JP2023532866A - 自己免疫状態を処置するための酸素化コレステロールスルフェート類の使用 - Google Patents

自己免疫状態を処置するための酸素化コレステロールスルフェート類の使用 Download PDF

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ワン,ヤーピン
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Abstract

Figure 2023532866000001
本開示の態様は、少なくとも1つの自己免疫状態、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つを処置するための方法を含む。一部の例では、前記少なくとも1つの自己免疫状態は、エプスタイン・バーウイルス感染症に関連する。主題の方法の実施において、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つの化合物又はその塩の有効量が対象に投与される。
【選択図】 図7

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、35 U.S.C. 119(e)の下で、2020年6月26日に出願された米国仮出願第63/044,631号、2020年12月18日に出願された仮出願第63/127,905号、2021年1月25日に出願された仮出願第63/141,382号、2021年2月5日に出願された仮出願第63/146,559号、2021年2月5日に出願された仮出願第63/146,563号、2021年2月5日に出願された仮出願第63/146,565号、2021年2月5日に出願された仮出願第63/146,566号、2021年2月5日に出願された仮出願第63/146,568号、2021年2月16日に出願された仮出願第63/149,977号、2021年2月16日に出願された仮出願第63/149,993号、の優先権の利益を主張し、これらの出願の開示はそれらの全体が参照により本明細書中に明確に組み込まれる。
(連邦支援の研究開発に関する記述)
本発明は、部分的には、米国退役軍人省(Veterans Affairs)により授与されたVAメリットレビュー助成金、助成No. 1I01BX003656の下で、政府の支援によりなされた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
序文
オキシステロール類は、長い間、肝臓x受容体(LXR)などの核内受容体のリガンドであると考えられており、これらは脂質恒常性及び免疫系において重要な役割を果たし、ここでオキシステロール類は転写機構及び転写後機構の両方に関与する。オキシステロール類は酸化型コレステロールである。In vivoにおいては、ステロールのオキシステロール類への酵素的変換は、細胞、血液、及び組織中のステロイドホルモン、胆汁酸、及びビタミンDなどの重要な生物由来物質の生合成のための変換である。オキシステロール類は、多くの生物学的プロセス、例えばコレステロール恒常性、トリグリセリド代謝、炎症応答、細胞増殖、血小板凝集、及びアポトーシスなどに関与する。オキシステロール類は、メタボリック症候群及び神経変性疾患などの多くの疾患にも関与している。オキシステロール類は、スルホトランスフェラーゼ2B1b(SULT2B1b)によりコレステロールのA環の3位で硫酸化され、例えば5-コレステン-3β-25-ジオール-3-スルフェート(25HC3S)、5-コレステン-3β-24-ジオール-3-スルフェート(24HC3S)、5-コレステン-3β-27-ジオール-3-スルフェート(27HC3S)などのオキシステロール3-スルフェート、並びにXol3S(コレステロール3-スルフェート)となり得る。
コレステロール代謝物である5-コレステン-3β-25-ジオール-3-スルフェートは、脂質生合成を減少させ、且つコレステロールの分泌及び分解を増加させ、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、並びに脂肪蓄積及び炎症に関連する状態(例えば、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール性肝炎、急性腎傷害(AKI)、乾癬、及びアテローム性動脈硬化症)の治療及び予防に有用であり得ることが以前に示されている。またオキシステロール類も、メタボリック症候群などの幾つかの疾患に関与している。オキシステロール類は硫酸化することが可能であり、硫酸化されたオキシステロール類は異なる方向に作用する:これらは脂質生合成を減少させ、炎症応答を抑制し、細胞生存を促進する。
概要
本開示は、少なくとも1つの自己免疫状態(autoimmune condition)、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つを処置するための方法を提供する。一部の例では、前記少なくとも1つの自己免疫状態(自己免疫疾患)は、エプスタイン・バーウイルス感染症に関連する。主題の方法の実施において、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つのオキシステロール活性剤化合物又はその塩の有効量が対象に投与される。
本開示の態様として、以下が挙げられる:
1. 少なくとも1つの自己免疫状態を処置する必要がある対象において該少なくとも1つの自己免疫状態を処置する方法であって:
上記対象に、有効量の25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つの化合物又はその塩を投与することを含み、
上記少なくとも1つの自己免疫状態が場合によりエプスタイン・バーウイルス感染症に関連する、上記方法。
2. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が、肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つを含む、態様1の方法。
3. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が肝炎を含む、態様1又は2の方法。
4. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が多発性硬化症を含む、態様1~3のいずれか1つの方法。
5. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が全身性エリテマトーデスを含む、態様1~4のいずれか1つの方法。
6. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が関節リウマチを含む、態様1~5のいずれか1つの方法。
7. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が、エプスタイン・バーウイルス感染症に関連する、態様1~6のいずれか1つの方法。
8. 前記対象に25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)又はその塩の有効量を投与することを含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
9. 前記対象に25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)又はその塩の有効量を投与することを含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
