JP2024008873A - 炭化ケイ素結晶の成長方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024008873000001
【課題】均一な抵抗率を有する炭化ケイ素結晶の成長方法を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素結晶の成長方法は、以下の工程を含む。炭素元素及びケイ素元素を含む原料と、原料の上に位置する種結晶とを反応器内に供給する。反応器及び原料を加熱して種結晶上に炭化ケイ素結晶を形成することを含む炭化ケイ素結晶の成長プロセスを実行する。成長プロセスでは、炭化ケイ素結晶の軸方向温度勾配(△Tz)と径方向温度勾配(△Tx)との比差(△Tz/△Tx)を調整して、比差を0.5~3の範囲内に制御して、炭化ケイ素結晶を形成する。上記の成長方法により形成された炭化ケイ素結晶は、均一な抵抗率分布を有し、優れた幾何学的性能を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、炭化ケイ素結晶に関し、特に炭化ケイ素結晶の成長方法に関する。
現在、シリコンウェーハは半導体産業で広く使用されている。多くの電子機器にはシリコンウェーハを材料として製造されたシリコンウェーハが搭載されている。しかしながら、ウェーハの性能を向上させるために、多くの製造業者は、炭化ケイ素チップを製造するための材料として炭化ケイ素ウェーハを使用しようと試みてきた。炭化ケイ素ウェーハには、高温耐性と高安定性という利点がある。
従来技術に関する限り、N型炭化ケイ素結晶を成長させる場合、一般的に、形成された結晶の抵抗率が不均一であるという問題が存在する。炭化ケイ素結晶の抵抗分布が均一であれば、結晶応力を低減でき、加工後のウェーハの形状が改善される。さらに、それから製造される炭化ケイ素装置の電気的特性及び性能も改善される。以上のことから、均一な抵抗率を有する炭化ケイ素結晶をいかに製造するかが解決すべき課題である。
本発明の目的は、均一な抵抗率を有する炭化ケイ素結晶の成長方法を提供することである。
炭化ケイ素結晶の軸方向温度勾配と径方向温度勾配との比差を制御し、窒素濃度のドープ量を調整することにより、均一な抵抗率を有する炭化ケイ素結晶を製造することができる。
炭化ケイ素結晶の成長方法は、以下の工程を含む。炭素元素及びケイ素元素を含む原料と、原料の上に位置する種結晶とを反応器内に供給する。反応器及び原料を加熱して種結晶上に炭化ケイ素結晶を形成することを含む炭化ケイ素結晶の成長プロセスを実行する。成長プロセスでは、炭化ケイ素結晶の軸方向温度勾配(△Tz)と径方向温度勾配(△Tx)との比差(△Tz/△Tx)を調整して、比差を0.5~3の範囲内に制御して、炭化ケイ素結晶を形成する。
本発明の一実施形態では、比差を2~3の範囲に制御して、炭化ケイ素結晶を形成する。
本発明の一実施形態では、比差を2.5~3の範囲に制御して、炭化ケイ素結晶を形成する。
本発明の一実施形態では、成長プロセス中に、窒素濃度が第1の濃度から第2の濃度まで増加するように、窒素濃度のドープ量を増加させる工程をさらに含む。
本発明の一実施形態では、第1の濃度は2*1018atom/cmであり、第2の濃度は3*1018atom/cmである。
本発明の一実施形態では、第1の濃度は2.2*1018atom/cmであり、第2の濃度は2.9*1018atom/cmである。
本発明の一実施形態では、第1の濃度は2.5*1018atom/cmであり、第2の濃度は2.8*1018atom/cmである。
本発明の一実施形態では、窒素濃度は直線的に増加する。
本発明の一実施形態では、窒素濃度は段階的に増加する。
本発明の一実施形態では、窒素濃度のドープ量の増加は、反応器内の窒素流量を増加させることによって実行され、窒素流量の増加は10sccm~50sccmの範囲で制御される。
本発明は、炭化ケイ素ウェーハの単結晶比率が100%であり、炭化ケイ素ウェーハの抵抗率が15mΩcm~20mΩcmの範囲内であり、かつ、炭化ケイ素ウェーハの抵抗率の均一性の偏差が0.4%未満である炭化ケイ素ウェーハを提供する。
本発明の一実施形態では、炭化ケイ素ウェーハの単結晶比率が100%であり、炭化ケイ素ウェーハの抵抗率が19mΩcm~20mΩcmの範囲であり、炭化ケイ素ウェーハの抵抗率の均一性の偏差が0.4%未満である。
本発明の一実施形態では、抵抗率の均一性の偏差は0.01%未満である。
