JP2024000216A - 非水二次電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2024000216000001
【課題】電極体のばね定数の劣化を抑制することができる非水二次電池の製造方法を提供する。
【解決手段】非水二次電池は、負極板、正極板、及び、負極板と正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体を備える。非水二次電池の製造方法は、電極体を拘束しない非拘束状態である非拘束期間において所定のタイミングで極間距離を測定する極間測定工程と、極間測定工程において測定された極間距離に応じて電極体に対する拘束力を調整可能である調整工程と、を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、非水二次電池の製造方法に係り、詳しくは、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる非水二次電池の製造方法に関する。
従来より非水二次電池は、負極板、正極板及びセパレータを有する電極体を備える。このような電極体は、負極板、正極板及びセパレータが積層方向に積層された状態で捲回方向に捲回されており、平面領域と曲面領域とを有する状態で、非水電解液とともに電池ケースに収容される。
このような非水二次電池の製造方法としては、例えば特許文献1のように、平面領域と曲面領域とにおいてばね定数が異なるリブを有するスペーサーを挿入することにより、電極体の各領域における極板間の距離を一定とする方法が開示されている。このような製造方法によれば、電極体の平面領域が膨らんできても、電極体の平面領域と曲面領域とで極板間の距離を一定に保つことができ、電極体の平面領域における金属析出を抑制することができる。
特開2017-98107号公報
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、極板間の距離が想定よりも短い電極体であると、必要以上に電極体を拘束してしまうこととなる。このような場合に、電極体の拘束に伴って電極体のばね定数が劣化してしまうおそれがあった。
上記課題を解決する非水二次電池の製造方法の各態様を記載する。
[態様1]負極板、正極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体を備える非水二次電池の製造方法であって、前記電極体を拘束しない非拘束状態である非拘束期間において所定のタイミングで極板間の距離を測定する極間測定工程と、前記極間測定工程において測定された極板間の距離に応じて前記電極体に対する拘束力を調整可能である調整工程と、を含む。
上記構成によれば、非拘束期間において実際に測定した極板間の距離という電極体の状況に応じて電極体に対する拘束力を調整することができる。したがって、極板間の距離が長くなることによる金属析出を抑制するとともに、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
[態様2][態様1]に記載の非水二次電池の製造方法において、前記調整工程は、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が第1距離以下であるときに、前記電極体を拘束せずに、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が第1距離より長いときに、前記電極体を拘束してもよい。
上記構成によれば、非拘束期間において実際に測定した極板間の距離が第1距離以下であるときには、電極体を拘束しないことで、電極体に対する拘束を必要最小限に抑えることができ、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。一方、極板間の距離が第1距離より長いときには、電極体を拘束することで、金属析出を抑制することができる。したがって、極板間の距離が長くなることによる金属析出を抑制するとともに、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
[態様3][態様2]に記載の非水二次電池の製造方法において、また、前記調整工程は、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が、前記第1距離よりも大きく、かつ、前記第1距離よりも長い第2距離以下であるときと比較して、前記第2距離よりも長いときには、強い拘束力で前記電極体を拘束してもよい。
上記構成によれば、非拘束期間において実際に測定した極板間の距離が、第2距離よりも長いときには、第1距離よりも長く、かつ、第2距離以下であるときと比較して強い拘束力で電極体を拘束することで、極板間の距離が長くなることによる金属析出を抑制することができる。一方、非拘束期間において実際に測定した極板間の距離が、第1距離よりも長く、かつ、第2距離以下であるときには、第2距離よりも長いときと比較して弱い拘束力で電極体を拘束する。これにより、極板間の距離が長くなることによる金属析出を抑制するとともに、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
[態様4][態様1]~[態様3]のうち何れか一つに記載の非水二次電池の製造方法において、前記極間測定工程は、前記非拘束期間において前記非拘束状態となってから所定時間が経過したタイミングで極板間の距離を測定してもよい。
上記構成によれば、非拘束状態となってから所定時間が経過したタイミングで極板間の距離を測定することにより、極板間の距離を測定するタイミングによる測定誤差を抑制することができる。
[態様5][態様1]に記載の非水二次電池の製造方法において、前記極間測定工程は、前記非拘束期間において、第1タイミングと、前記第1タイミングから規定時間が経過した第2タイミングとで極板間の距離を測定し、前記調整工程は、前記極間測定工程において前記第1タイミングで測定された極板間の距離と前記第2タイミングで測定された極板間の距離とに応じて前記電極体に対する拘束力を調整可能であってもよい。
上記構成によれば、第1タイミングと、第1タイミングから規定時間が経過した第2タイミングとで測定した極板間の距離に応じて電極体に対する拘束力を調整することができる。これにより、電極体に対する拘束力の調整精度を高めることができる。したがって、極板間の距離が長くなることによる金属析出を抑制するとともに、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
[態様6][態様5]に記載の非水二次電池の製造方法において、前記極間測定工程において前記第1タイミングで測定された極板間の距離と前記第2タイミングで測定された極板間の距離とに応じて、極板間の距離が第1距離となる第3タイミングを予測する極間予測工程を含み、前記調整工程は、前記極間予測工程において予測された前記第3タイミングで前記電極体を拘束してもよい。
上記構成によれば、極板間の距離が第1距離となる第3タイミングを予測することによって、その第3タイミングで電極体を拘束することができる。これにより、極板間の距離が第1距離となるように調整することができる。したがって、極板間の距離が長くなることによる金属析出を抑制するとともに、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
