JP2023533777A - 親油性活性成分を送達するための処方 - Google Patents

親油性活性成分を送達するための処方 Download PDF

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Abstract

本発明は、親油性活性成分の送達のための技術的プラットフォームに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、医療、製薬、栄養補助食品、及び化粧品の分野に適用され、そして特に、活性成分を送達するための新規なプラットフォームに関する。
PEA(その構造は図1に示されている)は、パルミチン酸とエタノールアミンの間のアミドであり、中枢神経系に豊富に含まれている。
PEA はグリア細胞によって顕著に産生され、そして中枢及び末梢の両方で作用する重要なメディエーターである。
パルミトイルエタノールアミド (PEA) は、痛みや炎症と闘うために体内で生成される。 多くの動物や植物も PEA を生成する。 大豆レシチン、大豆、卵黄、ピーナッツに最も多く含まれている。 この脂肪酸は、内因性カンナビノイドを増加させ、全身の神経を保護する可能性がある。
その利点は、治療が困難なさまざまな障害にとって心強いものである。
約 25 年前、その構造類似体の 1つであるアナンダミド (AEA) が、マリファナに見られる Δ9-テトラヒドロカンナビノールの標的であるカンナビノイド受容体の内因性リガンドであることが発見された。
良く知られている抗炎症作用に加えて、PEA は鎮痛を誘発し、神経保護効果を発揮し、食物摂取を抑制し、腸の運動性と癌細胞の増殖を抑制し、そして心虚血の場合に血管内皮を保護することができる。
他の研究では、この内因性アシルエタノールアミドがマスト細胞の脱顆粒と炎症を末梢レベルで阻害できること、マクロファージによる一酸化窒素産生の変化、及び誘導性一酸化窒素合成酵素 (iNOS) 及びシクロオキシゲナーゼ-2 (COX-2) などの炎症性タンパク質の発現の変化を伴う効果が示された。
PEA は、細胞核内の受容体 (核内受容体) に結合し、慢性的な痛みや炎症に関連するさまざまな生物学的機能を発揮することが示されている。 ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ (PPAR-α) が主要な標的であると考えられている。 しかし、パルミトイルエタノールアミドやその他の構造的に関連する N-アシル エタノールアミンの存在は、いわゆる「側近効果」を通じてアナンダミドの活性を高めることが知られている。
PEA は、T 細胞とマクロファージが関与する深刻な炎症反応に関連する神経障害のモデルである、末梢損傷、慢性狭窄損傷の動物モデルにおける炎症の程度を軽減することもできる。 神経損傷後、PEA は、高レベルの一酸化窒素、スーパーオキシドラジカル、及び炎症誘発性サイトカインの産生に関与する CD86+ 細胞の量によって評価される、浮腫及びマクロファージ浸潤を減少させる。
従って、PEA の抗痛覚過敏及び神経保護特性は、その抗炎症効果及びマクロファージの神経への浸潤を防止する能力だけに関連するものではない。 まとめると、この証拠は、炎症反応と組織損傷を引き起こす病理学的刺激の間、細胞の恒常性を維持する上で PEA が重要な役割を果たしていることを示唆している。
その臨床的可能性にもかかわらず、PEA 及び全てのエンドカンナビノイドには深刻な可溶化の問題がある。
PEA は、水、油、及びほとんどの一般的な有機溶媒に実質的に不溶である。 PEA は、メタノール、エタノール、イソプロピル アルコールにはほとんど溶けない。
市場に出回っているPEAは、栄養補助食品として非常に高用量 (1 用量当たり600mg) で、微粉化された形でも経口で使用される。
米国特許出願US2011/046225号は、パルミトイルエタノールアミドとステアリルエタノールアミドの混合物を、これらの化合物のエンドカンナビノイド型の特性から利益を得ることができる状態の相乗的治療に使用することを記載している。
