JP2023534205A - プロピレンブテンコポリマー及びそこから作製される組成物 - Google Patents
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Abstract
特に1つ以上の核形成剤と組み合わせた場合に、優れた剛性特性、低いキシレン可溶性内容物、及び優れた透明特性を有する、プロピレン及びブテンランダムコポリマーが開示されている。プロピレン-ブテンコポリマーは、異なるメルトフロー特性で作製することができ、射出成形、ブロー成形、及び熱成形用途での使用によく適している。
Description
(関連出願)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2020年7月11日に出願された米国特許仮出願第63/050,770号に基づき、それに対する優先権を主張する。
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2020年7月11日に出願された米国特許仮出願第63/050,770号に基づき、それに対する優先権を主張する。
ポリプロピレンポリマーは、多数の多様な用途で使用することができる非常に汎用性の高い熱可塑性ポリマーである。例えば、ポリプロピレンポリマーは、フィルム及び繊維を含む様々な異なる形状を形成するように押出成形することができ、比較的単純又は複雑な形状を有する物品へと成形することができる。ポリプロピレンポリマーは、例として、カーペット、カーペット裏地、食品包装、硬質包装、例えば自動車部品、廃棄物及び圧力管などの工業部品、並びに家具部品、家庭用品及び玩具を含む様々な消費者製品を製造するために使用される。ポリプロピレンポリマーは、例として、低密度、高剛性、耐熱性、化学的不活性、良好な透明性を有することができ、かつリサイクル可能である。ポリプロピレンポリマーの特性は、様々な特性を付与するために、プロピレンモノマーを他のモノマーと組み合わせることによって特定の用途に合わせて変更及び調整することができる。
例えば、プロピレンを少量のエチレンと共重合すると、独特の特性を有するランダムコポリマーが生成される。得られたコポリマーは、例としてポリプロピレンホモポリマーよりも低い結晶化度を有することができ、改善された透明性、耐衝撃性、及びより低いヒートシール温度をもたらす。透明性は、核形成剤及び清澄剤などの添加剤によって更に高めることができる。ランダムプロピレン-エチレンコポリマーはまた、一般に、高温用途におけるそれらの使用を制限し得るより低い融解温度を有する。加えて、高温に更される場合、ポリマーの透明性が低下する傾向がある。例として、エージング中に更なる結晶化が起こる可能性があるだけでなく、濁った表面層を生成するブルーミングも起こり得る。
上記のように、プロピレン-エチレンランダムコポリマーは当技術分野において大きな進歩を遂げてきたが、ポリマーは様々な欠点を有する。更に、ヘイズを低下させるなど、ある製品特性を改善しようとする場合、機械的強度などの別の特性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、機械的特性と良好な光学とのバランスが改善されたプロピレンポリマーが必要とされている。射出成形、ブロー成形、及び熱成形によって多数の物品を形成するために使用することができる上記のプロピレンポリマーもまた必要とされている。
一般に、本開示は、優れた特性のバランスを有することが分かっているプロピレンコポリマー、特にプロピレン-ブテンランダムコポリマーを対象とする。加えて、プロピレンコポリマーは、フタル酸塩系触媒を用いずに作製することができる。本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、優れた光学特性を有し、透明な物品を形成することができる。加えて、ポリマーは、押出ブロー成形、及び熱成形などの任意の好適な成形技術のために配合することができる。例えば、物品は、核形成/透明化プロピレン-エチレンランダムコポリマーから過去に作製された物品と比較して、より低いヘイズ及びより高い剛性を有する核形成/透明化プロピレン-ブテンコポリマーから形成することができる。
一実施形態では、例として、本開示は、一次モノマーとしてプロピレンを含有するプロピレン-ブテンコポリマーを対象とする。コポリマーは、一般に約1重量%~約12重量%の量、例えば約2重量%~約10重量%の量など、例えば約5重量%~約8重量%の量などのブテンを含有することができる。プロピレン-ブテンコポリマーは、約1重量%~約10重量%、例えば約2重量%~約8重量%などのキシレン可溶性画分を有することができる。ポリマーは、約0.3~約3.0、例えば約0.3~約2.2など、例えば約0.5~約1.0などのキシレン可溶性画分/ブテン内容物比を有することができる。プロピレン-ブテンコポリマーは、約3.5を超える、例えば約4超などの分子量分布を有するポリマーを生成するための置換芳香族フェニレンジエステルを含む、非フタル酸塩系チーグラー・ナッタ触媒から作製することができる。加えて、プロピレン-ブテンコポリマーは、特にコポリマーがより少量のブテンを含有する場合、約70℃を超える、更には約75℃を超える荷重たわみ温度を有することができる。
本開示に従って作製されたプロピレン-ブテンコポリマーは、ポリマー物品を製造するための後の溶融加工条件に適合する特定のメルトフローレートで製造することができる。例えば、一実施形態では、プロピレン-ブテンコポリマーは、比較的低いメルトフローレート、例えば約0.2g/10分~約4g/10分などを有することができる。あるいは、プロピレン-ブテンコポリマーは、約4g/10分~約220g/10分のメルトフローレートを有することができる。
本開示に従って作製されたプロピレン-ブテンコポリマーは、比較的高い剛性値を有することができる。例として、ポリマーは、約1100MPa超、例えば約1300MPa超など、例えば約1400MPa超など、例えば約1500MPa超などの曲げ弾性率を有することができる。ポリマーは比較的高い融解温度を有することができる。一次融点は、例として、約135℃超、例えば約145℃~約155℃などであり得る。
本開示のランダムプロピレンコポリマーは、種々の成形物品を形成するためのポリマー組成物の形成に用いることができる。ランダムプロピレン-ブテンコポリマーは、例として、組成物において、約70重量%超の量、例えば約80重量%超の量など、例えば約90重量%超の量など、例えば約95重量%超の量など、例えば約98重量%超の量など、例えば約99重量%超の量などで存在することができる。組成物は、酸化防止剤、酸捕捉剤、及び/又は帯電防止剤を含む様々な他の添加剤及び原料を含有することができる。一実施形態では、ポリマー組成物は、核形成剤を含有することができる。核形成剤は、例として、ノニトールを含むことができる。
ポリマー組成物は、優れた透明特性を有するように配合することができる。例として、組成物は、0.7mmで約15%以下、例えば約8%未満などのヘイズを提示することができる。
本開示はまた、上記のポリマー組成物から作製された成形物品を対象とする。例えば、本開示のポリマー組成物は、射出成形品、特にブロー成形品及び熱成形品を製造するために使用されるように配合することができる。例えば、本開示は、ブロー成形ボトル、熱成形カップ、及び熱成形容器を製造するために使用することができる。本開示のポリマーはまた、食品包装を含む包装の製造に特によく適している。例として、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、包装フィルムを製造するために使用することができる。ポリマー組成物はまた、繊維用であってもよい。
本開示は、プロピレンアルファオレフィンコポリマー組成物、及びプロピレンコポリマー組成物を生成する方法を対象とする。組成物はプロピレン-ブテンランダムコポリマーを含むことができる。例えば、本開示のポリマーは、プロピレン及びブテンモノマーのみから作製することができ、又はプロピレン、ブテン、及び比較的少量の1つ以上の他のアルファオレフィンモノマーから作製することができる。
本開示に従って作製されたプロピレン-ブテンコポリマーは、優れた特性バランスを有することが分かっている。例として、コポリマーは、特に多くの従来のプロピレン-エチレンコポリマーと比較して、改善された剛性、高い熱変形耐性、及び良好な光学を提示することができる。例えば、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、優れた光学特性を有するように添加剤と共に配合することができ、これは0.7mmの厚さであっても非常に低いヘイズを提示する。プロピレン-ブテンコポリマーはまた極めて汎用性があり、ポリマーを射出成形、押出ブロー成形、又は熱成形などの全ての異なる種類の成形プロセスにおける使用によく適合させる広範囲のメルトフローレートにわたって配合することができる。
本開示のプロピレン-ブテンコポリマーはまた、ポリマーに比較的広い分子量分布を与えるチーグラー・ナッタ触媒を用いて形成することもできる。一態様では、置換芳香族フェニレンジエステルを含む非フタル酸塩系触媒を使用することができ、これはポリマーを食品及び飲料との接触により好適なものにする。ポリマーはまた、医療用途における使用にもよく適している。
本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、清澄剤を含む他の添加剤及び核形成剤を含有する様々なポリマー組成物へと組み込むことができる。次いで、ポリマー組成物を使用して、多様かつ多数の物品を作製することができる。例として、本開示のポリマー組成物は、食品包装を含む全ての異なる種類の包装製品を製造するために使用することができる。例えば、一態様では、プロピレン-ブテンコポリマーを含有するポリマー組成物を使用して、食品を包装するための低ヘイズを有するポリマーフィルムを製造することができる。加えて、ポリマー組成物を使用して、優れた剛性特性と大きな光学特性とを兼ね備えた全ての異なる種類の強固な容器を作製することができる。プロピレン-ブテンコポリマーを含有する本開示のポリマー組成物はまた、ブロー成形されたボトル、熱成形されたカップ、及び繊維などを製造するために使用することもできる。
I.定義及び試験手順
用語「プロピレン-ブテンコポリマー」とは、本明細書で使用される場合、ブテンモノマーを二次構成成分として有する大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含有するコポリマーである。「プロピレン-ブテンコポリマー」(また、ポリプロピレン-ブテンランダムコポリマーとも呼ばれる)は、ポリマー鎖中にランダム又は統計的分布で存在するブテンモノマーの個々の繰り返し単位を有するポリマーである。
用語「プロピレン-ブテンコポリマー」とは、本明細書で使用される場合、ブテンモノマーを二次構成成分として有する大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含有するコポリマーである。「プロピレン-ブテンコポリマー」(また、ポリプロピレン-ブテンランダムコポリマーとも呼ばれる)は、ポリマー鎖中にランダム又は統計的分布で存在するブテンモノマーの個々の繰り返し単位を有するポリマーである。
