JP2023536933A - 質量分析法における荷電状態割り当てのためのシステムおよび方法 - Google Patents

質量分析法における荷電状態割り当てのためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

質量分析法において荷電状態を割り当てる方法は、複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することを含む。検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を含む。検出器応答プロファイルが、検出器応答信号に基づいて、イオン到着事象から発生させられた質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンに関して発生させられる。m/zビンは、m/zビンの検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、複数のグループにグループ分けされる。荷電状態が、m/zビンのグループに基づいて、1つ以上の特徴に割り当てられる。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、PCT国際特許出願として2021年8月6日に出願され、本願は、2020年8月6日に出願された米国特許出願第63/062,231号の優先権の利益を主張する(その開示全体は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)。
総括すると、質量分析法(MS)は、化学化合物の検出と定量化とのための分析技法であり、分析技法は、それらの化合物から形成されるイオンの質量/電荷(m/z)値の分析に基づく。MSは、サンプルからの1つ以上の着目化合物のイオン化と、前駆体イオンの生成と、前駆体イオンの質量分析とを伴う。タンデム質量分析法または質量分析法/質量分析法(MS/MS)は、サンプルからの1つ以上の着目化合物のイオン化と、1つ以上の化合物の1つ以上の前駆体イオンの選択と、1つ以上の前駆体イオンのプロダクトイオンへの断片化と、プロダクトイオンの質量分析とを伴う。
MSおよびMS/MSの両方は、定質的および定量的情報を提供することができる。測定された前駆体またはプロダクトイオンスペクトルは、着目分子を識別するために使用されることができる。前駆体イオンおよびプロダクトイオンの強度も、サンプル内に存在する化合物の量を定量化するために使用されることができる。
質量分析法技法は、多くの場合、検出されたイオンに関する質量/電荷比(m/z)を利用して、質量スペクトルデータを発生させる。しかしながら、検出されたイオンの実際の電荷または質量の知識は、多くの場合、直接、測定可能ではない。結果として、検出されたイオンのある程度の重複が、あるシナリオにおいて生じ得る。例えば、ある質量を伴う単一荷電イオンが、質量が倍の二重荷電イオンと同じ質量/電荷比を有するものとして、質量スペクトルにおいて現れ得る。この問題は、概して、ピーク重複問題と称され得る。
トップダウン質量分析法(MS)タンパク質分析では、例えば、質量スペクトルにおける質量または質量/電荷(m/z)ピークの重複は、重要な問題である。このタイプの分析では、非常に広い範囲の異なる断片またはプロダクトイオン(1~200のアミノ酸の長さを有し、1~50の異なる荷電状態を有するプロダクトイオンを含む)が、生成される。プロダクトイオンピークは、単一スペクトルにおいて、互いに著しく重複される。加えて、重複は、最高質量分解能(フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)またはオービトラップ)を伴う質量分析計さえ、そのような重複したピークを逆畳み込みすることができないほど、非常に広範であり得る。結果として、大量のプロダクトイオンは、多くの場合、トップダウンタンパク質分析において失われ、大量のタンパク質の配列包括度を限定する。2020年8月6日に公開された国際公開第WO2020/157720号(第’720号公開)(特許文献1)と、2019年10月17日に公開された国際公開第WO2019/197983号(特許文献2)との両方は、トップダウンMSタンパク質分析の追加の議論および関連付けられた課題を提供する。
国際公開第2020/157720号 国際公開第2019/197983号
一側面において、技術は、質量分析法において荷電状態を割り当てる方法に関し、方法は、複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を含む、ことと、検出器応答信号に基づいて、イオン到着事象から発生させられた質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンに関する検出器応答プロファイルを発生させることと、m/zビンの検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、複数のグループにm/zビンをグループ分けすることと、m/zビンのグループに基づいて、1つ以上の特徴に荷電状態を割り当てることとを含む。例では、方法は、m/zビンのグループに基づいて単純化された質量スペクトルを発生させることをさらに含み、m/zビンのグループは、単純化された質量スペクトルにおいて示される。別の例では、方法は、割り当てられた荷電状態に基づいてイオン到着事象に対応する質量を計算することをさらに含む。さらに別の例では、m/zビンをグループ分けすることは、追加の分離ドメインデータにさらに基づく。なおも別の例では、追加の分離ドメインデータは、滞留時間、ドリフト時間、またはイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを含む。
上記の側面の別の例では、m/zビンをグループ分けすることは、主成分分析(PCA)、k平均クラスタリングアルゴリズム、または主成分変数グループ分け(PCVG)アルゴリズムを使用して実施される。例では、方法は、イオン到着事象の表現を発生させることをさらに含み、表現は、m/z次元、検出器応答次元、およびイオン総数または確率次元を有する。別の例では、表現は、ヒートマップである。さらに別の例では、m/zビンをグループ分けすることは、少なくとも部分的に表現にパターン認識アルゴリズムを適用することによって実施される。
別の側面において、技術は、質量分析法において荷電状態を割り当てるためのシステムに関し、システムは、各イオン到着事象に関する検出器応答信号を発生させるように構成された検出器と、プロセッサと、命令を記憶しているメモリとを含み、命令は、プロセッサによって実行されると、検出器から、複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を含む、ことと、検出器応答信号に基づいて、イオン到着事象から発生させられた質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンに関する検出器応答プロファイルを発生させることと、m/zビンの検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、複数のグループにm/zビンをグループ分けすることと、m/zビンのグループに基づいて、1つ以上の特徴に荷電状態を割り当てることとを含む動作の組をシステムに実施させるように構成されている。例では、動作は、m/zビンのグループに基づいて単純化された質量スペクトルを発生させることをさらに含み、m/zビンのグループは、単純化された質量スペクトルにおいて示される。別の例では、m/zビンをグループ分けすることは、追加の分離ドメインデータにさらに基づく。さらに別の例では、追加の分離ドメインデータは、滞留時間、ドリフト時間、またはイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを含む。なおも別の例では、m/zビンをグループ分けすることは、主成分分析(PCA)、k平均クラスタリングアルゴリズム、または主成分変数グループ分け(PCVG)アルゴリズムを使用して実施される。
上記の側面の別の例では、システムは、イオン到着事象の表現を発生させることをさらに含み、表現は、m/z次元、検出器応答次元、およびイオン総数または確率次元を有する。例では、システムは、グループに関する信頼度スコアを発生させることをさらに含み、荷電状態を割り当てることは、信頼度スコアのうちの少なくとも1つにさらに基づく。
別の側面において、技術は、質量分析法において荷電状態を割り当てる方法に関し、方法は、複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を含む、ことと、検出器応答信号に基づいて、イオン到着事象から発生させられた質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンに関する検出器応答プロファイルを発生させることと、m/zビンの検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、複数のグループにm/zビンをグループ分けすることと、単一のイオン到着事象を表すm/zビンを識別することと、単一のイオン到着事象を有するとして識別されたm/zビンのグループに基づいて、1つ以上の特徴に荷電状態を割り当てることとを含む。例では、方法は、グループに関する信頼度スコアを発生させることをさらに含み、荷電状態を割り当てることは、信頼度スコアのうちの少なくとも1つにさらに基づく。別の例では、m/zビンをグループ分けすることは、滞留時間、ドリフト時間、またはイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを含む追加の分離ドメインデータにさらに基づく。さらに別の例では、単一のイオン到着事象を表すm/zビンを識別することは、m/zビンにおいて観察される検出事象の頻度に基づく。