10. 前記対象に27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)又はその塩の有効量を投与することを含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
11. 前記対象に27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)又はその塩の有効量を投与することを含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
12. 前記対象に24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)又はその塩の有効量を投与することを含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
13. 前記対象に24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)又はその塩の有効量を投与することを含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
14. 前記対象に24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェート又はその塩の有効量を投与することを含む、態様1~7のいずれか1つの方法。
15. 前記少なくとも1つの化合物を、0.001mg/kg/日~100mg/kg/日の量で投与する、態様1~14のいずれか1つの方法。
16. 前記少なくとも1つの化合物を、対象の体重に対して0.1mg/kg~100mg/kgの量で投与する、態様1~15のいずれか1つの方法。
17. 前記少なくとも1つの化合物を、対象の体重に対して1mg/kg~10mg/kgの量で投与する、態様1~15のいずれか1つの方法。
18. 前記投与が、1日当たり1回~3回行われる、態様1~17のいずれか1つの方法。
19. 前記投与が、経口投与、腸内投与、舌下投与、経皮投与、静脈内投与、腹膜投与、非経口投与、注射による投与、皮下注射、及び筋肉内注射の少なくとも1つを含む、態様1~18のいずれか1つの方法。
20. 前記投与が、前記少なくとも1つの化合物と、生理学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、態様1~19のいずれか1つの方法。
21. 前記医薬組成物が単位剤形に製剤化される、態様20の方法。
22. 前記医薬組成物が固体形態である、態様20又は21の方法。
23. 前記医薬組成物が、粉剤、錠剤、カプセル剤、又はトローチ剤の形態である、態様20~22のいずれか1つの方法。
24. 前記医薬組成物が、前記少なくとも1つの化合物を凍結乾燥形態にて増量剤と共に含む、態様20~23のいずれか1つの方法。
25. 前記医薬組成物が、密封されたバイアル、アンプル、シリンジ、又はバッグ中にある、態様20~24のいずれか1つの方法。
26. 前記医薬組成物が、液体である担体を含む、態様20又は21の方法。
27. 前記少なくとも1つの化合物が、前記液体中で可溶化されているか又は前記液体中で分散している、態様26の方法。
28. 前記液体が水性である、態様26又は27の方法。
29. 前記液体が、注射用滅菌水又はリン酸緩衝生理食塩水である、態様26~28のいずれか1つの方法。
30. 前記医薬組成物が、密封されたバイアル、アンプル、シリンジ、又はバッグ中にある、態様20及び26~29のいずれか1つの方法。
31. 少なくとも1つの自己免疫状態をその必要がある対象において処置するための医薬を製造するための、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つの化合物又はその塩の使用であって、
上記少なくとも1つの自己免疫状態が場合によりエプスタイン・バーウイルス感染症に関連する、上記使用。
32. 前記処置が、態様1~30のいずれか1つに記載の処置する方法である、態様31に記載の使用。
33. 少なくとも1つの自己免疫状態を処置するための方法に使用するための、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つの化合物又はその塩。
34. 前記方法が、態様1~30のいずれか1つに記載の方法である、態様33の使用のための少なくとも1つの化合物。
図1A~1D:Xol3S、25HC3S、及び27HC3Sの合成及び酵素反応速度研究。図1Aは、細胞中のXol3S、25HC3S、及び27HC3Sの生合成を示す。 精製した25HC3S;Xol3S;及び27HC3SのHPLCプロファイルを示す。 25HC3S、27HC3S、Xol3S、並びにそれらの前駆体である25HC、27HC、及びコレステロールがDNMT1/3a/3b活性に与える影響。25HC3S、Xol3S、及び27HC3Sが酵素活性に与える濃度依存性(0~0.001M(10ポイント))の影響を示す。 25HCと25HC3S、コレステロールとXol3S、及び27HCと27HC3Sの比較を示す。 図2A~2F:網羅的メチル化シーケンシング解析による、25HC3Sが肝細胞におけるDNAメチル化に与える影響。Huh-7細胞を、HG培地中で72時間培養し、エタノール(ビヒクル)及びエタノール中25mM 25HC3Sで4時間処理した。網羅的メチル化(グローバルなメチル化)のレベルを、LINE-1アッセイにより見積もった(推定した)。図2Aに示されるように、LINE-1エレメントのプロモーター領域中の4つのCpGサイトを標的位置として選択した。 詳細な網羅的メチル化を、全ゲノムバイサルファイトシーケンシング(WGBS)により測定した。染色体中の差示的メチル化領域(DMR)分布のサーコスマップ(Circos map)を図2Bに示す:第1の円は高メチル化DMRの分布を示し;第2の円は転位可能因子(TE)密度を示し;第3の円は低メチル化DMRの分布を示す。 25HC3Sライブラリ及びビヒクルライブラリ中の、全ゲノム(上)及びプロモーター領域(下)の、CGコンテキスト、CHGコンテキスト、及びCHHコンテキスト下の低メチル化DMR関連遺伝子(DMG)のベン図を示す。 KOBASソフトウェアを用いて、京都遺伝子ゲノム百科事典(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)(KEGG)経路におけるDMR関連遺伝子の統計的エンリッチメントを検定した。図2Dには全ゲノムの異なるゲノム機能領域中のDNAメチル化レベルが示され、ここでx軸は異なるゲノム領域(CGI、CGIショア、プロモーター、UTR5、エクソン、イントロン、UTR3、及びリピート)を表し、y軸は25HC3Sライブラリ及びビヒクルライブラリにおけるCGコンテキスト、CHGコンテキスト、及びCHHコンテキスト下のメチル化レベルを表す。 KEGG経路における全ゲノム中の低メチル化DMRの高いエンリッチメントを示す。 KEGG経路におけるプロモーター領域中の低メチル化DMRの高いエンリッチメントを示す。詳細なKEGG経路は表1.3に示す。 図3A~3D:シグナル伝達経路に関連する鍵となる遺伝子の発現。Huh-7細胞をHG培地中で72時間培養し、6.25μM、12.5μM、25μM、及び50μMの25HC3Sで1時間、2時間、4時間、6時間、及び8時間処理した。