メルトフローレート(MFR)は、本明細書で使用される場合、プロピレン系ポリマーについて2.16kgの重量で230℃にてASTM D 1238試験法に従って測定される。メルトフローレートは、ペレット形態又は反応器粉末上で測定することができる。反応器粉末を測定する場合、2000ppmのCYANOX 2246酸化防止剤(メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2000ppmのIRGAFOS 168酸化防止剤(トリス(2,4-ジ-tert.-ブチルフェニル)ホスファイト)、及び1000ppmの酸捕捉剤ZnOを含む、安定化パッケージを添加することができる。
キシレン可溶分(xylene soluble:XS)は、ポリプロピレンランダムコポリマー樹脂の試料を高温キシレンに溶解し、溶液を25℃に冷却した後に溶液中に残る樹脂の重量パーセントとして定義される。これはまた、60分の沈殿時間を用いるASTM D5492-06にかかる重量分析XS法とも称され、本明細書ではまた「湿式法」とも称される。
上述のASTM D5492-06法は、キシレン可溶性部分を決定するように適合させることができる。一般に、手順は、2gの試料を秤量することと、24/40の継手を備えた400mLフラスコ中で200mLのo-キシレンに試料を溶解することと、からなる。フラスコを水冷冷却器に接続し、内容物を撹拌し、窒素(N2)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を25℃の温度制御された水浴中で60分間冷却して、キシレン不溶性画分の結晶化を可能にする。溶液が冷却され、不溶性画分が溶液から沈殿すると、キシレン不溶性部分(XI)からのキシレン可溶性部分(XS)の分離は、25マイクロメートル濾紙を通して濾過することによって達成される。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパンに収集し、o-キシレンをこの100mLの濾液から窒素流下で蒸発させる。溶媒が蒸発したら、パン及び内容物を100℃の真空オーブンに30分間又は乾燥するまで入れる。次いで、パンを室温まで冷却し、秤量する。キシレン可溶性部分は、XS(重量%)=[(m3-m2)*2/m1]*100として計算され、式中、m1は使用される試料の元の重量であり、m2は空のアルミニウムパンの重量であり、m3はパン及び残留物の重量である(本明細書及び本開示の他の箇所のアスタリスク*は、識別された用語又は値が乗算されることを示す)。
XSはまた、以下のようにViscotek法に従って測定することもできる:0.4gのポリマーを20mLのキシレンに溶解し、130℃で60分間撹拌する。次いで、溶液を25℃まで冷却し、60分後に不溶性ポリマー画分を濾別する。得られた濾液を、THF移動相を1.0mL/分で流しながら、Viscotek ViscoGEL H-100-3078カラムを用いるフローインジェクションポリマー分析によって分析する。カラムは、45℃で動作する光散乱、粘度計、及び屈折計検出器を備えたViscotek Model 302 Triple Detector Arrayに結合されている。機器の較正はViscotek PolyCAL(商標)ポリスチレン標準で維持する。二軸配向ポリプロピレン(biaxially oriented polypropylene:BOPP)グレードDow 5D98などのポリプロピレン(polypropylene:PP)ホモポリマーは、Viscotek機器及び試料調製手順が一貫した結果を提供することを確実にするための参照材料として使用される。参照ポリプロピレンホモポリマーの値は、最初に上記のASTM法を用いた試験から得られる。
「立体規則性」という用語は、一般に、高分子又はポリマー内の隣接するキラル中心の相対的立体化学を指す。例えば、プロピレン系ポリマーでは、2つのプロピレンモノマーなどの隣接するモノマーの鏡像異性は、同様の配置又は反対の配置のいずれかであり得る。用語「二連子」とは、2つの連続するモノマーを指定するために使用され、3つの隣接するモノマーは「三連子」と称される。隣接するモノマーの鏡像異性が同じ相対配置である場合、二連子はアイソタクチックであると考えられ、逆の配置の場合、シンジオタクチックと称される。立体配置関係を記述する別の方法は、メソ(m)及び反対の配置のラセミ体(r)と同じ鏡像異性を有するモノマーの連続した対ということである。
一般に高分子及び特にポリプロピレン又はポリプロピレンランダムコポリマーの立体規則性又は立体化学は、三連子濃度を参照することによって記載又は定量化することができる。典型的には省略符号「mm」で識別されるアイソタクチック三連子は、同じ配置を有する2つの隣接するメソ二連子から構成され、したがって、三連子の立体規則性は「mm」として識別される。3モノマー配列中の2つの隣接するモノマーが同じ鏡像異性を有し、第3の単位の相対配置とは異なる場合、この三連子は「mr」の立体規則性を有する。「rr」三連子は、いずれかの隣接体とは反対の配置を有する中間モノマー単位を有する。ポリマー中の各種の三連子の画分を決定することができ、100を掛けた場合、ポリマー中に見られるその種類のパーセンテージを示す。mmパーセンテージは、本明細書のポリマーを識別し、かつ特徴付けるために使用される。
ポリマー中のモノマーの配列分布は13C-NMRによって決定することができ、これはまた、隣接するプロピレン残基に対してブテン残基の位置を特定することもできる。13C NMRは、ブテン内容物、三連子分布、及び三連子立体規則性を測定するために使用することができ、以下のように実行される。
試料は、0.025MのCr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物のおよそ2.7gを、Norell 1001-7の10mmのNMR管内の試料0.20gへと添加することによって調製する。加熱ブロックを用いて管及びその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化する。各試料は、均質性を確実にするために目視検査される。
データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して収集する。データは、データファイルごとに512のトランジェント、6秒のパルス反復遅延、90度のフリップ角、及び120℃の試料温度での逆ゲート減結合を用いて取得される。全ての測定は、ロックモードで非スピン試料に対して行われる。試料を、データ取得の前に10分間熱平衡化させる。mm立体規則性のパーセント及びブテンの重量%は、当技術分野で一般的に使用される方法に従って計算され、これは以下で簡単に要約される。
共鳴の化学シフトの測定に関して、頭-尾結合からなり、かつ同じ相対鏡像異性を有する5つの連続したプロピレン単位の配列における第3の単位のメチル基は、21.83ppmに設定される。他の炭素共鳴の化学シフトは、上述の値を基準として用いることで決定される。メチル炭素領域(17.0~23ppm)に関するスペクトルは、第1の領域(21.1~21.9ppm)、第2の領域(20.4~21.0ppm)、第3の領域(19.5~20.4ppm)、及び第4の領域(17.0~17.5ppm)に分類することができる。スペクトルの各ピークは、例えば、「Polymer」、T.Tsutsuiら、第30巻第7集(1989年)第1350~1356頁及び/又は「Macromolecules」、H.N.Cheng、第17巻(1984年)第1950~1955頁の論文などの文献源を参照して割り当てられ、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
便宜上、ブテン内容物はまた、主要な方法として、上記の13C NMRを用いて決定されたブテン値と相関するフーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared:FTIR)を用いて測定される。2つの方法を用いて行われた測定間の関係及び一致は、例えば、J.R.Paxson、J.C.Randall、「Quantitative Measurement of Ethylene Incorporation into Propylene Copolymers by Carbon-13 Nuclear Magnetic Resonance and Infrared Spectroscopy」、Analytical Chemistry、第50巻第13号、1978年11月、第1777~1780頁に記載されている。
曲げ弾性率は、ASTM D790-10の方法Aに従って、ASTM 3641のタイプ1試験片を用いて1.3mm/分で決定され、ASTM D4101に従って成形される。
アイゾット衝撃強度は、ASTM D 256及びD4101に従って測定される。
ヘイズは、最新バージョンの試験を用いて、ASTM Test D1003の手順Aに従って決定される。ヘイズは、試験プラーク上で、又はボトル、カップ、容器、若しくはフィルムなどの成形物品上で測定することができる。ヘイズは熱エージングの前後に測定することができる。ヘイズはBYK Gardner Haze-Gard Plus 4725装置を用いて測定することができる。ヘイズ測定のために試験される射出成形試験試料は、ノニトールが核形成剤として存在する場合には200℃~230℃の温度で、ソルビトールが核形成剤として存在する場合には250℃~260℃の温度で、又は不溶性微粒子核形成剤が存在する場合には200℃~260℃の温度で、射出成形することができる。熱エージングは、試料を所望の温度(例えば、121℃)で所望の時間(例えば、30分)にわたりオーブンに入れ、次いでヘイズについて再試験することによって行う。
荷重たわみ温度(heat distortion temperature:HDT)は、D4101に従って調製/エージングされた試料について、66psiで、曲げ荷重下におけるプラスチックの変形温度と題するASTM試験D648に従って決定される。
融点又は融解温度及び結晶化温度は、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry:DSC)を用いて決定される。融点は試験中に形成される一次ピークであり、典型的には形成される第2のピークである。「結晶化度」という用語は、結晶構造を形成する原子又は分子の配列の規則性を指す。ポリマー結晶化度はDSCを用いて調べることができる。Tmeとは融解が終了する温度を意味し、Tmaxとはピーク融解温度を意味し、両方とも最終加熱工程からのデータを用いてDSC分析から当業者によって決定される。DSC分析のための1つの好適な方法は、TA Instruments,Inc.からのモデルQ1000(商標)DSCを使用する。DSCの較正は、以下の様式で行われる。まず、アルミニウムDSCパン中に一切の試料なしで、セルを-90℃から290℃まで加熱することによってベースラインを得る。次いで、試料を180℃まで加熱し、10℃/分の冷却速度で試料を140℃まで冷却し、続いて試料を140℃で1分間等温的に保持し、続いて試料を10℃/分の加熱速度で140℃から180℃まで加熱することによって、7ミリグラムの新鮮なインジウム試料を分析する。インジウム試料の融解熱及び融解開始を決定し、融解開始が156.6℃~0.5℃以内、及び融解熱が28.71J/g~0.5J/g以内であることを確認する。次いで、脱イオン水を、DSCパン内の新鮮な試料の小滴を10℃/分の冷却速度で25℃~-30℃に冷却することによって分析する。試料を-30℃で2分間等温的に保持し、10℃/分の加熱速度で30℃に加熱する。融解開始を決定し、0℃~0.5℃以内であることを確認する。
