JP2024015326A - 二重容器用注出キャップ及び二重容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】注出弁に絡む性能は維持しながら空気弁に関する性能を改善することができる二重容器用注出キャップ、及び二重容器を提案する。【解決手段】本発明の二重容器用注出キャップは、内容液用連通口5bを開閉可能であって、注出口9dから充填空間Sに向かう内容液の流通を遮断する一方、充填空間Sから注出口9dに向かう内容液の流通は許容する注出弁6と、キャップ本体9、中栓5、及び注出弁6の少なくとも一つに対して当接及び離反可能であって、通気口3eから外気導入口9gに向かう空気の流通を遮断する一方、外気導入口9gから通気口3eに向かう空気の流通は許容する空気弁7と、を備え、空気弁7は、注出弁6を構成する素材よりも曲げ弾性率が小さい素材で構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、内容液を収容する内層体と内層体を内側に収める外層体とを備える容器本体に装着され、外層体への押圧に伴って内容液を注出させる二重容器用注出キャップ、及び容器本体にこの注出キャップを装着した二重容器に関する。
近年、内容液を収容する容器本体に注出キャップを装着した容器においては、例えば特許文献1に示されているような、内層体と外層体で構成した容器本体を用いた二重容器(デラミ容器、積層剥離容器ともいう)が使用されている。この種の外層体は可撓性を有していて、また表裏を貫く貫通穴(通気口)を通して内層体との相互間に形成される内部空間に空気を取り込むことができるよう構成されている。そして注出キャップには、内部空間から外界へ空気が漏れるのを防ぐ一方、内部空間が減圧されると外界から内部空間へ空気の導入が許容される空気弁と、通常時は内層体の内側に形成される充填空間を閉鎖する一方、充填空間における圧力が高まると充填空間を開放する注出弁が設けられている。
このような構成の二重容器によれば、外層体を押圧して内部空間が加圧されると、充填空間の圧力が高まって注出弁が開く結果、充填空間に収容した内容液を外界に注出させることができる。また外層体への押圧を解除すれば、外層体の復元に伴って内部空間が減圧し、これによって通気口から内部空間へ空気が導入されるため、内層体のみを減容変形させることができる。すなわち、内容液が少なくなっても容器の自立性が維持されるという利点がある。また、外気と置換することなく内容液を注出させることができるので、収容した内容液の品質劣化が生じにくいという利点もある。このためこの種の容器は、例えば醤油、ソース、味醂、料理酒などの調味料やシャンプー、リンス、液体石鹸、化粧水などの化粧料を収容するのに好適なものとして多用されつつある。
特開2011-31932号公報
特許文献1に示されている注出キャップは、外層体に装着されるキャップ本体に、外層体の通気口に通じる外気導入口が設けられている。またキャップ本体の内側には、注出弁と一体になる空気弁を配置している。ここで空気弁は、通常時はキャップ本体の裏面に当接して通気口と外気導入口との間での空気の流通を遮断する一方、内部空間が減圧状態になるとキャップ本体の裏面から離反するように弾性変形して、通気口と外気導入口との間での空気の流通を許容するよう構成されている。
ところで空気弁がキャップ本体に対して密着しておらず、注出キャップの内側における気密性が不十分な場合は、外層体を押圧した際に内部空間の空気が外気導入口から漏れ出して充填空間を十分に加圧することができないため、内容液を意図した通りに注出させることが難しくなる。このためこのような二重容器用注出キャップにおいては、注出キャップ内の気密性を高めておく必要がある。一方、気密性が高すぎると、外層体が復元するにあたって外気導入口からスムーズに外気を導入することができず、元の形状に戻るまでに時間を要するなどの不具合が生じることになる。
また上記のような問題に加え、或いはこのような問題とは別に、内部空間に導入される空気の量や流速などによっては、外気をキャップ本体内に取り込む最中に空気弁がキャップ本体の裏面に対して当接したり離反したりを繰り返すことがある。そしてその際の空気弁の振動や、空気弁の振動に伴う周囲の空気の振動によって、音鳴りが発生することがある。
