JP2023542354A - バイオマス由来成分を含むポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents

バイオマス由来成分を含むポリエステルおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、バイオマスから得られたジヒドロキシアルキルテトラヒドロフラン由来の繰り返し単位および短い分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位を含むことによって、炭素低減効果があり、既存のポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate、PET)に比べて透明性、耐衝撃性、柔軟性(Flexibility)、および弾性率に優れているため、包装(Packaging)用の新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能なポリエステルおよびその製造方法を提供する。

Description

本発明は、バイオマス由来成分を含むポリエステルおよびその製造方法に関し、より詳しくは、包装(Packaging)用新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能なポリエステルおよびその製造方法に関する。
現代社会においてプラスチックは、多様な方法で大量生産が可能であるだけでなく、軽量性、耐久性、価格競争力、耐薬品性および機械的性質に優れており、食品、薬品、農業用包装材、工業用包装材だけでなく、現代生活における人間の生活に広範囲に使用されている。
しかし、このようなプラスチック素材は、使用後に、埋立がされた際には地中で分解されずに残っているようになり、焼却された際にはダイオキシンなどのような有害ガスを発生させるようになる。
このようなプラスチックによる環境汚染は、現在、世界的に非常に憂慮すべき水準に到達しており、その解決のための一つの手段として、使い捨て用品に対する生分解性樹脂の開発および適用が活発に行われている。
生分解性樹脂は、土壌中または水中の微生物により水と二酸化炭素に最終分解される樹脂であり、今まで開発された生分解性樹脂は、乳酸またはラクチドを化学的触媒または酵素の存在下で開環反応させて合成したポリ乳酸(PLA)、イプシロンカプロラクトンモノマーから出発して化学的に合成したポリカプロラクトン、および、ジオール-ジカルボン酸系列の脂肪族ポリエステル、その他の微生物の体内合成で製造されるポリヒドロキシブチルレート(PHB)などがあり、この中の最も代表的な物質は、ポリ乳酸(PLA)と、ジオールとジカルボン酸の重合で得られる脂肪族(または脂肪族/芳香族)ポリエステルとであって、世界市場を両分している。
そのうちのポリ乳酸の場合、バイオマス資源に由来した最も環境にやさしい製品であるが、低い耐熱温度、強い脆性などの物性的な限界と遅い生分解速度により、その使用用途が制限的である。
これとは異なり、ジオールとジカルボン酸から製造される脂肪族(または脂肪族/芳香族)ポリエステルの場合、ポリエチレン及びポリプロピレンなどに類似の特性を有しているが、分解速度の制御が難しく、大部分の商品化された製品が、その化石原料資源由来原料から合成されている。しかし、前記脂肪族-芳香族コポリエステル樹脂は、有限の資源である石油資源の枯渇の問題および地球温暖化の問題の解決に役に立たず、環境にやさしくないという問題点がある。
前記問題点を解決するために、最近、二酸化炭素の排出による環境汚染と、化石原料の枯渇などの問題点などが発生する背景により、これらの原料も、バイオマス資源由来に転換する研究が活発に行われている。
しかし、前記バイオマス由来原料を利用した生分解性ポリエステル樹脂は、バイオマス由来原料に含まれている不純物により反応の完結度が低下することから、化石原料由来原料を用いたポリエステルに比べ、加水分解が簡単に起きて耐久性が低下し、既存のポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate、PET)に比べて透明性、耐衝撃性、柔軟性(Flexibility)、および弾性率などの物性がたりないという問題がある。
一実施形態の目的は、バイオ由来モノマー(Bio-derivative monomer)を含むことから炭素低減効果があり、既存のポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate、PET)に比べて、透明性、耐衝撃性、柔軟性(Flexibility)、および弾性率に優れているため、包装(Packaging)用の新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能なポリエステルを提供することにある。
他の一実施形態の目的は、前記ポリエステルの製造方法を提供することにある。
一実施形態によれば、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリエステルを提供する。
[化学式1]
前記化学式1で、前記A11、A12およびA13は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖の、炭素数1~15の2価の脂肪族炭化水素基であり、前記R11は、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり、前記n11は、前記繰り返し単位の繰り返し回数であり、前記n12は、0~6の整数である。
前記A13は、炭素数1~3の短い分岐鎖を有する、炭素数2~15の2価の脂肪族炭化水素基であり得る。
前記A13は、-CHR’-、-CR’-、-CHCHR’-、-CHCR’-、-CHCHCHR’-、-CHCHCR’-、-CHCHCHCHR’-、または-CHCHCHCR’-(R’はアルキル基である)であり得る。
前記化学式1で表される繰り返し単位は、下記化学式2で表され得る。
[化学式2]
前記化学式2で、前記R11およびR12は、それぞれ独立して、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり、前記n11は、前記繰り返し単位の繰り返し回数であり、前記n12は、0~6の整数である。
前記ポリエステルは、前記化学式1で表される繰り返し単位を前記ポリエステル全体に対して60モル%以上含むことができる。
前記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、またはこれらの混合物に由来する繰り返し単位をさらに含むことができる。
