JP2024011693A - 積層フィルム及び包装材用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた機械的強度を兼ね備える積層フィルム及び該積層フィルムを備える包装材用フィルムを提供する。【解決手段】本発明の積層フィルムは、第1層の片面又は両面に第2層が配置されてなる積層体を備えた積層フィルムであって、前記第1層は、D体含有率が0.1質量%以上5質量%以下であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、前記第2層は、D体含有率が0.1質量%以上12質量%未満であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、前記積層体は、ガラス転移温度が32~49℃であり、前記積層体は、D体の含有割合が0.1質量%以上5.5質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルム及び包装材用フィルムに関する。
樹脂フィルムは、耐湿性、耐水性及び耐油性等の諸性能に優れると共に、良好な機械強度を有することから、食品や薬品等の包装材料、ディスプレイ等の保護フィルムなど、種々の用途に広く適用されており、利用価値の高い機能性材料である。
一方で、近年では、プラスチック材料の廃棄量が増大していること、また、プラスチック材料の焼却処理で発生する二酸化炭素による地球温暖化をもたらす懸念がある等の様々な問題が提起されている。このため、地球環境や人体への配慮等の観点から生分解性を有するバイオマスプラスチックが大きく注目されており、例えば、ポリ乳酸等のバイオマスプラスチックと汎用の樹脂とを組み合わせて様々な材料開発が盛んに進められている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2004-90522号公報
しかしながら、従来のポリ乳酸等の生分解性樹脂を用いたフィルムは、高い透明性や柔軟性は有しているものの、機械的強度(例えば、引張強さや引裂き強さ)が十分でなかったため、その用途が制限されやすいという問題を有していた。特に、積層フィルムにおいて、柔軟性(風合い)と機械的強度とは互いにトレードオフの関係にあることから、両者を兼ね備える積層フィルムを提供することは決して容易なことではなかった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、高い透明性及び柔軟性(風合い)を有しつつ、優れた機械的強度を兼ね備える積層フィルム及び該積層フィルムを備える包装材用フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定量のD体を含有するポリ乳酸樹脂を含み、ガラス転移温度が所定の範囲である積層体を用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
第1層の片面又は両面に第2層が配置されてなる積層体を備えた積層フィルムであって、
前記第1層は、D体含有率が0.1質量%以上5質量%以下であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、
前記第2層は、D体含有率が0.1質量%以上12質量%未満であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、
前記積層体は、ガラス転移温度が32~49℃であり、
前記積層体は、D体の含有割合が0.1質量%以上5.5質量%以下であり、
前記第2層中の可塑剤の含有割合が7質量%以下である、積層フィルム。
項2
前記第1層はさらに可塑剤を含有し、
前記第2層は可塑剤を含有しない、項1に記載の積層フィルム。
項3
前記第1層中の前記可塑剤の含有割合が6質量%以上、16質量%未満であり、
前記積層体中の前記可塑剤の含有割合が5質量%以上、12質量%未満である、項2に記載の積層フィルム。
項4
下記式(1)
S(N/μm)=A/d (1)
(式(1)中、Aは、JIS7128-2準拠して測定される積層フィルムのMD方向のエルメンドルフ引裂き強さと、TD方向のエルメンドルフ引裂き強さとの平均値(N)を示し、dはフィルムの厚さ(μm)を示す)
で表されるS値が5N/μm以上である、項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
項5
MD方向の引張強さ(MPa)及びTD方向の引張強さ(MPa)の平均値が65MPa以上である、項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
項6
フィルム面上の少なくとも一方向の弾性率が1.5~3.5Gpaである、項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
項7
項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルムを備える、包装材用フィルム。
本発明の積層フィルムは、高い透明性及び柔軟性(風合い)を有しつつ、優れた機械的強度を兼ね備える。具体的に、本発明の積層フィルムは、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有する。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本発明の積層フィルムは、第1層の片面又は両面に第2層が配置されてなる積層体を備える。特に、本発明の積層フィルムにおいて、前記第1層は、D体含有率が0.1質量%以上5質量%以下であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、前記第2層は、D体含有率が0.1質量%以上12質量%以下であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、前記積層体は、ガラス転移温度が32~49℃であり、前記積層体は、D体の含有割合が0.1質量%以上5.5質量%以下であり、前記第2層中の可塑剤の含有割合が7質量%以下である。