[態様7]負極板、正極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体と、非水電解液と、前記電極体及び前記非水電解液を収容する電池ケースと、を備える非水二次電池の製造方法であって、前記電極体を拘束しない非拘束状態である非拘束期間において所定のタイミングで極板間の距離を測定する極間測定工程と、前記電極体が収容された状態で前記電池ケースに前記非水電解液を注液する注液工程と、前記電池ケースに前記電極体及び前記非水電解液が収容された状態で前記電池ケースを封止する封止工程と、を含み、前記封止工程は、前記注液工程において前記電池ケースに前記非水電解液が注液されてから前記電池ケースを封止するまでの時間を、前記極間測定工程において測定された極板間の距離に応じて短縮する。
上記構成によれば、非拘束期間において実際に測定した極板間の距離という電極体の状況に応じて、電池ケースに非水電解液が注液されてから電池ケースを封止するまでの時間を短縮することができる。これにより、電池ケース内の圧力を意図して低下させることができる。このため、電極体にかかる自己拘束力が増大し、電極体において極板間の距離が長くなることを抑制することができる。したがって、極板間の距離が長くなることによる金属析出を抑制するとともに、電極体に対する拘束を必要最小限に抑えることができ、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
[態様8][態様7]に記載の非水二次電池の製造方法において、前記封止工程は、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が予め定めた距離以下であるときに、前記注液工程において前記電池ケースに前記非水電解液が注液されてから前記電池ケースを封止するまでの時間を短縮してもよい。
上記構成によれば、非拘束期間において実際に測定された極板間の距離が予め定めた距離以下であるときに、電池ケース内の圧力を意図して低下させることができる。このため、電極体にかかる自己拘束力が増大し、電極体において極板間の距離が長くなることを効果的に抑制することができる。したがって、極板間の距離が長くなることによる金属析出を効果的に抑制することができる。
[態様9][態様7]又は[態様8]に記載の非水二次電池の製造方法において、前記封止工程が終了した後に、前記非水二次電池を充電する充電工程と、前記充電工程が終了した後に、前記非水二次電池を保管するエージング工程と、を含み、前記エージング工程は、前記電池ケースに前記非水電解液が注液されてから前記電池ケースを封止するまでの時間が短縮された場合に、前記非拘束状態で前記非水二次電池を保管してもよい。
上記構成によれば、電池ケースに非水電解液が注液されてから電池ケースを封止するまでの時間が短縮された場合に、エージング工程では、非拘束状態で非水二次電池が保管される。したがって、電極体に対する拘束を必要最小限に抑えることができ、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
本発明によれば、電極体のばね定数の劣化を抑制することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の斜視図である。 リチウムイオン二次電池の電極体の積層体の構成を示す模式図である。 リチウムイオン二次電池の製造工程を示すフローチャートである。 拘束テーブルを示す模式図である。 実施例を示す模式図である。 リチウムイオン二次電池の製造工程を示すフローチャートである。 極間距離の測定結果に基づく予測結果を示す模式図である。 リチウムイオン二次電池の製造工程を示すフローチャートである。
[第1実施形態]
以下、非水二次電池の製造方法の一実施形態について説明する。
<リチウムイオン二次電池10>
非水二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池の構成を説明する。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池10は、セル電池として構成される。リチウムイオン二次電池10は、電池ケース11を備える。電池ケース11は、蓋体12を備える。電池ケース11は、上側に図示しない開口部を備える。蓋体12は、開口部を封止する。電池ケース11は、アルミニウム合金等の金属で構成されている。蓋体12は、電力の充放電に用いられる負極外部端子13及び正極外部端子14を備える。負極外部端子13及び正極外部端子14は、任意の形状であればよい。
リチウムイオン二次電池10は、電極体15を備える。リチウムイオン二次電池10は、負極集電体16と、正極集電体17と、を備える。負極集電体16は、電極体15の負極と負極外部端子13とを接続する。正極集電体17は、電極体15の正極と正極外部端子14とを接続する。電極体15は、電池ケース11の内部に収容される。
リチウムイオン二次電池10は、非水電解液18を備える。非水電解液18は、電池ケース11内には図示しない注液孔から注入される。リチウムイオン二次電池10は、電池ケース11において開口部に蓋体12を取り付けることで密閉された電槽が構成される。このように、電池ケース11は、電極体15及び非水電解液18を収容する。
<非水電解液18>
非水電解液18は、非水溶媒に支持塩が含有された組成物である。本実施形態では、非水溶媒としては、エチレンカーボネート(EC)を用いることができる。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種または二種以上の材料でもよい。
また、支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO、LiCSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiI等を用いることができる。またこれらから選択される一種または二種以上のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。このように、非水電解液18は、リチウム化合物を含む。
<電極体15>
図2に示すように、電極体15は、負極板20と、正極板30と、セパレータ40と、を備える。電極体15の長手の方向を「長さ方向Z」という。電極体15の厚さの方向を「厚み方向D」という。電極体15の長さ方向Z及び厚み方向Dに交わる方向を「幅方向W」という。幅方向Wのうち一方の方向を「第1幅方向W1」といい、幅方向Wのうち他方の方向を「第2幅方向W2」という。つまり、第2幅方向W2は、第1幅方向W1の反対の方向である。
電極体15は、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが厚み方向Dに積層される。セパレータ40は、負極板20と正極板30との間に設けられる。詳しくは、電極体15は、セパレータ40、正極板30、セパレータ40、負極板20の順に積層される。
