JP2024004190A - 撚り線導体、電線、及び撚り線導体の製造方法 - Google Patents

撚り線導体、電線、及び撚り線導体の製造方法 Download PDF

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こころ 吉岡
Kokoro Yoshioka
浩司 橋本
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Abstract

【課題】高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ撚り線導体を提供する。【解決手段】複数の素線が撚り合わされた撚り線導体であって、前記素線の各々は銅線であり、前記撚り線導体の横断面における前記素線の断面積の合計値が100mm2以上325mm2以下であり、前記撚り線導体の抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下であり、前記撚り線導体の占積率が85%以上95%以下であり、片持ち曲げ試験による変位量が所定値以上である、撚り線導体。【選択図】図1

Description

本開示は、撚り線導体、電線、及び撚り線導体の製造方法に関する。
特許文献1から特許文献3は、撚り線導体を開示する。撚り線導体は、複数の素線が撚り合わされた撚り線を圧縮した後、圧縮された撚り線に熱処理して製造される。
特開2010-212164号公報 特開2011-210730号公報 特開2015-103478号公報
圧縮された撚り線導体は、圧縮されていない撚り線導体に比べて、導体の断面積が小さくなることに伴い占積率が高くなる。占積率が高い撚り線導体は、電線を細くすることができる。しかし、占積率が高い撚り線導体は、圧縮に伴う加工硬化によって、可撓性が低下すると共に、電気抵抗が増大する。撚り線導体は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを有することが望まれる。
本開示は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ撚り線導体を提供することを目的の一つとする。本開示は、導電性が高く、且つ優れた可撓性を有する電線を提供することを別の目的の一つとする。本開示は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ撚り線導体を製造できる撚り線導体の製造方法を提供することを別の目的の一つとする。
本開示の撚り線導体は、
複数の素線が撚り合わされた撚り線導体であって、
前記素線の各々は銅線であり、
前記撚り線導体の横断面における前記素線の断面積の合計値が100mm以上325mm以下であり、
前記撚り線導体の抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下であり、
前記撚り線導体の占積率が85%以上95%以下であり、
片持ち曲げ試験による変位量が以下の関係を満たし、
前記素線の断面積の合計値が100mm以上150mm未満の場合、前記変位量が420mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が150mm以上200mm未満の場合、前記変位量が490mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が200mm以上250mm未満の場合、前記変位量が570mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が250mm以上300mm未満の場合、前記変位量が620mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が300mm以上325mm以下の場合、前記変位量が720mm以上であり、
前記片持ち曲げ試験は、前記撚り線導体における第一の端部から支持端までの所定範囲を支持した状態で、前記支持端から距離L離れた第二の端部に荷重Wを加え、
前記変位量は、前記荷重Wが加えられたときの前記第二の端部の高さ方向の変位量であり、
