JP2024007288A - 発泡ポリスチレン複合体およびその製造方法 - Google Patents

発泡ポリスチレン複合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストでありながら強度を確保でき、遮蔽性能などにも優れる発泡ポリスチレン複合体を提供する。【解決手段】発泡ポリスチレン複合体は1、発泡ポリスチレン成形体2と不織布3とが一体化された発泡ポリスチレン複合体1であって、不織布3は、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を含む不織布3であり、発泡ポリスチレン成形体2の表面に固着され、発泡ポリスチレン複合体1は、発泡ポリスチレン成形体2と不織布3との一体成形品であり、不織布3は、ポリエステル製繊維として、融点が異なる2種以上のポリエチレンテレフタレート系繊維を含み、低融点ポリエチレンテレフタレート系繊維として融点が200℃よりも低いポリエチレンテレフタレート系繊維を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、音、熱、または衝撃などを遮蔽する遮蔽部材や、その他の一般樹脂部材として利用可能な発泡ポリスチレン複合体およびその製造方法に関する。
遮蔽部材は、外部からの音、熱、または衝撃などを吸収したり反射したりすることにより遮蔽効果を発揮する。遮蔽部材は、例えば、自動車の内装材や外装材、建物の断熱材、梱包資材などに幅広く使用されている。
遮音部材として、例えば特許文献1には、硬質で板状の遮音層と、軟質多孔質体よりなり該遮音層の表裏面の略全面を覆って該遮音層に接合された吸音層とから構成される防音カバーが記載されている。特許文献1では、この防音カバーを用いることで、遮音層からの二次放射音の発生を抑制して防音効果を高めることができるとされている。
また、特許文献2には、樹脂発泡体とプレート部材との一体成型品の製造方法などが記載されている。この製造方法では、上型および下型からなる成形金型の下型内に、プレート部材を配置して、そのプレート部材上に発泡樹脂原料を注入し、上型と下型との型締め状態で、成形金型の内部に画成されるキャビティ内で、発泡樹脂原料を発泡させて成形するところ、プレート部材を下型内に嵌め込むに際して、プレート部材を、下型側面間に、プレート部材本体部の端部から外方へ突出する二以上の迫出し部のそれぞれで、直接的ないしは間接的に摩擦係合させて位置決めすることが記載されている。これにより、発泡樹脂原料を発泡・固化させる際のキャビティ内でのプレート部材の位置ずれを防止することができる。
特開2003-50585号公報 特開2011-156713号公報
遮蔽部材に発泡ポリウレタン成形体や中実ポリウレタン成形体が用いられる場合、他の発泡樹脂成形体を用いた場合に比べ、部材コストの高コスト化に繋がりやすい。
ここで、発泡ポリウレタン以外の発泡樹脂としては、例えば発泡ポリスチレンが知られている。ポリスチレンは、一般的にポリウレタンよりも安価であるが、そのままでは脆く、用途によっては機械的強度などが十分に確保できないおそれがある。ここで、ポリスチレンは、その化学構造において極性基を有さず他材料との相互作用が弱いため、他部材と複合化した場合において部材間の密着性(固着性)に劣る傾向がある。そのため、強度の確保をすべく、発泡ポリスチレン成形体と補強部材との複合化を図るとしても、部材間での十分な接合強度の確保が容易ではなく、接着工程が必要であったり、接着工程でより多くの接着剤が必要であったりして、低コスト化が困難であると予想される。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、低コストでありながら強度を確保でき、遮蔽性能などにも優れる発泡ポリスチレン複合体の提供を課題とする。
