JP2024004349A - 金属微粒子含有インク - Google Patents

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Abstract

【課題】常温より高い温度環境下においても保存安定性に優れ、かつ低温焼結性に優れる印刷物を得ることができる金属微粒子含有インク、及び該金属微粒子含有インクを用いる印刷物の製造方法を提供する。【解決手段】金属微粒子A、ポリマーB、カルボン酸C、アミンD、及び有機溶剤Eを含有する金属微粒子含有インクであって、ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位と、疎水性モノマー(b-2)由来の構成単位と、ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーであり、カルボン酸Cが、ギ酸、乳酸、及びピルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、有機溶剤Eが、(ポリ)アルキレングリコールE-1を含む、金属微粒子含有インク、及び該金属微粒子含有インクを用いる印刷物の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、金属微粒子含有インク、及び該金属微粒子含有インクを用いる印刷物の製造方法に関する。
金属微粒子は焼結により、導電性を有する金属膜を形成することができるため、各種電子部品における回路や電極の形成又は部材の接合等に用いられている。
例えば、特許文献1では、十分な導電性及び基板との良好な密着性を有する導電膜パターンを低温で焼成することができる転写印刷用導電性インクの提供を目的として、金属微粒子と、エタノールを含む溶媒と、水酸基を有する高沸点溶剤0.1~3.0質量%と、を含む転写印刷用導電性インクが記載され、該導電性インクが、銀微粒子と、炭素数が5以下であり分配係数logPが-1.0~1.4である短鎖アミンと、高極性溶媒と、該銀微粒子を分散させるための酸価を有する分散剤と、を含む銀微粒子分散体を含むことが記載されている。
国際公開第2016/084312号
従来、金属微粒子を含有するインクを用いて金属膜を形成する場合には、高温下で該金属微粒子を焼結する方法が採用されてきた。しかしながら、金属膜が形成された印刷物の用途展開に伴い、できるだけ低い温度で金属微粒子の焼結が進行し、導電性に優れる金属膜が形成された印刷物を得ることができる金属微粒子含有インクが求められている。
しかしながら、低温で焼結できる金属微粒子含有インクは、金属微粒子の低温焼結性を確保する観点からは、金属微粒子の分散安定性が損なわれることとなり、良好な分散安定性の維持するために常温(25℃)以下での保管を要するといった取り扱い難さを有することがある。そのため、常温より高い温度環境下においても金属微粒子の分散安定性を良好に維持できる保存安定性と、低温で焼結させた場合でも低い体積抵抗率を発現させることができる低温焼結性とを両立することができる金属微粒子含有インクが求められている。しかしながら、特許文献1の技術では、保存安定性が十分でないことが判明した。
本発明は、常温より高い温度環境下においても保存安定性に優れ、かつ低温焼結性に優れる印刷物を得ることができる金属微粒子含有インク、及び該金属微粒子含有インクを用いる印刷物の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、金属微粒子、ポリマー、カルボン酸、アミン、有機溶剤を含有する金属微粒子含有インクであって、該ポリマーが特定の構成単位を含むビニル系ポリマーであり、該カルボン酸がギ酸、乳酸、及びピルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、該有機溶剤が(ポリ)アルキレングリコールを含むことにより、金属微粒子の分散安定性が向上し、常温より高い温度環境下における保存安定性を向上させつつ、低温で金属微粒子を焼結させて優れた導電性を有する金属膜を形成することができ、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]金属微粒子A、ポリマーB、カルボン酸C、アミンD、及び有機溶剤Eを含有する金属微粒子含有インクであって、
ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位と、疎水性モノマー(b-2)由来の構成単位と、ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーであり、
カルボン酸Cが、ギ酸、乳酸、及びピルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
有機溶剤Eが、(ポリ)アルキレングリコールE-1を含む、金属微粒子含有インク。
[2]前記[1]に記載の金属微粒子含有インクを用いて基材に印刷し、該基材に金属膜が形成された印刷物を得る、印刷物の製造方法。
本発明によれば、常温より高い温度環境下においても保存安定性に優れ、かつ低温焼結性に優れる印刷物を得ることができる金属微粒子含有インク、及び該金属微粒子含有インクを用いる印刷物の製造方法を提供することができる。
[金属微粒子含有インク]
本発明の金属微粒子含有インク(以下、「本発明のインク」ともいう)は、金属微粒子A、ポリマーB、カルボン酸C、アミンD、及び有機溶剤Eを含有し、ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位と、疎水性モノマー(b-2)由来の構成単位と、ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーであり、カルボン酸Cが、ギ酸、乳酸、及びピルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、有機溶剤Eが、(ポリ)アルキレングリコールE-1を含む。
本発明によれば、常温より高い温度環境下においても保存安定性に優れ、かつ低温焼結性に優れる印刷物を得ることができるという効果を奏する。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明のインクに含まれる金属微粒子Aは、ポリマーBとしてカルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位と、疎水性モノマー(b-2)由来の構成単位と、ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーで分散されており、該ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)由来の構成単位が、インク中に共存するカルボン酸C及びアミンDによるイオン性の影響を受けない立体反発力による金属微粒子Aの高い分散安定性を発現させることができ、常温より高い温度環境下における金属微粒子含有インクの保存安定性を向上させることができると考えられる。
また、印刷前のインクの状態では、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位が、その弱酸性に基づく適度な強度のイオン反発力を発現して金属微粒子Aの分散安定性を向上に寄与し、基材に印刷した後では、有機溶剤Eの蒸発過程においてインク中に共存するカルボン酸C及びアミンDがそれらの電気的な相互作用により金属微粒子Aの表面に接近し、疎水性モノマー(b-2)由来の構成単位が互いに凝集することで、ポリマーBが金属微粒子Aから脱離して金属微粒子の分散安定性を低下させ、金属微粒子同士の接合が進み、低温で焼結させた場合でも低い体積抵抗率を発現させることができると推察され、その結果、常温より高い温度環境下における優れた保存安定性と低温焼結性とを両立することができると考えられる。
以下、常温より高い温度環境下における金属微粒子含有インクの保存安定性を「高温保存安定性」と称する。
<金属微粒子A>
本発明に係る金属微粒子Aは、インク中でポリマーBによって安定に微分散された状態が維持されている。
金属微粒子Aを構成する金属(金属原子)は、チタン、ジルコニウム等の第4族の遷移金属、バナジウム、ニオブ等の第5族の遷移金属;クロム、モリブデン、タングステン等の第6族の遷移金属;マンガン、テクネチウム、レニウム等の第7族の遷移金属;鉄、ルテニウム等の第8族の遷移金属;コバルト、ロジウム、イリジウム等の第9族の遷移金属;ニッケル、パラジウム、白金等の第10族の遷移金属;銅、銀、金等の第11族の遷移金属;亜鉛、カドミウム等の第12族の遷移金属;アルミニウム、ガリウム、インジウム等の第13族の金属;ゲルマニウム、スズ、鉛等の第14族の金属などからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、体積抵抗率を低減させて低温焼結性を向上させる観点から、金属微粒子Aを構成する金属(金属原子)は、好ましくは銅、ニッケル、金、銀、白金、及びパラジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは金、銀、銅、及びニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは銀を含み、より更に好ましくは銀である。
金属微粒子Aを構成する金属(金属原子)が銀を含む場合、金属微粒子Aを構成する金属(金属原子)中の銀の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは99.99質量%以上であり、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで、「実質的に100質量%」とは、意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、例えば、不可避的不純物が挙げられる。
金属微粒子Aに含まれる金属の種類は、高周波誘導結合プラズマ発光分析法により確認することができる。
<ポリマーB>
本発明に係る金属微粒子Aは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、ポリマーBで分散されてなる。
ポリマーBは、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位と、疎水性モノマー(b-2)由来の構成単位と、ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーである。
〔カルボキシ基を有するモノマー(b-1)〕
ポリマーBは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)(以下、「モノマー(b-1)」ともいう)由来の構成単位を含む。
