JP2024016573A - 火力発電方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】火力発電所から排出される二酸化炭素のような温暖化に影響のある酸化炭素の排出量を抑制した火力発電方法を提供する。【解決手段】本発明は、発電用ボイラ2の燃焼室21内で炭素を含む燃料と、炭素を含まない無機固体燃料と、を混焼させる火力発電方法であって、無機固体燃料が、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、及び、マグネシウム、リチウム、アルミニウムの少なくとも一部が水素化された水素化物から選ばれる1種以上の材料からなる。【選択図】図1

Description

本発明は火力発電方法に関する。
現在、日本の発電の主力は火力発電である(非特許文献1参照)。
しかしながら、2050年のカーボンニュートラルに向けて、火力発電所で排出される二酸化炭素の排出量削減が急務になっている。
"地域環境保全の推進 石炭火力発電所のしくみとさまざまな環境保全対策"、[online]、沖縄電力株式会社、[令和4年6月30日検索]、インターネット<URL:https://www.okiden.co.jp/environment/report2017/sec6/sec63.html>
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、火力発電所から排出される二酸化炭素のような温暖化に影響のある酸化炭素の排出量を抑制した火力発電方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明は、発電用ボイラの燃焼室内で炭素を含む燃料と、炭素を含まない無機固体燃料と、を混焼させる火力発電方法であって、前記無機固体燃料が、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、及び、マグネシウム、リチウム、アルミニウムの少なくとも一部が水素化された水素化物から選ばれる1種以上の材料からなる。
(2)上記(1)の構成において、前記無機固体燃料が、マグネシウム、及び、マグネシウムの少なくとも一部が水素化された水素化物から選ばれる1種以上の材料からなる。
(3)上記(1)の構成において、前記炭素を含む燃料が、炭素を主体とする固体燃料である。
(4)上記(3)の構成において、前記固体燃料が、粉末状であり、前記固体燃料は、前記燃焼室に設けられた粉末燃焼バーナを用いて燃焼され、前記無機固体燃料が、前記粉末燃焼バーナによって形成される火炎中に供給される。
(5)上記(1)の構成において、前記炭素を含む燃料が、常温、常圧で液体、又は、気体の炭化水素系燃料である。
(6)上記(5)の構成において、前記炭化水素系燃料は、前記燃焼室に設けられた燃焼バーナを用いて燃焼され、前記無機固体燃料が、前記燃焼バーナの火炎中に供給される。
本発明によれば、火力発電所から排出される二酸化炭素のような温暖化に影響のある酸化炭素の排出量を抑制した火力発電方法を提供することができる。
本発明に係る実施形態の火力発電方法を説明するための発電所の構成を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ符号を付している。
(実施形態)
図1は、本発明に係る実施形態の火力発電方法を説明するための発電所の構成を説明するための図である。
本実施形態の火力発電方法を実施するための発電所は、発電機1と、発電機1を駆動させる発電用ボイラ2と、発電用ボイラ2に供給する炭素を含む燃料を貯蔵する燃料貯蔵庫3と、発電用ボイラ2に供給する炭素を含まない無機固体燃料を貯蔵する燃料貯蔵庫4と、発電用ボイラ2に供給する補助燃料を貯蔵する補助燃料貯蔵庫5と、を備えている。
また、本実施形態の火力発電方法を実施するための発電所は、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を無害化する脱硝装置6と、脱硝装置6を通過した排ガス中に含まれる燃焼灰を回収する集塵装置7と、集塵装置7を通過した排ガス中に含まれる二酸化硫黄(SO)を取り除く脱硫装置8と、を備えている。
