JP2024013855A - クリーニング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットヘッドにおけるインクの吐出不良を低減できるクリーニング装置を提供する。【解決手段】インクジェット印刷装置1は、それぞれ異なる高さ位置に配置された複数のインクジェットヘッド11が共通のインクの供給元からのインクを加圧パージにより排出することで複数のインクジェットヘッド11に付着したインクを吸引する吸引機構5を備える。吸引機構5は、各インクジェットヘッド11に付着したインクを、各インクジェットヘッド11の高さ位置に応じた吸引力で吸引する。【選択図】図3
Description
本発明は、インクジェットヘッドをクリーニングするクリーニング装置に関する。
水平方向にインクを吐出可能にインクジェットヘッドを配置し、段ボール箱の側面のような、水平方向に直交する面に印刷するインクジェット印刷装置が知られている(特許文献1参照)。
このようなインクジェット印刷装置として、鉛直方向に沿って配置された複数のインクジェットヘッドを有し、印刷媒体を搬送しつつ、インクジェットヘッドから印刷媒体の水平方向に直交する面にインクを吐出して印刷するものがある。
ところで、インクジェット印刷装置におけるインクジェットヘッドのクリーニングとして、加圧パージによりインクジェットヘッドからインクを排出させ、その後、インクジェットヘッドに付着したインクを除去する動作が知られている。
また、上記のようなクリーニングにおいて、インクジェットヘッドに付着したインクを除去する方法の1つとして、インクジェットヘッドからインクを吸引して除去する方法が知られている。また、他の方法として、ファンによりインクジェットヘッドにエアを吹き付けてインクを吹き飛ばしてインクを除去する方法がある。
上述した鉛直方向に沿って配置された複数のインクジェットヘッドを有するインクジェット印刷装置では、複数のインクジェットヘッドの高さ位置がそれぞれ異なる。このため、各インクジェットヘッドに接続された共通のインクタンクと各インクジェットヘッドとの水頭差がそれぞれ異なる。これにより、各インクジェットヘッドのノズル圧がそれぞれ異なる。
このため、クリーニング時に加圧パージにより上述のインクタンクからのインクを各インクジェットヘッドから排出させると、排出されるインク量(パージインク量)がインクジェットヘッドごとに異なる。具体的には、低い位置に配置されているインクジェットヘッドほど、パージインク量が多くなり、インクジェットヘッドに付着するインク量が多くなる。
これに対し、各インクジェットヘッドからインクを吸引して除去する場合に、最も低い位置のインクジェットヘッドのパージインク量に合わせた吸引力でインクの吸引を行うと、比較的高い位置のインクジェットヘッドに対しては吸引力が過剰になることがある。
このため、比較的高い位置のインクジェットヘッドに対し、インクを過度に吸引することでノズルが乾燥してインク成分がノズルに残ることがある。この結果、インクがノズルに詰まり、インクの吐出不良が生じることがある。
また、インクジェットヘッドにエアを吹き付けてインクを吹き飛ばす場合に、最も低い位置のインクジェットヘッドのパージインク量に合わせた風量でインクを吹き飛ばすと、比較的高い位置のインクジェットヘッドに対しては風量が過剰になることがある。
このため、比較的高い位置のインクジェットヘッドに対し、インクを過度に吹き飛ばすことでノズルが乾燥し、上述したインクジェットヘッドからインクを吸引して除去する場合と同様に、インクの吐出不良が生じることがある。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、インクジェットヘッドにおけるインクの吐出不良を低減できるクリーニング装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のクリーニング装置は、それぞれ異なる高さ位置に配置された複数のインクジェットヘッドが共通のインクの供給元からのインクを加圧パージにより排出することで前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを除去するクリーニング機構を備え、前記クリーニング機構は、前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを、それぞれの前記インクジェットヘッドの高さ位置に応じてクリーニング度合いを変えて除去することを特徴とする。