鍵となる遺伝子及びそれらの標的遺伝子発現をRT-PCR解析により決定した。図3Aは、MAPKシグナル伝達経路におけるDUSP8(二重特異性ホスファターゼ8)、DUSP7(二重特異性ホスファターゼ7)、及びMAPK1(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ1)の発現を示す。 上記DUSP8、DUSP7、及びMAPK1の標的遺伝子、CREB(cAMP応答エレメント結合タンパク質)、PRDX6(ペルオキシレドキシン6)、及びBAD(細胞死のBCL2関連アゴニスト)を示す。 カルシウム-AMK経路における鍵となる遺伝子、CACNAファミリー(カルシウム電位依存性チャネルサブユニット)を示す。 上記CACNAファミリー遺伝子の標的遺伝子PGC1A(PPARGコアクチベーター1アルファ)、HMGR(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoAレダクターゼ)、及びFAS(脂肪酸シンターゼ)を示す。 図4A~4F:25HC3Sが肝細胞中の転写レベルに与える影響。HepG-2細胞をHG培地中で培養し、25μMの25HC3Sで2時間、4時間及び8時間処理した。図4Aは、アップレギュレートされた遺伝子(>1.6倍) を示す。 遺伝子オントロジー(GO)群に対してアップレギュレートされた遺伝子のエンリッチメント(8時間)を示す(NRAP:アポトーシスプロセスの負の調節;NRPCD:プログラムされた細胞死の負の調節;RS:シグナル伝達の調節;SP:リン酸化の調節;NRCD:細胞死の負の調節:RES:ストレスに対する応答;NRPP:タンパク質リン酸化の負の調節;CRCS:化学的刺激に対する細胞応答;NRP:リン酸化の負の調節;ST:シグナル伝達)。 ダウンレギュレートされた遺伝子(>40%低下) を示す。 GO群に対してダウンレギュレートされた遺伝子のエンリッチメント(8時間)を示す(CLMP:細胞の脂質代謝プロセス;SBP:ステロイド生合成プロセス;AMP:アルコール代謝プロセス;CMP:コレステロール代謝プロセス;FAMP:脂肪酸代謝プロセス;TBP:トリグリセリド生合成プロセス;NLBP:中性脂質生合成プロセス;ACMP:アシル-CoA代謝プロセス;OABP:有機酸生合成プロセス;BAMP:胆汁酸代謝プロセス)。 本研究に関連するアップレギュレートされた遺伝子のヒートマップを示す。 ダウンレギュレートされた遺伝子を示す。 エピジェネティック調節経路としての25HCの硫酸化。25HCは、プロモーター領域中のCpGをメチル化し、その後遺伝子発現をサイレンシングして細胞死及び脂質生成をもたらすDNMT-1の内因性アゴニストである。25HCは25HC3Sに硫酸化されることが可能であり、25HC3Sは内因性リガンドとして作用し、DNMT類の活性を阻害する。25HC3Sはプロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化し、続いて遺伝子発現を増加させる。オキシステロールの硫酸化により調節される著名な経路は、エネルギー代謝及び脂質代謝、MAPK-ERK、及びカルシウム-AMPKに関与する。25HC3Sは、二重特異性ホスファターゼ(DUSP)及びCREBの発現を有意に増加させ、これがCREB、BAD、及びERKを含むMAPK/ERK経路を活性化し、その後、細胞生存及び細胞死を調節する。25HC3Sは、プロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化することにより脂質生合成を減少させ脂質蓄積を低下させて、カルシウムチャネル及びAMPKに関与する鍵となる遺伝子の発現を増加させて、対応するシグナル伝達経路を活性化し、これが遊離脂肪酸(FFA)の酸化の増加並びにコレステロール及びFFAの生合成の減少をもたらす。オキシステロールの硫酸化によるグローバル(包括的)な調節は、この調節機構の生理学的及び病態生理学的な重要性について示唆する。 オキシステロールスルフェート類の硫酸化及び代謝経路の機構。 オキシステロール硫酸化の調節経路。
発明の詳細な説明
本開示は、少なくとも1つの自己免疫状態、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つを処置するための方法を提供する。一部の例では、前記少なくとも1つの自己免疫状態は、エプスタイン・バーウイルス感染症に関連する。
主題の方法の実施において、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェート(24,25-EC3S)から選択される1つ以上のオキシステロール活性剤化合物又はその塩が、対象(例えば、ヒト対象)に投与される。本明細書中に記載されるとおり、化合物25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)は、以下の化学構造を有する化合物を指す。
Figure 2023532866000002
化合物25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)は、以下の化学構造を有する化合物を指す。
Figure 2023532866000003
化合物27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)は、以下の化学構造を有する化合物を指す。
Figure 2023532866000004
化合物27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)は、以下の化学構造を有する化合物を指す。
Figure 2023532866000005
化合物24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)は、以下の化学構造を有する化合物を指す。
Figure 2023532866000006
化合物24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)は、以下の化学構造を有する化合物を指す。
Figure 2023532866000007
化合物24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェート(24EC3S)は、以下の化学構造を有する化合物を指す。
Figure 2023532866000008
図6にまとめられるとおり、特定の例によるオキシステロール類は、スルホトランスフェラーゼ2B1b(SULT2B1b)によりコレステロールのA環の3位で硫酸化されて、25HC3S、24HC3S、27HC3Sなどのオキシステロール3-スルフェート類、並びにXol3S(コレステロール3-スルフェート)となり得る。上記のオキシステロールスルフェートは、スルホトランスフェラーゼ2A1(SULT2A1)によりさらに硫酸化されて、オキシステロールジスルフェート類となり得る。例えば、25-ヒドロキシコレステロール3-スルフェート(25HC3S)は、SULT2A1により5-コレステン-3β,25-ジオール-ジスルフェート(25HCDS)へとさらに硫酸化され得る。25HC3S及び25HCDSは、in vivoにおいて肝細胞核中で同定されている唯一のオキシステロールスルフェート類であり、一方、27HC3Sはヒト血清中で、また24HC3Sは尿中で同定されている。25HC3S及び25HCDSも強力な調節因子であるが、それらの前駆体25HCとは異なる方向に機能する。
