JP2023547589A - シリルエステル化合物の調製方法及び使用 - Google Patents

シリルエステル化合物の調製方法及び使用 Download PDF

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Abstract

シリスエステル化合物の調製方法が開示される。シリルエステル化合物は、シランモノマーであってもシロキサンオリゴマーであってもよい。シリルエステル化合物をポリオルガノハイドロジェンシロキサンでヒドロシリル化してシリルエステル保護生成物を形成し、次いでこれを水で脱保護してカルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンを調製することができる。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2020年9月26日出願の米国仮特許出願63/082485号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第63/082485号は、参照により本明細書に組み込まれる。
1%未満のSi-C副生成物を伴うシリルヒドリド及びアリル(アルキル)アクリレートのヒドロシリル化を介してシリルエステル化合物を調製するための効率的な方法が開示される。シリルエステル化合物は、シランモノマーであってもシロキサンオリゴマーであってもよい。シリルエステル化合物は、カルボキシ官能性ポリオルガノシロキサンなどのカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するための方法で使用され得る。
カルボン酸官能性シロキサンは、ポリエステルのための優れたレオロジー及び湿潤調整剤である。無機塩基又はアミンと反応した場合、それらは帯電防止界面活性剤及び潤滑剤として機能する。カルボン酸官能性(カルボキシ官能性)ポリオルガノシロキサンを調製するための既存の方法は、エステル交換プロセスを含むが、これらは、精製(例えば、蒸留及び/又は抽出)及び別個の単位操作を伴う複数の工程を必要とする場合があり、これは時間がかかり、費用がかかる場合がある。
シリルエステル化合物の調製方法が提供される。本方法は、1)(A)シリルヒドリド、(B)アリル(アルキル)アクリレート及び(C)ロジウム触媒を含む出発物質を合わせ、それによって(D)シリルエステル化合物を生成することを含む。本方法は、2)(D)シリルエステル化合物及び1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する(E)有機ケイ素化合物を含む出発物質を合わせ、それによって(G)シリルエステル保護生成物を形成することを更に含んでもよい。本方法は、3)(G)シリルエステル保護生成物及び(H)水を含む出発物質を合わせ、それによってカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含んでもよい。
上記の方法において、工程1)は、(A)シリルヒドリド、(B)アリル(アルキル)アクリレート及び(C)ロジウム触媒を含む出発物質を合わせ、それによって(D)シリルエステル化合物を生成することを含む。あるいは、工程1)で使用される出発物質は、本質的に(A)、(B)及び(C)からなってもよい。あるいは、工程1)で使用される出発物質は、(A)、(B)及び(C)からなってもよい。任意選択的に、ロジウム触媒(C)の添加を容易にするために溶媒を加えてもよい。任意選択的に、(メタ)アクリレート重合禁止剤を工程1)の際に添加してもよい。
工程1)で使用する出発物質は、混合などの任意の好便な手段によって合わせることができる。(A)シリルヒドリドを含む出発物質は、(B)アリル(メタ)アクリレート及び(C)ロジウム触媒を含む出発物質を収容する反応器内に計量供給することができる。反応器内の出発物質は、上述の溶媒及び/又は重合禁止剤を更に含んでもよい。工程1)の出発物質は、少なくとも50℃、あるいは少なくとも60℃の温度で加熱され得る。同時に、工程1)の出発物質は、最大125℃、あるいは最大80℃、あるいは最大75℃、あるいは最大70℃、あるいは最大60℃の温度で加熱され得る。理論に束縛されるものではないが、プロペンの水素化を最小限に抑えるためには、より低い温度、例えば50℃~60℃が望ましい場合があると考えられる。工程1)は、バッチモード又は半バッチモードで行うことができる。工程1)は、不活性雰囲気下、例えば窒素下で行うことができる。理論に束縛されるものではないが、中の反応混合物を通して不活性ガス掃引を伴う撹拌バッチ反応器を使用することは、副生成物プロペンをそれが反応し得る前に除去することによって、収率を改善し得ると考えられる。本方法において使用される出発物質について詳細に説明すると、以下のとおりである。
(A)シリルヒドリド
本明細書に記載の方法の工程1)で使用される出発物質(A)は、シリルヒドリドである。シリルヒドリドは、1分子当たり1個のケイ素結合水素原子を有する。シリルヒドリドは、シランモノマー及び/又はシロキサンオリゴマーであってもよい。例えば、シロキサンオリゴマーは、単位式(A1):(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2(式中、各Rは、独立して、1~8個の炭素原子のアルキル基及び1~8個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、量(a+b)=2であり、下付き文字cは0又は1であり、下付き文字dは0又は1であり、量(b+d)=1及び4≧(a+b+c+d)≧2である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを含み得る。あるいは、3≧(a+b+c+d)≧2である。
の好適なアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに炭素原子6個の分枝状飽和炭化水素基が挙げられるが、それらに限定されない。Rに好適なハロゲン化アルキル基は、1個以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置換された上述のアルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。例えば、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル及び2,3-ジクロロシクロペンチルは、好適なハロゲン化アルキル基の例である。あるいは、各Rは、独立して、メチル、エチル又はプロピルである。Rは各々の場合で、同じであっても異なってもよい。あるいは、各Rは、メチル基であり得る。
あるいは、出発物質(A)は、
(A2)


(A3)

(式中、Rは上記のとおりであり、RはH及びRからなる群から選択され、ただし、1分子当たり1個のRはHであり、1分子当たり1個のRはRである)並びに(A2)及び(A3)両方の組み合わせからなる群から選択され得る。
あるいは、出発物質(A)は、式(A4)

(式中、Rは上記のとおりである)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーであってもよい。
出発物質(A)に好適なオルガノハイドロジェンシロキサンは、当該技術分野で既知であり、市販されている。例えば、出発物質(A)に好適なオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーは、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得、これらのオリゴマーは、例えばSigma-Aldrich,Inc.(St.Louis,Missouri,USA)(Sigma)から入手可能である。
あるいは、本明細書中に記載される方法で使用される出発物質(A)であるシリルヒドリドは、上記のシロキサンオリゴマーに加えて又はその代わりにシランモノマーを含み得る。シランモノマーは、式(A5):HSiR (式中、Rは上記のとおりである)を有してもよい。出発物質(A)に好適なシランモノマーは当該技術分野において既知であり、例えばGelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania,USA)から市販されている。例えば、出発物質(A)のシランモノマーは、トリメチルシラン(HSiMe)、トリエチルシラン(HSiEt)、トリプロピルシラン(HSiPr)、トリブチルシラン(HSiBu)、トリヘキシルシラン(trihexysilane)、トリオクチルシラン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
(B)アリル(アルキル)アクリレート
本明細書に記載の方法で有用な物質(B)は、アリル(アルキル)アクリレートである。出発物質(B)は式(B1):

