JP4261691B2 - X線管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線を発生させるX線管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線管においては、高真空の管内でカソードを加熱して電子を放出させる電子銃を用い、電子銃から出射された電子を、高電圧を印加した陽極ターゲットのX線発生面に入射することによってX線を発生させる。
【0003】
このようなX線管としては、例えば特開平7−296751号公報に示されたものがある。このX線管では、電子銃及び電子銃が収納されている第1の筒状部材の中心軸と、ターゲット及びターゲットが収納されている第2の筒状部材の中心軸とが略直交するように各部が構成されている。これによって、電子銃からターゲットへの電子入射軸とターゲットから外部へのX線出射軸とが略直交し、また、ターゲット及びターゲットの先端部分に電子の加速・軌道制御のために取り付けられるフード電極の中心軸がX線出射軸と略平行とされたX線管が構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
X線は、多くの物質・物体に対して透過性の良い電磁波であり、例えば半導体電子部品の検査など、物体の内部構造の非破壊・非接触検査等に多く用いられる。このような用途においてX線透視画像を鮮明にするには、(1)高拡大、(2)小焦点、及び(3)高コントラストの3つの条件を満たす必要がある。すなわち、(1)高拡大によってより細かい構造を観測することができ、(2)小焦点によって輪郭が明確な画像を得ることができ、また、(3)高コントラストによって明暗がはっきりした画像を得ることができる。
【0005】
上記したようなX線管においては、発生・出射されるX線のS/N比の低下によって上記した条件のうち(3)の高コントラストが充分に得られないという問題があった。すなわち、X線透視画像において、X線のシグナル(S)成分による画像(シグナル画像)では、観測しようとする物体の内部構造等によって明るい部分と暗い部分とのパターンを生じる。一方、X線のノイズ(N)成分による画像(ノイズ画像)では、物体の内部構造と対応していないX線像となるため、例えば全体が明るい画像などが得られる。
【0006】
観測によって得られるX線透視画像は上記したシグナル画像及びノイズ画像を足し合わせたものとなるため、使用するX線管からのX線のS/N比が充分に高くない場合、シグナル画像がノイズ画像によって全体的に明るくされるなど画像のコントラストが低下し、内部構造を示す明暗を区別しにくくなってしまうという問題を生じる。
【0007】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、発生・出射されるX線のS/N比が向上されたX線管を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明によるX線管は、カソードから電子入射軸の方向に電子を放出する電子銃と、電子をX線発生面に入射させることによってX線を発生させてX線出射軸の方向に出射するターゲットと、を有し、ターゲットの中心軸がX線出射軸に対して略平行となるように構成されたX線管において、ターゲットを内部に収容するとともに、その所定の位置に形成された開口部分にX線出射窓が設けられた容器と、X線出射軸と略平行な筒状に形成され、ターゲットにX線発生面を覆うように取り付けられてその筒状の一方のX線出射窓と対向している開口部分をX線出射口とするとともに、その周面の電子銃に面する所定の位置に電子入射口が形成されているフード電極とを備え、フード電極は、その内面の所定の部位から内側に突出して形成されて、電子またはX線のノイズ成分に対してフード電極の外部への出射を制限する制限突起部を有し、制限突起部は、X線発生面とX線出射口との間であってフード電極の内面のうちでX線出射口側の部分に円形状に所定の内径を有して突出して、X線出射口の内径を、フード電極の他の部分の円筒形状の内径よりも小さく制限するリング状突起部であることを特徴とする。
【0009】
ターゲットの中心軸を電子入射軸と略直交するX線出射軸方向としてX線管を構成した場合には、ターゲットに取り付けられる筒状のフード電極も同様にX線出射軸と平行に設置され、その筒状の一端側の開口がX線出射口となる。このとき、電子銃からの電子のX線発生面への入射点がX線のシグナル成分の発生点となるが、電子の二次散乱等に起因して上記の発生点以外において生じたX線等がX線出射口から外部に出射されることによって、得られるX線束中にX線のノイズ成分を生じてしまう。
