JP2023536420A - 認知状態についてのバイオマーカー - Google Patents

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Abstract

個体における認知障害のステージ及びアルツハイマー病の可能性を決定又は予測するマイクロRNA(miRNA)シグネチャーの分析。

Description

発明の属する技術分野
本発明は、個体における認知障害のステージ及びアルツハイマー病の可能性を決定又は予測するために使用することができるマイクロRNA(miRNA)シグネチャーに関する。この情報は、認知低下を予防又は遅延させるための予防的及び積極的な処置と組み合わせることができる。
発明の背景
アルツハイマー病(AD)の早期発見は、効果的な処置戦略の開発及びその提供にとって重大である。ADの病歴を伴う家系において公知の変異を同定することが可能である一方で、そのようなルーチン検査は、この疾患の散発的な形態を検出するために利用可能ではない。ApoEε4遺伝子型は遅発性ADについての長く確立されたリスク因子であるが、しかし、それ自体では、ADへの進行について強く予測的ではなく、他の単一の変異によって、より強い予測値が実証されたことはない。対照的に、脳脊髄液及び脳中でのアミロイドβ(Aβ)(ADの診断基準の1つ)の濃度、ならびに皮質構造における解剖学的変化を定量化することが可能である一方で、陽電子放射断層撮影法(PET)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)スキャン、又は腰椎穿刺の反復使用を伴わずに、これらの初期変化を測定することは可能ではない。これらは、高度に専門化した施設においてのみ利用可能な高価で及び/又は侵襲的な手順であり、現在、集団スクリーニングのために適切ではない。
注目が、ADの血中バイオマーカーに集中しているが、しかし、そのようなバイオマーカーは、現在、疾患の発症を予測するために利用可能ではない。実際に、アミロイドーシスと認知低下の間での強い関連にもかかわらず、血漿中のそれらのレベルが疾患と十分に相関するか否かについては多くの議論がある。Aβ及びホスホ-タウの直接測定は、新たな技術の開発にもかかわらず、非常に技術的に困難であった。これは、Aβの高度に凝集性の性質、血中での低いレベル、及びAβが脳からどのように輸送されるのかについての知識の欠如に起因する可能性が高い。さらに、血中のAβレベルはAD進行とともに低下するというエビデンスがある。
近年、増えつつある一連のエビデンスによって、マイクロRNA(miRNA)(遺伝子発現を転写後レベルで調節することにより機能する非コードRNAのクラス)がADにおいて調節不全になっていること、及び血中miRNAがこの疾患の良好な候補バイオマーカーでありうることが示唆される。興味深いことに、miRNAを脳脊髄液中で検出することができる一方で、miRNAは血液脳関門を通過し、タンパク質複合体との会合及び膜結合小胞、例えばエクソソームなどの中への隔離により分解から保護されている。
実際に、最近のエビデンスによって、エクソソームが神経変性疾患の伝播において含まれうること、及びエクソソーム由来miRNAがレシピエント細胞に形質導入することができることが示唆される。従って、miRNAの循環レベルは、神経細胞の機能及び機能不全を正確に反映しうるだけでなく、しかし、認知症の処置のための新たな標的を表しうる。
推定AD関連パネルを構成すると報告されているmiRNA種においては、ほとんど一貫性がない。試験コホート内の不均一性と並んで、血液の回収、処理、及び保存における分析前の変動、血液分画における変動、ならびにバイオマーカーレベルを評価するために使用される分析及び統計プラットフォームが、ADの血液ベースのバイオマーカーについての探索における決定的な限定因子である。
従って、初発ADの正確な指標である頑強で簡単にモニターされるバイオマーカーを同定し、これらが疾患の全経過にわたってどのように変化するかを理解することが極めて重要である。この必要性をいくらか満たすこと、及び/又は少なくとも公衆に有用な選択肢を提供することが本開示の目的である。
本発明の他の目的は、例としてだけ与えられる以下の説明から明らかになりうる。
本明細書中に含まれる文書、行為、材料、デバイス、物品、又は同様のもののいかなる考察も、もっぱら、本発明についての文脈を提供する目的のためである。これらの事項のいずれか又は全てが、先行技術基盤の一部を形成する、又は優先日前に存在した本発明に関連する分野における通常の一般知識であったことの承認として解釈されるべきではない。
発明の概要
本発明は、以下を含む、上昇した認知障害バイオマーカーパネルを検出する方法を提供する:a)表1(及び図1を参照のこと)中に列挙されるmiRNAバイオマーカーのいずれかのレベルを任意の組み合わせにおいてヒトからの体液サンプル中で検出すること;及びb)前記miRNAバイオマーカーの少なくとも1つのレベルが、健常コントロールレベルと比べて上方調節又は下方調節されている場合に、前記の上昇した認知障害バイオマーカーパネルを検出すること。一部の実施形態では、miRNAバイオマーカーは、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148a-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pを含む。一部の実施形態では、miRNAバイオマーカーは、さらに、miR-143-3p、miR-320a-3p、miR-365-3p、miR-532-5p、及びmiR-132-3pを含む。
一部の実施形態では、工程a)は、表1中に列挙されるmiRNAバイオマーカーのいずれかのレベルを任意の組み合わせにおいて体液中で検出することを含む。一部の実施形態では、miRNAバイオマーカーは、miR-29c、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pを含む。
一部の実施形態では、ヒトは、例えば、認知検査により決定されるように、認知障害又はアルツハイマー病を有することが疑われる。一部の実施形態では、体液サンプルは血漿である。一部の実施形態では、体液は、血清、白血球、又は全血より選択される。
一部の実施形態では、miRNAバイオマーカーのレベルを検出することは、増幅ベースの方法により検出することを含む。一部の実施形態では、miRNAバイオマーカーのレベルを検出することは、アレイベースの方法により検出することを含む。
一部の実施形態では、ヒトは、miR-29c-3p、miR-335-5p、もしくはmiR-142-3pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-122-5p、miR-342-3p、miR-885-5pが下方調節される場合、脳における高いアミロイドβ負荷、アミロイド陽性(Aβ+)を有する可能性が高いとして診断される。一部の実施形態では、本方法は、さらに、miRNAバイオマーカーmiR-27b-3p、miR-143-3p、miR-320a-3p、miR-532,5p、miR-193-3p、miR-324-5p、miR-365-3p、miR-148-3p、miR-27a-3p、もしくはmiR-132-3pのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、アミロイドβ負荷は、miR-27a-3p、miR-27b-3p、及びmiR-324-5pの発現のレベルと相関する。
一部の実施形態では、ヒトは、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-324-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-142-3pが下方調節されている場合、軽度認知障害(MCI)と診断される。一部の実施形態では、本方法は、さらに、miRNAバイオマーカーmiR-885-5p、miR-483-5p、miR-199a-3p、mir-365-3p、miR-132-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-143-3p、miR-335-5p、もしくはlet-7e-5pのレベルを検出することを含む。
一部の実施形態では、ヒトは、miR-122-5p、miR-193b-3p、もしくはmiR-885-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-27a-3p、miR-27b-3p、もしくはmiR-324-5pのいずれか1つが下方調節されている場合に、アルツハイマー病と診断される。一部の実施形態では、本方法は、さらに、miRNAバイオマーカーmiR-486-3p、miR-486-5p、miR-378-3p、miR-365-3p、miR-132-3p、miR-195-5p、miR-335-5p、miR-30c-5p、miR-340-5p、もしくはmiR-142-3pのレベルを検出することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、さらに、上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合、PETもしくはMRIスキャン、又は認知治療をヒトに施すことを含む。一部の実施形態では、薬物治療をまた、上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、ヒトに施す。
一部の実施形態では、本方法は、さらに、ヒトから腰椎穿刺を介して脳脊髄液を得ること(脊髄穿刺サンプル)、及び認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、サンプル中のアミロイドβ又はタウ/p-タウのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、本方法は、ヒトから血清、白血球、又は全血を得ること、及び認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、サンプル中のアミロイドβ又はタウ/p-タウのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、本方法は、さらに、体液又は組織サンプル中のApoE-ε4遺伝子型の存在を検出することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、さらに、認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、ヒトから採取されたサンプル中のアミロイドβ又はタウ/p-タウのレベルを検出することを含む。
本発明はまた、以下を含む、ヒトにおいて上昇した認知障害バイオマーカーパネルを測定する方法を提供する:a)ヒトから体液サンプルを得ること;b)任意の組み合わせにおいて、表1中に列挙されるmiRNAバイオマーカーより選択される、生物学的サンプル中のバイオマーカーのパネルについて測定値を決定すること、ここで、測定値はパネル中の各々のバイオマーカーのレベルを測定することを含む。一部の実施形態では、パネルは、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pを含む。一部の実施形態では、miRNAバイオマーカーは、さらに、miR-143-3p、miR-320-3p、miR-365-3p、miR-532-5p、及びmiR-132-3pを含む。
一部の実施形態では、ヒトは、認知障害又はアルツハイマー病を有することが疑われる。一部の実施形態では、体液サンプルは血漿である。一部の実施形態では、体液は、血清、白血球、又は全血より選択される。
一部の実施形態では、決定することは、増幅ベースの方法により測定することを含む。一部の実施形態では、決定することは、アレイベースの方法により測定することを含む。