本発明の発泡ポリスチレン複合体は、発泡ポリスチレン成形体と不織布とが一体化された発泡ポリスチレン複合体であって、上記不織布は、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を含む不織布であり、上記発泡ポリスチレン成形体の表面に固着されていることを特徴とする。
上記発泡ポリスチレン複合体は、上記発泡ポリスチレン成形体と上記不織布との一体成形品であることを特徴とする。
上記不織布は、上記ポリエステル製繊維として、融点が異なる2種以上のポリエチレンテレフタレート(PET)系繊維を含み、低融点ポリエチレンテレフタレート系繊維として融点が200℃よりも低いポリエチレンテレフタレート系繊維を含むことを特徴とする。
上記不織布は、撥水性ポリエチレンテレフタレート系繊維を20~70質量%含み、上記撥水性ポリエチレンテレフタレート系繊維は、融点が200℃よりも高い高融点繊維であることを特徴とする。
上記発泡ポリスチレン成形体は板状の成形体であり、上記不織布は上記発泡ポリスチレン成形体の一方の面と、反対側の面との両面に固着されていることを特徴とする。
本発明の発泡ポリスチレン複合体の製造方法は、発泡ポリスチレン成形体の表面に、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を含む不織布が固着されている発泡ポリスチレン複合体の製造方法であって、上記製造方法は、可動型および固定型を型閉じして形成される成形金型のキャビティ内に上記不織布と予備発泡粒子を配置する原料配置工程と、上記キャビティ内で上記予備発泡粒子を発泡させて上記発泡ポリスチレン成形体とし、該発泡ポリスチレン成形体と上記不織布とを一体に成形して相互に固着させる一体成形工程とを備え、上記原料配置工程は、上記不織布を上記可動型および上記固定型の少なくともいずれかに接するように配置する工程であり、上記一体成形工程において、上記蒸気通過孔から供給される蒸気が上記不織布を透過して予備発泡粒子へ供給されることを特徴とする。
本発明の発泡ポリスチレン複合体は、発泡ポリスチレン成形体の表面に、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を含む不織布が固着されているので、発泡ポリウレタン成形体などを用いた場合よりも低コストである。また、発泡ポリスチレン成形体がポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を含む不織布により補強されることで、発泡ポリスチレン成形体単体の場合と比較して、機械的強度が大幅に向上し、遮蔽性能にも優れる。
発泡ポリスチレン成形体と不織布とが一体に成形された一体成形品であるので、複合体の製造工程が簡易になり、より低コスト化が図れる。
不織布は、ポリエステル製繊維として、融点が異なる2種以上のポリエチレンテレフタレート系繊維を含み、低融点ポリエチレンテレフタレート系繊維として融点が200℃よりも低いポリエチレンテレフタレート系繊維を含むので、発泡ポリスチレン成形体と不織布とを加熱して固着させる場合に、不織布が軟化して発泡ポリスチレン成形体の表面凹凸に追従しやすく、発泡ポリスチレン成形体と不織布の部材間での密着性(固着性)に優れる。
不織布は、撥水性ポリエチレンテレフタレート系繊維を20~70質量%含み、撥水性ポリエチレンテレフタレート系繊維は、融点が200℃よりも高い高融点繊維であるので、発泡ポリスチレン複合体の成形時および使用時に水滴などが発泡ポリスチレン成形体と不織布との界面に侵入しにくく、また耐熱性にも優れる。その結果、発泡ポリスチレン成形体と不織布の部材間での密着性に優れ、複合体全体としての耐久性にも優れる。
発泡ポリスチレン成形体は板状の成形体であり、不織布は発泡ポリスチレン成形体の一方の面と、反対側の面との両面に固着されているので、発泡ポリスチレン複合体の機械的強度がより向上し、遮蔽性能にもより優れる。