Mw/Mn(「MWD」とも呼ばれる)及びMz/Mwは、ポリプロピレンのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析方法に従ってGPCによって測定される。ポリマーは、IR5 MCT(テルル化カドミウム水銀高感度、熱電冷却IR検出器)、Polymer Charの四細管粘度計、Wyattの8角MALLS、及び3つのAgilent Plgel Olexis(13um)を備えた、Polymer Char High Temperature GPCで分析する。オーブン温度を150℃に設定する。溶媒は、約200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流速は1.0mL/分であり、注入量は200μLであった。2mg/mLの試料濃度は、試料をN2パージ及び予熱したTCB(200ppmのBHTを含有)に、穏やかに撹拌しながら160℃で2時間溶解することによって調製する。
GPCカラムセットは、20種の狭い分子量分布のポリスチレン標準を実行することによって較正される。標準の分子量(MW)は266~12,000,000g/molの範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有されていた。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも10年間の分離を有する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量については20mLの溶媒中0.005gで、1,000,000g/mol未満の分子量については20mLの溶媒中0.001gで調製される。ポリスチレン標準を撹拌しながら160℃で60分間溶解する。狭い標準混合物が最初に実行され、分解の影響を最小限に抑えるために、分子量が最も高い成分の順で実行する。対数分子量較正は、溶出体積の関数として4次多項式フィットを使用して生成される。同等のポリプロピレン分子量は、報告されているポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763-3782(1984))及びポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))のMark-Houwink係数を使用して次の式を使用して計算され、
II.プロピレン-ブテンランダムコポリマー及び組成物
本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、ブテンモノマーを二次構成成分として有する大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含むことができる。本開示のプロピレン-ブテンコポリマーのブテン内容物は、その間に0.1重量%の全増加分を含む、約1重量%~約12重量%であり得る。例えば、プロピレン-ブテンコポリマーは、約1.5重量%超の量、例えば約2重量%超など、例えば約2.3重量%超など、例えば約3重量%超など、例えば約4重量%超など、例えば約4.5重量%超など、例えば約5重量%超などの量のブテンを含有することができる。プロピレン-ブテンコポリマーのブテン内容物は、一般に約11重量%未満、例えば約10重量%未満など、例えば約9重量%未満など、例えば約8重量%未満など、例えば約7.8重量%未満など、例えば約7重量%未満など、例えば約6重量%未満など、例えば約5重量%未満などである。コポリマーに組み込まれるブテンの量は、ポリマーの様々な物理的特性を変化させるために変化し得る。
本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、ブテンモノマーを二次構成成分として有する大部分の重量パーセントのプロピレンモノマーを含むことができる。本開示のプロピレン-ブテンコポリマーのブテン内容物は、その間に0.1重量%の全増加分を含む、約1重量%~約12重量%であり得る。例えば、プロピレン-ブテンコポリマーは、約1.5重量%超の量、例えば約2重量%超など、例えば約2.3重量%超など、例えば約3重量%超など、例えば約4重量%超など、例えば約4.5重量%超など、例えば約5重量%超などの量のブテンを含有することができる。プロピレン-ブテンコポリマーのブテン内容物は、一般に約11重量%未満、例えば約10重量%未満など、例えば約9重量%未満など、例えば約8重量%未満など、例えば約7.8重量%未満など、例えば約7重量%未満など、例えば約6重量%未満など、例えば約5重量%未満などである。コポリマーに組み込まれるブテンの量は、ポリマーの様々な物理的特性を変化させるために変化し得る。
本発明のコポリマーのキシレン可溶性(XS)の画分は、コポリマーの(≦)8.0重量%以下、又は≦7.0重量%、より好ましくは≦6.0重量%、更により好ましくは≦5.0重量%であり得る。キシレン可溶性画分は、一般に、約0.5重量%超、例えば約1重量%超などである。キシレン可溶性(XS)画分は、好ましくは1.0重量%~8.0重量%の範囲、例えば2重量%~7重量%の範囲などである。特に有利なことに、本開示にかかるプロピレン-ブテンコポリマーは、依然として優れた低ヘイズ特性を有しながら、約3重量%を超えるキシレン可溶性内容物を有することができる。ポリマーは、約0.3~約3.0、例えば約0.3~約2.0など、例えば約0.5~約1.0、又は1.0未満などのキシレン可溶性画分/ブテン内容物比を有することができる。
本開示に従って作製されたプロピレン-ブテンコポリマーのメルトフローレートは変化し得る。例として、メルトフローレートは、その間の0.1の全増加分を含む約0.2g/10分~約220g/10分であり得る。例として、ポリマーのメルトフローレートは、様々な要因及び所望の用途に基づいて変更及び制御することができる。ポリマーが組成物に組み込まれ、ブロー成形又は熱成形される場合、例として、より低いメルトフローレートが所望され得る。例として、一態様では、プロピレン-ブテンコポリマーのメルトフローレートは、約20g/10分未満、例えば約15g/10分未満など、例えば約10g/10分未満など、例えば約8g/10分未満など、例えば約6g/10分未満など、例えば約4g/10分未満などであり得、かつ一般に約1g/10分未満超、例えば約1.5g/10分未満超であり得る。しかしながら、ポリマーが射出成形に使用される場合、より高いメルトフローレートが所望され得る。例えば、一態様では、ポリマーのメルトフローレートは、約10g/10分超、例えば約20g/10分超など、例えば約30g/10分超など、例えば約40g/10分超など、及び一般に約110g/10分未満、例えば80g/10分未満など、例えば約60g/10分未満などであり得る。
本開示のコポリマーは、一般に、比較的広い分子量分布を有する。例として、分子量分布(Mw/Mn)は、一般に約3.5超、例えば約3.8超など、例えば約4超など、例えば約4.3超など、例えば約4.5超など、例えば約4.8超など、例えば約5超など、例えば約5.2超など、例えば約5.5超など、例えば約5.7超など、例えば約6超などであり、かつ一般に約10未満、例えば約8未満など、例えば約7.5未満などである。重量平均分子量はGPCによって決定される。
一態様では、プロピレン-ブテンコポリマーは、優れた剛性特性を有するように配合することができる。例として、コポリマーは、約1100MPa超、例えば約1150MPa超など、例えば約1200MPa超など、例えば約1250MPa超など、例えば約1300MPa超など、例えば約1350MPa超など、例えば約1400MPa超など、例えば約1450MPa超など、例えば約1500MPa超などの曲げ弾性率を有することができる。曲げ弾性率は、一般に約3000MPa未満、例えば約2000MPa未満などである。
特に有利なことに、プロピレン-ブテンランダムコポリマーは、特にポリマーがより少ない量のブテンを含有するように配合される場合に、高い耐熱変形性を有することができる。一般に、ポリマーは、約70℃を超える荷重たわみ温度(HDT)を有することができる。8重量%未満の量、例えば6重量%未満の量など、例えば5重量%未満の量などでブテンを含有する場合、HDTは、約75℃超、例えば約76℃超など、例えば約77℃超など、一般に約90℃未満であり得る。加えて、ポリマーは、約135℃超、例えば約145℃超など、例えば約147℃超など、例えば約148℃超など、例えば約149℃超など、例えば約150℃超など、例えば約151℃超など、一般に約165℃未満の融点を有するように配合することができる。一態様では、ポリマーは、147℃以上の一次融点を有することができる。
優れた剛性特性及び耐熱特性に加えて、プロピレン-ブテンコポリマーはまた、良好な靭性特性を有することができる。例として、コポリマーは、約40J/m超、例えば約45J/m超など、例えば約50J/m超など、例えば約55J/m超など、例えば約60J/m超など、例えば約65J/m超など、例えば約70J/m超など、例えば約75J/m超など、例えば約80J/m超など、例えば約85J/m超など、例えば約90J/m超などのアイゾット衝撃強度を有することができる。衝撃強度は、一般に約200J/m未満、例えば約150J/m未満などである。
III.プロピレン-ブテンランダムコポリマーの製造
一態様では、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、非フタル酸塩系チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造することができる。非フタル酸塩系触媒は、フタル酸塩化合物を含有しない触媒系を含み、例えば、触媒支持体、内部電子供与体、外部電子供与体、活性制限剤、及び活性化剤は、全て非フタル酸塩を含まない。フタル酸塩は内部電子供与体として過去に使用されていた。非フタル酸塩内部電子供与体としては、ジエーテル、コハク酸塩、安息香酸エチル、及びフェニレンジエステルなどが挙げられる。非フタル酸塩系触媒を用いることにより、ポリマーは食品との接触及び医療用途に好適である。加えて、チーグラー・ナッタ触媒を用いると、多数の利点及び利益を提供することができる広い分子量分布を生成することができる。