本発明の積層フィルムは、上記のように構成されることで、高い透明性及び柔軟性(風合い)を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さ並びに優れた弾性率及び破断点伸度を有する。従って、本発明の積層フィルムは、透明性、柔軟性、引張強さ、引裂き強さ、弾性率および破断点伸度のすべてが求められる包装材に好適であり、例えば、農業用マルチフィルム、野菜等を包装するための食品包装等の分野に好ましく適用することができる。
(第1層)
本発明の積層フィルムにおいて、第1層は、ポリ乳酸樹脂を含む層であって、積層フィルムのコアをなす層である。この第1層に含まれるポリ乳酸樹脂は、D体含有率が0.1質量%以上5質量%以下である。第1層は、例えば、ポリ乳酸樹脂を80質量%以上含有し、好ましくは90質量%以上含有し、より好ましくは94質量%以上含有する。
本明細書において、ポリ乳酸樹脂におけるD体とは、ポリ乳酸樹脂を構成する乳酸単位のうち、D-乳酸(D体)単位を意味する。従って、ポリ乳酸樹脂におけるD体含有率とは、ポリ乳酸樹脂の全質量に対するD体単位の含有割合(質量%)を意味する。
以下、第1層に含まれるポリ乳酸樹脂をポリ乳酸樹脂(1)と表記する。
ポリ乳酸樹脂(1)の種類は、D体含有率が上記範囲である限り、特に限定されず、例えば、原料モノマーとして乳酸成分を縮重合させて得られるポリ乳酸等、公知のポリ乳酸を広く挙げることができる。ポリ乳酸樹脂(1)は、D体含有率が0.1質量%以上5質量%以下であることから、L-乳酸を主要な構成単位とするものである。
本発明の積層フィルムは、第1層にD体含有率が上記範囲であるポリ乳酸樹脂(1)が含まれることで、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有することができる。ポリ乳酸樹脂(1)は、D体含有率が0.1質量%未満の場合、結晶性が高く、融点が高くなり、未溶融物が発生しやすいという問題が発生し、5質量%を超過するとフィルムの引張り強さが低下するという問題が発生する。
ポリ乳酸樹脂(1)は、D体含有率が0.15質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることが特に好ましく、また、ポリ乳酸樹脂(1)は、D体含有率が5.0質量%未満であることが好ましく、4.5質量%以下であることがより好ましく、4質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
ポリ乳酸樹脂(1)の質量平均分子量は特に限定されず、例えば、5万以上であることが好ましく、7.5万以上であることよりが好ましく、10万以上であることが特に好ましい。また、ポリ乳酸樹脂(1)の質量平均分子量は、30万以下であることが好ましく、25万以下であることがより好ましく、20万以下であることがさらに好ましい。
ポリ乳酸樹脂(1)の製造方法は特に限定されず、例えば、公知のポリ乳酸の製造方法を広く採用することができる。また、ポリ乳酸樹脂(1)は、市販品等からも入手することができる。ポリ乳酸樹脂(1)の代表的な市販品としては、例えば、トタルコービオン社製Luminy「L175」、「LX575」、「LX175」、「LX975」、「L130」、「LX530」、「LX930」、「LX105」、「D120」、「D070」、NatureWorks社製Ingeo、浙江海正生物材料製REVODE等が挙げられる。
第1層に含まれるポリ乳酸樹脂(1)は、1種単独とすることができ、あるいは2種以上とすることができる。
第1層には、ポリ乳酸樹脂(1)の他、可塑剤を含むことができる。第1層に可塑剤が含まれることで、積層体のガラス転移温度を特定の範囲に調整しやすく、この結果、本発明の積層フィルムが優れた柔軟性を有することができ、風合いが良好となりやすい。
可塑剤としては、樹脂に可塑効果をもたらす性質を有する限りは特に限定されず、例えば、公知の可塑剤を広く挙げることができる。例えば、生分解性樹脂用の可塑剤を第1層の可塑剤に好ましく適用することができ、ポリ乳酸樹脂として知られている可塑剤を第1層の可塑剤としてより好ましく適用することができる。
可塑剤は、大気圧における沸点が好ましくは220℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。あるいは、可塑剤は、5~10torrにおける沸点が好ましくは170℃以上、さらに好ましくは180℃以上である。また、ポリ乳酸樹脂に対する相溶性の観点から、可塑剤の溶解性パラメータ(SP値)は9.0~11.0の範囲であることが好ましい。
特に、可塑剤としては、ポリエステル系可塑剤として知られている各種の可塑剤を挙げることができ、中でも混基二塩基酸エステル(例えば、ベンジルメチルジグリコールアジペート)、アジピン酸エステル、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、正リン酸エステル、リシノール酸エステル、酢酸エステル、クエン酸エステル、スルホンアミド、並びに、天然油脂及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種であることが好ましく、混基二塩基酸エステル(例えば、ベンジルメチルジグリコールアジペート)がより好ましい。
前記天然油脂及びそれらの誘導体の具体例として、大豆油、エポキシ化大豆油、ひまし油、桐油、菜種油が挙げられる。