本発明の発泡ポリスチレン複合体の製造方法は、原料配置工程は、不織布を可動型および固定型の少なくともいずれかに接するように配置する工程であり、一体成形工程において、蒸気通過孔から供給される蒸気が不織布を透過して予備発泡粒子へ供給されるので、発泡ポリスチレン成形体自体の蒸気による成形を阻害させずに、不織布を金型内に配置したインサート成形を可能とし、成形時において発泡ポリスチレン成形体と不織布の部材間でアンカー効果などにより相互に強固に固着できる。この結果、低コストでありながら強度を確保でき、遮蔽性能などにも優れる発泡ポリスチレン複合体を製造できる。
本発明の発泡ポリスチレン複合体を示す図である。 本発明の発泡ポリスチレン複合体の断面図である。 本発明の発泡ポリスチレン複合体の製造装置の一例を示す図である。
本発明の発泡ポリスチレン複合体を図1を用いて説明する。図1は、本発明の発泡ポリスチレン複合体の一例を示す図である。なお、本明細書の図面において、発泡ポリスチレン複合体1に対する不織布3の厚みは実際よりも厚く描いている。図1に示すように、発泡ポリスチレン複合体1は、板状の発泡ポリスチレン成形体2の表面にポリエステル製繊維を含む不織布3が固着され一体化されている。なお、発泡ポリスチレン複合体の形状は板状に限らず、例えば、立方体状、直方体状、円盤状、多角柱状、円柱状、円環状、不定形状などの種々の形状から用途に応じて自由に設定できる。
また、発泡ポリスチレン複合体1は、板状の発泡ポリスチレン成形体2の表面にポリオレフィン製繊維を含む不織布3が固着されていてもよい。
なお、発泡ポリスチレン成形体2の表面とは、外周面のうちの少なくとも一部を意味する。例えば、板状の場合、片面でもよいし、両面でもよい。また、片面の中の一部分でもよいし、複数の部分でもよい。
ここで、不織布は、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を主成分として含む不織布であることが好ましい。具体的には、不織布は、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を50質量%以上含む不織布であることが好ましい。
発泡ポリスチレン複合体の大きさは、例えば、厚さ10~300mm、幅50~1500mm、長さ50~3000mmである。発泡ポリスチレン複合体は、製造コスト低減の観点から、例えば、幅、長さとも数十cmから1m程度の大きさで製造したものを切り出して複数個の複合体とすることが好ましい。
本発明の発泡ポリスチレン複合体は、発泡ポリスチレン成形体2の代わりに発泡ポリウレタン成形体などを用いた場合よりも原料が安価となるため低コストである。また、発泡ポリスチレン成形体が機械的強度と靭性に優れるポリエステル製繊維を含む不織布により表面(外側)から補強されることで、発泡ポリスチレン成形体単体の場合と比較して、機械的強度が大幅に向上し、遮蔽性能にも優れる。
本発明の発泡ポリスチレン複合体の断面形状について図2を用いて説明する。図2は、図1に示した発泡ポリスチレン複合体の断面図である。図2において、不織布3は、発泡ポリスチレン成形体2の一方の面と反対側の面の両方に固着されている。これにより、発泡ポリスチレン複合体1の機械的強度がより向上する。その結果、発泡ポリスチレン複合体1の大きさを小さくした場合でも、優れた遮蔽性能を発揮できる。なお、不織布3は発泡ポリスチレン成形体2の一方の面のみに固着されてもよい。
不織布は、別途成形して準備された発泡ポリスチレン成形体の表面に接着剤、接着シート、粘着シートなどを用いて固着されてもよいし、発泡ポリスチレン成形体の成形と同時に一体に成形(一体成形)して発泡ポリスチレン成形体の表面に固着されてもよい。また、不織布は、発泡ポリスチレン成形体に対して、熱を用いた圧着によって固着されてもよい。
不織布を発泡ポリスチレン成形体の表面に接着剤などを用いて固着される場合、不織布は表面凹凸を有し表面積が大きいので、接着剤などと接触面積が大きくなりやすく、強固に固定されやすい。このため、発泡ポリスチレン複合体の強度に優れ、接着剤などの資材の使用量低減にもつながる。
