JP2024006246A - 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備 - Google Patents

水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備 Download PDF

Info

Publication number
JP2024006246A
JP2024006246A JP2022106959A JP2022106959A JP2024006246A JP 2024006246 A JP2024006246 A JP 2024006246A JP 2022106959 A JP2022106959 A JP 2022106959A JP 2022106959 A JP2022106959 A JP 2022106959A JP 2024006246 A JP2024006246 A JP 2024006246A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sludge
organic waste
treatment
hydrothermal carbonization
carbonized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022106959A
Other languages
English (en)
Inventor
晃彦 隅
Akihiko Sumi
尚弘 竹田
Hisahiro Takeda
裕大 田中
Yuta Tanaka
朋弘 佐藤
Tomohiro Sato
博司 宮本
Hiroshi Miyamoto
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shinko Pantec Co Ltd
Original Assignee
Kobelco Eco Solutions Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobelco Eco Solutions Co Ltd filed Critical Kobelco Eco Solutions Co Ltd
Priority to JP2022106959A priority Critical patent/JP2024006246A/ja
Publication of JP2024006246A publication Critical patent/JP2024006246A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel

Abstract

【課題】水熱炭化反応を効率化することができる有機性廃棄物の処理方法および処理設備を提供すること。【解決手段】水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法であって、有機性廃棄物をメタン発酵槽の中で嫌気性発酵処理するメタン発酵工程と、前記メタン発酵工程後の発酵処理汚泥を脱水する第1脱水工程と、前記第1脱水工程で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する汚泥炭化工程と、前記汚泥炭化工程で得られた炭化汚泥スラリーを脱水する第2脱水工程と、前記第2脱水工程で前記炭化汚泥スラリーから分離した水熱炭化脱水ろ液を、前記メタン発酵槽に戻すろ液返送工程と、前記第1脱水工程で前記発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理する分離液処理工程と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備に関する。
有機性廃棄物の処理方法に関する技術として、水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法が知られている。水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法として、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、有機性廃棄物を水熱炭化処理して固液分離して得られた液分(プロセス水)から肥料として有用なアンモニア分を得るシステムが開示されている。
特表2018-537285号公報
しかしながら、特許文献1に記載の有機性廃棄物の処理方法においては、肥料としての需要が確保されていない場合、有機性廃棄物を水熱炭化処理して固液分離して得られた液分(プロセス水)を処理する必要がある。また、水熱炭化処理後の炭化物(炭化汚泥スラリー)から分離された液分には、生物難分解性有機物質が残存しているため、分離液(水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法において排出される液)をそのまま生物処理が行われる水処理設備に供した場合、生物処理の処理水のCODが上昇するという問題がある。
そこで、本発明は、水熱炭化導入に伴う分離液の処理水のCOD上昇を抑制することができる有機性廃棄物の処理方法および処理設備を提供することを目的とする。
本願で開示する有機性廃棄物の処理方法は、水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法であって、有機性廃棄物をメタン発酵槽の中で嫌気性発酵処理するメタン発酵工程と、前記メタン発酵工程後の発酵処理汚泥を脱水する第1脱水工程と、前記第1脱水工程で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する汚泥炭化工程と、前記汚泥炭化工程で得られた炭化汚泥スラリーを脱水する第2脱水工程と、前記第2脱水工程で前記炭化汚泥スラリーから分離した水熱炭化脱水ろ液を、前記メタン発酵槽に戻すろ液返送工程と、前記第1脱水工程で前記発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理する分離液処理工程と、を備える。
水熱炭化脱水ろ液を、メタン発酵槽に戻すことで、水熱炭化脱水ろ液に含まれる有機物がメタン発酵の原料となることからエネルギー回収量が増える。有機物はその分、処理系から減少するので、水熱炭化脱水ろ液中に生物難分解性有機物質が残存していても、発酵処理脱水ろ液のCOD上昇は抑制される。また、発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理することによって、リンや重金属類が除去されるとともに生物難分解性有機物質が除去されるため、分離液処理工程の処理水のCOD上昇も抑制される。その結果、分離液処理工程の処理水を生物処理が行われる水処理設備に供した場合でも、生物処理の処理水質の悪化を抑制することができる。
