以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
なお、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「等しい」等の用語や寸法、物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(第1の実施の形態)
まず、図1~図7を用いて、本発明の第1の実施の形態における力覚センサについて説明する。
まず、力覚センサ10を取り付けるロボット1について、図1を参照して説明する。ロボット1の例としては、産業用ロボット、協働ロボット、生活支援ロボット、医療用ロボットおよびサービスロボット等の各種ロボットが挙げられる。以下では、産業用ロボットを例にとって説明する。図1は、本実施の形態における力覚センサが適用されるロボット1の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、産業用ロボット1は、ロボット本体2と、ツール3と、力覚センサ10と、コントローラ5と、を備えている。ロボット本体2は、ロボットアーム4を含んでいる。ロボットアーム4は、多関節アーム構造を有している。
ロボットアーム4の先端に、力覚センサ10が取り付けられている。より具体的には、ロボットアーム4の先端に、ツール3が取り付けられている。ロボットアーム4とツール3との間に、力覚センサ10が取り付けられている。力覚センサ10は、図示しない電気ケーブルを介して、コントローラ5に電気的に接続されている。ツール3の例としては、グリッパーおよびツールチェンジャー(いずれも図示せず)等が挙げられる。
コントローラ5は、力覚センサ10から出力された電気信号に基づいて、ロボット1の力制御を行う。このことにより、ロボット本体2およびツール3の動作が制御される。
以下、図2~図5を参照して本実施の形態による力覚センサについて説明する。図2は、第1の実施の形態による力覚センサ10を示す断面図である。図3は、図2の力覚センサ10を示す平面図である。図4は、図2の第1起歪体40Aを示す正面図である。図5は、図3に示す力覚センサ10の各起歪体40A~40Dを平面展開した図である。
以下の説明では、XYZ三次元座標系を定義し、Z軸方向(第1方向)を上下方向とし、受力体20が上側に配置され、支持体30が下側に配置されるように力覚センサ10を配置した状態で説明を行う。このため、本実施の形態における力覚センサ10は、Z軸方向を上下方向とした姿勢で使用されることに限られることはない。また、受力体20と支持体30のいずれを上側または下側に配置するかは任意である。
力覚センサ10は、所定の軸方向に作用した力および所定の回転軸まわりに作用したモーメント(トルク)を電気信号として出力する機能を有している。しかしながら、このことに限られることはなく、力およびモーメントの一方のみを電気信号として出力するように構成されていてもよく、更には、力またはモーメントの少なくとも1つの軸成分を電気信号として出力するように構成されていてもよい。
力覚センサ10は、図2および図3に示すように、受力体20と、支持体30と、起歪体40A~40Dと、検出素子60と、検出回路70と、外装体80と、を備えている。以下、各構成要素についてより詳細に説明する。
受力体20は、検出対象となる力またはモーメントの作用を受ける。この作用を受けることにより、受力体20は支持体30に対して相対移動する。上述した図1の例では、受力体20は、ツール3にボルト等で固定されており、ツール3から力またはモーメントを受ける。
受力体20は、X軸方向およびY軸方向に沿って形成されている。図3に示すように、受力体20は、受力体中心開口20aを含んでいてもよい。この場合、受力体20の平面形状は、概略的に円形リング形状であってもよい。図2では、受力体中心開口20aを省略している。また、受力体20は、平板状に形成されていてもよい。
図2に示すように、支持体30は、受力体20を支持している。支持体30は、Z軸方向において受力体20の負側に配置されている。受力体20と支持体30は、Z軸方向において互いに異なる位置に配置されており、支持体30は、受力体20から離れている。図1の例では、支持体30は、ロボットアーム4の先端にボルト等で固定されており、ロボット本体2に支持される。
支持体30は、X軸方向およびY軸方向に沿って形成されている。図3に示すように、支持体30は、支持体中心開口30aを含んでいてもよい。この場合、支持体30の平面形状は、概略的に円形リング形状であってもよい。平面視で、支持体中心開口30aは、受力体中心開口20aと重なっていてもよい。図2では、支持体中心開口30aを省略している。また、支持体30は、平板状に形成されていてもよい。
なお、受力体20の平面形状および支持体30の平面形状のうちの少なくとも一方は、円形リング形状以外の平面形状であってもよい。この場合、受力体20の平面形状および支持体30の平面形状のうちの一方が円形で、他方が円形以外の形状であってもよい。例えば、受力体20の平面形状は、受力体中心開口20aを含まない円形形状であってもよい。あるいは、受力体20の平面形状は、矩形状(例えば、長方形若しくは正方形)であってもよい。支持体30の平面形状も同様である。
図2および図3に示すように、起歪体40A~40Dは、受力体20と支持体30とを接続している。起歪体40A~40Dは、受力体20と支持体30との間に配置されており、受力体20に接続されるとともに支持体30に接続されている。受力体20は、起歪体40A~40Dを介して支持体30に支持されている。
本実施の形態においては、受力体20と支持体30とは、4つの起歪体40A~40Dで接続されている。4つの起歪体40A~40Dは、第1起歪体40Aと、第2起歪体40Bと、第3起歪体40Cと、第4起歪体40Dと、を含んでいる。図3に示すように、Z軸方向で見たときに、受力体20の中心Oに対してY軸方向負側に第1起歪体40Aが配置されている。同様にZ軸方向で見たときに、受力体20の中心Oに対してX軸方向正側に第2起歪体40Bが配置され、受力体20の中心Oに対してY軸方向正側に第3起歪体40Cが配置されている。受力体20の中心Oに対してX軸方向負側に第4起歪体40Dが配置されている。言い換えると、第1起歪体40Aと第3起歪体40Cとの間に、受力体20の中心Oが配置され、第2起歪体40Bと第4起歪体40Dとの間に、受力体20の中心Oが配置されている。なお、受力体20と支持体30とを接続する起歪体の個数は、4つに限られることはなく、2つまたは3つでもよく、5つ以上でもよく、任意である。また、受力体20と支持体30とは、1つだけの起歪体で接続されていてもよく、この場合、検出素子60を図4に示すように2つの容量素子で構成すると、力の2軸成分を検出することができる。詳細については後述する。あるいは、検出素子60が1つだけの容量素子で構成されて、力の1軸成分を検出するようにしてもよい。
起歪体40A~40Dについてより具体的に説明する。
本実施の形態による起歪体40A~40Dは、受力体20が受けた力またはモーメントの作用により弾性変形して歪みを生じさせ、変位するように構成されている。ここでは、上述した4つの起歪体40A~40Dのうち、X軸方向を第2方向とする第1起歪体40Aを例にとって説明する。
図2および図4に示すように、第1起歪体40Aは、弾性変形体41と、変位梁42と、を含んでいる。
弾性変形体41は、Z軸方向に延びている。弾性変形体41は、受力体20に接続された受力体側端部43と、支持体30に接続された支持体側端部44と、を含んでいる。弾性変形体41は、受力体側端部43から支持体側端部44にわたって、Z軸方向に沿って直線状に延びている。
本実施の形態による弾性変形体41は、第2方向の力の作用により弾性変形可能であるとともに、第3方向の力の作用により弾性変形可能になっている。第2方向は、第1方向に直交する方向である。第3方向は、第1方向に直交するとともに第2方向に直交する方向である。第1起歪体40Aの第2方向はX軸方向であり、第3方向はY軸方向である。
本実施の形態による弾性変形体41のY軸方向の寸法は、弾性変形体41のX軸方向の寸法と等しい。この場合、弾性変形体41のY軸方向の力の作用に対するばね定数は、X軸方向の力の作用に対するばね定数と等しい。弾性変形体41のXY平面に沿う断面形状は、概略的に正方形などの矩形でもよく、概略的に円形でもよく、任意である。
変位梁42は、変位体の一例である。変位梁42は、弾性変形体41からX軸方向に突出している。本実施の形態による第1起歪体40Aは、弾性変形体41の両側でX軸方向に突出する2つの変位梁42を含んでいる。一方の変位梁42は、弾性変形体41からX軸方向負側に突出し、他方の変位梁42は、弾性変形体41からX軸方向正側に突出している。変位梁42は、弾性変形体41からX軸方向に延びていてもよい。変位梁42は、弾性変形体41に支持された片持ち梁として構成されていてもよい。変位梁42は、X軸方向に沿って直線状に形成されていてもよい。変位梁42は、Z軸方向において、受力体20から離れているとともに支持体30から離れている。変位梁42は、受力体側端部43と支持体側端部44との中間位置よりも支持体30に近い位置に配置されていてもよい。変位梁42は、支持体30に対向している。
第2起歪体40Bは、Y軸方向を第2方向とするとともに、X軸方向を第3方向としている。第3起歪体40Cは、X軸方向を第2方向とするとともに、Y軸方向を第3方向としている。第4起歪体40Dは、Y軸方向を第2方向とするとともに、X軸方向を第3方向としている。第2起歪体40B、第3起歪体40Cおよび第4起歪体40Dは、第1起歪体40Aと同様に構成されるため、第2起歪体40B、第3起歪体40Cおよび第4起歪体40Dの個々の構成についての詳細な説明は省略する。
図3に示すように、本実施の形態による起歪体40A~40Dの変位梁42は、環状配置されている。上述したように、受力体20および支持体30がZ軸方向で見たときに円形リング形状で形成されており、4つの起歪体40A~40Dの変位梁42が、矩形の環状をなすように配置されている。各起歪体40A~40Dの変位梁42は、Z軸方向で見たときに、各々の第2方向に沿って直線状に形成されている。なお、4つの起歪体40A~40Dの配置は、環状配置であることに限られることはなく、それぞれを任意の位置で不規則に配置していてもよい。
このように構成された第1起歪体40Aは、アルミ合金や鉄合金などの金属材料で作製された板材から機械加工で形成されていてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。機械加工で形成される場合、弾性変形体41および変位梁42は、Y軸方向(第3方向)が厚さ方向となるように板状に形成され、一体に連続状の板材から形成される。このことにより、第1起歪体40Aを容易に作製することができる。このように形成された第1起歪体40Aは、受力体20および支持体30にボルトまたは接着剤等でそれぞれ固定されていてもよい。第2起歪体40B、第3起歪体40Cおよび第4起歪体40Dについても同様である。あるいは、受力体20、支持体30および起歪体40A~40Dは、一体に連続状のブロック材から機械加工(例えば、切削加工)で形成されてもよく、または鋳造加工で形成されていてもよい。
検出素子60について説明する。
検出素子60は、上述した第1起歪体40Aの弾性変形により生じた変位を検出するように構成されている。本実施の形態による検出素子60は、静電容量を検出する容量素子を含んでいる。図4に示すように、容量素子は、支持体30に設けられた固定電極基板と、変位梁42に設けられた変位電極基板と、含んでいる。変位電極基板は、固定電極基板に対向している。本実施の形態においては、検出素子60は、第1容量素子C1~第8容量素子C8を含んでいる。検出素子60は、各変位梁42に設けられた変位電極基板と、これに対応する固定電極基板と、を含んでいる。
