JP2024005582A - 塗料組成物、及び該塗料組成物で塗装された物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラスチック基材との付着性、耐水付着性、及び耐芳香剤性に優れるとともに、ソフトフィール性に優れる塗膜を得ることができる塗料組成物を提供する。【解決手段】変性アクリル樹脂(X)、及びポリエステルポリオール(Y)を含有する塗料組成物であって、前記変性アクリル樹脂(X)と前記ポリエステルポリオール(Y)との質量比(X/Y)が10/90~90/10であり、前記変性アクリル樹脂(X)が、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを原料としたポリカーボネートジオール(A)の存在下、メチルメタクリレート、水酸基を有する不飽和単量体(b1)、カルボキシル基を有する不飽和単量体(b2)及び炭素原子数が2~8のアルキル基を有する不飽和単量体(b3)を必須成分として含有する不飽和単量体混合物(B)を反応させて得られる変性アクリル樹脂であることを特徴とする塗料組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、塗料組成物、及び該塗料組成物で塗装された物品に関する。
近年、冷蔵庫、テレビ、エアコン等の家電製品の本体及びそのリモコン、携帯電話、スマートフォン、パソコン等の情報端末の筐体、玩具、3D成形品などでプラスチック成形品が広く使用されている。これらのプラスチック成形品は、成形した部品をそのまま使用される場合もあるが、意匠性を付与するために塗装されることが多い。従来、付与される意匠としては、色、光沢等の視覚的に認識できるものが多かったが、最近では、例えば、指で触ったときに柔らかさが感じられるソフトフィール性等の触感を塗装により付与することが検討されている。
上記のソフトフィール性を付与する材料としては、1分子中に2以上の水酸基を有するポリエステルポリオール及びヘキサメチレンジイソシアネートを反応して得られるイソシアネート化合物を、さらに水酸基を有する(メタ)アクリレートと反応して得られる活性エネルギー線硬化性ウレタン(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含有する活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この活性エネルギー線硬化型トップコート用組成物では、ソフトフィール性に必要な高弾力性及び低グリップ感といった触感が不十分であるという問題があった。
そこで、プラスチック基材との付着性や耐水性等に優れ、かつ、ソフトフィール性に優れる塗膜を得ることができる塗料組成物が求められていた。
特許第6536925号
本発明が解決しようとする課題は、プラスチック基材との付着性、耐水付着性、及び耐芳香剤性に優れるとともに、ソフトフィール性に優れる塗膜を得ることができる塗料組成物及び該塗料組成物で塗装された物品を提供することである。
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の変性アクリル樹脂と、ポリエステルポリオールとを特定の比率で含有する塗料組成物を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させた。
すなわち、本発明は、変性アクリル樹脂(X)、及びポリエステルポリオール(Y)を含有する塗料組成物であって、前記変性アクリル樹脂(X)と前記ポリエステルポリオール(Y)との質量比(X/Y)が10/90~90/10であり、前記変性アクリル樹脂(X)が、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを原料としたポリカーボネートジオール(A)の存在下、メチルメタクリレート、水酸基を有する不飽和単量体(b1)、カルボキシル基を有する不飽和単量体(b2)及び炭素原子数が2~8のアルキル基を有する不飽和単量体(b3)を必須成分として含有する不飽和単量体混合物(B)を反応させて得られる変性アクリル樹脂であることを特徴とする塗料組成物、及び該塗料で塗装された物品に関する。
本発明の塗料組成物は、プラスチック基材との付着性、耐水付着性、及び耐芳香剤性に優れるとともに、指で触った際のソフトフィール性が強い塗膜を得られることから、自動車、鉄道車輌等の各種車輌の内外装、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器の筐体;テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の筐体;家具、玩具、インテリア;3D成形品などの各種物品を塗装する塗料として好適に用いることができる。
本発明の塗料組成物は、変性アクリル樹脂(X)、及びポリエステルポリオール(Y)を含有する塗料組成物であって、前記変性アクリル樹脂(X)と前記ポリエステルポリオール(Y)との質量比(X/Y)が10/90~90/10であり、前記変性アクリル樹脂(X)が、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを原料としたポリカーボネートジオール(A)の存在下、メチルメタクリレート、水酸基を有する不飽和単量体(b1)、カルボキシル基を有する不飽和単量体(b2)及び炭素原子数が2~8のアルキル基を有する不飽和単量体(b3)を必須成分として含有する不飽和単量体混合物(B)を反応させて得られる変性アクリル樹脂であるものである。
変性アクリル樹脂(X)は、ポリカーボネートジオール(A)の存在下、不飽和単量体混合物(B)を反応させて得られる変性アクリル樹脂である。