前記ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が40℃~100℃であり、重量平均分子量が6000g/mol~50000g/molであり得る。
他の実施形態によれば、下記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフラン(dihydroxyalkyl tetrahydrofuran)と、下記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸とを含む混合物を反応させて、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリエステルを製造する段階を含むポリエステルの製造方法を提供する。
[化学式3]
[化学式4]
[化学式1]
前記化学式1、化学式3および化学式4で、前記A11、A12およびA13は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖の、炭素数1~15の2価の脂肪族炭化水素基であり、前記R11は、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり、前記X31およびX32は、それぞれ独立してハロゲン基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基であり、前記n11は、前記繰り返し単位の繰り返し回数であり、前記n12は、0~6の整数である。
前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸は、少なくとも1個以上の炭素数1~3のアルキル基で置換された脂肪族ジカルボン酸であり、前記脂肪族ジカルボン酸は、マロン酸(malonic acid)、コハク酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、スベリン酸(suberic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、ウンデカン二酸(undecanedioic acid)、ドデカン二酸 (dodecanedioic acid)、マレイン酸(maleic acid)またはフマル酸(fumaric acid)であり得る。
前記少なくとも1個以上の炭素数1~3のアルキル基で置換された脂肪族ジカルボン酸は、アルキルマロン酸(alkylmalonic acid)、アルキルコハク酸(alkylsuccinic acid)、アルキルグルタル酸(alkylglutaric acid)、またはアルキルアジピン酸(alkyladipic acid)であり得る。
前記混合物は、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、またはこれらの混合物をさらに含むことができる。
前記反応は、前記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフランと、前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸とを含む混合物をエステル化反応させる段階、および前記エステル化反応生成物を重縮合触媒の存在下で重縮合する段階を含むことができる。
前記エステル化反応は、0kg/cm~10.0kg/cmの圧力、および、150℃~270℃の温度で行われ得る。
前記重縮合は、600mmHg~0.01mmHgの圧力、および、150℃~290℃の温度で、0.5時間~2.75時間行われ得る。
前記重縮合触媒は、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を含むことができる。
一実施形態によるポリエステルは、バイオ由来モノマー(Bio-derivative monomer)を含むことから炭素低減効果があり、既存のポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate、PET)に比べて透明性、耐衝撃性、柔軟性(Flexibility)、および弾性率に優れているため、包装(Packaging)用の新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能である。
化学式5の立体構造式のHOMO電子雲分布図である。 化学式5の立体構造式のLUMO電子雲分布図である。 化学式6の立体構造式のHOMO電子雲分布図である。 化学式6の立体構造式のLUMO電子雲分布図である。
以下で説明する技術の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付した図面と共に詳細に後述されている実施形態を参照すれば明確になる。しかし、具現される形態は、以下で開示される実施形態に限定されるのではないといえる。他の定義がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術および科学的用語を含む)は、当該技術分野で通常の知識を有する者に共通的に理解され得る意味として使用され得る。また一般に使用される辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
本明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、単数型は、文言で特に言及しない限り、複数型も含む。
本明細書で使用された用語「アルキル」は、他の説明がない限り、特定の数の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖をはじめとする飽和された1価の脂肪族炭化水素ラジカルを称する。アルキル基は、典型的に1個~20個の炭素原子(「C-C20アルキル」)、好ましくは1個~12個の炭素原子(「C-C12アルキル」)、より好ましくは1個~8個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、または1個~6個の炭素原子(「C-Cアルキル」)、または1~4個の炭素原子(「C-Cアルキル」)を含有する。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどを含む。アルキル基は、置換されたもの、または非置換のものであり得る。特に、異なるように特定されない限り、アルキル基は、一つ以上のハロゲンであり、アルキル残基上に存在する水素原子の総数まで置換され得る。したがって、C-Cアルキルは、ハロゲン化されたアルキル基、例えば、1個~4個の炭素原子を有するフッ化されたアルキル基、例えば、トリフルオロメチル(-CF)またはジフルオロエチル(-CHCHF)を含む。