図4に示す例においては、検出素子60は、第1起歪体40A用の電極として、2つの固定電極基板Ef1、Ef2と、2つの変位電極基板Ed1、Ed2と、を含んでいる。第1起歪体40Aの各変位梁42に、変位電極基板Ed1、Ed2が配置されている。1つの変位梁42に、1つの変位電極基板Ed1、Ed2が配置されている。各固定電極基板Ef1、Ef2は、対応する変位電極基板Ed1、Ed2に対向する位置で支持体30に配置されている。
図4に示すように、2つの固定電極基板Ef1、Ef2は、第1固定電極基板Ef1と、第2固定電極基板Ef2と、を含んでいる。第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2は、X軸方向において互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第1固定電極基板Ef1は、弾性変形体41よりもX軸方向負側に配置され、第2固定電極基板Ef2は、弾性変形体41よりもX軸方向正側に配置されている。
本実施の形態においては、固定電極基板Ef1、Ef2は、支持体30のうちの受力体20の側の面に配置されている。固定電極基板Ef1、Ef2は、支持体30に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。固定電極基板Ef1、Ef2は、対応する変位電極基板Ed1、Ed2に対向する固定電極Efと、固定電極Efと支持体30との間に介在された絶縁体IBfと、を含んでいる。
図4に示すように、2つの変位電極基板Ed1、Ed2は、第1変位電極基板Ed1と、第2変位電極基板Ed2と、を含んでいる。第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、X軸方向において互いに異なる位置に配置されている。本実施の形態においては、第1変位電極基板Ed1は、弾性変形体41よりもX軸方向負側に配置され、弾性変形体41からX軸方向負側に突出する変位梁42に配置されている。第2変位電極基板Ed2は、弾性変形体41よりもX軸方向正側に配置され、弾性変形体41からX軸方向正側に突出する変位梁42に配置されている。第1変位電極基板Ed1は、変位梁42のX軸方向負側の端部に配置されていてもよい。第2変位電極基板Ed2は、変位梁42のX軸方向正側の端部に配置されていてもよい。
本実施の形態においては、変位電極基板Ed1、Ed2は、変位梁42のうちの支持体30の側の面に設けられている。変位電極基板Ed1、Ed2は、変位梁42に接着剤で接合されていてもよく、またはボルト等で固定されていてもよい。変位電極基板Ed1、Ed2は、対応する固定電極基板Ef1、Ef2に対向する変位電極Edと、変位電極Edと変位梁42との間に介在された絶縁体IBdと、を含んでいる。
第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1に対向している。第1固定電極基板Ef1と第1変位電極基板Ed1とで第1容量素子C1が構成されている。第2固定電極基板Ef2は、第2変位電極基板Ed2に対向している。第2固定電極基板Ef2と第2変位電極基板Ed2とで第2容量素子C2が構成されている。第1容量素子C1と第2容量素子C2とが、第1起歪体40A用の検出素子60として構成されている。
第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。すなわち、第1変位電極基板Ed1および第2変位電極基板Ed2は、Y軸方向において同じ位置に配置されるとともに、第1固定電極基板Ef1および第2固定電極基板Ef2も、Y軸方向において同じ位置に配置されている。
本実施の形態では、固定電極基板Ef1、Ef2の平面形状は、矩形になっている。変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状も、矩形になっている。しかしながら、固定電極基板Ef1、Ef2の平面形状および変位電極基板Ed1、Ed2の平面形状は、矩形に限られることはなく、円形、多角形、楕円形等の他の形状であってもよい。
Z軸方向で見たときに、第1固定電極基板Ef1は、第1変位電極基板Ed1よりも大きくなっていてもよい。例えば、第1固定電極基板Ef1の平面形状は、第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。そして、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、Z軸方向で見たときに第1変位電極基板Ed1が全体として、第1固定電極基板Ef1に重なっていてもよい。言い換えると、第1変位電極基板Ed1がX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向に変位した場合であっても、変位電極Edと固定電極Efとが重なるように、変位電極Edの大きさと固定電極Efの大きさが設定されていてもよい。このようにして、第1変位電極基板Ed1が変位した場合であっても、変位電極Edと固定電極Efの対向面積が変化することを防止することができ、静電容量値の変化に、対向面積の変化が影響を及ぼすことを防止することができる。このため、変位電極Edと固定電極Efとの距離の変化に応じて静電容量値を変化させることができる。ここで、対向面積とは、Z軸方向で見たときに変位電極Edと固定電極Efとが重なる面積を言う。変位梁42が傾動した場合には、固定電極Efよりも小さい変位電極Edが傾斜して対向面積が変動し得るが、この場合の変位電極Edの傾斜角度は小さい。このことにより、静電容量値の変化には、変位電極Edと固定電極Efとの距離が支配的となる。このため、本明細書では、変位電極Edの傾斜による対向面積の変動は考慮せず、静電容量値の変化は、変位電極Edと固定電極Efとの距離の変化に起因すると考える。なお、後述する図6等では、 図面を明瞭にするために、変位梁42の傾斜を誇張している。また、第1固定電極基板Ef1の平面形状が第1変位電極基板Ed1の平面形状よりも大きくなっていることに限られることはなく、第1変位電極基板Ed1の平面形状が、第1固定電極基板Ef1の平面形状よりも大きくなっていてもよい。
同様に、Z軸方向で見たときに、第2固定電極基板Ef2の平面形状も、第2変位電極基板Ed2の平面形状よりも大きくなっていてもよい。なお、第2変位電極基板Ed2の平面形状が、第2固定電極基板Ef2の平面形状よりも大きくなっていてもよい。
固定電極基板Ef1、Ef2の固定電極Efの平面形状と絶縁体IBfの平面形状は、同一の大きさであってもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、固定電極Efの平面形状と絶縁体IBfの平面形状は、互いに異なる大きさであってもよい。変位電極基板Ed1、Ed2の変位電極Edの平面形状と絶縁体IBdの平面形状も同様である。
第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、図4に示すように、別体に形成されて互いに離れていてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1固定電極基板Ef1と第2固定電極基板Ef2とは、一体化されて、1つの共通の固定電極基板で構成されていてもよい。この場合、絶縁体IBfおよび固定電極Efがそれぞれ一体化されていてもよい。あるいは、固定電極Efが互いに離れて構成される場合であっても、絶縁体IBfは一体化されていてもよい。
上述した第1起歪体40Aとこれに対応する検出素子60の構成は、第2起歪体40B、第3起歪体40Cおよび第4起歪体40Dにも同様に適用できる。
すなわち、図5に示すように、検出素子60は、第2起歪体40B用の電極として、支持体30に設けられた2つの固定電極基板Ef3、Ef4と、変位梁42に設けられた2つの変位電極基板Ed3、Ed4と、を更に含んでいる。2つの固定電極基板Ef3、Ef4は、第3固定電極基板Ef3と第4固定電極基板Ef4とを含んでいる。2つの変位電極基板Ed3、Ed4は、第3変位電極基板Ed3と第4変位電極基板Ed4とを含んでいる。第3固定電極基板Ef3は、第3変位電極基板Ed3に対向し、第4固定電極基板Ef4は、第4変位電極基板Ed4に対向している。第3固定電極基板Ef3と第3変位電極基板Ed3とで第3容量素子C3が構成され、第4固定電極基板Ef4と第4変位電極基板Ed4とで第4容量素子C4が構成されている。
第3変位電極基板Ed3および第3固定電極基板Ef3は、弾性変形体41よりもY軸方向負側に配置されている。第3変位電極基板Ed3は、弾性変形体41からY軸方向負側に突出する変位梁42に配置されている。第4変位電極基板Ed4および第4固定電極基板Ef4は、弾性変形体41よりもY軸方向正側に配置されている。第4変位電極基板Ed4は、弾性変形体41からY軸方向正側に突出する変位梁42に配置されている。第3容量素子C3および第4容量素子C4は、X軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef3、Ef4は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed3、Ed4は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
また、検出素子60は、第3起歪体40C用の電極として、支持体30に設けられた2つの固定電極基板Ef5、Ef6と、変位梁42に設けられた2つの変位電極基板Ed5、Ed6と、を更に含んでいる。2つの固定電極基板Ef5、Ef6は、第5固定電極基板Ef5と第6固定電極基板Ef6とを含んでいる。2つの変位電極基板Ed5、Ed6は、第5変位電極基板Ed5と第6変位電極基板Ed6とを含んでいる。第5固定電極基板Ef5は、第5変位電極基板Ed5に対向し、第6固定電極基板Ef6は、第6変位電極基板Ed6に対向している。第5固定電極基板Ef5と第5変位電極基板Ed5とで第5容量素子C5が構成され、第6固定電極基板Ef6と第6変位電極基板Ed6とで第6容量素子C6が構成されている。
第5変位電極基板Ed5および第5固定電極基板Ef5は、弾性変形体41よりもX軸方向正側に配置されている。第5変位電極基板Ed5は、弾性変形体41からX軸方向正側に突出する変位梁42に配置されている。第6変位電極基板Ed6および第6固定電極基板Ef6は、弾性変形体41よりもX軸方向負側に配置されている。第6変位電極基板Ed6は、弾性変形体41からX軸方向負側に突出する変位梁42に配置されている。第5容量素子C5および第6容量素子C6は、Y軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef5、Ef6は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed5、Ed6は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
また、検出素子60は、第4起歪体40D用の電極として、支持体30に設けられた2つの固定電極基板Ef7、Ef8と、変位梁42に設けられた2つの変位電極基板Ed7、Ed8と、を更に含んでいる。2つの固定電極基板Ef7、Ef8は、第7固定電極基板Ef7と第8固定電極基板Ef8とを含んでいる。2つの変位電極基板Ed7、Ed8は、第7変位電極基板Ed7と第8変位電極基板Ed8とを含んでいる。第7固定電極基板Ef7は、第7変位電極基板Ed7に対向し、第8固定電極基板Ef8は、第8変位電極基板Ed8に対向している。第7固定電極基板Ef7と第7変位電極基板Ed7とで第7容量素子C7が構成され、第8固定電極基板Ef8と第8変位電極基板Ed8とで第8容量素子C8が構成されている。
第7変位電極基板Ed7および第7固定電極基板Ef7は、弾性変形体41よりもY軸方向正側に配置されている。第7変位電極基板Ed7は、弾性変形体41からY軸方向正側に突出する変位梁42に配置されている。第8変位電極基板Ed8および第8固定電極基板Ef8は、弾性変形体41よりもY軸方向負側に配置されている。第8変位電極基板Ed8は、弾性変形体41からY軸方向負側に突出する変位梁42に配置されている。第7容量素子C7および第8容量素子C8は、X軸方向において同じ位置に配置されている。固定電極基板Ef7、Ef8は、上述した固定電極基板Ef1、Ef2と同様の構成を有している。変位電極基板Ed7、Ed8は、上述した変位電極基板Ed1、Ed2と同様の構成を有している。