一部の実施形態では、ヒトは、miR-29c-3p、miR-335-5p、もしくはmiR-142-3pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-122-5p、miR-342-3p、miR-885-5pが健常コントロールと比べて下方調節されている場合、脳において高いアミロイド負荷、アミロイド陽性(Aβ+)を有する可能性が高いと診断される。一部の実施形態では、本方法は、さらに、miRNAバイオマーカーmiR-27b-3p、miR-143-3p、miR-320a-3p、miR-532,5p、miR-193-3p、miR-324-5p、miR-365-3p、miR-148-3p、miR-27a-3p、もしくはmiR-132-3pのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、アミロイドβ負荷は、miR-27a-3p、miR-27b-3p、及びmiR-324-5pの発現のレベルと相関する。
一部の実施形態では、ヒトは、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-324-5pのいずれか1つが健常コントロールと比べて上方調節されている、又はmiR-142-3pが下方調節されている場合、軽度認知障害(MCI)と診断される。一部の実施形態では、本方法は、さらに、miRNAバイオマーカーmiR-885-5p、miR-483-5p、miR-132-3p、miR-199a-3p、mir-365-3p、miR-132-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-143-3p、miR-335-5p、もしくはlet-7e-5pのレベルを検出することを含む。
一部の実施形態では、ヒトは、miR-122-5p、miR-193b-3p、もしくはmiR-885-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-27a-3p、miR-27b-3p、もしくはmiR-324-5pのいずれか1つが健康コントロールと比べて下方調節されている場合、アルツハイマー病と診断される。一部の実施形態では、本方法は、さらに、miRNAバイオマーカーmiR-486-3p、miR-486-5p、miR-378-3p、miR-365-3p、miR-132-3p、miR-195-5p、miR-335-5p、miR-30c-5p、miR-340-5p、もしくはmiR-142-3pのレベルを検出することを含む。
一部の実施形態では、本方法は、さらに、上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合、ヒトにPETもしくはMRIスキャン、又は認知治療を施すことを含む。一部の実施形態では、薬物治療をまた、上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合、ヒトに施す。
一部の実施形態では、本方法は、さらに、ヒトから脊髄穿刺サンプルを得ること、及び上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合にサンプル中のアミロイド又はタウのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、本方法は、さらに、体液サンプル中のApoE-ε4遺伝子型の存在を検出することを含む。
本発明はまた、以下を含む、認知障害の進行を決定する方法を提供する:
a)第1の時間にヒトから第1の体液サンプルを得ること;
b)第1の時間後である第2の時間に、ヒトから第2の体液サンプルを得ること;
c)第1の体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148a-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pのレベルを検出すること;
d)第2の体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pのレベルを検出すること;
e)第1の時間に採取されたmiRNAバイオマーカーのレベルを比較し、それにより認知障害の進行を決定すること。
一実施形態では、ヒトは、miR-29c-3p及びmiR-335-5pが変化している場合、脳において高いアミロイド負荷を有する可能性が高いと診断される。
一実施形態では、ヒトは、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195、miR-148a-3pが変化している場合、軽度認知障害(MCI)と診断される。
一実施形態では、ヒトは、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-324-5pが変化している場合、アルツハイマー病と診断される。
本発明はまた、認知障害バイオマーカーパネルを検出するためのキットを提供する。一部の実施形態では、キットは以下を含む:a)miRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、mR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pの各々に特異的にハイブリダイゼートするオリゴヌクレオチド;ならびにb)miRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、mR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pの各々を特異的に検出する標識プローブ。一部の実施形態では、キットは、さらに、miR-143-3p、miR-320-3p、miR-365-3p、miR-532-5p、及びmiR-132-3pに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、ならびにmiR-143-3p、miR-320-3p、miR-365-3p、miR-532-5p、及びmiR-132-3pを特異的に検出する標識プローブを含む。一部の実施形態では、オリゴヌクレオチド又はプローブは、アレイに付着される。
一部の実施形態では、キットは、MCI及びADについての認知障害バイオマーカーを検出するための別々の反応混合物又は別々のアレイを含む。一部の実施形態では、キットは、さらに、本明細書で記載されている認知障害バイオマーカーのレベルを検出又は測定するための試薬、例えば、緩衝液、ポリメラーゼなどを含む。
一部の実施形態では、キットは、さらに、ApoE-ε4アレルの存在、又はアミロイドβ、もしくはタウ/p-タウレベルを検出するための試薬を含む。
本発明はまた、ヒトが、脳における高いアミロイドβ負荷、アミロイド陽性(Aβ+)を有する可能性が高いことの可能性を決定する方法を提供し、表1中に列挙されるmiRNAバイオマーカーのいずれかのレベルを任意の組み合わせにおいてヒトからの体液サンプル中で検出すること(例、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p及びmiR-885-5p)、ヒトが、健常コントロールレベルと比べて、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3pのいずれかが上方調節されている、又はmiR-122-5p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pが下方調節されている場合、脳において高いアミロイドβ負荷、アミロイド陽性(Aβ+)を有する可能性が高いことを決定することを含む。
本発明はまた、ヒトが軽度認知障害(MCI)を有する可能性を決定する方法を提供し、表1中に列挙されるmiRNAバイオマーカーのいずれかのレベルを任意の組み合わせにおいてヒトからの体液サンプル中で検出すること(例、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、及びmiR-885-5p)、ヒトが、健常コントロールレベルと比べて、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-324-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-142-3pが下方調節されている場合に、MCIを有する可能性が高いことを決定することを含む。
本発明はまた、ヒトがアルツハイマー病(AD)を有する可能性を決定する方法を提供し、表1中に列挙されるmiRNAバイオマーカーのいずれかのレベルを任意の組み合わせにおいてヒトからの体液サンプル中で検出すること(例、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、及びmiR-885-5p)、ヒトが、健常コントロールレベルと比べて、miR-122-5p、miR-193b-3p、もしくはmiR-885-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-27a-3p、miR-27b-3p、もしくはmiR-324-5pのいずれか1つが下方調節されている場合に、ADを有する可能性が高いことを決定することを含む。
Figure 2023536420000002
一部の実施形態では、体液は血漿である。一部の実施形態では、体液サンプル中のApoE-ε4遺伝子型の存在を検出することをさらに含む。
本発明はまた、本願の明細書中で言及される又は示される部分、要素、及び特色が、個々に又は集合的に、当該部分、要素、又は特色の2つ又はそれ以上の任意の又は全ての組み合わせからなると広義で言うこともでき、ここで、本発明が関係する技術分野において公知の等価物を有する特定の整数が、本明細書中で言及されている場合、そのような公知の等価物は、個別に示されているかのように本明細書中に組み込まれるとみなされる。
本明細書中に開示する数の範囲(例えば、1~10)への言及はまた、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)を組み込み、また、その範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5、及び3.1~4.7)を組み込み、従って、本明細書中に明確に開示する全ての範囲の全てのサブ範囲が、本明細書により明確に開示されていることを意図する。これらは、単に、具体的に意図されるものの例であり、列挙される最低値から最高値の間での数値の全ての可能な組み合わせが、類似の様式において本願中で明確に記述されていると考えるべきである。
本明細書では、特許明細書、他の外部文書、又は他の情報源を参照した場合、これは一般的に、本発明の特色を考察するための文脈を提供する目的のためである。特に具体的に記述しない限り、そのような外部文書への言及は、任意の法域において、そのような文書、又は情報の供給源が先行技術である、あるいは当技術分野における一般の一般的知識の一部を形成することの承認として解釈すべきではない。
本発明が関連する技術分野の当業者には、本発明の構造における多くの変化ならびに広く異なる実施形態及び適用が、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、示唆されるであろう。本明細書中の開示及び説明は、純粋に例証的であり、任意の意味で限定することを意図しない。
本発明を、添付の図面を参照して説明する。