電極体15は、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが厚み方向Dに積層された状態で長さ方向Zに捲回される。電極体15は、長さ方向Zの中央において厚み方向Dに扁平形状である。
このように、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが積層される厚み方向Dは、積層方向ともいえる。また、負極板20と、正極板30と、セパレータ40とが捲回される長さ方向Zは、捲回方向ともいえる。
電極体15は、厚み方向Dにおいて扁平形状を呈する。電極体15は、長さ方向Zにおける領域として、平面領域と曲面領域とを備える。平面領域は、厚み方向Dに対して平面形状となる領域である。曲面領域は、厚み方向Dに対して曲面形状となる領域である。曲面領域は、長さ方向Zにおける平面領域の両端に位置する。
<負極板20>
負極板20は、リチウムイオン二次電池10の負極の一例として機能する。負極板20は、負極基材21と、負極合材層22とを備える。負極合材層22は、負極基材21の両面に設けられる。
負極基材21は、負極接続部23を備える。負極接続部23は、負極基材21の両面に負極合材層22が設けられていない領域である。負極接続部23は、電極体15の第1幅方向W1における端部に設けられる。負極接続部23は、第1幅方向W1において正極板30及びセパレータ40から露出する。
本実施形態では、負極基材21は、Cu箔から構成されている。負極基材21は、負極合材層22の骨材としてのベースとなる。負極基材21は、負極合材層22から電気を集電する集電部材の機能を有している。
負極合材層22は負極活物質を有する。本実施形態では負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であり、黒鉛(グラファイト)等からなる粉末状の炭素材料を用いる。負極板20は、例えば、負極活物質と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の負極合材ペーストを負極基材21に塗布した状態で乾燥させることで作製される。
<正極板30>
正極板30は、リチウムイオン二次電池10の正極の一例として機能する。正極板30は、正極基材31と、正極合材層32とを備える。正極合材層32は、正極基材31の両面に設けられる。
正極基材31は、正極接続部33を備える。正極接続部33は、正極基材31の両面に正極合材層32が設けられていない領域である。正極接続部33は、電極体15の第2幅方向W2における端部に設けられる。正極接続部33は、第2幅方向W2において負極板20及びセパレータ40から露出する。
本実施形態では、正極基材31は、Al箔やAl合金箔から構成されている。正極基材31は、正極合材層32の骨材としてのベースとなる。正極基材31は、正極合材層32から電気を集電する集電部材の機能を有している。
正極合材層32は、正極活物質を有する。正極活物質は、リチウムを吸蔵・放出可能な材料であり、例えばコバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)等を用いることができる。また、LiCoO、LiMn、LiNiOを任意の割合で混合した材料を用いてもよい。正極合材層32は、導電材を含む。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、黒鉛(グラファイト)を用いることができる。正極板30は、例えば、正極活物質と、導電材と、溶媒と、結着剤(バインダー)とを混練し、混練後の正極合材ペーストを正極基材31に塗布した状態で乾燥することで作製される。
<セパレータ40>
セパレータ40は、負極板20と正極板30との間に設けられる。セパレータ40は、非水電解液18を保持する。セパレータ40は、多孔性樹脂であるポリプロピレン製等の不織布である。セパレータ40としては、多孔性ポリエチレン膜、多孔性ポリオレフィン膜、および多孔性ポリ塩化ビニル膜等の多孔性ポリマー膜、又は、リチウムイオンもしくはイオン導電性ポリマー電解質膜を、単独、又は組み合わせて使用することもできる。非水電解液18に電極体15に浸漬させるとセパレータ40の端部から中央部に向けて非水電解液18が浸透する。
<リチウムイオン二次電池10の製造工程>
ここで、図3を参照して、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の製造工程について説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池10の製造工程は、ステップS10~S22の工程を含む。つまり、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の製造方法は、ステップS10~S22の工程を含む。
図3に示すように、本実施形態では、ステップS10において、源泉工程が行われる。源泉工程は、リチウムイオン二次電池10の電池要素の作製の工程である。具体的に、源泉工程は、リチウムイオン二次電池10の電池要素を構成する負極板20及び正極板30をそれぞれ作製する工程である。
源泉工程が終了すると、ステップS11において、組立工程が行われる。組立工程は、リチウムイオン二次電池10を組み立てる工程である。詳しくは、組立工程は、捲回工程、扁平プレス工程、ケース挿入工程、注液工程及び封止工程を含む。
組立工程では、初めに、ステップS12において、捲回工程が行われる。捲回工程は、正極板30と負極板20とをセパレータ40を介して積層した状態で電極体15を捲回する。詳しくは、電極体15は、負極板20と正極板30とがセパレータ40を介して重ねて積層された状態で、捲回軸を中心に支えられて長さ方向Zに捲回される。
次いで、ステップS13において、偏平プレス工程が行われる。偏平プレス工程は、厚み方向Dから圧力を加えることにより、幅方向Wから見た端部が競走用トラック状の扁平な形状に整形される。また、負極接続部23を圧接するとともに、正極接続部33を圧接する。以上の手順により、電極体15が製造される。
次いで、ステップS14において、ケース挿入工程が行われる。ケース挿入工程は、電極体15を電池ケース11内に挿入する工程である。このとき、正極接続部33は、正極集電体17を介して正極外部端子14と電気的に接続される。負極接続部23は、負極集電体16を介して負極外部端子13と電気的に接続される。そして、電池ケース11と蓋体12とがレーザ溶接などにより密封されることにより、電池ケース11において開口部が蓋体12によって塞がれる。この段階ではまだ非水電解液18は注液されておらず、蓋体12の注液孔が開口している。
次いで、ステップS15において、注液工程が行われる。注液工程は、図示しない注液孔から電池ケース11内に非水電解液18を注入する工程である。つまり、注液工程は、電極体15が収容された状態で電池ケース11に非水電解液18を注液する工程である。これにより、電極体15及び非水電解液18は、電池ケース11内に収容される。
次いで、ステップS16において、封止工程が行われる。封止工程は、電池ケース11内への非水電解液18の注入が完了した後に、注液孔を封止することにより電池ケース11を密封する。つまり、封止工程は、電池ケース11に電極体15及び非水電解液18が収容された状態で電池ケース11を封止する工程である。以上の手順により、リチウムイオン二次電池10が組み立てられる。
