JP2023538500A - 多官能性分岐剤を含むエチレン系ポリマー組成物及びそれを製造するためのプロセス - Google Patents

多官能性分岐剤を含むエチレン系ポリマー組成物及びそれを製造するためのプロセス Download PDF

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Abstract

本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、本プロセスは、多官能性分岐剤(MFBA)を提供することを含む。MFBAは、A)(1)MFBAが、ブタジエンのポリマーでないこと、かつ(2)MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合を有する。MFBAは、B)3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rを有し、Rが、以下の式(I)で決定され、【数1】JPEG2023538500000018.jpg22170式中、j=指数の積算であり、p=分子中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合jの数であり、nj=分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、r1,j=エチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(RRR)である。本プロセスは、重合条件下でMFBAをエチレンと反応させることと、エチレンの単位及びMFBAの単位で構成されるエチレン系ポリマー組成物を形成することと、を含む。本開示はまた、本プロセスから生じるエチレン系ポリマー組成物を提供する。

Description

低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)など、エチレン系ポリマーにおける分岐のレベルは、例えば、主に、反応器の設計(オートクレーブ又は管状)、及びLDPEを作製するために使用される重合条件によるものである。分岐のレベルはまた、最終ポリマーの溶融強度と直接相関する。LDPEにおける分岐のレベルを向上させるための分岐剤が知られている。しかしながら、高レベルの分岐を有する変性LDPEを達成するために必要とされるプロセス条件は、多くの場合、より低い結晶化度及びより高い含有量の低分子量抽出可能画分を有する最終生成物をもたらす。
したがって、当技術分野において、向上した分岐レベルに対して向上した溶融強度を有するLDPE、良好なポリマー特性を維持する重合条件下で調製されたLDPEに対する継続的な必要性が認識されている。
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、本プロセスは、多官能性分岐剤(multifunctional branching agent、MFBA)を提供することを含む。MFBAは、A)(1)MFBAが、ブタジエンのポリマーでないこと、かつ(2)MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合を有する。MFBAは、B)3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rを有し、Rが、以下の式(I)で決定され、

式中、
j=指数の積算であり、
p=分子中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合jの数であり、
=分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、
1,j=エチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(relative reactivity ratio、RRR)である。本プロセスは、重合条件下でMFBAをエチレンと反応させることと、エチレンの単位及びMFBAの単位を含むエチレン系ポリマー組成物を形成することと、を含む。
本開示はまた、本プロセスから生じるエチレン系ポリマー組成物を提供する。一実施形態では、エチレン系ポリマー組成物は、(i)エチレンの単位、及び(ii)多官能性分岐剤(MFBA)の単位を含む。MFBAは、
(A)(1)MFBAが、ブタジエンのポリマーではないこと、かつ(2)MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合を有する。MFBAは、(B)3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rを有し、Rが、以下の式(I)で決定され、

