JP2023550943A - ストッパ及びこれをチューブの中で並進させる方法 - Google Patents

ストッパ及びこれをチューブの中で並進させる方法 Download PDF

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Abstract

シリンジ又はオートインジェクタの組立て及び/又は使用において挿入チューブ、シリンジバレル又はカートリッジチューブなどの潤滑剤フリーのチューブを通過してシリンジストッパを並進させるための方法及び関連構造。非圧縮状態のストッパは、近位端と、プランジャロッド係合キャビティと、近位端からシール場所長さだけ離間する長さを有するシール領域と、を含む。シール領域は、ポリマーバリア内に少なくとも1つの微小溝を有する少なくとも1つのリブを含み、少なくとも1つの微小溝は初期幅を有する。開示する方法及び構造によって、ストッパの外径へ向かって偏る並進力は、力集中体を使用してストッパに加えられる。力集中体による並進力は、力集中体を使用しない場合と比較して少なくとも1つの微小溝の初期幅の増大を減少しながら、圧縮状態においてチューブを通過してストッパを並進させるのに充分である。

Description

本開示は、概略的にシリンジなどの医療機器特にストッパ及びチューブを通過してストッパを並進させる方法に関する。
シリンジ及び予充填シリンジを含めて医療用送達機器は、薬物及び生物物質(例えば、薬剤及び/又は生物治療薬)を貯蔵しかつ送達するための機能を果たす。予充填シリンジは、概略的に、製薬産業にとってコスト削減となり、薬物送達の安全性、便利さ及び効率を改良できる。生物薬剤は、予充填シリンジ及びオートインジェクタなどの関連機器の使用を利用できる薬剤の重要な種類である。このような生物薬剤の非限定的例は、インシュリン、ワクチン、抗体、血液生成物、ホルモン及び/又はサイトカインを含む。
これらのタイプの医療用送達機器は、典型的に、液体を受け入れるための容器(例えば、シリンジバレル又はカートリッジチューブ)と、容器の中で往復移動可能なプランジャロッドと、典型的にはプランジャロッドの端部に取り付けられるストッパと、を含む。空気及び液体不透過性は、容器内の液体漏出を最小限に抑える又はこれを排除でき、容器内部へ又はこれから液体を充填又は放出するときストッパの外面と容器の内壁との間の空気の導入を最小限に抑える又はこれを排除できる。低滑動力は、容器内部の液体の充填及び放出を容易にする。これらの要件に加えて、医療用シリンジは、特に、ストッパと接触する生物薬剤などの製剤組成物に悪影響を与えてはならない。
従来のバレル及びチューブに使用されるストッパは、一般に、ゴム又はその他のエラストマ材料で作られる。従来のストッパは、充分な空気及び液体不透過性を持つことができるが、許容できる滑動力を持たない可能性がある。したがって、シリコーン及び/又は液体潤滑剤が、ストッパの滑動性を強化するためにストッパの外面及び/又はバレル又はカートリッジチューブの内壁に塗布される場合がある。しかし、シリコーン潤滑剤などの潤滑剤を含むシリンジは、薬剤組成物の不活性化又はそうでなければその他の効能への悪影響を生じる場合がある。
低摩擦滑動性及び薬剤組成物の安定性を強化するために、少なくとも1つの層例えば少なくとも1つのフルオロポリマー層でラミネート化又はコーティングされたストッパが使用されてきた。しかし、フルオロポリマー層を有するストッパはその組立て及び/又は使用時に機能が一貫しない場合があることが観察されている。例えば、ストッパは、バレル又はカートリッジチューブの中へのストッパを挿入する際及び/又は使用時にバレル又はカートリッジチューブ内でプランジャロッドを移動する際に歪む場合がある。このような歪みは、液体の漏出路を作るか、又はそうでなければストッパの機能性及び/又は外観にその他の悪影響を与える可能性がある。
従って、空気及び液体不透過性であり、挿入時に歪まず、許容可能な滑動力が得られるストッパが必要とされる。更に、ストッパの組立てプロセス及び/又は使用においてストッパが歪まないようにバレル、カートリッジチューブ又はベント又は挿入チューブを通過して特に潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのバレル、カートリッジチューブ及び/又はベント又は挿入チューブを通過してストッパを並進させる方法が必要とされる。
第1の実施例(「実施例1」)によれば、方法は、挿入チューブの近位端にストッパの遠位端を置くことを含み、挿入チューブ及びストッパはシリコーンフリーであり、ストッパはプランジャロッド係合キャビティと、ストッパの近位端からシール場所長さだけ離間した所定長さを有するシール領域とを含み、シール領域は、ポリマーバリアに少なくとも1つの微小溝を含む少なくとも1つのリブを有し、少なくとも1つの微小溝は、初期幅を有する。方法は、プランジャロッド係合キャビティの遠位領域に接触することなくストッパの近位端に挿入ピンを位置付けることを含む。挿入ピンは、ショルダを有する遠位端を含む円筒形本体と、プランジャロッド係合キャビティの直径より小さい直径を有するピン先端とを有する。方法は、更に、ストッパの近位端を挿入ピンのショルダと接触させることと、少なくとも1つの微小溝の初期幅の増大の減少が少なくとも10%であるように挿入ピンの近位端に力を加えることとを含む。
実施例1に加えて別の実施例(「実施例2」)によれば、方法は、挿入チューブの長さ全体を通過してシリンジバレルの中までストッパを案内することを含み、シリンジバレルはシリコーンフリーである。
実施例2に加えて別の実施例(「実施例3」)によれば、挿入チューブを通過してストッパを案内する際、挿入ピンはプランジャロッド係合キャビティの遠位端領域に係合する。
先行の実施例のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例4」)によれば、挿入チューブの近位端にストッパの遠位端を置くステップにおいて、ストッパは非圧縮状態にある。
実施例2~4のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例5」)によれば、挿入チューブを通過してストッパを案内するステップにおいて、ストッパは圧縮状態にある。
先行の実施例のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例6」)によれば、挿入ピンの近位端に力を加えることは、力の少なくとも一部分をストッパの近位端に伝えることを含む。
実施例6に加えて別の実施例(「実施例7」)によれば、方法は、力の少なくとも一部分をストッパの近位端に伝えることを含む方法は、(1)ストッパの近位端に第1の力又は(2)プランジャロッド係合キャビティの遠位端に第2の力、の一方又は両方を加えることを含む。
先行の実施例のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例8」)によれば、挿入ピンのショルダは、ストッパの近位端に係合するように構成された少なくとも平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含む挿入ピンのショルダから延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を含む。
先行の実施例のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例9」)によれば、ストッパの近位端は、挿入ピンに係合するように構成された少なくとも1つの平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含むストッパの近位端から延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を含む。
実施例8又は9に加えて別の実施例(「実施例10」)によれば、少なくとも1つの集中特徴体は、ストッパに加えられた力がストッパの外径へ向かって偏るように、力が少なくともストッパの近位端の環状面に加えられるように、構成される。
先行の実施例のいずれかに1つに加えて別の実施例(「実施例11」)によれば、シール領域は第1のリブと第2のリブとを含み、挿入ピンの近位端に加えられる力は、第1のリブと第2のリブとの間の長さが少なくとも1%の増大の減少を持つように加えられる。
先行の実施例のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例12」)によれば、微小溝の初期幅の増大の減少は少なくとも15%である。
別の実施例(「実施例13」)によれば、シリンジバレルの内容物を供給する方法は、ストッパのプランジャロッド係合キャビティの近位端の中へプランジャロッドを挿入することを含み、ストッパはシリコーンフリーであり、ストッパは遠位端と反対側の近位端と、近位端からシール場所長さだけ離間する長さを有するシール領域とを有し、シール領域は、ポリマーバリアと初期幅を有しポリマーバリア内に位置付けられた少なくとも1つの微小溝とを含み、方法は、プランジャロッド係合キャビティの遠位領域に接触することなくシリンジバレルの中のプランジャロッドのショルダにストッパの近位端を接触させることを含み、シリンジバレルは、シリコーンフリーであり、治療薬を収容する。方法は、更に、少なくとも1つの微小溝の初期幅の増大の減少が少なくとも10%であるようにプランジャロッドに力を加えることを含む。
実施例13に加えて別の実施例(「実施例14」)によれば、方法は、プランジャロッドに加えられた力の少なくとも一部分をストッパの近位端に伝えることによってシリンジバレルを通過してストッパを案内することを含む。
実施例14に加えて別の実施例(「実施例15」)によれば、プランジャのショルダは、ストッパの近位端に係合するように構成された少なくとも1つの平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含むプランジャロッドのショルダから延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を含む。
実施例14に加えて別の実施例(「実施例16」)によれば、ストッパの近位端は、プランジャロッドのショルダに係合するように構成された平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含むストッパの近位端から延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を含む。
実施例14~16のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例17」)によれば、プランジャロッドは、ショルダとプランジャロッド先端とを有する遠位端を含み、プランジャロッド先端は、ストッパのプランジャロッド係合キャビティの遠位領域によって受け入れられるように構成される。
実施例17に加えて別の実施例(「実施例18」)によれば、シリンジを通過するストッパを案内する際、プランジャロッド先端は、ストッパのプランジャロッド係合キャビティの遠位領域に係合する。
実施例18に加えて別の実施例(「実施例19」)によれば、プランジャロッドに力を加えることは、(1)ストッパの近位端へ第1の力、又は(2)プランジャロッド係合キャビティの遠位端へ第2の力、の一方又は両方を加えることを含む。
実施例13~19のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例20」)によれば、ストッパのシール領域は、第1のリブと第2のリブとを含み、リブ長さは第1のリブと第2のリブとの間に延び、力は、リブ長さが少なくとも1%増大を減少するようにプランジャロッドに加えられる。
実施例13~20のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例21」)によれば、少なくとも1つの微小溝の初期幅の増大の減少は少なくとも15%である。
実施例13に加えて別の実施例(「実施例22」)によれば、ストッパとプランジャロッドは、直接的に取り付けられない。
実施例16~19のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例23」によれば、少なくとも1つの力集中特徴体は、ストッパに加えられた力がストッパの外径へ向かって偏るように力が少なくともストッパの近位端の環状面に加えられるように、構成される。
実施例13~23のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例24」)によれば、方法は、更にシリンジバレル内に収容された治療薬を供給することを含む。