組立工程が終了すると、ステップS17において、活性化工程が行われる。活性化工程は、リチウムイオン二次電池10の活性化を行う工程である。詳しくは、活性化工程は、充電工程及びエージング工程を含む。
活性化工程では、初めに、ステップS18において、充電工程が行われる。充電工程は、封止工程が終了した後に、リチウムイオン二次電池10を充電する工程である。特に、充電工程は、SEI(Solid Electrolyte Interphase)被膜の形成などを目的として、組立工程において組み立てられたリチウムイオン二次電池10に対する初回の充電を行う工程である。充電工程は、リチウムイオン二次電池10が拘束された拘束状態で行われる。このように、リチウムイオン二次電池10が拘束状態となることにより、リチウムイオン二次電池10に収容される電極体15が拘束状態となる。「拘束」とは、電極体15を直接又は間接に厚み方向Dから加圧することをいう。
次いで、ステップS19において、エージング工程が行われる。エージング工程は、充電工程が終了した後に、充電されたリチウムイオン二次電池10を保管する工程である。エージング工程では、リチウムイオン二次電池10を化学的に安定化・活性化をする。その目的の1つとしては、電極内に存在する微細な金属により生じる微細な電極間の短絡を検出する。エージング工程は、例えば本実施形態では60°C程度の高温に保温して行ってもよいが、20°C程度の外気温で行ってもよい。本実施形態において、エージング工程は、リチウムイオン二次電池10が拘束された拘束状態で行われる。
活性化工程が終了すると、リチウムイオン二次電池10が拘束される拘束状態から、リチウムイオン二次電池10が拘束されない非拘束状態とする。このように、リチウムイオン二次電池10が非拘束状態となることにより、リチウムイオン二次電池10に収容される電極体15が非拘束状態となる。そして、リチウムイオン二次電池10は、セル電池として製造が完了し、出荷検査が行われた後に、スタックへの組付け待ちとなる。
<リチウム析出耐性及びばね定数>
リチウムイオン二次電池10は、活性化工程が終了した後に、拘束状態から非拘束状態となると、時間の経過に伴って、リチウムイオン二次電池10に収容されている電極体15が膨らみ、負極板20と正極板30との間の距離が長くなる場合がある。以降、負極板20と正極板30との極板間の距離を極間距離と示す。
極間距離が長くなる原因としては、時間の経過に伴って、捲回された電極体15が物理的に巻き緩むことが一因にあげられる。また、極間距離が長くなる原因としては、時間の経過に伴って、捲回された電極体15において、化学反応によりガスが発生することが一因にもあげられる。
このように、極間距離が長くなると、負極板20と正極板30との間に存在する非水電解液18が、電極体15の外部に押し出され難くなる。そして、負極板20と正極板30との間に存在する非水電解液18の分量が過剰に多くなってしまう。このため、金属溶出が促進することにより、金属析出耐性としてリチウム析出耐性が悪化してしまう。
その一方で、活性化工程が終了した後でも電極体15を拘束状態とすることにより、極間距離が長くならないようにすることも可能である。これにより、リチウム析出耐性が悪化しない。
しかしながら、電極体15を必要以上に拘束してしまうと、電極体15が過度につぶれてしまう。これにより、電極体15のばね定数が悪化するおそれもあった。特に、極間距離が長くなっていない電極体15を拘束してしまうと、リチウム析出耐性が悪化していないのに、電極体15のばね定数を悪化させてしまう。なお、極間距離が過度に長くなった電極体15を拘束することは、リチウム析出耐性とばね定数との両方の観点から大きい問題とはならない。
<極間測定工程>
そこで、本実施形態では、ステップS20において、活性化工程が終了した後にリチウムイオン二次電池10が非拘束状態となってから所定時間が経過したか否かが判定される。本実施形態において、所定時間としては、例えば約480時間(20日)が該当するが、これに限らない。
非拘束状態となってから所定時間が経過するまで、ステップS21の極間測定工程が行われず、非拘束状態となってから所定時間が経過すると、ステップS21において、極間測定工程が行われる。極間測定工程は、活性化工程の終了後、非拘束期間において非拘束状態となってから所定時間が経過した所定のタイミングで極間距離を測定する工程である。非拘束期間は、電極体15が非拘束状態となる期間である。極間測定工程では、CT(Computed Tomography)により撮像された画像から極間距離が測定されてもよい。
極間測定工程では、電極体15の所定位置における極間距離が測定されてもよい。所定位置は、電極体15の曲面領域であって、かつ、第2幅方向W2における負極基材21の端部であってもよい。特に、電極体15は、捲回されるため、平面領域よりも曲面領域のほうが、極間距離が長くなる傾向がある。このため、電極体15の曲面領域において極間距離を測定するほうが、電極体15の平面領域において極間距離を測定するよりも測定精度が高くなる。また、厚み方向Dに隣り合う負極板20の負極基材21と正極板30の正極基材31との距離が極間距離として測定されてもよい。
<拘束工程>
次いで、ステップS22において、測定結果に応じた拘束工程が行われる。拘束工程は、リチウムイオン二次電池10を拘束状態とすることにより、リチウムイオン二次電池10に収容される電極体15を拘束期間に亘って拘束状態とすることができる工程である。拘束期間は、予め定められた期間であってもよく、スタックへの組付けまでの期間であってもよい。拘束工程では、セル電池としてのリチウムイオン二次電池10が単体で拘束されるが、複数のリチウムイオン二次電池10がまとめて拘束されてもよい。拘束工程では、図4に示す拘束テーブルTAに基づく拘束態様で、リチウムイオン二次電池10を拘束可能である。
<拘束テーブルTA>
図4に示すように、拘束テーブルTAは、極間測定工程において測定した極間距離と、拘束態様とが対応するテーブルである。図中においては、符号DPを用いて、極間測定工程において測定した極間距離について説明する。
極間距離の閾値としては、第1距離D1と、第2距離D2とを含む。第1距離D1は、好適な極間距離の上限であり、例えば150μmであるが、これに限らない。第2距離D2は、電極体15のばね定数を考慮しなくてもよい程度の極間距離であり、例えば200μmであるが、これに限らない。
拘束態様は、「拘束なし」と「中拘束」と「強拘束」とを含む。「拘束なし」は、リチウムイオン二次電池10を拘束しない態様である。「中拘束」及び「強拘束」は、リチウムイオン二次電池10を拘束する態様である。「強拘束」は、「中拘束」よりも強い拘束力でリチウムイオン二次電池10を拘束する態様である。
本実施形態において、「中拘束」は、極間距離を多少短くする程度の小さい拘束力であり、例えば約3kNであるが、これに限らない。本実施形態において、「強拘束」は、極間距離を短くする程度の大きな拘束力であり、例えば約8kNであるが、これに限らない。
拘束テーブルTAにおいて、極間測定工程において測定した極間距離が第1距離D1以下である場合に、拘束態様として「拘束なし」が対応している。これにより、拘束工程は、極間距離が第1距離D1以下であるときに電極体15を拘束しない。