第1層が可塑剤を含む場合、その含有割合は特に限定されない。積層体のガラス転移温度を特定の範囲に調整しやすく、積層フィルムに優れた柔軟性を付与しやすい点で、前記第1層中の前記可塑剤の含有割合は、6質量%以上、16質量%未満であることが好ましい。第1層中の前記可塑剤の含有割合は、7質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、9質量%以上であることが特に好ましい。また、第1層中の前記可塑剤の含有割合は、16.0質量%未満であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、14質量%以下であることが特に好ましい。
第1層は、ポリ乳酸樹脂(1)及び必要に応じて含まれる可塑剤の他に、他の成分を含むこともできる。他の成分は、例えば、公知の包装用フィルム等に含まれる成分を広く挙げることができる。第1層において、他の成分は、第1層の全質量に対し、例えば、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。第1層は、ポリ乳酸樹脂(1)のみで形成されていてもよい。
第1層は、ポリ乳酸樹脂(1)及び前記可塑剤を含むことが好ましく、ポリ乳酸樹脂(1)及び前記可塑剤のみからなるものであることがさらに好ましい。この場合、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有する積層フィルムを提供しやすい。
第1層の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。第1層の厚さは、例えば、5~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましい。
(第2層)
本発明の積層フィルムにおいて、第2層は、ポリ乳酸樹脂を含む層であって、第2層の片面又は両面に貼り合わされる層である。この第2層に含まれるポリ乳酸樹脂は、D体含有率が0.1質量%以上12質量%未満である。第2層は、例えば、ポリ乳酸樹脂を80質量%以上含有し、好ましくは90質量%以上含有し、より好ましくは94質量%以上含有し、さらに好ましくは99質量%以上含有する。
以下、第2層に含まれるポリ乳酸樹脂をポリ乳酸樹脂(2)と表記する。
ポリ乳酸樹脂(2)の種類は、D体含有率が上記範囲である限り、特に限定されず、例えば、原料モノマーとして乳酸成分を縮重合させて得られるポリ乳酸等、公知のポリ乳酸を広く挙げることができる。ポリ乳酸樹脂(2)は、D体含有率が0.1質量%以上12質量%以下であることから、L-乳酸を主要な構成単位とするものである。
本発明の積層フィルムは、第2層にD体含有率が上記範囲であるポリ乳酸樹脂(2)が含まれることで、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有することができる。ポリ乳酸樹脂(2)は、D体含有率が0.1質量%未満の場合、結晶性が高く、融点が高くなり、未溶融物が発生しやすいという問題が発生し、12質量%以上の場合、ブロッキングし易くなり、引張強さが低下しやすくなるという問題が発生する。
ポリ乳酸樹脂(2)は、D体含有率が0.15質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることが特に好ましく、また、ポリ乳酸樹脂(1)は、D体含有率が12.0質量%未満であることが好ましく、11質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、9質量%以下であることが特に好ましい。
ポリ乳酸樹脂(2)の質量平均分子量は特に限定されず、例えば、5万以上であることが好ましく、7.5万以上であることよりが好ましく、10万以上であることが特に好ましい。また、ポリ乳酸樹脂(2)の質量平均分子量は、30万以下であることが好ましく、25万以下であることがより好ましく、20万以下であることがさらに好ましい。
ポリ乳酸樹脂(2)の製造方法は特に限定されず、例えば、公知のポリ乳酸の製造方法を広く採用することができる。また、ポリ乳酸樹脂(1)は、市販品等からも入手することができる。ポリ乳酸樹脂(1)の代表的な市販品としては、例えば、トトタルコービオン社製Luminy「L175」、「LX575」、「LX175」、「LX975」、「L130」、「LX530」、「LX930」、「LX105」、「D120」、「D070」、NatureWorks社製Ingeo、浙江海正生物材料製REVODE等が挙げられる。
第2層に含まれるポリ乳酸樹脂(2)は、1種単独とすることができ、あるいは2種以上とすることができる。
第2層中の可塑剤の含有割合が7質量%以下である。すなわち、第2層中の可塑剤の含有割合が第2層の全体に対して7質量%以下であり、また、第2層は可塑剤を含まなくてもよい(0質量%であってもよい)。第2層中の可塑剤の含有割合が7質量%以下であることにより、積層フィルムの機械的強度、とりわけ引張強さが高まりやすく、透明性も向上しやすい。
第2層が可塑剤を含む場合、可塑剤の種類は前記第1層に含まれ得る可塑剤と同様の種類を挙げることができる。第2層が可塑剤を含む場合、第1層に含まれる可塑剤と第2層に含まれる可塑剤は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第2層は、可塑剤を含まないことが好ましい。第2層が前記可塑剤を含まない場合、積層フィルムが優れた引裂き強さ及び引張強さを有しやすく、結果として、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有する積層フィルムを提供しやすい。
第2層は、ポリ乳酸樹脂(2)の他に、他の成分を含むこともできる。他の成分は、例えば、公知の包装用フィルム等に含まれる成分を広く挙げることができ、例えば、アンチブロッキング剤等を挙げることができる。第2層において、他の成分は、第2層の全質量に対し、例えば、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。第2層は、ポリ乳酸樹脂(2)のみで形成されていてもよい。
