JP2023526246A - 単一イオン検出事象の荷電状態決定 - Google Patents

単一イオン検出事象の荷電状態決定 Download PDF

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Abstract

検出されたイオンの荷電状態を同定または分類するための方法およびシステム。検出されたイオンの荷電状態を分類するための例示的方法が、検出器によって検出された複数のイオンにおけるイオン毎のパルスを生成するステップであって、各パルスは、パルス特性(例えば、パルス高さ、幅、または面積)を有する、ステップと、生成されるパルスのパルス特性分布を生成するステップと、パルス特性分布に基づいて、複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態の同定を生成するステップとを含んでもよい。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、開示全体が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、PCT国際特許出願として、2021年5月14日に出願され、2020年5月14日に出願された米国特許出願第63/024,987号の優先権の利益を主張する。
総括として、質量分析法(MS)は、化学化合物の検出と、それらの化合物から形成されるイオンの質量/電荷(m/z)値の分析に基づく、定量化とのための分析技法である。MSは、サンプルからの1つまたはそれを上回る着目化合物のイオン化と、前駆体イオンの生成と、前駆体イオンの質量分析とを伴う。タンデム質量分析法または質量分析法/質量分析法(MS/MS)は、サンプルからの1つまたはそれを上回る着目化合物のイオン化と、1つまたはそれを上回る化合物の1つまたはそれを上回る前駆体イオンの選択と、1つまたはそれを上回る前駆体イオンのプロダクトイオンへの断片化と、プロダクトイオンの質量分析とを伴う。
MSおよびMS/MSは両方とも、定質的ならびに定量的情報を提供することができる。測定された前駆体またはプロダクトイオンスペクトルは、着目分子を同定するために使用されることができる。前駆体イオンおよびプロダクトイオンの強度はまた、サンプル内に存在する化合物の量を定量化するために使用されることができる。
質量分析法技法は、多くの場合、検出されたイオンに関する質量/電荷比(m/z)を利用する、質量スペクトルデータを生成する。しかしながら、検出されたイオンの実際の電荷または質量の知識は、多くの場合、直接、測定可能ではない。結果として、検出されたイオンのある程度の重複が、あるシナリオにおいて生じ得る。例えば、ある質量を伴う単一荷電イオンが、質量を倍にして、二重荷電イオンと同一の質量/電荷比を有するものとして、質量スペクトルにおいて現れ得る。本問題は、概して、ピーク重複問題と称され得る。
トップダウン質量分析法(MS)タンパク質分析では、例えば、質量スペクトルにおける質量または質量/電荷(m/z)ピークの重複は、有意な問題である。本タイプの分析では、1~200のアミノ酸の長さを有し、1~50の異なる荷電状態を有する、プロダクトイオンを含む、非常に広い範囲の異なる断片またはプロダクトイオンが、生成される。プロダクトイオンピークは、単一スペクトルにおいて、相互に著しく重複される。加えて、重複は、最高質量分解能(フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT-ICR)またはオービトラップ)を伴う質量分析計さえ、そのような重複されるピークを逆畳み込みすることができないほど、非常に広範であり得る。結果として、巨大プロダクトイオンは、多くの場合、トップダウンタンパク質分析において失われ、巨大タンパク質のシーケンス被覆率を限定する。2020年8月6日に公開された、国際公開第WO2020/157720号と、2019年10月17日に公開された、国際公開第WO2019/197983号とは両方とも、トップダウンMSタンパク質分析の付加的議論および関連付けられる課題を提供する。
ある側面では、本技術は、検出されたイオンの荷電状態を分類するための方法に関し、本方法は、検出器によって検出された複数のイオンにおけるイオン毎のパルスを生成するステップであって、各パルスは、あるパルス特性を有する、ステップと、生成されるパルスのパルス特性分布を生成するステップと、パルス特性分布に基づいて、複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態の同定を生成するステップとを含む。
実施例では、パルス特性分布は、確率対パルス特性のプロットである。別の実施例では、パルス特性は、パルス高さ、パルス幅、またはパルス面積のうちの少なくとも1つである。さらなる実施例では、パルス特性は、パルス高さであり、パルス高さは、パルスの最大電圧である。さらに別の実施例では、検出器は電子増倍検出器であり、検出器は、主として、単一イオン事象を検出するように構成される。なおも別の実施例では、荷電状態の同定を生成するステップは、基準パルス特性分布とパルス特性分布を比較するステップを含む。依然としてさらに別の実施例では、検出器によって検出されたイオンは、サンプルのイオン化から生成され、基準パルス特性分布は、サンプルの既知の特性に基づいて、同定される。
別の実施例では、生成される同定は、荷電状態の確率を備える。さらなる実施例では、本方法は、荷電状態の同定に基づいて、検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルを生成するステップをさらに含み、質量スペクトルの1つの軸は、質量/電荷(m/z)ではなく、質量である。なおも別の実施例では、複数のイオンは、m/zドメインを使用して、異なる群にグルーピングされ、パルス特性分布に基づく荷電状態の同定は、群毎に実施される。さらに別の実施例では、グルーピングするステップは、複数の検出されたイオンに基づいて、質量スペクトルを生成するステップと、質量スペクトルにおける第1のピークを同定するステップであって、第1のピークは、質量/電荷(m/z)値を有する、ステップと、第1のピークのm/z値に基づいて、質量/電荷(m/z)範囲内でイオンをグルーピングするステップとを含む。依然としてさらに別の実施例では、グルーピングするステップは、第1の強度帯域の中に複数のイオンの第1のサブセットを選択し、第2の強度帯域の中に複数のイオンの第2のサブセットを選択するステップと、第1の強度帯域に関する第1の質量スペクトルを生成するステップと、第2の強度帯域に関する第2の質量スペクトルを生成するステップと、質量スペクトルの少なくとも1つにおける第1のピークを同定するステップであって、第1のピークは、質量/電荷(m/z)値を有する、ステップと、第1のピークのm/z値に基づいて、質量/電荷(m/z)範囲内でイオンをグルーピングするステップとを含む。
別の実施例では、本方法は、イオンに関する第2のパルス特性分布をm/z範囲内で生成するステップをさらに含み、同定を生成するステップは、第1のパルス特性分布を形成するイオンが、第1の荷電状態を有することを決定するステップと、第2のパルス特性分布を形成するイオンが、第2の荷電状態を有することを決定するステップとを含む。さらなる実施例では、本方法は、荷電状態の同定に基づいて、1つまたはそれを上回る同位体が第1のピークを形成する1つまたはそれを上回るイオンに対応することを決定するステップをさらに含む。さらに別の実施例では、荷電状態の同定を生成するステップは、基準パルス特性分布と第1のパルス特性分布を比較するステップを含む。なおも別の実施例では、検出器によって検出されたイオンは、サンプルのイオン化から生成され、基準パルス特性分布は、サンプルの既知の特性に基づいて、同定される。依然としてさらに別の実施例では、生成される同定は、荷電状態の確率を備える。別の実施例では、本方法は、トップダウンタンパク質分析の一部として実施される。
別の実施例では、本方法は、第2のピークを同定するステップと、少なくとも第1のピークおよび第2のピークに基づいて、コンセンサスm/z距離を決定するステップと、第1のピークおよび第2のピークが、ある特徴を形成することを同定するステップとをさらに含み、荷電状態の同定を生成するステップは、コンセンサス距離に基づく。さらなる実施例では、ピークが特徴を形成することを同定するステップは、該ピークのパルス特性分布を比較するステップと、実質的に同一パルス特性分布とピークを選択するステップとを含む。なおも別の実施例では、パルス特性分布の比較は、該パルス特性分布の間のユークリッド距離を計算することと、所定の閾値とそれを比較することとによって、実施される。さらに別の実施例では、本方法は、コンセンサス距離に基づいて、特徴に対応する欠測ピークを同定するステップをさらに含む。依然としてさらに別の実施例では、本方法は、イオンの荷電状態の同定に基づいて、検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルを生成するステップをさらに含み、質量スペクトルの1つの軸は、m/zではなく、質量である。別の実施例では、パルス特性は、パルスの最大電圧である。
別の側面では、本技術は、質量分析システムに関する。質量分析システムは、検出器によって検出されたイオン毎のパルスを生成するように構成される、検出器と、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、システムに、動作のセットを実施させるように構成される命令を記憶する、メモリとを含む。本動作は、電子増倍検出器に衝突する複数のイオンにおけるイオン毎のパルスを生成するステップであって、各パルスは、あるパルス特性を有する、ステップと、生成されるパルスのパルス特性分布を生成するステップと、パルス特性分布に基づいて、複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態の同定を生成するステップとを含む。実施例では、検出器は、電子増倍検出器である。別の実施例では、質量分析システムはさらに、イオン源デバイスと、解離デバイスと、質量分析器とを含む。
別の側面では、本技術は、検出されたイオンの荷電状態を分類するための方法に関し、本方法は、プロセッサを使用して、質量分析器内の複数のイオンの発振によって、質量分析器のイメージチャージ検出器上で誘起される、過渡時間ドメイン信号を検出するステップと、複数のイオンにおけるイオンに対応する複数の周波数ドメイン(FD)ピークに、過渡時間ドメイン信号を変換するステップと、生成されるパルスのFDピーク特性分布を生成するステップと、FDピーク特性分布に基づいて、複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態の同定を生成するステップとを含む。