(式中、Rは、水素及び1~8個の炭素原子のアルキル基(例えば、Rについて上述したアルキル基)からなる群から選択される)を有する。あるいは、Rのアルキル基は、メチル基であってもよい。出発物質(B)の例としては、アリルアクリレート及びアリルメタクリレートが挙げられる。あるいは、出発物質(B)はアリルメタクリレートでもよい。
出発物質(A)であるシリルヒドリド及び出発物質(B)であるアリル(アルキル)アクリレートは、本方法の工程1)において、出発物質(B):出発物質(A)の相対モル量が1以上、すなわち、(B):(A)のモル比≧1:1で使用される。あるいは、(B):(A)は5:1~1:1、あるいは2:1~1:1、あるいは1.5:1~1:1、あるいは1.1:1~1:1の範囲であってもよい。
(C)ロジウム触媒
本明細書に記載の方法の出発物質(C)は、ロジウム触媒である。ロジウム触媒は、本明細書に記載される方法の工程1)において使用される出発物質(A)であるシリルヒドリドの量に基づいて、少なくとも0.0000001モル%の量で使用され得る。あるいは、ロジウム触媒の量は、同じ基準で、少なくとも0.0001モル%のロジウム触媒、あるいは少なくとも0.001モル%、あるいは少なくとも0.001モル%、あるいは少なくとも0.01モル%、あるいは少なくとも0.1モル%のロジウム触媒であってもよい。同時に、ロジウム触媒は、同じ基準で、最大100モル%のロジウム触媒、あるいは最大10モル%、あるいは最大5モル%、あるいは最大2モル%、あるいは最大1モル%、あるいは最大0.1モル%、あるいは最大0.01モル%の量で使用され得る。
ロジウム触媒(C)は、カチオンに荷電していても中性であってもよい。ロジウムは、0,1,2,3,4,5,6の荷電状態(z)を有し得る。あるいは0、1、2、3;あるいは0、1、3であり得る。ロジウムは、0~6個の配位子によって安定化され得る。ロジウム触媒は、モノマーの、ダイマーの、トリマーの、オリゴマーの、クラスター化された、コロイド状の、ナノ粒子であってもよく、又はアルミナ若しくは炭素などの支持体上にあってもよい。ロジウム触媒は、ロジウム-配位子錯体を含んでもよい。ロジウム-配位子錯体は、式(C1):[Rh(R (式中、下付き文字yは1~100であり、下付き文字xは0~6であり、Rは配位子である)を有してもよい。Rは、単座、キレート性又は架橋であってもよい。Rは、F、Cl、Br、Iなどのハロゲン;アルキル基;1,5-シクロオクタジエン(COD);ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン;2,5-ノルボルナジエン(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2,5-ジエン);1,3,7-シクロオクタトリエン;1,3,5,7-シクロオクタテレン;アリル;ニトレート、アンモニウム又はアンモニア;オキシド;一酸化二水素;トリフルオロスルホン酸;ベンゼン;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシド;ジアルキル又は環状エーテル;アセトニトリル;エチレン、一酸化炭素、三置換(アリール又はアルキル)ホスフィン;二置換(アルキル、アリール又は環状)ホスフィノアルカン;ジアルキルアミノアルカン又はジフェニルアミノアルカン;トリ置換アミン(アルキル、フェニル)又は環状アミン;アセチルアセトネート(acac);二窒素;1,3-ビス(ジアルキル又はジフェニル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ビス(ジアルキル又はジフェニル)イミダゾリン-2-イリデン又は1,3-ビス(ジアルキル又はジフェニル)ベンゾイミダゾール-2-イリデンNHCであり得る。あるいは、Rは、上記の1個以上の基を組み合わせ得る多座配位子であってもよい。あるいは、Rは、同じであっても異なっていてもよく、又は式-(CH(式中、xは上記のとおりである)の基などの二価基によって連結された上記の選択された配位子の組み合わせであってもよい。あるいは、ロジウム-配位子錯体は、例えばロジウムジホスフィン錯体、ロジウム環状ジエン錯体又はこれらの組み合わせであってもよい。理論に束縛されるものではないが、上記のRh-配位子の組み合わせの全ては、配位子が存在してもしなくてもよく、シリルエステル(D)にSi-Cヒドロシリル化生成物に対する選択性の利益を与えない一般的な活性触媒に変換することができると考えられる。
あるいは、工程1)の際に添加される出発物質(C)は、キレート化ロジウムジホスフィン錯体を含んでもよい。キレート化ロジウムジホスフィン錯体は、式(C2):{[(R P)R(R P)]Rh(u-Rを有することができる。式(C2)において、各Rは、独立して、二価炭化水素基であり、各Rは、独立して、一価炭化水素基であり、各Rは、独立して、負に荷電した配位子である。Rの二価炭化水素基は、1~6個の炭素原子のアルカンジジイル基などのアルカンジイル基であってもよい。あるいは、Rは、メタン-ジイル、エタン-1,2-ジイル又はヘキサン-1,6-ジイルであってもよく、あるいは、Rは、エタン-1,2-ジイルであってもよい。
の一価炭化水素基は、アルキル基であってもアリール基であってもよい。あるいは、Rの両方が一緒になって、環内にP原子を含む複素環基を形成してもよい。Rの好適なアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、並びに炭素原子6個の分枝状飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、Rのアルキル基は、メチル、エチル又はプロピルであってもよい。Rに好適なアリール基は、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル及び2-フェニルエチルによって例示されるが、これらに限定されない。あるいは、Rはエチル基又はフェニル基であってもよい。
に好適な負に荷電した配位子の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ配位子及びヒドリド配位子が挙げられる。好適なハロゲン原子の例としては、臭素(Br)、塩素(Cl)、及びヨウ素(I)が挙げられる。あるいは、ハロゲン原子は、Clであってもよい。アルコキシ配位子の例としては、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシが挙げられる。あるいは、アルコキシ配位子はメトキシであってもよい。