式中、
j=指数の積算であり、
p=MFBA中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合の数であり、
=分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、
1,j=エチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(RRR)である。
本開示の一実施形態による多官能性分岐剤の化学構造を示す。 本開示の一実施形態による多官能性分岐剤の化学構造を示す。
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表での元素群への参照は、群に番号を付けるための新しい表記法によるものである。
米国特許実務を目的として、参照される特許、特許出願、又は刊行物の内容は必ず、内容全体が、特に定義の開示、及び当技術分野における一般的な知識に関して(本開示において具体的に提供される定義に決して矛盾しない程度に)、参照により本明細書に組み込まれる(又は、刊行物の相当する米国特許出願が同じように参照により組み込まれる)。
本明細書に開示される数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値までの全ての値を含む。明示的な値(例えば、1又は2、若しくは3~5、若しくは6、若しくは7)を含有する範囲の場合、任意の2つの明示的な値の間のあらゆるサブ範囲が含まれる(例えば、上記の1~7の範囲には、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6、などのサブ範囲が含まれる)。
特に反対の記載がないか、文脈から暗示されるか、又は当技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
「アルカン」は、飽和炭化水素である。「アルキル」(又は「アルキル基」)は、結合価(典型的には一価)を有するアルカンである。
「アルケン」は、炭素-炭素二重結合を含有する炭化水素である。「アルケニル」(又は「アルケニル基」)は、結合価(典型的には一価)を有するアルケンである。
「アリル」(又は「アリル基」)という用語は、一価の不飽和C炭化水素である。換言すれば、アリル基は、プロペンから1個の水素原子を引いたものである。
本明細書で使用される場合、「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーの混合物を指す。ブレンドは、混和性であっても、混和性でなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。ブレンドは、相分離していても、相分離していなくてもよい。ブレンドは、透過電子分光法、光散乱、x線散乱、及び当技術分野において既知の他の方法から決定される1つ以上のドメイン構成を含有してもよいか、又は含有しなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、樹脂の溶融ブレンド若しくは配合)又はミクロレベル(例えば、同じ反応器内での同時形成)で2つ以上のポリマーを物理的に混合することによって行ってよい。
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、又は手順の存在を除外することを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求される全ての組成物は、特に反対の記載がない限り、ポリマーであるかその他であるかによらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、又は手順を除く。「からなる」という用語は、明確に描写又は列挙されていない任意の成分、ステップ、又は手順を除外する。「又は」という用語は、特に明記しない限り、列挙されたメンバーを個別に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は複数形の使用を含み、その逆もまた同様である。
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー組成物」という用語は、重合形態で、ポリマーの重量に基づいて、50重量%を超える、又は大部分の量のエチレンを含む組成物を指し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマー又は他の分子を含み得る。
本明細書で使用される場合、「エチレンモノマー」という用語は、間に二重結合を有する2個の炭素原子を有し、かつ各炭素が2個の水素原子に結合した化学単位を指し、化学単位は、他のそのような化学単位と重合して、エチレン系ポリマー組成物を形成する。「炭化水素」は、水素原子及び炭素原子のみを含有する化合物である。「ヒドロカルボニル」(又は「ヒドロカルボニル基」)は、結合価(典型的には一価)を有する炭化水素である。炭化水素は、直鎖構造、環状構造、又は分岐構造を有し得る。
本明細書で使用される場合、「低密度ポリエチレン」(又はLDPE)という用語は、0.910g/cc~0.940g/cc未満又は0.918g/cc~0.930g/ccの密度と、広い分子量分布(molecular weight distribution、MWD)、すなわち、4.0~20.0の「広いMWD」を有する長鎖分岐と、を有するポリエチレンを指す。
「オレフィン」は、炭素-炭素二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素である。
「フェニル」(又は「フェニル基」)という用語は、結合価(典型的には一価)を有するC芳香族炭化水素環である。
本明細書で使用される場合、「ポリマー」又は「ポリマー材料」という用語は、同じタイプであるか、又は異なるタイプであるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製された化合物を指し、ポリマーを構成する複数及び/若しくは繰り返しの「単位」又は「マー単位」を重合形態で提供する。したがって、一般的なポリマーという用語は、ただ1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語と、少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語と、を包含する。また、例えば、ランダム、ブロックなどの全ての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」及び「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレン又はプロピレンを重合させて調製した上述のコポリマー及び1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーを示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマー又はモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残基を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
試験方法
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定される。結果は、グラム/立方センチメートル(g/cc)で報告される。
メルトインデックス
本明細書で使用される場合、「メルトインデックス」(又は「melt index、MI」若しくは「I2」)という用語は、溶融状態にあるときに熱可塑性ポリマーがどれだけ容易に流動するかの尺度を指す。メルトインデックス、又はIは、ASTM D1238、条件190℃/2.16kgに従って測定され、10分ごとに溶出されるグラム(g/10分)で報告される。I10は、ASTM D1238、条件190℃/10kgに従って測定され、10分当たりに溶出したグラム(g/10分)で報告される。メルトインデックス比(I10/I)は、ASTM D1238に従って、190℃の温度で10kg及び2.16kgで得られた値の比を取って測定される。
溶融強度
本明細書で使用される場合、「溶融強度」という用語は、ポリマーが破壊する前に、溶融状態のポリマーに加えられる最大張力の尺度を指す。Goettfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.、Rock Hill,SC)を使用して、190℃で測定される。溶融した試料(25~50グラム)には、平坦な入口角度(180度)を備え、長さ30mm、直径2mmのGoettfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターが供給される。試料は、バレル(L=300mm、直径=12mm)に供給され、圧縮され、10分間溶融することを許容された後、0.265mm/sの一定のピストン速度(これは、所与のダイの直径で38.2s-1の壁剪断速度に相当する)で押し出される。押出物は、ダイ出口の100mm下に位置するレオテンのホイールを通過し、2.4ミリメートル/平方秒(mm/s)の加速速度でホイールによって下向きに引っ張られる。ホイールにかかる力(センチニュートン、cNで測定)は、ホイールの速度(mm/s)の関数として記録される。ストランド速度(mm/s)の関数としての力(cN)の2つの曲線が重なるまで、試料を少なくとも2回繰り返す。次いで、ストランド切断時に最高速度を示した曲線が報告される。溶融強度は、ストランドが切断される前のプラトー力として、センチニュートン(centi-newton、cN)の単位で報告される。
1.プロセス
本開示は、プロセスを提供する。本プロセスは、多官能性分岐剤(MFBA)を提供することと、重合条件下でMFBAをエチレンと反応させることと、を含む。本プロセスは、エチレンの単位及びMFBAの単位を含むエチレン系ポリマー組成物を形成することを含む。本プロセスは、多官能性分岐剤(又は「MFBA」)を提供すること、又は選択することを含む。本明細書で使用される場合、「多官能性分岐剤」は、以下のパラメータ(A)及び(B)に適合するか、又はそれらを満たす化合物である:
A)
(1)MFBAが、ブタジエンのポリマーでないこと、かつ
(2)MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合、
B)3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rを有し、Rが、式(I)で決定され、