図1-配列リスト。 図2-試験計画のフローチャート。 図3-Aβ+、MCI、及びAD断面コホートについてのmiRNA発現における加重倍変化のフォレストプロット:線形混合効果モデルは、Aβ+(n=21)を含み、MCI(n=74)及びAD(n=63)コホートについての結果をプールした。各々の疾患ステージについての観察結果を菱形(Aβ+=金色、MCI=橙色、AD=深紅色)で表している。菱形の幅は、推定値の精度(95%CI)を反映する;加重は、試験からの効果量推定値の逆標準偏差に対応する;X軸上の位置は、測定推定値(倍変化)を表し、水平線はマイクロRNA発現における「変化なし」を示している。正の効果量は、マイクロRNA発現における上方調節を、負の効果量は、下方調節を表す。データは、HC群に関連している。要約推定値を表5中に提供している。 図4-ベン図:メタ分析後に保持された16のmiRNAと疾患ステージの関連を示す。 図5-miRNAのコンセンサスランキング及びmiRNAの診断価値:a)メタ分析において同定された16のmiRNAの各々を、3つの独立した基準(表6を参照のこと)を使用して順位付けした。(b)各々のシグネチャー(太字)の診断能力を、ROC曲線のAUC値(正規化Ct値を用いたロジスティック回帰、HC群との比較)を計算することにより評価した。各々のROC分析の結果を(c)中に示す。 図6-AIBL縦断コホートにおけるバイオマーカーmiRNA発現の箱ひげ図:バイオマーカーmiRNAの発現を、AIBL縦断コホート(n=21;Aβ+からMCIステージ及びn=18 MCIからADステージ;総MCI=39)において試験した。箱内の線は、miRNA発現の中央値(正規化Ct値)を示し、ひげは95%CIを表す。有意差は、一般化推定方程式を用いて同定した(*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001)。ハッシュ化された線は、AIBL HC群における中央値を表し、縦断的分析には含まれない。 図7-バイオインフォマティクス:(a)Aβ+、MCI、及びAD関連のマイクロRNA(表6を参照のこと)、(b)バイオマーカーのマイクロRNAの組み合わせリスト、及び(c)センチロイド値(アミロイドーシス)と相関するものにより標的化されるパスウェイを示す。
発明の詳細な説明。
本発明者らは、特定の血漿中miRNAが、ADのAPPswe/PSEN1dE9トランスジェニックマウスにおいてアミロイドーシスとともに動的に変わることを示した。ADの複雑な起源を裏付ける今回の及び他の試験に基づき、本発明者らは、標準化された生体液(血漿)を採取し、頑健なmiRNA分析プラットフォーム(定量的PCR TaqManマイクロ流体アレイ)を使用して、認知疾患の進行の種々の相を効果的に反映する特有のmiRNAベースのバイオマーカーを同定することを目指した(図2を参照のこと)。
したがって、本発明者らは、AD、軽度認知障害(MCI)、認知機能が正常であるが、しかし、A陽性(Aβ+)、ならびに年齢及び性別を一致させた高齢の人々の特徴付けされたコホートの血漿中でのmiRNAレベルを、TaqManマイクロ流体アレイを使用して評価した。本発明者らは、分析前の処理に関係なく、ADやMCIで一貫して変化する一群のmiRNAを同定したが、しかし、重要なことに、特定のマイクロRNAのレベルが、疾患の進行を通じて動的であることを示した。本明細書に記載する結果は、血漿中で変化する疾患関連miRNAを同定することが可能であること、及びそのmiRNAシグネチャーがAD進行の過程にわたり変化することを示している。
定義。
用語「認知障害バイオマーカー」は、個体が有意なアミロイドレベル、認知障害、もしくはADを有する、又は発症する可能性を評価するために使用することができるバイオマーカーを指す。バイオマーカーは、特定のmiRNA、mRNA、又はタンパク質の存在、非存在、又は差次的発現であることができる。バイオマーカーはまた、miRNA、RNA(スプライスバリアント)、DNA(例、メチル化)、もしくはタンパク質(例、リン酸化)の改変バージョンであることができる、又はmiRNA、RNA、DNA、もしくはタンパク質の変異又は対立遺伝子バリアントを表す。本明細書中に記載する認知障害バイオマーカーパネルは、表1中に示すmiRNAバイオマーカーを任意の組み合わせで、場合により、ApoE-ε4及びアミロイドベータを含むことができる。
用語「核酸」は、当技術分野において周知である。本明細書中で使用する「核酸」は、一般的に、核酸塩基を含むDNA、RNA、もしくはその誘導体又はアナログの分子(1つ又は複数の鎖)を指す。核酸塩基は、例えば、DNA(例、アデニン「A」、グアニン「G」、チミン「T」、又はシトシン「C」)又はRNA(例、A、G、ウラシル「U」、又はC)において見出される天然のプリン塩基又はピリミジン塩基を含む。用語「核酸」は、各々が用語「核酸」の亜属として、用語「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」を包含する。核酸モノマー「ヌクレオチド」は、「骨格部分」をさらに含むヌクレオシドを指す。骨格部分は、ヌクレオチドを、ヌクレオチドを含む別の分子に、又は別のヌクレオチドに共有結合的に付着させて、核酸を形成する。天然ヌクレオチドにおける「骨格部分」は、典型的には、リン部分を含み、それは、5炭糖に共有結合的に付着している。骨格部分の付着は、典型的には、5炭糖の3’又は5’のいずれかの位置で生じる。しかし、他の型の付着が、特にヌクレオチドが天然5炭糖又はリン部分の誘導体又はアナログを含んでなる場合に、当技術分野において公知である。
語句「に選択的に(又は特異的に)ハイブリダイズする」は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、その配列が複合混合物(例、全細胞又はライブラリーDNAもしくはRNA)中に存在する場合に、特定のヌクレオチド配列に優位な(例、ハイブリダイゼーション分子の少なくとも50%が)、分子の結合、二重結合、又はハイブリダイゼーションを指す。
ポリヌクレオチドプライマーは増幅反応において(例、約60Cのアニーリング温度で)ポリヌクレオチドテンプレートに特異的にハイブリダイズし、この時、プライマーが、ポリヌクレオチドの複合混合物(例、細胞から単離)を含む反応混合物中のテンプレートを増幅して、少なくとも最も支配的な増幅産物であり、好ましくは、反応の唯一の有意な(例、サンプル中の全ての増幅産物の少なくとも90~95%を表す)増幅産物を産生する(例、Sambrook et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、N.Y.、2nd ed. 1989)を参照のこと)。
用語「同一」又は「100%の同一性」は、2つ又はそれ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈において、同じ配列である2つ又はそれ以上の配列又は部分配列を指す。2つの配列は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用して、又は手動での整列化及び目視検査により測定された、比較ウィンドウ、又は指定領域にわたる最大対応性について比較及び整列化した場合に、同じであるアミノ酸残基又はヌクレオチドの特定パーセンテージ(即ち、特定領域にわたって、又は特定されない場合は、配列全体にわたって60%同一性、場合により65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%同一性)を有する場合、「実質的に同一」又は一定のパーセント同一である。典型的には、1つの配列が参照配列として作用し、それとテスト配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、テスト配列及び参照配列をコンピュータ中に入力し、必要な場合、部分配列の座標を指定し、配列比較アルゴリズムのプログラムパラメータを指定する。デフォルトプログラムパラメータを使用することができ、又は代替パラメータを指定することができる。配列比較アルゴリズムは次に、プログラムパラメータに基づいて、参照配列と比べて、テスト配列についての配列同一性パーセントを算出する。配列同一性パーセント及び配列類似性を決定するのに適切であるアルゴリズムの例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、それらはそれぞれ、Altschul et al.(Nuc. Acids Res. 25:3389-402、1977)、及びAltschul et al.(J. Mol. Biol. 215:403-10、1990)において記載されている。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、ウェブサイトncbi.nlm.nih.govのthe National Center for Biotechnology Informationを通じて公的に入手可能である。
用語「容器(vessel)」、「チューブ」、「容器(container)」、「マイクロウェル」などは、例えば、キット中に反応又は試薬を保持する物体を指す。
用語「予後」、「予後予測」、「予後的」、「予測」、「予測する」、「予測的」、「診断」、「診断的」、及び関連する用語は、個体を参照して、例えば、ADへの進行の確率を含む、認知機能の結果を推定するプロセス及び結果を示すために本明細書中で使用される。これらの用語はまた、用語「評価する」、「評価」、「評価している」、及び関連する用語の範囲中に含まれる。予後及び転帰予測の種々の測定値を使用することができ、例えば認知低下の確率などであり、予後及び/又は予測は、しばしば、推定値又は確率として表現され、常に正確ではないことを理解すべきである。
「コントロール」サンプル又は値は、テストサンプル又はテスト条件との比較のための参照、通常は公知の参照としての役割を果たすサンプルを指す。例えば、テストサンプルは、テスト条件、例えば、認知低下の徴候を示す個体から採取し、公知の条件、例えば、健常な又は認知的に正常な個体(陰性コントロール)からの、又はMCIもしくはADを有することが公知である個体(陽性コントロール)からのサンプルと比較することができる。コントロールはまた、多数のテスト又は結果から収集された平均値又は範囲を表すことができる。コントロールはまた、反応条件について調製することができる。例えば、核酸の存在についての陽性コントロールは、サンプル中に存在することが公知である配列を検出するプライマー又はプローブを含むことができる一方で、陰性コントロールは核酸を含まないであろう。当業者であれば、コントロールが、任意の数のパラメータの評価のために設計することができることを認識するであろう。コントロールは、インビトロ適用のために設計することができる。当業者は、どのコントロールが所与の状況において価値があるかを理解し、コントロール値との比較に基づいてデータを分析することができるであろう。コントロールはまた、データの有意性を決定するために価値がある。例えば、所与のパラメータについての値が、コントロールにおいて広く変動している場合、テストサンプル中での変動は有意として考えられない。
用語「治療」は、用語「処置」と同義的に使用される。治療は、1つ又は複数の種類の治療を含んでもよい。例えば、治療は、認知治療及び薬物治療の組み合わせを含みうる。治療又は処置は、特定の期間にわたり1回又は複数回施され、治療又は処置が施されない期間が続く。治療サイクルは、数日又は数週間(一例として、4週間)にわたり継続することができる。1つ又は複数のサイクルの治療又は処置を施すことができる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10サイクルの治療又は処置を施すことができる。治療は、例えば、応答に依存して、異なるサイクルの間、同じであっても、又は変動してもよい。治療サイクルの間、治療は、外来患者として、又は入院患者として、1日、連続数日間、又は継続的に施されうる。治療は、特定のプロトコルに依存して、数分、数時間、又は数日間継続してもよい。治療サイクルは毎週、隔週、又は毎月繰り返してもよい。治療サイクルは、1つ又は複数の治療セッションを含むことができる。1つ又は複数の治療サイクルをまとめて治療の「コース」として言及することができる。
本明細書及び特許請求の範囲において使用される用語「含む(comprising)」は、「少なくとも一部からなる」を意味する。本明細書及び特許請求の範囲における、用語「含む(comprising)」を含む各々の記述を解釈する場合、それ以外の特色又はその用語で前置きされた特色がまた、存在しうる。関連用語、例えば「含む(comprise)」、「含まれる(comprised)」、及び「含む(comprises)」などは、同じ様式で解釈されるべきである。
