JP2024006996A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明でかつ色相および中鎖脂肪酸耐性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)粘度平均分子量23000~30000の範囲である芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ポリプロピレングリコール(B成分)0.9~1.1重量部および(C)ブルーイング剤(C成分)0.00002~0.00003重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関するものである。さらに詳細には、透明でかつ色相および中鎖脂肪酸耐性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた機械特性、熱特性を有しているため、OA機器分野、電子電気機器分野、自動車分野および医療分野など様々な分野で広く利用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は非晶樹脂であることから、耐薬品性に難点をもち、各種の薬剤や溶剤等との接触により、割れてしまう問題があった。そのため、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性を改良する目的で各種の樹脂を配合する提案がなされている。例えば、特許文献1には、ポリテトラメチレンテレフタレートおよび/またはポリヘキサメチレンテレフタレートを含有するポリカーボネート樹脂組成物、特許文献2には、ポリカーボネートとポリテトラメチレンテレフタレートとの樹脂組成物、特許文献3では、芳香族ポリカーボネート樹脂と、少なくとも2種類のジカルボン酸成分とジオール成分とからなりかつジカルボン酸成分の1~50モル%がナフタレンジカルボン酸成分である共重合ポリエステル樹脂からなる組成物が提案されている。しかしながらこれらの耐薬品性を向上させるための配合ではポリカーボネート本来の透明性が失われる欠点があった。
また、特許文献4では、飽和脂肪族炭化水素と亜リン酸エステル系安定剤を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が耐薬品性を有する材料として提案されている。しかしながら、透明性が改良されているものの耐薬品性が不十分であった。特に点滴等に使用されるコネクタや三方活栓等では中鎖脂肪酸と長時間接触する医療器具のため、中鎖脂肪酸耐性の向上したポリカーボネート樹脂材料が求められている。
特開昭48-96646号公報 特開昭48-54160号公報 特開2000-103948号公報 特開2005-68409号公報
上記に鑑み本発明の目的は、芳香族ポリカーボネート樹脂の有する優れた透明性を損なうことなく、良好な色相および優れた中鎖脂肪酸耐性を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成せんとして鋭意検討を重ねた結果、特定の粘度平均分子量を持つ芳香族ポリカーボネート、ポリプロピレングリコールおよびブルーイング剤を特定の割合で配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品が上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、下記(構成1)~(構成5)が提供される。
(構成1)
(A)粘度平均分子量23000~30000の範囲である芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ポリプロピレングリコール(B成分)0.9~1.1重量部および(C)ブルーイング剤(C成分)0.00002~0.00003重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
(構成2)
A成分の粘度平均分子量が25100~28000の範囲である構成1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
(構成3)
構成1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成された成形品。
(構成4)
成形品が、医療用途部品である構成3記載の成形品。
(構成5)
医療用途部品が医療用コネクター部品である構成4記載の成形品。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、透明性、色相および中鎖脂肪酸耐性に優れる。従って、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形される成形品は、医療用途部品、殊に医療用コネクター部品として好適に使用することができ、工業的価値は非常に高い。
中鎖脂肪酸耐性試験を示した図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)>
本発明で(A)成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、一例として二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法(溶液法)または溶融法で反応させて得られるものである。
ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′-ジヒドロキシジフェニル、1,4-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチル)フェニル}メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチル)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(3-イソプロピル-4-ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2-ビス{(4-ヒドロキシ-3-フェニル)フェニル}プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-イソプロピルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス{(4-ヒドロキシ-3-メチル)フェニル}フルオレン、α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-o-ジイソプロピルベンゼン、α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-m-ジイソプロピルベンゼン、α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′-ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4′-ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4′-ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノールは単独または2種以上を使用することができ、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0~40℃であり、反応時間は数分~5時間程度である。
