JP2024001519A - 凝集処理水の膜閉塞性評価方法、凝集膜ろ過方法、および凝集膜ろ過システム - Google Patents

凝集処理水の膜閉塞性評価方法、凝集膜ろ過方法、および凝集膜ろ過システム Download PDF

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【課題】凝集膜ろ過に際し、別設備で凝集処理水の膜閉塞性の評価を行うことなく、現場で簡単且つ迅速に凝集処理水の膜閉塞性を評価し得る凝集処理凝集膜ろ過方法および凝集膜ろ過システムを提供すること、ならびに凝集膜ろ過に際し、簡単且つ迅速に凝集処理水の膜閉塞性を評価し得る凝集処理水の膜閉塞性評価方法を提供すること【解決手段】凝集処理工程(S100)と、膜ろ過工程(S110)と、凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出するΔAl算出工程(S120)と、算出されたΔAlの値に基づき、凝集処理工程(S100)および膜ろ過工程(S110)の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更する運転条件変更工程(S140)と、を有する凝集膜ろ過方法である。また、本発明は、凝集膜ろ過システム100および凝集処理水の膜閉塞性評価方法を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、凝集処理水の膜閉塞性評価方法、凝集膜ろ過方法、および凝集膜ろ過システムに関し、特に、凝集膜ろ過プロセスの途中で生じる凝集処理水の膜閉塞性評価方法、この方法を利用する凝集膜ろ過方法および凝集膜ろ過システムに関する。
従来、浄水処理では固液分離プロセスとして砂ろ過が主流であったが、近年では、より高度な固液分離が期待できる精密ろ過膜(MF膜)や限外ろ過膜(UF膜)を用いた低圧膜ろ過法の導入が進んでいる。
例えば、中大規模の浄水場の老朽化に伴う更新設備に膜ろ過を適用するケースが多くなっているが、その場合、水道原水として河川水などの表流水を利用しているため、色度成分などの溶解性物質除去の観点から膜前処理として凝集処理を組み合わせる場合が多い。
膜前処理としての凝集処理は、膜ろ過法の課題の一つである有機性膜汚染の原因物質であるバイオポリマーの低減にも有効であるが、一方で、残留凝集剤による膜汚染の問題が生じる。特に、浄水処理における凝集では、ポリ塩化アルミニウム(PACl)や硫酸バンド(Alm)などのアルミニウム系凝集剤が用いられるため、凝集処理水中に存在する残留アルミニウムが膜汚染の原因物質となる。
凝集処理水中の残留アルミニウムは、μmオーダーのマイクロレベルのアルミニウム粒子、0.45μmの膜でろ過可能な溶解性アルミニウム、および数nm~数十nmオーダーであるがその正電荷の影響で負電荷を有する上記0.45μmの膜をほとんど透過しないナノアルミニウム粒子に分けられる。このうち、マイクロレベルのアルミニウム粒子はマイクロフロックなどの粗大粒子へ取り込まれた形態であり、このマイクロフロックは膜の物理的な篩分け効果で除去が可能であるので問題にならないが、ナノアルミニウム粒子が膜閉塞の原因となるため、凝集処理水中のナノアルミニウム粒子の存在を知ることが凝集処理水の膜汚染性を把握する上で重要である。
特許文献1は、本願出願人による特許出願に係る特許文献であり、凝集膜ろ過による浄水処理において、被処理水の急速撹拌プロセスの水理学的滞留時間を緩速撹拌プロセスの水理学的滞留時間以上とすることを開示する。凝集処理水からのナノアルミニウム粒子の除去は、それがマイクロフロックなどの粗大粒子への衝突・取り込みであるフロック形成過程で生じるものであるところ、特許文献1の発明によれば、ナノアルミニウム粒子のサブマイクロフロックおよびマイクロフロックへの取り込みが促進され、凝集処理水中に残留するナノアルミニウム粒子を効果的に低減させることが可能となる。
特許文献2は、ナノアルミニウム粒子(20~500nm程度と報告されている)のゼータ電位を計測制御して膜汚染を抑制する試みを提案する。具体的には、膜処理に供する被膜ろ過水に電磁波を照射し、電磁波の照射後に凝集剤と混和してフロックを形成し、このフロックを含む前処理水中のメソ粒子(すなわち、ナノアルミニウム粒子)のゼータ電位を測定し、測定されたメソ粒子のゼータ電位が0mVに近づくように照射する電磁波の性状を制御するものである。特許文献2の発明によれば、膜ろ過した際に膜ファウリングの発生を十分に抑制することが可能な前処理水が得られる。
特開2021-186745号公報 特開2022-030987号公報
貝谷吉英ら著、「遠心分離を用いた凝集処理水中のナノ粒子解析に関する一考察」、平成30年度全国会議(水道研究発表会)講演集 366~367頁
特許文献1の発明によれば、凝集処理水中に残留するナノアルミニウム粒子を効果的に低減させることが可能となるものの、ナノアルミニウム粒子濃度を実際に測定したわけではない。
特許文献2では、メソ粒子(ナノアルミニウム粒子)のゼータ電位を測定しているが、ゼータ電位測定装置などのナノ粒子計は非常に高価で熟練した分析技術が必要であり、また、基本的には計装向けの測定装置ではないため、実際の水処理設備に適用することは現実的ではない。
