JP2024009512A - 積層体及び包装袋 - Google Patents

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達也 増子
Tatsuya Masuko
茂樹 工藤
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Abstract

Figure 2024009512000001
【課題】透明部分を有する絵柄を表現しながらも、印刷層を介して接着したフィルム間において安定した接着強度を示す積層体を提供すること。
【解決手段】少なくとも第一のフィルム1と第二のフィルム2とを積層してなる積層体100Aであって、第一のフィルム1が、基材フィルム11と、該基材フィルム11上に設けられた印刷層12と、を有し、第二のフィルム2が、第一のフィルム1の印刷層12上に接着剤層S1を介して配置されており、印刷層12が、色インキ13と透明インキ14とを含み、厚さ方向に色インキ13を含む有色領域A1と、厚さ方向に色インキ13を含まない透明領域A2とを有する、積層体100A。
【選択図】図1

Description

本開示は、積層体及び包装袋に関する。
環境対応の一環として、ビン、缶からの置き換えのためにプラスチックフィルムを用いた包装袋(例えば軟包袋)が普及している。包装袋が印刷層を含む場合、印刷層は、通常、摩耗によるインキの削れ防止、複数の包装袋を重ねた際のインキ転写防止等の観点から、該包装袋を構成する積層体の内面に設けられる(例えば特許文献1等参照)。
特許第6973690号公報
印刷層を形成する際には絵柄を表現するために基材フィルム上にインキを印刷しない領域(透明領域)を設けることがある。この場合、インキを印刷しない領域では基材フィルムが露出することになるが、インキ形成された層(印刷層)と基材フィルムとでは、フィルムを積層する際の接着条件が異なることが通常であるため、積層体の層間における接着強度が安定し難い。
そこで、本開示は、透明部分を有する絵柄を表現しながらも、印刷層を介して接着したフィルム間において安定した接着強度を示す積層体を提供すること、該積層体を含む包装フィルムを製袋してなる包装袋を提供すること等を目的とする。
本開示は、少なくとも下記[1]~[7]を提供する。
[1]
少なくとも第一のフィルムと第二のフィルムとを積層してなる積層体であって、
前記第一のフィルムが、基材フィルムと、該基材フィルム上に設けられた印刷層と、を有し、
前記第二のフィルムが、前記第一のフィルムの前記印刷層上に接着剤層を介して配置されており、
前記印刷層が、色インキと透明インキとを含み、厚さ方向に色インキを含む有色領域と、厚さ方向に色インキを含まない透明領域とを有する、積層体。
[2]
カットオフ値80μmで測定される前記第一のフィルムの前記印刷層側の表面の算術平均粗さが0.05~0.50μmである、[1]に記載の積層体。
[3]
前記印刷層が、前記有色領域内に、前記基材フィルムとは反対側の表面の少なくとも一部が透明インキで形成されている領域を有する、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]
前記透明インキが、樹脂成分と、硫酸バリウムと、を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]
前記硫酸バリウムの含有量が、樹脂成分と硫酸バリウムとの合計量を基準として、1~50質量%である、[4]に記載の積層体。
[6]
前記接着剤層が無溶剤型接着剤で形成されている、[1]~[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載の積層体を含む包装フィルムを製袋してなる、包装袋。
本開示によれば、透明部分を有する絵柄を表現しながらも、印刷層を介して接着したフィルム間において安定した接着強度を示す積層体を提供することができる。また、本開示によれば、上記積層体を含む包装フィルムを製袋してなる包装袋を提供することができる。