本発明の一実施形態では、炭化ケイ素ウェーハの基底面転位(basal plane dislocations,BPD)は200/cm未満である。
本発明の一実施形態では、炭化ケイ素ウェーハの基底面転位(BPD)は140/cm未満である。
本発明の一実施形態では、炭化ケイ素ウェーハの柱状積層欠陥(bar stacking fault,BSF)は5枚/ウェーハ未満である。
以上のことから、本発明の実施形態に係る炭化ケイ素結晶の成長方法により形成されたN型炭化ケイ素ウェーハは、均一な抵抗率分布を有する。したがって、加工工程後に得られる炭化ケイ素ウェーハは、ウェーハ応力がより低く、処理後のウェーハ形状も改善することができる。
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
本発明の一実施形態に係る結晶成長装置の概略図である。 本発明の一実施形態に係る炭化ケイ素結晶の成長方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態による炭化ケイ素結晶の成長方法において、窒素濃度を増加させるための異なるドーピング調整方法を示すチャートである。 本発明の一実施形態による炭化ケイ素結晶の成長方法において、窒素濃度を増加させるための異なるドーピング調整方法を示すチャートである。 本発明の一実施形態による炭化ケイ素結晶の成長方法において、窒素濃度を増加させるための異なるドーピング調整方法を示すチャートである。 本発明の一実施形態による炭化ケイ素結晶の成長方法において、窒素濃度を増加させるための異なるドーピング調整方法を示すチャートである。 本発明の別の実施形態に係る結晶の結晶成長方法の概略フローチャートである。 本発明の一実施形態に係る結晶成長方法に用いられる第1の種結晶準備の概略フローチャートである。
図1は、本発明の一実施形態に係る結晶成長装置の概略図である。図2は、本発明の一実施形態に係る炭化ケイ素結晶の成長方法のフローチャートである。図1に示された結晶成長装置及び図2に示されたフローチャートを参照して、本発明のいくつかの実施形態に係る炭化ケイ素結晶の成長方法について説明する。
図1及び図2のS10に示されるように、結晶成長プロセスでは、炭素元素及びケイ素元素を含む原料110と、原料110の上の種結晶106とが反応器102内に供給される。例えば、原料110は炭化ケイ素粉末であり、それは反応器102の底部に配置され、固体昇華源として用いられる。種結晶106は、反応器102の上部に配置される。いくつかの実施形態では、種結晶106は、接着層によって種結晶載置プラットフォーム(図示せず)上に固定されて良い。種結晶106の材料は、炭化ケイ素を含む。例えば、種結晶106は、6H‐炭化ケイ素または4H‐炭化ケイ素である。他の実施形態では、種結晶106は、6H‐炭化ケイ素及び4H‐炭化ケイ素を含む。
図1及び図2のS20に示されるように、いくつかの実施形態では、炭化ケイ素成長プロセスが実行され、炭化ケイ素結晶108が形成される。例えば、成長プロセスは、工程S22及び工程S24を実行することをさらに含む。工程S22では、反応器102及び原料110を加熱して、種結晶106上に炭化ケイ素結晶108を形成する。上記成長プロセスの工程S24では、炭化ケイ素結晶108の軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)を調整し、比差を0.5~3の範囲内に制御して、炭化ケイ素結晶を形成する。
上記工程S22及び工程S24では、物理的気相輸送(Physical Vapor Transport,PVT)により種結晶106上に炭化ケイ素結晶108が形成される。いくつかの実施形態では、反応器102及び原料110を誘導コイル104によって加熱して、種結晶106上に炭化ケイ素結晶108を形成する。製造プロセス中に、種結晶106は、気体状態から固化した原料110(炭化ケイ素粉末)を受け取り、所望のサイズを有する炭化ケイ素結晶108が得られるまで、種結晶106上に半導体結晶をゆっくりと形成する。続いて、図1及び図2の工程S30を参照すると、炭化ケイ素結晶108が所望のサイズに成長した後、反応器102及び原料110が冷却されて、炭化ケイ素結晶108から構成される炭化ケイ素インゴットが得られる。いくつかの実施形態では、形成されるインゴットは、使用される単結晶種結晶の方位に応じて異なる結晶構造を有していて良い。例えば、炭化ケイ素インゴットには、4H‐炭化ケイ素、6H‐炭化ケイ素などが含まれる。4H‐炭化ケイ素と6H‐炭化ケイ素は両方とも六方晶系に属する。
