JP2023538807A - 補体因子c3の阻害剤及びそれらの医学的使用 - Google Patents

補体因子c3の阻害剤及びそれらの医学的使用 Download PDF

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Abstract

13アミノ酸コンプスタチンペプチドと比較して向上した物理化学的特性、例えば増大した安定性及び/又は溶解性を有するコンプスタチン類似体、特に有用な結合性及び補体阻害活性を追加的に有するコンプスタチン類似体が記載される。これらの類似体は、システイン残基の硫黄原子間にアルキレン架橋を有し、且つ野生型バリン残基の代わりに3位にイソロイシン残基を有するバリアントを含み、これは、向上した結合性及び補体阻害活性を有するコンプスタチンペプチドを提供し、且つ他の修飾、例えば安定性を増大させることができる修飾の導入、例えば11位でのリシン又はセリンの導入も可能にする。TIFF2023538807000028.tif90136

Description

発明の分野
本発明は、体内の補体カスケードの活性化を阻害することに関し、より詳細には、C3タンパク質に結合し、且つ補体活性化を阻害することができるコンプスタチン類似体に関する。本発明は、特に、補体カスケード、例えば自己免疫疾患及び炎症性疾患の不所望な活性化によって特徴付けられる症状の処置のための、コンプスタチン類似体の医学的使用にも関する。
背景
ヒト補体系は、病原性生物に対する防御及び免疫応答の媒介における強力なプレイヤーである。補体は、3つの異なる経路:古典経路、レクチン経路及び副経路を介して活性化され得る。3つすべての経路によって共有される主要な活性化事象は、補体系の中心タンパク質C3の、その活性化生成物C3a及びC3bへのC3転換酵素によるタンパク質分解性切断である。これらの断片の生成は、C3b及びiC3bによる病原性細胞のオプソニン化(病原性細胞をファゴサイトーシス又はクリアランスに対して感受性にするプロセス)及び補体との相互作用による免疫細胞の活性化に至る。標的細胞上でのC3bの堆積は、新しい転換酵素複合体の形成も誘導し、これにより自己増幅ループを開始する。血漿及び細胞表面結合タンパク質のアンサンブルは、宿主細胞を補体カスケードによる自己攻撃から予防するように補体活性化を慎重に調節する。しかしながら、補体の過剰な活性化又は不適切な調節は、自己免疫疾患から炎症性疾患に及ぶいくつかの病状に至るおそれがある。従って、治療補体阻害剤の開発が非常に所望される。これに関連して、C3及びC3bは、有望な標的として明らかになった。なぜなら、カスケードにおけるそれらの中心的役割は、補体の開始、増幅及び下流活性化の同時阻害を可能にするためである。
治療の可能性を考慮して、補体因子C3の阻害剤をさらに最適化すること、例えばさらに大きい活性を達成すること並びに/又は薬物動態学的特性、例えば増大したインビボ半減期及び/若しくは物理化学的特性、例えば増大した安定性及び/若しくは溶解性を調節することは、依然として当技術分野における課題である。
概要
概括的に、本発明は、コンプスタチンで見られるジスルフィド結合の代わりに、システイン残基の硫黄原子間にアルキレン架橋を有するコンプスタチン類似体に関する。これらのコンプスタチン類似体は、コンプスタチンと比較して向上した物理化学的安定性、例えば増大した安定性及び/又は溶解性を有する。利点のうち、これは、対応する位置にジスルフィド結合を含有する均等な分子と比較して、安定性(例えば、物理的又は化学的安定性)の向上を提供し得ると考えられる。安定性の増大は、ジスルフィド結合の代わりとなるアルキレン架橋の組込みに起因する絶対的な効力のいかなる低下も補い得るため、これらのコンプスタチン類似体は、とりわけインビボにおいて、13アミノ酸コンプスタチンペプチド(ICVVQDWGHHRCT(環状C2-C12)と比較して向上した結合性及び補体阻害活性を追加的に有し得る。例えば、チオアセタール連結(例えば、メチレンチオアセタール)の使用により、2位及び12位のシステイン残基間にそのようなアルキレン結合(架橋)を導入することは、従って、コンプスタチン類似体の全体的な物理化学的特性を向上させる。
アルキレン架橋は、ジスルフィド架橋と比較して、2つの硫黄原子間に追加的な脂肪族炭素を導入する。アルキレン架橋は、適切には、C1~3アルキレンであり、これは、置換され得る。好ましい架橋は、2つの硫黄原子間のC-アルキレン、好ましくはメチレンである。すなわち、好ましくは、メチレンチオアセタール連結(-S-CH-S-)がシステイン残基間にある。メチレン部分の追加は、架橋の長さを約1.6オングストローム長くし、追加的な自由度を導入する。分子動態シミュレーションから、本発明者らは、チオアセタール架橋を有するコンプスタチン類似体が、C3に結合したコンプスタチンの結晶構造(pdb-コード:2QKI)で見られる類似する二次構造を維持し得ることを認める。追加的な分子動態シミュレーションから、本発明者らは、チオアセタール架橋を有するコンプスタチン類似体が、コンプスタチンについて確認されるものと同じC3との分子間相互作用を維持し得ることを確認した。同じシミュレーションにおいて、本発明者らは、システイン12の脂肪族ベータ炭素とトリプトファン4の芳香族側鎖との間の脂肪族パイスタッキング相互作用を認める。興味深いことに、この相互作用は、C3に結合したコンプスタチンの結晶構造(pdb-コード:2QKI)でも見られる。理論によって拘束されることを望むものではないが、これらの発見は、コンプスタチンについて確認されるC3との同じ分子間及び分子内相互作用を維持しながら、チオアセタール連結をコンプスタチン類似体に導入し得ることを示唆する。
従って、一局面において、本発明は、式I:
Y1-R1-X1-C-X3-X4-Q-X6-W-X8-X9-H-X11-C-X13-R2-Y2 (I)
(式中、
Y1は、水素、アセチル又は親油性基Φであり;
X1は、I、Y、F又はSarであり;
X3は、I又はVであり;
X4は、W、F、V、Y、1-Me-Trp、D-Trp、N-Me-Trp、1-For-Trp、1-Nal、2-Nal、5MeTrp、Bpa又は2Iglであり;
X6は、E又はDであり;
X8は、G又はSarであり;
X9は、H、A、E、D、K、R又はSであり;
X11は、R、K又はSであり;
X13は、T、S、E、F、H、K、Sar、G、I、D、N-Me-Ile又はN-Me-Thrであり;
Y2は、NH、OH又は親油性基Φであり;
R1は、存在しないか、或いはA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、Q、Y、V若しくはSar又はその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列であり;及び
R2は、存在しないか、又はA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、V、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル(Peg3)、Sar、γGlu若しくはその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列である)
によって表されるコンプスタチン類似体であって、
任意で、1つ又は複数のアミノ酸残基の側鎖に共有結合された少なくとも1つの親油性基Φを含み;
2位及び12位のシステイン残基の硫黄原子間にC1~3アルキレン架橋を有する、コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
野生型バリン残基の代わりに3位にイソロイシン残基を導入することは、例えば、向上した結合性及び補体阻害活性を有するコンプスタチンペプチドをもたらすことがわかった。3位のイソロイシンの導入は、例えば、安定性及び/又は溶解性を増大させることができる他の修飾の導入、例えば11位でのリシン又はセリンの導入及び13位でのThrのSer、Glu、Sar又はIleによる置換も可能にし得る。これらの修飾の1つ又は複数を含む好ましいコンプスタチンペプチドは、例えば、コンプスタチン(1~13)ペプチド(ICVVQDWGHHRCT(C2とC12との間にジスルフィド結合を有する)又は公知のコンプスタチン類似体Cp40と比較して向上した溶解性及び/又は活性を有する。
従って、別の局面において、本発明は、式II:
Y1-R1-X1-C-I-X4-Q-X6-W-X8-X9-H-X11-C-X13-R2-Y2 (II)
(式中、
Y1は、水素、アセチル又は親油性基Φであり;
X1は、I、Y、F又はSarであり;
X4は、W、F、V、Y、1-Me-Trp、D-Trp、N-Me-Trp、1-For-Trp、1-Nal、2-Nal、5MeTrp、Bpa又は2Iglであり;
X6は、E又はDであり;
X8は、G又はSarであり;
X9は、H、A、E、D、K、R又はSであり;
X11は、R、K又はSであり;
X13は、T、S、E、F、H、K、Sar、G、I、D、N-Me-Ile又はN-Me-Thrであり;
Y2は、NH又はOHであり;
R1は、存在しないか、或いはA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、Q、Y、V若しくはSar又はその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列であり;及び
R2は、存在しないか、又はA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、V、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル(Peg3)、Sar、γGlu若しくはその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列である)
によって表されるコンプスタチン類似体であって、
任意で、1つ又は複数のアミノ酸残基の側鎖に共有結合された少なくとも1つの親油性基Φを含み;
2位及び12位のシステイン残基の硫黄原子間にC1~3アルキレン架橋を有する、コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を提供する。
式I及びIIの一部の態様において、
X1は、I、Y又はFであり;
X4は、W、Y、1-Me-Trp、1-Nal、2-Nalであり;
X6は、E又はDであり;
X8は、G又はSarであり;
X9は、A又はEであり;
X11は、R又はKであり;及び
X13は、T、S、E、F、H、K、Sar、G、I、D、N-Me-Ile又はN-Me-Thrである。
本発明は、式III:
Y1-R1-F-C-I-1-Me-Trp-Q-X6-W-X8-E-H-R-C-X13-R2-Y2 (III)
(式中、
Y1は、水素、アセチル又は親油性基Φであり;
X6は、E又はDであり;
X8は、G又はSarであり;
X13は、T又はSarであり;
Y2は、NH、OH又は親油性基Φであり;
R1は、存在しないか、或いはA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、Q、Y、V若しくはSar又はその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列であり;及び
R2は、存在しないか、又はA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、V、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル(Peg3)、Sar、γGlu若しくはその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列である)
によって表されるコンプスタチン類似体であって、
任意で、1つ又は複数のアミノ酸残基の側鎖に共有結合された少なくとも1つの親油性基Φを含み;
2位及び12位のシステイン残基の硫黄原子間にC1~3アルキレン架橋を有する、コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物をさらに提供する。
R1基についての配列の例は、SE、EGSA、GE、E、{d}Y、EGSE、KSGE、EQEV、ESQV、ESEQV、SEQA、SKQE、EGESG、GQSA、ESGV及びYEQAを含む。