コレステロールは、ミトコンドリア中でCYP27A1によりヒドロキシル化されて25HC又は27HCとなり得、小胞体中ではCYP3A4により、又はコレステロール25-ヒドロキシラーゼ(CH25HL)によりヒドロキシル化されて25HCとなり得る。コレステロールはまた、脳組織中でコレステロール24-ヒドロキシラーゼによりヒドロキシル化されて24HCにもなり得る。このコレステロール前駆体は、メバロン酸経路の変更(shunt)を介してデスモステロールの合成にも使用され得る。デスモステロールは、CYP46A1により酸素化されて24,25-エポキシコレステロール(24,25EC)を形成することができる。25HC、27HC、24HC、及びコレステロールは、その後SULT2B1bにより3β位で硫酸化されて、それぞれ25HC3S、27HC3S、24HC3S、及びXol3Sを形成することができる。24,25ECは硫酸化されて24,25EC3Sとなり得る。
理論に拘束されるものではないが、グローバルな調節における25HC及び25HC3Sの機能は、これらがエピジェネティックレギュレーター(エピジェネティックな調節因子)であることを示す。DNAプロモーター領域中のシトシンの5位におけるメチル化(5-メチルシトシン、5mC)は、ゲノムの遺伝子発現及び他の機能を調節する重要なエピジェネティック修飾である。プロモーター領域中のCpGのシトシンメチル化は、それがクロマチン凝縮及び遺伝子サイレンシングを引き起こすため、関連遺伝子の転写活性と逆相関する。CpGメチル化及び遺伝子発現の調節不全は、代謝、組織機能、及び代謝状態に影響を及ぼす。シトシンメチル化はDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT-1、3a/3b)により触媒され、一部の例では、これがDNAメチル化/脱メチル化の調節に関与する。25HC及び25HC3Sは、DNAメチルトランスフェラーゼ-1(DNMT-1)のリガンドである。一部の例(場面)では、本明細書中に記載されるオキシステロール活性剤化合物は、DNA CpGメチル化及び5mCpG脱メチル化を介して脂質代謝、細胞生存/細胞死、及び炎症応答をエピジェネティックに調節する細胞調節分子である。一部の例では、高グルコースインキュベーションは、細胞核の25HCレベルの増加を介してプロモーター領域中のCpGメチル化を増加させ、これがPI3K-Akt、cAMP、NAFLD、2型糖尿病、及びインスリン分泌シグナル伝達経路に関与する鍵となる遺伝子発現をサイレンシングする。特定の例では、本明細書中に開示されるオキシステロール活性剤化合物(例えば、25HC3S)は、これらのプロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化し、遺伝子発現を増加させ、これらのシグナル伝達経路をアップレギュレートする。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、シグナル伝達経路を、前駆体25HCとは逆の方向に調節する。一部の例では、上記1つ以上のオキシステロール活性剤化合物は、ストレス応答に応答して細胞シグナル伝達経路を調節する。特定の例では、上記1つ以上のオキシステロール活性剤化合物は、細胞機能の調節におけるタンパク質リン酸化、イノシトールリン酸化、及びスフィンゴシンリン酸化に影響を与える。特定の例では、1つ以上のオキシステロール活性剤化合物は、遺伝子発現を転写レベルで調節する。例示的な機構を、図7に示す。特定の例において、上記1つ以上のオキシステロール活性剤化合物(例えば、25HC3S)は、MAPK-ERKシグナル伝達経路及びカルシウム-AMPKシグナル伝達経路に関与する鍵となる遺伝子、例えばCREB5(CAMP応答エレメント結合タンパク質5)、BAD(細胞死のBCL2関連アゴニスト)、及びERK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ1)などのプロモーター領域中の5mCpGの脱メチル化を通して遺伝子発現を増加させることにより、脂質蓄積を減少させ、抗炎症応答し、抗アポトーシスする。
LMP1は大部分のEBV関連自己免疫障害において発現し、例えば、限定するものではないが、肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチなどの発症及び疾患表現型の決定的な一因となる。EBV LMP1は、DNMT1のプロモーター活性を直接誘導し、E-カドヘリン遺伝子発現の高メチル化及びサイレンシングをもたらす。またLMP1は、MAPK/NF-kB経路の活性化を介してPD-L1の発現もアップレギュレートする。理論に拘束されるものではないが、本出願の化合物によるDNMTの阻害は、EBV関連自己免疫障害の処置において有用であり得る。
一部の例では、「処置する(治療する)」という用語は、本明細書中で、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つのオキシステロール活性剤化合物又はその塩を、(1) 既に少なくとも1つの自己免疫状態、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つの、少なくとも1つの症状を示すヒト対象;及び/又は(2) 例えば訓練を受けた臨床専門家により、少なくとも1つの自己免疫状態、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つを有すると診断されるヒト対象に投与することを指すために使用される。一部の例では、「処置(治療)」は、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つのオキシステロール活性剤化合物又はその塩の投与前又は投与時に存在していた、上記少なくとも1つの自己免疫状態、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つの、少なくとも1つの症状の軽減若しくは減弱、又は一部の例においては完全な根絶を伴う。一部の例では、本開示による処置は、対象における臨床的指標を改善するのに十分なものである。特定の例において、対象における臨床的指標の改善とは、対象がもはや上記少なくとも1つの自己免疫状態、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、
及び関節リウマチの少なくとも1つを有していないとみなされるようなことである。
主題の方法の実施において、25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つのオキシステロール活性剤化合物又はその塩の有効量が対象に投与される。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、0.00001mg/kg/日~500mg/kg/日、例えば0.00005mg/kg/日~450mg/kg/日、例えば0.0001mg/kg/日~400mg/kg/日、例えば0.0005mg/kg/日~350mg/kg/日、例えば0.001mg/kg/日~300mg/kg/日、例えば0.005mg/kg/日~250mg/kg/日、例えば0.01mg/kg/日~200mg/kg/日、例えば0.05mg/kg/日~150mg/kg/日の投与量で対象に投与され、0.001mg/kg/日~100mg/kg/日の投与量で対象に投与されることを含む。特定の例では、オキシステロール活性剤化合物は、0.001mg/kg/日~100mg/kg/日の投与量で対象に投与される。特定の例では、オキシステロール活性剤化合物は、0.1mg/kg/日~100mg/kg/日の投与量で対象に投与される。特定の例では、オキシステロール活性剤化合物は、1mg/kg/日~100mg/kg/日の投与量で対象に投与される。