式中、
jが、指数の積算であり、
pが、MFBA中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合の数であり、
が、分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、
1,jが、フリーラジカル伝播に対するエチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(RRR)である。式(I)の文脈において、「が」は、等号「=」と互換的であると理解される。
本プロセスは、(A)(1)MFBAが、ブタジエンのポリマーでないこと、かつ(2)MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合を有する、MFBAを提供すること、又は選択することを含む。本明細書で使用される場合、「炭素-炭素二重結合」は、構造(I)を有する。
構造(I)
C=C
MFBAは、3つ以上の炭素-炭素二重結合、又は3、又は5、又は10~20、又は30、又は50、又は100個、又はそれ以上の炭素-炭素二重結合を有する。一実施形態では、MFBAは、3~100個の炭素-炭素二重結合、又は5~50個の炭素-炭素二重結合、又は10~30個の炭素-炭素二重結合を有する。
本明細書で使用される場合、「ブタジエンのポリマー」は、構造(II)を有する重合Cの単位を有するポリマー:

及び/又は構造(III)を有するポリマー:

であり、式中、mの値が、1~100の整数であり、nの値が、0~100の整数である。本MFBAは、「ブタジエンのポリマー」を含まないか、又は除外する。
本明細書で使用される場合、「アクリレート基又はメタクリレート基」は、以下の構造(IV)を含有する反応性基であり、

式中、Rは、H又はCHである。構造(IV)は、アクリレート及びメタクリレートを含む。本MFBAは、「アクリレート基又はメタクリレート基」を含まないか、又は除外する。
上の(A)を満たすことに加えて、多官能性分岐剤は、パラメータ(B)に適合するか、又はそれを満たし、パラメータ(B)が、3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rであり、Rが、式(I)で決定され、

式中、
j=指数の積算であり、
p=MFBA中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合の数であり、
=分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、
1,j=フリーラジカル重合に対するエチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(RRR)である。
「j」という項は、指数の積算(又は積算の下限、級数の最初の項を生成するために使用される数)である。「p」という項は、MFBA中に存在する異なるタイプのC-C二重結合(炭素-炭素二重結合)の数である。図1は、参照番号10によって示されるMFBA、マレイン酸ビスアリル(bisallyl maleate)の構造を示す。マレイン酸ビスアリル(10)は、2つの異なるタイプのC-C二重結合を有する。第1のC-C二重結合は、参照番号12で示される。第2のタイプのC-C二重結合である末端二重結合は、参照番号14a及び14bで示される。マレイン酸ビスアリルは、合計3つのC-C二重結合を有するが、2つの末端C-C結合(参照番号14a、14b)が同じタイプのC-C二重結合、すなわち末端C-C二重結合であるので、異なるタイプの結合の数は2である。マレイン酸ビス-アリルでは、「p」の値は、2である。
図2は、別のMFBAである、2,4,6,8-テトラメチル-2,4,6,8-テトラビニル-シクロテトラシロキサン(以下、互換的に「(DVi」と称される)の非限定的な例を示し、参照番号20によって示される。(DVi(参照番号20)は、4つのC-C二重結合22a、22b、22c、及び22dを有する。各C-C二重結合22a、22b、22c及び22dは、同じタイプのC-C二重結合である。その結果、(DViでは、p=1である。
式(I)において、「n」という項は、各タイプの二重結合の数を示す。例えば、マレイン酸ビスアリル(図1に示される参照番号10)は、第1のC-C二重結合タイプとして1つのC-C二重結合12を有し、第2のC-C二重結合タイプとして2つの末端C-C二重結合14a、14bを有する。更なる例として、(DVi(図2の参照番号20)は、同じタイプの4つのC-C二重結合22a、22b、22c、及び22dを有する。
反応性比は、問題のC-C二重結合と比較したエチレンの相対反応性として計算される。反応性比は、実験を実行することによって実験によって測定することができる。あるいは、反応性比は、量子力学から計算され得るか、又はその内容が参照により本明細書に組み込まれる、Mortimer及びEhrlichによる参考文献Fundamentals of the Free-Radical Polymerization of Ethylene,Adv.Polymer Sci,Vol.7,pp.386-448(1970)(以下、互換的に、Mortimerと称される)に見出すことができる。以下の表1は、Mortimerによって決定した、いくつかの反応性基の(エチレンに対する)反応性比の非限定的な例を提供する。
反応性基及びそれぞれの反応性比の非限定的な例を、以下の表1に提供する。

