JP2024015731A - 姿勢検知システム及び姿勢検知方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】着座するクッションの使用者の姿勢を高精度に把握できると共に、長時間着座していないかどうかを把握できる姿勢検知システム及び姿勢検知方法を提供する。【解決手段】一実施形態に係る姿勢検知システムは、臀部支持部4を有する着座部2、及び、仙骨支持部11を有する腰部支持部3、を備えるクッションに着座する使用者の姿勢を検知する姿勢検知システムである。姿勢検知システムは、着座部2に取り付けられており、使用者が着座部2に着座しているか否かを測定する着座部センサ31と、仙骨支持部11に取り付けられており、着座部2に着座している使用者の姿勢を測定する仙骨支持部センサ32と、仙骨支持部センサ32によって測定された結果から使用者の姿勢を判定する姿勢判定部と、姿勢判定部によって使用者の姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力するアラーム部と、を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、クッションに着座する使用者の姿勢を検知する姿勢検知システム及び姿勢検知方法に関する。
特開平6-86725号公報には、座席装置が記載されている。座席装置は、着座者の臀部を座面で支持するシートクッションと、着座者の背面を支持面で支持するシートバックと、シートバックの支持面形状を変更駆動するアクチュエータと、着座者の上半身の体型的特徴に関係する要素を抽出する検出手段とを備える。
アクチュエータは、シートバックの内部に設けられた空気袋である。検出手段は、シートクッションの内部、及びシートバックの内部のそれぞれに設けられた座圧センサである。検出手段は、各座圧センサの検出値から着座者の上半身の体型的特徴を抽出する。アクチュエータは、抽出された体型的特徴に応じて空気袋を膨らませて着座者の姿勢を制御する。
特開2019-151251号公報、及び特開2021-112665号公報のそれぞれには、着座者の臀部に対応する位置に配置された第1クッションセンサと、第1クッションセンサよりも着座者の前側に位置する第2クッションセンサとを備えたシートが記載されている。
シートは、更に、シートバックにおける下部に配置された第1バックセンサと、第1バックセンサよりも上に配置された第2バックセンサと、制御部とを備える。制御部は、第1クッションセンサ、第2クッションセンサ、第1バックセンサ、及び第2バックセンサのうち少なくとも2つの出力に基づいて着座者の動作を特定する。
例えば、オフィス空間では、椅子の座部の上に置かれたクッションに着座して長時間仕事をする場合がある。このような場合に、クッションに着座するクッションの使用者の姿勢が悪くなったときに使用者が身体を痛める可能性がある。よって、クッションに着座する使用者の姿勢を高精度に検知できることが求められる。また、長時間着座していると、足腰の血行が悪くなって筋力が低下する等の問題が生じうる。従って、クッションに長時間着座していないかどうかを把握できることが求められうる。
本開示は、着座するクッションの使用者の姿勢を高精度に把握できると共に、長時間着座していないかどうかを把握できる姿勢検知システム及び姿勢検知方法を提供することを目的とする。
本開示に係る姿勢検知システムは、(1)使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部、及び、使用者の仙骨を後方から支える仙骨支持部を有する腰部支持部、を備えるクッションに着座する使用者の姿勢を検知する姿勢検知システムである。姿勢検知システムは、着座部に取り付けられており、使用者が着座部に着座しているか否かを測定する着座部センサと、仙骨支持部に取り付けられており、着座部に着座している使用者の姿勢を測定する仙骨支持部センサと、仙骨支持部センサによって測定された結果から使用者の姿勢を判定する姿勢判定部と、姿勢判定部によって使用者の姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力するアラーム部と、を備える。
この姿勢検知システムでは、クッションが、使用者の臀部を支持する臀部支持部を有する着座部と、使用者の仙骨を後方から支える仙骨支持部とを備える。姿勢検知システムは、使用者がクッションの着座部に着座しているか否かを測定する着座部センサを備える。使用者が着座部に着座しているか否かを着座部センサが測定することによって、使用者が着座部に着座している時間を算出できる。従って、使用者は、長時間着座していないかどうかを把握できるので、足腰の血行が悪くなったり筋力が低下したりするという問題を回避することができる。姿勢検知システムは、仙骨支持部に設けられており、クッションに着座する使用者の姿勢を測定する仙骨支持部センサを備える。仙骨は、使用者の背中から突出する部位である。よって、仙骨を支持する仙骨支持部に仙骨支持部センサが設けられることにより、使用者の姿勢を高精度に測定できる。更に、姿勢検知システムは、姿勢判定部によって姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力するアラーム部を備える。従って、姿勢が悪いときにアラーム部がアラームを出力することにより、自分の姿勢が悪かったことを使用者が把握できるので、姿勢が悪いことによって身体を痛める可能性を低減させることができる。
(2)上記(1)において、仙骨支持部センサは、仙骨支持部センサに使用者の仙骨が接触しているか否かを測定してもよい。姿勢判定部は、仙骨支持部センサに使用者の仙骨が接触していないときに使用者の姿勢が猫背であると判定してもよい。この場合、使用者が前のめりになって仙骨が仙骨支持部センサに接触しないときに、姿勢判定部が猫背であると判定する。従って、仙骨支持部センサへの接触有無によって猫背か否かが判定されるので、使用者の姿勢を高精度に把握して猫背を抑制することができる。
(3)上記(1)又は(2)において、仙骨支持部センサは、使用者の仙骨の仙骨支持部センサへの荷重を測定してもよい。姿勢判定部は、仙骨支持部センサによって測定された荷重が一定値以上であるときに、使用者の姿勢が後ろにもたれすぎであると判定してもよい。この場合、仙骨支持部センサへの荷重が一定値以上であるときに後ろにもたれすぎであると姿勢判定部が判定する。従って、仙骨支持部センサへの荷重によって後ろにもたれすぎか否かが判定されるので、後ろにもたれすぎて腹筋の筋力が低下することを抑制できる。
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、着座部は、着座部に着座した使用者から見て左右方向に沿って並ぶ一対の大腿部支持部を有してもよい。姿勢検知システムは、一対の大腿部支持部のそれぞれに取り付けられており、着座部に着座する使用者の大腿部の荷重を測定する一対の大腿部支持部センサを更に備えてもよい。
この場合、一対の大腿部支持部センサのそれぞれが使用者の左右それぞれの大腿部の荷重を測定することにより、大腿部における左右のバランスを把握できる。更に、一対の大腿部支持部センサの一方が荷重を検出し、一対の大腿部支持部センサの他方が荷重を検出していないときに使用者が脚を組んでいる可能性があると把握できる。従って、クッションに着座している使用者の姿勢をより高精度に把握することができる。