実施例では、FDピーク特性分布は、確率対FDピーク特性のプロットである。別の実施例では、FDピーク特性は、ピーク強度である。なおも別の実施例では、荷電状態の同定を生成するステップは、基準FDピーク特性分布とFDピーク特性分布を比較するステップを含む。さらなる実施例では、検出器によって検出されたイオンは、サンプルのイオン化から生成され、基準FDピーク特性分布は、サンプルの既知の特性に基づいて、同定される。なおも別の実施例では、生成される同定は、荷電状態の確率を備える。さらに別の実施例では、方法はさらに、荷電状態の同定に基づいて、検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルを生成するステップを含み、質量スペクトルの1つの軸は、質量/電荷(m/z)ではなく、質量である。
別の側面では、本技術は、検出されたイオンの荷電状態を分類するための方法に関する。本方法は、検出器によって検出された複数のイオンにおけるイオン毎のパルスを生成するステップであって、各パルスは、あるパルス特性を有する、ステップと、生成されるパルスのパルス特性分布を生成するステップと、パルス特性分布に基づいて、粗荷電状態を同定するステップと、該ピークが隣接する荷電状態を有するように、第1のイオンピークおよび第2のイオンピークのピーク対を同定するステップと、第1のイオンピークに関するm/z値と、第2のイオンピークに関するm/z値と、電荷担体の質量とに基づいて、第2のイオンピークの精緻化された荷電状態を決定するステップとを含む。
実施例では、粗荷電状態同定は、対を形成する少なくとも1つのピークに関する可能性として考えられる荷電状態の範囲に正確であり、範囲からの少なくとも1つの荷電状態は、第2のピークに関して同定された荷電状態に隣接する。別の実施例では、本方法はさらに、精緻化された同定された荷電状態が、ある閾値内の整数である場合、精緻化された荷電状態同定を承認するステップを含む。なおも別の実施例では、隣接する荷電状態を伴う第3のピークが、同定され、第3のピークは、ピークのうちの少なくとも1つと対を形成し、該共通ピークに関する荷電状態同定は、両方の対において合致している。さらに別の実施例では、本方法はさらに、第2のイオンピークの決定された荷電状態に基づいて、第1のイオンピークの荷電状態を決定するステップを含む。依然としてさらに別の実施例では、本方法はさらに、複数のイオンを生成するようにイオン化されたサンプルの既知の特性に基づいて、電荷担体の質量を取得するステップを含む。
本概要は、詳細な説明において、下記にさらに説明される簡略化された形態において、一連の概念を導入するために、提供される。本概要は、請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を識別するように意図されず、請求される主題の範囲を限定するために使用されるようにも、意図されない。実施例の付加的側面、特徴、および/または利益が、部分的に続く説明に部分的に記載され得、説明から明白であり得、または本開示の実践によって学習され得る。
非限定的および非包括的実施例は、以下の図を参照して説明される。
図1Aは、質量分光法を実施するための例示的システムを描写する。
図1Bは、イオンパルスの例示的プロットを描写する。
図1Cは、イオンパルス強度に基づいて、異なる帯域またはチャネルに分離される、例示的質量スペクトルを描写する。
図2は、例示的パルス高さ分布のプロットを描写する。
図3Aは、荷電状態割当に関する、例示的方法を描写する。
図3Bは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法を描写する。
図3Cは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法を描写する。
図3Dは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法を描写する。
図3Eは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法を描写する。
図3Fは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法を描写する。
図4は、荷電状態割当に関する、別の例示的方法を描写する。
図5は、例示的拡大質量スペクトルを描写する。
図6は、縞状質量スペクトルに関する、例示的ピーク検出動作を描写する。
図7は、図6からの選択されたピークに関する、例示的パルス高さ分布を描写する。
図8は、例示的対毎類似度マトリクスを描写する。
図9は、最も妥当と考えられる荷電状態に関する、例示的計算を描写する。
図10は、特徴属性に関する計算を実施するための例示的プロットを描写する。
図11は、隣接する荷電状態ピークに関する例示的プロットを描写する。
図12は、イメージチャージ検出器によって測定された、過渡時間ドメイン信号の例示的プロットを描写する。
図13は、イメージチャージ検出器を含む、例示的システムを描写する。
詳細な説明
簡潔に上記に議論されるように、検出されたイオンのピーク重複は、MS結果の分析に関して問題がある。本ピーク重複問題を解決するために、1つの解決策は、ピークを形成するイオンの荷電状態を決定または推測することである。荷電状態を決定することによって、イオンの質量は、次いで、分解され得、異なる種からのイオンが、相互と区別されることができる。加えて、質量スペクトルにおける複数のピークが、同位体クラスタまたは特徴を表し得る。しかしながら、ある場合には、どのピークがどのクラスタに属するかは、不明瞭であり得る。荷電状態同定技法はさらに、そのようなクラスタに関する適切なピークの同定を分解することができる。
アナログ/デジタル変換(ADC)バンディング方法が、その強度に基づいて、イオンを分離するために以前に提案されている。バンディング方法の1つのそのような実施例は、2020年8月6日に公開された、国際公開第WO2020/157720号(第’720号公開)(参照することによって、その全体として本明細書に組み込まれる)において開示される。イオン強度に基づくそのような分離は、荷電状態分離を促進し、したがって、ピーク容量を改良する。しかしながら、説明される方法は、その荷電状態に基づいて、イオンが分離する方法を教示しない。これは、2つの問題につながる。第1に、同一種から生じる信号は、複数のデータチャネルの間で希釈されることと、第2に、後続データ解釈に便宜的な逆畳み込み質量スペクトルを構築するための提案される方法が、存在しないことである。したがって、個々のイオン検出事象に荷電状態を割り当て得る、改良された方法が所望されている。
そのような方法のうちの1つは、以下の文書、すなわち、Kafader et al.,による、「Multiplexed mass spectrometry of individual ions improves measurement of proteoforms and their complexes」( Nature Methods, Nature Methods volume 17, pages 391-394(2020))において最近公開されている。しかしながら、その文書に説明される方法は、検出された信号が、測定された電荷に対して決定論的関係を有する、検出システム(例えば、イメージチャージ誘起検出器)を伴う質量分析計に限定される。故に、とりわけ、その文書において説明される方法は、測定された信号が、測定された電荷(例えば、電子増倍ベースの検出システム)に対して確率的関係を有する、検出システムに基づいて、質量分析計に関する個々のイオン測定事象毎の電荷割当を設定する方法を教示しない。
入手方略のそのような新しいクラスのうちのいくつかでは、荷電状態の直接同定は、対応する信号を質量スペクトル(Kafader et. al.参照)に共追加することに先立って、試みられる。しかしながら、そのような方略は、電子増倍検出システムにおいて、荷電状態割当に適用可能ではない。電子増倍検出システムに基づくシステムに関する多くの場合では、各荷電状態は、明確に異なる検出器応答を有しておらず、代わりに、各荷電状態およびm/z値に特有の明確に異なるパルス高さ分布(より一般的には、強度分布)を有する。
本技術は、イオンを検出することに応じて、検出器によって生成されるパルスの特性に従って、イオンの荷電状態の決定または推測を可能にする。そうするために、本技術は、複数の検出されたイオンに関するパルス特性の分布を生成する。パルス特性は、他の可能性として考えられる特性の中でもとりわけ、パルス高さ、パルス幅、またはパルス面積を含んでもよい。パルス特性の分布は、検出されたイオンの荷電状態に応じて、明確に異なるプロファイルを形成する。したがって、荷電状態は、パルス特性分布によって決定され得る。いったんイオンの荷電状態が、決定されると、イオンの質量が、イオンのm/zに基づいて、決定され得、イオンは、他のイオンと区別され得る。最終的には、MS技法によって分析されている化合物は、検出されたイオンの決定された荷電状態に基づいて、同定され得る。したがって、イオンの荷電状態を同定および/または割り当てることによって、質量分析器具の測定能力は、改良される。質量分析器具の正確度もまた、同様に、改良され得る。
図1Aは、質量分析法技法を実施するための例示的質量分析システム100を描写する。いくつかの実施例では、システム100は、質量分析計であってもよい。例示的システム100は、イオン源デバイス101と、解離デバイス102と、質量分析器103と、検出器104と、プロセッサ105およびメモリ106等のコンピューティング要素とを含む。イオン源デバイス101は、例えば、電気スプレーイオン源(ESI)デバイスであってもよい。イオン源デバイス101は、質量分析計の一部として示される、または別個のデバイスであってもよい。解離デバイス102は、例えば、電子ベースの解離(ExD)デバイスまたは衝突誘起解離(CID)デバイスであってもよい。電子ベースの解離(ExD)、紫外光解離(UVPD)、赤外光解離(IRMPD)、および衝突誘起解離(CID)は、多くの場合、タンデム質量分析法(MS/MS)に関する断片化技法として使用される。ExDは、限定ではないが、電子捕獲解離(ECD)または電子伝達解離(ETD)を含むことができる。CIDは、タンデム質量分析計における解離のための最も従来的な技法である。上記に説明されるように、トップダウンおよびミドルダウンプロテオミクスでは、無傷または消化型タンパク質が、イオン化され、タンデム質量分析法を被る。例えば、ECDは、優先的に、ペプチドおよびタンパク質骨格を解離させる、解離技法である。結果として、本技法は、トップダウンおよびミドルダウンプロテオミクスアプローチを使用して、ペプチドまたはタンパク質シーケンスを分析するための理想的ツールである。