前記ポリカーボネートジオール(A)は、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを原料としたポリカーボネートジオールであり、例えば、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールと、炭酸エステルまたはホスゲンとの反応により得られるものである。
前記不飽和単量体混合物(B)は、メチルメタクリレート、水酸基を有する不飽和単量体(b1)、カルボキシル基を有する不飽和単量体(b2)及び炭素原子数が2~8のアルキル基を有する不飽和単量体(b3)を必須成分として含有するものであり、前記不飽和単量体(b2)の質量比率が2~10質量%のものである。
前記水酸基を有する不飽和単量体(b1)としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、得られる塗膜の外観、耐水付着性、耐芳香剤性が優れることから、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、これらの不飽和単量体(b1)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基とアクリロイル基の一方又は両方をいう。
前記カルボキシル基を有する不飽和単量体(b2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はこれら不飽和ジカルボン酸のハーフエステルなどが挙げられる。これらの中でも、得られる塗膜の耐芳香剤性が優れることから、(メタ)アクリル酸が好ましい。また、これらの不飽和単量体(b2)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記炭素原子数が2~8のアルキル基を有する不飽和単量体(b3)としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、これらの不飽和単量体(b3)は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
さらに、前記不飽和単量体混合物(B)の成分として、上記の必須原料であるメチルメタクリレート、不飽和単量体(b1)、不飽和単量体(b2)、及び不飽和単量体(b3)以外のその他の単量体(b4)を用いても構わない。その他の単量体(b4)としては、例えば、メチルアクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、エチレングリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物などが挙げられる。また、これらの不飽和単量体は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記不飽和単量体混合物(B)は、メチル(メタ)アクリレート、前記不飽和単量体(b1)、前記不飽和単量体(b2)、及び前記不飽和単量体(b3)を必須成分として含有するものであるが、得られる塗膜の耐水性及び耐芳香剤性が優れることから、前記不飽和単量体混合物(B)中のメチル(メタ)アクリレートの質量比率は、30~95質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましい。
前記不飽和単量体混合物(B)中の前記不飽和単量体(b1)の質量比率は、塗膜の耐水性及び耐芳香剤性が優れることから、1~40質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましい。
前記不飽和単量体混合物(B)中の前記不飽和単量体(b2)の質量比率は、塗膜の耐水性及び耐芳香剤性が優れることから、2~10質量%が好ましく、3~8質量%がより好ましい。
前記不飽和単量体混合物(B)中の前記不飽和単量体(b3)の質量比率は、塗膜の耐水性及び耐芳香剤性が優れることから、1~30質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
また、前記不飽和単量体混合物(B)のFOXの式で計算されるガラス転移温度(以下、「設計Tg」と略称する。)は、得られる塗膜の耐薬品性が向上することから、60~110℃が好ましい。
なお、本発明において、FOXの式で計算されるガラス転移温度とは、
FOXの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・
(Tg:求めるべきガラス転移温度、W1:成分1の重量分率、Tg1:成分1のホモポリマーのガラス転移温度)
に従い計算により求めたものである。各成分のホモポリマーのガラス転移温度の値は
、Polymer Handbook(4th Edition)J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke著(Wiley Interscience)記載の値を用いた。
前記変性アクリル樹脂(X)を得る方法としては、前記ポリカーボネートジオール(A)及び溶剤の存在下、前記不飽和単量体混合物(B)をラジカル重合する方法が簡便であることから好ましい。