しかしながら従来の空気弁は、注出弁と一体的に形成されているため、内容液の吐出性や充填空間の遮蔽性に関する機能は維持しつつ、このような空気弁に絡む諸問題を改善することは困難であった。
このような問題を解決するべく、本発明は、注出弁に絡む性能は維持しながら空気弁に関する性能を改善することができる二重容器用注出キャップ、及び二重容器を提供することを目的とする。
本発明は、内容液を収容する充填空間を有する内層体と、該内層体との相互間に内部空間を区画するとともに該内部空間に通じる通気口を有する外層体とを備える容器本体に装着され、該外層体を押圧することによって該充填空間の内容液を注出口から注出させる二重容器用注出キャップであって、
前記通気口を覆って前記外層体に装着され、前記注出口を有するとともに前記通気口に通じる外気導入口を有するキャップ本体と、
前記キャップ本体の内側に設けられ、前記充填空間と前記注出口とを連通させる内容液用連通口を有する中栓と、
前記内容液用連通口を開閉可能であって、前記注出口から前記充填空間に向かう内容液の流通を遮断する一方、該充填空間から該注出口に向かう内容液の流通は許容する注出弁と、
前記キャップ本体、前記中栓、及び前記注出弁の少なくとも一つに対して当接及び離反可能であって、前記通気口から前記外気導入口に向かう空気の流通を遮断する一方、該外気導入口から該通気口に向かう空気の流通は許容する空気弁と、を備え、
前記空気弁は、前記注出弁を構成する素材よりも曲げ弾性率が小さい素材で構成される二重容器用注出キャップである。
前記注出弁は、前記内容液用連通口を取り囲んで前記中栓に保持される第一環状壁と、該第一環状壁の径方向内側において該第一環状壁に弾性的に支持されて該内容液用連通口を開閉可能な第一弁体と、該第一環状壁から径方向外側に向けて延在するフランジ部とを備え、
前記空気弁は、前記フランジ部よりも径方向外側に位置して前記中栓に保持される第二環状壁と、該第二環状壁から径方向内側に延在して該フランジ部に対して当接及び離反可能な第二弁体とを備えることが好ましい。
前記第二弁体は、前記第二環状壁の軸線方向中央部から径方向内側に延在するものであることが好ましい。
また本発明は、前記容器本体と上述した何れかの二重容器用注出キャップとで構成される二重容器でもある。
本発明の二重容器用注出キャップにおいて、空気弁は、キャップ本体、中栓、及び注出弁の少なくとも一つに対して当接及び離反可能であって、注出弁を構成する素材よりも曲げ弾性率が小さい素材で構成される。従って、空気弁の形状等を工夫してキャップ本体等に対する当接は十分に確保されるようにしつつ、外気を注出キャップ内に取り込む際には、素材自体の小さい曲げ弾性率でもって、キャップ本体等からより確実に離反させることができるため、内容液を注出させる際の操作性や外層体の復元性、音鳴りの問題などを解決することができる。また注出弁は、空気弁よりも曲げ弾性率が大きな素材で構成されているため、空気よりも流動抵抗が高い内容液の流れであっても応答性よく内容液用連通口を開閉することが可能であり、内容液の吐出性や充填空間の遮蔽性に関する機能を維持することができる。
本発明に従う二重容器の一実施形態を示した部分拡大断面図である。 図1に示す中栓、空気弁、注出弁、移動弁を組み立てる状況について示した断面図である。
以下、図1を参照して、本発明に従う二重容器の一実施形態について説明する。なお、本明細書等において、「上」方向、「下」方向とは、図1に示すように外層体(符号3)が下方に位置し、蓋体(符号10)が上方に位置する状態での向きをいう。
本実施形態の二重容器は、容器本体1(内層体2と外層体3で構成される)、注出キャップ4(中栓5、注出弁6、空気弁7、移動弁8、キャップ本体9で構成される)、及び蓋体10を備えている。
内層体2は、その内側に内容液を収容可能な充填空間Sを備えている。本実施形態の内層体2は、薄肉の合成樹脂製であって、減容変形可能に設けられている。
外層体3は、中心軸Oに沿って延在する筒状の口部3aを備えている。本実施形態の口部3aは、上端が開口する上部分3bに対し、下部分3cが大径に形成されている。また上部分3bの外周面には雄ねじ部3dが設けられている。更に上部分3bには、径方向に延在して上部分3bを貫通する通気口3eが設けられ、また通気口3eが開口する外周面には、上下方向に延在して雄ねじ部3dを分断する切欠き3fが設けられている。なお、図示は省略するが、口部3aの下方には筒状の胴部と、胴部の下端を閉鎖する底部が設けられていて、外層体3はボトル状の形態をなしている。また本実施形態の外層体3は合成樹脂製であって、胴部は可撓性を有している。
