JP2024003849A - Igbtパワーシステムおよび劣化診断方法 - Google Patents

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Takanori Hayashi
隼 比嘉
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Abstract

【課題】IGBTユニットに余分な計測機器を設けずに劣化を診断する。【解決手段】IGBTパワーシステムは、IGBTを備えた電力変換回路と、IGBTを制御する制御装置4と、IGBTの劣化を診断する劣化診断装置5と、を備える。劣化診断装置5は、事前準備時のU相電流が正ピーク時および負ピーク時、V相電流が正ピーク時および負ピーク時、W相電流が正ピーク時および負ピーク時の6モードの電圧指令値から劣化診断時の6モードの電圧指令値を減算した6モードの電圧指令差に基づいて、IGBTの劣化判定を行う。【選択図】図4

Description

本発明は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など半導体デバイスの劣化診断に関する。
デバイス電圧を使って半導体デバイスの劣化診断を行う先行技術として例えば非特許文献1が開示されている。
IGBTの寿命の主要な原因の一つとして、オン/オフ動作によって生じる熱サイクル疲労により素子と端子の間のボンディングワイヤが破断することが知られている。そしてこの疲労劣化に伴いVCE飽和電圧が上昇していくことも知られている(非特許文献1)。図1に示すように、この疲労劣化によるデバイス電圧(VCE飽和電圧)の上昇は出願人も実験により確認した。
VCE飽和電圧とは、IGBTオン時におけるIGBTのコレクタ-エミッタ間電圧のことである。IGBTがオフのときはコレクタ-エミッタ間は絶縁状態で(数百ボルトの)電源電圧が掛かるが電流は流れない。IGBTがオンになるとこの電圧が下がり電流が流れるようになるが、コレクタ-エミッタ間電圧はゼロにはならない。この残留電圧をVCE飽和電圧と呼ぶ。
図1はIGBTを継続的に運転して、クロスポイントと呼ばれるVCE飽和電圧が温度の影響を受けにくい電流値でVCE飽和電圧を繰り返し計測し、運転時間を横軸にプロットし、VCE飽和電圧を縦軸にプロットしたものである。数値は最初の1日(24時間)における計測値の平均が1になるよう正規化している。
なお、実験時に欠測があり300~400時間あたりなど一部の計測値が抜けている。また450時間を超えたところでIGBTが破壊している。VCE飽和電圧は計測のバラつきにより幅を持っているが時間とともに上昇し、故障前に大きく上昇していることが見てとれる。
一方でIGBTはスイッチング時の過渡変動を緩和するためエミッタからコレクタへ電流を流す還流ダイオードを並列に接続してセットで使用する。実際のIGBTユニットは還流ダイオードを含んだものも多い。先の劣化事例はIGBT素子に関するものだが、還流ダイオードも素子と端子の間をボンディングワイヤで繋いでいるのは同様であり、オンオフ動作による熱サイクルも同様になるので、還流ダイオードの劣化も同様と考えられる。
三相出力のIGBTパワー回路は図2のように、DC電源DCのプラス側とマイナス側とにIGBT-還流ダイオードのセットとしたユニットを相ごとに2つずつ接続し、その接続点から各相の負荷U,V,Wへ電力を供給する。
通常、IGBTパワー回路はPWM制御により各IGBTが毎秒数千回オンオフされることにより負荷に交流電流を送る。一つの相のプラス側のIGBTとマイナス側のIGBTが同時にオンになると回路が短絡するため、ある瞬間にはプラス側/マイナス側の一方のみがオンとなるように制御する。
負荷に含まれるインダクタンスにより負荷電流は高頻度なIGBTオンオフに追従しないため、タイミングにより電流がIGBTオンになっているユニットの還流ダイオードに流れる。従って負荷電流の多寡によりIGBT/還流ダイオードともに流れる電流が変わり、それによる損失により熱サイクルが発生して劣化原因となる。