Mortimerを参照されたい
以下の表2は、好適な多官能性分岐剤の非限定的な例、及び式(I)を使用したR、総反応性の計算を提供する。ポリマーの式は、それぞれの繰り返し単位に簡略化されている。
以下の表3は、パラメータ(A)及び(B)を満たさず、本開示による「多官能性分岐剤」ではない化合物の非限定的な例を示す。主に、Rが3未満である、若しくはRが40超である、かつ/若しくは分子中のC-C二重結合の総数が、3未満であること、又はC-C二重結合のうちの1つ以上が、アクリレート若しくはメタクリレートであることが理由である。
本プロセスは、重合条件下でMFBAをエチレンと反応させることを含む。本明細書で使用される場合、「重合条件」という用語は、重合反応器内での、高圧(11,000psig~53,000psig)及び高温(200℃~350℃)下でのフリーラジカル開始重合を含む。
一実施形態では、MFBAは、(DVi、マレイン酸ビスアリル、ポリイソプレン、ポリミルセン、ポリファルネセン、及びそれらの組み合わせから選択される。
一実施形態では、MFBAは、(DViである。
一実施形態では、MFBAは、マレイン酸ビスアリルである。
重合条件下でのMFBAとエチレンとの反応は、エチレンに由来する単位及びMFBAに由来する単位を有するエチレン系ポリマーを形成し、エチレンの単位が、ポリマー中に存在するモノマーの大部分の量(重量%)を構成する。換言すれば、エチレン系ポリマーは、エチレンモノマー及びMFBAコモノマーを含み、エチレン及びMFBAは、各々ポリマー主鎖に重合される。このように、本エチレン系ポリマーは、ポリマー鎖にペンダントをグラフトした官能性助剤を用いるポリエチレンと比較して、構造的に異なる。
重合条件は、1つ、2つ、又はそれ超のフリーラジカルインジケーターを利用する重合を含む。好適なフリーラジカル開始剤の非限定的な例としては、有機ペルオキシド、環状ペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルオキシカーボネート、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、ペルオキシケタール、t-ブチルペルオキシピバレート、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシエチルヘキサノエート、及びt-ブチルペルオキシ-2-ヘキサノエート、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、これらの有機ペルオキシ開始剤は、重合性モノマーの重量に基づいて、0.001重量%~0.2重量%の量で使用される。
更なる実施形態では、フリーラジカル開始剤は、環構造に組み込まれた少なくとも1つのペルオキシド基を含む。このような開始剤の例は、TRIGONOX 301(3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリペルオキソナン)及びTRIGONOX 311(3,3,5,7,7-ペンタメチル-1,2,4-トリオキセパン)であって、その両方がAkzo Nobelより入手可能であるもの、並びにUnited Initiatorsより入手可能なHMCH-4-AL(3,3,6,6,9,9-ヘキサメチル-1,2,4,5-テトロキソナン)を含むがこれらに限定されない。
重合条件については、重合反応器は、管状反応器、及び/又はオートクレーブ反応器、及び/又は連続撹拌槽型反応器を含む反応器構成を含む。
一実施形態では、重合は、少なくとも1つの管状反応器を含む反応器構成において行われる。
一実施形態では、重合は、少なくとも1つのオートクレーブ反応器を含む反応器構成において行われる。
一実施形態では、本プロセスは、エチレンを、重合反応器に添加したエチレンの量に基づいて5モルppm~2000モルppmのMFBAと反応させることと、ベースラインエチレンホモポリマーの溶融強度よりも10%~200%高い溶融強度である溶融強度を有するエチレン-MFBAコポリマーを形成することと、を含む。本明細書で使用される場合、「モルppm」という用語は、1×10-6モルのMFBAに対する1モルのエチレンの関係である。本明細書で使用される場合、「ベースラインエチレンホモポリマー」は、エチレン-MFBAコポリマーを製造するための重合条件と同じ重合条件下で作製されたエチレンホモポリマーであり、ベースラインエチレンホモポリマーは、エチレン-MFBAコポリマーと同じか又は実質的に同じメルトインデックス(I2±0.5g/10分)を有する。
一実施形態では、従来の連鎖移動剤(chain transfer agent、CTA)を使用して分子量を制御する。重合プロセス中に、1つ以上のCTAが添加される。好適なCTAの非限定的な例としては、プロピレン、イソブタン、n-ブタン、1-ブテン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、プロピオンアルデヒド、ISOPAR(ExxonMobil Chemical Co.)、メタノール、及びイソプロパノールが挙げられる。一実施形態では、本プロセスで使用されるCTAの量は、総反応混合物の0.03重量パーセント~10重量パーセントである。
一実施形態では、プロセスは、変換効率を改善するためのプロセスリサイクルループを含む。