また内層体2と外層体3との相互間には、通気口3eに通じる内部空間Nが形成されている。
本実施形態における内層体2と外層体3は、相互に相溶性が低い合成樹脂を剥離可能に積層させたものである。内層体2を構成する合成樹脂としては、例えばナイロン樹脂(PA)、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)、変性ポリオレフィン樹脂(例えば三井化学株式会社製「アドマー」(登録商標)等)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)の他、ポリエチレン樹脂(PE)やポリプロピレン樹脂(PP)を採用することができる。また外層体3を構成する合成樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)をはじめとするポリエチレン樹脂(PE)の他、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)を採用することができる。なお内層体2と外層体3は、単一の合成樹脂によってそれぞれが単層構造となるように形成されるものでもよいし、複数の合成樹脂を重ね合わせてそれぞれが積層構造となるように形成されるものでもよい。このような内層体2と外層体3は、内層体2を形成する合成樹脂素材と外層体3を形成する合成樹脂素材とが積層されたパリソンを、ブロー成形することによって得ることができるが、他にも、内層体2の合成樹脂素材と外層体3の合成樹脂素材とを積層させた試験管状のプリフォームを準備し、このプリフォームを2軸延伸ブロー成形して形成することや、内層体及び外層体を個別に形成し、その後、内層体を外層体の内側に配置したものも用いることができる。また、図示は省略するが、内層体2と外層体3との間に、縦方向に延在して内層体2と外層体3とを部分的に接合する、1本或いは複数本の接着帯を設けてもよい。
中栓5は、口部3aの上方に位置して充填空間Sを閉鎖する隔壁5aを備えている。隔壁5aには、これを貫通する開口(内容液用連通口5b)と、全体として円筒状をなすとともに、上部に対して下部を縮径させた筒状壁5cが設けられている。
また、内容液用連通口5b及び筒状壁5cの径方向外側には、上方を開放した環状凹部5eが設けられていて、環状凹部5eの径方向外側における隔壁5aの下面には、内層体2と液密に当接する環状のシール壁5dが設けられている。更に、隔壁5aの外縁部には、上方に向けて延在する外縁壁5fが設けられている。そして、隔壁5aと外縁壁5fとの連結部において外縁壁5fの内側には、径方向に沿って延在するリブ5gが、周方向に間隔をあけて複数設けられている。また外縁壁5fの根元には、外縁壁5fを貫く連通開口5hが設けられている。なお連通開口5hは、上述した複数のリブ5gの相互間に設けられる隙間に連通している。また本実施形態の中栓5は、例えばポリプロピレン(PP)のような合成樹脂で形成されている。
注出弁6は、内容液の流れを規制する機能を有するものである。本実施形態の注出弁6は、中心軸Oを中心とする環状であって且つ下端部が環状凹部5eによって支持される環状壁(第一環状壁6a)を備えている。第一環状壁6aの径方向内側には、内容液用連通口5b及び筒状壁5cの上方に位置し、隔壁5aに着座して内容液用連通口5bを閉鎖する一方、筒状壁5cの一部は解放させたままとする板状の弁体(第一弁体6b)と、第一弁体6bと第一環状壁6aとを弾性的に連結する連結片6cとを備えている。注出弁6は、例えば3点弁や4点弁のように複数本の連結片6cによって第一弁体6bと第一環状壁6aとを連結するものに限られず、1点弁の如き一つの連結片6cによって第一弁体6bと第一環状壁6aとを連結するものでもよい。そして第一環状壁6aの上部には、径方向外側に向けて延在するリング状のフランジ部6dが設けられている。本実施形態の注出弁6は、軟質ポリエチレン(低密度ポリエチレン)で形成されている。
