上記課題を解決するために、本発明の一態様は、治療用ビームを生成し、かつ前記治療用ビームを被照射体に照射して被照射部位を形成するビーム照射装置と、前記治療用ビームのパラメータ及び前記被照射部位の医用画像データに基づいて線量シミュレーション計算を行い、かつ治療計画を作成し、前記治療計画に基づいて前記被照射部位に対して照射治療を行う場合に前記ビーム照射装置に対する位置を決定する治療計画モジュールと、前記治療計画に基づいて前記ビーム照射装置の照射を制御する制御モジュールと、準備室であって、前記準備室内で、前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置に前記被照射体に対してシミュレーション位置決めを行い、前記準備室内には、前記被照射部位の第1画像を収集する第1立体視覚装置が設置され、前記制御モジュールが前記第1画像と、前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ前記被照射体のシミュレーション位置決め姿勢を決定する準備室と、照射室であって、前記照射室内で、決定された前記シミュレーション位置決め姿勢に基づいて前記被照射体に対して照射位置決めを行い、前記照射室内には、前記被照射部位の第2画像を収集する第2立体視覚装置が設置され、前記制御モジュールが前記第2画像と、決定された前記シミュレーション位置決め姿勢に対応する前記被照射部位の第1画像又は前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ前記被照射体に対して照射治療を開始するように前記ビーム照射装置を制御する照射室とを含む放射線照射システムを提供する。準備室内のシミュレーション位置決めは、照射室内で照射治療を行う前に被照射体を位置決めする作業時間を減少させ、準備作業を行うと同時に別の被照射体に対して照射治療を行うことができ、装置の利用率を増加させ、立体視覚装置を設置してシミュレーション位置決め及び照射治療を行う前に被照射体の画像を収集し、かつ治療計画と比較することにより、治療計画に応じて被照射体に対して照射治療を行うことを確保し、所望の治療効果を達成するとともに、正常組織への放射線損傷を低減する。
好ましくは、前記ビーム照射装置は、前記照射室内に少なくとも部分的に設置されたビーム出口を含み、前記準備室内には、前記ビーム出口と同じであるシミュレーションビーム出口が設置され、前記シミュレーションビーム出口と前記第1立体視覚装置の位置関係は、前記ビーム出口と前記第2立体視覚装置の位置関係と同じであり、前記準備室と前記照射室に同じ照射座標系が定義され、前記制御モジュールは、前記第1画像と第2画像を前記被照射部位の前記照射座標系での座標行列に変換することができる。
さらに、前記治療計画モジュールは、モンテカルロシミュレーションプログラムを用いて線量シミュレーション計算を行い、前記治療計画モジュールは、前記被照射部位の医用画像データを前記モンテカルロシミュレーションプログラムに必要なボクセルプロテーゼ組織モデルに変換し、前記被照射部位の医用画像データは、前記被照射部位の医用画像座標系での座標行列を含み、前記治療計画モジュール又は前記制御モジュールは、前記医用画像座標系と前記照射座標系の座標変換行列を取得することができる。
さらに、前記被照射部位には、医用画像に現像されるだけでなく、前記第1立体視覚装置及び第2立体視覚装置により識別される材質を使用する特徴パターンが設置され、前記第1立体視覚装置及び第2立体視覚装置は、前記特徴パターンの画像を収集することにより前記被照射部位の画像を収集し、前記制御モジュールは、前記特徴パターンの前記被照射部位の医用画像における位置に基づいて前記特徴パターンの画像を前記被照射部位の前記照射座標系での座標行列に変換する。特徴パターンを設置することにより、立体視覚装置により収集されたデータは、より迅速で、正確である。
さらに、前記準備室と前記照射室内には、いずれも、同じでかつ同じ位置関係を有するレーザ位置決め装置が設置され、前記治療計画モジュールは、前記レーザ位置決め装置により生成されたレーザが前記被照射部位に当たる位置をシミュレーションすることができる。作業者は、該位置に基づいて被照射体にマークを付け、かつ付けられたマークに基づいて、被照射体に対して準備室でシミュレーション位置決めを行う場合及び照射室で照射位置決めを行う場合の位置及び姿勢を調整することにより、レーザ位置決め装置により生成されたレーザが被照射体に当たる位置は、該マークと一致し、レーザ位置決め装置を設置することにより、作業者は、手動で位置決めする場合に、より便利で迅速である。さらに、前記レーザ位置決め装置により生成されたレーザは、前記ビーム出口及び前記シミュレーションビーム出口の中心軸線と一致する位置を決定する。レーザ位置決め装置により生成されたレーザが被照射体に当たる位置は、ビーム出口から出たビーム中心軸線が被照射体に入射する位置を表し、治療計画に基づいてシミュレーションされたビーム中心軸線のボクセルプロテーゼ組織モデルへの入射点に基づいて被照射体にマークを付けることにより、シミュレーション位置決め及び照射治療を行う場合に決定されたビーム入射位置がより正確になる。
さらに好ましくは、前記放射線照射システムは、前記照射室内に設置された治療台及び治療台位置決め装置をさらに含み、前記治療台で前記被照射体に対して照射治療を行う場合、前記制御モジュールは、前記治療台位置決め装置により、移動するように前記治療台を制御する。
さらに好ましくは、前記第2立体視覚装置は、照射治療中に前記被照射部位の第3画像をリアルタイムに収集し、前記制御モジュールは、前記第3画像と、照射治療を開始する時に、対応する前記被照射部位の第2画像、又は決定された前記シミュレーション位置決め姿勢に対応する前記被照射部位の第1画像、又は前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ前記被照射体に対して照射治療を継続するように前記ビーム照射装置を制御する。立体視覚装置を設置して照射治療を行う場合に被照射体の画像をリアルタイムに収集し、かつ治療計画と比較することにより、照射治療中に常に治療計画に応じて被照射体に対して照射治療を行うことを確保し、より高い治療効果を得る。
さらに好ましくは、前記放射線照射システムは、中性子捕捉療法システムであり、前記ビーム照射装置は、中性子生成装置、ビーム整形体及び治療台を含み、前記中性子生成装置は、加速器及びターゲットを含み、前記加速器は、荷電粒子を加速して荷電粒子線を生成し、かつ前記ターゲットと作用して中性子線を生成し、前記ビーム整形体は、前記中性子生成装置により生成された中性子線を所定のビーム品質に調整することができ、前記中性子生成装置により生成された中性子線は、前記ビーム整形体により前記治療台上の前記被照射体に照射される。
本発明の別の態様は、放射線照射システムの制御方法を提供し、前記放射線照射システムは、ビーム照射装置、治療計画モジュール、制御モジュール、準備室及び照射室を含み、前記ビーム照射装置は、治療用ビームを生成し、かつ前記治療用ビームを被照射体に照射して被照射部位を形成し、前記準備室と前記照射室内にそれぞれ第1立体視覚装置と第2立体視覚装置が設置され、前記制御方法は、前記治療計画モジュールが、前記ビーム照射装置により生成された前記治療用ビームのパラメータ及び前記被照射部位の医用画像データに基づいて線量シミュレーション計算を行い、かつ治療計画を作成し、前記治療計画に基づいて前記被照射部位に対して照射治療を行う場合に前記ビーム照射装置に対する位置及び対応する照射時間を決定するステップと、前記制御モジュールが、前記治療計画モジュールから現在の前記被照射体に対応する前記治療計画を呼び出すステップと、前記準備室内で、前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置に前記被照射体に対してシミュレーション位置決めを行うステップと、前記第1立体視覚装置が、前記被照射部位の第1画像を収集し、前記制御モジュールが、前記第1画像と、前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ前記被照射体のシミュレーション位置決め姿勢を決定するステップと、前記照射室内で、決定された前記シミュレーション位置決め姿勢に基づいて前記被照射体に対して照射位置決めを行うステップと、前記第2立体視覚装置が、前記被照射部位の第2画像を収集し、前記制御モジュールが、前記第2画像と、決定された前記シミュレーション位置決め姿勢に対応する前記被照射部位の第1画像又は前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ前記被照射体に対して照射治療を開始するように前記ビーム照射装置を制御するステップと、前記治療計画に基づいて決定された照射時間に達すると、前記制御モジュールが、前記被照射体への照射を停止するように前記ビーム照射装置を制御するステップとを含む。
好ましくは、前記制御方法は、前記ビーム照射装置が前記被照射体に対して照射治療を開始した後、前記第2立体視覚装置が、照射治療中に前記被照射部位の第3画像をリアルタイムに収集し、前記制御モジュールが、前記第3画像と、照射治療を開始する時に、対応する前記被照射部位の第2画像、又は決定された前記シミュレーション位置決め姿勢に対応する前記被照射部位の第1画像、又は前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ前記被照射体に対して照射治療を継続するように前記ビーム照射装置を制御するステップをさらに含む。
好ましくは、前記制御方法は、前記準備室と前記照射室に同じ照射座標系を定義し、前記治療計画モジュールが、前記被照射部位の医用画像データをボクセルプロテーゼ組織モデルに変換し、前記治療計画に基づいて決定された前記被照射部位の位置を前記被照射部位のボクセルプロテーゼ組織モデルの前記照射座標系での座標行列に変換するステップをさらに含む。
さらに、前記制御方法は、前記制御モジュールが前記第1画像と第2画像を前記照射座標系に変換して比較するステップをさらに含む。
さらに、前記制御方法は、前記被照射部位に特徴パターンを設置し、かつ前記特徴パターンの前記被照射部位の医用画像における位置を収集するステップをさらに含む。さらに、前記制御方法は、前記第1立体視覚装置及び第2立体視覚装置が、前記特徴パターンの画像を収集し、かつ前記制御モジュールに伝送し、前記制御モジュールが、前記特徴パターンの前記被照射部位の医用画像における位置を前記被照射部位の前記照射座標系での座標行列に変換して比較するステップをさらに含む。