質量分析器103は、飛行時間(TOF)、イオントラップ、または四重極質量分析器等の所望の技法のために使用される、任意のタイプの質量分析器であることができる。検出器104は、本明細書で議論される、イオンの検出および信号を生成するための適切な検出器であってもよい。例えば、検出器104は、アナログ/デジタル変換(ADC)回路を含み得る、電子増倍検出器を含んでもよい。検出器104はまた、イメージチャージ誘起検出器であってもよい。検出器104は、検出されたイオンに関する検出パルスを生成する。
プロセッサ105およびメモリ106等のシステム100のコンピューティング要素は、質量分析計自体に含まれる、質量分析計に隣接して位置する、または質量分析計から遠隔に位置してもよい。一般に、システムのコンピューティング要素は、コンピューティング要素が、検出器104から生成される信号を受信することが可能であるように、検出器104と電子通信してもよい。プロセッサ105は、複数のプロセッサを含んでもよく、信号を処理し、本明細書で議論される結果を生成するために、任意のタイプの好適な処理構成要素を含んでもよい。正確な構成に応じて、メモリ106(とりわけ、本明細書に開示される動作を実施するように、質量分析プログラムおよび命令を記憶する)は、揮発性(RAM等)、不揮発性(ROM、フラッシュメモリ等)、またはその2つのある組み合わせであることができる。他のコンピューティング要素もまた、システム100に含まれてもよい。例えば、システム100は、限定ではないが、ソリッドステートデバイス、磁気または光ディスク、もしくはテープを含む、記憶デバイス(リムーバブルおよび/または非リムーバブル)を含んでもよい。システム100はまた、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ペン、音声入力等の入力デバイス等、および/またはディスプレイ、スピーカ、プリンタ等の出力デバイス等を有してもよい。ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、2地点間、Bluetooth(登録商標)、RF等の1つまたはそれを上回る通信接続等もまた、システム100に組み込まれてもよい。
図1Bは、電子増倍検出器等の検出器から生成されるイオンパルスの例示的プロット110を描写する。y-軸は、強度を表し、x-軸が、時間を表す。強度は、電圧の単位であってもよい。例えば、電子増倍検出器に関して、検出器の出力は、検出された電子に基づいて、電圧(多くの場合、ミリボルト(mV)で表される)であってもよい。
図1Bでは、3つのパルス、すなわち、第1のパルス111と、第2のパルス112と、第3のパルス113とが、描写される。パルス111-113はそれぞれ、検出器に到着する、異なる単一イオンを表す。パルス111-113は、デジタル化され得、ピークが、各デジタル化されたパルスから見出され得る。強度(またはピーク高さ)および到着時間対が、パルス毎に計算および記憶されてもよい。長方形131、132、および133は、個別のパルスの強度またはパルス高さを表す。
パルスはそれぞれ、パルス特性によって特徴付けられてもよい。パルス特性は、パルスの曲線下のパルス高さ、パルス幅、および/または面積等の特性を含んでもよい。各パルスのパルス高さは、長方形131、132、および132によって示される。パルス高さは、個別のパルスに関する最大パルス高さであってもよく、パルス高さは、電圧の単位を有してもよい。パルス幅は、パルスの任意の点にあり得るが、パルス幅の1つの測定値は、半値全幅(FWHM)であり得る。パルス幅は、時間の単位を有してもよい。パルス曲線下の面積は、パルス毎の個別のパルス信号下の面積を積分することによって、生成されてもよい。
パルス特性は、異なる帯域に検出されたイオンを分離するために、使用されてもよい。図1Cは、イオンパルス特性、具体的には、最大パルス高さに基づいて、異なる帯域またはチャネルに分離される、例示的質量スペクトル150を描写する。第1の質量スペクトル160が、10~20mVの最大パルス高さを有する、検出されたイオンに関して生成される。第2の質量スペクトル170が、20~30mVの最大パルス高さを有する、検出されたイオンに関して生成される。第3の質量スペクトル180が、20~30mのV最大パルス高さを有する、検出されたイオンに関して生成される。そのような分離およびバンディングに関する付加的詳細が、第’720公開でさらに議論される。上記に議論されるように、異なる帯域にイオンを分離することは、利益を有するが、分離は、特定のイオンの荷電状態の同定を可能にしない。本明細書でさらに議論されるように、パルス特性は、イオンの荷電状態分類を可能にする、分布プロファイルを生成するために利用されてもよい。
図2は、例示的パルス特性分布のプロット200を描写する。プロット200におけるパルス特性分布は、パルス高さの特性に基づく。故に、パルス特性分布は、パルス高さ分布または強度分布と称され得る。プロットにおいて、x軸は、パルス高さを表し、y軸は、検出の確率または周波数を示す。例えば、より高い確率値が、対応するパルス高さを有するイオンが、より頻繁に検出されたことを示す。
第1のパルス高さ分布202および第2のパルス高さ分布204が、プロット200において描写される。プロット200から分かるように、パルス高さ分布が、重複するが、第1のパルス高さ分布202は、第2のパルス高さ分布204のプロファイルと明確に異なるプロファイルを有する。プロファイル形状における差異は、主に、個別のパルス高さ分布を形成する、検出されたイオンの荷電状態における差異に起因する。例えば、第1のパルス高さ分布202を形成する検出されたイオンは、3+電荷イオンに対応し、第2のパルス高さ分布204を形成する検出されたイオンは、7+荷電イオンに対応する。故に、いったん種々のパルス高さ分布が、確立または生成されると、対応するイオンパルスが適合する、パルス高さ分布プロファイルを決定することによって、任意の単一の検出されたイオンの荷電状態を決定することが可能であり得る。
ある程度の付加的詳細として、パルス高さ分布202、204は、約517において非常に類似するm/z値を有するプロダクトイオンに関して、生成された。プロダクトイオンは、炭酸脱水酵素2(CA2)のトップダウンECDの分析から生成された。上記に議論されるように、プロット200から分かるように、異なる荷電状態から生じるパルス高さ分布は、有意に重複し得る。そのような重複の場合、単一強度データ点では、不十分であり、単一強度データ点に基づく任意の荷電状態決定は、正しくない有意な機会を有するであろう。
しかしながら、同一サンプルから生じる単一イオン検出事象のアンサンブルに関して、時として、荷電状態を推測することが可能であり得る。これは、そのようなアンサンブルのパルス高さ分布を類似m/zおよび荷電状態を伴う既知の化合物のパルス高さ分布のセットと比較すること、または分析されたサンプルの性質に基づいて、通常利用可能な余剰情報を使用することのいずれかによって、達成されることができる。そのような余剰情報の実施例が、m/z空間内のその相対的位置において、荷電状態情報をエンコードする、質量分析計によって分解される場合、明確に異なる同位体パターンであることができる。代替として、荷電状態分布が、本目的のために使用されることができ、これは、m/z空間内のその相対的位置において荷電状態情報もエンコードする。本開示では、アンサンブルにおける類似検出事象のグルーピングに基づく、単一検出事象の荷電状態同定のための方法のクラスと、アンサンブルへの荷電状態の割当と、個々の事象に関する荷電状態情報の後続割当とが、説明される。
実施例では、異なる荷電状態およびm/zに関するパルス高さ分布を含有する、データセットが、収集される。イオンの群に関するパルス高さ分布は、荷電状態を個々の検出事象に割り当てるために、使用されてもよい。未知の種に対応する検出事象に関して、検出事象のアンサンブルが、m/z空間におけるその相対的近接度に基づいて、選択されてもよい。パルス高さ分布が、そのようなアンサンブルに関して、計算されてもよい。本パルス高さ分布は、次いで、類似m/zから既知のパルス高さ分布に合致され、「最良」な合致が、選択され得る。理解されるであろうように、用語「最良」は、入手されたデータおよび適用される決定労力を前提として、比較的に決定された最適状態を同定するために使用され得る。最良合致の荷電状態が、次いで、アンサンブルから検出事象および/または対応するイオン毎に推測される。代替として、または加えて、モデルが、異なるm/zに関する強度分布の良好に特性評価されたデータに基づいて、構築され得、かつ荷電状態は、本モデルに基づいて、予測されることができる。これは、例えば、機械学習技法を使用して、達成され得、訓練データセットは、先験的に収集される注釈付きのデータを含有してもよい。
別の実施例では、第1のステップでは、個々の検出事象の収集されるデータは、従来の質量スペクトル、または代替として、その強度に基づいて、複数の質量スペクトルを形成するように、合計されてもよい。第2のステップでは、アルゴリズムが、特徴抽出および特徴荷電状態割当を行うために、採用され、特徴は、同位体クラスタまたは同一分子に対応する荷電状態クラスタである。第3のステップでは、それらの特徴に対応する、イオン検出事象のアンサンブルの決定および荷電状態の後続の推測が、実施される。
別の実施例では、データ入手および処理方略が、表され、これは、類似イオンから生じる検出事象のアンサンブルを同定し、続いて、個々のイオンに荷電状態を割り当てるために、イオンの個々の群のパルス高さ分布上の情報と、サンプルの性質について既知の余剰情報、例えば、同位体パターンまたは荷電状態分布の両方を組み合わせる。
図3Aは、荷電状態割当に関する、例示的方法300を描写する。動作301では、パルスが、イオン検出器によって検出された、複数のイオン毎に生成される。例えば、イオンが、電子増倍検出器に衝突するとき、パルスが、生成される。生成されるパルスは、図1Bに描写され、かつ上記に議論されるパルスに類似し得る。パルスはそれぞれ、その個別のパルス特性を有する、またはそれによって説明され得る。検出されたイオンは、質量分析技法によって調査または分析されている、サンプルからイオン化されたイオンであってもよい。動作302では、1つまたはそれを上回るパルス特性分布が、パルスの特性に基づいて、生成される。例えば、生成されるパルス特性分布は、パルス高さ等の特定のパルス特性に関して、生成されてもよい。故に、動作302において生成される、パルス特性分布は、図2に描写され、かつ上記に議論されるパルス高さ分布に類似する、パルス高さ分布であってもよい。