本発明のクリーニング装置によれば、インクジェットヘッドにおけるインクの吐出不良を低減できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るクリーニング装置が設けられたインクジェット印刷装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1に示すインクジェット印刷装置の要部の概略構成図である。図3は、ラインヘッドおよび吸引機構の斜視図である。図4は、ラインヘッドのインクジェットヘッドの概略構成図である。図5は、吸引機構の断面図である。図6は、吸引機構の部分拡大断面図である。
以下の説明において、図2の紙面に直交する方向を前後方向とし、紙面表方向を前方とする。また、図2における紙面の上下左右を上下左右方向とする。上下方向は鉛直方向であり、左右方向および前後方向は、互いに直交し、かつ、いずれも上下方向に直交し、水平方向に平行な方向である。
図1、図2に示すように、本実施の形態に係るインクジェット印刷装置1は、ラインヘッド2A~2Dと、インク循環部3A~3Dと、インク補給部4A~4Dと、吸引機構(クリーニング機構に相当)5A~5Dと、圧力生成部6と、4本の加圧エア経路7と、4本の負圧エア経路8と、制御部9とを備える。なお、クリーニング装置は、吸引機構5A~5Dと制御部9とを備える。また、ラインヘッド2A~2D等の符号におけるアルファベットの添え字を省略して総括的に表記することがある。
ラインヘッド2A~2Dは、図示しない搬送部により搬送される印刷媒体の、水平方向に直交する被印刷面に対して水平方向にインクを吐出して画像を印刷する。ラインヘッド2A~2Dは、それぞれ異なる色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出する。ラインヘッド2A~2Dは、吐出するインクの色が異なる以外は、同様の構成を有する。
図2、図3に示すように、ラインヘッド2は、複数のインクジェットヘッド11を備える。本実施の形態では、ラインヘッド2は、6個のインクジェットヘッド11を備える。ラインヘッド2において、6個のインクジェットヘッド11は、上下方向に沿って千鳥状に配置されている。すなわち、ラインヘッド2において、それぞれ上下方向に沿って等ピッチで配置された3個のインクジェットヘッド11からなる2列のヘッド列12A,12Bが、前後方向に並列して、上下方向に半ピッチ分だけ互いにずれるように配置されている。このため、ラインヘッド2における6個のインクジェットヘッド11は、それぞれ異なる高さ位置に配置されている。
インクジェットヘッド11は、インクを吐出する。図4に示すように、インクジェットヘッド11は、ノズル列13を有する。なお、図4は、インクジェットヘッド11を左側から見た図である。
ノズル列13は、インクを吐出する複数のノズル14が上下方向に沿って直線状に所定のピッチで配列されて形成されている。
ノズル14は、インクジェットヘッド11のノズル面11aに開口している。ノズル14は、ノズル面11aに対して直交する方向にインクを吐出する。
インク循環部3A~3Dは、インクを循環しつつ、それぞれラインヘッド2A~2Dにインクを供給する。図2に示すように、インク循環部3は、加圧タンク21と、加圧タンク液面センサ22と、分配器23と、集合器24と、負圧タンク25と、負圧タンク液面センサ26と、インクポンプ27と、インク温度調整部28と、インク温度センサ29と、インク循環管30~32とを備える。
加圧タンク21は、ラインヘッド2に供給するインクを貯留する。加圧タンク21は、ラインヘッド2の各インクジェットヘッド11に共通のインクの供給元である。加圧タンク21は、インク循環管30および分配器23を介してラインヘッド2に接続されている。加圧タンク21には、圧力生成部6により、ラインヘッド2にインクを送液するための正圧が付与される。加圧タンク21は、ラインヘッド2より低い位置に配置されている。
加圧タンク液面センサ22は、加圧タンク21内のインクの液面高さが基準高さに達しているか否かを検出するためのものである。加圧タンク液面センサ22は、加圧タンク21内の液面高さが基準高さ以上である場合に「オン」を示す信号を出力し、基準高さ未満である場合に「オフ」を示す信号を出力する。
分配器23は、インク循環管30を介して加圧タンク21から供給されるインクを、ラインヘッド2の各インクジェットヘッド11に分配する。
集合器24は、ラインヘッド2で消費されなかったインクを各インクジェットヘッド11から集める。集合器24により集められたインクは、インク循環管31を介して負圧タンク25へと流れる。
負圧タンク25は、ラインヘッド2で消費されなかったインクを受け取って貯留する。負圧タンク25は、集合器24およびインク循環管31を介してラインヘッド2に接続されている。また、負圧タンク25は、後述するインク補給部4のインクカートリッジ46から補給されるインクを貯留する。負圧タンク25には、圧力生成部6により、ラインヘッド2からインクを回収するための負圧が付与される。負圧タンク25は、加圧タンク21と同形状のタンクで構成され、加圧タンク21と同じ高さ位置に配置されている。