本発明の放射線照射システム及びその制御方法において、立体視覚装置を設置してシミュレーション位置決め及び照射治療を行う前に被照射体の画像を収集し、かつ治療計画と比較することにより、治療計画に応じて被照射体に対して照射治療を行うことを確保し、所望の治療効果を達成するとともに、正常組織への放射損傷を低減する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例をさらに詳細に説明することにより、当業者であれば、明細書の文字を参照して実施することができる。
図1に示すように、本実施例における放射線照射システムは、ホウ素中性子捕捉療法システム100であり、中性子ビーム照射装置10、治療計画モジュール20及び制御モジュール30を含む。中性子ビーム照射装置10は、治療用中性子ビームNを生成し、治療用中性子ビームNを被照射体200に照射して被照射部位を形成する。治療計画モジュール20は、中性子ビーム照射装置10により生成された治療用中性子ビームNのパラメータ及び被照射部位の医用画像データに基づいて線量シミュレーション計算を行い、かつ治療計画を作成し、治療計画に基づいて被照射部位に対して照射治療を行う場合に中性子ビーム照射装置10に対する位置及び対応する照射時間を決定する。被照射体200が治療計画に基づいて決定された位置に位置決めされた後、治療を開始することができ、制御モジュール30は、治療計画モジュール20から現在の被照射体200に対応する治療計画を呼び出し、かつ治療計画に基づいて中性子ビーム照射装置10の照射を制御する。制御モジュール30は、他のデータ情報、例えば中性子ビーム照射装置10のデータ、被照射体200のデータなどをさらに受信することができる。
図2に示すように、一実施例において、中性子ビーム照射装置10は、中性子生成装置11、ビーム整形体12、コリメータ13及び治療台14を含み、中性子生成装置11は、加速器111及びターゲットTを含み、加速器111は、荷電粒子(陽子、デューテリウム原子核など)を加速し、陽子線のような荷電粒子線Pを生成し、荷電粒子線Pは、ターゲットTに照射されて、ターゲットTと作用して中性子線(中性子ビーム)Nを生成し、ターゲットTは、好ましくは金属ターゲットである。必要な中性子収率及びエネルギー、提供可能な加速荷電粒子のエネルギー及び電流、及び、金属ターゲットの物理的・化学的特性などにより、適切な原子核反応が選定される。よく検討されている原子核反応は、7Li(p,n)7Be及び9Be(p,n)9Bであり、この両方は全て吸熱反応である。これらの2種類の原子核反応は、エネルギー閾値がそれぞれ1.881MeVと2.055MeVである。ホウ素中性子捕捉療法の理想的中性子源はkeVエネルギーレベルの熱外中性子なので、理論的には、エネルギーが閾値よりやや高い陽子による金属リチウムターゲットへの衝撃で、比較的低いエネルギーの中性子が生成され、あまり多くの減速処理を要しないで臨床適用が可能になる。しかし、リチウム(Li)及びベリリウム(Be)の2種のターゲットは、閾値エネルギーの陽子と作用する断面が大きくないので、十分な中性子束を確保するために、一般的には比較的高いエネルギーを持つ陽子で原子核反応を引き起こす。理想的なターゲットには、中性子収率が高く、生成された中性子のエネルギー分布が熱外中性子エネルギー領域(以下に詳細に説明する)に近く、強い透過性のある放射線をあまり多く生成せず、安全で安くて操作しやすく、耐高温性を持つなどの特性が必要とされるが、実際には全ての要件を満たす原子核反応は見つからないので、本発明の実施例においてリチウム金属で製造されたターゲットを使用する。しかしながら、当業者によく知られているように、ターゲットTの材料は、リチウム、ベリリウム以外の金属材料で製造されてもよく、例えばタンタル(Ta)又はタングステン(W)等で形成され、ターゲットTは、円板状であってもよく、他の固体形状であってもよく、液体材料(液体金属)を使用してもよい。加速器111は、直線加速器、サイクロトロン、シンクロトロン、シンクロサイクロトロンであってもよく、中性子生成装置11は、加速器及びターゲットを使用しないで原子炉であってもよい。ホウ素中性子捕捉療法の中性子源の由来は原子炉又は加速器荷電粒子とターゲットとの核反応にもかかわらず、生成したのは実際にいずれも混合放射線場であり、即ちビームは、低エネルギーから高エネルギーまでの中性子、光子を含む。深部腫瘍に対するホウ素中性子捕捉療法は、熱外中性子を除き、他の放射線含有量が多ければ多いほど、正常組織の非選択的な線量沈着を引き起こす比率が大きくなるので、これらの不必要な線量を引き起こす放射線をできる限り低減する必要がある。また、被照射体の正常組織について、様々な放射線が多すぎ、同様に不必要な線量沈着を引き起こすことを回避すべきである。
中性子生成装置11により生成された中性子ビームNは、順次ビーム整形体12とコリメータ13を経過して治療台14上の被照射体200に照射される。ビーム整形体12は、中性子生成装置11により生成された中性子ビームNのビーム品質を調整することができ、コリメータ13は、中性子ビームNを集め、中性子ビームNに治療中に高い標的性を備えさせる。理解できるように、本発明は、コリメータがなくてもよく、ビームがビーム整形体12から出た後に治療台14上の被照射体200に直接的に照射される。