モノマー(b-1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2-メタクリロイルオキシメチルコハク酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸などが挙げられる。なお、前記不飽和ジカルボン酸は無水物であってもよい。モノマー(b-1)は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いてもよい。
モノマー(b-1)は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは(メタ)アクリル酸及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはアクリル酸及びマレイン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはアクリル酸とマレイン酸との併用である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を意味する。以下における「(メタ)アクリル酸」も同義である。
〔疎水性モノマー(b-2)〕
ポリマーBは、金属微粒子の分散安定性を向上させ、金属微粒子の分散安定性を印刷前のインク中における状態と印刷後のインク被膜における状態とで適切に制御し、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、疎水性モノマー(b-2)(以下、「モノマー(b-2)」ともいう)由来の構成単位を含む。
本明細書において「疎水性モノマー」とは、モノマーを25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることをいう。モノマー(b-2)の前記溶解量は、前記と同様の観点から、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下である。
モノマー(b-2)は、スチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
本明細書において「(メタ)アクリル酸エステル系モノマー」とは、アクリル酸エステル系モノマー及びメタクリル酸エステル系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
スチレン系モノマーとしては、金属微粒子の分散安定性を向上させ、金属微粒子の分散安定性を印刷前のインク中における状態と印刷後のインク被膜における状態とで適切に制御し、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくはスチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、4-ビニルトルエン(4-メチルスチレン)、ジビニルベンゼン(ビニルスチレン)等のスチレン及びスチレン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはスチレン及びα-メチルスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル、脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、金属微粒子の分散安定性を印刷前のインク中における状態と印刷後のインク被膜における状態とで適切に制御し、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくはフェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはベンジル(メタ)アクリレートである。
本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である。
脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、金属微粒子の分散安定性を印刷前のインク中における状態と印刷後のインク被膜における状態とで適切に制御し、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは炭素数1以上22以下の脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有するものである。
脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート;イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の分岐鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、より好ましくは炭素数6以上10以下のアルキル基を有するものである。
モノマー(b-2)は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いてもよい。
モノマー(b-2)は、金属微粒子の分散安定性を印刷前のインク中における状態と印刷後のインク被膜における状態とで適切に制御し、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくはスチレン系モノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはスチレン、スチレン誘導体、芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル、及び脂肪族アルコール由来の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはスチレン及びスチレン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より更に好ましくはスチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、及び4-ビニルトルエン(4-メチルスチレン)からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より更に好ましくはスチレン及びα-メチルスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より更に好ましくはスチレンとα-メチルスチレンとの併用である。
〔ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)〕
ポリマーBは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)(以下、「モノマー(b-3)」ともいう)由来の構成単位を含む。
モノマー(b-3)としては、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(b-3)は、1種を単独で又は2種以上を併用して用いてもよい。
モノマー(b-3)は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート及びアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートである。該アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートのアルコキシ基の炭素数は、前記と同様の観点から、好ましくは1以上8以下、より好ましくは1以上4以下である。
アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、メトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(b-3)のポリオキシアルキレン基は、好ましくは炭素数2以上4以下のアルキレンオキシド由来の単位を含む。前記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、該ポリオキシアルキレン基は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、より好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種由来の単位を含み、更に好ましくはエチレンオキシド由来の単位を含み、より更に好ましくはエチレンオキシド由来の単位及びプロピレンオキシド由来の単位を含む。
前記ポリオキシアルキレン基中のアルキレンオキシド由来の単位数は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは7以上であり、そして、好ましくは100以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは50以下、より更に好ましくは45以下、より更に好ましくは40以下、より更に好ましくは35以下である。
前記ポリオキシアルキレン基は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、エチレンオキシド由来の単位とプロピレンオキシド由来の単位を含む共重合体であることが好ましい。エチレンオキシド由来の単位(EO)とプロピレンオキシド由来の単位(PO)とのモル比[EO/PO]は、好ましくは60/40以上、より好ましくは65/35以上、更に好ましくは70/30以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下、更に好ましくは80/20以下である。
エチレンオキシド由来の単位とプロピレンオキシド由来の単位を含む共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
商業的に入手しうるモノマー(b-3)の具体例としては、新中村化学工業株式会社製のNKエステルAM-90G、同AM-130G;NKエステルAMP-20GY;NKエステルM-20G、同40G、同90G、同230G等;日油株式会社製のブレンマーPE-90、同200、同350等;ブレンマーPME-100、同200、同400、同1000、同4000等;ブレンマーPP-500、同800、同1000等;ブレンマーAP-150、同400、同550等;ブレンマー50PEP-300、ブレンマー50POEP-800B、ブレンマー43PAPE-600B等が挙げられる。
(ポリマーBの各構成単位の含有量)
ポリマーB中の、モノマー(b-1)由来の構成単位、モノマー(b-2)由来の構成単位、及びモノマー(b-3)由来の構成単位の含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、次のとおりである。
モノマー(b-1)の含有量は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上であり、そして、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下、更に好ましくは30モル%以下、より更に好ましくは25モル%以下である。