上記のラジカル重合法は、原料である各単量体を溶剤に溶解し、重合開始剤存在下で重合反応を行う方法である。この際に用いることができる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素化合物;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル化合物;n-ブタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール等のアルコール化合物;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール化合物;ヘプタン、ヘキサン、オクタン、ミネラルターペン等の脂肪族炭化水素化合物などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド化合物;1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(4,4-ジtert-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジtert-アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジtert-ヘキシルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジtert-オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール化合物;クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド化合物;1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジtert-ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド化合物;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド化合物;ビス(tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物;tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル化合物などの有機過酸化物と、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチル)ブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)等のアゾ化合物とが挙げられる。
また、前記ポリカーボネートジオール(A)と前記不飽和単量体混合物(B)との質量比(A/B)は、得られる塗膜の耐水付着性、及び耐芳香剤性がより向上することから、2/98~80/20の範囲が好ましく、3/97~70/30の範囲が好ましく、4/96~60/40の範囲がさらに好ましい。
前記変性アクリル樹脂(X)の水酸基価は、得られる塗膜の耐芳香剤性がより向上することから、20~150mgKOH/gが好ましく、60~130がより好ましい。
前記変性アクリル樹脂(X)の重量平均分子量(Mw)は、得られる塗膜の耐水付着性、及び耐芳香剤性がより向上することから、2,000~50,000が好ましく、4,000~30,000がより好ましい。ここで、重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する。)測定に基づきポリスチレン換算した値である。
前記ポリエステルポリオール(Y)は、エステル結合を複数有するポリオールであり、例えば、ポリカルボン酸とポリオールとの反応により得られる。
前記ポリエステルポリオール(Y)の水酸基価は、得られる塗膜の基材への密着性、耐水性、及び耐芳香剤性等の物性と、ソフトフィール性とのバランスがより向上することから、20~200mgKOH/gが好ましく、40~180mgKOH/gがより好ましい。
また、前記ポリエステルポリオール(Y)の数平均分子量は、得られる塗膜の基材への密着性、耐水性、及び耐芳香剤性等の物性と、ソフトフィール性とのバランスがより向上することから、1,000~8000が好ましく、1,300~6,000がより好ましい。
本発明の塗料組成物は、前記変性アクリル樹脂(X)と前記ポリエステルポリオール(Y)との質量比(X/Y)は、10/90~90/10であるが、得られる塗膜の基材への密着性、耐水性、及び耐芳香剤性等の物性と、ソフトフィール性とのバランスがより向上することから、20/80~80/20が好ましく、25/75~75/25がより好ましい。
また、前記変性アクリル樹脂(X)の水酸基(OHX)と前記ポリエステルポリオール(Y)の水酸基(OHY)とのモル比(OHX/OHY)は、得られる塗膜の基材への密着性、耐水性、及び耐芳香剤性等の物性と、ソフトフィール性とのバランスがより向上することから、90/10~15/85が好ましく、80/20~25/75がより好ましい。
本発明の塗料組成物は、前記変性アクリル樹脂(X)及び前記ポリエステルポリオール(Y)を含有するものであるが、得られる塗膜の物性がより向上することから、硬化剤を含有するものであることが好ましい。
前記硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、アミノ樹脂等が挙げられるが、得られる塗膜の耐水付着性、及び耐芳香剤性が優れることから、ポリイソシアネート化合物が好ましい。また、これらの硬化剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、m-フェニレンビス(ジメチルメチレン)ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2-メチル-1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、2-メチル-1,5-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネート化合物などが挙げられる。
また、前記ポリイソシアネート化合物として、上記のジイソシアネート化合物を多価アルコールと付加反応させて得られるイソシアネート基を有するプレポリマー;上記のジイソシアネート化合物を環化三量化させて得られるイソシアヌレート環を有する化合物;上記のジイソシアネート化合物を水と反応させて得られる尿素結合やビュレット結合を有するポリイソシアネート化合物;2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート等のイソシアネート基を有するアクリル単量体の単独重合体;前記イソシアネート基を有するアクリル単量体と、その他のアクリル単量体、ビニルエステル化合物、ビニルエーテル化合物、芳香族ビニル単量体、フルオロオレフィン等の単量体と共重合することによって得られるイソシアネート基を有する共重合体なども用いることができる。