一部の例では、個体に投与される少なくとも1つのオキシステロール活性剤化合物、例えば25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート又は25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェートナトリウムの各1日用量の量は、0.5mg~5mg、5mg~10mg、10mg~15mg、15mg~20mg、20mg~25mg、20mg~50mg、25mg~50mg、50mg~75mg、50mg~100mg、75mg~100mg、100mg~125mg、125mg~150mg、150mg~175mg、175mg~200mg、200mg~225mg、225mg~250mg、250mg~300mg、300mg~350mg、350mg~400mg、400mg~450mg、又は450mg~500mgである。一部の例では、個体に投与される有効量(例えば、単位剤形(単位投与剤形))におけるオキシステロール活性剤化合物の量は、0.5mg~500mg、例えば1mg~450mg、例えば2mg~400mg、例えば5mg~300mg、例えば10mg~200mg、又は、例えば20mg~100mgの範囲内である。
オキシステロール活性剤化合物は、1日当たり1回以上、例えば1日当たり2回以上、例えば1日当たり3回以上対象に投与することが可能であり、1日当たり4回以上対象に投与することを含む。例えば、オキシステロール活性剤化合物は、1日2回、1日1回、1日置きに1回、3日毎に1回、1週間に1回、又は1ヶ月に1回投与することができる。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、1日当たり1回対象に投与される。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、1日当たり2回対象に投与される。一部の場合、オキシステロール活性剤化合物は、1日~10日間、1日~30日間、7日間~30日間、7日間~90日間、10日間~180日間、又は30日間~1年間、30日間~5年間、90日間~5年間、又は1年間~10年間の期間にわたるサイクルにおいて、1日当たり1回又は2回対象に投与される。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、1日~30日間の期間にわたり1日当たり1回、例えば、1日~28日間、1日~21日間、7日間~14日間の期間にわたり1日当たり1回対象に投与される。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、1日~30日間の期間にわたり1日当たり2回、例えば、1日~28日間、1日~21日間、7日間~14日間の期間にわたり1日当たり2回対象に投与される。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、1日~30日間の期間にわたり1日当たり3回、例えば1日~28日間、1日~21日間、7日間~14日間の期間にわたり1日当たり3回対象に投与される。
一部の例では、投薬は、上記オキシステロール活性剤化合物の投与のサイクルで投与される。一部の例では、上記サイクルは、1日以上、例えば2日以上、例えば3日以上、例えば4日以上、例えば5日以上、例えば6日以上、例えば7日以上、例えば14日以上、例えば21日以上、例えば28日以上であり、また一部の場合には、上記サイクルは30日以上である。薬物投与のサイクルは、6ヶ月、1年、2年、3年、又は4年以上の総期間にわたり1、2、3、4、5、6、7、8回、又は8回超の投薬サイクル(dosage cycle)で反復してもよい。各医薬組成物の投与は、例えば1ヶ月から7年間までの長期間にわたり(例えば維持療法の間)延長することができる。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物は、約2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、24ヶ月、30ヶ月、36ヶ月、48ヶ月、60ヶ月、72ヶ月、又は84ヶ月のいずれかの期間にわたり投与することができる。他の例において、上記オキシステロール活性剤化合物は、対象の余命にわたり投与される。
本方法の実施は、一般的に、少なくとも1つの自己免疫状態、例えば肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つに罹患しているか又はそのリスクがある患者を同定する(例えば、診断する)ことを伴う。投与される正確な投与量は、個々の患者の年齢、性別、体重、及び全体的な健康状態、並びに疾患の正確な病因に応じて変動し得る。上記用量は、投与経路、バイオアベイラビリティ、及び投与される特定の製剤により、並びに予防又は治療される病気の性質に従って変動する。さらに、有効用量は、患者の性別、年齢、及び他の状態、並びに処置される病状の程度又は進行などの因子に応じて変動し得る。一部の例では、オキシステロール活性剤化合物の各投与量は、0.1時間~12時間(例えば、静脈内投与により)、例えば0.5時間~10時間、例えば1時間~8時間の期間にわたり対象に投与され、2時間~6時間の期間にわたり投与されることを含む。
投与は経口若しくは非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、皮内注射、腹腔内注射等など)であってもよく、又は他の経路(例えば、経皮、舌下、直腸及び頬側送達、エアロゾルの吸入、膣内、鼻腔内、局所、点眼薬として、スプレーを介して等)による投与であってもよい。特定の例では、オキシステロール活性剤化合物は、経口投与、腸内投与、舌下投与、経皮投与、静脈内投与、腹膜投与、非経口投与、注射、皮下注射、及び筋肉内注射による投与の1つ以上により対象に投与される。投与経路は、処置される性質又は状態、例えば疾患のタイプ又は程度により、また処置が予防的であるか又は治癒を達成することが意図されるかによって決まる。さらに、任意の手段による本化合物の投与は、単一様式の治療法として行ってもよく、又は他の療法及び治療法、例えば食事療法等と組み合わせて行ってもよい。
一部の例では、本組成物は、対象を苦しめている病気に応じて、他の治療法、例えば、様々な鎮痛薬、抗関節炎剤、化学療法剤、抗生物質剤、抗神経変性剤、抗中毒剤、ステロイド薬、抗炎症剤、抗IL-1生物製剤、抗TNF生物製剤(TNF阻害剤)、抗IL-6生物製剤、抗CD20生物製剤、B細胞成長因子標的生物製剤、抗IL-17生物製剤、抗IL-23生物製剤、抗IL-12/23生物製剤、抗IL-5生物製剤、抗IL-4/IL-13生物製剤、抗IgE生物製剤、JAK阻害剤などと組み合わせて投与される。「・・・と組み合わせて(In conjunction with)」とは、上記1つ以上の付加的な薬剤の別々の調製物の投与、及びまた本開示の組成物中への上記1つ以上の付加的な薬剤の包含の両方を指す。