Diana Tronino らによる出版物 (「Nanoparticles prolong N-palmitoylethanolamide in vivo での抗炎症及び鎮痛効果」、COLLOIDS AND SURFACES B:BIOINTERFACES、VOL. 141、2016 年 2 月 1 日、311 ~ 317 ページ、XP029465877)は、コンプリトールATO(ベヘン酸トリグリセリド、HLB2)ナノ粒子を記載しており、ここでパルミトイルエタノールアミドは、ミグリオール(中鎖トリグリセリド、MCT)及びルトロールF68(高HLB界面活性剤)を使用して組み込まれている。調製物は、脂質を事前に融解し、パルミトイルエタノールアミドを融解した脂質に溶解した後、高温均質化によって得られる。
先行技術文献CN 108 451 905 Bは、2つの安定化界面活性剤の使用によって得られるガンボギン酸ナノエマルションを記載している。
本特許出願の発明者らは、水不溶性化合物のナノスケール製剤を調製するための技術プラットフォームを開発した。
このプラットフォームは、特に、溶解度が非常に低い活性成分の製剤に利用されてきた。
図1は、パルミトイルエタノールアミドの式を示す。
図2は、未加工PEA(sx;A=400X、B=3,000X)及び本発明による製剤(dx;C=8,000X、D=60,000X)の異なる倍率での走査型電子顕微鏡画像を示す。
図 3 は、スクアレンの非存在下での製剤の走査型電子顕微鏡画像 (倍率 28,000 倍) を示す。
図4は、界面活性剤が存在しない場合の製剤の光学顕微鏡画像 (倍率400倍) を示す。
図5は、エタノール中のPEA:スクワラン混合物(A)、エタノール中のPEA:スクアレン混合物(B)、及びエタノール中の生PEA(C)の示差走査熱量測定によって得られたサーモグラムを示す。
図6は、5つの処置群の紅斑、鱗屑、及び厚さのスコアを合計することによって計算されたPASI(乾癬領域重症度指数)の固有のグラフを示す。
図7は、本発明の製剤による治療の前、7日後、及び14日後の膝の乾癬プラークを示す。
図8は、本発明の製剤による治療の前、7日後、及び14日後の足の乾癬斑の治療の結果を示す。
本発明の主題
本発明の第1の主題は、活性成分を送達するための製剤を調製する方法によって表される。
本発明の好ましい側面によれば、活性成分は親油性である。
第2の主題は、本発明の方法に従って得られる製剤によって表される。
本発明の第3の主題は、記載された製剤を含む医薬品又は栄養補助食品又は化粧品の調製物によって代表される。
本発明の第4の主題は、本発明の製剤の医学的使用によって代表される。
本発明の好ましい側面によれば、乾癬、皮膚炎、湿疹、座瘡、毛包炎、粃糠疹を含む群から選択される状態の治療のための医学的使用が記載される。
本発明のさらなる側面によれば、肺感染及び炎症、アテローム性動脈硬化症、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、神経変性疾患、クローン病、大腸炎、及び緑内障を含む群から選択される状態の治療のための医学的使用が記載されている。
さらなる側面によれば、本発明の製剤又は調製物は、化粧品及び栄養補助食品の用途について記載されている。
本発明の第5の主題では、乾癬、皮膚炎、湿疹、座瘡、毛包炎、粃糠疹を含む群から選択される状態を治療するための方法が記載される。
本発明の詳細な説明
本発明の第1の主題は、活性成分を送達するための製剤を調製する方法によって表される。
本特許出願の目的のために、前記活性成分は好ましくは親油性である。
特に好ましい側面によれば、前記活性成分はパルミトイルエタノールアミドである。
特に、本発明の方法は、以下の工程を含む:
1)親油性活性成分を、スクアレン及び第1の界面活性剤の存在下で水と混和可能な溶媒に溶解する工程
2)得られた溶液を第2の界面活性剤の存在下で水相に滴下する工程。
特定の1つの側面によれば、送達される親油性活性成分は、アラキドン酸又はエタノールアミドの誘導体である。
本発明の目的のために、活性成分は内因性カンナビノイドの1つであり得、又は内因性カンナビノイドの1つでなくてもよい。
