JP2024017395A - インドキシル硫酸産生抑制用組成物ならびに腎機能の向上および/または改善用組成物 - Google Patents

インドキシル硫酸産生抑制用組成物ならびに腎機能の向上および/または改善用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 桑の葉によりインドキシル硫酸の産生を抑制する技術ならびに腎機能を向上および/または改善させる技術を提供する。【解決手段】 桑の葉を有効成分とするインドキシル硫酸産生抑制用組成物、ならびに、桑の葉を有効成分とする腎機能の向上および/または改善用組成物。本発明によれば、インドキシル硫酸の産生を抑制することができる。また、本発明によれば、腎機能の向上あるいは改善に寄与することができる。【選択図】 図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 日本女性医学学会雑誌 第29巻 第1号、第36回 学術集会 プログラム・要旨集、発行者 一般社団法人 日本女性医学学会、令和3(2021)年10月30日 発行 〔刊行物等〕 第36回 日本女性医学学会学術集会、2021年11月6~7日
本発明は、インドキシル硫酸産生抑制用組成物ならびに腎機能の向上および/または改善用組成物に関する。
桑の葉は、食物繊維が豊富で、血糖値低下効果、抗高脂血症効果、抗肥満効果などの生理機能があることが知られており(非特許文献1)、従来、お茶や青汁として飲用されている。また、桑葉成分を含む青汁には、肌改善作用及び便秘改善作用が報告されている(特許文献1)。
一方、インドキシル硫酸は、経口摂取したタンパク質に含まれるトリプトファンが腸内細菌によりインドールに代謝され、これが腸管から吸収され、肝臓で酸化、硫酸抱合されて血中に出現する物質であり、正常では腎臓から尿中に排泄されるが、腎機能低下時においては血中に留まり高い血中濃度を示す尿毒素である。インドキシル硫酸は、腎臓の近位尿細管細胞の線維化や近位尿細管細胞へのマクロファージの浸潤・集積などを誘発することにより腎不全を進行促進させるほか(非特許文献2)、心血管障害作用を示し、さらに組織因子を発現させ内血栓傾向をもたらす因子として知られている(非特許文献3)。したがって、インドキシル硫酸の産生を抑制することは、腎機能の低下等の身体への悪影響を予防ないし低減するために有効である。
特開2021-90410号公報
T. Thaipitakwongら、Pharm Biol.、第56巻、第1号、第109-118頁、2018年. 清水 英寿、Kagaku to Seibutsu、第55巻、第3号、第203-209頁、2017年 丹羽 利充、血栓止血誌、第26巻、第3号、第318-322頁、2015年
上述のとおり、桑の葉には幾つかの生理機能が報告されているが、これまでに、インドキシル硫酸の産生を抑制することや、腎機能を向上あるいは改善させることは知られていなかった。本発明は、桑の葉によりインドキシル硫酸の産生を抑制する技術ならびに腎機能を向上および/または改善させる技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、後述する実施例に示すように、桑の葉を主成分とし、フラクトオリゴ糖(1-ケストースを含む)、ガラクトマンナン分解物およびラクトバチルス属細菌を含む被験物質が、インドキシル硫酸の産生を抑制すること、ならびに、血清中の尿素窒素濃度やクレアチニン濃度を低下させることを見出した。同被験物質における含有割合は、桑の葉が約57質量%、フラクトオリゴ糖が約33質量%、ガラクトマンナン分解物が約8質量%およびラクトバチルス属細菌が約0.1質量%であり、1日当り摂取量は、桑の葉が約6.84g、フラクトオリゴ糖が約3.96g、ガラクトマンナン分解物が約0.96gおよびラクトバチルス属細菌が約0.012g(約10億個)であった。
ここで、フラクトオリゴ糖については、慢性腎不全患者を対象に6g/日を3ヶ月間摂取させたところ、血清尿素窒素および血清クレアチニンに変化は無かったと報告されている(参考文献1)。また、ガラクトマンナン分解物については、血液透析患者を対象に10.2g/日を4週間摂取させたところ、血中尿素窒素および血清クレアチニンに変化は無かったと報告されている(参考文献2)。さらに、糖尿病患者を対象に10g/日のガラクトマンナン分解物を6週間摂取させたところ、血清クレアチニンに変化は無かったと報告されている(参考文献3)。また、ラクトバチルス属細菌については、慢性腎不全患者を対象に乳酸菌シロタ株(ラクトバチルス・カゼイ)15億個/日を8週間摂取させたところ、血清尿素窒素濃度が有意に増加したと報告されている(参考文献4)。
参考文献1:高橋 裕一郎他. 慢性腎不全患者に対するフラクトオリゴ糖の投与とその臨床的有用性 腸内細菌叢の変動を中心として. ビフィズス 9: 141-150, 1996.
