JP2023537685A - 併用剤及び癌の治療におけるその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腫瘍への投与による癌の治療において使用するための、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む医薬製品を開示する。本発明は、薬剤の製造における前記少なくとも2種の活性薬剤の使用、及び新規送達方法を使用する医薬製剤の腫瘍内投与を含む癌の治療方法も開示する。【選択図】 なし

Description

発明の分野
本発明は、特に新規な方法で送達される場合の併用剤、その組成物、及び癌の治療におけるその使用に関する。
背景
癌は、一群の細胞が制御されない増殖の形質を示す疾患である。これは、細胞が正常な限界のレベルを超えて増殖及び分裂することを意味する。癌細胞の制御されない分裂(有糸分裂)は、タンパク質の構成要素である生理的アミノ酸の供給を意味し、すなわち、生理的アミノ酸がなければ、細胞分裂(有糸分裂)は実現できない。細胞は、周囲の組織に侵入して破壊することもできる。加えて、癌細胞は転移することもあり、これは、癌細胞が血液又はリンパを介して体内の他の場所に広がることを意味する。
ほとんどの癌は、細胞の遺伝物質の異常によって引き起こされる。これらの異常は、発癌物質の影響による可能性がある。他の癌促進性遺伝子異常は、エピジェネティック因子若しくはDNA複製におけるエラーを介してランダムに獲得される可能性があるか、又は遺伝され、したがって、出生から細胞中に存在する。
癌において見出される遺伝子異常は、通常、2種の一般的な遺伝子クラスに影響を及ぼす。癌促進性癌遺伝子は、多くの場合、癌細胞において活性化され、それらの細胞に新たな特性、例えば、過活性増殖及び分裂、プログラム細胞死に対する防護、正常組織との境界の無視、並びに多様な組織環境において樹立し、増殖する能力を与える。
腫瘍抑制遺伝子は、癌細胞において不活性化されることが多く、正確なDNA複製、細胞周期の制御、組織内での配向及び接着、並びに免疫系の防御細胞との相互作用等、癌細胞において正常な機能の喪失をもたらす。
多くの異なるタイプの癌が存在し、癌は通常、癌の由来する組織のタイプに従って分類される。
癌は、通常、手術、化学療法、放射線療法、モノクローナル抗体療法を含む免疫療法のうちの1種又は複数種によって治療される。治療法のタイプは、腫瘍の位置及びグレード並びに疾患のステージに依存する。身体の残りの部分に損傷を与えることなく癌を完全に除去することが治療の目標である。時には、これは手術によって達成できるが、隣接組織に浸潤するか、又は顕微鏡的転移によって離れた部位に広がる傾向が癌にはあるため、手術の有効性が制限されることが多い。化学療法の有効性は、その作用原理を回避する癌細胞の異なる様式によって、及び体内の他の組織に対する毒性によって、制限されることが多い。放射線も、正常組織の損傷を引き起こす可能性がある。
癌は、身体の多くの領域に影響を及ぼすことが知られており、最も一般的なタイプの癌は、例えば、発生率の順に(出典:Estimated new cases2018by cancer type(both sexes combined)American Cancer Society-https://cancerstatisticscenter.cancer.org/#!/):乳癌;肺癌、前立腺癌、結腸黒色腫、膀胱癌、非ホジキンリンパ腫、腎臓癌、子宮癌、白血病、膵臓癌、甲状腺癌、口腔癌及び咽頭癌、肝臓癌、多発性骨髄腫、胃癌、脳、脊髄及び他の神経系の癌、卵巣癌、食道癌、子宮頸癌、喉頭癌、軟組織(心臓を含む)の癌、胆嚢及び他の胆道(胆管等)の癌、小腸癌、精巣癌、肛門、肛門管、及び肛門直腸の癌、ホジキンリンパ腫、外陰癌、膣、尿管及びその他の泌尿器の癌、眼及び眼窩の癌、骨癌、並びに陰茎癌が挙げられ、以下(発生率による順位付けなし):神経内分泌腫瘍(カルチノイド及び他のタイプを含む)、頭頸部癌、カポジ肉腫、リンパ節癌、中皮腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、副腎癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、及び胸腺癌も挙げられる。
脳内で発現する腫瘍は、炎症を引き起こし、脳の他の部分を圧迫し、脳浮腫(脳腫脹)を誘発することによって、脳細胞を破壊又は損傷する可能性があり、頭蓋内圧(頭蓋骨内の圧力)の上昇を引き起こす可能性がある。
毎年、英国では約4300人が脳腫瘍と診断されている。原発性脳腫瘍は、脳内の細胞の増殖又は制御されない繁殖によって生じる塊である。悪性原発性脳腫瘍は、悪性原発性脳腫瘍の周囲にある正常な脳組織に広がり、周囲にある脳の領域に圧力及び損傷を引き起こすことによって、問題を引き起こす可能性が最も高い。これらの腫瘍は、脳の外側の身体の他の部分に広がることは稀である。しかしながら、二次性脳腫瘍は、肺又は乳房等の身体の他の部分からの癌細胞が脳に拡散する場合に生じる。
手術は、多くの脳腫瘍に対して選択される治療選択肢である。完全に切除できる場合もあるが、深部にあるか又は脳組織に浸潤しているものは、除去されるというよりも減量されることがある。
関与する腫瘍のタイプに応じて、放射線療法及び化学療法が推奨されることがある。
神経膠腫細胞腫瘍はしばしば予後不良である。神経膠腫は特徴的なびまん性浸潤性腫瘍増殖をするため、しばしば、神経膠腫の外科的除去は不可能であり、これにより、神経膠腫の患者の臨床管理は大変複雑になる。
多形神経膠芽腫(GBM)は、最も一般的で最も攻撃的なタイプの原発性脳腫瘍であり、全ての原発性脳腫瘍症例の52%及び全ての頭蓋内腫瘍の20%を占める。平均生存期間は12~18カ月であり、神経膠芽腫患者の25%のみが1年を超えて生存し、患者の5%のみが5年を超えて生存する。
異なるアプローチが、神経膠腫と診断された患者の死亡率を改善するために、研究されている。これらは、神経膠腫細胞は標的とするが正常細胞は無傷のままにしておく治療、癌細胞の拡散を制限する方法、及び腫瘍の維持に必要な分子を遮断する治療を含む。
しかしながら、癌治療法を開発するためのあらゆる努力にもかかわらず、癌、特に脳腫瘍の管理のための新しいアプローチを実現する必要性が依然として存在する。
より具体的には、癌の治療のための新たな効率的で毒性の低いアプローチが依然として必要とされている。
L-2,4ジアミノ酪酸(DAB)は、合成(非生理的)カチオン性アミノ酸類似体であり、これはヒト神経膠腫細胞に対してin vitroで抗腫瘍活性を示す(Ronquist G et al.,Anticancer Res4(1984)225-228;Panasci L et al.,Cancer Chemother Pharmacol21(1988)143-144)。しかしながら、L-2,4ジアミノ酪酸(DAB)の臨床使用は、少数の患者系列に限定されている(Ronquist et al.,(1992)Acta Neurochirurgica114,8-11;Bergenheim et al.,(2006)Journal of Neuro-Oncology80,285-293)。2種の臨床試験は、有意な臨床的利益を実証できなかった。
プラゾシンは、臨床的に承認された薬物であり、高血圧症を治療するための臨床診療において40年を超えて採用されている(Cavero&Roach,1980)。その使用は、良性前立腺肥大症、うっ血性心不全、褐色細胞腫、心的外傷後ストレス障害及びレイノー病に関連する睡眠障害の治療にまで拡大されている。高血圧症の治療のために、塩酸プラゾシンは、経口処方により使用され、推奨総1日用量は20~40mgであり、分割用量で投与される。プラゾシンは、マウス異種移植片において神経膠芽腫の増殖を阻害することは報告されているが(Assad Kahn et al.,2016,EMBO Mol.Med.8,511-526)、プラゾシンの抗癌剤としての臨床使用の報告はない。
本開示は、上記で概説した問題の少なくとも一部を克服する、癌の治療のための併用剤、医薬製品及び方法を提供する。本発明の組合せは、腫瘍、特にヒトにおける脳腫瘍発現を阻害するのに有効である。
本発明は、プラゾシンと組み合わせたL-2,4ジアミノ酪酸(DAB)のヒト神経膠腫細胞株に対する相乗的細胞毒性効果を示すデータに少なくとも部分的に基づいている。更に、細胞傷害性は、非悪性細胞と比較して悪性細胞に対して選択的である。
第1の態様によれば、本発明は、L-2,4ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを少なくとも含み、癌の治療又は予防において、別々に、同時に、又は逐次に使用するための併用製剤としての製品である。
第2の態様によれば、本発明は、癌の治療又は予防において使用するための、少なくともL-2,4ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む組成物である。
本発明の併用剤は、腫瘍発現を阻害するのに、特に、対象における脳腫瘍の増殖を減少させ、癌細胞の拡散を制限するのに有効である。有利なことに、本発明の併用剤は、脳腫瘍細胞を標的とするが、正常細胞は無傷のままである。これは脳において特に重要である。本発明による2種の活性薬剤の組合せは、以下の有利な特性の1種又は複数種を有することができる:有害な副作用の低減の提示;水性環境における安定性;癌細胞に対する選択的細胞毒性;及び非悪性細胞に対する細胞毒性の低減の提示。加えて、製品は、追加の治療薬を更に含んでもよいか、又は追加の治療薬とともに対象に投与してもよい。