この親油性の活性物質は、オレオイルエタノールアミド(OEA)、アナンダミド(AEA)、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)、ステアロイルエタノールアミド(SEA)、ドコサヘキサエノイルエタノールアミド(DHEA)、リノレオイルエタノールアミド(LEA)、アデルミドロールを含む群から選択することができる。
工程1)において、親油性活性成分は、好ましくはパルミトイルエタノールアミドである。
本発明の1つの側面によれば、使用される溶媒は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリルを含む群から選択される。
本発明の1つの側面によれば、工程1)で使用される第1の界面活性剤は、HLB<10を有する界面活性剤である。
本発明の好ましい側面によれば、前記第1の界面活性剤はグリセリルモノステアレート(GMS)又はソルビタンモノステアレートである。
本発明の1つの側面によれば、工程1)の溶液は、約0.05~5%(w/v)の濃度の親油性活性成分を使用することによって得られる。
本発明の1つの側面によれば、工程1)の溶液は、約0.05~5%(w/v)のスクアレン濃度を使用することによって得られる。
工程2)に関して、使用される第2の界面活性剤は、HBL≧10を有する界面活性剤である。
本発明の目的のために、第2の界面活性剤は、トリテルペノイドサポニン又はその混合物、ポリソルベート、ポロキサマー、ゼラチン、ポリエチレングリコール誘導体、スクロースパルミテートを含む群から選択される。
本発明の好ましい側面によれば、前記界面活性剤はスクロースパルミテートである。
本発明の1つの側面によれば、工程2)は機械的撹拌下で実施される。
工程2)の溶媒は、好ましくは水である。
本発明の好ましい側面によれば、工程1)の界面活性剤及び工程2)の界面活性剤は、合計重量で添加され、これにより、約1:0.25~1:1.75の親油性活性成分:全界面活性剤の比が得られる(すなわち、工程1の界面活性剤の重量+工程2)の界面活性剤の重量)。
従って、本発明の特定の側面によれば、工程1)の界面活性剤及び工程2)の界面活性剤は、合計重量で添加され、これにより、約1:0.25~1:1.75のPEA:全界面活性剤の比率が得られる(すなわち、工程1の界面活性剤の重量+工程2)の界面活性剤の重量)。
工程2)の後、溶媒が完全に蒸発するまで混合物を蒸発させる。
本発明の1つの側面によれば、蒸発は磁気攪拌によって達成される。
本発明の1つの側面によれば、工程2)において、以下から選択される化合物が続いて添加される:
- 単量体、オリゴマー、及びポリマー形態のマンノース又はその誘導体; 又は
- モノマー、オリゴマー、及びポリマー形態のフコース又はその誘導体。
本発明の目的のために、マンノース誘導体には、例えば、メチルα-D-マンノピラノシド、又は例えば、脂肪酸、タンパク質、又はN-アセチルグルコサミンを含む群から選択されるマンノシル化化合物が含まれる。
本発明の目的のために、フコース誘導体には、例えば、脂肪酸、タンパク質、又はN-アセチルグルコサミンを含む群から選択されるフコシル化化合物が含まれる。
本発明の好ましい側面によれば、フコースが添加される。
本発明の1つの側面によれば、マンノース又はフコース又はそれらの誘導体は、親水性界面活性剤に対して1:1のモル比で添加される。
本発明に従って得られる製剤は、ナノ構造タイプのものである。
これは、方法がナノ構造のPEA懸濁液の形成につながることを意味する。
特に、得られたナノ構造PEA懸濁液は、光散乱によって決定された、約200~350nm、好ましくは約280~320nm、より好ましくは約290~310nm又は約300nmのサイズを有する。
上述のように、本特許出願の方法は、親油性活性成分を送達するためのナノ構造製剤を得るために実施することができる。
1つの特定の側面によれば、送達される親油性活性成分は、アラキドン酸又はエタノールアミドの誘導体である。
本発明の目的のために、活性成分は内因性カンナビノイドの1つであり得、又は内因性カンナビノイドの1つでなくてもよい。