上述した各固定電極基板Ef1~Ef8は、電極材料が積層されたセラミック基板、ガラスエポキシ基板またはFPC基板(フレキシブルプリント回路基板)で構成されていてもよい。FPC基板は、薄いフィルム状に形成されておりフレキシブル性を有しているプリント基板であるが、支持体30に全体的に接合させてもよい。各固定電極基板Ef1~Ef8は、支持体30に接着剤で接着されていてもよい。各変位電極基板Ed1~Ed8についても同様である。各変位電極基板Ed1~Ed8は、変位梁42に接着剤で接着されていてもよい。
図2に示すように、検出回路70は、検出素子60の検出結果に基づいて、起歪体40A~40Dに作用した力またはモーメントを示す電気信号を出力する。この検出回路70は、例えばマイクロプロセッサにより構成された演算機能を有していてもよい。また、検出回路70は、上述した検出素子60から受信したアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換機能や、信号を増幅する機能及び各種補正機能を有してもよい。検出回路70は、電気信号を出力する端子を含んでいてもよく、この端子から電気ケーブルを介して上述したコントローラ5に電気信号が送信される。
図2および図3に示すように、外装体80は、Z軸方向で見たときに、4つの起歪体40A~40Dを外側から覆うように構成されている。外装体80は、力覚センサ10を構成する筒状の筐体であってもよい。起歪体40A~40Dは、外装体80に収容されている。本実施の形態では外装体80の平面断面形状(XY平面に沿う断面における形状)は円形枠形状になっている。
図2に示すように、外装体80は、受力体20に取り付けられた受力体側カバー81と、支持体30に取り付けられた支持体側カバー82と、受力体側カバー81と支持体側カバー82との間に介在された緩衝部材83と、を含んでいる。受力体側カバー81は、受力体20に密閉して取り付けられていてもよく、一体的に形成されていてもよい。支持体側カバー82は、支持体30に密閉して取り付けられていてもよく、一体的に形成されていてもよい。緩衝部材83は、例えば、防塵および防水用のゴムパッキンで構成されていてもよい。この緩衝部材83によって、受力体側カバー81と支持体側カバー82との間の隙間から塵埃などの異物が内部に侵入することを防止できる。また、受力体20が、支持体30に対して変位可能になっている。
次に、このような構成からなる本実施の形態による力覚センサにおいて、力またはモーメントを検出する方法について説明する。
受力体20が力またはモーメントの作用を受けると、その力またはモーメントが、第1起歪体40A~第4起歪体40Dに伝わる。より具体的には、その力またはモーメントが、弾性変形体41に伝わり、弾性変形体41に弾性変形が生じる。このことにより、変位梁42が傾動し、変位する。このため、検出素子60の各固定電極基板Ef1~Ef8と対応する変位電極基板Ed1~Ed8との間の距離が変化し、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。この静電容量値の変化が、起歪体40A~40Dに生じた変位として検出素子60で検出される。この場合、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が異なり得る。このため、検出回路70は、検出素子60で検出された各容量素子C1~C8の静電容量値の変化に基づいて、受力体20に作用した力またはモーメントの向きと大きさを検出することができる。
ここでは、まず、一例として、第1起歪体40Aの単体にX軸方向の力Fxが作用した場合の第1容量素子C1および第2容量素子C2の静電容量値の変化について図6を用いて説明する。図6は、受力体20がX軸方向正側の力Fxを受けた場合の第1起歪体40Aの変形状態を模式的に示す正面図である。
第1起歪体40AにX軸方向正側に力Fxが作用した場合には、図6に示すように、第 1起歪体40Aの弾性変形体41が弾性変形する。この場合、弾性変形体41の受力体側端部43がX軸方向正側に変位し、弾性変形体41は、X軸方向正側に撓むように弾性変形する。図6では、図面を簡略化するために、弾性変形体41が傾動している状態を示している。変位梁42は傾動し、変位する。このことにより、第1変位電極基板Ed1が上昇して第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大し、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。一方、第2変位電極基板Ed2は下降して第2固定電極基板Ef2に近づく。第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
第1起歪体40Aの単体に作用した力Fxは、以下の式で算出することができる。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、力Fxが算出される。以下の式中のC1、C2は、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化量を示す。
[式1]
Fx=-C1+C2
第1起歪体40Aの単体にY軸周りのモーメントMyが作用した場合にも、図6と同様に弾性変形体41が弾性変形する。第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。このため、上述した式1と同様にして、モーメントMyが算出される。
[式2]
My=-C1+C2
第1起歪体40Aの単体にY軸方向の力Fyが作用した場合には、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなせる。上述したように、第1容量素子C1および第2容量素子C2は、Y軸方向において同じ位置に配置されているためである。この場合、各容量素子C1、C2のうちのY軸方向の正側部分における静電容量値の変化量と、負側部分における静電容量値の変化量が相殺される。第1起歪体40Aの単体にX軸周りのモーメントMxが作用した場合にも同様に、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなせる。
第1起歪体40Aの単体にZ軸方向の力Fzが作用した場合には、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなせる。上述したように、弾性変形体41は、受力体側端部43から支持体側端部44にわたってZ軸方向に延びているため、弾性変形体41は、Z軸方向の力に対する剛性が高まり、実質的に剛体として作用する。弾性変形体41は、Z軸方向に弾性変形せず、弾性変形体41のZ軸方向の伸縮は無いとみなせる。
このように、受力体20と支持体30とが第1起歪体40Aだけで接続されている力覚センサ10は、力FxとモーメントMyを検出することができる。この力覚センサ10は、力FxとモーメントMyの一方のみが作用する環境で用いられてもよい。
次に、図5に示す力覚センサ10の受力体20にX軸方向の力Fx、Y軸方向の力FyおよびZ軸周りのモーメントMzが作用した場合の各容量素子C1~C8の静電容量値の変化について図7を用いて説明する。図7は、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化を示す表である。
(+Fxが作用した場合)
まず、受力体20にX軸方向正側に力Fxが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体40Aは、図6に示すように弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。このことが、図7に示す表中のFxの行のC1に「-(マイナス)」として示されており、C2に「+(プラス)」として示されている。
第2起歪体40Bは、Y軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)に回動する。しかしながら、第3容量素子C3および第4容量素子C4が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1起歪体40AにY軸方向の力Fyが作用した場合と同様に、第3容量素子C3全体として、および第4容量素子C4全体として、静電容量値の変化は現れない。このことが、図7に示す表中のFxの行のC3、C4に「0(ゼロ)」として示されている。
第3起歪体40Cは、図6に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形する。このため、第5容量素子C5の静電容量値が増大するとともに第6容量素子C6の静電容量値が減少する。このことが、図7に示す表中のFxの行のC5に「+」として示されており、C6に「-」として示されている。
第4起歪体40Dは、第2起歪体40Bと同様にY軸周りに回動する。しかしながら、上述したように、第7容量素子C7および第8容量素子C8が、X軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第7容量素子C7全体として、および第8容量素子C8全体として、静電容量値の変化は現れない。このことが、図7に示す表中のFxの行のC7、C8に「0(ゼロ)」として示されている。
(+Fyが作用した場合)
次に、受力体20にY軸方向正側に力Fyが作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図7の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体40Aは、X軸周り(X軸方向正側に向かって反時計回り)に回動する。しかしながら、上述したように、第1容量素子C1および第2容量素子C2が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第1容量素子C1全体として、および第2容量素子C2全体として、静電容量値の変化は現れない。
第2起歪体40Bは、図6に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体40Cは、第1起歪体40Aと同様にX軸周りに回動する。しかしながら、第5容量素子C5および第6容量素子C6が、Y軸方向において同じ位置に配置されている。このため、第5容量素子C5全体として、および第6容量素子C6全体として、静電容量値の変化は現れない。
第4起歪体40Dは、図6に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が増大するとともに第8容量素子C8の静電容量値が減少する。
(+Fzが作用した場合)
次に、受力体20にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合について説明する。上述したように、各起歪体40A~40Dの弾性変形体41は、支持体側端部44から受力体側端部43にわたってZ軸方向に延びている。このことにより、弾性変形体41は、Z軸方向の力に対する剛性が高まり、実質的に剛体として作用する。弾性変形体41のZ軸方向の伸縮は無いとみなすことができ、各弾性変形体41は弾性変形しない。このため、各容量素子C1~C8の静電容量値は変化しない。このことが、図7に示す表中のFzの行に「0(ゼロ)」として示されている。
(+Mxが作用した場合)