前記分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を前記炭化汚泥スラリーと混合して前記第2脱水工程において脱水してもよい。
この構成によると、分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を炭化汚泥スラリーと混合して第2脱水工程において脱水することで、沈殿汚泥の処理量を削減するとともに炭化汚泥(燃料)として有効利用することができる。
前記第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となるように、前記炭化汚泥スラリーの前記第2脱水工程への供給量と前記凝集沈殿物の前記第2脱水工程への供給量とを調整してもよい。
この構成によると、第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となるように、炭化汚泥スラリーの第2脱水工程への供給量と凝集沈殿物の前記第2脱水工程への供給量とを調整することで、炭化汚泥のハンドリングが容易になる。
最初沈殿池から発生する初沈汚泥を機械濃縮する初沈汚泥濃縮工程と、最終沈殿池から発生する余剰汚泥を機械濃縮する余剰汚泥濃縮工程と、をさらに備え、前記有機性廃棄物は、前記初沈汚泥濃縮工程および前記余剰汚泥濃縮工程で得られた濃縮汚泥であってもよい。
この構成によると、メタン発酵槽(消化槽)に投入する濃縮汚泥の固形物濃度が上昇し、汚泥量が減少するため、水熱炭化脱水ろ液をメタン発酵槽(消化槽)に返送しても、消化日数を減らすことなく、消化性能を維持することができる。
最初沈殿池から発生する初沈汚泥と最終沈殿池から発生する余剰汚泥との混合汚泥を機械濃縮する混合汚泥濃縮工程をさらに備え、前記有機性廃棄物は、前記混合汚泥濃縮工程で得られた濃縮汚泥であってもよい。
この構成によると、初沈汚泥と余剰汚泥の混合汚泥を一つの汚泥濃縮機により機械濃縮することから、設備コストを削減することができる。
また、前記分離液処理工程において、前記酸性凝集沈殿処理のpHを4.0以上6.0以下に調整してもよい。
この構成によると、酸性凝集沈殿処理のpHを4.0以上6.0以下に調整すると、発酵処理脱水ろ液に含まれる有機物の電解が進み、鉄と吸着し易くなることから、分離液処理工程の処理水のCOD上昇が抑制される。その結果、分離液処理工程の処理水を生物処理が行われる水処理設備に供した場合でも、生物処理の処理水質の悪化をさらに抑制することができる。
また、前記分離液処理工程において、前記発酵処理脱水ろ液のCODに基づいて、前記無機凝集剤の添加量を調整してもよい。
この構成によると、無機凝集剤の添加不足により発酵処理脱水ろ液に含まれるリンや重金属類が十分に除去されなかったり、生物難分解性有機物質が十分に除去されないことで分離液処理工程の処理水のCODが上昇したりすることを回避し、無機凝集剤の過剰投入によりコストが増大することを回避することができる。
本願で開示する有機性廃棄物の処理設備は、水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備であって、有機性廃棄物を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、前記メタン発酵槽から排出された発酵処理汚泥を脱水する第1脱水機と、前記第1脱水機で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する水熱炭化装置と、前記水熱炭化装置で得られた炭化汚泥スラリーを脱水する第2脱水機と、前記第2脱水機で前記炭化汚泥スラリーから分離した水熱炭化脱水ろ液を、前記メタン発酵槽に戻すろ液返送管と、前記第1脱水機で前記発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理する分離液処理装置と、を備える。
水熱炭化脱水ろ液を、メタン発酵槽に戻すことで、水熱炭化脱水ろ液に含まれる有機物がメタン発酵の原料となることからエネルギー回収量が増える。有機物はその分、処理系から減少するので、水熱炭化脱水ろ液中に生物難分解性有機物質が残存していても、発酵処理脱水ろ液のCOD上昇は抑制される。また、発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理することによって、リンや重金属類が除去されるとともに生物難分解性有機物質が除去されるため、分離液処理工程の処理水のCOD上昇も抑制される。その結果、分離液処理工程の処理水を生物処理が行われる水処理設備に供した場合でも、生物処理の処理水質の悪化を抑制することができる。
最初沈殿池から発生する初沈汚泥を機械濃縮する初沈汚泥濃縮機と、最終沈殿池から発生する余剰汚泥を機械濃縮する余剰汚泥濃縮機と、をさらに備え、前記有機性廃棄物は、前記初沈汚泥濃縮機および前記余剰汚泥濃縮機で得られた濃縮汚泥であってもよい。
この構成によると、メタン発酵槽(消化槽)に投入する濃縮汚泥の固形物濃度が上昇し、汚泥量が減少するため、水熱炭化脱水ろ液をメタン発酵槽(消化槽)に返送しても、消化日数を減らすことなく、消化性能を維持することができる。
最初沈殿池から発生する初沈汚泥と最終沈殿池から発生する余剰汚泥との混合汚泥を機械濃縮する混合汚泥濃縮機をさらに備え、前記有機性廃棄物は、前記混合汚泥濃縮機で得られた濃縮汚泥であってもよい。
この構成によると、初沈汚泥と余剰汚泥の混合汚泥を一つの汚泥濃縮機により機械濃縮することから、設備コストを削減することができる。
前記構成の有機性廃棄物の処理方法、または有機性廃棄物の処理設備によれば、水熱炭化導入に伴う分離液の処理水のCOD上昇を抑制することができる。
第1実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備の概略構成を示す図である。 図1に示す水熱炭化装置の具体的構成の一例を示す図である。 第2実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備の概略構成を示す図である。 第3実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備の概略構成を示す図である。 第4実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備の概略構成を示す図である。 消化脱水ろ液への塩化第二鉄添加量と溶解性CODとの関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の処理方法における処理対象の有機性廃棄物は、下水汚泥、し尿汚泥、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥、生ごみなどの食品廃棄物(食品系バイオマス)、古紙・廃紙などのリグノセルロース系廃棄物、農業残渣、および家畜糞尿などである。これらの有機性廃棄物は、それぞれ単独で処理されてもよいし、混合処理されてもよい。以下では、処理対象として下水汚泥を例にとって、その処理について説明する。
