JP2024010843A - 保持テーブルの検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】保持面よりも突出する異物の有無を検出する。【解決手段】被加工物を吸引保持可能な保持面を有する保持テーブルと、保持テーブルよりも上方に配置され保持テーブルで吸引保持された被加工物を撮像可能な撮像ユニットと、を有する加工装置において、保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法であって、保持面で吸引保持された基板の一面を撮像ユニットで撮像することにより得られた画像における画素の明るさの分布を作成する分布作成工程と、画像における画素の明るさの分布に基づいて、保持面での異物の有無を判定する判定工程と、を備える保持テーブルの検査方法を提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、保持テーブルと撮像ユニットとを有する加工装置において、保持テーブルの保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法に関する。
携帯電話、パーソナルコンピュータ等の電子機器には、半導体デバイスチップが搭載されている。半導体デバイスチップは、例えば、単結晶シリコン基板を含むシリコンウェーハ(被加工物)を加工することで製造される。
半導体デバイスチップを製造するには、例えば、まず、シリコンウェーハの表面側に格子状に複数のストリートを設定し、複数のストリートで区画された矩形状の領域の各々にIC(Integrated Circuit)等のデバイスを形成する。
次いで、シリコンウェーハの裏面側を研削して薄化した後、各ストリートに沿ってシリコンウェーハを切削することで、シリコンウェーハを複数のデバイスチップに分割する。シリコンウェーハを切削する際には、切削装置が使用される。
切削装置は、高速で回転可能な円柱状のスピンドルを有し、スピンドルの先端部には円環状の切り刃を有する切削ブレードが装着される(例えば、特許文献1参照)。切削装置は、シリコンウェーハを吸引保持するための円板状の保持テーブルを更に含む。
保持テーブルは、円板状の枠体を有し、枠体の上部には、円形の凹部が形成されている。凹部には、円板状の多孔質板が固定されている。枠体及び多孔質板の各上面は面一となっており、シリコンウェーハを吸引保持する保持面として機能する。
切削装置でシリコンウェーハを切削する際には、例えば、まず、シリコンウェーハの裏面側を保持面で吸引保持する。そして、高速で回転する切削ブレードの下端をシリコンウェーハの表面よりも下に位置付けた状態で、保持テーブルを所定方向(加工送り方向)に移動させる。これにより、シリコンウェーハが切削される。
しかし、切削屑等の異物が保持面に存在している場合、切削中に、予期せぬ割れがシリコンウェーハに発生することがある。具体的には、吸引圧力により印加される下向きの力及び切削ブレードによりシリコンウェーハへ印加される下向きの力と、保持面から突出する異物によりシリコンウェーハへ印加される上向きの力と、により、シリコンウェーハが割れることがある。
そこで、シリコンウェーハを保持面で吸引保持する前に、保持面を顕微鏡カメラユニットで撮像し、異物の有無を検査することが行われている(例えば、特許文献2参照)。しかし、異物のサイズが比較的小さい、多孔質板の上面の模様と異物とを区別し難い等の理由により、顕微鏡カメラユニットを使用しても異物の検出が困難な場合がある。
本発明は係る問題点に鑑みてなされたものであり、保持面よりも突出する異物の有無を検出することを目的とする。
本発明の一態様によれば、被加工物を吸引保持可能な保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルよりも上方に配置され該保持テーブルで吸引保持された該被加工物を撮像可能な撮像ユニットと、を有する加工装置において、該保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法であって、該保持面で吸引保持された基板の一面を該撮像ユニットで撮像することにより得られた画像における画素の明るさの分布を作成する分布作成工程と、該画像における画素の明るさの分布に基づいて、該保持面での異物の有無を判定する判定工程と、を備える保持テーブルの検査方法が提供される。
好ましくは、該画像は、複数の画像を含み、該判定工程では、各画像の明るさの平均値に基づいて、該保持面での異物の有無を判定する。