前記素線の断面積の合計値が100mm以上150mm未満の場合、前記距離Lが600mmで、前記荷重Wが20Nであり、
前記素線の断面積の合計値が150mm以上200mm未満の場合、前記距離Lが600mmで、前記荷重Wが40Nであり、
前記素線の断面積の合計値が200mm以上250mm未満の場合、前記距離Lが700mmで、前記荷重Wが50Nであり、
前記素線の断面積の合計値が250mm以上300mm未満の場合、前記距離Lが700mmで、前記荷重Wが80Nであり、
前記素線の断面積の合計値が300mm以上325mm以下の場合、前記距離Lが800mmで、前記荷重Wが100Nである。
本開示の電線は、
本開示の撚り線導体と、
前記撚り線導体の外周を覆う絶縁体とを備える。
本開示の撚り線導体の製造方法は、
複数の素線を撚り合わせて撚り線を作製する工程と、
前記撚り線に圧縮成形を行う工程と、
前記圧縮成形が施された撚り線に熱処理を行う工程とを備え、
前記素線の各々は銅線であり、
前記撚り線の横断面における前記素線の断面積の合計値が100mm以上325mm以下であり、
前記圧縮成形を行う工程は、前記撚り線の占積率が85%以上95%以下となるように前記撚り線を圧縮する。
本開示の撚り線導体は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ。本開示の電線は、導電性が高く、且つ優れた可撓性を有する。本開示の撚り線導体の製造方法は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ撚り線導体を製造できる。
図1は、実施形態に係る撚り線導体の構成を示す概略断面図である。 図2は、片持ち曲げ試験の説明図である。 図3は、圧縮前の撚り線を示す概略断面図である。 図4は、実施形態に係る電線の構成を示す概略断面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する
(1)本開示の実施態様に係る撚り線導体は、
複数の素線が撚り合わされた撚り線導体であって、
前記素線の各々は銅線であり、
前記撚り線導体の横断面における前記素線の断面積の合計値が100mm以上325mm以下であり、
前記撚り線導体の抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下であり、
前記撚り線導体の占積率が85%以上95%以下であり、
片持ち曲げ試験による変位量が以下の関係を満たし、
前記素線の断面積の合計値が100mm以上150mm未満の場合、前記変位量が420mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が150mm以上200mm未満の場合、前記変位量が490mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が200mm以上250mm未満の場合、前記変位量が570mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が250mm以上300mm未満の場合、前記変位量が620mm以上であり、
前記素線の断面積の合計値が300mm以上325mm以下の場合、前記変位量が720mm以上であり、
前記片持ち曲げ試験は、前記撚り線導体における第一の端部から支持端までの所定範囲を支持した状態で、前記支持端から距離L離れた第二の端部に荷重Wを加え、
前記変位量は、前記荷重Wが加えられたときの前記第二の端部の高さ方向の変位量であり、
前記素線の断面積の合計値が100mm以上150mm未満の場合、前記距離Lが600mmで、前記荷重Wが20Nであり、
前記素線の断面積の合計値が150mm以上200mm未満の場合、前記距離Lが600mmで、前記荷重Wが40Nであり、
前記素線の断面積の合計値が200mm以上250mm未満の場合、前記距離Lが700mmで、前記荷重Wが50Nであり、
前記素線の断面積の合計値が250mm以上300mm未満の場合、前記距離Lが700mmで、前記荷重Wが80Nであり、
前記素線の断面積の合計値が300mm以上325mm以下の場合、前記距離Lが800mmで、前記荷重Wが100Nである。