一態様では、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、非フタル酸塩系チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造することができる。非フタル酸塩系触媒は、フタル酸塩化合物を含有しない触媒系を含み、例えば、触媒支持体、内部電子供与体、外部電子供与体、活性制限剤、及び活性化剤は、全て非フタル酸塩を含まない。フタル酸塩は内部電子供与体として過去に使用されていた。非フタル酸塩内部電子供与体としては、ジエーテル、コハク酸塩、安息香酸エチル、及びフェニレンジエステルなどが挙げられる。非フタル酸塩系触媒を用いることにより、ポリマーは食品との接触及び医療用途に好適である。加えて、チーグラー・ナッタ触媒を用いると、多数の利点及び利益を提供することができる広い分子量分布を生成することができる。
プロピレン-ブテンコポリマーは、一般に、プロピレン系ポリマーを生成するための任意の好適なプロセスを用いて、任意の好適な反応器で作製することができる。これは、担持チーグラー・ナッタ触媒を用いるUNIPOL(登録商標)PP気相プロセスを含む。W.R.Grace & Co.(メリーランド州コロンビア)から入手可能なCONSISTA(登録商標)触媒が特に好ましい。好適なポリプロピレンランダムコポリマーは、単一の反応器又は複数の反応器を用いて生成することができる。使用され得るプロセスの例は、米国特許第9,624,323号及び米国特許出願公開第2016/0289357号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
ポリプロピレンランダムコポリマーの生成に使用するのに好適な前駆触媒組成物には、チーグラー・ナッタ前駆触媒組成物が含まれる。一実施形態では、チーグラー・ナッタ前駆触媒組成物は、塩化チタンなどのチタン部分、塩化マグネシウムなどのマグネシウム部分、及び内部電子供与体を含有する。
一実施形態では、内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。一実施形態では、1,2-フェニレン芳香族ジエステルが提供される。置換された1,2-フェニレン芳香族ジエステルは、以下の構造(I)を有する:
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」及び「炭化水素」という用語は、分岐状若しくは非分岐状、飽和若しくは不飽和の、環式、多環式、縮合、又は非環式種、並びにそれらの組み合わせを含む、水素及び炭素原子のみを含有する置換基を指す。ヒドロカルビル基の非限定的な例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアリール基、及びアルキニル基が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「置換ヒドロカルビル」及び「置換炭化水素」という用語は、1つ以上の非ヒドロカルビル置換基により置換されたヒドロカルビル基を指す。非ヒドロカルビル置換基の非限定的な例は、ヘテロ原子である。本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」とは、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、周期表のIV、V、VI、及びVII族からの非炭素原子であり得る。ヘテロ原子の非限定的な例としては、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、N、O、P、B、S、及びSiが挙げられる。置換ヒドロカルビル基はまた、ハロヒドロカルビル基及びケイ素含有ヒドロカルビル基を含む。本明細書で使用される場合、「ハロヒドロカルビル」基という用語は、1つ以上のハロゲン原子により置換されたヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「ケイ素含有ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上のケイ素原子により置換されたヒドロカルビル基である。ケイ素原子は、炭素鎖中にあってもよく、又はなくてもよい。
前駆触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV~VIII族の元素の遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、並びに/又は(i)及び/若しくは(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)、及び(iii)の組合せを含み得る。好適な前駆触媒前駆体の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、及びマグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、及びそれらの組合せのアルコキシドが挙げられる。
一実施形態では、前駆触媒前駆体は、マグネシウム部分化合物(magnesium moiety:MagMo)、混合マグネシウムチタン化合物(magnesium titanium:MagTi)、又は安息香酸含有塩化マグネシウム化合物(benzoate-containing magnesium:BenMag)である。一実施形態では、前駆触媒前駆体は、マグネシウム部分(「MagMo」)前駆体である。「MagMo前駆体」は、唯一の金属成分としてマグネシウムを含有する。MagMo前駆体は、マグネシウム部分を含む。好適なマグネシウム部分の非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/又はそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド若しくはアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハライド、及び/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド又はアリールオキシドが挙げられる。一実施形態では、MagMo前駆体は、マグネシウムジ(C1~4)アルコキシドである。更なる実施形態では、MagMo前駆体はジエトキシマグネシウムである。
一実施形態では、前駆触媒前駆体は、混合マグネシウム/チタン化合物(「MagTi」)である。「MagTi前駆体」は、式MgdTi(ORe)fXgを有し、式中、Reは、1~14個の炭素原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素ラジカル、又はCOR’であり、R’は、1~14個の炭素原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素ラジカルであり、各ORe基は、同じであるか、又は異なり、Xは、独立して、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは塩素であり、dは、0.5~56、又は2~4であり、fは、2~116、又は5~15であり、gは、0.5~116、又は1~3である。前駆体は、その調製に使用される反応混合物からアルコールを除去する制御された沈殿によって調製される。一実施形態では、反応媒体は、芳香族液体、特に塩素化芳香族化合物、最も特にクロロベンゼンと、アルカノール、特にエタノールとの混合物を含む。好適なハロゲン化剤としては、四臭化チタン、四塩化チタン又は三塩化チタン、特に四塩化チタンが挙げられる。ハロゲン化に使用される溶液からアルカノールを除去すると固体の前駆体が沈殿し、これは特に望ましい形状及び表面積を有する。更に、得られた前駆体は、粒子サイズが特に均一である。
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、唯一の金属成分としてマグネシウムを含有する。非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/若しくはそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド及び/若しくはアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハロゲン化物、並びに/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド若しくはアリールオキシドが挙げられる。
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、無水塩化マグネシウムのアルコール付加物である。無水塩化マグネシウム付加物は、一般にMgCl2-nROHとして定義され、式中、nは1.5~6.0、好ましくは2.5~4.0、最も好ましくは2.8~3.5モルの総アルコールの範囲を有する。ROHは、直鎖若しくは分枝鎖のC1~C4アルコール、又はアルコールの混合物である。好ましくは、ROHはエタノール又はエタノールと高級アルコールとの混合物である。ROHが混合物である場合、エタノールと高級アルコールとのモル比は、少なくとも80:20、好ましくは90:10、最も好ましくは少なくとも95:5である。
一実施形態では、実質的に球状のMgCl2-nEtOH付加物は、噴霧結晶化プロセスによって形成され得る。一実施形態では、球状のMgCl2前駆体は、約15~150マイクロメートル、好ましくは20~100マイクロメートル、最も好ましくは35~85マイクロメートルの間の平均粒径(Malvern d50)を有する。
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、遷移金属化合物及びマグネシウム金属化合物を含有する。遷移金属化合物は、一般式TrXxを有し、式中、Trは遷移金属であり、Xはハロゲン又はC1~10ヒドロカルボキシル若しくはヒドロカルビル基であり、xはマグネシウム金属化合物と組み合わせた化合物中のそのようなX基の数である。Trは、IV族、V族、又はVI族金属であり得る。一実施形態では、Trは、チタンなどのIV族金属である。Xは、塩化物、臭化物、C1~4アルコキシド若しくはフェノキシド、又はそれらの混合物であり得る。一実施形態では、Xは塩化物である。
本発明の前駆触媒組成物はまた、内部電子供与体を含むことができる。本明細書で使用される場合、「内部電子供与体」とは、得られた前駆触媒組成物中に存在する1つ以上の金属に一対の電子を供与する、前駆触媒組成物の形成中に添加される化合物である。いかなる特定の理論にも拘束されないが、内部電子供与体は、活性部位の形成を調節することを支援し、したがって触媒の立体選択性を高めると考えられる。一実施形態では、内部電子供与体は、上記で同定された構造(I)の置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。
一実施形態では、マグネシウム部分、チタン部分、及び内部電子供与体の組合せを含む前駆触媒組成物が提供される。内部電子供与体は、置換フェニレン芳香族ジエステルを含む。前駆触媒組成物は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号に詳述されているハロゲン化手順によって製造され、これは、前駆触媒前駆体及び置換フェニレン芳香族ジエステル供与体を、内部電子供与体が組み込まれるマグネシウム部分及びチタン部分の組合せへと変換する。前駆触媒組成物が形成される前駆触媒前駆体は、マグネシウム部分前駆体、混合マグネシウム/チタン前駆体、又は安息香酸含有塩化マグネシウム前駆体であり得る。