極間測定工程において測定した極間距離が、第1距離D1より大きく第2距離D2以下である場合に、拘束態様として「中拘束」が対応している。極間測定工程において測定した極間距離が、第2距離D2より長い場合に、拘束態様として「強拘束」が対応している。
これにより、拘束工程は、極間距離が第1距離D1より長いときに電極体15を拘束する。特に、拘束工程は、極間距離が第1距離D1よりも大きい場合であるときに、極間距離が第2距離D2以下であるときと比較して、第2距離D2よりも長いときには、強い拘束力で電極体15を拘束する。
このように、拘束工程では、極間測定工程において測定した極間距離に応じてリチウムイオン二次電池10を拘束することができる。また、拘束工程は、測定された極間距離に応じて電極体15に対する拘束力を調整可能である。このような拘束工程が調整工程の一例に相当する。
<実施例>
ここで、図5を参照して、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の実施例について説明する。本実施例においては、第1距離D1が150μmであり、第2距離D2が200μmである場合を一例としてあげる。また、本実施例においても、極間測定工程と同じような条件で極間距離が測定される。本実施例において、既定の充放電を繰り返し行った結果、負極板20へのリチウム析出の有無により、リチウム析出耐性が悪化するか否かを評価した。また、本実施例において、リチウムイオン二次電池10を圧縮してばね定数を測定した結果、規格を満たすか否かにより、ばね定数が悪化したか否かを評価した。図中において、リチウム析出耐性を「Li析出耐性」と示す。
初めに、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が第1距離D1以下である場合について、第1実施例及び第2実施例を参照して説明する。
図5に示すように、第1実施例では、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が139μmである場合において、拘束しないときには、リチウム析出耐性が悪化せずに、ばね定数も悪化しなかった。
一方、第2実施例では、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が142μmである場合において、中拘束で拘束が行われたときには、リチウム析出耐性が悪化しなかったが、ばね定数が悪化した。
次に、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が、第1距離D1より大きく、第2距離D2以下である場合について、第3実施例、第4実施例及び第5実施例を参照して説明する。
第3実施例では、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が170μmである場合において、拘束しないときには、ばね定数が悪化しなかったが、リチウム析出耐性が悪化した。
一方、第4実施例では、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が172μmである場合において、中拘束で拘束が行われたときには、リチウム析出耐性が悪化せずに、ばね定数も悪化しなかった。
また、第5実施例では、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が175μmである場合において、強拘束で拘束が行われたときには、リチウム析出耐性が悪化しなかったが、ばね定数が悪化した。
次に、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が、第2距離D2より長い場合について、第6実施例を参照して説明する。
第6実施例では、非拘束状態となってから所定時間が経過したときに測定した極間距離が207μmである場合において、強拘束で拘束が行われたときには、リチウム析出耐性が悪化せずに、ばね定数も悪化しなかった。
これらのような実施例から、リチウム析出耐性とばね定数との両方が悪化しないように、拘束テーブルTAにおいて、第1距離D1及び第2距離D2と、測定した極間距離に応じた拘束態様とが定められている。
<第1実施形態の作用及び効果>
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)非拘束期間において実際に測定した極間距離という電極体15の状況に応じて電極体15に対する拘束力を調整することができる。したがって、極間距離が長くなることによるリチウム析出を抑制するとともに、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。
(1-2)非拘束期間において実際に測定した極間距離が第1距離D1以下であるときには、電極体15を拘束しないことで、電極体15に対する拘束を必要最小限に抑えることができ、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。一方、極間距離が第1距離D1より長いときには、電極体15を拘束することで、リチウム析出を抑制することができる。したがって、極間距離が長くなることによるリチウム析出を抑制するとともに、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。
(1-3)非拘束期間において実際に測定した極間距離が、第2距離D2よりも長いときには、第1距離D1よりも長く、かつ、第2距離D2以下であるときと比較して強い拘束力で電極体15が拘束される。これにより、極間距離が長くなることによるリチウム析出を抑制することができる。一方、非拘束期間において実際に測定した極間距離が、第1距離D1よりも長く、かつ、第2距離D2以下であるときには、第2距離D2よりも長いときと比較して弱い拘束力で電極体15を拘束する。これにより、極間距離が長くなることによるリチウム析出を抑制しつつも、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。
(1-4)非拘束状態となってから所定時間が経過したタイミングで極間距離を測定することにより、極間距離を測定するタイミングによる測定誤差を抑制することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成及び同じ制御内容について同一符号を付し、その重複する説明を省略又は簡略する。
第2実施形態では、リチウムイオン二次電池10が非拘束状態である期間において、第1タイミングと第2タイミングとの両方で極間距離が測定される。そして、第1タイミングで測定された極間距離と、第2タイミングで測定された極間距離とに応じて、リチウムイオン二次電池10を拘束することができる。
<極間測定工程>
図6に示すように、本実施形態では、ステップS30において、活性化工程が終了した後にリチウムイオン二次電池10が非拘束状態となったときに、第1極間測定工程が行われる。第1極間測定工程は、第1実施形態の極間測定工程と同じような条件で極間を測定する工程である。第1極間測定工程において極間距離が測定されるタイミングが第1タイミングの一例に相当する。