この場合、一対の大腿部支持部センサのそれぞれが使用者の左右それぞれの大腿部の荷重を測定することにより、大腿部における左右のバランスを把握できる。更に、一対の大腿部支持部センサの一方が荷重を検出し、一対の大腿部支持部センサの他方が荷重を検出していないときに使用者が脚を組んでいる可能性があると把握できる。従って、クッションに着座している使用者の姿勢をより高精度に把握することができる。
(5)上記(1)~(4)のいずれかにおいて、姿勢検知システムは、着座部センサ及び仙骨支持部センサが取り付けられておりクッションの芯材の少なくとも一部を覆う布地を備えてもよい。この場合、着座部センサ及び仙骨支持部センサが布地に取り付けられており、この布地によって芯材の少なくとも一部が覆われる。従って、既存のクッションの芯材を布地で覆うことによって着座部センサ及び仙骨支持部センサをクッションに装着できるので、既存のクッションに対する着座部センサ及び仙骨支持部センサの配置を容易に行うことができる。
(6)上記(5)において、姿勢検知システムは、芯材を覆うアウター生地を備え、布地は、アウター生地に覆われるインナー生地であってもよい。この場合、着座部センサ及び仙骨支持部センサが取り付けられたインナー生地の外側にアウター生地が設けられる。従って、アウター生地を外してアウター生地を洗濯できるので、より衛生的なクッションとすることができ、一層長期間クッションを使用し続けることができる。
本開示に係る姿勢検知方法は、(7)使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部、及び、使用者の仙骨を後方から支える仙骨支持部を有する腰部支持部、を備えるクッションに着座する使用者の姿勢を検知する姿勢検知方法であって、使用者が着座部に着座しているか否かを着座部に取り付けられた着座部センサが測定する工程と、着座部に着座している使用者の姿勢を仙骨支持部に取り付けられた仙骨支持部センサが測定する工程と、仙骨支持部センサによって測定された結果から使用者の姿勢を判定する工程と、判定する工程において使用者の姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力する工程と、を備える。
この姿勢検知方法では、使用者がクッションの着座部に着座しているか否かを測定する工程を備える。使用者が着座部に着座しているか否かを着座部センサが測定することによって、使用者が着座部に着座している時間を算出できるので、長時間着座していないかどうかを把握できる。従って、足腰の血行が悪くなったり筋力が低下したりするという問題を回避することができる。姿勢検知方法は、仙骨支持部センサによってクッションに着座する使用者の姿勢を測定する工程を備える。仙骨は、使用者の背中から突出する部位である。よって、仙骨を支持する仙骨支持部に設けられた仙骨支持部センサが姿勢を測定することにより、使用者の姿勢を高精度に測定できる。更に、姿勢検知システムは、姿勢判定部によって姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力する工程を備える。従って、姿勢が悪いときにアラーム部がアラームを出力することにより、自分の姿勢が悪かったことを使用者が把握できるので、姿勢が悪いことによって身体を痛める可能性を低減させることができる。
本開示によれば、着座するクッションの使用者の姿勢を高精度に把握できると共に、長時間着座していないかどうかを把握できる。
以下では、図面を参照しながら本開示に係る姿勢検知システム及び姿勢検知方法の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
実施形態において、姿勢検知システムは、クッションに着座する使用者の姿勢を検知する。クッションは、柔軟性素材によって構成されている。「柔軟性素材」とは、身体が載せられて荷重を受けたときに変形するクッション性素材を示している。クッションは、使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部、及び、使用者の仙骨を後方から支える仙骨支持部を有する腰部支持部、を備える。
「使用者」は、クッションの使用者を示しており、例えば、クッションに着座する人を示している。「臀部」とは、身体の背中の下部の膨らんだ部分を示しており、腰部より下且つ大腿部より上に位置する身体の部分である。「着座」とは、クッションに座ることを示している。「着座部」は、クッションに座るときに臀部が当接するクッションの部分を示している。「大腿部」は、脚の付け根から膝までの腿の部分を示している。臀部支持部は、例えば、一対の座骨支持部を有する。「座骨」は、使用者が着座部に着座したときに骨盤の最下部に位置する部分を示している。
「姿勢」とは、クッションに着座した使用者の身体の状態を示している。実施形態に係る姿勢検知システムは、使用者の姿勢が良好でないときにアラームを出力する。「姿勢が良好でない」とは、例えば、着座部に着座した使用者の背中が猫背になっている状態、着座部に着座した使用者の背中が後ろにもたれかかりすぎている状態、及び、脚を組んでいる状態、の少なくともいずれかを示している。
図1は、本実施形態に係るクッション100(図6参照)の芯材1を示す斜視図である。図1に示されるように、芯材1は、水平方向に延びる着座部2と、着座部2から上方に延びる腰部支持部3とを備える。芯材1は、柔軟性素材によって構成されている。例えば、芯材1は、発泡ウレタンによって構成されている。
一例として、芯材1は、ウレタンモールド成型によって形成される。芯材1が発泡ウレタンによって構成されウレタンモールド成型によって形成されている場合、柔軟性素材によって構成された芯材1を容易に製造することができる。芯材1は、例えば、クッション100の布地20(図6参照)に収容されて用いられる。
なお、上記の柔軟性素材は、例えば、熱可塑性エラストマーを含む。当該柔軟性素材は、身体が載せられたときの荷重に応じて変形する程度の弾性を備えた素材であってもよい。当該柔軟性素材は、身体が載せられて荷重を受けたときに変形する樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、又はポリエチレン)であってもよい。当該柔軟性素材の種類は、適宜変更可能である。
着座部2は、第1方向D1、及び第1方向D1に交差する第2方向D2に延在する。第1方向D1は着座部2に着座する使用者から見たときの前後方向であり、第2方向D2は着座部2に着座する使用者から見たときの左右方向である。着座部2は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に厚みを有する。例えば、第3方向D3は鉛直方向である。
以下では、着座部2に着座した使用者から見たときの前方向を「前」、「前側」又は「前方」と称することがあり、当該前方向の逆方向を「後」、「後側」又は「後方」と称することがある。しかしながら、これらの方向は、説明の便宜のためのものであり、各部の位置又は向き等を限定するものではない。
図2は、芯材1の平面図である。図1及び図2に示されるように、着座部2は、使用者の臀部が載せられる臀部支持部4と、使用者の大腿部が載せられる大腿部支持部5とを有する。臀部支持部4及び大腿部支持部5は第1方向D1に沿って並ぶように配置されている。臀部支持部4は、着座部2に着座した使用者の座骨を支持する一対の座骨支持部6を有する。
例えば、着座部2は通気孔2bを有する。通気孔2bは、臀部支持部4の上面4b又は大腿部支持部5の上面から下方に貫通する。通気孔2bを画成している内壁の上端は、丸みを帯びるようにR面取りされていてもよい。平面視において、複数の通気孔2bが後方から前方に向かって並ぶように配置されている。