別の側面において、技術は、質量分析法においてデータを分析する方法に関し、方法は、複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を備えている、ことと、検出器応答信号に基づいて、イオン到着事象から発生させられた少なくとも検出器応答プロファイルと質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンとから成るデータ表現を発生させることと、化合物識別および種識別のうちの少なくとも1つのために、データ表現を利用することとを含む。例では、化合物識別は、化合物定量化を含む。別の例では、化合物識別は、イオンの少なくとも1つの検出されたグループに電荷を割り当てることを含む。さらに別の例では、電荷を割り当てることは、検出器応答プロファイルに少なくとも部分的に基づく。なおも別の例では、方法はさらに、データ表現を単純化することを含む。
上記の側面の別の例では、単純化されたデータ表現は、少なくとも1つのより高いランク付けテンソルデータを含む。例では、データ表現を単純化することは、m/zドメインにおける1つ以上のスペクトルを発生させることを含む。別の例では、データ表現を単純化することは、質量ドメインにおける1つ以上のスペクトルを発生させることを含む。さらに別の例では、データ表現を単純化することは、検出器応答プロファイルに少なくとも部分的に基づく。なおも別の例では、データ表現を単純化することは、類似した検出器応答プロファイルを用いてm/zビンをグループ分けすることを含む。
上記の側面の別の例では、方法は、割り当てられた荷電状態に基づいてイオン到着事象に対応する質量を計算することをさらに含む。例では、データ表現を単純化することは、追加の分離ドメインデータに基づく。別の例では、追加の分離ドメインデータは、滞留時間、ドリフト時間、およびイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを含む。さらに別の例では、データ表現を単純化することは、少なくとも部分的に多変量分析を使用することによって実施される。なおも別の例では、データ表現を単純化することは、非負因子分解アルゴリズムを適用することによって、少なくとも部分的に基づいて実施される。
上記の側面の別の例では、多変量分析は、主成分分析(PCA)、k平均クラスタリングアルゴリズム、t-SNEアルゴリズム、および主成分変数グループ分け(PCVG)アルゴリズムのうちの少なくとも1つを含む。例では、データ表現を単純化することは、少なくとも部分的にパターン認識または機械学習を使用すること基づいて実施される。別の例では、データ表現を単純化することは、観察された検出器応答を所定の検出器応答分布のカタログに合致させるための統計的方法を使用して、少なくとも部分的に実施される。さらに別の例では、カタログは、先験的に発生させられる。なおも別の例では、カタログは、単純化されたデータ表現から発生させられる。
上記の側面の別の例では、化合物識別または種識別は、化合物ライブラリまたは種ライブラリを発生させ、アルゴリズムを用いて、化合物または種をライブラリと合致させることを含む。例では、検出システムは、電子増倍管ベースの検出システムまたは鏡像電荷ベースの検出システムのうちの1つである。
本概要は、発明を実施するための形態において、下でさらに説明される単純化された形態において、一連の概念を導入するために、提供される。本概要は、請求される主題の重要な特徴または性質的な特徴を識別するように意図されず、請求される主題の範囲を限定するために使用されるようにも、意図されない。例の追加の側面、特徴、および/または利益が、部分的に続く説明に部分的に記載され得、説明から明白であり得るか、または、本開示の実践によって学習され得る。
非限定的および非包括的例は、以下の図を参照して説明される。
図1Aは、質量分析法を実施するための例示的システムを描写する。
図1Bは、イオンパルスの例示的プロットを描写する。
図1Cは、イオンパルス強度に基づいて、異なる帯域またはチャネルに分離された例示的質量スペクトルを描写する。
図2は、鏡像電荷検出器によって測定された過渡時間ドメイン信号の例示的プロットを描写する。
図3は、鏡像電荷検出器を含む例示的システムを描写する。
図4は、重複特徴を伴う例示的スペクトルを描写する。
図5は、例示的パルス高さ分布のプロットを描写する。
図6は、m/zビンに分割される質量スペクトルの例を図示するプロットである。
図7は、例示的ヒートマップを描写する。
図8は、例示的検出器応答プロファイルを示すプロットである。
図9は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する例示的方法を描写する。
図10は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する例示的方法を描写する。
図11は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する例示的方法を描写する。
図12は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する例示的方法を描写する。
上で簡潔に議論されるように、検出されたイオンのピーク重複は、MS結果の分析に関して問題があり、類似した質量/電荷(m/z)を有するイオンに関して発生させられる質量信号を区別することは、質量分析法における困難な問題であり得る。化合物識別に関して、質量スペクトルが、通常、異なる化合物に対応するモノアイソトピック質量のリストに変換される。そのような質量を見出すために、以下の方略が、多くの場合、採用され、まず、質量スペクトルにおける各ピークが、ある荷電状態を伴う対応する同位体クラスタに割り当てられる。これに続いて、最も低いm/zピークが、各クラスタに関して見出され、それは、モノアイソトピック質量に対応するピークである。クラスタ電荷を把握すると、各クラスタのモノアイソトピックピークは、モノアイソトピック質量のゼロ電荷リストに変換され得、それは、次いで、質量スペクトルピークを化学化合物の結果であるとする後続アルゴリズムにおいて使用され得る。代替として、モノアイソトピックm/zの代わりに、同位体クラスタの平均m/zおよびその対応する荷電状態が、同様に使用され得る。方法は、同位体クラスタからのあるピークが検出限界を下回る場合、特に、モノアイソトピックm/zが検出限界を下回る場合、有利である。実際的には、質量スペクトルにおける特徴(同位体クラスタ)に対する正しい荷電状態割り当ては、化合物識別に向かった重要な段階であり得る。
従来的に、m/zドメインにおける電荷デコンボリューションアルゴリズムが、荷電状態識別のために使用される。しかしながら、互いに組み合わせられたピークおよびピーク重複を含む深刻なスペクトル重複が存在する場合、このアプローチは、困難である。これは、多くの場合、トップダウン分析スペクトル等の混合物の複合スペクトルまたは大量の生体高分子のプロダクトイオンスペクトルの場合である。図4は、従来的なアルゴリズムが誤差を生じやすい炭酸脱水酵素2(CA2)のECDトップダウンスペクトルにおける複数の重複特徴の例を図示する例示的プロットを描写する。
電子増倍管または鏡像電荷検出システムの両方に関する検出応答は、測定されたイオンの荷電状態に比例し得ることが認識されている(例えば、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる第720号特許における参考文献の議論参照)。したがって、理論上、荷電状態は、そのような強度の慎重な調査に基づいて、決定され得る。興味深いことに、荷電状態推定に関する現象を活用することは、殆ど試みられていない。これは、技術的に困難であるからである。
第1に、複数の入手からの検出事象が、従来的に、データを圧縮するために単一スペクトルの中にまとめられる。しかしながら、そのような圧縮は、各個々のイオン事象の検出器応答の任意のさらなる分析を妨げ、荷電状態を推測することを不可能にする。したがって、各イオン検出事象強度およびその質量スペクトル特徴(例えば、飛行時間または発振周波数)の完全な記録が、そのような分析のために好ましい。代替データ圧縮方略も、依然としてデータ圧縮を維持しながら、個々の検出器応答の一部の情報を保持するために利用され得る。例えば、各検出事象は、第’720公開において説明されるアプローチに類似した検出器応答帯域を形成する複数のスペクトルに共に追加され得る。