理論によって拘束されることを望むものではないが、構造を考慮すると、グルタミン(Q)残基を含むR1基がC3と特によく相互作用し、補体阻害の効力の増大につながり得ることが示唆される。これは、ジスルフィド連結と比較して、システイン側鎖間のアルキレン連結に起因する効力におけるあらゆる低下を補うことを促進し得る。
R2基についての配列の例は、
GAES、EGE[Peg3][Peg3]-K、EK[γGlu]-K
EGA-K、EGE[Peg3]ES-K
EAE[Peg3][Peg3]-K、E[Peg3][Peg3]-K、EA[Peg3][Peg3]-K、GAES[Peg3][Peg3]-K及びEGE
を含み、ここで、は、アミノ酸残基が、その側鎖に共有結合された親油性基Φを有することを示す。
親油性基Φは、R2における1つ又は複数の残基の側鎖、とりわけリシン残基の側鎖に共有結合され得る。Xは、アミノ酸残基Xが、その側鎖に共有結合された親油性基Φを有することを示す。Φを有する残基がR2のC末端にあり、例えばR2のC末端のLys残基であることが望ましい場合がある。
コンプスタチン類似体のペプチド骨格(すなわちY1及びY2基を除く)は、以下の式によって表され得る。
Figure 2023538807000002
コンプスタチン類似体のペプチド骨格(すなわちY1及びY2基を除く)は、以下の式によって表され得る。
Figure 2023538807000003
コンプスタチン類似体のペプチド骨格(すなわちY1及びY2基を除く)は、以下の式によって表され得る。
Figure 2023538807000004
Figure 2023538807000005
コンプスタチン類似体のペプチド骨格(すなわちY1及びY2基を除く)は、以下の式によって表され得る。
Figure 2023538807000006
Figure 2023538807000007
コンプスタチン類似体は、以下の式によって表され得る。
Figure 2023538807000008
Figure 2023538807000009
さらなる局面において、コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を担体との混合物中に含む組成物が本明細書に記載される。一部の例において、組成物は、薬学的組成物であり、及び担体は、薬学的に許容される担体である。
さらなる局面において、コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルとの混合物中に含む薬学的組成物が本明細書に記載される。
さらなる局面において、治療で使用するためのコンプスタチン類似体が本明細書に記載される。
さらなる局面において、補体活性化を阻害する方法で使用するためのコンプスタチン類似体が本明細書に記載される。一例として、補体活性化の阻害は、(1)C3タンパク質への結合、(2)C3bタンパク質への結合、及び/又は(3)C3転換酵素による天然のC3の切断の阻害から選択される1つ又は複数の生物活性を含む。コンプスタチン類似体を用いて処置され得る疾患又は症状の例は、以下で考察される。
さらなる局面において、細胞移植又は臓器移植中に起こる補体活性化を阻害する方法で使用するためのコンプスタチン類似体が本明細書に記載される。
さらなる局面において、補体活性化の阻害を、それを必要とする対象を処置するために行う方法であって、対象にコンプスタチン類似体を投与し、それにより対象において補体活性化を阻害することを含む方法が本明細書に記載される。コンプスタチン類似体を用いて処置され得る疾患又は症状の例は、以下で考察される。
さらなる局面において、生理液の体外シャント中に補体活性化を阻害するエクスビボ方法であって、生理液をコンプスタチン類似体と接触させ、それにより補体活性化を阻害することを含むエクスビボ方法が本明細書に記載される。
さらなる局面において、補体活性化を阻害するための薬剤の調製におけるコンプスタチン類似体の使用が本明細書に記載される。本発明のコンプスタチン類似体を用いて処置され得る疾患又は症状の例は、以下で考察される。
非ヒト霊長類への時点0での試験化合物の投与後の経時的な補体副経路の正規化された「エクスビボ」活性である。化合物を1840nmol/kgの用量において皮下に与えた。補体活性(副経路)を、Wieslabキットを用いて測定した。活性を、投与前(0)試料(100%に設定)及びキットに含まれるネガティブ対照を用いて正規化した。正規化された活性又は正規化された平均活性及び標準偏差を示す。(a)化合物2、化合物5、化合物7(すべて1化合物あたり1頭の動物)及びCp40(4頭の動物);(b)化合物12、化合物20及び化合物25(すべて1化合物あたり1頭の動物)並びにCp40(4頭の動物)。
詳細な説明
本明細中で用いられるように、「及び/又は」は、2つの指定された構成又は構成要素の各々の、もう一方があってもなくてもよい具体的な開示としてとられるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、(i)A、(ii)B、並びに(iii)A及びBの各々の具体的な開示として、あたかも各々が本明細書で個々に述べられているかのようにとられるべきである。
文脈がそうでないと述べていない限り、先で述べられている構成の説明及び定義は、特定のいずれかの局面又は態様に限られず、記載されているすべての局面及び態様に等しく当て嵌まる。
特許、公開出願、技術論文及び学術論文が挙げられる種々の刊行物が、本明細書の全体を通じて引用されている。これらの引用された刊行物の各々は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本明細書で定義されない限り、本出願で用いられる科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解されている意味を有するものとする。通常、本明細書に記載される化学、分子生物学、細胞及び癌生物学、免疫学、微生物学、薬理学並びにタンパク質及び核酸化学と関連して用いられる命名法並びにそれらの技術は、当技術分野で公知であり、且つ一般的に用いられるものである。
本明細書に記載される各態様は、単独でとられ得るか、又は1つ又は複数の他の態様と組み合わせてとられ得る。
特に明記しない限り、以下の定義が、本明細書で用いられる具体的な用語に与えられる。
定義
本明細書の全体を通じて、文言「含む(comprise)」及びその文法上の変形、例えば「含む(comprises)」又は「含んでいる」は、明示される整数若しくは構成要素の包含又は整数若しくは構成要素の群を意味するが、他のあらゆる整数若しくは構成要素又は整数若しくは構成要素の群の排除でないと理解されるであろう。
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈がそうでないと明らかに述べていない限り、複数を含む。
用語「~が挙げられる」は、「~が挙げられるが、それに限定されない」ことを意味するために用いられる。「~が挙げられる」及び「~が挙げられるが、それに限定されない」は、互換的に用いられ得る。
用語「患者」、「対象」及び「個体」は、互換的に用いられ得る。対象は、哺乳動物であり得、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えば非ヒト霊長類(例えば、類人猿、旧世界ザル若しくは新世界ザル)、家畜(例えば、ウシ若しくはブタ)、ペット(例えば、イヌ若しくはネコ)若しくは実験動物、例えば齧歯類(例えば、マウス若しくはラット)が挙げられる。
本明細書及び特許請求の範囲の全体を通じて、天然に存在するアミノ酸についての従来の3文字コード及び1文字コード、すなわちA(Ala)、G(Gly)、L(Leu)、I(Ile)、V(Val)、F(Phe)、W(Trp)、S(Ser)、T(Thr)、Y(Tyr)、N(Asn)、Q(Gln)、D(Asp)、E(Glu)、K(Lys)、R(Arg)、H(His)、M(Met)、C(Cys)及びP(Pro);並びに他のα-アミノ酸、例えばノルロイシン(Nle)、サルコシン(Sar)、α-アミノイソ酪酸(Aib)、2,3-ジアミノプロパン酸(Dap)、2,4-ジアミノブタン酸(Dab)及び2,5-ジアミノペンタン酸(オルニチン;Orn)、1-メチル-トリプトファン(1-Me-Trp、1Me-Trp又は1MeTrp)、1-ホルミル-トリプトファン(1-For-Trp又は1For-Trp又は1ForTrp)、1-ナフタリン(1-Nal又は1Nal)、2-ナフタリン(2-Nal又は2Nal)、5-メチルトリプトファン(5-Me-Trp又は5Me-Trp又は5MeTrp)、p-ベンゾイル-フェニルアラニン(Bpa)2-インダニルグリシン(2Igl又は2-Igl)についての一般に受け入れられている3文字コードが用いられている。他のα-アミノ酸は、本明細書で一般式又は配列に用いられている場合、とりわけ残りの式又は配列が1文字コードを用いて示されている場合、角括弧「[]」内に示されている場合がある(例えば、「[Nle]」)。先に記載される20個の「天然に存在する」アミノ酸は、標準的な遺伝的コードによってコードされるものであり、且つ「タンパク質構成」アミノ酸とも称され得る。
ガンマ-Glu及びベータ-Asp(γGlu(γ-Glu)及びβAsp(β-Asp)とも称される)(又はisoGlu及びisoAsp)は、それぞれ、従来の立体配置ではなくγ-又はβ-カルボン酸(通常、側鎖カルボキシル基とみなされる)を介したペプチド結合に関与するグルタマート又はアスパルタートを指す。同様に、εLys又はisoLysは、アルファアミノ基ではなくイプシロンアミノ基(通常、側鎖アミノ基とみなされる)を介したペプチド結合に関与するリシンを指す。
ベータAla(β-Ala又はβAlaとも称される)は、3-アミノプロパン酸を指す。
Peg3は、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸({2-[2-アミノエトキシ]エトキシ}酢酸としても公知である)の残基を指し、Peg4は、11-アミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン酸の残基を指す。この残基は、[8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル]とも表され得る。
Figure 2023538807000010
8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(Peg3)
特に明記しない限り、本明細書に記載のペプチド中のアミノ酸残基は、L-型配置のものである。しかしながら、場合により、D-型配置アミノ酸が組み込まれ得る。これに関連して、小文字で記されるアミノ酸コードは、前記アミノ酸のD-型配置を表し、例えば、「k」は、リシン(K)のD-型配置を表すか、又はD-型配置アミノ酸は、(d)X若しくは{d}Xと記される場合があり、ここで、Xは、アミノ酸であり、例えば、(d)Y若しくは{d}Yは、チロシン(Y)のD-型配置を表す。
「C(x)」として示されるシステイン残基は、それらの側鎖がジチオエーテル連結に関与することを示す。すなわち、それらは、架橋されている。従って、典型的には、任意の所与の分子中にそのような2つの残基がある。架橋は、システイン残基の硫黄原子を連結させるアルキレン基である。適切には、脂肪族基は、短い(C1~3-アルキレン)部分であり、脂肪族基は、非置換又は置換であり得る。好ましくは、脂肪族基は、非置換である。場合により、2つの[C(x)]残基は、-S-(CH-S-によって架橋され得、nは、1、2又は3であり、硫黄原子は、システイン残基側鎖の一部である。好ましくは、nは、1又は2(すなわちメチレン又はエチレン架橋基)であり、より好ましくは、nは、1である。nが1である場合、連結は、チオアセタールと称され得る。そのようなチオアセタールは、当技術分野でジチオアセタールとも称され得る。
チオアセタールは、メチレンチオアセタールであり得る。すなわち、架橋は、メチレンであり、2つの[C(x)]残基は、-S-CH-S-連結によってつながれる。これは、典型的には、C(1)として示される残基によって明示される。
架橋基は、エチレン架橋基であり得、すなわち、2つの[C(x)]残基は、-S-CH-CH-S-連結によってつながれる。これは、典型的には、C(2)として示される残基によって明示される。