例えば、平面視(腰部支持部3が着座部2の上側に位置する向きとした場合における平面視)において、複数(一例として6つ)の通気孔2bが第2方向D2の両側(左右両側)のそれぞれに配置されていてもよい。例えば、第2方向D2の両側のそれぞれに3つの通気孔2bが配置されている。
例えば、2つの通気孔2bが第2方向D2に沿って並んでおり、第2方向D2に沿って並ぶ2つの通気孔2bの間の距離は、臀部支持部4から大腿部支持部5に向かうに従って(前方に向かうに従って)長くなる。一例として、複数の通気孔2bは、平面視においてハの字状を呈するように配置されている。
例えば、芯材1では、座骨支持部6(例えば後述する貫通孔6c)はウレタンモールド成型によって形成されており、通気孔2bは抜き加工によって形成されている。この場合、芯材1の製造時に用いる金型において通気孔2bを形成する部分を不要にできるので、当該金型の形状を簡易にできる。更に、当該金型で液状のウレタンの成型を行うときに、液状のウレタンにおける空気の逃げ道を確保できるので、芯材1の仕上がりをきれいにすることができる。
座骨支持部6は、臀部支持部4の上面4bに形成されており上面4bに対して窪んでいる。臀部支持部4は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の座骨支持部6を有する。座骨支持部6は、臀部支持部4の上面4bから窪む凹部6bを有する。平面視における座骨支持部6の形状は、長軸及び短軸を有する形状とされている。例えば、平面視における座骨支持部6の形状は長円形状(一例として楕円形状)である。しかしながら、平面視における座骨支持部6の形状は、長円形状又は楕円形状に限られず、長方形状、隅丸長方形状、菱形状、又は隅丸菱形状であってもよく、適宜変更可能である。
一対の座骨支持部6のうち一方の座骨支持部6の長軸の延長線L1と、一対の座骨支持部6のうち他方の座骨支持部6の長軸の延長線L2とは互いに交差している。延長線L1と延長線L2の交差角度θ1は、例えば、40°以上且つ150°以下である。交差角度θ1は、50°以上、60°以上、75°以上、又は90°以上であってもよい。また、交差角度θ1は、135°以下、120°以下、又は110°以下であってもよい。一例として、交差角度θ1は100°である。
延長線L1と延長線L2との交差部Pは、一対の座骨支持部6よりも大腿部支持部5寄り(前寄り)の箇所に位置する。交差部Pは、各座骨支持部6の平面視における中心よりも大腿部支持部5側に位置する。交差部Pは、一対の座骨支持部6から見て腰部支持部3とは反対側に位置する。これにより、一対の座骨支持部6は、平面視(腰部支持部3が着座部2の上側に位置する向きとした場合における平面視)において逆ハの字状を呈する。
一対の座骨支持部6の中心の間の距離(一対の座骨支持部6の中心間距離)は、例えば、7cm以上且つ15cm以下である。一例として、当該距離は10cmである。腰部支持部3から座骨支持部6の中心までの距離は、例えば、5cm以上且つ15cm以下である。一例として、腰部支持部3から座骨支持部6の中心までの距離は、10cmである。各長さ及び各距離が上記の値の範囲内である場合、一対の座骨支持部6のそれぞれに使用者の座骨をより好適にフィットさせることができる。
例えば、各座骨支持部6は、臀部支持部4の上面4bから下方に貫通する貫通孔6cを有する。各座骨支持部6は、貫通孔6cを画成する内壁と、当該内壁及び上面4bの間に位置するテーパ面6fとを有する。図3は、芯材1を示す底面図である。図2及び図3に示されるように、上方から見たときにおける座骨支持部6の面積は、下方から見たときにおける座骨支持部6の面積よりも大きい。
芯材1は、芯材1が載置される載置面S(図4参照)に接触する下面1bを有する。例えば、貫通孔6cを画成する内壁は、下面1bとテーパ面6fとを互いに連結している。貫通孔6cの内壁の下面1b側の端、及び当該内壁のテーパ面6f側の端、の少なくともいずれかは、丸みを帯びるようにR面取りされていてもよい。
テーパ面6fは、上面4bに対して窪む凹部6bを形成している。テーパ面6fは、上面4b側に向かうに従ってテーパ面6fの開口端が拡径するように傾斜している。例えば、平面視におけるテーパ面6fの面積は、平面視における貫通孔6cの面積より大きい。テーパ面6fは、テーパ面6fの開口端が丸みを帯びるようにR面取りされた部分である曲面を含んでいてもよい。
図4は、図2のA-A線断面図である。図2及び図4に示されるように、着座部2は、臀部支持部4から大腿部支持部5に向かって斜めに延びる傾斜面7を有する。例えば、着座部2は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の傾斜面7を有する。例えば、第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面に沿った断面において傾斜面7は直線状を呈する。芯材1の下面1bに対する傾斜面7の傾斜角度θ2は、例えば、5°以上且つ15°以下である。
傾斜角度θ2が5°以上且つ15°以下である場合、着座部2に着座した使用者の座骨を前側に一層ずれにくくすることができる。なお、上記の例とは異なり、第1方向D1及び第3方向D3に延びる平面に沿った断面において傾斜面7は曲線状(例えば、大腿部支持部5に向かうに従って傾斜角度θ2が大きくなるように湾曲する曲面状)を呈していてもよい。
図5は、前方から芯材1を見た芯材1の側面図である。図2、図4及び図5に示されるように、着座部2は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の大腿部支持部5と、一対の大腿部支持部5の間に位置する凸部8とを有する。一対の大腿部支持部5のそれぞれは、傾斜面7の前側に位置する。
大腿部支持部5には、使用者の大腿部の裏側が載せられる。すなわち、大腿部支持部5は使用者の大腿部の裏側を支持する。図3及び図5に示されるように、大腿部支持部5は、芯材1の厚さ方向(第3方向D3)に窪む凹部5bを有する。凹部5bは芯材1の下面1bに形成されている。
芯材1は、一対の凹部5bを有し、例えば、一対の凹部5bは互いに離隔した位置に設けられる。凹部5bの深さは、腰部支持部3から離隔するに従って(前側に向かうに従って)深くなっている。例えば、大腿部支持部5は、芯材1が載置される載置面Sとの間に空間を画成する凹部5bを有する。一例として、凹部5bと載置面Sとの間に画成される空間は、前方に向かうに従って拡大するように形成される。
凸部8は、傾斜面7から突出した部位を示している。平面視における凸部8の幅は、前方に向かうに従って広くなっている。例えば、平面視における凸部8の形状は、前方に向かうに従って広がる放物線状を呈する。凸部8の高さは、芯材1の第2方向D2の中央に向かうに従って高くなっている。
例えば、着座部2は、傾斜面7における第2方向D2の両端側に位置する一対の凸部9を有する。凸部9は、腰部支持部3及び大腿部支持部5を互いに接続する部位である。凸部9は第1方向D1に沿って延在している。以上の凸部8及び凸部9が設けられることにより、一対の凸部9の間における凸部8の第2方向D2の両側のそれぞれの位置に大腿部支持部5が形成されるので、使用者の大腿部を大腿部支持部5に載せやすくすることができる。