一実施形態では、重合は、管状反応器内で行われる。管状反応器は、単一ゾーン管状反応器又はマルチゾーン管状反応器であり得る。更なる実施形態では、管状反応器は、マルチゾーン管状反応器である。マルチゾーン管状反応器は、エチレン対CTA比を制御し、したがってポリマー特性を制御するために新鮮なエチレンを供給する代替的な位置を含む。所望のエチレンモノマー対連鎖移動剤比を達成するために、新鮮なエチレンモノマーが、複数の位置で同時に添加される。同様に、ポリマー特性を制御するために、新鮮なCTA添加点の添加を選択する。所望のCTA対エチレンモノマー比を達成するために、新鮮なCTAが、複数の位置で同時に添加される。同じように、添加点、及び新鮮なMFBAの量は、対象となる用途での溶融強度及び性能の向上という所望の特性を最大化しながら、ゲル形成を制御するように制御される。所望の分岐剤対エチレンモノマー比を達成するために、新鮮なMFBAが、複数の位置で同時に添加され得る。MFBAを使用して、分子量分布を広げ、かつポリマーの溶融強度を向上させることによって、ゲル形成、反応器のファウリング、プロセスの不安定性などの潜在的な悪影響を伴わないか、又はそれらを最小限に抑え、MFBAの量を最小限に抑えながら、生成物特性における所望の変化を達成するためには、反応器システムに沿ったCTA及びMFBAの分布に対して更なる要件が課されるであろう。好適なマルチゾーン管状反応器の非限定的な例は、国際公開第2013/059042号及び同第2013/078018号に記載されており、各参照の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
一実施形態では、重合は、オートクレーブ反応器が管状反応器に先行するマルチ反応器システム内で行われる。新鮮なエチレン、新鮮なCTA、及び新鮮なMFBAの添加点及び量は、反応ゾーンへの供給物及び又は反応ゾーンにおける、CTA対エチレンモノマー及びMFBA対エチレンモノマーの所望の比を達成するように制御される。
一実施形態では、MFBAは、圧縮段階を通じて反応ゾーンに直接供給されるか、又は反応ゾーンへの供給物に直接供給される。反応及び/又は反応ゾーンへの供給点の選択は、加圧エチレン及び/又は溶媒中のMFBAの溶解度、加圧エチレン中でのMFBAの縮合、及び/又は開始剤の注入前に反応器の内容物を加熱するために使用される予熱器内でのMFBAの早期重合によるファウリングを含むが、これらに限定されない、いくつかの要因に依存する。
一実施形態では、MFBAは、反応ゾーンに直接供給されるか、又は反応ゾーンへの供給物に直接供給される。
一実施形態では、MFBAは、反応ゾーン1にのみ供給される。
一実施形態では、第1の反応ゾーンに供給されるエチレンは、重合に供給される全エチレンの10パーセント~100パーセントである。更なる実施形態では、第1の反応ゾーンに供給されるエチレンは、重合に供給される全エチレンの20パーセント~80パーセント、更に25パーセント~75パーセント、更に30パーセント~70パーセント、更に40パーセント~60パーセントである。
一実施形態では、プロセスは、少なくとも1つの管状反応器を含む反応器構成において行われる。更なる実施形態では、各反応ゾーンにおける最高温度は、200℃~350℃、更に220℃~325℃、更に225℃~300℃である。
一実施形態では、反応器の第1の入口での重合圧力は、800バール~3600バール、又は1500バール~3400バール、又は2000バール~3200バールである。
一実施形態では、「反応ゾーンiに対する供給物中のCTAの濃度」対「反応ゾーン1に添加された供給物中のCTAの濃度」の比は、1以上である。
一実施形態では、「反応ゾーンiに対する供給物中のCTAの濃度」対「反応ゾーン1に添加された供給物中のCTAの濃度」との比は、1未満、又は0.8未満、又は0.6未満、又は0.4未満である。
一実施形態では、反応ゾーンの数は、3~6である。
エチレン系ポリマーの製造に使用されるエチレンモノマーの非限定的な例としては、新鮮なエチレンのみが本発明のエチレン系ポリマーを作製するために使用されるように、ループリサイクルストリームから極性成分を除去することによって、又は反応システム構成を使用することによって得られる精製エチレンが挙げられる。エチレンモノマーの更なる例としては、リサイクルループからのエチレンモノマーが挙げられる。
一実施形態では、本プロセスは、重合条件下でターモノマーをエチレン及びMFBAと反応させることを含む。本プロセスは、エチレンモノマーの単位と、MFBAの単位と、1つ以上のターモノマーの単位と、で構成されるエチレン系ポリマー組成物を形成することを含む。好適なターモノマーの非限定的な例としては、各々20個以下の炭素原子を有する、α-オレフィン、アクリレート、メタクリレート、及び酢酸ビニル、ビニルトリメトキシシラン、及び無水物が挙げられる。α-オレフィンターモノマーは、3~10個の炭素原子を有し得るか、又はあるいは、α-オレフィンターモノマーは、3~8個の炭素原子若しくは4~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンターモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、本プロセスは、エチレン、MFBA(及び任意選択でターモノマー)を、1つ以上の任意選択の添加剤の存在下の重合条件下で反応させて、エチレン系ポリマー組成物を形成することを含む。好適な添加剤の非限定的な例としては、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、加工助剤、煙抑制剤、粘度制御剤、及び抗粘着剤が挙げられる。本組成物は、例えば、組成物の重量に基づいて、合計重量の0重量%、又は0重量%超~30パーセント未満の1つ以上の添加剤を含み得る。エチレン及び1つ以上の任意選択の添加剤と共重合されたMFBAを含む組成物は、以下、互換的に「MFBA(PE)」と称される。
一実施形態では、MFBA(PE)は、1つ以上の安定剤、例えば、IRGANOX1010、IRGANOX1076、及びIRGAFOS168などの酸化防止剤で処理される。
2.ポリマー
本開示は、エチレンの単位と、MFBAの単位とで構成されるエチレン系ポリマー(互換的に「MFBA(PE)」と称される)を提供する。MFBA(PE)は、上に開示の重合条件下でMFBAとエチレン(及び任意選択でターモノマー)とを反応させることによって形成される。MFBA(PE)は、エチレンの単位と、(任意選択でターモノマーの単位)と、
(A)
(1)MFBAが、ブタジエンのポリマーでないこと、かつ
(2)MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合、
(B)3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rを有し、Rが、以下の式(I)で決定され、