架橋基は、プロピレン架橋基でもあり得、すなわち、2つの[C(x)]残基は、-S-CH-CH-CH-S-連結によってつながれる。これは、典型的には、C(3)として示される残基によって明示される。
システイン残基間にそのような架橋を導入するための方法は、当業者に明らかであり、システイン残基の硫黄原子による脱離基の求核置換反応を含み得る。例えば、メチレンチオアセタール連結は、ジヨードメタンの二重置換反応を通して挿入することができる。
同様に、「C()」として示されるシステイン残基は、それらの側鎖がジスルフィド結合に関与することを示す。
ペプチド骨格のN末端及びC末端に存在する末端基は、それぞれY1及びY2と称される。従って、Y1は、N末端アミノ基の窒素原子に結合されており、Y2は、C末端カルボニル炭素原子に結合されている。
Y1=水素(「H-」又は「Hy-」とも示される)は、N末端での遊離一次アミノ基又は遊離二次アミノ基の存在に対応する水素原子を示す。Y1=アセチル(「Ac」)は、N末端第二級アセチルアミド基の存在を示す。
Y2=「OH」又は「NH」は、分子のC末端でのカルボキシ(COOH)基又はアミド(CONH)基の存在を示す。
一部の態様において、Y1は、水素又はアセチルであり、Y2は、NHである。
代わりに、Y1及びY2基の一方又は両方は、独立して、本明細書の他の箇所に記載されるように親油性基Φであり得る。
親油性置換基
コンプスタチン類似体は、Φと指定される親油性基を有し得る。
親油性基は、分子のN末端及び/又はC末端に共有結合され得、すなわち、Y1は、(H又はAcの代わりに)Φであり得、且つ/又はY2は、(OH又はNH2の代わりに)Φであり得る。典型的には、Y1及びY2の一方のみ、特にY1が親油性基Φである。
加えて又は代わりに、親油性基は、類似体内のアミノ酸残基の側鎖に共有結合され得る。残基は、分子のR1、R2又はコンプスタチン類似体部分X1~X13の一部であり得る。R2の一部である場合、残基がR2のC末端残基であることが望ましい場合がある。分子のコンプスタチン類似体部分X1~X13内では、X11位が特に適切であり得る。
親油性基Φは、典型的には、アシル基を介して結合されている。従って、修飾は、アシル化と称され得るが、脂質化と称することもできる。
親油性基は、本明細書でZと称される、脂肪酸に由来する長鎖アルキレン基を含み、親油性置換基と称される。理論によって拘束されることを望むものではないが、親油性置換基は、血流中で血漿タンパク質(例えば、アルブミン)に結合するため、本発明に関連して使用される化合物を酵素的分解から遮蔽することにより、化合物の半減期を増強すると考えられる。親油性置換基は、化合物の効力も調節し得る。
は、本明細書で定義されるように、(R1及びR2伸長部を含むか又はY1としての)アミノ酸配列に直接結合され得るか、又はスペーサーZを介して結合され得る。
換言すると、Φは、Z-又はZ-Z-であり得る。
Y1がΦである場合、Φは、好ましくは、Z-である。
親油性基Φがアミノ酸側鎖に連結されている場合(すなわちY1が水素又はAcである場合)、Φは、好ましくは、Z-Z-であり得る。
特定の態様において、1つのアミノ酸側鎖のみが、親油性置換基にコンジュゲートされている。他の態様において、2つのアミノ酸側鎖がそれぞれ親油性置換基にコンジュゲートされている。さらなる態様において、3つ以上のアミノ酸側鎖がそれぞれ親油性置換基にコンジュゲートされている。化合物が2つ以上の親油性置換基を含有する場合、これらは、同じ置換基又は異なる置換基であり得る。
特定の態様において、1つの親油性基Φのみが、分子内に存在する。
用語「コンジュゲートされている」は、本明細書では、ある識別可能な化学部分の、別の識別可能な化学部分への共有結合及びその部分間の構造的関係を説明するのに用いられる。特定のあらゆる合成方法を包含するととられるべきでない。存在する場合、1つ又は複数のスペーサーZが用いられて、化合物と親油性置換基Z間の間隔を提供する。
親油性置換基は、N末端窒素若しくはアミノ酸側鎖又はエステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド若しくはスルホンアミドを介してスペーサーに結合され得る。従って、親油性置換基が、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドの一部を形成するアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子を含み得ることが理解されるであろう。
適切には、親油性置換基内のアシル基が、N末端窒素、又はアミノ酸側鎖、又はスペーサーと共に、アミド又はエステルの一部を形成する。親油性置換基は、10~24個の炭素(C)原子、例えば10~22個のC原子、例えば10~20個のC原子を有する炭化水素鎖を含み得る。好ましくは、炭化水素鎖は、少なくとも11個のC原子を有し、好ましくは18個以下のC原子を有する。例えば、炭化水素鎖は、12、13、14、15、16、17又は18個の炭素原子を含有し得る。炭化水素鎖は、直鎖状又は分枝状であり得、且つ飽和又は不飽和であり得る。
炭化水素鎖は、例えば、以下で示されるように、その全長内にフェニレン部分又はピペラジニレン部分を組み込み得る(式中、---は、鎖内の結合点を表す)。これらの基は、鎖長内の4つの炭素原子として「カウント」されるべきである。
Figure 2023538807000011
先の考察から、炭化水素鎖は、アミノ酸側鎖又はスペーサーへの結合部分を形成する部分、例えばアシル基、スルホニル基、N原子、O原子又はS原子で置換され得ることが理解されるであろう。最も好ましくは、炭化水素鎖は、アシル基で置換されており、従って、炭化水素鎖は、アルカノイル基、例えばドデカノイル、2-ブチルオクタノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル又はエイコサノイル基の一部であり得る。代わりに、Z基は、式HOOC-(CH12~22-COOHの長鎖飽和α,ω-ジカルボン酸に由来し、好ましくは脂肪族鎖内に偶数の炭素原子を有する長鎖飽和α,ω-ジカルボン酸に由来する。
換言すると、Zは、A-C12~22アルキレン-(CO)-であり得、式中、Aは、H又は-COOHであり、アルキレンは、直鎖状又は分枝状であり得、且つ飽和又は不飽和であり得、且つ任意でその全長内にフェニレン部分又はピペラジニレン部分を組み込み得る。
例えば、Zは、以下の通りであり得る:
ドデカノイル、すなわちH-(CH11-(CO)-;テトラデカノイル、すなわちH-(CH13-(CO)-;ヘキサデカノイル、すなわちH-(CH15-(CO)-;13-カルボキシトリデカノイル、すなわちHOOC-(CH12-(CO)-;15-カルボキシペンタデカノイル、すなわちHOOC-(CH14-(CO)-;17-カルボキシヘプタデカノイル、すなわちHOOC-(CH16-(CO)-;19-カルボキシノナデカノイル、すなわちHOOC-(CH18-(CO)-;又は
21-カルボキシヘンエイコサノイル、すなわちHOOC-(CH20-(CO)-。
存在する場合、カルボン酸は、バイオアイソスター、ホスファート又はスルホナートによって置換され得る。カルボン酸に適したバイオアイソスターが当技術分野で公知であり、テトラゾール、アシルスルホンアミド、アシルヒドロキシルアミン及びスクアリン酸誘導体が挙げられる。
上記のように、親油性置換基Zは、1つ又は複数のスペーサーZによってアミノ酸側鎖又はN末端窒素にコンジュゲートされ得る。
存在する場合、スペーサーは、親油性置換基及びアミノ酸側鎖又はN末端窒素に結合されている。スペーサーは、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドによって独立して、親油性置換基及びアミノ酸側鎖に結合されている。従って、スペーサーは、アシル、スルホニル、N原子、O原子又はS原子から独立して選択される2つの部分を含み得る。スペーサーは、直鎖状C1~10炭化水素鎖、より好ましくは直鎖状C1~5炭化水素鎖からなり得る。さらに、スペーサーは、C1~6アルキル、C1~6アルキルアミン、C1~6アルキルヒドロキシ及びC1~6アルキルカルボキシから選択される1つ又は複数の置換基で置換することができる。
スペーサーは、例えば、天然に存在するか又は非天然のあらゆるアミノ酸の残基であり得る。例えば、スペーサーは、Gly、Pro、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Cys、Phe、Tyr、Trp、His、Lys、Arg、Gln、Asn、Glu、Asp、γ-Glu、β-Asp、ε-Lys、Asp、Ser、Thr、Dapa、Gaba、Aib、β-Ala(すなわち3-アミノプロパノイル)、4-アミノブタノイル、5-アミノペンタノイル、6-アミノヘキサノイル、7-アミノヘプタノイル、8-アミノオクタノイル、9-アミノノナノイル、10-アミノデカノイル、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイルの残基であり得る。特定の態様において、スペーサーは、Glu、γ-Glu、ε-Lys、β-Ala(すなわち3-アミノプロパノイル)、4-アミノブタノイル、8-アミノオクタノイル若しくは8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル(Peg3)、11-アミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン酸(Peg4)又は(ピペラジン-1-イル)-カルボン酸の残基である。本発明において、γGlu及びisoGluは、互換的に用いられる。
は、適切には、γGlu、βAsp,D、E、K、Orn、S、T、A、βAla、G、P、V、L、I、Y、Q、N、Dapa、Gaba若しくはAib又はその対応するD形態、5-アミノペンタノイル、6-アミノヘキサノイル、7-アミノヘプタノイル、8-アミノオクタノイル、9-アミノノナノイル及び10-アミノデカノイル、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(Peg3)、11-アミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン酸(Peg4)或いは(ピペラジン-1-イル)-カルボン酸から選択される化合物の1~6つの残基の配列である。
例えば、Zは、以下であり得るか又は以下を含み得る:
[γGlu];
[γGlu][Peg3][Peg3]-;
[(ピペラジン-1-イル)-アセチル][Peg3][Peg3];
[γGlu]-G-[γGlu];
[γGlu]-K-[γGlu];
[γGlu]-KG-[γGlu];又は
[γGlu]-G-[Peg3][γGlu][Peg3]。
は、適切には、両側においてアミド結合によって結合されている。適切な他の結合が同程度の原子置換に用いられ得;例えば、スルフィンアミド、スルホンアミド若しくはエステル結合又はアミノ、エーテル若しくはチオエーテル結合が想定される。
換言すると、一部の局面において、親油性基Φは、Z-又はZ-Z-であり、式中、
は、A-C12~22アルキレン-(CO)-であり;
Aは、H又は-COOHであり、アルキレンは、直鎖状又は分枝状であり得、且つ飽和又は不飽和であり得、且つ任意でその全長内にフェニレン部分又はピペラジニレン部分を組み込み得;及び
は、γ-Glu、βAsp、D、E、K、Orn、S、T、A、β-Ala、G、P、V、L、I、Y、Q、N、Dapa、Gaba若しくはAib又はその対応するD形態、5-アミノペンタノイル、6-アミノヘキサノイル、7-アミノヘプタノイル、8-アミノオクタノイル、9-アミノノナノイル及び10-アミノデカノイル、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(Peg3)、11-アミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン酸(Peg4)又は(ピペラジン-1-イル)-カルボン酸から選択される化合物の1~6つの残基の配列、例えば、
[Glu]、
[γGlu][Peg3][Peg3]-;
[(ピペラジン-1-イル)-アセチル][Peg3][Peg3];
[γGlu]-G-[γGlu];
[γGlu)-K-[γGlu];
[γGlu]-KG-[γGlu];及び
[γGlu]-G-[Peg3][γGlu][Peg3]
から選択されるリンカーである。
親油性置換基がコンジュゲートしているアミノ酸側鎖は、典型的には、エステル、スルホニルエステル、チオエステル、アミド又はスルホンアミドをスペーサー又は親油性置換基と共に形成するためのカルボキシ、ヒドロキシル、チオール、アミド又はアミン基を含む。アミド結合が特に好ましい場合があるため、アミノ酸は、その側鎖内にアミン基を有するあらゆるアミノ酸であり得るが、他の官能基を有する側鎖が意図されることも明らかであろう。従って、例えば、アミノ酸側鎖は、Glu、Lys又はSer残基の側鎖であり得る。例えば、アミノ酸側鎖は、Lys又はGlu残基の側鎖であり得る。2つ以上の側鎖が親油性置換基を有する場合、親油性置換基は、その残基から独立して選択され得る。
典型的には、アミノ酸側鎖は、Lys残基の側鎖である。
親油性部分Z及びスペーサーZを含む親油性置換基の例は、以下の式で示される。
Figure 2023538807000012
親油性基の例となる構造は、以下に示され、波線は、ペプチド(すなわちアミノ酸側鎖)への連結を示す。
[19-カルボキシ-ノナデカノイル][γGlu]G[γGlu]:
Figure 2023538807000013
[17-カルボキシ-ヘプタデカノイル][γGlu]G[γGlu]:
Figure 2023538807000014
[17-カルボキシ-ヘプタデカノイル][γGlu]:
Figure 2023538807000015
[17-カルボキシ-ヘプタデカノイル][γGlu][Peg3][Peg3]:
Figure 2023538807000016
[17-カルボキシ-ヘプタデカノイル]:
Figure 2023538807000017
本明細書に記載の方法及び他の局面に関する種々の用語は、本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって使用される。そのような用語は、特に明記しない限り、当技術分野におけるその通常の意味が与えられるべきである。他の詳細に定義される用語は、本明細書で提供される定義と整合するように解釈されるべきである。本明細書で使用される用語「約」は、測定可能な値、例えば量、時間的期間及び同種のものについて言及する場合、所定の値からの±20%又は±10%、一部の態様において±5%、一部の態様において±1%及び一部の態様において±0.1%の変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示される化合物及び組成物を製造し、使用するのに適している。
本明細書で使用される用語「完全長コンプスタチン」は、配列IC()VVQDWGHHRC()TAGHMANLTSHASAIを有する27アミノ酸ペプチドを指し、式中、C()は、ジスルフィド結合によって連結されたシステイン残基を表す。上記に記載されるように、完全長コンプスタチンの切断型形態、2位及び12位のシステイン残基間のジスルフィド結合によって連結されるトリデカペプチドH-Ile-Cys-Val-Val-Gln-Asp-Trp-Gly-His-His10-Arg11-Cys12-Thr13-NHは、完全長ペプチドの活性を保持する。このトリデカペプチドのN末端アセチル化バージョンは、本明細書で「Ac-コンプスタチン」と称される。
用語「コンプスタチン類似体」は、本明細書により詳細に記載されるように、天然のアミノ酸及び非天然のアミノ酸又はアミノ酸類似体の1つ又は複数の置換並びに種々のアミノ酸内又はその間に修飾を含む修飾Ac-コンプスタチンを指す。コンプスタチン類似体は、Ac-コンプスタチンと比較して、約1、2、3、4又は5つのアミノ酸修飾を含み得る。コンプスタチン類似体は、Ac-コンプスタチンと比較して、5、6、7、8つ又はそれを超えるアミノ酸修飾を含み得る。コンプスタチン類似体は、Ac-コンプスタチンと比較して、約5、6、7又は8つのアミノ酸修飾を含み得る。
用語「類似体」は、一般的に、類似体がさらなる化学修飾(誘導体化)、特にアシル化を受ける前の対象のタンパク質又はペプチドに使用される。そのような化学修飾(誘導体化)から結果として生じる生成物は、「誘導体」又は「アシル化された類似体」と称されることもある。しかしながら、本出願に関して、用語「類似体」は、Ac-コンプスタチンの類似体及びそのようなAc-コンプスタチン類似体の(アシル化された)誘導体を明示する。
Ac-コンプスタチン又はコンプスタチン類似体内のアミノ酸又は類似体の位置について言及する場合、位置は、1(コンプスタチン中のIle)から13(コンプスタチン中のThr)まで番号が付けられる。例えば、GIy残基は、「8位」を占有する。
用語「薬学的に活性な」及び「生物学的に活性な」は、C3又はその断片に結合し、補体活性化を阻害する化合物の能力を指す。コンプスタチン類似体の生物活性は、本明細書により詳細に記載されるように、当技術分野で認識されているいくつかのアッセイの1つ又は複数によって測定され得る。
本明細書で使用されるように、「L-アミノ酸」は、タンパク質中に通常存在する、天然に存在する左旋性アルファ-アミノ酸又はそれらのアルファ-アミノ酸のアルキルエステルのいずれかを指す。用語「D-アミノ酸」は、右旋性アルファ-アミノ酸を指す。特に明記しない限り、本明細書で言及されるアミノ酸は、すべてL-アミノ酸である。
「疎水性」又は「非極性」は、本明細書で同義的に使用され、双極子によって特徴付けられない任意の分子間又は分子内相互作用を指す。
本明細書で使用されるように、「薬学的に許容される塩」は、親化合物がその酸性塩又は塩基性塩を形成することによって修飾される、開示される化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例は、塩基性残基、例えばアミンの鉱酸塩又は有機酸塩;及び酸性残基、例えばカルボン酸のアルカリ塩又は有機塩;及び同種のものを含むが、これらに限定されない。従って、用語「酸付加塩」は、酸の付加によって調製された親化合物の対応する塩誘導体を指す。薬学的に許容される塩は、例えば、無機酸又は有機酸から形成される、親化合物の従来の塩又は四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸及び同種のものから誘導されるもの;並びに有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸及び同種のものから調製される塩を含むが、これらに限定されない。特定の酸性又は塩基性化合物は、双性イオンとして存在し得る。遊離酸、遊離塩基及び双性イオンを含む化合物のすべての形態は、本開示の範囲内にあることが意図される。
コンプスタチン類似体
コンプスタチンは、最初に、27アミノ酸ペプチドとして同定され、3つすべての活性化経路をブロックできることが示された第1の非宿主由来補体阻害剤であった(Sahu et al.,1996,J.Immunol.,157:884-91;米国特許第6,319,897号)。コンプスタチンは、活性を失うことなく、13アミノ酸ペプチドに切断することができる。しかしながら、このペプチドをさらに切断する試みは、活性の損失をもたらした。13アミノ酸切断型(又は「コア」)コンプスタチンペプチドの配列は、H-Ile-Cys-Val-Val-Gln-Asp-Trp-Gly-His-His10-Arg11-Cys12-Thr13-NHであり、Cys及びCys12は、ジスルフィド結合している。この環状トリデカペプチドは、C3(及びC3の断片)に結合し、それにより下流補体カスケードの活性化を阻害し、C3転換酵素による天然のC3の切断を予防する。その阻害有効性は、治療剤としてのその可能性を示す実験モデルを使用する一連の研究によって確認された(Fiane et al,1999a,Xenotransplantation,6:52-65;Fiane et al,1999b,Transplant Proc.,31:934-935;Nilsson et al.,1998,Blood,92:1661-1667;Ricklin&Lambris,2008,Adv.Exp.Med..Biol.,632:273-292;Schmidt et al.,2003,J.Biomed.Mater.Res.,A66:491-499;Soulika et al.,2000,Clin.Immunol.,96:212-221)。
13アミノ酸コンプスタチンペプチドの段階的な最適化により、生物活性が向上した類似体がもたらされた(Ricklin&Lambris,2008、前記;国際公開公報第2004/026328号;国際公開公報第2007/062249号、国際公開公報第2013/036778号、国際公開公報第2014/100407号)。構造活性研究により、分子の重要な特徴として、コンプスタチンペプチドの環状の性質並びにβ-ターン及び疎水性クラスターの両方の存在が同定された(Morikis et al.,1998,Protein Sci.,7:619-627;国際公開公報第99/13899号;Morikis et al.,2002,J.Biol.Chem.,277:14942-14953;Ricklin&Lambris,2008、前記)。4位及び7位の疎水性残基が特に重要なものであることがわかり、非天然のアミノ酸によるそれらの修飾により、元のコンプスタチンペプチドに対して活性が264倍向上した類似体が生成された(Katragadda et al.,2006,J.Med.Chem.,49:4616-4622;国際公開公報第2007/062249号)。眼障害の処置に使用するためにコンプスタチンを最適化するさらなる試みは、国際公開公報第2007/044668号に記載されている。
以前の最適化工程は、コンビナトリアルスクリーニング研究、溶液構造及び計算モデルに基づいてきた一方(Chiu et al.,2008,Chem.Biol.Drug Des.,72:249-256;Mulakala et al.,2007,Bioorg.Med.Chem.,15:1638-1644;Ricklin&Lambris,2008、前記)、補体断片C3cと複合体を形成したコンプスタチンの共結晶構造についての刊行物(Janssen et al.,2007,J.Biol.Chem.,282:29241-29247;国際公開公報第2008/153963号)は、合理的な最適化を開始するための基礎を提供する。結晶構造は、C3cのマクログロブリン(MG)ドメイン4及び5の境界面の浅い結合部位を明らかにし、13のアミノ酸の9つが水素結合又は疎水性相互作用のいずれかによる結合に直接関与していることを示す。溶液中のコンプスタチンペプチドの構造と比較して(Morikis et al.,1998、前記)、コンプスタチンの結合形態は、β-ターンの場所が5~8残基から8~11残基にシフトする立体配座変化を受けた(Janssen et al.,2007、前記;国際公開公報第2008/153963号)。
Ac-コンプスタチン、N末端アセチル化13アミノ酸ペプチドは、C3に結合し、C3転換酵素媒介性の切断を予防する。ファージ提示によるその発見以降、13アミノ酸Ac-コンプスタチン配列に対する修飾は、生物活性が増大した類似体を発見するために実行されてきた。しかしながら、2位及び12位の2つのシステイン残基間のコア配列において、アラニンスキャニング実験は、以前には、生物活性におけるわずかな向上のみを示す類似体を生成し、許容される修飾がほとんどなかった。修飾は、生物活性の増大をもたらす4位のバリンのトリプトファン又はトリプトファン類似体への変化及び9位のヒスチジンのアラニン又はその類似体への変化を含む。
3位のバリン残基に修飾を導入し、グリシン、アラニン、D-バリン又はロイシンでバリン残基を置換する試みは、生物活性における減少をもたらした。これらの発見とは対照的に、本発明者らの研究は、バリンのイソロイシンへの変化が十分に許容されるものであり、生物活性における向上を提供することを示した。
特定のいかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、この修飾は、コア配列中の1つ又は複数の極性のある又は電荷を有するアミノ酸の導入と組み合わされ得、可溶化するコンプスタチンペプチドの能力を増大させるアプローチとして使用され得る。例えば、9位のグルタミン酸又はセリンは、イソロイシン3との組み合わせにとって特に適切であり得るが、それらは、バリン3と組み合わされた場合、活性における減少をもたらし得る。これらの観察は、表面プラスモン共鳴(SPR)によって測定されるC3への結合の向上と相関する。