第2に、複数の共に検出されたイオンが、検出器応答を発生させ得、それは、各共に到着したイオンによって発生させられる検出器応答の実質的に合計である。したがって、検出された信号の検出器応答強度のみを使用して、イオンの荷電状態を推測することが、常時、可能なわけではない。一般に、十分に低いイオン束が、共に到着したイオンを伴う検出事象の数が最小化されるように、検出器応答を使用する荷電状態決定のために好ましい。
第3に、そのような方法における別の課題は、各特定のタイプのイオンに関する検出器応答分布が、広く、多くの場合、異なる種に関して重複することである。図5は、7+電荷を伴うイオンと比較した3+電荷を伴うイオンを検出するときの検出器応答分布の例を図示するプロット500である。図示されるように、3+電荷を伴うイオンに関するパルス高さ分布502は、7+電荷を伴うイオンに関するパルス高さ分布504と異なる。結果として、同じm/z(この例では、517のm/z値)のイオンに関する検出器によって観察されるような、パルス高さ分布は、広く、重複している。
そのような広範なパルス高さ分布は、同じm/zであるが異なる電荷のイオンを区別することにおける難点に起因して、検出器応答強度に基づく任意の従来的な荷電状態割り当てアプローチを劣ったものにする。
検出応答強度を使用する荷電状態の直接識別のための広い強度分布の問題が、認識され、鏡像電荷ベースの検出器を採用する質量分析計のために、それに対処するための方略が、殆ど提案されなかった。そのようなシステムでは、広い分布は、主に、測定中の残留中性分子との衝突に起因し得、それは、着目イオンのコヒーレント発振を抑え、その寄与を実際のイオン測定時間に依存させるその信号の検出を事実上停止する。したがって、入手中、イオンが衝突を経験したことに起因する検出事象をフィルタリングすることが、提案された(Kafader et. al. Anal. Chem. 2019,91,4,2776-2783)。しかしながら、このアプローチは、多くのイオンが廃棄されることにつながり、したがって、良好なイオン統計を取得するための時間を十分に増加させる。加えて、ベース圧力を低減させ、イオン速度を減少させるためのアプローチも、提案されているが、しかしながら、それらは、質量分析器特性に有害な影響を及ぼす。最後に、衝突の正確な時間を検出すること、故に、実際の検出時間に従って測定された信号強度を増減させることを行うための高度なデータ処理技法を採用することが提案された(Kafader et. al. J.Am. Soc. Mass. Spectrom. 2019,11,2200-2203)。
電子増倍管検出器を使用する質量分析計に関して、二次放出電子の平均数が、特定のm/zおよび電荷を伴う各イオンに関して良好に定義されるが、観察される応答の大きさを定義する放出された一次電子の正確な数は、確率的な数量である。二次放出収率と緩衝ガスとの衝突との両方が、ポアソン統計によって説明されるが、プロセスの基礎をなす物理学は、非常に異なる。したがって、鏡像電荷誘起検出器を採用する質量分析計に関する広い分布に対処することが提案される技法のいずれも、電子増倍管ベースの検出システムを用いた質量分析計に適用可能ではない。したがって、少なくともこの問題に対処するための技術の必要性が存在する。
多くの場合、検出器応答プロファイルは、荷電状態の正確な決定のために不十分であり得、検出器応答プロファイルは、異なる化合物から生じる信号を分離するために非常に有用であり得る。これは、正確な荷電状態情報が、m/zドメインにおいてエンコーディングされるという事実と組み合わせて、従来的な電荷決定アルゴリズムが、荷電状態決定のために検出器応答ドメインと結合される場合、実質的に改良された性能を可能にする。
重要なこととして、分離が質量分析法分析の最後のステップにおいて起こるので、この方法は、代替アプローチが機能しないであろういくつかの場合に適用可能であり得る。具体的に、液体クロマトグラフィ(LC)方法が、化合物の分離を提供し得る。しかしながら、それらは、同じ前駆体から生じるプロダクトイオンの分離に関して殆ど有益ではない一方、同じ前駆体からの断片化は、依然として、実質的に重複し得る。同様に、断片化(例えば、微分移動度分離)前に従来的に実施されるイオン移動度分離は、断片化分離後に設定するためのかなりの修正を要求する。
従来的な電荷決定アルゴリズムの性能を向上させるための1つのアプローチは、データをグループ分けに関して検出器応答プロファイルを活用することである。多くの場合、同じ化学化合物は、同位体クラスタを形成する複数の同位体を有し、それは、m/zドメインにおいて分解されることも、されないこともある。ある状況下のそれらの同位体の位置に対応するm/zビンは、類似した検出応答プロファイルを有し得る。例えば、検出器応答プロファイルは、少なくとも2つの条件が満足させられる場合、類似し得る。第1に、信号が、重複しない(すなわち、m/zビンは、複数の異なる種からの信号を含まない);第2に、それらの同位体からの信号を含む全てのm/zビンに関して、信号が、主に、単一のイオン到着条件の下で入手される。この類似性は、同じ化合物からの情報を含むm/zビンのグループ分けを可能にする(複数のチャネル間の信号を効果的に分割する)。これは、従来的なアルゴリズムによって、後続電荷検出分析のための実質的に単純化されたスペクトルをもたらす。電荷検出の代わりに、そのような単純化されたスペクトルは、直接スペクトル合致、または、電荷検出ステップを実施しない化合物または種の他のアルゴリズム識別に使用され得る。例えば、種は、微生物であり得、対応するデータは、MSおよびMS/MS(タンデムMS)体系において発生させられ得る。いくつかの例では、単純化された化合物または種スペクトルのライブラリが、該直接スペクトル合致に関して、発生させられ、使用され得る。
図1Aは、質量分析法技法を実施するための例示的質量分析システム100を描写する。いくつかの例では、システム100は、質量分析計であり得る。例示的システム100は、イオン源デバイス101と、解離デバイス102と、質量分析器103と、検出器104と、プロセッサ105およびメモリ106等のコンピューティング要素とを含む。イオン源デバイス101は、例えば、電気スプレーイオン源(ESI)デバイスであり得る。イオン源デバイス101は、質量分析計の一部として示される、または別個のデバイスであり得る。解離デバイス102は、例えば、電子ベースの解離(ExD)デバイスまたは衝突誘起解離(CID)デバイスであり得る。電子ベースの解離(ExD)、紫外光解離(UVPD)、赤外光解離(IRMPD)、および衝突誘起解離(CID)は、多くの場合、タンデム質量分析法(MS/MS)に関する断片化技法として使用される。ExDは、限定ではないが、電子捕獲解離(ECD)または電子伝達解離(ETD)を含むことができる。CIDは、タンデム質量分析計における解離のための最も従来的な技法である。上で説明されるように、トップダウンおよびミドルダウンプロテオミクスでは、無傷または消化型タンパク質が、イオン化され、タンデム質量分析法を受ける。例えば、ECDは、優先的に、ペプチドおよびタンパク質骨格を解離させる解離技法である。結果として、この技法は、トップダウンおよびミドルダウンプロテオミクスアプローチを使用して、ペプチドまたはタンパク質配列を分析するための理想的ツールである。
質量分析器103は、飛行時間(TOF)、イオントラップ、または四重極質量分析器等の所望の技法のために使用される任意のタイプの質量分析器であることができる。検出器104は、本明細書で議論されるイオンの検出および信号を発生させるための適切な検出器であり得る。例えば、検出器104は、アナログ/デジタル変換(ADC)回路を含み得る電子増倍管検出器を含み得る。検出器104は、検出されたイオンに関する検出パルスを生産し得る。検出器104は、鏡像電荷誘起検出器でもあり得る。
プロセッサ105およびメモリ106等のシステム100のコンピューティング要素は、質量分析計自体に含まれ得るか、質量分析計に隣接して位置し得るか、または質量分析計から遠隔に位置し得る。一般に、システムのコンピューティング要素は、コンピューティング要素が、検出器104から発生させられる信号を受信することが可能であるように、検出器104と電子通信し得る。プロセッサ105は、複数のプロセッサを含み得、信号を処理し、本明細書で議論される結果を発生させるために、任意のタイプの好適な処理構成要素を含み得る。正確な構成に応じて、メモリ106(とりわけ、本明細書に開示される動作を実施するように、質量分析プログラムおよび命令を記憶する)は、揮発性(RAM等)、不揮発性(ROM、フラッシュメモリ等)、またはその2つのある組み合わせであることができる。他のコンピューティング要素も、システム100に含まれ得る。例えば、システム100は、限定ではないが、固体デバイス、磁気または光ディスク、またはテープを含む記憶デバイス(リムーバブルおよび/または非リムーバブル)を含み得る。システム100は、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ペン、音声入力等の入力デバイス等、および/またはディスプレイ、スピーカ、プリンタ等の出力デバイス等も有し得る。ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、2地点間、Bluetooth(登録商標)、RF等の1つ以上の通信接続等も、システム100に組み込まれ得る。