ビーム整形体12は、反射体121、減速体122、熱中性子吸収体123、放射遮蔽体124及びビーム出口125をさらに含み、中性子生成装置11により生成された中性子のエネルギースペクトルが広いため、治療ニーズを満たす熱外中性子の以外、他の種類の中性子及び光子の含有量を可能な限り減らして作業者又は被照射体に損傷を引き起こすことを回避する必要があるため、中性子生成装置11から出た中性子は、減速体122を通してその中の高速中性子エネルギー(>40keV)を熱外中性子エネルギー領域(0.5eV~40keV)に調整し、熱中性子(<0.5eV)を可能な限り減らす必要があり、減速体122は、高速中性子との作用断面が大きく、熱外中性子との作用断面が小さい材料で製造され、好ましい実施例として、減速体122は、D2O、AlF3、Fluental(登録商標)、CaF2、Li2CO3、MgF2及びAl2O3のうちの少なくとも1種で製造され、反射体121は、減速体122を囲み、かつ減速体122を通過して周辺へ拡散した中性子を中性子ビームNに反射して中性子の利用率を向上させ、中性子反射能力が高い材料で製造され、好ましい実施例として、反射体121は、Pb又はNiのうちの少なくとも1種で製造され、減速体122の後部には熱中性子吸収体123を有し、熱中性子との作用断面が大きい材料で製造され、好ましい実施例として、熱中性子吸収体123は、Li-6で製造され、減速体122を通過した熱中性子を吸収して中性子ビームN中の熱中性子の含有量を減少させ、治療時に浅層正常組織に対する余計な線量となることを避け、理解できるように、熱中性子吸収体は、減速体と一体であってもよく、減速体の材料にLi-6が含まれ、放射遮蔽体124は、ビーム出口125以外の部分からしみ出る中性子及び光子を遮蔽し、放射遮蔽体124の材料は、光子遮蔽材料と中性子遮蔽材料のうちの少なくとも1種を含み、好ましい実施例として、放射遮蔽体124の材料は、光子遮蔽材料の鉛(Pb)と中性子遮蔽材料のポリエチレン(PE)を含む。コリメータ13がビーム出口125の後部に設置され、コリメータ13から出た熱外中性子ビームは、被照射体200に照射され、浅層正常組織を通した後に熱中性子に減速されて腫瘍細胞Mに到着する。理解できるように、ビーム整形体12は、更にその他の構造があってもよく、治療に必要な熱外中性子ビームを取得すればよく、説明しやすいために、コリメータ13が設置される場合、コリメータ13の出口は、後述するビーム出口125と見なすこともできる。本実施例において、被照射体200とビーム出口125との間に放射遮蔽装置15がさらに設置され、ビーム出口125から出たビームの被照射体の正常組織に対する放射線を遮蔽し、理解できるように、放射遮蔽装置15が設置されなくてもよい。
被照射体200は、ホウ素(B-10)含有薬剤を服用するか又は注射された後、ホウ素含有薬剤は、腫瘍細胞Mに選択的に集め、次にホウ素(B-10)含有薬剤が熱中性子に対して高い捕捉断面を有する特性を利用して、10B(n,α)7Li中性子捕捉及び核分裂反応により、4Heと7Liという2種の重荷電粒子を生成する。2種の荷電粒子の平均エネルギーは、約2.33MeVであり、高い線エネルギー付与(Linear Energy Transfer、LET)及び短い射程という特徴を持つ。α粒子の線エネルギー付与と射程は、それぞれ150keV/μm、8μmであり、7Li重荷電粒子の場合は、それぞれ175keV/μm、5μmであり、2種の粒子の合計射程が細胞のサイズに近いので、生体への放射線損傷を細胞レベルに抑えられ、正常組織に大きな損傷を与えないで腫瘍細胞を部分的に殺せるという目的を達成することができる。
ホウ素中性子捕捉療法システム100全体は、コンクリート構造の建物内に収容され、具体的には、ホウ素中性子捕捉療法システム100は、照射室101及び荷電粒子ビーム生成室102をさらに含み、治療台14上の被照射体200は、照射室101において中性子ビームNの照射による治療を受け、荷電粒子ビーム生成室102は、少なくとも部分的に加速器111を収容し、ビーム整形体12は、少なくとも部分的に照射室101及び荷電粒子ビーム生成室102の隔壁103内に収容される。理解できるように、隔壁103は、照射室101と荷電粒子ビーム生成室102を完全に隔てるものであってもよく、照射室101と荷電粒子ビーム生成室102を部分的に隔てるものであってもよく、照射室101と荷電粒子ビーム生成室102が連通する。ターゲットTは、1つ又は複数であってもよく、荷電粒子線Pは、好ましくは、そのうちの1つ又はいくつかのターゲットTと作用するか又は同時に複数のターゲットTと作用して、1つ又は複数の治療用中性子ビームNを生成する。ターゲットTの数量に応じて、ビーム整形体12、コリメータ13、治療台14も1つ又は複数であってもよく、複数の治療台が同一の照射室内に設置されてもよく、治療台ごとに個別の照射室を設置してもよい。照射室101と荷電粒子ビーム生成室102は、コンクリート壁W(隔壁103を含む)で囲まれた空間であり、コンクリート構造は、ホウ素中性子捕捉療法システム100の動作過程において漏洩した中性子及び他の放射線を遮蔽することができる。