不織布を発泡ポリスチレン成形体とインサート成形して発泡ポリスチレン複合体を製造する場合、発泡ポリスチレン成形体と不織布の一体成形品の発泡ポリスチレン複合体が得られる。この場合、複合体の製造工程が簡易になるとともに、接着剤などの資材の使用を不要にできたり、使用量を低減できたりするため、より低コスト化が図れる。
ここで、発泡ポリスチレン成形体や発泡ポリウレタン成形体などの発泡樹脂成形体の製造方法について説明する。発泡樹脂成形体は、有機樹脂に発泡剤を添加して加熱時に発生するガスを利用して成形したり、反応性樹脂が反応時に発生するガスを利用して成形したりする発泡成形法により製造できる。成形方法は製造するための従来の金型を用いて発泡成形することができる。発泡樹脂成形体の発泡倍率10~20倍以下の低発泡や40~80倍の高発泡などの発泡倍率、独立または連続気泡などの気泡構造などは、用途により種々選択することができる。
発泡ポリスチレン成形体の具体的な製造方法について説明する。発泡ポリスチレン成形体(発泡スチロール、EPS、ともいう)の原料としては、中に発泡剤(ブタン、ヘプタンなど)が入った直径1mm程度のポリスチレンの粒(原料ビーズ)が用いられる。この原料ビーズを蒸気(例えば、60~120℃)で加熱して予備発泡させて予備発泡粒子にする。その後、予備発泡粒子を金型に入れて再度蒸気で加熱することで、さらに膨らんだ粒子同士が熱で付着し、金型の形状に沿った発泡ポリスチレン成形体が得られる(型内発泡成形)。
これに対し、発泡ポリウレタン成形体は、原料としてポリイソシアネートとポリオール(ともに液状)を、触媒、発泡剤、整泡剤などと一緒に混合して、泡化反応と樹脂化反応を同時に行わせ、金型などに流し込んで製造される。
発泡樹脂成形体と別部材とを一体成形する場合、発泡樹脂として液状の発泡ポリウレタン樹脂を用いると、発泡・固化させる際の発泡樹脂原料の膨脹や、液体状の樹脂原料が及ぼす浮力に起因して金型内で他の部材の配置位置がずれるおそれがある(特許文献2参照)。そのため、発泡樹脂原料としてポリスチレンの予備発泡粒子を用いて成形すると、ポリウレタンを用いる場合に比べ、他の部材である不織布に対して浮力が発生せず位置ずれも起こりにくい。これにより、位置ずれを防ぐための対策などが不要となり、複合体の製造工程が簡易になる。
ポリエステル製繊維を含む不織布は、例えば、PET系、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系、ポリエチレンナフタレート(PEN)系などの繊維から形成される。ポリオレフィン製繊維を含む不織布は、例えば、ポリエチレン(PE)系、ポリプロピレン(PP)系などの繊維から形成される。不織布は、機械的強度と靭性に優れることから、ポリエステル製繊維を含むことが好ましく、ポリエステル製繊維はPET系繊維であることが好ましい。
上記不織布は、1種類の繊維から形成されてもよいし、複数種類の繊維から形成されてもよい。また、繊維の構造は、異なる繊維が混紡された構造でもよいし、外表面を表面処理剤などで被覆された構造であってもよい。また、上記不織布は、繊維だけでなく、固体状、液状の成分を含んでもよい。
不織布は、ポリエステル製繊維として、融点が異なるPET系繊維を複数種含んでもよい。その場合、不織布は、融点が200℃よりも高い高融点繊維とともに、一般的なPETよりも低融点で熱可塑性の高いPET系繊維を含むことが好ましい。具体的には、不織布は、低融点PET系繊維として融点が200℃よりも低いPET系繊維を含むことが好ましい。これにより、発泡ポリスチレン成形体と不織布とを加熱して固着させる場合に、不織布が軟化して発泡ポリスチレン成形体の表面凹凸に追従しやすく、それぞれの接触面積がより多くなりやすいので、密着性(固着性)に優れる。