上述の実施形態では、反応器102及び原料110が加熱され、炭化ケイ素結晶108を形成するとき、軸方向温度勾配(ΔTz)は、炭化ケイ素結晶108の厚さ方向の温度勾配を指し、径方向温度勾配(ΔTx)は、厚さ方向に対して垂直な水平方向における炭化ケイ素結晶108の温度勾配を指す。いくつかの実施形態では、各結晶方位の成長速度の差を利用して温度差を調整し、比差(ΔTz/ΔTx)を0.5~3の範囲内に達成する。一般に、<11-20>の成長速度では、結晶方位は<1-100>結晶方位の成長速度よりも大きい。本発明の実施形態では、2つの結晶方位の成長速度が同じになるように制御され、各軸方向/径方向の結晶は、比差(ΔTz/ΔTx)を0.5~3の範囲内に調整することで、一定の成長速度を得ることができる。
いくつかの実施形態では、軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)を0.5~3の範囲内に制御して、炭化ケイ素結晶108を形成する。いくつかの実施形態では、軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)を2~3の範囲に制御して、炭化ケイ素結晶108を形成する。いくつかの実施形態では、軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)を2.5~3の範囲に制御して、炭化ケイ素結晶108を形成する。軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)を上記範囲内に制御することにより、形成される炭化ケイ素結晶108は、より良好な抵抗率の均一性を有し得る。
いくつかの実施形態では、反応器102及び原料110が炭化ケイ素結晶108を形成するために加熱されるとき、つまり、炭化ケイ素結晶108の成長プロセス中に、窒素濃度のドープ量がさらに増加して、 窒素濃度は第1の濃度から第2の濃度まで増加する。いくつかの実施形態では、第1の濃度は2*1018atoms/cmであり、第2の濃度は3*1018atoms/cmである。いくつかの実施形態では、第1の濃度は2.2*1018atoms/cmであり、第2の濃度は2.9*1018atoms/cmである。いくつかの実施形態では、第1の濃度は2.5*1018atoms/cmであり、第2の濃度は2.8*1018atoms/cmである。窒素濃度のドープ量を上記範囲内に制御することにより、形成される炭化ケイ素結晶の比抵抗の均一性をより最適化することができる。
上記の実施形態において、窒素濃度は直線的にまたは段階的に増加させることができる。例えば、窒素濃度の異なるドーピング調整方法について、図3A~図3Dを参照して説明する。
図3A~図3Dは、本発明の一実施形態による炭化ケイ素結晶の成長方法において、窒素濃度を増加させるための異なるドーピング調整方法を示すチャートである。図3Aに示されるように、本実施形態では、窒素ガスの流量が時間に対して直線的に増加するため、窒素濃度も直線的に増加する。図3Bに示されるように、本実施形態では、窒素ガスの流量が時間に対して段階的に増加するので、窒素濃度も段階的に増加する。図3Cに示されるように、本実施形態では、窒素ガスの流量は時間に対して段階的に増加する。しかしながら、図3Cに示される実施形態では、図3Bに示されるプロセスのように窒素ガスの流量が10sccmで一定期間安定し、その後段階的に濃度が増加するのとは異なり、プロセスの開始時に窒素ガスの流量が直接増加する。図3Dに示されるように、本実施形態では、窒素ガスの流量が時間に対して段階的に増加する。しかしながら、図3Dの実施形態では、各段階的プロセスで増加する窒素ガスの流量は異なり、特定の窒素流量における滞留時間も異なる。
本発明の実施形態では、窒素濃度のドープ量の増加は、反応器内の窒素ガスの流量を増加させることによって実行されるので、窒素流量の増加は10sccm~50sccmの範囲内に制御され、前述の図3Aから図3Dに示した方法を用いて、窒素濃度の直線的または段階的に増加させることができる。いくつかの実施形態では、窒素流量の増加は、10sccm~30sccmの範囲内に制御される。