溶融法による反応は、通常二価フェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニルカーボネートを混合し、減圧下通常120~350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1.3×10Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1~4時間程度である。
また、重合反応において、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。特にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、ポリカーボネートの末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
[式中、Rは水素原子または炭素数1~9のアルキル基もしくはフェニルアルキル基であり、mは1~5、好ましくは1~3の整数を示す。]
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で23000~30000の範囲であり、23800~29000の範囲が好ましく、24300~28500の範囲がより好ましく、25100~28000の範囲がさらに好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することにより、中鎖脂肪酸耐性に優れ、且つ押出・成形加工時に比較的良好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して良好な機械的強度を有するので好ましい。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂材料0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t-t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出したものである。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
c=0.7
<ポリプロピレングリコール(B成分)>
本発明で使用されるポリプロピレングリコールは、そのエーテル誘導体またはエステル誘導体であってもよい。
具体的にポリプロピレングリコールのエーテル誘導体としては、ポリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールドデシルエーテル、ポリプロピレングリコールベンジルエーテル、ポリプロピレングリコールジベンジルエーテル、ポリプロピレングリコール-4-ノニルフェニルエーテル、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
また、具体的にポリプロピレングリコールのエステル誘導体としては、ポリプロピレングリコールジ酢酸エステル、ポリプロピレングリコール酢酸プロピオン酸エステル、ポリプロピレングリコールジ酪酸エステル、ポリプロピレングリコールジステアリン酸エステル、ポリプロピレングリコールジ安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ2-、6-ジメチル安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジ-p-tert-ブチル安息香酸エステル、ポリプロピレングリコールジカプリン酸エステル等が挙げられる。
本発明で使用されるポリプロピレングリコールは、芳香族ポリカーボネートへの配合時の分散性の観点から分子量が4000以下のものが好ましい。
本発明で使用されるポリプロピレングリコールの配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.9~1.1重量部であり、0.92~1.08重量部が好ましく、0.94~1.06重量部がより好ましく、0.96~1.04重量部がさらに好ましい。上記範囲内であれば中鎖脂肪酸耐性が良好である。ポリプロピレングリコールとしては代表例として日油社製のユニオールD-2000が挙げられる。
<ブルーイング剤(C成分)>
本発明において、ブルーイング剤(C成分)が使用される。ブルーイング剤は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物やそれからなる成形品の黄色味を打ち消すために配合する。
ブルーイング剤としては、ポリカーボネートに使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
ブルーイング剤としては、代表例として一般名Solvent Violet13[CA.No(カラーインデックスNo)60725;商標名 ランクセス社製「マクロレックスバイオレットB」、一般名SolventViolet36[CA.No 68210;商標 ランクセス社製「マクロレックスバイオレット3R」]、一般名Solvent Blue97[商標名ランクセス社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名SolventBlue45[CA.No 61110;商標名 サンド社製「テトラゾールブルーRLS」]などが挙げられる。これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明におけるブルーイング剤の使用量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.00002~0.00003重量部であり、0.000022~0.000028が好ましく、0.000024~0.000026がより好ましい。使用量が多すぎると成形品の青みが強くなって成形品の自然な色合いが損なわれ、使用量が少なすぎると成形品の黄色みが強くなって成形品の自然な色合いが損なわれる。
(その他の添加剤)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲で難燃性や酸化防止性の改良のために、これらの改良に使用されている添加剤が有利に使用される。以下これら添加剤について具体的に説明する。
(I)難燃剤
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が配合されてよい。かかる化合物の配合は難燃性の向上をもたらすが、それ以外にも各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。かかる難燃剤としては、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、有機ホウ酸金属塩系難燃剤、および有機錫酸金属塩系難燃剤など)、(ii)有機リン系難燃剤(例えば、有機基含有のモノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、(iv)フィブリル化PTFEが挙げられ、その中でも有機金属塩系難燃剤、有機リン系難燃剤が好ましい。
(i)有機金属塩系難燃剤