実施例13~24のいずれか1つに加えて別の実施例(「実施例25」)によれば、ストッパは圧縮状態にある。
添付図面は本開示を更に理解するために提示されるものであり、本明細書に援用され、本明細書の一部を成し、実施形態を図解し、下記の説明と一緒に本開示の原則を説明する助けとなる。
図1Aは、いくつかの実施形態に従ったシリンジの略図的断面図である。
図1Bは、いくつかの実施形態に従ったカートリッジチューブの略図的断面図である。
図2は、いくつかの実施形態に従ったストッパの切取り図である。
図3は、いくつかの実施形態に従ったストッパの切取り図である。
図4は、いくつかの実施形態に従ったリブ及び微小溝を示すストッパの一部分の詳細側面図である。
図5は、いくつかの実施形態に従った図4に示すようなストッパの一部分の詳細断面図である。
図6は、いくつかの実施形態に従ったリブ及び微小溝を示すストッパの一部分の詳細側面図である。
図7は、いくつかの実施形態に従ったストッパの切取り図である。
図8Aは、いくつかの実施形態に従ったプランジャロッドの略図的側面図である。
図8Bは、いくつかの実施形態に従った図8Aに示すプランジャロッドの端面図である。
図9は、いくつかの実施形態に従ったベント又は挿入チューブの断面図である。
図10Aは、いくつかの実施形態に従った挿入ピンの略図的斜視図である。
図10Bは、図10Aに示す挿入ピンの断面側面図である。
図11Aは、いくつかの実施形態に従った、ストッパの一部分、及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。 図11Bは、いくつかの実施形態に従った、ストッパの一部分及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。 図11Cは、いくつかの実施形態に従った、ストッパの一部分及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。 図11Dは、いくつかの実施形態に従った、ストッパの一部分及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。
図12Aは、いくつかの実施形態に従った、その中にキャビティを有するストッパの部分及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び/又は並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。 図12Bは、いくつかの実施形態に従った、その中にキャビティを有するストッパの部分及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び/又は並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。 図12Cは、いくつかの実施形態に従った、その中にキャビティを有するストッパの部分及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び/又は並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。 図12Dは、いくつかの実施形態に従った、その中にキャビティを有するストッパの部分及びバレル又はカートリッジチューブを通過する挿入及び/又は並進の際にストッパに衝突する様々な力の図解である。
図13Aは、いくつかの実施形態に従ったポリマー層の厚みより小さい厚みを有する微小溝の図解である。
図13Bは、いくつかの実施形態に従ったポリマー層の厚みに等しい厚みを有する微小溝の図解である。
図13Cは、いくつかの実施形態に従ったバレル又はカートリッジチューブの中のストッパの全体伸長及びこれに関連付けられる微小溝の伸長を示す図解である。 図13Dは、いくつかの実施形態に従ったバレル又はカートリッジチューブの中のストッパの全体伸長及びこれに関連付けられる微小溝の伸長を示す図解である。
図14は、いくつかの実施形態に従ったストッパの切取り図である。
図15は、いくつかの実施形態に従った挿入ピンの略図的断面図である。
図16は、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した図15に示す挿入ピンの略図的切取り図である。
図17は、いくつかの実施形態に従った挿入ピンの略図的断面図である。
図18は、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した図17に示す挿入ピンの略図的切取り図である。
図19は、いくつかの実施形態に従った挿入ピンの略図的断面図である。
図20Aは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した図19に示す挿入ピンの略図的部分断面図である。 図20Bは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した図19に示す挿入ピンの略図的部分断面図である。
図21は、いくつかの実施形態に従った挿入ピンの略図的断面図である。
図22Aは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した図19に示す挿入ピンの略図的部分断面図である。 図22Bは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した図19に示す挿入ピンの略図的部分断面図である。
図23Aは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した力集中体を含む挿入ピンの略図的切取り図である。 図23Bは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した力集中体を含む挿入ピンの略図的切取り図である。 図23Cは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した力集中体を含む挿入ピンの略図的切取り図である。 図23Dは、いくつかの実施形態に従ったストッパと係合した力集中体を含む挿入ピンの略図的切取り図である。
図24Aは、いくつかの実施形態に従った力集中体を含むストッパの切取り図である。 図24Bは、いくつかの実施形態に従った力集中体を含むストッパの切取り図である。 図24Cは、いくつかの実施形態に従った力集中体を含むストッパの切取り図である。 図24Dは、いくつかの実施形態に従った力集中体を含むストッパの切取り図である。
図25Aは、いくつかの実施形態に従ったプランジャロッドの遠位端の力集中体位置の様々な形状の略図である。 図25Bは、いくつかの実施形態に従ったプランジャロッドの遠位端の力集中体位置の様々な形状の略図である。 図25Cは、いくつかの実施形態に従ったプランジャロッドの遠位端の力集中体位置の様々な形状の略図である。 図25Dは、いくつかの実施形態に従ったプランジャロッドの遠位端の力集中体位置の様々な形状の略図である。
定義
当業者は、本開示の様々な形態が意図される機能を実施するように構成された様々な方法及び装置によって実施できることが、容易に分かるだろう。又、本明細書において言及する添付図面は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な形態を図解するために誇張される場合があり、その点について図面は限定的であると解釈すべきではないことが分かるはずである。
「バレル」と「シリンジバレル」は、本明細書において交換可能に使用される場合があることを認識されたい。さらに、「チューブ」は、「カートリッジ」と一緒に使用されない場合、フリップバーまたは回転バーなどのトランスファバーのストッパ受入れ開口、ベント、真空又は挿入チューブ、シリンジのバレル及び/又は自動注入機器のカートリッジチューブなど(但し、これらに限定されない)の、シリンジ又はカートリッジの組立てプロセス及び/又は使用時に通過してストッパを挿入及び/又は並進できる多数の管状構造体のいずれかを指す。「潤滑剤フリーのシリンジバレル」及び「潤滑剤フリーのバレル」は、本開示において「潤滑剤フリーのカートリッジチューブ」と交換可能であることに留意されたい。又、「ポリマー又は延伸ポリマー層」は、本明細書において「ラミネート層」と交換可能に使用できる。更に、「シリンジ」と「カートリッジチューブ」は、本開示において交換可能に使用できる。又、本明細書において使用される場合、「約」は、明示される計測単位の±10%を意味する。
シリンジ
本開示は、ストッパ、及びストッパが歪まないように又はそうでなければその結果ストッパを収容するバレル又はカートリッジチューブを使用不能にしないようにストッパの組立てプロセス及び/又は使用時に潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのバレル、カートリッジチューブ及び/又はベント又は挿入チューブを通過してストッパを並進させる方法に関する。本明細書において使用する場合、「潤滑剤フリー」は、液体潤滑剤が故意に添加されていないこと又は存在する液体潤滑剤の量が検出可能レベルを下回ることを意味する。潤滑剤フリーは、シリコーン潤滑剤フリーを含むことができる。実施形態は、挿入チューブ及び挿入ピンを使用してポリマー層(例えば、フルオロポリマー又は延伸フルオロポリマー層)又はラミネート層を有するストッパを潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのバレル又は潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのカートリッジチューブの中へ移動または並進させる方法に関する。実施形態は、又、漏斗状の真空挿入チューブを使用して本体(例えば、エラストマ本体)と本体に結合された又はこれと関連付けられるポリマー層又はラミネート層とを有するストッパを、潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのバレル又は潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのカートリッジチューブの中へ移動または並進させる方法に関する。実施形態は、又、シリンジ又はカートリッジチューブの組立てプロセスに関連してトランスファバーシステムの中のベント又は挿入チューブの中へストッパを挿入する方法に関する。実施形態は、又、シリンジ又は自動注入機器の組立てプロセス及び/又は使用時にシリンジバレル又はカートリッジチューブの中へこれを通過してストッパを移動または並進させる方法に関する。これらの実施形態によって、容器密閉完全性(CCI)、許容可能な滑動力及びシリンジ及びカートリッジ及びその使用のその他の特性が得られる。
ストッパは、エラストマ本体と、少なくとも部分的にエラストマ本体を被覆するポリマー又は延伸ポリマー層又はラミネート層とを含むことができる。本明細書において使用する場合、「シリンジ」及び「カートリッジ」は、ニードルによる又はストッパを並進させる「ニードレス」システム(例えばルアシステム)による注入によって、少なくとも1つの治療用化合物(例えば、薬物又は生物物質)を送達する任意の機器を意味する。シリンジ又はオートインジェクタを、抗体、アンチセンス、RNA干渉、遺伝子治療、一次的及び胚幹細胞、ワクチン及びこれらの組合せを含めて(但し、これらに限定されない)薬物及び生物物質などの様々な治療用化合物を投与するために使用できる。以下の開示は、シリンジ又はカートリッジに及びこれらの機器の組立て及び使用に、同様に適用される。例えばシリンジ、オートインジェクタ又は注入ペンなどの様々なタイプの治療用送達機器が想定され、これらは、本開示の範囲内に在ると見なされる。
図1Aは、いくつかの実施形態に従ったシリンジ10を示す。図示するように、シリンジ10は、内面25を持つバレル20と、治療用化合物を注入するためにこれに取り付けられた穿刺要素(例えば、ニードル)30又はカップリング(例えばルア接続特徴を使用する)特徴(図示せず)とを含むことができる。プランジャロッド50は、プランジャロッド50の遠位端に固着されたストッパ40を含むことができる。ストッパ40は、ストッパの円周に延びる1つ又は複数のリブ42、44を介してバレル20の内面25の少なくとも一部分に接触する外側面41を有する。図1Aには2つのリブ42、44を示すが、任意の数のリブがストッパ40上に存在し得る。リブ42、44の少なくとも1つは、シールリブである。いくつかの実施形態において、リブ42は、唯一のシールリブである。以後、リブ42、44は、論証において両方ともシールリブを意味する。シールリブ42、44は、予充填シリンジのバレル20又はオートインジェクタのカートリッジチューブに容器密閉完全性を与える。ストッパ40は、更に、下で説明するように、プランジャロッド50又はその他の様々な並進要素を受け入れるために使用できる、本明細書においてプランジャロッド係合キャビティとも呼ばれるキャビティ48を備える。1つ又は複数のフランジ70を、シリンジバレル20内でプランジャロッド50を押して並進させるためのフィンガグリップとして使用できる。
