JP2024017351A - 熱発生部材、熱取り出しシステムおよび熱発生部材の製造方法 - Google Patents

熱発生部材、熱取り出しシステムおよび熱発生部材の製造方法 Download PDF

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Yui Kurimoto
大輔 木村
Daisuke Kimura
竜生 川口
Tatsuo Kawaguchi
真司 川崎
Shinji Kawasaki
美能留 今枝
Minoru Imaeda
由紀夫 宮入
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【課題】エネルギーを効率よく回収できる熱発生部材、熱取り出しシステムおよび熱発生部材の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明の実施形態による熱発生部材は、金属部分と、熱交換部分とを備えている。該金属部分は、水素を吸蔵および放出可能で水素の拡散により熱を発生可能である。該熱交換部分は、金属部分において発生した熱を作動流体に伝達可能である。該熱交換部分は、作動流体を流通可能な複数のセルを有するハニカム構造体である。複数のセルは、セラミックスの隔壁により仕切られて、ハニカム構造体における一方の端面から他方の端面まで軸方向に貫通している。【選択図】図1

Description

本発明は、熱発生部材、熱取り出しシステムおよび熱発生部材の製造方法に関する。
近年、環境負荷低減の観点から、二酸化炭素などの温室効果ガスを発生しないクリーンなエネルギー源が望まれている。そのようなエネルギー源として、例えば、中空の筒体と、筒体の外面に設けられる発熱体と、筒体の内面により形成される流路と、を備える発熱装置が提案されている(特許文献1参照)。このような発熱装置では、発熱体に水素系ガスを供給して水素を吸蔵させた後、加熱された流体を流路に供給して発熱体を所定温度以上に加熱し、吸蔵されている水素を放出させて量子拡散させることで、流体の温度以上の過剰熱が発生する。過剰熱は、筒体を介して流路を流れる流体を加熱する。これによって、熱エネルギーが回収される。しかし、特許文献1に記載の発熱装置では、発熱体において発生した熱エネルギーを流体に十分に伝達できず、回収される熱エネルギーが不十分となる場合がある。
国際公開第2021/100784号
本発明の主たる目的は、熱エネルギーを効率よく回収できる熱発生部材、熱取り出しシステムおよび熱発生部材の製造方法を提供することにある。
[1]本発明の実施形態による熱発生部材は、金属部分と、熱交換部分とを備えている。該金属部分は、水素を吸蔵および放出可能で水素の拡散により熱を発生可能である。該熱交換部分は、金属部分において発生した熱を作動流体に伝達可能である。該熱交換部分は、作動流体を流通可能な複数のセルを有するハニカム構造体である。複数のセルは、セラミックスの隔壁により仕切られて、ハニカム構造体における一方の端面から他方の端面まで軸方向に貫通している。
[2]上記[1]に記載の熱発生部材において、25℃における上記ハニカム構造体の材料熱伝導率は、50W/(m・K)以上であってもよい。
[3]上記[2]に記載の熱発生部材において、25℃における上記ハニカム構造体の材料熱伝導率は、100W/(m・K)以上であってもよい。
[4]上記[1]から[3]のいずれかに記載の熱発生部材において、上記金属部分は、母金属層と、多層膜と、を備えていてもよい。該母金属層は、上記ハニカム構造体の少なくとも外面の一部、または、上記ハニカム構造体を囲むように配置される。該母金属層は、水素を吸蔵および放出可能である。該多層膜は、母金属層上に配置される。該多層膜は、第1金属層と;該第1金属層に積層される第2金属層と;を備えていてもよい。
[5]上記[4]に記載の熱発生部材において、上記母金属層および上記第2金属層のそれぞれは、Niから構成されていてもよい。上記第1金属層は、Cuから構成されていてもよい。
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載の熱発生部材において、上記ハニカム構造体は、Si-SiC系複合材料から構成されていてもよい。
[7]上記[1]から[6]のいずれかに記載の熱発生部材は、上記金属部分から上記ハニカム構造体への水素の透過を抑制する層をさらに備えていてもよい。水素の透過を抑制する層は、上記ハニカム構造体と上記金属部分との間に設けられる。
[8]上記[7]に記載の熱発生部材において、上記水素の透過を抑制する層は、セラミックス層であってもよい。
[9]上記[8]に記載の熱発生部材において、上記セラミックス層は、SiOから構成されていてもよい。
[10]上記[8]または[9]に記載の熱発生部材において、上記ハニカム構造体は、電圧が印加されたときに発熱するように構成されていてもよい。上記セラミックス層は、上記ハニカム構造体と上記金属部分とを電気的に絶縁する絶縁層として機能してもよい。
[11]本発明の別の局面による熱取り出しシステムは、上記[10]に記載の熱発生部材と、電圧印加手段と、温度検知センサーと、制御部と、を備えている。該電圧印加手段は、上記ハニカム構造体に電圧を印加する。該温度検知センサーは、上記セルを通過した作動流体の温度、または、上記ハニカム構造体の温度を測定する。該制御部は、該温度検知センサーの検知結果に基づいて、該電圧印加手段を制御して、上記ハニカム構造体の温度を調整する。
[12]本発明のさらに別の局面による熱発生部材の製造方法は、ハニカム構造体を準備する工程と、水素を吸蔵および放出可能な母金属層を形成する工程と、多層膜を形成する工程と、を含んでいる。ハニカム構造体は、作動流体を流通可能な複数のセルを有している。該複数のセルは、セラミックスの隔壁により仕切られて、ハニカム構造体における一方の端面から他方の端面まで軸方向に貫通している。該母金属層は、該ハニカム構造体の少なくとも外面の一部、または、該ハニカム構造体を囲むように形成される。該多層膜は、該母金属層上に形成される。該多層膜は、第1金属層と、該第1金属層に積層される第2金属層とを備えている。