空気弁7は、空気の流れを規制する機能を有するものである。本実施形態の空気弁7は、中心軸Oを中心とする環状壁(第二環状壁7a)を備えている。第二環状壁7aは、図示したように外縁壁5fの径方向内側であって、リブ5gの上に載置される。そして第二環状壁7aの径方向内側には、板状をなし、第二環状壁7aの全周に亘って延在する弁体(第二弁体7b)が設けられている。また本実施形態の第二弁体7bは、中心軸Oに沿う向きにおいて第二環状壁7aの中央部に設けられていて、上下方向に対称形状をなすものである。また第二弁体7bの先端部は、通常においてフランジ部6dの下面に気密に当接している。なお第二弁体7bは弾性変形可能であって、その先端部は、後述するようにフランジ部6dの下面から離反することも可能である。
このような空気弁7は、注出弁6を構成する素材よりも曲げ弾性率が小さい(柔らかい)素材(例えばゴムやエラストマー(一例としてニトリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタン等))で構成されている。本実施形態では、注出弁6を構成する軟質ポリエチレンよりも曲げ弾性率が小さい素材を使用して空気弁7を形成している。なお、注出弁6を構成する素材と空気弁7を構成する素材における曲げ弾性率の大小は、同一形状のものを同一環境で試験した際の曲げ弾性率で判定するものとする。
移動弁8は、本実施形態では球状をなすものであって、筒状壁5c内に配置され、容器本体1の姿勢変更や充填空間Sの内圧に応じて筒状壁5cの内周面に沿って移動する。移動弁8は、図1に示すように容器本体1を正立姿勢にした状態においては、筒状壁5cの縮径した下部に着座して、筒状壁5cと充填空間Sとを非連通状態にしている。
キャップ本体9は、本実施形態では合成樹脂で形成されていて、注出弁6、及び空気弁7の上方に位置する天壁9aと、天壁9aの外縁に一体に連結するとともに口部3aを取り囲む外周壁9bとを備えている。外周壁9bの内周面には、雄ねじ部3dに適合する雌ねじ部9cが設けられている。
天壁9aの中央部には、天壁9aを貫く孔の縁部から上方に向けて延在し、その上部開口を内容液の注出口9dとする注出筒9eが設けられている。天壁9aの下面には、下方を開放するとともに第一環状壁6aの上端部を支持する環状凹部9fが設けられている。そして環状凹部9fの径方向外側には、天壁9aを上下方向に貫通する外気導入口9gが設けられている。また天壁9aの外縁部には、蓋体10を保持する爪部9hが設けられている。
蓋体10は、本実施形態では合成樹脂で形成されていて、天壁9aの上方に位置する頂壁10aと、頂壁10aに一体に連結する蓋体外周壁10bとを備えている。頂壁10aの下面には、注出筒9eの内側に挿入されるとともに注出筒9eの内面と気密に当接するシール筒10cが設けられている。蓋体外周壁10bの内周面には、爪部9hに係合する係合凸部10dが設けられている。また蓋体外周壁10bの外周面には、キャップ本体9の外周壁9bに一体に連結するヒンジ部10eが設けられている。なお、本実施形態の蓋体10はキャップ本体9と一体に連結するものであるが、キャップ本体9とは別異に設け、ねじやアンダーカットによってキャップ本体9に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
このような形態になる各部材において、中栓5、注出弁6、空気弁7、移動弁8は、図2に示すようにして組み立てることができる。具体的には、中栓5の筒状壁5cに移動弁8を挿入し、また空気弁7をリブ5gの上に載置した後、注出弁6の第一環状壁6aを環状凹部5eの内側に挿入する。このようにして組み立てることによって、これらを一つの部材として取り扱うことができる。また組み立て後の部材を上下逆さまにしても空気弁7及び移動弁8が脱落することがないため、作業性が向上する。また空気弁7の第二弁体7bは、第二環状壁7aの上下方向中央部に設けられていて、中栓5に対して上下方向の向きを問わずに取り付けることができるため、この点でも作業性に優れている。そして、このような組み立て後の部材をキャップ本体9の内側に挿入して嵌め合わせることによって、注出キャップ4とすることができる。なお、キャップ本体9はデザイン等によって複数種類準備されることがあるものの、上述した組み立て後の部材は共通のものを使うことができるという利点もある。