次に、受力体20にX軸周り(X軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMx(図5参照)が作用した場合について説明する。この場合、第1起歪体40Aの弾性変形体41には、Z軸方向負側に力Fzが作用するとともに、第3起歪体40Cの弾性変形体41には、Z軸方向正側に力Fzが作用する。上述したように、弾性変形体41は、支持体側端部44から受力体側端部43にわたってZ軸方向に延びている。このことにより、弾性変形体41は、Z軸方向の力に対する剛性が高まり、実質的に剛体として作用する。弾性変形体41のZ軸方向の伸縮は無く、受力体20は変位しない。受力体20が変位しないため、第2起歪体40Bの弾性変形体41も弾性変形せず、第4起歪体40Dの弾性変形体41も弾性変形しない。このため、各容量素子C1~C8の静電容量値は変化しない。このことが、図7に示す表中のMxの行に「0(ゼロ)」として示されている。
(+Myが作用した場合)
次に、受力体20にY軸周り(Y軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMy(図5参照)が作用した場合について説明する。この場合、第2起歪体40Bの弾性変形体41には、Z軸方向負側に力Fzが作用するとともに、第4起歪体40Dの弾性変形体41には、Z軸方向正側に力Fzが作用する。上述したように、弾性変形体41は、支持体側端部44から受力体側端部43にわたってZ軸方向に延びている。このことにより、弾性変形体41は、Z軸方向の力に対する剛性が高まり、実質的に剛体として作用する。弾性変形体41のZ軸方向の伸縮は無く、受力体20は変位しない。第1起歪体40Aの弾性変形体41も弾性変形せず、第3起歪体40Cの弾性変形体41も弾性変形しない。このため、各容量素子C1~C8の静電容量値は変化しない。このことが、図7に示す表中のMyの行に「0(ゼロ)」として示されている。
(+Mzが作用した場合)
次に、受力体20に、Z軸周り(Z軸方向正側に向かって時計回り)のモーメントMz(図5参照)が作用した場合について説明する。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、上述したように図7の表中の符号が定められる。
この場合、第1起歪体40Aは、X軸方向正側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第1起歪体40Aは、図6に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
第2起歪体40Bは、Y軸方向正側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第2起歪体40Bは、図6に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が減少し、第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体40Cにおいては、X軸方向負側の力Fxが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第5容量素子C5の静電容量値が減少し、第6容量素子C6の静電容量値が増大する。
第4起歪体40Dにおいては、Y軸方向負側の力Fyが作用した場合と同様に弾性変形する。このことにより、第7容量素子C7の静電容量値が減少し、第8容量素子C8の静電容量値が増大する。
このように、本実施の形態による力覚センサ10は、力Fx、力FyおよびモーメントMzを検出することができる。力Fx、力FyおよびモーメントMzが受力体20に作用した場合、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が検出され、受力体20に作用した力またはモーメントの向きと大きさが検出される。そして、図7に示すように、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。
図7に示す表から、受力体20に作用した力Fx、FyおよびモーメントMzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の3軸成分を検出することができる。なお、以下の式では、便宜上、力またはモーメントと静電容量値の変化量とを「=」で結んでいる。しかしながら、力またはモーメントと、静電容量値とは互いに異なる物理量であるため、実際には、静電容量値の変化量を変換することにより、力またはモーメントが算出される。以下の式中のC1~C8は、各容量素子C1~C8における静電容量値の変化量を示す。
[式3]
Fx=-C1+C2 +C5-C6
[式4]
Fy= -C3+C4 +C7-C8
[式5]
Mz=-C1+C2-C3+C4-C5+C6-C7+C8
上述したように、図5に示す力覚センサ10は、上述した[式3]~[式5]で示したように、力Fx、FyおよびモーメントMzを検出することができるため、力の3軸成分を検出することが可能になっている。
このように本実施の形態によれば、受力体20と支持体30を接続する起歪体40A~40Dは、受力体20に接続された受力体側端部43から支持体30に接続された支持体側端部44にわたって、Z軸方向に延びている。このことにより、起歪体40A~40Dの構造を単純化し、簡素化することができる。この場合、力覚センサ10の低価格化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、受力体20と支持体30を接続する起歪体40A~40Dは、受力体20に接続された受力体側端部43から支持体30に接続された支持体側端部44にわたって、Z軸方向に延びている。このことにより、弾性変形体41がZ軸方向に弾性変形することを抑制できる。このため、受力体20に、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxまたはY軸周りのモーメントMyが作用した場合であっても弾性変形体41が弾性変形することを抑制できる。このため、力Fz、モーメントMxおよびモーメントMyに対する剛性を高めることができ、力覚センサ10の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、起歪体40A~40Dの変位梁42は、弾性変形体41からZ軸方向に直交する第2方向に突出している。支持体30に固定電極基板Ef1~Ef8が設けられ、変位梁42に、変位電極基板Ed1~Ed8が設けられて固定電極基板Ef1~Ef8に対向している。このことにより、弾性変形体41がZ軸方向に直交する方向に弾性変形した場合、変位梁42が傾動し、変位する。このため、各変位電極基板Ed1~Ed8と、対応する固定電極基板Ef1~Ef8との電極間距離を変化させることができ、各容量素子C1~C8の静電容量値を変化させることができる。この結果、力またはモーメントを検出することができる。
また、本実施の形態によれば、弾性変形体41の両側で、変位梁42が第2方向に弾性変形体41から突出している。変位梁42の各々に、変位電極基板Ed1~Ed8が配置され、支持体30に、対応する変位電極基板Ed1~Ed8に対向する固定電極基板Ef1~Ef8が配置されている。このことにより、弾性変形体41が第2方向に弾性変形した場合、一部の変位電極基板Ed1~Ed8を対応する固定電極基板Ef1~Ef8から遠ざけることができるとともに、他の変位電極基板Ed1~Ed8を対応する固定電極基板Ef1~Ef8に近づけることができる。このため、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、起歪体40A~40Dの変位梁42は、Z軸方向に直交する第2方向に延びている。すなわち、第1起歪体40Aおよび第3起歪体40Cの変位梁42はX軸方向に延び、第2起歪体40Bおよび第4起歪体40Dの変位梁42は、Y軸方向に延びている。このことにより、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力FyおよびZ軸周りのモーメントMzの作用を受けたときに、変位梁42を変位させることができる。このため、変位電極基板Ed1~Ed8の変位を大きくさせることができ、力またはモーメントの検出感度を高めることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図8~図10を用いて、本発明の第2の実施の形態による力覚センサについて説明する。
図8~図10に示す第2の実施の形態においては、弾性変形体の第3方向の寸法が、弾性変形体の第2方向の寸法よりも大きい点が主に異なり、他の構成は、図1~図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお 、図8~図10において、図1~図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一 符号を付して詳細な説明は省略する。
図8および図9に示すように、本実施の形態による弾性変形体41の第3方向の寸法は、弾性変形体41の第2方向の寸法よりも大きい。図8は、第2の実施の形態による力覚センサ10を示す断面図である。図9は、図8に示す力覚センサ10を示す平面図である。
第1起歪体40Aの弾性変形体41のY軸方向の寸法は、弾性変形体41のX軸方向の寸法よりも大きい。第1起歪体40Aの第2方向はX軸方向に相当し、第3方向はY軸方向に相当している。本実施の形態においては、第1起歪体40Aの弾性変形体41のY軸方向の力の作用に対するばね定数は、X軸方向の力の作用に対するばね定数よりも大きい。
同様に、第2起歪体40Bの弾性変形体41のX軸方向の寸法は、弾性変形体41のY軸方向の寸法よりも大きい。第2起歪体40Bの第2方向はY軸方向に相当し、第3方向はX軸方向に相当している。本実施の形態においては、第2起歪体40Bの弾性変形体41のX軸方向の力の作用に対するばね定数は、Y軸方向の力の作用に対するばね定数よりも大きい。
同様に、第3起歪体40Cの弾性変形体41のY軸方向の寸法は、弾性変形体41のX軸方向の寸法よりも大きい。第3起歪体40Cの第2方向はX軸方向に相当し、第3方向はY軸方向に相当している。本実施の形態においては、第3起歪体40Cの弾性変形体41のY軸方向の力の作用に対するばね定数は、X軸方向の力の作用に対するばね定数よりも大きい。
同様に、第4起歪体40Dの弾性変形体41のX軸方向の寸法は、弾性変形体41のY軸方向の寸法よりも大きい。第4起歪体40Dの第2方向はY軸方向に相当し、第3方向はX軸方向に相当している。本実施の形態においては、第4起歪体40Dの弾性変形体41のX軸方向の力の作用に対するばね定数は、Y軸方向の力の作用に対するばね定数よりも大きい。
各起歪体30A~40Dの弾性変形体41の断面形状は、第3方向を長手方向とする矩形であってもよく、第3方向に沿う長軸を有する楕円形状であってもよい。弾性変形体41の断面形状は、第3方向の寸法が第2方向の寸法よりも大きければ、任意である。
本実施の形態において、受力体20にX軸方向正側の力Fxが作用した場合について説明する。
上述したように、第2起歪体40Bの弾性変形体41のX軸方向の寸法が、Y軸方向の寸法よりも大きく、第4起歪体40Dの弾性変形体41のX軸方向の寸法が、Y軸方向の寸法よりも大きい。このことにより、第2起歪体40Bおよび第4起歪体40Dは、力Fxに対する剛性が高まり、実質的に剛体として作用する。このため、第2起歪体40Bの弾性変形体41および第4起歪体40Dの弾性変形体41は、弾性変形せず、受力体20は変位しない。受力体20が変位しないため、第1起歪体40Aの弾性変形体41および第3起歪体40Cの弾性変形体41も弾性変形しない。このため、各容量素子C1~C8の静電容量値は変化しない。
本実施の形態において、受力体20にY軸方向正側の力Fyが作用した場合について説明する。
上述したように、第1起歪体40Aの弾性変形体41のY軸方向の寸法が、X軸方向の寸法よりも大きく、第3起歪体40Cの弾性変形体41のY軸方向の寸法が、X軸方向の寸法よりも大きい。このことにより、第1起歪体40Aおよび第3起歪体40Cは、力Fyに対する剛性が高まり、実質的に剛体として作用する。このため、第1起歪体40Aの弾性変形体41および第3起歪体40Cの弾性変形体41は、弾性変形せず、受力体20は変位しない。受力体20が変位しないため、第2起歪体40Bの弾性変形体41および第4起歪体40Dの弾性変形体41も弾性変形しない。このため、各容量素子C1~C8の静電容量値は変化しない。