式中、
j=指数の積算であり、
p=MFBA中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合の数であり、
=分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、
1,j=エチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(RRR)である、多官能性分岐剤(MFBA)の単位と、を含む。
特定の理論に束縛されることなく、MFBAは、フォルマント(formant)エチレン系ポリマー組成物の溶融強度を向上させる。重合条件下で、MFBA中の1つ、又は2つ、又は3つ、又はそれ以上の炭素-炭素二重結合が、エチレン系ポリマーを形成する成長鎖と反応(結合)して、ポリエチレン鎖の一部になる。エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する単位及びMFBAに由来する単位を有し、エチレンに由来する単位が、ポリマー中に存在する単位の大部分の量(重量%)を構成する。換言すれば、エチレン系ポリマーは、エチレンモノマー及びMFBAコモノマーを含み、エチレン及びMFBAは、各々ポリマー主鎖に重合される。このように、本エチレン系ポリマーは、ポリマー鎖にペンダントをグラフトした官能性助剤を用いるポリエチレンと比較して、構造的に異なる。エチレン-MFBAコポリマー組成物は、互換的に「MFBA(PE)」と称される。
一実施形態では、MFBAは、(DVi、マレイン酸ビスアリル、ポリイソプレン、ポリミルセン、ポリファルネセン、及びそれらの組み合わせから選択される。
一実施形態では、MFBAは、(DViである。
一実施形態では、MFBAは、マレイン酸ビスアリルである。
一実施形態では、MFBA(PE)は、重合形態で、95重量%、又は96重量%、又は97重量%、又は98重量%~99重量%、又は99.5重量%、又は99.8重量%、又は99.9重量%、又は99.95重量%、又は99.99重量%のエチレンと、反数の量のMFBA、又は5.0重量%、又は4.0重量%、又は3.0重量%、又は2.0重量%~1.0重量%、又は0.5重量%、又は0.2重量%、又は0.1重量%、又は0.05重量%、又は0.01重量%のMFBAと、を含む。重量パーセントは、MFBA(PE)の総重量に基づく。更なる実施形態では、MFBA(PE)は、重合形態で、95重量%~99.99重量%、又は96重量%~99.95重量%、又は97重量%~99.9重量%、又は98重量%~99.8重量%のエチレンを含み、MFBAは、5.0重量%~0.01重量%、又は4.0重量%~0.05重量%、又は3.0重量%~0.1重量%、又は2.0重量%~0.2重量%の量で存在する。
一実施形態では、MFBA(PE)は、0.915g/cc~0.935g/ccの密度を有する。
一実施形態では、MFBA(PE)は、0.05g/10分、又は0.5g/10分、又は1.0g/10分、又は5.0g/10分、又は10g/10分、又は20g/10分、又は30g/10分、又は40g/10分~50g/10分、又は60g/10分、又は70g/10分、又は100g/10分、又は1000g/10分のメルトインデックス(I)を有する。更なる実施形態では、MFBA(PE)は、0.15g/10分~80g/10分、又は0.5g/10分~70g/10分、又は1.0g/10分~60g/10分、又は5.0g/10分~50g/10分、又は10g/10分~40g/10分、又は20g/10分~30g/10分のメルトインデックス(I)を有する。更に更なる実施形態では、MFBA(PE)は、0.1g/10分~4.5g/10分、又は0.5g/10分~4.0g/10分のメルトインデックスを有する。
一実施形態では、エチレン系ポリマー組成物は、エチレンモノマーMFBA、及び1つ以上のターモノマーを含む。ターモノマーの非限定的な例としては、各々20個以下の炭素原子を有する、α-オレフィン、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、ビニルトリメトキシシラン、及び無水物が挙げられる。α-オレフィンターモノマーは、3~10個の炭素原子を有し得るか、又はあるいは、α-オレフィンターモノマーは、3~8個の炭素原子若しくは4~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンターモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマー組成物は、1つ以上の任意選択の添加剤を含む。好適な添加剤の非限定的な例としては、安定剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、加工助剤、煙抑制剤、粘度制御剤、及び抗粘着剤が挙げられる。組成物エチレン系ポリマーは、例えば、エチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて、合計重量の0重量%、又は0重量%超~10%未満の1つ以上の添加剤を含み得る。
一実施形態では、MFBA(PE)は、1つ以上の安定剤、例えば、IRGANOX1010、IRGANOX1076、及びIRGAFOS168などの酸化防止剤で処理される。
MFBA(PE)は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
本開示はまた、本明細書に記載のMFBA(PE)から形成された少なくとも1つの成分を含む、物品を提供する。
一実施形態では、物品は、フィルムのコーティングである。
一実施形態では、物品は、コーティングである。
一実施形態では、物品は、フィルムである。
物品は、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
3.用途
本開示のMFBA(PE)は、単層及び多層フィルム;ブロー成形物品、射出成形物品、又は回転成形物品などの成形物品;コーティング;繊維、織布又は不織布を含む、有用な物品を製造するための様々な従来の熱可塑性製造プロセスで用いられ得る。
本MFBA(PE)は、限定されないが、透明性収縮フィルム、照合収縮フィルム、キャストストレッチフィルム、サイレージフィルム、ストレッチフード、シーラント、及びおむつバックシートを含む、様々なフィルムに使用され得る。他の好適な用途としては、ワイヤ及びケーブル、ガスケット及びプロファイル、接着剤、履物構成要素、並びに自動車内装部品が挙げられるが、これらに限定されない。