その後は、内容液を充填した容器本体1に注出キャップ4を装着することにより、図1に示す二重容器とすることができる。なお注出キャップ4の内側には、外気導入口9gから通気口3eまで連通する空気の通る通路(連通路)が形成されている。本実施形態の連通路は、外気導入口9gを通過し、フランジ部6dの下面から離反した第二弁体7bとフランジ部6dとの隙間を通り、複数のリブ5gの相互間に設けられる隙間及び連通開口5hを経由して、更に雄ねじ部3dと雌ねじ部9cとの間に形成される螺旋状の隙間(又は切欠き3fによる隙間)を経て通気口3eに至る通路である。
このような構成になる二重容器おいては、外層体3の胴部を押圧することによって内部空間Nが加圧され、これによって充填空間Sの圧力が高まるため、充填空間Sの内容液は、第一弁体6bを上昇させつつ、内容液用連通口5bから連結片6cの周囲の隙間を通って第一環状壁6aの内側に流れ込み、注出筒9eの内部を通って注出口9dから注出される。ここで、通気口3eと外気導入口9gとをつなぐ上述した連通路は、フランジ部6dの下面と第二弁体7bの先端部が気密に当接して非連通の状態になっているため、内部空間Nの空気が外界へ漏れ出すことはない。なお、筒状壁5c内の移動弁8は、内容液を注出させるべく容器本体1を傾倒姿勢に変位させた状態において、自重や筒状壁5cの下方側の開口から流入する内容液によって、第一弁体6b側(図1に破線で示す位置)に移動している。
その後、外層体3への押圧を解除して胴部が復元し始めると、内部空間Nの容積が増えることから内部空間Nは減圧状態になる。これにより、第二弁体7bの先端部がフランジ部6dの下面から離反するため、外気導入口9gから導入された空気は、上述した連通路を通って内部空間Nへ導入される。これにより内層体2を減容変形させたまま、外層体3を復元させることができる。本実施形態の空気弁7は、注出弁6を構成する素材よりも曲げ弾性率が小さく柔らかい素材で構成されているため、注出弁と空気弁を同一の素材で構成した従来のものに比して、空気が内部空間Nに導入されるにあたって第二弁体7bの先端部がフランジ部6dの下面から離反しやすくなっている。このため、例えば部品形状のばらつきや組み立て時のばらつき等によって、第二弁体7bの先端部がフランジ部6dの下面に想定以上に強く押し当たることがあっても、外層体3を安定性よく復元させることができる。また従来のものに比して、空気が内部空間Nに導入される際に第二弁体7bの先端部がフランジ部6dの下面に対して当接したり離反したりを繰り返すおそれが減るため、音鳴りの発生を抑えることができる。
また外層体3への押圧を解除した際は、充填空間Sの圧力が元の状態に戻って第一弁体6bが隔壁5aの上面に着座するため、内容液用連通口5bから充填空間Sへの外気の流れ込みを防止することができる。ここで、内容液の注出を終えて容器本体1を元の正立姿勢に変位させた際、移動弁8は、それ自身の自重や充填空間S内の圧力低下によって下方に移動する。これによって筒状壁5cの上方内側には、移動弁8が移動した分のスペースが形成されることになるため、このスペース分に相当する分の内容液を注出筒9eから筒状壁5c内へ引き戻すことができ(サックバック機能)、注出筒9eから液だれを有効に防止することができる。なお、下方に移動した移動弁8は、筒状壁5cの縮径した下部に着座するので、筒状壁5cから充填空間Sへの外気の流れ込みを防止することができる。
以上、本発明に従う二重容器用注出キャップ、及び二重容器について具体的な実施形態に沿って説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば空気弁7の機能を発揮させるには、上述したように一つの部材として取り扱うことができるという点で第二弁体7bの先端部をフランジ部6dの下面に当接させることが好ましいが、第二弁体7bの先端部をキャップ本体9の内面に当接させてもよいし、中栓5に当接させても(例えばフランジ部6dに準ずるものを中栓5に設ける)よい。また第二弁体7bは、上述した実施形態では第二環状壁7aの全周に亘って延在するリング状のものであったが、第二環状壁7aに対して周方向に部分的に設けつつ、その他の部位は密閉するように構成して空気弁7の機能を発揮させるようにしてもよい。
1:容器本体
2:内層体
3:外層体
3a:口部
3b:上部分
3c:下部分
3d:雄ねじ部
3e:通気口
3f:切欠き
4:注出キャップ
5:中栓
5a:隔壁
5b:内容液用連通口
5c:筒状壁
5d:シール壁
5e:環状凹部
5f:外縁壁
5g:リブ
5h:連通開口
6:注出弁
6a:第一環状壁
6b:第一弁体
6c:連結片
