以下、本発明の一実施の形態に係る部品分離装置について図面を参照しつつ説明する。以下に説明する部品分離装置は、基本的に共通の形状を有する複数の部品から各部品を取り出し、予め定められた容器に収容するために用いられる。予め定められた容器として、複数のポケットを含むように成型された樹脂製のトレイが用いられる。なお、以下の説明に用いられる部品とは、実施の形態に係る部品分離装置により分離されることになる部品および分離された部品のいずれかを意味する。
1.部品分離装置の基本構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る部品分離装置の模式的外観斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係る部品分離装置1は、主として、トレイ搬送台10、粗分離装置20、ピックアップロボット30、撮像装置40、ブラシ支持台50およびブラシ60から構成される。
図1の部品分離装置1においては、当該装置に固有の三次元座標系(以下、装置座標系)が定義される。本例の装置座標系は、原点と、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸とを含む。以下の説明では、装置座標系のX軸に平行な方向をX方向と呼び、Y軸に平行な方向をY方向と呼び、Z軸に平行な方向をZ方向と呼ぶ。図1および後続の所定の図には、装置座標系に従う方向が適宜矢印で示される。
トレイ搬送台10は、ガイド部10Gと、当該ガイド部10Gを設置面上に支持する複数の支持柱10Sとを備える。ガイド部10Gは、一方向(本例ではX方向)に延びる扁平な溝を形成している。ガイド部10Gは、トレイ11を載置可能でかつ載置されたトレイ11をX方向にスライドさせることが可能に構成されている。本例で用いられるトレイ11は、平面視で略正方形状を有し、上方に向かって開口する複数のポケット12を含む。複数のポケット12は、マトリクス状に並んでいる。
ガイド部10Gの一端部には、待機位置PN1が設定されている。また、ガイド部10Gのうち待機位置PN1に隣り合う部分には、ワーク位置PN2が設定されている。ガイド部10Gの待機位置PN1には、空のトレイ11が配置される。図1の例では、ガイド部10Gの待機位置PN1に複数のトレイ11が積み上げられている。ガイド部10Gのワーク位置PN2には、一のトレイ11が載置される。その一のトレイ11には、後述する粗分離装置20およびピックアップロボット30の動作により複数の部品から分離された1または複数の部品が収容される。
平面視でY方向においてガイド部10Gの待機位置PN1に隣り合う位置に、粗分離装置20が設けられている。図2は、粗分離装置20の分解斜視図である。図2に示すように、粗分離装置20は、主として、本体ケーシング21、昇降装置22、台座23、規制部材24および底板29から構成される。
本体ケーシング21は、筒状支持部21aおよび部品収容部21bを含み、ステンレス等の金属材料により構成される。筒状支持部21aは、円筒形状を有し、上方に延びるように、底板29を介して設置面上に設けられる。部品収容部21bは、底部が開放されたすり鉢形状を有し、筒状支持部21aの上端部から上方に向かって広がるように形成されている。
昇降装置22は、例えばエアシリンダを含み、本体ケーシング21の内部で、Z方向(上下方向)に伸縮可能に底板29上に設けられている。台座23は、本体ケーシング21の内部で、昇降装置22上に取り付けられている。この状態で、台座23は、昇降装置22の上端部を上方および側方から覆っている。
台座23は、円筒状の外周面を有する。台座23の外周面の水平断面は、筒状支持部21aの内径よりもやや小さい外径を有する。昇降装置22が動作することにより、台座23の上端部が筒状支持部21aの上端部またはその近傍の高さ位置(以下、第1の高さ位置と呼ぶ。)と、部品収容部21bの上端部またはその近傍の高さ位置(以下、第2の高さ位置と呼ぶ。)との間で上下動する。なお、台座23の下端部は、第1の高さ位置および第2の高さ位置のいずれにある場合でも、筒状支持部21a内に位置する。
また、台座23は、円形状の平坦な上面23aを有する。上面23aの中央部には、Z方向に延びる縦孔が接続孔23bとして形成されている。規制部材24は、所定の厚みを有する円板状部材であり、互いに反対の方向を向く規制面SAおよび取付面SBを有する。取付面SBの中央部には、台座23の接続孔23bに嵌め込むことが可能に形成された接続突起24jが形成されている。規制部材24は、接続突起24jを台座23の接続孔23bに嵌め込むことにより、台座23上に取り付けられる。また、規制部材24は、台座23上に取り付けられた状態で、Z方向の軸の周りで回転不可能に固定される。さらに、規制部材24は、接続突起24jから引き抜くことにより台座23から取り外すことができる。このように、規制部材24は、台座23に対して着脱可能に構成されている。
なお、台座23の接続孔23bの内周面および規制部材24の接続突起24jの外周面には、互いに対応するねじ切り加工が施されていてもよい。この場合、台座23の接続孔23bに規制部材24の接続突起24jを挿入し、締め込むことにより台座23と規制部材24との間の接続状態が安定する。
上記の構成を有する粗分離装置20においては、複数の部品分離時に、部品収容部21bに複数の部品が供給される。この状態で、台座23が第1の高さ位置と第2の高さ位置との間を移動することにより、規制部材24の規制面SA上に複数の部品が導かれる。規制面SA上に互いに重なり合う複数の部品が存在する状態で、部品同士の重なりを解消する動作(以下、ブラッシング動作と呼ぶ。)が行われる。この動作時には、規制面SA上でブラシ60を移動させることにより、他の部品に重なる部品が掻き落とされる。また、規制面SA上の複数の部品がばらされる。