上記のポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
前記硬化剤がポリイソシアネート化合物である場合の配合量としては、高強度の塗膜が得られることから、ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基と、本発明の変性アクリル樹脂中の水酸基との当量比(イソシアネート基/水酸基)で、0.5~2.0が好ましく、0.7~1.3がより好ましい。
なお、上記のウレタン化反応は、反応の進行を促進させるため、ウレタン化触媒の存在下で行うこともできる。前記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン等のアミン化合物、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル酸錫等の有機錫化合物、オクチル酸亜鉛(2-エチルヘキサン酸亜鉛)等の有機金属化合物などが挙げられる。
本発明の塗料組成物には、塗膜により強いソフトフィール性を付与するため、艶消し剤を配合することが好ましい。前記艶消し剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、クレイ、カオリン、シリカ等の無機粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、シリコーン、メラミン、ポリブタジエン、ポリエチレン、ナイロン等の有機粒子が挙げられる。これらの中でも、耐芳香剤性等の物性と、ソフトフィール性とのバランスがより向上することから、無機粒子が好ましく、シリカ粒子がより好ましい。前記シリカ粒子の平均粒子径としては、1~20μmが好ましく、5~15μmがより好ましい。なお、平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分析計で測定したものである。また、これらの艶消し剤は、単独で用いることも2種以上併用することもできる。
本発明の塗料組成物中の前記艶消し剤の含有量としては、ソフトフィール性と塗膜平滑性とのバランスがより向上することから、変性アクリル樹脂(X)及びポリエステルポリオール(Y)の合計100質量部に対し、5~100質量部が好ましく、8~80質量部がより好ましく、8~30質量部がさらに好ましい。
本発明の塗料組成物は、上記以外のその他の配合物として、溶剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤、レベリング剤、顔料分散剤等の添加剤を使用することができる。また、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミニウム粉末、銅粉末、雲母粉末、酸化鉄、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、トルイジンレッド、ペリレン、キナクリドン、ベンジジンイエロー等の顔料を使用することもできる。
本発明の塗料組成物に使用される上記した各原料は、バイオマス原料を使用することもできる。
本発明の塗料組成物は、プラスチック基材との付着性、耐水付着性、及び耐芳香剤性に優れるとともに、ソフトフィール性が強い塗膜を得られることから、プラスチック成形品等の物品を塗装する塗料として好適に用いることができるが、本発明の塗料を塗装することのできる物品としては、自動車、鉄道車輌等の各種車輌の内外装、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、パソコン、デジタルカメラ、ゲーム機等の電子機器の筐体;テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン等の家電製品の筐体;家具、インテリア;3D成形品などが挙げられる。
本発明の塗料組成物の塗装方法としては、例えば、スプレー、アプリケーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、コンマコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、キスコーター、シャワーコーター、ホイーラーコーター、スピンコーター、ディッピング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。また、塗装後、塗膜とする方法としては、常温~120℃で乾燥させる方法が挙げられる。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。なお、本発明において、水酸基価は、JIS試験方法K 0070-1992に準拠して測定したものである。また、重量平均分子量(Mw)は、下記のGPC測定条件で測定したものである。
[GPC測定条件]
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度4mg/mLのテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A-5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F-550」
(合成例1:変性アクリル樹脂(X-1)の合成)