Nausicaa Dornic, Zoubir Khatir, Son Ha Tran, Ali Ibrahim, Richard Lallemand, Jean-Pierre Ousten, Jeffrey Ewanchuk, and Stefan V. Mollov, "Stress-Based Model for Lifetime Estimation of Bond Wire Contacts Using Power Cycling Tests and Finite-Element Modeling", IEEE JOURNAL OF EMERGING AND SELECTED TOPICS IN POWER ELECTRONICS, VOL. 7, NO. 3, SEPTEMBER, 2019
デバイス電圧(VCE飽和電圧)を計測し続ければIGBTの劣化を捕捉できるが、現実的にはユニット(IGBTと還流ダイオードのセット)ごとに追加の電圧計を取り付け、継続的に計測を続けることは困難である。
以上示したようなことから、IGBTユニットに余分な計測機器を設けずに劣化を診断することが課題となる。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、IGBTを備えた電力変換回路と、前記IGBTを制御する制御装置と、前記IGBTの劣化を診断する劣化診断装置と、を備えたIGBTパワーシステムであって、前記劣化診断装置は、事前準備時のU相電流が正ピーク時および負ピーク時、V相電流が正ピーク時および負ピーク時、W相電流が正ピーク時および負ピーク時の6モードの電圧指令値から劣化診断時の前記6モードの電圧指令値を減算した前記6モードの電圧指令差に基づいて、前記IGBTの劣化判定を行うことを特徴とする。
また、その一態様として、前記劣化診断装置は、事前準備時に、前記6モードの電圧指令値を記録し、劣化診断時に、前記6モードの電圧指令値を記録し、各モードの劣化診断時の電圧指令値から各モードの事前準備時の電圧指令値を減算して各モードの前記電圧指令差を算出し、各モードの前記電圧指令差の中から最大値を抽出し、前記最大値の相以外の相の前記電圧指令差の平均値を算出し、前記最大値と前記平均値に基づいて寿命判定を行い、判定結果を出力することを特徴とする。
また、その一態様として、前記劣化診断装置は、前記最大値から前記平均値の4割を差し引いた値が寿命とするデバイス電圧差の6割以上の場合に劣化と判定することを特徴とする。
また、その一態様として、前記電力変換回路から出力された各相の負荷電圧を計測し、事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値から各相の前記負荷電圧を差し引いた値を事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値として記録することを特徴とする。
また、その一態様として、前記電力変換回路から出力された線間電圧を計測し、前記線間電圧から各相の負荷電圧を算出し、事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値から各相の前記負荷電圧を差し引いた値を事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値として記録することを特徴とする。
本発明によれば、IGBTユニットに余分な計測機器を設けずに劣化を診断することが可能となる。
IGBT運転時間によるVce飽和電圧の推移を示す図。 従来のIGBTパワー回路の一例を示す回路図。 IGBTユニットの構成を示す図。 実施形態1のIGBTパワーシステムを示す回路図。 劣化診断する電流位相を示す図。 実施形態1の電圧指令による劣化診断アルゴリズムを示すフローチャート。 実施形態2のIGBTパワーシステムを示す回路図。 実施形態2の電圧指令による劣化診断アルゴリズムを示すフローチャート。 実施形態3のIGBTパワーシステムを示す回路図。
以下、本願発明におけるIGBTパワーシステムおよび劣化診断方法の実施形態1~3を図3~図9に基づいて詳述する。
[実施形態1]
インバータの制御装置4が生成する電圧指令値には負荷電圧のほかにIGBTのVCE飽和電圧や還流ダイオードの負荷電圧の影響も含まれる。これを使ってデバイスの劣化を把握する方式を説明する。
まず、ユニットの構成に関して説明する。一つのユニットは図3に示すようにIGBT1のコレクタC、エミッタEと還流ダイオード2のカソードK、アノードAがそれぞれボンディングワイヤ3でモジュール端子に接続されている。IGBT1と還流ダイオード2が一つの素子になり共通のボンディングワイヤ3でモジュール端子に接続されたものもあるが、大電力を扱うIGBTユニットでは異なるボンディングワイヤ3でそれぞれに繋がっているものが多い。また、一配線がそれぞれ数本から十数本のワイヤからなる。