発電用ボイラ2は、燃焼室21と、回転軸が発電機1に接続され、燃焼室21で作られた蒸気で駆動する蒸気タービン22と、その蒸気を蒸気タービン22に供給するとともに、復水器FUで液体状態に戻された水を、再び、燃焼室21に供給するための配管23と、を備えている。
なお、給水ポンプPが、復水器FUと燃焼室21とを繋ぐ配管23の途中に設けられており、水を燃焼室21側に送るようになっている。
さらに、本実施形態の火力発電方法を実施するための発電所は、燃焼室21内に蓄積する燃焼灰、及び、集塵装置7で回収された燃焼灰を貯蔵する燃焼灰貯蔵庫9を備えている。
図1に示した発電所の構成は、全体的には、微粉炭バーナを用いて、石炭を燃焼室内で燃焼させる発電所と類似しているため、以下では、主に異なる部分について説明し、一般的な微粉炭バーナを用いて発電を行う汽力発電所と同様の点については説明を省略する場合がある。
また、本実施形態の説明では、炭素を含む燃料が、炭素を主体とする固体燃料である石炭である場合で説明する。
燃焼室21は、燃料貯蔵庫3から供給される石炭粉体を燃焼させる粉末燃焼バーナ31と、補助燃料貯蔵庫5から供給される液体燃料(例えば、重油、軽油など)を燃焼させる補助燃焼バーナ51と、を備えている。
粉末燃焼バーナ31は、石炭火力発電で用いられている微粉炭バーナと同様のものであり、一般的な石炭火力発電所と同様に、石炭粉砕機Cが、石炭を粉末燃焼バーナ31に送る手前のところに設けられている。
そして、石炭は、粒子径が150μm以下の微粉炭になるように、石炭粉砕機Cで粉砕され、粉砕された微粉炭が粉末燃焼バーナ31に供給される。
なお、微粉炭を粉末燃焼バーナ31に供給する供給機構は、例えば、圧送方式等、石炭火力発電で用いられているものと同様でよい。
また、燃料貯蔵庫4に貯蔵されている無機固体燃料は、後ほど説明するが、微粉炭同様の粉末状であり、燃料貯蔵庫4から微粉炭を粉末燃焼バーナ31に供給するラインに合流させるように供給される。
このため、燃焼室21内で、炭素を含む燃料と炭素を含まない無機固体燃料とが混焼する。
補助燃焼バーナ51は、燃焼室21内の温度が上昇し、粉末燃焼バーナ31の燃焼が安定するまでの補助火力を得るためのバーナであり、これも石炭火力発電で用いられているものと同様でよい。
なお、粉末燃焼バーナ31の燃焼が安定したら、この補助火力は必要ない。
そして、火力発電所は、基本的には停止させることなく稼働することになるため、この稼働開始時だけしか使わない補助火力で発生する二酸化炭素は無いに等しいレベルのものである。
燃料貯蔵庫4に貯蔵されている無機固体燃料は、例えば、燃焼時に二酸化炭素を出さない粉体の燃料として、150μm以下の粒子径で、少なくとも表面が水素化された層を有する水素化マグネシウム(MgH)である。
水素化マグネシウムは、完全な球形ではないので、ここでいう150μm以下の粒子径とは、目開きが0.16mm程度のメッシュを篩に用いたときに通過する程度の大きさであると考えればよい。
なお、無機固体燃料は、水素化マグネシウムに限定される必要はなく、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、アルミニウム(Al)、及び、マグネシウム、リチウム、アルミニウムの少なくとも一部が水素化された水素化物から選ばれる1種以上の材料で構成されていればよく、これらの材料であれば、無機固体燃料としての良好な燃焼ができる。
しかし、その中でも燃焼性の良好さの観点からマグネシウム、水素化マグネシウム、又は、それらの混合物を無機固体燃料にするのが良い。
また、マグネシウム、リチウム、アルミニウムは、微粉末になると引火しやすくなるため、上記のように、150μm以下の粒子径とする場合、少なくとも表面に水素化された層を設け、引火性を抑えるようにするのが良い。
そして、粉末燃焼バーナ31には、微粉炭と水素化マグネシウムが供給されているので、水素化マグネシウムは、その微粉炭による安定した燃焼火炎中に供給され、水素化マグネシウムの安定した燃焼が促進される。
なお、本実施形態では、炭素を含む燃料が、石炭である場合で説明をしているが、粉末燃焼バーナ31を、液体燃料を燃焼させる燃焼バーナに代えて、炭素を含む燃料が、常温、常圧で液体である燃料、例えば、重油、軽油といった石油系燃料(常温、常圧で液体の炭化水素系燃料)を用いるようにしてもよい。