参考文献2:Miyoshi M. et al. Prebiotics Improved the Defecation Status via Changes in the Microbiota and Short-chain Fatty Acids in Hemodialysis Patients. Kobe J Med Sci. 2020; 66(1): E12?E21.
参考文献3:Dall'Alba V. et al. Improvement of the metabolic syndrome profile by soluble fibre ? guar gum ? in patients with type 2 diabetes: a randomised clinical trial. Br J Nutr. 2013 Nov 14;110(9):1601-10.
参考文献4:古川 愛子ら、血液透析患者における乳酸菌摂取時の血清リン値とi-PTHの変化について、Journal of Chugokugakuen、第13巻、第97-102頁、2014年
すなわち、フラクトオリゴ糖およびガラクトマンナン分解物は、本願実施例よりも遥かに多い摂取量においても、血清尿素窒素および血清クレアチニンに変化をもたらさない。また、ラクトバチルス属細菌についても、本願実施例よりも多い摂取量であるものの血清尿素窒素濃度を増加させることから、摂取量を減少させたところで尿素窒素濃度を低下させることができるとは考え難い。これらのことから、同被験物質の効果(インドキシル硫酸の産生抑制効果ならびに腎機能の向上・改善効果)は、主成分として約57質量%含まれる桑の葉によるものと考えられた。そこで、係る知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係るインドキシル硫酸産生抑制用組成物は、桑の葉を有効成分とする。
(2)本発明に係る腎機能の向上および/または改善用組成物は、桑の葉を有効成分とする。
(3)本発明に係る組成物は、さらに下記(a)~(c)から選択されるいずれか1以上を含むものであってもよい;
(a)オリゴ糖、
(b)水溶性食物繊維、
(c)プロバイオティクス菌。
(4)本発明に係る組成物がさらに上記(a)~(c)を含む場合は、桑の葉の含有割合が50質量%以上であってもよい。
(5)本発明に係る組成物は、妊娠進行に伴うインドキシル硫酸の産生増大を抑制するために用いられるものであってもよい。
(6)本発明に係る組成物は、妊婦が摂取して、新生児における体内インドキシル硫酸量を抑制するために用いられるものであってもよい。
本発明によれば、インドキシル硫酸の産生を抑制することができる。また、本発明によれば、腎機能の向上あるいは改善に寄与することができる。
被験物質の摂取前および1ヶ月間摂取した後における、尿中インドキシル硫酸値を示す箱ひげ図である(N=15)。 被験物質の摂取前および8週間摂取した後における、血清中の尿素窒素濃度を示す棒グラフである(N=21)。 被験物質の摂取前および8週間摂取した後における、血清中のクレアチニン濃度を示す棒グラフである(N=21)。 被験物質を摂取した妊婦(摂取群、N=20)および摂取しなかった妊婦(非摂取群、N=15)における、尿中インドキシル硫酸値の変化量(妊娠32週時の値から妊娠12週時の値を減じた値)を示す棒グラフである。 被験物質を摂取した妊婦(摂取群、N=20)および摂取しなかった妊婦(非摂取群、N=15)から産まれた児の初尿における、尿中インドキシル硫酸値を示す箱ひげ図である。
以下、本発明について詳細に説明する。本明細書では、インドキシル硫酸産生抑制用組成物および腎機能の向上および/または改善用組成物をまとめて、あるいはこれらのうちのいずれかを指して「本発明の組成物」あるいは「本組成物」という場合がある。
インドキシル硫酸産生抑制用組成物は、ヒトや動物の生体内でのインドキシル硫酸の産生量を減少させる作用を有する組成物、あるいは当該作用を生体にもたらす目的(用途)で用いられる組成物をいう。