したがって、本開示は、腫瘍への腫瘍内投与による癌の治療において使用するための、活性薬剤L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む製品を提供する。組合せの腫瘍内投与は、全身投与では不可能な腫瘍での活性薬物濃度を可能にする。腫瘍内投与は、活性薬剤への全身曝露に起因する有害な副作用も少なくする。更に、本発明の組合せの使用によって、他の抗癌薬による治療よりも副作用が少なくてすむ。化学療法剤の一般的な有害作用としては、例えば、疲労、脱毛、あざや出血のしやすさ、感染、貧血(低赤血球数)、悪心及び嘔吐、食欲の変化、便秘、下痢、口、舌及び喉の問題、例えば嚥下に伴うただれ及び疼痛、末梢神経障害又は他の神経の問題、例えばしびれ、刺痛及び疼痛、皮膚及び爪の変化、例えば乾燥肌及び色の変化、尿及び膀胱の変化並びに腎臓の問題、体重変化、注力及び集中に影響を及ぼす可能性があるケモブレイン(chemo brain)、気分の変化、性欲及び性機能の変化、生殖能力の問題が挙げられる。
したがって、本開示は、腫瘍への腫瘍内投与による癌の治療において使用するための、活性薬剤L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む製品を提供する。
治療される癌は、任意の癌性腫瘍又は悪性腫瘍であってもよい。悪性腫瘍は、中枢神経系又は腫瘍内投与に適した身体の任意の場所における腫瘍であってもよい。好ましくは、治療される癌は脳腫瘍である。
脳腫瘍は、通常、腫瘍の位置及び癌が発現した細胞のタイプに従って分類される。例えば、脳腫瘍の異なるタイプとしては、聴神経腫、星状細胞腫、CNSリンパ腫、上衣腫、血管芽腫、髄芽腫、髄膜腫、神経膠腫、混合性神経膠腫、乏突起神経膠腫、松果体部腫瘍及び下垂体腫瘍が挙げられる。神経膠腫はグリア細胞の腫瘍であり、グリア細胞は脳内の神経細胞を支持及び保護する。神経膠腫は、全ての原発性脳腫瘍のほぼ半分及び全ての原発性脊髄腫瘍の5分の1を占める。
本開示は、腫瘍内投与する癌治療用薬剤の製造における、少なくともL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンの組合せの使用を更に提供する。
別の態様によれば、本発明による使用のための組合せは、新規薬物送達方法を使用して腫瘍内に投与される。この新規薬物送達方法は、組合せの治療作用を増強する。
一態様において、方法は、ドレナージ及び注入のための定期的な中断と共に、腫瘍、腫瘍の切除腔又は生検部位の内部に残された1個又は複数のカテーテルを通じた、本発明の組合せの注入を伴う。
通常、方法は、生理的等張液及び/又は等張性トリス緩衝液のドレナージ及び注入のための定期的な中断と共に、特定の流量(例えば、約3ml/時の総流量)で、腫瘍、腫瘍の切除腔又は生検部位の内部に残された1個又は複数個のカテーテルを通じた、本発明の組合せの注入を伴う。好ましくは、緩衝液は7.2~9.1のpHを有する。好ましくは、等張液の注入量は1~2mlである。好ましい実施形態において、等張液の注入量は、排液された液量以下である。好ましくは、上記の中断としては、数秒間1~2mlの受動的ドレナージ又はシリンジによる手動吸引と、それに続く1~2mlの注入、或いは、ある期間、例えば5分間での中断を含む。別の好ましい方法において、IRRAフロー(Irraflow)又は任意の他の流体交換カテーテル若しくはカテーテルの組合せが、手術後に定位置に残され、定期的(2時間毎等)に約5分間にわたって起動される場合、上記のように腫瘍内流体環境を交換できる。手術不可能な症例又は生検のみが計画された患者のための追加の好ましい方法において、複数の注入及び流体交換カテーテルは、異なる腫瘍部分で機能するように配置及び計画された場合、開頭手術を通じて挿入されることができ、最適な薬物及び緩衝液分布を生じることができる。
本開示は、癌の治療方法を更に提供し、この方法はL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む本明細書に記載の製品を、それを必要とする対象に、腫瘍内投与するステップを含む。好ましくは1~2mlの等張性トリス緩衝液(pH7.2~9.1)のドレナージ及び注入のための定期的な中断を伴う、腫瘍、腫瘍の切除腔、又は生検部位の内部に残された1個又は複数個のカテーテルを通じた、本発明の組合せの注入(好ましくは約3ml/時の総流量で)を含む新規薬物送達方法によって、前記製品は腫瘍に直接、すなわち腫瘍内に投与される。
この外科的創傷の細胞外液の定期的な排出及び等張性トリス緩衝液(pH7.2~9.1)の注入は、治療効果を増強する。
理論に束縛されるものではないが、この送達方法を使用するDABとプラゾシンの組合せの腫瘍内投与は、薬物と標的細胞との相互作用の増加をもたらすと考えられる。したがって、この方法は、いまや悪性細胞のための保護シールドとして作用し、新たな薬物の浸透を不可能にしている、競合する生理的アミノ酸(以下を参照のこと)、不活性薬物代謝産物、及び以前の治療の細胞破片を排除することにより、活性薬物分子と悪性細胞との相互作用を増加させることが想定される。
加えて、競合する細胞外アミノ酸の濃度が創傷の定期的な「洗浄」によって低下する場合、DABの作用が増強され得るとともに、腫瘍再発の原因である神経膠腫開始細胞が存在する腫瘍周囲組織領域へのDAB及びプラゾシンの浸透は、薬物、緩衝液及び生理液の定期的なドレナージと注入の間に生じる拡散力及び対流力によって増強され得る。pH7.2~9.1のトリス緩衝溶液中におけるこの活性薬物の投与の仕方は、緩衝液による中性、好ましくはわずかにアルカリ性の洗浄と協力して、癌の微小環境を変化させ、活性薬剤の効果を増強し得る。腫瘍微小環境における低い細胞外pHが、癌のより良好な生存及び免疫逃避と相関していることは周知である(Calcinotto A et al.,Cancer Res72(2012)2746-2756;Azzarito T et al.,Cancer Lett356(2015)697-703)。酸性状態は、腫瘍細胞からのいわゆる「エキソソーム」の放出も増加させ、エキソソームはパラクリン方式で腫瘍繁殖を増強する。
薬物投与における種々の腫瘍内方法が、神経膠腫の治療について記載されている。しかしながら、これらの実験的治療について記載された全ての方法は、連続的又は断続的な薬物の注入を含むが、本発明の方法のように、生理液及び/又はわずかにアルカリ性のトリス緩衝溶液のドレナージ又は注入は定期的に交代されない。
治療方法は、追加の治療薬の投与も含んでもよい。
好ましい対象はヒトであるが、本発明は獣医学及び畜産産業における用途を有し、したがって非ヒト動物にまで及ぶ。
図1は、培養されたHMC3細胞の生存率に対するDABの用量応答効果を示す。 図2は、培養されたLN-18細胞の生存率に対するDABの用量応答効果を示す。 図3は、培養されたHMC3細胞の生存率に対するプラゾシンの用量応答効果を示す。 図4は、培養されたLN-18細胞の生存率に対するプラゾシンの用量応答効果を示す。 図5は、LN-18細胞生存率に対するDAB、プラゾシン及びDABとプラゾシンとの組合せの効果を示す。 図6は、DABとプラゾシンとの組合せについて、細胞生存率における観察された効果と予想された効果(相加的な場合)との比較を示す。 図7は、DAB/プラゾシンの組合せによる処理の前後におけるLN-18細胞の位相差顕微鏡写真を示す。
発明の詳細な説明
L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含み、別々に、同時に、又は逐次に使用するための併用製剤としての医薬製品は、腫瘍内投与による癌の治療に使用される。
本発明の文脈において、特に明記しない限り、用語「治療」は、癌状態の治癒又は改善、すなわち癌の再発の遅延(無増悪期間、PFS)を含む癌の再発の完全な排除又は低減、腫瘍の完全な排除、腫瘍増殖の阻害、患者の生存期間の延長又は生活の質の向上を指してもよい。
治療される癌は、例えば、胆管癌、膀胱癌、骨癌、腸癌(結腸癌及び直腸癌を含む)、脳癌、乳癌、神経内分泌系の癌(一般にカルチノイドとして知られる)、子宮頸癌、眼癌、食道癌、頭頸部癌(この群は、口、鼻、咽喉、耳孔の内層又は舌を覆う表面層を形成する細胞で始まる癌腫を含む)、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌、リンパ節癌、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、前立腺癌、皮膚癌、軟部組織肉腫、脊髄癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、膣癌、外陰癌及び子宮癌であってもよい。
一部の特定の実施形態において、治療される癌は脳腫瘍である。
脳腫瘍としては、聴神経腫、星状細胞腫、CNSリンパ腫、上衣腫、血管芽腫、髄芽腫、髄膜腫、神経膠腫、混合性神経膠腫、乏突起神経膠腫、松果体部腫瘍及び下垂体腫瘍が挙げられる。神経膠腫はグリア細胞の腫瘍であり、これらの細胞は脳内の神経細胞を支持及び保護する。神経膠腫は、全ての原発性脳腫瘍のほぼ半分及び全ての原発性脊髄腫瘍の5分の1を占める。
本発明の治療法は、脳腫瘍が神経膠腫瘍、より具体的には多形神経膠芽腫(GBM)である場合に特に有用である。
用語「腫瘍」及び「癌」は、本明細書において互換的に使用されてもよい。「神経膠腫」への言及は、GBM、星状細胞腫、未分化星状細胞腫、混合性神経膠腫、乏突起神経膠腫、又は神経膠芽腫開始細胞(GIC)を含む関連する脳癌を含む。
「医薬製品」は、請求項1に記載のものである。一部の特定の実施形態において、製品は、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)とプラゾシンとの組合せを含む。