一実施形態では、マグネシウム部分は、ハロゲン化マグネシウムである。別の実施形態では、ハロゲン化マグネシウムは、塩化マグネシウム、又は塩化マグネシウムアルコール付加物である。一実施形態では、チタン部分は、塩化チタンなどのハロゲン化チタンである。別の実施形態では、チタン部分は、四塩化チタンである。別の実施形態では、前駆触媒組成物は、塩化マグネシウム担体を含み、その上に塩化チタンが堆積され、その上に内部電子供与体が組み込まれる。
一実施形態では、前駆触媒組成物の内部電子供与体は、上記の構造(I)の置換フェニレン芳香族ジエステルを含み、式中、R1~R14は同じ又は異なる。R1~R14の各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組合せから選択され;R1~R14の少なくとも1つは水素ではない。
一実施形態では、R1~R4の少なくとも1つ(又は2つ、又は3つ、又は4つ)のR基は、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、R5~R14の少なくとも1つ(又はいくつか、又は全て)のR基は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態では、R5~R9の少なくとも1つ及びR10~R14の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、R1~R4の少なくとも1つ及びR5~R14の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組合せから選択される。別の実施形態では、R1~R4の少なくとも1つ、R5~R9の少なくとも1つ、及びR10~R14の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、R1~R4の任意の連続するR基、及び/又はR5~R9の任意の連続するR基、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、環間又は環内構造を形成するように連結されてもよい。環間/環内構造は芳香族であっても芳香族でなくてもよい。一実施形態では、環間/環内構造は、C5又はC6員環である。
一実施形態では、R1~R4の少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組合せから選択される。任意選択的に、R5~R14の少なくとも1つは、ハロゲン原子又は1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基であってもよい。任意選択的に、R1~R4、及び/又はR5~R9、及び/又はR10~R14は、環間構造又は環内構造を形成するように連結されてもよい。環間構造及び/又は環内構造は芳香族であっても芳香族でなくてもよい。
一実施形態では、R1~R4、及び/又はR5~R9、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、C5又はC6員環のメンバーであり得る。
一実施形態では、構造(I)は水素としてR1、R3、及びR4を含む。R2は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組合せから選択される。R5~R14は同じであるか、又は異なり、R5~R14の各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ハロゲン、及びそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、R2は、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R2は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基であり得る。
一実施形態では、構造(I)はメチルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。一実施形態では、構造(I)はエチルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。一実施形態では、構造(I)はt-ブチルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。一実施形態では、構造(I)はエトキシカルボニルであるR2を含み、R5~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)は各々が水素としてR2、R3、及びR4を含み、R1は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組合せから選択される。R5~R14は同じであるか、又は異なり、各々は、水素、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ハロゲン、及びそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、構造(I)はメチルであるR1を含み、R5~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)は水素であるR2及びR4を含み、R1及びR3は同じであるか、又は異なる。R1及びR3の各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組合せから選択される。R5~R14は同じであるか、又は異なり、R5~R14の各々は、1~20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1~20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ハロゲン、及びそれらの組合せから選択される。
一実施形態では、構造(I)は同じであるか又は異なるR1及びR3を含む。R1及びR3の各々は、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R5~R14は同じであるか、又は異なり、R5~R14の各々は、水素、C1~C8アルキル基、及びハロゲンから選択される。好適なC1~C8アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、及び2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が挙げられる。好適なC3~C6シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロペンチル及びシクロヘキシル基が挙げられる。更なる実施形態では、R5~R14の少なくとも1つは、C1~C8アルキル基又はハロゲンである。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1及びt-ブチル基であるR3を含む。R2、R4、及びR5~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)は、メチル基としてR1及びR4を含み、R3又はR2の一方は水素であり、他方はシクロアルキル基、例えばシクロヘキサール基などである。
一実施形態では、構造(I)はイソプロピル基であるR1及びR3を含む。R2、R4、及びR5~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はR1、R5、及びR10の各々をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、R6~R9、及びR11~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はR1、R7、及びR12の各々をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はR1をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はエチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はR1、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14の各々をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、R6、R8、R11、及びR13の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はR1をメチル基として含み、R3はt-ブチル基である。R5、R7、R9、R10、R12、及びR14の各々はi-プロピル基である。R2、R4、R6、R8、R11、及びR13の各々は水素である。
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R1~R14の各々の代替物を含む構造(II)~構造(V)からなる群から選択される構造を有し、これらは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,536,372号に詳述されている。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はエトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はフッ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は塩素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々は臭素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はヨウ素原子である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R7、R11、及びR12の各々は塩素原子である。R2、R4、R5、R8、R9、R10、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R6、R8、R11、及びR13の各々は塩素原子である。R2、R4、R5、R7、R9、R10、R12、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R2、R4、及びR5~R14の各々はフッ素原子である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はトリフルオロメチル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はエトキシカルボニル基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、R1はメチル基であり、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はエトキシ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3はt-ブチル基である。R7及びR12の各々はジエチルアミノ基である。R2、R4、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、及びR14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、R3は2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R2、R4、及びR5~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はR1及びR3を含み、これらの各々はsec-ブチル基である。R2、R4、及びR5~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)は各々メチル基であるR1及びR4を含む。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含む。R4は、i-プロピル基である。R2、R3、R5~R9、及びR10~R14の各々は水素である。