出発物質(C)に好適なロジウムジホスフィン錯体の例としては、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロ二ロジウム、[1,2-ビス(ジエチルホスピノ)エタン]ジクロロ二ロジウム]及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ロジウムジホスフィン錯体は、Strem Chemicals,Inc.(Newburyport,Massachusetts,USA)から市販されている。
あるいは、出発物質(C)は、ホスフィン配位子を有していないロジウム触媒を含んでもよい。例えば、出発物質(C)は、式(C3):[R Rh]R10、(C4):[Rh(R (u-R(式中、下付き文字hは1~4であり、各Rは、独立して、1,5-シクロオクタジエン配位子、2,5-ノルボルナジエン配位子、エチレン配位子、シクロオクテン配位子及びアセチルアセトネート配位子からなる群から選択され、R10はアニオンであり、Rは、上記のような負に荷電した架橋配位子であり、下付き文字fは、1又は2であり、下付き文字gは、1又は2である)、又は(C3)と(C4)との両方の組み合わせである(C5)を有してもよい。あるいは、R10であるアニオンは、これらに限定されないが、パークロレート、トリフルオロメチルスルホネート、テトラフルオロボレート、テトラキスフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、[Al(C(CF]-、[HCB11MeBr]-などのカルボランを含む、「弱配位アニオン」又は「非配位アニオン」と当業者によって称されるものであってもよい。例えば、出発物質(C)は、Sigma-Aldrich,Inc.から市販されているロジウム1,5-シクロオクタジエンクロリド二量体を含んでもよい。
ロジウム触媒は、任意選択的に溶媒中で送達されてもよい。溶媒は、触媒を可溶化し得るが、本質的に工程1)の出発物質と反応しない。溶媒は、工程1)で使用するために選択される触媒の溶解性並びに溶媒及び出発物質の揮発性に基づいて選択され得る。「溶解性」とは、溶媒が触媒を溶解及び/又は分散させるのに十分であることを指す。「揮発性」とは、溶媒の蒸気圧を指す。溶媒の揮発性が高すぎる(蒸気圧が高すぎる)場合、(C)ロジウム触媒と出発物質(A)及び/又は出発物質(B)との混合が十分に促進されない場合がある。しかしながら、溶媒が十分に揮発性でない(蒸気圧が低すぎる)場合、溶媒は、本方法の完了後に除去するのが困難な場合がある。
好適な溶媒としては、好適な蒸気圧を有するポリオルガノシロキサン、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン及び他の低分子量ポリオルガノシロキサン、例えば、0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200流体及びDOWSIL(商標)OS流体(これらは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)から市販されている)が挙げられる。あるいは、溶媒は有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、ベンゼン、トルエン若しくはキシレンなどの芳香族系炭化水素;ヘプタン、ヘキサン若しくはオクタンなどの脂肪族炭化水素;クロロホルム、1,1,1-トリクロロエタン若しくは塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール若しくはエタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロピラン若しくはテトラヒドロフランなどの直鎖状又は環状エーテル;又はこれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。使用される場合、溶媒の量は重要ではなく、上記の出発物質(A)、(B)及び(C)の重量に基づいて最大0.5重量%であってもよい。
工程1)で使用される出発物質は、任意選択的に、(メタ)アクリレート重合禁止剤を更に含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、出発物質(B)中の(アルキル)アクリレート部分は、工程1)で使用される条件下、重合し得ると考えられる。(アルキル)アクリレート部分の望ましくない重合を最小限に抑える又は排除するために、工程1)で重合禁止剤を使用してもよい。例えば、出発物質(B)であるアリル(アルキル)アクリレートは、工程1)の前又は際に重合禁止剤と合わされてもよい。重合禁止剤は、従来の(メタ)アクリレート重合禁止剤、例えばヒドロキノン(HQ)、ヒドロキノンのメチルエーテル(MEHQ);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(ブチル化ヒドロキシトルエン、BHTとも呼ばれる)などの立体障害ヒドロフェノール;及び/又はジ-tert-ブチルヒドロキノンなどの立体障害キノンであってもよい。このような重合禁止剤は、当該技術分野において既知であり、市販されている。重合禁止剤の量は、ロジウム触媒の量及び工程1)のために選択される温度を含む様々な要因に応じて異なるが、その量は、禁止剤の重量部:出発物質(B)の重量部が0.0001:1~0.1:1であってよい。
本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載のロジウム触媒を用いてシリルヒドリド及びアリル(アルキル)アクリレートをヒドロシリル化する場合、ベータヒドリド脱離が起こり、プロペンが放出され、Si-O-C結合を含む生成物(すなわち、シリルエステル化合物、分枝状異性体)が99%を超える選択性で形成されることを見出した。理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、この反応がロジウム源とは無関係であるのに対して、他の金属源(白金など)は混合物を生成する(選択性が低い)と考えた。
(D)シリルエステル化合物
本明細書に記載の方法の工程1)の生成物は、(D)シリルエステル化合物であり、これは、1分子当たり少なくとも1個の、式:

(式中、Rは上記のとおりである)のケイ素結合基を有する。例えば、出発物質(A)がオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマー(A1)である場合、シリルエステル化合物は、単位式(D1):(R SiO1/2(R 11SiO1/2(R SiO2/2(R11SiO2/2(式中、R並びに下付き文字a、b、c及びdは上記のとおりであり、R11は式:

の基であり、式中、Rは上記のとおりである)を含んでもよい。出発物質(A)が上記の式(A4)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーである場合、(D)シリルエステル化合物は式(D2):

(式中、R及びRは上記のとおりである)を有する。
あるいは、出発物質(A)が上記の式(A5)のシランモノマーである場合、シリルエステル化合物は、式(D3):R11SiR (式中、R11及びRは上記のとおりである)を含んでもよい。
シリルエステル保護生成物の調製方法
工程1)で調製されたシリルエステル化合物は、以下のように使用することができる。工程1)を含む上記の方法は、2)上記の(D)シリルエステル化合物と、1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する(E)有機ケイ素化合物とを含む出発物質を合わせることを更に含んでもよい。工程2)は、任意選択的に、(F)ヒドロシリル化反応触媒を添加することを更に含んでもよい。(F)ヒドロシリル化反応触媒は、工程1)で使用される(C)ロジウム触媒の追加量であってもよい。あるいは、工程2)で添加される(F)ヒドロシリル化反応触媒は、工程1)で使用される(C)ロジウム触媒と異なっていてもよい。工程2)において、出発物質(E)のケイ素結合水素原子と出発物質(D)の不飽和部分(基R11についての式において上に示される)とのヒドロシリル化反応は、(G)シリルエステル保護生成物を形成する。
工程2)において、(D)及び(E)(並びに存在する場合(F))を含む出発物質は、混合などの任意の好便な手段によって合わせることができる。出発物質は任意の順序で合わせることができるが、理論に束縛されるものではないが、反応速度を制御するために、1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する(E)有機ケイ素化合物を含む出発物質が反応器内にあってもよく、シリルエステル化合物である出発物質(D)を、ヒドロシリル化反応の発熱を制御するような方法で、例えば時間をかけて計量供給することによって又は時間間隔を置いた後に小分けして計量供給することによって、それに添加することができると考えられる。出発物質(F)ヒドロシリル化反応触媒が使用される場合、それは、上記のように出発物質(D)を添加する前に、反応器内で(D)シリルエステル化合物と合わせることができる。理論に束縛されるものではないが、(D)シリルエステル化合物が工程1)の後に精製されない場合、工程2)の出発物質(D)は、残留量の(C)ロジウム触媒との混合物中にあり、このロジウム触媒は、工程1)で使用される(C)ロジウム触媒とは異なる(F)ヒドロシリル化反応触媒を用いて又はそれを用いずに、出発物質(D)のアルケニル部分と出発物質(E)のケイ素結合水素原子とのヒドロシリル化反応を触媒することができる。
工程2)は、工程1)と同じ反応器内で行うことができる。あるいは、工程2)は、異なる反応器内で行ってもよい。理論に束縛されるものではないが、本方法は、工程2)の前にシリルエステル化合物の精製が必要とされないという利益を提供することができると考えられる。工程1)の際に反応器内で調製されたシリルエステル化合物は、反応器内に残され、更に精製することなく工程2)で使用されてもよい。例えば、工程2)は、(C)ロジウム触媒及び任意の未反応(B)アリル(アルキル)アクリレートを除去することなく行うことができる。しかしながら、理論に束縛されるものではないが、一方の反応物が過剰すぎると、望ましくない副生成物が形成される場合があり、したがって、副生成物の形成を最小限に抑えるか又は排除するために、工程1)は、(B):(A)の量について1.01:1~1:1のモル比で行うことができ、又は過剰な(B)アリル(アルキル)メタクリレートを工程2)の前に除去することができる。
工程2)での温度は重要ではない。工程2)はRTで実施されてもよい。あるいは、工程2)は最大200℃の温度で実施されてもよい。工程2)は、工程1)について上述した不活性条件下で実施されてもよい。
1分子当たり少なくとも1個のSiHを有する(E)有機ケイ素化合物
本明細書に記載の方法の工程2)で使用される出発物質(E)は、1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物である。有機ケイ素化合物(E)は、直鎖状、分枝状、環状、樹脂性又はこれらの組み合わせであってもよい。出発物質(e)は、限定するものではないが、HR15 SiO1/2、R15 SiO1/2、HR15SiO2/2、R15 SiO2/2、R15SiO3/2、HSiO3/2及びSiO4/2単位を含むシロキサン単位を含むポリオルガノハイドロジェンポリシロキサンであってもよい。前述の式において、各R15は脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基、及び脂肪族不飽和を含まない一価ハロゲン化炭化水素基からなる群から独立して選択される。脂肪族不飽和を含まない一価炭化水素基は、アルキル基及びアリール基によって例示される。アルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、シクロペンチル、シクロヘキシル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシル、並びに6個以上の炭素原子の分枝状飽和一価炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。アリール基は、シクロペンタジエニル、フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、アントラセニル及びナフチルによって例示されるが、これらに限定されない。R15に好適な一価のハロゲン化炭化水素基は、炭素原子に結合した1個以上の水素原子が式としてはハロゲン原子で置換されている、一価炭化水素基である。ハロゲン化炭化水素基としては、ハロアルキル基及びハロアリール基が挙げられる。ハロアルキル基としては、フッ素化アルキル基(例えば、トリフルオロメチル(CF)、フルオロメチル、トリフルオロエチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル)、並びに塩素化アルキル基(例えば、クロロメチル、3-クロロプロピル、2,2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチル)が挙げられる。あるいはR15のアルキル及びアリール基は、Rについて上記したとおりであってもよい。
オルガノハロシランの加水分解及び縮合などの、本明細書での使用に好適な直鎖状、分枝状及び環状オルガノ水素ポリシロキサンの調製方法は、当該技術分野において周知である。本明細書での使用に好適なオルガノハイドロジェンポリシロキサン樹脂の調製方法もまた、米国特許第5,310,843号、同第4,370,358号及び同第4,707,531号に例示されているように、当該技術分野において周知である。
あるいは、出発物質(E)は、単位式(E1):(R12 HSiO1/2(R12 SiO2/2(R12HSiO2/2(R12 SiO1/2(2-k)(式中、下付き文字iは0~1000の範囲の平均値を有し、下付き文字jは0~1000の範囲の平均値を有し、下付き文字kは0、1又は2であり、量(k+j)≧1である)のポリジオルガノハイドロジェンシロキサンを含んでもよい。各R12は、独立して、R15について上記したとおり、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基及びハロゲン化アリール基からなる群から選択される。
出発物質(E)のポリオルガノハイドロジェンシロキサンの例としては、式(E2):