【0010】
これに対して、上記したX線管においてはフード電極のX線出射口の近傍などの所定の内壁部分に制限突起部を設ける。これによって、X線のシグナル成分の出射軌道範囲を確保しつつ、フード電極の内部空間から外部へと出射されるX線または電子の軌道を制限してノイズ成分の出射を抑制することができ、したがって、得られるX線のS/N比を向上することが可能である。
【0011】
また、制限突起部は、X線発生面とX線出射口との間に円形状に突出したリング状突起部であることを特徴とする。
【0012】
このような制限突起部によれば、X線出射口の内径をフード電極の円筒形状の内径よりも小さくして効率的な出射軌道制限を行うことができる。なお、制限突起部としては、出射軌道を制限可能なものであれば、このようなリング状の形状以外にも様々な形状のものを適用可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるX線管の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0014】
図1は、本発明によるX線管の第1の実施形態の構成を示す断面図であり、図1(a)はX線管1の横断面図、図1(b)は縦断面図を示す。これらは、いずれも後述する電子入射軌道leを含む平面での断面を示している。図1(a)及び(b)に示すように、X線管1は、電子を発生・放出させる電子銃部2と、電子銃部2からの電子を受けてX線を発生させるX線発生部3と、を備えて構成されている。
【0015】
電子銃部2は、各構成要素を収容するとともにその中心軸が電子入射軸と略平行に設置された容器21を備え、容器21内には外部からの電力供給により発熱するヒータ22が設けられている。また、電子銃部2には、ヒータ22によって熱せられ電子を放出するカソード23、及びカソード23から放出された電子を集束させるフォーカスグリッド電極24が設けられている。さらに、容器21には、カソード23から放出されフォーカスグリッド電極24により集束された電子を出射するための電子通過口25が形成されている。この電子通過口25は、フォーカス電極としての機能も果たしている。この電子銃部2から、電子入射軸方向の電子入射軌道leによって電子が放出され、X線発生部3へと入射される。
【0016】
一方、X線発生部3は、各構成要素を収容するとともにその中心軸がX線出射軸と略平行に設置された容器31を備えている。容器31は、電子銃部2の容器21と電子通過口25を介して連通されており、したがって、カソード23から放出される電子を入射できる構造になっている。これらの容器21及び31は密封されており、その内部がほぼ真空状態に保たれている。
【0017】
容器31の内部には、電子銃部2からの電子を受けてX線を発生させるターゲット4が設置されている。このターゲット4は金属製の棒状体であって、その中心軸をX線出射軸方向とし、電子銃部2からの電子入射軸に対して略直交する向きとして配置されている。ターゲット4の先端部分40に形成されている先端面は電子銃部2からの電子を受けてX線を発生させるX線発生面41であり、電子が入射される電子入射軌道le前方の位置に、電子入射軌道leに対して所定の角度で形成されて配置されている。このX線発生部3に電子銃部2からの電子が入射して、X線出射軸方向のX線出射軌道lxによってX線が発生・出射される。
【0018】
なお、互いに略直交する電子入射軌道le及びX線出射軌道lxは、それぞれ実際には所定の広がりを有する範囲の軌道であるが、図1においては、簡単のためそれぞれ電子入射軸及びX線出射軸と一致させて示してある。
【0019】
容器31には、所定の位置に形成された開口部分にX線出射窓32が設けられている。X線出射窓32は、ターゲット4のX線発生面41から発せられたX線を容器31の外部へと出射させるための窓であり、例えば、X線透過材であるBe材からなる板材などにより構成される。このX線照射窓32は、ターゲット4の先端面であるX線発生面41に面するX線出射軌道lx前方の位置に設けられている。また、X線出射窓32は、その中心がターゲット4の中心軸の延長上に略一致するように配置され、X線出射軸がその内側を通過するように形成されている。
【0020】
ターゲット4の先端部分40には、フード電極5が取り付けられている。フード電極5は、X線発生面41へと進入するカソード23からの電子を加速するとともにその軌道を制御する機能を有し、ターゲット4の中心軸・X線出射軸とほぼ平行な筒状に形成されている。これらのターゲット4及びフード電極5には、電子銃部2の電子通過口25の縁部分の電位に対して、正の高電圧が印加されている。