前記親油性活性成分は、オレイルエタノールアミド(OEA)、アナンダミド(AEA)、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)、ステアロイルエタノールアミド(SEA)、ドコサヘキサエノイルエタノールアミド(DHEA)、リノレオイルエタノールアミド(LEA)、アデルミドロールを含む群から選択され得る。
本発明の第2の主題は、上記の方法に従って得られる製剤である。
そのような製剤は、好ましくは懸濁液又は乾燥粉末である。
好ましい側面によれば、記載された製剤は、約0.3~1.5%(w/v)の濃度でナノ構造形態のPEAを含む。
本発明の第3の主題は、記載された製剤を含む医薬品又は化粧品である。
本発明の目的のために、前記調製物は、皮膚、経口、眼、吸入、全身(静脈内、筋肉内、又は皮下又は関節内)経路によって投与されるように調製される。
例えば、本発明の調製物は、クリーム、ゲル、スプレー、エマルション、フォーム、吸入用の乾燥粉末又は懸濁液、カプセル、錠剤、顆粒、坐剤、点眼剤、水性懸濁液、経皮パッチのいずれかの形態であってよい。
本発明の第四の主題は、本発明の製剤又は調製物の医学的使用である。
本発明の好ましい側面によれば、乾癬、皮膚炎、湿疹、座瘡、毛包炎、粃糠疹を含む群から選択される状態の治療のための医学的使用が記載される。
本発明のさらなる側面によれば、肺感染症及び炎症、アテローム性動脈硬化症、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、神経変性疾患、クローン病、大腸炎、及び緑内障を含む群から選択される状態の治療のための医学的使用が記載されている。
具体的には、本発明の製剤は、1日2回、14日間局所投与される。
さらなる主題によれば、前述の本発明の製剤又は調製物は、化粧品及び栄養補助食品としての使用について記載されている。
本発明の第5の主題によれば、乾癬、皮膚炎、湿疹、にきび、毛嚢炎、粃糠疹、肺の感染症及び炎症、アテローム性動脈硬化症、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、神経変性疾患、クローン病、大腸炎、及び緑内障を含む群からの状態の治療するために、そのような状態を患っている患者に、本発明のナノ構造製剤又は医薬品又は栄養補助食品又は化粧品を投与する工程を含む方法が記載される。
好ましい側面によれば、前記投与は局所的である。
好ましい側面によれば、前記投与は14日間にわたって繰り返される。
前記投与は、1日2回行うことができる。
活性成分がエンドカンナビノイドのクラスに属する化合物であり、そして前記第1及び前記第2の界面活性剤がステロイド(シクロペンタノペルヒドロフェナントレニック)構造を有する界面活性剤である場合、上記の方法、処方、調製、医学的使用、及び治療方法が本特許出願の目的から除外される。
以下の本発明の非限定的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。
実施例1
製剤の調製
パルミトイルエタノールアミド(PEA)、スクアレン、及びHBL<10を有する第1の界面活性剤を、本発明の量的比率に従ってエタノールに溶解した。 得られた溶液を、HBL≧10の第2の界面活性剤とマンノース誘導体を添加した水相に攪拌しながら滴下した。
得られた混合物を、溶媒が完全に蒸発するまで電磁攪拌により攪拌した。
実施例2
溶解度アッセイ及び可溶化率
未処理のPEAと比較して、実施例1に従って得られた懸濁液について溶解度試験を実施した。
本発明の未加工PEA及びナノ構造化PEAの溶解度試験を、化合物の溶解度の変化を決定するために、以下の溶解媒体で実施した:
- 脱塩水、
- リン酸緩衝液 pH 7.4、
- 模擬腸液 (pH 6.8)、及び
- 模擬肺液 (pH 7.4)。溶解度は、24時間後に磁気攪拌下で異なる溶解媒体中25℃で測定された。具体的には、過剰量の未加工PEA(17mg)及び実施例1(6mL、17mgのナノ構造PEAに相当)を上記の異なる溶液に別々に添加し、12mLの最終容量を得た。 24 時間後、アリコートを採取し、0.2 μm シリンジ フィルターで濾過し、最後に HPLC で分析した。
データを以下の表Iに示す。
Figure 2023533777000001