本発明の文脈における「(医薬)製品」は、活性薬剤L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンが、別々に提供され、別々に与えられるか若しくは分配されるか、又は分配前に一緒に混合される、二剤型組成物等の多剤型組成物も含む。例えば、多剤型医薬包装は、別々に維持される2種又は3種の活性薬剤を有してもよい。
製品は、少なくとも1種の追加の治療薬を含んでもよい。
用語「追加の治療薬」は、本明細書中で使用される場合、最も広い意味で使用され、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンとは異なる任意の物質又は物質の混合物を含み、追加の治療薬は、臨床的使用を提供するか、又は生物の身体に取り込まれるか若しくは身体に導入される場合に、正常な身体的若しくは細胞的機能を変化させる。追加の治療薬は、治療効果又は予防効果を提供する任意の薬剤、組織増殖、細胞増殖、細胞分化に影響を及ぼすか又は関与する化合物、免疫応答等の生物学的作用を引き起こすことできるか、又は1種若しくは複数種の生物学的プロセスにおいて、任意の他の役割を果たし得る化合物であってもよい。一部の特定の実施形態において、治療薬は、例えば、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖、突然変異タンパク質、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(1~18)、インターフェロン(例えば、β-IFN、α-IFN及びγ-IFN)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM-CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍剤及び腫瘍抑制因子、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノーゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノーゲン、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CG等)、ホルモン及びホルモン類似体(例えば、成長ホルモン、黄体形成ホルモン放出因子)、ワクチン(例えば、腫瘍、細菌及びウイルス抗原);スタチン(ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン等のような)、ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば、神経成長因子、インスリン様成長因子);骨形態形成タンパク質、TGF-B、タンパク質阻害剤、タンパク質拮抗薬及びタンパク質作動薬;核酸、例えばアンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;細胞、ウイルス、抗腫瘍抗体、抗原及び抗原断片、腫瘍細胞及び腫瘍細胞断片(腫瘍に対する免疫応答を引き起こし得る腫瘍の断片)、幹細胞、エキソソーム並びにリボソームである。
また、適切な追加の治療薬の非限定的な例としては、それらの組合せや代替形態も含め、鎮痛剤/解熱剤(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム、ブプレノルフィン、塩酸プロポキシフェン、プロポキシフェンナプシレート、塩酸メペリジン、塩酸ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドン、コデイン、酒石酸水素ジヒドロコデイン、ペンタゾシン、酒石酸水素ヒドロコドン、レボルファノール、ジフルニサル、サリチル酸トロラミン、塩酸ナルブフィン、メフェナム酸、ブトルファノール、サリチル酸コリン、ブタルビタール、クエン酸フェニルトロキサミン、クエン酸ジフェンヒドラミン、メトトリメプラジン、塩酸シンナムエドリン、及びメプロバメート);抗喘息剤(例えば、ケトチフェン及びトラキサノクス);抗生剤(例えば、ネオマイシン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコール、セファロスポリン、アンピシリン、ペニシリン、テトラサイクリン、及びシプロフロキサシン);抗鬱剤(例えば、ネホパム、オキシペルチン、ドキセピン、アモキサピン、トラゾドン、アミトリプチリン、マプロチリン、フェネルジン、デシプラミン、ノルトリプチリン、トラニルシプロミン、フルオキセチン、イミプラミン、パモ酸イミプラミン、イソカルボキサジド、トリミプラミン、及びプロトリプチリン);抗糖尿病剤(例えば、ビグアナイド及びスルホニルウレア誘導体);抗真菌剤(例えば、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール、アンホテリシンB、ナイスタチン、及びカンジシジン);降圧剤(例えば、プロプラノロール、プロパフェノン、オクスプレノロール、ニフェジピン、レセルピン、トリメタファン、フェノキシベンザミン、塩酸パージリン、デセルピジン、ジアゾキシド、グアネチジン一硫酸塩、ミノキシジル、レシンナミン、ニトロプルシドナトリウム、インドジャボク(rauwolfia serpentina)、アルサーオキシロン及びフェントラミン);抗炎症剤(例えば、(非ステロイド性)インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、イブプロフェン、ラミフェナゾン、ピロキシカム、(ステロイド性)コルチゾン、デキサメタゾン、フルアザコート、デフラザコート、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、及びプレドニゾン);抗新生物薬(例えば、シクロホスファミド、アクチノマイシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カルボプラチン、カルムスチン(BCNU)、メチル-CCNU、シスプラチン、エトポシド、カンプトテシン及びその誘導体、フェネステリン、パクリタキセル及びその誘導体、ドセタキセル及びその誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェン、インターフェロンアルファ、レチノイン酸(ATRA)、ナイトロジェンマスタードアルキル化剤、並びにピポスルファン);抗不安剤(例えば、ロラゼパム、ブスピロン、プラゼパム、クロルジアゼポキシド、オキサゼパム、クロラゼプ酸二カリウム、ジアゼパム、パモ酸ヒドロキシジン、塩酸ヒドロキシジン、アルプラゾラム、ドロペリドール、ハラゼパム、クロルメザノン、及びダントロレン);免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、ミゾリビン、及びFK506(タクロリムス));抗片頭痛薬(例えば、エルゴタミン、プロプラノロール、ムチン酸イソメトヘプテン、及びジクロラルフェナゾン);鎮静剤/催眠剤(例えば、ペントバルビタール、ペントバルビタール、及びセコバルビタール等のバルビツール酸塩;並びに塩酸フルラゼパム、トリアゾラム、及びミダゾラム等のベンゾジアゼピン);抗狭心症薬(例えば、ベータアドレナリン遮断薬;ニフェジピン及びジルチアゼム等のカルシウムチャネル遮断薬;並びにニトログリセリン、硝酸イソソルビド、四硝酸ペンタエリスリトール、及び四硝酸エリスリチル等の硝酸塩);抗精神病薬(例えば、ハロペリドール、コハク酸ロキサピン、塩酸ロキサピン、チオリダジン、塩酸チオリダジン、チオチキセン、フルフェナジン、デカン酸フルフェナジン、エナント酸フルフェナジン、トリフルオペラジン、クロルプロマジン、ペルフェナジン、クエン酸リチウム、及びプロクロルペラジン);抗躁剤(例えば、炭酸リチウム);抗不整脈薬(例えば、ブレチリウムトシレート、エスモロール、ベラパミル、アミオダロン、エンカイニド、ジゴキシン、ジギトキシン、メキシレチン、リン酸ジソピラミド、プロカインアミド、硫酸キニジン、グルコン酸キニジン、ポリガラクツロン酸キニジン、酢酸フレカイニド、トカイニド、及びリドカイン);抗関節炎薬(例えば、フェニルブタゾン、スリンダク、ペニシラミン、サルサラート、ピロキシカム、アザチオプリン、インドメタシン、メクロフェナム酸、金チオリンゴ酸ナトリウム、ケトプロフェン、オーラノフィン、アウロチオグルコース、及びトルメチンナトリウム);抗痛風薬(例えば、コルヒチン及びアロプリノール);抗凝固剤(例えば、ヘパリン、ヘパリンナトリウム、及びワルファリンナトリウム);血栓溶解剤(例えば、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、及びアルテプラーゼ);抗線維素溶解剤(例えば、アミノカプロン酸);血液レオロジー剤(例えば、ペントキシフィリン);抗血小板薬(例えば、アスピリン);抗けいれん薬(例えば、バルプロ酸、ジバルプロエックスナトリウム、フェニトイン、フェニトインナトリウム、クロナゼパム、プリミドン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、アモバルビタールナトリウム、メトスクシミド、メタルビタール、メフォバルビタール、メフェニトイン、フェンスクシミド、パラメタジオン、エトトイン、フェナセミド、セコバルビタールナトリウム、クロラゼピン酸二カリウム、及びトリメタジオン);抗パーキンソン剤(例えば、エトスクシミド);抗ヒスタミン剤/鎮痒剤(例えば、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、塩酸シプロヘプタジン、テルフェナジン、フマル酸クレマスチン、トリプロリジン、カルビノキサミン、ジフェニルピラリン、フェニンダミン、アザタジン、トリペレナミン、マレイン酸デクスクロルフェニラルニン、メトジラジン、及び);カルシウム調節に有用な薬剤(例えば、カルシトニン及び副甲状腺ホルモン);抗菌剤(例えば、硫酸アミカシン、アズトレオナム、クロラムフェニコール、パルミチン酸クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、パルミチン酸クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、メトロニダゾール、塩酸メトロニダゾール、硫酸ゲンタマイシン、塩酸リンコマイシン、硫酸トブラマイシン、塩酸バンコマイシン、硫酸ポリミキシンB、コリスチメチン酸ナトリウム、及び硫酸コリスチン);抗ウイルス剤(例えば、インターフェロンアルファ、ベータ又はガンマ、ジドブジン、塩酸アマンタジン、リバビリン、及びアシクロビル);抗微生物剤(例えば、セファゾリンナトリウム、セフラジン、セファクロル、セファピリンナトリウム、セフチゾキシムナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフロキシムアキセチル、セフォタキシムナトリウム、セファドロキシル一水和物、セファレキシン、セファロチンナトリウム、セファレキシン塩酸塩一水和物、セファマンドールナファート、セフォキシチンナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォラニド、セフトリアキソンナトリウム、セフタジジム、セファドロキシル、セフラジン、及びセフロキシムナトリウム等のセファロスポリン類;アンピシリン、アモキシシリン、ペニシリンGベンザチン、シクラシリン、アンピシリンナトリウム、ペニシリンGカリウム、ペニシリンVカリウム、ピペラシリンナトリウム、オキサシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、クロキサシリンナトリウム、チカルシリン二ナトリウム、アズロシリンナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、ペニシリンGプロカイン、メチシリンナトリウム、及びナフシリンナトリウム等のペニシリン類;アジスロマイシン、クラリスロマイシン等のマクロライド類、並びにエリスロマイシンエチルコハク酸、エリスロマイシン、エリスロマイシンエストレート、ラクトビオン酸エリスロマイシン、ステアリン酸エリスロマイシン、及びエリスロマイシンエチルコハク酸等のエリスロマイシン類;並びに塩酸テトラサイクリン、ドキシサイクリン水和物、及び塩酸ミノサイクリン等のテトラサイクリン類);抗感染薬(例えば、GM-CSF);気管支拡張薬(例えば、塩酸エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、硫酸テルブタリン、イソエタリン、メシル酸イソエタリン、塩酸イソエタリン、硫酸アルブテロール、アルブテロール、メシル酸ビトルテロール、塩酸イソプロテレノール、硫酸テルブタリン、酒石酸水素エピネフリン、硫酸メタプロテレノール、エピネフリン、及び酒石酸水素エピネフリン等の交感神経刺激薬;臭化イプラトロピウム等の抗コリン薬;アミノフィリン、ジフィリン、硫酸メタプロテレノール、及びテオフィリン等のキサンチン;クロモリンナトリウム等のマスト細胞安定剤;ジプロピオン酸ベクロメタゾン(BDP)及びジプロピオン酸ベクロメタゾン一水和物等の吸入副腎皮質ステロイド剤;サルブタモール;臭化イプラトロピウム;ブデソニド;サルメテロール;キシナホ酸;トリアムシノロン;ネドクロミルナトリウム;フルニソリド;プロピオン酸フルチカゾン;ステロイド系化合物及びホルモン(例えば、ダナゾール、シピオン酸テストステロン、フルオキシメステロン、エチルテストステロン、テストステロンエナンテート、メチルテストステロン等のアンドロゲン;エストラジオール、エストロピペート、及び結合型エストロゲン等のエストロゲン;酢酸メトキシプロゲステロン及び酢酸ノルエチンドロン等のプロゲスチン;トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、及びレボチロキシンナトリウム等の甲状腺ホルモン);血糖降下薬(例えば、ヒトインスリン、精製牛肉インスリン、精製豚肉インスリン、グリブリド、メトホルミン、クロルプロパミド、グリピジド、トルブタミド、及びトラザミド);脂質低下薬(例えば、クロフィブラート、デキストロチロキシンナトリウム、プロブコール、プラバスタチン、アトルバスタチン、ロバスタチン、及びナイアシン);タンパク質(例えば、DNase、アルギナーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、及びリパーゼ);核酸(例えば、本明細書に記載のタンパク質のいずれかを含む、治療上有用なタンパク質をコードするセンス又はアンチセンス核酸);赤血球生成刺激に有用な薬剤(例えば、エリスロポエチン);抗潰瘍/逆流防止剤(例えば、ファモチジン、シメチジン、及び塩酸ラニチジン);制嘔吐剤/鎮吐剤(例えば、塩酸メクリジン、ナビロン、プロクロルペラジン、ジメンヒドリナート、塩酸プロメタジン、チエチルペラジン、及びスコポラミン)が挙げられ、並びに本明細書に記載の組成物及び方法に有用な他の薬物として、ミトタン、ハロニトロソ尿素(halonitrosourea)、アントロサイクリン、エリプチシン、セフトリアキソン、ケトコナゾール、セフタジジム、オキサプロジン、バラシクロビル、ウロフォリトロピン、ファムシクロビル、フルタミド、エナラプリル、イトラコナゾール、ブスピロン、ガバペンチン、ホシノプリル、トラマドール、アカルボース、ロラゼパム、フォリトロピン、オメプラゾール
、フルオキセチン、リシノプリル、トラマドール、レボフロキサシン、ザフィルルカスト、インターフェロン、成長ホルモン、インターロイキン、エリスロポエチン、顆粒球刺激因子、ニザチジン、ブプロピオン、ペリンドプリル、エルブミン、アデノシン、アレンドロネート、アルプロスタジル、ベナゼプリル、ベタキソロール、硫酸ブレオマイシン、デクスフェンフルラミン、ジルチアゼム、フェンタニル、フレカイニド、ゲムシタビン、酢酸グラチラマー、グラニセトロン、ラミブジン、マンガフォジピル三ナトリウム、メサラミン、フマル酸メトプロロール、メトロニダゾール、ミグリトール、モエキシプリル、モンテロイカスト、酢酸オクトレオチド、オロパタジン、パリカルシトール、ソマトロピン、コハク酸スマトリプタン、タクリン、ベラパミル、ナブメトン、トロバフロキサシン、ドラセトロン、ジドブジン、フィナステリド、トブラマイシン、イスラジピン、トルカポン、エノキサパリン、フルコナゾール、ランソプラゾール、テルビナフィン、パミドロネート、ジダノシン、ジクロフェナク、シサプリド、ベンラファキシン、トログリタゾン、フルバスタチン、ロサルタン、イミグルセラーゼ、ドネペジル、オランザピン、バルサルタン、フェキソフェナジン、カルシトニン、及び臭化イプラトロピウムが挙げられ、これらの組合せ、並びに代替塩形態、遊離酸形態、遊離塩基形態、プロドラッグ及び水和物等の代替形態が挙げられる。
一部の実施形態において、追加の治療薬は水溶性であってもよい。一部の実施形態において、追加の治療薬は水溶性でなくてもよい。
一部の実施形態において、治療薬は、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、及びリン酸プレドニゾロンナトリウム等の副腎皮質ステロイドより選択されてもよい。
様々な形態の他の治療薬を使用できる。これらとしては、非荷電分子、分子複合体、塩、エーテル、エステル、アミド等の形態が挙げられるが、これらに限定されず、これらは、腫瘍に注射又は挿入されると生物学的に活性化される。
少なくとも2種の活性薬剤の用語「有効量」、「有効濃度」及び「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の治療的又は生理的効果又は転帰を提供するための少なくとも2種の薬剤の十分な量を意味する。そのような効果又は転帰は、癌に関連する細胞の増殖又は生存能を阻害することを含む。望ましくない効果、例えば副作用が、所望の治療効果とともに現れることがある。したがって、医師は、適切な「有効量」が何であるかを決定する際に、潜在的な利益と潜在的なリスクとのバランスをとる。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢及び全身状態、投与の様式等に依存して、対象毎に変化する。したがって、正確な「有効量」又は「有効濃度」を特定できない場合がある。しかしながら、任意の個々の場合における適切な「有効量」又は「有効濃度」は、日常的な実験のみを使用して当業者によって決定され得る。
有効量は、癌に関連する細胞の増殖又は生存能を阻害するために必要とされる少なくとも2種の活性薬剤の量とみなされる。有効濃度(例えば、製品が腫瘍内に投与される場合)は、癌に関連する細胞の増殖又は生存能を阻害するために必要とされる、製品の少なくとも2種の活性薬剤の濃度とみなされる。
特定の実施形態によれば、腫瘍内送達のために、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンの組合せの有効濃度は、それぞれ、約50mM~約300mMのL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及び約1μM~約500μM(500μM)のプラゾシンを含む。
本発明による使用のための組合せは、新規薬物送達方法によって投与され、この送達方法は、1~2mlの生理的等張液及び、又はpH7.2~9.1の等張性トリス緩衝液のドレナージ及び注入の反復時間のための定期的な中断を伴う、総流量が約3ml/時の、腫瘍、腫瘍の切除腔、又は生検部位の内部に残された1個又は複数個のカテーテルを通じた、組合せの注入を含む。通常、ドレナージ及び注入の中断の回数は、患者の個々のパラメータに基づく。