図1Bは、電子増倍管検出器等の検出器から発生させられるイオンパルスの例示的プロット110を描写する。y-軸が、強度を表し、x-軸が、時間を表す。強度は、電圧の単位であり得る。例えば、電子増倍管検出器に関して、検出器の出力は、検出された電子に基づく電圧(多くの場合、ミリボルト(mV)で表される)であり得る。
図1Bでは、3つのパルス、すなわち、第1のパルス111と、第2のパルス112と、第3のパルス113とが、描写される。パルス111-113の各々は、検出器に到着する、異なる単一イオンを表す。パルス111-113は、デジタル化され得、ピークが、各デジタル化されたパルスから見出され得る。強度(またはピーク高さ)および到着時間対が、各パルスに関して計算され、記憶され得る。長方形131、132、および133は、それぞれのパルスの強度またはパルス高さを表す。
パルスの各々は、パルス特性によって特徴付けられ得る。パルス特性は、パルス高さ、パルス幅、および/またはパルスの曲線の下の面積等の特性を含み得る。各パルスのパルス高さは、長方形131、132、および132によって示される。パルス高さは、それぞれのパルスに関する最大パルス高さであり得、パルス高さは、電圧の単位を有し得る。パルス幅は、パルスの任意の点におけるものあり得るが、パルス幅の1つの尺度は、半値全幅(FWHM)であり得る。パルス幅は、時間の単位を有し得る。パルス曲線下の面積は、各パルスに関するそれぞれのパルス信号下の面積を積分することによって、発生させられ得る。
パルス特性は、検出されたイオンを異なる帯域に分離するために、使用され得る。図1Cは、イオンパルス特性、具体的に、最大パルス高さに基づいて、異なる帯域またはチャネルに分離された例示的質量スペクトル150を描写する。第1の質量スペクトル160が、10~20mVの最大パルス高さを有する検出されたイオンに関して発生させられる。第2の質量スペクトル170が、20~30mVの最大パルス高さを有する検出されたイオンに関して発生させられる。第3の質量スペクトル180が、20~30mVの最大パルス高さを有する検出されたイオンに関して発生させられる。そのような分離およびバンディングに関する追加の詳細が、第’720公開でさらに議論される。上で議論されるように、異なる帯域にイオンを分離することは、利益を有するが、分離は、特定のイオンの荷電状態の識別を可能にしない。本明細書でさらに議論されるように、パルス特性は、m/zビンのグループ分け、最終的には電荷分類を可能にする検出器応答プロファイルを発生させるために、利用され得る。
図2は、鏡像電荷検出器によって測定された過渡時間ドメイン信号の例示的プロット200を描写し、過渡時間ドメイン信号は、質量分析器において振動する複数のイオンの各々からの構成要素を含む。個々の構成要素に、鏡像電荷検出器によって測定された過渡時間ドメイン信号を分解するために、過渡時間ドメイン信号は、周波数ドメイン信号に変換される。変換方法は、限定ではないが、フーリエ変換またはウェーブレット変換を含む。周波数ドメイン信号におけるピークが、質量分析器において振動する複数のイオンの個々のイオンに対応する。周波数ドメインピークが、質量スペクトルを生成するための特定のタイプの質量分析器に依存する周知の式を使用して、m/zピークに変換される。
鏡像電荷検出器に関して、したがって、周波数ドメイン信号またはピークの強度は、上で説明されたパルスが荷電状態に比例する方法に関して類似して、基礎となるイオンの荷電状態に比例する。したがって、周波数ドメイン(FD)ピークの強度または他の特性は、上で議論されるパルス特性分布に類似した分布を発生させるために、使用され得る。FDピークの特性から発生させられる分布は、FDピーク特性分布と称され得るか、または、FDピークの強度が着目特性として使用される場合、FDピーク強度分布と称され得る。FDピーク特性分布は、次いで、荷電状態を決定するために、パルス特性分布と実質的に同じ様式で使用され得る。
図3は、鏡像電荷検出器318を含む例示的システム300を描写する。図3のシステムは、質量分析計310と、メモリおよびプロセッサ320を含むコンピューティング構成要素とを含む。プロセッサ320およびメモリ等のシステムのコンピューティング要素は、質量分析計自体に含まれ得るか、質量分析計に隣接して位置し得るか、または質量分析計から遠隔に位置し得る。一般に、システムのコンピューティング要素は、コンピューティング要素が、検出器318から発生させられる信号を受信することが可能であるように、検出器318と電子通信し得る。プロセッサ320は、複数のプロセッサを含み得、信号を処理し、本明細書で議論される結果を発生させるために、任意のタイプの好適な処理構成要素を含み得る。
質量分析計310は、質量分析器317を含む。質量分析器317は、鏡像電荷検出器318を含む。鏡像電荷検出器318は、検出されたイオンに関して、イオン荷電状態に比例する振幅を伴う発振信号または過渡時間ドメイン信号を生成する。質量分析器317は、限定ではないが、静電線形イオントラップ(ELIT)、FT-ICR、またはオービトラップ質量分析器を含む鏡像電荷検出器を使用してイオンを検出し得る任意のタイプの質量分析器であることができる。質量分析器317は、ELITとして図3に示され、鏡像電荷検出器318は、ELITのピックアップ電極として示される。
質量分析器317は、質量分析器317における複数のイオンの振動によって、鏡像電荷検出器318上で誘起される過渡時間ドメイン信号319を検出する。複数のイオンは、質量分析計310によって、質量分析器317に伝送される。プロセッサ320は、過渡時間ドメイン信号319を複数の周波数ドメインパルスまたはピーク321に変換する。各周波数ドメイン信号は、複数のイオンのイオンに対応する。プロセッサ320は、例えば、フーリエ変換を使用して、過渡時間ドメイン信号319を複数の周波数ドメインピーク321に変換する。
プロセッサ320は、複数の周波数ドメインピーク321のうちの各周波数ドメインピークの強度を2つ以上の異なる荷電状態範囲に対応する2つ以上の異なる所定の強度範囲と比較し得る。プロセッサ320は、比較に基づいて、各周波数ドメインピークを2つ以上の所定の強度範囲に対応する2つ以上のデータセット1322のうちの1つの中に記憶し得る。質量スペクトル1623が、次いで、データセット322から発生させられ得る。プロセッサ320は、本明細書で議論される周波数ドメインピークおよび/または識別された荷電状態に基づいて、質量スペクトルを作成し得る。
種々の実施形態では、プロセッサ320は、過渡時間ドメイン信号319を複数の周波数ドメインピーク321に変換し、各周波数ドメインピークの強度を2つ以上の異なる所定の強度範囲と比較し、入手中、各周波数ドメインピークを2つ以上のデータセット322のうちの1つに記憶する。代替実施形態では、プロセッサ320は、過渡時間ドメイン信号319を複数の周波数ドメインピーク321に変換し、各周波数ドメインピークの強度を2つ以上の異なる所定の強度範囲と比較し、入手後、各周波数ドメインピークを2つ以上のデータセット322のうちの1つに記憶する。
上で説明されるように、同じイオンの複数のコピーが、同時に質量分析器317において振動する場合、測定された強度は、荷電状態に比例しないこともある。結果として、種々の実施形態では、質量分析計310は、質量分析器317が、任意の所与の時間において、特定のm/zおよび荷電状態の単一イオンのみを含むように、質量分析器317にイオンを伝送させる。
種々の実施形態では、図3のシステムは、イオン源デバイス311をさらに含む。イオン源デバイス311は、例えば、電気スプレーイオン源(ESI)デバイスであることができる。イオン源デバイス311は、図3において質量分析計310の一部として示されるが、別個のデバイスであることもできる。加えて、質量分析計310はさらに、解離デバイスを含む。解離デバイスは、限定ではないが、ExDデバイス315またはCIDデバイス316であることができる。解離デバイスが、例えば、トップダウンタンパク質分析に関して使用されることができる。
トップダウンタンパク質分析では、イオン源デバイス311は、サンプルのタンパク質をイオン化し、イオンビームにおけるタンパク質に関する複数の前駆体イオンを生成する。解離デバイスは、イオンビームにおける複数の前駆体イオンを解離させ、イオンビームにおける異なる荷電状態を伴う複数のプロダクトイオンを生成する。質量分析計310は、上で説明されるように、複数のプロダクトイオンが質量分析計310によって質量分析器317に伝送される複数のイオンであるように、質量分析器317に複数のプロダクトイオンを伝送する。
種々の実施形態では、プロセッサ320は、イオン源デバイス311および質量分析計310への命令を制御または提供するために、かつ収集されるデータを分析するために、使用される。プロセッサ320は、例えば、1つ以上の電圧、電流、または圧力源(図示せず)を制御する、または制御することによって、命令を提供する。
図4は、炭酸脱水酵素2(CA2)のECDトップダウンスペクトルにおける複数の重複特徴の例を図示する例示的プロットを描写する。図5は、例示的パルス特性分布のプロット500を描写する。パルス特性分布は、図4においてスペクトルを発生させるために実施される、分析に基づく。プロット500におけるパルス特性分布は、パルス高さの特性に基づく。故に、パルス特性分布は、パルス高さ分布または強度分布と称され得る。プロットでは、x-軸が、パルス高さを表し、y軸が、検出の確率または頻度を示す。例えば、より高い確率値は、対応するパルス高さを有するイオンが、より頻繁に検出されたことを示す。