加えて、ナノ粒子計の使用においては、測定ターゲット粒子よりも大きい粗大粒子の妨害抑制を目的として前処理に遠心分離処理や膜ろ過処理を行うことが多いが、遠心分離処理や膜ろ過処理により評価するべきナノアルミニウム粒子が除去されるので、分析評価の目的によっては前処理条件の慎重な選択が必要であることも指摘されている。また、このことは、ナノアルミニウム粒子が凝集沈降やと粗大粒子の衝突、いわゆるフロック形成がナノ粒子除去ポテンシャルを有することを示唆していることにもなる(非特許文献1)。
さらに、従来の砂ろ過とは異なり、膜ろ過では沈殿池は不要であるので、凝集処理水がそのまま膜供給水となるが、この場合、上述のマイクロレベルのアルミニウム粒子、ナノアルミニウム粒子および溶解性アルミニウムが膜供給水中に混在しており、この中から膜閉塞の原因となるナノアルミニウム粒子のアルミニウム濃度を求めることは非常に困難である。
ナノアルミニウム粒子のアルミニウム濃度を求めることができなければ、実際に凝集膜ろ過を行い、ろ過抵抗の上昇を見ながら膜ろ過条件を制御するか、あるいは、事前に浄水設備に用いる膜と同一の物性を有する膜を備える実験設備を利用して膜ろ過を行い、凝集処理水のろ過定数を求めることでその凝集処理水の膜閉塞性を評価するということになる。しかしながら、前者であれば事前に凝集処理水の膜閉塞性を評価できないし、後者であれば凝集処理水の膜閉塞性の評価のための別の評価設備が必要となるし、評価のための時間もかかる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、凝集膜ろ過に際し、別設備で凝集処理水の膜閉塞性の評価を行うことなく、現場で簡単且つ迅速に凝集処理水の膜閉塞性を評価し得る凝集膜ろ過方法および凝集膜ろ過システムを提供することにある。
また、本発明の目的は、凝集膜ろ過に際し、簡単且つ迅速に凝集処理水の膜閉塞性を評価し得る凝集処理水の膜閉塞性評価方法を提供することにもある。
発明者らは、上記目的の達成に向け、鋭意検討したところ、マイクロレベルのアルミニウム粒子、ナノアルミニウム粒子、溶解性アルミニウムが混在する凝集処理水中から膜閉塞の原因物質であるナノアルミニウム粒子を測定するにあたり、凝集処理水の一部を静置沈降させた上澄水中にはナノアルミニウム粒子および溶解性アルミニウムのみが存在し、マイクロレベルのアルミニウム粒子が存在しないこと、ならびに膜ろ過後の膜ろ過水には溶解性アルミニウムしか存在しないことに着目した。
そして、凝集処理水中の上記上澄水のアルミニウム濃度と膜ろ過水中のアルミニウム濃度との差を求めることで、直接測定することが困難な凝集処理水中のナノアルミニウム粒子の濃度を簡単に算出し得ること、および算出された凝集処理水中のナノアルミニウム粒子の濃度がその凝集処理水を分離膜で膜ろ過する場合の見かけのケーキろ過定数と有意な相関があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、上記目的は、被処理水に凝集剤を混和して凝集処理水を得る凝集処理工程と、前記凝集処理工程で得られた凝集処理水を精密ろ過膜および限外ろ過膜から選択される分離膜で膜ろ過して膜ろ過水を得る膜ろ過工程と、前記凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と前記膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出するΔAl算出工程と、前記算出されたΔAlの値に基づき、前記凝集処理工程および前記膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更する運転条件変更工程と、を有することを特徴とする凝集膜ろ過方法により達成されることが見いだされた。
本発明に係る浄水処理で生じた排水の処理方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)運転条件変更工程において、ΔAl算出工程で算出されたΔAlの値が0.5mg/Lを超える場合、ΔAlの値が0.5mg/L以下となるように凝集処理工程および膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更する。
(2)また、運転条件変更工程において、ΔAl算出工程で算出されたΔAlの値が0.3mg/Lを超える場合、ΔAlの値が0.3mg/L以下となるように凝集処理工程および膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更する。
(3)さらに、分離膜で凝集処理水を膜ろ過する場合の見かけのケーキろ過定数K2を算出する見かけのケーキろ過定数算出工程を有し、運転条件変更工程が、前記算出されたΔAlの値と前記算出されたK2の値とに基づき、凝集処理工程および膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更する。