上記の方法を用いて炭化ケイ素結晶を形成した場合、形成された炭化ケイ素結晶及び加工後に得られる炭化ケイ素ウェーハの単結晶比率は100%であり、炭化ケイ素結晶/ウェーハの抵抗率は15mΩcm~20mΩcmの範囲内にあり、好ましくは9mΩcm~20mΩcmの範囲内にあり、炭化ケイ素ウェーハの抵抗率の均一性の偏差は0.4%未満である。いくつかの実施形態では、炭化ケイ素ウェーハの抵抗率の均一性の偏差は0.01%未満である。さらに、いくつかの実施形態では、炭化ケイ素結晶/ウェーハの基底面転位(BPD)は200/cm未満である。いくつかの実施形態では、炭化ケイ素結晶/ウェーハの基底面転位(BPD)は140/cm未満である。いくつかの実施形態では、炭化ケイ素結晶/ウェーハの柱状積層欠陥(BSF)は、5枚/ウェーハ未満である。したがって、均一な抵抗率分布を有する炭化ケイ素結晶/ウェーハが得られるとともに、形成される炭化ケイ素結晶/ウェーハの応力も相対的に低く、加工後のウェーハの形状も改善される。
図4は、本発明の別の実施形態に係る結晶の結晶成長方法の概略フローチャートである。いくつかの実施形態では、上記の炭化ケイ素結晶成長方法を使用して結晶成長プロセスを実行することができる。図4に示されるように、本発明の実施形態の結晶成長方法では、第1の単結晶比率及び第1のサイズを有する第1の種結晶202が提供される。いくつかの実施形態では、第1の単結晶比率は70%~80%であり、第1のサイズは200mmである。
図4に示されるように、第1の種結晶202を用いて第1の結晶成長プロセス (N=1)が実行され、単結晶比率が増加した中間結晶204が得られる。中間結晶204の単結晶比率が100%ではないことが確認された場合には、中間結晶204を切断して、成長種結晶204Aを得る。続いて、先に得られた成長種結晶204Aを次の結晶成長プロセスの種結晶として使用することができる。例えば、第2の結晶成長プロセス(N=2)では、成長種結晶204Aを用いて結晶成長プロセスが実行され、単結晶比率が増加した中間結晶206が得られる。中間結晶206の単結晶比率が100%ではないことが確認された場合には、中間結晶206を切断して、成長種結晶206Aを得る。したがって、最終種結晶SD1によって形成される中間結晶の単結晶比率が100%になるまで、結晶成長プロセスを複数回(N=X)繰り返すことができ、これにより、そのような中間結晶を第2の結晶250として指定することができ、本発明の実施形態による結晶成長方法が完了する。
上述の例では、第1の種結晶202に対して結晶成長プロセスがN回実行され、各結晶成長プロセスは第1の単結晶比率を増加させ、単結晶比率が100%である第2の結晶250が得られるまでN回の結晶成長プロセスが実行される。言い換えれば、単結晶比率が100%である中間結晶が確認された場合、上記の結晶成長プロセスを停止して、第2の結晶250を形成する。いくつかの実施形態では、N回は、3回を超える結晶成長プロセスを含む。いくつかの実施形態では、N回は、3回超8回未満の結晶成長プロセスを含む。いくつかの実施形態では、N回は、4回超6回未満の結晶成長プロセスを含む。
さらに、上記の実施形態では、各結晶成長プロセスは、結晶の軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との間の比差(ΔTz/ΔTx)を調整して、比差を0.5~3の範囲内に制御することを含む。上記実施形態では、各結晶成長プロセスは、窒素濃度のドープ量を2*1018 atom/cm~3*1018 atom/cmの範囲内に制御することを含む。いくつかの実施形態では、各結晶成長プロセスは異なる。例えば、本発明の実施形態では、各結晶成長プロセスにおける軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)が異なり、及び/又は、窒素濃度のドープ量が異なるが、上記の比差及び窒素濃度のドープ量は、依然として上記範囲内に制御される。以上の方法を用いることにより、一定の結晶成長プロセス数でB級結晶(単結晶比率が低い)からA級結晶(単結晶比率100%)まで成長させることができる。このため、単結晶比率が高く、大径の結晶を形成するのに要する時間を大幅に短縮することができる。
図5は、本発明の一実施形態に係る結晶成長方法に用いられる第1の種結晶準備の概略フローチャートである。いくつかの実施形態では、より小さなサイズの種結晶を使用して拡径し、より大きなサイズの結晶を形成することもできる。図5に示されるように、いくつかの実施形態では、予備種結晶PX1が提供され、予備種結晶PX1は、サイズA及び単結晶比率A’を有する。いくつかの実施形態では、サイズAは、第1の種結晶202の第1のサイズよりも小さく、単結晶比率A’は、第1の種結晶202の第1の単結晶比率よりも大きい。例えば、第1の種結晶202の第1の単結晶比率が70%~80%であり、第1のサイズが200mmであり、予備種結晶PX1の単結晶比率A’が100%であり、予備種結晶PX1のサイズAが150mmである。