【0021】
図2は、図1に示したX線管のターゲット4、フード電極5、及びその周辺の構造を拡大して示す端面図である。ターゲット4の先端部分40の先端面であるX線発生面41は、ターゲット4の中心軸に対して、したがって電子入射軸及びX線出射軸に対してそれぞれ斜め(直交せず、かつ平行でない)となる平面状に形成されている。
【0022】
ターゲット4の先端部分40に対して、上記したようにフード電極5が取り付けられている。フード電極5は金属製の筒状体であり、その内径がターゲット4の先端部分40の外径とほぼ同一径とされ、また、その軸方向の長さ寸法が先端部分40の長さとほぼ同一寸法とされている。
【0023】
このフード電極5は、X線発生面41の周囲を覆うように設置されており、筒状の一端側のX線出射窓32と対向している開口部分が、ターゲット4のX線発生面41からのX線がX線出射軌道lxに沿って通過するX線出射口51となるように配置されている。また、周面の電子通過口25と対向している所定の部位には、電子銃部2のカソード23からの電子が電子入射軌道leに沿って通過する電子入射口52が形成されている。本実施形態においては、電子入射口52はターゲット4の軸方向について、電子入射軸に対してほぼ対称な開口範囲となる形状に形成されている。
【0024】
また、フード電極5の内面のうち、X線出射口51側の円形状・環状の部分には、内側に向かってリング板状に所定の内径を有して突出した制限突起部53が形成されている。これによって、X線出射口51の内径は、フード電極5の他の部分の円筒形状の内径よりも小さく制限されている。
【0025】
以上の構成によるX線管1の動作及び効果について、図1及び図2を参照しつつ説明する。
【0026】
ターゲット4及びフード電極5に正の高電圧が印加されると、ターゲット4及びフード電極5は、電子銃部2の電子通過口25の縁部に対して正の高電位となるため、電子銃部2と、ターゲット4及びフード電極5との間の空間に所定の電界が形成される。これにより、電子銃部2のカソード23から放出された電子は、フォーカスグリッド電極24によって集束され、電子通過口25を通過した後、電子銃部2と、ターゲット4及びフード電極5との間の電界によって加速されて、フード電極5の電子入射口52を通過してターゲット4のX線発生面41へと進入・入射される。
【0027】
そして、電子がX線発生面41に入射することによって、その電子の入射位置においてX線が発生する。発生したX線は、フード電極5のX線出射口51、及びBe製のX線出射窓32を通過してX線出射軌道lxの方向に出射される。ここで、X線発生面41における電子の入射点(X線の発生点)は、ほぼターゲット4の中心軸上となるように構成されている。したがって、X線出射軸はターゲット4の中心軸と略一致している。また、X線発生面41で発生されたX線については、このX線出射軸を含み、X線出射窓32等によって制限・決定される所定の軌道範囲で放出された成分がシグナル成分として外部へと出射される。
【0028】
上記した構成及び動作によって得られるX線には、X線の発生点からのX線のシグナル成分以外に、フード電極の内側各部などX線発生部3の他の位置で発生するX線のノイズ成分が含まれている。このようなX線を、例えば非破壊検査によるX線透視画像の取得に用いた場合、得られる透視画像は、X線のシグナル成分によって得られ観測しようとする物体の内部構造等に対応する明暗パターンを示すシグナル画像と、X線のノイズ成分によって得られ全体が明るいパターンなどになるノイズ画像と、の重ね合わせとなる。したがって、X線のS/N比が低いと、X線透視画像においてノイズ画像成分の強度が増大するために、そのコントラストが低下し、その結果、観測対象とした物体の構造等が明確に把握できない、という問題を生じる。
【0029】
このようなX線のノイズ成分の発生原因としては、ターゲット4のX線発生面41に到達した電子が二次反射または散乱等を起こし、それらの反射・散乱された電子が再びターゲット4やフード電極5等にぶつかってX線を発生させることがある。
【0030】
上記した過程によって発生するX線のノイズ成分に対して、本実施形態によるX線管1においては、図1及び図2に示すように、X線出射口51近傍のフード電極5の内面側に、内側に向かって突出したリング板状の制限突起部53を形成し、X線出射口51の内径をフード電極5の他の円筒形状部分の内径よりも小さく制限している。この制限突起部53によって、ノイズ成分となる余分なX線や、入射軌道から外れてノイズ源となる電子等の外部への出射軌道・出射線量を制限して、ノイズ成分を低減・遮蔽することができる。