負圧タンク液面センサ26は、負圧タンク25内のインクの液面高さが基準高さに達しているか否かを検出するためのものである。負圧タンク25における基準高さは、加圧タンク21における基準高さと同じである。負圧タンク液面センサ26は、負圧タンク25内の液面高さが基準高さ以上である場合に「オン」を示す信号を出力し、基準高さ未満である場合に「オフ」を示す信号を出力する。
インクポンプ27は、負圧タンク25から加圧タンク21へインクを送液する。インクポンプ27は、インク循環管32の途中に設けられている。
インク温度調整部28は、インク循環部3におけるインクの温度を調整する。インク温度調整部28は、インク循環管30の途中に設けられている。インク温度調整部28は、ヒータ41と、ヒータ温度センサ42と、ヒートシンク43と、冷却ファン44とを備える。
ヒータ41は、インク循環管30内のインクを加熱する。ヒータ温度センサ42は、ヒータ41の温度を検出する。ヒートシンク43は、放熱によりインク循環管30内のインクを冷却する。冷却ファン44は、ヒートシンク43に冷却風を送る。
インク温度センサ29は、インク循環部3におけるインクの温度を検出する。インク温度センサ29は、インク循環管30の途中に設けられている。
インク循環管30は、加圧タンク21と分配器23とを接続する。インク循環管30の一部は、ヒータ41を経由する部分とヒートシンク43を経由する部分とに分岐している。インク循環管30には、加圧タンク21から分配器23に向かってインクが流れる。インク循環管31は、集合器24と負圧タンク25とを接続する。インク循環管31には、集合器24から負圧タンク25に向かってインクが流れる。インク循環管32は、負圧タンク25と加圧タンク21とを接続する。インク循環管32には、負圧タンク25から加圧タンク21に向かってインクが流れる。インク循環管30~32と分配器23と集合器24とにより、加圧タンク21とラインヘッド2と負圧タンク25との間でインクを循環させる循環経路が構成される。
インク補給部4A~4Dは、それぞれインク循環部3A~3Dにインクを補給する。図2に示すように、インク補給部4は、インクカートリッジ46と、インク補給弁47と、インク補給管48とを備える。
インクカートリッジ46は、ラインヘッド2による印刷に用いるインクを収容している。インクカートリッジ46内のインクは、インク補給管48を介してインク循環部3の負圧タンク25に供給される。
インク補給弁47は、インク補給管48内のインクの流路を開閉する。負圧タンク25へインクを補給する際、インク補給弁47が開かれる。
インク補給管48は、インクカートリッジ46と負圧タンク25とを接続する。インク補給管48には、インクカートリッジ46から負圧タンク25に向かってインクが流れる。
吸引機構5A~5Dは、それぞれラインヘッド2A~2Dの各インクジェットヘッド11がクリーニング時において加圧パージによりインクを排出することで各インクジェットヘッド11に付着したインクを吸引する。
吸引機構5A~5Dは、それぞれラインヘッド2A~2Dの各インクジェットヘッド11からインクを吸引するためのクリーニング位置と、クリーニング位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されている。吸引機構5A~5Dのクリーニング位置は、後述する各ヘッド経路71の吸引口71aが各インクジェットヘッド11に対向し、インク受け部材55がノズル面11aに当接する位置である。吸引機構5A~5Dは、インクジェットヘッド11のクリーニング時以外は、退避位置に配置されている。
図3、図5に示すように、吸引機構5は、吸引経路51と、ファン52と、フィルタ53と、6つの調整部(調整手段に相当)54と、6つのインク受け部材55とを備える。
吸引経路51は、ファン52の駆動により発生する吸引エアの流路を形成する。吸引経路51は、共通経路61と、ヘッド列経路62A,62Bとを備える。
共通経路61は、前側のヘッド列12Aの各インクジェットヘッド11からインクを吸引する吸引エアと、後側のヘッド列12Bの各インクジェットヘッド11からインクを吸引する吸引エアとに共通の流路を形成する。共通経路61の一端(左端)にはファン52が接続され、他端(右端)にはヘッド列経路62A,62Bが接続されている。
ヘッド列経路62A,62Bは、それぞれ前側のヘッド列12A、後側のヘッド列12Bの各インクジェットヘッド11からインクを吸引する吸引エアの流路を形成する。ヘッド列経路62は、ヘッド経路71A~71Cと、合流経路72とを備える。