図1は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、図1の積層体における第一のフィルムを拡大して示す図である。 図3は、本開示の積層体の他の一実施形態を示す模式断面図である。 図4は、図1の積層体の製造方法を示す模式図である。 図5は、実施例及び比較例で作製及び使用した第一のフィルムの模式断面図である。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、具体的に明示する場合を除き、「~」の前後に記載される数値の単位は同じである。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
以下、場合により図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。
<積層体>
図1は、本開示の積層体の一実施形態を示す模式断面図である。図1の積層体100Aは、第一のフィルム1と第二のフィルム2とを積層してなる積層体であり、第一のフィルム1と、第二のフィルム2と、第一のフィルム1及び第二のフィルム2を接着する接着剤層S1と、を備える。積層体100Aの厚さは、例えば、30~100μmである。
(第一のフィルム)
図2は、図1の積層体における第一のフィルムを拡大して示す図である。図2に示されるように、第一のフィルム1は、基材フィルム11と、該基材フィルム11上に設けられた印刷層12と、を有する。
基材フィルム11は、その上に印刷層12を形成可能なフィルムであればよく、例えば、二軸延伸樹脂フィルム等の樹脂フィルムである。樹脂フィルムは、通常、印刷層による絵柄を表示可能なように透明性を有している。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ-ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、エチレン-ビニルアルコール共重合体などを二軸延伸したフィルム、これらの2以上のフィルムを積層した複合フィルム等を用いることができる。基材フィルム11は、二軸延伸樹脂フィルムに非延伸樹脂フィルムを積層したものであってもよい。基材フィルム11は、アルミ箔、金属蒸着層、無機酸化物の透明蒸着層(無機酸化物の蒸着層)等のバリア層を含んでいてもよい。すなわち、第一のフィルム1は印刷層12を含むバリアフィルムであってもよい。また、用途に応じて、基材フィルム11が隠蔽層などの他の機能層を含んでいてもよい。
基材フィルム11の厚さは、例えば、10~60μmである。
印刷層12は、厚さ方向(積層体100Aの積層方向)に色インキ13を含む有色領域A1と、厚さ方向に色インキ13を含まない透明領域A2とを有する。透明領域A2は、透明インキ14で形成されている領域ということもできる。印刷層12における有色領域A1と透明領域A2の面積率(平面視で観察される、各領域が印刷層12全体に占める割合)は、特に限定されず、印刷層12によって表現される絵柄の種類に応じて決定される。なお、印刷に使用される材料としての色インキと、印刷後の層に含まれる色インキとは、乾燥、硬化等の層形成プロセスの影響により組成が異なる場合があるが、本明細書では、便宜的にこれらを総称して色インキと呼ぶ。透明インキについても同様である。
印刷層12の透明領域A2は、印刷層12によって表現される絵柄の透明部分に対応する。すなわち、本実施形態の積層体100Aでは、印刷層12によって表現される絵柄の透明部分が、絵柄の有色部分と同じくインキ材料(透明インキ14)で形成されている。そのため、積層体100Aは、透明部分にインキを印刷しない従来の方法により得られる積層体と比較して、フィルム間(第一のフィルム1と第二のフィルム2との間)において安定した接着強度を示す。また、有色領域A1と透明領域A2との境界部分における、基材フィルム11の表面11aと有色領域A1における色インキ13で形成されている層の表面13aとの間の段差d1が、透明領域A2を形成する透明インキ14によって埋められていることも、積層体100Aの上記安定した接着強度に寄与する。