図1は、第1実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備の概略構成を示す図である。図1に示すように、有機性廃棄物の処理設備は、メタン発酵槽としての消化槽1と、第1脱水機2と、水熱炭化装置3と、第2脱水機4と、ろ液返送管20と、養生容器5と、分離液処理装置6と、を備える。消化槽1、第1脱水機2、水熱炭化装置3、第2脱水機4、および養生容器5は、処理工程の上流側から順に、この順で設けられる。ろ液返送管20は、第2脱水機4で分離された水熱炭化脱水ろ液を消化槽1に送る(戻す)返送管である。分離液処理装置6は、処理工程において、第1脱水機2の下流側に設けられる。
(消化槽、およびメタン発酵工程)
消化槽1は、下水汚泥を嫌気性発酵処理するタンクである。メタン発酵工程は、下水汚泥を消化槽1の中で嫌気性発酵処理する工程である。消化槽1に投入される下水汚泥の固形物濃度は、例えば3~9質量%である。消化槽1は、中温発酵処理においては温度約30~42℃で滞留時間15~30日程度、高温発酵処理においては温度約50~60℃で滞留時間7~20日程度で運転される。
下水汚泥の嫌気性発酵により消化槽1の中で消化ガスが発生する。消化ガスは、メタンが約60容量%、二酸化炭素が約40容量%のガス(バイオガス)である。発生した消化ガスは、消化槽1の中から取り出され、消化槽1や水熱炭化装置3の加温のための燃料として利用されたり、発電設備(不図示)の燃料として利用されたりする。すなわち、下水汚泥を嫌気性発酵処理することで、下水汚泥が有するエネルギーを消化ガス(ガスエネルギー)として回収することができる。
嫌気性発酵処理後の下水汚泥の発酵残渣、すなわち発酵処理汚泥は、消化槽1の中から外部へ排出される。
(第1脱水機、および第1脱水工程)
消化槽1の中から外部へ排出された発酵処理汚泥は、第1脱水機2に供給される。第1脱水機2は、消化槽1から排出された発酵処理汚泥を脱水する機械である。第1脱水工程は、メタン発酵工程後の発酵処理汚泥を脱水する工程である。発酵処理汚泥の固形物濃度は、例えば1.5~5質量%である。第1脱水機2は、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、スクリュープレス脱水機、またはフィルタープレス脱水機などである。
第1脱水機2(第1脱水工程)により、発酵処理汚泥は、例えば含水率が80質量%程度の脱水汚泥となる。第1脱水機2によって発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)は、分離液処理装置6に送られる。
(分離液処理装置、および分離液処理工程)
発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)は、分離液処理装置6に供給される。分離液処理装置6は、第1脱水機2で発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)を処理する装置である。分離液処理工程は、第1脱水工程で発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)を処理する工程である。分離液処理装置6で得られた処理水(分離液処理工程の処理水)は、生物処理が行われる水処理設備へ送られる。
分離液処理装置6は、上記発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)を酸性凝集沈殿処理する装置である。分離液処理工程は、上記発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)を酸性凝集沈殿処理する工程である。酸性凝集沈殿処理とは、無機凝集剤を注入し、酸性条件下で凝集沈殿処理するものである。無機凝集剤として、例えば、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄などの鉄系無機凝集剤を使用することができる。分離液処理工程において、発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)は、無機凝集剤を添加するとともに、pH4.0以上6.0以下、より好ましくはpH4.5以上5.5以下に調整される。酸性凝集沈殿処理のpHを上記範囲内にすると、発酵処理脱水ろ液に含まれる有機物の電解が進み、鉄と吸着し易くなることから、前記分離液処理工程の処理水のCOD上昇が抑制される。ここで、COD(化学的酸素要求量:Chemical Oxygen Demand)とは、液中に含まれる有機物を、酸化剤を用いて一定の条件のもとで酸化するときに消費される酸化剤の量を、酸素の量に換算したものであって、液の単位容量当たりの重量(例えば液1L(リットル)当たりのmg(ミリグラム)量)で示される。例えば、処理水のCODとは、処理水中に含まれる有機物を、酸化剤を用いて一定の条件のもとで酸化するときに消費される酸化剤の量を、酸素の量に換算したものであって、処理水1L当たりのmg量で示される。CODは水中の有機物による汚濁を測る指標であり、CODが上昇することは、すなわち水質が悪化することを意味する。CODは一例として公益社団法人日本下水道協会発行の『下水試験方法』に定められているCODMn(100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素要求量)またはCODCr(重クロム酸カリウムによる酸素要求量)であってもよく、あるいは同様に水中の有機物による汚濁を測る指標であれば、これらに限定されない。酸性凝集沈殿処理により、発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)に含まれるリンや重金属類が除去されるとともに生物難分解性有機物質が除去されるため、分離液処理工程の処理水のCOD上昇も抑制される。その結果、分離液処理工程の処理水を生物処理が行われる水処理設備に供した場合でも、生物処理の処理水質の悪化を抑制することができる。また、凝集沈殿処理により発生した凝集沈殿物(沈殿汚泥)は、炭化汚泥スラリーに混合して、後述の第2脱水機4(第2脱水工程)で脱水することが好ましい。これにより、沈殿汚泥の処理量を削減するとともに炭化汚泥(燃料)として有効利用できる。さらに、第2脱水工程において得られた炭化汚泥は、養生容器5(養生工程)で乾燥させてもよい。また、発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)への無機凝集剤の添加量は発酵処理脱水ろ液のCODに基づいて、無機凝集剤の添加量を調整することが好ましい。無機凝集剤の添加不足により発酵処理脱水ろ液に含まれるリンや重金属類が十分に除去されなかったり、生物難分解性有機物質が十分に除去されないことで分離液処理工程の処理水のCODが上昇したりすることを回避し、無機凝集剤の過剰投入によりコストが増大することを回避することができる。なお、発酵処理脱水ろ液(消化脱水ろ液)に添加する凝集剤としては、上記の鉄系無機凝集剤の他、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム系無機凝集剤を使用してもよい。また、上記の無機凝集剤とノニオン系高分子凝集剤等の高分子凝集剤を併用してもよい。