本発明の他の態様によれば、被加工物を吸引保持可能な保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルよりも上方に配置され該保持テーブルで吸引保持された該被加工物を撮像可能な撮像ユニットと、を有する加工装置において、該保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法であって、該保持面で吸引保持された基板の一面を該撮像ユニットで撮像することにより得られた複数の第1画像の各々における画素の明るさの分布を作成する分布作成工程と、該加工装置に予め記憶されている第2画像における画素の明るさの分布と、該複数の第1画像の各々における画素の明るさの分布と、を比較することで該保持面での異物の有無を判定する判定工程と、を備える保持テーブルの検査方法が提供される。
本発明の更なる他の態様によれば、被加工物を吸引保持可能な保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルよりも上方に配置され該保持テーブルで吸引保持された該被加工物を撮像可能な撮像ユニットと、を有する加工装置において、該保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法であって、該保持面で吸引保持された一の基板の一面の所定領域を該撮像ユニットで撮像することにより得られた第1画像における画素の明るさの平均値を算出する算出工程と、該被加工物に対応する大きさを有する他の基板であって該保持面で吸引保持された該他の基板の一面の所定領域を該撮像ユニットで撮像することにより得られた第2画像における画素の明るさの平均値と、該算出工程で得られた該一の基板の所定領域の明るさの平均値と、を比較することで該保持面での異物の有無を判定する判定工程と、を備える保持テーブルの検査方法が提供される。
本発明の複数の態様に係る保持テーブルの検査方法では、保持面で吸引保持された基板の一面を撮像して得られた画像の明るさに基づいて、保持面での異物の有無を判定する。具体的には、異物が保持面に存在する場合、異物が保持面よりも突出することで、異物が存在する領域及びその領域の周囲は、異物が存在しない領域に比べて暗くなる。
それゆえ、異物のサイズが比較的小さい場合でも、異物が保持面よりも突出している場合には、異物を検出できる。また、多孔質板の上面における模様と異物とが視覚的に区別し難い場合でも、基板を撮像することで間接的に異物の有無を検出できる。
この様に、異物に起因して基板の一面に反映された保持面の凹凸の陰影を撮像することで、異物の大きさが誇張されるので、基板を利用しない場合に比べて、比較的小さな異物であっても、検出が容易になる。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。第1の実施形態では、切削装置(加工装置)2の保持テーブル4の保持面4aに(図2参照)、切削屑等の異物11(図3参照)が存在しているか否かを検査する。図1は、第1の実施形態に係る保持テーブル4の検査方法のフロー図である。
図1に示す各ステップに沿って検査方法を説明するに当たり、まず、図2及び図3を参照し、切削装置2について説明する。図2は、異物11が無い保持面4aで吸引保持された被加工物13を撮像する様子を示す図であり、図3は、異物11が有る保持面4aで吸引保持された基板15を撮像する様子を示す図である。
なお、図2及び図3に示すX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに直交する方向である。X軸方向は加工送り方向、Y軸方向は割り出し送り方向、Z軸方向は切り込み送り方向(上下方向)とも称される。
切削装置2は、円板状の保持テーブル4(チャックテーブルとも称される)を有する。保持テーブル4は、金属で形成された円板状の枠体4bを有する。枠体4bの上面側には、円板状の凹部が形成されており、この凹部には、多孔質セラミックスで形成された円板状の多孔質板4cが固定されている。
枠体4bの上面と、多孔質板4cの上面とは、略面一となっており、略平坦な保持面4aを構成している。多孔質板4cの上面から下面までの間には複数の気孔が形成されており、真空ポンプ等の吸引源6で負圧を発生させると、枠体4bの流路を介して多孔質板4cに負圧が伝達される。
保持面4aに被加工物13(図2参照)や基板15(図3参照)を配置した状態で、多孔質板4cへ負圧を伝達させると、被加工物13や基板15は、保持面4aで吸引保持される。
保持テーブル4は、保持テーブル4をX軸方向に沿って移動させるX軸方向移動機構(不図示)で支持されている。保持面4aよりも上方には、切削ユニット8が配置されている。切削ユニット8は、長手部がY軸方向に沿って配置されたスピンドルハウジング10を有する。
スピンドルハウジング10には、長手部がY軸方向に沿って配置された円柱状のスピンドル12が回転可能に収容されている。スピンドル12の一端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が設けられている。
