔の形状が、第1の面の上から見て矩形状であって、当該矩形の長手方向が、第1の面の上から見たテーパーが付けられている貫通孔の中心と第1の面の中心点とを通る直線に対して非平行となるようにしても良い。このような直線に沿って電子ビームが偏向磁場によって偏向されるので、非平行(例えば直角)となるように矩形の長手方向を向ければ、確実にX線の照射範囲を広く出来る。
さらに、貫通孔の第1の面側の端部にテーパーが設けられている場合、貫通孔の中心軸に対してテーパーの軸が偏向磁場により偏向された電子ビームの入射側に傾けられている場合もある。このようにすれば、より電子ビームが、貫通孔内に収まりやすくなる。
さらに、上で述べた偏向磁場生成部は、貫通孔の内壁面において、偏向磁場により偏向された電子ビームの照射位置を変動させるように変動磁場を発生させるようにしても良い。このようにすれば、ターゲットにおける熱発生を分散させることが出来るようになる。
また、上で述べた偏向磁場生成部は、生成したX線を照射する物体の動きの向きに合わせて、電子ビームの照射位置を変動させるように変動磁場を発生させるようにしてもよい。このようにすることで、被撮影物の画像がぼけにくくなる。
さらに、X線遮蔽機能を有する放熱体が、ターゲット部の側部を覆うように配置されている場合もある。放熱対策及びX線遮蔽対策が可能になる。
本実施の形態に係るX線生成装置は、(A)空間電荷効果が現れるような電子ビームを発生させる電子源と、電子源と対向する第1の面と当該第1の面と反対側の第2の面とを有し、第1の面と第2の面とを貫く1又は複数種類の貫通孔を有する1又は複数のターゲット材を含むターゲット部とを有するX線管と、(B)X線管を回転させる回転機構と、(C)電子ビームを偏向させる偏向磁場を発生させる偏向磁場生成部とを有する。そして、上記貫通孔は、当該貫通孔の内壁面に対して、偏向磁場によりターゲット部の手前で偏向された電子ビームの少なくとも一部が照射されて、第2の面側にX線を出力するような位置に形成されており、偏向磁場生成部は、偏向磁場を、ターゲット部内部においても電子ビームに作用するように生成するものである。
このような偏向磁場を生成させて、貫通孔の内壁面に電子ビームを照射してX線を生成すれば、空間電荷効果が現れるような電子ビームであっても、ターゲットの後段に設けられるX線窓に電子ビームが直接到達することを抑制できるようになる。さらに、回転機構を含むことで、X線管を回転させることと偏向磁場とにより、貫通孔の選択が容易にできるようになる。
なお、上で述べた偏向磁場生成部は、電子ビームを1方向に偏向させる偏向磁場を生成し、X線管を回転機構により回転させること及び偏向磁場によって、電子ビームを貫通孔の内壁面に照射させるようにしても良い。偏向磁場生成部の構成を簡易化できるようになる。
1 電子ビーム 2 ターゲット 3 X線 4 X線窓
5 放熱体 10 収束コイル 11 加速部 12 電子源
100 制御ユニット 8 貫通孔 14 偏向及び変動磁場用コイル
19 コリメータ 17 高電圧供給線 18 筐体 15 回転機構

Claims (11)

  1. 空間電荷効果が現れるような電子ビームを発生させる電子源と、
    前記電子源と対向する第1の面と当該第1の面と反対側の第2の面とを有し、前記第1の面と前記第2の面とを貫く1又は複数種類の貫通孔を有する1又は複数のターゲット材を含むターゲット部と、
    前記電子ビームを偏向させる偏向磁場を発生させる偏向磁場生成部と、
    を有し、
    前記貫通孔は、当該貫通孔の内壁面に対して、前記偏向磁場により前記ターゲット部の手前で偏向された電子ビームの少なくとも一部が照射されて、前記第2の面側にX線を出力するような位置に形成されており、
    前記偏向磁場生成部は、前記偏向磁場を、前記ターゲット部内部においても前記電子ビームに作用するように生成する
    X線管。
  2. 前記貫通孔の前記第1の面側又は前記第2の面側の端部に、当該端部の開口が広くなるようにテーパーが付されている
    請求項1記載のX線管。
  3. 前記貫通孔の前記第2の面側の端部に前記テーパーが付されている場合、前記テーパーが、前記貫通孔の内壁面において前記偏向磁場により偏向された電子ビームが照射される側とは反対側に設けられている
    請求項2記載のX線管。
  4. 前記テーパーが付けられている前記貫通孔の形状が、前記第1の面の上から見て矩形状である
    請求項2記載のX線管。
  5. 前記テーパーが付けられている前記貫通孔の形状が、前記第1の面の上から見て矩形状であって、
    当該矩形の長手方向が、前記第1の面の上から見た前記テーパーが付けられている前記貫通孔の中心と前記第1の面の中心点とを通る直線に対して非平行となる
    請求項2記載のX線管。
  6. 前記貫通孔の前記第1の面側の端部に前記テーパーが設けられている場合、前記貫通孔の中心軸に対して前記テーパーの軸が前記偏向磁場により偏向された電子ビームの入射側に傾けられている
    請求項2記載のX線管。
  7. 前記偏向磁場生成部は、
    前記貫通孔の内壁面において、前記偏向磁場により偏向された前記電子ビームの照射位置を変動させるように変動磁場を発生させる
    請求項1記載のX線管。
  8. 前記偏向磁場生成部は、
    生成したX線を照射する物体の動きの向きに合わせて、前記電子ビームの照射位置を変動させるように前記変動磁場を発生させる
    請求項7記載のX線管。
  9. X線遮蔽機能を有する放熱体が、前記ターゲット部の側部を覆うように配置されている
    請求項1記載のX線管。
  10. 空間電荷効果が現れるような電子ビームを発生させる電子源と、前記電子源と対向する第1の面と当該第1の面と反対側の第2の面とを有し、前記第1の面と前記第2の面とを貫く1又は複数種類の貫通孔を有する1又は複数のターゲット材を含むターゲット部とを有するX線管と、
    前記X線管を回転させる回転機構と、
    前記電子ビームを偏向させる偏向磁場を発生させる偏向磁場生成部と、
    を有し、
    前記貫通孔は、当該貫通孔の内壁面に対して、前記偏向磁場により前記ターゲット部の手前で偏向された電子ビームの少なくとも一部が照射されて、前記第2の面側にX線を出力するような位置に形成されており、
    前記偏向磁場生成部は、前記偏向磁場を、前記ターゲット部内部においても前記電子ビームに作用するように生成する
    X線生成装置。
  11. 前記偏向磁場生成部は、前記電子ビームを1方向に偏向させる偏向磁場を生成し、
    前記X線管を前記回転機構により回転させること及び前記偏向磁場によって、前記電子ビームを前記貫通孔の内壁面に照射させる
    請求項10記載のX線生成装置。
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