インドキシル硫酸は、生体内では血中や尿中に存在する。よって、インドキシル硫酸の産生が抑制されたか否かは、例えば、血液(血清)や尿を検体として、そのインドキシル硫酸濃度を測定することにより確認できる。検体中のインドキシル硫酸濃度は、例えば、ガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーを用いた方法、インドキシル硫酸に特異な抗体を用いた酵素免疫測定法(特許第4183777号公報)、インドキシル硫酸にスルファターゼ及びテトラゾリウム塩を作用させ、生成されたホルマザン色素を測定する方法(再表2014/129460号公報)などの公知の方法で測定することができる。また、係る公知の測定原理に基づく測定キットや試薬ないしは測定装置等が市販されており、それらを用いて測定することができる。
腎機能の向上および/または改善用組成物は、腎臓の機能を現時点よりも良くする、あるいは低下した腎臓の機能について、当該低下の程度を小さくする作用を有する組成物、あるいは当該作用を生体にもたらす目的(用途)で用いられる組成物をいう。
腎機能が向上あるいは改善したか否かは、例えば、従来、腎機能の指標として用いられている血中尿素窒素や血清クレアチニンを測定することにより確認できる。血清中の尿素窒素濃度は、例えば酵素レート法などの公知の方法で測定することができる。また、検体(血清、血漿、尿)中のクレアチニン濃度は、例えば酵素法(SOX-POD系)などの公知の方法で測定することができる。また、係る公知の測定原理に基づく測定キットや試薬ないしは測定装置等が市販されており、それらを用いて測定することができる。
本組成物は桑の葉を有効成分とする。桑の葉は、クワ属(Morus)に属する木本植物の葉をいう。クワ属の主な種としては、ログワ(M.Ihou)、ヤマグワ(M.bombycis)、ナガミグワ(M.laevigata)、ケグワ(M.tiliaefolia)、オガサワラグワ(M.boninensis)、テンジクグワ(M.serrata)、レッドマルベリー(M.rubra)、カラヤマグワ(M.alba)、クロミグワ(M.nigra)、ブラックマルベリー(M.mesozygia)などを例示することができるが、本発明においては、これらのいずれの葉も用いることができる。
桑の葉は、経口摂取に適した何らかの処理を施して用いてもよい。当該処理としては、例えば、洗浄、裁断、加熱(蒸し、茹で、煮、焼成など)、発酵、乾燥、粉砕などを例示することができる。また、桑の葉は、その含有成分を抽出し、係るエキス分のみを用いてもよい。
本組成物は、桑の葉以外に、(a)オリゴ糖、(b)水溶性食物繊維および(c)プロバイオティクス菌から選択されるいずれか1以上を含んでいてもよい。
(a)オリゴ糖は、3~20個程度の単糖がグリコシド結合してなる化合物を指し、少糖類ともいう。オリゴ糖は、ヒトの消化酵素での分解性を指標に難消化性オリゴ糖と消化性オリゴ糖とにわけられる場合があるが、本発明においてはこれらのいずれであってもよい。難消化性オリゴ糖としては、例えば、フラクトオリゴ糖(1-ケストース、ニストース、フルクトフラノシルニストースなど)、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、マンノオリゴ糖、ラクチュロース、ラフィノース、キトサン、マルトシルスクロースなどを例示することができる。また、消化性オリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、グルコシルスクロースなどを例示することができる。オリゴ糖は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(b)水溶性食物繊維は、食物に含まれる成分のうち、ヒトの消化酵素では消化されない難消化性成分であって水溶性のものをいう。水溶性食物繊維は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。水溶性食物繊維としては、例えば、ガラクトマンナンまたはその分解物、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、ペクチン、ポリデキストロース、アルギン酸(またはその塩)、ラミナリン、グルコマンナン、カラギーナン、フコイジン、キサンタンガム、タマリンドガム、トラガントガム、ジェランガム、コンドロイチン硫酸(またはその塩)、プルラン、サイリウム、コーンファイバー、アップルファイバー、ビートファイバー、レジスタントスターチ、グルカン、キシログルカン、イヌリン、寒天、ヒアルロン酸(またはその塩)等を例示することができる。