図1Bは、いくつかの実施形態に従ったカートリッジ33を示す。図示するカートリッジ33の実施形態において、修正されたプランジャロッド(図示せず)とストッパ65は取り付けられていない。このようにして、修正プランジャロッドは、ストッパ65と接触する前に修正プランジャロッドがカートリッジ33内で浮動するようにカートリッジ33内で浮動プランジャロッドとすることができる。但し、ストッパ65を接触した後は、修正プランジャロッドは、ストッパ65の並進中ストッパ65と接触している。図示するストッパ65の実施形態はその中にキャビティを持たないが、他の実施形態は、例えば、図1Aに示すようにプランジャロッドを受け入れるためのキャビティを含むことができる。ストッパ65は、シールリブ42及び44などの1つ又は複数のリブを介してカートリッジチューブ35の内面25の少なくとも一部分に接触する。カートリッジ33は、ストッパ65と、密閉キャップ34と、カートリッジチューブ35と、シーリング端部分36とを含む。シーリング端部分36は、ストッパ40と使用するとき密閉できるカートリッジ33の開放端とすることができる。シリンジ10及びカートリッジ33のコンポーネントは、下で説明するように、潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーにできることが分かるはずである。
ストッパ
ストッパ40は、ポリマー又は延伸ポリマー層によって少なくとも部分的にラミネート化、コーティング又そうでなければ被覆されたエラストマ本体を含む。いくつかの実施形態において、エラストマ本体は、その上に1つ又は複数のポリマー又は延伸ポリマー層を持つことができる。
例えば、図2は、エラストマ本体125とポリマー又は延伸ポリマー層140とを有するストッパ40を図解する。いくつかの実施形態において、ポリマー又は延伸ポリマー層は、少なくとも部分的にエラストマ本体125を被覆するポリマー又は延伸ポリマーの単一層を含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリマー又は延伸ポリマー層140は、エラストマ本体125を囲繞又は被覆する。図3は、エラストマ本体125と、ポリマー又は延伸ポリマー層140(例えば、延伸フルオロポリマー)と多孔質層150とで形成できるラミネート層130と、を含むストッパ40の他の実施形態を図解する。上述のように、ストッパ40は、これから延びるシールリブ42、44などの1つ又は複数のシールリブを持つことができる。いくつかの実施形態において、リブ42及び44は、下で詳細に説明する微小溝133を含む。
いくつかの実施形態において、ポリマーはフルオロポリマー(延伸フルオロポリマーとすることができる)である。ポリマー又は延伸ポリマー層140として又は多孔質層150として利用できるフルオロポリマーの例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(延伸PTFE)、圧縮延伸ポリテトラフルオロエチレン(延伸PTFE)、圧縮ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の延伸共重合体、エチレン-(パーフルオロエチレンプロピレン)共重合体(EFEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシ共重合体樹脂(PFA)、ポリフッ化ビニル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、及びパーフルオロアルコキシポリマーを含む。Brancaに対する米国特許第5708044号、Baillieに対する米国特許第6541589号、Sabol他に対する米国特許第7531611号、Fordに対する米国特許第8637144号、及びXu他に対する米国特許第9139669号など(但しこれらに限定されない)PTFEの延伸可能混合物、延伸可能変性PTFE及びPTFEの延伸可能共重合体に特許が与えられている。ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリカーボネートなどの非フルオロポリマーも、ポリマー又は延伸ポリマー層140として使用できる。
エラストマ本体125を形成するために使用できるエラストマの非限定的例としては、用途に適する任意のエラストマ、最も顕著なものとしては、ブチル、ブロモブチル、クロロブチル、ハロブチル、シリコーン、ニトリル、スチレンブタジエン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンジエン、フルオロエラストマ、熱可塑エラストマ(TPE)、熱可塑加硫物(TPV)及びこれらの組合せ及び混合物から形成されたゴムがある。
ポリマー又は延伸ポリマー層140を、厚みTで特徴付けることができる。いくつかの実施形態において、厚みTは、約1μm~約50μm、約5μm~約40μm、約5μm~約20μm又は約20μm~約30μmの距離である。ラミネート層130は、約30μmより小さい厚み(T)を持つことができる。いくつかの実施形態において、ラミネート層130の厚みは、約0.5μm~約20μm、約0.5μm~約10μm又は約10μm~約30μmの範囲とすることができる。ポリマー又は延伸ポリマー層140(例えば、図2)及び/又は多孔質層150(例えば、図3)を形成する層は、ポリマー又は延伸ポリマー層140及び/又は多孔質層150のエラストマ本体125への接着を改良するために化学エッチング、プラズマ処理、コロナ処理、荒削り又はこれに類似するもので事前又は事後処理できる。ラミネート層130及びポリマー又は延伸ポリマー層140の材料は、低摩擦係数、コンプライアンス、低抽出性及び滲出性、エラストマ本体125からの抽出性及び滲出性に関連する優れたバリア特性、並びに優れた空気及び液体不透過性を与えるように選択される。別の実施形態において、ポリマー又は延伸ポリマー層140は、プラスチック(例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリエチレン)、熱可塑材及びエチレン-(パーフルオロエチレンプロピレン)共重合体(EFEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びパーフルオロアルコキシポリマー樹脂(PFA)などのフルオロポリマー材料などの(但しこれらに限定されない)非エラストマ材料と使用できる。
図4は、いくつかの実施形態に従ったストッパ40のシールリブ44の一部分の概略図である。本明細書の説明は、主にストッパ40の使用に関するが、ストッパ65は、ストッパ40と交換可能に使用できる。図4及び5には例として微小溝133を持つシールリブ44を1つだけ示すが、1つ又は複数の付加的シールリブ(ストッパ40上のリブ42など)は、シールリブ44と同じ又は実質的に同じ微小溝133を持つことができる。図示するように、リブ44は、概ねストッパ40の外側面の主表面から高さH5(図5)だけ延び幅W1(即ち、図2に示すようにストッパの長手軸線39に対して平行の方向に)を有するものとして特徴づけることができる。いくつかの実施形態において、高さH5は、約1μm~約500μm、約3μm~約400μm、約200μm~約400μm又は250μm~約350μmの距離である。幅W1は、いくつかの実施形態において、約5μm~400μm、約10μm~約300μm又は約200μm~約300μmの距離である。ストッパ40の他の実施形態は、本明細書において説明する距離より大きい又は小さい高さH5及び幅W1を有するリブ44などのシールリブを含む。
図4及び5に示すように、リブ44は、その外面からリブ44の中へ延びる微小溝133(リブ42は図示せず)を含む。微小溝133は、リブ44内でストッパ40の円周に延びる。図4及び5において、微小溝133は、幅W2及び深さD2を有する。幅W2は、約5μm~約300μm、約5μm~約150μm、約5μm~約50μm又は約10μm~約30μmの距離とすることができる。深さD2は、約1μm~約50μm、約5μm~約30μm又は約5μm~約15μmの距離とすることができる。いくつかの実施形態において、深さD2は、ポリマー又は延伸ポリマー層140の厚みT又はラミネート層130の厚みT’に等しい。エラストマ本体125のエラストマ材料は、微小溝133によって露出できる。他の実施形態において、微小溝133の深さD2は、ポリマー又は延伸ポリマー層140の厚みT又はラミネート層130の厚みT’より小さい。いくつかの実施形態において、例えば、深さD2は、それぞれポリマー又は延伸ポリマー層140又はラミネート層130の厚みT、T’の約10%~95%、約30%~約95%、約50%~約95%又は約75%~95%である。微小溝133を持つシールリブ42、44を有する他のストッパ40の他の実施形態は、もっと大きい又は小さい高さH5、幅W2及び深さD2持つことができる。
微小溝133は、図4及び5において示す実施形態において連続的である。他の実施形態において、微小溝133は、不連続とすることができる。例えば、図6は、深さD2又は深さD2より小さい任意の値まで延びる複数の離散開口136を含む不連続微小溝133’を有するストッパ40を示す。例えば、開口136は、深さD2の5%~100%、10%~80%、15%~70%、25%~60%又は35%~50%の値を有する深さまで延びることができる。133及び133’などの微小溝は、レーザー、レーザーアブレーションなど(但し、これらの限定されない)既知の又はそうでなければその他従来の任意の適切な製造プロセスによって又はブレードなど機械的切削又は穿刺機器によって、形成できる。
図7は、ストッパ40の様々な特徴を示す。ストッパ40は、許容可能な低いブレイクルース及び滑動力を維持しながら高いレベルの空気及び液体不透過性レベルを持つCCIを得るように構成される。ストッパ40は、対向する近位端210及び遠位端215とリブ42、44などのリブとを有する本体205を含む。リブ42、44の少なくとも1つは、ポリマー又は延伸ポリマー層140でラミネート化される。キャビティ48は、プランジャロッド(図示せず)を受け入れるように構成され、本体205の近位端210から遠位端215へ向かって本体の中へ延びる深さを持つ。近位端210は、キャビティ48と外側面41(図1A)との間に延びる概ね環状面211を含む。例えば図24A~24Dに関連して下で説明するように、ストッパ40の実施形態は、挿入ロッド、トランスファーロッド及び/又はプランジャロッド組立体など(但し、これらに限定されない)他の処理又は作動コンポーネントと協働する環状面211上の力集中特徴体を含むことができる。
当業者には分かるように、リブ42、44は、様々な構成で構成でき、図7は、例としてのみ示し、本開示を限定することを意図しない。例えば、いくつかの実施形態において、リブ42、44の全ては、同じ予設定の外径(x)を持つことができる。他の実施形態において、各リブ42、44は、独自の予設定外径(x)を持つことができる。例えば、42などの遠位又は先行リブは、予設定の外径(1x)を持つことができ、リブ44は、予設定の外径(1x)の約75%~約99.9%、約80%~約95%、又は約85%~約90%の予設定外径(2x)を持つことができる。
図7に示すように、リブ42、44は、長さL11を有するシール特徴領域270(シール領域270とも呼ぶ)を画定する。シール特徴領域270は、シール場所長さL12だけストッパ40の近位端210から離間する。最近位シールリブ(図示する実施形態において44)と最遠位シールリブ(図示する実施形態において42)との間の距離は、合計リブ長さL11として特徴づけることができる。これらの実施形態において、2つのシールリブ42、44が在るので、合計リブ長さL11はシール領域長さL11と交換可能である。但し、付加的なシールリブを組み込むことができる他の様々な実施形態において、合計リブ長さは、シール領域270の長さL11と等しくない場合がある。
キャビティ48の実施形態については、図7を参照して説明できる。図示するように、キャビティ48は、近位端210の開口260とストッパ40の近位端210の環状面211とを有する凹部である。