また、上記目的は、凝集剤を添加した被処理水に対して凝集処理を行い、凝集処理水を得る凝集処理手段と、前記凝集処理手段で得られた前記凝集処理水を精密ろ過膜および限外ろ過膜から選択される分離膜で膜ろ過して膜ろ過水を得る膜ろ過手段と、前記凝集処理水の上澄水中のアルミニウム濃度を測定する第一測定手段と、前記膜ろ過水中のアルミニウム濃度を測定する第二測定手段と、を有する凝集膜ろ過システムであって、
前記第一測定手段により測定された前記凝集処理水の上澄水中のアルミニウム濃度と前記第二測定手段により測定された前記膜ろ過水中のアルミニウム濃度との差であるΔAlの値を算出し、前記算出したΔAlの値に基づき、前記凝集処理手段および膜ろ過手段の少なくとも一方の運転条件の、変更前の運転条件からの変更を制御する制御部と、をさらに有することを特徴とする凝集膜ろ過システムによっても達成することができる。
さらに、上記目的は、被処理水に対する凝集処理により得られる凝集処理水を膜ろ過する凝集膜ろ過に際し、前記凝集処理水の膜閉塞性を評価する凝集処理水の膜閉塞性評価方法であって、
前記凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と前記膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出するΔAl算出工程と、前記算出されたΔAlの値に基づき、前記凝集処理水の膜閉塞性を評価する膜閉塞性評価工程と、を有することを特徴とする凝集処理水の膜閉塞性評価方法によっても達成することができる。
本発明によれば、凝集処理水中のナノアルミニウム粒子濃度を別の膜ろ過設備などを準備することなくΔAlとして簡単且つ迅速に算出することができる。また、このΔAlは凝集処理水を分離膜で膜ろ過する場合の見かけのケーキろ過定数K2と有意な相関があることから、浄水処理の現場で簡単且つ迅速にΔAlを指標として凝集処理水の膜閉塞性を評価することができる。
本発明の凝集膜ろ過方法を説明するためのフローチャートである。 (a)ケーキろ過の閉塞モデル図であり、(b)ろ材(円管の束)上の堆積粒子pによる抵抗増加を、円管tが長くなったことに置き換えて説明するモデル図である。 本発明の凝集膜ろ過方法の運転条件変更工程の第一の例を示すフローチャートである。 本発明の凝集膜ろ過方法の運転条件変更工程の第二の例を示すフローチャートである。 本発明の凝集膜ろ過システム10を説明するブロック図である。 本発明の凝集処理水の膜閉塞性評価方法を説明するためのフローチャートである。 K2を縦軸とし、ΔAlを横軸とし、実施例1の処理条件1~3の条件で得られた凝集処理水についてK2とΔAlの値をプロットしたグラフである。
<凝集膜ろ過方法>
本発明の凝集膜ろ過方法は、浄水処理の固液分離プロセスとして実施される。本発明の凝集膜ろ過方法は、凝集処理工程と、膜ろ過工程と、ΔAl算出工程と、運転条件変更工程と、を有する。以下、図1~図4を参照して説明する。図1は本発明の凝集膜ろ過方法を説明するためのフローチャートであり、図2(a)はケーキろ過の閉塞モデル図であり、同図(b)はろ材(円管の束)上の堆積粒子pによる抵抗増加を、円管tが長くなったことに置き換えて説明するモデル図であり、図3は本発明の凝集膜ろ過方法の運転条件変更工程の第一の例を示すフローチャートであり、図4は本発明の凝集膜ろ過方法の運転条件変更工程の第二の例を示すフローチャートである。
[凝集処理工程(S100)]
本工程では、被処理水に凝集剤を混和して凝集処理水を得る。被処理水には水道原水が用いられる。水道原水は、例えば、河川水、地下水、ダム湖水、湖沼水、伏流水、地下水などが挙げられる。
本発明において、凝集剤は、アルミニウム系凝集剤であり、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンドなどが挙げられる。なお、本発明の具体的な実施に際し、アルミニウム系以外の無機凝集剤や、高分子凝集剤が別途添加されていてもよい。
凝集剤の混和はインラインミキサーなどの配管中で行われてもよく、撹拌槽中の撹拌によって行われてもよい。好ましくは、凝集剤の混和は、前段の急速撹拌槽と後段の緩速撹拌槽との組み合わせを含む凝集処理部の前段の急速撹拌槽で実施される。アルミニウム系凝集剤である凝集剤の被処理水への混和により、マイクロレベルのアルミニウム粒子、ナノアルミニウム粒子および溶解性アルミニウムが混在する凝集処理水が得られる。
なお、既に述べたとおり、マイクロレベルのアルミニウム粒子とは、μmオーダーのアルミニウム粒子のことをいい、溶解性アルミニウムとは、0.45μmの膜でろ過可能なアルミニウムのことをいい、ナノアルミニウム粒子とは、数nm~数十nmオーダーであるがその正電荷の影響で負電荷を有する上記0.45μmの膜をほとんど透過しないナノアルミニウム粒子のことをいうものとする(以上、凝集処理工程(S100))。
[膜ろ過工程(S110)]
本工程では、凝集処理工程(S100)で得られた凝集処理水を精密ろ過膜および限外ろ過膜から選択される分離膜で膜ろ過して膜ろ過水を得る。
上述のとおり、分離膜は精密ろ過膜および限外ろ過膜から選択され、分離膜の種類は、高分子膜、無機膜、MF膜、UF膜のいずれでも構わないが、浸漬型膜モジュールが使用できる高分子膜、特に、物理的にも化学的にも強いPVDFを材質とする膜が好ましく、これも浸漬型膜モジュールが使用できるMF膜が好ましい。加えて、膜の形状は中空糸膜が容積効率的に好ましい。