また、粉末燃焼バーナ31を、ガスを燃焼させる燃焼バーナに代えて、炭素を含む燃料が、常温、常圧でガスある液化天然ガス(常温、常圧で気体の炭化水素系燃料)のようなものとしてもよい。
このようにバーナの種類を代えて、炭素を含む燃料を液体燃料やガス(気体)とする場合には、それによって形成される火炎に向けて、別途、粉末を噴霧する粉末噴霧器を設け、その粉末噴霧器で無機固体燃料を火炎に向けて噴霧するようにすればよい。
ところで、水素化マグネシウム、マグネシウムは燃焼時に酸素欠乏状態になると、空気中の窒素と反応し、窒化マグネシウム(Mg)が生成される。
このため、水素化マグネシウムのうち、不完全燃焼のものがあると、それが窒化マグネシウムに変化し、燃焼灰中に混じる可能性がある。
そして、窒化マグネシウムは、湿気があると速やかにその水分と反応し、下記式(1)に示す通り、水酸化マグネシウム(Mg(OH))とアンモニア(NH)に変化する。
Mg + 6HO → 3Mg(OH) + 2NH・・・ (1)
したがって、燃焼灰中に窒化マグネシウムが混じっていると、燃焼灰の回収後に、その燃焼灰からアンモニアが発生する可能性がある。
そこで、燃焼室21内の湿度を高め、仮に窒化マグネシウムが生成されたとしても、速やかに、窒化マグネシウムが分解可能なようにしておくことが好ましい。
このようにしておけば、窒化マグネシウムが生成されても、すぐさま分解され、その分解で発生したアンモニアも燃焼ガスとして燃焼に寄与することができる。
なお、燃焼室21内の湿度を高める方法としては、例えば、湿度の高い空気(例えば、湿度が50%以上、より好ましくは70%以上、さらには80%以上の空気)を燃焼室21内に送り込む吸気口を設けるようにしても良いし、あらかじめ、湿度を高めた空気を粉末燃焼バーナ31に送り、火炎中の湿度が高くなるようにしても良く、方法について特に限定するものではない。
しかも、熱伝導率は、乾燥空気よりも湿り空気の方が高いことを考えると、燃焼室21内を通る配管23での熱交換効率を高くする作用も期待される。
一方、燃焼室21から排出される排ガスには、窒素酸化物(NOx)が含まれているので、その排ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害化するために、燃焼室21内からの排ガスを集塵装置7に送るための排気管10の途上に脱硝装置6が設けられている。
具体的には、脱硝装置6は、排ガスにアンモニアを添加し、触媒層を通過させることで、窒素酸化物(NOx)を無害な窒素と水に分解する、一般に石炭火力発電で用いられている脱硝装置と同様のものでよい。
そして、脱硝装置6を通過した後の排ガスには、燃焼時に発生した燃焼灰のうち、極めて粒径の小さいものが含まれているため、さらに、排気管10は、集塵装置7に接続されており、集塵装置7で燃焼灰が回収される。
また、排ガスには、二酸化硫黄が含まれているため、排風を取るために集塵装置7の下流側の排気管10上に設けられた排風機11の直後に脱硫装置8が設けられており、二酸化硫黄が取り除かれる。
このようにして、窒素酸化物(NOx)、燃焼灰の微粉末、二酸化硫黄が除去された排ガスが煙突を通じて大気に放出される。
ここで、例えば、表面に水素化膜を設け、全体で見たときの純度が20質量%程度の低純度の水素化マグネシウムであれは、重量当たりの燃焼時の発熱量が石炭の発熱量とほぼ等しくなる。
したがって、石炭の使用量を通常の半分にし、代わりに純度20質量%の水素化マグネシウムをその分加えるようにすれば、石炭の使用量は半減しているにも関わらず、燃焼時の発熱量が石炭を減らす前の発熱量と同じになる。
そして、純度20質量%の水素化マグネシウムの場合、燃焼反応として、水素化マグネシウム部分の燃焼反応(下記式(2)参照)と、マグネシウム部分の燃焼反応(下記式(3))と、が起こることになるが、どちらの燃焼反応においても二酸化炭素は出ない。
MgH + O → MgO + HO + 熱・・・・・・・(2)
2Mg + O → 2MgO + 熱 ・・・・・・・・・・・・(3)