キャビティ48は、組立てプロセスのためにトランスファバーシステムと使用できるトランスファバー挿入ピンの先端、挿入ピン600のピン先端610(図10Aに関連して下で説明する)及び/又はシリンジ10又はカートリッジチューブ35の組立てプロセス及び/又は使用時にプランジャロッド50の先端310(図8A及び8Bに関連して下で説明する)を受け入れるサイズ及び構成を持つ。キャビティは、長さL10、キャビティ48の遠位端部分における直径D10及びキャビティ48の近位端部分における直径D12を有する。例えば、いくつかの実施形態において、キャビティ48の長さL10は、約2.0mm~約7.3mm、約3.7mm~約6.0mm又は約4.2mm~約5.0mmとすることができる。直径D10は、例えば、約1.0mm~約3.0mm、約1.0mm~約1.5mm、約1.3mm~約2.1mm又は約1.6mm~約1.9mmとすることができる。キャビティ48の直径D12は、例えば、約2.3mm~約11.0mm又は約2.2mm~約2.4mmとすることができる。
プランジャロッド
図8A及び8Bは、いくつかの実施形態に従ったプランジャロッド50の非限定的実施例を示す。図示するように、プランジャロッド50は、近位端部分306と遠位端部分308とを含む本体302を含む。プランジャロッド50の先端310は、遠位端部分308において本体302に結合され、ストッパ40のキャビティ48(例えば図7に示す)に係合するように構成される。本体302及び先端310は、プランジャロッド50がバレル20によって受け入れられこれを通過して前進又は並進できるようにバレル20の内径より小さい直径を有する。近位端部分306は、プランジャロッド50を作動するためにシリンジ10の使用者が係合できる。
プランジャロッド50の遠位端部分308は、直径D13を有するショルダ312を形成する。先端310は、ショルダ312に結合される係合部分314を含む(図8B)。先端310は、長さL9を持つことができる。図8A及び8Bに示すようないくつかの実施形態は、例えば下で詳細に説明する図25A~25Dに示すような力集中体を含む。螺旋ネジ部318など(但しこれに限定されない)の係合特徴体は、係合部分314から延びて、組立て済みシリンジ10又はカートリッジチューブ35においてストッパの近位端に先端310を係合する。係合部分314は、図示する実施形態において第1直径から遠位端部分308へ向かって距離の増大に伴いより小さい直径D16へテーパー状である。他の実施形態において、係合部分314は、比較的一定の直径を有する。プランジャロッド50の上述の実施形態は、非限定的であり、その変形を本開示に援用できる。
シリンジ組立てプロセス及びストッパの使用
実施形態に従って潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのストッパを潤滑剤フリーのカートリッジチューブの中へ挿入するために様々な方法を使用できる。例えば、いくつかの実施形態において、図9に示すようなベント又は挿入チューブ1000を図10A及び10Bに示すような挿入ピンと組み合わせて使用できる。例えば、いくつかの実施形態において、挿入チューブ1000は、中に入っている液体に過剰に圧力を加えることなく潤滑剤フリーのシリンジバレル又は潤滑剤フリーのカートリッジチューブ内部に潤滑剤フリーのストッパ40を配置できるようにする。図示するように、挿入チューブ1000は、近位端1012と遠位端1014とを有する。挿入チューブ1000は、又、本体1010とマシンアダプタ1020とを含む。本体1010は、20などのシリンジバレル内に嵌まる挿入チューブ1000の部分であり、40などのストッパをシリンジバレル又はカートリッジチューブ(図示せず)の中へ配置できるようにする。移行ゾーン1040は、ストッパ40が挿入チューブ1000の遠位開口1050を通り抜けるのに充分な直径D4まで圧縮される領域である。このように、ストッパ40は、移行ゾーン1040を並進するとき非圧縮状態から圧縮状態へ圧縮される。
このように、ストッパ40(図9には図示せず)の直径は、D5(即ち、配置領域1042の直径又はほぼ非圧縮状態のときのストッパの直径)からD4(即ち、移行ゾーン1040の遠位端の直径)まで減少する。移行ゾーン1040は、配置領域1042から本体1010までテーパー角度Bでテーパー状である。例えば、いくつかの実施形態において、配置領域1042の直径D5は、約3mm~約20mm、約5mm~約15mm又は約7mm~10mmである。いくつかの実施形態において、テーパー角度Bは、約1度~約20度、約5度~約20度、約1度~約15度、約1度~約10度、約4度~約8度又は約5度~約10度の範囲とすることができる。
図10A及び図10Bは、ストッパ40などのストッパをバレル20又はカートリッジチューブ35の中へ挿入するために挿入チューブ1000などの挿入チューブと組み合わせで使用できるいくつかの実施形態に従った挿入ピン600の実施例を示している。挿入ピン600は、遠位端606と近位端608とを備える円筒形本体602を含む。挿入ピン600のピン先端610は、円筒形本体602のショルダ612に接続されこれから延び、シリンダ10の組立て時にストッパ40のキャビティ48と境界を接する。近位端608は、図9に示す挿入チューブ1000などの挿入チューブを通過して挿入ピン600を押して並進させるために使用されるマシンアダプタ(図示せず)と噛み合うようなサイズを持つことができる。
円筒形本体602は、挿入チューブの本体の内径(例えば、図9に示す挿入チューブ1000の直径D4)より僅かに小さい直径を有する。ショルダ612は、丸みがあり(radiused)、シリンジバレル20の中へストッパ40を挿入する際にストッパ例えばストッパ40の近位端の表面を押すように設計される。他の実施形態において、ショルダ612は、平坦な面、直線形テーパー、曲線、ラウンド形又は複数テーパー状など(但し、これに限定されない)丸みがある以外の形状を含む又はそのような形状に形成するか、又は本明細書でさらに説明するように力集中体を組み込むことができる。下で説明するように、挿入ピン600の実施形態は、シリンジ及びカートリッジチューブの組立て時にストッパの近位端と協働するショルダ612上の力集中体を含むことができる。これらの実施形態において、ショルダ612の力集中体は、平坦な面、丸みのある面、線形テーパー、曲線、ラウンド形又は複数テーパーを含めた(但し、これらに限定されない)形状を含む又はそのように形成できる。
ピン先端610は、長さL1を有する。いくつかの実施形態において、長さL1は、ゼロ、ゼロより大きいがストッパ40のキャビティ48の深さL10より小さい、ほぼキャビティ48の深さL10又はキャビティの深さL10より大きくできる(図7)。例えば、いくつかの実施形態において、ピン先端610は、概ね約1mm~12mm、1mm~10mm、2mm~9mm、3mm~約8mm、約4mm~約7mm、約4.5mm~5.5mm又は約5mm~約6mmの長さL1を有する。
ストッパの組立てプロセス及び使用時のストッパ変形
ストッパ40の圧縮の効果、特にエラストマ本体125及び/又はポリマー又は延伸ポリマー層140(又はラミネート層130(図示せず))に対する物理的効果については、図11A~11D、12A~12D及び13A~13Dに関連して説明できる。図11A~11D、12A~12D及び13A~13Dに関する下記の説明及び本明細書全体の説明は、「チューブ」及びこれに関連する「並進要素」などの用語を使用する。本明細書において述べるように、これらの用語は、シリンジ10及びシリンジ10の組立てに使用される製造設備(図示せず)の多様なコンポーネントを説明するために使用される。例えば、プランジャロッド50は、シリンジ10の組立てプロセス及び/又は使用時にシリンジバレル20又はカートリッジチューブ35の形状の「チューブ」を通過してストッパ40を並進させるために使用できる「並進要素」である。別の例として、真空漏斗又は真空支援漏斗が、シリンジ10の組立てプロセス及び/又は使用時に「チューブ」を通過してストッパ40を並進させるために使用される「並進要素」となることができるピンと一緒に使用されることができる。別の例として、挿入ピン600が、シリンジ10の組立てプロセスにおいて挿入チューブ1000の形状の「チューブ」を通過してストッパ40を並進させるために使用できる「並進要素」である。更に別の例として、トランスファバー挿入ピンを、シリンジ10の組立て時にストッパ受入れ開口の形状の「チューブ」を通過してストッパ40を並進させるために使用できる「並進要素」である。当業者は、シリンジ10の組立て及び使用に関連して、他のチューブ及び並進要素を例えば真空挿入係合チューブなどと一緒に使用できることが分かるはずであり、本明細書における説明は、これらの他のチューブ及び並進要素にも適用される。
図11Aは、ストッパ40が圧縮される前のエラストマ本体125とポリマー又は延伸ポリマー層140とを含むストッパ40の一部分を示す。ストッパ40は、ベントチューブ、バレル、真空漏斗、トランスファバー又は圧縮ための他の適切な任意のメカニズムを含めて(但しこれらに限定されない)様々な方法で圧縮できる。図11Bは、組立てプロセス中及びその後、例えば挿入チューブ1000の中への挿入後のストッパ40の一部の半径方向の圧縮(矢印750によって表す)を示す概略図である。図11A~11D、12A~12D及び13A~13Dに関連して挿入チューブ1000に関して説明するが、本明細書において説明するようにシリンジ10の他の製造ステップ及び使用時にも同様の効果が生じる。矢印752によって示すように、ストッパ40の圧縮は、ストッパ40の長手軸線39に対して概ね平行でかつ挿入チューブ1000によって加えられる圧縮力に対して直交する方向にストッパ40の一部の伸長を生じる。半径方向の圧縮は、図11Cにおいて略図的に示す法線力FNを生じる。
図11Dは、ストッパ40が駆動され挿入チューブ1000などのチューブを通過して並進するときのストッパ40に対する特定の効果を示す。ストッパ40がチューブ(例えば、挿入チューブ1000)の中で滑動できるようにするために、挿入チューブ1000の内面(例えば、シールリブ42、44)に係合するストッパ40の部分間の摩擦力FFを上回るための加力FAが必要とされる。加力(FA)は、下記の方程式で表すことができる:
FA=μFN
ここで、μは、ポリマー又は延伸ポリマー層140と挿入チューブ1000の内面との間の摩擦係数である。
図12Aは、図11Cと同様の概略図であり、キャビティ48を含むストッパ40の半径方向に圧縮された部分に生じる法線力FNを示し、これによって図11Cに示す構造の形状に比べて非均一形状を生じる。図12Bは、いくつかの実施形態に従って挿入チューブ1000などのチューブの中でキャビティ48を持つストッパ40が滑動できるようにするために、挿入チューブ1000の内面に係合するストッパ40の部分間の摩擦力FFを上回るために使用される加力FAを概略的に示す。例示として、図12Bは、キャビティ48の遠位端部分261及び側壁264の面及びストッパ40の近位端210の環状面211に対する均等加力FAを示す。力FAは、例えば、ストッパ40が駆動され挿入チューブ1000を通過して並進するとき挿入ピンのピン先端によって加えることができる。
図12Cは、加力FAがキャビティ48の遠位端部分261のみに加えられる場合(例えば、図示する実施例において、側壁264又はストッパ40の近位端210の面には力が加えられない)実施形態を略図的に示す。図示するように、加力FAは、エラストマ本体125を伸長させる。
図12Dは、ストッパ40の近位端210の面に加えられた加力FAを略図的に示す(例えば、図示する例において、遠位端部分261及び/又は側壁264などのキャビティ48の面には力が加えられない)。下でさらに詳細に説明するように、ポリマー又は延伸ポリマー層140及び/又は微小溝133の伸び、伸長又はその他の歪みは、このような加力FAによって制御できる。図12Dに示す加力FAによる摩擦力FFは、図12Bに示す均等加力FAによる摩擦力FFより小さい場合がある。図12Dにおいて破線754によって示すように、図示する例において加力FAによって、エラストマ本体125は、この力配列を受けてキャビティ48へ向かって又はその中へ拡張する傾向を持ち、法線力FN(図12A)を減少する。