動作302において生成されるパルス特性分布に基づいて、複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態の同定が、動作303において生成されてもよい。例えば、生成されるパルス特性分布は、生成されるパルス特性分布に最も近い合致を決定するために、既知の荷電状態を伴う基準パルス特性分布のセットと比較されてもよい。生成されたパルス特性分布を形成するイオンの荷電状態は、次いで、基準パルス特性分布と関連付けられる、荷電状態に割り当てられてもよい。生成されるパルス特性分布が比較される、基準パルス特性分布の数は、分析されているサンプルおよび/または生成されるパルス特性分布を形成するイオンのm/z値についての外部情報もしくは既知の特性に基づいて、限定または低減されてもよい。例えば、基準パルス特性分布のサブセットが、特定のm/z値または範囲に関して存在し得、および/またはパルス特性分布のサブセット基準が、特定の同位体、化合物、ならびに/もしくはサンプルに対応し得る。
他の実施例では、機械学習モデル(例えば、ニューラルネットワーク)が、既知の荷電状態を伴う基準パルス特性分布のセットに基づいて、訓練されてもよい。生成されるパルス特性分布は、訓練された機械学習モデルの中への入力として、提供されてもよい。訓練された機械学習モデルは、入力され生成されるパルス特性分布を処理し、訓練された機械学習モデルの出力は、生成されるパルス特性分布に対応する、荷電状態または可能性が高い荷電状態を示す。例えば、機械学習モデルの出力は、荷電状態インジケーションおよび/または生成されるパルス特性分布に最も緊密に合致する基準パルス特性分布のインジケーションであってもよい。いくつかの実施例では、訓練された機械学習モデルの入力はまた、生成されるパルス特性分布を形成するイオンに関する、m/z値またはm/z範囲を含んでもよい。加えて、または代替として、入力はまた、予期される化合物または同位体タイプ等のサンプルに関する、外部データを含んでもよい。他の実施例では、異なる機械学習モデルが、異なるタイプのサンプルに関して訓練され得、分析されているサンプルに関する機械学習モデルは、生成されるパルス特性分布を分析する際に使用するために選択され得る。
荷電状態の同定または割当はまた、もしくは代替として、特徴としてともにピークをグルーピングすることと、次いで、グルーピングされたピークの間の相対的距離を分析することとに基づき得る。そのような電荷割当プロセスに関する付加的詳細は、図3Dにおける方法3000に対して、下記にさらに詳細に議論される。
図3Aにおける方法300に再び目を向けると、動作304では、質量スペクトルが、検出されたイオンに関して生成される。質量スペクトルは、動作303において同定された荷電状態に基づいて、生成されてもよい。例えば、既知の荷電状態で、重複ピークが、分解される、または別様に質量スペクトルにおいて示されてもよい。例えば、質量スペクトルを形成するイオンに関する荷電状態は、既知である、または動作303において同定されるため、検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルが、生成されてもよい。逆畳み込み質量スペクトルに関して、質量スペクトルの1つの軸は、質量/電荷(m/z)ではなく、質量であってもよい。動作305では、検出されたイオンに対応する、サンプル内の化合物または化合物の量が、同定されてもよい。化合物または化合物量は、動作304において生成される質量スペクトルからおよび/または動作303において同定された荷電状態から、同定されてもよい。
図3Bは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法310を描写する。動作311では、パルスが、検出器によって検出された複数のイオンにおけるイオン毎に生成される。動作311は、上記に議論される動作301と実質的に同一または類似してもよい。生成されるパルスは、後続分析のためにメモリ内に記憶されてもよい。動作312では、質量スペクトルが、検出されたイオンのm/z値に基づいて、生成される。動作313では、質量スペクトルにおけるピークが、選択および/または同定されてもよい。例えば、ピークは、ピーク発見アルゴリズムを通して、自動的に同定されてもよい。他の実施例では、ピークは、ユーザから受信された手動入力に基づいて、同定および/または選択されてもよい。同定されたピークは、関連付けられるm/z位置または値を有する。m/z位置は、ピークの中心場所および/またはピーク上の重心もしくは加重平均m/z位置であってもよい。
動作314では、1つまたはそれを上回るパルス特性分布が、動作313において同定されたピークを形成するイオンに関して、生成される。ピークを形成するイオンは、ピーク発見アルゴリズムを介して同定される、イオンであってもよい。イオンはまた、同定されたピークのm/z値の特定のm/z範囲内にある、イオンであってもよい。例えば、m/z範囲は、ピークの特性に基づいて、選択され得、および/またはプリセット範囲(例えば、固定されるm/z値)であり得る。実施例として、m/z範囲は、ピークのm/z値の始まり(すなわち、ピークが始まる場所)から、ピークのm/z値の終了(すなわち、ピークが終了する場所)までであってもよい。
ピークを形成するイオン毎におよび/またはm/z範囲内で、それらのイオンに関する対応するパルスは、アクセスされてもよい。パルスは、確率または周波数対パルス特性(例えば、パルス高さ)を示す様式で、プロットまたは記憶されてもよい。例えば、プロットは、図2におけるプロットに類似し得る、またはパルス特性および確率/周波数対のアレイが、生成および/または記憶されてもよい。1つまたはそれを上回るパルス特性分布が、次いで、パルスに関して、同定または生成されてもよい。例えば、ピークが、異なる荷電状態を有するイオンから形成される場合、複数のパルス特性分布が、生成されてもよい。
動作315では、動作314において生成されるパルス特性分布に基づいて、同定されたピークを形成する、1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態が、同定および/または割り当てられる。動作315は、図3Aにおいて、上記に議論される動作303に類似し得、荷電状態を同定するステップは、上記に議論されるように、同様に同定されてもよい。同定および/または割り当てられる荷電状態に基づいて、質量スペクトルが、生成され得、ならびに/もしくは化合物または化合物量が、動作304および305を参照して上記に議論されるように、同定され得る。
図3Cは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法320を描写する。動作321では、パルスが、検出器によって検出された複数のイオンにおけるイオン毎に生成される。動作321は、上記に議論される動作301と同一または類似してもよい。動作322では、検出されたイオンは、その個別のパルス特性に従って、グルーピングされる。実施例として、パルス高さのパルス特性が、使用され得、イオンが、その個別のパルス高さに基づいて、強度帯域にグルーピングされ得る。例えば、イオン毎のパルス特性に基づいて、複数のイオンの第1のサブセットが、第1の強度帯域にグルーピングされ得、複数のイオンの第2のサブセットが、第2の強度帯域にグルーピングされ得る。
動作323では、強度帯域毎の質量スペクトルが、生成されてもよい。例えば、2つの強度帯域が、利用される場合、第1の強度帯域に関する第1の質量スペクトルが、生成され得、第2の強度帯域からの第2の質量スペクトルが、生成され得る。質量スペクトルは、図1Cに描写され、上記に議論される、質量スペクトルに類似し得る。
動作324では、1つまたはそれを上回るピークが、動作323において生成される質量スペクトルから同定される。ピーク同定および/または選択は、上記に議論される動作313と同一または類似様式で実施されてもよい。ピークを同定することに先立って、質量スペクトルを生成することによって、背景雑音は、低減または除去されてもよい。例えば、強度帯域のうちの1つまたはそれを上回るものが、全てのイオンに関する単一の凝集質量スペクトルより明白な信号および/またはより明確に定義されたピークを表し得る。したがって、ピークが、より正確に同定され得る。
動作325では、1つまたはそれを上回るパルス特性分布が、動作323において同定されたおよび/または同定されたピークのm/z値のm/z範囲内のピークを形成するイオンに関して、生成されてもよい。例えば、第1の荷電状態を有するイオンに対応する第1のパルス特性分布と、第2の荷電状態を有するイオンに対応する第2のパルス特性分布とが、動作314において生成されてもよい。パルス特性分布は、上記に議論されるように、例えば、動作315および303を参照して、生成されてもよい。
動作326では、動作325において生成されるパルス特性分布のうちの少なくとも1つに基づいて、同定されたピークを形成するイオンの荷電状態の同定が、生成される。パルス特性分布から電荷状態を同定するステップは、上記に議論されるように、実施されてもよい。例えば、動作326は、図3Aおよび上記に議論される動作303に類似し得、荷電状態を同定するステップが、上記に議論されるように、同様に同定されてもよい。同定および/または割り当てられる荷電状態に基づいて、質量スペクトルが、生成され得、および/または化合物が、動作304および305を参照して、上記に議論されるように、同定されてもよい。
図3Dは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法3000を描写する。図3Dおよび下記の方法3000の説明は、例示的選択されたデータセットに関する個別のステップのタスクおよび成果毎に採用され得る動作のステップセットによる、例示的ステップの説明である。本実施例では、炭酸脱水酵素2(CA2)のトップダウンECD実験からのデータが、使用される。図5は、実験に関するデータの質量スペクトル500の例示的拡大またはデータ断片を描写する。より具体的には、図5は、CA2のトップダウンECD実験に関するm/z範囲517~520の拡大質量スペクトル500を描写する。
図3Dに再び目を向けると、ステップ3010では、検出器からのデータは、一対の強度の検出事象毎に、対応するm/z値が、記録および記憶されるような方法で記録される。例えば、(検出されたイオンに起因する)検出器によって生成されるパルス毎に、少なくとも1つのパルス特性(例えば、パルス高さ、パルス幅、パルス面積)および対応する検出されたイオンに関する対応するm/z値は、対として記憶されてもよい。データは、上記に議論されるように、および/または第’720号公開において説明される方法に従って、生成または記録されてもよい。
ステップ3020では、記録されるデータは、上記および/または第’720号公開に説明されるように、ピーク強度に基づいて、単一スペクトルまたは複数の質量スペクトルに合計される。本実施例では、データは、異なる強度帯域に対応する、複数の質量スペクトルを形成するように、合計される。図6は、そのような縞状質量スペクトルの実施例を描写する。例えば、図6は、(1)20~30mVの対応するパルス高さを有するイオンに関する、第1の質量スペクトル602、(2)30~40mVの対応するパルス高さを有するイオンに関する、第2の質量スペクトル604、(3)40~50mVの対応するパルス高さを有するイオンに関する、第3の質量スペクトル606、(4)50~60mVの対応するパルス高さを有するイオンに関する、第4の質量スペクトル608を含む、複数の縞状質量スペクトル600を描写する。