したがって、石炭の使用量を減らす前と同じ発熱量が得られるため、発電量は石炭を減らす前と同じ発電量を維持しながら、燃焼時に二酸化炭素の排出がない無機固体燃料を加えることで、石炭の使用量自体は半減するため、発電量対比で、二酸化炭素の排出量を半減することができる。
なお、マグネシウム部分は、下記式(4)に示すように二酸化炭素中でも燃焼し、その二酸化炭素を分解して固体の炭素にするため、燃焼灰中には、二酸化炭素が分解された結果生成する炭素のうち、再燃焼しなかったものも含まれるため、石炭の使用量削減以上の二酸化炭素排出量抑制効果が得られる。
2Mg + CO → 2MgO + C +熱・・・・・・・(4)
そして、水素化マグネシウムの燃焼生成物である酸化マグネシウム(MgO)は固体であるため、燃焼灰貯蔵庫9に回収されることになるので、この酸化マグネシウムからマグネシウムを取り出し、水素化すれば、再び、無機固体燃料として再生することができる。
なお、水素化マグネシウムの燃焼生成物の主成分は、酸化マグネシウムであるが、少量、水酸化マグネシウムが含まれる場合があり、後ほど説明する通り、それが問題となることはない。
つまり、マグネシウム資源が循環する資源循環型の火力発電方法を実現することができる。
したがって、以下では、酸化マグネシウムからマグネシウムを取り出し、資源循環させるための方法(資源再生処理)について、簡単に説明する。
資源再生処理は、無水塩化マグネシウムを生成する無水塩素化工程と、その無水塩化マグネシウムを用いて、マグネシウムを生成する溶融塩電解工程と、を備えている。
(無水塩素化工程)
無水塩素化工程は、マグネシウム成分を塩化マグネシウムの水和物として抽出する抽出工程と、抽出した塩化マグネシウムの水和物から不純物、及び、水分を取り除く、無水塩化物生成工程と、を備える。
なお、無機固体燃料がアルミニウムやその水素化物である場合には、抽出工程はアルミニウム成分を塩化アルミニウムの水和物として抽出する抽出工程と、抽出した塩化アルミニウムの水和物から不純物、及び、水分を取り除く、無水塩化物生成工程と、を備えるものとなり、リチウムやその水素化物も同様である。
(抽出工程)
燃焼灰貯蔵庫9には、先に説明した酸化マグネシウムだけでなく、石炭の燃焼灰も回収されており、石炭灰の主成分は、産地によって多少の差はあるものの、概ね、多いものから順に、SiO(40~75%)、Al(15~35%)、Fe(2~10%)である。
なお、先に述べた二酸化炭素の分解によって生成した炭素粉も含まれている。
そこで、燃焼灰貯蔵庫9に回収された燃焼灰から炭素粉やSiOを除去する。
具体的には、燃焼灰を塩酸水中に入れると、MgO、Al、Feは塩酸と反応し、塩化物となって、溶液中に溶けるが、炭素粉やSiOは塩酸と反応せず、溶液中に溶けないので、この溶液を濾過すれば、炭素粉やSiOを取り除くことができる。
なお、MgOは塩酸と速やかに反応し、塩化マグネシウムとなって溶液中に溶けるが、Alは塩酸との反応速度が遅いため、全てのMgOが塩化マグネシウム(MgCl)になった時点では、Alの多くは、まだ、溶けていない場合がある。
また、水酸化マグネシウム(Mg(OH))は、MgOと同様に塩酸と速やかに反応し、塩化物となるため、燃焼灰に含まれていても問題はない。
そして、ここで溶液中に溶けていてほしいのは、Mg成分でしかないので、全てのMgO、Mg(OH)が、MgClになることができる程度の時間が経過したら、濾過を行って、溶液中に溶けていない固体成分を除去すればよい。
また、MgO、Mg(OH)が、MgClになりやすいように、溶液の温度を少し上げたり、攪拌したりしてよいことは言うまでもない。
次に、炭素粉やSiO等の固体を取り除いた濾液の水分を蒸発させ、MgCl、AlCl、FeCl、FeClの水和物を回収する。
上記のように、抽出工程は、燃焼灰を塩酸中に入れ、濾過を行う濾過処理と、その濾過した濾液を乾燥させ、濾液中の塩化物の水和物を回収する水和物回収処理と、を備える。
(無水塩化物生成工程)
抽出工程で得た材料(塩化物の水和物)は、水分、及び、塩化マグネシウム以外の成分を多く含んでいる。
したがって、水分除去(脱水)と不純物除去を行い、純度の高い無水塩化マグネシウムを生成する処理が必要である。