第1のパルス特性分布502および第2のパルス特性分布504が、プロット500において描写される。プロット500から分かるように、パルス特性分布は、重複するが、第1のパルス特性分布502は、第2のパルス特性分布504のプロファイルと異なるプロファイルを有する。プロファイル形状における差異は、主に、それぞれのパルス高さ分布を形成する検出されたイオンの荷電状態における差異に起因する。例えば、第1のパルス特性分布502を形成する検出されたイオンは、3+電荷イオンに対応し、第2のパルス特性分布504を形成する検出されたイオンは、7+荷電イオンに対応する。故に、種々のパルス高さ分布が確立または発生させられると、対応するイオンパルスが適合するパルス高さ分布プロファイルを決定することによって、任意の単一検出されたイオンの荷電状態を決定することが可能であり得る。パルス特性分布は、検出器応答プロファイルであると見なされ得る。
ある追加の詳細として、パルス特性分布502、504は、約517の非常に類似したm/z値を有するプロダクトイオンに関して発生させられた。プロダクトイオンは、図4において描写されるスペクトル等の炭酸脱水酵素2(CA2)のトップダウンECD分析から発生させられた。上で議論されるように、プロット500から分かり得るように、異なる荷電状態から生じるパルス高さ分布は、かなり重複し得る。そのような重複の場合、単一強度データ点は、不十分であり、単一強度データ点に基づく任意の荷電状態決定は、正しくないかなりの機会を有するであろう。
上で議論されるように、従来的な電荷決定アルゴリズムの性能を向上させるための1つのアプローチは、データをグループ分けするためのパルス特性分布を活用することである。多くの場合、同じ化学化合物は、同位体クラスタを形成する複数の同位体を有し、それらは、m/zドメインにおいて分解されることも、されないこともある。ある状況下のそれらの同位体の位置に対応するm/zビンは、類似した検出応答プロファイルを有する。この類似性は、同じ化合物からの情報を含むm/zビンのグループ分けを可能にする(複数のチャネル間の信号を効果的に分割する)。これは、従来的なアルゴリズムによる後続電荷検出分析のための実質的に単純化されたスペクトルをもたらす。
図6は、m/z「ビン」に分割された質量スペクトルの例を図示するプロット600である。各m/z「ビン」は、m/z範囲を表し、質量スペクトルの一部(例えば、m/z範囲内のイオンに関するイオン総数)を含む。種々のm/zビンが、次いで、上で議論されるパルス特性分布等のその検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、グループ分けされる。そのような様式においてm/zビンをグループ分けすることによって、実質的に単純化されたスペクトルが、各グループに関して形成され得る。これらのグループ分けされたスペクトルは、異なる色(例えば、「赤色」、「黒色」、「濃い青色」、「明るい青色」)としてスペクトルにおいて示されるか、または、他の様式またはフォーマットにおいて区別され得る。他の例では、グループ分けされたビンの各々に関する別個のスペクトルが、発生、表示、および/または分析され得る。
描写される例示的プロット600では、m/zビン602の第1のグループと、m/zビン604の第2のグループと、m/zビン606の第3のグループと、m/zビン606の第4のグループとを含む4つの別個のグループが、ハイライトされる。グループ毎の対応する検出器応答プロファイルも、m/zビンの関連付けられたグループに、検出器応答プロファイルを接続する矢印を用いて、示される。例えば、第1の組の検出器応答プロファイル612が、第1のグループ602に対応するものとして示される。m/zビン602のこの第1のグループは、(第1の組の検出器応答プロファイル612に示されるような)類似した検出器応答プロファイルを共有し、したがって、一緒にグループ分けされた。同様に、他の組の検出器応答プロファイル614-618も、m/zビンのそれぞれのグループに対応するものとして描写される。
質量分析法システムが、追加の分離ドメイン(例えば、LC分離のための滞留時間、ドリフト時間、イオン移動度ドメインに関する補償電圧等)を含む場合、分離ドメインのうちの1つ以上も、信号をグループ分けするために、単独で、または組み合わせて、使用され得る。いくつかの側面において、分離ドメインの組み合わせが、複数の特定のサブグループに信号をグループ分けするために、利用され得る。例えば、m/zビングループは、まず、検出器応答プロファイルに基づき、次いで、そのような追加の分離ドメインデータに基づいて、さらにサブグループ分けされ得る。他の例では、m/zビングループは、まず、追加の分離ドメインデータに基づき、次いで、検出器応答プロファイルに基づいて、サブグループ分けされ得る。他の例では、m/zグループ分けは、検出器応答プロファイルおよび追加の分離ドメインデータの両方の類似性に基づき得る。
m/zビンのグループ分けは、例えば、当技術分野において公知の主成分分析(PCA)、k平均クラスタリング、t分散型確率的近傍埋め込み(t-SNE)、または他の既知のグループ分けアルゴリズム等の種々の多変量分析アルゴリズムによって実施され得る。描写される例では、主成分変数グループ分け(PCVG)アルゴリズムが、m/zビンをグループ分けするために使用された。
互いに異なるm/zビンをグループ分けまたは互いに関係付けるための検出器応答プロファイルの使用も、異なる様式において、異なる表現を通して行われ得る。例えば、図7は、例示的ヒートマップを描写し、ヒートマップは、x-軸上のm/z、y軸上の検出器応答、およびヒートマップにおける色の強度として、対応する検出器応答のイオン総数または確率を表す。例えば、色がより濃いほど、対応するm/z位置および検出器応答位置において数えられるイオンは、より多くなる。検出器応答軸は、利用される検出器応答プロファイルのタイプに対応する単位を有し得る。例えば、検出器応答軸は、パルス高さを表し得る。
3つの量を表すことが可能な可視化または表現(例えば、深度軸として、確率またはイオン総数を伴う3次元プロット等)も、利用され得る。例えば、表現は、検出器応答の第1の次元と、m/z位置の第2の次元と、確率またはイオン総数の第3の次元とを有する。
そのような可視化または表現を発生させることによって、検出器応答プロファイルデータおよびm/z位置情報が、単一アルゴリズムにおいて処理され得る。例えば、これらのデータ表現は、を受け得、種々のパターン認識アルゴリズムは、パターンが分類されることおよび/または検出されることを可能にし得る。これらのパターン認識アルゴリズムは、例えば、機械学習アルゴリズムまたは画像認識アルゴリズムであり得る。
いくつかの実施形態では、追加のステップが、実施され得、追加のステップは、例えば、良好に特性評価された化合物を使用して、検出器応答プロファイルのライブラリおよびそれらの関連付けられた荷電状態を発生させることを含み得る。ライブラリは、いくつかの機器に適用可能な汎用ライブラリであるか、または代替として、ライブラリは、特定の機器に関して発生させられるカスタムライブラリであり得る。基準テンプレートまたは検出器応答分布を提供する、良好に特性評価された化合物の各々に関する検出器応答プロファイルおよび関連付けられた荷電状態のライブラリは、記憶され、次いで、後続分析における比較のために後にアクセスされ得る。例えば、後続分析では、捕捉された検出器応答プロファイルは、検出器応答プロファイルのライブラリ内の記憶された検出器応答プロファイルと比較され、対応する記憶された検出器応答プロファイルを識別し、それによって、捕捉された検出器応答プロファイルに関して関連付けられた荷電状態を識別する。
随意に、化合物のm/z位置が、着目化合物に関連付けられた検出器応答プロファイルおよび関連付けられた荷電状態のライブラリ内に記憶され得る。本実施形態では、荷電状態割り当てのステップが、着目化合物のために捕捉された捕捉質量分析データから発生させられた捕捉された検出器応答プロファイルと、その化合物に関連付けられたライブラリにおける記憶された検出器応答プロファイルとの間の類似性に基づいて、実施される。1つ以上のm/zビンを定義するm/z位置は、化合物に関する対応する1つ以上の隣接する荷電状態に起因する。後続ステップでは、定義された1つ以上のm/zビンは、次いで、後続分析のために捕捉された質量分析データから共に抽出され得る。検出器応答のそのようなライブラリは、検出器応答のカタログと同義的に呼ばれ得る。