印刷層12の有色領域A1には、色インキ13として、1色又は2色以上の色インキが含まれている。印刷層の形成に2色以上の色インキが使用される場合、複数の色の色インキが重なる部分が存在することになるため、図2に示されるように、色の重なりが多い部分(厚い部分)と色の重なりが少ない部分(薄い部分)とが形成されやすく、色インキで形成されている層の表面に段差(例えば図1のd2)が形成されやすい。一方、印刷層12では、有色領域A1が色インキ13に加えて透明インキ14を含むことから、上記色インキ13に起因する段差が低減されている。
印刷層12の有色領域A1に含まれる透明インキ14は、印刷層12の基材フィルム11とは反対側の表面12aを形成している。
色インキ13は、例えば、顔料とバインダー樹脂とを含む。色インキ13としては、一般的なグラビアインキやフレキソインキを用いることができる。色インキが油性グラビアインキである場合、バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の混合体等が挙げられる。色インキ13は、顔料及びバインダー樹脂以外の各種添加剤、並びに、溶媒(例えば、揮発性有機溶媒)を含んでいてもよい。色インキ13としては、例えば、植物油インキ、バイオマスインキ等を用いることもできる。
透明インキ14は、例えば、樹脂成分を含む。樹脂成分としては、一般的なグラビアインキやフレキソインキの調製に使用する、顔料混合前のバインダー樹脂(いわゆるメジウム)を用いることができる。例えば、油性グラビアインキのバインダー樹脂である、ウレタン樹脂と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂の混合体等を用いることができる。色インキにより表現される絵柄の色味や視認性に影響を与えない観点では、透明インキとして、全光線透過率が85%以上となり、ヘイズ値が20%以下となる厚さ5μmの層を形成可能な透明インキを用いることが好ましい。ここで、層の全光線透過率はJISK7361-1:1997に準拠して測定される値であり、層のヘイズ値はJISK7136:2000に準拠して測定される値である。
透明インキ14は、色に影響を与えない透明顔料として硫酸バリウム(例えば沈降性硫酸バリウム)、炭酸カルシウム、シリカ等を含んでいてもよい。これらの中でも、第一のフィルム1の表面がより平坦化される観点、及び、層間の接着強度がより向上する観点では、硫酸バリウムが好ましく用いられる。同様の観点で、硫酸バリウムの含有量は、樹脂成分と硫酸バリウムとの合計量を基準として、1質量%以上、10質量%以上又は15質量%以上であってよく、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下又は25質量%以下であってよい。硫酸バリウムの含有量は、樹脂成分と硫酸バリウムとの合計量を基準として、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは1~30質量%又は10~40質量%であり、さらに好ましくは10~30質量%であり、特に好ましくは15~25質量%である。なお、有色領域A1に含まれる透明インキ14と透明領域A2に含まれる透明インキ14とは、同じであっても異なっていてもよい。
印刷層12の厚さは、例えば5~8μmであってよい。
第一のフィルム1の印刷層12側の表面の算術平均粗さは、好ましくは0.05μm以上である。上記算術平均粗さを0.05μm以上にすることでフィルムを積層するために塗工する接着剤にアンカー効果が働き、より強固な接着強度が得られる。また、上記表面の算術平均粗さが大きすぎると、凹凸を埋めるためにより多くの接着剤が必要になるため、上記表面の算術平均粗さは0.50μm以下であることが好ましい。特に接着剤として無溶剤型接着剤を用いる場合には、薄膜の接着剤層を形成するために、上記表面の算術平均粗さを0.40μm以下とすることがより好ましい。上記表面の算術平均粗さは、色インキ13に用いる顔料の形状、大きさ及び配合比、並びに、透明インキ14の印刷箇所及び印刷量の調整等によってコントロールすることができる。なお、上記表面の算術平均粗さは、カットオフ値80μmで測定される値であり、上記表面の算術平均粗さが0.05~0.50μmであるとは、カットオフ値80μmで測定される算術平均粗さが0.05μm未満0.50μm超となる領域が存在しないことを意味する。
第一のフィルム1の厚さは、例えば、12~17μmであってよい。