例えば、オキシステロール活性剤は、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、コルヒチン、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、ダプソン(dapasone)、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、シロリムス、シクロスポリン、メトトレキサート、シクロホスファミド、エタネルセプト、アバタセプト、セクキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブ、グセルクマブ、ウステキヌマブ、メポリズマブ、デュピルマブ(depilumab)、オマリズマブ、ベドリズマブ(vendolizumab)、ベリムマブ、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブ、トシリズマブ、サリルマブ、アナキンラ、カナキヌマブ、リロナセプト、エクリズマブ、リツキシマブ、トファシチニブ、ウパダシチニブ、及びバリシチニブの少なくとも1つ、並びにその塩と組み合わせて投与することができる。
オキシステロール活性剤化合物は、純粋な形態で、若しくは好適なエリキシル剤、結合剤など(一般的に「担体」と呼ばれる)を含む製薬上許容される製剤で投与してもよく、又は製薬上許容される塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩若しくはリチウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム等)若しくは他の複合体として投与してもよい。製薬上許容される製剤は、注射用剤形及び固体剤形(錠剤及びカプセル剤並びにエアロゾル化剤形など)の両方を調製するために従来利用されている液体材料及び固体材料を含むことが理解されるべきである。さらに、オキシステロール活性剤化合物は、水性又はオイルベースのビヒクルと共に製剤化することができる。水を組成物(例えば、注射用組成物)の調製用の担体として使用することも可能であり、この組成物は、組成物を等張にするための従来の緩衝剤及び薬剤も含み得る。他の可能性のある添加剤及び他の材料(好ましくは、一般に安全とみなされている[GRAS]材料)としては、着色剤;香味剤;界面活性剤(TWEEN(登録商標)、オレイン酸等);溶剤、安定化剤、エリキシル剤、及び結合剤又はカプセル化材料(ラクトース、リポソーム等)などが挙げられる。固体の希釈剤及び賦形剤としては、ラクトース、デンプン、慣用の崩壊剤、コーティング剤などが挙げられる。メチルパラベン又は塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤を使用することもできる。製剤に応じて、活性成分(少なくとも1つのオキシステロール活性剤)が組成物の1%~99%で存在し、ビヒクルの「担体」が組成物の1%~99%を構成することが予想される。本開示の医薬組成物は、任意の好適な製薬上許容される添加剤又は補助剤を、少なくとも1つのオキシステロール活性剤化合物の治療効果を妨げないか又はこれに干渉しない程度に含み得る。共投与されるか又は共製剤化され得るさらなる好適な薬剤としては、他の薬剤、例えば、限定するものではないが、メチオニン及び/又はグルタチオン生合成経路の代謝物、例えば、S-アデノシルホモシステイン(SAH)、S-メチルメチオニン(SMM)、シスチン、ベタイン等、又はそれらの様々な形態及び/又は塩、例えば、アセチルシステイン(例えば、静脈内N-アセチルシステイン)、様々な栄養補助食品等なども挙げられる。
医薬組成物は、1つ以上の製薬上許容される担体を含み得る。製薬上許容される賦形剤は、例えば、A. Gennaro (2000) “Remington: The Science and Practice of Pharmacy”, 20th edition, Lippincott, Williams, & Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H. C. Ansel et al., eds 7th ed., Lippincott, Williams, & Wilkins;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A. H. Kibbe et al., eds., 3rd ed. Amer. Pharmaceutical Assoc.などの様々な刊行物に十分に記載されている。例えば、上記1つ以上の賦形剤としては、スクロース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、又は炭酸カルシウム、結合剤(例えば、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(エチレングリコール)、スクロース又はデンプン)、崩壊剤(例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、又はクエン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、又はラウリル硫酸ナトリウム)、香味剤(例えば、クエン酸、メントール、グリシン、又はオレンジ粉末)、防腐剤(例えば、安息香酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メチルパラベン、又はプロピルパラベン)、安定化剤(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、又は酢酸)、懸濁化剤(例えば、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、又はステアリン酸アルミニウム)、分散剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、希釈剤(例えば、水)、及び蜜蝋(例えば、ココアバター、白色ワセリン、又はポリエチレングリコール)などを挙げることができる。
一部の例では、目的の組成物は、水性緩衝剤を含む。好適な水性緩衝剤としては、例えば、限定するものではないが、強度が5mM~100mMで異なる、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、及びリン酸緩衝剤などが挙げられる。一部の例では、水性緩衝剤は、等張溶液を与える試薬を含む。このような試薬としては、例えば、限定するものではないが、塩化ナトリウム、及び糖類、例えば、マンニトール、デキストロース、スクロースなどが挙げられる。一部の例において、水性緩衝剤は、ポリソルベート20又は80などの非イオン性界面活性剤をさらに含む。一部の場合、目的の組成物は、防腐剤をさらに含む。好適な防腐剤としては、例えば、限定するものではないが、ベンジルアルコール、フェノール、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。多くの場合、組成物は約4℃で保存される。製剤は凍結乾燥することも可能であり、この場合、これらは一般的には、抗凍結剤、例えばスクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、マンニトールなどを含む。凍結乾燥された製剤は、周囲温度でも長期間にわたり保存することができる。