IGBT1はゲートG-エミッタE間に電圧を掛けないとコレクタC-エミッタE間は絶縁状態(オフ)だが、ゲートG-エミッタE間に(十数ボルトの)電圧を掛けるとオンになってコレクタC-エミッタE間の電圧が下がりコレクタ(C)-エミッタ(E)間に(上から下へ)電流が流れるようになる。
なお、還流ダイオード2はIGBT1のスイッチングの際に(下から上へ)電流を流して電圧を吸収するためにある。従って、電流が上から下へ(IGBT1に)流れるときと、下から上へ(還流ダイオード2に)流れるときで通過するボンディングワイヤ3が異なる可能性があり、両者の劣化具合が異なる可能性がある。
なお、ゲートGもボンディングワイヤ3でモジュール端子と接続されているがコレクタC-エミッタE間のように大電流が流れるわけではないので主な劣化原因とはならず図3では省略している。
実際の三相のパワー回路では図2のように図3のIGBTユニットを2つ直列につないで中間から電力を出力し、それらを3セット用意して三相インバータ回路を構成する。
このため、一相分の2ユニットを一つにまとめた2in1モジュールや三相回路の6ユニットを一つにまとめた6in1モジュールもある。故障前にモジュール交換の機会を得るために劣化診断することを考えると、2in1モジュールでは三相のいずれのモジュールの劣化が進んでいるか分かれば良いし、6in1モジュールではどこかの劣化が進んでいることが分かればよい。
図4に本実施形態1の劣化診断方法を行うIGBTパワーシステムの構成を示す。図4では、電力変換回路としてインバータ装置を適用している。図4に示すように、DC電源DCの正極と負極との間にはユニットU+,U-が直列接続される。また、DC電源DCの正極と負極との間にはユニットV+,V-が直列接続される。また、DC電源DCの正極と負極との間にはユニットW+,W-が直列接続される。ユニットU+,U-,V+,V-,W+,W-でインバータ装置を構成している。
ユニットU+,U-の接続点、ユニットV+,V-の接続点、ユニットW+,W-の接続点にはそれぞれ負荷U,V,Wが接続される。ここで6つのユニットU+~W-はIGBT1と還流ダイオード2からなる図3のようなユニットである。また、IGBTパワーシステムには、制御装置4,劣化診断装置5,各相の負荷電流(U相電流I,V相電流I,W相電流I)を検出する電流検出器6が設けられる。
図4では6ユニットで記載しているが、プラス側/マイナス側を合わせた2in1モジュールを3つあるいは6in1モジュール1つを使った構成でも同様である。なお、図4はDC電源DCで記載しているが、交流から直流を作るコンバータ装置を含め交流電源を入力とするコンバータ-インバータ装置であっても良い。
制御装置4は、電流検出器6で計測した負荷電流(U相電流I,V相電流I,W相電流I)に基づいて必要な出力電流を出力するための電圧指令値を計算する。そこからPWM周期ごとに相ごとのマイナス側とプラス側のデューティ(重み)を算出し、それにより各ユニットU+~W-へ各瞬間におけるIGBTのオンオフ信号を送出する。また劣化診断のために各瞬間の電圧指令値と負荷電流(U相電流I,V相電流I,W相電流I)を劣化診断装置5に送出する。
劣化診断装置5は制御装置4から受け取った電圧指令値および負荷電流(U相電流I,V相電流I,W相電流I)を基に劣化度合を示す数値(劣化指標値)を計算して劣化状態を診断する。図4において劣化診断装置5はインバータ装置に半分含まれる表記をしているが、内蔵していても良いし外付け装置でも良い。
診断結果は劣化指標値を随時表示したり閾値を超えた時点で警報したりする。表示や警報の手段としては現場でパネルなどによって提示したり通信回線を使って外部へ連絡したりする方法がある。
本実施形態1では、診断対象のインバータ装置の負荷が変化しない場合、あるいは変化しても外部条件を整えて定期的に同じ負荷条件で運転できることを想定する。診断用負荷を用意しても良い。
あらかじめ上記負荷条件で正弦波電流を作るよう制御して運転し、図5のような電流位相の6時点でそれぞれの電圧指令値を取得・記録する。
電圧指令値を取得する6時点(モード)は以下の(U+)~(W-)である。
(U+) U相電流Iが正ピークで、V相電流I・W相電流Iが負でほぼ等しいときのU相電圧指令値の絶対値。
(V+) V相電流Iが正ピークで、U相電流I・W相電流Iが負でほぼ等しいときのV相電圧指令値の絶対値。