図3Dに再び目を向けると、ステップ3030において、ピーク検出動作が、実施される。種々のアルゴリズムが、当業者によって理解されるであろうように、本ステップに関して採用されることができる。例えば、連続ウェーブレット変換(CWT)アルゴリズムが、使用されることができる。図6における強調表示/陰影付けは、連続ウェーブレット変換アルゴリズムに基づく、ピーク検出手順の結果を示す。例えば、ピーク検出アルゴリズムによって検出された各ピークは、強調表示/陰影付けされている。図6において描写されるピークのそれぞれを通した線は、個別のピークに関するm/z値を示す。陰影/強調表示の外側境界は、上記に議論されるピークに関するm/z範囲を示し得る。
ステップ3040では、パルス特性分布が、ピーク頂点までのその近接度によってフィルタリングされる検出事象を使用して、ピーク毎に計算される。例えば、図6における特定のピークに関する強調表示された面積内のイオンに対応する全てのパルスが、パルス特性分布を生成するために、使用されてもよい。複数の縞状質量スペクトルが、ピーク同定のために(ピーク検出プロセスの正確度を改良するために)生成および使用されてもよいが、パルス特性分布を生成するために使用されるパルスは、全ての縞状質量スペクトルから得られる。例えば、パルス特性分布を生成するために選択されたピークが、図6における30~40mVの質量スペクトル604において、約518.0に位置するピークであり、パルス特性分布を生成するために使用されるパルスは、ピークのm/z値の近傍のm/z値を有する、全ての縞状質量スペクトル602-608から、イオンに対応するパルスを含む。
生成されるパルス特性分布は、パルス高さ分布であってもよい。図6の複数のピークに関する計算されたパルス高さ分布の実施例が、図7に示される。図7から分かるように、パルス高さ分布の2つのクラスタ、すなわち、第1のクラスタ702および第2のクラスタ704が、形成される。第1のクラスタ702は、第1の荷電状態を有するイオンに対応し、第2のクラスタ704は、第2の荷電状態を有するイオンに対応する。各クラスタにおけるパルス高さ分布は、同じではないが、プロファイルまたは分布の2つの明確に異なるグルーピングが、図7におけるプロットから明白である。
図3Dに再び目を向けると、ステップ3050において、動作3040において生成される、パルス特性分布は、相互と比較されてもよい。比較は、相互とパルス特性分布をグルーピングまたはクラスタ化するために、実施されてもよい。グルーピングまたはクラスタ化に基づいて、異なる同位体に属するイオンおよび/またはピークは、ともにグルーピングされてもよい。そのような比較を実施するための1つの方法は、パルス特性分布の間の相対的距離を計算することである。このために、適切なビニングが、採用され得、パルス特性分布が、強度範囲毎の確率を含有する、ベクトルとして表され得る。ユークリッド距離または任意の他の適切なノルムが、強度分布を表す対のベクトル毎に算出されることができる。計算された対毎ユークリッド距離の実施例が、図8に描写される表800において示される。事前に定義された閾値より小さい相対的距離を伴う、対応するパルス特性分布を有する、ピークが、特徴を形成するために、ともにグルーピングされることができる。例示的分析では、ピークが、そのような群内の各パルス特性分布の間の相対的距離が、0.1より小さい場合、特徴にグルーピングされ、したがって、2つの明確に異なる特徴に対応する、ピークの2つの別個の群を形成する。例えば、質量スペクトルにおいて同定される2つのピークが、相互と(すなわち、同一クラスタにおいて)非常に類似する対応するパルス特性分布を有し得る。そのパルス特性分布類似度は、ピークが、同一荷電状態を有するイオンから形成される可能性が高いことを示す。故に、ピークは、特徴としてともにグルーピングされ、かつ同位体クラスタの一部であると見なされてもよい。
図3Dに再び目を向けると、ステップ3060において、特徴の荷電状態が、ピークが同位体クラスタを形成していると仮定して、同定される。これを遂行するために、最初に、動作3050における特徴に対応する、またはグルーピングされるピークが、昇順または降順でソートされてもよい。特徴に対応する隣接するピークの間の距離が、m/z空間(例えば、第1のピークおよび第2のピークとの間のm/z距離)において、計算されることができる。コンセンサス距離が、次いで、他の観察される距離(例えば、コンセンサス距離の倍数である、他の距離)を適切に解説し得る場合、特定の特徴または最小距離のいずれかに関して最も豊富な(したがって、最も可能性の高い)距離に基づいて、選択され得る。同位体クラスタにおける隣接する同位体の間の距離は、特徴電荷に反比例し、したがって、特徴電荷は、それらの距離から推測されることができる。
そのような計算の実施例が、図9に示される。図9は、ピークが、その対応するパルス特性分布の類似度に基づいて、グルーピングされている、2つの特徴を描写する。例えば、第1の特徴に関して、4つのピークが、ともにグルーピングされている。第2の特徴に関して、3つのピークが、ともにグルーピングされている。ピーク場所およびピークの間のm/z距離は、個別のピーク毎に示される。距離に基づいて、予測される荷電状態が、距離の逆数に基づいて、生成されることができる。例えば、0.142の逆数は、7.04(すなわち、1/0.142=7.04)であり、0.334の逆数は、2.99(すなわち、1/0.334=2.99)である。最も頻繁に予測される電荷または距離は、次いで、荷電状態を同定または割り当てるために、使用されてもよい。例えば、第1の特徴に関して、m/z距離に起因する、最も一般的な予測される荷電状態は、約7である。荷電状態が、整数でなければならないため、コンセンサス荷電状態は、次いで、7になることが決定される。類似計算が、コンセンサス荷電状態が3であることを決定するために、第2の特徴に関して実施される。着目すべきこととして、第1の特徴のピーク2の距離とピーク3との間の距離は、コンセンサス距離と異なり、その差異の対処が、さらに下記に議論される。
図3Dに再び目を向けると、方法3000は、欠測ピークが算出され得る、ステップ3070に継続し得る。複数の方略が、本ステップを実施するために、使用されてもよい。例えば、欠測内部ピークを見出すために、アルゴリズムが、最初に、コンセンサス距離より大きく、実質的にコンセンサス距離の倍数である、隣接するピークの間の距離を見出す。乗算係数Nが、次いで、N=(測定された距離)/(コンセンサス距離)として計算される。余剰N-1ピークが、完全な同位体クラスタを形成するために、その個別の位置において、それらのピークの間に挿入されることができる。
そのようなアルゴリズムを使用するステップの実施例が、図9を参照して、実証され得る。図9では、第1の特徴のピーク2とピーク3との間の距離は、0.286であり、これは、第1の特徴における他のピークの間の距離より大きい。第1の特徴に関するコンセンサス距離は、約0.143である。上記の計算を使用して、N=0.286/0.143=2である。したがって、1つの(すなわち、N-1)ピークが、ピーク2とピーク3との間に挿入されてもよい。これに続くステップは、同位体クラスタを解説する、余剰ピークを提供する。ピークは、517.994m/z(標識されたピーク2および3のm/zを平均することによって計算される)のm/z位置に置かれる。
別のアルゴリズムがまた、代替として、または加えて、欠測ピークを検索するために採用され得、これは、内部ピークを見出すことのみに限定されない。本アルゴリズムは、可能性として考えられる隣接するピークの位置を算出し、次いで、そのような位置に対応する、記録される信号を抽出する。本信号はさらに、パルス特性分布を形成するために処理され、これは、次いで、ステップ3050-3060において説明されるように、類似方法を使用して、群におけるピークに関して算出されたパルス特性分布のうちの1つ(または代替として、平均)と比較されることができる。確認されるピークが、次いで、特徴のピークリストに適用される。
ステップ3080は、複数の特徴における重複ピークを見出すために、分析を実施するステップを含んでもよい。本ステップは、各特徴におけるピーク位置を比較することと、実質的に同一位置におけるピークを見出すこととによって、遂行されることができる。例えば、前のステップ3070から、517.994のm/zを伴う、新しく見出されたピークが、質量518.003を有する、特徴2(図9参照)からのピーク0と実質的に同一位置にある。重複ピークは、m/z差またはピークの間の距離を見出すことと、重複閾値とそれを比較することとによって、同定されてもよい。m/z距離が、閾値を下回る場合、ピークは、重複と見なされてもよい。
いったん重複ピークが、同定されると、重複ピークへの各特徴の寄与を見出すステップの余剰ステップが、実施されることができる。これに関して、連立一次方程式が、制約を伴って、または制約なしで、記述され、かつ近似的に解法されることができる。そのような制約が、非負になる各寄与の要件を含むことができる。本ステップは、例えば、非負の最小2乗近似のアルゴリズムを使用して、遂行されることができる。
ステップ3090では、検出事象(例えば、パルスに対応するイオン)が、特徴に割り当てられてもよい。ステップ3090は、例えば、以下のアルゴリズムを使用して、実施されてもよい。第1に、ステップ3070からのコンセンサス距離と、器具分解能等の1つまたはそれを上回る付加的機器パラメータを使用して、m/z分布が、特徴に関するピーク毎にモデル化されることができる。第2に、(全ての非重複ピークのパルス特性分布の平均として、計算されることができる)該特徴に関するコンセンサスパルス特性分布と、本ステップの第1の部分からのm/z分布とを使用して、そのような検出事象を有するための特徴の確率を反映させる2つの値が、算出されることができる。これらの値は、m/z位置および計算されたm/z分布の交差と、検出事象強度および特徴に帰するコンセンサス強度分布の類似交差とである。それらの値の生成が、閾値を使用して、特徴に検出事象を帰するために使用され得る、スコアである。
そのようなスコアを計算するステップの実施例が、モデル化ピーク1000およびコンセンサスパルス特性分布1050を描写する、図10を参照して、提供され得る。割り当てられるべき検出されたイオンが、517.994のm/z値および34のパルス高さを有していた。それらの値は、プロットにおいて、垂直線によって示される。517.994のm/z値は、0.31の強度において、モデル化ピークと交差する(強度は、モデル化ピークに関して、1に正規化されていることに留意されたい)。34のパルス高さは、0.25において、コンセンサスパルス特性分布と交差する。したがって、スコアは、0.0775になるように計算されてもよい(すなわち、0.31×0.25=0.0775)。