芯材1は、凸部9から下面1bに向かうに従って芯材1の第2方向D2の中央に向かうように傾斜する傾斜部9cを有する。芯材1は、例えば、第2方向D2に沿って並ぶ一対の傾斜部9cを有する。一例として、芯材1は、下面1bから離隔するに従って外側に張り出す舟形状を呈する。
腰部支持部3は、着座部2の第1方向D1の端部(後端)から上方に延在している。腰部支持部3は、例えば、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する一般部10と、一般部10における第2方向D2の中央に位置する仙骨支持部11とを有する。一般部10は、腰部支持部3における仙骨支持部11以外の部分を示している。
図2、図4及び図5に示されるように、仙骨支持部11は、前方に突出する凸状を呈する。仙骨支持部11は、一般部10から前方に突出する。一例として、前方から見た仙骨支持部11の形状は、長軸及び短軸を有する形状を呈する。例えば、前方から見た仙骨支持部11の形状は長円形状(一例として楕円形状)である。
例えば、仙骨支持部11は、前方に突出する曲面状を呈する突出面11dを有する。突出面11dの一般部10からの高さは、突出面11dの外縁から突出面11dの内側に向かうに従って高くなっている。仙骨支持部11は、突出面11dから後方に窪む窪み部11fを有してもよい。窪み部11fは、クッション100の使用者の仙骨が入り込む部位である。
窪み部11fは、第2方向D2及び第3方向D3に延びている。例えば、窪み部11fの第3方向D3の長さは、窪み部11fの第2方向D2の長さ(幅)よりも長い。第1方向D1から見た窪み部11fの形状は、第3方向D3に延びる溝形状(又は長円形状)であってもよい。
窪み部11fは、底面11gと、底面11g及び突出面11dを互いに接続する内側面11hとを含む。第1方向D1から見たときに、内側面11hは、底面11gを囲む環状を呈する。内側面11hは、底面11gと突出面11dとを互いに接続するR面を含んでいてもよい。
平面視において、底面11gは、窪み部11fの第2方向D2の端部から離隔するに従って後方に窪むように湾曲している。第2方向D2に直交する断面(側断面)において、窪み部11f(底面11g)は、窪み部11fの第3方向D3の端部から離隔するに従って後方に窪むように湾曲している。
本実施形態に係る姿勢検知システム30(図7参照)は、クッション100の着座部2に着座するクッション100の使用者の姿勢を検知する。姿勢検知システム30は、着座部2に取り付けられた着座部センサ31と、仙骨支持部11に取り付けられた仙骨支持部センサ32と、大腿部支持部5に取り付けられた大腿部支持部センサ33とを備える。図1、図2、図4及び図5では、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33の図示を簡略化している。
一例として、芯材1は、着座部2の上面に形成された凹部、及び大腿部支持部5の上面に形成された凹部を有し、着座部2の凹部に着座部センサ31が埋め込まれ、大腿部支持部5の凹部に大腿部支持部センサ33が埋め込まれる。例えば、仙骨支持部11の窪み部11fに仙骨支持部センサ32が取り付けられる。
上記のように、一例として、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33は直接芯材1に取り付けられる。しかしながら、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33の少なくともいずれかは芯材1に間接的に取り付けられてもよい。以下では、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33が間接的に芯材1に取り付けられる例について説明する。
図6は、芯材1、及び、芯材1を覆う布地20を備えるクッション100を模式的に示す断面図である。図6では、芯材1等の図示を簡略化している。前述したように、クッション100は芯材1が布地20に収容されて使用される。図6の例では、本実施形態の姿勢検知システム30は、着座部センサ31と、仙骨支持部センサ32と、大腿部支持部センサ33とを有する。
例えば、布地20は、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33が取り付けられたインナー生地である。すなわち、布地20は、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33が固定されたセンサ用生地である。クッション100は、インナー生地としての布地20を覆うアウター生地22を更に備える。インナー生地としての布地20は、例えば、芯材1の一部のみを覆う。具体例として、布地20は、着座部2及び仙骨支持部11のみを覆うように芯材1に固定されている。
布地20には、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33が固定されている。着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33は、例えば、布地20に固定された圧電センサである。この場合、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33のそれぞれは、クッション100に載せられるクッション100の使用者の身体からクッション100の各部への圧力を測定する。
なお、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33のそれぞれにおけるセンサの種類は特に限定されない。例えば、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33の少なくともいずれかは、芯材1の表面歪みを測定する歪みセンサ(又は歪みゲージ)であってもよい。
例えば、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33のそれぞれは、布地20に刺繍によって固定された糸状センサであってもよい。布地20が芯材1を覆う状態において、着座部センサ31は着座部2の上面に位置し、仙骨支持部センサ32は仙骨支持部11に位置し、大腿部支持部センサ33は大腿部支持部5に位置する。
アウター生地22は、芯材1及び布地20を覆う。アウター生地22は、例えば、芯材1及び布地20の全体を覆う。アウター生地22は、例えば、布地20及び芯材1の汚れ防止のために設けられる。アウター生地22は、芯材1及び布地20に対して着脱可能であってもよい。一例として、アウター生地22はファスナー(不図示)を有し、当該ファスナーが開放されたアウター生地22の内部に芯材1及び布地20が出し入れ自在とされていてもよい。この場合、芯材1及び布地20からアウター生地22を外してアウター生地22を洗濯することができる。
図1及び図6に示されるように、一例として、姿勢検知システム30は、第2方向D2に沿って並ぶ2つの着座部センサ31と、1つの仙骨支持部センサ32と、第2方向D2に沿って並ぶ2つの大腿部支持部センサ33とを有する。着座部センサ31は、例えば、一対の座骨支持部6のそれぞれの周囲に配置される。一例として、着座部センサ31は、座骨支持部6と通気孔2bとの間に配置される。また、着座部センサ31は、臀部支持部4に配置されてもよい。この場合、着座部センサ31は、臀部支持部4への使用者の臀部の接触を測定する。