そして、ステップS31において、リチウムイオン二次電池10が非拘束状態である期間で、第1極間測定工程が終了してから規定時間が経過したか否かが判定される。本実施形態において、規定時間としては、第1実施形態の所定時間よりも短く、例えば約240時間(10日)が該当するが、これに限らない。
第1極間測定工程が終了してから規定時間が経過するまで、ステップS32の第2極間測定工程が行われず、第1極間測定工程が終了してから規定時間が経過すると、ステップS32において、第2極間測定工程が行われる。ステップS32において、第2極間測定工程が行われる。第2極間測定工程は、第1極間測定工程と同じような条件で極間を測定する工程である。第2極間測定工程において極間距離が測定されるタイミングが第2タイミングの一例に相当する。また、第2タイミングは、第1タイミングから規定時間が経過したタイミングであるといえる。
このように、第2実施形態では、極間測定工程は、第1極間測定工程と第2極間測定工程とを含み、非拘束期間において、第1タイミングと第2タイミングとで極間距離を測定する。
<極間予測工程>
次いで、ステップS33において、極間予測工程が行われる。極間予測工程では、非拘束期間における経過時間と極間距離とが比例関係となることから、第1極間測定工程において測定された極間距離と第2極間測定工程において測定された極間距離とに基づいて、相関線が作成される。相関線は、非拘束期間における経過時間と極間距離との関係を示す。
そして、極間予測工程では、作成した相関線に基づいて、極間距離が第1距離D1となるタイミングが予測可能である。つまり、極間予測工程では、第1タイミングで測定された極間距離と第2タイミングで測定された極間距離とに応じて、極間距離が第1距離D1となるタイミングを予測することができる。極間距離が第1距離D1となるタイミングが第3タイミングの一例に相当する。
また、極間予測工程では、作成した相関線に基づいて、非拘束状態となってから所定時間が経過するまでに極間距離が第1距離D1とならないことが予測可能である。つまり、極間予測工程では、第1タイミングで測定された極間距離と第2タイミングで測定された極間距離とに応じて、非拘束状態となってから所定時間が経過するまでに極間距離が第1距離D1とならないことを予測することができる。
<拘束工程>
次いで、ステップS34において、予測結果に応じた拘束工程が行われる。極間予測工程において極間距離が第1距離D1となると予測された場合、拘束工程では、極間距離が第1距離D1となると予測されたタイミングにおいて、中拘束で拘束が行われる。その一方で、極間予測工程において非拘束状態となってから所定時間が経過するまでに極間距離が第1距離D1とならないと予測された場合、拘束工程では、拘束が行われない。
このように、拘束工程は、第1タイミングで測定された極間距離と第2タイミングで測定された極間距離とに応じて電極体15に対する拘束力を調整可能である。このような拘束工程が調整工程の一例に相当する。
なお、第1極間測定工程及び第2極間測定工程で測定された極間距離が第1距離D1以下であるときに、上記のように工程を進める。一方、第1極間測定工程で測定された極間距離が、第1距離D1より大きく、かつ、第2距離D2以下であるときには、第1極間測定工程が終了した後に、中拘束で拘束が行われてもよい。第1極間測定工程で測定された極間距離が、第2距離D2より長いときには、第2極間測定工程が終了した後に、強拘束で拘束が行われてもよい。
第1極間測定工程で測定された極間距離が第1距離D1以下であったが、第2極間測定工程において測定された極間距離が、第1距離D1より大きく、かつ、第2距離D2以下であるときには、第2極間測定工程が終了した後に、中拘束で拘束が行われてもよい。第1極間測定工程で測定された極間距離が第1距離D1以下であったが、第2極間測定工程で測定された極間距離が、第2距離D2より長いときには、第2極間測定工程が終了した後に、強拘束で拘束が行われてもよい。
<実施例>
ここで、図7を参照して、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の実施例について説明する。この実施例としては、非拘束期間における経過時間と、極間距離との関係について説明する。
図7に示すように、グラフ50において、縦軸に極間距離が、横軸に経過時間がそれぞれ割り当てられている。第1極間測定工程が実行されるタイミングは、経過時間が0であるタイミングである。第2極間測定工程が実行されるタイミングは、経過時間が時間t1であるタイミングである。時間t1が規定時間に相当する。また、第1実施形態において、非拘束状態となってから所定時間が経過したタイミングは、経過時間が時間t3であるタイミングである。
グラフ50において、第1相関線51が示されている。第1相関線51は、第1極間測定工程で極間距離が距離DAであるときの点と、第2極間測定工程で極間距離が距離DBであるときの点とを通る直線である。この場合、第1相関線51は、時間t3に示すタイミングとなる前において、時間t2に示すタイミングで第1距離D1と交わる。このため、極間予測工程において、時間t2に示すタイミングは、極間距離が第1距離D1となるタイミングとして予測される。そして、拘束工程において、時間t2に示すタイミングから中拘束で拘束が行われる。
また、グラフ50において、第2相関線52が示されている。第2相関線52は、第1極間測定工程で極間距離が距離DAであるときの点と、第2極間測定工程で極間距離が距離DAであるときの点とを通る直線である。この場合、第2相関線52は、時間t3となる前において、第1距離D1と交わらない。このため、極間予測工程において、極間予測工程において非拘束状態となってから所定時間が経過するまでに極間距離が第1距離D1とならないと予測される。そして、拘束工程において、拘束が行われない。
<第2実施形態の作用及び効果>
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)本実施形態のリチウムイオン二次電池10によれば、第1極間測定工程と第2極間測定工程とで測定した極間距離に応じて電極体15に対する拘束力を調整することができる。これにより、電極体15に対する拘束力の調整精度を高めることができる。したがって、極間距離が長くなることによるリチウム析出を抑制するとともに、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。
(2-2)極間距離が第1距離D1となるタイミングを予測することによって、そのタイミングで電極体15を拘束することができる。これにより、極間距離が第1距離D1となるように調整することができる。したがって、極間距離が長くなることによるリチウム析出を抑制するとともに、電極体15を必要以上に拘束することはなく、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、注液工程よりも前であって、かつ、リチウムイオン二次電池10が非拘束状態である期間において、極間距離が測定された結果に応じて封止工程が行われる。また、組立工程において、少なくともケース挿入工程、注液工程及び封止工程では、非拘束状態となる非拘束期間である。
<各工程>