【0031】
すなわち、この制限突起部53を設けることによって、X線発生面41を含むフード電極5内側の空間は、X線出射窓32など外側の空間に対して充分に遮蔽され、X線のシグナル成分の通過経路以外をほぼ密閉された構造となる。
【0032】
X線発生面41上の電子の入射点に到達した電子のうち、X線の発生に寄与せずに反射・散乱された電子は、図2にその軌道の例をいくつか示すように、X線出射口51に到達せずに反射・散乱を繰り返す。そして、それらの反射・散乱電子、及び反射・散乱電子によって発生されたX線のノイズ成分の大部分は、フード電極5の周面及び制限突起部53によって密閉された内側の空間領域において、ターゲット4またはフード電極5の各部位において吸収等されることによって外部に出射されることなく消滅する。これによって、X線管1から出射されるX線のS/N比が大幅に向上される。
【0033】
図3は、マイクロフォーカスX線管を用いたワイヤボンディングの観測・検査を例として、X線のS/N比の向上によるX線透視画像の鮮明化の効果を説明する模式図である。図3(a)及び(b)は、それぞれ(a)正常なワイヤボンディングと、(b)断線したワイヤを示し、これらのワイヤボンディング部分を従来のX線管を用いて観測したときに得られる画像を図3(c)及び(d)に、また、上記した実施形態による制限突起部を備えたX線管を用いて得られる画像を図3(e)及び(f)にそれぞれ示す。
【0034】
従来のX線管による図3(c)及び(d)に示した画像においては、小焦点によって輪郭はほぼ明確であるが、X線のノイズ成分が多くS/N比が悪いために明暗のコントラストが充分でなく、図3(d)においてもワイヤの断線の把握が困難である。これに対して、図3(e)及び(f)に示した本実施形態のX線管による画像においては、輪郭が明確であることに加え、S/N比が向上されていることによって明暗のコントラストが高くなり、したがって、図3(f)に示されているように、ワイヤの断線を明確に確認することができる。
【0035】
このような高コントラスト化の効果について、上記したX線管を用いて同一の試料を観測して評価を行った。コントラストの評価は、得られた画像中で最も明るい部分の強度Imaxと、最も暗い部分の強度Iminとを測定し、IminのImaxに対する強度比Imin/Imax(%)を算出して行った。このとき、強度比の値が小さくなるほどコントラストが高い画像となる。なお、X線管の駆動条件としては、管電圧を80、100kVとし、焦点調整のためにカソード電圧を振って観測を行っている。
【0036】
得られた値は、従来のX線管を用いた場合の強度比が2.7〜12.8%であったのに対して、本実施形態によるX線管を用いた場合においては強度比が0.88〜2.3%であった。この数値より、制限突起部53を設けてフード電極5の内部空間を密閉した構造を採用することによって、X線のS/N比が向上されて、X線透視画像の高コントラスト化が実現されていることがわかる。
【0037】
なお、フード電極の形状に関しては、例えば特開昭56−149759号公報または特開昭59−16253号公報に示したものがある。これらのX線管においてはいずれも、ターゲット及びフード電極の中心軸がX線出射軸ではなく電子入射軸に対して平行に構成されている。そのため、X線の出射はフード電極の周面に形成された開口から行われる。この場合、この開口形状によって結果としてX線の出射軌道が制限されることがあるが、その制限形態は上記のいずれのX線管においてもほぼ立体角の制限であって、他の部位からの軌道制限のための構造は有していない。
【0038】
これに対して、本発明によるX線管は、ターゲット及びフード電極の中心軸がX線出射軸に平行に構成されたX線管に関するものであって、上記したX線管とは構造において異なる。そして、そのようなX線管に対してフード電極内側に制限突起部を設けることによって、X線発生点からの立体角のみでなく他の部位等からのX線等の出射軌道に対する制限を行って、X線のノイズ成分の出射量低減によるS/N比の向上を実現するものである。
【0039】