一実施形態では、構造(I)はR1、R3、及びR4を含み、これらの各々はi-プロピル基である。R2、R5~R9、及びR10~R14の各々は水素である。
一実施形態では、別の前駆触媒組成物が提供される。前駆触媒組成物は、マグネシウム部分、チタン部分、及び混合内部電子供与体の組合せを含む。本明細書で使用される場合、「混合内部電子供与体」は、(i)置換フェニレン芳香族ジエステル、(ii)得られた前駆触媒組成物中に存在する1つ以上の金属に一対の電子を供与する電子供与体成分、及び(iii)任意選択的に他の成分である。一実施形態では、電子供与体成分は、ジエーテル、ベンゾエート、及びそれらの組合せである。混合内部電子供与体を有する前駆触媒組成物は、本明細書で識別される、以前に付与された特許及び刊行物に開示されている前駆触媒生成手順によって生成することができる。
例えば、好適な触媒組成物は、前駆触媒組成物、助触媒、及び2つ以上の異なる成分の外部電子供与体又は混合外部電子供与体(mixed external electron donor:M-EED)を含む。好適な外部供与体には、1つ以上の活性制限剤(activity limiting agent:ALA)、1つ以上の選択性制御剤(selectivity control agent:SCA)、又はALA及びSCAの両方が含まれる。本明細書で使用される場合、「外部電子供与体」は、触媒性能を改変する前駆触媒形成とは無関係に添加された成分の混合物を含む成分又は組成物である。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」は、触媒の存在下における重合温度が閾値温度(例えば、約85℃を超える温度)を超えて上昇するにつれて、触媒活性を低下させる組成物である。「選択性制御剤」は、ポリマーの立体規則性を改善する組成物であり、ここで、改善された立体規則性は、一般に、立体規則性の増加若しくはキシレン可溶分の減少、又はその両方を意味すると理解される。上記の定義は相互に排他的ではないこと、及び単一の化合物が、例えば活性制限剤及び選択性制御剤の両方として分類され得ることを理解されたい。
一実施形態では、外部電子供与体はアルコキシシランである。アルコキシシランは、一般式:
SiRm(OR’)4-m (I)
式中、Rは、独立して、出現ごとに、水素、あるいは任意選択的に1つ以上の14、15、16、若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基により置換されたヒドロカルビル又はアミノ基であり、当該R’は、水素及びハロゲンを除く最大20個の原子を含有し、R’は、C1~4アルキル基であり、mは、0、1、2、又は3である。一実施形態では、Rは、C6~12アリールアルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐状アルキル、又はC3~12環式若しくは非環式アミノ基であり、R’はC1~4アルキルであり、mは、1又は2である。
SiRm(OR’)4-m (I)
式中、Rは、独立して、出現ごとに、水素、あるいは任意選択的に1つ以上の14、15、16、若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基により置換されたヒドロカルビル又はアミノ基であり、当該R’は、水素及びハロゲンを除く最大20個の原子を含有し、R’は、C1~4アルキル基であり、mは、0、1、2、又は3である。一実施形態では、Rは、C6~12アリールアルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐状アルキル、又はC3~12環式若しくは非環式アミノ基であり、R’はC1~4アルキルであり、mは、1又は2である。
好適なシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン;ジ-tert-ブチルジメトキシシラン;メチルシクロヘキシルジメトキシシラン;メチルシクロヘキシルジエトキシシラン;エチルシクロヘキシルジメトキシシラン;ジフェニルジメトキシシラン;ジイソプロピルジメトキシシラン;ジ-n-プロピルジメトキシシラン;ジイソブチルジメトキシシラン;ジイソブチルジエトキシシラン;イソブチルイソプロピルジメトキシシラン;ジ-n-ブチルジメトキシシラン;シクロペンチルトリメトキシシラン;イソプロピルトリメトキシシラン;n-プロピルトリメトキシシラン;n-プロピルトリエトキシシラン;エチルトリエトキシシラン;テトラメトキシシラン;テトラエトキシシラン;ジエチルアミノトリエトキシシラン;シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン;ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン;ビス(ペルヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン;及びジメチルジメトキシシランが挙げられる。一実施形態では、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS);メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(MChDMS);又はn-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS);及びそれらの任意の組合せである。
一実施形態では、選択性制御剤成分は、2つ以上のアルコキシシランの混合物であり得る。更なる実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、又はジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシランであり得る。一実施形態では、混合外部電子供与体は、ベンゾエート、スクシネート、及び/又はジオールエステルを含み得る。一実施形態では、混合外部電子供与体は、SCAとして2,2,6,6-テトラメチルピペリジンを含む。別の実施形態では、混合外部電子供与体は、SCA及びALAの両方としてジエーテルを含む。
混合外部電子供与体系はまた、活性制限剤(ALA)を含むことができる。ALAは、重合反応器の不具合を抑制又はそうでなければ防止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器の温度が上昇するにつれて増加する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点温度近くで高い活性を維持する。発熱重合反応によって発生した熱は、凝集物を形成するポリマー粒子を生じさせる可能性があり、最終的にポリマー生成プロセスの継続を中断することにつながる場合がある。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それによって、反応器の不具合を防止し、粒子の凝集を低減(又は防止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ジオールエステル、及びそれらの組合せであり得る。カルボン酸エステルは、脂肪族又は芳香族、モノ又はポリカルボン酸エステルであり得る。好適なモノカルボン酸エステルの非限定的な例としては、安息香酸エチル及び安息香酸メチルと、p-メトキシ安息香酸エチルと、p-エトキシ安息香酸メチルと、p-エトキシ安息香酸エチルと、p-イソプロポキシ安息香酸エチルと、アクリル酸エチルと、メタクリル酸メチルと、酢酸エチルと、p-クロロ安息香酸エチルと、p-アミノ安息香酸ヘキシルと、ナフテン酸イソプロピルと、n-トルイル酸アミルと、シクロヘキサン酸エチル及びピバリン酸プロピルと、が挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルは、C6脂肪族酸エステルであり得、モノ又はポリ(2つ以上)のエステルであり得、直鎖又は分岐状であり得、飽和又は不飽和であり得、及びそれらの任意の組合せであり得る。C6~C30脂肪族酸エステルはまた、1つ以上の14、15、又は16族のヘテロ原子を含有する置換基により置換され得る。好適なC6~C30脂肪族酸エステルの非限定的な例としては、脂肪族C6~30モノカルボン酸のCi~20アルキルエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸のC1~20アルキルエステル、脂肪族C4~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アリルモノ及びジエステル、脂肪族C8~20モノカルボン酸及びジカルボン酸のC1~4アルキルエステル、並びにC2~100(ポリ)グリコール又はC2~100(ポリ)グリコールエーテルのC6~20モノ又はポリカルボキシレート誘導体が挙げられる。更なる実施形態では、C6~C30脂肪族酸エステルは、ラウレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、オレエート、セバケート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジアセテート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジミリステート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジラウレート、(ポリ)(アルキレングリコール)モノ又はジオレエート、グリセリルトリ(アセテート)、C2~40脂肪族カルボン酸のグリセリルトリ-エステル、及びそれらの混合物であり得る。更なる実施形態では、C6~C20脂肪族エステルは、イソプロピルミリステート又はジ-n-ブチルセバケートである。
一実施形態では、活性制限剤は、ジエーテルを含む。ジエーテルは、以下の構造(VI):
一実施形態では、活性制限剤は、以下の構造(VII):
一実施形態では、活性制限剤は、以下の構造(VIII):