これらのうち、ガラクトマンナンとは、マンノースで構成される直鎖状主鎖にガラクトースで構成される側鎖が結合してなる多糖類であり、ガラクトマンナン分解物とは、ガラクトマンナンを分解(低分子化)したものをいう。分解には、一般に、酸や酵素が用いられる。ガラクトマンナンとしては、マンノースとガラクトースとの構成比率が2:1のグァーガム、3:1のタラガム、4:1のローカストビーンガムなどを例示することができる。ガラクトマンナン分解物の分子量はガラクトマンナンより小さいものであればよく、具体的には原料ガラクトマンナンの1/180~1/10、すなわち分子量5000~100000を例示することができる。
(c)プロバイオティクス菌は、ヒトや動物の生体に良い影響を与える微生物、いわゆる善玉菌をいう。プロバイオティクス菌としては、例えば、乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、酪酸菌、糖化菌などを例示することができる。このうち乳酸菌は、乳酸を代謝産生する微生物をいい、より具体的には、例えば、ビフィドバクテリウム属、ラクトバチルス属、エンテロコッカス属、リューコノストック属、ペディオコッカス属、スタフィロコッカス属、テトラゲノコッカス属、バチルス属などを例示することができる。
ビフィドバクテリウム属としては、Bifidobacterium bifidum、B.breve、B.infantis、B.lactis、B.longum、B.adolescentis、B.mongolienseなどを例示することができる。
ラクトバチルス属としては、Lactobacillus brevis、L.casei、L.gasseri、L.acidophilus、L.buchneri、L.bulgaricus、L.delburvecki、L.crispatus、L.curvatus、L.halivaticus、L.pentosus、L.plantarum、L.paracasei、L.rhamnosus、L.salivarius、L.sporogenes、L.sakei、L.fructivorans、L.hilgardii、L.reuteri、L.fermentumなどを例示することができる。
エンテロコッカス属としては、Enterococcus faecalis(Streptococcus faecalisと称されることもある)、E.faesium(S.faesiumと称されることもある)、S.thermophilus、Lactococcus lactis(S.slactisと称されることもある)などを例示することができる。
リューコノストック属としては、Leuconostoc mesenteroides、L.oenosなどを例示することができる。
ペディオコッカス属としては、Pediococcus acidilactici、P.pentosaceusなどを例示することができる。
スタフィロコッカス属としては、Staphylococcus carnosus、S.xylosus、S.thermophilus、S.faecalis、S.faeciumなどを例示することができる。
テトラゲノコッカス属としては、Tetragenococcus halophilusなどを例示することができる。
バチルス属としては、Bacillus coagulans、B.mesentericusなどを例示することができる。