本明細書で任意的に置換されると記述されたアルキル基は、一つ以上の置換基で置換され得、置換基は、異に説明されない限り、独立的に選択される。置換基の総数はこのような置換が化学的感覚を満足させる程度までアルキル残基上の水素原子の総数と同一である。任意的に置換されたアルキル基は、典型的に1個~6個の任意的な置換基、時々1個~5個の任意的な置換基、好ましくは1個~4個の任意的な置換基、より好ましくは1個~3個の任意的な置換基を含有することができる。
前記アルキル基に適した任意的な置換基は、非制限的に、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3員~12員ヘテロシクリル(heterocyclyl)、C-C12アリールおよび5員~12員ヘテロアリール、ハロ(halo)、=O(オキソ)、=S(チオノ; thiono)、=N-CN、=N-OR、=NR、-CN、-C(O)R、-CO、-C(O)NR、-SR、-SOR、-SO、-SONR、-NO、-NR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR、-NRC(O)OR、-NRSO、-NRSONR、-OR、-OC(O)Rおよび-OC(O)NRを含み、それぞれのRおよびRは、独立に、水素(H)、C-Cアルキル、C-Cアシル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3員~12員ヘテロシクリル、C-C12アリールまたは5員~12員ヘテロアリールであるか、RおよびRは、これらが結合されたN原子と共に3員~12員ヘテロシクリルまたは5員~12員ヘテロアリール環を形成することができ、それぞれは任意にO、NおよびS(O)(ここで、qは0~2である)から選択される1個、2個または3個の追加のヘテロ原子を含有することができ;それぞれのRおよびRは、ハロ(halo)、=O、=S、=N-CN、=N-OR’、=NR’、-CN、-C(O)R’、-COR’、-C(O)NR’、-SOR’、-SOR’、-SONR’、-NO、-NR’、-NR’C(O)R’、-NR’C(O)NR’、-NR’C(O)OR’、-NR’SOR’、-NR’SONR’、-OR’、-OC(O)R’および-OC(O)NR’からなる群より独立に選択される1個~3個の置換基でもって任意に置換され、ここで、それぞれのR’は、独立に、水素(H)、C-Cアルキル、C-Cアシル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3員~12員ヘテロシクリル、C-C12アリールまたはC-C12ヘテロアリールであり;それぞれの前記C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、3員~12員ヘテロシクリル、C-C12アリールおよび5員~12員ヘテロアリールは、本願に追加的に定義されたとおり任意に置換され得る。
本明細書で使用された用語「2価の脂肪族炭化水素(つまり、アルキレン)」は、他の説明がない限り、2個の異なる基を共に連結することができる、特定数の炭素原子を有する2価のヒドロカルビル基を称する。しばしば、アルキレンは、(CH-(この時、nは1~8であり、好ましくはnが1~4である)を称する。特定される場合、アルキレンはまた、他の基で置換され得るのであって、少なくとも1つの不置換のドメイン(つまり、アルケニレンまたはアルキニレン残基)または環を含むことができる。アルキレンの開放原子価は鎖の反対側の端部である必要はない。したがって、分岐されたアルキレン基、例えば、-CH(Me)-、-CHCH(Me)-および-C(Me)-がまた用語「アルキレン」の範疇に含まれ、環状基、例えばシクロプロパン-1,1-ジイル、および、不飽和基、例えばエチレン(-CH=CH-)またはプロピレン(-CH-CH=CH-)も、同様である。アルキレン基は、アルキルに適したものであり、本願に記述されたものと同じ基により置換されたもの、または非置換のものである。
本明細書で使用された用語「ハロ」または「ハロゲン」は、他の説明がない限り、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)を称する。
本明細書で使用された用語「ヒドロキシ」は、他の説明がない限り、-OH基を称する。
本明細書で使用された用語「アルコキシ」は、他の説明がない限り、アルキル部分が特定数の炭素原子を有する1価-O-アルキル基を称する。アルコキシ基は、典型的に、1個~8個の炭素原子(「C-Cアルコキシ」)、または1個~6個の炭素原子(「C-Cアルコキシ」)、または1個~4個の炭素原子(「C-Cアルコキシ」)を有する。例えば、C-Cアルコキシは、メトキシ(-OCH)、エトキシ(-OCHCH)、イソプロポキシ(-OCH(CH)、tert-ブチルオキシ(-OC(CH)などを含む。アルコキシ基は、アルキルに適したものであり、本願に記述されたものと同じ基によりアルキル部分上で置換されるか非置換である。特に、アルコキシ基は、アルキル部分上に存在する水素原子の総数まで、一つ以上のハロ原子、特に一つ以上のフルオロ原子で任意に置換され得る。このような基は、特定の数の炭素原子を有し、一つ以上のハロ置換基で置換された「ハロアルコキシ」、例えばフッ化された場合、より具体的に「フルオロアルコキシ」基と称され、典型的に、このような基は、1個~6個の炭素原子、好ましくは1個~4個の炭素原子、しばしば1個または2個の炭素原子、および1個、2個または3個のハロ原子を含有する(つまり、「C-Cハロアルコキシ」、「C-Cハロアルコキシ」または「C-Cハロアルコキシ」)。より具体的に、フッ化されたアルキル基は、典型的に、1個、2個または3個のフルオロ原子で置換されたフルオロアルコキシ基、例えば、C-C、C-CまたはC-Cフルオロアルコキシ基と、具体的に称され得る。したがって、C-Cフルオロアルコキシは、トリフルオロメチルオキシ(-OCF)、ジフルオロメチルオキシ(-OCFH)、フルオロメチルオキシ(-OCFH)、ジフルオロエチルオキシ(-OCHCFH)などを含む。
本明細書で使用された用語「任意に置換された」および「置換された、または非置換の」は、記述された特定の基が非置換の水素基(つまり、非置換の)を全く有さないのでありうるとか、前記基が一つ以上の非水素の置換基(つまり、置換された)を有しうるということを示すために、相互交換的に使用される。異なるように特定されない限り、存在しうる置換基の総数は、記述された基における、非置換の形態上に存在するH原子の数と同一である。任意的な置換基が二重結合を通じて結合される場合(例えば、オキソ(=O)置換基)、前記基は、利用可能な原子価を占有することから、含まれる他の置換基の総数は2だけ減少する。任意的な置換基が、代替物のリストから独立に選択される場合、選択された基は、同一かまたは異なる。本明細書の全般にわたって、任意的な置換基の数および性質は、このような置換が、化学的感覚を満足させる程度までに制限されるということを理解するであろう。