一部の例では、組成物は、他の添加剤、例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、又はポテトスターチを;結合剤、例えば結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチンと共に;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ポテトスターチ、又はナトリウムカルボキシメチルセルロースと共に;滑沢剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウムと共に;また所望の場合、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、及び香味剤と共に含む。
組成物が注射用に製剤化される場合、この組成物は、上記オキシステロール活性剤化合物を、植物油又は他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル、又はプロピレングリコールなどの水性又は非水性の溶媒中で、また所望の場合、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、及び防腐剤などの従来の添加剤と共に溶解、懸濁又は乳化させることにより製剤化することができる。
一部の例では、本開示による方法は、対象がオキシステロール活性剤化合物を投与された場合の細胞応答に基づく対象の処置に関する。本開示の一部の例において、エピジェネティック修飾は、遺伝子発現の調節及び協調に関与する。DNA中のシトシンの5位のメチル化(5-メチルシトシン、5mC)は、ゲノムの他の機能の中でも特に、遺伝子発現を調節する重要なエピジェネティック修飾である。理論に拘束されるものではないが、プロモーター領域中のCpGのシトシンメチル化は、それがクロマチン凝縮、またしたがって遺伝子サイレンシングを引き起こすため、関連遺伝子の転写活性と逆相関する。CpGメチル化及び遺伝子発現の調節不全は、組織機能及び代謝状態に影響を及ぼし得る。シトシンメチル化は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT-1、3a/3b)により触媒され、これはDNAメチル化の調節においても機能する。
主要なエピジェネティック調節としては、DNA及びヒストンのメチル化、脱メチル化、アセチル化、及び脱アセチル化などが挙げられる。このプロセスに関与する酵素は、DNA及びヒストンのメチルトランスフェラーゼ/デメチラーゼ、及びアセチルトランスフェラーゼ/デアセチラーゼである。一部の例において、例えば、25HC3S、27HC、及び27HC3S、又はコレステロール(Xol)及びコレステロール-3-スルフェート(Xol3S)が、DNMT1、DNMT3a、DNMT3b、GCN3(巨大先天性母斑)、p300(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ)、Pcaf(KAT2Bリジンアセチルトランスフェラーゼ2B)、HDAC1(ヒストンデアセチラーゼ1)、HDAC2(ヒストンデアセチラーゼ2)、HDAC3(ヒストンデアセチラーゼ3)、HDAC6(ヒストンデアセチラーゼ6)、HDAC10(ヒストンデアセチラーゼ10)、及びKDM6B-JMJD3(リジンデメチラーゼ6B)の1つ以上に対するそれらの内因性リガンド(1つ又は複数)である場合、上記オキシステロール活性剤化合物の1つ以上を投与すれば、DNMT1、DNMT3a、DNMT3b、GCN3(巨大先天性母斑)、p300(ヒストンアセチルトランスフェラーゼ)、Pcaf(KAT2Bリジンアセチルトランスフェラーゼ2B)、HDAC1(ヒストンデアセチラーゼ1)、HDAC2(ヒストンデアセチラーゼ2)、HDAC3(ヒストンデアセチラーゼ3)、HDAC6(ヒストンデアセチラーゼ6)、HDAC10(ヒストンデアセチラーゼ10)、及びKDM6B-JMJD3(リジンデメチラーゼ6B)の1つ以上のエピジェネティックモジュレーターとして作用するには十分である。
理論に拘束されるものではないが、一部の例では、上記1つ以上の投与されたオキシステロール活性剤化合物はDNMT-1、3a、及び3bを阻害し、これがプロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化し、遺伝子発現を増加させ、MAPKシグナル伝達経路、カルシウムシグナル伝達経路、AMPKシグナル伝達経路、及びCREBシグナル伝達経路などのマスターシグナル伝達経路をアップレギュレートした。特定の例では、上記1つ以上のオキシステロール活性剤化合物は、細胞シグナル伝達経路を核内の転写レベルで調節する。一部の例において、上記1つ以上のオキシステロール活性剤化合物は、細胞機能の調節におけるタンパク質リン酸化、イノシトールリン酸化、及び/又はスフィンゴシンリン酸化に影響を及ぼすのに十分な量で投与される。
一部の例では、主題のオキシステロール活性剤化合物の1つ以上の、ヒト肝細胞への添加は、HGにより誘導されるメチル化を逆転させ、鍵となる遺伝子のプロモーター領域中の低メチル化CpGを増加させ、標的遺伝子発現を増加させるのに十分である。一部の例において、理論に拘束されるものではないが、オキシステロール活性剤化合物によるCpG脱メチル化は、そのグローバルな調節(脂質蓄積の減少、抗炎症応答、抗酸化、及び抗細胞死)の機能のための機構である。
DUSPファミリーは、プロテインチロシンホスファターゼのサブセットであり、その多くはマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を脱リン酸化し、このためMAPKホスファターゼと呼ばれる。DUSPファミリーの固有のメンバーであるDUSP8は、リン酸化介在性MAPK経路のシグナル伝達において重要な役割を果たし、これは様々なヒト疾患における酸化的ストレス及び細胞死シグナルに対する応答を調節する。一部の例では、上記1つ以上のオキシステロール活性剤化合物を投与すれば、DUSP遺伝子、例えばDUSP8、DUSP1、及びDUSP7など、並びにそれらの下流遺伝子であるCREB5、PRDX、BAD、及びERKのプロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化し、それらの発現を増加させるのに十分である。理論に拘束されるものではないが、これらの遺伝子から転写されるタンパク質は、細胞生存及び細胞増殖に関与する。特定の例では、上記少なくとも1つのオキシステロール活性剤化合物の、細胞生存/増殖の促進及び酸化的ストレスの軽減に対する影響は、DNMTを阻害し、DUSPファミリー、特にDUSP8及びそれらの下流エレメントの発現を増加させることを通して生じる。
一部の例では、処置法は、ABCC4、AC005264.2、ADCY1、ADCY4、ADCY5、ADH6、ADRB、ADRB1、AFDN、AGTR1、AKAP12、AL671762.1、ALAD、ANKRD1、ANKRD43、ATF3、ATP1A3、BAD、BIRC3、C11orf96、CACNA1A、CACNA1C-AS1、CACNA1D、CACNA1H、CACNB2、CACNG8、CELSR2、CREB5、CTB-186G2.1、CXCL2、CYB5B、CYP24A1、CYP51A1、CYR61、DDIT3、DRD5P2、DUSP遺伝子、DUSP8、DUSP1、DUSP7、CREB5、EDNRB、EDN1、EHHADH、ELOVL6、ERK、FABP1、FDFT1、FRMD3、FMC1、FSTL3、GABBR1、GABBR2、GADD45B、GIPR、GLI3、GNA11、GNAQ、GNAS、GRIN2A、GRIN2C、GRIN3B、HBEGF、HMGCR、HMGCS1、HRAS、HRH1、HSPA6、ICAM1、ID3、ID4、IDI1、IL8、IL11、ITPKB、KANK4、KLB、KLF5、KLLN、KRTAP3-1、MAP2K6、MAP4K1、MAP4K4、MAPK1、MAPK8、MAT1A、MAX、METTL7A、MVK、NAP1L5、NCMAP、NTF3、P2RY8、PAQR8、PAQR9、PCSK9、PDE4D、PDGFB、PLA2G12B、PLCD1、PLPPR1、PMAIP1、PNPLA3、POU2AF1、PPP1CB、PRDX、PRLR、PTCH1、RAB11FIP4、RALGPS1、RAPGEF2、RELA、RHOBTB1、ROCK2、SC4MOL、SCN1A、SEC16B、SERPINE1、SKIL、SLC8A3、SLCO2B1、SLCO4C1、SLC2A14、SOCS2、SORBS2、SPHK1、SPTLC3、SQLE、TAB3、TCIM、TGFB3、THBS1、TMEM170B、TNS1、TNFSF10、TUBB8、UBASH3B、VAV2、VAV3及びZNF385Bから選択される少なくとも1つの遺伝子を調節することを伴う。