スピンドル12の他端部は、スピンドルハウジング10の外側へ突出しており、この他端部には、円環状の切り刃を有する切削ブレード14が装着されている。切削ブレード14は、ハブレス型(即ち、ワッシャー型)であってもよく、ハブ型であってもよい。
スピンドルハウジング10は、Y軸Z軸方向移動機構(不図示)により、Y軸方向及びZ軸方向に沿って移動可能に構成されている。X軸方向においてスピンドルハウジング10に隣接する所定位置には、撮像ユニット16が設けられている。
撮像ユニット16は、スピンドルハウジング10に固定されており、切削ユニット8と同様に、保持面4aよりも上方に配置されている。また、撮像ユニット16は、スピンドルハウジング10と共に、Y軸Z軸方向移動機構によりY軸方向及びZ軸方向に沿って移動可能である。
撮像ユニット16は、保持面4aで吸引保持された被加工物13や基板15を撮像する。撮像ユニット16は、低倍率顕微鏡ユニット16aと、高倍率顕微鏡ユニット(不図示)と、を含む。なお、高倍率顕微鏡ユニットは、低倍率顕微鏡ユニット16aと比較して図2の紙面奥側に配置されている。
低倍率顕微鏡ユニット16aは、低倍率用の第1のレンズ(不図示)と、第1のレンズからの光が集光される第1の撮像素子と、撮像領域に光を当てる第1の落射照明装置(不図示)と、を有する。
第1の撮像素子は、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサであってよく、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサであってもよい。本実施形態の第1の撮像素子の画素数は、約30万(640×480)ピクセルである。
第1の撮像素子を利用して得られる画像がグレースケール画像である場合、各画素の画素値は、0から255までの256諧調で表される。これに対して、第1の撮像素子を利用して得られる画像がフルカラー画像である場合、1つの画素は、例えば、R(赤色)、G(緑色)及びB(青色)の各々について256諧調で表される画素値を有する。
保持面4aで吸引保持された被加工物13や基板15を、低倍率顕微鏡ユニット16aで撮像する場合、得られる画像の解像度は10μmである。また、低倍率顕微鏡ユニット16aにおいて、被写体に焦点を合わせた場合の撮像視野は5mm×5mmに設定されている。つまり、低倍率顕微鏡ユニット16aを用いて得られる画像(以降、便宜的に、単位画像と称する)の大きさは、5mm×5mmである。
本実施形態では、低倍率顕微鏡ユニット16aで被写体を撮像した後に撮像ユニット16をX軸方向又はY軸方向に移動させることを複数回繰り返して、7×7個の単位画像を合成することで、35mm×35mmのサイズの画像(図4(A)及び図4(B)参照)を得る。
なお、以降、便宜的に、複数の単位画像が合成された画像を合成画像と称する。勿論、合成画像は、X軸方向又はY軸方向において互いに隣接する単位画像が、被写体の全体像の一部を構成する様に適切に配置されることで構成されている。
同様に、高倍率顕微鏡ユニットは、高倍率用の第2のレンズ(不図示)と、第2のレンズからの光が集光される第2の撮像素子と、撮像領域に光を当てる第2の落射照明装置(不図示)と、を有する。第2の撮像素子も、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサである。
第2の撮像素子の画素数も、約30万(640×480)ピクセルである。高倍率顕微鏡ユニットで撮像する場合、得られる画像の解像度は0.5μmであり、被写体に焦点を合わせた場合の撮像視野は0.25mm×0.25mmに設定されている。つまり、単位画像の大きさは、0.25mm×0.25mmである。
なお、低倍率顕微鏡ユニット16a及び高倍率顕微鏡ユニットの画素数、解像度、撮像視野、単位画像の大きさ等は、一例であり、ここに記載された数値に限定されるものではない。
撮像ユニット16には、切削装置2の動作を制御する制御ユニット18が接続されている。制御ユニット18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ(処理装置)と、メモリ(記憶装置)と、を含むコンピュータによって構成されている。
メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の主記憶装置と、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置と、を含む。
補助記憶装置には、所定のプログラムを含むソフトウェアが記憶されている。このソフトウェアに従い処理装置等を動作させることによって、制御ユニット18の機能が実現される。
制御ユニット18は、メモリに記憶されている第1のプログラムをプロセッサで実行することで実現される分布作成部20を有する。分布作成部20は、画素の明るさの分布(例えば、輝度分布又は明度分布)を作成する。