プロバイオティクス菌は、生菌であっても死菌であってもよく、死菌の場合は菌体破砕物であってもよい。プロバイオティクス菌は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。プロバイオティクス菌粉末は、例えば培養した微生物または当該微生物による発酵に使用した培養物から、培地等の不要分を除いた後に菌体を公知の方法で粉末化して得ることができる。
桑の葉、(a)オリゴ糖、(b)水溶性食物繊維および(c)プロバイオティクス菌は、いずれも市販されており、本発明においては係る市販品を用いることができる。
本組成物が桑の葉以外の物質を含有する場合、桑の葉の含有割合は、当該組成物の製品形態や所望の効果などに応じて適宜設定することができる。例えば、桑の葉の含有割合として、組成物の乾燥重量全体を100質量%としたうちの、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上あるいは30~80質量%などを例示することができる。
本組成物が(a)~(c)を含有する場合、それらの含有割合は、当該組成物の製品形態や所望の効果などに応じて適宜設定することができる。例えば、組成物の乾燥重量全体を100質量%として、(a)オリゴ糖は10~50質量%、(b)水溶性食物繊維は5~30質量%、(c)プロバイオティクス菌は0.01~5質量%程度の含有割合を例示することができる。
インドキシル硫酸は、後述する実施例で示すように、妊娠の日数が進むに従い、その妊婦における産生量が増大する場合がある。本組成物は、係る妊娠進行に伴うインドキシル硫酸の産生増大を抑制する用途で用いることもできる。
また、本組成物は、新生児(出生から28日未満の児)、すなわち出生直後(0日)、早期新生児期(0~6日)あるいは後期新生児期(7~27日)の児における体内インドキシル硫酸量を抑制する用途で用いることもできる。この場合は、妊婦が、当該児を産む前の妊娠中に本組成物を摂取することにより用いる。
本組成物は、ヒトまたは動物に経口摂取させることにより使用することができる。また、有効成分を経腸栄養剤に添加して、これを、胃や小腸などの消化管に挿入したチューブを経由して経腸栄養法により投与する方法で使用してもよい。
本発明において、桑の葉の摂取量(投与量)は、年齢や性別、体重、所望の効果の程度、製品形態などに応じて適宜設定することができるが、例えば、1日あたり1~12gを例示することができる。係る摂取量の桑の葉は、1日1回に限らず、複数回に分割して摂取してもよい。
本組成物は、医薬品や医薬部外品、食品添加剤、飼料添加物、サプリメントなどの健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、特別用途食品(人工乳栄養乳児用または病者用食品等)、乳幼児食品、菓子や飲料、加工食品などの通常の飲食物、飼料等の形態として用いることができる。医薬品や医薬部外品、食品添加剤、飼料添加物、サプリメントの形態とする場合、その剤型としては、例えば、散剤、錠剤、糖衣剤、カプセル剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、液剤、シロップ剤、ドロップ剤、ドリンク剤等の固形または液状の剤型を例示することができる。飲食物の形態とする場合は、通常の製造過程で、有効成分を添加して製造することができる。また、本組成物は、医薬品や医薬部外品、各種食品や飼料の原材料として、他の成分と併せてこれらに配合して用いてもよい。
以下、本発明について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<被験物質>
表1に示す市販品を混合して、表2に示す各成分を含有する被験物質を調製した。以下に示す各実施例において、被験物質の摂取量は12g/日とし、摂取方法は、被験物質を適量の水または湯に溶解して飲用する態様とした。
<実施例1>成人男女におけるインドキシル硫酸の産生抑制効果