本明細書における化学式の両末端で表示された*は、隣接する他の化学式と連結されることを表示したものである。
一実施形態によれば、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリエステルを提供する。
[化学式1]
前記化学式1で、前記A11、A12およびA13は、それぞれ独立して直鎖または分岐鎖の炭素数1~15の2価脂肪族炭化水素基である。
例えば、前記A11およびA12は、それぞれ独立して直鎖の炭素数1~3の2価の脂肪族炭化水素基であり得るのであり、一例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、またはイソプロピレン基であり得る。
例えば、前記A13は、炭素数1~3の短い分岐鎖を有する炭素数2~15の2価脂肪族炭化水素基であり得るのであって、ここで、前記短い分岐鎖を有する2価の脂肪族炭化水素基は、少なくとも1個以上の炭素数1~3のアルキル基で置換された2価の脂肪族炭化水素基を意味し得るのであり、一例として、分岐されたアルキレン基、つまり、-CHR’-、-CR’-、-CHCHR’-、-CHCR’-、-CHCHCHR’-、-CHCHCR’-、-CHCHCHCHR’-、または-CHCHCHCR’-(R’はアルキル基である)などであり得るのであり、より具体的に、-CH(Me)-、-C(Me)-、-CHCH(Me)-、-CHC(Me)-、-CHCHCH(Me)-、-CHCHC(Me)-、-CHCHCHCH(Me)-、または-CHCHCHC(Me)-(Meはメチル基である)などであり得る。
前記A13と、前記A13の両側に位置するエステル基(OC(=O))は、脂肪族ジカルボン酸に由来したものであり得る。例えば、前記脂肪族ジカルボン酸は、マロン酸(malonic acid)、コハク酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、スベリン酸(suberic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、ウンデカン二酸(undecanedioic acid)、ドデカン二酸 (dodecanedioic acid)、マレイン酸(maleic acid)またはフマル酸(fumaric acid)であり得るのであり、前記A13が前記炭素数1~3の短い分岐鎖を有する場合、前記脂肪族ジカルボン酸は、アルキルマロン酸(alkylmalonic acid)、アルキルコハク酸(alkylsuccinic acid)、アルキルグルタル酸(alkylglutaric acid)、またはアルキルアジピン酸(alkyladipic acid)であり得る。
前記化学式1で、前記R11は、前記テトラヒドロフラン基の置換基を示し、例えばハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり得るのであり、前記n12は、0~6の整数であり得る。前記n12が0である場合は、前記テトラヒドロフランが水素だけで置換された場合である。
前記化学式1で、前記n11は、前記繰り返し単位の繰り返し回数を示し、前記n11は、前記ポリエステルの重量平均分子量などにしたがって適切に調節することができるのであり、一例として、1以上であり、30~80、または100~200であり得るが、本発明はこれに限定されない。
前記化学式1で表される繰り返し単位は、下記化学式2で表され得る。前記化学式2は、前記化学式1における前記A11およびA12がメチレン基であり、前記A13が-CHCHR’-である場合である。
[化学式2]
前記化学式2において、前記R11、n11、およびn12は、前記化学式1で説明したものと同一であるため、反復的な説明は省略する。
前記化学式2において、前記R12は、前記A13の炭素数1~3の短い分岐鎖を示すものであり、一例として、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり得る。
前記ポリエステルは、前記化学式1で表される繰り返し単位を、前記ポリエステルの全体に対して60モル%以上含むことができ、例えば、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、または最大には100モル%含むことができる。
そのために、前記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、またはこれらの混合物に由来する繰り返し単位をさらに含むことができる。これらについての説明は、前記ポリエステルの製造方法の部分で後述する。
前記ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が40℃~100℃であり得るのであり、例えば、40℃~60℃、または60℃~80℃であり得る。
前記ガラス転移温度が40℃未満であれば、常温での物性や、熱的安定性を有することができず、包装材として使用するためのポリエステルのフィルム化の加工工程に限界があり得る。また、前記ガラス転移温度が100℃を超えるためには、分子構造の密度が高くならなければならないが、この場合、前記ポリエステルの結晶性が共に高くなるため、透明性が低下しうる。
前記ポリエステルは、重量平均分子量が6000g/mol~50000g/molであり得るのであり、例えば、6000g/mol~20000g/mol、または25000g/mol~50000g/molであり得る。重量平均分子量が6000g/mol未満であれば、包装材として使用するためのフィルム化加工が難しく、所望のモジュラスを達成できないのであり得るのであり、50000g/molを超える場合、粘度が高くなって生産性が低下し得る。
前記ポリエステルは、バイオマスで得られたジヒドロキシアルキルテトラヒドロフラン由来の繰り返し単位を含むことによって炭素低減効果がある。また、前記ポリエステルは、短い分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位を含むことによって、前記短い分岐鎖がポリエステル重合時に立体障害を起こして、前記ポリエステルの結晶性を低めることによって、高分子の透明性を増大させることができる。
また、前記繰り返し単位を含むポリエステルは、既存のPETに比べて低いガラス転移温度(Tg)を保有することから、優れた耐衝撃性、柔軟性(Flexibility)、および弾性率を有することによって、包装(Packaging)用の新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能である。