[13]上記[12]に記載の製造方法は、上記母金属層を形成する工程の前に、水素の透過を抑制する層を形成する工程を含んでいてもよい。
[14]上記[13]に記載の製造方法では、上記水素の透過を抑制する層を形成する工程において、上記ハニカム構造体の外面を酸化熱処理することにより、上記セラミックス層を形成してもよい。
[15]上記[13]に記載の製造方法では、上記水素の透過を抑制する層を形成する工程において、上記ハニカム構造体の外面にスラリーを塗布した後、熱処理することにより、上記セラミックス層を形成してもよい。
[16]上記[13]から[15]のいずれかに記載の製造方法では、上記母金属層を形成する工程において、上記セラミックス層上に上記母金属層をメッキにより形成してもよい。
[17]上記[13]から[15]のいずれかに記載の製造方法では、上記母金属層を形成する工程において、上記セラミックス層上に金属筒状部材を焼き嵌めにより嵌合することにより、上記母金属層を形成してもよい。
[18]上記[13]から[15]のいずれかに記載の製造方法では、上記母金属層を形成する工程において、上記セラミックス層上に金属箔状部材を巻き付けることにより、上記母金属層を形成してもよい。
[19]上記[12]から[15]のいずれかに記載の製造方法では、上記多層膜を形成する工程において、上記母金属層上に多層膜をスパッタリングにより形成してもよい。
本発明の実施形態によれば、熱エネルギーを効率よく回収できる熱発生部材、熱取り出しシステムおよび熱発生部材の製造方法を実現できる。
図1は、本発明の1つの実施形態による熱発生部材の概略斜視図である。 図2は、図1の熱発生部材の概略構成図である。 図3は、図2の熱発生部材の中央断面図である。 図4は、本発明の1つの実施形態に係る金属部分の概略構成図である。 図5は、本発明の別の実施形態に係る金属部分の概略構成図である。 図6は、本発明のさらに別の実施形態による金属部分の金属部分の概略構成図である。 図7(a)から図7(c)は、本発明の1つの実施形態による熱発生部材の製造方法を説明するための説明図であって、図7(a)はハニカム構造体を準備する工程の説明図であり;図7(b)はハニカム構造体の外面にセラミックス層を形成する工程の説明図であり;図7(c)はセラミックス層上に母金属層を形成する工程の説明図である。 図8(a)および図8(b)は、本発明の別の実施形態による熱発生部材の製造方法を説明するための説明図であって、図8(a)は金属箔状部材を準備する工程の説明図であり;図8(b)は金属箔状部材を巻き付ける工程の説明図である。 図9は、本発明のさらに別の実施形態による熱発生部材の製造方法を説明するための説明図であって、金属筒状部材にハニカム構造体を焼き嵌めする工程の説明図である。 図10は、本発明の1つの実施形態による熱取り出しシステムの概略構成図である。 図11は、本発明の別の実施形態による熱取り出しシステムの概略構成図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.熱発生部材の概要
図1は本発明の1つの実施形態による熱発生部材の概略斜視図であり;図2は図1の熱発生部材の概略構成図であり;図3は図2の熱発生部材の中央断面図である。
図示例の熱発生部材100は、代表的には、25℃以上1000℃以下の温度帯における水素拡散による過剰熱の発生を利用して、熱エネルギーを発生可能である。熱発生部材100は、熱交換部分1と、金属部分2と、を備えている。金属部分2は、水素を吸蔵および放出可能で水素の拡散により熱を発生可能である。熱交換部分1は、金属部分2において発生した熱を作動流体に伝達可能である。熱交換部分1は、作動流体を流通可能な複数のセル13を有するハニカム構造体10である(図2参照)。複数のセル13は、セラミックスの隔壁12により仕切られて、ハニカム構造体10における一方の端面10a(以下、一端面10aとする。)から他方の端面10b(以下、他端面10bとする。)まで軸方向に貫通している(図3参照)。
図示例の熱発生部材において、金属部分は水素を一旦吸蔵した後、その内部において水素を拡散させることができる。これにより、金属部分において熱(過剰熱)が発生する。金属部分において発生した熱は、熱交換部分であるハニカム構造体を介して、作動流体に伝達される。より詳しくは、作動流体は、ハニカム構造体と接触する接触面を介して、熱を受け取る。上記の構成では、ハニカム構造体が作動流体を流通可能な複数のセルを有しているので、作動流体は複数のセルのそれぞれの内面と接触できる。そのため、ハニカム構造体と作動流体との接触面積(すなわち伝熱面積)の向上を図ることができ、熱エネルギーを効率よく作動流体に伝達できる。その結果、熱発生部材から熱エネルギーを効率よく回収できる。
25℃におけるハニカム構造体10の材料熱伝導率(ハニカム構造体の材料の熱伝導率)は、例えば30W/(m・K)以上、好ましくは50W/(m・K)以上、より好ましくは100W/(m・K)以上である。なお、ハニカム構造体の材料熱伝導率は、例えばレーザーフラッシュ法(JISR1611に準拠)によって測定できる。ハニカム構造体の材料熱伝導率が上記下限未満であると、金属部分の発熱時においてハニカム構造体に不均一な温度分布が生じる場合がある。この場合、ハニカム構造体の不均一な温度分布によって、金属部分においても不均一な温度分布が生じ、金属部分の発熱の進行に伴って不均一な温度分布が拡大するおそれがある。これによって、熱エネルギーの発生が不安定となり得る。これに対して、ハニカム構造体の材料熱伝導率が上記下限以上であると、ハニカム構造体における温度を均一に確保でき、金属部分において熱エネルギーを安定して発生させることができる。また、金属部分からの熱をハニカム構造体の全体に効率よく伝達でき、ひいては、熱エネルギーをより一層効率よく作動流体に伝達できる。なお、25℃におけるハニカム構造体の材料熱伝導率の上限は、特に制限されず、代表的には200W/(m・K)以下である。
ハニカム構造体10の材料は、上記した熱伝導率を有する任意の適切なセラミックス材料を選択し得る。セラミックス材料として、例えば、導電性セラミックス材料、絶縁性セラミックス材料が挙げられる。