規制部材24は、上記のブラッシング動作時に、台座23上の複数の部品のうち全ての部品または大部分の部品が台座23上から落下することを規制する。部品の落下を規制するための規制面SAの形状は、分離対象となる部品の形状に応じて定めることが望ましい。
そこで、本実施の形態に係る部品分離装置1は、分離対象となる部品の種類に応じた規制面SAを有する複数の規制部材24を備える。これにより、使用者は、分離対象となる部品の種類に対応する規制部材24を選択し、選択した規制部材24を台座23上に取り付ける。複数の規制部材24の詳細は後述する。
図1に示すように、平面視でY方向において粗分離装置20に隣り合う位置に、ブラシ支持台50が設けられている。ブラシ支持台50は、粗分離装置20の上端部またはその近傍の高さ位置で、ブラシ60を支持可能に構成されている。図1の例では、ブラシ支持台50上にブラシ60が支持されている。本例のブラシ60は、ナイロン、ポリプロピレンまたはポリエステル等の樹脂製の複数の毛部材が束ねられた構成を有する。ブラシ支持台50に支持されたブラシ60は、ブラッシング動作開始時に、後述するピックアップロボット30によりピックアップされる。また、ブラシ60は、ブラッシング動作終了時に、後述するピックアップロボット30によりブラシ支持台50上に戻される。
平面視でY方向においてガイド部10Gのワーク位置PN2に隣り合いかつX方向において粗分離装置20に隣り合う位置に、ピックアップロボット30が設けられている。ピックアップロボット30は、ハンド装置31、可動アーム32およびベース部33を含む。ベース部33は、設置面上に設けられ、可動アーム32をZ方向の軸の周りで回転可能に支持する。ベース部33には、可動アーム32をZ方向の軸の周りで回転させる図示しない駆動装置が内蔵されている。
可動アーム32は、多関節アームであり、先端部にハンド装置31を保持する。可動アーム32には、先端部を複数の位置の間で移動させる図示しない駆動装置が内蔵されている。ハンド装置31は、一対のフィンガと、その一対のフィンガ間の距離を調整する図示しない駆動装置と、一対のフィンガをそれら一対のフィンガが延びる方向に平行な軸(フィンガ軸心)の周りで回転させる図示しない駆動装置とを有する。
そのピックアップロボット30は、ハンド装置31の一対のフィンガ間の距離を調整し、一対のフィンガをフィンガ軸心周りで回転させることにより、部品のピックアップが可能である。これにより、ピックアップロボット30は、粗分離装置20の台座23上(より具体的には規制部材24上)に存在する部品をピックアップし、所定の位置(例えば、ワーク位置PN2にあるトレイ11)へ搬送する。また、そのピックアップロボット30は、ハンド装置31の一対のフィンガ間の距離を調整することにより、空のトレイ11を保持することが可能である。これにより、ピックアップロボット30は、待機位置PN1にある空のトレイ11を一対のフィンガにより保持し、ワーク位置PN2に搬送する。
さらに、そのピックアップロボット30は、ハンド装置31の一対のフィンガをワーク位置PN2に存在するトレイ11に押し当て、当該トレイ11をX方向に押圧することもできる。この場合、ハンド装置31により押圧されたトレイ11は、ワーク位置PN2から離れるように、ガイド部10G上でX方向にスライドする。
撮像装置40は、レンズおよび撮像素子を含むカメラである。撮像装置40は、撮像装置支持柱41により、粗分離装置20の上方に位置するように保持されている。撮像装置40の位置および姿勢は、撮像装置40の撮像視野内に粗分離装置20の規制部材24全体が位置するように固定されている。撮像装置40は、上方から規制部材24を撮像する。この場合、撮像装置40から、複数の画素データが出力される。
部品分離装置1は、制御部90をさらに含む。制御部90は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびメモリまたはマイクロコンピュータを含む。メモリには、部品分離プログラムが記憶されている。制御部90は、機能部として台座昇降制御部91、二次元画像生成部92、画像判定部93およびハンド制御部94を含む。制御部90の上記の各構成要素(91~94)は制御部90のCPUがメモリに記憶された部品分離プログラムを実行することにより実現される。
台座昇降制御部91は、粗分離装置20の動作を制御する。二次元画像生成部92は、撮像装置40の動作を制御するとともに撮像装置40から出力される複数の画素データに基づいて二次元画像を示す画像データを生成する。画像判定部93は、二次元画像生成部92により生成された画像データに基づいて、規制部材24の規制面SA上に分離対象となる部品があるか否かを判定する。ハンド制御部94は、画像判定部93による判定結果に基づいてピックアップロボット30の動作を制御する。
2.複数の規制部材24の詳細
複数の規制部材24は、例えば以下に説明する第1の規制部材を含む。図3は、第1の規制部材を示す外観斜視図である。図3の第1の規制部材24Aは、分離対象となる部品がナットまたはワッシャである場合に用いられる。図3に示すように、第1の規制部材24Aの規制面SAは、円形の平坦な上面部25aと円環状突起部25bとを有する。円環状突起部25bは、上面部25aを取り囲みかつ上方に突出するように形成され、第1の規制部材24Aの外周端部に沿って延びている。
本実施の形態に係るナットおよびワッシャは、基本的に、互いに反対の方向を向く一面および他面を有するとともに、それらの一面および他面間に延びるねじ孔または貫通孔を有する。上面部25aを基準とする円環状突起部25bの高さは、例えばナットまたはワッシャの厚み(一面および他面間の距離)以下に設定される。