本実施形態の分布作成部20は、低倍率顕微鏡ユニット16aの撮像視野(5mm×5mm)で得られた単位画像をX軸方向に7つ、且つ、Y軸方向に7つ敷き詰めた35mm×35mmのサイズの合成画像30,32(図4(A)及び図4(B)参照)における画素の明るさの分布を作成する。
例えば、図3に示す様に、保持面4aで吸引保持された基板15の一面15aのうち異物11が無い領域を撮像ユニット16で撮像した場合には、一面15a側に形成されているデバイスの形状に応じて図4(A)に示す所定パターンの合成画像30が得られる。
分布作成部20は、横軸を明るさ(例えば、輝度又は明度)とし、且つ、縦軸を頻度とする度数分布において、平均値(μ)、標準偏差(σ)等を計算することで、度数分布にフィッティングされた分布曲線を計算する。
例えば、図4(A)に示す合成画像30を構成する画素の明るさの度数分布に対して分布作成部20がフィッティングされた分布曲線を作成すると、図5(A)に示す様な第1の分布曲線34が得られる。
これに対して、保持面4aで吸引保持された基板15の一面15aのうち異物11が有る凸領域15c(図3参照)を撮像ユニット16で撮像した場合には、図4(B)に示す合成画像32が得られる。図4(B)の合成画像32では、黒く見える(即ち、比較的暗い)領域及び白く光って見える(即ち、比較的明るい)領域が、凸領域15cに対応する。例えば、暗く見える領域の中央部に、異物11が存在する。
図4(B)に示す合成画像32を構成する画素の明るさの度数分布に対して分布作成部20がフィッティングされた分布曲線を作成すると、図5(B)に示す様な第2の分布曲線36が得られる。第2の分布曲線36では、主要な分布曲線のμ-3σ以下の明るさに対応する位置に、副次的な分布曲線のピークがある。
制御ユニット18は、メモリに記憶されている第2のプログラムをプロセッサで実行することで実現される判定部22を有する。本実施形態の判定部22は、μ-3σ以下の明るさ(例えば、低輝度又は低明度)にピークを有する分布曲線の有無を判定する。
図4(B)の合成画像32に示す様に、保持面4aと基板15との間に異物11が挟まれている場合、第1の落射照明装置からの光が散乱されて、撮像ユニット16に反射光が戻り難くなる。その結果、図5(B)の第2の分布曲線36に示す様に、暗い画素の数が多くなる。
本実施形態の判定部22は、第2の分布曲線36に示す様に、μ-3σよりも低い明るさにピークを有する分布曲線の有無を判定することで(即ち、合成画像32の明るさの分布に基づいて)、保持面4aにおける異物11の有無を判定する。
しかし、異物11の有無の判定に用いる閾値は、μ-3σに限定されない。異物11のサイズ、合成画像30,32のサイズ等の状況に応じて、閾値を適宜変更してもよい。μ-2σ、μ-σ又は他の値を閾値としてもよい。
本実施形態では、保持面4aで吸引保持された基板15の一面15aを撮像して得られた画像の明るさの分布に基づいて、保持面4aでの異物11の有無を判定する。具体的には、異物11が保持面4aに存在する場合、異物11が保持面4aよりも突出することで、異物11が存在する領域及びその領域の周囲は、異物11が存在しない領域に比べて暗くなる。
それゆえ、異物11のサイズが比較的小さい場合でも、異物11が保持面4aよりも突出している場合には、異物11を検出でき、また、多孔質板4cの上面における模様と異物11とが視覚的に区別し難い場合でも、基板15を撮像することで間接的に異物11の有無を検出できる。
次に、保持面4aで吸引保持される被加工物13及び基板15について説明する。被加工物13は、例えば、円板状の単結晶シリコン基板(シリコンウェーハ)を有する。シリコンウェーハとしては、直径約300mm及び厚さ約775μmの12インチウェーハや、直径約200mm及び厚さ約725μmの8インチウェーハを用いることができる。
但し、被加工物13の径及び厚さは、上述の2種類に限定されない。被加工物13の表面13a側には、IC(Integrated Circuit)、LED(Light Emitting Diode)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等のデバイス(不図示)が形成されている。
これに対して、基板15は、被加工物13に対応する大きさを有する円板状の単結晶シリコン基板(即ち、所謂ダミーウェーハ)を含む。つまり、基板15の直径及び厚さは、被加工物13の直径及び厚さと略同じである。
基板15は、その一面15aが鏡面仕上げされたミラーウェーハを有してもよい。ダミーウェーハやミラーウェーハには、デバイスが形成されていない。しかし、基板15は、被加工物13と同じデバイスを含むシリコンウェーハを有してもよい。
被加工物13を切削する場合には、裏面13b側を保持面4aで吸引保持するが、このとき、被加工物13と保持面4aとの間に異物11が存在すると、凸領域15cが形成される。図6(A)は、異物11が存在する場合の被加工物13及び保持テーブル4の断面図である。