ここで、繊維の融点は、例えば、構成材料が単一の材料のみからなる繊維の場合はその材料の融点であり、複数の材料から構成される繊維の場合は複数の材料のうち最低融点を有する材料の融点とする。なお、繊維の融点は、構成材料が同一の場合でも、結晶化度(製造時の熱履歴)、分子構造の違いなどによって変えることができる。
低融点PET系繊維としては、例えば、非晶質PET繊維や、200℃未満の融点を有するポリエステル樹脂で被覆されたPET繊維を用いることができる。
不織布は、高融点繊維として撥水性PET系繊維を含むことがより好ましい。不織布は、例えば、撥水性PET系繊維を20~70質量%含むことができる。不織布が撥水性PET系繊維を上記範囲で含む場合、発泡ポリスチレン複合体の成形時および使用時に水滴などが発泡ポリスチレン成形体と不織布との界面に侵入しにくく、また耐熱性にも優れる。その結果、発泡ポリスチレン成形体と不織布の部材間での密着性に優れ、複合体全体としての耐久性にも優れる。不織布は、高融点繊維として親水性PET系繊維を含んでもよい。不織布は、例えば、親水性PET系繊維を30~80質量%含むことができる。不織布が親水性PET系繊維を上記範囲で含む場合、比較的高極性の接着剤を用いて発泡ポリスチレン成形体に固着する際に、不織布の繊維の網目間に接着剤がしみ込みやすく、強固に固定されやすい。
密着性と耐久性の観点から、不織布は、低融点PET系繊維の含有量が10~70質量%であることが好ましく、20~60質量%であることがより好ましく、30~50質量%であることがさらに好ましい。また、不織布は、撥水性PET系繊維の含有量が20~70質量%であることが好ましく、30~60質量%であることがより好ましく、40~50質量%であることがさらに好ましい。
不織布は、融点が200℃以上の高融点成分として、撥水性PET系繊維の他に、一般的なPET系繊維を含んでもよい。また、不織布は、融点が異なるPET系繊維の他に、PET系以外の樹脂や繊維を含んでもよい。
不織布の発泡ポリスチレン成形体との接触面側には、接着シートや粘着シートが設けられていてもよい。また、不織布の接触面側には、易接着処理(例えば、ポリエステル樹脂の塗布、エチレンビニルアルコール樹脂などのホットメルトパウダー処理、コロナ放電による表面改質など)がなされていてもよい。
不織布としては、例えば、繊維の網目同士が、往復するニードル(針)によって交絡されているニードルパンチタイプの不織布、熱処理により接着されている熱処理タイプの不織布、樹脂バインダーにより接着されている非熱処理タイプの不織布などがある。
本発明の発泡ポリスチレン複合体の製造方法の一例について図3を用いて説明する。図3は、本発明の発泡ポリスチレン複合体の製造装置の一例を示す図である。本発明の発泡ポリスチレン複合体の製造装置としては、一般的な発泡ポリスチレン成形用の製造装置11を用いることができる。製造装置11は、可動型12および固定型13からなる成形金型14を備える。可動型12および固定型13にはそれぞれ、成形金型14の外部から可動型12と固定型13を型閉じして形成されるキャビティ15の内部へ蒸気を供給し、排出するための複数の蒸気通過孔16が設けられている。また、固定型13には予備発泡粒子をキャビティ15の内部へ供給するフィーダ―17が設けられている。
本発明の発泡ポリスチレン複合体の製造方法は、原料配置工程と、一体成形工程とを備える。原料配置工程では、キャビティ15の内部に不織布3と予備発泡粒子を配置する。具体的には、原料配置工程において、不織布3を可動型12および固定型13のそれぞれの底部に配置し、フィーダ―17から圧縮空気とともに予備発泡粒子を吹き入れて不織布3、3の間に配置(充填)する。ここで、フィーダ―17の側の不織布3において、フィーダ―17の導入口と対応する位置には予備発泡粒子が通れるように穴が開いている。これにより、成形時に予備発泡粒子が膨張することで、不織布3、3が可動型12および固定型13に接し、発泡ポリスチレン成形体2が不織布3、3に挟まれることとなる。なお、不織布3は、可動型12の底部および固定型13の底部のいずれか一方に配置され、可動型12および固定型13のいずれかに接するように配置されてもよい。