モノマー(b-2)の含有量は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは65モル%以上であり、そして、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下、更に好ましくは80モル%以下である。
モノマー(b-3)の含有量は、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは7モル%以上であり、そして、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下である。
ポリマーB中のモノマー(b-1)由来の構成単位の含有量に対するモノマー(b-3)由来の構成単位の含有量のモル比〔モノマー(b-1)/モノマー(b-3)〕は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは3以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは2以下である。
ポリマーB中のモノマー(b-1)由来の構成単位及びモノマー(b-3)由来の構成単位の合計含有量は、好ましくは8モル%以上、より好ましくは10モル%以上、更に好ましくは15モル%以上、より更に好ましくは20モル%以上であり、そして、好ましくは70モル%以下、より好ましくは50モル%以下、更に好ましくは40モル%以下である。
ポリマーB中のモノマー(b-1)由来の構成単位、モノマー(b-2)由来の構成単位、及びモノマー(b-3)由来の構成単位の合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上、より更に好ましくは98モル%以上、より更に好ましくは実質的に100モル%である。ここで「実質的に100モル%」とは、意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、例えば、上記各モノマー成分中が不純物を含有することを許容することを意味する。
ポリマーBは、公知の方法で合成したものを用いてよく、市販品を用いてもよい。ポリマーBの市販品としては、BYK社製のDISPERBYK-190、同2015等が挙げられる。
本発明のインクは、ポリマーB以外の他のポリマーを含有してもよいが、本発明のインク中に含まれるポリマーの総量中のポリマーBの含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、ポリマーBに意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、例えば、ポリマーB中に意図せずに混入する不純物であってポリマーの形態をとっているものを意味する。
ポリマーBの数平均分子量Mnは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、体積抵抗率を低減させて低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは3,000以上、より更に好ましくは4,000以上であり、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは50,000以下、更に好ましくは30,000以下、より更に好ましくは10,000以下、より更に好ましくは6,000以下である。前記数平均分子量Mnは、実施例に記載の方法により測定される。
ポリマーBの酸価は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上、より更に好ましくは20mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは400mgKOH/g以下、より好ましくは300mgKOH/g以下、更に好ましくは200mgKOH/g以下、より更に好ましくは100mgKOH/g以下、より更に好ましくは70mgKOH/g以下、より更に好ましくは50mgKOH/g以下、より更に好ましくは35mgKOH/g以下である。ポリマーBの酸価は、実施例に記載の方法により測定される。また、ポリマーBの酸価は、構成するモノマーの質量比から算出することもできる。
<カルボン酸C>
本発明に係るカルボン酸Cは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、ギ酸、乳酸、及びピルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。カルボン酸Cは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボン酸Cの1気圧での沸点は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは100℃超、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上であり、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは170℃以下、より更に好ましくは150℃以下、より更に好ましくは135℃以下である。なお、カルボン酸Cとして2種以上を用いる場合には、カルボン酸Cの沸点は加重平均値として算出される。
カルボン酸Cは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくはギ酸及び乳酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくは乳酸を含む。
カルボン酸C中のギ酸、乳酸、及びピルビン酸の合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、ギ酸、乳酸、及びピルビン酸に意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、カルボン酸C中に意図せずに混入する不純物であってカルボン酸の形態を有するものを意味する。例えば、カルボン酸C中に意図せずに混入する不純物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸(イソブタン酸)、ヘキサン酸、グリオキシル酸等が挙げられる。
カルボン酸Cがギ酸及び乳酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む場合、カルボン酸C中のギ酸及び乳酸の合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、ギ酸及び乳酸に意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、カルボン酸C中に意図せずに混入する不純物であってカルボン酸の形態を有するものを意味する。例えば、カルボン酸C中に意図せずに混入する不純物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソブタン酸、ヘキサン酸、グリオキシル酸等が挙げられる。
カルボン酸Cが乳酸を含む場合、カルボン酸C中の乳酸の含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、乳酸に意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、カルボン酸C中に意図せずに混入する不純物であってカルボン酸の形態を有するものを意味する。例えば、カルボン酸C中に意図せずに混入する不純物の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソブタン酸、ヘキサン酸、グリオキシル酸等が挙げられる。
<アミンD>
本発明のインクは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、アミンDを含有する。アミンDは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミンDの炭素数は、特に制限はないが、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは3以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下である。
アミンDは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミンDとしては、アルキルアミン、アルカンジアミン、アルカノールアミン、アミノアルカンジオール、アルコキシアミン、複素環式アミン等が挙げられる。
アルキルアミンとしては、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n-プロピルアミン、ジ-n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、tert-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジエチルメチルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N-メチルペンチルアミン等が挙げられる。
アルカンジアミンとしては、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、n-プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ネオペンタノールアミン、4-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-n-ブチルエタノールアミン、N-tert-ブチルエタノールアミン、4-エチルアミノ-1-ブタノール、3-(メチルアミノ)-1-プロパノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N,N-ジメチルイソプロパノールアミン、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-プロパノール、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン等が挙げられる。
アミノアルカンジオールとしては、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-(メチルアミノ)-1,2-プロパンジオール、3-(ジメチルアミノ)-1,2-プロパンジオール等が挙げられる。
アルコキシアミンとしては、2-メトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、2-メトキシプロピルアミン、3-エトキシプロピルアミン、1-メトキシ-sec-ブチルアミン、4-メトキシブチルアミン等が挙げられる。