第2層の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。第2層の厚さは、例えば、0.1~6.0μmであることが好ましく、1.0~4.0μmであることがより好ましい。
第2層が第1層の両面に貼り合わされる場合、互いの第2層は同一であっても良いし、異なっていてもよい。
(積層体)
本発明の積層フィルムが備える積層体は、第1層の片面又は両面に第2層が配置されてなるものである。積層体は、第1層及び第2層のみからなるものであることが好ましい。積層体は、第1層と第2層とが直接貼り合わされていることが好ましい。また、積層体は、第1層の両面に第2層が直接貼り合わされていることが好ましい。もちろん本発明の効果が阻害されない程度であれば、第1層と第2層との間に他の層が介在していてもよい。
積層体は、ガラス転移温度が32~49℃である。これにより、本発明の積層フィルムは、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有することができる。ガラス転移温度が32℃未満になると、積層フィルムの機械的強度(特に高い引張り強さ及び弾性率)が低下し、また、ガラス転移温度が49℃を超過すると、柔軟性が低下して、良好な風合いを得ることが難しく、S値も低下し、引張り強さも低下しやすい。
積層体は、ガラス転移温度が33℃以上であることが好ましく、35℃以上であることがより好ましく、37℃以上であることがさらに好ましく、また、48℃以下であることが好ましく、46℃以下であることがより好ましく、45℃以下であることがさらに好ましい。
積層体のガラス転移温度を調節する方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用することができる。中でも、第1層及び第2層に含まれるポリ乳酸樹脂(1)及びポリ乳酸樹脂(2)の種類の選定により、積層体のガラス転移温度を調節する方法、第1層に所定の可塑剤を所定量添加してガラス転移温度を調節する方法が好ましい。この場合、積層体のガラス転移温度の調節が容易であり、しかも、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有する積層フィルムを形成しやすい。
積層体は、D体の含有割合が0.1質量%以上5.5質量%以下である。これにより、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有する積層フィルムを形成しやすい。積層体は、D体の含有割合が0.1質量%未満の場合、結晶性が高く、融点が高くなり、未溶融物が発生しやすいという問題が発生し、5.5質量%を超過すると、フィルムの引張強さが低下するという問題が発生する。
なお、念のための注記に過ぎないが、ここでいうD体とは、第1層及び第2層に含まれるポリ乳酸樹脂(1)及びポリ乳酸樹脂(2)のD体の乳酸単位を意味する。
積層体において、前記第1層は前記可塑剤を含有し、前記第2層は前記可塑剤を含有しないことが好ましい。この場合、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有する積層フィルムを形成しやすい。
この観点から、積層体において、前記第1層中の前記可塑剤の含有割合が6質量%以上、16質量%未満であり、かつ、前記積層体中の前記可塑剤の含有割合が5質量%以上、12質量%未満であることが好ましい。
積層フィルムに優れた柔軟性を付与しやすい点で、積層体において、前記第1層中の前記可塑剤の含有割合は、7質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、9質量%以上であることが特に好ましく、また、16.0質量%未満であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、14質量%以下であることが特に好ましい。
また、積層フィルムに優れた機械的強度(特に高い弾性率及び引張強さ)を付与しやすい点で、前記積層体中の前記可塑剤の含有割合は、5.5質量%以上であることがより好ましく、6質量%以上であることがさらに好ましく、7質量%以上であることが特に好ましく、また、12.0質量%未満であることがより好ましく、11.5質量%以下であることがさらに好ましく、11質量%以下であることが特に好ましい。
また、積層体の厚さは特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。積層体の厚さは、例えば、10~50μmであることが好ましく、15~35μmであることがより好ましい。
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムは、前記積層体を備えてなるものである。前記積層体は、第1層の両面に第2層が配置されてなることが好ましい。この場合、第1層がいわゆるコア層、第2層がいわゆるスキン層である。
本発明の積層フィルムは、前記積層体のみで形成されていても良く、あるいは、本発明の効果が阻害されない限りは、積層体以外の他の層を備えることもできる。他の層としては、例えば、ヒートシール層、その他、防曇性、帯電防止性、粘着性、平滑性、光沢性、印刷適性、耐ブロッキング性、滑り性、強度付与性、酸素ガス、エチレンガス等のガスバリア性、水蒸気バリア性、匂い成分のバリア性、包装内容物の成分移行の防止性、抗菌性、抗カビ性等の各種機能を一つ以上有する層が例示される。
本発明の積層フィルムは、例えば、下記式(1)
S(N/μm)=A/d (1)
(式(1)中、Aは、JIS7128-2準拠して測定される積層フィルムのMD方向のエルメンドルフ引裂き強さと、TD方向のエルメンドルフ引裂き強さとの平均値(N)を示し、dはフィルムの厚さ(μm)を示す)
で表されるS値が5N/μm以上である。これにより、積層フィルムは、より優れた引裂き強さを有することができる。