第1の規制部材24Aにおいては、上面部25a上に配置された複数の部品(ナットまたはワッシャ)が第1の規制部材24Aの外方に向かって予め定められた方向(例えばY方向)に移動する際、少なくとも一部の部品が円環状突起部25bに当接する。それにより、複数の部品のうち少なくとも一部の部品の予め定められた方向(例えばY方向)への移動が規制される。したがって、規制面SA上の複数の部品が第1の規制部材24Aから過剰に落下することが抑制される。なお、図2に示される規制部材24は、第1の規制部材24Aである。
図4は、図3の第1の規制部材24A上でブラシ60により複数のワッシャがばらされた状態を示す外観斜視図である。図4に示すように、規制面SA上でばらされた複数のワッシャPaのうちの大部分は、ブラッシング動作で移動または回転されることにより、各ワッシャPaの一面および他面のうち一方の面全体が上面部25aに接する姿勢で保持される。そのため、規制面SA上の複数のワッシャPaの多くは、平面視で共通の幾何学形状(本例では、リング形状)を示す。以下の説明では、ナットまたはワッシャPaの一面および他面のうち一方の面全体が第1の規制部材24Aの上面部25aに接する状態にあるナットまたはワッシャPaの姿勢を、第1の基準姿勢と呼ぶ。
複数の規制部材24は、例えば以下に説明する第2の規制部材を含む。図5は、第2の規制部材を示す外観斜視図である。図5の第2の規制部材24Bは、分離対象となる部品がねじである場合に用いられる。図5に示すように、第2の規制部材24Bの規制面SAは、円形の平坦な上面部26aとその上面部26aに形成された複数の開口部26bとを含む。複数の開口部26bは、上面部26a上で、共通する一方向に延びるとともにその一方向に直交する方向に並ぶように形成されている。
本実施の形態に係るねじは、基本的に、頭部およびねじ部を有し、ボルトを含む。第2の規制部材24Bの各開口部26bは、分離対象となるねじのねじ部の長さよりも長い距離直線状に延びている。また、各開口部26bは、分離対象となるねじのねじ部を挿入可能でかつ当該ねじの頭部を挿入不可能に形成されている。具体的には、開口部26bは、その開口部26bの開口幅が、分離対象となるねじのねじ部の外径よりも大きく、分離対象となるねじの頭部の最小径よりも小さくなるように設定される。ねじの頭部の最小径は、ねじの頭部断面が円である場合にその円の外径であり、ねじの頭部断面が多角形である場合にその多角形の最小幅の寸法である。
第2の規制部材24Bにおいては、上面部26a上に配置された複数のねじが第2の規制部材24Bの外方に向かって予め定められた方向(例えばY方向)に移動する際、少なくとも一部のねじのねじ部が複数の開口部26bのいずれかに嵌まり込む。それにより、複数のねじのうち少なくとも一部のねじの予め定められた方向(例えばY方向)への移動が規制される。したがって、規制面SA上の複数のねじが第2の規制部材24Bから過剰に落下することが抑制される。
図6は、図5の第2の規制部材24B上でブラシ60により複数のねじがばらされた状態を示す外観斜視図である。図6に示すように、規制面SA上でばらされた複数のねじPbのうちの大部分は、ブラッシング動作で移動または回転されることにより、各ねじが有するねじ部が開口部26bに嵌まり込んだ姿勢で保持される。そのため、規制面SA上の複数のねじPbの多くは、平面視で共通の幾何学形状(本例では、円形状)を示す。以下の説明では、ねじ部全体が開口部26bに嵌まり込みかつ頭部が上面部26a上に保持された状態にあるねじPbの姿勢を、第2の基準姿勢と呼ぶ。
第2の規制部材24Bが台座23に取り付けられる場合、第2の規制部材24Bは、複数の開口部26bの延びる方向がブラッシング動作時のブラシ60の進行方向(例えばY方向)に対して交差するように固定されることが好ましい。
なお、第2の規制部材24Bが台座23に取り付けられる場合、第2の規制部材24Bは、複数の開口部26bの延びる方向がブラッシング動作時のブラシ60の進行方向(例えばY方向)に対して平行に固定されてもよい。このような場合においても、複数の開口部26bのいずれかに嵌まり込んだねじPbは、当該開口部26bの長手方向の端部において、ブラシ60の進行方向への移動が規制される。
複数の規制部材24は、例えば以下に説明する第3の規制部材を含む。図7は、第3の規制部材を示す外観斜視図である。図7の第3の規制部材24Cは、分離対象となる部品が一方向に直線状に延びる棒状部材である場合に用いられる。図7に示すように、第3の規制部材24Cの規制面SAは、一方向に延びる複数の溝27がその一方向に直交する方向に連続して並ぶように形成されている。
第3の規制部材24Cにおいては、規制面SA上で複数の棒状部材が複数の溝27を横切るように第3の規制部材24Cの外方に向かって予め定められた方向(例えばY方向)に移動する際、少なくとも一部の棒状部材が複数の溝27のいずれかに嵌まり込む。それにより、複数の棒状部材のうち少なくとも一部の棒状部材の予め定められた方向(例えばY方向)への移動が規制される。したがって、規制面SA上の複数の棒状部材が第3の規制部材24Cから過剰に落下することが抑制される。
図8は、図7の第3の規制部材24C上でブラシ60により複数の棒状部材がばらされた状態を示す外観斜視図である。図8に示される棒状部材は、ピンPcである。図8に示すように、規制面SA上でばらされた複数のピンPcのうちの大部分は、ブラッシング動作で移動または回転されることにより、複数の溝27のいずれかに嵌まり込んだ姿勢で保持される。そのため、規制面SA上の複数のピンPcの多くは、平面視で共通の幾何学形状(本例では、長方形状)を示す。以下の説明では、複数の溝27のいずれかに嵌まり込んだときのピンPcの姿勢を、第3の基準姿勢と呼ぶ。