例えば、仙骨支持部センサ32は、窪み部11fの底面11gに固定される。しかしながら、仙骨支持部センサ32は、窪み部11fの内側面11hに固定されてもよいし、仙骨支持部11の突出面11dに固定されてもよい。また、仙骨支持部センサ32は、第1方向D1に沿って見た場合における仙骨支持部11の外縁の内側に設けられてもよい。例えば、仙骨支持部センサ32は、仙骨支持部11への使用者の仙骨からの荷重を測定する。
一対の大腿部支持部センサ33のそれぞれは、大腿部支持部5における通気孔2bの前側部分に固定される。凸部8の第2方向D2の両側のそれぞれに大腿部支持部センサ33が配置されてもよい。また、大腿部支持部センサ33は、第3方向D3に沿って見た場合における大腿部支持部5の内側に設けられてもよい。例えば、大腿部支持部センサ33は、大腿部支持部5への使用者の大腿部からの荷重を測定する。
例えば、着座部センサ31は、着座部2にクッション100の使用者が着座しているか否かを測定する。着座部センサ31は、例えば、着座部センサ31に使用者の座骨が接触しているか否かを測定する。なお、上記では着座部センサ31の数が2である例について説明したが、着座部センサ31の数は1又は3以上であってもよく、特に限定されない。
例えば、仙骨支持部センサ32は、着座部2に着座するクッション100の使用者の姿勢を検知する。仙骨支持部センサ32は、例えば、仙骨支持部センサ32に使用者の仙骨が接触しているか否か、及び仙骨支持部センサ32に接触する使用者の身体の荷重を測定する。例えば、大腿部支持部センサ33は、着座部2に着座するクッション100の使用者の大腿部の荷重を測定する。
姿勢検知システム30は、一例として、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33に電気的に接続されており布地20から布地20の外部に延び出すケーブル34と、ケーブル34の布地20とは反対側に設けられた通信部35とを備える。
通信部35は、例えば、着座部センサ31の測定データ、仙骨支持部センサ32の測定データ、及び大腿部支持部センサ33の測定データを通信する通信基板である。通信部35は、着座部センサ31の測定データ、仙骨支持部センサ32の測定データ、及び大腿部支持部センサ33の測定データをケーブル34を介して受信する。なお、ケーブル34は省略されてもよく、通信部35は布地20に内蔵されていてもよい。
図7は、姿勢検知システム30の機能の構成を示すブロック図である。図7に示されるように、姿勢検知システム30は、制御部40と、出力部50とを備える。制御部40は、一例として、サーバである。着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33は、制御部40と通信可能とされている。
着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33のそれぞれは、測定によって得られた測定データを通信部35を介して制御部40に送信する。制御部40は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムを実行するプロセッサ(例えばCPU)と、ROM及びRAMによって構成される主記憶部と、ハードディスク又はフラッシュメモリ等で構成される補助記憶部と、ネットワークカード又は無線通信モジュールで構成される通信制御部とを備える。但し、制御部40の構成は上記に限定されず適宜変更可能である。
制御部40の各機能要素は、プロセッサ又は主記憶部に所定のソフトウェアを読み込ませて当該ソフトウェアを実行することによって実現される。プロセッサは、当該ソフトウェアに従って、前述した通信制御部を動作させ、主記憶部又は補助記憶部におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。制御部40の処理に必要なデータ又はデータベースは主記憶部又は補助記憶部に格納される。
制御部40は、姿勢検知プログラムを備えていてもよい。姿勢検知プログラムは、例えば、メインモジュール、データ取得モジュール、解析モジュール、及び出力モジュールを含む。メインモジュールは、姿勢検知システム30の機能を統括的に管理するモジュールである。データ取得モジュールは、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33のそれぞれから測定データを取得する。計算モジュールは、測定データからクッション100の使用者の着席状態及び姿勢の評価を計算によって行う。出力モジュールは計算モジュールによって計算された結果を出力する。
データ取得モジュール、計算モジュール、及び出力モジュールが実行されることで姿勢検知システム30(姿勢検知プログラム)の機能的構成要素が機能する。姿勢検知プログラムは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されて提供されるものであってもよい。また、姿勢検知プログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されるものであってもよい。
一例として、姿勢検知システム30は、姿勢データ解析ツールを有する。姿勢検知システム30は、例えば、表計算ソフトを用いて一定時間(一例として1時間又は1日)ごとの測定データを収集、分析及び可視化する。例えば、姿勢検知システム30は、使用者のクッション100への着席時間、着席頻度及び姿勢のデータを可視化する。この場合、使用者は、クッション100への着席時間、着席頻度及び姿勢を容易に把握できる。その結果、使用者に姿勢を良くするように促すことが可能となる。
例えば、制御部40は、機能的構成要素として、着座判定部41と、姿勢判定部42とを備える。更に、制御部40は、着座部2に着座した使用者が脚を組んでいるか否かを判定する脚組判定部43を備えてもよい。着座判定部41、姿勢判定部42及び脚組判定部43は、例えば、制御部40に実装されたプログラムによって実現される機能である。
着座判定部41は、使用者が着座部2に着座しているか否かを判定する。着座判定部41は、使用者が着座部2に着座している時間を測定する。着座判定部41は、例えば、着座部センサ31からの測定データを用いて着座部2に使用者が着座しているか否かを判定する。
着座判定部41は、例えば、着座部センサ31に使用者の身体(例えば臀部又は座骨)が接触しているときに使用者が着座部2に着座していると判定する。また、複数の着座部センサ31が設けられる場合、着座判定部41は、複数の着座部センサ31のうちのいずれかに使用者の身体が接触したときに使用者が着座部2に着座していると判定してもよい。
姿勢判定部42は、着座部2に着座している使用者の姿勢を判定する。姿勢判定部42は、仙骨支持部センサ32によって測定された結果から使用者の姿勢を判定する。姿勢判定部42は、例えば、仙骨支持部センサ32に使用者の身体(例えば仙骨)が接触していないときに使用者の姿勢が浅座り(猫背)であって適切でないと判定する。
姿勢判定部42は、猫背である時間を測定する。姿勢が猫背であるときには、姿勢が前屈みとなり仙骨支持部センサ32に仙骨が接触しない。よって、姿勢判定部42は、着座部2に使用者が着座していると着座判定部41が判定し、且つ仙骨支持部センサ32に仙骨が接触していないときに猫背であると判定する。