ヘッド経路71A~71Cは、それぞれヘッド列12における上段のインクジェットヘッド11、中段のインクジェットヘッド11、下段のインクジェットヘッド11からインクを吸引する吸引エアの流路を形成する。
ここで、ヘッド列12における上段のインクジェットヘッド11は、最も高い位置にあるインクジェットヘッド11であり、下段のインクジェットヘッド11は、最も低い位置にあるインクジェットヘッド11である。中段のインクジェットヘッド11は、上下方向において、上段のインクジェットヘッド11と下段のインクジェットヘッド11との間に配置されたインクジェットヘッド11である。
ヘッド経路71の右端は吸引口71aになっており、左端は合流経路72に接続されている。吸引口71aは、インクジェットヘッド11に付着したインクをエアとともに吸引するための開口部である。
合流経路72は、ヘッド経路71A~71Cから共通経路61へ流れる吸引エアの流路を形成する。合流経路72には、ヘッド経路71A~71Cが上下方向に間隔を空けて接続されている。合流経路72の一端(上端)はヘッド経路71Aに接続され、他端(下端)は共通経路61に接続されている。
ここで、ヘッド列経路62A,62Bにおいて、ヘッド経路71A~71Cは、それぞれに対応するインクジェットヘッド11の高さ位置に応じた位置に配置されている。すなわち、吸引機構5がクリーニング位置に配置された状態において、ヘッド列経路62Aのヘッド経路71A~71Cがそれぞれ前側のヘッド列12Aの上段、中段、下段のインクジェットヘッド11と同じ高さ位置に配置されるようになっている。また、吸引機構5がクリーニング位置に配置された状態において、ヘッド列経路62Bのヘッド経路71A~71Cがそれぞれ後側のヘッド列12Bの上段、中段、下段のインクジェットヘッド11と同じ高さ位置に配置されるようになっている。このため、ヘッド列経路62Bにおいては、合流経路72の下端とヘッド経路71Cまでの距離が、ヘッド列経路62Aにおける当該距離よりも長くなっている。
ファン52は、吸引機構5が各インクジェットヘッド11に付着したインクを吸引するための吸引エアを発生させる。ファン52は、共通経路61の一端(左端)に接続されている。
フィルタ53は、吸引により各インクジェットヘッド11から除去されたインクを吸収して保持する。フィルタ53は、共通経路61内においてファン52の近傍に配置されている。フィルタ53は、インクを吸収可能なスポンジ等の材料からなる。
調整部54は、制御部9の制御により、インクの温度(粘度)に応じて吸引機構5によるインクの吸引力(クリーニング度合い)を調整するものである。調整部54は、吸引機構5における吸引エアの流路の断面積を調整することで、吸引力を調整するものである。6つの調整部54が吸引機構5に設けられており、ヘッド列経路62A,62Bのそれぞれに、調整部54が3つずつ配置されている。
図5に示すように、ヘッド列経路62において、3つの調整部54が合流経路72内に配置されている。調整部54は、合流経路72内において、ヘッド経路71Aとヘッド経路71Bとの間、ヘッド経路71Bとヘッド経路71Cとの間、およびヘッド経路71Cと合流経路72の下端との間に1つずつ配置されている。調整部54は、図示しないモータ等を含む駆動機構により、合流経路72内の吸引エアの流路の断面積を調整可能に構成されている。
インク受け部材55は、クリーニング時において加圧パージによりインクジェットヘッド11が排出したインクを受けるものである。6つのインク受け部材55が吸引機構5に設けられており、各ヘッド経路71にインク受け部材55が1つずつ設けられている。すなわち、インク受け部材55は、インクジェットヘッド11ごとに設けられている。
図6に示すように、インク受け部材55は、ヘッド経路71の吸引口71aの下縁に沿って配置された底面部55aと、吸引口71aの側縁の下部に沿って配置された側面部55bとを備える。側面部55bは、吸引口71aの前側の側縁の下部と後側の側縁の下部との2箇所に配置されている。
インク受け部材55の底面部55aは、インク受け部材55がインクジェットヘッド11のノズル面11aに当接したときに、インクジェットヘッド11の最も下にあるノズル14より下方に位置する。
圧力生成部6は、インク循環部3の加圧タンク21および負圧タンク25にインク循環のための圧力を生成する。具体的には、圧力生成部6は、インク循環時(印刷動作時)において、負圧エア経路8を介して負圧タンク25から空気を吸引するとともに、加圧エア経路7を介して加圧タンク21に空気を送ることで、加圧タンク21に正圧を付与し、負圧タンク25に負圧を付与する。また、圧力生成部6は、インクジェットヘッド11のクリーニング時における加圧パージのための正圧(パージ圧)をインク循環部3の加圧タンク21に付与する。圧力生成部6は、インク循環部3A~3Dに共通のものである。