投与は連続的であるか、又は定期的に中断される。活性薬剤の投与は、同時であってもよいし、任意の順序で別々であってもよい。用量は、異なる流量で1個又は複数個のカテーテルを通じて、特定の期間、例えば、数日間にわたって腫瘍内に投与されてもよい。活性薬物-標的細胞の界面を最大化するためには、留置カテーテルのうちの1個を通じた細胞破片及び不活性代謝産物の排出のためのアルカリ性トリス緩衝液(pH7.2~9.1)による定期的な腫瘍床の洗浄が望ましい。
投与の流量は、広い範囲内で変化してもよい。より低い流量が連続投与に使用されるが、断続投与は、より高い流量からはるかに高い流量を通常必要とする。通常、1μl/分~3ml/秒、特に1μl/分~2ml/秒、又は5μl/分~1ml/秒、又は10μl/分~0.5ml/秒の流量を使用してもよい。
対象を「治療すること」は、罹患した対象における癌の天然の経過又は生物学的挙動の変化、及び対象の利益のために、可能性のある腫瘍又は発現中の腫瘍の生化学的マーカー又は免疫学的マーカーを有する臨床的に無症候性の対象の治療を含む。特定の一実施形態において、本発明は、癌に関連する細胞の増殖又は生存率の低減を企図する。
本明細書で使用される「対象」は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくは下等霊長類を含む霊長類、更により好ましくは本発明の製品及び方法から利益を得ることができるヒトを指す。対象は、ヒトであるか非ヒト動物であるかにかかわらず、個体、患者、動物、宿主又はレシピエントと呼んでもよい。本発明の薬剤及び方法は、ヒト医学、獣医学、及び家畜又は野生動物一般の畜産における用途を有する。便宜上、「動物」は、家禽(アヒル、ニワトリ、シチメンチョウ及びガチョウが挙げられる)、飼育鳥又は狩猟鳥等の鳥類種を含む。非ヒト動物における状態は、天然には存在しないが、動物モデルのように誘導されてもよい。
上記に示したように、好ましい動物は、ヒト、マーモセット、ヒヒ、オランウータン等の非ヒト霊長類、ツパイ属(tupaia)等の下等霊長類、家畜動物、実験室試験動物、ペット動物又は捕獲した野生動物である。ヒトが最も好ましい標的である。しかしながら、非ヒト動物モデルを使用してもよい。実験室試験動物の例としては、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びハムスターが挙げられる。ウサギ及びげっ歯類動物、例えば、ラット及びマウスは、霊長類及び下等霊長類と同様に、簡便な試験系又は動物モデルを提供する。家畜動物としては、ヒツジ、ウシ、ブタ、ヤギ、ウマ及びロバが挙げられる。鳥類種、ゼブラフィッシュ、両生類(オオヒキガエルを含む)、及びキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)等のショウジョウバエ属(Drosophila)種等の非哺乳動物も企図される。生きた動物モデルの代わりに、試験系は、組織培養系も含んでもよい。
一部の特定の実施形態において、対象は、好ましくは、脳腫瘍が疑われるヒト、治療未経験のヒト、又は以前に治療を受けたヒトであって、局所麻酔又は全身麻酔下で標準的な生検又は外科的開頭手術及び減圧を受け、その後に放射線療法及び/又は化学療法を受けた又は受けていないヒトである。より好ましくは、神経膠芽腫が疑われる対象、治療未経験の対象、又は以前に治療を受けた対象であって、局所麻酔又は全身麻酔下で標準的な生検又は外科的開頭手術及び減圧を受けた対象である。
一部の実施形態において、対象は、好ましくは、腫瘍除去にふさわしいか、又は脳腫瘍が完全に切除されたヒトである。
一部の他の実施形態において、本発明の治療にふさわしい対象は、腫瘍を脳の深部に示しているか、又は腫瘍が脳組織に浸潤しているため、腫瘍は除去されているのでなく、減量していることがある。
医薬製剤
本明細書に記載される、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む製剤は、癌の治療において使用するためのものである。
前記製剤は、活性薬剤が混合、溶解、懸濁、乳化等される1種又は複数種の薬学的に許容される担体を更に含んでもよい。
特定の実施形態によれば、本発明の製剤は、1種又は複数種の追加の治療薬を含む。
「薬学的に許容される担体」としては、任意の及び全ての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝剤等が挙げられ、好ましくは、腫瘍内投与に適合する。このような担体の特に有用な例としては、水、生理食塩水、緩衝液(トリス、及びハンクス、ソレンセン)、界面活性剤(ツイーン、プルロニック等)、分散剤、乳酸リンゲル溶液及びデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍内注射の場合、トリス緩衝水溶液又はリン酸緩衝生理食塩水が、本明細書に記載される組成物に適した担体であってもよい。薬学的担体の容量は、選択される特定の活性薬剤及び担体に対する活性薬剤の溶解度に従って変動してもよいと想定される。
本明細書に記載される製剤は、腫瘍内投与経路に適合するように製剤化される。溶液、懸濁液、分散液、乳剤、混合物等は、このような投与のために使用されてもよく、そして滅菌希釈剤、例えば、注射用水、生理食塩水溶液、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;緩衝液、例えば、トリス(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)、酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩、及び張度の調節のための薬剤、例えば、塩化ナトリウム又はデキストロースを含んでいてもよい。製剤のpHは、7.2~8.1の間、好ましくは7.5~7.7の間で変化してもよく、より好ましくは7.55~7.60である。pH値は、塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基で調整できる。
追加の治療薬は、一部の例において、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンと一緒に腫瘍内投与するために、本発明の製剤に組み込むことができる。治療薬は、腫瘍内送達に適した任意の物理的形態で製剤に組み込むことができる。一部の非限定的な例としては、粉末、粒子、繊維、ビーズ、ミクロスフェア、溶液、懸濁液等が挙げられる。他の実施形態において、追加の治療薬は、本発明の製剤に組み込まれず、別個の様式で、例えば、別の製剤から同じく腫瘍内に投与される。
本発明の製剤は、薬学の分野で周知の方法によって調製してもよく、例えば、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は複数用量バイアルに封入された、腫瘍内投与のための単位剤形で便利に提示してもよい。
したがって、一部の調製方法は、活性薬剤L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンのそれぞれを1種又は複数種の担体と別々に会合させるステップを含む。
一部の他の方法において、2種の有効成分、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンは、1種又は複数種の担体とともに会合される。
通常、製剤は当業者に周知の製造プロセスによって調製される。製造プロセスは、任意選択でpH緩衝剤、防腐剤のような他の賦形剤を含む液体担体中で、活性薬剤を混合、溶解、乳化、懸濁等するステップの後、滅菌するステップを含んでもよい。蒸気滅菌、滅菌濾過、エチレンオキシドへの曝露等の化学滅菌、並びにガンマ線照射、電子ビーム処理、及び紫外線照射等の放射線滅菌を含む、任意の適切な滅菌方法が使用できる。次いで、製剤は、例えば、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ又は複数用量バイアルに封入された、腫瘍内投与のための単位剤形で包装される。
L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)は、水性媒体に可溶である。しかしながら、プラゾシンはそうではなく、その理由のため、本発明の製剤の調製のために、これらの活性薬剤は、最初に適切な量の有機溶媒に溶解されてもよく、次いで、得られた溶液は、水性担体又はDAB溶液で希釈されてもよい。プラゾシンを溶解するために使用される有機溶媒の例は、DMSO、ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール等である。したがって、製剤の総重量に対して、通常0.01%~2重量%の間、任意選択で0.01%~1重量%の間を含む低減された量で、有機溶媒は製剤中に存在してもよい。
一部の実施形態によれば、本発明の製剤を調製するための方法は、
a)L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)を水性担体に溶解するステップと、
b)プラゾシンを有機溶媒に溶解し、得られた溶液を水性担体で希釈するステップと
を含む。
一部の実施形態において、方法は、ステップa)及びb)を含み、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む製剤が得られる。任意選択で、b)で使用される水性担体は、ステップa)で得られた製品、例えばL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)を含む水溶液である。