冷却菅、温度計、滴下漏斗、および攪拌機を備えたフラスコに、ポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ株式会社製「デュラノールT5650J」、水酸基価140、数平均分子量800)400質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500質量部を加え、内温を120℃まで上げた。次いで、メチルメタクリレート450質量部、エチルアクリレート30質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート70質量部、メタクリル酸50質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、及びtert-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート40質量部の混合物(設計Tg79℃)を5時間にわたって滴下した。滴下終了後も同温度で17時間反応を継続した後、不揮発分60質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、質量比(A/B)が40/60、固形分水酸基価が100、重量平均分子量が12,600である変性アクリル樹脂(X-1)の溶液を得た。
(合成例2:変性アクリル樹脂(X-2)の合成)
冷却菅、温度計、滴下漏斗、および攪拌機を備えたフラスコに、前記ポリカーボネートジオール80質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート350質量部を加え、内温を135℃まで上げた。次いで、メチルメタクリレート325質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート313質量部、メタクリル酸6質量部、シクロへキシルメタクリレート276質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート300質量部、tert-ブチルパーオキシベンゾエート10質量部からなる混合物(設計Tg44℃)を5時間にわたって滴下した。滴下終了後も同温度で17時間反応を継続した後、不揮発分60質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、質量比(A/B)が8/92、固形分水酸基価が163、重量平均分子量が8,900である変性アクリル樹脂(X-2)の溶液を得た。
(合成例2:未変性アクリル樹脂(1)の合成)
冷却菅、温度計、滴下漏斗、および攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500質量部を加え、内温を120℃まで上げた。次いで、メチルメタクリレート770質量部、エチルアクリレート50質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート150質量部、メタクリル酸30質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、及びtert-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート40質量部の混合物(設計Tg73℃)を5時間にわたって滴下した。滴下終了後も同温度で17時間反応を継続した後、不揮発分60質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈し、質量比(A/B)が0/100、固形分水酸基価が73、重量平均分子量が12,600である未変性アクリル樹脂(1)の溶液を得た。
(実施例1:塗料組成物(1)の調製及び評価)
合成例1で得た変性アクリル樹脂(X-1)の溶液と、ポリエステルポリオール(Y-1)の溶液(DIC株式会社製「バーノック D7-885-NT」、固形分水酸基価102、不揮発分80%)とを固形分質量比が70/30となるよう配合し、主剤(1)を得た。この主剤(1)の質量比(X/Y)は70/30であり、モル比(XOH/YOH)は50/50であった。
次いで、主剤(1)の固形分に対し、艶消し剤(1)(エボニック インダストリーズAG社製「ACEMATT 3300」、平均粒子径9.5μm)13質量%、レベリング剤(ビックケミー ジャパン株式会社製「BYK-331」)0.5質量%、硬化触媒(日東化成社製「ネオスタン U-100」)0.1質量%、及び硬化剤(住化コベストロウレタン株式会社製「スミジュール N-3300」、不揮発分100%、NCO%21.9%)を配合した。なお、硬化剤は、(主剤中の水酸基当量):(硬化剤のイソシアネート基当量)=1:1となる量を配合した。その後、粘度がアネスト岩田株式会社製「粘度カップNK-2」で9~10秒(23℃)になるように混合溶剤(メチルイソブチルケトン/ダイアセトンアルコール/酢酸エチル/酢酸イソブチル=30/30/30/10(質量比))を用いて希釈し、塗料組成物(1)を調製した。
[評価用硬化塗膜Yの作製]
[付着性の評価]
上記で得た塗料(1)を、PC(ポリカーボネート)基材(50mm×70mm×1mm)に乾燥後の膜厚が20~30μmとなるようにスプレー塗装し、乾燥機にて80℃で30分間加熱乾燥した後、25℃で7日間乾燥して評価用硬化塗膜を作製した。
上記で得た評価用硬化塗膜Xの上にカッターで1mm幅の切込みを入れ碁盤目の数を100個とした。次いで、全ての碁盤目を覆うようにセロハンテープを貼り付け、すばやく引き剥がす操作を4回行い、付着して残っている碁盤目の数から、下記の基準により付着性を評価した。
○:100個
△:70~99個
×:69個以下
[耐水付着性の評価]
上記付着性の評価と同様にして得た評価用硬化塗膜を40℃の水に240時間浸漬した後、上記付着性評価と同様の操作を行い、下記の基準により耐水付着性を評価した。
○:100個
△:70~99個
×:69個以下
[耐芳香剤性の評価]
上記で得た塗料(1)を、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)基材(50mm×70mm×1mm)に乾燥後の膜厚が20~30μmとなるようにスプレー塗装し、乾燥機にて80℃で30分間加熱乾燥した後、25℃で7日間乾燥して評価用硬化塗膜を作製した。