本明細書中で使用されるように、用語「及び/又は」は、「及び」もしくは「又は」、又はその両方を意味する。
本明細書中で使用されるように、名詞に続く「(s)」は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
例えば、本明細書中で処方において使用される一般的な化学的及び生物学的用語は、それらの通常の意味を有する。
miRNA及びその検出。
マイクロRNA(miRNA)は、17~25塩基の低分子RNAであり、それらは、真核生物において遺伝子発現の調節因子として機能する。miRNAは、最初に、プライマリーmiRNA(pri-miRNA)と呼ばれる、長い一次転写産物の一部として核中で発現される。これらは成熟型miRNA中にプロセッシングされ、miRNAを、標的mRNAの3’非翻訳領域(3’-UTR)に標的化することができる活性分子である。
特定のmiRNAは、miRNA分子、miR、又はその等価物、あるいはその供給源又は前駆体として言及されることがある。一部のmiRNA分子は、いくつかの前駆体によりコードされる。また、1つの前駆体が、複数の成熟miRNA分子に導きうることも可能である。用語「miRNA」は、特に示さない限り、その前駆体から切断された後の処理済みmiRNAを指す。
細胞外miRNAは、広範囲の体液中を自由に循環する。したがって、一部の実施形態では、1つ又は複数のmiRNAバイオマーカーのレベルを決定するために使用される生物学的サンプルは、体液、例えば、血液、血清、血漿、尿、唾液、涙、汗、精液、膣分泌物、リンパ液、気管支分泌物、又はCSFなどである。一部の実施形態では、サンプルは、CSF以外の体液、特に、血漿から得られる。
生物学的サンプル中の1つ又は複数のmiRNAバイオマーカーのレベルは、任意の適切な方法により決定してもよい。一般的に、miRNAは、mRNA検出のために公知である種々の方法により、サンプル、例えば単離RNAのサンプルなどから検出及び定量化することができ、例えば、増幅ベースの方法(例、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、ローリングサークル増幅など)、ハイブリダイゼーションベースの方法(例、ハイブリダイゼーションアレイ(例、マイクロアレイ)、NanoString分析、ノーザンブロット分析、分岐DNA(bDNA)シグナル増幅、及びin situハイブリダイゼーション)、及びシーケンシングベースの方法(例、次世代シーケンシング方法、例えば、Illumina又はIonTorrentプラットフォームを使用)を含む。他の例示的な技術は、リボヌクレアーゼ保護アッセイ(RPA)及び質量分析法を含む(例えば、Zhang et al. MicroRNA Detection and Pathological Functions、Chpt. 1.4、Springer 2015を参照のこと)。
一部の実施形態では、RNAは、分析前にDNA(cDNA)に変換される。cDNAは、従来の技術を使用して、単離miRNAの逆転写により生成することができる。miRNA逆転写キットは公知であり、商業的に入手可能である。適切なキットの例は、mirVana TaqMan miRNA転写キット(Ambion、米国テキサス州オースティン)、及びTaqMan miRNA転写キット(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)を含むが、これらに限定しない。ユニバーサルプライマー、又は特異的プライマー(miRNA特異的ステムループプライマーを含む)が公知であり、例えば、Applied Biosystemsから商業的に入手可能である。一部の実施形態では、miRNAは、測定前に増幅される。他の実施形態では、miRNAのレベルは、増幅プロセスの間に測定される。さらに他の実施形態では、miRNAのレベルは、測定前に増幅されない。サンプル中のmiRNAのレベルを決定するために適切な一部の例示的な方法を、以下により詳細に記載する。これらの方法は例証としてだけ提供され、他の適切な方法が同様に使用されうることは、当業者には明らかであろう。
miRNA核酸配列のレベルを検出するための多くの増幅ベースの方法が存在し、PCR、RT-PCR、qPCR、及びローリングサークル増幅を含むが、これらに限定しない。そのような方法はまた、DNA又はmRNA、例えば、ApoE-ε4を検出するために使用することができる。他の増幅ベースの技術は、例えば、リガーゼ連鎖反応、マルチプレックスリガーゼプローブ増幅、インビトロ転写(IVT)、鎖置換増幅、転写媒介増幅、RNA(Eberwine)増幅、及び当業者に公知である他の方法を含む。
miRNAの定量的リアルタイムPCR用のキットが公知であり、商業的に入手可能である。
適切なキットの例は、TaqMan miRNA Assay(Applied Biosystems)及びmirVana qRT-PCR miRNA検出キット(Ambion)を含むが、これらに限定しない。miRNAは、逆転写酵素の前に、ユニバーサルプライマー配列、ポリアデニル化配列、又はアダプター配列を含む一本鎖オリゴヌクレオチドにライゲーションして、ユニバーサルプライマー配列に相補的なプライマー、ポリ(T)プライマー、又はアダプター配列に相補的である配列を含むプライマーを使用して増幅させることができる。
本明細書に記載するmiRNAは、miRNAアレイを使用して分離及び/又は検出することができ、miRNAアレイは、複数のmiRNA分子又は前駆体miRNA分子と完全に又はほぼ相補的又は同一であり、空間的に分離された組織化で支持体上に位置付けられた核酸分子(プローブ)の順序付きマクロアレイ又はマイクロアレイである。マクロアレイは、典型的には、プローブがスポットされたニトロセルロースやナイロンのシートである。マイクロアレイは、核酸プローブをより高密度に配置し、例えば、最大10,000の核酸分子を、典型的には、1~4平方センチメートルの領域中に適合させることができる。マイクロアレイは、核酸分子、例えば、遺伝子、オリゴヌクレオチドなどを基板上にスポットし、オリゴヌクレオチド配列を基板上にインサイツで作製することにより作製することができる。スポット又は作製された核酸分子は、1平方センチメートル当たり最大約30の非同一核酸分子又はそれ以上、例えば、1平方センチメートル当たり最大約100又はさらには1000の高密度マトリックスパターンにおいて適用することができる。マイクロアレイは、典型的には、固体支持体としてコーティングガラスを使用する。miRNAを補足する核酸サンプルの順序付きアレイを有することにより、各々のサンプルの位置を追跡し、元のサンプルに関連付けることができる。複数の異なる核酸プローブが固体支持体の表面に安定的に結合している、多様な異なるアレイデバイスが、当業者に公知である。
また、本明細書の記載中には、認知障害バイオマーカーパネルを検出するためのキットが含まれる。キットは、任意の組み合わせにおいて、表1中に列挙されるバイオマーカーのいずれかに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含むことができる。一部の実施形態では、キットは、標識プローブ(例、蛍光、又は他の非天然標識)を含む。一部の実施形態では、キットは、増幅、例えば、RT-PCRのための試薬、例えば緩衝液及びポリメラーゼなどを含む。
本明細書中に記載するキットは、多重検出のために設計することができ、別々の容器中のアミロイドベータ、認知障害、及びADに関連付けられるバイオマーカーを伴う。キットは、例えば、本明細書中に記載する認知障害バイオマーカーを検出するための、少なくとも1つのマイクロアレイを含むことができる。キットはまた、消耗品(例、反応容器、試薬)及び使用のための説明書を含むことができる。
認知障害及びアルツハイマー病の診断及び予測。
本明細書に記載するバイオマーカーパネルは、個体における認知障害及びADの進行を予測するより定量的な方法を提供しようとしている。現在、認知症及びADは、個体における混乱、物忘れ、社会的引きこもり、視覚・空間理解の喪失、又は気分の変化に気付くことにより検出される。
いくつかの認知検査がまた、利用可能であり、ミニメンタルステート検査(MMSE)、Mini-Cog検査、Addenbrooke’s Cognitive Examination-Revised(ACE-R)、モントリオール認知評価を含む。そのような検査は、有利には、本明細書中に記載するバイオマーカーパネルとの組み合わせにおいて用いる。
認知治療は、認知障害を伴う個体において認知能力を改善又は維持することが示されている。これらの治療は、4つの一般的なアプローチ中に分類される:(1)認知志向の処置(例、現実志向、スキルトレーニング)、(2)感情志向の処置(例、支持治療、検証/統合感情志向ケア、スヌーズレン、回想)、(3)行動志向の処置(行動治療)、及び(4)刺激志向の処置(例、活動又はリクリエーション治療、芸術治療、音楽治療、運動、精神運動治療)。例えば、Carrion et al(2018)Dementia and Geriatric Cognitive Disorders 46:1及び米国精神医学会からのガイドラインを参照のこと。
一部の実施形態では、本明細書に記載するバイオマーカーパネルは、認知治療との組み合わせにおいて、例えば、治療の有効性を決定するため、又は認知機能の低下を遅らせるために使用される。
一部の実施形態では、脊髄穿刺を、脳脊髄液(CSF)を得るために、個体について要求することができる。CSF中のアミロイド(例、Aβ-42)及び/又はタウ(例、総タウ及びリン酸化タウ)レベルを測定することは、本明細書に記載する認知障害バイオマーカーパネルからの結果を確認するために有用でありうる。なぜなら、これらが、AD患者の脳におけるプラーク形成と関連付けられるためである。
脳造影は、認知障害の診断のために使用することができる。なぜなら、神経変性が、しばしば、ADの症状である認知低下と並行及び先行するためである。4種類の造影モダリティは、構造的MRI、機能的MRI、18F-2-フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース(FDG)PET、及びアミロイドPETである。構造的又は組成的な異常を、MRIスキャンを用いてモニターすることができる一方で、FDG-PETは、グルコース代謝機構をモニターして、減少した脳活動の領域を特定することができる。種々の造影方法の間で、アミロイドPETが、アミロイドトレーサーを利用することにより脳内の凝集Aβの特徴付けるその能力のため、最も信頼できる造影ツールである。
造影バイオマーカーは、臨床使用のために承認されており、正確な診断におけるそれらの信頼性に起因して、有利と考えられているが、これらの造影モダリティに関連付けられる経済的負担及び利便性の問題によって、ADを特定する際での、それらの包括的な使用が妨げられている。これらの困難に加えて、MRI及びFDG-PETスキャンは、しばしば、ADを他の神経変性障害から区別するのに苦労する。これらの技術は、従って、例えば、上昇した結果が個体について返された場合、本明細書に記載する認知障害バイオマーカーパネルと有利に組み合わせることができる。
一部の実施形態では、本明細書中に記載する方法は、例えば、上昇した認知障害バイオマーカープロファイルにより決定されるように、認知障害を発症することが予測される又は有する個体に、処置を施すことを含む。アルツハイマー病及び認知障害は、完全に治癒可能ではないが、特定の薬物オプションが利用可能であり、開発中であり、それらによって症状に対処する。これらは、特定の抗アミロイド抗体(例.アデュカヌマブ、ガンテネルマブ、ソラネズマブ)、コリンエステラーゼ阻害剤、メマンチンベルベセスタット、ラナベセスタット、ヘテロアリールカルボキサミド(US10487079を参照のこと)、(1R-トランス)-N-[[2-(2,3-ジヒドロ-4-ベンゾフラニル)シクロプロピル]メチル]プロペンアミドの代謝物(US9617203を参照のこと)、ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4(3H,5H)-ジオン誘導体(US9440983を参照のこと)を含む。AD及び認知障害のための処置に関するより多くの情報を、ウェブサイトalz.orgで見出すことができる。