25℃における導電性セラミックス材料の体積抵抗値は、代表的には10Ω・cm以下であり、好ましくは1Ω・cm以下である。導電性セラミックス材料として、例えば、Si-SiC系複合材料、Si金属含浸Si-SiC系複合材料が挙げられる。導電性セラミックス材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
25℃における絶縁性セラミックス材料の体積抵抗値は、代表的には1.0×1012Ω・cmを超過し、好ましくは1.0×1013Ω・cm以上である。絶縁性セラミックス材料として、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素ジルコニア、コージェライト、ムライトが挙げられる。絶縁性セラミックス材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
ハニカム構造体を導電性セラミックス材料から構成すると、ハニカム構造体に電気伝導性を付与でき、ハニカム構造体を電圧が印加されたときに発熱するように構成できる。すなわち、ハニカム構造体をヒータとして構成できる。ハニカム構造体をヒータとして構成すれば、セルを流通する作動流体の温度によってハニカム構造体の温度を調整する場合と比較して、ハニカム構造体における温度コントロールの応答性の向上を図ることができる。そのため、詳しくは後述するが、熱発生部材による発熱開始時に、ハニカム構造体を所望の拡散開始温度に円滑に加熱できるとともに、水素拡散による過剰熱発生後も、その発生熱をコントロールするための温度コントロールの応答性を良くできる。
導電性セラミックス材料のなかでは、特に好ましくは、Si-SiC系複合材料が挙げられる。ハニカム構造体をSi-SiC系複合材料から構成すると、ハニカム構造体における熱伝導率の向上、とりわけ500℃以上の高温域での熱伝導率の向上を図ることができる。Si-SiC系複合材料では、金属SiがSiCセラミックスに含浸されている。Si-SiC系複合材料におけるSiの含有量は、例えば10質量%以上、好ましくは15質量%以上であり、例えば50質量%以下、好ましくは40質量%以下である。Siの含有量が上記範囲内であれば、ハニカム構造体における電気伝導性と熱伝導性とをバランスよく確保できる。
ハニカム構造体を絶縁性セラミックス材料から構成すると、後述する水素透過抑制層を設けることなく、水素が金属部分からハニカム構造体に漏れ出すことを抑制できる。そのため、簡易な構成でありながら、金属部分を効率よく発熱させることができる。
図示例の熱発生部材100において、金属部分2は、ハニカム構造体10の全周を囲むように配置されている。1つの実施形態において、熱発生部材100は、金属部分2からハニカム構造体10への水素の透過を抑制する層3(以下、水素透過抑制層3とする。)をさらに備えている。図2および図3に示すように、水素透過抑制層3は、ハニカム構造体10と金属部分2との間に設けられている。水素透過抑制層3は、代表的には、ハニカム構造体10と金属部分2との間に挟まれており、ハニカム構造体10および金属部分2のそれぞれと直接接触している。
水素透過抑制層がハニカム構造体と金属部分との間に設けられていると、水素が金属部分からハニカム構造体に漏れ出すことを抑制でき、水素原子を金属部分におけるハニカム構造体と反対側の表面に向かって安定して拡散させることができる。そのため、金属部分を効率よく発熱させることができる。
特にハニカム構造体が導電性セラミックス材料(好ましくはSi-SiC系複合材料)から構成される場合、水素透過抑制層を設けることで、ハニカム構造体の優れた電気伝導性および熱伝導性と、金属部分における水素の効率的な拡散とを両立させることができる。
水素透過抑制層3として、代表的には、セラミックス層31が挙げられる。水素透過抑制層3は、単層であってもよく、2層以上が積層されていてもよい。
セラミックス層31は、代表的には、ハニカム構造体10とは異なるセラミックス材料から構成される。セラミックス層31を構成する材料として、例えば、SiO、Al、ZrO、コージェライト、ムライトなどの酸化物、窒化ケイ素、炭化ケイ素が挙げられる。セラミックス層31の材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
セラミックス層31の材料のなかでは、好ましくは酸化物が挙げられ、より好ましくはSiOが挙げられる。セラミックス層が酸化物(特にSiO)から構成されると、水素が金属部分からハニカム構造体に漏れ出すことを安定して抑制でき、金属部分における水素の効率的な拡散を安定して実現できる。
セラミックス層31は、ハニカム構造体10と金属部分2とを電気的に絶縁する絶縁層として機能してもよい。特にハニカム構造体がヒータとして構成される場合、セラミックス層が絶縁層として機能すると、ハニカム構造体に対する印加電圧、ひいてはハニカム構造体の温度を精度よく調整し得る。
以下、熱発生部材の具体的な構成について説明する。
B.ハニカム構造体
図2に示すように、ハニカム構造体10は、複数のセル13を有するフロースルー型のハニカム構造体である。セル13は、上記したように、ハニカム構造体10の軸方向(長さ方向)において、ハニカム構造体10の一端面10a(流入端面)から他端面10b(流出端面)まで延びている(図3参照)。セル13は、ハニカム構造体10の軸方向に直交する方向の断面において、任意の適切な形状を有する。セルの断面形状として、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形以上の多角形、円形、楕円形が挙げられる。セルの断面形状およびサイズは、すべてが同一であってもよく、少なくとも一部が異なっていてもよい。このようなセルの断面形状のなかでは、好ましくは四角形が挙げられ、より好ましくは正方形または長方形が挙げられる。
ハニカム構造体の長さ方向に直交する方向の断面におけるセル密度(すなわち、単位面積当たりのセル13の数)は、目的に応じて適切に設定され得る。セル密度は、例えば4セル/cm~320セル/cmであり得る。セル密度がこのような範囲であれば、ハニカム構造体の強度および有効GSA(幾何学的表面積)を十分に確保できる。