本実施の形態において、受力体20にZ軸周りのモーメントMzが作用した場合の各容量素子C1~C8の静電容量値の変化について図10を用いて説明する。図10は、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化を示す表である。以下の説明においても、静電容量値の変化に応じて、図7と同様にして、図10の表中の符号が定められる。
第1起歪体40Aの弾性変形体41のX軸方向の寸法が、Y軸方向の寸法よりも小さく、第3起歪体40Cの弾性変形体41のX軸方向の寸法が、Y軸方向の寸法よりも小さい。このことにより、第1起歪体40Aの弾性変形体41および第3起歪体40Cの弾性変形体41は、X軸方向に弾性変形することができる。
第2起歪体40Bの弾性変形体41のY軸方向の寸法が、X軸方向の寸法よりも小さく、第4起歪体40Dの弾性変形体41のY軸方向の寸法が、X軸方向の寸法よりも小さい。このことにより、第2起歪体40Bの弾性変形体41および第4起歪体40Dの弾性変形体41は、Y軸方向に弾性変形することができる。
このため、図5に示す力覚センサ10と同様にして、各起歪体40A~40Dの変位梁42が変位し、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。
このように、本実施の形態による力覚センサ10は、モーメントMzを検出することができる。モーメントMzが受力体20に作用した場合、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が検出され、受力体20に作用したモーメントMzの向きと大きさが検出される。そして、図10に示すように、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。
図10に示す表から、受力体20に作用したモーメントMzは、以下の式で算出することができる。以下の[式6]は、上述した[式5]と同じである。これにより、力の1軸成分、すなわちZ軸周りのモーメントMzを算出することができる。
[式6]
Mz=-C1+C2-C3+C4-C5+C6-C7+C8
上述の[式6]では、各変位梁42に設けられた変位電極基板Ed1~Ed8に基づく静電容量値を用いて、モーメントMzを算出している。しかしながら、本実施の形態によるモーメントMzの算出の方法は、これに限られることはない。
例えば、検出素子60は、変位梁42の個数よりも少ない偶数の変位電極基板で構成されていてもよい。すなわち、各変位梁42のうちの一部のみの変位梁42に設けられた変位電極基板に基づいてモーメントMzを検出してもよい。この場合、いくつかの変位梁42の各々に、変位電極基板が設けられ、他の変位梁42に、変位電極基板が設けられていなくてもよい。固定電極基板は、対応する変位電極基板に対向する位置で支持体30に設けられていてもよい。力覚センサ10にZ軸周りのモーメントが作用した場合、一部の変位電極基板は、対向する固定電極基板から遠ざかり、残りの変位電極基板は、対向する固定電極基板に近づくように構成されていてもよい。
より具体的には、モーメントMzを算出するための式は、上述の[式6]ではなく、以下のいずれかの式を用いてもよい。この場合、[式6]に示すように容量素子C1~C8の全てを用いなくても、モーメントMzを算出することができる。
[式7]
Mz=-C1+C2-C5+C6
[式8]
Mz=-C3+C4-C7+C8
[式7]および[式8]を用いる場合、検出素子60は、4つの変位電極基板で構成することができ、これら4つの変位電極基板が設けられた変位梁42以外の変位梁42には、変位電極基板は設けられていなくてもよい。このことにより、変位電極基板の個数および固定電極基板の個数を削減できる。変位電極基板が設けられない変位梁42は、省略することができ、変位梁42の個数を削減できる。
[式7]においては、モーメントMzが作用した場合、第1容量素子C1を構成する第1変位電極基板Ed1は、対向する第1固定電極基板Ef1から遠ざかり、第2容量素子C2を構成する第2変位電極基板Ed2は、対向する第2固定電極基板Ef2に近づく。第5容量素子C5を構成する第5変位電極基板Ed5は、対向する第5固定電極基板Ef5から遠ざかり、第6容量素子C6を構成する第6変位電極基板Ed6は、対向する第6固定電極基板Ef6に近づく。このことにより、容量素子の温度変化による静電容量値の変動を防止することができるとともに、同相ノイズによる静電容量値の変動を防止することができる。
[式8]においては、モーメントMzが作用した場合、第3容量素子C3を構成する第3変位電極基板Ed3は、対向する第3固定電極基板Ef3から遠ざかり、第4容量素子C4を構成する第4変位電極基板Ed4は、対向する第4固定電極基板Ef4に近づく。第7容量素子C7を構成する第7変位電極基板Ed7は、対向する第7固定電極基板Ef7から遠ざかり、第8容量素子C8を構成する第8変位電極基板Ed8は、対向する第8固定電極基板Ef8に近づく。このことにより、容量素子の温度変化による静電容量値の変動を防止することができるとともに、同相ノイズによる静電容量値の変動を防止することができる。
上述の[式7]および[式8]の両方でモーメントMzを算出して、比較を行うことにより故障診断を行ってもよい。
上述の[式7]および[式8]以外に以下の式でも、モーメントMzを算出することができる。
[式9]
Mz=-C1+C4-C5+C6
[式10]
Mz=C2-C3+C6-C7
この場合においても、変位電極基板の個数および固定電極基板の個数を削減できる。変位電極基板が設けられない変位梁42は、省略することができ、変位梁42の個数を削減できる。[式9]および[式10]においても、[式7]および[式8]と同様に、容量素子の温度変化による静電容量値の変動を防止することができるとともに、同相ノイズによる静電容量値の変動を防止することができる。上述の[式9]および[式10]の両方でモーメントMzを算出して、比較を行うことにより故障診断を行ってもよい。
上述したように、図9に示す力覚センサ1の弾性変形体41は、モーメントMz以外の軸成分による力またはモーメントに対して弾性変形しない。このことにより、モーメントMzの算出には、第1容量素子C1~第8容量素子C8のうちのいずれか1つの容量素子のみを用いてもよい。あるいは、モーメントMzの算出には、第1容量素子C1~第8容量素子C8のうちのいずれか2つの容量素子を用いてもよい。
例えば、-C1+C2、-C3+C4、-C5+C6、-C7+C8または-C1+C4、C2-C5、-C3+C6、C4-C7、-C5+C8、C6-C7等の容量素子の組み合わせを用いてモーメントMzを算出してもよい。
この場合、検出素子60は、2つの変位電極基板で構成することができ、これら2つの変位電極基板が設けられた変位梁42以外の変位梁42には、変位電極基板は設けられていなくてもよい。このことにより、変位電極基板の個数および固定電極基板の個数を削減できる。変位電極基板が設けられない変位梁42は、省略することができ、変位梁42の個数を削減できる。また、[式7]および[式8]と同様に、容量素子の温度変化による静電容量値の変動を防止することができるとともに、同相ノイズによる静電容量値の変動を防止することができる。
このように本実施の形態によれば、起歪体40A~40Dの弾性変形体41の第3方向の寸法は、弾性変形体41の第2方向の寸法よりも大きい。このことにより、第3方向の力に対する剛性を高めることができ、弾性変形体41が、第3方向に弾性変形することを抑制できる。このため、受力体20に、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fyが作用した場合であっても、弾性変形体41が弾性変形することを抑制できる。このため、力Fxおよび力Fyに対する剛性を高めることができ、力覚センサ10の信頼性を向上できる。
(第3の実施の形態)
次に、図11~図13を用いて、本発明の第3の実施の形態による力覚センサについて説明する。
図11~図13に示す第3の実施の形態においては、変位体は、弾性変形体の一方の側で弾性変形体から第2方向に突出し、他方の側で突出していない点が主に異なり、他の構成は、図8~図10に示す第2の実施の形態と略同一である。なお 、図11~図13において、図8~図10に示す第2の実施の形態と同一部分には同一 符号を付して詳細な説明は省略する。
図11および図12に示すように、本実施の形態においては、各起歪体40A~40Dの変位梁42は、弾性変形体41の一方の側で弾性変形体41から第2方向に突出している。弾性変形体41の他方の側には、変位梁42は突出しておらず、存在していない。図11は、第3の実施の形態による力覚センサ10を示す断面図である。図12は、図11に示す力覚センサ10を示す平面図である。
第1起歪体40Aの変位梁42と、第2起歪体40Bの変位梁42は、互いに向き合っている。すなわち、第1起歪体40Aの変位梁42は、第1起歪体40Aの弾性変形体41に対して、第2起歪体40Bの側に配置されている。第2起歪体40Bの変位梁42は、第2起歪体40Bの弾性変形体41に対して、第1起歪体40Aの側に配置されている。より具体的には、第1起歪体40Aの変位梁42は、第1起歪体40Aの弾性変形体41のX軸方向正側に配置されており、第2起歪体40Bの変位梁42は、第2起歪体40Bの弾性変形体41のY軸方向負側に配置されている。このことにより、第1起歪体40Aの変位梁42と、第2起歪体40Bの変位梁42は、互いに向き合っている。
同様に、第3起歪体40Cの変位梁42と、第4起歪体40Dの変位梁42は、互いに向き合っている。すなわち、第3起歪体40Cの変位梁42は、第3起歪体40Cの弾性変形体41に対して、第4起歪体40Dの側に配置されている。第4起歪体40Dの変位梁42は、第4起歪体40Dの弾性変形体41に対して、第3起歪体40Cの側に配置されている。より具体的には、第3起歪体40Cの変位梁42は、第3起歪体40Cの弾性変形体41のX軸方向負側に配置されており、第4起歪体40Dの変位梁42は、第4起歪体40Dの弾性変形体41のY軸方向正側に配置されている。このことにより、第3起歪体40Cの変位梁42と、第4起歪体40Dの変位梁42は、互いに向き合っている。
各変位梁42に、複数の変位電極基板が設けられている。複数の変位電極基板は、第2方向に直交する第3方向に並んでいる。支持体30に、各変位電極基板に対向する固定電極基板が設けられている。
図11および図12に示すように、本実施の形態による検出素子60は、第1起歪体40A用の電極として、2つの固定電極基板Ef21、Ef22と、2つの変位電極基板Ed21、Ed22と、を含んでいる。第1起歪体40Aの変位梁42に、変位電極基板Ed21、Ed22が配置されている。2つの変位電極基板Ed21、Ed22は、変位梁42のX軸方向正側の端部に配置されていてもよい。2つの変位電極基板Ed21、Ed22は、X軸方向において同じ位置に配置されているが、Y軸方向において互いに異なる位置に配置されている。変位電極基板Ed21が、変位電極基板Ed22よりも、平面視で力覚センサ10の内側に配置されている。より具体的には、変位電極基板Ed21が、変位電極基板Ed22よりもY軸方向正側に配置されている。変位電極基板Ed21が、変位電極基板Ed22よりもY軸方向負側に配置されている。
固定電極基板Ef21は、変位電極基板Ed21に対向している。固定電極基板Ef21と変位電極基板Ed21とで、第21容量素子C21が構成されている。固定電極基板Ef22は、変位電極基板Ed22に対向している。固定電極基板Ef22と変位電極基板Ed22とで、第22容量素子C22が構成されている。第21容量素子C21と第22容量素子C22とが、第1起歪体40A用の検出素子60として構成されている。