上記撚り線導体は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ。上記撚り線導体は、占積率が85%以上95%以下であることから、高い占積率を有する。占積率が高い撚り線導体は、素線の断面積の合計値が100mm以上325mm以下でありながら、撚り線導体の横断面のサイズが小さい。
上記撚り線導体は、抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下であることから、高い導電性を有する。上記撚り線導体は、片持ち曲げ試験による変位量が上記関係を満たすことにより、優れた可撓性を有する。
(2)上記(1)の撚り線導体において、
前記撚り線導体の横断面の形状が円形状であってもよい。
上記撚り線導体は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ。断面が円形状の撚り線導体は、曲げ易さの方向性が生じ難く、どの方向にも曲げ易い。また、断面が円形状の撚り線導体は、最も一般的な形状であり、製造が容易な上、汎用性に優れる。
(3)上記(1)又は(2)の撚り線導体において、
前記素線の数が19以上61以下であってもよい。
同じ断面積の撚り線導体では、素線の数が多いほど可撓性が向上する。素線の数が19以上であることで、撚り線導体の可撓性を確保し易い。素線の数が61以下であれば、素線の数が過度に多くないため、撚り線導体を製造し易い。
(4)上記(1)から(3)のいずれかの撚り線導体において、
前記銅線はタフピッチ銅又は無酸素銅からなってもよい。
上記撚り線導体は、より高い導電性を有する。
(5)本開示の実施態様に係る電線は、
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の撚り線導体と、
前記撚り線導体の外周を覆う絶縁体とを備える。
上記電線は、導電性が高く、且つ優れた可撓性を有する。その理由は、上記本開示の撚り線導体を備えるからである。
(6)本開示の実施態様に係る撚り線導体の製造方法は、
複数の素線を撚り合わせて撚り線を作製する工程と、
前記撚り線に圧縮成形を行う工程と、
前記圧縮成形が施された撚り線に熱処理を行う工程とを備え、
前記素線の各々は銅線であり、
前記撚り線の横断面における前記素線の断面積の合計値が100mm以上325mm以下であり、
前記圧縮成形を行う工程は、前記撚り線の占積率が85%以上95%以下となるように前記撚り線を圧縮する。
上記撚り線導体の製造方法は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ撚り線導体を製造できる。上記撚り線導体の製造方法は、圧縮された撚り線を熱処理することによって、圧縮により生じた加工硬化が緩和され、撚り線導体の導電性及び可撓性を向上させることができる。
(7)上記(6)の撚り線導体の製造方法において、
前記熱処理を行う工程は、前記圧縮成形が施された撚り線を60℃以上310℃以下の温度で熱処理してもよい
上記製造方法は、撚り線導体の導電性及び可撓性を効果的に向上させることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を意味する。各図面は、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す。図面における各部の寸法比も実際とは異なる場合がある。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
<撚り線導体>
図1を参照して、実施形態に係る撚り線導体1を説明する。図1は、撚り線導体1の横断面を模式的に示したものである。横断面は、撚り線導体1の長手方向と直交する断面である。実施形態の撚り線導体1は、以下に示す(a)から(d)の要件を満たすことを特徴の一つとする。撚り線導体1は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ。
(a)撚り線導体1の横断面における素線1wの断面積の合計値が100mm以上325mm以下である。