個々の外部電子供与体成分は、別々に反応器へと添加することができ、又は2つ以上を事前に一緒に混合し、次いで混合物として反応器へと添加することができる。混合物では、2つ以上の選択性制御剤又は2つ以上の活性制限剤を使用することができる。一実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;ジイソプロピルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;ジシクロペンチルジメトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ラウレート;ジシクロペンチルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル及びポリ(エチレングリコール)ジオレエート;メチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;n-プロピルトリメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;ジメチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;ジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル; ジイソプロピルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;並びに、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;ジシクロペンチルジメトキシシラン及びジイソプロピルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びミリスチン酸イソプロピル;並びに、それらの組合せである。
触媒組成物は助触媒を含む。チーグラー・ナッタ前駆触媒組成物と共に使用するための助触媒は、アルミニウム含有組成物であり得る。好適なアルミニウム含有組成物の非限定的な例としては、有機アルミニウム化合物、例えばトリアルキルアルミニウム;水素化ジアルキルアルミニウム;二水素化アルキルアルミニウム;ハロゲン化ジアルキルアルミニウム;アルキルアルミニウムジハロゲン化物;ジアルキルアルミニウムアルコキシド;及び各アルキル基又はアルコキシド基中に1~10個又は1~6個の炭素原子を含有するアルキルアルミニウムジアルコキシド化合物が挙げられる。一実施形態では、助触媒は、トリエチルアルミニウム(triethylaluminum:TEA)などのC1~4トリアルキルアルミニウム化合物である。触媒組成物は、0.5~25:1;又は1.0~20:1;又は1.5~15:1;又は約6.0未満;又は約5未満;又は4.5未満の、アルミニウム(Al)と(SCA(s)+ALA(s))とのモル比を含む。一実施形態では、Alと(SCA(s)+ALA(s))とのモル比は、0.5~4.0:1である。総SCAとALAとのモル比は、0.01~20:1;0.10~5.00:1;0.43~2.33:1;又は0.54~1.85:1;又は0.67~1.5:1である。
IV.用途
本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、多数の多様な用途に使用することができる。上記のように、核形成/透明化されたプロピレン-ブテンコポリマーは、優れた剛性特性及び優れた透明性を有する。
本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、多数の多様な用途に使用することができる。上記のように、核形成/透明化されたプロピレン-ブテンコポリマーは、優れた剛性特性及び優れた透明性を有する。
一実施形態では、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、容器などの射出成形品を形成するための組成物へと組み込むことができる。射出成形に使用される場合、ポリマーは、約4g/10分を超える、例えば約10g/10分を超えるなど、例えば約20g/10分を超えるなど、例えば約30g/10分を超えるなど、例えば約35g/10分を超えるなどのメルトフローレートを有することができる。容器は、中空の内部を画定する底部と、底部を密封するフランジを含む上部と、を有することができる。容器に加えて、一般に、任意の射出成形可能な物品を本開示に従って製造することができ、これは良好な光学系と組み合わせてある程度の剛性を必要とする。例として、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、全ての異なる種類の食品包装を含む包装の製造に特によく適している。
射出成形品に加えて、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーはまた、押出ブロー成形及び熱成形用途にも使用することができる。ブロー成形又は熱成形に使用される場合、ポリマーは、約5g/10分未満、例えば約4.5g/10分未満など、例えば約4g/10分未満など、例えば約3.5g/10分未満などのメルトフローレートを有することができる。ポリマーは、約0.2g/10分超、例えば約1g/10分超などのメルトフローレートを有することができる。比較的低いメルトフローレートで配合される場合、コポリマーは優れた融解強度を提示することで、比較的均一な壁厚を有する様々な異なるブロー成形品の形成を可能にする。例として、プロピレン-ブテンコポリマーは、例えば飲料を収容するための全ての異なる種類のプラスチックボトルを製造するために使用することができる。上記のように、ポリマーは非フタル酸塩系触媒から形成することができるので、ポリマーは食品接触用途へ非常によく適している。
更に別の実施形態では、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、熱成形用途に使用することができる。例として、ポリマーを使用して、飲料カップを含む熱成形容器を製造することができる。例として、本開示に従って製造された飲料カップは、エチレンランダムコポリマーを用いて作製されたカップと比較して、より低いヘイズ及びより高い剛性を提示することができる。
本開示のプロピレン-ブテンコポリマーは、上記のような成形物品を作製するためのポリマー組成物を配合する際に、様々な他の成分及び原料と組み合わせることができる。例として、一実施形態では、ポリマー組成物は、酸化防止剤及び酸捕捉剤を含有することができ、いくつかの用途においてまた、好ましくは、核剤、離型剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロック剤、加工助剤、UV安定剤、及び着色剤(顔料)などの他の添加剤も含有することができる。酸化防止剤はヒンダードフェノールであってもよく、これは、ホスファイト安定剤と共に使用されてもよい。使用され得る酸捕捉剤としては、ステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト、又はそれらの混合物が挙げられる。各添加剤は、組成物中に、約0.01重量%~約2重量%の量、例えば約0.1重量%~約1重量%などの量で存在することができる。
一実施形態では、コポリマー組成物は、核形成剤を更に含有することができる。核形成剤は、組成物の透明性を更に改善するために添加することができる。一態様では、核形成剤は、組成物内にゲル化ネットワークを生成することができる化合物を含み得る清澄剤であり得る。
一実施形態では、核形成剤は、ソルビトールアセタール誘導体などのソルビトール化合物を含み得る。一実施形態では、例として、核形成剤は、ジベンジルソルビトールを含み得る。
いくつかの実施形態において添加剤として使用することができるソルビトールアセタール誘導体に関して、ソルビトールアセタール誘導体を式(I)に示す。
いくつかの実施形態では、R1~R5は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は2,4-ジベンジリデンソルビトール(「DBS」)である。いくつかの実施形態では、R1、R4、及びR5は水素であり、R2及びR3はメチル基であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,3:2,4-ジ-p-メチルジベンジリデン-D-ソルビトール(「MDBS」)である。いくつかの実施形態では、R1~R4はメチル基であり、R5は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトール(「DMDBS」)である。いくつかの実施形態では、R2、R3、及びR5はプロピル基(-CH2-CH2-CH3)であり、R1及びR4は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-(4-プロピルフェニルメチレン)ノニトール(「TBPMN」)である。
使用され得る核形成剤の他の実施形態としては、以下:
1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール;
1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール;
ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール;
ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール;及び
ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトールが挙げられる。
1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール;
1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール;
ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール;
ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール;及び
ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトールが挙げられる。
一実施形態では、核形成剤はまた、ベンゼントリスアミドなどのビスアミドを含んでもよい。上記の核形成剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
1つ以上の核形成剤は、ポリマー組成物において、約100ppm超の量で、例えば約300ppm超の量などで、例えば約1000ppm超の量などで、例えば約2000ppm超の量などで、かつ一般に約20,000ppm未満、例えば約10,000ppm未満など、例えば約4000ppm未満などの量で存在することができる。
1つ以上の核形成剤が清澄剤である場合、清澄剤は、約1,500ppm超の量で、例えば約1,800ppm超の量などで、例えば約2,000ppm超の量などで、例えば約2,200ppm超の量などで添加され得る。1つ以上の清澄剤は、一般に約20,000ppm未満、例えば約15,000ppm未満、例えば約10,000ppm未満、例えば約8,000ppm未満、例えば約5,000ppm未満の量で存在する。