省エネルギの観点から水位差が利用できる孔径0.05μm以上の膜が好ましく、さらには、有機物による膜閉塞抑制の観点から、その最小径である0.05μmの膜が最適である。
膜ろ過装置の構造は、ケーシング型でも槽浸漬型のいずれでも構わないが、高濁度原水への適用性が高い、槽浸漬型の方が好ましい。
膜ろ過して得られた膜ろ過水は、処理水槽(図示しない)に処理水としてある程度の時間滞留させ、浄水として使用される(以上、膜ろ過工程(S110))。
[ΔAl算出工程(S120)]
本工程では、凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出する。
まず、ΔAlの算出に先立ち、凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度および膜ろ過水のアルミニウム濃度を測定する。
凝集処理水の上澄水は、凝集処理工程(S100)で得られた凝集処理水を、500ml容積のビーカーなどの容器に採取し、3~5分間静置してフロックを沈降させ、水面上部の20mL程度をデジタルピペットで採水することにより得ることが好ましい。この手順で凝集処理水の上澄水を採水することで、粗大粒子とナノアルミニウム粒子を含むナノ粒子群とを分離することができる。
凝集処理水の静置時間は、3分未満だと粗大粒子の沈降が不十分であり、3~5分の範囲であることが好ましく、5分がより好ましく、それより長いとナノアルミニウム粒子が凝集沈降する可能性があるので好ましくない。
得られた凝集処理水の上澄水をアルミニウム濃度の測定に供する。
膜ろ過水は、膜ろ過工程(S110)で得られた膜ろ過水をそのままアルミニウム濃度の測定に供することができる。
アルミニウム濃度の測定は、比色法(吸光光度法)、原子吸光法、ICP発光分光分析法およびICP質量分析法などにより実施することができるが、簡単且つ迅速にアルミニウム濃度を測定する観点から、比色法(吸光光度法)を採用することが好ましい。
比色法(吸光光度法)によるアルミニウム濃度測定に際し、ポータブルアルミニウム測定器(品番:HI 96712、ハンナ インスツルメンツ社製)、アルミニウム測定器(品番:MF2PTM-7712H、シロ産業社製)など市販の測定機器を使用することもできるし、紫外可視分光光度計(品番:UVmini-1240、島津製作所製)など市販の分光光度計を用いる場合には、例えば、エリオクロムシアニンレッド試薬(ECR:Eriochrome Cyanine Red)を用いた吸光光度法により反応液の535nmの吸光度を計測することにより、求めるアルミニウムの濃度を得ることができる。
凝集処理水の上澄水および膜ろ過水のアルミニウム濃度の測定後、凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度から膜ろ過水のアルミニウム濃度を減算することでΔAlが得られる(以上、ΔAl算出工程(S120))。
[(任意)見かけのケーキろ過定数(K2)算出工程(S130)]
本工程は任意工程であり、本工程では、分離膜で凝集処理水を膜ろ過する場合の見かけのケーキろ過定数(K2)を算出する。
見かけのケーキろ過定数(K2)の測定は、ケーキろ過の閉塞モデルに基づくケーキろ過式により行うことができる(例えば、角屋正人著、日本ポール株式会社 マーケティング・コミュニケーショングループ編集発行、2013 SPRING Pall News、117巻第10~第15頁を参照)。
ケーキろ過の閉塞モデルとは、ろ材を均一な内径、長さを持った円管の束と仮定した場合、負荷した粒子が円管を塞ぐことなく、ろ材(円管の束)の表面に体積していくというモデルである。その場合、図2(a)に示すように、円管tの束上に負荷した粒子pの量に比例して、堆積粒子p(ケーキ層)の厚みが増していく。ここで、堆積粒子pによる抵抗増加は、図2(b)に示す円管tが長くなったことに置き換えられる。
そして、ハーゲンポアズイユの式をろ材に適用し、上記ケーキろ過の閉塞モデルも考慮して計算を進めることにより、定圧ろ過の場合には、以下の式(1)
Figure 2024001519000002
(式(1)中、Jは単位ろ過面積あたりの流量(m/m・s)を、Jは単位ろ過面積あたりの初期流量(m/m・s)を、K2は見かけのケーキろ過定数(1/m)、閉塞係数ともいう)を、vは単位面積あたりのろ液量(m/m)を、それぞれ示す。)を、
定流量ろ過の場合には、以下の式(2)
Figure 2024001519000003
(式(2)中、ΔPは円管両端での差圧(Pa)を、ΔPは円管両端での初期差圧(Pa)を、K2は見かけのケーキろ過定数(1/m)、閉塞係数ともいう)を、vは単位面積あたりのろ液量(m/m)を、それぞれ示す。)
を、それぞれ得ることができる。
見かけのケーキろ過定数は凝集処理水の膜閉塞性を示す指標として知られていることから、後述する運転条件変更工程(S140)で運転条件の変更を判断するにあたり、本工程において凝集処理工程(S100)で得られた凝集処理水の見かけのケーキろ過係数K2を測定することで、ΔAlとK2とに基づきその凝集処理水の膜閉塞性をより多角的に判断することができる。
[運転条件変更工程(S140)]