なお、第3の規制部材24Cが台座23に取り付けられる場合、第3の規制部材24Cは、複数の溝27がブラッシング動作時のブラシ60の進行方向(例えばY方向)に対して交差するように固定される。
3.部品分離装置1の一連の基本動作
図9~図11は、複数の部品の分離時に図1の粗分離装置20およびその周辺部材により行われる一連の基本動作を説明するための図である。図9~図11では、複数の部品の分離時における粗分離装置20およびその周辺部材の動作が模式的断面図により時系列で示される。本例の分離対象である複数の部品は複数のワッシャPaである。そのため、図9~図11に示される粗分離装置20の台座23には、図3の第1の規制部材24Aが取り付けられているものとする。
図9の左部分に示すように、粗分離装置20においては、初期状態で、台座23の上端部が第1の高さ位置h1にある。このとき、本体ケーシング21の部品収容部21bには、第1の規制部材24Aの規制面SAを底部とする内部空間が形成されている。
次に、図9の中央部分に、ドットパターンが付された矢印で示すように、部品収容部21b内に分離対象となる複数のワッシャPaが投入される。この投入動作は、部品分離装置1に付随して予め用意された部品供給装置により自動的に行われてもよいし、使用者によって手動で行われてもよい。上記のように、部品収容部21bは、すり鉢形状を有する。それにより、部品収容部21b内に投入された複数のワッシャPaの大部分は、部品収容部21bの内周面に沿って第1の規制部材24A上に導かれる。
次に、図9の右部分に示すように、昇降装置22が伸長することにより台座23の上端部が第1の高さ位置h1から第2の高さ位置h2に上昇する。この場合、台座23が第1の高さ位置h1にある状態で第1の規制部材24A上に多数のワッシャPaが存在する場合でも、台座23が第2の高さ位置h2に上昇した後は、それらのワッシャPaの一部が第1の規制部材24Aから落下する。しかしながら、台座23上に残る複数のワッシャPaの大部分は重なり合った状態にある。
次に、ピックアップロボット30(図1)がブラシ支持台50(図1)からブラシ60をピックアップする。また、ピックアップロボット30(図1)は、図10の上段左部分に示すように、ブラシ60を第1の規制部材24Aに近接する位置まで移動させる。さらに、図1のピックアップロボット30は、ブラシ60を第1の規制部材24A上で移動させるブラッシング動作を開始する。
ブラッシング動作の開始時点で、ブラシ60の下端部の高さ位置は、Z方向におけるブラシ60の下端部と第1の規制部材24Aの上面部25aとの間の隙間が、例えば部品の最小寸法以下となるように調整される。この状態で、図10の上段中央部分および上段右部分に太い点線の矢印で示すように、ブラシ60が第1の規制部材24A上をY方向に通過する。このブラシ60の移動方向は、第1の規制部材24Aにおいて、複数のワッシャPaの少なくとも一部の移動を規制可能な方向に設定される。
なお、ブラシ60の下端部の高さ位置は、ブラシ60の移動時に、ブラシ60が規制面SA上の全ての部品または規制面SA上の一部の部品に接するように調整されていればよい。したがって、ブラシ60の下端部の高さ位置は、第1の規制部材24Aの上面部25aと同じ高さ位置に調整されてもよい。
図10の下段の吹き出し内に、ブラッシング動作時に第1の規制部材24A上に存在する複数のワッシャPaの状態の変化が示される。図10の吹き出し内に示されるように、ブラッシング動作時においては、複数のワッシャPaに接するように、ブラシ60が規制面SA上でY方向に移動する。この場合、規制面SAが円環状突起部25bを有するので、規制面SA上の全てのワッシャPaが規制面SA上から落下することが抑制される。
第1の規制部材24A上で、他のワッシャPaに重なるワッシャPaの大部分は、ブラシ60に接触することにより、他のワッシャPaと重ならない位置に移動するか、または規制面SAの外方に落下する。それにより、規制面SA上で複数のワッシャPaの重なりが低減される。さらに、上記の構成によれば、ブラシ60が柔軟性を有するので、ブラシ60に接触したワッシャPaの移動が円環状突起部25bにより規制される場合でも、ブラシ60のY方向への移動は規制されない。その結果、動作不良を生じさせることなく複数のワッシャPaを第1の規制部材24Aの規制面SA上で適切にばらすことが可能になる。
ブラッシング動作後、図11の左部分に示すように、撮像装置40により粗分離装置20の上方から第1の規制部材24Aが撮像される。それにより、図11の吹き出し内に示すように、第1の規制部材24Aの画像24iを含む二次元画像40iの画像データが生成される。その二次元画像40iは、第1の規制部材24Aの画像24iに加えて、複数のワッシャPaの画像Piを含む。
ここで、図1の制御部90において、画像判定部93には、第1の規制部材24A上で第1の基準姿勢にあるワッシャPaの平面視の幾何学形状(本例では、リング形状)が、判定用形状として設定されている。これにより、二次元画像40iの画像データと予め設定された判定用形状とに基づいて、第1の規制部材24A上で第1の基準姿勢にあるワッシャPaの有無が判定される。また、第1の規制部材24A上で第1の基準姿勢にあるワッシャPaの三次元座標位置が算出される。
なお、分離対象が複数のねじPbでありかつ粗分離装置20の台座23に図5の第2の規制部材24Bが取り付けられる場合には、第2の基準姿勢にあるねじPbの平面視の幾何学形状が、判定用形状として設定される。また、分離対象が複数のピンPcでありかつ粗分離装置20の台座23に図7の第3の規制部材24Cが取り付けられる場合には、第3の基準姿勢にあるピンPcの平面視の幾何学形状が、判定用形状として設定される。