ある場合において、単一m/zビンが検出器に到達する複数の異なる種に由来する信号を含む場合、重複特徴は、互いに組み合わせられたピークのみならず、重複ピークも有する。ある場合、そのような信号は、それらの重複特徴に正確に起因し得る。実際、共に検出される事象が存在しない場合、総信号は、異なる種から生じるそれぞれの寄与の合計であり、したがって、例えば、分解技法の中でもとりわけ、非負最小二乗法(NNLS)アルゴリズム等の従来的な線形代数アルゴリズムを使用して、個々の寄与に分解され得る。単一種から生じ、単一のイオン到着条件の下で記録した検出器応答プロファイルを基本の検出器応答プロファイルと呼ぶことが便宜である。いくつかの側面において、複数の検出器応答プロファイルが、捕捉され得る。複数の検出器応答プロファイルの各々は、それ自体の基本の検出器応答プロファイルまたは基本の検出器応答プロファイルの関連付けられた組み合わせに対応する。いずれの場合も、重複ピークに対応する各検出応答プロファイルは、その基本の検出器応答プロファイルに分解され得る。
単一のイオン到着の条件が、全てのイオンに関して満足させられないであろう場合、同じタイプのイオンからの信号を含むm/zビンは、その事象時に到着したイオンの数に応じて、異なる検出器応答分布を有するであろう到着事象が存在する。実際、検出器上で事実上まとめられ、同時に到着する複数のイオンを有する信号は、検出器応答分布の強度の右方シフトにつながるであろう。
図8は、入手サイクルに対して異なる率で到着する同じイオンタイプに応答した例示的検出器応答プロファイル(例えば、分布)を示すプロットである。図8の例では、イオン送達率は、TOFプッシュあたり平均数=0.2イオン(主に、各入手サイクルに対して単一のイオン到着)と、プッシュあたり平均数=6イオン(主に、各入手サイクルに対して多重イオン到着)とに対応する。第1の検出器応答プロファイル(例えば、分布)802は、主に、単一のイオン到着を伴うより低いイオン送達率に対応し、第2の検出器応答プロファイル(例えば、分布)804は、主に、多重イオン到着を伴うより高いイオン送達率に対応する。
示されるように、多重イオン到着は、そのようなイオンの効率的グループ分けを妨げ得る。ある場合、入手されたタイプのイオン毎に単一のイオン到着の条件を満足することは、難しい。これは、特に、異なるイオン種の総数において大きな相違が存在する場合、問題である。この場合、多量のイオンに関する単一のイオン到着の条件を満足しながら少量のイオンに関する十分な統計を伴うデータを入手するために、非常に長い入手時間が、要求されるであろう。したがって、イオン到着に関するある数の多重度に寛容であり得る方略を有することが望ましい。
重要なこととして、単一のイオン到着と多重イオン到着とは、m/zビンにおける観察される検出事象の頻度の単純な検査によって区別されることができる。このプロセスは、ポアソン分布を使用して、特定のm/zビンに関する「無検出」発生の単純計算を用いて、モデル化され得、同じビンにおける各イオン多重度の頻度を計算することが可能である。そのような頻度は、次いで、グループ分けアルゴリズムへの入力として使用され、同じグループのイオンに異なる多重度を伴うイオンを割り当てることに役立ち得る。より高い多重度における重複特徴の場合、ベイジアン構造または他の好適な技法を使用して、分解され得る。構築ブロックに基づいて、m/zと検出器応答ドメインを組み合わせ、荷電状態決定問題に対処する、いくつかの異なる実施形態が、可能である。
図9は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する例示的方法900である。図9の例示的方法900の動作902では、データが、(各検出事象についての情報を保持する)未加工モードにおいて入手された。例えば、検出器からのパルス特性または周波数ドメイン情報が、検出器応答プロファイルが発生させられ得るように、保持されている。例として、未加工データは、複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号として受信され得る。その検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられる個々のイオン応答(例えば、パルス)に関連する情報を含む。動作904では、データは、組み合わせられ、図1Cに関して上記に図示および議論され、第720’公開において説明されるようなバンデッドスペクトル(banded spectra)等の検出器応答帯域およびスペクトルを形成し得る。動作902および904は、データ入手中、組み合わせられ、実施され得る。いくつかの例では、動作904は、省略され、非バンデッドスペクトルが、使用され得る。
動作902および904に続いて、(非ゼロイオン総数を伴う)各m/zビンが、動作906において、その検出器応答プロファイルに従って、グループ分けされる。m/zビンのグループ分けは、類似した検出器応答プロファイルを有するm/zビンのリストを発生させることを含み得る。このステップは、例えば、入力としてm/zビンに関する検出器応答プロファイルを受信するPCAまたはK近傍アルゴリズム等のグループ分けアルゴリズムを使用して、実施され得る。m/zビンのグループ分けは、図7のヒートマップ等の表現または図7に関連して議論される他のタイプの表現にパターン認識アルゴリズムを適用することにも基づき得る。そのようなパターン認識アルゴリズムは、例えば、機械学習アルゴリズムまたは画像認識アルゴリズムを含み得る。上で議論されるように、グループ分け動作は、m/zビンにおける検出事象/イオンに関連付けられた追加の分離ドメインデータ(例えば、LC分離のための滞留時間、ドリフト時間、イオン移動度ドメインに関する補償電圧等)にも基づき得る。
動作906は、m/zビンの各々に関する検出器応答プロファイルを発生させることも含み得る。検出器応答プロファイルを発生させることは、各検出事象に関して受信されるパルス特性(または周波数ドメイン特性)に基づいて、入手中、発生させられ得る。したがって、いくつかの例では、各パルス特性は、各検出されたイオンに対応するものとして記憶される必要はない。むしろ、検出器応答(例えば、パルス特性)は、m/zビンに関する検出器応答プロファイルの作成を可能にするように、m/zビンに関連付けられたものとして記憶される。
動作906において発生させられるm/zビンのリストおよび/またはグループ分けに基づいて、実質的に単純化された質量スペクトルが、形成され得る。複数の単純化された質量スペクトルは、グループに基づいて、発生させられ得る。例えば、m/zビンの各グループまたはリストに関する異なるスペクトルが、発生させられ得る。単純化されたスペクトルおよび/またはスペクトルは、次いで、動作908においてm/zドメインに適用され得る荷電状態割り当てアルゴリズムを受けさせられ得る。この動作は、当業者によって理解されるであろうように、m/z空間において電荷デコンボリューションアルゴリズムを使用して、実施され得る。荷電状態割り当てアルゴリズムの適用は、特定のグループのm/zビンによって形成される、特徴の荷電状態の割り当てをもたらす。例えば、m/zビンの各グループ分けは、荷電状態を割り当てられ得る。随意に、この特徴(例えば、m/zビンの対応するグループによって形成される信号)を表す信号は、ゼロ電荷信号に変換され(例えば、割り当てられた電荷をm/z値によって乗算する)、動作908の一部として、質量スペクトルを形成するために、共に追加され得る。荷電状態が識別されることで、特定の検体および/または特定の検体の量が、結果として生じる質量スペクトルからより正確に決定され得る。
図10は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する別の例示的方法1000である。図10の例示的方法1000では、動作1002-1006が、図9において描写され、上で説明される方法900の動作902-906に類似している。方法1000における動作1008は、または動作1006において発生させられたグループまたはリストに対する信頼度スコアを決定する動作、またはそれに信頼度スコアを割り当てる動作を追加する。信頼度スコアは、グループ分け品質の採点であり得、それは、あるグループまたは複数のグループに対するm/zビンの類似性の定量的度を表す。例えば、1つのm/zビンの検出器応答プロファイルは、他のm/zビンのいくつかの他の検出器応答プロファイルに部分的に合致し得る。しかしながら、グループ分けは、最終的に、部分的マップの最良合致に基づく。その合致の強度は、信頼度スコアによって表され得る。動作1006において発生させられるグループ分け/リストおよび動作1008において発生させられる信頼度採点出力は、次いで、図9の方法900における動作908に類似した動作1010において、m/z空間/ドメインにおける荷電状態決定アルゴリズムに対する入力として使用され得る。いくつかの例では、荷電状態決定アルゴリズムは、例えば、動作1008において発生させられる追加の信頼度スコアから利益を得るUniDecアルゴリズム(Marty et. al Anal. Chem. 2015,87,8,4370-4376)等のベイジアン構造に基づき得る。
図11は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する別の例示的方法1100である。図11の例示的方法1100では、動作1102-1106は、図9において描写され、上で説明される方法900の動作902-906に類似している。動作1108では、基本の検出器応答プロファイルに起因する信号を伴うm/zビンが、識別される。これのための一例示的方法は、少なくとも2つの同位体が属する完全または部分的同位体クラスタと似ていることに関して、各グループに含まれるm/zビンを検査することである。該グループ内のそれらのm/zビンからの対応する検出器応答は、基本的検出器応答に起因する。