複素環式アミンとしては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ヒドロキシエチルピペラジン、モルホリン等が挙げられる。
さらに、上記のアルキルアミン、アルカンジアミン、アルカノールアミン、アミノアルカンジオール、アルコキシアミン、複素環式アミン以外のアミンとしては、アリルアミン;アニリン;エチレンジアミン等のアルキレンジアミン;ジエチレングリコールアミン等が挙げられる。
アミンDの1気圧での沸点は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、更に好ましくは100℃以上、より更に好ましくは110℃以上であり、そして、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは130℃以下、より更に好ましくは120℃以下である。なお、アミンDとして2種以上を用いる場合には、アミンDの沸点は加重平均値として算出される。
アミンDは、少なくとも1個の、第一級アミノ基、第二級アミノ基、又は第三級アミノ基を含むものであるが、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、第一級アミノ基を1個有するものが好ましい。
第一級アミノ基を1個有するアミンとしては、同一分子中にアミノ基以外の官能基を有していることが好ましい。該官能基としては、例えば、アルコキシ基、ヒドロキシ基等のヘテロ原子を含む官能基が挙げられる。これらの中でも、第一級アミノ基を1個有するアミンは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、アルコキシ基を有するものが好ましい。すなわち、本発明のインクは、前記と同様の観点から、アミンDが第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンを含むものであることが好ましい。
アミンDが第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンを含むことにより、金属微粒子の分散安定性が向上し、常温より高い温度環境下においても保存安定性に優れ、かつ低温焼結性に優れる印刷物を得ることができるという効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンは、分子内に窒素原子の非共有電子対及び酸素原子の非共有電子対という電子供与性の異なる二種類の非共有電子対を有することで、金属微粒子との相互作用力を環境に応じて発現すると考えられる。さらに、アミノ基が第一級アミノ基であると、窒素原子の非共有電子対の周囲における立体的障害が小さいために金属微粒子に効率よく非共有電子対を供与でき、アルコキシ基の酸素原子の非共有電子対の電子供与力との差が広がり、相互作用力の幅を広くとることができるようになり、常温より高い温度環境下における急激な分散安定性の低下を抑制することができると考えられる。
また、第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンは、後述する有機溶剤Eに含まれる(ポリ)アルキレングリコールE-1と類似の構造部分を有することから、該(ポリ)アルキレングリコールE-1とより特異的な相互作用を発現すると考えられる。さらに、アルコキシ基を有するアミンであると、同じ酸素原子を有する官能基であるヒドロキシ基を有するアミンと比べて、(ポリ)アルキレングリコールE-1との構造の類似性が高いため、(ポリ)アルキレングリコールE-1とより強い相互作用を発現できると考えられる。その結果、第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンは、印刷前の(ポリ)アルキレングリコールE-1が多量に存在するインク中における状態では、(ポリ)アルキレングリコールE-1による金属微粒子の直接の溶媒和による分散安定性の向上効果が発現し、さらに金属微粒子を分散させているポリマーBが有するモノマー(b-1)のカルボキシ基との相互作用により、第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンの金属微粒子表面への吸着による直接的な分散安定性の向上効果の発現によって良好な分散安定性を維持すると考えられる。一方、印刷後に(ポリ)アルキレングリコールE-1が蒸発して存在量が僅少になったインク被膜における状態では(ポリ)アルキレングリコールE-1と共に第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンの大部分も蒸発しており、金属微粒子の分散安定性を極度に低下させて、金属微粒子の分散安定性の差を顕著に変化させることができると考えられ、常温より高い温度環境下における保存安定性を向上させつつ、低温で焼結させた場合でも金属微粒子の接合を強固にして低い体積抵抗率の発現することができると考えられる。当該観点から、アミンDは、好ましくは3-メトキシプロピルアミン、2-メトキシプロピルアミン、及び3-エトキシプロピルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくは3-メトキシプロピルアミン及び2-メトキシプロピルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、更に好ましくは3-メトキシプロピルアミンを含む。
アミンDが第一級アミノ基を1個有するアミンを含む場合、アミンD中の第一級アミノ基を1個有するアミンの含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、例えば、上記第一級アミノ基を1個有するアミン中に不純物として含まれる上記第一級アミノ基を1個有するアミン以外のアミンD成分が挙げられる。
アミンDが第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンを含む場合、アミンD中の第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンの含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。例えば、上記第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミン中に不純物として含まれる上記第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミン以外のアミンD成分が挙げられる。
アミンDが3-メトキシプロピルアミン、2-メトキシプロピルアミン、及び3-エトキシプロピルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む場合、アミンD中の3-メトキシプロピルアミン、2-メトキシプロピルアミン、及び3-エトキシプロピルアミンの合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、3-メトキシプロピルアミン、2-メトキシプロピルアミン、及び3-エトキシプロピルアミンに意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。例えば、3-メトキシプロピルアミン、2-メトキシプロピルアミン、及び3-エトキシプロピルアミンに不純物として含まれる3-メトキシプロピルアミン、2-メトキシプロピルアミン、及び3-エトキシプロピルアミン以外のアミンD成分が挙げられる。
<有機溶剤E>
本発明のインクは、有機溶剤Eを含有する。有機溶剤Eは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、(ポリ)アルキレングリコールE-1を含む。
〔(ポリ)アルキレングリコールE-1〕
本発明において、(ポリ)アルキレングリコールE-1は、少なくとも1個のアルキレン基を含むグリコ―ルであり、下記式(1)で表される。(ポリ)アルキレングリコールE-1は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
HO-(RO)n-H (1)
(Rはアルキレン基を示す。nは1以上の数を示す。)
アルキレン基(R)は、直鎖、分岐鎖、及び環状のいずれであってもよい。
(ポリ)アルキレングリコールE-1のアルキレン基(R)の炭素数は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下である。
(ポリ)アルキレングリコールE-1のアルキレン基(R)の数は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは1以上であり、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。その中でも、前記と同様の観点から、(ポリ)アルキレングリコールE-1のアルキレン基(R)の数は1であることがより更に好ましい。
(ポリ)アルキレングリコールE-1の1気圧での沸点は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上であり、そして、好ましくは330℃以下、より好ましくは300℃以下、更に好ましくは280℃以下、より更に好ましくは250℃以下、より更に好ましくは200℃以下である。なお、(ポリ)アルキレングリコールE-1として2種以上を用いる場合には、(ポリ)アルキレングリコールE-1の沸点は加重平均値として算出される。
(ポリ)アルキレングリコールE-1としては、具体的には、エチレングリコール(沸点197℃)、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)(沸点188℃)、1,2-ブタンジオール(沸点193℃)、1,2-ペンタンジオール(沸点206℃)、1,2-ヘキサンジオール(沸点223℃)等の1,2-アルカンジオール;ジエチレングリコール(沸点244℃)、トリエチレングリコール(沸点276℃)、テトラエチレングリコール(沸点328℃)、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、トリプロピレングリコール(沸点271℃)等のポリアルキレングリコール;1,3-プロパンジオール(沸点210℃)、1,3-ブタンジオール(沸点207℃)、3-メチル-1,3-ブタンジオール(沸点203℃)等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールE-1は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくはエチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、更に好ましくはエチレングリコールを含む。