次に、図11の右部分に示すように、算出された三次元座標位置に基づいて、ピックアップロボット30(図1)が動作する。それにより、第1の規制部材24A上で第1の基準姿勢にあるワッシャPaがハンド装置31によりピックアップされ、トレイ11における所定のポケット12内に搬送される。
4.部品分離処理
図12は、図1の制御部90により実行される部品分離処理の一例を示すフローチャートである。図12の部品分離処理は、制御部90のCPUがメモリに記憶された部品分離プログラムを実行することにより行われる。初期状態で、粗分離装置20の台座23には、分離対象の部品に対応する規制部材24が取り付けられているものとする。また、図1の画像判定部93には、分離対象の部品に対応する判定用形状が設定されているものとする。また、粗分離装置20においては、台座23の上端部が第1の高さ位置h1に維持され、部品収容部21b内に複数の部品が収容されているものとする。さらに、トレイ搬送台10においては、ガイド部10Gの待機位置PN1に複数の空のトレイ11が積み上げられ、ガイド部10Gのワーク位置PN2にはトレイ11が存在しないものとする。
まず、ハンド制御部94は、ピックアップロボット30を制御することにより、待機位置PN1にある複数の空のトレイ11のうち最上段のトレイ11をワーク位置PN2に搬送する(ステップS11)。次に、台座昇降制御部91は、粗分離装置20を制御することにより、台座23の上端部が第2の高さ位置h2で維持されるように、台座23を上昇させる(ステップS12)。このとき、上記のように、台座23上に位置する多数の部品の一部が、規制部材24上から落下する。
次に、ハンド制御部94は、ピックアップロボット30を制御することにより、上記のブラッシング動作を行う。具体的には、ハンド制御部94は、ピックアップロボット30により、ブラシ支持台50に支持されたブラシ60をピックアップさせ、そのブラシ60を規制部材24上で移動させる(ステップS13)。このステップS13の処理後、ブラシ60は、ブラシ支持台50に戻される。
次に、二次元画像生成部92は、撮像装置40を制御することにより規制部材24を撮像し、撮像装置40から出力される複数の画素データに基づいて二次元画像を示す画像データを生成する(ステップS14)。
次に、画像判定部93は、生成された二次元画像の画像データと予め設定された判定用形状とに基づいて、規制部材24上に予め定められた基準姿勢にある部品が存在するか否かを判定する(ステップS15)。具体的には、画像判定部93は、生成された二次元画像内に予め設定された判定用形状と同じ幾何学形状を有する画像があるか否かを判定する。
画像判定部93は、二次元画像内に判定用形状と同じ幾何学形状を有する画像がある場合、分離対象となる部品が存在すると判定し、二次元画像上の部品の画像の位置に基づいて、当該部品の平面座標位置を取得する。ここで、台座23が第2の高さ位置h2にあるときの規制部材24の高さ位置は既知である。それにより、画像判定部93は、取得した平面座標位置と規制部材24の高さ位置とに基づいて、装置座標系に従う部品の三次元座標位置を算出する(ステップS16)。
また、ハンド制御部94は、ピックアップロボット30を制御することにより、算出された三次元座標位置に基づいて規制部材24上に存在する部品をピックアップし、ワーク位置PN2にあるトレイ11に搬送する(ステップS17)。
次に、制御部90において、ワーク位置PN2にあるトレイ11に部品が収容されたか否かが判定される(ステップS18)。この処理は、例えば、ハンド制御部94が、現在ワーク位置PN2に配置されているトレイ11に予め定められた数の部品を搬送したか否かに基づいて行われてもよい。
ステップS18においてトレイ11への部品の収容が完了していないと判定された場合、処理はステップS14に戻される。なお、ステップS18においてトレイ11への部品の収容が完了していないと判定された場合、処理はステップS15に戻されてもよい。
一方、ステップS18においてトレイ11への部品の収容が完了したと判定された場合、ハンド制御部94は、ピックアップロボット30を制御することにより、部品が収容されたトレイ11をワーク位置PN2から移動させる(ステップS20)。具体的には、ハンド制御部94は、ピックアップロボット30を制御することにより、ガイド部10G上でワーク位置PN2にあるトレイ11をワーク位置PN2からずれた位置にスライドさせる。その後、処理はステップS11に戻される。
ステップS15において二次元画像内に判定用形状と同じ幾何学形状を有する画像がない場合、台座昇降制御部91は、粗分離装置20を制御することにより、台座23を第1の高さ位置h1に下降させる(ステップS20)。その後、処理はステップS12に戻される。
5.効果
(a)上記の粗分離装置20においては、筒状支持部21a内に複数の部品が収容された状態で、台座23が第1の高さ位置h1から第2の高さ位置h2に上昇する。これにより、台座23が第1の高さ位置h1にある状態で台座23上に多数の部品が存在する場合でも、台座23が第2の高さ位置h2に移動した後は、それらの部品の一部が台座23から落下する。
台座23が第2の高さ位置h2にある状態で、ブラッシング動作が行われる。このとき、規制部材24により、台座23上の全ての部品が落下することが抑制される。また、台座23上で他の部品に重なる部品の大部分は、ブラシ60に接触することにより、他の部品と重ならない位置に移動する。それにより、台座23上で複数の部品の重なりが低減される。さらに、上記の構成によれば、ブラシ60が柔軟性を有するので、ブラシ60に接触した部品の移動が規制される場合でも、ブラシ60の移動は規制されない。その結果、動作不良を生じさせることなく複数の部品を適切にばらすことが可能になる。