上記のように、本開示のプロピレン-ブテンコポリマーを含有するポリマー組成物は、優れた低ヘイズ特性を有し、これは、1つ以上の核形成剤を添加してポリマーと組み合わせる場合に向上させることができる。例えば、厚さ0.7mmで測定した場合、プロピレン-ブテンコポリマー又はプロピレン-ブテンコポリマーを含有するポリマー組成物は、約12%未満、例えば約10%未満など、例えば約8%未満などのヘイズを有することができる。ポリマーで作製されたボトル、容器、フィルム、及びカップなどの成形物品は、約10%未満、例えば約7.5%未満、例えば約7%未満、例えば約6.5%未満、例えば約6%未満、例えば約5.5%未満のヘイズを有することができる。ヘイズは一般に約1%を超える。
V.実施例
実施例設定番号1
上記で概説した手順に従って、プロピレン-ブテンランダムコポリマー試料を生成し、それらの特性を試験した。特性及び実験結果を以下の表に概説する。
実施例設定番号1
上記で概説した手順に従って、プロピレン-ブテンランダムコポリマー試料を生成し、それらの特性を試験した。特性及び実験結果を以下の表に概説する。
プロピレン-ブテンランダムコポリマーは、立体特異的な第6世代チーグラー・ナッタマグネシウム担持/チタン系触媒を用いて生成した。触媒は、メタロセン触媒を用いて作製されたポリマーよりも広い分子量分布を有する非フタル酸塩内部供与体生成ポリマーを含有していた。ポリマーを生成するために使用されるプロセスは、当技術分野ではUNIPOL気相プロセスとして記載されている。ポリマーを生成するために使用された触媒は、置換フェニレン芳香族ジエステル内部電子供与体を含んでいた。使用される触媒は、W.R.GraceandCompanyから、CONSISTAの商品名で利用可能である。全てのコポリマーは、外部電子供与体及び助触媒としてトリエチルアルミニウムを用いて作製した。
試料1番、試料6番、試料10番、試料14番について、核形成剤を添加しなかった以外は、生成した様々な異なるランダムコポリマーを核形成剤と組み合わせた。2つの異なる核形成剤を使用した。核形成剤は、(1)TPBMN(清澄剤)、及び(2)Milliken Chemicalによって市販されているHYPERFORM HPN-600ei(核形成剤)であった。試料2番、試料7番、試料11番、及び試料15番は、HYPERFORM HPN-600eiを400ppmの濃度で含有していた。試料3番、試料8番、試料12番、及び試料16番は、2000ppmの濃度のTPBMNを含有し、試料4番、試料5番、試料9番、試料13番、及び試料17番は、4000ppmの濃度でTPBMNを含有していた。各試料にはまた、ヒンダードフェノール酸化防止剤、亜リン酸エステル酸化防止剤、及び酸捕捉剤(ヒドロタルサイト)も含有された。
以下の結果が得られた:
実施例設定番号2
上記で概説した手順に従って、プロピレン-ブテンランダムコポリマー試料を生成し、それらの特性を試験した。特性及び実験結果を以下の表に概説する。
上記で概説した手順に従って、プロピレン-ブテンランダムコポリマー試料を生成し、それらの特性を試験した。特性及び実験結果を以下の表に概説する。
プロピレン-ブテンランダムコポリマーは、立体特異的な第6世代チーグラー・ナッタマグネシウム担持/チタン系触媒を用いて生成した。触媒は、メタロセン触媒を用いて作製されたポリマーよりも広い分子量分布を有する非フタル酸塩内部供与体生成ポリマーを含有していた。ポリマーを生成するために使用されるプロセスは、当技術分野ではUNIPOL気相プロセスとして記載されている。ポリマーを生成するために使用された触媒は、置換フェニレン芳香族ジエステル内部電子供与体を含んでいた。使用される触媒は、W.R.GraceandCompanyから、CONSISTAの商品名で利用可能である。全てのコポリマーは、外部電子供与体及び助触媒としてトリエチルアルミニウムを用いて作製した。
プロピレン-エチレンランダムコポリマーもまた生成した。以下の表において、例として、試料20番~試料28番及び試料32番~試料36番は、プロピレン-ブテンランダムコポリマーを対象とし、試料18番、試料19番、試料29番~試料31番、及び試料37番~試料40番は、プロピレン-エチレンランダムコポリマーを対象とする。試料18番、試料19番、試料37番、及び試料38番は、プロピレン-ブテンコポリマーを生成するために使用されたのと同じ触媒を用いて作製された。試料29番~試料31番、試料39番、及び試料40番は、フタル酸塩系触媒を用いて作製した。生成されたポリマーのいくつかを2000ppm又は4000ppmのいずれかの核形成剤、すなわちTBPMNと組み合わせたが、一方で試料20番、試料23番、試料26番、試料29番、及び試料32番は核形成剤を含有しなかった。次いで、ポリマー組成物を射出成形して容器にするか、又はブロー成形してボトルにする。以下の結果が得られた:
上記の試料19番及び試料22番もまた、製造から一年間後に射出成形品上のヘイズについて試験し、以下の特性を有する市販グレードのプロピレン-エチレンランダムコポリマーと比較した。
以下の結果が得られた:
本発明に対するこれら及び他の修正及び変更は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全部又は一部において相互に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が単なる例示によるものであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
Claims (28)
- プロピレン-ブテンコポリマーであって、
一次モノマーとしてのプロピレンと、
約1重量%~約12重量%のブテン内容物と、
約1.0重量%~約8.0重量%のキシレン可溶性画分と、
約3.5を超える分子量分布(Mw/Mn)と、
置換フェニレン芳香族ジエステルと、
を含む、プロピレン-ブテンコポリマー。 - 前記ブテン内容物が、約2重量%~約8重量%、例えば約2重量%~約6重量%などである、請求項1に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記コポリマーが、約75℃を超える荷重たわみ温度(heat deflection temperature)を有する、請求項2に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記コポリマーが、約147℃~約155℃の融解温度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記キシレン可溶性内容物が、約2重量%~約7重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記コポリマーが、約0.2g/10分~約8g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記コポリマーが、約8g/10分~約220g/10分のメルトフローレートを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記コポリマーが、約1200MPa超、例えば約1300MPa超など、例えば約1400MPa超、一般に約2000MPa未満の曲げ弾性率を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記ポリマーが、非フタル酸塩触媒を用いてチーグラー・ナッタ触媒されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記ポリマーが、約0.3~約3.0、例えば約0.3~約2.0、又は0.5~約1.0などのキシレン可溶性画分/ブテン内容物比を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマー。
- 前記プロピレン-ブテンコポリマーが、前記ポリマー組成物中に、約70重量%を超える量、例えば約80重量%を超える量など、例えば約90重量%を超える量など、例えば約95重量%を超える量などで存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロピレン-ブテンコポリマーを含有するポリマー組成物。
- 前記組成物が、核形成剤を更に含む、請求項11に記載のポリマー組成物。
- 前記核形成剤が、ノニトールを含む、請求項12に記載のポリマー組成物。
- 前記ポリマー組成物が、0.7mmで約8%以下、例えば約6%以下などのヘイズを提示する、請求項11~13のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
- 射出成形品、ブロー成形品、熱成形品、フィルム、又は繊維を含む物品である、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物から作製された物品。
- プロピレン-ブテンコポリマーを含むポリマー組成物から作製された、ブロー成形品、熱成形品、フィルム、又は繊維を含む物品であって、プロピレン-ブテンコポリマーが、
一次モノマーとしてのプロピレンと、
約1重量%~約12重量%のブテン内容物と、
約1.0重量%~約8.0重量%のキシレン可溶性画分と、
約3.5を超える分子量分布(Mw/Mn)と、
酸化防止剤及び制酸剤と、
を含む、物品。 - カップ、ボトル、又は容器を含む、請求項16に記載の物品。
- 包装を含む、請求項16に記載の物品。
- 前記コポリマーの前記ブテン内容物が、約2重量%~約8重量%、例えば約2重量%~約6重量%などである、請求項16に記載の物品。
- 前記コポリマーが、約75℃を超える荷重たわみ温度を有する、請求項19に記載の物品。
- 前記コポリマーが、約145℃~約155℃、例えば147℃~約155℃などの融解温度を有する、請求項19又は請求項20のいずれか一項に記載の物品。
- 前記キシレン可溶性内容物が、約2重量%~約7重量%である、請求項16~21のいずれか一項に記載の物品。
- 前記コポリマーが、約0.2g/10分~約4g/10分のメルトフローレートを有する、請求項16~22のいずれか一項に記載の物品。
- 前記ポリマーが、約0.3~約3.0、例えば約0.3~約2.0などのキシレン可溶性画分/ブテン内容物比を有する、請求項16~23のいずれか一項に記載の物品。
- 前記プロピレン-ブテンコポリマーが、前記ポリマー組成物中に、約70重量%を超える量、例えば約80重量%を超える量など、例えば約90重量%を超える量など、例えば約95重量%を超える量などで存在する、請求項16~24のいずれか一項に記載の物品。
- 前記組成物が、核形成剤を更に含む、請求項16~25のいずれか一項に記載の物品。
- 前記核形成剤が、ノニトールを含む、請求項26に記載の物品。
- 前記ポリマー組成物が、0.7mmで約8%以下、例えば約6%以下などのヘイズを提示する、請求項16~27のいずれか一項に記載の物品。
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