有機溶剤E中の(ポリ)アルキレングリコールE-1の含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは8質量%以上、より更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
(ポリ)アルキレングリコールE-1が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む場合、(ポリ)アルキレングリコールE-1中のエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールの合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールに意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコールに不純物として含まれるエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びテトラエチレングリコール以外の(ポリ)アルキレングリコールE-1成分が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールE-1が、エチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む場合、(ポリ)アルキレングリコールE-1中のエチレングリコール及びプロピレングリコールの合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、エチレングリコール及びプロピレングリコールに意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。例えば、エチレングリコール及びプロピレングリコールに不純物として含まれるエチレングリコール及びプロピレングリコール以外の(ポリ)アルキレングリコールE-1成分が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールE-1が、エチレングリコールを含む場合、(ポリ)アルキレングリコールE-1中のエチレングリコールの含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、エチレングリコールに意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。例えば、エチレングリコールに不純物として含まれるエチレングリコール以外の(ポリ)アルキレングリコールE-1成分が挙げられる。
〔(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2〕
有機溶剤Eは、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2を更に含む。
本発明において(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2は、環状エーテルの開環に由来する二つの水酸基を分子中に有する化合物の一方又は両方の水酸基の水素原子がアルキル基で置換されてなるものを意味し、環状エーテルの開環に由来する二つの水酸基を分子中に有する化合物は、環状エーテルが開環重合して多量体となった形態のものも含まれる。
これらの中でも、(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2は、好ましくは環状エーテルの開環に由来する二つの水酸基を分子中に有する化合物の一方の水酸基の水素原子がアルキル基で置換されてなる(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルである。
(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる
(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2としては、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点136℃)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点144℃)、エチレングリコールモノプロピルエーテル(沸点151℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点207℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点220℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点248℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点231℃)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点189℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点243℃)等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2の1気圧での沸点は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは170℃以上、より更に好ましくは190℃以上、より更に好ましくは210℃以上、より更に好ましくは220℃以上であり、そして、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは240℃以下である。なお、(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2として2種以上を用いる場合には、(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2の沸点は加重平均値として算出される。
(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、インクの保存安定性を向上させる観点、及び低温焼結性を向上させる観点から、好ましくはエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくはジエチレングリコールモノブチルエーテルを含む。
有機溶剤E中の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2の含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、更に好ましくは95質量%以下、より更に好ましくは92質量%以下、より更に好ましくは90質量%以下である。
有機溶剤E中の(ポリ)アルキレングリコールE-1及び(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2の合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に100質量%」とは、(ポリ)アルキレングリコールE-1及び(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2に意図せずに含まれる成分を含みうることを意味する。意図せずに含まれる成分としては、例えば、(ポリ)アルキレングリコールE-1及び(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2に意図せずに混入する不純物であって有機溶剤Eに相当するものを意味する。
本発明のインクは、本発明の効果を阻害しない範囲で、前記成分以外の他の成分として、水、ポリマーB以外の分散剤、ポリマー粒子の分散体等の定着助剤、保湿剤、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を含有してもよい。
(金属微粒子含有インクの製造)
本発明のインクは、金属原料化合物、ポリマーBを混合して、該金属原料化合物から金属微粒子Aの分散体を得た後、カルボン酸C、アミンD、有機溶剤E及び必要に応じて該成分以外の他の成分を混合する方法等により得ることができる。中でも、金属微粒子Aは、金属原料化合物、ポリマーBを混合して金属微粒子Aの分散体を得た後、該金属微粒子Aの分散体を凍結乾燥等により乾燥させて得る方法が好ましい。
金属原料化合物としては、前述の金属微粒子Aで例示した金属を含む化合物であれば特に制限はない。
金属原料化合物としては、前述の金属微粒子Aで例示した金属を含む、無機酸又は有機酸の金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物等が挙げられる。
前記無機酸の金属塩としては、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、過塩素酸塩等が挙げられる。
前記有機酸の金属塩としては酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩等が挙げられる。
金属原料化合物は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、金属原料化合物は、好ましくは無機酸又は有機酸の金属塩及び金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは硝酸の金属塩及び金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは金属酸化物である。
金属微粒子Aの製造には、ポリマーBとともに還元剤を共存させてもよい。還元剤は有機還元剤及び無機還元剤のいずれも用いることができる。
有機還元剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類;アスコルビン酸、クエン酸等の酸類及びその塩;エタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン(2-(ジメチルアミノ)エタノール)、N,N-ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、ブタノールアミン、ヘキサノールアミン等のアルカノールアミン、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-ヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、ジエチルメチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の(ポリ)アルキレンポリアミン等の脂肪族アミン;ピペリジン、ピロリジン、N-メチルピロリジン、モルホリン等の脂環式アミン;アニリン、N-メチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジン等の芳香族アミン;ベンジルアミン、N-メチルベンジルアミン等のアラルキルアミンなどが挙げられる。