S値は、6N/μm以上であることが好ましく、7N/μm以上であることがより好ましく、8N/μm以上であることがさらに好ましく、10N/μm以上であることが特に好ましい。積層フィルムの優れた柔軟性が維持され、適度な成形性を有しやすい点で、S値は、11N/μm以上であることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、例えば、MD方向の引張強さ(MPa)及びTD方向の引張強さ(MPa)の平均値が65MPa以上である。これにより、積層フィルムは、より優れた引張強さを有することができる。
MD方向の引張強さ(MPa)及びTD方向の引張強さ(MPa)の平均値は、70MPa以上であることが好ましく、75MPa以上であることがより好ましい。積層フィルムの優れた柔軟性が維持され、適度な成形性を有しやすい点で、MD方向の引張強さ(MPa)及びTD方向の引張強さ(MPa)の平均値は、80MPa以上であることが好ましい。
本発明の積層フィルムは、例えば、フィルム面上の少なくとも一方向の弾性率が1.5~3.5Gpaである。これにより、積層フィルムは、より優れた柔軟性を有することができる。本発明の積層フィルムは、例えば、フィルム面上の少なくとも一方向の弾性率が2~3.5Gpaであることがより好ましい。ここで、フィルム面上の一方向は特に限定されず、例えば、フィルムのMD方向であってもよいし、フィルムのTD方向であってもよい。好ましくは、MD方向及びTD方向の少なくとも一方向の弾性率が1.5~3.5Gpa(さらに好ましくは2~3.5Gpa)であり、より好ましくは、MD方向及びTD方向の両方向の弾性率が1.5~3.5Gpa(さらに好ましくは2~3.5Gpa)である。
本発明の積層フィルムは、例えば、ヘーズを16%以下とすることができる。この場合、積層フィルムは優れた透明性を有することができる。積層フィルムのヘーズは、15%以下であることが好ましく、14%以下であることがさらに好ましく、13%以下であることが特に好ましい。ヘーズの下限は、フィルムを極端に薄くしなければならないことを回避すべく、例えば、0.5%とすることができる。積層フィルムのヘーズは、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH-5000を用いて、JIS-K7361に準拠して測定される値のことである。
本発明の積層フィルムは、透明又は半透明であることが好ましく、透明であることが好ましい(つまり、透明性積層フィルムであることが好ましい)。
本発明の積層フィルムは、延伸フィルムであることが好ましい。すなわち、本発明の積層フィルムは、原料シート(原反シート)を延伸処理して形成されたものであることが好ましい。とりわけ、本発明の積層フィルムは、二軸延伸フィルムであることが好ましい。この場合、本発明の積層フィルムは、機械的強度や透明性が特に高まりやすい。
本発明の積層フィルムが延伸フィルムである場合、延伸倍率は特に限定されず、例えば、4~16倍である。延伸倍率とは、積層フィルムを得るための原反シートを基準として、原反シートのMD方向への延伸倍率とTD方向への延伸倍率とを掛け合わせた値(つまり、MD方向の延伸倍率×TD方向の延伸倍率)を意味する。MD方向の延伸倍率は2倍~4倍であることが好ましく、また、TD方向の延伸倍率は、2倍~5倍であることが好ましい。
従来、積層フィルムにおいて、柔軟性と機械的強度(特に引裂き強さ及び引張強さ)とは互いにトレードオフの関係にあったところ、本発明では、上述した特定の積層体を採用することで、これらの性能をすべて所望の範囲になる。とりわけ、第1層を、ポリ乳酸樹脂(1)及び特定量の前記可塑剤を含む層とし、第2層を、前記可塑剤を含まず、ポリ乳酸樹脂(2)を含む層とすることで、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた引裂き強さ及び引張強さを有する積層フィルムを形成しやすい。
本発明の積層フィルムは、包装用、食品包装用、薬品包装用、装飾用(ファッション用含む)、ラベル用、テープ用基材、印刷用基材、文具用、家電用、ポスター用紙、感熱紙基材、記録用紙基材、住宅の内装用及び外装用、自動車用、等に好適に用いることができる。
中でも、積層フィルムは、包装材用フィルムへの使用に特に好適である。包装材用フィルムは、本発明の積層フィルムを備えるので、優れた透明性、柔軟性及び耐衝撃性を有し得る。包装材用フィルムは、本発明の積層フィルムを備える限り、例えば、公知の包装材用フィルムと同様の構成とすることができる。
(積層フィルムの製造方法)
本発明の積層フィルムの製造方法は特に限定されず、例えば、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、本発明の積層フィルムの製造方法は、第1層の片面又は両面に第2層が形成された積層体を得る工程を具備する。
積層体を形成する方法は特に限定されず、例えば、共押出法、ラミネート法、ヒートシール法等を用いることができ、これらの方法を単独で又は複数組み合わせて用いることができる。
例えば、第1層を形成するための原料と、第2層を形成するための原料とをそれぞれ準備し、これらの原料を共押出法により共押出して原反シートを得て、斯かる原反シートを延伸させることで、積層フィルムを得ることができる。また、第1層及び第2層をそれぞれ準備し、これらをラミネートすることによっても積層体を得ることができる。その他、単層として押出しされた無延伸の第1層及び第2層を互いに貼り合わせて得た多層無延伸フィルムを延伸することによっても積層体を得ることができる。
前記共押出法としては、溶融樹脂を金型手前のフィードブロック内で接触させるダイ前積層法、金型、例えばマルチマニホールドダイの内部の経路で接触させるダイ内積層法、同心円状の複数リップから吐出し接触させるダイ外積層法等が挙げられる。例えばダイ内積層法の場合には、3層マルチマニホールドダイ等の多層ダイを用いると3層構成とすることができる。
ラミネート法としては、Tダイ法に用いる溶融押出成型法の設備を使用し、溶融樹脂のフィルムを別のフィルム上に直接押し出して積層フィルムを成型する押出ラミネート法等が挙げられる。