(第二のフィルム)
第二のフィルム2は、第一のフィルム1の印刷層12上に接着剤層S1を介して配置されている。
第二のフィルム2は、包装袋に使用される公知のフィルムであってよく、例えば、耐衝撃フィルム、シーラントフィルム等であってよい。耐衝撃フィルムとしては、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。シーラントフィルムとしては、例えば、無延伸ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。
第二のフィルム2の厚さは、例えば、15~60μmである。
(接着剤層)
接着剤層S1は、溶剤型接着剤で形成されていてもよく、無溶剤型接着剤で形成されていてもよい。無溶剤型接着剤は製造プロセスの環境負荷が低く、また溶剤型接着剤よりも薄く塗工できるという特徴がある。そのため、無溶剤型接着剤で形成された接着剤層は厚みが薄い傾向がある。従来の積層体では、無溶剤型接着剤を用いて接着剤層を薄く形成した場合、塗工面となる第一のフィルムの表面の段差(例えば図1中の段差d1及びd2)に起因して外観不良や接着不良が生じることがあったが、本実施形態では、透明インキによって上記段差が低減されているため、無溶剤型接着剤を用いて接着剤層S1を薄膜とした場合にも、良好な外観及び優れた接着強度を得ることができる。
無溶剤型接着剤としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等の主剤に、硬化剤として2官能基以上の芳香族系又は脂肪族系イソシアネート化合物を作用させる、2液硬化型ポリウレタン系接着剤が挙げられる。このような接着剤は、加熱等により反応して(例えば、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基とが反応して)硬化することで接着剤層を形成する。すなわち、接着剤層は、無溶剤型接着剤の反応硬化物からなるということもできる。
接着剤層S1の厚さは、例えば、0.3~5.0μmである。
以上説明した積層体100Aは、例えば、内容物を包装するための包装袋(例えば軟包袋)を形成するために好適に用いることができる。積層体100Aがシーラントフィルムを含む場合、積層体100Aをそのまま包装フィルムとして用いることができる。積層体100Aがシーラントフィルムを含まない場合、積層体100Aにシーラントフィルムを貼り付けて包装フィルムとすることができる。具体的には、積層体100Aを含む包装フィルムのシーラントフィルム同士を貼り合わせて製袋加工することで包装袋を製造することができる。内容物としては、液体調味料、トイレタリー用品、スープ、液体洗剤等の液状物、煮物等の固形物、カレー等の液状物と固形物との固液混合物などが挙げられる。
上記積層体100Aによれば、透明部分を有する絵柄を表現しながらも、印刷層を介して接着したフィルム間において安定した接着強度を示す包装袋を得ることができる。
以上、本開示の積層体の一実施形態について説明したが、本開示の積層体は上記実施形態に限定されない。
図3は、本開示の積層体の他の一実施形態を示す模式断面図である。図3に示す積層体100Bは、第一のフィルム1及び第二のフィルム2に加えて、第三のフィルム3を備える。第三のフィルム3は、第二のフィルム2上(すなわち、第二のフィルム2の第一のフィルム1とは反対側)に接着剤層S2を介して配置されている。
図3に示されるように、積層体は、包装袋に求められる機械強度、バリア性、耐光性、開封性などを付与するために、第一のフィルム及び第二のフィルム以外の1又は2以上の他のフィルム(図3では第三のフィルム3)をさらに備えていてもよい。他のフィルムは、第二のフィルムの第一のフィルムとは反対側に配置されてもよいし、第一のフィルムの第二のフィルムとは反対側に配置されてもよい。他のフィルムの種類は特に限定されず、第二のフィルムとして例示したものを使用することができる。ただし、積層体がシーラントフィルムを含む場合、積層体の最外層(2つの最外層のうちの一方)を構成するフィルムがシーラントフィルムであることが好ましい。また、他のフィルムの積層には接着剤層(図3では接着剤層S2)を用いてよい。他のフィルムの積層に使用される接着剤層の詳細は、第一のフィルム1と第二のフィルム2との間の接着剤層S1と同じである。