(b)撚り線導体1の抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下である。
(c)撚り線導体の占積率が85%以上95%以下である。
(d)片持ち曲げ試験による変位量が後述する特定の範囲を満たす。
変位量の範囲、及び片持ち曲げ試験については後述する。
撚り線導体1は、複数の素線1wが撚り合わされた構成である。撚り線導体1は、同心撚り線でもよいし、集合撚り線でもよい。同心撚り線は、1本の素線を中心にして、複数の素線を同心状に撚り合わせた撚り線である。集合撚り線は、複数の素線をひとまとめにして撚り合わせた撚り線である。図1に示す撚り線導体1は、37本の素線が同心撚りされている。
(撚り線導体の横断面の形状)
撚り線導体1の横断面の形状は適宜選択できる。この横断面の形状の具体例は、正多角形又は円形である。横断面の形状を正多角形とするには、撚り線を圧縮成形すればよい。本実施形態では、横断面の形状が円形状である。横断面の形状は、撚り線導体1の包絡線の形状である。この包絡線は、撚り線導体1を構成する素線1wのうち、横断面において最外周に配置された素線1wを囲む包絡線である。図1では、撚り線導体1の横断面の輪郭を二点鎖線によって仮想的に示している。断面が円形状の撚り線導体は、曲げ易さに方向性が生じ難い。また、断面が円形状の撚り線導体は、最も一般的な形状であり、製造が容易な上、汎用性に優れる。
(素線)
素線1wは銅線である。一般に、銅線は電気抵抗が小さい。素線1wが銅線からなることで、高い導電性を有する撚り線導体1が得られる。素線1wは、純銅からなる銅線であることが好ましい。純銅は、純度が99.90%以上の銅である。純銅の具体例は、タフピッチ銅及び無酸素銅である。タフピッチ銅又は無酸素銅は、高い導電率を有し、加工性も良好であることから、素線1wの材料に好適である。素線1wがタフピッチ銅又は無酸素銅からなることで、導電性と可撓性とを兼ね備える撚り線導体1が得られ易い。
(素線の断面積の合計値)
撚り線導体1の横断面における素線1wの断面積の合計値は、100mm以上325mm以下である。素線1wの断面積の合計値は、撚り線導体1の許容電流に応じて適宜設定される。素線1wの断面積の合計値が大きいほど、撚り線導体1の電気抵抗が小さくなる一方で、撚り線導体1が曲げ難くなる。素線1wの断面積の合計値が100mm以上であることで、高い導電性を有する撚り線導体1が得られ易い。素線1wの断面積の合計値が325mm以下であることで、優れた可撓性を有する撚り線導体1が得られ易い。
(素線の数)
素線1wの数は、撚り線導体1の電流容量に応じて適宜設定される。素線1wの数は、例えば19以上61以下である。素線1wの数が多いほど、撚り線導体1の可撓性が向上する。素線1wの数が19以上であることで、撚り線導体1の可撓性を確保し易い。素線1wの数が61以下であれば、撚り線導体1を製造し易い。撚り線導体1が同心撚り線である場合、素線1wの数は例えば19、37、61であることが好ましい。素線1wの数がこのような数であると、複数の素線1wを同心状に撚り合わせ易い。
(撚り線導体の抵抗率)
撚り線導体1の抵抗率は、1.74×10-8Ω・m以下である。抵抗率は、室温での体積抵抗率を意味する。室温は20℃±15℃である。抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下である撚り線導体1は、高い導電性を有する。抵抗率が小さいほど、撚り線導体1の電気抵抗が小さいため、通電ロスが小さくなる。抵抗率の下限は、例えば1.66×10-8Ω・mである。抵抗率は、1.66×10-8Ω・m以上1.74×10-8Ω・m以下でもよい。
(撚り線導体の占積率)
撚り線導体1の占積率は、85%以上95%以下である。占積率は、撚り線導体1の横断面の面積に占める全ての素線1wの合計面積の割合を意味する。占積率が85%以上である撚り線導体1は、高い占積率を有する。素線1wの断面積の合計値が同じ撚り線導体1では、占積率が高いほど、撚り線導体1の横断面のサイズが小さい。また、占積率が高いと、素線1w同士が密着し、撚り線導体1の電気抵抗が小さくなる傾向がある。しかし、占積率が高過ぎると、素線1wに大きな加工硬化が生じることによって、素線1wの導電率が低下すると共に、素線1wの可撓性が低下する。そのため、撚り線導体1の高占積率化は、撚り線導体1の電気抵抗が大きくなると共に、撚り線導体1の可撓性の低下を招く。占積率が85%以上95%以下であることで、導電性と可撓性とを兼ね備える撚り線導体1が得られ易い。