図5に示されるように、予備種結晶PX1は、結晶成長プロセスを実行して、上記の第1のサイズ及び上記の第1の単結晶比率を有する第1の結晶PX2を得るために使用される。本発明の実施形態では、予備種結晶PX1の結晶成長プロセスは、結晶の軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との間の比差(ΔTz/ΔTx)を調整して、 比差を0.5~3の範囲内に制御し、窒素濃度のドープ量を2*1018atoms/cm~3*1018atoms/cmの範囲で制御する。第1の結晶PX2が得られた後、第1の結晶PX2を切断して上記の拡径された第1種結晶202を取得し、第1の種結晶202を用いて図4に示される工程を実行することにより、単結晶比率100%の第2の結晶250が得られる。上記の方法を用いることにより、A級種結晶(単結晶比率100%)を成長させて拡径し、一定の結晶成長プロセス数内で、より大きなサイズのA級結晶(単結晶比率100%)を形成することができる。したがって、単結晶比率が高く、大径の結晶を形成するのに必要な時間を大幅に短縮することができ、結晶の拡径に必要な従来の複数回の径拡工程と数年に及ぶ径拡期間を回避することができる。
実施例
本発明の方法が均一な抵抗率を有する炭化ケイ素結晶を製造することができ、単結晶比率が高い大型の結晶を形成するのに必要な時間を大幅に短縮できることを証明するために、以下の実施例を実施して説明する。
第1の例:
第1の例では、実施例1~7及び比較例1~4の(i)軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)、(ii)窒素濃度のドーピング変動方法、及び(iii)窒素濃度のドープ量は、以下の表1及び表2に示すように調整した。さらに、図1及び図2で説明した方法で、成長プロセスを実行し、炭化ケイ素結晶を形成した。得られた炭化ケイ素結晶ウェーハの基底面転位(BPD)、ウェーハ単結晶率、ウェーハ抵抗率、ウェーハ抵抗率均一性偏差、柱状積層欠陥(BSF)の評価も、表1及び表2に示す。
上記表1に示す実施例1~7の実験結果よれば、軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)を0.5~3の範囲内に制御し、窒素濃度のドーピング変化方法を低濃度から高濃度まで調整し、窒素濃度のドープ量を2*1018atoms/cm~3*1018atoms/cmの範囲内に制御した場合、得られた炭化ケイ素結晶の単結晶比率は100%であり、加工後に得られる炭化ケイ素ウェーハは、均一な抵抗率分布を有し(抵抗率の均一性の偏差は0.4%未満)、ウェーハの基底面転位 (BPD)は200/cm未満に制御され、柱状積層欠陥は5枚/ウェーハ(ea/wf)以下に制御され、ウェーハ抵抗率(15~20mΩ・cm)も理想的な範囲内、好ましくは19mΩcm~20mΩcmの範囲内にある。
さらに一歩進めて、比差(ΔTz/ΔTx)を2~3の範囲内に制御し、窒素濃度のドープ量を2.1*1018atoms/cm~2.9*1018atoms/cmの範囲内に制御した場合、炭化ケイ素結晶を加工した後に得られる炭化ケイ素ウェーハは、抵抗率分布の均一性がより良好になり、観察されるウェーハ欠陥及び柱状積層欠陥がより少なかった。また、比差(ΔTz/ΔTx)を2.5~3の範囲で制御し、窒素濃度のドープ量を2.4*1018atoms/cm~.8*1018atoms/cmの範囲で制御した場合、得られた炭化ケイ素ウェーハは、抵抗率分布の均一性が最も優れており、観察される基底面転位(BPD)や柱状積層欠陥(BSF)などの欠陥は最も少なかった。したがって、本発明の実施形態に係る炭化ケイ素結晶の成長方法により形成されたN型炭化ケイ素結晶を加工して得られる炭化ケイ素ウェーハは、均一な抵抗率分布を有し、結晶応力が低く、加工後のウェーハの形状も向上する。