無機還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素アンモニウム等の水素化ホウ素塩;水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム等の水素化アルミニウム塩;ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等のヒドラジン類;水素ガス等が挙げられる。
還元剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、還元剤は、好ましくは有機還元剤であり、より好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類であり、更に好ましくはプロピレングリコールである。
還元反応の温度は、金属微粒子の粒径を小さくし、該粒径を均一にして低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは20℃以上、より更に好ましくは30℃以上であり、そして、安定に金属微粒子を生産する観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは50℃以下である。還元反応は、空気雰囲気下であってもよく、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下であってもよい。
本発明のインクの製造では、金属微粒子Aの分散に寄与しないポリマーBや、還元剤を用いた場合においては未反応の還元剤、還元剤による還元反応で生成する化合物等の金属微粒子Aの分散体にとっての不純物として扱われる物質を除去する観点から、金属微粒子Aの分散体を精製してもよい。
金属微粒子Aの分散体を精製する方法は、特に制限はなく、透析、限外濾過等の膜処理;遠心分離処理等の方法が挙げられる。中でも、不純物を効率的に除去する観点から、膜処理が好ましく、透析がより好ましい。透析に用いる透析膜の材質としては、再生セルロースが好ましい。
透析膜の分画分子量は、不純物を効率的に除去する観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上、更に好ましくは10,000以上であり、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下である。
本発明のインクは、更に必要に応じて前述の各種添加剤を添加し、フィルター等による濾過処理を行うことにより得ることができる。
(金属微粒子含有インクの組成)
本発明のインク中の金属微粒子Aの含有量は、印刷物の低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは30質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、そして、金属微粒子Aの分散安定性を向上させて、インクの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
本発明のインク中のポリマーBの含有量は、金属微粒子Aの分散安定性を向上させて、インクの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは2.3質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上であり、そして印刷物の低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である。
本発明のインク中のカルボン酸Cの含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下、より更に好ましくは1質量%以下である。
本発明のインク中のアミンDの含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、より更に好ましくは0.7質量%以上、より更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.2質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2質量%以下、より更に好ましくは1.5質量%以下である。
本発明のインク中のカルボン酸Cの含有量に対するアミンDの含有量の質量比[アミンD/カルボン酸C](以下、「質量比[アミンD/カルボン酸C]」又は「質量比[D/C]」と表記する場合がある)は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上、更に好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下である。
本発明のインク中のカルボン酸Cの含有量に対する(ポリ)アルキレングリコールE-1の含有量の質量比[(ポリ)アルキレングリコールE-1/カルボン酸C](以下、「質量比[(ポリ)アルキレングリコールE-1/カルボン酸C]」又は「質量比[(E-1)/C]」と表記する場合がある)は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上、より更に好ましくは5以上であり、そして、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは10以下、より更に好ましくは7以下である。
本発明のインク中のカルボン酸C及びアミンDの合計含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上、より更に好ましくは1.7質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、より更に好ましくは2.5質量%以下、より更に好ましくは2.2質量%以下である。
本発明のインク中の金属微粒子Aの含有量に対するポリマーBの含有量の質量比[ポリマーB/金属微粒子A](以下、「質量比[ポリマーB/金属微粒子A]」と表記する場合がある)は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.04以上、より更に好ましくは0.05以上であり、そして、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.1以下である。
質量比[ポリマーB/金属微粒子A]は、示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)を用いて実施例に記載の方法により測定される金属微粒子A及びポリマーBの質量から算出される。
本発明のインク中の有機溶剤Eの含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
本発明のインク中の(ポリ)アルキレングリコールE-1の含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下である。
本発明のインク中のアルキレングリコールアルキルエーテルE-2の含有量は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは38質量%以上、より更に好ましくは40質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは43質量%以下である。
本発明のインクには水を含有してもよいが、該インク中の水の含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは実質的に0質量%である。ここで「実質的に0質量%」とは、本発明のインクに意図せずに含まれる成分として水が存在してもよいことを意味する。意図せずに含まれる水としては、原料に存在する不純物としての水を意味する。
(金属微粒子含有インクの物性)
本発明のインク中に含まれる金属微粒子Aの平均粒径は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは3nm以上、より好ましくは10nm以上、更に好ましくは20nm以上であり、そして、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下、更に好ましくは50nm以下である。金属微粒子Aの平均粒径は、実施例に記載の方法により測定できる。
本発明のインクの40℃における粘度は、金属微粒子の分散安定性を向上させて、高温保存安定性を向上させつつ、低温焼結性を向上させる観点から、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは4mPa・s以上、より更に好ましくは5mPa・s以上であり、そして、好ましくは60mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、更に好ましくは30mPa・s以下、より更に好ましくは20mPa・s以下である。前記インクの粘度は、E型粘度計を用いて実施例に記載の方法により測定される。
本発明のインクは、保存安定性に優れ、かつ、低温焼結性に優れる印刷物を得ることができるため、特にインクジェット印刷、フレキソ印刷用、グラビア印刷用、スクリーン印刷、オフセット印刷、ディスペンサー印刷等の各種印刷用として好適に用いることができる。これらの中でも、本発明のインクは、保存安定性に優れるため、微小な流路を経由して印刷に供されるインクジェット印刷用として用いることが好ましい。
また、本発明のインクは、保存安定性が高く、低温焼結性に優れる印刷物を得ることができるため、幅広い用途に用いることができる。該用途としては、例えば、導電回路に形成に用いる配線材料、電極材料、積層セラミックコンデンサ(以下、「MLCC」ともいう)等の導電性材料;はんだ等の接合材料;各種センサー;近距離無線通信を用いた自動認識技術(RFID(radio frequency identifier)、以下、「RFID」ともいう)タグ等のアンテナ;触媒;光学材料;医療材料;鏡面性光沢を付与する加飾用材料などが挙げられる。これらの中でも、本発明のインクは、導電回路が形成された印刷物の製造に用いることが好ましい。
[印刷物の製造方法]
本発明の印刷物の製造方法は、前記金属微粒子含有インクを用いて基材に印刷し、該基材に金属膜が形成された印刷物を得る方法が好ましい。
これにより、導電性、鏡面性光沢等に優れた金属膜が形成された印刷物を得ることができる。前記金属微粒子含有インクを用いる印刷において、パターン化された印刷画像を基材に形成することによりパターン化された金属膜を形成することができ、このパターン化された金属膜は導電回路として用いることができる。すなわち、本発明の印刷物の製造方法は、基材に導電回路が形成された印刷物の製造方法として用いることが好ましい。
なお、導電回路が形成された印刷物の製造においては、前記基材は「基板」と呼ぶことがある。