有機金属塩化合物は炭素原子数1~50、好ましくは1~40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩、好ましくは有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることが好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1~10、好ましくは2~8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7~50、好ましくは7~40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。金属塩を構成するアルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはイオン半径のより大きいルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、リチウムおよびナトリウムなどのより小さいイオン半径の金属は逆に難燃性の点で不利な場合がある。これらを勘案してスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。ここでパーフルオロアルキル基の炭素数は、1~18の範囲が好ましく、1~10の範囲がより好ましく、更に好ましくは1~8の範囲である。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。アルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩中には、通常少なからず弗化物イオン(F-)が混入する。かかる弗化物イオンの存在は難燃性を低下させる要因となり得るので、できる限り低減されることが好ましい。かかる弗化物イオンの割合はイオンクロマトグラフィー法により測定できる。弗化物イオンの含有量は、100ppm以下が好ましく、40ppm以下が更に好ましく、10ppm以下が特に好ましい。また製造効率的に0.2ppm以上であることが好適である。かかる弗化物イオン量の低減されたパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩は、製造方法は公知の製造方法を用い、かつ含フッ素有機金属塩を製造する際の原料中に含有される弗化物イオンの量を低減する方法、反応により得られた弗化水素などを反応時に発生するガスや加熱によって除去する方法、並びに含フッ素有機金属塩を製造に再結晶および再沈殿等の精製方法を用いて弗化物イオンの量を低減する方法などによって製造することができる。特に有機金属塩系難燃剤は比較的水に溶けやすいこことから、イオン交換水、特に電気抵抗値が18MΩ・cm以上、すなわち電気伝導度が約0.55μS/cm以下を満足する水を用い、かつ常温よりも高い温度で溶解させて洗浄を行い、その後冷却させて再結晶化させる工程により製造することが好ましい。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の具体例としては、例えばジフェニルサルファイド-4,4’-ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド-4,4’-ジスルホン酸ジカリウム、5-スルホイソフタル酸カリウム、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム、1-メトキシナフタレン-4-スルホン酸カルシウム、4-ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6-ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3-フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4-フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6-ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2-フルオロ-6-ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p-ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン-2,6-ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル-3,3’-ジスルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン-3,4’-ジスルホン酸ジカリウム、α,α,α-トリフルオロアセトフェノン-4-スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホキサイド-4-スルホン酸カリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、およびアントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。これら芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩では、特にカリウム塩が好適である。これらの芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の中でも、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸カリウム、およびジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウムが好適であり、特にこれらの混合物(前者と後者の重量比が15/85~30/70)が好適である。
スルホン酸アルカリ(土類)金属塩以外の有機金属塩としては、硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩および芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩などが好適に例示される。硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩としては、特に一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、かかる一価および/または多価アルコール類の硫酸エステルとしては、メチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、ラウリル硫酸エステル、ヘキサデシル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル、ペンタエリスリトールのモノ、ジ、トリ、テトラ硫酸エステル、ラウリン酸モノグリセライドの硫酸エステル、パルミチン酸モノグリセライドの硫酸エステル、およびステアリン酸モノグリセライドの硫酸エステルなどを挙げることができる。これらの硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩として好ましくはラウリル硫酸エステルのアルカリ(土類)金属塩が挙げられる。芳香族スルホンアミドのアルカリ(土類)金属塩としては、例えばサッカリン、N-(p-トリルスルホニル)-p-トルエンスルホイミド、N-(N’-ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、およびN-(フェニルカルボキシル)スルファニルイミドのアルカリ(土類)金属塩などが挙げられる。有機金属塩系難燃剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.001~1重量部、より好ましくは0.005~0.5重量部、さらに好ましくは0.01~0.3重量部、特に好ましくは0.03~0.15重量部である。
(ii)有機リン系難燃剤
有機リン系難燃剤としては、アリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため、成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できる。有機リン系難燃剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01~20重量部、より好ましくは2~10重量部、さらに好ましくは2~7重量部である。