溶解率の変化を評価するために、1% コール酸ナトリウム水溶液を使用して実験を行った。
10mLの1%w/vコール酸ナトリウム溶液(最終総濃度は30μg/mLである)に懸濁された、実施例1に従って得られた0.3mgの未加工又はナノ構造のPEAの懸濁液から始めて、PEAの溶解率を経時的に評価した。
溶解データを表 II に示す。
Figure 2023533777000002
HPLC 法
分析される溶液(実施例2)中のPEA濃度は、HPLC-UV/Vis分析によって決定された。使用するシステムは、2 つの PU-2080 Plus ポンプ、HG-980-30 溶媒混合モジュール、Degasys DG-1210 脱気モジュール (Uniflows Co., Ltd., Tokyo, Japan)、及び UV-VIS UV-2075 Plus検出器 で構成されている。データは、Hercule Lite Chromatography Interface と Borwin Software (Jasco Corporation, Tokyo, Japan) をそれぞれ使用して記録及び処理された。Purospher C18プレカラム(4.0×4.0 mm; 5.0μm)(Merck Darmstadt、Germany)を備えたPurospher RP-18eカラム(125×4.0mm; 5.0μm)でクロマトグラフィー分析を実施し、両方とも30℃に温度調節されている。クロマトグラムの記録は 210nmで行った。 使用される移動相は、18:82 (v/v) HO:アセトニトリル混合物で構成され、流量 1mL/分 で定組成的に溶出される。 上記の分析条件では、PEA の保持時間は4.6 分であった。
実施例1に従って得られたが、マンノース誘導体を含まない調製物は、同様の溶解度及び可溶化率を示した。
実施例3
粒子の寸法および形態学的特徴付け
実施例1に従って得られたナノ構造PEA懸濁液を光散乱によって分析して、ナノ粒子のサイズを評価した。
結果を以下の表IIIに示す。
Figure 2023533777000003
形態学的には、両方の形態の走査型電子顕微鏡 (SEM) 分析が行われた。 図 2の画像から、未加工のPEA が不規則な巨視的凝集体 (数十ミクロン) の形であることがわかり、 一方、本発明によるナノ構造PEAは、明確なナノメートル構造を含むことが示されている。
実施例1に従って得られたが、マンノース誘導体を含まない調製物が特徴付けられ、結果は実施例3のものと同様である。
実施例4
比較アッセイ
実施例1のプロセスに従って、同様の製剤を調製したが、特定の成分を1つずつ省略した:
1) スクアレンの不在、
2)スクワランからスクワランへの置換
3)工程 1 及び 2の界面活性剤が存在しない。
1)実施された試験は、スクアレンが存在しない場合、製剤が不安定であり、目に見える肉眼で見える凝集物がないことを示した;ただし、SEM 分析 (図3を参照) により、明確なナノ構造が存在せず、微視的な凝集体が存在することが観察される。この製剤の 1% コール酸ナトリウム溶液でのPEA可溶化率は、30 分後に 15.52 μg/m であることがわかる (表Iを参照のこと)。
2)スクアレンの水素化形態であるスクアランの使用は、PEAとスクアレンとの間の選択的親和性を仮定すると、ナノ構造PEAの同じ取得を可能にしない。 これは、PEA+スクアラン及びPEA+スクアレンの実施例1に従ってアルコール溶液中で調製された混合物のDSC分析(図5)によって確認され、前者の場合、未加工PEAの場合のように、PEAの3つの多形形態が存在し 、 一方、後者の場合、準安定多形 II という単一の形態が安定化される。
3)実施された試験は、第1及び第2の界面活性剤が存在しない場合、製剤が不安定に見えることを示した。 ナノ構造 PEA が得られなかったことを示す肉眼で見える凝集体は、光学顕微鏡 (図 4 を参照のこと) と肉眼の両方で見ることができる。
実施例5
乾癬の動物モデルの治療