占積率は、撚り線導体1の公称断面積Snを、撚り線導体1の横断面の面積Ssで割った値の百分率で表される。占積率(%)は[Sn/Ss]×100によって求められる。面積Ssは、撚り線導体1の包絡線で囲まれる面積である。撚り線導体1の横断面の形状が円形状である場合、面積Ssは[Rs×π/4]によって求められる。Rsは撚り線導体1の平均外径である。公称断面積Snは、素線1wの断面積の合計値に近い整数値で表す断面積である、
(片持ち曲げ試験による変位量)
片持ち曲げ試験による変位量は、撚り線導体1の曲げ易さの指標である。変位量が大きいほど、撚り線導体1が曲げ易いことを意味する。片持ち曲げ試験による変位量は、上述した素線1wの断面積の合計値との関係で、以下に示す特定の範囲を満たす。ここでは、素線1wの断面積の合計値をSwで表す。
Swが100mm以上150mm未満の場合、変位量が420mm以上である。以下、Swが上記範囲である場合の変位量をX100と表すことがある。
Swが150mm以上200mm未満の場合、変位量が490mm以上である。以下、Swが上記範囲である場合の変位量をX150と表すことがある。
Swが200mm以上250mm未満の場合、変位量が570mm以上である。以下、Swが上記範囲である場合の変位量をX200と表すことがある。
Swが250mm以上300mm未満の場合、変位量が620mm以上である。以下、Swが上記範囲である場合の変位量をX250と表すことがある。
Swが300mm以上325mm以下の場合、変位量が720mm以上である。以下、Swが上記範囲である場合の変位量をX300と表すことがある。
変位量が上記関係を満たす撚り線導体1は、優れた可撓性を有する。変位量の具体的な範囲は、上述した素線1wの断面積の合計値Swに応じて異なる。変位量の具体的な範囲を以下に示す。
上記変位量X100は、420mm以上480mm以下でもよい。
上記変位量X150は、490mm以上530mm以下でもよい。
上記変位量X200は、570mm以上625mm以下でもよい。
上記変位量X250は、620mm以上650mm以下でもよい。
上記変位量X300は、720mm以上775mm以下でもよい。
片持ち曲げ試験は、図2に示すように、撚り線導体1における第一の端部11から支持端13までの所定範囲を支持した状態で、支持端13から距離L離れた第二の端部12に荷重Wを加える。片持ち曲げ試験の変位量は、荷重Wが加えられたときの第二の端部12の高さ方向の変位量Dである。
片持ち曲げ試験において、上記距離L及び荷重Wは、上述した素線1wの断面積の合計値Swに応じて以下のように設定される。
Swが100mm以上150mm未満の場合、距離Lが600mmで、荷重Wが20Nである。
Swが150mm以上200mm未満の場合、距離Lが600mmで、荷重Wが40Nである。
Swが200mm以上250mm未満の場合、距離Lが700mmで、荷重Wが50Nである。
Swが250mm以上300mm未満の場合、距離Lが700mmで、荷重Wが80Nである。
Swが300mm以上325mm以下の場合、距離Lが800mmで、荷重Wが100Nである。
片持ち曲げ試験は、例えば、図2に示す試験装置5を用いて行うことができる。試験装置5は、所定の高さを有する台51と、台51に設けられた把持具52と、錘53を備える。把持具52は、撚り線導体1の第一の端部11から支持端13までの所定の範囲を支持する。上記所定の範囲は水平となるように把持具52に取り付けられる。錘53は、撚り線導体1の第二の端部12に取り付けられる。撚り線導体1は、把持具52によって、支持端13から第二の端部12までの距離が距離Lとなるように片持ち状態で支持される。上記支持端は、撚り線導体1のうち、把持具52に支持された領域と把持具52から空中に突出した領域との境界である。距離L及び錘53の荷重Wは、上述したように、撚り線導体1における素線の断面積の合計値Swに応じて適宜設定するものとする。片持ち曲げ試験の変位量は、第二の端部12に錘53を取り付けた後、30秒後の第二の端部12の高さ方向の変位量Dを測定することによって求められる。変位量は、撚り線導体1の中心を軸にして時計回りに90°回転させる毎に測定し、合計3回の測定値の平均値である。変位量の測定は、撚り線導体1が室温の状態で行う。