健康な成人男女15名(24~54歳)を被験者として、被験物質を毎日、1ヶ月間摂取させた。摂取開始前(摂取前)および摂取期間終了時(摂取1ヶ月後)に尿を採取し、測定キット「腸活チェック」(ヘルスケアシステムズ社)を用いて、尿中のインドキシル硫酸およびクレアチニンの濃度を測定した。成人の1日のクレアチニン排泄量はほぼ1gであることから、尿量補正のため、クレアチニン1mgあたりのインドキシル硫酸の量(尿中インドキシル硫酸値(μg/mg Cr))を算出し、これをインドキシル硫酸の1日あたり排泄量の指標とした。摂取前および摂取1ヶ月後の尿中インドキシル硫酸値について、全被験者の中央値および平均値を算出し、統計的有意差検定を行ってP値を算出した。その結果を図1に示す。
図1に示すように、尿中インドキシル硫酸値(中央値)は、摂取前では51.5μg/mg Crであったのに対して、摂取1ヶ月後では33.7μg/mg Crであり、摂取前より有意に小さかった。すなわち、被験物質を1ヶ月間摂取した後では、摂取開始前よりも、1日あたりのインドキシル硫酸の排泄量が小さかった。この結果から、被験物質はインドキシル硫酸の産生を抑制できることが明らかになった。また、腎不全の進行促進因子であるインドキシル硫酸の産生が抑制されたことから、被験物質は、腎機能を向上ないし改善できることが示唆された。
<実施例2>腎機能の向上・改善効果
従来、腎機能の指標として用いられている血中尿素窒素(BUN)および血清クレアチニンについて、被験物質の摂取に伴う変化を確認した。
ここで、尿素窒素はタンパク質代謝の最終産物(タンパク質が利用された後にできる老廃物)である。尿素は、アミノ酸(グルタミンおよびグルタミン酸)の脱アミノによって生じたアンモニアから、主として肝臓においてオルニチン回路(尿素回路)によって合成され、腎臓の糸球体でろ過されて尿中へ排出される。腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれない尿素が血液中に留まる。このことから、BUNは、その値が高いほど腎臓の機能が低下していることを表し、値が小さいほど腎機能が向上ないし改善していることを表す。BUNの正常とされる基準値は8.0-20.0mg/dLである。
また、クレアチニンは、筋肉や脳でクレアチンリン酸(高エネルギーリン酸結合をもつエネルギー源)から非可逆的非酵素的脱水反応により生成されたり、クレアチンの脱水により生成される。このようにして生成されたクレアチニンは血流中に出現し、腎糸球体でろ過されて尿中へ排出される。腎臓の働きが低下すると、ろ過しきれないクレアチニンが血液中に留まる。このことから、血清中のクレアチニン濃度は、その値が高いほど腎臓の機能が低下していることを表し、値が小さいほど腎機能が向上ないし改善していることを表す。血清クレアチニン濃度の正常とされる基準値は0.46-0.82mg/dL(女性)である。
本実施例2では、健康な成人女性21名(30~49歳)を被験者として、被験物質を毎日、8週間摂取させた。摂取開始前(摂取前)および摂取期間終了時(摂取8週後)に血液を採取し、定法に従って血清を得た。市販のキットを用いて、血清中の尿素窒素濃度をウレアーゼ・GLDH・UV法により、血清中のクレアチニン濃度を酵素法により、それぞれ測定した。摂取前および摂取8週後の各測定値について、全被験者の平均値および標準偏差を算出し、統計的有意差検定を行ってP値を算出した。尿素窒素濃度の結果を図2に、クレアチニン濃度の結果を図3に、それぞれ示す。
図2に示すように、尿素窒素濃度(平均値)は、摂取前では13.6mg/dLであったのに対して、摂取8週後では12.3mg/dLであり、P=0.097であるものの、摂取前より小さかった。すなわち、被験物質を8週間摂取した後では、摂取開始前よりも、血清中の尿素窒素濃度が小さい傾向であった。
また、図3に示すように、クレアチニン濃度(平均値)は、摂取前では0.636mg/dLであったのに対して、摂取8週後では0.619mg/mgであり、摂取前より有意に小さかった。すなわち、被験物質を8週間摂取した後では、摂取開始前よりも、血清中のクレアチニン濃度が小さかった。