上記で得た評価用硬化塗膜上に、芳香剤(リトルツリーエアフレッシュナー「ロイヤルパイン」)を15mm×15mmにカットしたものを載せ、500gの分銅で荷重をかけながら74℃で4時間乾燥した後、芳香剤を取り除き、塗膜外観を目視で観察し、下記基準により耐芳香剤性を評価した。
◎:痕跡なし
〇:わずかに痕跡あり
△:痕跡あり
×:基材の素地が露出
[触感の評価]
上記付着性の評価と同様にして得た評価用硬化塗膜の表面を指で触り、下記の基準により触感を評価した。
◎:ソフトフィール性が非常に強い
○:ソフトフィール性が強い
△:ソフトフィール性が弱い
×:ソフトフィール性がない
(実施例2:塗料組成物(2)の調製及び評価)
質量比(X/Y)を50/50に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(2)を調製した。
(実施例3:塗料組成物(3)の調製及び評価)
変性アクリル樹脂(X-1)の溶液を、変性アクリル樹脂(X-2)の溶液に変更し、質量比(X/Y)を50/50に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(3)を調製した。
(実施例4:塗料組成物(4)の調製及び評価)
艶消し剤(1)を艶消し剤(2)(エボニック インダストリーズAG社製「ACEMATT OK520」、平均粒子径6.5μm)に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(4)を調製した。
(実施例5:塗料組成物(5)の調製及び評価)
ポリエステルポリオール(Y-1)の溶液をポリエステルポリオール(Y-2)(DIC株式会社製「バーノック D-161」、不揮発分100%、固形分水酸基価170)に変更し、質量比(X/Y)を30/70に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(5)を調製した。
(実施例6:塗料組成物(6)の調製及び評価)
変性アクリル樹脂(X-1)の溶液を変性アクリル樹脂(X-2)の溶液に変更し、ポリエステルポリオール(Y-1)の溶液をポリエステルポリオール(Y-2)に変更し、質量比(X/Y)を30/70に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(6)を調製した。
(実施例7:塗料組成物(7)の調製及び評価)
ポリエステルポリオール(Y-1)の溶液をポリエステルポリオール(Y-2)に変更し、質量比(X/Y)を30/70に変更し、艶消し剤(1)13質量%を艶消し剤(2)16質量%に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(7)を調製した。
(比較例1:塗料組成物(R1)の調製)
変性アクリル樹脂(X-1)の溶液を未変性アクリル樹脂(1)の溶液に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(R1)を調製した。
(比較例2:塗料組成物(R2)の調製)
ポリエステルポリオール(Y-1)の溶液を未変性アクリル樹脂(1)の溶液に変更した以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(R2)を調製した。
(比較例3:塗料組成物(R3)の調製)
ポリエステルポリオール(Y-1)の溶液を配合しなかった以外は実施例1と同様にして、塗料組成物(R3)を調製した。
上記で得られた塗料組成物(1)~(5)の樹脂組成及び評価結果を表1に示す。
Figure 2024005582000001
上記で得られた塗料組成物(6)~(7)及び(R1)~(R3)の樹脂組成及び評価結果を表2に示す。
Figure 2024005582000002
本発明の塗料樹脂組成物である実施例1~5から得られる硬化塗膜は、付着性、耐水付着性、耐芳香剤性、及びソフトフィール性に優れることが確認された。
一方、比較例1は、変性アクリル樹脂(X)の代わりに未変性アクリル樹脂を使用した例であるが、耐水付着性及びソフトフィール性が不十分であることが確認された。
比較例2は、ポリエステルポリオール(Y)の代わりに未変性アクリル樹脂を使用した例であるが、ソフトフィール性が不十分であることが確認された。
比較例3は、ポリエステルポリオール(Y)を使用しなかった例であるが、ソフトフィール性が不十分であることが確認された。

Claims (4)

  1. 変性アクリル樹脂(X)、及びポリエステルポリオール(Y)を含有する塗料組成物であって、前記変性アクリル樹脂(X)と前記ポリエステルポリオール(Y)との質量比(X/Y)が10/90~90/10であり、前記変性アクリル樹脂(X)が、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを原料としたポリカーボネートジオール(A)の存在下、メチルメタクリレート、水酸基を有する不飽和単量体(b1)、カルボキシル基を有する不飽和単量体(b2)及び炭素原子数が2~8のアルキル基を有する不飽和単量体(b3)を必須成分として含有する不飽和単量体混合物(B)を反応させて得られる変性アクリル樹脂であることを特徴とする塗料組成物。
  2. 前記変性アクリル樹脂(X)の水酸基(OHX)と前記ポリエステルポリオール(Y)の水酸基(OHY)とのモル比(OHX/OHY)が、90/10~15/85である請求項1記載の塗料組成物。
  3. 請求項1又は2記載の塗料組成物、及び硬化剤を含有することを特徴とする塗料組成物。
  4. 請求項3記載の塗料組成物で塗装されたことを特徴とする物品。
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