ホウ素中性子捕捉療法システム100は、準備室103、制御室(図示せず)及び治療を補助する他の空間をさらに含んでもよい。各照射室101に準備室103を設置することができ、準備室103は、照射治療前の被照射体200に対するシミュレーション位置決め、ホウ素含有薬物の注射などの準備作業を行い、準備室103内のシミュレーション位置決めは、照射室101内に照射治療を行う前に被照射体200を位置決めする作業時間を減少させ、準備作業を行うと同時に別の被照射体に対して照射治療を行うことができ、装置の利用率を増加させる。作業者は、制御室内で中性子ビーム照射装置10の照射の制御を行う。図3に示すように、中性子ビーム照射装置10のビーム出口125は、照射室101内に少なくとも部分的に設置され、準備室103内には、中性子ビーム照射装置10のビーム出口125と同じであるシミュレーションビーム出口125’及びシミュレーション治療台14’が設置される。立体視覚装置は、異なる位置に同一物体の複数の画像を収集することにより物体の3次元情報を構築し、被照射体の姿勢を正確に監視し、治療計画に応じて照射治療を行うことを確保することができる。照射室101と準備室103内には、それぞれ、被照射体200の画像を収集し計算して画像データ、例えば被照射体200の立体視覚装置座標系での座標行列を取得することにより、被照射体200の位置を決定する立体視覚装置40、40’が設置されてもよい。一実施例において、2つのCCDカメラを用いて両眼立体視覚装置を構成し、理解できるように、CCDカメラは、他の画像収集装置に置き換えられてもよく、画像収集装置の数は、2つ又は2つ以上であってもよく、本発明は、これについて特に制限がない。照射室101内のビーム出口125と立体視覚装置40の位置関係は、準備室内103のシミュレーションビーム出口125’と立体視覚装置40’の位置関係と同じであるため、準備室と照射室に同じ照射座標系と立体視覚装置座標系が定義され、制御モジュール30は、照射座標系と立体視覚装置座標系の座標変換行列を取得し、被照射体200の立体視覚装置座標系での座標行列を照射座標系での座標行列に変換することができ、すなわち制御モジュール30は、立体視覚装置40、40’により収集された被照射体200の画像を被照射体200の照射座標系での座標行列に変換する。図4に示すように、以下に本発明の実施例の放射線照射システムの動作過程及び被照射体の位置決め過程を詳細に説明する。
S301では、治療計画モジュール20は、治療計画を作成し、被照射部位に対して照射治療を行う場合に中性子ビーム照射装置10に対する位置及び対応する照射時間を決定する。
S302では、制御モジュール30は、治療計画モジュール20から現在の被照射体200に対応する治療計画を呼び出す。
S303では、準備室103内で、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置にシミュレーション治療台14’及びシミュレーション治療台14’上の被照射体200に対してシミュレーション位置決めを行う。
S304では、準備室103内の立体視覚装置40’により収集された被照射部位の画像を制御モジュール30に伝送し、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置と比較する。
比較の結果が許容される差の範囲内にあれば、ステップS305を実行する。ステップS305では、シミュレーション位置決め姿勢を決定し、比較の結果が許容される差の範囲を超えると、ステップS303に戻り、比較の結果に基づいてシミュレーション位置決めを調整する。
S306では、決定されたシミュレーション位置決め姿勢に応じて照射室101内で治療台14及び治療台14上の被照射体200に対して照射位置決めを行う。
S307では、照射室101内の立体視覚装置40により収集された被照射部位の画像を制御モジュール30に伝送し、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置と比較する。
比較の結果が許容される差の範囲内にあれば、ステップS308を実行する。ステップS308では、照射治療を開始し、比較の結果が許容される差の範囲を超えると、ステップS306に戻り、比較の結果に基づいて照射位置決めを調整する。
S309では、治療計画に基づいて決定された照射時間に達すると、照射治療を停止する。
一実施例において、ステップS308で照射治療を開始した後、さらにステップS310を含んでもよい。ステップS310では、照射室101内の立体視覚装置40は、被照射部位の画像をリアルタイムに収集し、制御モジュール30に伝送し、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置と比較する。
比較の結果が許容される差の範囲内にあれば、ステップS311を実行する。ステップS311では、照射治療を継続し、かつステップS310に戻って比較を継続し、比較の結果が許容される差の範囲を超えると、ステップS312を実行する。ステップS312では、治療を一時停止し、比較の結果に基づいて照射位置決めを調整した後にステップS310に戻る。
図5に示すように、ステップS301は、さらに以下のステップS401~S403を含む。
S401では、被照射部位の医用画像データをモンテカルロシミュレーションプログラムに必要なボクセルプロテーゼ組織モデルに変換し、モンテカルロシミュレーションプログラムの入力レベルに必要なデータを取得する。