加圧エア経路7は、圧力生成部6と加圧タンク21のインクの液面上の空気層とを接続する。加圧エア経路7は、インク循環部3A~3Dのそれぞれに1本ずつ対応して設けられている。
負圧エア経路8は、圧力生成部6と負圧タンク25のインクの液面上の空気層とを接続する。負圧エア経路8は、インク循環部3A~3Dのそれぞれに1本ずつ対応して設けられている。
制御部9は、インクジェット印刷装置1の各部の動作を制御する。制御部9は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク等を備えて構成される。
制御部9は、吸引機構5A~5Dのそれぞれについて、それぞれに対応するインク循環部3A~3Dにおけるインクの温度と各調整部54において設定する吸引エアの流路の断面積とを関連付けた吸引力調整テーブル(図示せず)を記憶している。
ここで、上述した吸引力調整テーブルにおける、各調整部54において設定する吸引エアの流路の断面積は、インクの温度が同じであれば、吸引機構5がクリーニング位置に配置された状態において高い位置にある吸引口71aほど、吸引力が弱くなるように設定されている。また、各調整部54において設定する吸引エアの流路の断面積は、各吸引口71aにおいて、インクの温度が高いほど、すなわちインクの粘度が低いほど、吸引力が弱くなるように設定されている。
制御部9は、インクジェットヘッド11のクリーニング時において、インク循環部3A~3Dにおいてインク温度センサ29により検出されたインクの温度に基づき、上述した吸引力調整テーブルを参照して、各調整部54を制御する。
これにより、制御部9は、インクジェットヘッド11のクリーニング時において、各インクジェットヘッド11に付着したインクを、各インクジェットヘッド11の高さ位置に応じた吸引力で吸引するよう吸引機構5A~5Dを制御する。また、制御部9は、インク循環部3A~3Dのインクの温度に応じて、すなわちインクの粘度に応じて、各インクジェットヘッド11からインクを吸引する吸引力を調整するよう吸引機構5A~5Dの各調整部54を制御する。
次に、インクジェット印刷装置1の動作について説明する。
印刷ジョブが入力されると、制御部9は、インク循環部3A~3Dでのインク循環を開始させる。具体的には、制御部9は、圧力生成部6により、インク循環部3A~3Dの加圧タンク21、負圧タンク25にインク循環のための設定圧をそれぞれ生成させる。これにより、インク循環部3A~3Dにおけるインク循環が開始され、加圧タンク21からラインヘッド2を経由して負圧タンク25へインクが流れる。
インク循環が開始されると、制御部9は、印刷ジョブの実行を開始する。具体的には、制御部9は、図示しない搬送部により印刷媒体を搬送しつつ、ラインヘッド2A~2Dの各インクジェットヘッド11から水平方向にインクを吐出して印刷媒体の被印刷面に画像を印刷するよう制御する。
印刷ジョブの実行中は、加圧タンク21からラインヘッド2へインクが供給され、ラインヘッド2で消費されなかったインクが負圧タンク25に回収される。加圧タンク液面センサ22がオフで負圧タンク液面センサ26がオンの状態になると、制御部9は、インクポンプ27を駆動させる。これにより、負圧タンク25から加圧タンク21へインクが送液される。加圧タンク21がオンになると、制御部9は、インクポンプ27を停止させる。このようにしてインクが循環されつつ、印刷が行われる。
また、加圧タンク液面センサ22および負圧タンク液面センサ26がともにオフになると、制御部9は、インク補給弁47を開放する。これにより、インクカートリッジ46から負圧タンク25へインクが補給される。負圧タンク液面センサ26がオンになると、制御部9は、インク補給弁47を閉鎖する。
また、制御部9は、インク循環中は、インク温度センサ29が検出するインクの温度が適正温度範囲内を維持するように、インク温度調整部28を制御してインクの温度の調整を行う。
印刷ジョブに基づく印刷が終了すると、制御部9は、圧力生成部6を制御してインク循環部3A~3Dにおけるインク循環を終了させる。
次に、インクジェット印刷装置1においてインクジェットヘッド11をクリーニングする動作について説明する。
まず、制御部9は、吸引機構5A~5Dを退避位置からクリーニング位置へ移動させる。吸引機構5A~5Dがクリーニング位置に配置されると、図5に示すように、各ヘッド経路71の吸引口71aが各インクジェットヘッド11に対向し、インク受け部材55がノズル面11aに当接する。