さらに、これらの変化は、例えば、コンプスタチンペプチドの溶解性を例えばより高い濃度で向上させるために、コンプスタチン類似体のコア配列における他の修飾並びにN末端配列及びC末端配列の追加と容易に組み合わせることができる。
本明細書に記載のコンプスタチン類似体は、典型的には、Ac-コンプスタチンよりも活性が大きく、例えばAc-コンプスタチンよりも活性が少なくとも10倍大きく、活性が少なくとも20倍大きく、活性が少なくとも30倍大きい。他の態様において、類似体は、実施例に記載されるアッセイを利用して比較すると、Ac-コンプスタチンよりも活性が少なくとも40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍又はそれを超えて大きい。
X3位にIleを有する化合物は、X3位、すなわちコンプスタチンのVal3に対応する位置にバリンを有すること以外には同一の化合物よりも活性が大きくてもよい。
コンプスタチン類似体は、C3及び/又はC3bに結合することができ、且つ特にC3の下流側において、例えばC3転換酵素によってC3の切断を阻害することにより、補体カスケードの活性化を阻害することができる。
コンプスタチン類似体は、典型的には、補体駆動溶血を阻害することもできる。補体駆動溶血は、典型的には、(「溶血アッセイ」において)第1の哺乳動物種由来の血清(例えばヒト血清)を、第2の哺乳動物種(例えば、ヒツジ又は他の適切なあらゆる種)由来の赤血球(erythrocyte)(赤血球(red blood cell;RBC))と、典型的には赤血球に結合することができる哺乳動物免疫グロブリンの存在下で接触させることによって評価される。血清中の補体は、細胞結合免疫グロブリンによって活性化されて、赤血球の溶解、すなわち溶血に至る。免疫グロブリンは、第1の種に由来し得るか、又は第1の種由来の補体を活性化することができる限り、第3の哺乳動物種に由来し得る。
そのようなアッセイにおいて、試験化合物は、典型的には、血清が赤血球と接触する前に、血清とプレインキュベートされる。また、赤血球は、血清と接触する前に免疫グロブリンとプレインキュベートされ得る。
以下の例では、ヒト血清は、血清及び赤血球が組み合わされる前に試験化合物とプレインキュベートされて、ヒツジ赤血球がヒツジ赤血球に対するウサギ抗血清とプレインキュベートされる。
従って、コンプスタチン類似体の活性は、(1)C3タンパク質への結合、(2)C3bタンパク質への結合、(3)C3転換酵素による天然のC3の切断の阻害、及び(4)補体系の活性化の阻害から選択される1つ又は複数の生物活性を参照して判定され得る。
本明細書に記載のコンプスタチン類似体は、C3又はC3bに、コンプスタチンよりも高い親和性で結合し得る。例えば、本発明のコンプスタチン類似体は、Kdが、Ac-コンプスタチンよりも少なくとも10倍、少なくとも20倍又は少なくとも30倍低くてもよく、例えばAc-コンプスタチンよりも少なくとも40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍又は150倍低い。例えば、Kdは、例えば、実施例3に記載されるアッセイを用いて表面プラスモン共鳴(SPR)によって判定され得る。
本明細書に記載のコンプスタチン類似体は、典型的には、C3又はC3bに、コンプスタチンのVal3に対応する位置においてイソロイシンの代わりにバリンを有すること以外には同一の化合物よりも大きい親和性(すなわちより低いKd)で結合する。
本明細書に記載のコンプスタチン類似体は、溶血を阻害する能力が、Ac-コンプスタチンよりも大きくなり得る。例えば、本発明のコンプスタチン類似体は、Ac-コンプスタチンよりも少なくとも10倍、少なくとも20倍又は少なくとも30倍低いIC50、例えばAc-コンプスタチンよりも少なくとも40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、250、300、350、400、450、500倍低いIC50で溶血を阻害し得る。
3位にイソロイシンを有するコンプスタチン類似体は、典型的には、溶血を阻害する能力が、コンプスタチンのVal3に対応する位置においてイソロイシンの代わりにバリンを有すること以外には同一の化合物よりも大きい(すなわちIC50がより低い)。
好ましくは、本明細書に記載の化合物のインビトロ効果は、例えば、実施例2に記載されるアッセイを用いて、溶血アッセイにおいて古典補体経路に及ぼす阻害効果を測定することによって評価される。
アシル化を有するコンプスタチン類似体は、絶対活性が、アシル化を欠くこと以外には同一の化合物よりも低くなり得るが、絶対活性の明らかなあらゆる引下げをオフセットし得る、インビボ半減期の延長が挙げられる追加的な利益を有する。
コンプスタチン類似体の合成
本明細書に記載のコンプスタチン類似体は、例えば、固相ペプチド合成方法論又は液相ペプチド合成方法論によって合成され得る。これに関連して、国際公開第98/11125号パンフレット及びとりわけFields,G.B.et al.,2002,“Principles and practice of solid-phase peptide synthesis”.In:Synthetic Peptides(2nd Edition)並びに本明細書の実施例が参照され得る。
本明細書に記載のコンプスタチン類似体は、例えば、(a)固相ペプチド合成方法論若しくは液相ペプチド合成方法論によってコンプスタチン類似体を合成して、このように得られた合成されたコンプスタチン類似体を回収すること;又は(b)前駆体ペプチドをコードする核酸構築体から前駆体ペプチド配列を発現させて、発現生成物を回収し、前駆体ペプチドを修飾して、コンプスタチン類似体を得ることを含む方法が挙げられる、いくつかの方法で合成又は生成され得る。
前駆体ペプチドは、1つ又は複数の非タンパク質構成アミノ酸、例えばAib、Orn、Dap、1-Me-Trp、1-Nal、2-Nal、Sar、γGlu若しくはDabの導入又は適切な末端基Y1及び/若しくはY2の導入によって修飾され得る。
発現は、典型的には、前駆体ペプチドをコードする核酸から実行され、これは、そのような核酸を含む細胞又は無細胞発現系において実行され得る。
組換え発現のために、前駆体ペプチドをコードする核酸断片は、通常、クローニング又は発現ベクターを形成するのに適切なベクター中に挿入される。ベクターは、用途の目的及びタイプに応じて、プラスミド、ファージ、コスミド、ミニ染色体又はウイルスの形態であり得るが、特定の細胞内で一時的に発現されるのみの裸のDNAも重要なベクターである。好ましいクローニングベクター及び発現ベクター(プラスミドベクター)は、自律複製することができ、これにより以降のクローニングについての高レベル発現又は高レベル複製のための高コピー数が可能となる。
概して、発現ベクターは、以下の特徴の1つ又は複数を含み得る:核酸の発現を駆動させるためのプロモータ、任意で(細胞外相への又は該当する場合にはペリプラズム中への)分泌を可能にするリーダーペプチドをコードする核酸配列、ペプチドをコードする核酸断片及び任意で末端。ベクターは、例えば、追加的な構成、例えば選択マーカー及び複製起源を含み得る。プロデューサ株又は細胞株内で発現ベクターにより作動する場合、ベクターは、宿主細胞ゲノム中に統合できることが好まれる場合がある。当業者であれば、適切なベクターに非常に精通しており、その特定の要件に従うものを設計することができる。
ベクターは、宿主細胞を形質転換してペプチドを生成するのに用いられ得る。そのような形質転換された細胞は、核酸断片及びベクターの増殖に用いられ、且つ/又はペプチドの組換え生成に用いられる培養細胞又は培養細胞株であり得る。
好ましい形質転換細胞は、微生物、例えば細菌[例えば、エシェリキア(Escherichia)属種(例えば、大腸菌(E.coli))、バチルス(Bacillus)属種(例えば、枯草菌(Bacillus subtilis))、サルモネラ(Salmonella)属種又はマイコバクテリウム(Mycobacterium)属種(好ましくは非病原性、例えばウシ型結核菌(M.bovis)BCG)、酵母(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)及びメタノール資化酵母(Pichia pastoris))及び原虫である。代わりに、形質転換細胞は、多細胞生物に由来し得、例えば真菌細胞、昆虫細胞、藻類細胞、植物細胞又は動物細胞、例えば哺乳動物細胞であり得る。クローニング及び/又は最適化発現を目的として、形質転換細胞が核酸を反復できることが好ましい。核酸を発現する細胞をペプチドの小規模又は大規模な調製に用いることができる。
形質転換細胞によってペプチドを生成する場合、決して必要不可欠ではないが、発現生成物が培地中に分泌されるのが好都合である。
医学的状態
広い局面において、薬剤として又は治療に用いられるコンプスタチン類似体が本明細書に記載される。
本明細書に記載されるコンプスタチン類似体は、C3タンパク質に結合し、且つ/又は補体活性化を阻害する生物活性を有する。通常、本明細書に記載のコンプスタチン類似体は、補体系の過剰な又は不所望の活性化と関連する処置又は予防状況に用いられ得る。補体は、3つの異なる経路:古典経路、レクチン経路及び副経路を介して活性化され得る。3つすべての経路によって共有される主要な活性化事象は、補体系の中心タンパク質C3の、その活性化生成物C3a及びC3bへの、C3転換酵素によるタンパク質分解性切断である。これらの断片の生成は、C3b及びiC3bによる病原性細胞のオプソニン化(病原性細胞をファゴサイトーシス又はクリアランスに対して感受性にするプロセス)及び補体受容体との相互作用による免疫細胞の活性化に至る(Markiewski&Lambris,2007,Am.J.Pathol.,171:715-727)。標的細胞上でのC3bの堆積は、新しい転換酵素複合体の形成も誘導し、これにより自己増幅ループを開始する。血漿及び細胞表面結合タンパク質のアンサンブルが、宿主細胞を、補体カスケードによる自己攻撃から予防するように、補体活性化を慎重に調節する。本明細書に記載のコンプスタチン類似体の設計のための参照点として用いられる13アミノ酸環状トリデカペプチドは、C3及び/又はC3bに結合し、それにより補体活性化を阻害することにより、C3転換酵素による天然のC3の切断を妨げる。例えば、本明細書に記載のコンプスタチン類似体の生物活性は、例えば、以下の実施例で述べられているプロトコールを用いる溶血アッセイで古典補体経路の阻害効果を測定することにより、インビトロで判定され得る。
補体の過剰な活性化又は不適切な調節は、自己免疫疾患から炎症性疾患に及ぶいくつかの病状に至るおそれがある(Holers,2003,Clin.Immunol.,107:140-51;Markiewski&Lambris,2007、前記;Ricklin&Lambris,2007,Nat.Biotechnol.,25:1265-75;Sahu et al.,2000,J.Immunol.,165:2491-9)。これらの状況は、(1)疾患又は症状(加齢黄斑変性、シュタルガルト病、歯周炎、糖尿病性網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、慢性関節リウマチ、脊髄損傷、卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌及び呼吸性障害、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性炎症、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、結核、肺炎、呼吸窮迫症候群(RDS - 新生児及び成人)、鼻炎及び副鼻腔炎;細菌感染、例えば敗血症、種々の組織における虚血-再灌流傷害、心筋梗塞、アナフィラキシー、発作性夜間ヘモグロビン尿症、自己免疫溶血性貧血、乾癬、化膿性汗腺炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、CHAPLE症候群、C3糸球体症、IgA腎症、非典型溶血性尿毒症症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、抗リン脂質症候群が挙げられる)の処置を促進するための補体活性化の阻害;(2)細胞移植若しくは固形臓器移植中又は人工臓器若しくは移植片の使用中に起こる補体活性化の(例えば、細胞、臓器、人工臓器又は移植片を本発明のペプチドでコーティングするか又は他に処理することによる)阻害;或いは(3)生理学的流体(血液、尿)の体外シャンティング中に起こる補体活性化の(例えば、流体がシャントされる管を、本明細書に記載のコンプスタチン類似体でコーティングすることによる)阻害を含む。