ヒートシール法としては、貼り合わせた複数のフィルムに加熱した金属体をフィルム外部から押し当て、伝導した熱がフィルムを溶融させて接着する外部加熱法、及び高周波の電波や超音波によってフィルムに熱を発生させ接合する内部発熱法等が挙げられる。
第1層を形成するための原料(以下、「原料1」と略記する)は、前記ポリ乳酸樹脂(1)を少なくとも含み、必要に応じて前記可塑剤を含むことができる。原料1中の前記可塑剤の含有割合は、6質量%以上、16質量%未満であることが好ましい。原料1中の前記可塑剤の含有割合は、7質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、9質量%以上であることが特に好ましい。また、原料1中の前記可塑剤の含有割合は、16.0質量%未満であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましく、14質量%以下であることが特に好ましい。原料1はポリ乳酸樹脂(1)及び可塑剤のみであってもよい。
第2層を形成するための原料(以下、「原料2」と略記する)は、前記ポリ乳酸樹脂(2)を少なくとも含む。その他、必要に応じて、アンチブロッキング剤等の各種添加剤が含まれていてもよい。原料2はポリ乳酸樹脂(2)のみであってもよい。
原料1及び原料2の調製方法は特に限定されず、例えば、公知の調製方法と同様とすることができる。例えば、ポリ乳酸樹脂のペレットや粉体等を、タンブラーやミキサー等のバッチ式混合装置や、あるいは連続計量式混合装置を用いてドライブレンドする方法;もしくは、ペレットや粉体等を、必要に応じて他の樹脂のペレットや粉体及び/又は添加剤と共に混練機に供給し、溶融混練してメルトブレンド樹脂組成物を得る方法;等が挙げられる。中でも、溶融混錬することで、各原料を調製することが好ましい。
溶融混練に用いる混練機としては公知の混錬機を使用でき、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いてよく、さらに、2軸以上のスクリュータイプの場合、同方向回転、異方向回転のいずれの混練タイプをも用いてよい。溶融混錬の混練温度は、150℃~260℃の範囲が好ましく、180℃~240℃がより好ましい。溶融混錬の際の樹脂の劣化防止のため、窒素等の不活性ガスをパージすることもできる。溶融混練された樹脂は、一般的に公知の造粒機を用いて、適当な大きさにペレタイズすることによってメルトブレンド樹脂組成物ペレットを得ることができる。
原料1及び2を用いて、積層体を得るための原反シートを得ることができる。具体的には、各原料をそれぞれの押出機に供給し、加熱溶融して、必要に応じて、フィルター等により微小異物等を除去した後、Tダイよりシート状に溶融押出することで、原反シートを得ることができる。
原反シートを得るために使用する押出機は、例えば、公知の押出機を広く使用することができる。押出機のスクリュータイプに制限は無く、1軸スクリュータイプ、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いて良く、樹脂原料を前記ドライブレンドで調製した場合は、2軸スクリュータイプ、又はそれ以上の多軸スクリュータイプを用いると混合及び分散性に優れやすい。押出温度は、200℃~300℃の範囲が好ましく、220℃~280℃がより好ましい。押出の際の樹脂の熱劣化防止のため、窒素等の不活性ガスパージをすることができる。
溶融押出された原反シートは、例えば、25~120℃の温度に設定した少なくとも1個以上の金属ドラム上にエアナイフや他のロール、又は静電気等により密着させるといった公知の方法により、原反シートとして得られる。金属ドラムのより好ましい温度は30~80℃である。
原反シートの延伸方法としては、周速差を設けたロール間で延伸する方法、テンター法、チューブラー法等公知の方法を用いることができる。延伸方向としては、一軸延伸、二軸延伸、斜め方向への二軸延伸等が可能であり、二軸以上の延伸では、逐次延伸及び同時延伸がいずれも適用可能である。これらのうち所望の延伸フィルムが得られ易い点から、テンター法による同時二軸延伸法、テンター法による逐次二軸延伸法、及び周速差を設けたロール間で縦(流れ、MD)延伸した後テンター法にて横(巾、TD)延伸する逐次二軸延伸法が好ましい。以下、逐次二軸延伸法により本発明の延伸フィルムを得る方法を説明するが、これに限定されるものではない。
逐次二軸延伸方法では、使用する樹脂の融点及びガラス転移温度に応じて延伸温度や延伸倍率を調整することが好ましい。まず、樹脂シート(原反シート)を好ましくは30~90℃、より好ましくは50~70℃の温度に保ち、周速差を設けたロール間に通して、あるいはテンター法にて、縦方向(MD方向)に所望の倍数に延伸する。引き続き、当該延伸フィルムをテンター法にて、好ましくは40~130℃、より好ましくは50~120℃の温度で、横方向(TD方向)に所望の倍数に延伸した後、熱固定、緩和、熱セットを施し巻き取る。
巻き取られたフィルムは、好ましくは20~45℃程度の雰囲気中でエージング処理を施した後、所望の製品幅に断裁することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
各実施例及び比較例で用いた原料は、以下の通りである。
[ポリ乳酸樹脂(1)及び(2)]
樹脂A:Luminy(登録商標)LX175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸、D体含有割合4.0質量%)
樹脂B:Luminy(登録商標)L175(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸、D体含有割合0.2質量%)
樹脂C:Luminy(登録商標)L975(Total Corbion PLA社製、ポリ乳酸、D体含有割合12.0質量%)