乾癬のマウスモデル (8週齢の C57bl/6 メス) を予備研究に使用して、ナノ構造PEAの活性を未加工PEA 及び市販のコルチコステロイド薬と比較した。 ナノ構造 PEA と未加工PEA は、主にアーモンド オイル、植物性乳化剤、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドで構成される水中油型ベース クリームに別々に添加された。乾癬は、その使いやすさ、便利さ、及び紅斑、鱗屑形成、表皮肥厚などの急性乾癬に似た皮膚表現型の生成のために、前臨床薬開発で広く使用されている化合物であるイミキモドによって誘発された。 具体的には、2日間のイミキモド塗布後に治療が開始された。 さまざまなクリームを動物の背中に毎日8日間塗布した。動物を 以下の5つのグループに分けた: (1) ビヒクルクリーム、(2) ビヒクルクリーム +未加工PEA 0.4%、(3) ビヒクルクリーム + ナノ構造 PEA 0.4%、(4) ビヒクルクリーム + ナノ構造 PEA 0.8%、及び (5) 市販のコルチコステロイド製品であるジプロピオン酸ベタメタゾンクリーム。研究期間中 (10 日間)、マウスを毎日モニターし、ストレス、体重減少、食欲不振、運動能力の低下などのさまざまな指標を評価した。 おそらくコルチコステロイド薬の初期毒性のために、治療の最後の2日間に最初の苦痛の兆候が現れたグループ(5)を除いて、これらの指標の変化は確認されなかった。乾癬の指標パラメータとして、紅斑、落屑、病変の厚さを毎日評価した。
これらすべてのパラメーターについて、治療動物のグループ4(ナノ構造 PEA 0.8%) は、動物の陽性対照グループ (市販のコルチコステロイド薬) と同様の値を有する唯一の動物であった。 最後に、PASI 指標が計算された (図 6)。 PASI は乾癬の面積と重症度の指標であり、乾癬の臨床評価で乾癬様病変の重症度を監視するために使用される。この指標は、治療中に測定されたプラーク パラメータ、紅斑、落屑、厚さのすべての値を電子ノギスで平均することによって計算される。 最高用量のナノ構造 PEA を投与された動物のグループ (グループ 4) は、コルチコステロイドを投与されたグループ (グループ5) と非常によく似た反応を示し、有害な副作用の兆候はほとんど見られなかった。
実施例6
乾癬斑の治療
実施例1に従って得られたナノ構造PEAの懸濁液を、0.2%局所用ナノ構造PEAクリームの調製に使用した。
クリームは、軽度の乾癬患者(約 15 人)の皮膚に 1日2 回、15 日間塗布された。
ボランティアによって確認されたように、膝への塗布後の図7と足への塗布後の図 8の画像で示されるように、わずか 1~2週間後に皮膚乾癬プラークの顕著な改善が見られた。
前述の説明から、本発明の多くの利点が当業者には明らかであろう。
特に、技術的観点から、本発明の製剤は、腸及び肺の媒体において、生理的pHで少なくとも水及びリン酸緩衝液に有利に溶解する。
上記に加えて、記載された方法は、既知の制限及び欠点を除いて、そうでなければ投与できない、親油性の他の及び異なる活性成分の送達のための製剤を得ることを可能にする。
得られた製剤はナノ構造タイプのものであり、エマルジョンではなく; 実際には、成分とそれを得るための方法は、水と混和性の溶媒の使用を伴うため、エマルションのものとは異なる。
さらに、驚くべきことに、スクアレンの使用は、非常に類似しているが、他の分子で代用できないことが注目されている。

Claims (17)

  1. 下記工程を含む、親油性活性成分のナノ構造製剤の調製方法であって、
    1)スクアレン及び第1の界面活性剤の存在下で前記親油性活性成分を水混和性溶媒に溶解する工程;
    2)このようにして得られた溶液を第2の界面活性剤の存在下で水相に滴下する工程、ここで前記活性成分がエンドカンナビノイドのクラスの化合物である場合、前記第1及び前記第2の界面活性剤はステロイド構造を有する界面活性剤ではない、方法。