図13A~13Bは、その中に微小溝133を持つストッパ40のリブの一部分を示し、ストッパ40は非圧縮状態である。非圧縮状態のとき、ストッパ40は、前述のように、圧縮のために使用される「チューブ」のどれにも挿入されていない。微小溝133は、リブ42が管状構造体(例えば挿入チューブ1000)に係合してこれによって圧縮される場所でポリマー又は延伸ポリマー層140において薄くなった又は不連続の溝及び/又は領域を形成する。図13Aは、リブ42(又はリブ42を含むストッパ)が圧縮される前のポリマー又は延伸ポリマー層140に微小溝133を含むリブ42の概略図である。図13Aに示す微小溝133(図示するように、傾斜側壁を有しその中心あたりに最大深さを有する)の最大深さは、ポリマー又は延伸ポリマー層140の厚みより小さく、エラストマ本体125のどの部分もポリマー又は延伸ポリマー層140の外面に露出しない(微小溝133の最大深さ部分に在るエラストマ本体125のエラストマ材料が考え得る例外である)。図13Bは、図示するように傾斜側壁を有し、ポリマー又は延伸ポリマー層140の厚みと少なくとも同じ程度に大きい最大深さを有する微小溝133を含むリブ42の概略図である。図13Bにおいて図示するストッパ40は、非圧縮状態である。ストッパ40のエラストマ本体125のエラストマ材料の長さL16は、図13Bに示す例において微小溝133内で露出する。
図示するストッパ40は、例えばベントチューブ、バレル、カートリッジ、トランスファバー又はその他の適切な任意の圧縮メカニズムへの挿入によって半径方向の圧縮を受け(矢印750によって表す)、ストッパ40の長手軸39に対して概ね平行でかつチューブ(例えば、挿入チューブ、バレル又はカートリッジチューブ)によって加えられる圧縮力に対して直交する方向のストッパ40の伸長を生じることができる。図13C及び13Dに略図的に示すように、ストッパ40したがってリブ42の伸長は、結果としてポリマー又は延伸ポリマー層140を伸長し薄くする。このような実施形態において、リブ42が微小溝133を備える場合、微小溝133の開口は、幅(例えば、図4に示す幅W2)を増大し、深さを減少できる。例えば、図13Cは、微小溝133の最大深さをポリマー延伸ポリマー層140の厚みとほぼ等しくする量だけ図13Aに示す厚みに対比してポリマー又は延伸ポリマー層140の薄くなることを示す。図13Dは、13Bに示す厚みに対比してポリマー又は延伸ポリマー層140が薄くなることを示す。図13Dに示す伸長及び厚み減少によって、ポリマー又は延伸ポリマー層140の厚みと少なくとも同じ深さを有する微小溝133の部分(及びエラストマ本体125のエラストマ材料が露出するところ)の長さL16は、L16より大きい長さL18まで増大できる。
図13C及び13Dは、例として圧縮状態のときのエラストマ本体125材料を含まない又は実質的に含まない微小溝133を有するストッパ40のリブ42を示す(例えば、エラストマ材料は、微小溝133によって画定されたエリアにおいて拡張、ブルーミングされていない又はその他の存在とならない)。
シリンジ10におけるストッパ40などのストッパの組立て及び/又は使用時に、摩擦力及び/又はポリマー又は延伸ポリマー層140及び/又はエラストマ本体125材料に作用するその他の力は、ポリマー又は延伸ポリマー層140及び/又はエラストマ本体125材料の付加的変形(例えば図13C及び13Dに示しこれに関連して説明する変形に加えて)を生じる可能性があることが観察されている。これらの摩擦力及び/又はその他の力は、又、ポリマー又は延伸ポリマー層140に引っ張り又はその他の障害を生じる可能性がある。観察された変形は、例えば、42及び44などのリブにおけるものを含めてストッパ40の外側面41のバックリング及びリンクルを含む。これらの力は、例えば、非圧縮状態からその圧縮状態へのストッパ40の圧縮によって、及び/又はチューブの中でのストッパの並進又は滑動(即ち、チューブの長手軸に対して平行の方向の)によって発生する可能性がある。ポリマー又は延伸ポリマー層140及び/又はエラストマ本体125のこのような変形及び/又は障害は、製造プロセスにおいてリブ42、44及び/又は微小溝133の変形例えば幅の増大を生じる場合がある。同様に、ポリマー又は延伸ポリマー層140及び/又はエラストマ本体125のこのような変形及び/又は障害は、シリンジ又はオートインジェクタの使用時に生じる場合がある。
このような変形及び/又は障害のいずれか又はその全てによって、エラストマ本体125が微小溝133をブルーミングする、この中へ拡張する又はそうでなければその他の存在となる場合がある。このような変形及び/又は障害によって、エラストマ本体125は、拡張して、チューブの内面25に接触する場合がある。同様にポリマー又は延伸ポリマー層140の一部は、エラストマ本体125からはがれる又はこれから切り裂かれて、このような裂け又はその他の破損は、ポリマー又は延伸ポリマー層140に望ましくない開口を生じる場合がある。エラストマ本体125材料は、このような望ましくない開口を通って延びて、チューブの内面にエラストマ材料を現す場合がある。この種の変形及び/又は障害は、チューブにおけるストッパ40の並進において特に問題となる可能性がある。このような影響は、チューブの内面25に接触するエラストマ本体125の部分が潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーの場合に、摩擦力の増大などの要因によって、強くなる場合がある。
シリンジ10の組立てプロセス及び/又は使用におけるチューブの内面とのストッパ40のエラストマ本体125の一部の係合は、関連するシリンジ10の機能性に悪影響を及ぼす可能性がある。例えば、ストッパ40の外面とシリンジ10のバレル20の内面25との間にギャップがあると、容器密閉完全性(CCI)に悪影響を及ぼす場合がある。シリンジ10の中の治療用化合物は、治療用化合物に悪影響を及ぼす可能性のある空気又はその他の気体又は粒子などの好ましくない物質に曝される場合がある。ストッパ40とシリンジバレル20の内面25との間の摩擦力の増大は、例えば、シリンジ10(又はカートリッジチューブ35)のブレイクルース及び滑動力を増すことによってシリンジ10の作動に悪影響を与える場合がある。これらの作動に対する影響は、非注入又はエラストマの微粒子化につながって、汚染を引き起こす場合があり、したがって組立マシンの停止の原因となる場合がある。
〔シリンジ強化の例〕
本明細書において開示する構造及び方法は、潤滑剤フリー又は実質的に潤滑剤フリーのシリンジの機能性を強化できる。例えば、シリンジのCCIを増すことができる。気体、滲出物、反応体又は例えばシリンジバレル内容物と好ましくない反応を生じるようなストッパの基礎体などのその他の材料などの好ましくない物質へのシリンジバレルの中の治療用化合物の露出を減少するか又は最小限に抑えることができる。使用時のシリンジのブレイクルース及び滑動力を減少するか又は最小限に抑えることができる。
図14は、シリンジ10の組立て及び使用時にストッパ40に加えられる可能性のある特定の並進力を示す。図示するように、並進力は、例えば環状面211に対するなどストッパ40の近位端210に加えられるF1などの成分、及び例えば遠位端面263などのキャビティ48の遠位端部分261に加えられるF2などの成分を含むことができる。本明細書において開示する構造及び方法は、ストッパ40の変形を減少しながら、圧縮状態でシリンジの組立及び/又は使用時にストッパ40に対してチューブ(例えば、トランスファバー、挿入チューブバレル20及び/又はカートリッジチューブ35)を通過してストッパを並進させるのに充分な成分F1及び/又はF2などの並進力を使用すること及び/又はこれを加えることを想定する。具体的には、ストッパ40は、ストッパ40の2つの任意のシールリブの間の長さの増大を減少しながら並進できる。例えば、本明細書における構造及び方法によってシリンジ組立ての際にストッパ40に対して成分F1及びF2などの並進力を加えることによって、従来の並進方法を使用する際に生じるシール領域長さL11とシール場所長さL12の合計の増大に比べて、シール領域長さL11とシール場所長さL12の合計の増大を減少できる。例えば、シール領域長さL11とシール場所長さL12の合計は、従来の方法を使用する際に示すシール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計の少なくとも1%の増大の減少を示すことができる。様々な実施形態において、増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる合計の増大の少なくとも3%とすることができ、更なる実施形態において、増大の減少は、従来の並進方法の使用において生じる合計の少なくとも5%とすることができる。シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計の増大の減少として全体で説明するが、長さの増大の減少は、ストッパの様々なリブの間又はストッパ40の近位端210と遠位端215との間の任意の長さに関するものとすることができる。
更に、本明細書において説明する構造及び方法を使用することによって、圧縮時に微小溝133のサイズの増大を減少できる又は微小溝133を完全に閉鎖できる。具体的には、本明細書の構造及び方法を使用することによって、ストッパ40がシリンジに組み立てられるとき、微小溝133の幅W2(図4)の増大を減少できる。例えば、微小溝133の幅W2の増大の減少は、従来の並進方法の使用による幅の増大の少なくとも10%となり得る。様々な実施形態において、増大の減少は、従来の並進方法の使用による幅の増大の少なくとも15%となり得る。これらの結果の各々は、ストッパ40上の並進力が下で更に説明するように力集中体の使用によってストッパ40の外径へ向かってより偏ることから生じる。その代わりに又はこれに加えて、いくつかの実施形態において、シール領域270の長さL11は、これらの方法及び構造が使用されない場合と比較して増大を減少する。これらの構造例えば上述の集中体及び上述の方法によって、シール領域270内の構造は潰れて、シリンジ10の組立て及び/又は使用時にエラストマ材料の一部をチューブの内面に露出する、より露出する、ブルーミングする又はその他これに接触させるようなストッパ40及び/又はそのポリマー又は延伸ポリマー層140の変形を部分的に又は完全に防止する。シール領域270内の構造の潰れは、又、微小溝133のサイズ例えば幅W2(図4)の増大を部分的又は完全に防止できる。例えば、本明細書において説明する手法によって、微小溝133は、閉鎖してエラストマ本体125材料が微小溝の中に存在するのを防止できる。リブ44がシール場所長さL12を設定するためのシールリブとして使用されるが、他の様々な実施形態において、シールリブは、ストッパ40の他のリブとすることができる。例えば、ストッパ40は、シール場所長さL12を設定するためのシールリブとして代わりに使用できるストッパ40に沿って位置付けられた付加的リブを備えることができる。同様に、その他の様々なリブを、長さL11、シール領域270及びシール場所長さL12を設定するためにリブ42の代わりに使用できる。
図15は、例えば図16に示すように、ストッパ40の組立てのためにチューブと一緒に使用できる挿入ピン600Aの側面切取り図である。挿入ピン600Aは、直径D6によって画定されるショルダ613を備える。図15及び16を見ると、ショルダ613は、ストッパ40の並進時にストッパ40の環状面211と係合する。それによって、並進力F1が、ストッパ40の近位端210に及びストッパ40の環状面211に対して加えられる。このように、力はストッパ40のキャビティ48の外径に集中する。図14においてF2として識別されるような力成分は、図14及び15に示す挿入ピン600Aによってストッパ40に加えられない。但し、環状面211との係合によって並進力F1がキャビティ48の外径に偏るので、ストッパ40の変形を減少できる。具体的には、ストッパ40の微小溝133の幅は、並進後に増大を減少でき、かつ/又はシール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計及び/又はシール領域270の長さL11も並進時に増大を減少できる。
図17及び18を見ると、挿入ピン600Bは、ストッパ40の並進のために使用できる。挿入ピン600Bは、挿入ピン600Aのショルダ613と同様、直径D6によってか画定されるショルダ612を備え、また、ショルダ612から延びるピン先端610を備える。ストッパ40と使用するとき、ピン先端610は、それによって、挿入ピン600Bのショルダ612の面がストッパ40の環状面211に係合するとき、遠位端部分261又は遠位端面263係合することなくキャビティ48内に配置される。並進力F1は、それによって、ストッパ40の近位端210に加えられる。図14においてF2として識別されるものなどの力の成分は、どれも、図17及び18に示す挿入ピン600Bによってストッパ40に加えられる。ストッパ40のキャビティ48の中へ挿入ピン600Bを挿入するとき、及び/又はシリンジ10の組立て時に挿入ピンを並進させるとき、ピン先端610は、ストッパと挿入ピンの整列を強化する。1000などの挿入チューブを通過してストッパ40を並進させるために使用される挿入ピン600Bと関連して説明したが、実施形態は、挿入ピン600Bと同様の遠位端部分及び平坦面を有するトランスファバー挿入ピン、及びシリンジ10の組立て時のこの種のトランスファバー挿入ピンの使用を含む。