次いで、制御部9は、圧力生成部6を制御して、インク循環部3A~3Dの加圧タンク21にパージ圧を付与する。これにより、各インクジェットヘッド11のノズル14からインクが押し出される加圧パージが行われる。そして、図5に示すように、加圧パージによりノズル14から排出されたインク81がノズル面11aに付着する。ノズル面11aに付着したインク81のうち、ノズル面11aに沿って下降してインク受け部材55に到達したインク81がある場合は、そのインク81はインク受け部材55に受けられる。
ここで、前述のように、ラインヘッド2の各インクジェットヘッド11は、それぞれ高さ位置が異なる。このため、各インクジェットヘッド11は、加圧タンク21および負圧タンク25との水頭差がそれぞれ異なる。これにより、各インクジェットヘッド11のノズル圧がそれぞれ異なる。
このため、加圧パージにより加圧タンク21からのインクを各インクジェットヘッド11から排出させると、各ラインヘッド2において、排出されるインク量(パージインク量)がインクジェットヘッド11ごとに異なる。具体的には、低い位置に配置されているインクジェットヘッド11ほど、パージインク量が多くなり、ノズル面11aに付着するインク量が多くなる。
また、制御部9は、インク循環部3A~3Dのインク温度センサ29からインク循環部3A~3Dのそれぞれにおけるインクの温度を取得する。そして、制御部9は、インク循環部3A~3Dにおけるインクの温度に基づき、前述の吸引力調整テーブルを参照して、各調整部54における吸引エアの流路の断面積を調整する。
次いで、制御部9は、ファン52の駆動を開始させる。これにより、図5に示すように、共通経路61およびヘッド列経路62において吸引エアによる気流Fが発生する。これにより、吸引機構5A~5Dが、各インクジェットヘッド11のノズル面11aに付着したインク81を各吸引口71aから吸引する。
上述のように各調整部54における吸引エアの流路の断面積が調整されているため、高い位置にあるヘッド経路71ほど気流Fが弱く、吸引力が弱い。これにより、高い位置にあるインクジェットヘッド11ほどパージインク量が少ないのに対し、パージインク量に応じた吸引力でインクの吸引が行われ、過度な吸引力でインクを吸引することが抑えられる。
また、インク受け部材55がノズル面11aに当接しているため、吸引口71aがノズル面11aに密着することなく、吸引口71aとノズル面11aとの間の隙間を介してインクの吸引が行われる。このため、吸引機構5A~5Dがインクを過剰に吸引してノズル14が乾燥することが抑えられる。
ファン52の駆動開始から所定時間が経過すると、制御部9は、ファン52を停止させる。この後、制御部9は、吸引機構5A~5Dをクリーニング位置から退避位置へ移動させる。これにより、インクジェットヘッド11をクリーニングする動作が終了となる。
以上説明したように、インクジェット印刷装置1では、インクジェットヘッド11のクリーニング時において、吸引機構5は、各インクジェットヘッド11に付着したインクを、各インクジェットヘッド11の高さ位置に応じた吸引力で吸引する。これにより、インクジェットヘッド11ごとに当該インクジェットヘッド11の高さ位置に応じてパージインク量が異なるのに対し、過度な吸引力でインクを吸引することが抑えられる。このため、ノズル14が乾燥してインク成分がノズル14に残ることが低減するので、インクがノズル14に詰まることを低減できる。この結果、インクジェットヘッド11におけるインクの吐出不良を低減できる。
また、吸引機構5は、インク受け部材55を有するので、加圧パージによりインクジェットヘッド11から排出されたインクが垂れ落ちることが抑えられる。
また、吸引機構5は、インク循環部3のインクの温度(粘度)に応じて吸引力を調整するための調整部54を有する。これにより、吸引機構5によるインクの吸引力に対する吸引量に影響するインクの粘度に応じた吸引力でインクを吸引できる。これにより、インクの過剰な吸引や吸引不足を抑制できる。
また、調整部54は、吸引機構5における吸引エアの流路の断面積を調整することで、吸引力を調整するものである。このため、ファン52の風量調整を行うことなく容易に吸引力を調整できる。
なお、上述した実施の形態では、インクの粘度に応じて調整部54により吸引機構5の吸引力を調整したが、これに限らず、インクの特性に応じて吸引機構5の吸引力を調整するものであればよい。例えば、インクの表面張力や密度に応じて吸引機構5の吸引力を調整するようにしてもよい。
また、調整部54を省略し、各インクジェットヘッド11の高さ位置(パージインク量)に応じた吸引力でインクを吸引できるよう吸引経路51を構成してもよい。