(W+) W相電流Iが正ピークで、U相電流I・V相電流Iが負でほぼ等しいときのW相電圧指令値の絶対値。
(U-) U相電流Iが負ピークで、V相電流I・W相電流Iが正でほぼ等しいときのU相電圧指令値の絶対値。
(V-) V相電流Iが負ピークで、U相電流I・W相電流Iが正でほぼ等しいときのV相電圧指令値の絶対値。
(W-) W相電流Iが負ピークで、U相電流I・V相電流Iが正でほぼ等しいときのW相電圧指令値の絶対値。
なお、制御誤差を考慮して電流の数十サイクル分を使って同条件の電圧指令値を取得し、それぞれのモードでの平均値を初期状態(事前準備)でのそのモードの電圧指令値として記録する。
その後も劣化診断時に定期的に同じ負荷条件でモードごとに電流数十サイクル分の電圧指令値を取得し、平均値をそのとき(劣化診断時)のそのモードでの電圧指令値とする。各モードでの劣化診断時の電圧指令値から同じモードの初期状態(事前準備時)での電圧指令値を差し引き、各モードでの電圧指令差を算出する。
この電圧指令差の大きさで劣化度合が分かり、各モードでの電圧指令差の比較によりどのデバイスの劣化がより進んでいるかが分かる。以下にこの理由を述べる。
上記6モードでの電圧指令差と同じタイミングでの各デバイス電圧の差との関係は近似的に下記の(1)~(6)式を満たす。ボンディングワイヤ3が熱サイクル劣化したことによる抵抗増加でデバイス電圧が増加することを考えると劣化によるデバイス電圧や電圧指令値の増加は電流の位相と一致すると想定できる。
下記(1)式~(6)式で、D,D,Dは各相のプラス側がオンになる時間の割合(デューティ)であり、その和D+D+Dは三相交流の特性として3/2となる。dVcmd??は各モード(??=U+,V+,W+,U-,V-,W-)での電圧指令値の絶対値の劣化診断時と事前準備時(初期状態)との差(電圧指令差)である。
各式右辺のdVce??は各ユニット(??=U+,V+,W+,U-,V-,W-)のIGBTのそのモード時点でのデバイス電圧の劣化診断時と事前準備時(初期状態)との差(デバイス電圧差)である。各式右辺のdVfwd??は各ユニット(??=U+,V+,W+,U-,V-,W-)の還流ダイオードのそのモード時点でのデバイス電圧の劣化診断時と事前準備時(初期状態)との差(デバイス電圧差)である。ただし、モードごとに電流位相が異なるためデューティやデバイス電圧の値は同じデバイスでも異なる。I,I,Iは、負荷電流(U相電流I,V相電流I,W相電流I)である。
各モードでの電圧指令差dVcmd??とその時のデバイス電圧差の関係式は、以下の(1)式~(6)式となる。
Figure 2024003849000002
Figure 2024003849000003
Figure 2024003849000004
Figure 2024003849000005
Figure 2024003849000006
Figure 2024003849000007
dVcmdU+を例に電圧指令差とデバイス電圧差dVce??,dVfwd??について説明する。これはU相電流が正ピークのときの値なのでU相デバイス電圧はピークになる。しかし、他相のデバイス電圧は電流が半分のときのものである。そのため、U相デバイス電圧差dVceU+,dVfwdU-がともに0.1Vのとき、他相のデバイス電圧差dVfwdV+,dVceV-,dVfwdW+,dVceW-は同様の劣化で0.05Vが妥当である。ゆえに、電圧指令差dVcmdU+=0.1Vとなる。劣化がどのデバイスも同等と考えるとき他モードでの電圧指令差も同じになる。
一方、U相デバイスのみ劣化していてU相デバイス電圧差dVceU+,dVfwdU-が0.1Vで、他相のデバイス電圧差dVceV-,dVfwdV+,dVceW-,dVfwdW-が0V差のとき電圧指令差dVcmdU+=0.066…Vとなる。電圧指令差dVcmdU-も同じである。それ以外のモードでは電流がピークの半分でデバイス電圧差dVfwdU+,dVceU-は0.05Vとなるので、他相の電圧指令差dVcmdV+,dVcmdW+,dVcmdV-,dVcmdW-は0.0166…V差とU相の電圧指令差dVcmd+,dVcmd-の1/4になる。
従って、デバイス劣化が最も進んでいる相の電圧指令差はデバイス電圧差の2/3倍から同じくらいになる。ただし、電圧指令差が2/3倍となるのは一相のみ劣化して他相は全く劣化しない場合であり現実的ではない。
デバイス電圧は5%ほど増加すると寿命が近いとされる。ピークのデバイス電圧2.2Vのとき、これは0.11Vに相当する。これを基に以下の手順で劣化判定する。