一体成形工程では、蒸気通過孔16を経由してキャビティ15の内部に蒸気(約90℃)を供給し、予備発泡粒子を発泡させて発泡ポリスチレン成形体2とする。これにより、発泡ポリスチレン成形体2と不織布3、3とが一体に成形され相互に固着された発泡ポリスチレン複合体1となる。
不織布3は、成形金型14が有する蒸気通過孔16と対応する位置に開口部を有さない。一体成形工程では、蒸気通過孔16から供給される蒸気が不織布3の微細な網目(例えば、1μm~1mm以下の網目サイズ)を透過して予備発泡粒子へ供給される。これにより、発泡ポリスチレン成形体2自体の蒸気による成形を阻害させずに、不織布3を成形金型14内に配置したインサート成形を可能とし、成形時において発泡ポリスチレン成形体2と不織布3の部材間でアンカー効果などにより相互に強固に固着できる。また、蒸気供給により予備発泡粒子を発泡させる際に膨張したポリスチレンが上記開口部から不織布と金型との間に侵入することを抑制できる。その結果、一体成形後の発泡ポリスチレン複合体の表面にバリが発生しにくく、バリ取り工程を削減できる。
上述のように蒸気通過孔を、不織布に直接当てて予備発砲粒子へ蒸気を供給して得られた発泡ポリスチレン複合体においては、不織布の種類や、蒸気温度などにより、不織布の表面に蒸気通過孔に接していた箇所に蒸気通過孔痕が観察される。
本発明の発泡ポリスチレン複合体は、防音、防振、断熱などを目的に、例えば、自動車用内外装材、自動車エンジンルーム用吸音部材などの自動車用部材や、電気機器用吸音剤、緩衝材、断熱材に用いることができる。特に、本発明の発泡ポリスチレン複合体は、比較的低コストに製造できるとともに、その耐熱性に鑑みて100℃以下の条件下で使用されることに適することから、自動車エンジンルーム用吸音部材などに用いることが好ましい
(試験例1)
発泡ポリスチレン複合体の製造に用いる不織布と、発泡ポリスチレン成形体との密着性について検討した。発泡ポリスチレン複合体の作成は上述した発泡ポリスチレン複合体の製造方法の一例に倣って一体成形により行った。使用原料を以下に示す。
発泡ポリスチレン原料:耐熱性AS系樹脂(HFA300)、JSP社製
不織布1:低融点PET系繊維含有
不織布2:低融点PET系繊維非含有
補強板1:PE板
補強板2:PE板(15Φの開口部あり)
なお、不織布1の組成は、低融点PET系繊維40質量%、撥水性PET系繊維45質量%、汎用PET系繊維15質量%であった。不織布1、2および補強板1は開口部を有さず、補強板2のみが蒸気供給孔と対応する位置に開口部を有していた。
発泡ポリスチレン複合体において、発泡ポリスチレン成形体と不織布とを反対方向に所定の力で引っ張ることにより密着試験を行った。不織布1を用いて作成した複合体は、密着試験により材料破壊が起こり、密着性に優れることがわかった。不織布2を用いて作成した複合体は、材料破壊は起こらずに不織布が剥がれ、不織布1を用いて作成した複合体よりも、密着性がやや劣ることがわかった。補強板1を用いた場合、発泡ポリスチレン複合体が得られなかった。補強板2を用いた場合、発泡ポリスチレン複合体が得られたが、不織布2を用いた場合よりも大幅に密着性が劣る結果であった。
(試験例2)
予め準備した発泡ポリスチレン成形体を、熱を用いて不織布と圧着し、得られた発泡ポリスチレン複合体の密着性について試験例1と同様の方法で検討した。発泡ポリスチレン成形体としては、発泡ポリスチレン原料を成形機にて40倍に膨張させて得られた420×560×50mmの成形体を用いた。この成形体の両面に不織布を配置した状態で成形機に装填し、熱により圧着した。圧着時は金型を閉じた状態で1分間加圧した。使用原料を以下に示す。