動作1110では、重複検出器応答プロファイルを伴うm/zビンが、見出される(または識別される)。この動作は、動作1108において識別されない全ての非ゼロm/zビンを識別することによって、完了され得る。重複検出器応答プロファイルを伴うこれらの識別されたm/zビンは、重複信号に起因し得る。動作1112では、動作1110において識別されたm/zビンの各々に関する重複信号は、非負最小二乗法(NNLS)アルゴリズム等の既知のアルゴリズムを使用して、基本の信号に分解される。動作1114では、m/zビンのグループ/リストは、動作1112において発生させられる分解された信号を使用して、完了された。例えば、分解された基本の信号の一部が、次いで、グループ分けされ/リストにされ、それによって、各寄与する検出器応答プロファイルからの対応する信号(例えば、イオン総数)量は、正しいグループに追加される。動作1116では、m/zビンのグループ/リストは、上で議論される動作に類似したm/zドメインにおける荷電状態割り当てアルゴリズムを受けさせられる。例えば、識別は、例えば、同位体クラスタを形成するピークの相対的距離に基づき得る。
図12は、検出器応答プロファイルを使用する荷電状態割り当てに関する別の例示的方法1200である。図12の例示的方法1200では、動作1202-1206は、図9において描写され、上で説明される、方法900の動作902-906に類似している。動作1208では、グループ/リストが単一のイオン到着を表すかどうかに関する決定が、行われる。例えば、単一のイオン到着事象を表すm/zビンのグループが、識別され得る。そのような決定または識別は、対応する検出器応答プロファイルの特性を分析し、検出器応答プロファイルが、単一到着事象(例えば、図8における検出器応答プロファイル802)により類似した特性を有するか、多重イオン到着(例えば、図8における検出器応答プロファイル804)により類似した特性を有するかを決定することによって、行なわれ得る。単一のイオン到着および多重イオン到着は、m/zビンにおいて観察される検出事象の頻度の単純な検査によっても区別される。このプロセスは、ポアソン分布を使用して、特定のm/zビンに関する「無検出」発生の単純計算を用いて、モデル化され得、同じビンにおける各イオン多重度に関する頻度を計算することが、可能である。そのような頻度は、次いで、グループ分けアルゴリズムへの入力として使用され、同じグループのイオンに、異なる多重度を伴うイオンを割り当てることに役立ち得る。
動作1210では、グループ分けされたm/zビンが、イオン検出事象の多重度に基づいて、フィルタリングまたはさらにグループ分けされ得る。例えば、単一イオン事象を伴うm/zビンは、単一イオン事象カテゴリ内に保持またはフィルタリングされ得る。多重イオン事象を伴うm/zビンは、次いで、多重イオン事象カテゴリの中に除去またはフィルタリングされ得る。着目すべきこととして、多重イオン事象を伴うm/zビンは、初めに、それらのそれぞれの検出器応答プロファイルが、多重イオン事象を有する他のm/zビンの検出器応答プロファイルに最も密接に合致するので、一緒にグループ分けされ得る。
いくつかの例では、多重イオン事象を有するm/zビンに関して、基本の検出器応答プロファイル(例えば、単一イオン条件が生じた場合、検出器応答プロファイル)が、発生またはシミュレートされ得る。基本の応答プロファイルのそのような生成は、多重イオン応答プロファイルとの相関を記憶している記憶されたライブラリまたはデータベースに由来し得る。他の技法も、基本の応答プロファイルを発生させるために、実施され得る。その発生させられた基本の応答プロファイルは、次いで、m/zビンのグループ分け/リスト化のために使用され得る。したがって、多重イオン事象を有するm/zビンからの寄与が、依然として、単一-イオン事象を有するm/zビンと共に使用され得る。
動作1212-1218は、次いで、上で議論される図11の方法1100の動作1110-1116に類似している。より高い多重度における重複特徴の場合、ベイジアン構造または他の好適な技法を使用して、分解され得る。
(本明細書に説明される動作の中でもとりわけ)図9-12における上記の方法の動作は、図1-3におけるシステム等の本明細書で議論されるシステムおよび/またはシステムコンポーネントを実施し得る。例えば、動作は、メモリ内に記憶される命令に従って、1つ以上のプロセッサによって実施され得る。
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることは、意図されない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。
例えば、本開示の側面は、本開示の側面に従って、方法、システム、およびコンピュータプログラム製品のブロック図および/または動作的例証を参照して、上で説明される。ブロックに言及される機能/作用は、任意のフローチャートに示されるような順序以外で生じてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックが、実際、実質的に並行して実行され得るまたはブロックが、時として、関わる機能性/作用に応じて、逆の順序で実行され得る。さらに、本明細書および請求項で使用されるように、語句「要素A、要素B、または要素Cのうちの少なくとも1つ」は、要素A、要素B、要素C、要素AおよびB、要素AおよびC、要素BおよびC、および要素A、B、およびCのいずれかを伝達するように意図される。
本願に提供される1つ以上の側面の概要および例証は、請求される本開示の範囲をいかようにも限定または制限するように意図されない。本願に提供される側面、例、および詳細は、所有権を伝達し、他者が最良形態の請求される開示を作製および使用することを可能にするために十分であると見なされる。請求される開示は、本願に提供される任意の側面、例、または詳細に限定されるものとして解釈されるべきではない。組み合わせて、または別個に、図示および説明されるかどうかにかかわらず、種々の特徴(構造的および方法論的の両方)は、特定の組の特徴を伴う実施形態を生成するように、選択的に含まれる、または省略されるように意図される。本願の概要および例証を前提として、当業者は、より広い範囲の請求される開示から逸脱しない、本願で具現化されるより広い側面の一般的な本発明の概念の精神内に該当する、変形例、修正、および代替側面を想定し得る。

Claims (42)

  1. 質量分析法において荷電状態を割り当てる方法であって、前記方法は、
    複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、前記検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を備えている、ことと、
    前記検出器応答信号に基づいて、前記イオン到着事象から発生させられた質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンに関する検出器応答プロファイルを発生させることと、
    前記m/zビンの前記検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、前記m/zビンを複数のグループにグループ分けすることと、
    前記m/zビンのグループに基づいて、1つ以上の特徴に荷電状態を割り当てることと
    を含む、方法。
  2. 前記m/zビンのグループに基づいて単純化された質量スペクトルを発生させることをさらに含み、前記m/zビンのグループは、前記単純化された質量スペクトルにおいて示される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記割り当てられた荷電状態に基づいて前記イオン到着事象に対応する質量を計算することをさらに含む、請求項1-2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記m/zビンをグループ分けすることは、追加の分離ドメインデータにさらに基づく、請求項1-3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記追加の分離ドメインデータは、滞留時間、ドリフト時間、またはイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記m/zビンをグループ分けすることは、主成分分析(PCA)、k平均クラスタリングアルゴリズム、または主成分変数グループ分け(PCVG)アルゴリズムを使用して実施される、請求項1-5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記イオン到着事象の表現を発生させることをさらに含み、前記表現は、m/z次元、検出器応答次元、およびイオン総数または確率次元を有する、請求項1-6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記表現は、ヒートマップである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記m/zビンをグループ分けすることは、少なくとも部分的に前記表現にパターン認識アルゴリズムを適用することによって実施される、請求項7-8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 質量分析法において荷電状態を割り当てるためのシステムであって、前記システムは、