出願人は、エチレンの重合中にMFBAを添加することによって、同じ重合条件下でMFBAを添加せずに作製されたLDPE樹脂と比較すると、同じMIでのLDPE樹脂の溶融強度の向上がもたらされることを発見した。
限定するものではなく例として、これから、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例において詳述する。
実施例で使用される材料は、以下の表1に記述されている。
実施例1:多官能性分岐剤としてのマレイン酸ビスアリル(Bisallyl maleate、BAIIM)
重合を連続撹拌槽反応器内で実施した。4つの電気加熱器バンドを使用して、反応器を220℃まで加熱及び/又は冷却した。反応器圧力は、約2000バールであった。最終ポリマーメルトインデックス(MI)を4.0に制御する量で、プロピレンを連鎖移動剤(CTA)として使用した。エチレン及びプロピレンを撹拌器シャフトによって反応器の上部に供給した。Isopar E中で希釈したTPO及びTPAを、反応器の片側に注入して、総エチレン変換率を約12%に維持するように反応を開始させた。また、Isopar E中で希釈されたマレイン酸ビスアリルを、反応器の側面上の別個の注入器内に供給した。反応器の滞留時間は、約1.5分であった。下部の反応器上の単一の出口に、全ての未反応の反応物及びポリマーが収容された。噴霧、流れを約1バールまで減圧すること、及び同時に流れを周囲温度まで冷却することによって、ポリマーを残りの反応物から分離した。次いで、ポリマーを粉末形態で収集した。
マレイン酸ビスアリルの構造は、図1の参照番号10によって示される。マレイン酸ビスアリルは、3つのC-C二重結合を含有し、アクリレート又はメタクリレート基を含有せず、ブタジエン重合の生成物ではなく、それによって、MFBAのパラメータ(A)を満たす。マレイン酸ビスアリルは、2つの異なるタイプのC-C二重結合を含有する(p=2)。マレイン酸ビスアリルは、0.2の反応性比を有する1つの内部マレイン酸塩二重結合を有する(n=1)。マレイン酸ビスアリルは、3.1の反応性比を有する2つの末端ビニル基を有する(n=2)。したがって、R値は、5.6と計算される。したがって、マレイン酸ビスアリルは、パラメータ(A)及びパラメータ(B)(式1)を満たし、したがって、本明細書で定義されるMFBAである。
MFBAとしてマレイン酸ビス-アリル(BAIIM)を用いた発明実施例からのデータを、表4に示す。30モルppm~93モルppmのマレイン酸ビス-アリルの添加によって、同じか又は実質的に同じI2で、同じ重合条件下で製造されたベースラインエチレンホモポリマー(比較試料又は「comparative sample、CS」)の溶融強度と比較して、エチレン/BAIIMコポリマーの溶融強度(「melt strength、MS」)が向上する。ベースラインエチレンホモポリマーは、4.00g/10分のI2値及び13.84cN溶融強度を有する。IE1、IE2、及びIE3におけるエチレン/BAIIMコポリマーは、それぞれ、IE1 3.67/16.36cN(ベースラインを18%上回る溶融強度向上)、IE2 4.0/17.63(ベースラインを27%上回る溶融強度向上)、及びIE3 3.99/17.09cN(ベースラインを23%上回る溶融強度向上)のI2/溶融強度値を有する。
実施例2:多官能性分岐剤としての(DVi
断熱状態で実行する連続撹拌槽反応器内で、重合を実施した。反応器圧力は、約2000バールであった。最終ポリマーメルトインデックスを約4g/10分に制御する量で、プロピレンを連鎖移動剤(CTA)として使用した。エチレン及びプロピレンを、撹拌シャフトによって反応器の上部に60℃の温度で供給した。ミネラルスピリット中1重量%まで希釈したTPOを反応器の片側に注入して、反応器温度を220℃に維持するように反応を開始させた。また、ミネラルスピリット中で希釈した(DViを、反応器の側面上の別個の注入器内に供給した。反応器の滞留時間は、約1.5分であった。下部の反応器上の単一の出口に、全ての未反応の反応物及びポリマーが収容された。200℃及び15バールで動作している低圧分離器中での脱揮によって、残りの反応物からポリマーを分離し、次いで、生じた溶融ポリマーをペレタイザーに通して押し出し、収集した。
(DViの構造を、表2に示す。(DViは、アクリレート又はメタクリレート基を含有せず、(DViは、ブタジエン重合の生成物ではない。(DViは、1つのタイプの炭素-炭素二重結合を含有する(p=1)。(DViは、0.4の反応性比を有する分子当たり4つのこれらの二重結合を有する(n=4)。したがって、R値は、10と計算される。したがって、(DViは、パラメータ(A)及びパラメータ(B)(式1)を満たし、したがって、本明細書で定義されるMFBAである。
MFBAとして(DViを用いた発明実施例からのデータを、表5(以下)に示す。40モルppm~130モルppmの(DViの添加によって、同じか又は実質的に同じI2で、同じ重合条件下で製造されたベースラインエチレンホモポリマーの溶融強度と比較して、エチレン/(DViコポリマーの溶融強度が向上する。(DViを含まないベースラインエチレンホモポリマーは、3.3cNの溶融強度を有し、エチレン/(DViコポリマーは、各々6cN超の溶融強度を有する。
表5に示されるように、ベースラインエチレンホモポリマーは、4.15g/10分のI2値及び3.32cN溶融強度を有する。IE4、IE5、及びIE6におけるエチレン/(DViコポリマーは、それぞれ、IE4 3.69/7.65cN(ベースラインを130%上回る溶融強度向上)、IE5 3.79/6.33(ベースラインを91%上回る溶融強度向上)、及びIE6 3.68/8.37(ベースラインを150%上回る溶融強度向上)のI2/溶融強度値を有する。
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部、及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むそれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当する範囲で含むことが特に意図されている。