姿勢判定部42は、例えば、仙骨支持部センサ32によって測定された荷重が一定値以上であるときに、使用者の姿勢が後ろにもたれすぎであると判定する。姿勢判定部42は、後ろにもたれすぎである時間を測定する。後ろにもたれすぎであるときには、適切な姿勢であるときよりも仙骨支持部センサ32に後方への大きな荷重が加えられる。この荷重を仙骨支持部センサ32が測定したときに姿勢判定部42は姿勢が後ろにもたれかかりすぎであって適切でないと判定する。例えば、仙骨支持部センサ32が仙骨支持部11の変形量(潰れ具合)を測定し、姿勢判定部42は測定された仙骨支持部11の変形量が一定値以上であるときに後ろにもたれかかりすぎであると判定してもよい。
姿勢判定部42は、例えば、仙骨支持部センサ32によって測定された荷重が一定値未満であるときに、使用者の姿勢が適切であると判定する。姿勢判定部42は、姿勢が適切である時間を測定する。姿勢が適切であるときには、着座部2に着座した使用者の背中が鉛直方向に沿って延びており、仙骨支持部11には仙骨から適度な荷重を受ける。この適度である荷重を仙骨支持部センサ32が測定したときに姿勢判定部42は姿勢が適切であると判定する。また、上記同様、姿勢判定部42は測定された仙骨支持部11の変形量が一定値未満であるときに姿勢が適切であると判定してもよい。
姿勢判定部42は、一対の大腿部支持部センサ33によって測定された大腿部支持部センサ33への荷重の差を算出してもよい。すなわち、姿勢判定部42は、左側の大腿部から受ける一方の大腿部支持部センサ33への荷重と、右側の大腿部から受ける他方の大腿部支持部センサ33への荷重との差の絶対値を算出する。
そして、姿勢判定部42は、算出した絶対値が一定値以上であるときに、左右のバランスが良好でなく姿勢が適切でないと判定し、算出した絶対値が当該一定値以上でないときに、左右のバランスが良好であると判定してもよい。この場合、着座部2に着座した使用者の姿勢において左右のどちらかに姿勢が偏っていないかどうかを把握することが可能である。例えば、姿勢判定部42は、左右のバランスが良好でない時間を測定する。
脚組判定部43は、着座部2に着座した使用者が脚を組んでいるか否かを判定する。脚組判定部43は、例えば、大腿部支持部センサ33からの測定データを用いて使用者が脚を組んでいるか否かを判定する。脚組判定部43は、使用者が脚を組んでいる時間を測定する。具体例として、脚組判定部43は、一対の大腿部支持部センサ33のうち、一方の大腿部支持部センサ33が大腿部から荷重を受けて、他方の大腿部支持部センサ33が大腿部から荷重を受けていないときに脚を組んでいると判定する。
ところで、脚を組んだ状態で長時間着座すると骨盤に歪みが生じる可能性があるので、好ましくない。本実施形態では、着座部2に着座した使用者が脚を組んでいるか否かを脚組判定部43が判定することにより、長時間脚を組まない方がよいと使用者に通知することが可能となる。
出力部50は、着座判定部41及び姿勢判定部42のそれぞれによって判定された結果を出力する。出力部50は、脚組判定部43によって判定された結果を出力してもよい。出力部50は、例えば、判定された結果を表示する表示部51と、姿勢判定部42によって姿勢が適切でないと判定されたとき(例えば、猫背である、後ろにもたれすぎ、又は左右のどちらかに姿勢が偏っていると判定されたとき)にアラームを出力するアラーム部52とを有する。
図7及び図8に示されるように、表示部51は、例えば、着座判定部41、姿勢判定部42及び脚組判定部43の判定結果を情報端末Tのディスプレイに表示する。情報端末Tは、例えば、携帯端末である。「携帯端末」は、例えば、スマートフォンを含む携帯電話、タブレット又はノートパソコン等、携帯可能な情報端末を示している。情報端末は、携帯端末以外の端末であってもよく、例えば、パソコンであってもよい。
表示部51は、例えば、着座判定部41によって測定された着座部2への着座時間51b、及び、姿勢判定部42によって測定された姿勢が適切である時間51cを表示する。また、表示部51は、姿勢判定部42によって測定された猫背である時間51d、及び、姿勢判定部42によって測定された後ろにもたれすぎである時間51fを表示してもよい。更に、表示部51は、姿勢判定部42によって測定された左右のバランスが良好でない時間51g、及び、脚組判定部43によって測定された脚を組んでいる時間51hを表示してもよい。
表示部51は、着座部2への着座時間、姿勢が適切である時間、猫背である時間、後ろにもたれすぎである時間、左右のバランスが良好でない時間、及び、脚を組んでいる時間、の少なくともいずれかをタイムチャート51jとして表示してもよい。この場合、上記の各時間を、タイムチャート51jを見るだけで一目で把握できる。従って、使用者は、クッション100に対する自分の座り方の癖を把握できるので、悪い座り方を是正することによって足腰を痛める等の問題を未然に回避することができる。
表示部51は、着座判定部41による判定結果、及び姿勢判定部42による判定結果をコメント51kとして表示してもよい。また、表示部51は、脚組判定部43による判定結果をコメント51kとして表示してもよい。更に、表示部51は、着座判定部41による判定結果、及び姿勢判定部42による判定結果をランク付け51p(評価)として表示してもよい。
コメント51kは、例えば、「座っている時間が長すぎるので少し立って運動した方がいいです」、「猫背で座っていることが多いので背筋を伸ばして座ることを意識しましょう」、「後ろにもたれかかっている時間が長いのでおなかに力を入れて背筋を伸ばしましょう」、「左右のバランスを意識して座りましょう」、「脚を組んでいる時間を短くしましょう」、又は「正しい姿勢で座れています」等が挙げられる。使用者はコメント51kを見ることでクッション100にどのように座るのが健康に良いかを把握することができる。
アラーム部52は、姿勢判定部42によって姿勢が適切でないと判定されたときにアラームを出力する。アラーム部52は、例えば、姿勢判定部42によって姿勢が適切でないと判定されたときに使用者の情報端末Tにアラームを通知する。アラームは、電子メールによって通知されてもよいし、アプリケーションによって通知されてもよい。
アラーム部52は、例えば、着座部2への着座時間、猫背である時間、後ろにもたれすぎである時間、左右のバランスが良好でない時間、及び、脚を組んでいる時間、のいずれかが一定時間以上であるときにアラームを出力する。一例として、アラーム部52は、クッション100に取り付けられたランプであってもよい。この場合、使用者は自分が座っていたクッション100の当該ランプを見ることによって、座りすぎ又は姿勢が悪かった状態を容易に把握できる。また、アラーム部52は、着座部2への着座時間、猫背である時間、後ろにもたれすぎである時間、左右のバランスが良好でない時間、及び、脚を組んでいる時間、のいずれかが一定時間以上であるときに音声を出力してもよい。
次に、本実施形態に係る姿勢検知方法の具体例について説明する。一例として、図6に示されるクッション100に着座する使用者の姿勢を検知する方法について説明する。例えば、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33のそれぞれの位置が臀部支持部4、仙骨支持部11及び大腿部支持部5の位置に合うように芯材1に布地20を固定する。そして、芯材1及び布地20をアウター生地22の内部に収容する。
その後、使用者が着座部2に着座しているか否かを着座部2に取り付けられた着座部センサ31が測定する(着座部センサが測定する工程)。例えば、着座部センサ31への臀部の接触有無を着座部センサ31が測定し、着座部2に着座されているか否かを着座判定部41が判定する。