一実施例において、医用画像データは、電子コンピュータ断層撮影(Computed Tomography、CT)のデータを使用し、被照射部位の医用画像データは、被照射部位の医用画像ボクセルモデルの医用画像座標系での座標行列及びCT値行列を含み、治療計画モジュールは、CT値行列を組織種類情報行列に変換する。BNCTにおいて、組織ホウ素濃度情報をさらに定義することができ、すなわち組織種類及び組織ホウ素濃度情報を有するモンテカルロシミュレーションプログラムに必要なボクセルプロテーゼ組織モデルを得る。理解されるように、他の医用画像データをさらに使用することができ、該医用画像データが3次元ボクセルプロテーゼ組織モデルに変換できれば、本発明に開示された放射線療法システム及びその治療計画生成方法に適用されてもよい。医用画像データに基づいてボクセルプロテーゼ組織モデルを確立する詳細な過程は、2017年3月8日に開示され、公開番号がCN106474634A、発明名称が「医用画像データに基づく幾何学的モデルの確立方法」の特許出願を参照することができ、その全体内容が本明細書に組み込まれる。
S402では、モンテカルロシミュレーションプログラム(例えば、MCNP、Monte Carlo N Particle Transport Code)においてビームパラメータを定義し、異なる照射角度をサンプリングして線量シミュレーション計算を行う。
組織種類及び組織ホウ素濃度情報を有するボクセルプロテーゼ組織モデルを確立した後、モンテカルロシミュレーションプログラムによりBNCTにおける被照射体が中性子ビームに照射される場合の内部3次元空間核粒子の衝突軌跡及びエネルギー分布をシミュレーションし、モンテカルロシミュレーションプログラムにおいてビームパラメータ(例えばビームエネルギー、強度、半径など)を定義し、異なる照射角度をサンプリングすることにより、3次元ボクセルプロテーゼ組織モデルの異なる照射角度での線量分布をシミュレーションして計算する。
S403では、計算結果に基づいて照射角度を好適に選択して治療計画生成し、被照射部位の最適な照射角度を決定する。
線量分布を取得した後、線量指標(例えば処方線量)、線量制限値(例えば平均線量、最大線量)などに基づいて異なる照射角度を好適に選択して治療計画、すなわち最適な照射角度及び対応する照射時間を評価して決定する。理解できるように、ステップS420において照射角度をサンプリングする場合、又はステップS430において照射角度を好適に選択して評価する場合、ビーム経路をさらに評価することができ、本願は、ビーム角度の評価方法について特に制限がなく、例えば2017年6月16日に開示され、公開番号がCN106853272A、発明名称が「ビームの照射角度の評価方法」の特許出願を参照することができる。治療計画モジュールは、得られた最適な照射角度を計算し、被照射部位の中性子ビーム照射装置10に対する位置を決定する。一実施例において、治療計画モジュール20は、モンテカルロシミュレーションプログラムにおいて準備室及び照射室と同じである照射座標系を定義することができ、治療計画モジュール20は、被照射部位の医用画像座標系での座標行列を照射座標系での座標行列に変換し、治療計画モジュールにより計算された治療計画データは、最適な照射角度での被照射部位のボクセルプロテーゼ組織モデルの照射座標系での座標行列を含み、理解できるように、モンテカルロシミュレーションプログラムにおいて照射座標系の座標行列の変換を行わなくてもよく、治療計画モジュール20又は制御モジュール30により照射座標系の医用画像座標系に対する座標変換行列を計算し、後続のステップにおいて座標変換行列により変換して比較する。
照射治療を開始しようとする場合、ステップS302を実行し、制御モジュール30は、治療計画モジュール20から現在の被照射体200に対応する治療計画を呼び出す。治療計画から被照射部位の位置を取得することができ、制御モジュール30のマンマシンインタフェースに被照射部位のモデルの仮想ビーム出口に対する位置を表示するか又は関連する位置パラメータを表示すれば、ステップS303を行うことができ、準備室103内で治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置にシミュレーション治療台14及びシミュレーション治療台14’上の被照射体200に対してシミュレーション位置決めを行う。この過程は、医師などの作業者により手動で行われ、さらに治療計画と比較して確認する必要があり、一実施例において、ステップS304により、準備室103内の立体視覚装置40’により収集された被照射部位の画像を制御モジュール30に伝送し、制御モジュール30は、それを照射座標系に変換して治療計画データに基づいて決定された被照射部位のボクセルプロテーゼ組織モデルの照射座標系での座標行列と比較することにより、許容される差の範囲内にあることを確保して、シミュレーション位置決め姿勢を決定することができ(ステップS305)、そうでなければ、ステップS303に戻ってシミュレーション位置決め姿勢を調整し、例えば比較の結果に基づいて偏差量を計算し、計算された偏差量に基づいて調整し、シミュレーション位置決め姿勢を調整しなくてもよいが、照射室101で被照射体200を位置決めする場合に該偏差量を考慮する。シミュレーション位置決めの過程において、被照射体の実際の状況を考慮して、可能な限り治療計画に基づいて決定された照射位置と一致する。