    各イオン到着事象に関する検出器応答信号を発生させるように構成された検出器と、
    プロセッサと、
    命令を記憶しているメモリと
    を備え、
    前記命令は、プロセッサによって実行されると、
    前記検出器から、前記複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、前記検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して前記検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を備えている、ことと、
    前記検出器応答信号に基づいて、前記イオン到着事象から発生させられた質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンに関する検出器応答プロファイルを発生させることと、
    前記m/zビンの前記検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、前記m/zビンを複数のグループにグループ分けすることと、
    前記m/zビンのグループに基づいて、1つ以上の特徴に荷電状態を割り当てることと
    を含む動作の組を前記システムに実施させるように構成されている、システム。
  11. 前記動作は、前記m/zビンのグループに基づいて単純化された質量スペクトルを発生させることをさらに含み、前記m/zビンのグループは、前記単純化された質量スペクトルにおいて示される、請求項10に記載のシステム。
  12. 前記m/zビンをグループ分けすることは、追加の分離ドメインデータにさらに基づく、請求項10-11のいずれか1項に記載のシステム。
  13. 前記追加の分離ドメインデータは、滞留時間、ドリフト時間、またはイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記m/zビンをグループ分けすることは、主成分分析(PCA)、k平均クラスタリングアルゴリズム、または主成分変数グループ分け(PCVG)アルゴリズムを使用して実施される、請求項10-13のいずれか1項に記載のシステム。
  15. 前記イオン到着事象の表現を発生させることをさらに含み、前記表現は、m/z次元、検出器応答次元、およびイオン総数または確率次元を有する、請求項10-14のいずれか1項に記載のシステム。
  16. 前記グループに関する信頼度スコアを発生させることをさらに含み、前記荷電状態を割り当てることは、前記信頼度スコアのうちの少なくとも1つにさらに基づく、請求項10-14のいずれか1項に記載のシステム。
  17. 質量分析法において荷電状態を割り当てる方法であって、前記方法は、
    複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、前記検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を備えている、ことと、
    前記検出器応答信号に基づいて、前記イオン到着事象から発生させられた質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンに関する検出器応答プロファイルを発生させることと、
    前記m/zビンの前記検出器応答プロファイルの類似性に基づいて、前記m/zビンを複数のグループにグループ分けすることと、
    単一のイオン到着事象を表すm/zビンを識別することと、
    単一のイオン到着事象を有するとして識別された前記m/zビンのグループに基づいて、1つ以上の特徴に荷電状態を割り当てることと
    を含む、方法。
  18. 前記グループに関する信頼度スコアを発生させることをさらに含み、前記荷電状態を割り当てることは、前記信頼度スコアのうちの少なくとも1つにさらに基づく、請求項17に記載の方法。
  19. 前記m/zビンをグループ分けすることは、滞留時間、ドリフト時間、またはイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを含む追加の分離ドメインデータにさらに基づく、請求項17または18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記単一のイオン到着事象を表すm/zビンを識別することは、前記m/zビンにおいて観察される検出事象の頻度に基づく、請求項17-19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 質量分析法においてデータを分析する方法であって、前記方法は、
    複数のイオン到着事象に対応する検出器応答信号を受信することであって、前記検出器応答信号は、各イオン到着事象に関して検出器によって発生させられた個々のイオン応答に関連する情報を備えている、ことと、
    前記検出器応答信号に基づいて、データ表現を発生させることであって、前記データ表現は、少なくとも前記イオン到着事象から発生させられた検出器応答プロファイルと質量スペクトルの質量/電荷(m/z)ビンとから成る、ことと、
    化合物識別および種識別のうちの少なくとも1つのために、前記データ表現を利用することと
    を含む、方法。
  22. 前記化合物識別は、化合物定量化を備えている、請求項21に記載の方法。
  23. 前記化合物識別は、イオンの少なくとも1つの検出されたグループに電荷を割り当てることを含む、請求項21-22のいずれかに記載の方法。
  24. 前記電荷を割り当てることは、前記検出器応答プロファイルに少なくとも部分的に基づく、請求項23に記載の方法。
  25. 前記データ表現を単純化することをさらに含む、請求項21-24のいずれかに記載の方法。
  26. 前記単純化されたデータ表現は、少なくとも1つのより高いランク付けテンソルデータを備えている、請求項25に記載の方法。
  27. 前記データ表現を単純化することは、m/zドメインにおける1つ以上のスペクトルを発生させることを含む、請求項25に記載の方法。
  28. 前記データ表現を単純化することは、質量ドメインにおける1つ以上のスペクトルを発生させることを含む、請求項25-26のいずれかに記載の方法。
  29. 前記データ表現を単純化することは、前記検出器応答プロファイルに少なくとも部分的に基づく、請求項25-28のいずれかに記載の方法。
  30. 前記データ表現を単純化することは、類似した検出器応答プロファイルを用いて前記m/zビンをグループ分けすることを含む、請求項25-29のいずれかに記載の方法。
  31. 割り当てられた荷電状態に基づいて前記イオン到着事象に対応する質量を計算することをさらに含む、請求項21-30のいずれかに記載の方法。
  32. 前記データ表現を単純化することは、追加の分離ドメインデータに基づく、請求項25-31のいずれかに記載の方法。
  33. 前記追加の分離ドメインデータは、滞留時間、ドリフト時間、およびイオン移動度に関する補償電圧のうちの少なくとも1つを備えている、請求項32に記載の方法。
  34. 前記データ表現を単純化することは、少なくとも部分的に多変量分析を使用することによって実施される、請求項25-33のいずれかに記載の方法。
  35. 前記データ表現を単純化することは、非負因子分解アルゴリズムを適用することによって、少なくとも部分的に基づいて実施される、請求項25-33のいずれかに記載の方法。
  36. 前記多変量分析は、主成分分析(PCA)、k平均クラスタリングアルゴリズム、t-SNEアルゴリズム、および主成分変数グループ分け(PCVG)アルゴリズムのうちの少なくとも1つを備えている、請求項34に記載の方法。
  37. 前記データ表現を単純化することは、少なくとも部分的にパターン認識または機械学習を使用すること基づいて実施される、請求項25-33のいずれかに記載の方法。
  38. 前記データ表現を単純化することは、少なくとも部分的に観察された検出器応答を所定の検出器応答分布のカタログに合致させるための統計的方法を使用して実施される、請求項25-33のいずれかに記載の方法。
  39. 前記カタログは、先験的に発生させられる、請求項38に記載の方法。
  40. 前記カタログは、前記単純化されたデータ表現から発生させられる、請求項38に記載の方法。
  41. 前記化合物識別または前記種識別は、化合物ライブラリまたは種ライブラリを発生させ、アルゴリズムを用いて、化合物または種を前記ライブラリと合致させることを含む、請求項21に記載の方法。
  42. 請求項1-9または17-41のいずれかに記載の方法を実施するための検出システムであって、前記検出システムは、電子増倍管ベースの検出システムまたは鏡像電荷ベースの検出システムのうちの1つである、検出システム。
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