図8に示すように、本実施形態では、ケース挿入工程が終了した後に、ステップS40において、極間測定工程が行われる。極間測定工程は、第1実施形態の極間測定工程と同じような条件で極間を測定する工程である。つまり、極間測定工程は、非拘束期間において、ケース挿入工程が終了した後という所定のタイミングで極間距離を測定する。
次いで、極間測定工程が終了した後に、ステップS15において注液工程が行われる。本実施形態において、注液工程は、電池ケース11内を真空状態にした後に、電池ケース11内に非水電解液18を注入する工程であってもよい。この場合、電池ケース11内を真空状態とすることにより、電池ケース11に収容される電極体15に負圧が掛かる。
そして、注液工程が終了した後に、ステップS41において、測定結果に応じた封止工程が行われる。封止工程では、極間測定工程において測定された極間距離に基づいて、注液孔の封止により電池ケース11が密封される。
詳しくは、極間測定工程において測定された極間距離が第1距離D1以下である場合に、短縮封止時間が経過したときに、注液孔の封止により電池ケース11が密封される。短縮封止時間は、予め定められた時間であり、通常封止時間よりも短い時間である。短縮封止時間は、電極体15に負圧が掛かる程度の時間である。通常封止時間は、電極体15に負圧が掛からない程度の時間である。
このように、封止工程は、測定された極間距離が予め定めた第1距離D1以下であるときに、電池ケース11に非水電解液18が注液されてから電池ケース11を封止するまでの時間を短縮する。つまり、封止工程は、電池ケース11に非水電解液18が注液されてから電池ケース11を封止するまでの時間を、測定された極間距離に応じて短縮する。
これによって、極間測定工程において測定された極間距離が第1距離D1以下である場合に、電池ケース11内に収容された電極体15に対して、意図して負圧を掛けることができる。このため、極間距離が第1距離D1以下である場合に、電池ケース11内において、適切な負圧により捲回されている電極体15の巻き緩みを抑制することができる。そして、リチウムイオン二次電池10は、活性化工程が終了した後に、拘束状態から非拘束状態となっても、時間の経過に伴って極間距離が長くなることを抑制することができる。
したがって、活性化工程が終了した後に、拘束状態から非拘束状態となっても、リチウムイオン二次電池10を拘束する必要がない。また、エージング工程においても、リチウムイオン二次電池10を拘束する必要がない。このように、エージング工程は、電池ケース11を封止するまでの時間が短縮された場合に、非拘束状態で非水二次電池を保管する。これにより、リチウム析出耐性の悪化を抑制するとともに、電極体15を必要以上に拘束することはなく、ばね定数の悪化も抑制することができる。また、エージング工程の終了後に、リチウムイオン二次電池10の時間当たりの電圧降下値に基づいてリチウムイオン二次電池10が正常であるか否かを検査する自己放電工程がある場合に、自己放電工程においても、非拘束状態で行われてもよい。
<第3実施形態の作用及び効果>
第3実施形態の作用及び効果について説明する。
(3-1)本実施形態のリチウムイオン二次電池10によれば、非拘束期間において実際に測定した極間距離という電極体15の状況に応じて、電池ケース11に非水電解液18が注液されてから電池ケース11を封止するまでの時間を短縮することができる。これにより、電池ケース11内の圧力を意図して低下させることができる。このため、電極体15にかかる自己拘束力が増大し、電極体15において極間距離が長くなることを抑制することができる。したがって、極間距離が長くなることによるリチウム析出を抑制するとともに、電極体15に対する拘束を必要最小限に抑えることができ、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。
(3-2)非拘束期間において実際に測定された極間距離が第1距離D1以下であるときに、電池ケース11内の圧力を意図して低下させることができる。このため、電極体15にかかる自己拘束力が増大し、電極体15において極間距離が長くなることを効果的に抑制することができる。したがって、極間距離が長くなることによるリチウム析出を効果的に抑制することができる。
(3-3)電池ケース11に非水電解液18が注液されてから電池ケース11を封止するまでの時間が短縮された場合に、エージング工程では、非拘束状態でリチウムイオン二次電池10が保管される。したがって、電極体15に対する拘束を必要最小限に抑えることができ、電極体15のばね定数の劣化を抑制することができる。
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○第2実施形態において、例えば、所定時間が経過するまでに極間距離が第1距離D1より長くなる場合に、極間距離が第1距離D1となるタイミングではなく、第2極間測定工程の終了後に電極体15が拘束されなくてもよい。また、例えば、所定時間が経過したときに電極体15が拘束されてもよい。例えば、所定時間が経過するときに、極間距離が、第1距離D1より長く、かつ、第2距離D2以下であるときに中拘束で電極体15が拘束されてもよく、極間距離が第2距離D2より長なるときに強拘束で電極体15が拘束されてもよい。つまり、第1タイミングで測定された極間距離と第2タイミングで測定された極間距離とに応じて電極体15に対する拘束力が調整可能であればよい。
○第2実施形態において、例えば、所定時間が経過するまでに極間距離が第1距離D1より長くならない場合であっても、所定時間が経過した後に極間距離が第1距離D1となると予測されたタイミングで電極体15の拘束が行われてもよい。例えば、第2実施形態の所定時間としては、第1実施形態の所定時間と同じであっても異なってもよく、任意の時間であってもよい。
○第2実施形態において、例えば、第1極間測定工程は、活性化工程が終了した直後ではなく、活性化工程が終了した後に時間が経過したときに行われてもよい。具体的に、活性化工程が終了した後に検査工程が行われてもよく、検査工程が行われてから第1極間測定工程が行われてもよい。つまり、第1極間測定工程は、非拘束期間において行われればよい。また、第2極間測定工程は、第1極間測定工程において極間距離が測定されてから規定時間が経過したときに行われればよく、非拘束状態となってから規定時間が経過したか否かを問わない。
○第3実施形態において、例えば、ステップS40の極間測定工程において測定された極間距離が第1距離D1より長い場合に、第1実施形態と同じ工程でリチウムイオン二次電池10を製造してもよい。第3実施形態において、例えば、ステップS40の極間測定工程において測定された極間距離が第1距離D1より長い場合に、第2実施形態と同じ工程でリチウムイオン二次電池10を製造してもよい。これらの場合、ステップS41において、通常封止時間が経過したときに、注液孔の封止により電池ケース11が密封されることにより、電極体15に負圧を掛けなくてもよい。
○第3実施形態において、例えば、電池ケース11に非水電解液18が注液されてから電池ケース11を封止するまでの時間を、極間距離に応じて段階的に短縮してもよい。つまり、電池ケース11に非水電解液18が注液されてから電池ケース11を封止するまでの時間を極間距離に応じて短縮できればよい。