複数の重複特徴の場合、最高スコアをもたらす特徴が、選択される。重複されるピークへの該特徴の総寄与を相殺する、付加的制約がまた、設定および実装されてもよい。付加的または代替アルゴリズムはまた、検出されたイオンに対応する検出事象を割り当てるために、最も適切な特徴を決定するように、本ステップに関して実装されてもよい。そのようなアルゴリズムが、ベイジアン構造等を使用することによって、ある特徴に属する検出事象の確率を推定し得る。ステップ3010では、特徴荷電状態は、検出事象に割り当てられる。
図3Eは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法3200を描写する。動作3202では、パルスが、検出器によって検出された、複数のイオンにおけるイオン毎に生成される。例えば、イオンが、電子増倍検出器に衝突するとき、パルスが、生成される。生成されるパルスは、図1Bに描写され、かつ上記に議論されるパルスに類似し得る。パルスはそれぞれ、その個別のパルス特性を有する、またはそれによって説明され得る。検出されたイオンは、質量分析技法によって調査または分析されている、サンプルからイオン化されたイオンであってもよい。動作3204では、1つまたはそれを上回るパルス特性分布が、パルスの特性に基づいて、生成される。例えば、生成されるパルス特性分布は、パルス高さ等の特定のパルス特性に関して、生成されてもよい。故に、動作3204において生成される、パルス特性分布は、図2に描写され、かつ上記に議論されるパルス高さ分布に類似する、パルス高さ分布であってもよい。
動作3206では、パルス特性分布に基づいて、隣接する荷電状態を有するイオンピークが、同定される。隣接する荷電状態を有するピークを同定するステップは、パルス特性分布に基づいて、推定または粗荷電状態を決定するステップを含んでもよい。粗荷電状態同定は、対を形成する少なくとも1つのピークに関する可能性として考えられる荷電状態の範囲のみに正確であり得、本範囲からの少なくとも1つの荷電状態は、第2のピークに関して同定された、荷電状態に隣接する。
隣接する荷電状態を有するイオンピークの実施例が、図11における例示的プロット1100に示される。第1のピークが、(m/z)のm/z位置に位置し、第2のピークが、(m/z)のm/z位置を有する。それらのピークの荷電状態は、動作3204において生成されるパルス特性分布に基づいて、推定されてもよい。
動作3208では、ピークを形成するイオンの荷電状態の荷電状態はさらに、以下の方程式に基づいて、決定されてもよい。
Figure 2023526246000002
方程式1は、イオン(M)の非電荷担体質量を伴う第2のピーク(z)のm/z位置と、第2のピーク((m/z))の荷電状態と、電荷担体(X)の質量との関係を表現する。方程式2は、イオン(M)の非電荷担体質量を伴う第1のピーク((m/z))のm/z位置と、第2のピーク(z)の荷電状態と、電荷担体(X)の質量との関係を表現する。着目すべきこととして、方程式2は、第1のピークと第2のピークとの間の荷電状態差が、1であると仮定する。したがって、第1のピークと第2のピークとの間の推定される荷電状態差が1以外の値である、他の実施例では、方程式2における1は、その値と置換される。
方程式1および2に基づく、方程式3は、第2のピーク((m/z))のm/z位置と、第1のピーク((m/z))のm/z位置と、電荷担体(M)の質量とを伴う、第2のピーク(z)におけるイオンに関する荷電状態の間の関係を表現する。これらの値はそれぞれ、検出器によって測定されるか、またはイオン化されたサンプルおよび/またはサンプル調製プロセスから既知であるかのいずれかである。例えば、共通電荷担体が、約1原子質量単位(AMU)の質量を有する、陽子である。故に、第2のピーク(z)を形成するイオンの荷電状態は、方程式3を使用して、決定されてもよい。第2のピーク(z)を形成するイオンに関する決定された荷電状態に基づいて、第1のピーク(z)を形成するイオンに関する荷電状態は、決定されてもよい。決定された荷電状態は、初めに推定または決定される粗荷電状態と比較されるような、精緻化された荷電状態であってもよい。
精緻化された荷電状態は、ある整数またはある整数の閾値内等のその近傍のある整数であるべきである。そうではない場合、粗荷電状態同定または精緻化された荷電状態同定は、正しくなくなり得る。故に、粗および/または精緻化された荷電状態同定のみが、精緻化された同定された荷電状態が、ある閾値内の整数である場合、承認され得る。該当しない場合、粗荷電状態は、再推定され得、本方法が、再び、改訂された粗荷電状態で実施される。加えて、割当における信頼度を潜在的に増加させるために、隣接する荷電状態を伴う第3のピークが、同定されてもよい。第3のピークは、第1の2つのピークのうちの少なくとも1つと対を形成し、該共通ピークに関する荷電状態同定は、両方の対において合致している。
図3Fは、荷電状態割当に関する、別の例示的方法3300を描写する。方法3300は、イメージチャージ検出器を利用する。ADC検出器と異なり、イメージチャージ検出器が、質量分析器においてイオンの発振を検出する。図12は、質量分析器において発振する複数のイオンのそれぞれからの構成要素を含む、イメージチャージ検出器によって測定された、過渡時間ドメイン信号の例示的プロットを描写する。個々の構成要素に、イメージチャージ検出器によって測定された過渡時間ドメイン信号を分解するために、過渡時間ドメイン信号は、周波数ドメイン信号に変換される。変換方法が、限定ではないが、フーリエ変換またはウェーブレット変換を含む。周波数ドメイン信号におけるピークが、質量分析器において発振する複数のイオンの個々のイオンに対応する。周波数ドメインピークが、質量スペクトルを生成するために、具体的タイプの質量分析器に依存する周知の式を使用して、m/zピークに変換される。
イメージチャージ検出器に関して、したがって、周波数ドメイン信号またはピークの強度は、上記に説明されるパルスが、荷電状態に比例する方法に関して類似する、下層イオンの荷電状態に比例する。したがって、周波数ドメイン(FD)ピークの強度または他の特性は、上記に議論されるパルス特性分布に類似する分布を生成するために、使用されてもよい。FDピークの特性から生成される分布が、FDピークの強度が、特性着目として使用される、FDピーク特性分布またはFDピーク強度分布と称され得る。FDピーク特性分布は、次いで、荷電状態を決定するために、パルス特性分布と実質的に同一様式で使用されてもよい。
図3Fに再び目を向けると、動作3302では、質量分析器内の複数のイオンの発振によって、質量分析器のイメージチャージ検出器上で誘起される、過渡時間ドメイン信号が、検出される。動作3304では、過渡時間ドメイン信号は、複数の周波数ドメイン(FD)ピークに変換される。各周波数ドメインピークは、複数のイオンのイオンに対応し得る。
動作3306では、1つまたはそれを上回るFDピーク特性分布が、生成される。例えば、生成されるFDピーク特性分布は、強度等の特定のFDピーク特性に関して生成されてもよい。動作3308では、動作3306において生成される、1つまたはそれを上回るFDピーク特性分布に基づいて、動作3302において検出された複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態の同定が、生成される。FDピーク特性分布に基づいて、荷電状態を同定するステップは、パルス特性分布を使用して、本明細書に説明される方法のいずれかを使用して、実施されてもよい。例えば、FDピーク特性分布は、パルス特性分布の代わりに、使用されてもよい。
動作3310では、質量スペクトルが、検出されたイオンに関して生成される。質量スペクトルは、動作3308において同定された荷電状態に基づいて、生成されてもよい。例えば、既知の荷電状態で、重複ピークが、分解される、または別様に質量スペクトルにおいて示されてもよい。例えば、質量スペクトルを形成するイオンに関する荷電状態は、既知である、または動作3308において同定されるため、検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルが、生成されてもよい。逆畳み込み質量スペクトルに関して、質量スペクトルの1つの軸は、質量/電荷(m/z)ではなく、質量であってもよい。動作3312では、検出されたイオンに対応するサンプルにおいて、化合物または化合物の量が、同定されてもよい。化合物または化合物量は、動作304において生成される質量スペクトルからおよび/または動作3312において同定された荷電状態から、同定されてもよい。
図13は、イメージチャージ検出器1318を含む、例示的システム1300を描写する。図13のシステムは、質量分析計1310と、メモリおよびプロセッサ1320を含む、コンピューティング構成要素とを含む。プロセッサ1320およびメモリ等のシステムのコンピューティング要素は、質量分析計自体に含まれる、質量分析計に隣接して位置する、または質量分析計から遠隔に位置してもよい。一般に、システムのコンピューティング要素は、コンピューティング要素が、検出器1318から生成される信号を受信することが可能であるように、検出器1318と電子通信してもよい。プロセッサ1320は、複数のプロセッサを含んでもよく、信号を処理し、本明細書で議論される結果を生成するために、任意のタイプの好適な処理構成要素を含んでもよい。
質量分析計1310は、質量分析器1317を含む。質量分析器1317は、イメージチャージ検出器1318を含む。イメージチャージ検出器1318は、イオン荷電状態に比例する振幅を伴う検出されたイオンに関して、発振信号または過渡時間ドメイン信号を生成する。質量分析器1317は、限定ではないが、静電線形イオントラップ(ELIT)、FT-ICR、またはオービトラップ質量分析器を含む、イメージチャージ検出器を使用してイオンを検出し得る、任意のタイプの質量分析器であることができる。質量分析器1317は、ELITとして図13に示され、イメージチャージ検出器1318は、ELITのピックアップ電極として示される。
質量分析器1317は、質量分析器1317における複数のイオンの発振によって、イメージチャージ検出器1318上で誘起される過渡時間ドメイン信号1319を検出する。複数のイオンは、質量分析計1310によって、質量分析器1317に伝送される。プロセッサ1320は、複数の周波数ドメインパルスまたはピーク1321に、過渡時間ドメイン信号1319を変換する。各周波数ドメイン信号は、複数のイオンのイオンに対応する。プロセッサ1320は、例えば、フーリエ変換を使用して、複数の周波数ドメインピーク1321に過渡時間ドメイン信号1319を変換する。