薬学的組成物及び投与
コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を担体と共に含む組成物が本明細書に記載される。一態様において、組成物は、薬学的組成物であり、及び担体は、薬学的に許容される担体である。コンプスタチン類似体又はその塩及び/若しくは溶媒和物を担体、賦形剤又はビヒクルと共に含む薬学的組成物も本明細書に記載される。従って、コンプスタチン類似体又はその塩若しくは溶媒和物、とりわけその薬学的に許容される塩及び/若しくは溶媒和物は、貯蔵又は投与のために調製された組成物又は薬学的組成物として製剤化され、且つ治療的に有効な量のコンプスタチン類似体又はその塩若しくは溶媒和物を含み得る。
塩基により形成される適切な塩として、金属塩、例えばアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が挙げられる。
一態様において、薬学的組成物は、コンプスタチン類似体が、薬学的に許容される酸付加塩の形態であるものである。
医学技術の当業者にとって明らかなように、コンプスタチン類似体化合物又は薬学的組成物の「治療的に有効な量」は、とりわけ、処置されることとなる対象(患者)の年齢、体重及び/又は性別に応じて変動し得る。関連性があり得る他の因子として、考慮中の特定の患者の身体的な特徴、患者の食事、あらゆる同時薬物の性質、使用される特定の化合物、特定の投与モード、所望の薬理効果及び特定の治療指標が挙げられる。この量を決定する際のこれらの因子及びその関係は、医学技術において公知であるため、治療的に有効な投薬量レベル、本明細書に記載される吸収不良及び/又は低悪性度の炎症の処置及び/又は予防及び/又は改善の所望の結果を達成するのに必須の量並びに本明細書で開示される他の医学的指標の決定は、当業者の範囲内であろう。
本明細書で用いられる用語「治療的に有効な量」は、所与の症状又は病理の病徴を緩和し、症状又は病理を有する個体における生理学的応答を正常化する量を指す。病徴の緩和又は生理学的応答の正常化は、当技術分野の方法をルーチンで用いて決定することができ、所与の症状又は病理によって異なり得る。一局面において、1つ又は複数のコンプスタチン類似体又はその薬学的組成物の治療的に有効な量は、測定可能な生理学的パラメータを、対象の症状又は病理を有しない個体におけるパラメータの実質的に同じ値(好ましくは30%以内、より好ましくは20%以内、さらにより好ましくは10%以内の値)にまで回復させる量である。
一態様において、化合物又は薬学的組成物の投与は、より低い投薬量レベルにおいて開始され、投薬量レベルは、関連する医学的指標を予防/処置する所望の効果が達成されるまで増大される。これは、治療的に有効な量を定義する。本明細書に記載のコンプスタチン類似体について、単独で又は薬学的組成物の一部として、活性があるコンプスタチン類似体のそのようなヒト用量は、約0.01pmol/体重kg~500μmol/kg、約0.01pmol/体重kg~300μmol/kg、0.01pmol/体重kg~100μmol/kg、0.1pmol/体重kg~50μmol/kg、1pmol/体重kg~10μmol/kg、5pmol/体重kg~5μmol/kg、10pmol/体重kg~1μmol/kg、50pmol/体重kg~0.1μmol/kg、100pmol/体重kg~0.01μmol/kg、0.001μmol/体重kg~0.5μmol/kg、0.05μmol/体重kg~0.1μmol/kgであり得る。
患者の処置に最も適切な治療投与及びレジメンは、勿論、処置されることとなる疾患又は症状により且つ患者の体重及び他のパラメータに従って異なることとなる。特定のいかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、mg/kg範囲の用量及び処置のより短い又はより長い期間又は頻度が、治療的に有用な結果、例えば副補体経路及び古典補体経路の統計学的に有意な阻害をもたらし得ることが予想される。ヒト用途にとって最も適切な投薬量サイズ及び投与レジメンは、当技術分野で公知であるか又は本明細書に記載される方法によって得られる結果によってガイドされ得、且つ適切に設計された治験で確認され得る。
有効な投薬量及び処置プロトコールは、ラボ動物において低い用量で始めてから、効果を監視しながら投薬量を増大させて、投与計画を体系的に変える従来の手段によって同様に決定され得る。所与の対象にとって最適な投薬量を決定する場合、多数の因子が臨床医によって考慮され得る。
眼への局所送達のために、薬学的に許容される組成物は、防腐剤、例えば塩化ベンジルアルコニウムが入っているか又は入っていない等張pH調整滅菌生理食塩水又は水中に製剤化され得る。代わりに、眼病用用途のために、薬学的に許容される組成物は、軟膏、例えばペトロラタム中に又は点眼液として製剤化され得る。眼への局所投与の方法の例として、脈絡膜注射、経強膜注射若しくは強膜パッチ配置、選択的動脈カテーテル挿入、点眼液若しくは眼軟膏、眼内投与(経網膜注射、眼球結膜下注射、硝子体内注射、脈絡膜上注射、眼球鞘下注射、強膜ポケット及び強膜カットダウン注射(浸透圧ポンプなどによる)が挙げられる)が挙げられる。組成物は、代わりに、脈管内、例えば静脈内(IV)又は動脈内に投与することもできる。脈絡膜注射及び強膜パッチングにおいて、臨床医は、鎮痛剤及び眼筋麻痺薬)が挙げられる適切な麻酔の開始後、眼への局所アプローチを用いる。治療化合物を収容する針は、滅菌条件下で対象の脈絡膜又は強膜中に導かれて挿入される。針が適切に配置されると、化合物は、脈絡膜又は強膜のいずれか又は両方に注射される。これらの方法のいずれを用いる場合も、臨床医は、持続的放出又はより長く作用する製剤形態を選択することができる。従って、手順は、処置及び応答の対象の寛容性に応じて数ヶ月又は数年毎にのみ繰り返され得る。
記載される化合物は、その特定のアミノ酸配列及び/又はアシル化の結果として、特に有利な特性を有する。それらは、コンプスタチンの2位及び12位に対応する位置においてジスルフィド結合によって連結されたシステイン残基を有する。チオエーテル結合を含有する類似の又はそうでなければ同一の化合物は、類似した有利な特性を有することとなり、且つ/又は安定性、例えば化学的安定性(分解への耐性)若しくは物理的安定性(凝集に対する耐性)の向上を示すこととなると考えられる。
以下の実施例は、態様をより詳細に説明するために提供される。実施例は、本開示の範囲を限定するのではなく、本開示を説明することが意図される。
実施例1:コンプスタチン類似体の合成
一般的なペプチド合成
Figure 2023538807000018
装置及び合成戦略
9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)をN-α-アミノ保護基として、且つ一般的な適切な保護基を側鎖官能基に用いる固相ペプチド合成手順に従い、ペプチドをバッチ式に、又はペプチドシンセサイザ、例えばCEM Liberty Peptide Synthesizer又はSymphony X Synthesizerで合成した。
高分子支持体ベースの樹脂、例えばTentaGel(商標)を用いた。シンセサイザに、使用前にDMF中で膨張させた樹脂をロードした。
カップリング
CEM Liberty Peptide Synthesizer
Fmoc-保護アミノ酸の溶液(4当量)をカップリング試薬溶液(4当量)及び塩基の溶液(8当量)と共に樹脂に追加した。混合物をマイクロ波装置によって70~75℃に加熱し、5分間カップリングさせるか又は加熱なしで60分間カップリングさせた。カップリング中、窒素を混合液に通して泡立てた。
Symphony X Synthesizer
カップリング溶液を以下の順序で反応容器に移した:アミノ酸(4当量)、HATU(4当量)及びDIPEA(8当量)。カップリング時間は、特に明記しない限り、室温(RT)において10分であった。樹脂をDMF(5×0.5分)で洗浄した。反復カップリングの場合、カップリング時間は、すべての場合にRTで45分であった。
脱保護
CEM Liberty Peptide Synthesizer
Fmoc基を、DMF又は他の適切な溶媒中のピペリジンを用いて脱保護した。脱保護溶液を反応器に加えて、混合液を30秒間加熱すると、およそ40℃に達した。反応器を排液して、フレッシュな脱保護溶液を加えてから、70~75℃に3分間加熱した。反応器を排液した後、樹脂をDMF又は他の適切な溶媒で洗浄した。
Symphony X Synthesizer
Fmoc脱保護を、DMF中40%ピペリジンを用いて2.5分間実行して、同じ条件を用いて反復した。樹脂をDMF(5×0.5分)で洗浄した。
側鎖アシル化
Fmoc-Lys(Dde)-OH又は代わりに直交側鎖保護基を有する別のアミノ酸をアシル化の位置に導入した(側鎖脂質化)。直鎖状ペプチドのN末端をAc又はBocで保護した。ペプチドは、樹脂になお結合されている一方、直交側鎖保護基は、NMP中で新たに調製したヒドラジン水和物(2~4%)を用いて、2×15分間、選択的に切断した。続いて、保護されていないリシン側鎖を、標準的なカップリング条件及びFmoc-脱保護を用いて、所望の構築ブロックにより延長させた。脂質化部分を最後の工程としてカップリングさせた。
切断
乾燥したペプチド樹脂をTFA及び適切なスカベンジャでおよそ2時間処理した。濾液の容量を減らして、粗ペプチドをジエチルエーテルの添加後に沈殿させた。粗ペプチド沈殿物をジエチルエーテルで数回洗浄して、最後に乾燥させた。
粗ペプチドのHPLC精製
カラム、例えば5×25cm Gemini NX 5u C18 110Aカラム及び画分コレクタを備えるバイナリ勾配アプリケーション用の、従来のHPLC装置、例えば331/332ポンプ組合せを有するGilson GX-281を用いる分取逆相HPLCにより、バッファA(0.1%ギ酸、aq.)又はA(0.1%TFA、aq.)及びバッファB(0.1%ギ酸、90%MeCN、aq.)又はB(0.1%TFA、90%MeCN、aq.)の適切な勾配のフロー20~40ml/分を用いて、粗ペプチドを精製した。画分を分析HPLC及びMSによって分析して、選択した画分をプールして、凍結乾燥させた。最終生成物をHPLC及びMSによって特徴付けた。
メチレンチオアセタールS-CH -Sの形成
粗直鎖ペプチドの精製及び凍結乾燥後、ペプチドを透明な溶液になるまで水及びアセトニトリル中で再溶解した。ペプチド溶液の濃度は、可溶化するペプチド能力に応じて、およそ5~6mg/mlに維持した。反応は、不所望の空気酸化を最小化するために密閉容器中で実行した。ジヨードメタン(およそ20~30当量)及びDIPEA(20当量)をペプチド溶液に追加する間、ペプチド溶液を撹拌した。2~5時間後、反応を終えて、反応混合物のpHをTFAでpH3に調整した。ペプチド溶液を分取HPLC精製前に水で希釈した。
分析HPLC
最終純度を、自動サンプラー、デガッサー、20μlフローセル及びChromeleonソフトウェアを備えた分析HPLC(Agilent 1100/1200シリーズ)によって判定した。分析カラム、例えばKinetex 2.6μm XB-C18 100A 100×8.6mmカラムを用いて、40℃において1.2ml/分のフローでHPLCを作動させた。化合物を215nmにおいて検出して定量化した。バッファA(0.1%TFA、aq.)及びバッファB(0.1%TFA、90%MeCN、aq.)。
質量分光法
最終MS分析値を、従来の質量分光法、例えばロック-質量較正によるエレクトロスプレーイオン化及びMassLynxソフトウェアを備えたWaters Xevo G2 TOFで求めた。これは、直接噴射及びクロマトグラムで特定した15V(1TOF)、30V(2TOF)又は45V(3TOF)のコーン電圧を用いて、ポジティブモードで作動させた。精度は、15,000~20,000の典型的な解析度で5ppmであった。
化合物24の合成
固相ペプチド合成を、標準的なFmoc化学を用いるSymphony X Synthesizerで実行した。TentaGel S RAM(1.3g;0.23mmol/g)を使用前にDMF(3×10ml)中で膨張させて、Fmoc-基を、先に記載する手順に従って脱保護した。