代表的には、セル13の内側に流路16が形成されている。流路16は、セル13の内側に形成される空間であって、セル13と同様に一端面10a(流入端面)から他端面10b(流出端面)まで延びている(図3参照)。流路16の断面形状としては、上記したセル13と同様の断面形状が挙げられ、好ましくは四角形が挙げられ、より好ましくは正方形または長方形が挙げられる。流路16の断面形状およびサイズは、すべてが同一であってもよく、少なくとも一部が異なっていてもよい。
ハニカム構造体10は、任意の適切な形状(全体形状)を有する。ハニカム構造体の形状として、例えば、底面が円形の円柱状、底面が楕円形の楕円柱状、底面が多角形の角柱状、底面が不定形の柱状が挙げられる。図示例のハニカム構造体10は、円柱形状を有している。ハニカム構造体の外径および長さは、目的に応じて適切に設定され得る。図示しないが、ハニカム構造体は、長さ方向に直交する方向の断面において、その中心部に中空領域を有していてもよい。
ハニカム構造体10は、上記したセラミックス材料から構成される。ハニカム構造体10は、代表的には、外周壁11と;外周壁11の内側に位置している隔壁12と;を備えている。図示例では、外周壁11と隔壁12とは一体的に形成されている。本実施形態では、外周壁11を構成するセラミックス材料と隔壁12を構成するセラミックス材料とは同じである。
また、外周壁11と隔壁12とは、別体であってもよい。この場合、外周壁11を構成するセラミックス材料と隔壁12を構成するセラミックス材料とは同じであってもよく、異なっていてもよい。
外周壁11は、円筒形状を有している。外周壁11の厚みは、例えば0.5mm~10mmであり得、また例えば1mm~8mmであり得る。
隔壁12は、複数のセル13を規定している。より詳しくは、隔壁12は、互いに直交する第1隔壁12aと第2隔壁12bとを有しており、第1隔壁12aおよび第2隔壁12bが、複数のセル13を規定している。セル13の断面形状は、第1隔壁12aおよび第2隔壁12bが外周壁11と接する部分を除いて、四角形である。なお、隔壁の構成は、上記した隔壁12に制限されない。隔壁は、放射方向に延びる第1隔壁と、周方向に延びる第2隔壁とを有し、それらが複数のセルを規定していてもよい。
隔壁12の厚みは、ハニカム構造体の用途に応じて適切に設定され得る。隔壁12の厚みは、代表的には、外周壁11の厚みよりも薄い。隔壁12の厚みは、例えば0.05mm~1.0mmであり得、また例えば0.08mm~0.6mmであり得る。隔壁の厚みは、例えばSEM(走査型電子顕微鏡)による断面観察により測定される。隔壁の厚みがこのような範囲であれば、ハニカム構造体の機械的強度の向上を図ることができ、かつ、開口面積(断面におけるセルの総面積)の向上を図ることができる。
隔壁12は基本的には緻密体であり、隔壁12における気孔率は、例えば10%以下、好ましくは5%以下である。なお、気孔率は、例えば水銀圧入法により測定され得る。
隔壁12の密度は、例えば0.4g/cm以上、好ましくは0.5g/cm以上であり、例えば6g/cm以下、好ましくは5g/cm以下である。なお、密度は、例えば水銀圧入法により測定され得る。
C.金属部分
図4は本発明の1つの実施形態に係る金属部分の概略構成図であり;図5は本発明の別の実施形態による金属部分の概略構成図であり;図6は本発明のさらに別の実施形態による金属部分の金属部分の概略構成図である。
1つの実施形態において、金属部分2は、ハニカム構造体10の外周壁11の外周面上に配置されている。図示例の金属部分2は、母金属層21と、多層膜22と、を備えている。多層膜22は、母金属層21に対して外周壁11の反対側に位置しており、母金属層21上に配置されている。金属部分2の厚み(母金属層および多層膜の総厚)は、例えば50μm以上、好ましくは100μm以上であり、例えば20000μm以下、好ましくは15000μm以下である。
C-1.母金属層
母金属層21は、水素を吸蔵および放出可能であり、特に水素を吸蔵保持する役割を果たす。母金属層21は、代表的には、ハニカム構造体10と多層膜22との間に位置し、多層膜22の台座として機能する。図示例において、母金属層21は、ハニカム構造体10の外周壁11の外周面上に直接設けられている。
母金属層21を構成する金属材料(以下、母金属層材料とする。)として、例えば、水素吸蔵金属、水素吸蔵合金、および、プロトン導電体が挙げられる。母金属層材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
水素吸蔵金属として、例えば、Ni、Pd、V、Nb、Ta、Tiが挙げられる。
水素吸蔵合金としては、例えば、LaNi、CaCu、MgZn、ZrNi、ZrCr、TiFe、TiCo、MgNi、MgCuが挙げられる。
プロトン導電体として、例えば、Ba(Ce0.950.05)O3-6などのBaCeO系プロトン導電体;Sr(Ce0.950.05)O3-6などのSrCeO系プロトン導電体;CaZr0.950.053-αなどのCaZrO系プロトン導電体;SrZr0.90.13-αなどのSrZrO系プロトン導電体;β-Al;β-Ga;が挙げられる。
母金属層材料のなかでは、好ましくは水素吸蔵金属が挙げられ、より好ましくはNiが挙げられる。
母金属層材料は、その種類に応じて任意の適切な結晶構造を有し得る。母金属層材料の結晶格子として、例えば、面心立方格子、体心立方格子が挙げられ、好ましくは、面心立方格子が挙げられる。
母金属層21の厚みは、例えば1μm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、例えば10mm以下、好ましくは5mm以下である。多層膜22の厚みに対する母金属層21の厚み(=母金属層の厚み/多層膜の厚み)は、例えば50以上、好ましくは100以上であり、例えば20000以下、好ましくは15000以下である。母金属層の厚みが上記範囲であれば、水素を十分に吸蔵保持できる。
C-2.多層膜