プロセッサ1320は、2つまたはそれを上回る異なる荷電状態範囲に対応する、2つまたはそれを上回る異なる所定の強度範囲と、複数の周波数ドメインピーク1321の各周波数ドメインピークの強度を比較し得る。プロセッサ1320は、比較に基づいて、2つまたはそれを上回る所定の強度範囲に対応する、2つまたはそれを上回るデータセット1322のうちの1つに、各周波数ドメインピークを記憶してもよい。プロセッサ1320は、本明細書で議論される周波数ドメインピークおよび/または同定された荷電状態に基づいて、質量スペクトルを作成してもよい。
種々の実施形態では、プロセッサ1320は、複数の周波数ドメインピーク1321に、過渡時間ドメイン信号1319を変換し、2つまたはそれを上回る異なる所定の強度範囲と、各周波数ドメインピークの強度を比較し、入手の間、2つまたはそれを上回るデータセット1322のうちの1つに、各周波数ドメインピークを記憶する。代替実施形態では、プロセッサ1320は、複数の周波数ドメインピーク1321に、過渡時間ドメイン信号1319を変換し、2つまたはそれを上回る異なる所定の強度範囲と、各周波数ドメインピークの強度を比較し、入手後、2つまたはそれを上回るデータセット1322のうちの1つに、各周波数ドメインピークを記憶する。
上記に説明されるように、同一イオンの複数のコピーが、同時に質量分析器1317において発振する場合、測定された強度は、荷電状態に比例し得ない。結果として、種々の実施形態では、質量分析計1310は、質量分析器1317のみが、任意の所与の時間において、具体的m/zおよび荷電状態の単一イオンを含むように、質量分析器1317にイオンを伝送させる。
種々の実施形態では、図13のシステムはさらに、イオン源デバイス1311を含む。イオン源デバイス1311は、例えば、電気スプレーイオン源(ESI)デバイスであることができる。イオン源デバイス1311は、図13において質量分析計1310の一部として示されるが、別個のデバイスであることもできる。
加えて、質量分析計1310はさらに、解離デバイスを含む。解離デバイスは、限定ではないが、ExDデバイス1315またはCIDデバイス1313であることができる。解離デバイスが、例えば、トップダウンタンパク質分析に関して使用されることができる。
トップダウンタンパク質分析では、イオン源デバイス1311は、サンプルのタンパク質をイオン化し、イオンビームにおけるタンパク質に関する複数の前駆体イオンを生成する。解離デバイスは、イオンビームにおける複数の前駆体イオンを解離させ、イオンビームにおける異なる荷電状態を伴う複数のプロダクトイオンを生成する。質量分析計1310は、上記に説明されるように、複数のプロダクトイオンが、質量分析計1310によって質量分析器1317に伝送される複数のイオンであるように、質量分析器1317に複数のプロダクトイオンを伝送する。
種々の実施形態では、プロセッサ1320は、イオン源デバイス1311および質量分析計1310を制御する、またはそのための命令を提供するために、および収集されるデータを分析するために、使用される。プロセッサ1320は、例えば、1つまたはそれを上回る電圧、電流、もしくは圧力源(図示せず)を制御する、または制御することによって、命令を提供する。
図4は、荷電状態割当に関する、別の例示的方法400を描写する。方法400は、同位体分布が、少なくともいくつかのピークに関して十分に分解されない場合、特に、有用であり得る。動作401-404は、動作3010-3040と実質的に同一であってもよい。動作405では、特徴に関する荷電状態が、推定されてもよい。特徴は、類似パルス特性分布を共有する複数のピークから形成され得、特徴を形成するためのピークのグルーピングは、動作3050-3060に対して上記に議論されるように、実施され得る。動作406では、動作405において推定されるあらゆる可能性として考えられる荷電状態に関して、近隣ピークが、同定され得、可能性が、近隣ピークに関してスコア化され得る。動作407では、最も可能性の高い候補が、動作407において実施されるスコア化に基づいて、選択される。検出事象が、次いで、動作408における特徴に割り当てられ得、特徴荷電状態は、特徴の荷電状態に基づいて、検出事象に割り当てられ得る。
別の実施例では、図3A-3Eにおける方法は、図4における方法と組み合わせられてもよい。そのような実施例では、十分に分解された同位体パターンを有する、ピークが、図3Dの方法3000において説明される方略を使用して、処理されてもよい。実質的に分解されない同位体のパターンを有する、残りのピークに関して、図4からの方略が、使用されてもよい。そのような組み合わせでは、見出されたピークが、同位体的に分解されているかどうかを定義する余剰ステップが、採用されることができる。本ステップは、例えば、分解特徴および非分解特徴に関する本質量分析計のための特性ピーク幅と、検出された特徴のピーク幅を比較することができる。
全てのこれらの方法に関して、3つの肯定的な成果が、概して、想定され得、かつその有用性において実践的に同じであり得る。第1に、個々の検出事象についての情報(例えば、荷電状態)を使用して、逆畳み込み質量スペクトルが、式(m/z-mZを使用して、生成され得、式中、Zは、決定された荷電状態であり、mは、陽子の質量である。第2に、本情報は、m/z範囲全体またはm/z範囲の区分のいずれかを網羅する、荷電状態毎にスペクトルのセットを構成するために使用されてもよい。第3に、本情報は、それに割り当てられるm/zおよびzを有する、個々の特徴それぞれのリストを生成するために、使用されてもよい。分析されたサンプル内に存在する、化合物および/または化合物の量が、次いで、同定された特徴に基づいて、決定または生成されてもよい。
全ての説明された実施形態に関して、個々の検出事象に荷電状態を割り当てるステップは、特徴を形成するイオンから生じる該検出事象の確率を割り当てるステップと、故に、本特徴に割り当てられる荷電状態と関連付けられている、該検出事象の確率を割り当てるステップで代用される、またはそれを含むことができる。そのような確率が、例えば、ベイジアン構造を使用して、計算され得る。代表的質量スペクトル(全体または部分的のいずれか)を照合する後続のステップでは、検出事象からの比例寄与が、次いで、適宜、それが質量スペクトル内のその個別の位置とともに表す特徴の間に分散されることができる。
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることは、意図されない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。
例えば、本開示の側面は、本開示の側面に従って、方法、システム、およびコンピュータプログラム製品のブロック図および/または動作的例証を参照して、上記に説明される。ブロックに言及される機能/作用は、任意のフローチャートに示されるような順序以外で生じてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックが、実際、実質的に並行して実行され得る、またはブロックが、時として、関わる機能性/作用に応じて、逆の順序で実行されてもよい。さらに、本明細書および請求項で使用されるように、語句「要素A、要素B、または要素Cのうちの少なくとも1つ」は、要素A、要素B、要素C、要素AおよびB、要素AおよびC、要素BおよびC、ならびに要素A、B、およびCのいずれかを伝達するように意図される。
本願に提供される1つまたはそれを上回る側面の概要および例証は、請求される本開示の範囲をいかようにも限定または制限するように意図されない。本願に提供される側面、実施例、および詳細は、所有権を伝達し、他者が最良形態の請求される開示を作製および使用することを可能にするために十分であると見なされる。請求される開示は、本願に提供される、任意の側面、実施例、または詳細に限定されるものとして解釈されるべきではない。組み合わせて、または別個に、図示および説明されるかどうかにかかわらず、種々の特徴(構造的および方法論的の両方)は、特定のセットの特徴を伴う実施形態を生成するように、選択的に含まれる、または省略されるように意図される。本願の概要および例証を前提として、当業者は、より広い範囲の請求される開示から逸脱しない、本願で具現化されるより広い側面の一般的な本発明の概念の精神内に該当する、変形例、修正、および代替側面を想定し得る。

Claims (40)

  1. 検出されたイオンの荷電状態を分類するための方法であって、前記方法は、
    検出器によって検出された複数のイオンにおけるイオン毎のパルスを生成するステップであって、各パルスは、パルス特性を有する、ステップと、
    前記生成されたパルスのパルス特性分布を生成するステップと、
    前記パルス特性分布に基づいて、前記複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの前記荷電状態の同定を生成するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記パルス特性分布は、確率対パルス特性のプロットである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記パルス特性は、パルス高さ、パルス幅、またはパルス面積のうちの少なくとも1つである、請求項1-2のいずれか1項に記載の方法。
  4. 前記パルス特性は、パルス高さであり、前記パルス高さは、前記パルスの最大電圧である、請求項3に記載の方法。
  5. 前記検出器は、電子増倍検出器であり、前記検出器は、主として、単一イオン事象を検出するように構成される、請求項1-4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記荷電状態の同定を生成するステップは、基準パルス特性分布と前記パルス特性分布を比較するステップを含む、請求項1-5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記検出器によって検出された前記イオンは、サンプルのイオン化から生成され、前記基準パルス特性分布は、前記サンプルの既知の特性に基づいて同定される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記生成された同定は、前記荷電状態の確率を備える、請求項1-7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記荷電状態の前記同定に基づいて、前記検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルを生成するステップをさらに含み、前記質量スペクトルの1つの軸は、質量/電荷(m/z)ではなく、質量である、請求項1-8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記複数のイオンは、m/zドメインを使用して、異なる群にグルーピングされ、前記パルス特性分布に基づく荷電状態の前記同定は、群毎に実施される、請求項1-9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記グルーピングするステップは、