一実施例において、立体視覚装置により収集されたデータをより迅速で、正確にするために、被照射部位に特徴パターン201を設置し、特徴パターン201の被照射部位の医用画像における位置を収集し、特徴パターン201は、医用画像に現像されるだけでなく、立体視覚装置により識別されやすい材質を使用し、特徴パターン201の形状は、限定されず、図3に示す実施例において三角形である。理解できるように、この過程は、ステップS304の前に行われてもよく(例えばステップS401において被照射部位の医用画像データを収集する前に特徴パターン201を設置し、すなわち被照射部位の医用画像データと、特徴パターン201の被照射部位の医用画像における位置とを同時に取得することができる)、ステップS304において行われてもよい。立体視覚装置40’は、特徴パターン201の画像を収集して制御モジュール30に伝送し、制御モジュール30は、特徴パターンの被照射部位の医用画像における位置を被照射部位の照射座標系での座標行列に変換し、治療計画データに基づいて決定された被照射部位のボクセルプロテーゼ組織モデルの照射座標系での座標行列と比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保して、シミュレーション位置決め姿勢を決定する。
シミュレーション位置決めが完了した後、ステップS306を行うことができ、決定されたシミュレーション位置決め姿勢に応じて照射室101内で、治療台14及び治療台14上の被照射体200に対して照射位置決めを行い、一実施例において、照射室101内に治療台位置決め装置50がさらに設置され、制御モジュール30は、治療台位置決め装置50を制御することにより、移動するように治療台14を制御し、理解できるように、準備室103内に治療台位置決め装置をさらに設置することにより、移動するようにシミュレーション治療台14’を制御して被照射体に対してシミュレーション位置決めを行うことができる。この過程も医師などの作業者により手動で行われ、さらに照射室101内の立体視覚装置40により収集された被照射部位の画像と、ステップS305において決定されたシミュレーション位置決め姿勢に対応する被照射部位の画像又は治療計画とを比較して確認する必要があり、例えばステップS307を実行する。一実施例において、照射室101内の立体視覚装置40により収集された特徴パターンの画像について、制御モジュール30は、特徴パターンの被照射部位の医用画像における位置を被照射部位の照射座標系での座標行列に変換し、治療計画データに基づいて決定された被照射部位のボクセルプロテーゼ組織モデルの照射座標系での座標行列と比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保して、照射治療を開始することができ(ステップS308)、制御モジュール30は、中性子ビームを生成するように中性子生成装置11を制御し、すなわち被照射体200に対して照射治療を開始するようにビーム照射装置10を制御し、そうでなければ、ステップS306に戻って照射姿勢を調整し、例えば比較の結果に基づいて偏差量を計算し、計算された偏差量に基づいて調整する。
照射治療中に、照射室101内の立体視覚装置40は、被照射部位の画像を継続的かつリアルタイムに収集し、制御モジュール30に伝送することができ、ステップS308において照射治療を開始する場合に、対応する被照射部位の画像又はステップS305において決定されたシミュレーション位置決め姿勢に対応する被照射部位の画像又は治療計画と比較し、例えばステップS310を実行する。一実施例において、照射室101内の立体視覚装置40によりリアルタイムに収集された特徴パターンの画像について、制御モジュール30は、特徴パターンの被照射部位の医用画像における位置を被照射部位の照射座標系での座標行列に変換し、治療計画データに基づいて決定された被照射部位のボクセルプロテーゼ組織モデルの照射座標系での座標行列と比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保して、照射治療を継続し(ステップS311)、かつステップS310に戻って比較を継続し、そうでなければ、ステップS312を実行し、治療を一時停止し、比較の結果に基づいて照射位置姿勢を調整した後にステップS310に戻り、理解できるように、治療計画を調整してもよく、照射治療中に、さらに制御モジュール30により受信された他の情報に基づいて、治療計画を調整するか又は他の制御を実行してもよい。制御モジュール30が治療計画に基づいて決定された照射時間に達すると判断すると、ステップS309を実行し、制御モジュールは、被照射体200への照射を停止するようにビーム照射装置10を制御し、例えば中性子ビームの生成を停止するように中性子生成装置11を制御する。
一実施例において、照射室101と準備室103内には、いずれも、同じでかつ同じ位置関係を有するレーザ位置決め装置60、60’が設置され、治療計画モジュール20は、レーザ位置決め装置60、60’により生成されたレーザが治療計画に基づいて決定された照射角度の被照射部位に当たる位置をシミュレーションすることができ、作業者は、該位置に基づいて被照射体200にマークを付け、付けられたマークに基づいて、被照射体200に対して準備室103でシミュレーション位置決めを行う場合及び照射室101で照射位置決めを行う場合の位置及び姿勢を調整することにより(ステップS303及びステップS306)、レーザ位置決め装置60、60’により生成されたレーザが被照射体200に当たる位置は、該マークと一致する。レーザ位置決め装置を設置することにより、作業者は、手動で位置決めする場合に、より便利で迅速である。