図17及び18に関連して説明する構造及び方法を使用することによって、ストッパ40は、微小溝133の幅W2(図4)の増大を減少しながらシリンジ10の組立て時にチューブを通過してストッパ40を並進できる。例えば、微小溝133の幅W2の増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる幅の増大の少なくとも10%とすることができる。その他の様々な実施形態において、増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる幅の減少の少なくとも15%とすることができる。更に、本明細書において説明する構造及び方法の使用によって、ストッパ40は、従来の並進方法の使用時に生じるシール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計又はシール領域270の長さの増大に比べたとき合計の増大を少なくとも1%減少しながら、又は長さL11の増大を少なくとも1%減少しながら、組立時にチューブを通過して並進できる。シール領域270は潰れて、シール領域270の長さL11及びシール場所長さL12をこのような製造法によって減少できる。
図19は、いくつかの実施形態に従った後退可能先端付き挿入ピン600Cの図である。図示するように、挿入ピン600Cは、後退部材615の遠位端にピン先端610を有する。ピン先端610は、ストッパ40のキャビティ48の直径(例えば、図7に示すD12)より小さい直径W3を有する。例えば、直径W3は、キャビティ48の直径の50%未満又はこれに等しい値を持つことができる。別の実施形態において、直径W3は、キャビティ48の直径の5%~50%の値を持つことができる。更に別の実施形態において、直径W3は、ストッパ40のキャビティ48の直径の15%~40%の値を持つことができる。後退部材615及びピン先端610は、本体602内で後退及び往復運動するように取り付けられる。挿入ピン600Cと関連付けられるアクチュエータ617は、後退位置(実線で示す)と伸長位置(破線で示す)との間で後退部材615及びピン先端610を駆動する。後退位置において、ピン先端610は、本体602のショルダ612から長さL1だけ延びる。伸長位置のときピン先端610は、本体602のショルダ612から長さL2だけ延びる。いくつかの実施形態において、後退位置のときのピン先端610の長さL1は、ストッパ40のキャビティ48の深さL10より小さい長さである。いくつかの実施形態において、伸長位置のときのピン先端610の長さL2は、ストッパ40のキャビティ48の深さL10より大きい又はこれに等しい長さである。
アクチュエータ617は、本体602に対して後退位置と伸長位置との間で後退部材615及び/又はピン先端610を駆動するために適切な任意の機器とすることができる。例として、ソレノイドなどの電気機器又は液圧又は空圧機器がある。図示する実施形態において、本体602上に在るものとして概略的に示すが、挿入ピン600Cと関連付けられるアクチュエータ617及び/又はアクチュエータのコンポーネント(図示せず)は、本体602から分離できる。従来の又はその他の既知の制御システムを、アクチュエータ617を制御するために使用できる。
図20Aは、ピン先端610が後退位置にあるときのシリンジ10の組立て時のストッパ40の近位端210と挿入ピン600Cの係合を示す。図示するように、ピン先端610は、遠位端部分261に係合することなくキャビティ48内に在り、ショルダ612の面はストッパ40の環状面211に係合する。これによって並進力F1がストッパ40の近位端210に加えられる。どのような力成分(図20BにおいてF2として識別されるものなど)も、ピン先端610が後退位置にあるとき挿入ピン600Cによってストッパ40に加えられない。ピン先端610が後退位置にあるときシリンジ10組立て時にストッパ40のキャビティ48の中へピン先端610を挿入するとき及び/又は挿入ピン600Cを並進させるとき、ピン先端610は、ストッパ40と挿入ピン600Cの整列を強化できる。
図20Bは、ピン先端610が伸長位置にあるときシリンジ10の組立て時のストッパ40と挿入ピン600Cの係合を示す。ピン先端610は、これによって、キャビティ48内に配置され、挿入ピン600Cのショルダ612の面がストッパ40の環状面211に係合するときキャビティの遠位端部分261(例えば、遠位端面263)に係合する。これによって、挿入ピン600Cがストッパ40を並進させるとき、並進力F2が、ピン先端610によってストッパ40の遠位端部分261に加えられる。伸長位置のときピン先端610によってキャビティ48の遠位端部分261に加えられる力F2の量は、少なくとも部分的に、伸長位置のときのピン先端610の長さL2とキャビティの深さL10との間の差によって決めることができる。ストッパの並進時にピン先端610によってストッパ40に加えられる力F2の量は、これによって、アクチュエータ617によるピン先端610の作動によって制御できる。
例えばいくつかの実施形態において、ストッパ40の並進時にピン先端610によって与えられる力F2は、ゼロからF1より大きい又はこれに等しい範囲である。いくつかの実施形態において、挿入力成分F2は、F1より小さい力である。挿入力成分F2が加えられるタイミングも制御できる。例えば、いくつかの実施形態において、力成分F2は、最初に(例えば、ストッパが「ブレイクルース」して挿入チューブ1000内で滑動し始める前)加えられ、力成分F2は引き下げられる(例えば、ピン先端610を後退させることによってゼロまで下げられ)又は非ゼロレベルまで下げられることができる。更に別の実施形態は、力成分F1及びF2を監視できる圧力センサ(図示せず)を含むことができ、アクチュエータ617は、予設定されたトリガ力に達したときピン先端610を後退させ力成分F2を引き下げるように作動できる。力成分F1とF2の相対的比は、これによって制御できる。ストッパ40の並進時の力F1に対比した力成分F2の相対的加力タイミングも、制御できる。力F1とF2との間の動的関係は、挿入チューブ1000内でのストッパ40の並進の様々な段階において与えることができる。例えば、ストッパ40が挿入チューブ1000(図9)配置領域1042の中へ最初に挿入されるときストッパ40に加えられる力F1及び/又はF2は、ストッパ40が移行ゾーン1040を通過して並進するときにストッパ40に加えられる力F1及び/又はF2とは異なる場合がある。いくつかの実施形態において、ストッパ40が挿入チューブ1000の本体1010を通過して並進するとき他の力F1及び/又はF2がストッパ40に加えられる。
1000などの挿入チューブを通過してストッパ40を並進させるために使用される挿入ピン600Cに関連して説明するが、実施形態は、挿入ピン600Cの後退可能ピンなどの後退可能ピンを有するトランスファバー挿入ピン、及びシリンジ10の組立て時のこのようなトランスファバー挿入ピンの使用を含む。図19、20A及び20Bに関連して説明する構造及び方法の使用によって、ストッパ40は、ストッパ40の微小溝133の幅W2(図4)などのサイズの増大を減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過して並進できる。いくつかの実施形態において、各微小溝133のサイズ例えば幅W2の増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる幅の増大の少なくとも10%とすることができる。いくつかの実施形態において、増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる幅の増大の少なくとも15%とすることができる。更に、ストッパ40は、シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計の増大又はシール領域270の長さL11の増大を従来の並進方法の使用時に生じる合計又は長さL11の増大の少なくとも1%減少しながら並進できる。いくつかの実施形態において、増大の減少は、少なくとも3%であり、更に別の実施形態において、増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる合計又は長さL11の増大の少なくとも5%である。シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計又はシール領域270の長さL11は、力集中体を使用しない場合と比べてこの手法によって減少できる。シール領域270は潰れて、シール領域270の長さは、本明細書において説明するようにシリンジ10(及びオートインジェクタのカートリッジチューブ35)の組立て及び使用によって減少できる。
図21は、いくつかの実施形態に従った挿入ピン600Dの図である。図示するように、挿入ピン600Dは、後退部材615の端部にピン先端610を有する。ピン先端610は、ストッパ40のキャビティ48の直径(例えば図7のD12)より小さい直径W3を有する。後退部材615及びピン先端610は、本体602のキャビティ例えばキャビティ48内で後退及び往復運動するように取り付けられる。バネ619などの付勢機器が、後退部材615及びピン先端610を図22A~22Bに示す伸長位置まで付勢する。
図22Aは、ピン先端610が伸長位置のときの、シリンジ10の組立て時のストッパ40の近位端210と挿入ピン600Dの係合を示す。図22Bは、ピン先端610が後退位置のときの、シリンジ10の組立て時のストッパ40と挿入ピン600Dの係合を示す。後退部材615及びピン先端610は、バネ619によって与えられる付勢力に対抗して本体602内で後退位置まで押される又は押圧できる。伸長位置のとき、ピン先端610は、ストッパ40のキャビティ48の深さL10より大きい長さL3だけ本体602のショルダ612から延びる。図22Bに示すように、後退位置のとき、ピン先端610は、ストッパ40のキャビティ48の深さL10より小さい又はこれに等しい長さだけ本体602のショルダ612から延びる。いくつかの実施形態において、ピン先端610は、製造プロセスにおいてコンプライアンス変動に対処するために、本体602から延びるピン先端610の長さがキャビティ48の深さL10より小さい距離まで本体602の中へ後退可能であるように構成される。
図22Aに示すように、挿入ピン600Dがストッパ40の近位端210と係合するように移動または並進するとき、ピン先端610は、キャビティ48の中へ入って、本体602のショルダ612がストッパ40の近位端210の環状面211に係合する前にキャビティ48の遠位端部分261(例えば、遠位端面263)に係合する。この作用によって、ピン先端610は、ストッパ40と挿入ピン600Dの整列を改良できる。図22Bに示すように、挿入ピン600Dをストッパ40へ向かって更に前進又は並進することによって、挿入ピン600Dのショルダ612がストッパ40の近位端210の環状面211に係合するので、ピン先端610は押されて、バネ619の付勢力に対抗して後退位置へ向けて本体602の中へ後退する。ピン先端610は、それによって、キャビティ48の遠位端部分261に力F2を加える。力F2の量は、バネ619によって決まる。挿入ピン600Dをさらに前進させることによって、挿入ピン600Dは、ストッパ40の近位端210に力F1を加える。F1及びF2を含めてストッパ40に作用する力の合計がストッパ40に作用する摩擦力を上回るのに充分な場合、ストッパ40は、挿入チューブ1000を通過して並進する。いくつかの実施形態において、力F2は、力F1より小さい。いくつかの実施形態において、挿入ピン600Dは、例えば力F1を加えながらストッパ40の並進期間全体を通じてストッパ40に定力F2を与えることによって、上述の挿入ピン600Cとは異なる作動が可能である。