他の実施形態によれば、下記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフラン(dihydroxyalkyl tetrahydrofuran)と、下記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸とを含む混合物を反応させることで、下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリエステルを製造する段階、を含むポリエステルの製造方法を提供する。
[化学式3]
[化学式4]
[化学式1]
前記化学式1、化学式3および化学式4において、前記A11、A12、A13、R11、n11、およびn12は、前記化学式1にて説明したものと同一であるため、反復的な説明は省略する。
前記化学式4において、前記X31およびX32は、前記化学式3のヒドロキシ基(OH)と反応できる作用基であれば特に制限されないが、ハロゲン基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基であり得る。
前記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフランは、バイオマスに由来したものであって、下記反応式1によりブドウ糖(glucose)または果糖(fructose)といった六炭糖から直接得ることができる。合成工程および分離段階に応じて、ジヒドロキシアルキルテトラヒドロフランは、シス(cis)立体異性体、トランス(trans)立体異性体、またはこれらの混合物(シス:トランス=0.1:99.9~99.9:0.1(重量%))を含みうる。
[反応式1]
前記バイオマスから得られたジヒドロキシアルキルテトラヒドロフランを利用してポリエステルを製造する場合、炭素を低減する効果を得ることができる。
前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸は、炭素数1~3の短い分岐鎖を有する炭素数2~15の2価脂肪族炭化水素基であり得、ここで前記短い分岐鎖を有する2価の脂肪族炭化水素基は、少なくとも1個以上の炭素数1~3のアルキル基で置換された2価の脂肪族炭化水素基を意味し得るのであり、前記脂肪族ジカルボン酸は、マロン酸(malonic acid)、コハク酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、スベリン酸(suberic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、ウンデカン二酸(undecanedioic acid)、ドデカン二酸 (dodecanedioic acid)、マレイン酸(maleic acid)またはフマル酸(fumaric acid)であり得る。
具体的に、前記少なくとも1個以上の炭素数1~3のアルキル基で置換された脂肪族ジカルボン酸は、アルキルマロン酸(alkylmalonic acid)、アルキルコハク酸(alkylsuccinic acid)、アルキルグルタル酸(alkylglutaric acid)、またはアルキルアジピン酸(alkyladipic acid)であり得、より具体的にメチルマロン酸(methylmalonic acid)、メチルコハク酸(methylsuccinic acid)、メチルグルタル酸(methylglutaric acid)、またはメチルアジピン酸(methyladipic acid)であり得る。
前記ポリエステルが前記短い分岐鎖を有する脂肪族ジカルボン酸由来の繰り返し単位を含むことによって、前記短い分岐鎖がポリエステル重合時に立体障害を起こすことから、前記ポリエステルの結晶性を低めることによって、高分子の透明性を増大させることができる。
また、前記繰り返し単位を含むポリエステルは、既存のPETに比べて低いガラス転移温度(Tg)を保有することから、優れた耐衝撃性、柔軟性(Flexibility)、および弾性率を有することによって、包装(Packaging)用の新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能である。
一方、前記混合物は、前記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフラン以外に、追加的なジオール成分として、芳香族ジオールおよび脂肪族ジオールをさらに含むことができる。
前記芳香族ジオールは、炭素数8~40、一例として、炭素数8~33の芳香族ジオール化合物を含むことができる。このような芳香族ジオール化合物の例としては、ポリオキシエチレン-(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン-(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン-(2.2)-ポリオキシエチレン-(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-(2.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン-(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン-(2.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン-(2.4)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン-(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-(3.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどの、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが付加されたビスフェノールA誘導体が、すなわち、ポリオキシエチレン-(n)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン-(n)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンまたはポリオキシプロピレン-(n)-ポリオキシエチレン-(n)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられうる。前記nは、ポリオキシエチレンまたはポリオキシプロピレンユニット(unit)の個数(number)を意味する。