(水熱炭化装置、および汚泥炭化工程)
脱水汚泥は、水熱炭化装置3に供給される。水熱炭化装置3は、第1脱水機2で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する装置である。汚泥炭化工程は、第1脱水工程で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する工程である。水熱炭化処理とは、水を含む処理対象物を、酸素を含有しない又は酸素濃度が低いガス雰囲気下にて又は酸素を遮断した状態にて高温高圧処理することで、炭化させる処理のことをいう。
図2に示すように、水熱炭化装置3は、例えば、加熱熱交換器8と、リアクター7と、冷却熱交換器9と、を備える。なお、水熱炭化装置3の構成は、これに限定されるものではない。
加熱熱交換器8は、第1脱水機2で得られた脱水汚泥をリアクター7に供給する前に、脱水汚泥を予熱する加熱器である。加熱熱交換器8には、例えば含水率が80質量%程度の脱水汚泥が第1脱水機2から供給される。
リアクター7は、酸素を含有しない又は酸素濃度が低いガス雰囲気下にて又は酸素を遮断した状態にて脱水汚泥を高温高圧処理する容器である。一例としてリアクター7は酸素濃度5体積%以下のガス雰囲気下にて脱水汚泥を高温高圧処理する。不活性ガスによって置換した状態で前記高温高圧処理をスタートするか、若しくはスタート時が空気(酸素濃度21体積%)であったとしても被処理物中の易分解性の有機物の酸化にて速やかに酸素が消費されてその後に空気が供給されることがないため、スタート直後を除いて、反応中のリアクター7内気相の酸素濃度は略0体積%に保たれる。リアクター7は、撹拌機7aを有する。リアクター7の中の炭化汚泥スラリーと、リアクター7に供給された脱水汚泥とは、撹拌機7aによって混合・撹拌される。リアクター7の外周に筒状のジャケット7bが設けられる。熱媒油ボイラ10で加熱された熱媒油は、熱媒油循環ポンプ11によって、ジャケット7bに循環供給される。リアクター7の中の炭化汚泥スラリーは、循環供給される熱媒油によって間接加熱される。なお、前記熱媒油に替えて他の熱媒が使用されてもよい。
リアクター7内の炭化汚泥スラリーは、熱媒油によって間接加熱されて、例えば、200℃の温度にされる。リアクター7内の圧力は、リアクター7内温度に対応する亜臨界水相当の圧力に、被処理物の成分の分解によって生じたガスによる圧力が加わった圧力とされる。リアクター7内の炭化汚泥スラリーの温度は、200℃に限定されるものではない。リアクター7内の炭化汚泥スラリーの温度は、160℃から250℃の範囲のうちの任意の温度にされてもよい。リアクター7内の圧力は、ゲージ圧0.6MPaからゲージ圧3MPa程度の圧力とされる。脱水汚泥を高温高圧処理するとは、脱水汚泥の温度が160℃以上250℃以下、且つ、リアクター7内の圧力がゲージ圧0.6MPa以上ゲージ圧3MPa以下で脱水汚泥を処理することをいう。
脱水汚泥の処理時間、すなわち、リアクター7内の炭化汚泥スラリーの滞留時間は、例えば、3時間とされる。リアクター7内の炭化汚泥スラリーの滞留時間は、3時間に限定されるものではない。リアクター7内の炭化汚泥スラリーの滞留時間は、2時間から5時間の範囲内であればよい。
リアクター7内に供給された脱水汚泥は、上記圧力および温度で、上記処理時間、処理されることで炭化汚泥スラリーとなる。水熱炭化処理により、脱水汚泥中の微生物の細胞が破壊されるとともに、細胞内の成分の分解・重合が起こる。その結果、脱水性に優れる炭化汚泥スラリーが生成する。
冷却熱交換器9は、リアクター7の中で水熱炭化処理により得られた炭化汚泥スラリーを冷却する冷却器である。冷却熱交換器9において、炭化汚泥スラリーの温度が取扱いに適した領域に調整される。炭化汚泥スラリーの温度が調整されることで、炭化汚泥スラリーの粘性を調整することができ、炭化汚泥スラリーの移送を行い易くすることができるとともに、炭化汚泥スラリーの脱水性を向上させることができる。
炭化汚泥スラリーは、冷却熱交換器9で冷却されてから第2脱水機4に供給される。第2脱水機4に供給される際に、炭化汚泥スラリーの温度が60℃未満であると、炭化汚泥スラリーの粘性が大きくなり、その結果、炭化汚泥スラリーの移送のし易さ、および炭化汚泥スラリーの脱水性が低下する懸念がある。そのため、冷却熱交換器9において、炭化汚泥スラリーの温度が60℃を下回らないように調整し、この汚泥炭化工程で得られた60℃以上の温度の炭化汚泥スラリーを第2脱水工程に供給することが好ましい。これにより、炭化汚泥スラリーの粘性を低く保つことができ、炭化汚泥スラリーの移送を行い易く、且つ、炭化汚泥スラリーの脱水性が向上する。また、炭化汚泥スラリーを略一定の温度に冷却してから引抜装置(炭化汚泥スラリーを第2脱水機4に供給する装置)を通過させることによって、引抜量の安定化を図ることができる。例えば、引抜装置として一軸ねじポンプを使用した場合、炭化汚泥スラリーの温度が高温で安定しなければ、一軸ねじポンプのロータおよびステータの膨張により流量が変動する虞があるところ、これを防止することができる。なお、第2脱水機4としてフィルタープレス脱水機を用いることが好ましいところ、フィルタープレス脱水機の耐久性の観点から、第2脱水工程に供給する炭化汚泥スラリーの温度は80℃以下であることが好ましい。すなわち、冷却熱交換器9において、炭化汚泥スラリーの温度を60℃以上80℃以下に調整し、60℃以上80℃以下の温度の炭化汚泥スラリーを第2脱水工程に供給することが好ましい。なお、冷却熱交換器9で回収した熱エネルギーは、後述のように、炭化汚泥の養生に使用する酸素含有ガスを予め加熱するために使用されてもよいし、その他の用途の加熱の熱源として使用するようにされてもよい。その他の用途の加熱の熱源として、例えば、リアクター7に投入する脱水汚泥を予め加熱するための熱源が挙げられる。
(第2脱水機、および第2脱水工程)