これに対して、表2に示す実験結果から、比較例1を参照すると、比差(ΔTz/ΔTx)を0.5~3の範囲内に制御せず、窒素濃度のドーピング方法も変更せず、1*1018atoms/cmの固定ドーピング濃度を使用した場合、得られた炭化ケイ素ウェーハの抵抗率分布の均一性は良好ではなく (均一性の偏差>5%)、基底面転位(BPD)の結果も劣る。比較例2を参照すると、比差(ΔTz/Δx)を0.5~3の範囲内に制御しても、窒素濃度のドーピング方法を変更せず、固定されたドーピング濃度を用いると、得られた炭化ケイ素ウェーハの抵抗率の均一性は依然として良好ではなく(均一性の偏差>4%)、基底面転位(BPD)や柱状積層欠陥(BSF)などの欠陥の結果も良好ではない。比較例3~4を参照すると、窒素濃度のドーピングを低濃度から高濃度まで変化させているが、比差(ΔTz/Δx)が0.5~3の範囲内に制御されず、窒素濃度のドープ量が2*1018atoms/cm~3*1018atoms/cmの範囲内に制御されない場合、抵抗率分布の均一性は比較例1~2に比べ若干改善されているものの(均一性の偏差>1.5%)、窒抵抗率分布の均一性は依然として理想的な範囲内になく、基底面転位(BPD)や柱状積層欠陥(BSF)などの欠陥の結果は依然として良好ではない。
第2の例
第2の例では、実施例8~11及び比較例5~8の結晶成長プロセスにおける(i)軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)、(ii)窒素濃度のドーピング変動方法、及び(iii)窒素濃度のドープ量は、下記表3~10に示すように調整した。さらに、図4で説明した方法で、第1の種結晶を使用して結晶成長プロセスを実行し、炭化ケイ素結晶を形成した。得られた炭化ケイ素結晶の各結晶成長プロセスにおける基底面転位(BPD)、単結晶比率、抵抗率、抵抗率の均一性の偏差、棒柱状積層欠陥(BSF)の評価も、表3~10に示す。
上記表3~6に示す実施例8~11の実験結果から分かるように、比差(ΔTz/ΔTx)を0.5~3の範囲内に制御し、窒素濃度のドープ量2*1018atoms/cm~3*1018atoms/cmの範囲内に制御した場合、窒素濃度のドーピング方法をどのように変化させても、6回(N=6)以内の結晶成長プロセスで、B級種結晶(単結晶比率が低い)をA-級結晶(単結晶比率100%)に成長させることができ、基底面転位(BPD)、抵抗率、抵抗率の均一性、柱状積層欠陥(BSF)は全て理想的な範囲内に制御され、例えば、BSFは5枚/ウェーハ以下に制御される。
比較すると、上記の表7~10に示す比較例5~8の実験結果から分かるように、各結晶成長プロセスにおける軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)が上記範囲を満足せず、窒素濃度のドープ量が上記範囲外である場合、結晶成長プロセスを11~13回行っても、B級種結晶(単結晶比率が低い)を成長させて、単結晶比率100%の結晶を形成することはできず、基底面転位(BPD)、抵抗率の均一性、及び柱状積層欠陥結果も不十分である。したがって、本発明の結晶成長方法によれば、単結晶比率が高く、大径の結晶を形成するのに要する時間を大幅に短縮できることがわかる。
第3の例
第3の例では、実施例12及び比較例9の結晶成長プロセスにおける(i)軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)、(ii)窒素濃度のドーピング変動方法、及び(iii)窒素濃度のドープ量は、以下の表11~12に示すように調整した。また、図5に示す方法の通り、より小さいサイズの種結晶を予備工程(N=0)で使用し、その拡径してより大きなサイズの結晶を形成し、切断して第1の種結晶を形成した後、図4に示す方法により第1の種結晶を用いて結晶成長プロセスを実行し、炭化ケイ素結晶を形成した。得られた炭化ケイ素結晶の各結晶成長プロセスにおける基底面転位(BPD)、単結晶比率、抵抗率、抵抗率の均一性の偏差、柱状積層欠陥(BSF)の評価も表11~12に示す。
上記表11に示した実施例12の実験結果から分かるように、より小さいサイズのA級予備予備種結晶(単結晶比率100%)を使用して拡径し、第1の種結晶を形成し、各結晶成長プロセスの軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)を0.5~3の範囲内に制御し、窒素濃度のドープ量を2*1018atoms/cm~3*1018atoms/cmの範囲内に制御した場合、窒素濃度のドーピング方法をどのように変化させても、より小さいサイズのA級種結晶(単結晶比率100%)は、予備拡径1回と4回(N=4)以内の結晶成長プロセスで拡径された大型A級結晶(単結晶比率100%)に成長させることができ、基底面転位(BPD)、抵抗率、抵抗率の均一性、柱状積層欠陥(BSF)は全て理想的な範囲内に制御され、例えば、BSFは5枚/ウェーハ以下に制御される。