(b)上記のように、粗分離装置20においては、台座23に対して規制部材24が着脱可能に構成されている。また、部品分離装置1は、分離対象となる複数種類の部品に応じた複数の規制部材24(24A~24C)を含む。
この場合、分離対象となる複数の部品の形状に応じて、複数の部品をばらすために適切な規制部材24を台座23に取り付けることができる。それにより、ブラッシング動作時に、台座23上に位置する複数の部品の全てが落下することが適切に抑制される。
(c)第1の規制部材24Aは、円環状突起部25bを有する。それにより、ブラッシング動作時に、規制面SA上に位置する全てのナットまたはワッシャPaが台座23上から落下することが適切に抑制される。
また、ブラッシング動作時に、多数のナットまたはワッシャPaの姿勢が第1の基準姿勢に誘導される。したがって、第1の規制部材24A上でばらされた複数のナットまたはワッシャPaの位置を、当該複数のナットまたはワッシャPaの二次元画像に基づいて容易かつ正確に把握することが可能になる。その結果、三次元情報を取得するための高価な測定装置、および多様な可動範囲を有する高価なロボットを要することなく、複数のナットまたはワッシャPaを一つずつ取り出して搬送することが可能になる。
(d)第2の規制部材24Bは、直線状に延びる複数の開口部26bを有する。それにより、ブラッシング動作時に、規制面SA上に位置する全てのねじPbが台座23上から落下することが適切に抑制される。
また、ブラッシング動作時に、多数のねじPbの姿勢が第2の基準姿勢に誘導される。したがって、第2の規制部材24B上でばらされた複数のねじPbの位置を、当該複数のねじPbの二次元画像に基づいて容易かつ正確に把握することが可能になる。その結果、三次元情報を取得するための高価な測定装置、および多様な可動範囲を有する高価なロボットを要することなく、複数のねじPbを一つずつ取り出して搬送することが可能になる。
(e)第3の規制部材24Cは、直線状に延びる複数の溝27を有する。それにより、ブラッシング動作時に、規制面SA上に位置する全ての棒状部材が台座23上から落下することが適切に抑制される。
また、ブラッシング動作時に、多数の棒状部材の姿勢が第3の基準姿勢に誘導される。したがって、第3の規制部材24C上でばらされた複数の棒状部材の位置を、当該複数の棒状部材の二次元画像に基づいて容易かつ正確に把握することが可能になる。その結果、三次元情報を取得するための高価な測定装置、および多様な可動範囲を有する高価なロボットを要することなく、複数の棒状部材を一つずつ取り出して搬送することが可能になる。
6.他の実施の形態
(a)上記実施の形態に係るピックアップロボット30は、ブラッシング動作開始時にブラシ支持台50に支持されたブラシ60をピックアップし、保持されたブラシ60を用いてブラッシング動作を行う。また、ピックアップロボット30は、ブラッシング動作の終了後に、ブラシ60をブラシ支持台50に戻す。しかしながら、本発明は、上記の例に限定されない。ピックアップロボット30のハンド装置31は、予めブラシ60が保持された構成を有してもよい。
図13は、他の実施の形態に係るハンド装置31の構成の一例を示す図である。図13に示すように、本例のハンド装置31は、フィンガ部FI、ブラシ部BR、回転保持部材31Rおよび本体部31Mを備える。
本体部31Mは、図1の可動アーム32の先端部に取り付けられる。回転保持部材31Rは、水平面に対して所定角度(例えば45°)の傾きを有する軸AX1の周りで回転可能に本体部31Mに取り付けられている。また、回転保持部材31Rは、互いに直交する第1の支持面ss1および第2の支持面ss2を有する。
フィンガ部FIは、フィンガ支持部31aおよび一対のフィンガ31bを含む。フィンガ支持部31aは、回転保持部材31Rの第1の支持面ss1に取り付けられ、一対のフィンガ31bを支持する。ブラシ部BRは、ブラシ60およびブラシ支持片63を含む。ブラシ支持片63は、回転保持部材31Rの第2の支持面ss2に取り付けられ、ブラシ60を支持する。
回転保持部材31Rが軸AX1の周りで回転することにより、第1の支持面ss1および第2の支持面ss2の向きが変化する。例えば、第1の支持面ss1および第2の支持面ss2は、第1の支持面ss1が鉛直方向に平行に保持される場合に第2の支持面ss2が水平方向に平行に保持される。このとき、図13の左部分に示すように、フィンガ部FIがハンド装置31の下方に延びるように保持され、ブラシ部BRがハンド装置31の側方に延びるように保持される。
一方、第1の支持面ss1および第2の支持面ss2は、第1の支持面ss1が水平方向に平行に保持される場合に第2の支持面ss2が鉛直方向に平行に保持される。このとき、図13の右部分に示すように、フィンガ部FIがハンド装置31の側方に延びるように保持され、ブラシ部BRがハンド装置31の下方に延びるように保持される。
これにより、上記のハンド装置31においては、例えば部品またはトレイ11のピックアップ時に、フィンガ部FIがハンド装置31から下方に延びるように回転保持部材31Rの回転位置が調整される。また、例えばブラッシング動作時に、ブラシ部BRがハンド装置31から下方に延びるように回転保持部材31Rの回転位置が調整される。
上記の構成を有するハンド装置31によれば、粗分離装置20の周辺部にブラシ支持台50を設置する必要がないので、部品分離装置1の設置スペースが低減される。
(b)上記実施の形態に係るピックアップロボット30は、一対のフィンガを用いて部品またはトレイ11のピックアップを行うが、本発明はこれに限定されない。図14は、さらに他の実施の形態に係るハンド装置31の構成の一例を示す図である。図14のハンド装置31について、図13のハンド装置31と異なる点を説明する。