カップリング
配列に従って保護された適切なFmoc-アミノ酸を、カップリング試薬としてHATUを用いて、先に記載するようにカップリングさせた。カップリングは、すべてR.T.で実行した。分枝状部分の組込みに使用したリシンを直交カップリングのためにFmoc-Lys(Dde)-OHとして組込んだ。
脱保護
Fmoc脱保護を、先に記載する手順に従って実行した。
側鎖アシル化
ペプチドは樹脂になお結合されている一方、直交側鎖保護基(Dde)は、NMP中で新たに調製したヒドラジン水和物(2~4%)を用いて、2×15分間、選択的に切断した。保護されていないリシン側鎖を、標準的なカップリング条件を用いて、Fmoc-Glu-OtBuと二重カップリングさせた後、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-Glu-OtBu及び最後に脂肪酸部分17-カルボキシ-ヘプタデカン酸モノtert-ブチルエステルと単一カップリングさせた。
固体支持体からのペプチドの切断
ペプチド-樹脂をEtOH(3×15ml)及びEt2O(3×150ml)で洗浄して、室温(r.t.)において一定の重量まで乾燥させた。ペプチドを樹脂からTFA/TIS/水(95/2.5/2.5;40ml、2時間、r.t.)による処理によって切断した。濾液の容量を減らして、粗ペプチドをジエチルエーテルの添加後に沈殿させた。粗ペプチド沈殿物をジエチルエーテルで数回洗浄して、最後に室温において一定の重量まで乾燥させて、913mgの粗ペプチド生成物(純度約37%)を得た。
粗直鎖状ペプチドのHPLC精製
5×25cm Gemini NX 5u C18 110Aカラム及び画分コレクタを備えるバイナリ勾配アプリケーション用の、331/332ポンプ組合せを有するGilson GX-281を用いて、バッファA(0.1%TFA、aq.)及びバッファB(0.1%TFA、90%MeCN、aq.)勾配の、44%Bから69%Bへの勾配で35ml/分において47分ランする分取逆相HPLCにより、粗ペプチドを精製した。画分を分析HPLC及びMSによって分析して、関連画分をプールして、凍結乾燥させて、167mgを得た。先に記載するHPLC及びMSにより、90%の純度が特徴付けられた。モノアイソトピックMW計算値=3665.67、実測値3665.66。
粗直鎖ペプチド上でのメチレンチオアセタール連結の形成
167mgの精製直鎖ペプチドを40mlの水:アセトニトリル(1:1)中に溶解した。ペプチド溶液の濃度は、可溶化するペプチド能力に応じて、およそ6mg/mlに維持した。反応は、不所望の空気酸化を最小化するために密閉容器中で実行した。ジヨードメタン(およそ20~30当量)及びDIPEA(20当量)をペプチド溶液に追加する間、ペプチド溶液を撹拌した。反応の後に分析HPLCを続けたが、3時間後、反応を終えて、反応混合物のpHをTFAでpH3に調整した。ペプチド溶液を分取HPLC精製前に水で希釈した。
酸化ペプチドのHPLC精製
5×25cm Gemini NX 5u C18 110Aカラム及び画分コレクタを備えるバイナリ勾配アプリケーション用の、331/332ポンプ組合せを有するGilson GX-281を用いて、バッファA(0.1%TFA、aq.)及びバッファB(0.1%TFA、90%MeCN、aq.)勾配の、30%Bから60%Bへの勾配で35ml/分において47分ランする分取逆相HPLCにより、粗ペプチドを精製した。画分を分析HPLC及びMSによって分析して、関連画分をプールして、凍結乾燥させて、99.6mgを得た。先に記載するHPLC及びMSにより、90%の純度が特徴付けられた。モノアイソトピックMW計算値=3677.69、実測値3677.60。
(表1)合成した化合物
Figure 2023538807000019
Figure 2023538807000020
「C(1)」と明示されるシステイン残基の側鎖は、各システイン残基の硫黄原子がメチレン基を介して架橋されるメチレンチオアセタール連結;すなわち-S-CH-S-によって連結される。
「C(2)」と明示されるシステイン残基の側鎖は、各システイン残基の硫黄原子がエチレン基を介して架橋されるエチレンチオアセタール連結;すなわち-S-CH-CH-S-によって連結される。
「C()」と明示されるシステイン残基の側鎖は、ジスルフィド結合によって連結される。
実施例2:インビトロ溶血アッセイ
方法
本明細書に記載のいくつかの化合物のインビトロ効果を、溶血アッセイにおいて古典補体経路のそれらの阻害効果を測定することにより評価した。
手短に言うと、本明細書に記載の化合物及び参照化合物をDMSO中に溶解し、96ウェルプレートにおいて9ポイント段階希釈液としてトリス/カゼインアッセイバッファ(10mMトリス、145mM NaCl、0.5mM MgCl、0.15mM CaCl及び0.1W/V%カゼイン、pH7.4に調整)中で希釈した。ウサギ抗ヒツジ赤血球抗血清でコーティングした感作ヒツジ赤血球(RBC)(Complement Technology,Inc.,TX,USA)をトリス/カゼインアッセイバッファ中で洗浄した。各ウェルの希釈化合物からの50μLを、50μL希釈ヒト血清(Complement Technology,Inc.,TX,USA)を含有する96ウェルプレートに追加し、室温で15分間インキュベートした。血清希釈係数は、プロトコールを使用して70~90%の最大の溶血を得るために血清バッチ毎に最適化した。次に、50μL感作ヒツジRBCをすべてのウェルに追加した(1ウェルあたり10)。
穏やかに撹拌しながら37℃で30分間インキュベーションした後、1ウェルあたり50μLトリスSTOPバッファ(10mM EDTA、10mMトリス、145mM NaCl、pH7.4に調整)の追加により、反応を停止させた。次に、RBCを遠心分離により除去し、結果として生じた上清を405nmの吸光度により溶血について測定した。
応答をポジティブ対照及びネガティブ対照(ビヒクル)に対して正規化し、曲線適合に4-パラメータロジスティック(4PL)非線形モデルを使用して、濃度反応曲線からIC50を算出した(表2)。値は、すべてn≧2の独立した判定に基づく。
(表2)溶血の阻害のインビトロ分析
Figure 2023538807000021
実施例3:表面プラスモン共鳴(SPR)による親和性測定
方法
表面プラスモン共鳴(SPR)を用いて、ペプチドをC3に対する結合親和性(Kd)に関して特徴付けた。10mMホスファートpH7.4、150mM NaCl、0.05%Tween20からなるバッファ中でおよそ3000共鳴単位(RU)の密度にカップリングしている標準的なアミンを用いて、ヒトC3(Complement tech cat#A113c)をCM5センサーチップ(GE Healthcare)の活性フローセル上に固定した。
相互作用実験のために、BiacoreX100(商標)機器(GE Healthcare)を25℃において用いるマルチサイクル実験アプローチを用いて実行した。150mM NaCl及び0.05%Tween20入り50mMトリスバッファ、pH7.4からなるバッファ中のペプチドを増大濃度系列(5つの異なる濃度及びバッファ標準)で30μL/分の流量において180秒間注入した。これに、10分間の解離期間を続けた。C3表面を、それぞれ45秒間の3M MgClの2回の連続的な注入により、ラン間で再生させた。
センサーグラムを二重参照(double-reference)(参照表面、ブランク)してから、データを1:1のラングミュア結合モデルに包括的に適合させて、平衡解離定数Kdの算出のための結合速度及び解離速度を得ることにより、動態プロファイルを分析した(表3)。各ペプチドを少なくとも2つの独立した実験で試験した。
(表3)固定C3による表面プラスモン共鳴アッセイにより決定されるC3に対するコンプスタチン類似体結合親和性。
Figure 2023538807000022
NT=試験せず
値は、すべてn≧2の独立した判定に基づく。
実施例4:非ヒト霊長類(NHP)における試験化合物のプロファイリング
健康な雄カニクイザル(カニクイザル(Macaca fascicularis))が、各試験物質の単回の皮下投与を受けた。化合物を、NaOHでpH7.5に調整した20mMホスファート及び等張性用のマンニトール中に製剤化して、1840nmol/kgにおいて投薬した。血液を各動物から以下の時点において大腿静脈から収集した:投与前、1、2、4、8、24、48、72、96及び120時間(10回のサンプリング)。血液を血清分離管中に収集して、室温において凝固させた。管を遠心分離して、結果として生じた血清をアリコートして、ドライアイス上で急速凍結させて、分析まで名目上-80℃において貯蔵した。すべてのNHP研究を、動物福祉法及び地方の倫理審査プロセスによる研究の承認が挙げられる規則に従って実行した。
投与後の特定の時点において非ヒト霊長類から単離した血清を、Svar Life Science(以前はEuro diagnostic AB,Sweden)Alternative Pathway WIESLAB(登録商標)キットを用いて、メーカーのプロトコールに従って副経路補体活性について分析した。手短に言うと、血清試料又は対照をバッファ中に希釈して、副経路の特定のアクティベータでコーティングしたマイクロタイターストリップ内でインキュベートした。ウェルを洗浄して、形成されたC5b-9を、含まれる比色試薬を用いて検出した。405nmでの吸光度を測定した。補体副経路のパーセント活性を、ネガティブ対照を減算した個々の動物の投与前活性(0時間)と比較して動物毎及び時点毎に算出した。これは、化合物の薬理活性を反映する。
Alternative Pathway WIESLAB(登録商標)キットからの結果を図1a及び1bに示す。

Claims (23)

  1. 式I:
    Y1-R1-X1-C-X3-X4-Q-X6-W-X8-X9-H-X11-C-X13-R2-Y2 (I)
    (式中、
    Y1は、水素、アセチル又は親油性基Φであり;
    X1は、I、Y、F又はSarであり;
    X3は、I又はVであり;
    X4は、W、F、V、Y、1-Me-Trp、D-Trp、N-Me-Trp、1-For-Trp、1-Nal、2-Nal、5MeTrp、Bpa又は2Iglであり;
    X6は、E又はDであり;
    X8は、G又はSarであり;
    X9は、H、A、E、D、K、R又はSであり;
    X11は、R、K又はSであり;
    X13は、T、S、E、F、H、K、Sar、G、I、D、N-Me-Ile又はN-Me-Thrであり;
    Y2は、NH、OH又は親油性基Φであり;
    R1は、存在しないか、或いはA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、Q、Y、V若しくはSar又はその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列であり;及び
    R2は、存在しないか、又はA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、V、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル(Peg3)、Sar、γGlu若しくはその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列である)
    によって表されるコンプスタチン類似体であって、
    任意で、1つ又は複数のアミノ酸残基の側鎖に共有結合された少なくとも1つの親油性基Φを含み;
    2位及び12位のシステイン残基の硫黄原子間にC1~3アルキレン架橋を有する、
    コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  2. 式II:
    Y1-R1-X1-C-I-X4-Q-X6-W-X8-X9-H-X11-C-X13-R2-Y2 (II)
    (式中、
    Y1は、水素、アセチル又は親油性基Φであり;
    X1は、I、Y、F又はSarであり;
    X4は、W、F、V、Y、1-Me-Trp、D-Trp、N-Me-Trp、1-For-Trp、1-Nal、2-Nal、5MeTrp、Bpa又は2Iglであり;
    X6は、E又はDであり;
    X8は、G又はSarであり;