また、上述した実施の形態では、吸引経路51の共通経路61に接続された1つのファン52により、インクジェットヘッド11ごとに設けられた吸引口71aからインクを吸引する構成を示した。しかし、インクジェットヘッド11ごとに個別の吸引エアの経路とファンとを設けた構成としてもよい。この場合において、吸引力の調整手段としてファンを用いてもよい。すなわち、インクの特性に応じてインクジェットヘッド11ごとのファンの風量を個別に調整することで、吸引力を調整してもよい。
また、上述した実施の形態では、吸引機構5によりインクジェットヘッド11に付着したインクを吸引して除去する構成を示したが、インクジェットヘッド11に付着したインクを除去するクリーニング機構は、これに限らない。インクジェットヘッド11に付着したインクを除去してクリーニングするものであって、各インクジェットヘッド11の高さ位置に応じてクリーニング度合いを変えてインクを除去するものであればよい。
例えば、ファンによりインクジェットヘッド11にエアを吹き付けてインクを吹き飛ばしてインクを除去する機構であって、各インクジェットヘッド11の高さ位置に応じてエアの風量を変えてインクを除去するものでもよい。この場合、高い位置にあるインクジェットヘッド11ほどエアの風量を小さくする。これにより、インクを過剰に吹き飛ばすことでノズルが乾燥してインクがノズルに詰まることによるインクの吐出不良を低減できる。また、この場合において、インクの特性に応じてエアの風量を調整するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、複数のインクジェットヘッド11が鉛直方向(上下方向)に沿って配置された構成を示した。しかし、これに限らず、複数のインクジェットヘッドがそれぞれ異なる高さ位置に配置されたものであればよい。
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
[付記]
本出願は、以下の発明を開示する。
本出願は、以下の発明を開示する。
(付記1)
それぞれ異なる高さ位置に配置された複数のインクジェットヘッドが共通のインクの供給元からのインクを加圧パージにより排出することで前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを除去するクリーニング機構を備え、
前記クリーニング機構は、前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを、それぞれの前記インクジェットヘッドの高さ位置に応じてクリーニング度合いを変えて除去することを特徴とするクリーニング装置。
それぞれ異なる高さ位置に配置された複数のインクジェットヘッドが共通のインクの供給元からのインクを加圧パージにより排出することで前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを除去するクリーニング機構を備え、
前記クリーニング機構は、前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを、それぞれの前記インクジェットヘッドの高さ位置に応じてクリーニング度合いを変えて除去することを特徴とするクリーニング装置。
(付記2)
前記クリーニング機構は、前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを、それぞれの前記インクジェットヘッドの高さ位置に応じた吸引力で吸引して除去するものであることを特徴とする付記1に記載のクリーニング装置。
前記クリーニング機構は、前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを、それぞれの前記インクジェットヘッドの高さ位置に応じた吸引力で吸引して除去するものであることを特徴とする付記1に記載のクリーニング装置。
(付記3)
前記クリーニング機構は、前記インクジェットヘッドごとに設けられ、前記インクジェットヘッドが排出したインクを受ける複数のインク受け部材を有することを特徴とする付記2に記載のクリーニング装置。
前記クリーニング機構は、前記インクジェットヘッドごとに設けられ、前記インクジェットヘッドが排出したインクを受ける複数のインク受け部材を有することを特徴とする付記2に記載のクリーニング装置。
(付記4)
前記クリーニング機構は、インク特性に応じて吸引力を調整するための調整手段を有することを特徴とする付記2または3に記載のクリーニング装置。
前記クリーニング機構は、インク特性に応じて吸引力を調整するための調整手段を有することを特徴とする付記2または3に記載のクリーニング装置。
(付記5)
前記調整手段は、前記クリーニング機構における吸引エアの流路の断面積を調整するものであることを特徴とする付記4に記載のクリーニング装置。
前記調整手段は、前記クリーニング機構における吸引エアの流路の断面積を調整するものであることを特徴とする付記4に記載のクリーニング装置。