この状態で被加工物13を切削すると、吸引圧力により印加される下向きの力及び切削ブレード14により被加工物13へ印加される下向きの力と、保持面4aから突出する異物11により被加工物13へ印加される上向きの力と、により、被加工物13が割れることがある。図6(B)は、異物11に起因して切削中に被加工物13が割れる様子を示す図である。
そこで、本実施形態では、被加工物13の切削開始前に、図1に示すフロー図に従って保持面4aでの異物11を検査する。例えば、1ロット分に対応する複数の被加工物13や、切削装置2に投入される1つのカセット(不図示)に収容された複数の被加工物13に対して、フルオート切削を行う前に、異物11の検査が行われる。
なお、所定枚数の被加工物13に対して切削を行う毎に異物11の検査を行ってよく、1つの被加工物13に対して切削を行う毎に異物11の検査を行ってもよい。異物11の検査を行う際に使用される基板15は、上述のカセットとは異なるインスペクションカセット(不図示)に配置され自動的に切削装置2へ搬送されてもよく、作業者が手作業で切削装置2へ投入してもよい。
異物11の有無を検査する際には、まず、基板15を保持面4aに載置し、基板15の他面15bを保持面4aで吸引保持する。保持面4a上に異物11がある場合には、異物11により形成される凹凸に倣う様に、基板15は変形して保持面4aで吸引保持される(図3、図6(A)参照)。
そして、基板15の一面15aの略全体を撮像ユニット16で撮像する。本実施形態では、上述の様に、それぞれ35mm×35mmのサイズの複数の合成画像(例えば、図4(A)の合成画像30、図4(B)の合成画像32参照)を得ることで、一面15aの略全体を撮像する。
図4(A)は、基板15と保持面4aとの間に異物11が無い領域を撮像して得られる複数の単位画像(7×7個)を合成した合成画像30の例であり、図4(B)は、基板15と保持面4aとの間に異物11が有る領域を撮像して得られる複数の単位画像(7×7個)を合成した合成画像32の例である。
なお、図4(B)に示す異物11のXY平面視での大きさ(最大長さ)は約100μmであるが、異物11に起因して基板15の一面15aに反映された保持面4aの凹凸の陰影を撮像することで、異物11の大きさが誇張される。それゆえ、基板15を利用しない場合に比べて、比較的小さな異物11であっても、検出が容易になる。
なお、合成画像30,32の周辺部に示されている四角枠、三角形等は、撮像ユニット16で取得した画像を表示するタッチパネル(表示入力装置)に表示されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI:Graphical User Interface)である。実際の合成画像30,32には、これらのGUIは含まれない。
図5(A)は、異物11が無い領域を撮像して得られる複数の単位画像(7×7個)を合成した合成画像30における画素の明るさの分布の例であり、図5(B)は異物11が有る領域を撮像して得られる複数の単位画像(7×7個)を合成した合成画像32における画素の明るさの分布の例である。
分布作成工程S10では、図5(A)及び図5(B)に示す様に、合成画像30及び合成画像32の各々を構成する画素の明るさの度数分布に対してフィッティングされた分布曲線を、分布作成部20が作成する。
分布作成工程S10の後、判定部22が閾値(例えば、μ-3σ)以下の明るさにピークを有する分布曲線の有無を判定する(判定工程S20)。閾値以下にピークを有する分布曲線が無い場合(S30でNO)、フローを終了する。
これに対して、閾値以下にピークを有する分布曲線が有る場合(S30でYES)、制御ユニット18は、タッチパネル、ランプ、警報器等(いずれも不図示)を動作させて、保持面4aに異物11が有る旨を報知する(報知工程S40)。
報知があった場合、オペレータは、保持面4aのクリーニングや保持テーブル4の交換を行う。例えば、保持面4aのクリーニングは、ダミーウェーハの一方の面やミラーウェーハの一方の面(鏡面とは反対側の面)に異物11を吸着するための樹脂製のテープが貼り付けられた所謂クリーニングウェーハを、保持面4aに接触させることで行われる。
本実施形態では、保持面4aで吸引保持された基板15の一面15aを撮像して得られた画像の明るさの分布に基づいて、保持面4aでの異物11の有無を判定する。それゆえ、異物11のサイズが比較的小さい場合でも、異物11が保持面4aよりも突出している場合には、異物11を検出できる。また、多孔質板4cの上面における模様と異物11とが視覚的に区別し難い場合でも、基板15を撮像することで間接的に異物11の有無を検出できる。