前記脂肪族ジオールは、炭素数2~20、一例として炭素数2~12の脂肪族ジオール化合物を含むことができる。このような脂肪族ジオール化合物の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオ-ル(1,2-プロパンジオ-ル、1,3-プロパンジオ-ルなど)、1,4-ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール(1,6-ヘキサンジオールなど)、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオ-ル)、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、テトラメチルシクロブタンジオールなどの、線状、分岐状または環状の脂肪族ジオール成分が挙げられうる。
前記混合物は、全体のジオール成分中に、前記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフラン10モル%~90モル%、または40モル%~85モル%、および残量の前記追加的なジオール成分を含むことができる。前記追加的なジオール成分をさらに含む場合、前記ポリエステルは、機械的物性および耐熱性などを追加的に向上することができる。
また、前記混合物は、前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸以外に、追加的な芳香族ジカルボン酸成分をさらに含むことができる。
前記芳香族ジカルボン酸は、炭素数8~20、好ましくは炭素数8~14の芳香族ジカルボン酸、またはこれらの混合物であり得る。前記芳香族ジカルボン酸は、一例として、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、4,4’-スチルベンジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、2,5-チオフェンジカルボン酸などであり得る。
具体的に、前記芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸を含むことができ、前記テレフタル酸は、テレフタル酸などのジカルボン酸、そのアルキルエステル(モノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルまたはジブチルエステルなど炭素数1~4の低級アルキルエステル)および/またはこれらの酸無水物(acid anhydride)を含むのであり、ジオール成分と反応してテレフタロイル部分(terephthaloyl moiety)などのジカルボン酸部分(dicarboxylic acid moiety)を形成することができる。
前記混合物は、全体のジカルボン酸成分中に、前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸70モル%~100モル%、および残量の前記芳香族ジカルボン酸を含むことができる。
前記反応は、前記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフランと、前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸とを含む混合物をエステル化反応させる段階、および、前記エステル化反応生成物を重縮合触媒の存在下で重縮合する段階を含むことができる。
前記エステル化反応段階は、前記ジオール成分とジカルボン酸成分を0kg/cm~10.0kg/cmの圧力および150℃~270℃の温度で反応させることによって行われ得る。前記エステル化反応条件は、製造されるポリエステルの具体的な特性、ジカルボン酸成分とジオールとのモル比、または工程条件などに応じて、適切に調節され得る。具体的に、前記エステル化反応条件の好ましい例として、200℃~270℃、または220℃~260℃の温度が挙げられる。
前記エステル化反応の温度が過度に低ければ、反応収率が低いか、十分な反応が起こりえず、最終製造されるポリエステルの物性が低下しうる。前記エステル化反応の温度が過度に高ければ、製造されるポリエステルの外観が黄変(yellow)になる可能性が高くなるか、解重合反応が行われて前記製造方法におけるポリエステル樹脂が合成されないのでありうる。
前記エステル化交換反応は、バッチ(batch)式または連続式で行われ、それぞれの原料は別途に投入され得るが、一例として、前記ジオール成分にジカルボン酸成分を混合したスラリー形態で投入することができる。そして、常温で固形分であるジオール成分は、水またはエチレングリコールなどの溶媒に溶解した後、ジカルボン酸成分に混合して、スラリーとすることができる。
前記エステル化反応に参加するジカルボン酸成分とジオール成分とのモル比は、1:1.05~1:3.0であり得る。前記ジカルボン酸成分とジオール成分とのモル比が1.05未満であれば、重合反応時に未反応ジカルボン酸成分が残留して、ポリマーの透明性が低下しうるのであり、前記モル比が3.0を超える場合、重合反応速度が低くなるか、ポリマーの生産性が低下しうる。
前記エステル化反応は、亜鉛系化合物を含むエステル化反応触媒の存在下で行われることもありうる。前記亜鉛系化合物は、一例として、亜鉛アセテート、亜鉛アセテートジヒドロレート、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛またはこれらの混合物であり得る。
前記エステル化反応触媒は、合成されるポリエステル中の中心金属原子を基準として、1ppm~100ppmで使用することができる。前記エステル化反応触媒の含有量が過度に小さければ、前記エステル化反応の効率が大きく向上し難いのでありうるのであり、反応に参加しない反応物の量が大きく増えるのでありうる。また、前記エステル化反応触媒の含有量が過度に多ければ、製造されるポリエステルの外観物性が低下しうる。
前記エステル化反応の結果物を重縮合させる段階は、重縮合触媒の存在下で、600mmHg~0.01mmHgの圧力および150℃~290℃の温度にて、0.5時間~2.75時間で行われ得る。
前記重縮合反応が150℃未満で行われる場合、重縮合反応の副産物であるグリコールを効果的に系外に除去することができず、最終反応生成物の固有粘度が低いため、製造されるポリエステルの物性が低下しうる。前記重縮合反応が290℃を超えて行われる場合、製造されるポリエステルの外観が黄変(yellow)になる可能性が高くなるか、解重合反応が行われてポリエステルが合成されないのでありうる。
前記重縮合触媒は、前記重縮合反応の開始前に、前記エステル化反応の生成物に添加されうるのであり、前記エステル化反応前に、前記ジオール成分およびジカルボン酸成分を含む混合物に添加されうるのであり、前記エステル化反応段階の途中に添加されることもありうる。