本工程では、算出されたΔAlの値に基づき、凝集処理工程(S100)および膜ろ過工程(S110)の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更する。
変更の対象となる運転条件としては、凝集処理条件、膜ろ過条件などが挙げられる。
凝集処理条件としては、例えば、アルミニウム系の凝集剤の注入率、撹拌条件、pHが挙げられる。例えば、凝集処理水中のナノアルミニウム粒子の濃度が最も低くなるように、アルミニウム系の凝集剤の注入率、凝集pHを(最適値に)調整することができ、撹拌槽での撹拌時間を長くとることでナノアルミニウム粒子のマイクロフロックやサブマイクロフロックへの取り込みが促され、凝集処理水中のナノアルミニウム粒子の濃度を低下させることができる。
膜ろ過条件としては、例えば、ろ過流速を下げる運転条件の変更が考えらえる。これによれば、膜閉塞に至るまで時間を長くすることができる。
本工程の運転条件の変更の一例を、図3により説明する。図3に示すように、ステップS140-1において、ΔAlが0.5mg/L以下であるかどうかを判断する。ΔAlが0.5mg/L超である場合(NO判定)、ステップS140-2に移行する。ΔAlが0.5mg/L以下である場合(YES判定)、運転条件を変更することなく再び凝集処理工程(S100)に移行する。
ステップS140-2では、ΔAlの値を小さくするよう、運転条件を変更する。変更する運転条件としては、上述の凝集処理条件や膜ろ過条件を選択して実施することができる。運転条件変更後、再び凝集処理工程(S100)に移行する。
さらに、運転条件の変更に際し、ΔAlの値だけでなく、見かけのケーキろ過定数(K2)の値も考慮することとしてもよい。以下、ΔAlに加えてK2の値を考慮する場合を、本工程の運転条件の変更の第二の例として図4により説明する。図4に示すように、ステップS140-3において、ΔAlが0.5mg/L以下であり、且つK2が10(1/m)以下であるかどうかを判断する。ΔAlが0.5mg/L超であり、且つK2が10(1/m)超である場合(NO判定)、ΔAlが0.5mg/L超であり且つK2が10(1/m)以下である場合(NO判定)、およびΔAlが0.5mg/L以下であり且つK2が10(1/m)超である場合(NO判定)、ステップS140-4に移行する。ΔAlが0.5mg/L以下であり且つK2が10(1/m)以下である場合(YES判定)、運転条件を変更することなく再び凝集処理工程(S100)に移行する。
ステップS140-4では、ΔAlの値およびK2の値を小さくするよう、運転条件を変更する。変更する運転条件としては、既に述べた凝集処理条件や膜ろ過条件を選択して実施することができる。運転条件変更後、再び凝集処理工程(S100)に移行する。
したがって、本発明の凝集膜ろ過方法によれば、膜ろ過において膜閉塞の原因となる凝集剤由来のナノアルミニウム粒子濃度をΔAlとして簡単且つ迅速に算出することができ、このΔAlを凝集処理水の膜閉塞性の指標として用いることで浄水処理の現場で迅速に運転条件を変更し、凝集膜ろ過の運転条件を最適化することができる。
さらに、ΔAlとK2とを凝集処理水の膜閉塞性の指標として併用することで、より正確に凝集処理水の膜閉塞性を評価することが可能となる。
なお、上記運転条件変更工程(S140)において、ΔAlが0.5mg/L超である場合に凝集膜ろ過の運転条件を変更することとしているが、凝集膜ろ過の安定運転の維持、経済性の観点からは、ΔAlが0.3mg/L超である場合に凝集膜ろ過の運転条件を変更することが好ましい。
また、ΔAl算出工程(S120)~運転条件変更工程(S140)までは、後述する凝集膜ろ過システムにあるように、制御部による制御の下で実行されてもよいが、凝集処理水の上澄水および膜ろ過水のアルミニウム濃度の測定、ΔAlの算出(さらに任意にK2の測定)、ならびにこのΔAl(およびK2)の値に基づく凝集膜ろ過の運転条件変更を人が行うこととしてもよい。
<凝集膜ろ過システム>
図5は、本発明の凝集膜ろ過システム10を説明するブロック図である。図示のように、本発明の凝集膜ろ過システム10は、凝集剤2を添加した被処理水1に対して凝集処理を行い、凝集処理水3を得る凝集処理手段12と、膜ろ過手段14と、第一測定手段16と、第二測定手段18と、制御部20と、を有する。
被処理水1、凝集剤2、および凝集処理水3については、上記凝集膜ろ過方法のものと同様であるので、ここではその説明を省略する。
凝集処理手段12としては、例えば、インラインミキサー、撹拌手段を備えた撹拌槽を挙げることができる。凝集処理手段12は、急速撹拌槽および急速撹拌槽の後段に位置する緩速撹拌槽を備えることが好ましい。
凝集剤2は凝集処理手段12よりも前段の位置または凝集処理手段12で凝集剤注入装置(図示せず)により被処理水1中に注入される。なお、図5では、凝集処理手段12で凝集剤2が被処理水1に注入されている。
凝集処理手段12が急速撹拌槽および急速撹拌槽の後段に位置する緩速撹拌槽を備える場合、急速撹拌槽は一槽でもよく、複数槽が直列に配置されたものであってもよい。複数槽である場合、三槽以下であることが好ましく、特に急速撹拌槽が三槽であることが好ましい。急速撹拌の撹拌強度は、水道施設設計指針2012による撹拌強度(速度勾配)G値で考えると、100 1/s以上であり、緩速撹拌槽のG値は10~75 1/sの範囲である。