1000などの挿入チューブを通過してストッパ40を並進させるために使用される挿入ピン600Dに関連して説明したが、実施形態は、挿入ピン600Dの付勢ピンなどの付勢ピンを有するトランスファバー挿入ピン、及びシリンジ10の組立てにおけるこの種のトランスファバーの使用を含む。図21、22A及び22Bに関連して説明する構造及び方法を使用することによって、ストッパ40は、ストッパ40の微小溝133のサイズ例えば幅W2(図4)の増大を減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過して並進できる。いくつかの実施形態において、各微小溝133のサイズ例えば幅W2の増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる幅の増大の少なくとも10%とすることができる。いくつかの実施形態において、増大の減少は、少なくとも15%とすることができる。更に、図21、22A及び22Bに関連して説明する構造及び方法の使用によって、ストッパ40は、シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計の増大又はシール領域270の長さL11の増大を従来の並進方法の使用時に生じる合計又は長さL11の増大の少なくとも1%減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過して並進できる。別の実施形態において、ストッパ40は、シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計又はシール領域270の長さL11の増大を少なくとも3%減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過して並進できる。別の実施形態において、増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる合計又は長さL11の増大の少なくとも5%とすることができる。シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計及び/又はシール領域270の長さL11は、これらの手法によって減少できる。シール領域270は潰れて、シール領域270の長さは、これらの製造法が使用されない場合に比べて、これらの製造法によって減少する。
図23A~23Dは、それぞれいくつかの実施形態に従った挿入ピン600E~600Hを示す。図示するように、挿入ピン600E~600Hは、それぞれピン先端610の周りのショルダ612から延びる力集中体621E~621Hの例を含む。力集中体621E~621Hは、シリンジ10の組立て時にストッパ40の近位端210の環状面211に係合するように配置される。挿入ピン600E~600Hがシリンジ10の組立て時にストッパ40へ向かって移動するとき、力集中体621E~621Hの面623は、それぞれ、ショルダ612の他の面部分がストッパ40の近位端に係合する前にストッパ40の環状面211の部分に係合する。力集中体621E~621Hは、ピン先端610の周囲の挿入ピン600E~600Hのエリアの幅より小さくかつ環状面211(例えばキャビティ48の周囲の遠位端部分261の部分)の幅より小さい幅を有する。力集中体621E~621Hは、これによって、力集中体が係合する環状面211上の場所に力F1の加力を集中する。力集中体は、加えられる力をストッパ40の外径に偏らせるように構成され、それによって圧縮時に微小溝133が開く量を減少する又はこれを無くす。
いくつかの実施形態において、力集中体621E~621Hのみがストッパ40の並進時にストッパ40の近位端210に係合し、このような実施形態において、力F1は、力集中体621E~621Hが係合する場所においてのみストッパの環状面211に加えられる。他の実施形態において、挿入ピン600E~600Hは、力集中体621E~621Hに加えてショルダ612の一部がストッパの40の並進時にストッパ40の近位端210に係合するように構成でき、このような実施形態において、力集中体621E~621Hによって加えられる集中力F1に加えて、力が、挿入ピン600E~600Hによってストッパに加えられて、ストッパ40を並進させる。
力集中体621E~621Hは、挿入ピン600E~600Hの遠位端から見たとき概ね環状又はリング形である。いくつかの実施形態において、力集中体621E~621Hは、ピン先端610の周りを連続的に延びる。他の実施形態において、力集中体621E~621Hは、不連続であり、キャビティ48の周りの複数の離散場所においてストッパ40の環状面211に係合するピン先端610の周りに延びる複数の離間する区分(図23A~23Dには図示せず)を含む。力集中体621E~621Hの高さ(例えば、集中体が延びる起点となるショルダ612の部分の面に対して)及び力集中体621E~621Hの場所(例えば、力集中体が係合するストッパの環状面211上の場所)及び/又は力集中体621E~621Hのプロフィル又は形状は、ストッパ40の所望の場所に所望の量の集中力F1を与えるように構成できる。
図23Aは、いくつかの実施形態に従った概ね平坦な面623を有する力集中体621Eを示す。図23Aに示す実施形態において、力集中体621Eは、概ね長方形の断面を有する。力集中体621Eの面623の幅は、所望の集中力F1を与えるように構成できる。図示する実施形態において、集中力F1は、ストッパ40の外周縁から内寄りの環状面211の場所に与えられる。別の実施形態において、図23Aに示す力集中体621Eは、ストッパ40の環状面211の周囲に集中力を加えるように配置できる。
図23Bは、いくつかの実施形態に従った概ねナイフエッジ形又は鋭角面623を有する力集中体621Fを示す。図23Bに示す実施形態において、力集中体621Fは、概ね三角形の断面を有する。力集中体621Fの面623の傾斜は、所望の集中力F1を与えるように構成できる。力集中体621Fの頂点は、キャビティ48の外縁と環状面211の外縁との間の場所でストッパ40の環状面211に係合するように挿入ピン600Fに配置される。
図23Cは、いくつかの実施形態に従った概ねナイフエッジ形又は鋭角面623を有する力集中体621Gを示す。力集中体621Gは、上述の力集中体621Fと同様であるが、力集中体621Gの頂点は、環状面211の外縁部分でストッパ40の環状面211に係合するように挿入ピン600G上に配置される。
図23Dは、概ね丸みのある又は凸状の面623を有する力集中体621Hを示す。
1000などの挿入チューブを通過してストッパ40を並進させるために使用される挿入ピン600E~600Hに関連して説明するが、実施形態は、実質的に力集中体621E~621Hと同じ又は同様の力集中体を有するトランスファバー挿入ピン、及びシリンジ10の組立て時のこの種のトランスファバー挿入ピンの使用を含む。同様に、実質的に力集中体621E~621Hと同じ又はこれと同様の力集中体を、力集中体330に加えて又はその代わりにプランジャロッド50のショルダ312(例えば、図8A及び図8Bに関連して上で説明し図25A~25Dに示すように)に組み込むことができる。力集中体621E~621Hは、図17~19、20A、20B、21、22A及び22Bに関連して上で説明する挿入ピン600A~600Dに組み込むこともできる。図23A~23Dに関連して説明する構造及び方法を使用することによって、ストッパ40は、ストッパ40の微小溝133のサイズ例えば幅W2(図4)の増大を減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過して並進させることができる。例えば、微小溝133の幅W2の増大の減少は、従来の並進方法を使用した場合に生じる幅の増大の少なくとも10%とすることができる。別の例において、幅W2の増大の減少は、従来の並進方法を使用した場合に生じる幅の増大の少なくとも15%とすることができる。更に、使用時に、本明細書において説明する構造及び方法は、シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計の増大又はシール領域270の長さL11の増大を従来の並進方法を使用したときに生じる合計又は長さL11の増大の少なくとも1%減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過してストッパ40を並進させることができる。別の実施形態において、シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計又はシール領域270の長さL11の増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる合計又は長さL11の増大の少なくとも3%、又は別の実施形態においては、少なくとも5%とすることができる。シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計及び/又はシール領域270の長さL11は、これらの手法によって減少できる。このような製造法によって、シール領域270は潰れて、シール領域270の長さを減少できる。上述のように、微小溝133のサイズも、このような手法によって減少できる。
図24A~24Dは、それぞれ、いくつかの実施形態に従ったストッパ40A~40Dを示す。図示するように、ストッパ40A~40Dは、それぞれ、キャビティ48の周りで近位端210の環状面211の部分から延びる力集中体47A~47Dを含む。図24A~24Dには別個に使用されるものとして示すが、力集中体47A~47Dは、単一ストッパにおいて組み合わせて使用できる。例えば、1つの例において、力集中体47Aおよび47Bは、両方とも単一のストッパ40に使用できる。別の例において、力集中体47A~47Dの任意の組合せをストッパ40に使用できる。力集中体47A~47Dは、ストッパ40を含めてシリンジ10の組立て及び使用時にチューブを通過してストッパ40を並進させるために使用される構造の遠位面に係合するように配置される。例えば、力集中体47A~47Dは、シリンジ10の組立てにおいて挿入ピン600のショルダ612及び/又はトランスファバー挿入ピンのショルダなどの遠位端に、及び/又はシリンジ10の使用時にプランジャロッド50のショルダ312に(例えば、図10A及び10Bに関連して説明し、図25A~25Dに示すように)係合できる。ストッパ40A~40Dに係合しこれを並進させる構造体がシリンジ10の組立て時にストッパへ向かって移動するとき、構造体の遠位端の面は、ストッパ40A~40Dの遠位端の環状面211の他の部分に係合する前に力集中体47A~47Dに係合する。力集中体47A~47Dは、キャビティ48の周囲の環状面211の部分の幅より小さい幅を有する。力集中体47A~47Dは、それによって、それぞれシリンジ10の組立て及び/又は使用時にストッパ40A~40Dを並進させる構造体に係合するとき力集中体47A~47Dの場所に力F1の加圧を集中する。いくつかの実施形態において、力集中体47A~47Dだけがそれぞれシリンジ10の組立て及び/又は使用時にストッパ40A~40Dを並進させる構造体に係合し、力F1は、力集中体47A~47Dの場所においてのみストッパの近位端210に加えられる。他の実施形態において、ストッパ40A~40Dを並進させる構造体は、ストッパ40の並進時に力集中体47A~47Dに加えて近位端210の環状面211の部分に係合し、このような実施形態において、力集中体47A~47Dを通じて加えられる集中力F1に加えた力が、ストッパ40を並進させるための構造体によってストッパ40に加えられる。
力集中体47A~47Dは、ストッパ40A~40Dの近位端から見たとき概ね環状又はリング形である。いくつかの実施形態において、図24A~24Dの力集中体は、ストッパ40A~40Dの近位端210の周りに連続的に延びる。他の実施形態において、図24A~24Dの力集中体は、不連続であり、複数の離散場所において並進構造体に係合する、近位端210の周りに延びる複数の離間区分(図24A~24Dには図示しない)を含む。他の実施形態において、力集中体47A~47Dは、図25A~25Dに示すようにプランジャロッド50の遠位端部分308に存在する。
図25A~25Dに示す力集中体は図23A~23D及び/又は図24A~24Dに示す力集中体と同じ又は実質的に同じ形状およびサイズであることが分かるはずである。力集中体47A~47D、621E~621Hの高さ(例えば、これが延びる起点となる環状面211に対して)、力集中体の場所(例えば、キャビティ48及び/又は環状面211の外縁に対して)及び/又は力集中体のプロフィル又は形状は、ストッパの所望の場所に所望の量の集中力F1を与えるように構成できる。
図24Aは、いくつかの実施形態に従った概ね平坦な面49を有する力集中体47Aを示す。図24Aに示す実施形態において、力集中体47Aは、概ね長方形の断面を有する。力集中体47Aの面49の幅は、所望の集中力F1を与えるように構成できる。いくつかの実施形態において、集中力F1は、環状面211の外周縁から内寄りの環状面211上の場所に与えられる。他の実施形態において、力集中体47Aは、ストッパ40Aの環状面211の周囲に集中力を加えるように配置できる。