  2. 前記親油性活性成分が、オレオイルエタノールアミド(OEA)、アナンダミド(AEA)、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)、ステアロイルエタノールアミド(SEA)、ドコサヘキサエノイルエタノールアミド(DHEA)、リノレオイルエタノールアミド(LEA)、アデルミドロール、パルミトイルエタノールアミド(PEA)を含む群から選択され、そして 好ましくはパルミトイルエタノールアミドである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記水混和性溶媒が、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトン、及びアセトニトリルを含む群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程1)において、前記第1の界面活性剤が、HBL<10を有する界面活性剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程1)において、前記界面活性剤が、グリセリルモノステアレート又はソルビタンモノステアレートによって表される界面活性剤である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程2)において、前記界面活性剤が、HBL≧10を有する界面活性剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程2)において、前記第2の界面活性剤が、トリテルペノイドサポニン又はその混合物、ポリソルベート、ポロキサマー、ゼラチン、ポリエチレングリコール誘導体、パルミチン酸スクロースを含む群から選択される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程1)の界面活性剤及び工程2)の界面活性剤が、約1:0.25~1:1.75の親油性活性成分:全界面活性剤の比率が得られるように、合計重量で添加される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程2)において、フコース又はマンノース、又はモノマー、オリゴマー、又はポリマー形態のその誘導体、又はメチルアルファ-D-マンノピラノシド、又は脂肪酸、タンパク質又はN-アセチルグルコサミンを含む群から選択されたフコシル化化合物又はマンノシラートから選択された化合物がさらに添加される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の方法に従って得られるナノ構造製剤。
  11. 前記製剤が、約250~350nm、好ましくは約280~320nmの直径を特徴とするナノ粒子を含む、請求項10に記載のナノ構造製剤。
  12. 懸濁液又は乾燥粉末の形態である、請求項10又は11に記載のナノ構造製剤。
  13. 請求項10又は11又は12に記載のナノ構造製剤を含む、医薬品又は栄養補助食品又は化粧品。
  14. クリーム、ジェル、スプレー、エマルジョン、泡、乾燥粉末又は吸入用懸濁液、カプセル、錠剤、顆粒、坐薬、点眼薬、水性懸濁液、経皮パッチの形で請求項10~12のいずれか1項に記載ナノ構造製剤を含む、医薬品又は栄養補助食品又は化粧品。
  15. 医療への使用のための、請求項10~12のいずれか1項に記載ナノ構造製剤、又は請求項13又は14に記載の医薬品又は栄養補助食品又は化粧品。
  16. 乾癬、皮膚炎、湿疹、にきび、毛嚢炎、粃糠疹、肺の感染症及び炎症、アテローム性動脈硬化症、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、神経変性疾患、クローン病、大腸炎、及び緑内障を含む群からの状態の治療への使用のための、請求項10~12のいずれか1項に記載ナノ構造製剤、又は請求項13又は14に記載の医薬品又は栄養補助食品又は化粧品。
  17. 乾癬、皮膚炎、湿疹、にきび、毛嚢炎、粃糠疹、肺の感染症及び炎症、アテローム性動脈硬化症、喘息、関節リウマチ、多発性硬化症、神経変性疾患、クローン病、大腸炎、及び緑内障を含む群からの状態の治療方法であって、そのような状態に苦しんでいる患者に、請求項10~12のいずれか1項に記載ナノ構造製剤、又は請求項13又は14に記載の医薬品又は栄養補助食品又は化粧品を投与する工程を含む方法。
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