また、着座部2に着座している使用者の姿勢を仙骨支持部センサ32が測定する(仙骨支持部センサが測定する工程)。仙骨支持部センサ32は、仙骨支持部センサ32への仙骨の接触有無、及び仙骨支持部センサ32への仙骨からの荷重を測定する。例えば、姿勢判定部42は、仙骨支持部センサ32に仙骨が接触していないときに猫背であると判定し、仙骨支持部センサ32への荷重が一定値以上であるときに後ろにもたれかかりすぎであると判定し、仙骨支持部センサ32への荷重が当該一定値以上でないときに姿勢が適切であると判定する(判定する工程)。また、一対の大腿部支持部センサ33が大腿部からの荷重を測定し、姿勢判定部42が左右のバランスが適切か否かを判定してもよい。更に、一対の大腿部支持部センサ33の測定結果から使用者が脚を組んでいるか否かを脚組判定部43が判定してもよい。
姿勢判定部42によって使用者の姿勢が良好であると判定された場合には、例えば、使用者の姿勢が正しいことを表示部51が表示して一連の工程が完了する。一方、姿勢判定部42によって使用者の姿勢が良好でないと判定された場合には、アラーム部52がアラームを出力する(アラームを出力する工程)。具体的には、姿勢が適切でないことをアラーム部52が情報端末Tに通知してもよいし、クッション100のランプが光るようにしてもよい。また、姿勢が適切でないことをアラーム部52が振動によって使用者に通知してもよい。この場合、アラーム部52は、例えば、使用者が着座しているクッション100を振動させる。アラーム部52による通知が終わった後には、姿勢検知方法の一連の工程が完了する。
次に、本実施形態に係る姿勢検知システム30及び姿勢検知方法から得られる作用効果についてより詳細に説明する。本実施形態に係る姿勢検知システム30及び姿勢検知方法では、クッション100が使用者の臀部を支持する臀部支持部4を有する着座部2と、使用者の仙骨を後方から支える仙骨支持部11とを備える。姿勢検知システム30は、使用者がクッション100の着座部2に着座しているか否かを測定する着座部センサ31を備える。使用者が着座部2に着座しているか否かを着座部センサ31が測定することによって、使用者が着座部2に着座している時間を算出できる。
従って、使用者は、長時間着座していないかどうかを把握できるので、足腰の血行が悪くなったり筋力が低下したりするという問題を回避することができる。姿勢検知システム30は、仙骨支持部11に設けられており、クッション100に着座する使用者の姿勢を測定する仙骨支持部センサ32を備える。仙骨は、使用者の背中から突出する部位である。よって、仙骨を支持する仙骨支持部11に仙骨支持部センサ32が設けられることにより、使用者の姿勢を高精度に測定できる。
更に、姿勢検知システム30は、姿勢判定部42によって姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力するアラーム部52を備える。従って、姿勢が悪いときにアラーム部52がアラームを出力することにより、自分の姿勢が悪かったことを使用者が把握できるので、姿勢が悪いことによって身体を痛める可能性を低減させることができる。
本実施形態において、仙骨支持部センサ32は、仙骨支持部センサ32に使用者の仙骨が接触しているか否かを測定する。姿勢判定部42は、仙骨支持部センサ32に使用者の仙骨が接触していないときに使用者の姿勢が猫背であると判定する。よって、使用者が前のめりになって仙骨が仙骨支持部センサ32に接触しないときに、姿勢判定部42が猫背であると判定する。従って、仙骨支持部センサ32への接触有無によって猫背か否かが判定されるので、使用者の姿勢を高精度に把握して猫背を抑制することができる。
本実施形態において、仙骨支持部センサ32は、使用者の仙骨の仙骨支持部センサ32への荷重を測定する。姿勢判定部42は、仙骨支持部センサ32によって測定された荷重が一定値以上であるときに、使用者の姿勢が後ろにもたれすぎであると判定する。よって、仙骨支持部センサ32への荷重が一定値以上であるときに後ろにもたれすぎであると姿勢判定部42が判定する。従って、仙骨支持部センサ32への荷重によって後ろにもたれすぎか否かが判定されるので、後ろにもたれすぎて腹筋の筋力が低下することを抑制できる。
本実施形態において、着座部2は、着座部2に着座した使用者から見て左右方向(第2方向D2)に沿って並ぶ一対の大腿部支持部5を有する。姿勢検知システム30は、一対の大腿部支持部5のそれぞれに取り付けられており、着座部2に着座する使用者の大腿部の荷重を測定する一対の大腿部支持部センサ33を更に備える。従って、一対の大腿部支持部センサ33のそれぞれが使用者の左右それぞれの大腿部の荷重を測定することにより、大腿部における左右のバランスを把握できる。更に、一対の大腿部支持部センサ33の一方が荷重を検出し、一対の大腿部支持部センサ33の他方が荷重を検出していないときに使用者が脚を組んでいる可能性があると把握できる。従って、クッション100に着座している使用者の姿勢をより高精度に把握することができる。
本実施形態において、姿勢検知システム30は、着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32が取り付けられておりクッション100の芯材1の少なくとも一部を覆う布地20を備える。この場合、着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32が布地20に取り付けられており、布地20によって芯材1の少なくとも一部が覆われる。従って、既存のクッション100の芯材1を布地20で覆うことによって着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32をクッション100に装着できるので、既存のクッション100に対する着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32の配置を容易に行うことができる。
本実施形態において、姿勢検知システム30は、芯材1を覆うアウター生地22を備え、布地20は、アウター生地22に覆われるインナー生地である。この場合、着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32が取り付けられたインナー生地(布地20)の外側にアウター生地22が設けられる。従って、アウター生地22を外してアウター生地22を洗濯できるので、より衛生的なクッション100とすることができ、一層長期間クッション100を使用し続けることができる。
次に、変形例に係る姿勢検知システム60が設置されたクッション200について図9を参照しながら説明する。クッション200は、インナー生地を有しない点において前述したクッション100とは相違する。姿勢検知システム60及びクッション200の一部の構成は、姿勢検知システム30及びクッション100の一部の構成と同一である。よって、以下では姿勢検知システム30及びクッション100の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。
クッション200は、芯材1が布地70に収容されて使用される。布地70は、芯材1の汚れ防止のために設けられる。布地70は、着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33が取り付けられたアウター生地である。アウター生地としての布地70は、例えば、芯材1の全体を覆う。