第2脱水機4は、水熱炭化装置3で得られた炭化汚泥スラリーを脱水する機械である。第2脱水工程は、汚泥炭化工程で得られた炭化汚泥スラリーを第2脱水機4により脱水する工程である。第2脱水機4は、フィルタープレス脱水機、遠心脱水機、またはスクリュープレス脱水機などの脱水機である。
(ろ液返送工程)
ろ液返送工程は、第2脱水機4(第2脱水工程)で炭化汚泥スラリーから分離した脱水ろ液(水熱炭化脱水ろ液)を消化槽1に送る(戻す)工程である。水熱炭化処理によって、脱水汚泥中の微生物の細胞が破壊されて、脱水汚泥中の有機物がろ液(水熱炭化脱水ろ液)中に溶出する。水熱炭化脱水ろ液に含まれる有機物が消化ガスの原料となるので、水熱炭化脱水ろ液を消化槽1に投入すると、消化ガスの発生量はその分増加する。消化ガスは燃料として利用することが可能な、下水汚泥から回収されるエネルギー(ガスエネルギー)である。すなわち、第2脱水工程で炭化汚泥スラリーから分離した脱水ろ液(水熱炭化脱水ろ液)を消化槽1に戻すことで、消化ガスの発生量を増加させることができ、エネルギー回収量を増加させることができる。
また、水熱炭化脱水ろ液に含まれる有機物の一部が消化ガスとなるので、有機物はその分、処理系から減少する。その結果、分離液の処理水のCOD上昇が抑制され、水処理設備からの放流水質の悪化を抑制することができる。詳しくは、次のとおりである。水熱炭化脱水ろ液をそのまま水処理設備に送って処理すると、水処理設備のCOD負荷が上昇し、放流水質が悪化する可能性があるが、メタン発酵によって有機物が分解されることで、水処理設備のCOD負荷上昇が抑制され、放流水質の悪化を抑制することができる。
(養生容器、および養生工程)
養生容器5は、第2脱水機4で得られた炭化汚泥の乾燥、および炭化汚泥の発熱発火性の低減を行う容器である。養生工程は、第2脱水工程で得られた炭化汚泥の乾燥、および炭化汚泥の発熱発火性の低減を行う工程である。養生容器5は、一般にホッパと呼ばれる容器である。
第2脱水機4からの炭化汚泥は養生容器5に投入される。養生容器5には、例えば、その下部の側面から養生容器5の中に空気(酸素含有ガス)が吹き込まれる。養生容器5内の炭化汚泥は、吹き込まれた空気と接触することで、乾燥するとともに、部分的に酸化する。部分的に酸化することで、炭化汚泥の発熱発火性は低減する。
なお、養生工程は、養生容器5(ホッパ)を用いた工程に限られることはない。例えば、その周囲を囲ったコンベヤ(養生部)の上に、第2脱水機4で得られた炭化汚泥を投下し、空気などの酸素含有ガスを通すことで養生工程を実施してもよい。
図3は、第2実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備の概略構成を示す図である。第2実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備200は、分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を前記炭化汚泥スラリーと混合して前記第2脱水工程において脱水するように構成されている。分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を炭化汚泥スラリーと混合して第2脱水工程において脱水することで、沈殿汚泥の処理量を削減するとともに炭化汚泥(燃料)として有効利用することができる。また、第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となるように、前記炭化汚泥スラリーの前記第2脱水工程への供給量と前記凝集沈殿物の前記第2脱水工程への供給量とを調整することが好ましい。第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となるように、炭化汚泥スラリーの第2脱水工程への供給量と凝集沈殿物の前記第2脱水工程への供給量とを調整することで、炭化汚泥のハンドリングが容易になる。さらに、第2脱水工程の後に乾燥処理を行う場合、エネルギーコストを削減し、処理時間を短縮することができる。
第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となることについては、以下の試験を行うことにより確認した。まず、炭化汚泥スラリーを第2脱水機4により2MPaの圧力で脱水すると、含水率30質量%以下とすることができることを確認した。また、凝集沈殿物として、水酸化鉄フロックを第2脱水機4により約2MPaの低圧力で脱水すると、含水率60質量%強となることを確認した。そのため、凝集沈殿物を第2脱水機4により2MPaの圧力で脱水すると、含水率60質量%程度となることが想定される。上記に基づいて、例えば、水熱炭化装置3(水熱炭化処理工程)から、得られる炭化汚泥スラリーを、9.9t/d(1.8t DS/d)とし、分離液処理装置6(分離液処理工程)から得られる凝集沈殿物が炭化汚泥スラリーに混合される量を、12t/d(0.2t DS/d)とし、第2脱水機4(第2脱水工程)により2MPaで脱水すると、理論上、炭化汚泥スラリー由来の含水率30質量%の脱水処理物2.57t(1.8t DS/d/0.7(70%)=2.57t DS/d)と、凝集沈殿物由来の含水率60質量%の脱水処理物0.5t(0.2t DS/d/0.4(40%)=0.5t DS/d)を得ることができる。2.0t(1.8t+0.2t)のDSに対し、3.07tの脱水処理物が得られることから、含水率34.8質量%(100-2.0t/3.07t×100=34.8)、つまり、含水率35質量%以下の炭化汚泥を得ることができる。
図4は、第3実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備300の概略構成を示す図である。第3施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備300は、消化槽1(メタン発酵工程)の上流に、初沈汚泥を機械濃縮する初沈汚泥濃縮機31(初沈汚泥濃縮工程)と、余剰汚泥を機械濃縮する余剰汚泥濃縮機32(余剰汚泥濃縮工程)とをさらに備える。初沈汚泥や余剰汚泥は、一般的に行われている重力濃縮設備で濃縮されると、固形物濃度は3~4質量%であるが、機械濃縮すると、固形物濃度が5質量%程度となるため、消化槽1に投入する汚泥量を減少させることができる。そのため、脱水ろ液(水熱炭化脱水ろ液)を消化槽1に返送すると、消化槽1への投入量は1割程度増加するが、初沈汚泥と余剰汚泥とをそれぞれ機械濃縮することで、消化槽1への投入量を2~3割減少させることができる。その結果、消化日数を減らす必要がないため、既設の消化槽であっても消化日数を確保することができ、消化性能を維持することができる。なお、図示しないが、処理設備300は、初沈汚泥を機械濃縮する初沈汚泥濃縮機31(初沈汚泥濃縮工程)のみを備えていてもよく、余剰汚泥を機械濃縮する余剰汚泥濃縮機32(余剰汚泥濃縮工程)のみを備えていてもよい。