6d:フランジ部
7:空気弁
7a:第二環状壁
7b:第二弁体
8:移動弁
9:キャップ本体
9a:天壁
9b:外周壁
9c:雌ねじ部
9d:注出口
9e:注出筒
9f:環状凹部
9g:外気導入口
9h:爪部
10:蓋体
10a:頂壁
10b:蓋体外周壁
10c:シール筒
10d:係合凸部
10e:ヒンジ部
N:内部空間
O:中心軸
S:充填空間
本発明は、内容液を収容する充填空間を有する内層体と、該内層体との相互間に内部空間を区画するとともに該内部空間に通じる通気口を有する外層体とを備える容器本体に装着され、該外層体を押圧することによって該充填空間の内容液を注出口から注出させる二重容器用注出キャップであって、
前記通気口を覆って前記外層体に装着され、前記注出口を有するとともに前記通気口に通じる外気導入口を有するキャップ本体と、
前記キャップ本体の内側に設けられ、前記充填空間と前記注出口とを連通させる内容液用連通口を有する中栓と、
前記内容液用連通口を開閉可能であって、前記注出口から前記充填空間に向かう内容液の流通を遮断する一方、該充填空間から該注出口に向かう内容液の流通は許容する注出弁と、
記注出弁に対して当接及び離反可能であって、前記通気口から前記外気導入口に向かう空気の流通を遮断する一方、該外気導入口から該通気口に向かう空気の流通は許容する空気弁と、を備え、
前記キャップ本体は、前記注出弁、及び空気弁の上方に位置する天壁を有し、
前記注出弁は、前記内容液用連通口を取り囲んで前記中栓に保持される第一環状壁と、該第一環状壁の径方向内側において該第一環状壁に弾性的に支持されて該内容液用連通口を開閉可能な第一弁体と、該第一環状壁から径方向外側に向けて延在し前記天壁の下面に常時接触するフランジ部とを備え、
前記空気弁は、前記フランジ部よりも径方向外側に位置して前記中栓に保持される第二環状壁と、該第二環状壁から径方向内側に延在して該フランジ部の下面に対して当接及び離反可能であって該フランジ部よりも厚みが薄い第二弁体とを備え、前記注出弁を構成する素材よりも曲げ弾性率が小さい素材で構成され
前記外気導入口からの空気の導入時には、前記第二弁体は弾性変形して前記フランジ部から離反する二重容器用注出キャップである。

Claims (4)

  1. 内容液を収容する充填空間を有する内層体と、該内層体との相互間に内部空間を区画するとともに該内部空間に通じる通気口を有する外層体とを備える容器本体に装着され、該外層体を押圧することによって該充填空間の内容液を注出口から注出させる二重容器用注出キャップであって、
    前記通気口を覆って前記外層体に装着され、前記注出口を有するとともに前記通気口に通じる外気導入口を有するキャップ本体と、
    前記キャップ本体の内側に設けられ、前記充填空間と前記注出口とを連通させる内容液用連通口を有する中栓と、
    前記内容液用連通口を開閉可能であって、前記注出口から前記充填空間に向かう内容液の流通を遮断する一方、該充填空間から該注出口に向かう内容液の流通は許容する注出弁と、
    前記キャップ本体、前記中栓、及び前記注出弁の少なくとも一つに対して当接及び離反可能であって、前記通気口から前記外気導入口に向かう空気の流通を遮断する一方、該外気導入口から該通気口に向かう空気の流通は許容する空気弁と、を備え、
    前記空気弁は、前記注出弁を構成する素材よりも曲げ弾性率が小さい素材で構成される二重容器用注出キャップ。
  2. 前記注出弁は、前記内容液用連通口を取り囲んで前記中栓に保持される第一環状壁と、該第一環状壁の径方向内側において該第一環状壁に弾性的に支持されて該内容液用連通口を開閉可能な第一弁体と、該第一環状壁から径方向外側に向けて延在するフランジ部とを備え、
    前記空気弁は、前記フランジ部よりも径方向外側に位置して前記中栓に保持される第二環状壁と、該第二環状壁から径方向内側に延在して該フランジ部に対して当接及び離反可能な第二弁体とを備える請求項1に記載の二重容器用注出キャップ。
  3. 前記第二弁体は、前記第二環状壁の軸線方向中央部から径方向内側に延在するものである請求項2に記載の二重容器用注出キャップ。
  4. 前記容器本体と請求項1~3の何れか一項に記載の二重容器用注出キャップとで構成される二重容器。
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