多層膜22は、第1金属層22aと、第1金属層22aに積層される第2金属層22bとを備えている。多層膜22は、好ましくは、複数の第1金属層22aおよび複数の第2金属層22bを含む。図4に示す多層膜22では、母金属層21上に、第1金属層22aと第2金属層22bとがこの順に交互に積層されている。そのため、第1金属層22aと母金属層21とが直接接触しており、第1金属層22aと第2金属層22bとが直接接触している。第1金属層22aと第2金属層22bとは、異なる金属材料から構成されている。これによって、第1金属層22aと第2金属層22bとの間の界面は、異種物質界面となる。また、母金属層21と第1金属層22aとは、好ましくは、異なる金属材料から構成される。そのため、母金属層21と第1金属層22aとの間の界面も、好ましくは異種物質界面となる。これら異種物質界面は、水素を透過可能である。
多層膜22において、第1金属層22aと第2金属層22bとの積層の順序は特に制限されない。図5に示すように、母金属層21上に、第2金属層22bと第1金属層22aとがこの順に交互に積層されていてもよい。この場合、第2金属層22bが母金属層21と直接接触している。
また、多層膜22において、少なくとも1つの第1金属層22aが第2金属層22bに積層されて異種物質界面を形成していれば、第1金属層22aと第2金属層22bとは交互に積層されなくてもよい。
図6に示すように、複数の第1金属層22aのうち互いに隣り合う第1金属層22aの間に、複数の第2金属層22bが配置されていてもよい。図示例では、互いに隣り合う第2金属層22bの間に、中間層22cが介在されている。そのため、第2金属層22bと中間層22cとが直接接触している。第2金属層22bと中間層22cとは、異なる金属材料から構成される。これによって、第2金属層22bと中間層22cとの間の界面も、水素を透過可能な異種物質界面となる。中間層22cは、完全な膜状に形成されていてもよく、完全な膜状に形成されずにアイランド状に形成されていてもよい。
多層膜22に含まれる第1金属層22a、第2金属層22bおよび中間層22cのそれぞれの個数は、任意の適切な数を採用し得る。第1金属層22aの個数は、例えば1以上、好ましくは2以上、より好ましく3以上であり、例えば10以下である。第2金属層22bの個数は、例えば1以上、好ましくは2以上、より好ましく3以上であり、例えば20以下である。中間層22cの個数は、例えば0以上10以下である。
多層膜22の厚みは、例えば0.02μm以上、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは3.0μm以上であり、例えば10μm以下、好ましくは6.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下である。
C-2-1.第1金属層
第1金属層22aを構成する金属材料(以下、第1金属層材料とする。)として、例えば、水素吸蔵金属、および、水素吸蔵合金が挙げられる。第1金属層材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
水素吸蔵金属として、例えば、Ni、Pd、Cu、Mn、Cr、Fe、Mg、Coが挙げられる。
水素吸蔵合金として、例えば、第1金属層材料としての水素吸蔵金属原子を2種以上含む合金が挙げられる。水素吸蔵合金には、任意の適切な添加元素がドープされていてもよい。
第1金属層材料のなかでは、好ましくは水素吸蔵金属が挙げられ、より好ましくはCuが挙げられる。
第1金属層材料は、その種類に応じて任意の適切な結晶構造を有し得る。第1金属層材料の結晶格子として、例えば、面心立方格子、体心立方格子が挙げられ、好ましくは、面心立方格子が挙げられる。
第1金属層22aの厚みは、例えば1000nm未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは100nm未満であり、さらに好ましくは10nm未満である。第1金属層の厚みが上記上限未満であると、多層膜においてバルクの特性を示さないナノ構造を維持でき、水素を円滑に透過させ得る。なお、第1金属層の厚みの下限は、特に制限されず、代表的には、0.5nm以上である。
C-2-2.第2金属層
第2金属層22bを構成する金属材料(以下、第2金属層材料とする。)として、例えば、第1金属層材料と同様の水素吸蔵金属および水素吸蔵合金が挙げられる。第2金属層材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。第2金属層材料は、上記のように、第1金属層材料と異なる。1つの実施形態において、第2金属層材料は、母金属層材料と同じである。第2金属層材料のなかでは、好ましくは水素吸蔵金属が挙げられ、より好ましくはNiが挙げられる。
1つの実施形態において、母金属層21および第2金属層22bのそれぞれが、Niから構成され、第1金属層22aが、Cuから構成される。母金属層、第1金属層および第2金属層がこのような組み合わせであれば、熱発生部材における過剰熱の高出力化を図ることができる。
第2金属層材料は、その種類に応じて任意の適切な結晶構造を有し得る。第2金属層材料の結晶格子として、例えば、面心立方格子、体心立方格子が挙げられ、好ましくは、面心立方格子が挙げられる。
第2金属層22bの厚みは、例えば1000nm未満、好ましくは500nm未満、より好ましくは100nm未満であり、さらに好ましくは30nm未満である。第2金属層の厚みが上記上限未満であると、多層膜においてバルクの特性を示さないナノ構造を維持でき、水素を円滑に透過させ得る。なお、第2金属層の厚みの下限は、特に制限されず、代表的には3.0nm以上である。
第2金属層22bの厚みは、代表的には第1金属層22aの厚みよりも大きい。第1金属層22aの厚みに対する第2金属層22bの厚み(=第2金属層の厚み/第1金属層の厚み)は、例えば1.0以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.5以上であり、例えば10以下、好ましくは5以下である。母金属層21の厚みが上記範囲であれば、水素を十分に吸蔵保持できる。