<撚り線導体の製造方法>
実施形態の撚り線導体1は、実施形態に係る撚り線導体の製造方法によって製造できる。実施形態の撚り線導体の製造方法は、以下の第一工程、第二工程、第三工程を備える。
第一工程は、撚り線を作製する工程である。
第二工程は、撚り線に圧縮成形を行う工程である。
第三工程は、圧縮成形が施された撚り線に熱処理を行う工程である。
以下、各工程について詳しく説明する。
(第一工程)
第一工程は、複数の素線を撚り合わせて撚り線を作製する。撚り線の一例を図3に示す。図3は、撚り線100の横断面を模式的に示したものである。図3に示す撚り線100は、37本の素線1wが撚り合わされた同心撚り線である。素線1wは銅線である。銅線は、例えばタフピッチ銅又は無酸素銅からなる。素線1wの数は、例えば19以上61以下である。全ての素線1wの直径は同一であってもよいし、異なっていてもよい。撚り線100の横断面における素線1wの断面積の合計値は100mm以上325mm以下である。素線1wに用いられる銅線の種類、素線1wの数、素線1wの直径、素線1wの断面積の合計値は、製造する撚り線導体1に応じて、適宜変更することが可能である。
図3に示す例では、全ての素線1wの直径が実質的に同じである。素線1wの横断面の形状は円形状である。素線1wの横断面の形状は多角形状であってもよい。
撚り線100は、撚り線機を用いて製造できる。素線1wを撚り合わせる方法は、同心撚りでもよいし、集合撚りでもよい。
(第二工程)
第二工程は、作製した撚り線100に圧縮成形を行う。撚り線100が圧縮されることによって、図1に示すように、素線1w同士が密着するように変形する。圧縮された撚り線は、圧縮される前の撚り線100に比べて、横断面のサイズが小さくなり、占積率が向上する。第二工程では、撚り線の占積率が85%以上95%以下となるように撚り線100を圧縮する。本実施形態では、圧縮された撚り線の横断面の形状が円形状となるように圧縮成形する。
圧縮成形は、例えば圧縮ダイス、圧延ロールを利用できる。圧縮成形は、圧縮ダイスと圧延ロールとを組み合わせて用いてもよい。
圧縮された撚り線は、圧縮に伴う加工硬化によって、導電率が低下すると共に、可撓性が低下する。撚り線の占積率を高くするほど、大きな加工硬化が生じるため、電気抵抗の増大と可撓性の低下とを招く。
(第三工程)
第三工程は、圧縮された撚り線に熱処理を行う。圧縮された撚り線が熱処理されることによって、圧縮により生じた加工硬化が緩和される。その結果、導電率が回復すると共に、可撓性が向上する。熱処理された撚り線は、熱処理される前の撚り線に比べて、電気抵抗が小さくなると共に、可撓性が高くなる。撚り線を熱処理するときの温度は、熱処理を行わない撚り線に比べて、上述した片持ち梁試験による変位量が10%以上向上するような温度であることが好ましい。
第三工程では、圧縮された撚り線を、例えば60℃以上310℃以下の温度で熱処理する。熱処理の温度が60℃以上310℃以下であることで、加工硬化が十分に緩和され、撚り線の導電率及び可撓性を向上する効果が十分に得られ易い。熱処理の時間は適宜設定すればよい。熱処理は、通電加熱方式でもよいし、バッチ式又は連続式の炉による加熱方式でもよい。
<電線>
図4を参照して、実施形態に係る電線2を説明する。電線2は、撚り線導体1と、絶縁体20とを備える。図2は、電線2の横断面を模式的に示したものである。横断面は、電線2の長手方向と直交する断面である。撚り線導体1は、上述した図1に示す実施形態と同様であるので、説明を省略する。
(絶縁体)