(式中、R12及び下付き文字iは上記のとおりである)のポリジオルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。あるいは、下付き文字iは、0~150、あるいは50~150、あるいは75~125、あるいは100であってもよい。
出発物質(E)のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、
a)α,ω-ジメチルハイドロジェンシロキシ-終端ポリジメチルシロキサン、
b)α,ω-ジメチルハイドロジェンシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
c)α,ω-ジメチルハイドロジェンシロキシ-終端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
d)α,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
e)α,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
f)α-ジメチルハイドロジェンシロキシ,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリジメチルシロキサン、
g)α-ジメチルハイドロジェンシロキシ,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
h)α-ジメチルハイドロジェンシロキシ,ω-トリメチルシロキシ-終端ポリメチルハイドロジェンシロキサン、
i)H(CHSiO1/2単位及びSiO4/2単位から本質的になる樹脂、並びに
j)これらの2つ以上の組み合わせによって例示される。
1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する有機ケイ素化合物である出発物質(E)と、シリルエステル化合物である出発物質(D)とは、本方法の工程2)において、出発物質(D):出発物質(E)中のケイ素結合水素原子の相対モル量が1以上、すなわち、モル比(D):(E中のSiH)≧1:1で使用される。あるいは、(D):(E中のSiH)は、5:1~1:1、あるいは2:1~1:1、あるいは1.8:1~1:1、あるいは1.1:1~1:1の範囲であってもよい。理論に束縛されるものではないが、出発物質(E)中のケイ素結合水素原子に対してモル過剰の出発物質(D)は、未反応SiHを最小限に抑えることができると考えられる。
(F)ヒドロシリル化反応触媒
出発物質(F)は任意選択的であり、ヒドロシリル化反応触媒である。本明細書に記載の方法の工程2)での使用に好適なヒドロシリル化反応触媒は、当該技術分野において既知であり、市販されている。出発物質(F)は、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)及びイリジウム(Ir)からなる群から選択される金属であってもよい。あるいは、(F)ヒドロシリル化反応触媒は、Pt金属を含んでもよい。あるいは、(F)ヒドロシリル化反応触媒は、上記の金属の化合物、例えば、塩化白金酸(スペイア(Speier)触媒)、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(ウィルキンソン(Wilkinson)触媒)及びこれらの組み合わせを含んでもよい。あるいは、(F)ヒドロシリル化反応触媒は、化合物(上記)と、[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン][1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン]白金(0)などのアルケニル官能性オルガノポリシロキサンとの錯体を含んでもよい。あるいは、(F)ヒドロシリル化反応触媒は、マトリックス又はコアシェル型構造中にマイクロカプセル化された化合物及び/又は錯体を含んでもよい。白金とアルケニル官能性オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体(Karstedt触媒)が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン白金錯体を含んでもよい。例示的なヒドロシリル化反応触媒は、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号、同第3,296,291号、同第3,419,593号、同第3,516,946号、同第3,814,730号、同第3,989,668号、同第4,784,879号、同5,036,117号、及び同5,175,325号、並びに欧州特許第0347895(B)号に記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化反応触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び同5,017,654号に例示されているとおり、当該技術分野において既知である。白金ヒドロシリル化反応触媒は市販されており、例えば、SYS-OFF(商標)4000触媒及びSYL-OFF(商標)2700が、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から入手可能である。
(F)ヒドロシリル化反応触媒の量は、工程2)で使用される(D)、(E)及び(F)を含む出発物質の合計重量に基づいて、少なくとも0.1ppmのPt金属を提供するのに十分であり得る。あるいは、出発物質(F)の量は、同じ基準で、少なくとも0.1ppmのPt金属、あるいは少なくとも1ppmのPt金属、あるいは少なくとも2ppmのPt金属、あるいは少なくとも3ppmのPt金属、あるいは少なくとも10ppmのPt金属を提供するのに十分であり得る。同時に、出発物質(F)の量は、出発物質(D)、(E)及び(F)の合計重量に基づいて、最大1000ppm、あるいは最大750ppm、あるいは最大600ppm、あるいは最大500ppm、あるいは最大250ppm、あるいは最大100ppmのPt金属を提供するのに十分であり得る。
(G)シリルエステル保護生成物
本明細書に記載される方法において、工程2)は、二価炭化水素部分を介して有機ケイ素部分に結合しているシリルエステル部分を含む、(G)シリルエステル保護生成物を生成する。例えば、(G)シリルエステル保護生成物は、1分子当たり少なくとも1個の、式(G1):

(式中、Rは上記のとおりである)の部分を有する。例えば、出発物質(D)が上記の式(D2)を有し、出発物質(E)が上記の式(E2)を有する場合、工程2)で形成されるシリルエステル保護生成物は、式(G2):

(式中、R、R、R12及び下付き文字iは、上記のとおりである)を有する。
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物の製造方法
工程1)及び工程2)を含む上記の方法は、3)工程2)で形成された(G)シリルエステル保護生成物及び(H)水又はメタノール若しくはエタノールなどのアルコールを含む出発物質を合わせ、それによってカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を形成することを更に含んでもよい。工程3)において、工程2)において形成された(G)シリルエステル保護生成物は、脱保護(脱シリル化)され、それによってカルボキシ官能性有機ケイ素化合物並びにヒドロキシル官能性シランモノマー及び/又はシロキサンオリゴマーを含む副生成物を放出する。工程3)は、混合などの任意の好便な手段によって行うことができる。上記の工程1)及び/又は工程2)で使用される同じ反応器が使用されてもよい。例えば、工程2)の後、水及び/又はアルコールを反応器に添加してもよい。温度は重要ではなく、-20℃~150℃であってもよい。工程3)は、工程1)について上記した不活性条件下で実施されてもよい。工程3)の際に酸を任意選択的に添加してもよい。例えば、パラ-トルエンスルホン酸を添加し、工程3)の脱保護を容易にすることができる。テトラヒドロフランなどの溶媒もまた、工程3)の際に任意選択的に添加することができる。工程3)に好適な条件は、Kiyomoriらの米国特許第7,307,178号、10段落、18~41行に記載されているとおりであってもよい。
本方法は、任意選択的に、4)工程3)で形成されたカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含んでもよい。工程4)は、ストリッピング、蒸留及び/又は抽出などの任意の好便な手段によって行うことができる。本方法は、任意選択的に、5)(C)ロジウム触媒、(F)ヒドロシリル化反応触媒(使用される場合)の一方又は両方を回収することを更に含んでもよい。しかしながら、理論に束縛されるものではないが、工程5)は必須ではなく、特に本方法において低レベルの(C)ロジウム触媒及び/又は(F)ヒドロシリル化反応触媒が使用される場合(例えば、触媒レベルが金属の15ppm以下、あるいは10ppm以下である場合)には、なくすることができると考えられる。
カルボキシ官能性有機ケイ素化合物
上記の方法は、1分子当たり少なくとも1個の式