    X9は、H、A、E、D、K、R又はSであり;
    X11は、R、K又はSであり;
    X13は、T、S、E、F、H、K、Sar、G、I、D、N-Me-Ile又はN-Me-Thrであり;
    Y2は、NH、OH又は親油性基Φであり;
    R1は、存在しないか、或いはA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、Q、Y、V若しくはSar又はその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列であり;及び
    R2は、存在しないか、又はA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、V、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル(Peg3)、Sar、γGlu若しくはその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列である)
    によって表されるコンプスタチン類似体であって、
    任意で、1つ又は複数のアミノ酸残基の側鎖に共有結合された少なくとも1つの親油性基Φを含み;
    2位及び12位のシステイン残基の硫黄原子間にC1~3アルキレン架橋を有する、
    コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  3. X1は、I、Y又はFであり;
    X4は、W、Y、1-Me-Trp、1-Nal、2-Nalであり;
    X6は、E又はDであり;
    X8は、G又はSarであり;
    X9は、A又はEであり;
    X11は、R又はKであり;及び
    X13は、T、S、E、F、H、K、Sar、G、I、D、N-Me-Ile又はN-Me-Thrである、
    請求項1又は2に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  4. 式III:
    Y1-R1-F-C-I-1-Me-Trp-Q-X6-W-X8-E-H-R-C-X13-R2-Y2 (III)
    (式中、
    Y1は、水素、アセチル又は親油性基Φであり;
    X6は、E又はDであり;
    X8は、G又はSarであり;
    X13は、T又はSarであり;
    Y2は、NH、OH又は親油性基Φであり;
    R1は、存在しないか、或いはA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、Q、Y、V若しくはSar又はその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列であり;及び
    R2は、存在しないか、又はA、E、G、L、K、F、P、S、T、W、R、V、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタノイル(Peg3)、Sar、γGlu若しくはその対応するD体から選択される1~6アミノ酸残基の配列である)
    によって表されるコンプスタチン類似体であって、
    任意で、1つ又は複数のアミノ酸残基の側鎖に共有結合された少なくとも1つの親油性基Φを含み;
    2位及び12位のシステイン残基の硫黄原子間にC1~3アルキレン架橋を有する、
    コンプスタチン類似体又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  5. R1は、SE、EGSA、GE、E、{d}Y、EGSE、KSGE、EQEV、ESQV、ESEQV、SEQA、SKQE、EGESG、GQSA、ESGV及びYEQAから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  6. R2は、
    GAES、
    EGE[Peg3][Peg3]-K
    EK[γGlu]-K
    EGA-K
    EGE[Peg3]ES-K
    EAE[Peg3][Peg3]-K
    E[Peg3][Peg3]-K
    EA[Peg3][Peg3]-K、及び
    GAES[Peg3][Peg3]-K
    から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体。
  7. 前記ペプチド骨格は、
    Figure 2023538807000023
    (ここで、[C(1)]は、それらの側鎖の硫黄原子間にメチレン架橋基を有するシステイン残基の対を示し、[C(2)]は、それらの側鎖の硫黄原子間にエチレン架橋基を有するシステイン残基の対を示し、は、アミノ酸残基が、その側鎖に共有結合された親油性基Φを有することを示す)
    から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  8. 前記ペプチド骨格は、
    Figure 2023538807000024
    Figure 2023538807000025
    (ここで、[C(1)]は、それらの側鎖の硫黄原子間にメチレン架橋基を有するシステイン残基の対を示し、[C(2)]は、それらの側鎖の硫黄原子間にエチレン架橋基を有するシステイン残基の対を示す)
    から選択される、請求項7に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  9. Figure 2023538807000026
    Figure 2023538807000027
    (ここで、[C(1)]は、それらの側鎖の硫黄原子間にメチレン架橋基を有するシステイン残基の対を示し、[C(2)]は、それらの側鎖の硫黄原子間にエチレン架橋基を有するシステイン残基の対を示す)
    から選択される、請求項8に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  10. 前記アルキレン架橋は、-CH-又は-CH-CH-であり;すなわち、連結は、-S-CH-S-又は-S-CH-CH-S-である、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を担体との混合物中に含む、組成物。
  12. 前記組成物は薬学的組成物であり、前記担体は薬学的に許容される担体である、請求項11に記載の組成物。
  13. 請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、薬学的に許容される担体、賦形剤又はビヒクルとの混合物中に含む、薬学的組成物。
  14. 治療で使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  15. 補体活性化を阻害する方法で使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  16. 補体活性化の阻害は、(1)C3タンパク質への結合、(2)C3bタンパク質への結合、及び/又は(3)C3転換酵素による天然のC3の切断の阻害から選択される1つ又は複数の生物活性を含む、請求項15に記載の使用のためのコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  17. 加齢黄斑変性、シュタルガルト病、歯周炎、糖尿病性網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、慢性関節リウマチ、脊髄損傷、卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌及び呼吸性障害、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性炎症、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、結核、肺炎、呼吸窮迫症候群(RDS - 新生児及び成人)、鼻炎及び副鼻腔炎;細菌感染、例えば敗血症、種々の組織における虚血-再灌流傷害、心筋梗塞、アナフィラキシー、発作性夜間ヘモグロビン尿症、自己免疫溶血性貧血、乾癬、化膿性汗腺炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、CHAPLE症候群、C3糸球体症、IgA腎症、非典型溶血性尿毒症症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎又は抗リン脂質症候群の予防又は処置の方法で使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  18. 細胞移植又は臓器移植中に起こる補体活性化を阻害する方法で使用するための、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  19. 補体活性化の阻害を、それを必要とする対象を処置するために行う方法であって、前記対象に、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を投与して、前記対象において補体活性化を阻害することを含む方法。
  20. 前記対象は、加齢黄斑変性、シュタルガルト病、歯周炎、糖尿病性網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、慢性関節リウマチ、脊髄損傷、卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌及び呼吸性障害、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性炎症、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、結核、肺炎、呼吸窮迫症候群(RDS - 新生児及び成人)、鼻炎及び副鼻腔炎;細菌感染、例えば敗血症、種々の組織における虚血-再灌流傷害、心筋梗塞、アナフィラキシー、発作性夜間ヘモグロビン尿症、自己免疫溶血性貧血、乾癬、化膿性汗腺炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、CHAPLE症候群、C3糸球体症、IgA腎症、非典型溶血性尿毒症症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎又は抗リン脂質症候群を有する、請求項19に記載の方法。
  21. 生理液の体外シャント中に補体活性化を阻害するエクスビボ方法であって、前記生理液を、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と接触させ、それにより補体活性化を阻害することを含む、エクスビボ方法。
  22. 補体活性化を阻害するための薬剤の調製における、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用。
  23. 加齢黄斑変性、シュタルガルト病、歯周炎、糖尿病性網膜症、緑内障、ブドウ膜炎、慢性関節リウマチ、脊髄損傷、卒中、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、癌及び呼吸性障害、例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性炎症、肺気腫、気管支炎、気管支拡張症、嚢胞性線維症、結核、肺炎、呼吸窮迫症候群(RDS - 新生児及び成人)、鼻炎及び副鼻腔炎;細菌感染、例えば敗血症、種々の組織における虚血-再灌流傷害、心筋梗塞、アナフィラキシー、発作性夜間ヘモグロビン尿症、自己免疫溶血性貧血、乾癬、化膿性汗腺炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、CHAPLE症候群、C3糸球体症、IgA腎症、非典型溶血性尿毒症症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎又は抗リン脂質症候群の処置のための薬剤の調製における、請求項1~10のいずれか一項に記載のコンプスタチン類似体又は薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用。
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