[可塑剤]
可塑剤A:DAIFATTY(登録商標)-101(大八化学工業社製)
可塑剤B:チラバゾールVR-01(太陽化学社製)
可塑剤C:チラバゾールVR-17(太陽化学社製)
[アンチブロッキング剤]
アンチブロッキング剤A:サイリシア310P(富士シリシア化学社製)
(実施例1)
以下の手順で、第1層の片面又は両面に第2層が配置されてなる積層体を得た。まず、前記樹脂Aと可塑剤Aとを混合することで、可塑剤Aを6質量%含有する原料1を調製した。原料1は、第1層を形成するための原料として用いた。また、前記樹脂Aとアンチブロッキング剤Aとを混合することで、アンチブロッキング剤Aを0.1質量%含有する原料2を調製した。原料2は、第2層を形成するための原料として用いた。
得られた原料1を、株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミル(登録商標)(モデル4C150)にストランドダイを備えた2軸押出機(L/D=25)を接続した装置に、ホッパーから投入し、設定温度230℃にて溶融混錬した。この溶融混練により得られたストランドを水冷後、ストランドカッターにてペレット状に断裁して、ペレット1を得た。ペレット1の作製と同様の方法で、原料2のペレットも作製し、ペレット2として得た。
ペレット1を、一軸スクリュータイプ押出機aにホッパーから投入し、また、ペレット2を、押出機aとは別の一軸スクリュータイプ押出機bにホッパーから投入した。上記ペレット1、上記ペレット2をそれぞれ溶融させ、これらを3層マルチマニホールドダイ内部にて3層構成に積層し、3層積層樹脂層(ペレット2の層-ペレット1の層-ペレット2の層)として押し出した。一軸スクリュータイプ押出機aと一軸スクリュータイプ押出機bの押出樹脂量の比率は2:1とした。押し出された樹脂層を、45℃に制御した冷却ドラム上にエアナイフを用い空気圧で押しつけながら冷却固化して原反シートを得た。
得られた原反シートに対して、ブルックナー社製バッチ式二軸延伸機KAROを用いて延伸を行った。延伸方法は、縦方向に延伸した後、横方向に延伸する逐次二軸延伸法にて実施した。設定温度75℃のオーブン内にてフィルム温度(Ts)が65℃に達するまで予熱してから、縦方向に延伸速度0.5倍/秒にて2.5倍まで延伸した。次いで、横方向に延伸速度0.5倍/秒にて4.3倍まで延伸し、続いて設定温度120℃のオーブン内にてフィルム温度が110℃に達するまで予熱し、緩和速度0.5倍/秒にて横方向を4倍まで緩和し、次いで12秒間熱セットした後、オーブンより排出して室温へ冷却し、厚さ24μmの積層体を(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を積層フィルムとして得た。
(実施例2)
原料1の可塑剤Aの含有割合を10質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(実施例3)
原料1の可塑剤Aの含有割合を15質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(実施例4)
原料1の前記樹脂Aを前記樹脂Bに変更すると共に原料1の可塑剤Aの含有割合を10質量%に変更し、また、原料2のポリ乳酸樹脂を前記樹脂Bに変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(実施例5)
原料2の前記樹脂Bを前記樹脂Aに変更したこと以外は、実施例4と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(実施例6)
原料2の前記樹脂Aを前記樹脂A及び前記樹脂Cとの混合物(質量比A:C=4:6)に変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(実施例7)
原料2に可塑剤Aを添加し、原料2中の可塑剤Aの含有割合を2質量%にしたこと以外は、実施例2と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(実施例8)
原料2に可塑剤Aを添加し、原料2中の可塑剤Aの含有割合を6質量%にしたこと以外は、実施例2と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例1)
原料1の可塑剤Aの含有割合を0質量%(つまり、可塑剤を不使用)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例2)
原料1の可塑剤Aの含有割合を5質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例3)
原料1の可塑剤Aの含有割合を16質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例4)
原料2の前記樹脂Aを前記樹脂Cに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で厚さ29μmの積層フィルム(第1層は23μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例5)
原料1の前記樹脂Aを前記樹脂Cに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例6)
原料2に可塑剤Aを添加し、この可塑剤Aの含有割合を10質量%に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例7)
原料1の可塑剤Aを可塑剤Bに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(比較例8)
原料1の可塑剤Aを可塑剤Cに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法で厚さ24μmの積層フィルム(第1層は18μm、第2層はそれぞれ3μm)を得た。