製剤は、異なる濃度の活性薬剤をそれぞれ含んでいてもよい。
組成物に所望される物理的特性を維持するために許容される溶液又は分散液の量を除いて、製剤に組み込まれる活性薬剤の量に決定的な上限はない。送達システムに組み込まれる活性薬剤の下限は、薬物の活性及び治療に必要な時間の長さに依存する。したがって、活性薬剤の量は、所望の治療効果を生じることができないほど少量であるべきではなく、活性薬剤が制御不能な様式で放出されるほど多量であるべきではない。
活性薬剤の各々の濃度は、広い範囲の間で変化してもよく、それらの濃度に関して特に制限はない。しかしながら、通常、腫瘍の微小環境における生理的アミノ酸に対する濃度の利点を維持するために、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)の濃度は50mM~300mMであり、プラゾシンの濃度は1μM~500μMである。
一部の実施形態において、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)の濃度は75mM~145mMの間であり、プラゾシンの濃度は10μM~100μMの間である。
一部の他の実施形態において、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)の濃度は80~140mMの間、好ましくは130mMであり、プラゾシンの濃度は20~80μMの間、好ましくは50μMである。
本発明の文脈において先に言及したように、本発明の製品は、活性薬剤L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンが別々に提供され、別々に与えられるか若しくは分配されるか、又は分配前に一緒に混合される二剤型組成物等の多剤型組成物も含む。例えば、多剤型医薬パックは、別々に維持される2種又は3種の活性薬剤を有してもよい。
加えて、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンは、異なる経路によって対象に投与されてもよい。
本発明の製品及び組成物は、組成物を腫瘍内に送達するのに適した医療デバイスとともに、キット、容器、パック又はディスペンサーに含めてもよい。キットに含まれる組成物は、異なる成分の寿命が保存され、容器の材料によって吸着又は変性されないように、任意の種類の容器に入れて供給されてもよい。例えば、密封されたガラスアンプル又はバイアルは、窒素等の中性の非反応性ガス下で包装された本明細書に記載の組成物を含有してもよい。アンプルは、任意の適切な材料、例えば、ガラス、有機ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン等、セラミック、金属、又は試薬を保持するために通常使用される任意の他の材料からなってもよい。適切な容器の他の例としては、アンプルと同様の物質から製造されるボトル、及び内側がアルミニウム又は合金等の箔で裏打ちされた外被が挙げられる。他の容器としては、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジ等が挙げられる。一部の容器は、皮下注射針によって繰り返し穿孔されてもよい栓を有するボトル等、無菌の再密閉可能なアクセスポートを有してもよい。
本発明による医薬製品は、治療上有効な用量で腫瘍内に投与してもよい。この使用に有効な量は、もちろん、疾患の重症度並びに対象の体重及び全身状態に依存する。対象の治療のために、活性薬剤の活性、障害の性質及び重症度、対象の年齢及び体重に応じて、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンより選択される少なくとも2種の活性成分の組合せの異なる1日用量を投与できる。しかしながら、特定の状況下では、より高い又はより低い1日用量が適切であってもよい。
製品は、様々な方法によって投与してもよい。例えば、製品は、Turner Biopsy Needle若しくはChiba Biopsy Needle等の針で治療されている固形腫瘍に直接注射されてもよいか、又は治療される対象の状況に応じて、開頭手術及び減圧後に異なる流量のカテーテルによって、若しくは穿頭孔開頭手術を通じて直接注射されてもよい。
一部の実施形態において、製品は、対象に予め挿入されたカテーテルを介して腫瘍内に投与される。対象の頭蓋内圧又は腹腔内圧又は胸腔内圧等の対象の状況、並びにカテーテル先端の位置決め及び対象の全身状態又は神経学的状態のような他の要因を考慮して、投与の流量は設定される。
通常、製品の投与の流量は、広い範囲内で変化してよく、通常1μl/分~3ml/秒、特に50μl/分~2ml/秒、又は100μl/分~1ml/秒、又は250μl/分~0.5ml/秒である。
L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む製品を、それを必要とする対象に、腫瘍内投与するステップを含む、癌の治療方法が更に提供される。
一部の実施形態によれば、治療方法は、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを腫瘍内投与するステップを含む。
本発明の治療方法における活性薬剤の異なる組合せの投与は、任意の順序であってもよい。
本発明の治療方法は、それを必要とする対象に対して、活性薬剤の活性、障害の性質及び重症度、対象の年齢及び体重、又はL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンの異なる1日用量に応じて変動する可能性がある期間、例えば数日間行われる。通常、治療は、2~20日の間の期間、例えば4~16日、又は7~14日の間の期間行われる。
2種の活性薬剤の同じ又は異なる組合せを、任意の治療期間中に与えることができる。
前述の「対象」は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくは本発明の製品及び方法から利益を得ることができるヒトであり、患者とも呼ばれる。
一部の特定の実施形態において、患者は、神経膠芽腫が疑われるヒト、治療未経験のヒト、又は以前に癌治療を受けたヒトであって、局所麻酔又は全身麻酔下で開頭手術後に標準的な生検を受けるヒトである。
生検試料を採取した後、外傷を最小限に抑えるために、生検スタイレットと同じ経路に沿ってカテーテル(複数可)が埋め込まれる。代わりに、注入及びドレナージのために使用されるとき、付勢されて圧力勾配を生じるように、カテーテルが埋め込まれる。凍結切片による診断の確認後、患者の頭蓋内圧、臨床経過、並びに腫瘍壊死及び脳浮腫の神経放射線撮像に基づく流量で、併用剤が投与される。
一部の他の実施形態において、患者は、全身麻酔下で標準的な手術を受ける腫瘍除去にふさわしいヒトであり、カテーテル(複数可)は、腫瘍の切除床に残される。凍結切片による診断の確認後、患者の頭蓋内圧、臨床経過、並びに残存腫瘍壊死及び脳浮腫の神経放射線撮像に基づく流量で、治療溶液が投与される。
一部の特定の実施形態において、患者は、身体癌が疑われるヒト、治療未経験のヒト、又は以前に癌治療を受けたヒトであって、局所麻酔又は全身麻酔下で、標準的な、超音波又はCTに誘導された経皮生検を受けるヒトである。
生検試料が採取された後、外傷を最小限にするために、生検スタイレットの同じ経路に沿って、カテーテル(複数可)は埋め込まれる。代わりに、注入及びドレナージのために使用されるとき、付勢されて圧力勾配を生じるように、カテーテルは埋め込まれる。凍結切片による診断の確認後、患者の個々のパラメータに基づいた流量で、製品の投与を開始する。
一部の他の実施形態において、患者は、全身麻酔下で標準的な手術を受ける身体腫瘍除去にふさわしいヒトであり、カテーテル(複数可)は腫瘍の切除床に残される。凍結切片による診断の確認後、患者の個々のパラメータに基づいた流量で、治療溶液が投与される。
本明細書に記載される製品及び送達方法を採用することによって、少なくとも2種の活性薬剤は、腫瘍の境界内に最初に局在化される可能性があり、それによって、腫瘍内に含有される活性薬剤の局所効果は増強するものの、腫瘍の周囲の外側の活性薬剤の血中レベルは低いままである。このようにして、増強された治療効果が達成される可能性がある。腫瘍細胞に対する治療効果はより大きく、加えて、投与部位から離れた感受性正常細胞は、多かれ少なかれ影響を受ける可能性がある。したがって、活性薬剤は、より全身的でない方法、すなわち、癌性細胞に対してより特異的に指向される方法で使用されるが、癌性細胞部位の近傍及び遠隔の両方にある感受性正常細胞を同時に保護する。
本発明の治療方法は、1種又は複数種の追加の治療薬を投与するステップを含んでもよい。
追加の治療薬は、一部の例において、腫瘍内投与のために本発明の製剤に組み込まれてもよい。治療薬は、腫瘍内送達に適した任意の物理的形態で製品に組み込むことができる。一部の非限定的な例としては、粉末、粒子、繊維、ビーズ、ミクロスフェア、溶液、懸濁液等が挙げられる。他の実施形態において、追加の治療薬は、本発明の製剤に組み込まれず、別の製剤から同時に又は逐次に同じく腫瘍内に投与される。
他の例において、追加の治療薬は、任意の他の異なる投与経路、例えば、経口、局所、非経口、静脈内、吸入等によって、同時に又は逐次に投与されてもよい。
本開示に従って利用されてもよい治療薬の例は、上記の通りである。
一般に、追加の治療薬は、治療の全期間にわたって、治療中に時間間隔を空けて、又は治療中のある時点でも投与できる。
追加の治療薬は、治療上有効な量で使用されてもよく、その量は、使用される特定の追加の治療薬に大きく依存して広く変化する。