    前記複数の検出されたイオンに基づいて、質量スペクトルを生成するステップと、
    前記質量スペクトルにおける第1のピークを同定するステップであって、前記第1のピークは、質量/電荷(m/z)値を有する、ステップと、
    前記第1のピークの前記m/z値に基づいて、質量/電荷(m/z)範囲内でイオンをグルーピングするステップと
    を含む、請求項10に記載の方法。
  12. グルーピングするステップは、
    第1の強度帯域の中に前記複数のイオンの第1のサブセットを選択し、第2の強度帯域の中に前記複数のイオンの第2のサブセットを選択するステップと、
    前記第1の強度帯域に関する第1の質量スペクトルを生成するステップと、
    前記第2の強度帯域に関する第2の質量スペクトルを生成するステップと、
    前記質量スペクトルの少なくとも1つにおける第1のピークを同定するステップであって、前記第1のピークは、質量/電荷(m/z)値を有する、ステップと、
    前記第1のピークの前記m/z値に基づいて、質量/電荷(m/z)範囲内でイオンをグルーピングするステップと
    を含む、請求項10に記載の方法。
  13. 前記イオンに関する第2のパルス特性分布を前記m/z範囲内で生成するステップをさらに含み、前記同定を生成するステップは、
    前記第1のパルス特性分布を形成するイオンが、第1の荷電状態を有することを決定するステップと、
    前記第2のパルス特性分布を形成するイオンが、第2の荷電状態を有することを決定するステップと
    を含む、請求項10に記載の方法。
  14. 前記荷電状態の前記同定に基づいて、1つまたはそれを上回る同位体が前記第1のピークを形成する前記1つまたはそれを上回るイオンに対応することを決定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  15. 前記荷電状態の同定を生成するステップは、基準パルス特性分布と前記第1のパルス特性分布を比較するステップを含む、請求項10-14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記検出器によって検出された前記イオンは、サンプルのイオン化から生成され、前記基準パルス特性分布は、前記サンプルの既知の特性に基づいて同定される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記生成された同定は、前記荷電状態の確率を備える、請求項10-16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記方法は、トップダウンタンパク質分析の一部として実施される、請求項1-17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 第2のピークを同定するステップと、
    少なくとも前記第1のピークおよび前記第2のピークに基づいて、コンセンサスm/z距離を決定するステップと、
    前記第1のピークおよび前記第2のピークが、特徴を形成することを同定するステップと
    をさらに含み、
    前記荷電状態の前記同定を生成するステップは、前記コンセンサス距離に基づく、
    請求項11-18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記ピークが前記特徴を形成することを同定するステップは、前記ピークのパルス特性分布を比較するステップと、実質的に同一パルス特性分布を伴うピークを選択するステップとを含む、請求項19に記載の方法。
  21. パルス特性分布の前記比較は、前記パルス特性分布の間のユークリッド距離を計算することと、所定の閾値とそれを比較することとによって実施される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記コンセンサス距離に基づいて、前記特徴に対応する欠測ピークを同定するステップをさらに含む、請求項19-21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記イオンの前記荷電状態の前記同定に基づいて、前記検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルを生成するステップをさらに含み、前記質量スペクトルの1つの軸は、m/zではなく、質量である、請求項19-21のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記パルス特性は、前記パルスの最大電圧である、請求項1-23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 質量分析システムであって、
    検出器によって検出されたイオン毎のパルスを生成するように構成される検出器と、
    プロセッサと、
    メモリであって、前記メモリは、命令を記憶しており、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記システムに、
    電子増倍検出器に衝突する複数のイオンにおけるイオン毎のパルスを生成するステップであって、各パルスは、パルス特性を有する、ステップと、
    前記生成されたパルスのパルス特性分布を生成するステップと、
    前記パルス特性分布に基づいて、前記複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの荷電状態の同定を生成するステップと
    を含む動作のセットを実施させるように構成される、メモリと
    を備える、質量分析システム。
  26. 前記検出器は、電子増倍検出器である、請求項25に記載の質量分析システム。
  27. 前記質量分析システムはさらに、イオン源デバイスと、解離デバイスと、質量分析器とを含む、請求項25-26のいずれか1項に記載の質量分析システム。
  28. 検出されたイオンの荷電状態を分類するための方法であって、前記方法は、
    プロセッサを使用して、質量分析器内の複数のイオンの発振によって、前記質量分析器のイメージチャージ検出器上で誘起される過渡時間ドメイン信号を検出するステップと、
    前記複数のイオンにおけるイオンに対応する複数の周波数ドメイン(FD)ピークに、前記過渡時間ドメイン信号を変換するステップと、
    生成されたパルスのFDピーク特性分布を生成するステップと、
    前記FDピーク特性分布に基づいて、前記複数のイオンにおける1つまたはそれを上回るイオンの前記荷電状態の同定を生成するステップと
    を含む、方法。
  29. 前記FDピーク特性分布は、確率対FDピーク特性のプロットである、請求項28に記載の方法。
  30. 前記FDピーク特性は、ピーク強度である、請求項28-29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記荷電状態の同定を生成するステップは、基準FDピーク特性分布と前記FDピーク特性分布を比較するステップを含む、請求項28-30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記検出器によって検出された前記イオンは、サンプルのイオン化から生成され、前記基準FDピーク特性分布は、前記サンプルの既知の特性に基づいて、同定される、請求項28-31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記生成される同定は、前記荷電状態の確率を備える、請求項28-32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記荷電状態の前記同定に基づいて、前記検出されたイオンに関する逆畳み込み質量スペクトルを生成するステップをさらに含み、前記質量スペクトルの1つの軸は、質量/電荷(m/z)ではなく、質量である、請求項28-33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 検出されたイオンの荷電状態を分類するための方法であって、前記方法は、
    検出器によって検出された複数のイオンにおけるイオン毎のパルスを生成するステップであって、各パルスは、パルス特性を有する、ステップと、
    前記生成されるパルスのパルス特性分布を生成するステップと、
    前記パルス特性分布に基づいて、粗荷電状態を同定するステップと、
    前記ピークが隣接する荷電状態を有するように、第1のイオンピークおよび第2のイオンピークのピーク対を同定するステップと、
    前記第1のイオンピークに関するm/z値と、前記第2のイオンピークに関するm/z値と、電荷担体の質量とに基づいて、前記第2のイオンピークの精緻化された荷電状態を決定するステップと
    を含む、方法。
  36. 粗荷電状態同定は、対を形成する少なくとも1つのピークに関する可能性として考えられる荷電状態の範囲に正確であり、前記範囲からの少なくとも1つの荷電状態は、前記第2のピークに関して同定された前記荷電状態に隣接する、請求項35に記載の方法。
  37. 前記精緻化された同定された荷電状態が、ある閾値内の整数である場合、前記精緻化された荷電状態同定を承認するステップをさらに含む、請求項35-36のいずれか1項に記載の方法。
  38. 隣接する荷電状態を伴う第3のピークが、同定され、前記第3のピークは、前記ピークのうちの少なくとも1つと対を形成し、共通ピークに関する荷電状態同定は、両方の対において合致している、請求項35-37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記第2のイオンピークの前記決定された荷電状態に基づいて、前記第1のイオンピークの前記荷電状態を決定するステップをさらに含む、請求項35-38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記複数のイオンを生成するようにイオン化されたサンプルの既知の特性に基づいて、前記電荷担体の前記質量を取得するステップをさらに含む、請求項35-39のいずれか1項に記載の方法。
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