絶縁体20は、撚り線導体1の外周を覆う。絶縁体20は、例えば樹脂又はゴムで構成されている。樹脂は、例えば架橋ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂である。ゴムは、例えばエチレンプロピレン、天然ゴム、シリコーンゴムである。絶縁体20は、押出し機を用いて、撚り線導体1に樹脂又はゴムを押出し被覆すればよい。
電線2は、更に、絶縁体20の外周を覆うシース21を備えていてもよい。シース21は、絶縁体20と同じように、例えば樹脂又はゴムで構成されている。シース21は、押出し機を用いて、絶縁体20に樹脂又はゴムを押出し被覆すればよい。
[試験例1]
撚り線導体の試料を製造した。製造した撚り線導体の評価を行った。
試験例1では、公称断面積が異なる複数の撚り線導体の試料を製造した。試料No.1の撚り線導体は公称断面積が100mmである。試料No.2の撚り線導体は公称断面積が150mmである。試料No.3の撚り線導体は公称断面積が200mmである。試料No.4の撚り線導体は公称断面積が250mmである。試料No.5の撚り線導体は公称断面積が325mmである。
撚り線導体の試料は、次のようにして製造された。複数の素線を同心撚りして撚り線を作製した。素線は、タフピッチ銅からなる銅線である。素線の横断面の形状は円形状である。撚り線を構成する全ての素線の材質及び形状は同じである。素線の直径及び素線の数は、撚り線導体の公称断面積に応じて異なっている。撚り線の横断面の形状は円形状である。
撚り線に圧縮成形を行って圧縮撚り線を作製した。撚り線の圧縮成形は、撚り線を圧縮ダイスに通して引抜くことによって行った。圧縮成形は冷間で行った。圧縮撚り線の横断面の形状は円形状である。圧縮撚り線の横断面における素線の断面積の合計値は圧縮前の撚り線と実質的に同じである。各試料における素線の断面積の合計値は、各試料の公称断面積に相当する。
各試料における、圧縮前の撚り線の外径、撚り線の断面積、及び撚り線の占積率を表1に示す。撚り線の外径は、撚り線の横断面の包絡円の直径とみなす。撚り線の断面積は、撚り線の横断面の包絡円の面積とみなす。撚り線の占積率は、公称断面積を撚り線の断面積で割った値の百分率で表される。
また、各試料における、圧縮後の圧縮撚り線の外径、圧縮撚り線の断面積、及び圧縮撚り線の占積率を表1に示す。圧縮撚り線の外径は、圧縮撚り線の横断面の包絡円の直径とみなす。圧縮撚り線の断面積は、圧縮撚り線の横断面の包絡円の面積とみなす。圧縮撚り線の占積率は、公称断面積を圧縮撚り線の断面積で割った値の百分率で表される。
Figure 2024004190000002
次に、圧縮撚り線に熱処理を行って撚り線導体を得た。圧縮撚り線の熱処理は、通電加熱方式によって、圧縮撚り線を60℃以上310℃以下の範囲で加熱した。撚り線導体の占積率は、熱処理前の圧縮撚り線の占積率と実質的に同じである。
製造した撚り線導体の導電性と可撓性を評価した。試験例1では、熱処理する前の圧縮撚り線についても導電性と可撓性を評価した。
撚り線導体の導電性は、撚り線導体の抵抗率により評価した。撚り線導体の抵抗率は次のようにして求めた。撚り線導体を所定の長さに切断して試験体を得た。この試験体に一定の電流を流したときの電気抵抗を測定した。測定は20℃で行った。測定した電気抵抗から体積抵抗率を算出した。熱処理する前の圧縮撚り線についても抵抗率を求めた。その結果を表2に示す。表2中、熱処理前の欄は、圧縮撚り線の抵抗率を示している。熱処理後の欄は、撚り線導体の抵抗率を示している。表2中、試料No.1の抵抗率は小数第12位を四捨五入して小数第11位まで求めた。試料No.2からNo.5の各抵抗率は小数第11位を四捨五入して小数第10位まで求めた。
撚り線導体の可撓性は、片持ち曲げ試験による変位量により評価した。片持ち曲げ試験による変位量は、上述した図2に示す試験装置5を用いて測定した。熱処理する前の圧縮撚り線についても片持ち曲げ試験による変位量を測定した。その結果を表3に示す。表3中、熱処理前の欄は、圧縮撚り線の変位量を示している。熱処理後の欄は、撚り線導体の変位量を示している。
Figure 2024004190000003
Figure 2024004190000004