一部の実施形態において、追加の治療薬は、カテーテル(複数可)の同じ又は異なる管腔を通じて腫瘍内投与できる。これは、例えば、カテーテルの数、カテーテルの先端の位置決め、対象の頭蓋内圧及び他の要因に依存する。投与の流量は、広い範囲内で変化することができ、通常1μl/分~3ml/秒、特に5μl/分~2ml/秒、又は100μl/分~1ml/秒、又は250μl/分~0.5ml/秒である。
いかなる理論にも拘束されるつもりはないが、本発明者らは、神経膠腫に局所化学療法を送達する以前の試みが臨床効率を欠如していた主な理由は、以前の薬物作用が生成した多量の不活性薬物代謝産物及び細胞破片が悪性細胞を保護することである、即ち、中枢神経系の細胞外空間には、輸送タンパク質がないこと、並びに上昇した頭蓋内圧及び神経膠芽腫の無秩序な細胞構築が、注入カテーテルの先端と隣接する悪性細胞層との間に、この不活性流体の維持に寄与することである、と考える。
したがって、一部の実施形態によれば、本発明の治療方法は、活性薬剤と標的細胞との最大接触を達成する(薬物及び生理液の定期的なドレナージと注入の間に生じる拡散力及び対流力によっても増強される)ために、並びに局所圧力及び酸性度を低減するために、-細胞破片及び以前の薬物と組織との相互作用による不活性生成物から生成される-カテーテル(複数可)先端(複数可)周りの流体のドレナージ期間及び洗浄期間の1回又は複数回のステップを含んでいてもよい。このように、悪性細胞の膜と接触する活性薬剤の濃度は高いままであり、活性薬剤と細胞との相互作用は、改善された物理化学的環境下で、特に腫瘍の細胞外空間の酸性度を逆転させるために、等張性トリス緩衝液(pH7.2~9.1)が使用される場合に、起こるであろう。
ドレナージ期間及び洗浄期間のこれらのステップは、腫瘍の外科的切除が不可能であるか又は最適以下である対象において、特に推奨される。
本発明は、以下の研究に少なくとも部分的に基づいている。
1.製剤の調製:130mMのL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及び50μMのプラゾシン
L-2,4-ジアミノ酪酸及びプラゾシンは、いくつかの承認された販売者から市販されている。
L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB、二塩酸塩形態、MW191.06)を、最終濃度が130mMとなるまで水に溶解した。プラゾシンを25mMの濃度となるようにDMSOに最初に溶解し、得られた溶液に、130mMのL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)溶液を撹拌下で添加して、50μMのプラゾシンの最終濃度を達成した。次いで、プラゾシン及びDAB溶液のpHを、pH緩衝剤トリス塩基により、pH7.55(37℃)に調整した。
上記溶液の作用を増強するため、定期的(2時間毎)に数mlを腫瘍内に注入するために、pH8.1の等張性トリス緩衝溶液も調製した。
この定期的な注入は、注入にもかかわらず頭蓋内圧を同じレベルに維持するために、重力ドレナージ又は数mlの手動吸引のために1~2分待った後に、行われる。1~2mlの吸引及び1~2mlの注入を伴うこの手順は、好ましくは2時間毎に約5分間、穏やかに数回繰り返され、薬物の注入の中断を伴う又は伴わない(腫瘍内に1個より多くのカテーテルを有する場合)。
2.研究:神経膠腫及び正常細胞株に対する併用剤のin vitroにおける有効性
2種の薬物、L-2,4ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンの組合せが、2種の細胞株:i)グレードIV神経膠芽腫患者に由来するヒトの株であるLN-18、及びii)原発ミクログリア細胞の特性を保持する、ヒト脳非悪性細胞株であるHMC3の増殖をin vitroで阻害する能力を調査した。
試験した薬物に応答する細胞毒性を監視するために、2種の比色アッセイを確立した。一方は、細胞毒性についての十分に確立されたマーカーである、細胞からの乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)の放出を測定し、他方は、可溶性テトラゾリウム色素であるMTTの還元によって、細胞生存率の指標であるミトコンドリア乳酸デヒドロゲナーゼの活性を測定した。両方のアッセイから、細胞毒性を測定する能力に関して同様の結果が得られたので、LDHアッセイを更なる実験のために選択した。細胞は、直接顕微鏡観察によっても監視した。対照は、薬物を含まない培地で処理した細胞、及び陽性対照として既知の細胞毒性剤であるカンプトテシンで処理した細胞を含んでいた。薬物濃度で37℃で、24時間インキュベーションを行った。
任意の競合する生理的アミノ酸の非存在下、理想的な条件において、in vitroで、DABを試験し、0.5、1、2、3、4、5、6、8、12、及び16mMの低濃度を可能にした。図1及び2に示すように、DABは、非悪性HMC3細胞に対して弱い毒性を示し(IC50は決定できなかった)、神経膠腫細胞株LN-18に対して強い細胞毒性効果を示した(IC50=3.8mM)。
0.1、0.5、1、2、5、10、20、30及び50μMの濃度で、プラゾシンを試験した。DABと同様に、この化合物は、非悪性HMC3株に対してほとんど細胞毒性を示さず(図3、IC50を決定できなかった)、神経膠腫LN-18株に対して強い細胞毒性効果を示した(図4;IC50=3.4μM)。
単一の薬物による上記の結果に基づいて、本発明者らは、可能性のある相乗効果を解明するために、併用剤の有効性を調査した。DABは、1、2又は4mMの濃度で使用した。これらの濃度は、それぞれ単独で、又は1、2若しくは4μMのプラゾシンと組み合わせて試験し、すなわち以下の組合せで試験した。
1mMのDAB+1μMのプラゾシン
1mMのDAB+2μMのプラゾシン
1mMのDAB+4μMのプラゾシン
2mMのDAB+1μMのプラゾシン
2mMのDAB+2μMのプラゾシン
2mMのDAB+4μMのプラゾシン
4mMのDAB+1μMのプラゾシン
4mMのDAB+2μMのプラゾシン
4mMのDAB+4μMのプラゾシン
図5は、いずれかの薬物単独(DABについては白色、プラゾシンについては灰色)の効果と、併用剤(黒色)の効果とを比較する。その結果は、2種の薬物の併用が、2種の薬物単独の相加効果よりも強力な効果を有することを示す。明確にするために、これは図6に更に示してあり、図6は、相加効果について予想される細胞生存率を比較しており、すなわち、2種の薬物単独の効果を単に加えたもの(白色)と観察された効果(灰色)とを比較しており、後者が明らかにより強いことを示し、相乗効果を示している。
図7に示すように、結果を直接顕微鏡検査で更に確認した。
提示されたデータは、DABとプラゾシンの組合せが、ヒト神経膠腫細胞株に対しては細胞毒性作用を発揮するものの、非悪性神経膠腫細胞株に対しては細胞毒性作用を発揮せず、相乗効果が存在することを示す。
3.臨床研究:5人の神経膠腫患者へのDABの腫瘍内投与
5人の神経膠腫グレードIV患者の臨床経過を研究した。全ての患者は、開頭手術を受け、腫瘍を全体的に除去され、2~5日間、切除された腫瘍の空洞に残された通常のドレナージ又は脳室外カテーテル(EVD)を介して、DABの術後腫瘍内投与で治療された。カテーテルを静脈内薬物送達ポンプ(SMITHS)に接続し、流量は1~3ml/時であった(患者の状態及び病変の体積に依存する)。2時間毎に、勤務中の神経外科医は、重力によって、及び、又は手動で、注入部位から壊死流体を吸引し、手動で生理液(リンゲル溶液)を注入するために、治療を中断した。
臨床的及びMRI画像化の両方で、患者を追跡調査する。
4.臨床研究:新規薬物送達方法を使用した1人の神経膠腫患者へのDAB及びプラゾシンの腫瘍内投与
右前頭頭頂高悪性度病変(多形神経膠芽腫)について手術されたこの36歳の女性は、3カ月以内に手術領域において大きな再発を示した。彼女は、左片麻痺を伴う頭蓋内圧上昇の症状を有していた。術前評価及び画像化の後、彼女は2017年11月8日に手術を受けた。開頭手術の再探索及び腫瘍の全体的な除去を行った。それは、短時間内の再発であり、2017年10月26日に免疫組織化学が神経膠芽腫、IDH1(R132H)変異体であると報告していること、この変異体はWHOグレード神経膠腫IVであり、術中に非常に攻撃的で高グレードの腫瘍のように見えたことから、カテーテルを空洞に配置した。適切な説明及び配偶者からの同意の後、等張性薬物溶液(130mMのL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及び50μMのプラゾシンを含有し、37℃で7.55のpHを有する)の腫瘍内注入を、96時間(2017年11月13~16日)、3ml/時で術後腔の内側に投与した。2時間毎に5分間の中断があり、5mlシリンジを通じて手動で何回も交互に注入及び吸引した:1~2ml容量のpH8.1の等張性トリス緩衝溶液を注入し、薬物と悪性細胞との相互作用から生成された1~2mlの壊死液を吸引した。患者は、治療の間、全ての副作用について連続的に監視された。
彼女は治療に非常によく耐え、2017年11月20日に安定状態で退院した。
彼女は、臨床的及びMRI画像化の両方で連続的に追跡調査された。
来院日を伴う追跡調査レポート:
2017年12月8日、彼女は臨床的に改善した。症状はなかった。左片麻痺が改善した。彼女は上肢を含む左焦点性発作を時々罹患した。彼女はテモゾロミド化学療法を受けていた。
2018年1月1日、彼女は完全に回復した。支援なしで歩き回る能力がある左片麻痺があった。左上肢限局性発作の顕著な減少があった。アジュバントテモゾロミド化学療法を継続した。
2018月2月6日、彼女は完全に回復し、神経学的欠損はなかった。彼女は、独立して日常生活の活動を行うことができる。アジュバントテモゾロミド化学療法を継続した。