発泡ポリスチレン原料:耐熱性AS系樹脂(HFA300)、JSP社製
不織布1:低融点PET系繊維含有
不織布3:片面ホットメルトパウダー塗布品
不織布4:一般的不織布
不織布1は、金型を予め加熱した状態で加圧した結果、発泡ポリスチレン成形体と一体化された。しかし、密着試験の結果、両面とも材料破壊は起こらなかった。不織布2および不織布3も、熱により発泡ポリスチレン成形体と圧着して一体化された。密着試験を行った結果、不織布2の場合、一方の面は材料破壊が起こり、他方の面は材料破壊が起こらなかった。また、不織布3の場合、両面とも材料破壊が起こらなかった。
本結果より、不織布と、予め準備した発泡ポリスチレン成形体とを熱により圧着して得られた発泡ポリスチレン複合体よりも、発泡ポリスチレン成形体の成形と同時に不織布と一体成形して得られた発泡ポリスチレン複合体の方が、密着性に優れることがわかった。また、ホットメルトパウダーの塗布が密着性の向上に寄与しうることが確認された。
本発明の発泡ポリスチレン複合体は、低コストでありながら強度を確保でき、遮蔽性能などにも優れるので、遮蔽部材として広く使用できる。
1 発泡ポリスチレン複合体
2 発泡ポリスチレン成形体
3 不織布
11 製造装置
12 可動型
13 固定型
14 成形金型
15 キャビティ
16 蒸気通過孔
17 フィーダ―

Claims (6)

  1. 発泡ポリスチレン成形体と不織布とが一体化された発泡ポリスチレン複合体であって、
    前記不織布は、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を含む不織布であり、前記発泡ポリスチレン成形体の表面に固着されていることを特徴とする発泡ポリスチレン複合体。
  2. 前記発泡ポリスチレン複合体は、前記発泡ポリスチレン成形体と前記不織布との一体成形品であることを特徴とする請求項1記載の発泡ポリスチレン複合体。
  3. 前記不織布は、前記ポリエステル製繊維として、融点が異なる2種以上のポリエチレンテレフタレート系繊維を含み、低融点ポリエチレンテレフタレート系繊維として融点が200℃よりも低いポリエチレンテレフタレート系繊維を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の発泡ポリスチレン複合体。
  4. 前記不織布は、撥水性ポリエチレンテレフタレート系繊維を20~70質量%含み、
    前記撥水性ポリエチレンテレフタレート系繊維は、融点が200℃よりも高い高融点繊維であることを特徴とする請求項3記載の発泡ポリスチレン複合体。
  5. 前記発泡ポリスチレン成形体は板状の成形体であり、
    前記不織布は、前記発泡ポリスチレン成形体の一方の面と、反対側の面との両面に固着されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の発泡ポリスチレン複合体。
  6. 発泡ポリスチレン成形体の表面に、ポリオレフィン製繊維およびポリエステル製繊維の少なくともいずれか一方を含む不織布が固着されている発泡ポリスチレン複合体の製造方法であって、
    前記製造方法は、可動型および固定型を型閉じして形成される成形金型のキャビティ内に前記不織布と予備発泡粒子を配置する原料配置工程と、
    前記キャビティ内で前記予備発泡粒子を発泡させて前記発泡ポリスチレン成形体とし、該発泡ポリスチレン成形体と前記不織布とを一体に成形して相互に固着させる一体成形工程とを備え、
    前記原料配置工程は、前記不織布を前記可動型および前記固定型の少なくともいずれかに接するように配置する工程であり、
    前記一体成形工程において、前記蒸気通過孔から供給される蒸気が前記不織布を透過して予備発泡粒子へ供給されることを特徴とする発泡ポリスチレン複合体の製造方法。
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