(評価方法)
各実施例及び比較例で得られた積層フィルム(積層体)を以下の方法で評価した。
[厚み]
積層フィルムの厚みは、シチズンセイミツ株式会社製紙厚測定器MEI-11を用いて、JIS-C2330に準拠して測定した。
[ヘーズ]
積層フィルムのヘーズは、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH-5000を用いて、JIS-K7361に準拠して測定した。
[全光線透過率]
JIS K 7361-1に準拠した測定を3回行い、平均値を全光線透過率の値とした。測定には、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業社製、NDH-5000)を用いた。
[弾性率、破断点応力及び破断点伸度]
各実施例及び比較例で得られたフィルムを、MD方向およびTD方向に、長手150mm、幅15mmに切り出し引張試験サンプルを作製した。サンプルをテンシロン万能試験機(オリエンテック社製)にセットし、300mm/minのスピードでサンプルが破断するまで引張り、このときの破断点応力(引張強さ)及び破断点伸度を計測すると共に、SSカーブの立ち上がり傾きとサンプルの断面積(幅×厚み)より、MD方向及びTD方向の(引張)弾性率を算出した。
[引裂き強さ]
各実施例及び比較例で得られたフィルムの引裂き強さは、JIS7128-2準拠して測定した。具体的に、JIS7128-2準拠して測定される積層フィルムのMD方向のエルメンドルフ引裂き強さと、TD方向のエルメンドルフ引裂き強さとの平均値(N)をAとし、積層フィルムの厚さ(μm)をdとし、下記式(1)
S(N/μm)=A/d (1)
によりS値を算出した。
[樹脂の融点、ガラス転移温度]
パーキン・エルマー社製入力補償型DSC、DiamondDSCを用い、以下の手順により算出した。樹脂を5mg量り取り、アルミニウム製のサンプルホルダーに詰め、DSC装置にセットした。窒素流下、0℃から230℃まで20℃/分の速度で昇温し、230℃で5分間保持し、20℃/分で0℃まで冷却し、0℃で5分間保持した。その後再び20℃/分で230℃まで昇温する際のDSC曲線より、融点およびガラス転移温度を求めた。JIS-K7121の9.1(1)に定める溶融ピーク(複数の溶融ピークを示す場合は最大の溶融ピーク)を融点とし、JIS-K7121の9.3(1)に定める中間点ガラス転移温度をガラス転移温度とした。
[フィルムの風合い(柔軟性)]
各実施例および比較例で得たフィルムを手で振った時の音を確認し、パリパリ音の有無により、下記基準にて風合いを判定した。
○:パリパリ音が無く、優れた風合いであった。
△:若干パリパリ音が鳴り、所望の風合いではなかった。
×:パリパリ音が明確に聞こえ、風合いが乏しかった。
[積層体中のD体の含有割合]
第1層及び第2層の形成に使用したポリ乳酸樹脂に含まれるD体の割合と、第1層及び第2層の厚みの割合に基づき、積層体中のD体の含有割合(質量%)を算出した。
[積層体中の可塑剤の含有割合]
第1層及び第2層に含まれる可塑剤の割合と、第1層及び第2層の厚みの割合に基づき、積層体中の可塑剤の含有割合(質量%)を算出した。
Figure 2024011693000001
表1から、各実施例で得られた積層フィルムは、高い透明性及び柔軟性を有しつつ、優れた機械的特性(引裂き強さ、引張強さ、弾性率、破断点伸度)を有するものであった。一方、比較例で得られた積層フィルムは、積層体のガラス転移温度が所定の範囲でないことから、透明性、柔軟性(風合い)、引裂き強さ及び引張強さの少なくとも一つが劣るものであった。

Claims (7)

  1. 第1層の片面又は両面に第2層が配置されてなる積層体を備えた積層フィルムであって、
    前記第1層は、D体含有率が0.1質量%以上5質量%以下であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、
    前記第2層は、D体含有率が0.1質量%以上12質量%未満であるポリ乳酸樹脂を含有する層であり、
    前記積層体は、ガラス転移温度が32~49℃であり、
    前記積層体は、D体の含有割合が0.1質量%以上5.5質量%以下であり、
    前記第2層中の可塑剤の含有割合が7質量%以下である、積層フィルム。
  2. 前記第1層はさらに可塑剤を含有し、
    前記第2層は可塑剤を含有しない、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記第1層中の前記可塑剤の含有割合が6質量%以上、16質量%未満であり、
    前記積層体中の前記可塑剤の含有割合が5質量%以上、12質量%未満である、請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 下記式(1)
    S(N/μm)=A/d (1)
    (式(1)中、Aは、JIS7128-2準拠して測定される積層フィルムのMD方向のエルメンドルフ引裂き強さと、TD方向のエルメンドルフ引裂き強さとの平均値(N)を示し、dはフィルムの厚さ(μm)を示す)
    で表されるS値が5N/μm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. MD方向の引張強さ(MPa)及びTD方向の引張強さ(MPa)の平均値が65MPa以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. フィルム面上の少なくとも一方向の弾性率が1.5~3.5Gpaである、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 請求項1~3のいずれか1項に記載の積層フィルムを備える、包装材用フィルム。
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