図14に示すように、本例のハンド装置31は、図13のフィンガ部FIに代えて吸着機構VCを備える。吸着機構VCは、ヘッド支持部31c、吸着ヘッド31dおよび吸引装置31eを含む。ヘッド支持部31cは、回転保持部材31Rの第1の支持面ss1に取り付けられ、吸着ヘッド31dを支持する。吸引装置31eは、例えば樹脂製の配管等で形成された気体流路を介して吸着ヘッド31dに接続され、吸着ヘッド31dの先端部から気体を吸引する。吸着機構VCは、吸着ヘッド31dの先端部を一の部品に接触させることにより、当該一の部品を吸着保持することが可能である。
上記の構成を有するハンド装置31によれば、一対のフィンガで保持することが困難な形状を有する部品でも、吸着保持することが可能である。したがって、部品分離装置1により分離可能な部品の範囲が拡大される。
(c)上記実施の形態に係る部品分離装置1においては、分離対象となる部品の種類に応じて互いに異なる規制面SAを有する規制部材24(24A~24C)が用いられるが、本発明はこれに限定されない。複数種類の部品に対して、一の規制部材24が用いられてもよい。
例えば、複数のねじPbまたは棒状部材が分離対象である場合に、第1の規制部材24Aが用いられてもよい。この場合においても、第1の規制部材24Aが備える円環状突起部25bは、複数の部品のうち少なくとも一部の部品が規制面SAから落下することを抑制する。あるいは、複数のねじPbが分離対象である場合に、第3の規制部材24Cが用いられてもよい。この場合においても、第3の規制部材24Cの規制面SAに形成された複数の溝27は、複数の部品のうち少なくとも一部の部品が規制面SAから落下することを抑制する。したがって、部品分離装置1は、複数種類の部品に共通に使用可能な一の規制部材24のみを備えてもよい。
(d)上記実施の形態に係る部品分離装置1においては、規制部材24(24A~24C)は、台座23の上面23a全体を覆うように形成されているが、本発明はこれに限定されない。規制部材24(24A~24C)は、上面23aのうち一部の領域のみを覆うように構成されてもよい。
(e)上記実施の形態に係る部品分離装置1においては、ピックアップロボット30がブラシ60を保持し、ブラシ60を規制部材24上で移動させることによりブラッシング動作が行われるが、本発明はこれに限定されない。
部品分離装置1は、ピックアップロボット30に加えて、ブラッシング動作時に、ブラシ60を規制部材24上で移動させるための他の構成要素(ブラシ搬送用ロボット等)をブラシ駆動部としてさらに備えてもよい。
7.実施の形態の各部と請求項の各構成要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
上記の実施の形態においては、第1の高さ位置h1が第1の高さ位置の例であり、第2の高さ位置h2が第2の高さ位置の例であり、台座23が台座の例であり、昇降装置22が昇降装置の例であり、本体ケーシング21の部品収容部21bが部品収容部材の例であり、Y方向が第1の方向の例であり、X方向が第2の方向の例である。
また、規制部材24、第1の規制部材24A、第2の規制部材24Bおよび第3の規制部材24Cが規制部材の例であり、ピックアップロボット30がブラシ駆動部およびロボットの例であり、ブラシ60がブラシの例であり、部品分離装置1が部品分離装置の例である。
また、第1の規制部材24Aが第1の規制部材の例であり、上面部25aが第1の規制部材の上面部の例であり、円環状突起部25bが第1の規制部材の環状突起部の例であり、第2の規制部材24Bが第2の規制部材の例であり、上面部26aが第2の規制部材の上面部の例であり、開口部26bが第2の規制部材の開口部の例である。
また、第3の規制部材24Cが第3の規制部材の例であり、第3の規制部材24Cの規制面SAが第3の規制部材の上面部の例であり、第3の規制部材24Cの複数の溝27が複数の溝部の例であり、ハンド装置31がハンド装置の例であり、可動アーム32が可動アームの例である。
8.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係る部品分離装置は、
第1の高さ位置と前記第1の高さ位置よりも上方の第2の高さ位置との間で上下方向に移動可能に構成された台座と、
前記台座を前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置との間で上下方向に移動させる昇降装置と、
前記台座が前記第1の高さ位置にある状態で、複数の部品を収容可能かつ収容された複数の部品のうち少なくとも一部の部品を前記台座上に導くように構成された部品収容部材と、
前記台座上に設けられ、前記部品収容部材により前記台座上に導かれた前記複数の部品の少なくとも一部の部品が第1の方向に移動することを規制する規制部材と、
ブラシと、
前記台座が前記第2の高さ位置にある状態で、前記ブラシが前記台座上に位置する前記複数の部品の少なくとも一部に接するように、前記ブラシを前記台座上で前記第1の方向に移動させるブラシ駆動部とを備える。
その部品分離装置においては、部品収容部材に複数の部品が収容される。台座が第1の高さ位置にある状態で、部品収容部材に収容された複数の部品のうち少なくとも一部が台座上に導かれる。台座が第1の高さ位置から第2の高さ位置に上昇すると、台座上に多数の部品が導かれる場合でも、それらの部品の一部は台座から落下する。
台座が第2の高さ位置にある状態で、台座上の複数の部品の少なくとも一部に接するように、ブラシが規制部材上で第1の方向に移動する。この場合、台座上に規制部材が設けられているので、台座上の全ての部品が、台座から落下することが抑制される。また、台座上で他の部品に重なる部品の大部分は、ブラシに接触することにより、台座上の他の部品と重ならない位置に移動する。それにより、台座上で複数の部品の重なりが低減される。さらに、上記の構成によれば、ブラシが柔軟性を有するので、ブラシに接触した部品の第1の方向への移動が規制部材により規制される場合でも、ブラシの第1の方向への移動は規制部材により規制されない。その結果、動作不良を生じさせることなく複数の部品を適切にばらすことが可能になる。