前記重縮合触媒としては、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を使用することができる。
前記チタン系化合物としては、テトラエチルチタネート、アセチルトリプロピルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ポリブチルチタネート、2-エチルヘキシルチタネート、オクチレングリコールチタネート、ラクテートチタネート、トリエタノールアミンチタネート、アセチルアセトネートチタネート、エチルアセトアセチックエステルチタネート、イソステアリルチタネート、チタンジオキシド、チタンジオキシド/シリコンジオキシド共重合体、チタンジオキシド/ジルコニウムジオキシド共重合体などが挙げられうる。
前記ゲルマニウム系化合物としては、ゲルマニウムジオキシド(germaniumdioxide、GeO)、ゲルマニウムテトラクロリド(germanium tetrachloride、GeCl)、ゲルマニウムエチレングリコキシド(germanium ethyleneglycoxide)、ゲルマニウムアセテート(germanium acetate)、これらを利用した共重合体、これらの混合物などが挙げられうる。
一方、前記製造方法は、前記エステル化反応の前または中間に、または前記重縮合反応の中間に、選択的に安定剤または呈色剤をさらに添加することができる。
前記安定剤は、最終製造されるポリエステルの物性などを考慮して選択され得るのであり、例えばリン系安定剤を使用することができる。このようなリン系安定剤としては、リン酸、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスホノアセテート、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。前記安定剤は、合成されるポリマーの全体重量に対して10ppm~300ppm、または20ppm~200ppmの量で使用することができる。
前記呈色剤は、コバルトアセテートなどのコバルト化合物であるか、有機着色剤であり得る。このような有機着色剤は、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物、ぺリノン系化合物、メチン系化合物、フタロシアニン系化合物、アントラピリドン系化合物、ペリミジン系化合物またはこれらの2種以上の混合物を含むことができる。前記呈色剤は、製造される樹脂全体重量に対して1ppm~100ppmの量で使用することができる。
[実施例]
以下、発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載された実施例は、発明を具体的に例示したり説明するためのものに過ぎず、これにより発明の範囲が制限されてはならない。
[製造例:ポリマーの合成]
(実施例1:バイオマス基盤ポリエステルの合成)
10L反応器にテトラヒドロフランジメタノール(tetrahydrofuran dimethanol、THFDM)1750g(35モル%)とメチルコハク酸(Methylsuccinic acid)3250g(65モル%)を混合してスラリーを形成した。
前記スラリーを常温条件で窒素を1.5barまでバブリングして反応器内に満たした後、常圧まで低める過程を5分間繰り返した(5回反復)。そして、前記過程以降、反応器内部を10torr~100torrまで減圧し、真空ポンプを連結して5分間スラリーの溶存酸素を除去した。このような過程を3回繰り返した。
そして、前記ジカルボキシレートとジオールとを混合したスラリーに亜鉛アセテート触媒を50ppm投入した後、240℃で1.5時間、エステル化反応を進行した。
前記エステル化反応の結果物を真空設備付き縮重合反応器に移送した後、290℃に昇温させ、縮合されながら発生する低分子量の副産物を除去するために、1時間にかけて、圧力を順次に1torr以下まで減圧しながら縮重合反応を進行した。粘度が急激に上昇する地点にて縮重合反応を終え、下記化学式5で表される繰り返し単位を含むバイオマス基盤ポリエステル重合物を製造した(n=40)。
[化学式5]
(比較例1:ポリエチレンテレフタレートの合成)
前記実施例1で、前記テトラヒドロフランジメタノールの代わりにエチレングリコールを使用し、前記メチルコハク酸の代わりにテレフタル酸を使用したことを除き、前記実施例1と同様に実施して、下記化学式6で表される繰り返し単位を含むポリエチレンテレフタレート(PET)を製造した(n=40)。
[化学式6]
[実験例:ポリエステルの物性測定]
前記実施例1および比較例1で製造したポリマーの高分子の電子分布図をJaguar(B3LYP/6-31G**、298.15K、1atm)を利用して測定し、その結果を図1~4および表1に示した。
図1は化学式5の立体構造式のHOMO電子雲分布図であり、図2は化学式5の立体構造式のLUMO電子雲分布図であり、図3は化学式6の立体構造式のHOMO電子雲分布図であり、図4は化学式6の立体構造式のLUMO電子雲分布図である。
また、前記実施例1および比較例1で製造したポリマーのガラス転移温度およびヤング率を測定し、その結果も表1に示した。
ガラス転移温度は、高分子重合物の一部をサンプリングした後、示差走査熱量計(differential scanning calorimeter:DSC)を用いて測定した。具体的に、分析条件は、窒素気流下で25℃~200℃、昇温速度10℃/minにし、曲線のヒートフロー(heat flow)が急激に変わる温度の開始地点と、終了温度との中間の値としてガラス転移温度を決定した。
高分子ヤング率は、ASTM D 412の方法に基づいて、万能試験器(UTM)を通じて測定した。具体的に、高分子重合物で製造したフィルムを試片にして500mm/minの速度で分析した応力-変形率曲線上における初期0.5%変形率区間の傾きを計算した。
また、前記実施例1および比較例1で製造したポリマーの高分子の透明度をASTMD1003に基づいて、ヘイズメーター(製造会社:Nippon Denshoku、製品名:NDH5000W)を使用し、2.0mm厚さの試片の光透過率(全光線透過率:total light transmittance)を測定し、その結果も表1に示した。
前記図1~図4および表1を参照すれば、前記実施例1で製造されたポリエステルは、前記比較例1で製造されたポリエチレンテレフタレートと比較して、ガラス転移温度が低く、ヤング率と透明度は高いことが分かり、前記実施例1では、前記比較例1より高い収率でポリエステルを得ることができた。