[1]6モードの電圧指令差で最も大きいもの(劣化の激しいもの)を選択する。以下これがdVcmd+とする。
[2]他2相の電圧指令差の平均値dVcmdotherを以下の(7)式により算出する。
Figure 2024003849000008
[3]以下の(8)式のように、最も劣化したモードの電圧指令差から他2相の平均値の4割を差し引いたものが寿命とするデバイス電圧差dVdevendの6割以上なら寿命が近いと判定する。
Figure 2024003849000009
ここで、寿命とするデバイス電圧差dVdevendは寿命が近いと判断するデバイス電圧差(上の例で0.11V)である。
[3]で寿命が近いと判定されたときデバイスの劣化が進んでおり[1]で選択された相のデバイスが最も劣化が進んでいる。
ここでは、U相の電流が最大の場合について説明したが、他相の電流が最大の場合も同様にして劣化判定が可能である。
以上の本実施形態1の劣化診断アルゴリズムのフローチャートを図6に示す。本実施形態1では事前準備時と劣化診断時は同じ負荷条件とする。図6に示すように、事前準備としてS1で、6モードの電圧指令値(各モード数十サイクルの平均)を記録する。
次に、劣化診断としてS2で、6モードの電圧指令値(各モード数十サイクルの平均)を記録する。S3では、6モードの事前準備時の電圧指令値と劣化診断時の電圧指令値の電圧指令差を算出する。S4では、6モードの電圧指令差のうち最大値dVMAXを抽出する。S5では、他相の電圧指令差の平均値dVOTHERを(7)式により算出する。S6では、(8)式のdVMAX-0.4dVOTHER≧0.6dVENDに基づいて、寿命判定を行う。S7では、寿命判定の結果を出力する。
このように、図6では、事前準備は最初に一度行い、劣化診断は定期的に実施する。
以上示したように、本実施形態1によれば、IGBTパワーシステムにおいて劣化診断のためにデバイスやユニットごとに電圧計を設置することなく既に制御のために算出している電圧指令値を利用して劣化診断することができる。
[実施形態2]
図7に本実施形態2の劣化診断方法を行うIGBTパワーシステムの構成を示す。本実施形態2では、実施形態1のシステムに対し、三相の負荷電圧を計測する電圧計7を追加している。計測した各相の負荷電圧は劣化診断装置5に送られ、劣化診断に利用する。
実施形態1では定期的に同じ負荷条件で電圧指令値を記録できることを想定したが、これは困難であることが多い。本実施形態2では負荷電圧を計測することで負荷の影響を取り除く。なお、電流波形がおおよそ三相正弦波になることを前提とする。
実施形態1との違いは、電圧指令値を記録する際に電圧指令値から同じ時刻で計測した各相の負荷電圧を差し引いて記録する点である。電圧指令差はこの記録した事前準備時の電圧指令値と劣化診断時の電圧指令値の差とするので負荷電圧の違いが除かれる。
後の処理は実施形態1と同様になる。本実施形態2の劣化診断アルゴリズムのフローチャートを図8に示す。図8に示すように、S8では、S1と同様に事前準備において6モードの電圧指令値(各モード数十サイクルの平均)を記録する。ただし、実施形態1とは異なり電圧指令値から同時刻の負荷電圧を差し引いた値を記録する。
S9では、S2と同様に劣化診断において、6モードの電圧指令値(各モード数十サイクルの平均)を記録する。ただし、実施形態1と異なり電圧指令値から同時刻の負荷電圧を差し引いた値を記録する。S3以降は実施形態1と同様である。
以上示したように、本実施形態2は実施形態1と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態2は同じ負荷条件でなくても劣化診断を行うことが可能となる。また、電圧指令値から負荷電圧を引いた値を用いることで劣化診断の精度を高めることができる。
[実施形態3]
図9に本実施形態3の劣化診断方法を行うIGBTパワーシステムの構成を示す。本実施形態3は実施形態2と同様に負荷電圧を計測することで劣化診断の条件を緩和している。ただし、負荷電圧は中性点との間の相電圧でなく線間電圧を計測する。これにより電圧計測をインバータ装置内に局所化できる。
実施形態1で記録する電圧指令値から同じ時刻で計測した負荷電圧を差し引いて記録するのは実施形態2と同様である。ただし、実施形態2と異なり計測する負荷電圧は相電圧でなく線間電圧であるので、これを相電圧に換算する計算が追加される。