図5は、第4実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備400の概略構成を示す図である。第4実施形態に係る水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備400は、消化槽1(メタン発酵工程)の上流に、初沈汚泥と余剰汚泥を混合して、機械濃縮する混合汚泥濃縮機33(混合汚泥濃縮工程)をさらに備える。第4実施形態は、初沈汚泥と余剰汚泥の混合汚泥を一つの汚泥濃縮機により機械濃縮することから、設備コストを削減することができる。また、第4実施形態は、初沈汚泥と余剰汚泥の混合汚泥が機械濃縮されると、固形物濃度が5質量%程度となるため、一般に行われている重力濃縮設備で濃縮されるよりも、汚泥量が減少する。そのため、脱水ろ液(水熱炭化脱水ろ液)を消化槽1に返送すると、消化槽1への投入量は1割程度増加するが、初沈汚泥と余剰汚泥とを混合して機械濃縮することで、消化槽1への投入量を2~3割減少させることができる。その結果、消化日数を減らす必要がないため、既設の消化槽であっても消化日数を確保することができ、消化性能を維持することができる。なお、図示しないが、処理設備400において、初沈汚泥のみを混合汚泥濃縮機33(混合汚泥濃縮工程)で濃縮してもよく、余剰汚泥のみを混合汚泥濃縮機33(混合汚泥濃縮工程)で濃縮してもよい。
図6は、消化脱水ろ液への塩化第二鉄添加量と溶解性CODとの関係を示すグラフである。図6(a)は、各消化脱水ろ液への塩化第二鉄添加量及び凝集後pHと溶解性COD(mg/L)との関係、並びに各消化脱水ろ液への塩化第二鉄添加量及び凝集後pHと放流水のCOD変化(mg/L)との関係を示すグラフである。図6(b)は、各消化脱水ろ液への塩化第二鉄添加量及び凝集後pHと溶解性COD除去率(%)との関係、並びに各消化脱水ろ液への塩化第二鉄添加量及び凝集後pHと放流水のCOD変化(mg/L)との関係を示すグラフである。図6(c)は、各消化脱水ろ液における、溶解性COD除去率(%)と凝集剤の添加量あたりのCOD除去率(g-COD/kg-凝集剤)との関係を示すグラフである。なお、図6(a)(b)における、放流水のCOD変化(mg/L)は、COD除去量を流入下水量により除して算出した値である。以下の試験を行うことにより、本発明における消化脱水ろ液の模擬液を調製し、塩化第二鉄添加量及び凝集後のpHと溶解性CODとの関係を確認した。
分離液処理工程における消化脱水ろ液の模擬液を以下のように調製した。まず、下水処理場の消化脱水ろ液(ろ液A)を採取した。また、同じ下水処理場の脱水汚泥を採取して、オートクレーブにより、190℃、2時間処理し、処理後の固形物(水熱炭化処理物に相当)を脱水して、ろ液Bを得た。ろ液Aとろ液Bを19:1で混合し、供試サンプルを調製した。供試サンプル(原水に相当)の溶解性CODは、669mg/Lであった。各供試サンプルに添加する凝集剤としては、塩化第二鉄38質量%水溶液を使用した。各供試サンプルへの塩化第二鉄38質量%水溶液の添加量を表1に示す。各供試サンプルへの凝集剤添加およびpH調整(pH調整剤は、水酸化ナトリウムまたは硫酸)による凝集沈殿処理を行った後、各供試サンプルの溶解性CODを測定した。なお、当該試験において、上記のろ液Aとろ液Bの混合比を19:1として、本発明における消化脱水ろ液の模擬液としたのは、水熱炭化処理施設において、脱水汚泥を全量水熱処理した場合、想定される消化脱水ろ液(原水)の溶解性CODが700mg/L程度であることに基づく。
図6(a)(b)に示されるように、凝集後pHが4、5、及び6のいずれにおいても、各供試サンプルへの凝集剤添加量の増加に伴い、溶解性COD濃度が低下し、溶解性COD除去率が向上した。また、凝集後pHが5である場合、凝集後pHが4、6である場合と比べて、溶解性COD濃度が低下し、溶解性COD除去率が向上した。さらに、図6(c)に示されるように、凝集後pHが5である場合においては、凝集後pHが4、6である場合と比べて、凝集剤の添加量あたりのCOD除去量が大きいことが明らかとなった。
(効果)
本実施形態の有機性廃棄物の処理方法は、下水汚泥(有機性廃棄物)を消化槽1(メタン発酵槽)の中で嫌気性発酵処理するメタン発酵工程、メタン発酵工程後の発酵処理汚泥を脱水する第1脱水工程、第1脱水工程で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する汚泥炭化工程、汚泥炭化工程で得られた炭化汚泥スラリーを脱水する第2脱水工程、第2脱水工程で炭化汚泥スラリーから分離した水熱炭化脱水ろ液を、前記メタン発酵槽に戻すろ液返送工程、および第1脱水工程で発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理する分離液処理工程を備える。
上記処理方法によると、次のような効果が得られる。
水熱炭化脱水ろ液を、メタン発酵槽に戻すことで、水熱炭化脱水ろ液に含まれる有機物がメタン発酵の原料となることからエネルギー回収量が増える。有機物はその分、処理系から減少するので、水熱炭化脱水ろ液中に生物難分解性有機物質が残存していても、発酵処理脱水ろ液のCOD上昇は抑制される。さらに、発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理することによって、リンや重金属類が除去されるとともに生物難分解性有機物質が除去されるため、分離液処理工程の処理水のCOD上昇も抑制される。その結果、分離液処理工程の処理水を生物処理が行われる水処理設備に供した場合でも、生物処理の処理水質の悪化を抑制することができる。
前記分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を前記炭化汚泥スラリーと混合して前記第2脱水工程において脱水することが好ましい。これによれば、分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を炭化汚泥スラリーと混合して第2脱水工程において脱水することで、沈殿汚泥の処理量を削減するとともに炭化汚泥(燃料)として有効利用することができる。
また、前記第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となるように、前記炭化汚泥スラリーの前記第2脱水工程への供給量と前記凝集沈殿物の前記第2脱水工程への供給量とを調整することが好ましい。これによれば、第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となるように、炭化汚泥スラリーの第2脱水工程への供給量と凝集沈殿物の前記第2脱水工程への供給量とを調整することで、炭化汚泥のハンドリングが容易になる。