(式中、Rは上記のとおりである)ケイ素結合基を有する、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を生成する。あるいは、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、ポリジオルガノシロキサンなどのポリオルガノシロキサンであってもよい。例えば、式(G2)のシリルエステル保護生成物が本方法の工程3)において使用される場合、得られるカルボキシ官能性有機ケイ素化合物は、式:

(式中、R、R、R12及び下付き文字iは上記のとおりである)を有してもよい。
これらの実施例は、当業者に本発明を例示するために提供されるものであり、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。実施例で使用した出発物質を以下の表1に記載する。
この実施例1では、10gのアリルメタクリレート及び20mgのBHTを250mLの2つ口フラスコに添加した。滴下漏斗に17.6g(1モル当量)のHMTSを添加した。フラスコの他のポートに温度プローブを差し込み、次いで反応混合物を50℃に加熱しながらN下に置いた。100μLの[Rh(COD)Cl]2(トルエン中0.025M)を添加し、次いでHMTSの添加を開始した。添加完了後、シリルエステルの収率は95%超であった。H NMR(CDCl,ppm)6.09(1H),5.57(1H),1.91(3H),0.25(3H),0.1(18H).NMRの結果から、この実施例1の条件下では直鎖状異性体もプロペンヒドロシリル化生成物も形成されなかったことが確認された。
この実施例2では、10gのアリルメタクリレート及び20mgのBHTを250mLの2つ口フラスコに添加した。滴下漏斗に、9.22g(1モル当量)のトリエチルシランを添加した。フラスコの他のポートに温度プローブを差し込み、次いで反応混合物を50℃に加熱しながらN下に置いた。10μLの[Rh(COD)Cl]2(トルエン中0.025M)を添加し、次いでトリエチルシランの添加を開始した。反応物を2.5時間加熱し、80%のシリルエステルを得た。H NMR(CDCl,ppm)6.13(1H),5.59(1H),1.94(3H),1.01(9H),0.82(6H).NMRの結果から、この実施例2の条件下では直鎖状異性体もプロペンヒドロシリル化生成物も形成されなかったことが確認された。
この実施例3では、触媒として[Rh(COD)Cl]2の代わりに[Rh(DPPE)Cl]2を使用した以外は、実施例1を繰り返した。反応は95%超の収率まで進行した。NMRの結果から、この実施例2の条件下では直鎖状異性体もプロペンヒドロシリル化反応生成物も形成されなかったことが確認された。
実施例1及び実施例2の反応式は次のように考えられた。
この比較例1では、30g(1当量)のアリルメタクリレート及び50mgのBHTを2つ口フラスコに添加した。滴下漏斗に53g(1当量)のHTMSを添加した。加熱マントルを使用してフラスコ内容物を50℃に加熱し、次いで20μLのKarstedt触媒(キシレン中2%)を注入した。加熱マントルを取り外し、反応混合物を62℃まで発熱させた。HMTSの添加が完了するまで、温度を空冷しながら維持した。次いで、H NMRスペクトルを測定した。加熱を止め、得られた反応混合物を一晩撹拌した。かなりのプロペンヒドロシリル化も起こった。
実施例1、実施例2及び実施例3は、異なるロジウム触媒が、異なるシリルヒドリドが使用された場合であっても、良好な選択性及び収率で所望の分枝状異性体(シリルエステル化合物)を調製することを示した。比較例1は、白金触媒が、試験した条件下で所望の選択性及び収率をもたらさなかったことを示した。実施例3の触媒は、実施例1及び実施例2の触媒から形成されている。実施例1及び実施例3における同様の反応性により、これらの触媒の配位子は、選択性を支配する金属の選択によりシリルエステル化合物を形成する際に、重要度が低いと考えられる。
この比較例2では、本明細書に記載のアリル(アルキル)アクリレートの代わりのメタクリル酸、異なるシリルヒドリド、異なる触媒及び異なる温度を使用したことを除いて、比較例1を数回繰り返し、各々2時間の反応時間で行った。出発物質、反応温度、結果を以下の表3に示す。
表3は、本明細書に記載の方法を使用して、メタクリル酸(MA)をシリルヒドリドで直接ヒドロシリル化し、シリルエステル化合物(実施例1~実施例3のように)を生成することができないことを示す。メタクリル酸との各反応について、顕著な副反応及び/又は低収率が観察された。
この実施例3では、実施例1及び実施例2で上記したように調製した保護シリルエステル(上に示した反応式ではMDM-MAと略記)を以下のようにヒドロシリル化した。250mLの2つ口フラスコに、10gのSiH終端PDMSを添加した。滴下漏斗に、2.41gのMDM-MA(1.8当量)を添加した。フラスコの他のポートに温度プローブを差し込み、次いで反応混合物を50℃に加熱しながらN下に置いた。次に、10μLの2%Karstedt触媒(98%キシレン中に溶解)を50℃で添加し、次いで、MDM-MAの添加を開始した。添加中にわずかな発熱が観察され、温度が60℃の高さまで上昇した。添加が完了した後、熱を除去した。添加後にNMR試料を回収した。H NMRは、MDM-MA上のオレフィン基の完全な反応を示し、13C NMRは、シリルエステル部分が、得られた保護生成物(175ppm)において依然として未変化であることを示した。この実施例3の反応式は次のように考えられた。
この実施例4では、実施例3で調製したシリルエステル保護生成物を、THF:シロキサンの1:1混合物及び過剰の水中で、50℃で16時間加熱することにより脱保護した。13C NMRは、175ppmでのシリルエステルのシフトの、183ppmへのシフト(COOH)を示した。この実施例4の反応式は次のように考えられた。
産業上の利用可能性
本発明は、上記の(D)シリルエステル化合物の新規な調製方法を提供する。本方法は、シリルエステル化合物を使用してカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製することを更に含んでもよい。本方法は、工程1)、2)及び3)を全て同じ反応器内で行うことができるという点で、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するための以前の方法を超える利益を提供する。更に、工程1)と工程2)との間の中間精製工程(例えば、ロジウム触媒及び/又は未反応アリル(アルキル)メタクリレートを除去するための)又は工程2)と工程3)との間の中間精製工程は、必須ではない。更に、本方法において有効な低い触媒投入量により、触媒回収工程は、必須ではない。
この方法は、副生成物の形成を最小限に抑えるという更なる利益を提供する。理論に束縛されるものではないが、実施例1及び実施例2について上に示した反応式に例示されているように、プロペンなどのアルケンが工程1)において副生成物として形成されると考えられる。しかしながら、プロペンは比較的容易に除去され、本明細書に記載される方法の工程1)で用いられる条件下、(本明細書に記載される方法の収率及び化学量論に悪影響を及ぼす(A)シリルヒドリドとの反応によって副生成物に)水素添加されない。
用語の定義及び使用
「発明の概要」及び「要約書」は、参照により本明細書に組み込まれる。全ての量、比、及び百分率は、明細書の文脈により別途指示のない限り、重量によるものである。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。本明細書で使用される略語は、表4における定義を有する。
試験方法-
H NMR
単一パルス励起を適用して、1H NMR応答を観察した。測定は、振動数400MHz又は600MHzの1H NMRで行った。プレパルス緩和時間(d1)は10秒を超え、ポストパルス観察(aq又はat)は2秒を超えた。データは、Agilent MR400又はBruker Avance III HDコンソールで取得した。13C NMR
単一パルス励起を適用して、1H NMR応答を観察した。測定は、振動数125MHzの13C{1H}NMRで行った。プレパルス緩和時間(d1)は3秒であった。ポストパルス観察(aq又はat)は2秒を超えた。データは、Agilent MR400又はBruker Avance III HDコンソールで取得した。
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明語の性質であるように意図されることを理解されたい。本明細書で個々の特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各々の要素は、個々にかつ又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態に適切な根拠を提供し得る。
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は部分の値が明記されていなくても、その中の全部及び/又は部分の値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、範囲「50~80」は、下から3分の50、すなわち1~60、中間の3分の1、すなわち60~70、及び上から3分の1、すなわち70~80と更に描かれることができ、これらは個別的かつ集合的に添付の特許請求の範囲内であり、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に個別的及び/又は集合的に依拠する場合があり、それらに適切な根拠を提供し得る。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。
本発明の実施形態
第1の実施形態では、シリルエステル化合物を生成するための方法は、
1)出発物質であって、
(A)シリルヒドリド官能性シランモノマー及び/又はシリルヒドリド官能性シロキサンオリゴマー、
(B)式