上述した第1起歪体40Aとこれに対応する検出素子60の構成は、第2起歪体40B、第3起歪体40Cおよび第4起歪体40Dにも同様に適用できる。
図11および図12に示すように、検出素子60は、第2起歪体40B用の電極として、2つの固定電極基板Ef31、Ef32と、2つの変位電極基板Ed31、Ed32と、を含んでいる。第2起歪体40Bの変位梁42に、変位電極基板Ed31、Ed32が配置されている。2つの変位電極基板Ed31、Ed32は、変位梁42のY軸方向負側の端部に配置されていてもよい。変位電極基板Ed31が、変位電極基板Ed32よりもX軸方向負側であって、平面視で力覚センサ10の内側に配置されている。
固定電極基板Ef31は、変位電極基板Ed31に対向している。固定電極基板Ef31と変位電極基板Ed31とで、第31容量素子C31が構成されている。固定電極基板Ef32は、変位電極基板Ed32に対向している。固定電極基板Ef32と変位電極基板Ed32とで、第32容量素子C32が構成されている。第31容量素子C31と第32容量素子C32とが、第2起歪体40B用の検出素子60として構成されている。
図11および図12に示すように、検出素子60は、第3起歪体40C用の電極として、2つの固定電極基板Ef61、Ef62と、2つの変位電極基板Ed61、Ed62と、を含んでいる。第3起歪体40Cの変位梁42に、変位電極基板Ed61、Ed62が配置されている。2つの変位電極基板Ed61、Ed62は、変位梁42のX軸方向負側の端部に配置されていてもよい。変位電極基板Ed61が、変位電極基板Ed62よりもY軸方向負側であって、平面視で力覚センサ10の内側に配置されている。
固定電極基板Ef61は、変位電極基板Ed61に対向している。固定電極基板Ef61と変位電極基板Ed61とで、第61容量素子C61が構成されている。固定電極基板Ef62は、変位電極基板Ed62に対向している。固定電極基板Ef62と変位電極基板Ed62とで、第62容量素子C62が構成されている。第61容量素子C61と第62容量素子C62とが、第3起歪体40C用の検出素子60として構成されている。
図11および図12に示すように、検出素子60は、第4起歪体40D用の電極として、2つの固定電極基板Ef71、Ef72と、2つの変位電極基板Ed71、Ed72と、を含んでいる。第4起歪体40Dの変位梁42に、変位電極基板Ed71、Ed72が配置されている。2つの変位電極基板Ed71、Ed72は、変位梁42のY軸方向正側の端部に配置されていてもよい。変位電極基板Ed71が、変位電極基板Ed72よりもX軸方向正側であって、平面視で力覚センサ10の内側に配置されている。
固定電極基板Ef71は、変位電極基板Ed71に対向している。固定電極基板Ef71と変位電極基板Ed71とで、第71容量素子C71が構成されている。固定電極基板Ef72は、変位電極基板Ed72に対向している。固定電極基板Ef72と変位電極基板Ed72とで、第72容量素子C72が構成されている。第71容量素子C71と第72容量素子C72とが、第4起歪体40D用の検出素子60として構成されている。
本実施の形態による力覚センサ10は、図8および図9に示す力覚センサ10と同様に、モーメントMzを検出することができる。モーメントMzが受力体20に作用した場合、各容量素子C21~C72の静電容量値の変化が検出され、受力体20に作用したモーメントMzの向きと大きさが検出される。そして、図13に示すように、各容量素子C21~C72の静電容量値が変化する。図13は、各容量素子C21~C72の静電容量値の変化を示す表である。
図13に示す表から、受力体20に作用したモーメントMzは、上述した[式10]と同様にして、以下の式で算出することができる。以下の[式11]および[式12]でモーメントMzを算出することができる。
[式11]
Mz=C21-C31+C61-C71
[式12]
Mz=C22-C32+C62-C72
上述の[式11]および[式12]の両方でモーメントMzを算出して、比較を行うことにより故障診断を行ってもよい。第2の実施の形態において述べたように、モーメントMzの算出には、各容量素子C21、C31、C61およびC71のうちのいずれか2つの容量素子、または各容量素子C22、C32、C62およびC72のうちのいずれか2つの容量素子を用いてもよい。例えば、+C21-C31、+C61-C71、-C31+C61、+C21-C71、+C22-C32、+C62-C72、-C32+C62、+C22-C72等の容量素子の組み合わせを用いてモーメントMzを算出してもよい。この場合、検出素子60は、2つの変位電極基板で構成することができ、これら2つの変位電極基板が設けられた変位梁42以外の変位梁42には、変位電極基板は設けられていなくてもよい。このことにより、変位電極基板の個数および固定電極基板の個数を削減できる。変位電極基板が設けられない変位梁42は、省略することができ、変位梁42の個数を削減できる。また、容量素子の温度変化による静電容量値の変動を防止することができるとともに、同相ノイズによる静電容量値の変動を防止することができる。
このように本実施の形態によれば、各起歪体40A~40Dの弾性変形体41の一方の側で、変位梁42が第2方向に突出し、他方の側で突出していない。変位梁42の各々に、変位電極基板が配置され、支持体30に、対応する変位電極基板に対向する固定電極基板が配置されている。このことにより、弾性変形体41が第2方向に弾性変形した場合、変位電極基板と対応する固定電極基板との間の電極間距離を変化させることができる。このため、検出感度を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、起歪体40A~40Dの変位梁42の個数を削減できる。このことにより、起歪体40A~40Dの構造を単純化し、簡素化することができる。この場合、力覚センサ10の低価格化を図ることができる。
また、本実施の形態によれば、図8~図10に示す力覚センサ10と同様に、受力体20に、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fyが作用した場合であっても、弾性変形体41が弾性変形することを抑制できる。このため、力Fxおよび力Fyに対する剛性を高めることができ、力覚センサ10の信頼性を向上できる。
また、本実施の形態によれば、各変位梁42に、複数の変位電極基板Ed21~Ed72が設けられ、支持体30に、各変位電極基板Ed21~Ed72に対向する固定電極基板Ef21~Ef72が設けられている。このことにより、各変位梁42に設けられた一方の変位電極基板Ed21、Ed31、Ed61、Ed71を含む容量素子C21、C31、C61、C71の静電容量値の変化から算出されたモーメントMzと、他方の変位電極基板Ed22、Ed32、Ed62、Ed72を含む容量素子C22、C32、C62、C72の静電容量値の変化から算出されたモーメントMzで、故障診断を行うことができる。このため、力覚センサ10の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1起歪体40Aの変位梁42と、第2起歪体40Bの変位梁42は、互いに向き合っている。第3起歪体40Cの変位梁42と、第4起歪体40Dの変位梁42は、互いに向き合っている。このことにより、各変位電極基板Ed21~Ed72および各固定電極基板Ef21~Ef72への電気配線の接続作業性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、各変位梁42に、2つの変位電極基板Ed21~Ed72が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、上述したように、各変位梁42に設けられる2つの変位電極基板は、一体化されて、1つの変位電極基板で構成されていてもよい。この場合、1つの変位電極基板に対向する2つの固定電極基板は、別体に形成されて互いに離れていてもよい。あるいは、各変位梁42に対向する2つの固定電極基板は、一体化されて、1つの固定電極基板で構成されていてもよい。この場合、1つの固定電極基板に対向する2つの変位電極基板は、別体に形成されて互いに離れていてもよい。
(第4の実施の形態)
次に、図14を用いて、本発明の第4の実施の形態による力覚センサについて説明する。
図14に示す第4の実施の形態においては、受力体が、第1起歪体の受力体側端部と第2起歪体の受力体側端部を分断する第1受力体開口と、第3起歪体の受力体側端部と第4起歪体の受力体側端部を分断する第2受力体開口と、を含む点が主に異なり、他の構成は、図11~図13に示す第3の実施の形態と略同一である。なお 、図14において、図11~図13に示す第3の実施の形態と同一部分には同一 符号を付して詳細な説明は省略する。
図14に示すように、本実施の形態においては、受力体20は、第1受力体開口21と、第2受力体開口22と、を含んでいてもよい。図14は、第4の実施の形態による力覚センサ10を示す斜視図である。
第1受力体開口21は、第1起歪体40Aの受力体側端部43と、第2起歪体40Bの受力体側端部43とを分断するように形成されている。このことにより、第1起歪体40Aの受力体側端部43と、第2起歪体40Bの受力体側端部43とは、受力体20を構成する部材で接続されておらず、互いに離れている。Z軸方向正側から見たときに、第1受力体開口21から、第1起歪体40Aの変位梁42、第2起歪体40Bの変位梁42および後述する第1支持体接続部33が露出されている。
第2受力体開口22は、第3起歪体40Cの受力体側端部43と、第4起歪体40Dの受力体側端部43とを分断するように形成されている。このことにより、第3起歪体40Cの受力体側端部43と、第4起歪体40Dの受力体側端部43とは、受力体20を構成する部材で接続されておらず、互いに離れている。Z軸方向正側から見たときに、第2受力体開口22から、第3起歪体40Cの変位梁42、第4起歪体40Dの変位梁42および後述する第2支持体接続部34が露出されている。
受力体20は、第1受力体接続部23と、第2受力体接続部24と、を含んでいてもよい。第1受力体接続部23は、第2起歪体40Bの受力体側端部43と、第3起歪体40Cの受力体側端部43とを接続している。第2受力体接続部24は、第4起歪体40Dの受力体側端部43と第1起歪体40Aの受力体側端部43とを接続している。受力体20が受力体中心開口20aを含んでいる場合、第1受力体接続部23の平面形状および第2受力体接続部24の平面形状は、概略的に、円形リング形状の1/4の形状であってもよい。
第1受力体接続部23および第2受力体接続部24に、ボルト穴25が設けられていてもよい。ボルト穴25は、図1に示すツール3または図示しないエンドエフェクタを取り付けるために用いられてもよい。
図14に示すように、本実施の形態においては、支持体30は、第1支持体開口31と、第2支持体開口32と、を含んでいてもよい。
第1支持体開口31は、第2起歪体40Bの支持体側端部44と、第3起歪体40Cの支持体側端部44とを分断するように形成されている。このことにより、第2起歪体40Bの支持体側端部44と、第3起歪体40Cの支持体側端部44とは、支持体30を構成する部材で接続されておらず、互いに離れている。Z軸方向負側から見たときに、第1支持体開口31から、上述した第1受力体接続部23が露出されている。
第2支持体開口32は、第4起歪体40Dの支持体側端部44と、第1起歪体40Aの支持体側端部44とを分断するように形成されている。このことにより、第4起歪体40Dの支持体側端部44と、第1起歪体40Aの支持体側端部44とは、支持体30を構成する部材で接続されておらず、互いに離れている。Z軸方向負側から見たときに、第2支持体開口32から、上述した第2受力体接続部24が露出されている。