2018年3月7日、彼女は同じ安定状態のままであった。アジュバントテモゾロミド化学療法を継続した。
2018年5月7日、彼女は軽度の不安定性を訴えた。神経学的欠損なし。左上肢を含む時々の焦点性発作。MRIは腫瘍の証拠を示さなかった。
2018年6月14日、焦点発作が時々継続する。新たな神経学的欠損なし。アジュバントTMZ化学療法を継続した。
2018年7月17日、焦点性発作の2回の発症を除いて同じ状態であった。
2018年8月24日、同じ神経学的状態であった。
2018年10月25日、神経学的欠損なし。
2019年1月15日、焦点又は運動障害なし。独立している。MRIを繰り返したが、腫瘍の証拠は示さなかった。
2020年7月17日、2020年7月14日付けのMRIレポート及び画像。無症候性で限局性の神経学的欠損はない。独立し、造影剤を使用したMRIは、腫瘍の証拠を示さない。
5.10人の神経膠腫患者へのDAB及びプラゾシンの腫瘍内投与のための予備的研究
臨床研究は、倫理的及び科学的な承認を受けており(新型コロナウイルス感染症により遅れている)、プロトコルを以下に記載する。
患者及び方法
患者の数:神経膠腫グレードIII~IVに罹患しているか、治療未経験であるか、又は以前に治療を受けた10人の患者。
年齢:男女とも20~70歳。
一般的健康状態以外に、開頭手術及び/又は穿頭孔開頭手術に対して難治性である他の除外基準はない。
完全なインフォームドコンセントの後、患者は、腫瘍切除のための標準的な開頭手術を受けるか、又は腫瘍が手術不可能であると考えられる場合には、開頭手術後の標準的な生検を受け、これらは両方とも全身麻酔下で行われる。
腫瘍切除又は生体組織検査の後、外傷を最小限にするために、1個の微小透析カテーテル、1個のEVDカテーテル及び1個のIRRAフローカテーテルが切除腔に残されるか、又は生検スタイレットと同じ経路に沿って移植される。
凍結切片による診断の確認後、EVDカテーテルを静脈内薬物ポンプに接続し、薬物溶液を3ml/時で投与する。IRRAフローカテーテルは、頭蓋内圧を監視して、pH8.1の等張性トリス緩衝溶液を定期的に注入し、薬物と悪性細胞との相互作用から生成される壊死液を排出するために、使用される。
流体交換速度及び治療期間は、患者の頭蓋内圧、臨床経過、及び神経放射線撮像に基づいて個別化される(治療開始から48時間での1回目のMRI、予測される総治療時間は5日であり、大きくて手術不可能な腫瘍について最大7日である)。
患者は、てんかん発作、眠気、神経学的欠損の悪化及び任意の他の臨床徴候を含む、治療中の副作用について監視される。
治療前、治療中及び治療後に、患者を神経学的に検査し、少なくとも12カ月間、隔月間隔で、カルノフスキー尺度に従って、患者の一般状態及び生活の質を評価する。上記の臨床追跡調査の記録は、最新のRANOガイドライン(https://radiopaedia.org/articles/rano-criteria-for-glioblastoma)に従って実施される同時MRI検査で補完される。これらのガイドラインは、各患者の腫瘍:位置、大きさ、切除範囲、空洞の大きさ、残留体積、術前MRIと比較した浮腫;及び神経放射線学的進行を明確にするために、適用される。
患者がRANOガイドラインに従ってMRIにおいて何らかの再発の徴候を示す場合、アジュバント標準放射線療法が実施される。
研究の目的は以下の通りである:
a)腫瘍の再発までの時間を延長すること、
b)罹患率を低下させること、
c)患者の生活の質を向上させること、
d)全生存期間を延長すること。
L-2,4-ジアミノ-n-酪酸(二塩酸塩)(DAB)及びプラゾシンは、異なる認可販売者から市販されている。病院の薬局は、100mmol/LのDAB及び100μmol/Lのプラゾシンを含有するpH7.8の溶液を調製し、この溶液にトリス塩基(Sigma)及び水酸化ナトリウムを添加し、50mmol/Lのナトリウムイオン(Na)濃度及び310~390mOsmol/Lの浸透圧を達成するよう調整することになる。薬物の起源に関して、公開された論文からの変更はないであろう。

Claims (14)

  1. L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンを含む、併用製剤としての医薬製品であって、癌の治療における、同時、逐次、又は別々の使用のための医薬製品。
  2. 腫瘍への腫瘍内投与による癌の治療のための、請求項1に記載の使用のための医薬製品。
  3. アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類、突然変異タンパク質、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(1~18)、インターフェロン(例えば、β-IFN、α-IFN及びγ-IFN)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、スタチン(ロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン等のような)、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM-CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍剤及び腫瘍抑制剤、血液タンパク質、フィブリン、トロンビン、フィブリノーゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノーゲン、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CG等)、ホルモン及びホルモン類似体(例えば、成長ホルモン、黄体形成ホルモン放出因子)、ワクチン(例えば、腫瘍、細菌及びウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;成長因子(例えば、神経成長因子、インスリン様成長因子);骨形態形成タンパク質、TGF-B、タンパク質阻害剤、タンパク質拮抗薬、及びタンパク質作動薬;核酸、例えばアンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi;オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;細胞、ウイルス、抗腫瘍抗体、抗原及び抗原断片、腫瘍細胞及び腫瘍細胞断片(腫瘍に対する免疫応答を引き起こすことができる腫瘍の断片)並びにリボソームの群より選択される少なくとも1種の追加の治療薬を含む、請求項1又は2に記載の使用のための医薬製品。
  4. 追加の治療薬は、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、酢酸デキサメタゾン、プレドニゾン、酢酸メチルプレドニゾロン懸濁液、トリアムシノロンアセトニド、メチルプレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、トリアムシノロンヘキサセトニド、ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸パラメタゾン、テブト酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、及びリン酸プレドニゾロンナトリウム等の副腎皮質ステロイドからなる群より選択される、請求項3に記載の使用のための医薬製品。
  5. 治療される癌が脳腫瘍である、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための医薬製品。
  6. 脳腫瘍が、聴神経腫、星状細胞腫、CNSリンパ腫、上衣腫、血管芽腫、髄芽腫、髄膜腫、神経膠腫、混合性神経膠腫、乏突起神経膠腫、松果体部腫瘍及び下垂体腫瘍より選択される、請求項5に記載の使用のための医薬製品。
  7. 腫瘍内投与する癌治療用薬剤の製造における、L-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシンの使用。
  8. 請求項7に記載のL-2,4-ジアミノ酪酸(DAB)及びプラゾシン、並びに少なくとも1種の追加の治療薬の使用。
  9. 癌の治療及び/又は再発の回避若しくは遅延のための、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための医薬製品。
  10. 対象は、神経膠腫が疑われるヒト、治療未経験のヒト、又は以前に癌治療を受けたヒトであって、局所麻酔又は全身麻酔下で開頭手術後に標準的な生検を受けるヒトである、請求項1~6及び9のいずれか一項に記載の使用のための医薬製品。
  11. 対象は、標準的な手術を受ける腫瘍除去にふさわしいヒトである、請求項1~6、9及び10のいずれか一項に記載の使用のための医薬製品。
  12. 1個又は複数個の留置カテーテルを通じて、生理液及び/又は等張性トリス緩衝液による定期的な腫瘍床の洗浄及びドレナージの少なくとも1回又は複数回のステップによって、投与される、請求項1~6及び9~11のいずれか一項に記載の使用のための医薬製品。
  13. 等張性トリス緩衝液はpH7.2~9.1を有する、請求項12に記載の使用のための医薬製品。
  14. 生理的等張液及び/又は等張性トリス緩衝液のドレナージ及び注入のための定期的な中断を伴う、腫瘍、腫瘍の切除腔又は生検部位の内部に残された1個は複数個のカテーテルを通じた注入によって、投与される、請求項1~6及び9~13のいずれか一項に記載の使用のための医薬製品。
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