また、例えば、基材フィルム11上には、印刷層12が形成されない領域が存在していてもよい。すなわち、印刷層12は、基材フィルム11上の少なくとも一部に設けられていてもよい。
また、例えば、印刷層12の有色領域A1は、透明インキ14を含まなくてもよい。すなわち、有色領域A1が色インキで形成されていてもよい。また、例えば、印刷層12が、有色領域A1内に、厚さ方向に色インキ13及び透明インキ14を含む領域と、厚さ方向に色インキ13を含み、透明インキ14を含まない領域と、を有していてもよい。
また、例えば、印刷層12の有色領域A1における基材フィルム11とは反対側の表面12aが色インキで形成されていてもよい。ただし、印刷層の基材フィルムとは反対側の表面は、第二のフィルムのラミネート時に接着剤が塗工される側の面であるため、印刷層12の有色領域A1における表面と透明領域A2における表面とが同じ又は類似する材質であるとより安定した接着強度が得られやすい。したがって、より安定した接着強度が得られる観点では、印刷層12が、有色領域A1内に、基材フィルム11とは反対側の表面12aの少なくとも一部が透明インキで形成されている領域を有することが好ましい。さらに安定した接着強度が得られる観点では、有色領域A1における上記表面12a全体の50面積%以上が透明インキで形成されていることがより好ましく、有色領域A1における上記表面全体の90面積%以上が透明インキで形成されていることがさらに好ましく、有色領域A1における上記表面全体が透明インキで形成されていることが特に好ましい。
また、例えば、有色領域A1における透明インキ14が色インキ13よりも基材フィルム11寄りに設けられていてもよい。すなわち、基材フィルム11上に、透明インキからなる層と色インキからなる層とがこの順で形成されていてもよい。
<積層体の製造方法>
本開示の積層体の製造方法は、例えば、基材フィルム上に色インキと透明インキとを含む印刷層を形成して第一のフィルムを得る工程(i)と、第一のフィルムの印刷層上に接着剤層を介して第二のフィルムを配置する工程(ii)と、を備え、工程(i)は、色インキを基材フィルム上に印刷する工程(a)と、透明インキを基材フィルム上に印刷する工程(b)と、を含み、工程(b)は、基材フィルム上の色インキが印刷されない領域に透明インキを印刷する工程(b1)を含む。基材フィルム上に色インキが印刷されない領域が複数ある場合、工程(b1)では、基材フィルム上の色インキが印刷されない領域の一部又は全部に透明インキを印刷する。工程(b)は、色インキが印刷される領域に透明インキを印刷する工程(b2)をさらに含んでいてもよい。
上記方法によれば、工程(a)及び工程(b)において、厚さ方向に色インキを含む有色領域A1と、厚さ方向に色インキを含まない透明領域A2とを有する、印刷層が形成される。すなわち、上記方法によれば、上記実施形態の積層体(例えば、積層体100A及び100B)が得られる。
上記方法では、絵柄の色味や視認性に実質的な影響を与えない透明インキによって絵柄の透明部分を形成することから、上記方法によれば、絵柄の色味や視認性に実質的に影響を与えることなく、印刷層を介して接着したフィルム間において安定した接着強度を示す積層体を得ることができる。
上記方法では、色インキに用いる顔料の形状、大きさ及び配合比、並びに、透明インキの印刷箇所及び印刷量を調整することで、第一のフィルム1の印刷層12側の表面の算術平均粗さが0.05~0.50μmとなるように印刷層を形成することもできる。
上記実施形態において、工程(a)と工程(b)の実施順序は特に限定されない。例えば、工程(a)と工程(b)とを並行して(略同時に)実施してもよい。基材フィルムとは反対側の表面の少なくとも一部が透明インキで形成された印刷層が得られる観点では、工程(a’)の後に工程(b2)及び工程(b3)を実施することが好ましい。
上記実施形態において工程(b2)を実施する場合、工程(b1)及び工程(b2)の実施順序は特に限定されない。例えば、工程(b1)及び工程(b2)を並行して(略同時に)実施してもよい。