凝集処理手段12においてアルミニウム系凝集剤である凝集剤2を添加した被処理水1に対して凝集処理が施されることで、マイクロレベルのアルミニウム粒子、ナノアルミニウム粒子および溶解性アルミニウムが混在する凝集処理水3が得られる。
膜ろ過手段14は、凝集処理手段12で得られた凝集処理水3を精密ろ過膜および限外ろ過膜から選択される分離膜で膜ろ過して膜ろ過水4を得る手段である。分離膜の種類、孔径などの分離膜の情報については、上記凝集膜ろ過方法において説明済みであり、ここではその説明を省略する。
第一測定手段16は、凝集処理水3の上澄水中のアルミニウム濃度を測定する手段であり、第二測定手段18は、膜ろ過水4中のアルミニウム濃度を測定する手段である。
第一測定手段16および第二測定手段18としては、上記凝集膜ろ過方法において説明した機器を適宜に使用することができる。第一測定手段16および第二測定手段18は、後述する制御部20により制御される。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えたコンピュータである。制御部20は、ROMに記憶させたプログラムをRAM上に展開して対応する処理をCPUに実行させる。なお、上記プログラムはROMに記憶されている場合に限らず、NVRAM(Non-Volatile Randam Access Memory)に記憶されていればよい。
制御部20は、第一測定手段16により測定された凝集処理水3の上澄水中のアルミニウム濃度と第二測定手段18により測定された膜ろ過水4中のアルミニウム濃度との差であるΔAlの値を算出し、算出したΔAlの値に基づき、凝集処理手段12および膜ろ過手段14の少なくとも一方の運転条件の、変更前の運転条件からの変更を制御する。
ΔAlの算出方法は、制御部20がΔAlの算出を行うことに限定されている点を除けば上記凝集膜ろ過方法のΔAl算出工程(S120)と変わるところが無いので、ここではその説明を省略する。
ΔAlの算出後、制御部20は、上記凝集膜ろ過方法の運転条件変更工程(S140)の第一の例で述べたように、ΔAlが所定の値に達しているかどうかを判断し、所定の値を超えていれば凝集処理手段12および膜ろ過手段14の少なくとも一方に信号を送ってその運転条件を変更させ、前記所定の値を超えていなければ信号を送らず、したがってその運転条件は変更されない。
凝集処理手段12および膜ろ過手段14の少なくとも一方の運転条件の種類は、上記凝集膜ろ過方法の運転条件変更工程(S140)と同じものであり、ここではその説明を省略する。
また、運転条件変更後、または運転条件を変更しないことの決定後、制御部20による制御は終了してもよいし、あるいは所定時間をおいて再びΔAlを算出し、その結果に基づいて凝集処理手段12および膜ろ過手段14の少なくとも一方の運転条件を変更する(あるいは変更しない)制御を繰り返してもよい。
本発明の凝集膜ろ過システム10によっても、本発明の凝集膜ろ過方法同様、膜ろ過において膜閉塞の原因となる凝集剤由来のナノアルミニウム粒子濃度をΔAlとして簡単且つ迅速に算出することができ、このΔAlを凝集処理水の膜閉塞性の指標として用いることで浄水処理の現場で迅速に運転条件を変更し、凝集膜ろ過の運転条件を最適化することができる。
<凝集処理水の膜閉塞性評価方法>
本発明の凝集処理水の膜閉塞性評価方法は、被処理水に対する凝集処理により得られる凝集処理水を膜ろ過する凝集膜ろ過に際し、凝集処理水の膜閉塞性を評価する方法である。被処理水、凝集処理、凝集処理水、膜ろ過については、上述の凝集膜ろ過方法と変わるところはないので、ここのではその説明については省略する。
本発明の凝集処理水の膜閉塞性評価方法は、ΔAl算出工程と、膜閉塞性評価工程と、を有する。以下、図6を参照して説明する。図6は、本発明の凝集処理水の膜閉塞性評価方法を説明するためのフローチャートである。
[ΔAl算出工程(S200)]
本工程では、凝集集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出する。なお、本工程は上述の凝集膜ろ過方法のΔAl算出工程(S120)と変わるところはないので、ここではその説明を省略する(以上、ΔAl算出工程(S200))。
[膜閉塞性評価工程(S210)]
本工程では、ΔAl算出工程(S200)で算出されたΔAlの値に基づき、凝集処理水の膜閉塞性を評価する。
発明者は、凝集膜ろ過による浄水処理プロセスにおいて、アルミニウム系凝集剤を添加して凝集処理を行う場合に得られるΔAlが、同じ浄水処理プロセスの凝集処理水を膜ろ過する際に得られる見かけのケーキろ過定数(K2)と良好な相関があることを発見した。