布地70は、芯材1に対して着脱可能であってもよい。例えば、布地70はファスナー(不図示)を有し、当該ファスナーが開放された布地70の内部に芯材1が出し入れ自在とされていてもよい。この場合、芯材1に対する着座部センサ31、仙骨支持部センサ32及び大腿部支持部センサ33の着脱が可能となる。
本変形例において、姿勢検知システム60は、少なくとも着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32が取り付けられておりクッション200の芯材1の少なくとも一部を覆う布地70を備える。よって、着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32が布地70に取り付けられており、布地70によって芯材1が覆われる。従って、既存のクッション200の芯材1を布地70で覆うことによって着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32をクッション200に装着できるので、既存のクッション200に対する着座部センサ31及び仙骨支持部センサ32の配置を容易に行うことができる。従って、本変形例では、前述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
以上、本開示に係る姿勢検知システム及び姿勢検知方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係る姿勢検知システム及び姿勢検知方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、姿勢検知システムの各部の構成及び機能、並びに、姿勢検知方法の工程の内容及び順序は、上記の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。更に、クッションの各部の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述したクッション100,200に限られず適宜変更可能である。
例えば、前述の実施形態では、大腿部支持部センサ33が大腿部の荷重を測定する例について説明した。しかしながら、大腿部支持部センサ33は省略されてもよい。また、前述した実施形態では、着座部2及び腰部支持部3を備える芯材1について説明した。例えば、腰部支持部3の高さは、適宜変更可能である。例えば、腰部支持部3の上端の高さは、使用者の背中の高さであってもよいし、使用者の肩の高さであってもよいし、使用者の頭部の高さであってもよく、特に限定されない。この場合、クッションをゲーミングチェア等の椅子として用いることができる。
例えば、前述の実施形態では、姿勢が適切でないことをアラーム部52が情報端末Tに通知する例について説明した。しかしながら、例えば、アラーム部は、アラームを音として出力してもよい。アラーム部は、アラームを光として出力してもよい。また、アラーム部は、アラームを振動として出力してもよい。このように、アラーム部が出力するアラームの種類は適宜変更可能である。
例えば、着座部に対して腰部支持部が折り畳み可能なクッションであってもよい。この場合、クッションをオフィスチェア、リクライニングチェア又はフルフラットシートとして用いることができる。クッションは、自動車、鉄道車両、又は航空機等の輸送用機械に使用されるシートであってもよい。このように、本開示に係る姿勢検知システム及び姿勢検知方法は種々のクッションに適用させることができる。
1…芯材、1b…下面、2…着座部、2b…通気孔、3…腰部支持部、4…臀部支持部、4b…上面、5…大腿部支持部、5b…凹部、6…座骨支持部、6b…凹部、6c…貫通孔、6f…テーパ面、7…傾斜面、8,9…凸部、9c…傾斜部、10…一般部、11…仙骨支持部、11d…突出面、11f…窪み部、11g…底面、11h…内側面、20…布地(インナー生地)、22…アウター生地、30…姿勢検知システム、31…着座部センサ、32…仙骨支持部センサ、33…大腿部支持部センサ、34…ケーブル、35…通信部、40…制御部、41…着座判定部、42…姿勢判定部、43…脚組判定部、50…出力部、51…表示部、51b…着座時間、51c,51d,51f,51g,51h…時間、51j…タイムチャート、51k…コメント、51p…ランク付け、52…アラーム部、60…姿勢検知システム、70…布地、100,200…クッション、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、L1,L2…延長線、P…交差部、S…載置面、T…情報端末、θ1…交差角度、θ2…傾斜角度。
Claims (7)
- 使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部、及び、前記使用者の仙骨を後方から支える仙骨支持部を有する腰部支持部、を備えるクッションに着座する前記使用者の姿勢を検知する姿勢検知システムであって、
前記着座部に取り付けられており、前記使用者が前記着座部に着座しているか否かを測定する着座部センサと、
前記仙骨支持部に取り付けられており、前記着座部に着座している前記使用者の姿勢を測定する仙骨支持部センサと、
前記仙骨支持部センサによって測定された結果から前記使用者の姿勢を判定する姿勢判定部と、
前記姿勢判定部によって前記使用者の姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力するアラーム部と、
を備える、
姿勢検知システム。 - 前記仙骨支持部センサは、前記仙骨支持部センサに前記使用者の仙骨が接触しているか否かを測定し、
前記姿勢判定部は、前記仙骨支持部センサに前記使用者の仙骨が接触していないときに前記使用者の姿勢が猫背であると判定する、
請求項1に記載の姿勢検知システム。 - 前記仙骨支持部センサは、前記使用者の仙骨の前記仙骨支持部センサへの荷重を測定し、
前記姿勢判定部は、前記仙骨支持部センサによって測定された荷重が一定値以上であるときに、前記使用者の姿勢が後ろにもたれすぎであると判定する、
請求項1又は2に記載の姿勢検知システム。 - 前記着座部は、前記着座部に着座した前記使用者から見て左右方向に沿って並ぶ一対の大腿部支持部を有し、
一対の前記大腿部支持部のそれぞれに取り付けられており、前記着座部に着座する前記使用者の大腿部の荷重を測定する一対の大腿部支持部センサを更に備える、
請求項1又は2に記載の姿勢検知システム。 - 前記着座部センサ及び前記仙骨支持部センサが取り付けられており前記クッションの芯材の少なくとも一部を覆う布地を備える、
請求項1又は2に記載の姿勢検知システム。 - 前記芯材を覆うアウター生地を備え、
前記布地は、前記アウター生地に覆われるインナー生地である、
請求項5に記載の姿勢検知システム。 - 使用者の臀部が載せられる臀部支持部を有する着座部、及び、前記使用者の仙骨を後方から支える仙骨支持部を有する腰部支持部、を備えるクッションに着座する前記使用者の姿勢を検知する姿勢検知方法であって、
前記使用者が前記着座部に着座しているか否かを前記着座部に取り付けられた着座部センサが測定する工程と、
前記着座部に着座している前記使用者の姿勢を前記仙骨支持部に取り付けられた仙骨支持部センサが測定する工程と、
前記仙骨支持部センサによって測定された結果から前記使用者の姿勢を判定する工程と、
前記判定する工程において前記使用者の姿勢が良好でないと判定されたときにアラームを出力する工程と、
を備える、
姿勢検知方法。
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