(式中、Rは、水素及び1~8個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)のアリル(アルキル)アクリレート、及び
(C)出発物質(A)のシリルヒドリドの量に基づいて0.0000001モル%~10モル%のロジウム金属を提供するのに十分な量のロジウム触媒を含む、出発物質を合わせ、それによって(D)シリルエステル化合物を生成することを含む。
第2の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質(A)は、単位式(A1):(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2(式中、各Rは、独立して、1~8個の炭素原子のアルキル基及び1~8個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、量(b+d)=1及び4≧(a+b+c+d)≧2である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを含む。
第3の実施形態では、第2の実施形態の方法において、下付き文字a=2、d=1及びb=c=0であり、出発物質(A)は、式:

(式中、Rは上記のとおりである)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーである。
第4の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質(A)は、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン、1,1,3,3,3-ペンタメチルジシロキサン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
第5の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質(A)は、式:HSiR (式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される)のシランを含む。
第6の実施形態では、第5の実施形態の方法において、出発物質(A)は、トリメチルシラン、トリエチルシラン、トリプロピルシラン、トリブチルシラン、トリヘキシルシラン(trihexysilane)、トリオクチルシラン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
第7の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質(B)はアリル(メタ)アクリレートを含む。
第8の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質(C)はロジウムジホスフィン錯体を含む。
第9の実施形態では、第8の実施形態の方法において、ロジウムジホスフィン錯体は、式(C1):{[(R P)R(R P)]Rh(μ-R)}(式中、各Rは独立して選択される二価炭化水素基であり、各Rは独立して選択される一価炭化水素基であり、各Rは独立して選択される負に荷電した架橋配位子であり、各R10は独立して選択されるアニオンである)を有する。
第10の実施形態では、第9の実施形態の方法において、ロジウムジホスフィン錯体は、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロ二ロジウム及び[1,2-ビス(ジエチルホスピノ)エタン]ジクロロ二ロジウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
第11の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質(C)は、ホスフィン配位子を含まないロジウム錯体を含む。
第12の実施形態では、第11の実施形態の方法において、出発物質(C)は、(C3):[R Rh]R10、(C4):[Rh(R(u-R(下付き文字hは1~4であり、各Rは、独立して、1,5-シクロオクタジエン配位子、2,5-ノルボルナジエン配位子、エチレン配位子、シクロオクテン配位子及びアセチルアセトネート配位子からなる群から独立して選択され、R10はアニオンであり、Rは負に荷電した架橋配位子であり、下付き文字fは、1又は2であり、各Rは錯体から離れて活性化され得る配位子であり、下付き文字gは、1又は2である)、又は(C5)(C3)と(C4)との両方の組み合わせからなる群から選択される。
第13の実施形態では、第12の実施形態の方法において、出発物質(C)は、ロジウム1,5-シクロオクタジエンクロリド二量体を含む。
第14の実施形態では、第1の実施形態の方法において、工程1)で出発物質を合わせることは、50℃~60℃の温度で加熱することと、出発物質を混合することと、を含む。
第15の実施形態では、第1の実施形態の方法は、1分子当たり少なくとも1個の式:

(式中、Rは上記のとおりである)のケイ素結合基を有する、シリルエステル化合物を生成する。
第16の実施形態では、第15の実施形態の方法において、シリルエステル化合物は、単位式(D1):(R SiO1/2(R 11SiO1/2(R SiO2/2(R11SiO2/2(式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、量(b+d)=1及び4≧(a+b+c+d)≧2であり、R11は式:

の基であり、式中、Rは上記のとおりである)を含む。
第17の実施形態では、第16の実施形態の方法において、調製されるシリルエステル化合物は、式(D2):

(式中、R及びRは上記のとおりである)を有する。
第18の実施形態では、第15の実施形態の方法において、調製されるシリルエステル化合物は、式(D3):R11SiR (式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択され、R11は式

の基であり、式中、Rは上記のとおりである)を含む。
第19の実施形態において、シリルエステル保護生成物を生成するための方法は、
1)出発物質であって、
(A)シリルヒドリド官能性シランモノマー及び/又はシリルヒドリド官能性シロキサンオリゴマー、
(B)式