(II)亜リン酸エステル系熱安定剤
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、亜リン酸エステル系熱安定剤を配合することができる。亜リン酸エステル系熱安定剤としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(エチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ヒドロキシフェニル)ホスファイトなどのトリアリールホスファイト;フェニルジデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、フェニルイソオクチルホスファイト、2-エチルヘキシルジフェニルホスファイトなどのアリールアルキルホスファイトを挙げることができる。亜リン酸エステル系熱安定剤の中でも、トリス(2,4-ジ-tert.-ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。トリス(2,4-ジ-tert.-ブチルフェニル)ホスファイトの市販品としては、BASF社製Irgafos168が挙げられる。
亜リン酸エステル熱安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して0.01~0.02重量部が好ましく、0.012~0.018重量部がより好ましく、0.014~0.016重量部がさらに好ましい。上記範囲内であると、耐湿熱性および成形耐熱性に優れる。
(III)ヒンダードフェノール系安定剤
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、ヒンダードフェノール系安定剤を配合することができる。かかる配合は例えば成形加工時の色相悪化や長期間の使用における色相の悪化などを抑制する効果が発揮される。ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、α-トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、n-オクタデシル-β-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェル)プロピオネート、2-tert-ブチル-6-(3’-tert-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-ジメチレン-ビス(6-α-メチル-ベンジル-p-クレゾール)2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-N-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、1,6-へキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2-tert-ブチル-4-メチル6-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1,-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’-ジ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-トリ-チオビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2-チオジエチレンビス-[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、N,N’-ヘキサメチレンビス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス2[3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、およびテトラキス[メチレン-3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが例示される。これらはいずれも入手容易である。上記ヒンダードフェノール系安定剤は、単独でまたは2種以上を組合せて使用することができる。
ヒンダードフェノール系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.0001~1重量部、より好ましくは0.001~0.5重量部、さらに好ましくは0.005~0.3重量部である。
(IV)その他の熱安定剤
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、前記亜リン酸エステル系安定剤およびヒンダードフェノール系安定剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかる他の熱安定剤としては、例えば3-ヒドロキシ-5,7-ジ-tert-ブチル-フラン-2-オンとo-キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤が好適に例示される。かかる安定剤の詳細は特開平7-233160号公報に記載されている。かかる化合物はIrganox HP-136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば前記社製のIrganoxHP-2921が好適に例示される。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して好ましくは0.0005~0.05重量部、より好ましくは0.001~0.03重量部である。またその他の安定剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、およびグリセロール-3-ステアリルチオプロピオネートなどのイオウ含有安定剤が例示される。かかるイオウ含有安定剤の配合量は、A成分100重量部に対して好ましくは0.001~0.1重量部、より好ましくは0.01~0.08重量部である。
(V)離型剤
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、離型剤を配合することもできる。離型剤は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の成形時の生産性向上や成形品の歪みの低減を目的として配合され、公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1-アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。
かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよい。また該アルコールの炭素数としては、3~32の範囲、より好適には5~30の範囲である。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセロール、ポリグリセロール(トリグリセロール~ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが挙げられる。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
離型剤の配合量は、A成分100重量部に対して0.01~0.5重量部が好ましく、0.03~0.4重量部がより好ましく、0.05~0.3重量部がさらに好ましく、0.1~0.2重量部が特に好ましい。上記範囲内では、成形時の成形滞留安定性に優れ、成形品の外観が良好となるため好ましい。
(VI)その他の添加剤