(基材)
前記基材としては、例えば、紙;布帛;樹脂;金属;ガラス;セラミック又はこれらの複合材料などが挙げられる。
紙基材としては、塗工紙(コート紙、アート紙等)、非塗工紙、普通紙、クラフト紙、合成紙、加工紙、板紙等が挙げられる。
基材に用いる布帛としては、綿、絹、麻等の天然繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維からなる布帛、又はこれら繊維の2種以上からなる混紡布帛などが挙げられる。
樹脂製基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、ポリカーボネート(PC)等の合成樹脂フィルムが挙げられる。
金属製基材としては、金、銀、銅、パラジウム、プラチナ、アルミニウム、ニッケル、スズ等の金属を用いた基板などが挙げられる。
前記金属微粒子含有インクの基材への印刷方法としては、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ディスペンサー印刷等の各種パターニング印刷方法が好ましく挙げられる。前記パターニング印刷方法を用いることにより、微細な導電回路を基材に形成することができる。
前記金属微粒子含有インクの基材への付与量は、形成する回路又は電極の大きさや種類に応じて適宜調整することができる。
(インクジェット印刷)
本発明の金属微粒子含有インクをインクジェット印刷用として用いる場合には、該インクを公知のインクジェット印刷装置に装填し、インク液滴として基材に吐出して印刷画像を形成することができる。
インクジェット印刷装置としてはサーマル式及びピエゾ式があるが、前記インクはピエゾ式のインクジェット印刷用として用いることがより好ましい。
インクジェットヘッドのヘッド温度は、好ましくは15℃以上、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは25℃以上であり、そして、好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは35℃以下である。
インクジェットヘッドのヘッド電圧は、印刷の効率性等の観点から、好ましくは5V以上、より好ましくは10V以上、更に好ましくは15V以上であり、そして、好ましくは40V以下、より好ましくは35V以下、更に好ましくは30V以下である。
ヘッドの駆動周波数は、印刷の効率性等の観点から、好ましくは1kHz以上、より好ましくは5kHz以上、更に好ましくは10kHz以上であり、そして、好ましくは50kHz以下、より好ましくは40kHz以下、更に好ましくは35kHz以下である。
本発明に係るインクの吐出液滴量は、1滴あたり、好ましくは5pL以上、より好ましくは10pL以上であり、そして、好ましくは30pL以下、より好ましくは20pL以下である。
本発明に係るインクの基材への付与量は、固形分として、好ましくは0.5g/m2以上、より好ましくは1g/m2以上、更に好ましくは2g/m2以上であり、そして、好ましくは20g/m2以下、より好ましくは15g/m2以下、更に好ましくは10g/m2以下である。
本発明において、印刷の解像度は、好ましくは200dpi以上、より好ましくは300dpi以上であり、そして、好ましくは1,000dpi以下、より好ましくは800dpi以下、更に好ましくは600dpi以下である。
ここで、本明細書における「解像度」とは、基材に形成される1インチ(2.54cm)あたりのドットの数をいう。例えば「解像度が600dpi」とは、ノズル列の長さあたりのノズル孔の個数が600dpi(ドット/インチ)配置されたラインヘッドを用いて、基材にインク液滴を吐出すると、それに対応する1インチあたり600dpiのドットの列が、基材の搬送方向と垂直な方向に形成され、そして、基材を搬送方向に移動させながらインク液滴を吐出すると、基材には搬送方向にも1インチあたり600dpiのドットの列が形成されることをいう。本明細書では、基材の搬送方向に対して垂直な方向の解像度と、搬送方向の解像度は同じ値として表される。
(焼結処理)
本発明の印刷物の製造方法は、体積抵抗率を低減させて導電性を向上させる観点から、前記インクを用いて基材に印刷した後、該基材上のインク被膜中の金属微粒子Aを焼結させる焼結処理を行うことが好ましい。
焼結処理により、インク被膜中のインク溶媒を蒸発乾燥させて、更に金属微粒子Aを焼結させて体積抵抗率の低い金属膜を形成することができる。
焼結処理の温度は、好ましくは基材が変形する温度未満であり、具体的には、金属膜の体積抵抗率を低減する観点から、常圧下、好ましくは25℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは100℃以上、より更に好ましくは120℃以上、より更に好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは160℃以下、より更に好ましくは150℃以下である。
焼結処理の周辺環境の相対湿度は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上であり、そして、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下である。
焼結処理は、100℃以上の高温で処理した後、低温で保管して処理を行ってもよい。ここで、低温処理は、好ましくは室温(10℃以上35℃以下)で保管して処理を行うことが好ましい。
焼結処理における高温処理の時間は、処理の温度によって適宜調整することができるが、金属膜の体積抵抗率を低減する観点から、好ましくは1分間以上、より好ましくは5分間以上、更に好ましくは7分間以上であり、そして、生産性の観点から、好ましくは6時間以下、より好ましくは3時間以下、更に好ましくは1時間以下である。
焼結処理において低温処理を行う場合には、焼結処理における低温処理の時間は、処理の温度によって適宜調整することができるが、金属膜の体積抵抗率を低減する観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、更に好ましくは6時間以上、より更に好ましくは12時間以上であり、そして、生産性の観点から、好ましくは36時間以下、より好ましくは24時間以下である。
焼結処理は、空気雰囲気下であってもよく、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下であってもよいが、前記基材が酸化されやすい金属である場合には、窒素ガス雰囲気下であることが好ましい。
焼結処理の方法は、特に制限はなく、基材のインク被膜が形成された表面と反対側の面にヒーターを接触させて加熱する方法;基材上のインク被膜面に熱風を付与して加熱する方法;基材上のインク被膜面にヒーターを近づけて加熱する方法;インク被膜を形成した基材を、温度を一定に保つことができる恒温装置内で保管する方法;常圧又は高圧で高温蒸気を用いる蒸気養生によって加熱する方法:近赤外光、紫外光等の光照射により加熱する方法等が挙げられる。
本発明の製造方法により形成される金属膜の体積抵抗率ρvは、好ましくは50μΩ・cm以下、より好ましくは40μΩ・cm以下、更に好ましくは30μΩ・cm以下、より更に好ましくは20μΩ・cm以下、より更に好ましくは15μΩ・cm以下、より更に好ましくは12μΩ・cm以下、より更に好ましくは11μΩ・cm以下、より更に好ましくは10μΩ・cm以下であり、そして、印刷物の生産容易性の観点から、好ましくは2μΩ・cm以上、より好ましくは2.5μΩ・cm以上、更に好ましくは3μΩ・cm以上である。前記体積抵抗率ρvは、実施例に記載の方法で測定できる。
本発明の製造方法により得られる印刷物は、体積抵抗率が低いため、基材と導電回路とを含む導電性複合材料として各種電子電気機器に用いることができる。前記導電性複合材料は、RFIDタグ;MLCC等のコンデンサ;LTCC基板;電子ペーパー;液晶ディプレイ、有機ELディスプレイ、タッチパネル等の画像表示装置;有機EL素子;有機トランジスタ;プリント配線板、フレキシブル配線板等の配線板;有機太陽電池;フレキシブル電池;フレキシブルセンサー等のセンサーなどの各種デバイスに用いることができる。
以下の調製例、製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。
各種物性は、以下の方法により測定又は算出した。
(1)ポリマーBの数平均分子量Mn
ゲル浸透クロマトグラフィー法により求めた。測定試料は、ガラスバイアル中にポリマーB 0.1gを溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター「DISMIC-13HP」(材質:PTFE、孔径:0.2μm、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過したものを用いた。測定条件を下記に示す。
GPC装置:東ソー株式会社製「HLC-8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperAWM-H」、「TSKgel SuperAW3000」、「TSKgel guardcolumn Super AW-H」
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液
流速:0.5mL/min
標準物質:単分散ポリスチレンキット 東ソー株式会社製「PStQuick B(F-550、F-80、F-10、F-1、A-1000)」、「PStQuick C(F-288、F-40、F-4、A-5000、A-500)」
(2)ポリマーBの酸価
ポリマーBの酸価は、JIS K 0070:1992の方法に基づき測定した。ただし、測定溶媒のみ、JIS K 0070:1992の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=4:6(容量比))に変更した。
(3)質量比[ポリマーB/金属微粒子A]
示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)「STA7200RV」(株式会社日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、試料10mgをアルミパンセルに計量し、10℃/分の昇温速度で35℃から550℃まで昇温し、50mL/分の窒素フロー下で質量減少を測定した。200℃から550℃までの質量減少をポリマーBの質量、550℃での残質量を金属微粒子Aの質量として、質量比[ポリマーB/金属微粒子A]を算出した。
(4)金属微粒子含有インク中に含まれる金属微粒子Aの平均粒径