(式中、Rは、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)のアリル(アルキル)アクリレート、及び、
(C)出発物質(A)のシリルヒドリドの重量に基づいて0.0000001モル%~10モル%の量のロジウム触媒を含む、出発物質を合わせ、それによって(D)シリルエステル化合物を生成することと、
2)
工程1)で形成された(D)シリルエステル化合物、
1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する(E)有機ケイ素化合物、及び、
任意選択的に、0~1,000ppmの金属を提供する量の(F)ヒドロシリル化反応触媒を含む出発物質を合わせ、それによって(G)シリルエステル保護生成物を生成することと、を含む。
第20の実施形態では、第19の実施形態の方法において、(D)シリルエステル化合物は、1分子当たり少なくとも1個の、式:

(式中、Rは、水素及び1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)のケイ素結合基を有する。
第21の実施形態では、第20の実施形態の方法において、シリルエステル化合物は、単位式(D1):(R SiO1/2(R 11SiO1/2(R SiO2/2(R11SiO2/2(式中、各Rは、独立して、1~8個の炭素原子のアルキル基及び1~8個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、量(b+d)=1及び4≧(a+b+c+d)≧2であり、R11は式:

の基であり、式中、Rは上記のとおりである)を含む。
第22の実施形態では、第21の実施形態の方法において、シリルエステル化合物は式

(式中、R及びRは上記のとおりである)を有する。
第23の実施形態では、第20の実施形態の方法において、シリルエステル化合物は、式:R11SiR (式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、R11は式:

の基であり、式中、Rは上記のとおりである)を含む。
第24の実施形態では、カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を調製するための方法は、
1)出発物質であって、
(A)シリルヒドリド官能性シランモノマー及び/又はシリルヒドリド官能性シロキサンオリゴマー、
(B)式

(式中、Rは、水素及び1~8個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)のアリル(アルキル)アクリレート、及び
(C)出発物質(A)のシリルヒドリドの量に基づいて0.000001~10モル%の量のロジウム触媒を含む、出発物質を合わせ、それによって(D)シリルエステル化合物を生成することと、
2)
工程1)で形成された(D)シリルエステル化合物、
1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する(E)有機ケイ素化合物、及び、
任意選択的に、0~1,000ppmの金属を提供する量の(F)ヒドロシリル化反応触媒を含む出発物質を合わせ、それによって(G)シリルエステル保護生成物を生成することと、
3)工程2)で形成された(G)シリルエステル保護生成物と、(H)水及び/又はアルコールとを含む出発物質を合わせ、それによってカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を生成することと、を含む。
第25の実施形態では、第24の実施形態の方法において、(D)シリルエステル化合物は、1分子当たり少なくとも1個の、式:

(式中、Rは上記のとおりである)のケイ素結合基を有する。
第26の実施形態では、第25の実施形態の方法において、シリルエステル化合物は、単位式(D1):(R SiO1/2(R 11SiO1/2(R SiO2/2(R11SiO2/2(式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0、下付き文字d≧0であり、量(b+d)=1及び4≧(a+b+c+d)≧2であり、R11は式:

の基であり、式中、Rは上記のとおりである)を含む。
第27の実施形態では、第26の実施形態の方法において、シリルエステル化合物は、式

(式中、R及びRは上記のとおりである)を有する。
第28の実施形態では、第24の実施形態の方法において、シリルエステル化合物は、式(D3):R11SiR (式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、R11は式:

の基であり、式中、Rは上記のとおりである)を含む。
第29の実施形態では、第24の実施形態の方法は、4)工程3)で形成されたカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む。

Claims (10)

  1. 方法であって、出発物質であって、
    1)(A)シリルヒドリド官能性シランモノマー及び/又はシリルヒドリド官能性シロキサンオリゴマー、
    (B)式

    (式中、Rは、水素及び1~8個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される)のアリル(アルキル)アクリレート、及び、
    (C)出発物質(A)の量に基づいて0.0000001モル%~10モル%の量のロジウム触媒を含む、出発物質を合わせ、それによって(D)シリルエステル化合物を生成することを含む、方法。
  2. 前記出発物質(A)は、単位式(A1):(R SiO1/2(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2(式中、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択され、下付き文字aは0~2であり、下付き文字bは0~2であり、量(a+b)=2であり、下付き文字c≧0であり、下付き文字d≧0であり、量(b+d)=1及び4≧(a+b+c+d)≧2である)のオルガノハイドロジェンシロキサンオリゴマーを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 出発物質(A)は、式:HSiR (式中、各Rは、独立して、1~8個の炭素原子のアルキル基及び1~6個の炭素原子のハロゲン化アルキル基からなる群から選択される)のシランを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 出発物質(B)はアリル(メタ)アクリレートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 出発物質(C)は、式{[(R P)R(R P)]Rh(μ-R(式中、各Rは独立して選択される二価炭化水素基であり、各Rは独立して選択される一価炭化水素基であり、ただし、Rの2つは結合し、Pを含む複素環基を形成してもよく、各μ-Rは独立して選択される負に荷電した架橋配位子である)のロジウムジホスフィン触媒を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 出発物質(C)は、(C3)[Rh((μ-R)]、(C4)[R Rh]R10(式中、下付き文字hは1~4であり、各Rは、独立して、1,5-シクロオクタジエン配位子、2,5-ノルボルナジエン配位子、エチレン配位子、シクロオクテン配位子及びアセチルアセトネート配位子からなる群から選択され、R10はアニオンであり、μ-Rは負に荷電した架橋配位子である)及び(C5)(C3)と(C4)との両方の組み合わせからなる群から選択される式を有するロジウム触媒を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 工程1)の合わせることは、50℃~60℃の温度で加熱することと、前記出発物質を混合することと、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 2)工程1)で形成された(D)前記シリルエステル化合物、
    1分子当たり少なくとも1個のケイ素結合水素原子を有する(E)有機ケイ素化合物、及び、
    任意選択的に、0~1,000ppmの金属を提供する量の(F)ヒドロシリル化反応触媒を含む出発物質を合わせ、それによって(G)シリルエステル保護生成物を生成することを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 3)工程2)で形成された(G)前記シリルエステル保護生成物と、(H)水及び/又はアルコールとを含む出発物質を合わせ、それによってカルボキシ官能性有機ケイ素化合物を生成することを更に含む、請求項8に記載の方法。
  10. 4)工程3)で形成された前記カルボキシ官能性有機ケイ素化合物を回収することを更に含む、請求項9に記載の方法。
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