さらに、処置のための使用、例えば認知障害又はADを処置するための上に列挙する使用などが、本明細書中に記載する認知障害バイオマーカーパネルにより明らかにされた情報に照らして含まれる。そのような処置はまた、本明細書中に記載する認知障害バイオマーカーパネルにより明らかにされた情報に照らして、認知障害又はADを処置するための医薬の製造において使用することができる。
以下の非限定的な実施例を、本発明を例証するために提供し、決してその範囲を限定しない。
実施例。
本発明者らは、認知機能低下の特定のステージで血漿中に頑強に検出されるマイクロRNA(miRNA)に着目しようとしたが、それには、miRNA単離及び分析方法の標準化が要求された。本発明者らは、認知障害及びアルツハイマー病(AD)の進行を反映する頑強なmiRNAベースのバイオマーカーパネルを特定しようとした。
表2中に示すように、文献中では、ADに関連付けられる、報告されたmiRNAにおいて有意な変動があった。また、表2は、標準化されたサンプル種類及び方法を使用して得られた、本発明者らの試験の結果を、文献中で報告されている結果と並べて示す。
Figure 2023536420000003

Figure 2023536420000004
コホート及び血液手順:
オタゴアルツハイマー病(オタゴ-AD):参加者はオタゴ地区から募集された。医療記録を確認し、ADの可能性ありとの診断が、コンサルタント神経科医及び臨床心理士の同意判断により下された。個体は、彼らが、国立神経疾患・脳卒中研究所及びアルツハイマー病・関連障害協会(NINCDS-ADRDA;McKhann et al.、1984)の基準を満たす場合に、AD参加者として分類された(n=44)。コントロール群(n=49;年齢及び性別を一致)は、同じ綿密な神経心理学的検査及び神経学的評価を受けた。全てのAD患者が神経画像検査(MRI又はCT)を受け、画像及び臨床記録が、交絡する併存疾患について検査された。血液処理手順の概要については、表3を参照のこと。
Figure 2023536420000005
ApoEジェノタイピング:ゲノムDNAを、NucleoSpin Tissue XSキット(Macherey-Nagel)を使用して、製造元の指示に従って、白血球から抽出した。ApoE-ε4遺伝子型をTaqManジェノタイピングアッセイ(TaqMan SNPs;Rs429358/Rs7412;Life Technologies、オーストラリア、ビクトリア州マルグレイブ)により評価した。
MCIサンプル:血漿サンプルをPrecisionMed Inc(米国カリフォルニア州ソラノビーチ)から購入した。これらの血漿は、MCI(n=36)及びコントロール(n=40)の年齢及び性別が一致された参加者からの血漿を含んでいた。診断は、CT又はMRI画像と並んで、改変ADAS-Cog、CDR、ウェクスラー記憶検査、MMSEスコア(>2領域中での欠損)に基づいていた。
Australian Imaging、Biomarker & Lifestyle Flagship Study of Ageing(AIBL)からのサンプル:ADの高い可能性(n=21)、MCI(n=38)、Aβ+(n=21)、ならびに認知的に正常でAβ-の年齢及び性別が一致された認知的に正常なコントロール(n=20)を伴う個体から供与された血漿サンプル。診断は臨床評価に基づいていた(Ellis et al. 2009.センチロイドスケール(アミロイド負荷の包括的な尺度)を使用して、参加者をAβ+(>45CL)又はAβ-(0-20CL)として定義した(Rowe et al、2018)。Aβ+の参加者は全て、MCIステージに転換され(n=21)、MCI参加者の大半が、ADステージに転換された(n=18)。ApoEジェノタイピングを、記載されているように行った(Gupta et al 2015)。
コホート及び縦断試験の人口統計学的な詳細を、表4中に示す。略語は以下の通りである:参加者:HC、認知的に正常なコントロール;Aβ+、認知的に正常なアミロイド陽性;Aβ-、認知的に正常なアミロイド陰性;MCI、軽度認知障害;AD、アルツハイマー病;F、女性;M、男性;MMSE、ミニメンタルステート検査;ApoEε4、アポリポタンパク質Eε4;p値:スチューデントt検定(HCと比較、p<0.05)。
Figure 2023536420000006
マイクロRNA発現プロファイリング。
マイクロRNA発現プロファイリングを、TaqManマイクロ流体アレイを使用して標準化した。RNAは、3つの異なる抽出プロトコル(TRIzol/Norgen、MirVana、Norgen)を比較した後に、MirVana Paris(Life Technologies、Cat # AM1556M)を使用して血漿から単離した。標準的なTaqManマイクロ流体アレイ(A及びBカード)を使用した784のマイクロRNAの初期スクリーニング後、本発明者らは、血漿中で高度に検出される、又は神経疾患及びコントロール(U6 snRNA及びath-miR-159a)と高度に相関する、186のマイクロRNAについてカスタムデザインのマイクロ流体アレイを作製した。このアプローチは、APP/PS1トランスジェニックマウスモデルにおける老化及びアミロイドーシス発症の間での血漿中のマイクロRNAレベルを評価する、本発明者らの以前の研究において成功裏に使用された(Ryan 2018)。
固定量(3μl)の全RNA(~50ng)を、カスタムMegaplex RTヒトプライマーツール(Applied Biosystems)及びTaqManマイクロRNA逆転写キットを使用して、相補的DNA(cDNA)に変換した。cDNAを、qPCR(Automatic baseline threshold;ViiA-7リアルタイムPCR機器、Quantstudio Real-Time PCRv1.3 Software;Applied Biosystems)前にカスタムMegaplex PreAmpヒトプライマープールを使用して事前に増幅させた(12サイクル)。未加工Ct値分析を、計算環境Rバージョン3.3.4においてBioconductor HTqPCRパッケージバージョン1.10.0(Dvinge et al、2009)を使用して実施した。全てのサンプルにおいて発現していない、又はCt<12及び>33を有するマイクロRNAを除外した。全てのサンプルが、溶血のmiR-23a/miR-451テストで合格した(Blondal et al.、2013)。
統計分析。
横断試験:Norm Rank Invariantを使用したデータの正規化後、差次的に発現されたマイクロRNA(症例/一致コホートコントロール、p<0.05)を、経験的ベイズ調整t検定を使用して同定し、p値を、偽発見について制御するためにBenjaminiとHochbergの手順を使用して調整した。外れ値を、Grubb検定を使用して同定した。データの正規分布を、D’AgostinoとPearsonのオムニバス正規性検定を使用して確認した(p>0.05)。データを処理し、ヒートマップを、GraphPad Prism(Version 8)を使用して作成した。
メタ分析を、Rパッケージ「metafor」(バージョン2.0-0、CRAN.R-project.org/package=metaforで入手可能)を使用して行った。固定効果モデルをAβ+群について選んだ一方で、ランダム効果モデルをMCI群及びAD群について選択した(DerSimonianとLairdの方法)。試験間の推定不均一性を、CochranのQ及び!統計量を使用して評価し;ここで、Qep<0.1;!(%)>75%を、AD群において有意に不均一であると考えた。結果は、フォレストプロットを用いて視覚化し、プールされた効果量推定値、ならびにそれらの信頼区間(95%CI)を示した。
一変量及び多変量ロジスティック回帰を、Forward:Wald方法(MedCalc、Version 15.11.4)を用いて実施した。各々のロジスティック回帰モデルについての適合度を、Hosmer-Lemeshow検定を使用して評価した(p>0.05)。ROC曲線下面積(AUC)を、全体的なモデル適合度について評価した(p<0.05)。ログ・ランク検定を、Mantel-Cox方法(GraphPad Prism Version 8)を使用して実施し、疾患群及びコントロール群の発現(正規化Ct)を比較した;p<0.05を有意と考えた。
バイオインフォマティクス分析:DIANA-microT v3.0(Tarbase v7.0)及びmiRTarBase(release 7.0)を、最もストリンジェントなアルゴリズムパラメータで使用し、16のバイオマーカー候補miRNAの有効な標的を同定するために用いた。DAVID(v6.7)(http://david.ncifcrf.gov)を使用して、本発明者らは、脳及び血液において発現される遺伝子に着目した。この群内で濃縮された生物学的経路を、Enrichrツール(amp.pharm.mssm.edu/Enrichrのウェブサイトを参照のこと)を使用して同定し、ユーザーが精選したWikipathwaysを検索した。
Kegg Mapper(https://www.genome.jp/kegg/mapper.html)を使用して、各々の疾患状態に関連付けられる遺伝子を色分けした。
縦断的試験:疾患進行に伴うマイクロRNA発現における変化を特定するために、カプラン・マイヤープロット(グラフパッド・プリズム、バージョン8)を、AIBLコホートからの縦断的サンプルのサブグループを使用して構築した(Aβ+→MCI転換者、n=21;MCI→AD転換者、n=18)。ログ・ランク検定を使用して、各々のマイクロRNA発現(正規化Ct)の分布を比較し、それらの発現がAβ+からADへの疾患の進行と相関するか否かを決定した;中央値及び95%CIを報告する;p<0.05を有意と考えた。AUCを上のように決定した;95%CIを報告する。
一般化推定方程式(SPSS、version 25.0)を使用して、縦断的サンプルにおける有意な効果を決定した。従属変数は、試験されたマイクロRNA発現(正規化Ct)であった。複合対称性を作業相関行列構造について使用し、Waldカイ二乗を群の効果について検定し、各々のセットでの推定限界平均のペアワイズ比較が続いた。平均値の差は、0.05水準で有意である。
P値を伴うピアソンの相関係数rを、正規化Ctを含む複数の変数について生成し、それによって、MedCalcソフトウェアVersion 15.11.4を使用した方法を使用し、マイクロRNAにおける異なった発現を恐らくは説明できる。
バイオインフォマティクス分析:DIANA-microT v3.0(Tarbase)及び miRTarBase(release 7.0)を、最もストリンジェントなアルゴリズムパラメータを使用して用いて、16の候補バイオマーカーmiRNAの有効な標的を同定した。DAVID(v6.7)(http://david.ncifcrf.gov)を使用して、本発明者らは、脳及び血液において発現される遺伝子に着目した。この群内で濃縮された生物学的経路を、Enrichrツール(http://amp.pharm.mssmedu/enrichr)を使用して同定し、ユーザーが精選したwikipathwaysを検索した。Kegg Mapper(https://www.genome.jp/kegg/mapper.html)を使用して、各々の疾患状態に関連付けられる遺伝子を色分けした。
コホートの特徴付け。