また、最初沈殿池から発生する初沈汚泥を機械濃縮する初沈汚泥濃縮工程と、最終沈殿池から発生する余剰汚泥を機械濃縮する余剰汚泥濃縮工程と、をさらに備え、前記有機性廃棄物は、前記初沈汚泥濃縮工程および前記余剰汚泥濃縮工程で得られた濃縮汚泥であってもよい。これにより、メタン発酵槽(消化槽)に投入する濃縮汚泥の固形物濃度が上昇し、汚泥量が減少するため、水熱炭化脱水ろ液をメタン発酵槽(消化槽)に返送しても、消化日数を減らすことなく、消化性能を維持することができる。
また、最初沈殿池から発生する初沈汚泥と最終沈殿池から発生する余剰汚泥との混合汚泥を機械濃縮する混合汚泥濃縮工程をさらに備え、前記有機性廃棄物は、前記混合汚泥濃縮工程で得られた濃縮汚泥であってもよい。これにより、初沈汚泥と余剰汚泥の混合汚泥を一つの汚泥濃縮機により機械濃縮することから、設備コストを削減することができる。
さらには、前記分離液処理工程において、前記酸性凝集沈殿処理のpHを4.0以上6.0以下に調整することが好ましい。これによれば、酸性凝集沈殿処理のpHを4.0以上6.0以下に調整すると、発酵処理脱水ろ液に含まれる有機物の電解が進み、鉄と吸着し易くなることから、分離液処理工程の処理水のCOD上昇が抑制される。その結果、分離液処理工程の処理水を生物処理が行われる水処理設備に供した場合でも、生物処理の処理水質の悪化をさらに抑制することができる。
前記分離液処理工程において、前記発酵処理脱水ろ液のCODに基づいて、前記無機凝集剤の添加量を調整することが好ましい。これによれば、無機凝集剤の添加不足により発酵処理脱水ろ液に含まれるリンや重金属類が十分に除去されなかったり、生物難分解性有機物質が十分に除去されないことで分離液処理工程の処理水のCODが上昇したりすることを回避し、無機凝集剤の過剰投入によりコストが増大することを回避することができる。
上記の実施形態は次のように変更可能である。
上記の実施形態は、分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を、第1脱水工程で得られた脱水汚泥と混合してもよい。この構成によると、凝集沈殿物を脱水汚泥と混合し、汚泥炭化工程において水熱炭化処理後、得られた炭化汚泥スラリーを第2脱水工程において脱水することで、沈殿汚泥の処理量を削減するとともに炭化汚泥(燃料)として有効利用することができる。
上記の実施形態は、初沈汚泥濃縮機31、および初沈汚泥濃縮工程を備える。本発明において、初沈汚泥濃縮機31、および初沈汚泥濃縮工程は、必須ではない。
上記の実施形態は、余剰汚泥濃縮機32、および余剰汚泥濃縮工程を備える。本発明において、余剰汚泥濃縮機32、および余剰汚泥濃縮工程は、必須ではない。
上記の実施形態は、混合汚泥濃縮機33、および混合汚泥濃縮工程を備える。本発明において、混合汚泥濃縮機33、および混合汚泥濃縮工程は、必須ではない。
上記の実施形態は、養生容器5、および養生工程を備える。本発明において、養生容器5、および養生工程は、必須ではない。
処理対象の有機性廃棄物は、下水汚泥に限られるものではない。本発明は、下水汚泥、し尿汚泥、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥、生ごみなどの食品廃棄物(食品系バイオマス)、建築廃材、古紙・廃止などの紙などのリグノセルロース系廃棄物、農業残渣、および家畜糞尿などの様々な有機性廃棄物を処理対象とすることができる。前記のとおり、これらの有機性廃棄物は、それぞれ単独で処理されてもよいし、混合処理されてもよい。
1:消化槽(メタン発酵槽)
2:第1脱水機
3:水熱炭化装置
4:第2脱水機
5:養生容器
6:分離液処理装置
20:ろ液返送管
31:初沈汚泥濃縮機
32:余剰汚泥濃縮機
33:混合汚泥濃縮機
100、200、300、400:処理設備

Claims (10)

  1. 有機性廃棄物をメタン発酵槽の中で嫌気性発酵処理するメタン発酵工程と、
    前記メタン発酵工程後の発酵処理汚泥を脱水する第1脱水工程と、
    前記第1脱水工程で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する汚泥炭化工程と、
    前記汚泥炭化工程で得られた炭化汚泥スラリーを脱水する第2脱水工程と、
    前記第2脱水工程で前記炭化汚泥スラリーから分離した水熱炭化脱水ろ液を、前記メタン発酵槽に戻すろ液返送工程と、
    前記第1脱水工程で前記発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理する分離液処理工程と、
    を備える、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法。
  2. 請求項1に記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法において、
    前記分離液処理工程で得られた凝集沈殿物を前記炭化汚泥スラリーと混合して前記第2脱水工程において脱水する、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法。
  3. 請求項2に記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法において、
    前記第2脱水工程で得られる炭化汚泥の含水率が35質量%以下となるように、前記炭化汚泥スラリーの前記第2脱水工程への供給量と前記凝集沈殿物の前記第2脱水工程への供給量とを調整する、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法において、
    最初沈殿池から発生する初沈汚泥を機械濃縮する初沈汚泥濃縮工程と、
    最終沈殿池から発生する余剰汚泥を機械濃縮する余剰汚泥濃縮工程と、
    をさらに備え、
    前記有機性廃棄物は、前記初沈汚泥濃縮工程および前記余剰汚泥濃縮工程で得られた濃縮汚泥である、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法。
  5. 請求項1~3のいずれかに記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法において、
    最初沈殿池から発生する初沈汚泥と最終沈殿池から発生する余剰汚泥との混合汚泥を機械濃縮する混合汚泥濃縮工程をさらに備え、
    前記有機性廃棄物は、前記混合汚泥濃縮工程で得られた濃縮汚泥である、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法。
  6. 請求項1~3のいずれかに記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法において、