C-2-3.中間層
中間層22cを構成する材料(以下、中間層材料とする。)として、例えば、第1金属層材料と同様の水素吸蔵金属および水素吸蔵合金に加えて、SiC、SrO、BaO、CaO、Y、TiC、LaBが挙げられる。中間層材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。中間層材料は、上記のように第2金属層材料と異なり、好ましくは、第1金属層材料および第2金属層材料と異なる。
中間層材料のなかでは、好ましくは、CaO、Y、TiC、LaB、BaOが挙げられ、より好ましくは、CaOおよびYが挙げられる。中間層がこれら材料から構成されると、多層膜における水素の吸蔵量を増加させることができ、異種物質界面を透過する水素量を増加させ得る。そのため、熱発生部材のさらなる高出力化を図ることができる。
中間層22cの厚みの範囲は、例えば、上記した第1金属層22aの厚みの範囲と同様である。中間層22cの厚みに対する第2金属層22bの厚み(=第2金属層の厚み/中間層の厚み)の範囲は、上記した(第2金属層の厚み/第1金属層の厚み)の範囲と同様である。中間層の厚みが上記範囲であれば、多層膜において水素を円滑に透過できる。
上記した金属部分2は、母金属層21および多層膜22を備えているが、金属部分2の構成はこれに限定されない。金属部分2は、母金属層21のみから構成されてもよい。また、金属部分2は、多層膜22に代えて、母金属層21上に積層される単一の金属層(第1金属層22aまたは第2金属層22b)を備えていてもよい。また、金属部分2は、母金属層21と、母金属層21上に形成されるコーティング層とを備えていてもよい。コーティング層は、代表的には、上記した水素吸蔵金属のナノ粒子を含んでいる。
D.水素透過抑制層
1つの実施形態において、水素透過抑制層3は、外周壁11と母金属層21との間に挟まれており、外周壁11および母金属層21のそれぞれと直接接触している。
水素透過抑制層3の厚みは、例えば10μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは500μm以上であり、例えば50000μm以下、好ましくは30000μm以下、より好ましくは10000μm以下である。母金属層21の厚みに対する水素透過抑制層3の厚み(=水素透過抑制層の厚み/母金属層の厚み)は、例えば0.01以上、好ましくは0.1以上であり、例えば1.0以下、好ましくは0.5以下である。水素透過抑制層の厚みが上記下限以上であれば、水素原子が金属部分からハニカム構造体に漏れ出すことをより一層抑制できる。水素透過抑制層の厚みが上記上限以下であれば、水素透過抑制層における熱損失を低減でき、金属部分において発生した熱を、ハニカム構造体に効率よく伝達できる。
1つの実施形態において、水素透過抑制層3は、上記のとおり、セラミックス層31である。セラミックス層31における気孔率は、例えば10%以下、好ましくは5%以下である。
セラミックス層31の密度は、例えば1.0g/cm以上、好ましくは2.0g/cm以上であり、例えば7.0g/cm以下、好ましくは6.0g/cm以下である。
E.熱発生部材の製造方法
次に、図7から図9を参照して、本発明の1つの実施形態による熱発生部材100の製造方法について説明する。熱発生部材100の製造方法は、ハニカム構造体10を準備する工程(準備工程)と;母金属層21を形成する工程(母金属層形成工程)と;多層膜22を形成する工程(多層膜形成工程)と;を含んでいる。
E-1.ハニカム構造体の準備工程
図7(a)に示すように、ハニカム構造体10は、以下の方法により作製され得る。まず、上記したセラミックス材料の粉末を含む材料粉末に、必要に応じてバインダーと水または有機溶媒とを加え、得られた混合物を混練して坏土とし、坏土を所望の形状に成形(代表的には押出成形)し乾燥させ、その後に必要に応じて焼成して、ハニカム構造体10を作製する。焼成温度は、例えば1200℃以上1800℃以下であり、焼成時間は、例えば1時間以上20時間以下である。Si含侵SiC複合材料を主成分とするハニカム構造体を製造する場合は、まず、所定量のC粉末、SiC粉末、バインダー、水または有機溶媒を混錬し、成形、乾燥して所望形状のハニカム成形体を得る。次に、SiCを含む被含浸体へSi及びAlを含む溶融金属を常圧、1200℃以上1600℃以下の低温範囲で含浸することにより、ハニカム構造体を得る。
E-2.水素透過抑制層形成工程
図7(b)に示すように、1つの実施形態において、熱発生部材100の製造方法は、準備工程後かつ母金属層形成工程の前に、水素透過抑制層3を形成する工程(水素透過抑制層形成工程)をさらに含んでいる。上記の通り、水素透過抑制層3は、代表的にはセラミックス層31である。そのため、以下では、水素透過抑制層3がセラミックス層31である場合について詳述する。水素透過抑制層3(セラミックス層31)の形成方法としては、任意の適切な方法が採用できる。
1つの実施形態において、セラミックス層31は、ハニカム構造体10の外面(より具体的には、外周壁11の外周面)を酸化熱処理することにより形成される。酸化熱処理では、ハニカム構造体10を酸素存在下において、例えば1100℃以上1400℃以下に加熱して、例えば0.5時間以上10時間以下維持する。
また、別の実施形態において、セラミックス層31は、ハニカム構造体10の外面(より具体的には外周壁11の外周面)に、スラリーを塗布した後、熱処理することにより形成される。スラリーは、上記したセラミックス層を構成する材料の粉末に、必要に応じてバインダーと水または有機溶媒とを加えて混練することにより調製される。熱処理温度は、例えば600℃以上1000℃以下であり、熱処理時間は、例えば0.5時間以上3.0時間以下である。
E-3.母金属層形成工程
次いで、母金属層21を、ハニカム構造体10の外面(より具体的には外周壁11の外周面)、または、水素透過抑制層3(セラミックス層31)の少なくとも一部の上に形成する。母金属層21の形成方法としては、任意の適切な方法が採用できる。
図7(c)に示すように、1つの実施形態において、母金属層21は、セラミックス層31上にメッキにより形成される。