図14に示すように、本実施の形態においては、支持体30は、第1支持体接続部33と、第2支持体接続部34と、を含んでいてもよい。第1支持体接続部33は、第1起歪体40Aの支持体側端部44と、第2起歪体40Bの支持体側端部44とを接続している。第2支持体接続部34は、第3起歪体40Cの支持体側端部44と第4起歪体40Dの支持体側端部44とを接続している。支持体30が支持体中心開口30aを含んでいる場合、第1支持体接続部33の平面形状および第2支持体接続部34の平面形状は、概略的に、円形リング形状の1/4の形状であってもよい。
第1支持体接続部33および第2支持体接続部34に、ボルト穴35が設けられていてもよい。ボルト穴35は、図1に示すロボットアーム4に取り付けるために用いられてもよい。
図14に示す各起歪体40A~40Dは、図11および図12に示す各起歪体40A~40Dと同様に構成されていてもよい。検出素子60も、図11および図12に示す検出素子60と同様に構成されていてもよい。この場合、力覚センサ10に作用したモーメントMzの向きと大きさを、同様にして検出することができ、検出感度を向上させることができる。図14では、図面を明瞭にするために、各容量素子C1~C8は省略している。
このように本実施の形態によれば、受力体20は、第1起歪体40Aの受力体側端部43と、第2起歪体40Bの受力体側端部43とを分断する第1受力体開口21と、第3起歪体40Cの受力体側端部43と、第4起歪体40Dの受力体側端部43とを分断する第2受力体開口22と、を含んでいる。このことにより、受力体20の質量を低減することができる。このため、力覚センサ10の取扱性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、支持体30は、第2起歪体40Bの支持体側端部44と、第3起歪体40Cの支持体側端部44とを分断する第1支持体開口31と、第4起歪体40Dの支持体側端部44と、第1起歪体40Aの支持体側端部44とを分断する第2支持体開口32と、を含んでいる。このことにより、支持体30の質量を低減することができる。このため、力覚センサ10の取扱性を向上させることができる。
(第5の実施の形態)
次に、図15~図20を用いて、本発明の第5の実施の形態による力覚センサについて説明する。
図15~図20に示す第5の実施の形態においては、受力体は、受力体本体部と、受力体本体部よりも薄い受力体薄肉部と、を含む点が主に異なり、他の構成は、図1~図7に示す第1の実施の形態と略同一である。なお 、図15~図20において、図1~図7に示す第1の実施の形態と同一部分には同一 符号を付して詳細な説明は省略する。
図15および図16に示すように、本実施の形態による受力体20は、受力体本体部26と、受力体薄肉部27と、を含んでいる。受力体本体部26は、受力体20のうち比較的厚い部分である。受力体薄肉部27は、受力体本体部26よりも薄い部分である。受力体薄肉部27は、可撓性を有しており、Z軸方向の力の作用により弾性変形可能になっている。受力体薄肉部27のZ軸方向の力の作用に対するばね定数は、受力体本体部26のZ軸方向の力の作用に対するばね定数よりも小さい。受力体薄肉部27の平面形状は、円形でもよく、または矩形でもよく、任意である。図16に示すように、受力体薄肉部27の平面形状は、概略的に円形であってもよい。図15は、第5の実施の形態による力覚センサ10を示す断面図である。図16は、図15に示す力覚センサ10を示す平面図である。
Z軸方向において、受力体薄肉部27の支持体30の側の面は、受力体本体部26の支持体30の側の面と、同じ位置に形成されていてもよい。この場合、受力体本体部26の面と受力体薄肉部27の面は、連続した面を構成していてもよい。受力体薄肉部27の支持体30とは反対側の面は、受力体本体部26の支持体30とは反対側の面よりも、支持体30に近い位置に配置されている。このことにより、受力体20の支持体30とは反対側の面に、凹部28が形成されている。
受力体薄肉部27は、起歪体40A~40Dの受力体側端部43に接続されている。受力体20は、4つの受力体薄肉部27を含んでいる。各受力体薄肉部27は、平面視で、対応する起歪体40A~40Dの弾性変形体41に重なる位置に配置されている。各受力体薄肉部27の中心に、対応する弾性変形体41の受力体側端部43が配置されていてもよい。受力体薄肉部27同士は、互いに離れており、接続されていない。受力体薄肉部27に、1つまたは複数の貫通孔(図示せず)が形成されていてもよい。貫通孔は、受力体薄肉部27を貫通する孔である。貫通孔は、平面視で、受力体側端部43に重ならない位置に配置されていてもよい。貫通孔が形成されることにより、受力体薄肉部27の可撓性を増大させることができる。
図15および図16に示すように、本実施の形態による支持体30は、支持体本体部36と、支持体薄肉部37と、を含んでいる。支持体本体部36は、支持体30のうち比較的厚い部分である。支持体薄肉部37は、支持体本体部36よりも薄い部分である。支持体薄肉部37は、可撓性を有しており、Z軸方向の力の作用により弾性変形可能になっている。支持体薄肉部37のZ軸方向の力の作用に対するばね定数は、支持体本体部36のZ軸方向の力の作用に対するばね定数よりも小さい。支持体薄肉部37の平面形状は、円形でもよく、または矩形でもよく、任意である。支持体薄肉部37の平面形状は、上述した受力体薄肉部27と同様に、概略的に円形であってもよい。
図16においては、弾性変形体41の平面形状は、概略的に円形になっているが、これに限られることはない。
Z軸方向において、支持体薄肉部37の受力体20の側の面は、支持体本体部36の受力体20の側の面と、同じ位置に形成されていてもよい。この場合、支持体本体部36の面と支持体薄肉部37の面は、連続した面を構成していてもよい。支持体薄肉部37の受力体20とは反対側の面は、支持体本体部36の受力体20とは反対側の面よりも、受力体20に近い位置に配置されている。このことにより、支持体30の受力体20とは反対側の面に、凹部38が形成されている。
支持体薄肉部37は、起歪体40A~40Dの支持体側端部44に接続されている。支持体30は、4つの支持体薄肉部37を含んでいる。各支持体薄肉部37は、平面視で、対応する起歪体40A~40Dの弾性変形体41に重なる位置に配置されている。各支持体薄肉部37の中心に、対応する弾性変形体41の支持体側端部44が配置されていてもよい。支持体薄肉部37同士は、互いに離れており、接続されていない。支持体薄肉部37に、1つまたは複数の貫通孔(図示せず)が形成されていてもよい。貫通孔は、支持体薄肉部37を貫通する孔である。貫通孔は、平面視で、支持体側端部44に重ならない位置に配置されていてもよい。貫通孔が形成されることにより、支持体薄肉部37の可撓性を増大させることができる。
次に、このような構成からなる本実施の形態による力覚センサにおいて、力またはモーメントを検出する方法について説明する。
本実施の形態による第1起歪体40Aの単体にX軸方向の力Fxが作用した場合には、図6に示す第1起歪体40Aと同様にして、第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。この場合、力Fxは、上述した[式1]で表される。
本実施の形態による第1起歪体40Aの単体にY軸周りのモーメントMyが作用した場合にも、図6に示す第1起歪体40Aと同様にして、第1容量素子C1の静電容量値が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。この場合、モーメントMyは、上述した[式2]で表される。
本実施の形態による第1起歪体40Aの単体にY軸方向の力Fyが作用した場合には、図6に示す第1起歪体40Aと同様に、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなせる。X軸周りのモーメントMxが作用した場合にも同様に、各容量素子C1、C2における静電容量値の変化は無いとみなせる。
本実施の形態による第1起歪体40Aの単体にZ軸方向の力Fzが作用した場合について、図17および図18を用いて説明する。図17は、受力体20がZ軸方向正側の力Fzを受けた場合の第1起歪体40Aの変形状態を模式的に示す正面図である。図18は、受力体20がZ軸方向負側の力Fzを受けた場合の第1起歪体40Aの変形状態を模式的に示す正面図である。
第1起歪体40AにZ軸方向正側に力Fzが作用した場合には、図17に示すように、受力体薄肉部27および支持体薄肉部37が弾性変形する。この場合、受力体20はZ軸方向正側に変位し、第1起歪体40Aの弾性変形体41および変位梁42は、Z軸方向正側に変位する。弾性変形体41は、Z軸方向に弾性変形しない。このことにより、第1変位電極基板Ed1が上昇して第1固定電極基板Ef1から遠ざかる。第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が増大し、第1容量素子C1の静電容量値が減少する。同様に、第2変位電極基板Ed2も上昇して第2固定電極基板Ef2から遠ざかる。第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が増大し、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。
第1起歪体40Aの団体に作用した力Fzは、以下の式で算出することができる。
[式13]
Fz=-C1-C2
一方、第1起歪体40AにZ軸方向負側に力Fzが作用した場合には、図18に示すように、受力体薄肉部27および支持体薄肉部37が弾性変形する。この場合、受力体20はZ軸方向負側に変位し、第1起歪体40Aの弾性変形体41および変位梁42は、Z軸方向負側に変位する。弾性変形体41は、Z軸方向に弾性変形しない。このことにより、第1変位電極基板Ed1が下降して第1固定電極基板Ef1に近づく。第1変位電極基板Ed1と第1固定電極基板Ef1との電極間距離(Z軸方向の距離)が減少し、第1容量素子C1の静電容量値が増大する。同様に、第2変位電極基板Ed2も下降して第2固定電極基板Ef2に近づく。第2変位電極基板Ed2と第2固定電極基板Ef2との電極間距離が減少し、第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
このように、受力体20と支持体30とが第1起歪体40Aだけで接続されている力覚センサ10は、力Fx、力FzとモーメントMyを検出することができる。この力覚センサ10は、力FxとモーメントMyの一方のみが作用する環境で用いられてもよい。
次に、図15および図16に示す力覚センサ10の受力体20に、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMxおよびY軸周りのモーメントMyが作用した場合の各容量素子C1~C8の静電容量値の変化について図19を用いて説明する。X軸方向の力Fx、Y軸方向の力FyおよびZ軸周りのモーメントMzが作用した場合の各容量素子C1~C8の静電容量値の変化は、図5に示す力覚センサ10における静電容量値の変化と同様である。このため、力Fx、力FyおよびモーメントMzについての詳細な説明は省略する。図19は、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化を示す表である。
(+Fzが作用した場合)
受力体20にZ軸方向正側に力Fzが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体40Aは、図17に示すように弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が減少するとともに、第2容量素子C2の静電容量値が減少する。このことが、図19に示す表中のFzの行のC1およびC2に「-(マイナス)」として示されている。
第2起歪体40Bは、図17に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形する。このことにより、第3容量素子C3の静電容量値が減少するとともに、第4容量素子C4の静電容量値が減少する。第3起歪体40Cおよび第4起歪体40Dも同様に弾性変形し、第5容量素子C5~第8容量素子C8の静電容量値は減少する。