上述の分布作成工程S10及び判定工程S20では、合成画像を利用する例を説明したが、単位画像を利用してもよい。また、判定工程S20では、閾値に基づいた判定に代えて、基板15の一面15aの複数の画像(合成画像又は単位画像)における画素の明るさの平均値(明るさの分布)に基づいて、異物11の有無を判定することもできる。
具体的には、分布作成工程S10では、分布作成部20が各画像の明るさの平均値を算出する。次いで、判定工程S20では、平均値が極端に低い画像が有る場合(S31でYES)、判定部22は保持面4aに異物11が有ると判断し、その旨を報知する(報知工程S40)。
平均値が極端に低いか否かは、例えば、比較対象となる複数の明るさの平均値の度数分布を分布作成部20が作成して、判定部22が判定する。特に、単位画像の明るさの平均値を用いる場合、異物11がある領域を撮像して得られる画像は、全体的に黒くなり、明るさの平均値は著しく低くなる。なお、度数分布に限らず、他の手法で判断してもよい。
これに対して、判定工程S20において、平均値が極端に低い画像が無い場合(S31でNO)、判定部22は保持面4aに異物11が無いと判断する。図7は、変形例に係る保持テーブル4の検査方法のフロー図である。
(第2の実施形態)次に、第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態では、1つの基板15の一面15a内の画像における明るさの分布を利用して異物11を検出する。
これに対して、第2の実施形態では、制御ユニット18のメモリに予め記憶されている基準画像(第2画像)の明るさの分布曲線38(図9参照)と、撮像により得られた一面15aの画像(第1画像)の明るさの分布曲線40-1等(図9参照)と、を比較することで、保持面4aでの異物11の有無を検出する。
図8は、第2の実施形態に係る保持テーブル4の検査方法のフロー図であり、図9は、基準となる明るさの分布曲線38と、比較される複数の明るさの分布曲線40-1等と、の一例を示す図である。
第2の実施形態において、制御ユニット18のメモリには、保持面4aで吸引保持された基板15の一面15aを撮像した画像のうち、異物11が無い領域を撮像して得られる基準画像(例えば、合成画像30)における画素の明るさの分布を示す分布曲線38(図9参照)が記憶されている。
分布作成部20は、保持面4aで吸引保持された基板15の一面15aを撮像ユニット16で撮像することにより得られた複数の第1画像(合成画像)の各々における画素の明るさの分布を示す分布曲線40-1、40-2、40-3、40-4…40-Nを作成する(分布作成工程S12)。なお、Nは自然数である。
そして、判定部22が、基準画像(第2画像)の分布曲線38と、複数の第1画像の各々における画素の明るさを示す分布曲線と、を比較することで、保持面4aでの異物11の有無を判定する(判定工程S22)。
例えば、基準となる分布曲線38と同様に、分布曲線40-1…40-Nが1つのピークを有する場合、保持面4aに異物11は無いと判定される。つまり、基準となる分布曲線38と略同じ形状のピークがある場合(S32でNO)、フローを終了する。
これに対して、基準となる分布曲線38とは明らかに異なる形状の分布曲線40-4に対応する画像が得られた領域には、異物11が存在すると判定される。本例では、分布曲線38が1つのピークを有するのに対して、分布曲線40-4は複数のピークを有するので、分布曲線の形状が異なる(S32でYES)。この場合、報知工程S40へ進む。
S40以降は、第1の実施形態と同じであるので、説明を省略する。第2の実施形態においても、異物11のサイズが比較的小さい場合でも、異物11が保持面4aよりも突出している場合には、異物11を検出できる。また、多孔質板4cの上面における模様と異物11とが視覚的に区別し難い場合でも、基板15を撮像することで間接的に異物11の有無を検出できる。
(第3の実施形態)次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、合成画像30,32等を構成する複数の画素の明るさの分布ではなく、基板15の一面15aの略全体の画像を構成する複数の画素の明るさの平均値を利用して、異物11を検出する。
図10は、第3の実施形態に係る保持テーブル4の検査方法のフロー図であり、図11は、基準となる明るさの平均値μAと、比較される明るさの平均値μBと、の一例を示す図である。
第3の実施形態において、制御ユニット18のメモリには、異物11が無い保持面4aで吸引保持された他の基板15の一面15aの所定領域を撮像して得られた画像(第2画像)における画素の明るさの平均値μA(図11参照)が、制御ユニット18のメモリに記憶されている。
一面15aの所定領域は、例えば、デバイスが形成されているデバイス領域の全体であるが、これに限定されない。一面15aの所定領域は、一面15aのうち、複数の単位画像を合成して得られる合成画像に対応する領域(例えば、20mm×20mmや30mm×30mm)であってもよい。