1 インクジェット印刷装置
2,2A~2D ラインヘッド
3,3A~3D インク循環部
4,4A~4D インク補給部
5,5A~5D 吸引機構
6 圧力生成部
7 加圧エア経路
8 負圧エア経路
9 制御部
11 インクジェットヘッド
11a ノズル面
12,12A,12B ヘッド列
13 ノズル列
14 ノズル
21 加圧タンク
22 加圧タンク液面センサ
23 分配器
24 集合器
25 負圧タンク
26 負圧タンク液面センサ
27 インクポンプ
28 インク温度調整部
29 インク温度センサ
30~32 インク循環管
51 吸引経路
52 ファン
53 フィルタ
54 調整部
55 インク受け部材
61 共通経路
62,62A,62B ヘッド列経路
71,71A~71C ヘッド経路
71a 吸引口
72 合流経路
2,2A~2D ラインヘッド
3,3A~3D インク循環部
4,4A~4D インク補給部
5,5A~5D 吸引機構
6 圧力生成部
7 加圧エア経路
8 負圧エア経路
9 制御部
11 インクジェットヘッド
11a ノズル面
12,12A,12B ヘッド列
13 ノズル列
14 ノズル
21 加圧タンク
22 加圧タンク液面センサ
23 分配器
24 集合器
25 負圧タンク
26 負圧タンク液面センサ
27 インクポンプ
28 インク温度調整部
29 インク温度センサ
30~32 インク循環管
51 吸引経路
52 ファン
53 フィルタ
54 調整部
55 インク受け部材
61 共通経路
62,62A,62B ヘッド列経路
71,71A~71C ヘッド経路
71a 吸引口
72 合流経路
Claims (5)
- それぞれ異なる高さ位置に配置された複数のインクジェットヘッドが共通のインクの供給元からのインクを加圧パージにより排出することで前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを除去するクリーニング機構を備え、
前記クリーニング機構は、前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを、それぞれの前記インクジェットヘッドの高さ位置に応じてクリーニング度合いを変えて除去することを特徴とするクリーニング装置。 - 前記クリーニング機構は、前記複数のインクジェットヘッドに付着したインクを、それぞれの前記インクジェットヘッドの高さ位置に応じた吸引力で吸引して除去するものであることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
- 前記クリーニング機構は、前記インクジェットヘッドごとに設けられ、前記インクジェットヘッドが排出したインクを受ける複数のインク受け部材を有することを特徴とする請求項2に記載のクリーニング装置。
- 前記クリーニング機構は、インク特性に応じて吸引力を調整するための調整手段を有することを特徴とする請求項2または3に記載のクリーニング装置。
- 前記調整手段は、前記クリーニング機構における吸引エアの流路の断面積を調整するものであることを特徴とする請求項4に記載のクリーニング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022116252A JP2024013855A (ja) | 2022-07-21 | 2022-07-21 | クリーニング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022116252A JP2024013855A (ja) | 2022-07-21 | 2022-07-21 | クリーニング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2024013855A true JP2024013855A (ja) | 2024-02-01 |
Family
ID=89718821
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2022116252A Pending JP2024013855A (ja) | 2022-07-21 | 2022-07-21 | クリーニング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2024013855A (ja) |
-
2022
- 2022-07-21 JP JP2022116252A patent/JP2024013855A/ja active Pending
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