(+Mxが作用した場合)
受力体20にX軸周りのモーメントMxが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体40Aは、図18に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第1容量素子C1の静電容量値が増大するとともに第2容量素子C2の静電容量値が増大する。
第2起歪体40Bにおいては、弾性変形体41が、Y軸方向において受力体20の中心Oと同じ位置に位置しているため、第2起歪体40Bの変位梁42の変位は、第1起歪体40Aの変位梁42の変位および第3起歪体40Cの変位梁42の変位に比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第2起歪体40Bの変位梁42は、変位しないと考える。このため、第3容量素子C3の静電容量値が変化せず、第4容量素子C4の静電容量値も変化しない。
第3起歪体40Cは、図17に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第5容量素子C5の静電容量値が減少するとともに第6容量素子C6の静電容量値が減少する。
第4起歪体40Dにおいては、弾性変形体41が、Y軸方向において受力体20の中心Oと同じ位置に位置しているため、第4起歪体40Dの変位梁42の変位は、第1起歪体40Aの変位梁42の変位および第3起歪体40Cの変位梁42の変位に比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第4起歪体40Dの変位梁42は、変位しないと考える。このため、第7容量素子C7の静電容量値が変化せず、第8容量素子C8の静電容量値も変化しない。
(+Myが作用した場合)
受力体20にY軸周りのモーメントMyが作用した場合について説明する。
この場合、第1起歪体40Aにおいては、弾性変形体41が、X軸方向において受力体20の中心Oと同じ位置に位置しているため、第1起歪体40Aの変位梁42の変位は、第2起歪体40Bの変位梁42の変位および第4起歪体40Dの変位梁42の変位に比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第1起歪体40Aの変位梁42は、変位しないと考える。このため、第1容量素子C1の静電容量値が変化せず、第2容量素子C2の静電容量値も変化しない。
第2起歪体40Bは、図18に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第3容量素子C3の静電容量値が増大するとともに第4容量素子C4の静電容量値が増大する。
第3起歪体40Cにおいては、弾性変形体41が、X軸方向において受力体20の中心Oと同じ位置に位置しているため、第3起歪体40Cの変位梁42の変位は、第2起歪体40Bの変位梁42の変位および第4起歪体40Dの変位梁42の変位に比べて小さい。ここでは、説明を簡略化するために、第3起歪体40Cの変位梁42は、変位しないと考える。このため、第5容量素子C5の静電容量値が変化せず、第6容量素子C6の静電容量値も変化しない。
第4起歪体40Dは、図17に示す第1起歪体40Aと同様に弾性変形し、第7容量素子C7の静電容量値が減少するとともに第8容量素子C8の静電容量値が減少する。
このように、本実施の形態による力覚センサ10は、力Fx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzを検出することができ、6軸成分を検出することができる。力Fx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzが受力体20に作用した場合、各容量素子C1~C8の静電容量値の変化が検出され、受力体20に作用した力またはモーメントの向きと大きさが検出される。そして、図19に示すように、各容量素子C1~C8の静電容量値が変化する。
図19に示す表から、受力体20に作用したFx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzは、以下の式で算出することができる。これにより、力の6軸成分を検出することができる。
[式14]
Fx=-C1+C2 +C5-C6
[式15]
Fy= -C3+C4 +C7-C8
[式16]
Fz=-C1-C2-C3-C4-C5-C6-C7-C8
[式17]
Mx= C1+C2 -C5-C6
[式18]
My= C3+C4 -C7-C8
[式19]
Mz=-C1+C2-C3+C4-C5+C6-C7+C8
上述したように、図15および図16に示す力覚センサ10は、上述した[式14]~[式19]で示したように、力Fx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMyおよびモーメントMzを検出することができるため、力の6軸成分を検出することが可能になっている。しかしながら、力覚センサ10が検出することが可能な力の軸成分は6つであることに限られることはなく、起歪体の個数や構造、形状に応じて、検出可能な軸成分は任意である。詳細な説明は省略するが、例えば、3つの起歪体と用いることによっても力とモーメントの6軸成分を検出することができる。
図19に示す各容量素子C1~C8の静電容量値の変化を、上述の[式14]~[式19]に適用すると、図20の主軸感度および他軸感度を示す表が得られる。図20は、図19に示す静電容量値の変化に基づく主軸感度および他軸感度を示す表である。図20に示すVFxはX軸方向の力Fxが作用したときの出力であり、VFyはY軸方向の力Fyが作用したときの出力であり、VFzはZ軸方向の力Fzが作用したときの出力である。また、VMxはX軸周りのモーメントMxが作用したときの出力であり、VMyはY軸周りのモーメントMyが作用したときの出力であり、VMzはZ軸周りのモーメントMzが作用したときの出力である。
図20の表中に示された数値は、図19の表に記載の各力Fx、Fy、Fzおよび各モーメントMx、My、Mzについて、「+」の符号が付された容量素子を「+1」とし、「-」の符号が付された容量素子を「-1」として、上述の[式14]~[式19]の右辺に代入して得られた数値である。例えば、Fxの列とVFxの行とが交わるマス目に記載の「4」という数値は、Fxを示す[式14]において、図19のFxの行に基づいて、C2およびC5に「+1」を代入し、C1およびC6に「-1」を代入して得られた数値である。また、Fxの列とVFyの行とが交わるマス目に記載の「0」という数値は、Fxを示す[式14]において、図19のFyの行に基づいてC1、C2、C5およびC6に0を代入して得られた数値である。
図20に示されているように、力Fxについては、VFxが「4」という数値になっているが、VFy、VFz、VMx、VMy、VMzは「0」という数値になっている。このことから、力Fxについては、他軸感度が無く、主軸感度のみを検出することができる。力Fy、Fzと、モーメントMx、My、Mzについても同様に他軸感度はなく、主軸感度のみをそれぞれ検出することができる。すなわち、他軸感度の発生を抑制することができる力覚センサ10を得ることができる。
なお、他軸感度が発生する場合も考えられる。例えば、第1起歪体40AについてZ軸方向正側に力Fzが作用した場合、第1容量素子C1の静電容量値の変化量と、第2容量素子C2の静電容量値の変化量とは、異なる場合がある。この場合、力Fzに対して他軸感度が発生し得る。また、力Fz、モーメントMx、Myが受力体20に作用した場合、第1起歪体40Aは、Z軸方向に変位するため、図19に示す表中のFzの行、Mxの行、Myの行では、同じ符号が付されていたとしても静電容量値の変化量が異なる場合がある。この場合、力Fz、モーメントMx、Myに対して他軸感度が発生し得る。力Fx、Fy、モーメントMzについても同様に他軸感度が発生し得る。例えば、モーメントMxが受力体20に作用した場合、図19に示すように、第3容量素子C3と第4容量素子C4と第7容量素子C7と第8容量素子C8では静電容量値が変化しないため、「0」という数値が記載されているが、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。モーメントMy、Mzについても同様である。また、力Fx、Fyの行で、「0」という数値が記載されている容量素子についても、静電容量値が変化して他軸感度が発生する場合がある。
しかしながら、他軸感度が発生した場合であっても、他軸感度のマトリックス(図20に示す表に対応する6行6列の行列、特性行列とも言う)の逆行列を求め、この逆行列を力覚センサの出力(特性行列)に乗じることによって補正演算を行うことができる。この結果、他軸感度を低減することができ、他軸感度の発生を抑制することができる。
このように本実施の形態によれば、受力体20は、受力体本体部26と、受力体本体部26よりも薄い受力体薄肉部27と、を含み、受力体薄肉部27は、起歪体40A~40Dの受力体側端部43に接続されている。このことにより、受力体薄肉部27が、Z軸方向の力の作用により弾性変形することができ、受力体20にZ軸方向の力が作用した場合に、受力体20をZ軸方向に変位させることができる。このため、起歪体40A~40Dの変位梁42を変位させることができ、各容量素子C1~C8の静電容量値を変化させることができる。この結果、力またはモーメントの6軸成分を検出することができる。
また、本実施の形態によれば、支持体30は、支持体本体部36と、支持体本体部36よりも薄い支持体薄肉部37と、を含み、支持体薄肉部37は、起歪体40A~40Dの支持体側端部44に接続されている。このことにより、支持体薄肉部37が、Z軸方向の力の作用により弾性変形することができ、受力体20にZ軸方向の力が作用した場合に、受力体20をZ軸方向に変位させることができる。このため、起歪体40A~40Dの変位梁42を変位させることができ、各容量素子C1~C8の静電容量値を変化させることができる。この結果、力またはモーメントの6軸成分を検出することができる。
なお、上述した本実施の形態においては、受力体薄肉部27の平面形状が円形である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、受力体薄肉部27の平面形状は、円形リング形状であってもよい。この場合、受力体薄肉部27は、平面視で、受力体側端部43を囲んでいてもよい。平面視で、受力体薄肉部27の内側部分が、受力体本体部26と同じ厚さを有し、この内側部分を介して、受力体薄肉部27に受力体側端部43が接続されるようにしてもよい。この場合においても、受力体薄肉部27に、上述した貫通孔が形成されていてもよい。受力体薄肉部27の平面形状は、矩形の環状形状に形成されていてもよい。この場合、弾性変形体41のXY平面に沿う断面形状も、矩形であってもよい。
また、上述した本実施の形態においては、支持体薄肉部37の平面形状が円形である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、支持体薄肉部37の平面形状は、円形リング形状であってもよい。この場合、支持体薄肉部37は、平面視で、支持体側端部44を囲んでいてもよい。平面視で、支持体薄肉部37の内側部分が、支持体本体部36と同じ厚さを有し、この内側部分を介して、支持体薄肉部37に支持体側端部44が接続されるようにしてもよい。この場合においても、支持体薄肉部37に、上述した貫通孔が形成されていてもよい。支持体薄肉部37の平面形状は、矩形の環状形状に形成されていてもよい。この場合、弾性変形体41のXY平面に沿う断面形状も、矩形であってもよい。
本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態および変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態および変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。