見かけのケーキろ過定数(K2)は、膜閉塞性の指標として知られることから、予め被処理水にアルミニウム系凝集剤を添加して様々な条件で凝集処理を行い、得られた凝集処理水(およびΔAlについては膜ろ過水も)について膜ろ過した場合の見かけのケーキろ過定数(K2)とΔAlを求め、両者の関係式を得ておくことで、見かけのケーキろ過定数(K2)未知の凝集処理水およびその膜ろ過水についてΔAlの値を得て、そのΔAlの値をその関係式に当てはめることで長時間膜ろ過試験を行うことなく見かけのケーキろ過定数(K2)の値を求めることができる。そして、見かけのケーキろ過定数(K2)の値が膜閉塞性の指標となることから、凝集処理水の膜閉塞性をΔAlの値を算出することで簡単且つ迅速に評価することが可能となる。
さらには、発明者は、凝集膜ろ過による浄水処理プロセスにおいて、アルミニウム系凝集剤を添加して凝集処理を行う際、得られた凝集処理水を膜ろ過した場合の見かけのケーキろ過定数(K2)が10(1/m)以下であることが好ましいという知見を得ている。そして、上記見かけのケーキろ過定数(K2)とΔAlの関係式から、見かけのケーキろ過定数(K2)が10(1/m)となるときのΔAlの値が0.5(mg/L)であることから、ΔAl算出工程(S200)で算出されたΔAlの値が0.5(mg/L)以下であると、凝集処理水の膜閉塞性が良好であると評価できる。
そのうえ、ΔAl算出工程(S200)で算出されたΔAlの値が0.3(mg/L)以下であると、見かけのケーキろ過定数(K2)がさらに小さくなることから、凝集処理水の膜閉塞性もさらに良好であると評価できる。
また、凝集処理水の膜閉塞性を評価するに際し、ΔAlの値だけでなく、見かけのケーキろ過定数(K2)の値と組み合わせることが、より正確に凝集処理水の膜閉塞性を評価する観点から好ましい。この場合、見かけのケーキろ過定数(K2)の値は10(1/m)以下であると凝集処理水の膜閉塞性が良好であると評価でき、見かけのケーキろ過定数(K2)の値が5(1/m)以下であると凝集処理水の膜閉塞性がさらに良好であると評価することができる(以上、膜閉塞性評価工程(S210))。
したがって、本発明の凝集処理水の膜閉塞性評価方法によれば、凝集処理水中のナノアルミニウム粒子濃度を別の膜ろ過設備などを準備することなくΔAlとして簡単且つ迅速に算出することができる。また、このΔAlは凝集処理水を分離膜で膜ろ過する場合の見かけのケーキろ過定数と有意な相関があることから、浄水処理の現場で簡単且つ迅速にΔAlを指標として凝集処理水の膜閉塞性を評価することができる。
なお、ΔAl(およびK2)を指標として凝集処理水の膜閉塞性を評価した後は、この評価結果に基づき凝集膜ろ過の運転条件を変更することで、凝集膜ろ過の運転条件を最適化することができる。
また、図6では、膜閉塞性評価工程(S210)が終わると本発明の凝集処理水の膜閉塞性評価方法の全ての工程を終了しているが、所定時間をおいてΔAl算出工程(S200)および膜閉塞性評価工程(S210)を繰り返すこととしてもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
<実施例1>
(1)被処理水および凝集処理条件
被処理水(原水)には、膜ろ過設備が導入されている浄水場の比較的清澄な時期の冬季の河川水(濁度:2.7度、色度:4.1度、pH=7.5、TOC:0.7mg/L、UVA260:0.086(5cmセル))を使用した。
この被処理水に対し、ポリ塩化アルミニウム(PACl、塩基度50%)を添加し、容積500mLのビーカーを使用して凝集処理を行った。
凝集条件は、凝集pH=7.0、PACl注入率25mg/Lとした。これは、被処理水採水時の現場運転条件と同じ条件である。撹拌条件は以下の表1のとおりである。
Figure 2024001519000004
(2)見かけのケーキろ過定数(K2)の測定
(1)被処理水および凝集処理条件で得られた凝集処理水をそれぞれ80mLずつ採取し、これを吸引ポンプを用いて全量定圧ろ過(吸引圧力90kPa)で膜に通水し、ろ過水量の経時変化を測定した。そして、その結果から、ケーキろ過理論に基づき、見かけのケーキろ過定数(K2)を求めた。
なお、膜はメルク社製のVVHP膜(疎水性PVDF膜、孔径0.1μm)を使用し、直径25mmの平膜用ガラス製フィルタホルダーを使用した。
(3)ΔAlの測定
(1)被処理水および凝集処理条件で得られた5分静置沈殿後の水面上部を20mL程度デジタルピペットで採水し、凝集処理水の上澄水とした。同じ凝集処理水について(2)見かけのケーキろ過定数(K2)の測定において膜に通水させ、膜ろ過水を得た。
これら凝集処理水の上澄水および膜ろ過水の各アルミニウム濃度を、JIS K 0102-2008 「58.4 ICP発光分光分析法」に従って測定した。
そして、凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出した。実施例1の処理条件1~3の条件で得られた凝集処理水について、K2とΔAlの値を以下の表2に示す。
Figure 2024001519000005
また、図7は、K2を縦軸とし、ΔAlを横軸とし、実施例1の処理条件1~3の条件で得られた凝集処理水についてK2とΔAlの値をプロットしたグラフである。
表2および図7に示すように、いずれの処理条件においても、撹拌時間が長くなるとΔAlとK2の値を小さくすることができる。また、処理条件1に関し、急速撹拌だけだと6分急速撹拌を行ったところでK2およびΔAlの減少幅は頭打ちになる。一方、処理条件2のように、急速撹拌を2分行っただけでは、K2を10(1/m)以下、ΔAlを0.5(mg/L)以下とするためには9分以上の緩速撹拌が必要となり、凝集処理水中のナノアルミニウム粒子濃度を低下させるために凝集処理の撹拌時間が長くなってしまう。