図8(a)および図8(b)に示すように、別の実施形態において、母金属層21は、上記した母金属層材料から構成される金属薄状部材25を準備して、金属薄状部材25をセラミックス層31上に巻き付け、必要に応じて焼成することにより形成される。
図9に示すように、さらに別の実施形態において、母金属層21は、上記した母金属層材料から構成される金属筒状部材26を準備して、セラミックス層31上に金属筒状部材26を焼き嵌めにより嵌合することで形成される。本明細書において「嵌合」とは、水素透過抑制層(セラミックス層)が設けられたハニカム構造体と金属筒状部材とが相互に嵌まり合った状態で固定されていることをいう。
より詳しくは、セラミックス層31が設けられたハニカム構造体10を、所定温度に加熱された金属筒状部材26に挿入する。その後、ハニカム構造体10および金属筒状部材26を、室温(25℃)まで冷却する。
E-4.多層膜形成工程
次いで、図3に示すように、母金属層21上に多層膜22(より具体的には第1金属層22aおよび第2金属層22bのそれぞれ)を、代表的にはスパッタリングにより、上記した順序で形成する。スパッタリング法としては、任意の適切な方法が採用され、好ましくは、マグネトロンスパッタリング法が採用され得る。スパッタリングは、例えば、国際公開第2021/100784号に記載の発熱体製造装置によって実施可能である。当該公報の記載は本明細書に参考として援用される。
以上によって、熱発生部材100が製造される。
上記した熱発生部材100では、金属部分2が、ハニカム構造体10の全周を囲むように、水素透過抑制層3(セラミックス層31)上に配置されているが、金属部分2の配置はこれに限定されない。金属部分は、ハニカム構造体の周方向に互いに間隔を空けて複数配置されていてもよい。また、金属部分は、水素透過抑制層を介して、ハニカム構造体の外面の一部にのみ配置されていてもよい。
さらに、熱発生部材は、水素透過抑制層を備えなくてもよい。この場合、金属部分(より具体的には母金属層)は、ハニカム構造体と直接接触するように、ハニカム構造体の少なくとも外面の一部に配置される。この場合、ハニカム構造体は、好ましくは、絶縁性セラミックス材料から構成される。
F.熱取り出しシステム
次に、図10を参照して、熱発生部材100を備える熱取り出しシステム101について説明する。
図示例の熱取り出しシステム101は、熱発生部材100と、電圧印加手段の一例としての電源4と、温度検知センサー5と、制御部6と、を備えている。電源4は、ハニカム構造体10に電圧を印加可能である。より詳しくは、電源4は、ハニカム構造体10の両端面のそれぞれに電気的に接続されている。温度検知センサー5は、複数のセル13を通過した作動流体の温度、および/または、ハニカム構造体10の温度を測定可能である。制御部6は、温度検知センサー5の検知結果に基づいて、電源4を制御して、ハニカム構造体10の温度を調整する。制御部6は、例えば、中央処理装置(CPU)、ROMおよびRAMなどを備えている。図示例において、制御部6は、電源4と温度検知センサー5とに電気的に接続されている。
このような構成によれば、制御部が温度検知センサーの検知結果に基づいて電源を制御してハニカム構造体の温度を調整するので、セルを流通する作動流体の温度によってハニカム構造体の温度を調整する場合と比較して、ハニカム構造体における温度の応答性の向上を図ることができる。そのため、熱取り出しシステムの動作中に、ハニカム構造体の温度を精度よく制御でき、金属部分における発熱と作動流体への伝熱とをバランスよくコントロールできる。その結果、熱発生部材における熱暴走および発熱不足を十分に抑制できる。
図10に示す熱取り出しシステム101では、1つの熱発生部材100を備えるが、熱取り出しシステムが備える熱発生部材の個数は特に制限されない。図11に示すように、熱取り出しシステム101は、複数の熱発生部材100を備えていてもよい。複数の熱発生部材100は、代表的には、ハニカム構造体の軸方向が互いに略平行となるように、並列配置される。
G.熱取り出しシステム(熱発生部材)の動作
次に、図3および図10を参照して、1つの実施形態による熱取り出しシステム101の動作について説明する。
熱取り出しシステム101では、まず、熱発生部材100の外側領域に水素含有ガスを供給して、金属部分2に水素を供給する。このとき、金属部分2(より具体的には母金属層21および多層膜22)は、水素を吸蔵する。その後、水素含有ガスの供給が停止されても、金属部分2(より具体的には母金属層21および多層膜22)は、水素を吸蔵した状態を維持する。
次いで、水素含有ガスの供給を停止し、代表的には、熱発生部材100の外側領域を真空状態(例えば、1Pa以下)に調整する。
その後、制御部6は、代表的には、温度検知センサー5によってハニカム構造体10の温度をモニタリングしながら、電源4を制御してハニカム構造体10に電圧を印加する。これによって、ハニカム構造体10を所望の拡散開始温度(例えば500℃)まで加熱する。
ハニカム構造体が拡散開始温度まで加熱されると、ハニカム構造体10の複数のセル13の流路16に対して、作動流体の供給を開始する。
作動流体は、熱発生部材の用途に応じて任意の適切なものが採用される。作動流体は、気体であってもよく、液体であってもよい。気体の作動流体として、例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、フロンガス、水素ガス、窒素ガス、水蒸気、空気、二酸化炭素が挙げられる。液体の作動流体としては、例えば、水;KNO(40%)-NaNO(60%)などの溶融塩;Pbなどの液体金属;が挙げられる。また、作動流体には、固体粒子が分散されていてもよい。固体粒子として、例えば、銅、ニッケル、チタン、コバルトなどの金属粒子;金属酸化物、窒化物、ケイ化物などの金属化合物粒子;ステンレス、クロムモリブデン鋼などの合金粒子;アルミナなどのセラミックス粒子が挙げられる。