なお、異物11が無い保持面4aは、例えば、新品の保持テーブル4を用いることや、使用済の保持テーブル4であっても保持面4aをクリーニングすることで実現可能である。また、所定領域の撮像は、単位画像を適切に組み合わせることで得ることができる。
分布作成部20は、保持面4aで吸引保持された一の基板15の一面15aの所定領域(例えば、デバイス領域の全体)を撮像ユニット16で撮像することにより得られた画像(第1画像)における画素の明るさの平均値μBを算出する(算出工程S14)。
そして、判定部22が、予め記憶されている他の基板15の画像の明るさの平均値μAと、算出工程S14で得られた一の基板15の画像の明るさの平均値μBと、を比較することで、保持面4aでの異物11の有無を判定する(判定工程S24)。
μBがμAよりも小さい場合、一の基板15と、保持面4aとの間には、異物11が有る可能性が高い。そこで、μB<μAである場合(S34でYES)、報知工程S40及びクリーニング工程S50を順次行う。なお、μA≦μBである場合(S34でNO)、フローを終了する。
第3の実施形態においても、異物11のサイズが比較的小さい場合でも、異物11が保持面4aよりも突出している場合には、異物11を検出できる。また、多孔質板4cの上面における模様と異物11とが視覚的に区別し難い場合でも、基板15を撮像することで間接的に異物11の有無を検出できる。
その他、上述の実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。例えば、第1及び第2の実施形態において、合成画像30,32を構成する単位画像の数は、7×7個に限定されず、k×k個(kは2以上の自然数)としてもよい。
また、撮像ユニット16は、上述の低倍率顕微鏡ユニット16a及び高倍率顕微鏡ユニットに限定されず、XY平面における400mm×400mmの領域を1度の撮像で撮像可能なカメラユニットを有してもよい。
この様な、広視野のカメラユニットは、通常、被加工物13の表面13aの全体を検査する全面検査用として利用される。但し、被加工物13の表面13aの全体に略均一に光を照射するために、同軸落射照明を採用することが好ましい。
ところで、切削装置2だけでなく、不図示の研削装置(加工装置)においても、上述の第1から第3の実施形態に記載の内容を適用できる。研削装置は、円板状の保持テーブル4を有する。保持テーブル4は、所定の回転軸の周りに回転可能に構成されている。
保持テーブル4の上方には、長手部がZ軸方向に沿う様に円柱状のスピンドル(不図示)が設けられている。スピンドルの上端部の近傍には、スピンドルを回転させるモータ等の回転駆動源(不図示)が設けられている。
スピンドルの下端部には、円板状のマウント(不図示)が設けられており、マウントの下面側には、円環状の研削ホイール(不図示)が装着されている。研削ホイールは、アルミニウム合金等で形成された環状の基台を有する。基台の下面側には、複数の研削砥石が基台の周方向に沿って略等間隔で配置されている。
研削装置で被加工物13を研削する際に、保持面4aに異物11が存在する場合、被加工物13は保持面4aに倣う様に吸引保持されるので、研削後の被加工物13に局所的な窪みが形成される。それゆえ、研削装置においても、保持面4aにおける異物11の有無を検査することが望ましい。
研削装置における保持面4aの検査方法でも、上述の第1から第3の実施形態を適用できる。なお、クリーニング工程S50では、保持面4aに純水等の研削水を供給しながら研削ホイールで保持面4aを研削するセルフグラインドを行う。セルフグラインドにより、保持面4aを研削すると共に、保持面4aから異物11を除去できる。勿論、保持テーブル4自体を交換してもよい。
切削装置2、研削装置の他にも、研磨装置(不図示)、バイト切削装置(不図示)、スピンナ洗浄装置(不図示)等の加工装置も、保持テーブル4と略同じ保持テーブルを有するので、保持面の検査方法として上述の第1から第3の実施形態を適用できる。
研磨装置は、研削装置と略同じ構成を有するが、スピンドルの下端部には、マウントを介して円板状の研磨パッドが装着されている。バイト切削装置のスピンドルの下端部には、マウントを介して円板状のバイト切削工具が装着されている。
スピンナ洗浄装置は、高速で回転可能な円板状の保持テーブルを有する。保持テーブルの上方には、純水等の洗浄水を噴射可能な洗浄ノズルが設けられている。洗浄ノズルは、保持面の上方において保持面と略平行な所定の円弧状の領域を往復移動する様に構成されている。
所謂ハーフカットされた被加工物13をスピンナ洗浄装置で洗浄する際に、保持面に異物11があると、洗浄中に被加工物13の予期せぬ割れが生じる可能性がある。それゆえ、洗浄加工においても、上述の検査方法を適用し、異物11を検出しておくことが好ましい。