表2、表3に示すように、熱処理後の撚り線導体は、熱処理前の圧縮撚り線に比べて、抵抗率が小さく、片持ち曲げ試験による変位量が大きい。試料No.1からNo.5の撚り線導体は、抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下である。また、試料No.1からNo.5の撚り線導体は、片持ち曲げ試験による変位量が上述した特定の範囲を満たしている。試料No.1からNo.5の撚り線導体は、高い占積率を有しながら、優れた導電性と可撓性とを併せ持つ。この試験結果から、圧縮撚り線を熱処理することによって、導電性及び可撓性を向上できることが分かる。
1 撚り線導体、1w 素線
2 電線
5 試験装置
11 第一の端部、12 第二の端部、13 支持端
20 絶縁体、21 シース
51 台、52 把持具
53 錘
100 撚り線
D 変位量、L 距離、W 荷重

Claims (7)

  1. 複数の素線が撚り合わされた撚り線導体であって、
    前記素線の各々は銅線であり、
    前記撚り線導体の横断面における前記素線の断面積の合計値が100mm以上325mm以下であり、
    前記撚り線導体の抵抗率が1.74×10-8Ω・m以下であり、
    前記撚り線導体の占積率が85%以上95%以下であり、
    片持ち曲げ試験による変位量が以下の関係を満たし、
    前記素線の断面積の合計値が100mm以上150mm未満の場合、前記変位量Xが420mm以上であり、
    前記素線の断面積の合計値が150mm以上200mm未満の場合、前記変位量Xが490mm以上であり、
    前記素線の断面積の合計値が200mm以上250mm未満の場合、前記変位量Xが570mm以上であり、
    前記素線の断面積の合計値が250mm以上300mm未満の場合、前記変位量Xが620mm以上であり、
    前記素線の断面積の合計値が300mm以上325mm以下の場合、前記変位量Xが720mm以上であり、
    前記片持ち曲げ試験は、前記撚り線導体における第一の端部から支持端までの所定範囲を支持した状態で、前記支持端から距離L離れた第二の端部に荷重Wを加え、
    前記変位量は、前記荷重Wが加えられたときの前記第二の端部の高さ方向の変位量であり、
    前記素線の断面積の合計値が100mm以上150mm未満の場合、前記距離Lが600mmで、前記荷重Wが20Nであり、
    前記素線の断面積の合計値が150mm以上200mm未満の場合、前記距離Lが600mmで、前記荷重Wが40Nであり、
    前記素線の断面積の合計値が200mm以上250mm未満の場合、前記距離Lが700mmで、前記荷重Wが50Nであり、
    前記素線の断面積の合計値が250mm以上300mm未満の場合、前記距離Lが700mmで、前記荷重Wが80Nであり、
    前記素線の断面積の合計値が300mm以上325mm以下の場合、前記距離Lが800mmで、前記荷重Wが100Nである、
    撚り線導体。
  2. 前記撚り線導体の横断面の形状が円形状である、請求項1に記載の撚り線導体。
  3. 前記素線の数が19以上61以下である、請求項1又は請求項2に記載の撚り線導体。
  4. 前記銅線はタフピッチ銅又は無酸素銅からなる、請求項1又は請求項2に記載の撚り線導体。
  5. 請求項1に記載の撚り線導体と、
    前記撚り線導体の外周を覆う絶縁体とを備える、
    電線。
  6. 複数の素線を撚り合わせて撚り線を作製する工程と、
    前記撚り線に圧縮成形を行う工程と、
    前記圧縮成形が施された撚り線に熱処理を行う工程とを備え、
    前記素線の各々は銅線であり、
    前記撚り線の横断面における前記素線の断面積の合計値が100mm以上325mm以下であり、
    前記圧縮成形を行う工程は、前記撚り線の占積率が85%以上95%以下となるように前記撚り線を圧縮する、
    撚り線導体の製造方法。
  7. 前記熱処理を行う工程は、前記圧縮成形が施された撚り線を60℃以上310℃以下の温度で熱処理する、請求項6に記載の撚り線導体の製造方法。
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