結果的に、本発明のポリエステルは、バイオ由来モノマー(Bio-derivative monomer)を含むことで炭素低減効果があり、既存のポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate、PET)に比べて、透明性、耐衝撃性、柔軟性(Flexibility)、および弾性率に優れているため、包装(Packaging)用の新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能することが分かる。
本発明は、バイオマス由来成分を含むポリエステルおよびその製造方法に関し、包装(Packaging)用の新規バイオマスPET(Biomass PET)として活用可能である。

Claims (15)

  1. 下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリエステル。
    [化学式1]

    (前記化学式1で、
    前記A11、A12およびA13は、それぞれ独立して、直鎖または分岐鎖の炭素数1~15の2価の脂肪族炭化水素基であり、
    前記R11は、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり、
    前記n11は、前記繰り返し単位の繰り返し回数であり、
    前記n12は、0~6の整数である。)
  2. 前記A13は、炭素数1~3の短い分岐鎖を有する、炭素数2~15の2価の脂肪族炭化水素基である、請求項1に記載のポリエステル。
  3. 前記A13は、-CHR’-、-CR’-、-CHCHR’-、-CHCR’-、-CHCHCHR’-、-CHCHCR’-、-CHCHCHCHR’-、または-CHCHCHCR’-(R’はアルキル基である)である、請求項2に記載のポリエステル。
  4. 前記化学式1で表される繰り返し単位は、下記化学式2で表される、請求項1に記載のポリエステル。
    [化学式2]

    (前記化学式2で、
    前記R11およびR12は、それぞれ独立してハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり、
    前記n11は、前記繰り返し単位の繰り返し回数であり、
    前記n12は、0~6の整数である。)
  5. 前記ポリエステルは、前記化学式1で表される繰り返し単位を前記ポリエステルの全体に対して60モル%以上含む、請求項1に記載のポリエステル。
  6. 前記ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、またはこれらの混合物に由来する繰り返し単位をさらに含む、請求項5に記載のポリエステル。
  7. 前記ポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が40℃~100℃であり、
    重量平均分子量が6000g/mol~50000g/molである、請求項1に記載のポリエステル。
  8. 下記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフラン(dihydroxyalkyl tetrahydrofuran)と、
    下記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸を含む混合物を反応させて、
    下記化学式1で表される繰り返し単位を含むポリエステルを製造する段階を含むポリエステルの製造方法。
    [化学式3]

    [化学式4]

    [化学式1]

    (前記化学式1、化学式3および化学式4で、
    前記A11、A12およびA13は、それぞれ独立して直鎖または分岐鎖の炭素数1~15の2価の脂肪族炭化水素基であり、
    前記R11は、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアルキル基であり、
    前記X31およびX32は、それぞれ独立してハロゲン基、ヒドロキシ基、またはアルコキシ基であり、
    前記n11は、前記繰り返し単位の繰り返し回数であり、
    前記n12は、0~6の整数である。)
  9. 前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸は、少なくとも1個以上の炭素数1~3のアルキル基で置換された脂肪族ジカルボン酸であり、
    前記脂肪族ジカルボン酸は、マロン酸(malonic acid)、コハク酸(succinic acid)、グルタル酸(glutaric acid)、アジピン酸(adipic acid)、ピメリン酸(pimelic acid)、スベリン酸(suberic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸(sebacic acid)、ウンデカン二酸(undecanedioic acid)、ドデカン二酸 (dodecanedioic acid)、マレイン酸(maleic acid)またはフマル酸(fumaric acid)である、請求項8に記載のポリエステルの製造方法。
  10. 前記少なくとも1個以上の炭素数1~3のアルキル基で置換された脂肪族ジカルボン酸は、アルキルマロン酸(alkylmalonic acid)、アルキルコハク酸(alkylsuccinic acid)、アルキルグルタル酸(alkylglutaric acid)、またはアルキルアジピン酸(alkyladipic acid)である、請求項9に記載のポリエステルの製造方法。
  11. 前記混合物は、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、またはこれらの混合物をさらに含む、請求項8に記載のポリエステルの製造方法。
  12. 前記反応は、前記化学式3で表されるジヒドロキシアルキルテトラヒドロフランと、前記化学式4で表される脂肪族ジカルボン酸とを含む混合物をエステル化反応させる段階、および
    前記エステル化反応生成物を重縮合触媒の存在下で重縮合する段階を含む、請求項8に記載のポリエステルの製造方法。
  13. 前記エステル化反応は、0kg/cm~10.0kg/cmの圧力および150℃~270℃の温度で行われる、請求項12に記載のポリエステルの製造方法。
  14. 前記重縮合は、600mmHg~0.01mmHgの圧力および150℃~290℃の温度で0.5時間~2.75時間行われる、請求項12に記載のポリエステルの製造方法。
  15. 前記重縮合触媒は、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物、アンチモン系化合物、アルミニウム系化合物、スズ系化合物またはこれらの混合物を含む、請求項12に記載のポリエステルの製造方法。
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