図4は、本発明によるX線管の第2の実施形態の構成をターゲット4、フード電極5、及びその周辺を拡大して示す端面図である。なお、図示しない部分の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態においては、フード電極5に設けられた電子入射口52が、電子銃部2から電子が進入する電子入射軸・電子入射軌道leに対してX線出射口51の反対方向側に広げられた開口形状に形成されている。この形状により、電子入射口52を通過してフード電極5内に進入する電子は図4に示すようにX線出射口51側に軌道を曲げられて、ターゲット4のX線発生面41へと入射される。この場合、X線発生面41上のX線の発生点からX線出射窓32までの距離が短縮されるので、拡大率を高めることができる。
【0041】
なお、本実施形態におけるX線発生面41は、軌道が曲げられた電子の入射点がほぼターゲット4の中心軸上となるように、図1及び図2に示した実施形態よりもX線出射口51方向にずらした位置に形成・配置されている。
【0042】
本発明によるX線管は、上記した実施形態に限らず、様々な構成のターゲット及びフード電極を有するX線管に対して適用可能である。また、フード電極の内面側に形成される制限突起部の形状についても、上記した各実施形態に示した円形状の全体を突出させるリング状の突起部に限られるものではなく、例えば円形状の所定の一部のみに対して突起部を設けるなど、様々な形状とすることが可能である。また、異なる部位にそれぞれ形成された複数の突起部によって制限突起部を構成しても良い。
【0043】
【発明の効果】
本発明によるX線管は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、ターゲット及びフード電極の中心軸がX線出射軸と略平行(電子入射軸と略直交)になるように構成されたX線管において、その筒状のフード電極のX線出射口となる開口側などの所定の内面部分に、内側に向かって突出してX線または電子のフード電極外部への出射軌道を制限する制限突起部を設ける。このとき、フード電極の周面及びターゲットのX線発生面で囲まれるフード電極の内部空間が、制限突起部によって充分に閉じられた空間となる。
【0044】
これによって、本来のX線発生位置以外の部位からのX線等の出射が効率的に制限・遮蔽されるので、得られるX線に含まれるX線のノイズ成分が低減されてS/N比が向上されたX線管を実現することができる。また、このようなX線管を非破壊検査によるX線透視画像の取得に適用した場合、画像のコントラストが向上されるので、より正確に物体の構造等の情報を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線管の第1の実施形態の構成を示す(a)横断面図及び(b)縦断面図である。
【図2】図1に示したX線管のターゲット及びフード電極等を拡大して示す端面図である。
【図3】図1に示したX線管を用いて得られるX線透視画像を従来のX線管を用いた場合と比較するための模式図である。
【図4】X線管の第2の実施形態の構成をターゲット及びフード電極等を拡大して示す端面図である。
【符号の説明】
1…X線管、
2…電子銃部、21…容器、22…ヒータ、23…カソード、24…フォーカスグリッド電極、25…電子通過口、
3…X線発生部、31…容器、32…X線出射窓、4…ターゲット、40…先端部分、41…X線発生面、5…フード電極、51…X線出射口、52…電子入射口、53…制限突起部。
Claims (1)
- カソードから電子入射軸の方向に電子を放出する電子銃と、前記電子をそのX線発生面に入射させることによってX線を発生させてX線出射軸の方向に出射するターゲットと、を有し、前記ターゲットの中心軸が前記X線出射軸に対して略平行となるように構成されたX線管において、
前記ターゲットを内部に収容するとともに、その所定の位置に形成された開口部分にX線出射窓が設けられた容器と、
前記X線出射軸と略平行な筒状に形成され、前記ターゲットに前記X線発生面を覆うように取り付けられてその筒状の一方の前記X線出射窓と対向している開口部分をX線出射口とするとともに、その周面の前記電子銃に面する所定の位置に電子入射口が形成されているフード電極とを備え、
前記フード電極は、その内面の所定の部位から内側に突出して形成されて、電子またはX線のノイズ成分に対して前記フード電極の外部への出射を制限する制限突起部を有し、
前記制限突起部は、前記X線発生面と前記X線出射口との間であって前記フード電極の内面のうちで前記X線出射口側の部分に円形状に所定の内径を有して突出して、前記X線出射口の内径を、前記フード電極の他の部分の円筒形状の内径よりも小さく制限するリング状突起部であることを特徴とするX線管。
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