線間電圧をVUV,VVW,VWU、相電圧をV,V,Vとするとき、以下の(9)式~(12)式により、相電圧V,V,Vは(13)式~(15)式となる。
Figure 2024003849000010
Figure 2024003849000011
Figure 2024003849000012
Figure 2024003849000013
Figure 2024003849000014
Figure 2024003849000015
Figure 2024003849000016
劣化診断装置5は、(13)式~(15)式により線間電圧VUV,VVW,VWUに基づいて、相電圧(各相の負荷電圧)V,V,Vを算出する。そして、電圧指令値から相電圧(各相の負荷電圧)V,V,Vを差し引いて記録する。
以上示したように、本実施形態3によれば実施形態1と同様の作用効果を奏する。また、実施形態2と同様に、同じ負荷条件でなくても適用可能となる。また、計測コストを下げつつ、劣化診断を行うことが可能となる。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1…IGBT
2…還流ダイオード
3…ボンディングワイヤ
DC…DC電源
UVW…負荷
C…コレクタ
E…エミッタ
G…ゲート
K…カソード
A…アノード
U+,U-,V+,V-,W+,W-…ユニット
4…制御装置
5…劣化診断装置
6…電流検出器
7…電圧計

Claims (6)

  1. IGBTを備えた電力変換回路と、
    前記IGBTを制御する制御装置と、
    前記IGBTの劣化を診断する劣化診断装置と、
    を備えたIGBTパワーシステムであって、
    前記劣化診断装置は、
    事前準備時のU相電流が正ピーク時および負ピーク時、V相電流が正ピーク時および負ピーク時、W相電流が正ピーク時および負ピーク時の6モードの電圧指令値から劣化診断時の前記6モードの電圧指令値を減算した前記6モードの電圧指令差に基づいて、前記IGBTの劣化判定を行うことを特徴とするIGBTパワーシステム。
  2. 前記劣化診断装置は、
    事前準備時に、前記6モードの電圧指令値を記録し、
    劣化診断時に、前記6モードの電圧指令値を記録し、
    各モードの劣化診断時の電圧指令値から各モードの事前準備時の電圧指令値を減算して各モードの前記電圧指令差を算出し、
    各モードの前記電圧指令差の中から最大値を抽出し、
    前記最大値の相以外の相の前記電圧指令差の平均値を算出し、
    前記最大値と前記平均値に基づいて寿命判定を行い、
    判定結果を出力することを特徴とする請求項1記載のIGBTパワーシステム。
  3. 前記劣化診断装置は、
    前記最大値から前記平均値の4割を差し引いた値が寿命とするデバイス電圧差の6割以上の場合に劣化と判定することを特徴とする請求項2記載のIGBTパワーシステム。
  4. 前記電力変換回路から出力された各相の負荷電圧を計測し、事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値から各相の前記負荷電圧を差し引いた値を事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値として記録することを特徴とする請求項2記載のIGBTパワーシステム。
  5. 前記電力変換回路から出力された線間電圧を計測し、前記線間電圧から各相の負荷電圧を算出し、事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値から各相の前記負荷電圧を差し引いた値を事前準備時の電圧指令値および劣化診断時の電圧指令値として記録することを特徴とする請求項2記載のIGBTパワーシステム。
  6. IGBTを備えた電力変換回路と、
    前記IGBTを制御する制御装置と、
    前記IGBTの劣化を診断する劣化診断装置と、
    を備えたIGBTパワーシステムの劣化診断方法であって、
    前記劣化診断装置は、
    事前準備時のU相電流が正ピーク時および負ピーク時、V相電流が正ピーク時および負ピーク時、W相電流が正ピーク時および負ピーク時の6モードの電圧指令値から劣化診断時の前記6モードの電圧指令値を減算した前記6モードの電圧指令差に基づいて、前記IGBTの劣化判定を行うことを特徴とする劣化診断方法。
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