上記実施形態では、工程(ii)の後に、第二のフィルムの第一のフィルムとは反対側、及び/又は、第一のフィルムの第二のフィルムとは反対側に、接着剤層を介して他のフィルムを配置する工程(C)をさらに備えていてもよい。他のフィルムの種類によっては、工程(C)において接着剤層を介在させなくてもよい。
以下、図4を参照しながら上記積層体100A及び100Bの製造方法について説明する。
図4は、上記積層体100Aの製造方法を示す模式断面図である。図4の(a)~(d)に示すように、積層体100Aの製造方法は、基材フィルム11上に色インキ13と透明インキ14とを含む印刷層12を形成して第一のフィルム1を得る工程(i)と、第一のフィルム1の印刷層12上に接着剤層S1を介して第二のフィルム2を配置する工程(ii)と、を備える。
工程(i)では、まず、工程(a)を実施する。工程(a)では、1色又は2色以上の色インキを基材フィルム11上の一部の領域に印刷し、必要に応じて乾燥を行う。これにより、基材フィルム11上に色インキ13からなる層を形成する(図4の(a)参照。)。
色インキの使用量及び色の種類は、表現する絵柄の種類に応じて設定してよい。色インキの乾燥条件も特に限定されず、色インキに含まれる溶媒の量に応じて設定してよい。
次に、工程(b)を実施する。工程(b)では、基材フィルム11上の、色インキ13が印刷されている領域a1、及び、色インキ13が印刷されていない領域a2に透明インキを印刷し、必要に応じて乾燥を行う。これにより、基材フィルム11上に透明インキ14からなる層を形成する(図4の(b)参照。)。
透明インキの使用量は、表現する絵柄の種類に応じて設定してよい。透明インキの乾燥条件も特に限定されず、透明インキに含まれる溶媒の量に応じて設定してよい。
上記工程(a)及び工程(b)により、基材フィルム11と、有色領域A1及び透明領域A2を有する印刷層12と、を備える第一のフィルム1が得られる。
(工程(ii))
工程(ii)では、例えば、ドライラミネート法により、第一のフィルム1と第二のフィルム2とを接着剤層S1を介して貼り合わせることで、第一のフィルム1の印刷層12上に第二のフィルム2を配置する。具体的には、まず、第一のフィルム1の印刷層12側の面に接着剤層S1を形成する(図4の(c)参照。)。次いで、接着剤層S1上(印刷層12とは反対側)に第二のフィルムを配置する。
接着剤層S1は、第一のフィルム1の印刷層12側の面に接着剤を塗工し、必要に応じて乾燥を行うことにより形成することができる。上述したように、接着剤としては、溶剤型接着剤及び無溶剤型接着剤のいずれを使用してもよいが、薄膜化の観点では、無溶剤型接着剤が好ましく用いられる。接着剤の塗工方法は、特に限定されず、例えば、ロールコート等の方法であってよい。接着剤の塗工量は、目的の厚さが得られるように調整してよく、例えば、固形分量で、0.5~5.0g/mとしてよい。ラミネートの条件は特に限定されず、使用する接着剤の種類に応じて設定してよい。
以上の方法によれば、図1に示す積層体100Aを得ることができる。また、図示しないが、上記方法において、工程(ii)の後に、工程(ii)と同様にして、第二のフィルム2上に接着剤層S2を介して第三のフィルム3を配置することで、積層体100Bを得ることができる(図4の(d)参照。)。
<包装フィルム>
本開示の一実施形態に係る包装フィルムは、上記実施形態の積層体(例えば積層体100A及び100B)を含む。包装フィルムは、例えば、一方の最外層がシーラントフィルムで構成されているフィルムである。このような構成を有する包装フィルムによれば、該包装フィルムのシーラントフィルム同士を貼り合わせて製袋加工することで包装袋を製造することができる。
<包装袋>
本開示の一実施形態に係る包装袋は、上記実施形態の積層体(例えば積層体100A及び100B)を含む包装フィルムを製袋してなる包装袋(例えば軟包袋)である。包装袋としては、例えば、平パウチ形状の包装袋や、自立性包装袋(スタンディングパウチ)などが挙げられる。
平パウチ形状の包装袋は、例えば、1枚の包装フィルム(シーラントフィルムを含む包装フィルム)を、シーラントフィルムが対向するように二つ折りにした後、3方をヒートシールすることによって袋形状にしたものであってよく、2枚の包装フィルム(シーラントフィルムを含む包装フィルム)を、シーラントフィルムが対向するように重ねた後、4方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってもよい。