Claims (9)

  1. プロセスであって、
    多官能性分岐剤(MFBA)であって、
    A)
    (1)前記MFBAが、ブタジエンのポリマーでないこと、かつ
    (2)前記MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合、
    B)3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rを有し、Rが、以下の式(I)で決定され、

    式中、
    j=指数の積算であり、
    p=分子中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合jの数であり、
    =前記分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、
    1,j=エチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(RRR)である、多官能性分岐剤を提供することと、
    重合条件下で前記MFBAをエチレンと反応させることと、
    エチレンの単位及び前記MFBAの単位を含むエチレン系ポリマー組成物を形成することと、を含む、プロセス。
  2. 管状反応器内で、エチレンとMFBAとを反応させることと、
    エチレンの単位及び前記MFBAの単位を含むエチレン系ポリマー組成物を形成することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
  3. オートクレーブ反応器内で、エチレンと前記MFBAとを反応させることと、
    エチレンの単位及び前記MFBAの単位を含むエチレン系ポリマー組成物を形成することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
  4. エチレンを、(DVi、マレイン酸ビスアリル、ポリイソプレン、ポリミルセン、ポリファルネセン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるMFBAと反応させることと、
    エチレン系ポリマー組成物を形成することと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
  5. ターモノマーを前記エチレン及び前記MFBAと反応させることと、
    エチレンの単位、前記MFBAの単位、及び前記ターモノマーの単位を含むエチレン系ポリマー組成物を形成することと、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. エチレンの単位と、
    多官能性分岐剤(MFBA)の単位であって、
    (A)
    (1)前記MFBAが、ブタジエンのポリマーでないこと、かつ
    (2)前記MFBAが、アクリレート基又はメタクリレート基を含有しないことを条件として、3つ以上の炭素-炭素二重結合、
    (B)3超かつ40未満(3<R<40)の総反応性Rを有し、Rが、以下の式(I)で決定され、

    式中、
    j=指数の積算であり、
    p=前記MFBA中の異なるタイプの炭素-炭素二重結合の数であり、
    =分子中のタイプjの各炭素-炭素二重結合の数であり、
    1,j=エチレン対炭素-炭素二重結合jの相対反応性比(RRR)である、多官能性分岐剤の単位と、
    α-オレフィン、アクリレート、メタクリレート、酢酸ビニル、及びビニルトリメトキシシランからなる群から選択される任意選択なターモノマーの単位と、を含む、エチレン系ポリマー組成物。
  7. 前記MFBAが、(DVi、マレイン酸ビスアリル、ポリイソプレン、ポリミルセン、ポリファルネセン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載のエチレン系ポリマー組成物。
  8. ターモノマーの単位を含む、請求項6又は7に記載のエチレン系ポリマー組成物。
  9. 請求項6~8のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー組成物で構成される、物品。
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