上記以外にも本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、成形品に種々の機能の付与や特性改善のために、それ自体知られた添加物を本発明の目的を損なわない限り、少割合配合することができる。かかる添加剤としては、紫外線吸収剤、帯電防止剤、流動改質剤などが挙げられる。
<芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物において、添加剤を配合させる方法は、特に限定されるものではなく公知の方法が利用できる。最も汎用される方法として、ポリカーボネート樹脂および添加剤を予備混合した後、押出機に投入して溶融混練を行い、押出されたスレッドを冷却し、ペレタイザーにより切断して、ペレット状の成形材料を製造する方法が挙げられる。
上記方法における押出機は単軸押出機、および二軸押出機のいずれもが利用できるが、生産性や混練性の観点からは二軸押出機が好ましい。かかる二軸押出機の代表的な例としては、TEX((株)日本製鋼所製、商品名)を挙げることができる。同様のタイプの具体例としてはTEX((株)日本製鋼所製、商品名)、TEM(東芝機械(株)製、商品名)、KTX((株)神戸製鋼所製、商品名)、ZSK(Werner & Pfleiderer社製、商品名)などを挙げることができる。押出機としては、原料中の水分や、溶融混練樹脂から発生する揮発ガスを脱気できるベントを有するものが好ましく使用できる。ベントからは発生水分や揮発ガスを効率よく押出機外部へ排出するための真空ポンプが好ましく設置される。また押出原料中に混入した異物などを除去するためのスクリーンを押出機ダイス部手前のゾーンに設置し、異物を樹脂組成物から取り除くことも可能である。かかるスクリーンとしては金網、スクリーンチェンジャー、焼結金属プレート(ディスクフィルターなど)などを挙げることができる。
さらに添加剤は、独立して押出機に供給することもできるが、前述のとおり樹脂原料と予備混合することが好ましい。かかる予備混合の手段には、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、および押出混合機などが例示される。より好適な方法は、例えば原料樹脂の一部と添加剤とをヘンシェルミキサーの如き高速攪拌機で混合してマスター剤を作成した後、かかるマスター剤物を残る全量の樹脂原料とナウターミキサーの如き高速でない攪拌機で混合する方法である。
<成形品>
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、押出成形、回転成形等、公知の成形方法に従って、所望の成形品とすることができる。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成される成形品は、透明性、色相および中鎖脂肪酸耐性に優れているため、医療用途部品として好適に使用される。医療用途部品として具体的には、医療用コネクター部品、医療用三方活栓部品、医療用延長チューブ部品、医療用ビン針部品などが挙げられ、特に医療用コネクター部品として好適である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例と比較例で使用した原料は次の通りである。
<(A)芳香族ポリカーボネート樹脂>
A-1:帝人社製パンライトK-1285WP(ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量27,000)
A-2:帝人社製パンライトL-1250WQ(ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量25,100)
A-3:帝人社製パンライトL-1250WQおよび帝人社製パンライトL-1250WP(ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量23,900)を重量の割合で0.35対0.65の割合で混合したもの(混合物の粘度平均分子量24,300)
A-4:帝人社製パンライトL-1250WP(ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量23,800)
A-5:帝人社製パンライトL-1225WP(ビスフェノールAを原料としたポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量22,400)
<(B)ポリプロピレングリコール>
B-1:日油社製ユニオールD-2000
<(C)ブルーイング剤>
C-1:ランクセス社製マクロレックスバイオレットB
実施例と比較例で使用した評価方法は次の通りである。
(1)中鎖脂肪酸耐性
実施例で得られたペレット状の成形材料を用い、射出成形して得られた幅10mm、全長150mm、厚み4mmのISOダンベル形引張試験片を120℃で60分間熱処理後、23℃、湿度50%の環境で48時間放置した後、図1記載の3点曲げ治具に固定し、成形片中心部に1.2%、1.6%、5.2%の歪み(ε)をそれぞれ印加した。印加部にさらし小片を被せ、中鎖脂肪酸(日清MCTオイル)原液0.5mLを塗布したのち、23℃、湿度50%の環境で72時間保持した。取出した成形片の薬液暴露部で成形片の破断が発生しているか否かを確認した。かかる中鎖脂肪酸耐性試験において、破断が発生しないことが好ましい。
歪みεはたわみ量から以下式により計算できる。
ε=6×y×h/L
(2)YI値(黄色度)
実施例で得られたペレット状の成形材料を用い、射出成形して得られた幅50mm、長さ90mmで厚みが1mm、2mm、3mmの3段プレートを作成し、厚さ2mm部分の色相をサカタインクスエンジニアリング社製の分光光度計CE-7000Aで、C光源、2度視野の透過法により測定し、該試験片のYI値を算出した。
YI値は0.5~0.9の範囲が好ましい。0.5より小さいと青みが強すぎ、0.9より大きいと黄色味が強すぎて、成形品の自然な色合いが損なわれる場合がある。
(3)ヘーズ
前記(2)で成形した3段プレートの厚さ2mm部分のヘーズを日本電色工業社製NDH4000を用いJIS K7361に従い測定した。
[実施例1~8及び比較例1~6]
表1に示す割合で各原料をブレンドした後、スクリュー径30mmの(株)日本製鋼所製ベント付き二軸押出機TEX30αにより溶融混錬し、ストランドカットによりペレット状の成形材料を得た。射出成形にて評価用試験片を成形し、前記評価を行い評価結果について表1~3に示した。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、中鎖脂肪酸耐性および色相に優れる。従って、芳香族ポリカーボネート樹脂を使用する様々な用途に応用する事ができ、特に点滴等に使用されるコネクターや三方活栓等の医療分野で使用されるコネクター用途として有用である。
1 y:たわみ量(mm)
2 h:試験片厚み(4mm)
3 L:測定幅(100mm)

Claims (5)

  1. (A)粘度平均分子量23000~30000の範囲である芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ポリプロピレングリコール(B成分)0.9~1.1重量部および(C)ブルーイング剤(C成分)0.00002~0.00003重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. A成分の粘度平均分子量が25100~28000の範囲である請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成された成形品。
  4. 成形品が、医療用途部品である請求項3記載の成形品。
  5. 医療用途部品が医療用コネクター部品である請求項4記載の成形品。
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