    前記分離液処理工程において、前記酸性凝集沈殿処理のpHを4.0以上6.0以下に調整する、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法。
  7. 請求項1~3のいずれかに記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法において、
    前記分離液処理工程において、前記発酵処理脱水ろ液のCODに基づいて、前記無機凝集剤の添加量を調整する、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法。
  8. 有機性廃棄物を嫌気性発酵処理するメタン発酵槽と、
    前記メタン発酵槽から排出された発酵処理汚泥を脱水する第1脱水機と、
    前記第1脱水機で得られた脱水汚泥を水熱炭化処理する水熱炭化装置と、
    前記水熱炭化装置で得られた炭化汚泥スラリーを脱水する第2脱水機と、
    前記第2脱水機で前記炭化汚泥スラリーから分離した水熱炭化脱水ろ液を、前記メタン発酵槽に戻すろ液返送管と、
    前記第1脱水機で前記発酵処理汚泥から分離した発酵処理脱水ろ液を、無機凝集剤を用いて酸性凝集沈殿処理する分離液処理装置と、
    を備える、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備。
  9. 請求項8に記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備において、
    最初沈殿池から発生する初沈汚泥を機械濃縮する初沈汚泥濃縮機と、
    最終沈殿池から発生する余剰汚泥を機械濃縮する余剰汚泥濃縮機と、
    をさらに備え、
    前記有機性廃棄物は、前記初沈汚泥濃縮機および前記余剰汚泥濃縮機で得られた濃縮汚泥である、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備。
  10. 請求項8に記載の水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備において、
    最初沈殿池から発生する初沈汚泥と最終沈殿池から発生する余剰汚泥との混合汚泥を機械濃縮する混合汚泥濃縮機をさらに備え、
    前記有機性廃棄物は、前記混合汚泥濃縮機で得られた濃縮汚泥である、
    水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備。
JP2022106959A 2022-07-01 2022-07-01 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備 Pending JP2024006246A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022106959A JP2024006246A (ja) 2022-07-01 2022-07-01 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022106959A JP2024006246A (ja) 2022-07-01 2022-07-01 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2024006246A true JP2024006246A (ja) 2024-01-17

Family

ID=89539541

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022106959A Pending JP2024006246A (ja) 2022-07-01 2022-07-01 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2024006246A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6121589B2 (ja) 嫌気性処理方法
JP5211769B2 (ja) 有機性廃液の生物処理方法及び処理装置
JP2003200199A (ja) 下水の処理方法
JP7440575B2 (ja) 消化設備
AU2019385688B2 (en) Advanced phosphorous recovery process and plant
JP2001129590A (ja) 澱粉製造排水の嫌気性処理方法
JP5726576B2 (ja) 有機性廃棄物の処理方法および処理装置
JP7254580B2 (ja) 有機性汚泥の処理方法及び処理装置
JP3651836B2 (ja) 有機性廃棄物の処理方法
JP4292610B2 (ja) 有機性排水の処理装置
JP2014008491A (ja) 有機性廃棄物処理装置及びそれを用いた有機性廃棄物処理方法
JPH10192889A (ja) 有機性排水の処理方法
JP2007061773A (ja) 有機性汚泥の処理方法及びその装置
JP2024006246A (ja) 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備
EP2746231A1 (en) Method and apparatus for the treatment of process water from a hydrothermal organic material conversion process
JP2005087977A (ja) 有機性廃棄物処理方法および有機性廃棄物処理システム
KR100666605B1 (ko) 혐기 소화조를 이용하여 폐오니를 저감하기 위한 폐수의처리방법 및 그 장치
JP2006061861A (ja) 有機性汚泥の処理装置及び処理方法
JP2023111869A (ja) 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備
JP2023111577A (ja) 水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理方法、および水熱炭化処理を用いた有機性廃棄物の処理設備
JP5301788B2 (ja) 共発酵方法
JP4418422B2 (ja) 有機性廃棄物のメタン発酵処理方法
JP7015893B2 (ja) 生ごみのメタン発酵処理システム
CN107585993A (zh) 一种污泥的处理方法及装置
US20230312385A1 (en) Method and system for processing of biological waste