図24Bは、いくつかの実施形態に従って面49が概ねナイフエッジ形又は鋭角面である面49を有する力集中体47Bを示す。図24Bに示す実施形態において、力集中体47Bは、概ね三角形の断面を有する。力集中体47Bの面49の傾斜は、所望の集中力F1を与えるように構成できる。力集中体47Bの頂点は、キャビティ48の外縁と環状面211の外縁との間に配置される。
図24Cは、いくつかの実施形態に従った概ねナイフエッジ形又は鋭角である面49を有する力集中体47Cを示す。力集中体47Cは、上述の力集中体47Bと同様であるが、力集中体47Cの頂点は、環状面211の外縁に配置される。
図24Dは、面49が概ね丸みのある又は凸面状である力集中体47Dを示す。
図24A~24Dに関連して説明する構造及び方法を使用することによって、ストッパ40A~40Dは、ストッパ40の微小溝133のサイズ例えば幅W2(図4)の増大を減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過して並進できる。例えば、微小溝133の幅W2の増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる幅の増大の少なくとも10%とすることができる。別の実施形態において、幅W2の増大の減少は、従来の並進方法の使用時に生じる幅の増大の少なくとも15%とすることができる。更に、図24A~24Dに関連して説明する構造及び方法を使用することによって、ストッパ40A~40Dは、シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計の増大又はシール領域270の長さの増大を従来の並進方法の使用時に生じる合計又は長さL11の増大の少なくとも1%減少しながら、シリンジ10の組立て時にチューブを通過して並進できる。別の実施形態において、増大の減少は少なくとも3%、別の実施形態において、増大の減少は少なくとも5%とすることができる。シール領域270の長さL11とシール場所長さL12の合計又はシール領域270の長さL11は、これらの手法によって減少できる。シール領域270は潰れて、シール領域270の長さをこれらの製造法によって減少できる。
図25A~25Dは、ストッパ40(図7)を並進させる際に使用するための力集中体を持つプランジャロッドの付加的実施形態を示す。具体的には、図25Aは、プランジャロッド50の遠位端部分308から延びる先端310を持つプランジャロッド50を示す。更に、プランジャロッド50は、遠位端部分308から延び先端310に隣接して位置付けられる力集中特徴体330Aを含む。図示するように、力集中体330Aは、長方形又は正方形を持つが、他の様々な構成を組み込むことができる。例えば、図25Bは、ピン先端310の周りに位置付けられる遠位部分308の環状縁部分として示される力集中体330Bを有するプランジャロッド50の付加的実施形態を示す。
図25Cは、力集中体330Cを有するプランジャロッド50の別の変形を示す。図25Cの実施形態において、図示する力集中体330Cは、プランジャロッド50の遠位部分308の端部から延びる三角形突出体である。
図25Dは、力集中体330Dを有するプランジャロッド50の別の実施形態を示す。この実施形態において、力集中体330Dは、プランジャロッド50の遠位部分308から延びるラウンド形突出体である。但し、力集中体330A~330Dの形状及び構成は、平坦な面、線形テーパー、曲線、ラウンド形又は複数テーパーを含めて(但し、これらに限定されない)多様な形状とすることができる。
本出願の発明について、総体的及び具体的実施形態に関しての両方について説明した。当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を実施形態に加えることができることが分かるはずである。したがって、請求項及びその均等の範囲内に在る限り、実施形態は本発明の修正及び変形を包括することを意図する。

Claims (25)

  1. 方法であって、
    挿入チューブの近位端にストッパの遠位端を置くことであって、前記挿入チューブ及び前記ストッパがシリコーンフリーであり、前記ストッパがプランジャロッド係合キャビティと、前記ストッパの近位端からシール場所長さだけ離間する長さを有するシール領域とを含み、前記シール領域がポリマーバリアに少なくとも1つの微小溝を含む少なくとも1つのリブを有し、前記少なくとも1つの微小溝が初期幅を有する、置くことと、
    前記プランジャロッド係合キャビティの遠位領域に接触することなく前記ストッパの近位端に挿入ピンを位置付けることであって、前記挿入ピンが、ショルダを有する遠位端を含む円筒形本体と前記プランジャロッド係合キャビティの直径より小さい直径を有するピン先端とを有する、位置付けることと、
    前記ストッパの前記近位端を前記挿入ピンの前記ショルダと接触させることと、
    前記少なくとも1つの微小溝の前記初期幅の増大の減少が少なくとも10%であるように前記挿入ピンの前記近位端に力を加えることと、
    を含む、方法。
  2. 前記方法が、更に、前記挿入チューブの長さ全体を通過してシリンジバレルの中まで前記ストッパを案内することを含み、前記シリンジバレルがシリコーンフリーである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記挿入チューブを通過して前記ストッパを案内する際、前記挿入ピンが前記プランジャロッド係合キャビティの前記遠位端領域に係合する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ストッパの前記遠位端を前記挿入チューブの前記近位端に置くステップにおいて、前記ストッパが非圧縮状態である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記挿入チューブを通過して前記ストッパを案内するステップにおいて、前記ストッパが圧縮状態である、請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記挿入ピンの前記近位端に前記力を加えることが、更に前記ストッパの前記近位端に前記力の少なくとも一部分を伝えることを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記ストッパの前記近位端に前記力の少なくとも一部分を伝えることが、(1)前記ストッパの前記近位端に第1の力、又は(2)前記プランジャロッド係合キャビティの前記遠位領域に第2の力、の一方又は両方を加えることを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記挿入ピンの前記ショルダが、前記ストッパの前記近位端に係合するように構成された少なくとも平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含む前記挿入ピンの前記ショルダから延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を備える、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記ストッパの前記近位端が、前記挿入ピンに係合するように構成された少なくとも平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含む前記ストッパの前記近位端から延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記少なくとも1つの集中特徴体が、前記ストッパに加えられる前記力が前記ストッパの外径へ向かって偏るように、前記力が少なくとも前記ストッパの前記近位端の環状面に加えられるように構成される、請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記シール領域が、第1のリブと第2のリブとを含み、前記挿入ピンの前記近位端に前記力を加えることが、前記第1のリブと前記第2のリブとの間の長さの増大が少なくとも1%減少するようなものである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記微小溝の前記初期幅の増大の減少が少なくとも15%である、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. シリンジバレルの内容物を供給する方法であって、
    ストッパのプランジャロッド係合キャビティの近位端の中へプランジャロッドを挿入することであって、前記ストッパがシリコーンフリーであり、前記ストッパが近位端とその反対側の遠位端と、前記近位端からシール場所長さだけ離間する長さを有するシール領域と、を有し、前記シール領域が、ポリマーバリアおよび少なくとも1つの微小溝であって、初期幅を有し前記ポリマーバリア内に位置付けられる、少なくとも1つの微小溝とを含む、挿入することと、
    前記プランジャロッド係合キャビティの遠位領域に接触することなく前記シリンジバレルの中で前記プランジャロッドのショルダに前記ストッパの前記近位端を接触させることであって、前記シリンジバレルがシリコーンフリーであり、治療薬を収容する、接触することと、
    前記少なくとも1つの微小溝の前記初期幅の増大の減少が少なくとも10%であるように前記プランジャロッドに力を加えることと、
    を含む、方法。
  14. 更に、前記プランジャロッドに加えられる力の少なくとも一部分を前記ストッパの前記近位端に伝えることによって前記シリンジバレルを通過して前記ストッパを案内することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記プランジャロッドの前記ショルダが、前記ストッパの前記近位端に係合するように構成された少なくとも平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含む前記プランジャロッドの前記ショルダから延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記ストッパの前記近位端が、前記プランジャロッドの前記ショルダに係合するように構成された少なくとも平坦な、鋭角の又は丸みのある面の1つを任意に含む前記ストッパの前記近位端から延びる環状構造体を含む、少なくとも1つの力集中特徴体を含む、請求項14に記載の方法。
  17. 前記プランジャロッドが、前記ショルダとプランジャロッド先端とを有する遠位端を含み、前記プランジャロッド先端が、前記ストッパの前記プランジャロッド係合キャビティの遠位領域によって受け入れられるように構成される、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記シリンジを通過して前記ストッパを案内する際、前記プランジャロッド先端が、前記ストッパの前記プランジャロッド係合キャビティの前記遠位領域に係合する、請求項17に記載の方法。
  19. 前記プランジャロッドに前記力を加えることが、(1)前記ストッパの前記近位端に第1の力又は(2)前記プランジャロッド係合キャビティの遠位端に第2の力、の一方又は両方を加えることを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記ストッパの前記シール領域が、第1のリブと第2のリブとを含み、リブ長さが前記第1のリブと前記第2のリブとの間に延び、前記力が、前記リブ長さが増大を少なくとも1%減少させるように前記プランジャロッドに与えられる、請求項13~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記微小溝の前記初期幅の増大の減少が少なくとも15%である、請求項13~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記ストッパと前記プランジャロッドが直接取り付けられない、請求項13に記載の方法。
  23. 前記少なくとも1つの力集中特徴体が、前記ストッパに加えられる前記力が前記ストッパの外径へ向かって偏るように、前記力が少なくとも前記ストッパの前記近位端の環状面に加えられるように構成される、請求項16~19のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記方法が、更に前記シリンジバレル内に収容される前記治療薬を供給することを含む、請求項13~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記ストッパが圧縮状態である、請求項13~24のいずれか1項に記載の方法。
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