自立性包装袋は、例えば、2枚の包装フィルム(シーラントフィルムを含む包装フィルム)のシーラントフィルムを対向させ、これらのフィルム間に、1枚の包装フィルム(シーラントフィルムを含む包装フィルム)をシーラントフィルムが外面を向くように二つ折りにして挿入することで計3枚の包装フィルムを重ねた後、4方をヒートシールすることによって袋形状としたものであってよい。
本開示を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
<透明インキの調製>
ウレタン樹脂10質量部と塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂2質量部を混合して得た混合樹脂を混合溶剤(メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール/酢酸エチル)で溶解することにより、透明インキA(メジウム)を調製した。また、上記混合樹脂と沈降性硫酸バリウムとを混合し、混合溶剤(メチルエチルケトン/イソプロピルアルコール/酢酸エチル)で溶解することにより、透明インキB及び透明インキCを調製した。透明インキBにおける沈降性硫酸バリウムの配合量は、混合樹脂と沈降性硫酸バリウムとの合計量を基準として、10質量%とし、透明インキCにおける沈降性硫酸バリウムの配合量は、混合樹脂と沈降性硫酸バリウムとの合計量を基準として、20質量%とした。
<実施例1~4及び比較例1>
すべての実施例及び比較例で共通して、透明蒸着バリアフィルム「GL-ARH」(凸版印刷(株)製)上に印刷層を形成して第一のフィルムを作製した後、該第一のフィルム、ONYフィルム「ONMB-RT」(ユニチカ(株)製)からなる第二のフィルム、及び、PPシーラントフィルム「ZK207」(東レフィルム加工(株)製)からなる第三のフィルムをこの順にラミネート加工することで積層体を製造した。この際、第一のフィルムの印刷層と第二のフィルムとが対向するようにラミネート加工を行った。また、ラミネート加工には無溶剤型接着剤「TSN-4864A / TSN-4864B3」(東洋モートン(株)製)を用いた。無溶剤接着型接着剤は、塗工量が2g/mとなるようにロールコーターにて塗工した。なお、各フィルムの流れ方向及び幅方向は一致させ、第一のフィルムの流れ方向には同じ絵柄が連続するようにした。
実施例では、GL-ARHのラミネート面(第二のフィルムが貼り合わせられる側の面)に色インキ及び透明インキをグラビア印刷することによって第一のフィルムの印刷層を形成した。比較例では、透明インキを使用せず、GL-ARHのラミネート面に色インキのみをグラビア印刷することによって第一のフィルムの印刷層を形成した。色インキとしては、東洋インキ(株)製の「リオアルファ白」、及び「リオアルファ藍」を使用し、透明インキとしては、上記で調製した透明インキA~Cを使用した。各インキの1回の塗工で形成される層の厚さが1μmとなるようにインキの塗工量を調整した。
実施例1~4及び比較例1で作製及び使用した第一のフィルムの模式断面図を図5に示す。図5の(a)が実施例1~3に対応し、図5の(b)が実施例4に対応し、図5の(c)が比較例1に対応する。図5中のマス目は、印刷層を構成するインキ層(色インキからなる層及び透明インキからなる層)を示しており、白インキ(リオアルファ白)からなる層を符号113Wで示し、藍インキ(リオアルファ藍)からなる層を符号113Iで示し、透明インキからなる層を符号114で示している。また、符号111は、基材フィルムであるGL-ARHを示す。図5の左右方向は、第一のフィルムの幅方向に等しく、1マス当たり50mmに対応する。図5の上下方向は、第一のフィルムの厚さ方向に等しく、1マス当たり1μmに対応する。各図の下部に示す符号a~iは、印刷層の幅方向に並ぶ各インキ層(各マス)が位置する基材フィルム上の領域を示している。
[実施例1]