2:切削装置(加工装置)
4:保持テーブル、4a:保持面、4b:枠体、4c:多孔質板
6:吸引源、8:切削ユニット、10:スピンドルハウジング、12:スピンドル
11:異物
13:被加工物、13a:表面、13b:裏面
14:切削ブレード
15:基板、15a:一面、15b:他面、凸領域15c
16:撮像ユニット、16a:低倍率顕微鏡ユニット
18:制御ユニット、20:分布作成部、22:判定部
30,32:合成画像
34:第1の分布曲線、36:第2の分布曲線
38:分布曲線
40-1,40-2,40-3,40-4,40-N:分布曲線
S10,S12:分布作成工程
S14:算出工程
S20,S22,S24:判定工程
S40:報知工程
S50:クリーニング工程
μA,μB:平均値
4:保持テーブル、4a:保持面、4b:枠体、4c:多孔質板
6:吸引源、8:切削ユニット、10:スピンドルハウジング、12:スピンドル
11:異物
13:被加工物、13a:表面、13b:裏面
14:切削ブレード
15:基板、15a:一面、15b:他面、凸領域15c
16:撮像ユニット、16a:低倍率顕微鏡ユニット
18:制御ユニット、20:分布作成部、22:判定部
30,32:合成画像
34:第1の分布曲線、36:第2の分布曲線
38:分布曲線
40-1,40-2,40-3,40-4,40-N:分布曲線
S10,S12:分布作成工程
S14:算出工程
S20,S22,S24:判定工程
S40:報知工程
S50:クリーニング工程
μA,μB:平均値
Claims (4)
- 被加工物を吸引保持可能な保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルよりも上方に配置され該保持テーブルで吸引保持された該被加工物を撮像可能な撮像ユニットと、を有する加工装置において、該保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法であって、
該保持面で吸引保持された基板の一面を該撮像ユニットで撮像することにより得られた画像における画素の明るさの分布を作成する分布作成工程と、
該画像における画素の明るさの分布に基づいて、該保持面での異物の有無を判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする保持テーブルの検査方法。 - 該画像は、複数の画像を含み、
該判定工程では、各画像の明るさの平均値に基づいて、該保持面での異物の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の保持テーブルの検査方法。 - 被加工物を吸引保持可能な保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルよりも上方に配置され該保持テーブルで吸引保持された該被加工物を撮像可能な撮像ユニットと、を有する加工装置において、該保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法であって、
該保持面で吸引保持された基板の一面を該撮像ユニットで撮像することにより得られた複数の第1画像の各々における画素の明るさの分布を作成する分布作成工程と、
該加工装置に予め記憶されている第2画像における画素の明るさの分布と、該複数の第1画像の各々における画素の明るさの分布と、を比較することで該保持面での異物の有無を判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする保持テーブルの検査方法。 - 被加工物を吸引保持可能な保持面を有する保持テーブルと、該保持テーブルよりも上方に配置され該保持テーブルで吸引保持された該被加工物を撮像可能な撮像ユニットと、を有する加工装置において、該保持面での異物の有無を検査する保持テーブルの検査方法であって、
該保持面で吸引保持された一の基板の一面の所定領域を該撮像ユニットで撮像することにより得られた第1画像における画素の明るさの平均値を算出する算出工程と、
該被加工物に対応する大きさを有する他の基板であって該保持面で吸引保持された該他の基板の一面の所定領域を該撮像ユニットで撮像することにより得られた第2画像における画素の明るさの平均値と、該算出工程で得られた該一の基板の所定領域の明るさの平均値と、を比較することで該保持面での異物の有無を判定する判定工程と、
を備えることを特徴とする保持テーブルの検査方法。
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JP2022112382A JP2024010843A (ja) | 2022-07-13 | 2022-07-13 | 保持テーブルの検査方法 |
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