そこで、処理条件3のように、6分の急速撹拌を行うと、その後の1~2分の緩速撹拌を行うだけでもK2およびΔAlの値を十分に低下させることが可能であることがわかった。
また、図7に示されるように、ΔAlとK2との間には良好な相関関係が確認され、したがって、ΔAlを測定することでK2の値を予測することができることが分かった。同様に、K2の値からΔAlを予測することも可能である。
<実施例2>
実設備の膜供給水においてもΔAlとK2を測定した。
被処理水は、実施例1と同じものを使用した。
実設備の浄水処理フローは、急速撹拌部(水理学滞留時間(HRT):2分、130rpm)→緩速撹拌部(HRT:20分、30rpm)→沈殿池→膜ろ過設備となっている。凝集条件は、凝集pH=7.0、PACl注入率25mg/Lとした。
ΔAlとK2の測定条件は、実施例1の項目と同様である。測定結果は、ΔAl=0.29(mg/L)、K2=6.93(1/m)であり、実設備の浄水処理フローにおいて、ΔAlが0.5(mg/L)以下の範囲にあり、且つK2が10(1/m)以下の範囲にあり、現場の凝集処理水の膜閉塞性が小さく、良好な運転条件であることが分かった。
10 凝集膜ろ過システム
12 凝集処理手段
14 膜ろ過手段
16 第一測定手段
18 第二測定手段
20 制御部

Claims (6)

  1. 被処理水に凝集剤を混和して凝集処理水を得る凝集処理工程と、
    前記凝集処理工程で得られた凝集処理水を精密ろ過膜および限外ろ過膜から選択される分離膜で膜ろ過して膜ろ過水を得る膜ろ過工程と、
    前記凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と前記膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出するΔAl算出工程と、
    前記算出されたΔAlの値に基づき、前記凝集処理工程および前記膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更する運転条件変更工程と、
    を有することを特徴とする凝集膜ろ過方法。
  2. 前記運転条件変更工程において、前記ΔAl算出工程で算出されたΔAlの値が0.5mg/Lを超える場合、ΔAlの値が0.5mg/L以下となるように前記凝集処理工程および前記膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更することを特徴とする請求項1に記載の凝集膜ろ過方法。
  3. 前記運転条件変更工程において、前記ΔAl算出工程で算出されたΔAlの値が0.3mg/Lを超える場合、ΔAlの値が0.3mg/L以下となるように前記凝集処理工程および前記膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更することを特徴とする請求項1に記載の凝集膜ろ過方法。
  4. さらに、前記分離膜で前記凝集処理水を膜ろ過する場合の見かけのケーキろ過定数K2を算出する見かけのケーキろ過定数算出工程を有し、
    前記運転条件変更工程が、前記算出されたΔAlの値と前記算出されたK2の値とに基づき、前記凝集処理工程および前記膜ろ過工程の少なくとも一方の運転条件を変更前の運転条件から変更することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載に凝集膜ろ過方法。
  5. 凝集剤を添加した被処理水に対して凝集処理を行い、凝集処理水を得る凝集処理手段と、
    前記凝集処理手段で得られた前記凝集処理水を精密ろ過膜および限外ろ過膜から選択される分離膜で膜ろ過して膜ろ過水を得る膜ろ過手段と、
    前記凝集処理水の上澄水中のアルミニウム濃度を測定する第一測定手段と、
    前記膜ろ過水中のアルミニウム濃度を測定する第二測定手段と、を有する凝集膜ろ過システムであって、
    前記第一測定手段により測定された前記凝集処理水の上澄水中のアルミニウム濃度と前記第二測定手段により測定された前記膜ろ過水中のアルミニウム濃度との差であるΔAlの値を算出し、前記算出したΔAlの値に基づき、前記凝集処理手段および膜ろ過手段の少なくとも一方の運転条件の、変更前の運転条件からの変更を制御する制御部と、をさらに有することを特徴とする凝集膜ろ過システム。
  6. 被処理水に対する凝集処理により得られる凝集処理水を膜ろ過する凝集膜ろ過に際し、前記凝集処理水の膜閉塞性を評価する凝集処理水の膜閉塞性評価方法であって、
    前記凝集処理水の上澄水のアルミニウム濃度と前記膜ろ過水のアルミニウム濃度との差であるΔAlを算出するΔAl算出工程と、
    前記算出されたΔAlの値に基づき、前記凝集処理水の膜閉塞性を評価する膜閉塞性評価工程と、を有することを特徴とする凝集処理水の膜閉塞性評価方法。
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