本発明者らの試験において利用された横断的及び縦断的コホートの人口統計学的及び臨床的特色を、表4中にまとめている。オタゴアルツハイマー病試験(Otago-AD)では、本発明者らは、オタゴ地域からADならびに年齢及び性別を一致させた健常コントロール(HC)参加者のボランティアコホート(n=93)を募集した。ADとHCの間での有意差は、MMSEスコア(t(83)=9.647、p<0.0001)及びApoE遺伝子型(t(86)=3.556、p=0.003)について見出された。本発明者らは、AD参加者の60%がApoEε4対立遺伝子の保因者であることを見出したが(オッズ比:4.6203(95%CI 1.85-11.57))、この値は、過去の文献と高度に一致している。本発明者らはまた、Precision Med(PMed;米国ソラノビーチ)及びThe Australian Imaging Biomarkers and Lifestyle study(AIBL)から血漿サンプル及び関連する人口統計学的データを得た。PMedコホート(n=76)は、MCIを伴う患者ならびに年齢及び性別を一致させたHC参加者により与えられた血漿サンプルから成った。PMed MCI群とHC群の間の有意差が、MMSEスコアについて見出された(t(74)=-18.872、p<0.0001);ApoE遺伝子型は利用可能ではなかった。AIBLコホート(n=100)は、MCIを伴う個体、及び、アミロイド陰性(Aβ-)又はアミロイド陽性(Aβ+;センチロイドスケール:(-)0~20CL;(+)>45CL、表4)のいずれかであると決定された、AD患者ならびに年齢及び性を一致させたHC参加者から提供された血漿サンプルから成った。全てのMCI及びADの参加者が、Aβ+であった。MMSEスコア及びApoE遺伝子型の両方における有意差が、HC群とMCI(t(56)=-6.603、p<0.001;(t(39)=4.314、p<0.0001)又はAD(t(39)=-6.990、p<0.001;t(56)=4.411,p<0.001)の間で見出された。
本発明者らは、MCIの68%及びADの76%がApoE4対立遺伝子の保因者であることを見出した(オッズ比。MCI:12.28(95% CI 3.00-50.01);AD:14.17(3.04-66.75))。
差次的に発現されるマイクロRNAの同定:横断的分析。
多くの試験にもかかわらず、試験コホート内の不均一性、血液処理、及びmiRNA分析プロトコルによって、ADの予後又は診断のためのmiRNAベースのバイオマーカーパネルの同定を妨げているように見える(meta;O’Bryant)。本発明者らは、バイオマーカーが臨床的に関連しているためには、それは、コホート-コホートの変動に非依存的であるべきであるが、しかし、miRNA分析のために選ばれた生体液又は方法に従って変動しうる、と推論している。
さらに、特定のmiRNAが、アミロイドーシス発症の間に、発現において変動することを示した、本発明者らの以前の研究に基づき、本発明者らは、特定のmiRNAの発現が、ADの進行に伴い変動することを推論した。従って、コホートにわたり関連するが、しかし、疾患ステージに特異的であるmiRNAベースのバイオマーカーパネルを同定するために、本発明者らは、qPCR TaqManマイクロ流体アレイを使用して、Aβ+、MCI(PMed、AIBL)、及びAD(オタゴ-AD、AIBL)のコホートからの血漿中のmiRNAを、それらのそれぞれのHCと比べて定量化した。差次的に発現されるmiRNAを、以下の3つの基準に従って同定した:倍変化(FC)±0.2、経験的ベイズ調整t検定p<0.05、及び全てのサンプル中での発現。少なくとも1つの群内で有意に差次的に発現していることが見出されたmiRNA(表1.倍変化)。
この分析のモードでは、ADコホート中で変化したmiRNAにおけるかなりの類似性が示されたが、75%が同じ方向に変化していた(59%上昇;16%下落)。ADコホート間で検証されなかったmiRNAは、MCI群でも大きく不均一であった。実際に、MCI群は、全体的に、より大きな不均質性を示したが、同じ方向において変化しているmiRNAが約50%だけである(39%上昇、9%下降)。興味深いことに、MCI群において一貫して上方調節されたmiRNAのうち、62%がまた、Aβ+群において上方調節され、Aβ+群において調節されたmiRNAの75%がまた、AIBL-MCI群において一貫して調節されており、これらのmiRNAがAD進行の初期に変化するという結論に重きを置いている。
倍変化の基準(FC±0.2)を満たすmiRNA(n=32)に着目し、本発明者らは、miR-195-5p(BACE1の3’UTRを標的化することが公知であり、AD死後脳において低下しているmiRNA)が、全てのコホート及び疾患群にわたり一貫して上方調節されていることを見出した。さらに、miR-885-5pは、Aβ+群において下方調節されているが、しかし、全てのMCI群及びAD群において一貫して上方調節されていることが示された。
AD群内では、10のマイクロRNAが一貫して上方調節され(miR-122-5p、miR-132-3p、miR-193b-3p、miR-195-5p、miR-320-3p、miR-365-3p、miR-378-3p、miR-486-3p、miR-532-5p、miR-885-5p)、ならびに5つが下方調節されているように見える(miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-142-3p、miR-324-5p、及びmiR-652-3p)。
MCI群内では、9つのマイクロRNAが一貫して上方調節され(miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-132-3p、miR-148a-3p、miR-195-5p、miR-199a-3p、miR-335-5p、miR-483-5p、miR-885-5p)、1つが一貫して下方調節されている(miR-142-3p、)。
まとめると、これらの分析によって、血液分画及び分析プラットフォームを一定に保持する一方で、独立したコホートにわたり及び異なる疾患ステージ内でmiRNA発現パターンにおける一貫した変化を同定することが可能であることが示された。
これらの知見をさらに検討するために、本発明者らは、メタ分析により同様のコホート間でデータをプールし、複合効果を推定し、本発明者らの統計的検出力を増加させた。メタ分析モデルを適合して、各々のmiRNAの加重倍変化(プールされた推定効果量)(図3、表5)及びそれらの95%信頼区間を得た。AD群における有意な不均一性によりデータをフィルタリングし(Qepテスト、!統計)、16の推定バイオマーカーmiRNAのセットをもたらした(図3)。ベン図(図4)は、特定のマイクロRNA及び疾患ステージの関連をまとめており、miR-27b-3p及びmiR-885-5pは、全ての疾患群において有意に調節されていた。注目すべきことに、これらのmiRNAはまた、低い不均一性を示す(図3)。3つの独立したコホートからのデータを引き出して、これらの分析によって、特定のmiRNAが、HCと比べて、Aβ+、MCI、又はAD群にわたり動的に発現していること、及び統一されたバイオマーカーシグネチャーが入手可能であることが確認された。
Figure 2023536420000007
この16-miRNAセットからバイオマーカー候補miRNAを優先順位付けする方法として、本発明者らは次に、統計的コンセンサスアプローチ(Wiedrick et al 2019及びLusardi et al 2017)を使用して、個々のmiRNAの重要性を順位付けすることを試み、差次的発現分析の出力(p値)、正規化Ct値の分布(対数順位p値)、及び疾患群のメンバーシップを予測するマイクロRNAの能力(AUC)を組み合わせた。表6を参照のこと。
Figure 2023536420000008
図5中に示すように、各々の疾患ステージについてのバイオマーカー候補の優先順位リストが得られた。AD群では、上位に順位付けされたマイクロRNAが、最も高いFCを有した(表1)。これは、しかし、Aβ+群又はMCI群については該当せず、このように、このコンセンサスアプローチの使用を支持している。次に、本発明者らは、疾患群のメンバーシップを予測する、上位に順位付けされたマイクロRNAの組み合わせの能力をROC分析により決定した。マイクロRNAの数は、Peduzziら(1996)の推奨事項に準拠するように制限された。得られたAUCは、Aβ+:0.857(miR-29c-3p及びmiR-335-5p);MCI:0.823(miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195b-5p、miR-148a-3p)、及びAD:0.817(miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-324-5p、及びmiR-885-5p)であった。この分析によって、固有のマイクロRNAバイオマーカーシグネチャーが、各々の疾患ステージを反映し、予後的及び診断的な有用性を有することが示唆された。
miRNA発現:縦断的分析。
miRNAバイオマーカーと疾患進行との関連をさらに探索するために、本発明者らは、Aβ+及びMCIとして分類された時にサンプルを提供した個体(n=21)ならびにMCI及びADとして分類された時にサンプルを提供した個体(n=18)を含むAIBLコホートから縦断的サンプルのサブグループを抽出した(表4;図2)。
本発明者らは、一般化推定方程式(GEE、表7)を使用して、疾患の進行に伴う本発明者らの候補バイオマーカーの発現における傾向を評価し、サンプルの縦断的性質及びその結果としてのデータセットの独立性の欠如を考慮した。この分析によって、この縦断的コホート内の個体内での、この一群のマイクロRNAの動的な調節が確認された。8つのマイクロRNAが、Aβ+からMCIへの移行において有意に変化し(上昇:miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p;下落:miR-29c-3p、miR-142-3p、miR-195-5p、miR-324-5p、miR-335-5p)、4つのマイクロRNAが、MCIからADへの移行において有意に低下していることが示された(図6)。この群は、Aβ+からMCIへの移行において上方調節されたmiR-27a-3p、miR-27b-3p、及びMCIからADへの移行において下方調節されたmiR-195-5p、miR-324-5pを含んだ。これらの結果は、マイクロRNAレベルにおける変化が、疾患において初期に起こり、動的でありうることを裏付ける。しかし、これはまた、特定のマイクロRNA(例えばmiR-195-5p、miR-324-5pなど)が、疾患を通じて一貫して調節されていることを示す。また、これらの結果は、観察されたマイクロRNAレベルにおける変動が、単に分析前処理における変動の結果ではなく、実際に疾患の進行を反映することを示す。
Figure 2023536420000009
次に、miRNAの診断的有用性を探り、本発明者らは、ROC分析により疾患群のメンバーシップを予測する各々の能力を評価した。結果として得られるAUCは、0.51~0.76の範囲であり、因子としてのApoEε4の包含により、0.8~0.95の範囲まで顕著に増加した(表8)。miR-29c-3p及びmiR-335-5pが、Aβ+群において最も強いAUCを示したのに対し、miR-142-3p、miR-148a-3p、及びmiR-27b-3pは、MCI群において最も強く、miR-27a-3p及びmiR-27b-3pは、AD群において最も強いことが示された。さらに、本発明者らは、ピアソン相関を使用して、AD群におけるアミロイドβ負荷(センチロイド値;表4)が、miR-27a-3p(r=0.466;p=0.002)、miR-27b-3p(r=0.391;p=0.012)、及び miR-324-5p(r=0.406;p=0.009)と有意に相関していることを見出した。