水和物の水分は、結晶水として含まれているため、この結晶水を取り除くためには、加熱が必要であるが、回収した水和物から水分を取るために、単に、加熱を行うと、加水分解反応が進み、酸化物に変化する。
そこで、この酸化物になる反応を抑制するために、塩化水素ガスを吹き流した状態にして、400~550℃程度の温度に保ち、脱水処理を行う。
なお、吹き流した状態とは、反応を行うための密閉型の加熱容器内に、ガスを供給し、そのガスの供給に合わせて、ガスの排気を行い、加熱容器内にガスの流れを作り、常に、加熱容器内のガス置換を行っていることを意味する。
したがって、脱水によって発生する水分は、ガスの排気とともに加熱容器外に排出される。
そして、無水AlClは昇華点が180℃前後にあり、無水FeClは沸点が350℃前後にあるため、無水化が進行すると、吹き流している塩化水素とともに加熱容器外に排出される。
なお、本実施形態では、無機固体燃料が低純度水素化マグネシウムの場合で説明しているが、無機固体燃料がアルミニウム(Al)やその水素化物である場合には、抽出工程で得た材料が塩化アルミニウムの水和物となる。
したがって、この場合には、塩化水素を吹き流した状態で、無水塩化アルミニウムの昇華温度である180℃未満の温度で水和物を加熱し、無水化を進行させた後、加熱温度を300℃程度に設定すれば、無水AlClがガスの排気とともに、加熱容器外に排出されるので、それを回収すればよい。
なお、無水FeClの沸点は350℃前後にあるため、300℃程度の加熱にしておけば、無水FeClが排気中に含まれるのを避けることができる。
話を本実施形態の無機固体燃料が低純度水素化マグネシウムの場合に戻す。
このようにして、AlCl、及び、FeClを取り除いた後に、吹き流しているガスを塩化水素から塩素に変更する。
そうすると、FeClが塩素と反応し、FeClになるが、加熱容器がFeClの沸点を超える温度に保たれているため、吹き流している塩素とともに加熱容器外に排出され、結果、無水のMgClだけが加熱容器内に残る。
なお、無機固体燃料がリチウム(Li)やその水素化物である場合、沸点が1380℃前後であるため、無水のMgClを得るのと同じ手順でよい。
このように、プロセスガスを塩化水素、塩素の順に用いて、そのプロセスガスを吹き流した状態で加熱する無水塩化物生成工程を実施することで、純度を高めた無水塩化マグネシウム(MgCl)を得ることができる。
なお、アルミニウムの場合、溶融塩電解に用いられるのは、酸化アルミニウムであるため、上述のように回収した純度の高い無水の塩化アルミニウムを、再度、純水中に投入し、今度は、塩化水素のような加水分解を抑制するガスを用いずに、加熱脱水すると、酸化アルミニウムが得られる。
したがって、無機固体燃料が、アルミニウムの場合には、溶融塩電解工程の前に、無水塩化アルミニウムから酸化アルミニウムを得る再酸化工程を行えばよい。
(溶融塩電解工程)
溶融塩電解工程は、無水塩化物生成工程で得られた無水塩化マグネシウムを溶融塩電解炉に供給して電解処理を行い、マグネシウムを得る工程である。
具体的には、溶融塩電解炉の温度を700℃前後に設定し、無水塩化マグネシウムを溶融状態にし、その溶融状態の塩化マグネシウムを電気分解することで、マグネシウムを生成する。
そして、本実施形態では、無機固体燃料が水素化マグネシウムであるため、溶融塩電解工程で得られたマグネシウムを水素化する水素化工程を実施する。
具体的には、150μm以下に粉砕したマグネシウムを水素雰囲気で加熱処理し、水素化すれば、本実施形態の無機固体燃料としての水素化マグネシウムを得ることができる。
なお、無機固体燃料がマグネシウムである場合には、水素化工程は不要である。
上記で説明した資源再生処理に必要なエネルギーは電力だけであるため、資源再生の過程でも二酸化炭素の排出がない。
今後、再生可能エネルギーを利用した発電の割合が増加することが見込まれているが、一般に再生可能エネルギーは発電量が自然環境に左右され、過剰に発電された電力は、電力網に接続できないという問題がある。
また、風力発電においては、設備更新時に少ない台数で、より効率よく発電が可能な風車への置き換えが進む結果、送電線の容量の関係で、発電が可能であるにもかかわらず、系統接続できない旧風車が出てしまうという残置風車の問題もクローズアップされつつある。