レーザ位置決め装置60、60’により生成されたレーザは、ビーム出口125、125’の中心軸線X、X’と一致する位置をさらに決定することができ、図3に示すように、レーザ位置決め装置60、60’により生成されたレーザが被照射体200に当たる位置は、ビーム出口125、125’から出たビーム中心軸線が被照射体200に入射する位置を表し、治療計画に基づいてシミュレーションされたビーム中心軸線のボクセルプロテーゼ組織モデルへの入射点に基づいて被照射体200にマークを付けることにより、シミュレーション位置決め及び照射治療を行う場合に決定されたビーム入射位置がより正確になる。
治療計画に基づいて、さらに複数の照射角度を決定して順次照射することができ、例えば本出願人が2020年6月11日に国家知識産権局に提出され、出願番号が202010528551.0、発明名称が「放射線療法システム及びその治療計画生成方法」の特許出願を参照しながら、第1照射角度の照射が完了した後、準備室で第2照射角度のシミュレーション位置決めを改めて行う必要があり、すなわち上記ステップS303~S312を繰り返す。
理解できるように、上記ステップにおける計算方法のいくつかの簡単な変換、例えば異なる座標系の前後変換のような簡単な変換は、依然として本発明の特許請求の範囲内にあり、本実施例におけるコンクリート壁は、厚さが1m以上、密度が3g/c.c.のホウ素含有重晶石コンクリート壁であり、ホウ素含有のコンクリートは、より優れた中性子吸収性能を有し、コンクリートの放射線遮蔽効果を向上させる以外に、コンクリート中の金属材料が受ける中性子曝露量を低減することができる。理解できるように、他の厚さ又は密度を有するか又は他の材料に置き換えられてもよく、異なる部分のコンクリート壁の厚さ、密度又は材料は異なってもよい。理解できるように、本発明は、更に他のタイプの中性子照射システムに適用することができ、他の放射線照射システム、例えば、陽子療法システム、重イオン療法システムなどに適用することもでき、この場合に中性子生成装置は、他の放射線生成装置に置き換えられてもよく、コンクリートの材料は、必要に応じて置き換えられてもよく、治療台は、他の被照射体の載置台であってもよい。
理解できるように、準備室及び準備室内の立体視覚装置を設置しなくてもよく、照射治療を開始する前に照射室内で治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置に対して照射位置決めを直接的に行い、治療計画と比較する。具体的には、放射線照射システムは、治療用ビームを生成し、かつ治療用ビームを被照射体に照射して被照射部位を形成するビーム照射装置と、治療用ビームのパラメータ及び被照射部位の医用画像データに基づいて線量シミュレーション計算を行い、かつ治療計画を作成し、治療計画に基づいて被照射部位に対して照射治療を行う時にビーム照射装置に対する位置を決定する治療計画モジュールと、治療計画に基づいてビーム照射装置の照射を制御する制御モジュールと、準備室と、照射室であって、照射室内で、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置に被照射体に対して照射位置決めを行い、照射室内には、被照射部位の画像を収集する立体視覚装置が設置され、制御モジュールが画像と、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ被照射体に対して照射治療を開始するようにビーム照射装置を制御する照射室とを含む。放射線照射システムの制御方法は、治療計画モジュールが、ビーム照射装置により生成された治療用ビームのパラメータ及び被照射部位の医用画像データに基づいて線量シミュレーション計算を行い、かつ治療計画を作成し、治療計画に基づいて被照射部位に対して照射治療を行う場合にビーム照射装置に対する位置及び対応する照射時間を決定するステップと、制御モジュールが、治療計画モジュールから現在の被照射体に対応する治療計画を呼び出すステップと、照射室内で、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置に被照射体に対して照射位置決めを行うステップと、立体視覚装置が、被照射部位の画像を収集し、制御モジュールが、画像と、治療計画に基づいて決定された被照射部位の位置とを比較することにより許容される差の範囲内にあることを確保し、かつ被照射体に対して照射治療を開始するようにビーム照射装置を制御するステップと、治療計画に基づいて決定された照射時間に達すると、制御モジュールが、被照射体への照射を停止するようにビーム照射装置を制御するステップとを含む。
以上に本発明の例示的な具体的な実施形態について説明して、当業者が本発明を理解することを容易にするが、明らかに、本発明は、具体的な実施形態の範囲に限定されず、当業者にとって、様々な変化が添付の特許請求の範囲で限定かつ決定される本発明の精神及び範囲内にあれば、これらの変化が明らかで、いずれも本発明の特許請求の範囲内にある。