まとめると、これらの分析は、これらのmiRNAがADの進行に伴って変動するだけでなく、しかし、予後の有用性を有しうることを示唆しており、特に、miR-27a-3p、miR-27b-3p、及びmiR-324-5pとアミロイドーシスとの関連性を強調している。
Figure 2023536420000010
推定バイオマーカーマイクロRNAとアルツハイマー病の関係:生物学的関連性。
バイオインフォマティクスアプローチを使用し、本発明者らは、候補マイクロRNAバイオマーカーとAD分子病態の関連性を探った。疾患ステージ関連シグネチャー(図5)に着目し、本発明者らは、有効な標的mRNAを同定し、遺伝子セット濃縮ツールEnrichr(Kuleshov et al.、2016)を使用して、結果として得られたリストを解釈した。候補Aβ+、MCI、及びADバイオマーカーマイクロRNA群についての標的が、AD関連Wikipathwayにおいて有意に濃縮されることが示され、最も高い過剰発現経路が、疾患ステージの各々について(図7a)及び組み合わせ(図7b)において同定された。全てのマイクロRNA標的の組み合わせの経路分析によって、加えて、ニューロトロフィンシグナル伝達、MAPKシグナル伝達、及びmTORシグナル伝達が同定された。ニューロトロフィンシグナル伝達はまた、インスリン抵抗性及び長期増強と並んで、センチロイド値と相関するマイクロRNAの経路分析において強調された(図7c)。候補バイオマーカーマイクロRNAが、ADの血漿及び/又は死後組織のいずれかにおいて変化していることが以前に示されているとの観察と並んで(表2)、この分析によって、候補マイクロRNAバイオマーカーとADの進行ステージの基礎となる病理の間の関連性が強化される。
考察
小さな非コードRNA、特にマイクロRNAは、神経変性疾患のバイオマーカー及び新規治療用薬剤として注目の的である。現在までに、100の候補マイクロRNAを提示している30超の試験にもかかわらず、ADについての合意されたコンセンサス血液バイオマーカーはない。この再現における失敗は、不一致した血液分画方法及びマイクロRNA分析における変動に起因しうる。血液分画及び分析の様式を、統計的なコンセンサスアプローチと一緒に一定に保つことにより、本発明者らは、ADに関連付けられる固有の血漿マイクロRNAのセットを決定している。重要なことに、本発明者らは、血漿中のマイクロRNAレベルが、症状が現れる前に変化し、疾患進行に伴って動的に変動することを初めて示している。本発明者らが強調してきた個々のマイクロRNAが全て、以前にADと関連付けられており、バイオインフォマティクスを使用し、本発明者らは、本発明者らの候補マイクロRNAが、神経原線維変化ならびにミクログリア及びアストログリアインフラマソーム調節を含む、PI3K-Aktシグナル経路(ADの基礎となる分子病態との関係が十分に確立されている経路)に集中することを示している。これによって、本発明者らの試験において収集されたマイクロRNAが、有効なAD関連バイオマーカーのセットを含み、ならびに脳内で生じている疾患プロセスを反映する、という結論に重みが付いた。
本発明者らの研究は、特に、上昇したmiR-29c-3p及びmiR-335-5pレベルを、初期アミロイドーシスの新規バイオマーカーとして強調している。miR-29c-3p及びmiR-335-5pの両方のレベルが、以前に、ADの生体液中で変化することが示されており(表2)、miR-29c-3p及びBACE1、ならびにmiR-335-5p及びAβのレベルは逆相関しており、それらの両方が、脳におけるアミロイドレベルに直接寄与することを示唆している。さらに、miR-29c-3p及びmiR-335-5pの両方が、モリス水迷路において記憶能力を増強することが示されている。miR-335-5pは、神経細胞に富むマイクロRNA及びAD関連遺伝子ネットワークの提案された重要レギュレーターであり、本発明者らのバイオインフォーマティック分析によって、一緒に、これらのマイクロRNAが、炎症応答及びグリオブラストーマならびにPI3K及びmTOR経路にマッピングされることが示された。実際に、miR-29c-3pは、ミクログリアにおけるインフラマソーム活性化に対して保護することが公知であり、神経保護における役割が示唆されている。miR-335-5pが血漿中で上方調節されているという本発明者らの知見は、Chengらの知見を支持しており、彼らは、このマイクロRNAが、AIBL-ADコホートからの、血漿から分離された細胞外小胞において上方調節されていることを示した。興味深いことに、過去2例の試験によって、miR-335-5pが死後脳において下方調節されていることが示されており、このように、ADが、細胞外小胞中へのmiR-335-5pの輸送における増加と関連付けられることを示唆している。
本発明者らのバイオマーカーシグネチャー内では、本発明者らは、大半のマイクロRNAの発現が疾患の進行にわたり変動していることを見出した。しかし、本発明者らの横断的試験では、miR-195-5p及びmiR-335-5pが、コントロール群よりも一貫して高いことが示されたが、しかし、興味深いことに、AIBL縦断的サブグループでは、本発明者らは、それらのレベルが、コントロールレベルを上回りながら、疾患の進行に伴って低下していることを見出した。miR-195-5pの上方調節はまた、神経保護応答の一部でありうる。なぜなら、このマイクロRNAは、BACE1及びAPPの両方の発現ならびにアポトーシスを阻害するからである。さらに、miR-195-5pのノックダウンによって、樹状突起の長さ及び数が減少することが示されており、シナプスに位置する分子、ニューログラニン(NRGN)は、ADの死後組織及び神経由来エクソソームにおいてそのレベルが低下しているmiR-195-5pの有効な標的である。
疾患ステージ関連バイオマーカーマイクロRNAの組成における変化と同時に、本発明者らは、MCI群及びAD群にマッピングされる追加の経路を観察した。特に、MCI分析では、AGE/RAGE経路及びVEGFA-VEGFR2シグナル伝達経路が同定された。これは興味深い。なぜなら、両方の経路がまた、神経保護に関連しているためである。実際に、高度糖化最終産物及びその受容体の阻害が、潜在的なADの治療として議論されており、miR-142(MCI群において本発明者らが最も高く順位付けしたマイクロRNA)はRAGE経路を標的化する。miR-142-3pは炎症経路を直接標的化するため、これは、miR-142-3p標的の脱抑制が、最初に、神経炎症応答を抑えることに関連付けられうるとの示唆に導く。ADにおける神経炎症の役割については多くの議論がある一方で、最近、低下した発現をもたらす、miR-142のプロモーター中での遺伝子変異(rs2526377:A>G)が、ADの低下リスクと有意に関連付けられることが示されたことは興味深い。このように、ADにおけるmiR-142の役割についてのさらなる研究が必要である。
進行性ADを伴う個体におけるアミロイド負荷(センチロイド値)と相関するマイクロ RNA は、HIF-1 シグナル伝達経路にマッピングされた。この経路は、VEGF、MAPK、PI3Kシグナル伝達と連関しており、APPのアミロイド形成処理を促進させる。可塑性に関連する経路であるニュートロフィンシグナル伝達及び長期増強がまた、この群にマッピングされた。miR-27a-3p、miR-27b-3p、及びmiR-324-5pは、以前に、血液又は死後の脳組織において変化していることが示されている(表2を参照のこと)。実際に、miR-324-5pの下方調節は、加齢の間でのシナプス喪失に寄与することが議論されており、miR-27b-3pは、腫瘍壊死因子α及びインターロイキン6の発現を阻害する、炎症性マイクロRNAと考えられている。興味深いことに、miR-27a-3pは、ApoE-ε4遺伝子型、炎症、及びアミロイド重合に関連付けられるセリンプロテアーゼインヒビターをコードするSERPINA3を標的化する。まとめると、これらのバイオインフォマティクス分析によって、本発明者らの候補バイオマーカーマイクロRNAと炎症及びアミロイドーシスの間での強い関係が強調され、これらの血漿バイオマーカーが、脳内で生じている疾患プロセスを反映しているという結論に導かれた。
要約すると、本発明者らの試験により強調された血漿中マイクロRNAは、複数のコホートを使用した統計的コンセンサスアプローチを使用して導き出され、疾患進行に伴って変動し、AD神経病理の基礎となる公知の工程を反映しており、それ故に、診療における疾患リスク予測において有用でありうる。本発明者らの初期シグネチャーは、個体が症候性となる前に、基礎となる病態を予測することができうる。これらのデータはユニークであり、発症前の個体のさらに詳細な分析により、及び、潜在的には、血漿又はCSF中の神経細胞のエクソソーム由来マイクロRNAの分析により、強化される必要がある。また、これらのマイクロRNAの血漿レベルに対する、他のエンドフェノタイプ、例えばApoE-ε4状態などの影響、ならびに試験コホートの民族性を理解することが重要であろう。これらのデータは、現在利用可能な認知行動治療及び薬物治療をさらにテストし、このように、疾患の発症を遅延させることができる臨床治験中への組み入れの基準の改善のために高度に貴重であろう。全体的には、本発明者らは、バイオマーカーが動的であり、疾患進行に伴って変化することを示しており、縦断的バイオマーカーテストについての必要性を強調する。本発明者らの後期シグネチャーへの移行は、リスクのある個体をさらに特定し、高度に専門的な検査が必要な、より進行性の患者を優先させる際に有用でありうる。
本発明の範囲を、上記の実施例だけに限定する意図はない。当業者により理解されうるように、多くのバリエーションが、添付の特許請求の範囲に示された本発明の範囲から逸脱することなく可能である。
参考文献
Figure 2023536420000011

Figure 2023536420000012

Claims (38)

  1. 上昇した認知障害バイオマーカーパネルを検出する方法であって、
    a)ヒトにおける体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5p のレベルを検出すること;ならびに
    b)前記miRNAバイオマーカーの少なくとも1つのレベルが、健常なコントロールレベルと比べて上方調節又は下方調節されている場合に、前記の上昇した認知障害バイオマーカーパネルを検出することを含む方法。
  2. 前記ヒトが高いアミロイド-β負荷又は認知障害もしくはアルツハイマー病を有することが疑われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記体液サンプルが血漿である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程a)が、増幅ベースの方法により検出することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 工程a)が、アレイベースの方法により検出することを含む、請求項1~3のいずれか一項記載の方法。
  6. miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-122-5p、miR-342-3p、miR-885-5pが下方調節されている場合に、前記ヒトがアミロイド-β陽性であるとして診断される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. miR-27b-3p、miR-143-3p、miR-320a-3p、miR-532-5p、miR-193-3p、miR-324-5p、miR-365-3p、miR-148-3p、miR-195-5p、miR-27a-3p、miR-132-3pのレベルを検出することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