以上のとおり、被験物質を一定期間摂取した後では、血清中の尿素窒素濃度およびクレアチニン濃度のいずれもが小さくなったことから、被験物質は腎機能を向上ないし改善できることが明らかになった。また、本実施例2の結果を踏まえれば、実施例1で示された、被験物質摂取による尿中インドキシル値の低下は、腎機能の低下に伴うインドキシル硫酸のクリアランス(血中から尿中への移行)低下によるものではなく、インドキシル硫酸の産生が抑制されたことによるものと考えられた。
<実施例3>妊婦におけるインドキシル硫酸の産生抑制効果
健康な妊婦35名(24~42歳)を被験者として、摂取群(20名)と非摂取群(15名)とに分けた。妊娠12週から産後4週までの約8ヶ月間、摂取群のみに被験物質を毎日摂取させ、非摂取群には被験物質を摂取させなかった。妊娠12週(摂取群における被験物質の摂取開始前)および妊娠32週(摂取群における摂取5ヶ月後)に、全被験者の尿を採取し、実施例1に記載の方法により尿中インドキシル硫酸値を求めた。続いて、妊娠32週時の値から、妊娠12週時の値を減じて、尿中インドキシル硫酸値の変化量(μg/mg Cr)を算出した。この変化量について、各群毎に平均値および標準偏差を算出し、統計的有意差検定を行ってP値を算出した。その結果を図4に示す。
図4に示すように、尿中インドキシル硫酸値の変化量(平均値)は、摂取群では1.51μg/mg Crであったのに対して、非摂取群では41.51μg/mg Crであり、摂取群の方が非摂取群より顕著に小さかった。すなわち、被験物質を摂取した妊婦では、妊娠初期と妊娠後期とで、インドキシル硫酸の1日あたり排泄量がほとんど変化しなかった。これに対して、被験物質を摂取しなかった妊婦では、妊娠初期と比較して、妊娠後期における当該排泄量が顕著に増大した。この結果から、被験物質は妊娠の進行に伴うインドキシル硫酸の産生増大を抑制できることが明らかになった。
<実施例4>新生児におけるインドキシル硫酸の産生抑制効果
健康な妊婦35名(24~42歳)を被験者として、摂取群(20名)と非摂取群(15名)とに分けた。妊娠12週から産後4週までの約8ヶ月間、摂取群のみに被験物質を毎日摂取させ、非摂取群には被験物質を摂取させなかった。全被験者から産まれた出生直後の児について、初尿を採取し、実施例1に記載の方法により尿中インドキシル硫酸値を求めた。母親の群毎に、児の尿中インドキシル硫酸値の中央値、平均値および標準偏差を算出し、統計的有意差検定を行ってP値を算出した。その結果を図5に示す。
図5に示すように、尿中インドキシル硫酸値(中央値)は、摂取群では14.3μg/mg Crであったのに対して、非摂取群では19.5μg/mg Crであり、摂取群の方が非摂取群より有意に小さかった。すなわち、被験物質を継続摂取した妊婦から産まれた児では、摂取しなかった妊婦から産まれた児よりも、初尿におけるインドキシル硫酸の排泄量が小さかった。この結果から、妊婦における被験物質の摂取により、新生児における体内インドキシル硫酸の量を抑制できることが明らかになった。

Claims (6)

  1. 桑の葉を有効成分とする、インドキシル硫酸産生抑制用組成物。
  2. 桑の葉を有効成分とする、腎機能の向上および/または改善用組成物。
  3. さらに下記(a)~(c)から選択されるいずれか1以上を含む、請求項1または請求項2に記載の組成物;
    (a)オリゴ糖、
    (b)水溶性食物繊維、
    (c)プロバイオティクス菌。
  4. 桑の葉の含有割合が50質量%以上である、請求項3に記載の組成物。
  5. 妊娠進行に伴うインドキシル硫酸の産生増大を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  6. 妊婦が摂取して、新生児における体内インドキシル硫酸量を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
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