レーザー粒子解析システム「ELS-8000」(大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により粒径を測定し、キュムラント法解析により算出した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定サンプルは、試料をスクリュー管(マルエム株式会社製No.5)に計量し、固形分濃度が5×10-3質量%になるように水を加えてマグネチックスターラーを用いて25℃で1時間撹拌したものを用いた。
(5)金属微粒子含有インクの粘度の測定
E型粘度計(東機産業株式会社製、型番:TV-25、標準コーンロータ1°34’×R24使用、回転数100rpm)を用いて40℃におけるインクの粘度を測定した。
調製例1(ポリマーB-1の調製)
アクリル酸/マレイン酸/スチレン/α-メチルスチレン/アルコキシ(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール)アクリレート(アルキレンオキシド単位数:32モル、モル比[EO/PO]=75/25)共重合体〔固形分40%の該共重合体水溶液(BYK社製、商品名:DISPERBYK-2015)〕を、減圧乾燥機「VO420」(アドバンテック社製)を用い、温度110℃、圧力50トールで48時間乾燥させることで、ポリマーB-1(数平均分子量:4,500、酸価:24mgKOH/g)を得た。
製造例1(銀微粒子の乾燥粉1の製造)
100mLのなす型フラスコに、酸化銀(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬、特級)を10g、調製例1で得たポリマーB-1を0.8g、還元剤としてプロピレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬、特級)を30g投入し、25℃にてマグネチックスターラーにて0.5時間撹拌し混合液を得た。次いで、得られた混合液を40℃のウォーターバスを用いて加熱し、混合液が40℃に到達した後1時間撹拌を行い、その後空冷し、分散された銀微粒子を含有する濃茶色の分散体を得た。
得られた分散体全量を、透析チューブ(REPLIGEN社製「スペクトラ/ポア6」、透析膜:再生セルロース、分画分子量(MWCO)=50K)に投入し、チューブ上下をクローサーにて密封した。このチューブを、5Lガラスビーカー中の5Lのイオン交換水に浸漬し、水温を20~25℃に保持して1時間撹拌した。その後、イオン交換水を1時間ごとに全量交換する作業を3回繰り返した後、1時間おきにサンプリングを行い、上記(3)の示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)を用いた方法により測定されるポリマーB及び金属微粒子Aの質量から算出した質量比[ポリマーB/金属微粒子A]の値が一定になった時点で透析を終了し、精製した銀微粒子の分散体を得た。透析終了時のポリマーB及び金属微粒子Aの質量比[ポリマーB/金属微粒子A]は0.5/10=0.05であった。
精製した銀微粒子の分散体を、ドライチャンバー(東京理化器械株式会社製、型式:DRC-1000)を付属した凍結乾燥機(東京理化器械株式会社製、型式:FDU-2110)を用いて、乾燥条件(-25℃1時間凍結、-10℃9時間減圧、25℃5時間減圧。減圧度5Pa)で凍結乾燥することにより、銀微粒子の乾燥粉1を得た。
実施例1
500mLのポリエチレン製ビーカーに、製造例1で得た銀微粒子の乾燥粉1を10.5g(乾燥粉1中の銀微粒子の含有量10g、乾燥粉1中のポリマーBの含有量0.5g)、カルボン酸Cとして乳酸(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬、特級)0.04g、アミンDとして3-メトキシプロピルアミン(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級)0.27g、(ポリ)アルキレングリコールE-1としてエチレングリコール1.0g(富士フイルム和光純薬株式会社製、特級)、(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2としてジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、「BDG」と表記する)8.14g(富士フイルム和光純薬株式会社製試薬、特級)、及び、界面活性剤としてサーフィノール104PG50 0.05g(有姿:2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールのプロピレングリコール50%溶液、日信化学工業株式会社製)を投入し、マグネチックスターラーで撹拌しながら超音波分散機(株式会社日本精機製作所製、型式:US-3001)で3時間分散した。その後、孔径5μmのディスポーザルメンブレンフィルター(ザルトリウス社製、ミニザルト)を用いて濾過を行い、銀微粒子含有インク1を得た。得られたインクを用いて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2~17、及び比較例1~4
実施例1において、ポリマーB、カルボン酸C、アミンD、有機溶剤Eに含まれる(ポリ)アルキレングリコールE-1の種類、又はインクの配合組成を表1に従って変更した以外は同様にして、各銀微粒子含有インクを得た。得られたインクを用いて下記の評価を行った。結果を表1に示す。
なお、比較例3で用いたポリマーB-C1の詳細を以下に示す。
ポリマーB-C1:リン酸アルキルポリオキシアルキレン化合物(BYK社製、商品名:DISPERBYK-102、不揮発分:99質量%、酸価:101mgKOH/g(カタログ値))
<評価>
〔保存安定性(維持率の測定)〕
実施例及び比較例で得られた各インク20gを、20ccのガラスバイアル瓶に密閉し、40℃の恒温槽で1週間保存した。次いで、常温(25℃)にて1日静置した後、前述の測定方法と同様の方法で保存後のインクの粘度を測定した。下記式より保存前後の粘度維持率を算出し、インクの保存安定性の指標とした。粘度維持率が100%に近いほど、保存安定性に優れる。
粘度維持率(%)=〔保存後の粘度(mPa・s)/保存前の粘度(mPa・s)〕×100
〔低温焼結性(体積抵抗率の測定)〕
実施例及び比較例で得られた各インクを、バーコーターOSP-08(オーエスジーシステムプロダクツ株式会社製、wet厚:8μm)を使用し、スライドガラス(アズワン株式会社製、商品名:アズラボ カラフロストスライドガラス、品番:1-3382-01、材質:無色透明ホワイトガラス)上に塗布した。その後、140℃に温めたホットプレート(アズワン株式会社製、商品名:シャマルホットプレート、型番:HHP-411)上で1時間加熱して焼結処理を行い、スライドガラス上に金属膜を形成した。
実施例及び比較例で得られた金属膜を形成したスライドガラスを断面試料作製装置「IB-19520CCP」(日本電子株式会社製)を用いて加工し、平滑な切断面を作成した試験片を得た。
次いで、試験片をSEM試料台(日新EM株式会社、Type-T)にSEM用アルミ基材カーボン両面テープ(日新EM株式会社、カタログ番号732)で張り付け、電界放出形走査電子顕微鏡「FE-SEM」(株式会社日立ハイテク製、型式:S-4800)を用いて、SEMモード、加速電圧10kVの条件で切断面を観察し、二次電子像を得た。該二次電子像中の金属膜の10点で金属膜の厚みを測定し、算術平均により金属膜の厚みtを得た。
次いで、同試験片を、抵抗率計(本体:ロレスタ-GP、四探針プローブ:PSPプローブ、いずれも株式会社三菱ケミカルアナリテック社製)を用いて測定し、上記で測定した金属膜の厚みtを前記抵抗率計に入力することにより体積抵抗率を表示させた。上記試験片の他の場所でも同様に測定し、合計3か所の算術平均により、体積抵抗率ρvを得た。
表1から、実施例1~17の金属微粒子含有インクは、比較例1~4と比べて、保存安定性に優れ、かつ、形成された金属膜の体積抵抗率が低く、低温焼結性に優れる印刷物を得ることができることが分かる。
本発明によれば、常温より高い温度環境下においても保存安定性に優れ、かつ低温焼結性に優れる印刷物を得ることができる金属微粒子含有インク、及び該金属微粒子含有インクを用いる印刷物を得ることができる。

Claims (11)

  1. 金属微粒子A、ポリマーB、カルボン酸C、アミンD、及び有機溶剤Eを含有する金属微粒子含有インクであって、
    ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位と、疎水性モノマー(b-2)由来の構成単位と、ポリオキシアルキレン基を有するモノマー(b-3)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーであり、
    カルボン酸Cが、ギ酸、乳酸、及びピルビン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含み、
    有機溶剤Eが、(ポリ)アルキレングリコールE-1を含む、金属微粒子含有インク。
  2. (ポリ)アルキレングリコールE-1のアルキレン基の炭素数が2以上4以下である、請求項1に記載の金属微粒子含有インク。
  3. (ポリ)アルキレングリコールE-1のアルキレン基の数が1以上4以下である、請求項1又は2に記載の金属微粒子含有インク。
  4. 有機溶剤Eが、(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルE-2を更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インク。
  5. アミンDが、第一級アミノ基及びアルコキシ基を有するアミンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インク。
  6. 金属微粒子Aを構成する金属が銀を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インク。
  7. カルボン酸Cの含有量が0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インク。
  8. アミンDの含有量が0.1質量%以上5質量%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インク。
  9. 有機溶剤Eの含有量が30質量%以上60質量%以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インク。
  10. インクジェット印刷用である、請求項1~9のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インク。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の金属微粒子含有インクを用いて基材に印刷し、該基材に金属膜が形成された印刷物を得る、印刷物の製造方法。
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