○本実施形態において、例えば、「拘束なし」を、「中拘束」及び「強拘束」よりも拘束力が弱い「弱拘束」としてもよい。つまり、拘束工程は、極間距離が第1距離D1以下であるときに、第1距離D1より長いときと比較して、弱い拘束力で電極体15を拘束してもよい。また、電極体15に対する拘束力は、意図して電極体15を拘束することと、意図して電極体15を拘束しないこととを含む。つまり、電極体15に対する拘束力は、拘束しないことを含む。
○本実施形態において、例えば、極間測定工程で測定される電極体15の所定位置としては、電極体15の平面領域であってもよい。例えば、極間測定工程で測定される電極体15の所定位置としては、電極体15の幅方向Wにおける中央であってもよく、電極体15の第2幅方向W2側であってもよい。例えば、極間測定工程において、厚み方向Dに隣り合う負極板20の負極基材21間の距離に基づいて極間距離が測定されてもよい。例えば、極間測定工程において、厚み方向Dに隣り合う正極板30の正極基材31間の距離に基づいて極間距離が測定されてもよい。
○本実施形態において、例えば、極間測定工程は、第1実施形態及び第2実施形態のように、活性化工程の終了後に実行されてもよく、第3実施形態のように、活性化工程の開始前に実行されてもよい。
○本実施形態において、リチウムイオン二次電池10毎に極間距離が測定されたが、これに限らず、例えば、同じロットで製造される複数のリチウムイオン二次電池10のうち、抽出されたリチウムイオン二次電池10のに極間距離が測定されてもよい。
○本実施形態において、リチウムイオン二次電池10を例に本発明を説明したが、他の二次電池にも適用できる。
○本実施形態において、車載用の薄板状のリチウムイオン二次電池10を例示したが、円柱形の電池などにも適用できる。また、車載用に限らず、船舶用、航空機用、さらに定置用の電池にも適用できる。
○本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
○本発明は、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲で、当業者によりその構成を付加し削除し変更し、順序を変えて実施することができることは言うまでもない。
D…厚み方向
W…幅方向
Z…長さ方向
10…リチウムイオン二次電池
11…電池ケース
12…蓋体
13…負極外部端子
14…正極外部端子
15…電極体
16…負極集電体
17…正極集電体
18…非水電解液
20…負極板
21…負極基材
22…負極合材層
23…負極接続部
30…正極板
31…正極基材
32…正極合材層
33…正極接続部
40…セパレータ
50…グラフ
51…第1相関線
52…第2相関線

Claims (9)

  1. 負極板、正極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体を備える非水二次電池の製造方法であって、
    前記電極体を拘束しない非拘束状態である非拘束期間において所定のタイミングで極板間の距離を測定する極間測定工程と、
    前記極間測定工程において測定された極板間の距離に応じて前記電極体に対する拘束力を調整可能である調整工程と、を含む、
    非水二次電池の製造方法。
  2. 請求項1に記載の非水二次電池の製造方法において、
    前記調整工程は、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が第1距離以下であるときに、前記電極体を拘束せずに、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が第1距離より長いときに、前記電極体を拘束する、
    非水二次電池の製造方法。
  3. 請求項2に記載の非水二次電池の製造方法において、
    前記調整工程は、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が、前記第1距離よりも大きく、かつ、前記第1距離よりも長い第2距離以下であるときと比較して、前記第2距離よりも長いときには、強い拘束力で前記電極体を拘束する、
    非水二次電池の製造方法。
  4. 請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の非水二次電池の製造方法において、
    前記極間測定工程は、前記非拘束期間において前記非拘束状態となってから所定時間が経過したタイミングで極板間の距離を測定する、
    非水二次電池の製造方法。
  5. 請求項1に記載の非水二次電池の製造方法において、
    前記極間測定工程は、前記非拘束期間において、第1タイミングと、前記第1タイミングから規定時間が経過した第2タイミングとで極板間の距離を測定し、
    前記調整工程は、前記極間測定工程において前記第1タイミングで測定された極板間の距離と前記第2タイミングで測定された極板間の距離とに応じて前記電極体に対する拘束力を調整可能である、
    非水二次電池の製造方法。
  6. 請求項5に記載の非水二次電池の製造方法において、
    前記極間測定工程において前記第1タイミングで測定された極板間の距離と前記第2タイミングで測定された極板間の距離とに応じて、極板間の距離が第1距離となる第3タイミングを予測する極間予測工程を含み、
    前記調整工程は、前記極間予測工程において予測された前記第3タイミングで前記電極体を拘束する、
    非水二次電池の製造方法。
  7. 負極板、正極板、及び、前記負極板と前記正極板との間に設けられるセパレータを有する電極体と、非水電解液と、前記電極体及び前記非水電解液を収容する電池ケースと、を備える非水二次電池の製造方法であって、
    前記電極体を拘束しない非拘束状態である非拘束期間において所定のタイミングで極板間の距離を測定する極間測定工程と、
    前記電極体が収容された状態で前記電池ケースに前記非水電解液を注液する注液工程と、
    前記電池ケースに前記電極体及び前記非水電解液が収容された状態で前記電池ケースを封止する封止工程と、を含み、
    前記封止工程は、前記注液工程において前記電池ケースに前記非水電解液が注液されてから前記電池ケースを封止するまでの時間を、前記極間測定工程において測定された極板間の距離に応じて短縮する、
    非水二次電池の製造方法。
  8. 請求項7に記載の非水二次電池の製造方法において、
    前記封止工程は、前記極間測定工程において測定された極板間の距離が予め定めた距離以下であるときに、前記注液工程において前記電池ケースに前記非水電解液が注液されてから前記電池ケースを封止するまでの時間を短縮する、
    非水二次電池の製造方法。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の非水二次電池の製造方法において、
    前記封止工程が終了した後に、前記非水二次電池を充電する充電工程と、
    前記充電工程が終了した後に、前記非水二次電池を保管するエージング工程と、を含み、
    前記エージング工程は、前記電池ケースに前記非水電解液が注液されてから前記電池ケースを封止するまでの時間が短縮された場合に、前記非拘束状態で前記非水二次電池を保管する、
    非水二次電池の製造方法。
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