また、ハニカム構造体10から金属部分2に伝熱され、金属部分2が拡散開始温度となると、金属部分2(より具体的には母金属層21および多層膜22)は、吸蔵していた水素を放出する。すると、水素原子が、金属部分2(より具体的には多層膜22)の内部をホッピングしながら、ハニカム構造体と反対側の表面に向かって量子拡散する。これによって、金属部分2において熱(過剰熱)が発生し、金属部分2が拡散開始温度以上に加熱される。特に、金属部分2が異種物質界面を含む場合、水素原子が、量子拡散により異種物質界面を透過して、過剰熱を発生させる。
金属部分2において発生した過剰熱は、金属部分2から、水素透過抑制層3を介してハニカム構造体10に伝達され、次いで、セル13の流路16を通過する作動流体に伝達される。これによって、作動流体が、金属部分2において生じた熱エネルギーを受け取る。
セル13を通過して加熱された作動流体は、そのまま熱として利用でき、動力に変換して利用することもでき、その動力を用いた発電に利用することもできる。
なお、制御部6は、温度検知センサー5によってセル13を通過した作動流体の温度を測定し、その検知結果に基づいて、電源4を制御してハニカム構造体10に電圧を印加してもよい。
以上によって、熱発生部材100によって発生した熱エネルギーを効率よく回収できる。
本発明の実施形態による熱発生部材は、温室効果ガスを発生しないクリーンなエネルギー源として、各種産業製品に好適に用いられ得る。
1 熱交換部分
10 ハニカム構造体
12 隔壁
13 セル
2 金属部分
21 母金属層
22 多層膜
3 水素透過抑制層
31 セラミックス層
4 電源
5 温度検知センサー
6 制御部
100 熱発生部材
101 熱取り出しシステム

Claims (19)

  1. 水素を吸蔵および放出可能で水素の拡散により熱を発生可能な金属部分と、
    前記金属部分において発生した熱を作動流体に伝える熱交換部分と、を備え、
    前記熱交換部分が、作動流体を流通可能な複数のセルを有するハニカム構造体であり、前記複数のセルは、セラミックスの隔壁により仕切られて一方の端面から他方の端面まで軸方向に貫通している、熱発生部材。
  2. 25℃における前記ハニカム構造体の材料熱伝導率は、50W/(m・K)以上である、請求項1に記載の熱発生部材。
  3. 25℃における前記ハニカム構造体の材料熱伝導率は、100W/(m・K)以上である、請求項2に記載の熱発生部材。
  4. 前記金属部分は、
    前記ハニカム構造体の少なくとも外面の一部、または、前記ハニカム構造体を囲むように配置される母金属層であって、水素を吸蔵および放出可能な母金属層と;
    前記母金属層上に配置される多層膜であって、第1金属層と前記第1金属層に積層される第2金属層とを備える多層膜と;を備える、請求項1に記載の熱発生部材。
  5. 前記母金属層および前記第2金属層のそれぞれは、Niから構成され、
    前記第1金属層は、Cuから構成される、請求項4に記載の熱発生部材。
  6. 前記ハニカム構造体は、Si-SiC系複合材料から構成される、請求項4または5に記載の熱発生部材。
  7. 前記ハニカム構造体と前記金属部分との間に設けられ、前記金属部分から前記ハニカム構造体への水素の透過を抑制する層を、さらに備える、請求項1に記載の熱発生部材。
  8. 前記水素透過を抑制する層が、セラミックス層である、請求項7に記載の熱発生部材。
  9. 前記セラミックス層は、SiOから構成される、請求項8に記載の熱発生部材。
  10. 前記ハニカム構造体は、電圧が印加されたときに発熱するように構成され、
    前記セラミックス層は、前記ハニカム構造体と前記金属部分とを電気的に絶縁する絶縁層として機能する、請求項8または9に記載の熱発生部材。
  11. 請求項10に記載の熱発生部材と;
    前記ハニカム構造体に電圧を印加する電圧印加手段と;
    前記セルを通過した作動流体の温度、または、前記ハニカム構造体の温度を測定する温度検知センサーと;
    前記温度検知センサーの検知結果に基づいて、前記電圧印加手段を制御して、前記ハニカム構造体の温度を調整する制御部と;を備える、熱取り出しシステム。
  12. 作動流体を流通可能な複数のセルを有するハニカム構造体であって、前記複数のセルがセラミックスの隔壁により仕切られて一方の端面から他方の端面まで軸方向に貫通しているハニカム構造体を準備する工程と;
    前記ハニカム構造体の少なくとも外面の一部、または、前記ハニカム構造体を囲むように、水素を吸蔵および放出可能な母金属層を形成する工程と;
    前記母金属層上に、第1金属層と前記第1金属層に積層される第2金属層とを備える多層膜を形成する工程と;を含む、熱発生部材の製造方法。
  13. 前記母金属層を形成する工程の前に、水素の透過を抑制する層を形成する工程を含む、請求項12に記載の熱発生部材の製造方法。
  14. 前記水素の透過を抑制する層を形成する工程において、前記ハニカム構造体の外面を酸化熱処理することにより、前記セラミックス層を形成する、請求項13に記載の熱発生部材の製造方法。
  15. 前記水素の透過を抑制する層を形成する工程において、前記ハニカム構造体の外面にスラリーを塗布した後、熱処理することにより、前記セラミックス層を形成する、請求項13に記載の熱発生部材の製造方法。
  16. 前記母金属層を形成する工程において、前記セラミックス層上に前記母金属層をメッキにより形成する、請求項13から15のいずれかに記載の熱発生部材の製造方法。
  17. 前記母金属層を形成する工程において、前記セラミックス層上に金属筒状部材を焼き嵌めにより嵌合することにより、前記母金属層を形成する、請求項13から15のいずれかに記載の熱発生部材の製造方法。
  18. 前記母金属層を形成する工程において、前記セラミックス層上に金属箔状部材を巻き付けることにより、前記母金属層を形成する、請求項13から15のいずれかに記載の熱発生部材の製造方法。
  19. 前記多層膜を形成する工程において、前記母金属層上に前記多層膜をスパッタリングにより形成する、請求項12に記載の熱発生部材の製造方法。

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