(第2項)第1項に記載の部品分離装置において、
前記部品収容部材に収容される複数の部品は、共通の形状を有し、
前記規制部材は、前記部品収容部材に収容される複数の部品の形状に応じて予め定められた形状を有し、前記台座に対して着脱可能に構成されてもよい。
この場合、部品収容部材に収容される複数の部品の形状に応じて、規制部材を交換することができる。それにより、ブラシの第1の方向への移動時に、台座上に位置する複数の部品の全てが台座から落下することが適切に抑制される。
(第3項)第2項に記載の部品分離装置において、
前記規制部材は、前記部品収容部材に収容される複数の部品の各々がナットまたはワッシャである場合に対応する第1の規制部材を含み、
前記第1の規制部材は、
平坦な上面部と、
前記上面部の少なくとも一部の領域を取り囲みかつ前記上面部から上方に突出する環状突起部を含んでもよい。
この場合、上面部の少なくとも一部の領域上でばらされた複数のナットまたは複数のワッシャが第1の方向に移動するブラシに接触する場合でも、各ナットまたは各ワッシャは、第1の方向への移動が環状突起部により規制される。その結果、上面部の少なくとも一部の領域上の複数のナットまたは複数のワッシャの全てが台座から落下することがより適切に抑制される。
さらに、上記の構成によれば、ブラシの移動に伴って複数の部品が平坦な上面部上で移動または回転等することにより、各部品の姿勢が平面視で特定の幾何学形状を示すように調整される。これにより、第1の規制部材上でばらされた複数の部品の位置を、当該複数の部品の二次元画像に基づいて容易かつ正確に把握することが可能になる。その結果、三次元情報を取得するための高価な測定装置、および多様な可動範囲を有する高価なロボットを要することなく、複数の部品を一つずつ取り出して搬送することが可能になる。
(第4項)第2項に記載の部品分離装置において、
前記規制部材は、前記部品収容部材に収容される複数の部品の各々がねじである場合に対応する第2の規制部材を含み、
前記第2の規制部材は、
平坦な上面部と、
前記上面部に形成された開口部とを含み、
前記開口部は、前記ねじのねじ部の長さよりも長い距離直線状に延びるとともに、前記ねじ部を挿入可能でかつ前記ねじの頭部を挿入不可能に形成されてもよい。
この場合、上面部でばらされた複数のねじの一部は、例えば第1の方向に移動するブラシに接触することにより、移動または回転し、頭部を除くねじ部が第2の規制部材の開口部に嵌まり込む。ねじ部が開口部に挿入されかつ頭部が開口部に挿入されない状態にあるねじは、第1の方向への移動が当該開口部により規制される。その結果、上面部上の複数のねじの全てが台座から落下することがより適切に抑制される。
さらに、上記の構成によれば、ブラシの移動に伴って複数の部品が平坦な上面部上で移動または回転等することにより、各部品の姿勢が平面視で特定の幾何学形状を示すように調整される。これにより、第2の規制部材上でばらされた複数の部品の位置を、当該複数の部品の二次元画像に基づいて容易かつ正確に把握することが可能になる。その結果、三次元情報を取得するための高価な測定装置、および多様な可動範囲を有する高価なロボットを要することなく、複数の部品を一つずつ取り出して搬送することが可能になる。
(第5項)第2項に記載の部品分離装置において、
前記規制部材は、前記部品収容部材に収容される複数の部品の各々が棒状部材である場合に対応する第3の規制部材を含み、
前記第3の規制部材は、
前記規制部材は、
上面部を含み、
前記上面部は、前記第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数の溝部を有してもよい。
この場合、上面部でばらされた複数の棒状部材の一部は、例えば第1の方向に移動するブラシに接触することにより、移動または回転し、複数の溝部のいずれかの溝部内に嵌まり込む。溝部内に嵌まり込んだ棒状部材は、第1の方向への移動が溝部により規制される。その結果、上面部上の複数の棒状部材の全てが台座から落下することがより適切に抑制される。
さらに、上記の構成によれば、ブラシの移動に伴って複数の部品が複数の溝部を有する上面部上で移動または回転等することにより、各部品の姿勢が平面視で特定の幾何学形状を示すように調整される。これにより、第3の規制部材上でばらされた複数の部品の位置を、当該複数の部品の二次元画像に基づいて容易かつ正確に把握することが可能になる。その結果、三次元情報を取得するための高価な測定装置、および多様な可動範囲を有する高価なロボットを要することなく、複数の部品を一つずつ取り出して搬送することが可能になる。
(第6項)第1項~第5項のいずれか一項に記載の部品分離装置において、
前記部品分離装置は、
前記台座上に位置する複数の部品を取り上げ、搬送するロボットをさらに備え、
前記ロボットは、
一の部品を把持または吸着することにより保持可能に構成されるとともに、前記ブラシを保持可能に構成されたハンド装置と、
前記ハンド装置および前記ブラシを移動可能に支持する可動アームとを含み、
前記可動アームは、前記台座が前記第2の高さ位置にある状態で、前記ハンド装置により保持された前記ブラシを前記第1の方向に移動させることにより、前記ブラシ駆動部として機能してもよい。
上記の構成によれば、可動アームがブラシ駆動部として機能する。それにより、部品を取り上げて搬送する構成と、規制部材上でブラシを移動させる構成とを個別に設ける必要がない。その結果、部品分離装置の部品点数の増加および構成の複雑化が抑制される。