そこで、そのような系統接続できない電力を使用することで余剰電力の受皿とすることができる。
以上、本発明に係る火力発電方法について、具体的な実施形態で説明を行ってきたが、本発明は、その具体的な実施形態に限定されるものではない。
上記では、燃焼室21に燃焼を行うためのバーナを備えた発電用ボイラの例で説明したが、例えば、発電用ボイラには、ストーカ型ボイラのように、燃焼用のバーナを用いるのではなく、単に、燃料を燃焼室内に送り込むだけの構造のものもあり、本発明は、そのような形態の発電用ボイラである場合にも有効である。
なお、このような燃焼用のバーナを使用しない形態においても、窒化マグネシウムの形成を抑制するために、例えば、湿度が50%以上に高められた空気を燃焼室内に供給し、燃焼室内の湿度を高めるようにするのが良い。
また、そのような燃焼用のバーナを用いない発電用ボイラの場合、石炭を塊炭のまま燃焼させることが行われるので、無機固体燃料が微粉化されている必要はない。
そして、先にも触れたとおり、マグネシウム、リチウム、アルミニウムは、微粉末になると引火しやすくなるが、大体、粒子径が400μm以上になると、消防法上の危険物に該当しないものとなる。
したがって、燃焼用のバーナを使用しない発電用ボイラであれば、微粉末化せず、400μm以上であって、石炭のような炭素を含む燃料とともに問題なく燃焼ができる程度の大きさにするのが良い。
さらに、上記では、無機固体燃料である水素化マグネシウムと、微粉炭と、を混合した状態で粉末燃焼バーナ31に供給し、無機固体燃料が粉末燃焼バーナによって形成される火炎中に供給されるものとした。
しかし、無機固体燃料が粉末燃焼バーナによって形成される火炎中に供給する方法は、これに限定される必要はなく、粉末燃焼バーナが形成する火炎に向かって、粉末を噴霧できるように設けた粉末噴霧器を使って、その粉末噴霧器で無機固体燃料を噴霧する形態であってもよい。
このように、本発明は具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 発電機
2 発電用ボイラ
21 燃焼室
22 蒸気タービン
23 配管
3 燃料貯蔵庫
31 粉末燃焼バーナ
4 燃料貯蔵庫
5 補助燃料貯蔵庫
51 補助燃焼バーナ
6 脱硝装置
7 集塵装置
8 脱硫装置
9 燃焼灰貯蔵庫
10 排気管
11 排風機
C 石炭粉砕機
FU 復水器
P 給水ポンプ

Claims (6)

  1. 発電用ボイラの燃焼室内で炭素を含む燃料と、炭素を含まない無機固体燃料と、を混焼させる火力発電方法であって、
    前記無機固体燃料が、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、及び、マグネシウム、リチウム、アルミニウムの少なくとも一部が水素化された水素化物から選ばれる1種以上の材料からなることを特徴とする火力発電方法。
  2. 前記無機固体燃料が、マグネシウム、及び、マグネシウムの少なくとも一部が水素化された水素化物から選ばれる1種以上の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の火力発電方法。
  3. 前記炭素を含む燃料が、炭素を主体とする固体燃料であることを特徴とする請求項1に記載の火力発電方法。
  4. 前記固体燃料が、粉末状であり、
    前記固体燃料は、前記燃焼室に設けられた粉末燃焼バーナを用いて燃焼され、
    前記無機固体燃料が、前記粉末燃焼バーナによって形成される火炎中に供給されることを特徴とする請求項3に記載の火力発電方法。
  5. 前記炭素を含む燃料が、常温、常圧で液体、又は、気体の炭化水素系燃料であることを特徴とする請求項1に記載の火力発電方法。
  6. 前記炭化水素系燃料は、前記燃焼室に設けられた燃焼バーナを用いて燃焼され、
    前記無機固体燃料が、前記燃焼バーナの火炎中に供給されることを特徴とする請求項5に記載の火力発電方法。
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