これに対して、上記表12に示す比較例9の実験結果から分かるように、各結晶成長プロセスにおける軸方向温度勾配(ΔTz)と径方向温度勾配(ΔTx)との比差(ΔTz/ΔTx)が上記範囲を満足せず、窒素濃度のドープ量が上記範囲外である場合、予備拡径を1回、結晶成長プロセスを10回行っても、小径のA級種結晶(単結晶比率100%)を成長させて、単結晶比率100%のより大きな結晶を形成することはできず、基底面転位(BPD)、抵抗率の均一性、及び柱状積層欠陥結果も不十分である。したがって、本発明の実施形態の結晶成長方法は、単結晶比率が高く、サイズの大きい結晶を形成するのに必要な時間を大幅に短縮することができ、したがって、従来の結晶拡径で必要とされていた複数回の拡径工程と数年にわたる拡径期間とを回避できることが理解できる。
まとめると、本発明の実施形態の炭化ケイ素結晶の成長方法により形成されたN型炭化ケイ素結晶は、均一な抵抗率分布を有する。したがって、形成される炭化ケイ素結晶の結晶応力も低く、加工後のウェーハの形状も改善される。また、本発明の結晶成長方法によれば、単結晶比率の高い大型結晶の形成時間を大幅に短縮することができ、一定数の結晶成長プロセス内で、大径結晶及び/又は単結晶比率100%の結晶を得ることができる。
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、開示された実施形態に対してさまざまな修正及び変形を行うことができることは、当業者には明らかである。上記を考慮して、本発明は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限り、修正及び変形を包含することが意図されている。
本発明の炭化ケイ素結晶の成長方法は、より低いウェーハ応力と改善されたウェーハ形状を有する炭化ケイ素ウェーハの形成に適用することができる。
102: 反応器
104: 誘導コイル
106: 種結晶
108: 炭化ケイ素結晶
110: 原料
202: 第1の種結晶
204、206: 中間結晶
204A、206A:成長 種結晶
250: 第2の結晶
PX1: 予備種結晶
PX2: 第1の結晶
S10, S20, S22, S24, S30: 工程
SD1: 種結晶

Claims (10)

  1. 炭素元素及びケイ素元素を含む原料と、前記原料の上に位置する種結晶とを反応器内に供給することと、
    前記反応器及び前記原料を加熱して前記種結晶上に炭化ケイ素結晶を形成することを含む炭化ケイ素結晶成長プロセスを実行することと、
    前記成長プロセスにおいて、前記炭化ケイ素結晶の軸方向温度勾配(△Tz)と径方向温度勾配(△Tx)との比差(△Tz/△Tx)を調整して、0.5~3の範囲内に制御し、前記炭化ケイ素結晶を形成することと、を含む炭化ケイ素結晶の成長方法。
  2. 前記比差を2~3の範囲に制御して前記炭化ケイ素結晶を形成する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記比差を2.5~3の範囲に制御して炭化ケイ素結晶を形成する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記成長プロセス中に、窒素濃度が第1の濃度から第2の濃度まで増加するように、前記窒素濃度のドープ量を増加させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記第1の濃度は2*1018atom/cmであり、前記第2の濃度は3*1018atom/cmである、請求項4に記載の方法。
  6. 前記第1の濃度は2.1*1018atom/cmであり、前記第2の濃度は2.9*1018atom/cmである、請求項4に記載の方法。
  7. 前記第1の濃度は2.4*1018atom/cmであり、前記第2の濃度は2.8*1018atom/cmである、請求項4に記載の方法。
  8. 前記窒素濃度は直線的に増加する、請求項4に記載の方法。
  9. 前記窒素濃度は段階的に増加する、請求項4に記載の方法。
  10. 前記窒素濃度の前記ドープ量を増加させる工程は、前記反応器内の窒素流量を増加させることにより実行され、前記窒素流量の増加は10sccm~50sccmの範囲内に制御される、請求項4に記載の方法。
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