  8. miR-195-5p、miR-148-3p、miR-324-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-142-3pが下方調節されている場合に、前記ヒトが軽度認知障害(MCI)と診断される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  9. miR-885-5p、miR-483-5p、miR-132-3p、miR-199a-3p、miR-365-3p、miR-132-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-143-3p、miR-335-5p、又はlet-7e-5pのレベルを検出することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-885-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-324-5pのいずれか1つが下方調節されている場合に、前記ヒトがアルツハイマー病と診断される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  11. miR-486-3p、miR-486-5p、miR-342-3p、miR-378-3p、miR-365-3p、miR-132-3p、miR-195-5p、miR-335-5p、miR-30c-5p、miR-340-5p、又はmiR-142-3pのレベルを検出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、前記方法が、さらに、前記ヒトにPETもしくはMRIスキャン又は認知治療を施すことを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記方法が、さらに、前記ヒトから脊髄穿刺サンプルを得ること、及び上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、前記サンプル中のアミロイド又はタウのレベルを検出することを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記体液サンプル中のApoE-ε4遺伝子型の存在を検出することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. ヒトにおいて、上昇した認知障害バイオマーカーパネルを測定する方法であって:a)前記ヒトから体液サンプルを得ること;b)前記生物学的サンプル中のバイオマーカーのパネルについての測定値を決定すること、前記パネルは、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pを含み、前記測定が、前記パネル中の各々のバイオマーカーのレベルを測定することを含む方法。
  16. 前記ヒトが、アミロイドβ陽性相、軽度認知障害、又はアルツハイマー病を有することが疑われる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記体液サンプルが血漿である、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 工程b)が、増幅ベースの方法により測定することを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 工程b)が、アレイベースの方法により測定することを含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-122-5p、miR-342-3p、もしくはmiR-885-5pが下方調節されている場合に、前記ヒトがアミロイド陽性(Aβ+)として診断される、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. miRNAバイオマーカーmiR-27b-3p、miR-143-3p、miR-320a-3p、miR-532-5p、miR-193-3p、miR-324-5p、miR-365-3p、miR-148-3p、miR-195-5p、miR-27a-3p、miR-132-3pのレベルを検出することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  22. 健常コントロールレベルと比べて、miR-195-5p、miR-148-3p、mi-324-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-142-3pが下方調節されている場合に、前記ヒトが軽度認知障害(MCI)と診断される、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
  23. miR-885-5p、miR-483-5p、miR-199a-3p、miR-365-3p、miR-132-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-143-3p、miR-35-5p、又はlet-7e-5pのレベルを測定することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  24. 健常コントロールレベルと比べて、miR-122-5p、miR-193b-3p、もしくはmiR-885-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-27a-3p、miR-27b-3p、もしくはmiR-324-5pのいずれか1つが下方調節されている場合に、前記ヒトがアルツハイマー病と診断される、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
  25. miR-486-3p、miR-486-5p、miR-378-3p、miR-365-3p、miR-132-3p、miR-195-5p、miR-335-5p、miR-30c-5p、miR-340-5p、又はmiR-142-3pのレベルを測定することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
  26. 上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、前記方法が、さらに、前記ヒトにPETもしくはMRIスキャン又は認知治療を施すことを含む、請求項15~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記方法が、さらに、ヒトから脊髄穿刺サンプルを得ること、及び上昇した認知障害バイオマーカーパネルが検出された場合に、前記サンプル中のアミロイド又はタウのレベルを検出することを含む、請求項15~26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記体液サンプル中のApoE-ε4遺伝子型の存在を検出することをさらに含む、請求項15~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 認知障害の進行を決定する方法であって:
    a)第1の時間に、ヒトから第1の体液サンプルを得ること;
    b)前記第1の時間より後である第2の時間に、前記ヒトから第2の体液サンプルを得ること;
    c)前記第1の体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pのレベルを検出すること;
    d)前記第2の体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p及びmiR-885-5pのレベルを検出すること;ならびに
    e)前記第1の時間に採取された前記miRNAバイオマーカーのレベルを比較し、それにより認知障害の進行を決定すること、を含む方法。
  30. miR-29c-3p及びmiR-335-5pが変化した場合に、前記ヒトが、脳において高いアミロイドβ負荷を有する可能性が高いとして診断される、請求項29に記載の方法。
  31. miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195、miR-148a-3pが変化している場合に、前記ヒトが軽度認知障害(MCI)と診断される、請求項29に記載の方法。
  32. miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-324-5pが変化している場合に、前記ヒトがアルツハイマー病と診断される、請求項29に記載の方法。
  33. キットであって、
    a)miRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pの各々に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド;ならびに
    b)miRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、mR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pの各々を特異的に検出する標識プローブを含むキット。
  34. ヒトがアミロイドβ陽性相(Aβ+)を有する可能性を決定する方法であって、
    a)前記ヒトからの体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、miR-342-3p、及びmiR-885-5pのレベルを検出すること;ならびに
    b)健常コントロールレベルと比べて、miR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-122-5p、miR-885-5pが下方調節されている場合に、前記ヒトがMCIを有する可能性が高いことを決定することを含む方法。
  35. ヒトが軽度認知障害(MCI)を有する可能性を決定する方法であって、
    a)前記ヒトからの体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、及びmiR-885-5pのレベルを検出すること;ならびに
    b)健常コントロールレベルと比べて、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-324-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-142-3pが下方調節されている場合に、前記ヒトがMCIを有する可能性が高いことを決定することを含む方法。
  36. ヒトがアルツハイマー病(AD)を有する可能性を決定する方法であって、
    a)前記ヒトからの体液サンプル中のmiRNAバイオマーカーmiR-29c-3p、miR-335-5p、miR-142-3p、miR-324-5p、miR-195-5p、miR-148-3p、miR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-122-5p、miR-193b-3p、及びmiR-885-5pのレベルを検出すること;ならびに
    b)健常コントロールレベルと比べて、miR-122-5p、miR-193b-3p、もしくはmiR-885-5pのいずれか1つが上方調節されている、又はmiR-27a-3p、miR-27b-3p、miR-142-3p、もしくはmiR-324-5pのいずれか1つが下方調節されている場合に、前記ヒトがADを有する可能性が高いことを決定することを含む方法。
  37. 前記体液サンプルが血漿、脊髄穿刺液、血清、白血球、又は全血である、請求項34~36までのいずれか一項に記載の方法。
  38. 前記体液サンプル中のApoE-ε4遺伝子型の存在を検出することをさらに含む、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
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