実施例1では、図5の(a)に示されるように、基材フィルム(GL-ARH)上の領域e及びf以外の領域に色インキ(白インキ及び藍インキ)を印刷した後、領域e及びfに透明インキAを印刷することにより印刷層を形成し、第一のフィルムを得た。
[実施例2]
実施例2では、透明インキAにかえて透明インキBを使用したこと以外は、実施例1と同様にして印刷層を形成し、第一のフィルムを得た。
[実施例3]
実施例3では、透明インキAにかえて透明インキCを使用したこと以外は、実施例1と同様にして印刷層を形成し、第一のフィルムを作製した。
[実施例4]
実施例4では、印刷層の表面(基材フィルムとは反対側の表面)が全て透明インキで形成されるように、印刷層を形成した。具体的には、図5の(b)に示されるように、基材フィルム(GL-ARH)上の領域e及びf以外の領域に色インキ(白インキ及び藍インキ)を印刷した後、領域a~iに透明インキを印刷することにより印刷層を形成し、第一のフィルムを得た。
[比較例1]
比較例1では、図5の(c)に示されるように、透明インキを印刷しないこと以外は、実施例1と同様にして印刷層を形成し、基材フィルム(GL-ARH)のバリア面の一部が露出する第一のフィルムを得た。
<評価>
(表面粗さ)
実施例1~4及び比較例1で作製及び使用した上記第一のフィルムの印刷層側の表面の粗さ(算術平均粗さ)を、領域a~iの各領域で測定した。算術平均粗さの測定は、レーザー顕微鏡を用いて行い、カットオフ値は80μmとした。結果を表1に示す。
(ラミネート強度(接着強度))
実施例1~4及び比較例1で作製した上記積層体を40℃の環境下でエージングした後、領域a~iのそれぞれから幅方向15mm、流れ方向50mmの短冊状にサンプルを切り出した。次いで、得られたサンプルにおける基材フィルム(GL-ARH)と第二のフィルム(ONYフィルム)との間のラミネート強度(接着強度)を、剥離速度300mm/分、剥離角度90度の条件で計測し、下記の指標で評価した。結果を表1に示す。
×:2N/15mm未満
〇:2N/15mm以上、4N/15mm未満
◎:4N/15mm以上
実施例1~4の積層体は、ラミネート強度の評価において評価が「×」となる領域がなく、印刷層を介して接着したフィルム間(第一のフィルムと第二のフィルムとの間)において安定した接着強度を示す積層体であることが確認された。
1…第一のフィルム、2…第二のフィルム、3…第三のフィルム、11…基材フィルム、12…印刷層、13…色インキ、14…透明インキ、100A,100B…積層体、A1…有色領域、A2…透明領域、S1,S2…接着剤層。

Claims (7)

  1. 少なくとも第一のフィルムと第二のフィルムとを積層してなる積層体であって、
    前記第一のフィルムが、基材フィルムと、該基材フィルム上に設けられた印刷層と、を有し、
    前記第二のフィルムが、前記第一のフィルムの前記印刷層上に接着剤層を介して配置されており、
    前記印刷層が、色インキと透明インキとを含み、厚さ方向に色インキを含む有色領域と、厚さ方向に色インキを含まない透明領域とを有する、積層体。
  2. カットオフ値80μmで測定される前記第一のフィルムの前記印刷層側の表面の算術平均粗さが0.05~0.50μmである、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記印刷層が、前記有色領域内に、前記基材フィルムとは反対側の表面の少なくとも一部が透明インキで形成されている領域を有する、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記透明インキが、樹脂成分と、硫酸バリウムと、を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  5. 前記硫酸バリウムの含有量が、樹脂成分と硫酸バリウムとの合計量を基準として、1~50質量%である、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記接着剤層が無溶剤型接着剤で形成されている、請求項1又は2に記載の積層体。
  7. 請求項1又は2に記載の積層体を含む包装フィルムを製袋してなる、包装袋。


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