一部の例では、処置方法は、cAMPシグナル伝達経路、cGMP-PKGシグナル伝達経路、概日同調、グルタミン酸作動性シナプス、心筋細胞におけるアドレナリン作動性シグナル伝達、ギャップ結合、2型糖尿病、エンドサイトーシス、カルシウムシグナル伝達経路、拡張型心筋症、血管平滑筋収縮、MAPKシグナル伝達経路、コリン作動性シナプス、Rap1シグナル伝達経路、ドーパミン作動性シナプス、接着結合、不整脈源性右心室心筋症、がんにおける経路、GnRHシグナル伝達経路、オキシトシンシグナル伝達経路、がんにおける転写誤制御、エストロゲンシグナル伝達経路、インスリン分泌、逆行性エンドカンナビノイドシグナル伝達、長期抑圧、結腸直腸がん、インスリンシグナル伝達経路、軸索誘導、アルコール依存症、血小板活性化、アンフェタミン依存症、単純ヘルペス感染症、タイトジャンクション(密着結合)、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、Notchシグナル伝達経路、及び背腹軸形成から選択される少なくとも1つの経路を調節することを伴う。
実験
本発明を下記の実施例によりさらに説明する。これらの実施例は非限定的なものであり、本発明の範囲を限定するものではない。別段に明記されない限り、実施例中に示される全てのパーセンテージ、部等は重量基準である。以下の実施例は、本発明をどのように作成しまたどのように使用するかについての完全な開示及び説明を当業者に提供するために提示され、本発明者らが自らの発明であると考える範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が、実施された全ての又は唯一の実験であることを示すことを意図するものでもない。使用される数字(例えば、量、温度等)に関して正確性を確保するよう努めたが、ある程度の実験誤差及び偏差は考慮されるべきである。別段の定めがない限り、部は重量部、分子量は重量平均分子量、温度はセルシウス度、圧力は大気圧又は近大気圧である。「平均」は、算術平均を意味する。標準的な略語を使用することが可能であり、例えば、bpは塩基対(複数可);kbはキロベース(複数可);plはピコリットル(複数可);s又はsecは秒(複数可);minは分(複数可);h又はhrは時間(複数可);aaはアミノ酸(複数可);kbはキロベース(複数可);bpは塩基対(複数可);ntはヌクレオチド(複数可);i.m.は筋肉内(に);i.p.は腹腔内(に);s.c.は皮下(に);などである。
実施例1
Figure 2023532866000009
Figure 2023532866000010
材料及び方法
材料
細胞培養試薬及び補充剤は、GIBCO BRL(ニューヨーク州、グランドアイランド)から購入し;Huh-7細胞は、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(メリーランド州、ロックヴィル)から入手した。リアルタイムRT-PCR用の試薬は、AB Applied Biosystems(英国、ウォリントン)から入手した。この研究において使用した化学薬品は、Sigma Chemical Co.(ミズーリ州、セントルイス)又はBio-Rad Laboratories(カリフォルニア州、ハーキュレス)から得た。全ての溶媒は、別段に示されるFisher(ニュージャージー州、フェアローン)から得た。
細胞培養
Huh-7細胞及びHepG-2細胞を、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FBS)、高グルコース(HG、4.5g/L)を補充したDMEM培地中で、5%CO2の加湿雰囲気中37℃で培養した。
DNA及びmRNAレベルの抽出及び決定
Huh-7細胞を、HGを有するDMEM培地中で72時間培養し、それに続いて25μM 25HC3Sで4時間処理した後、QIAamp DNAミニキット(QIAGEN、ドイツ、ヒルデン)を用いて5,000細胞からゲノムDNAを抽出した。各サンプル2μgを、網羅的メチル化バイサルファイトシーケンシングの解析のためにEpigenDx, Inc.(マサチューセッツ州、ホプキントン)に送った。同じサンプル6μgを、全ゲノムバイサルファイトシーケンシング(WGBS)の解析のためにNovogene Co., Ltd(中国、天津)に送った。全RNAを、DNase処理を伴うPromega SV全RNA単離システム(ウィスコンシン州、マディソン)を用いて単離した。製造者(Invitrogen、カリフォルニア州、カールスバッド)により推奨されるとおり、各サンプル2μgをファーストストランドcDNA合成に使用した。ABI 7500 Fast Real-Time PCR System(Applied Biosystems、カリフォルニア州、フォスターシティ)の指示薬としてSYBRグリーンを使用して、リアルタイムRT-PCRを行った。β-アクチン又はGAPDHの増幅物を内部標準として使用した。表1.1に示されるプライマーセットを使用した比較サイクル閾値(Ct)法により相対メッセンジャーRNA(mRNA)発現を定量し、これを2-ΔΔCtとして表した。
Figure 2023532866000011
Figure 2023532866000012
ステロールスルフェート、25HC3S、Xol3S、27HC3Sの化学合成及び特性決定
5-コレステン-3β,25-ジオール3-スルフェート(25-ヒドロキシコレステロール3-スルフェート、25HC3S)、5-コレステン-3β-オール,3-スルフェート(コレステロール3-スルフェート、Xol3S)、5-コレステン-3β,27-ジオール3-スルフェート(27-ヒドロキシコレステロール3-スルフェート、27HC3S)を、わずかに変更して、先に記載されたとおりに合成した。手短に言えば、25-ヒドロキシコレステロール、コレステロール、又は27-ヒドロキシコレステロール(6.5mg、0.016mmol)及びトリエチルアミン-三酸化硫黄(3.5mg、0.019mmol)の混合物を乾燥ピリジン(300μl)中で溶解させ、室温で2時間撹拌した。溶媒を窒素ガス流下に40℃で蒸発させ、シロップを2mlの50%アセトニトリル(ローディングバッファー)中に添加した。この生成物を、メタノール(15ml)及び水(15ml)でプライミングされた6cc Oasisカートリッジ(Waters)に適用した。このカートリッジを、ローディングバッファー(15ml)、水(15ml)、メタノール(15ml)、50%メタノール(15ml)、10%メタノール中5%水酸化アンモニウム(15ml)、及び50%メタノール中5%水酸化アンモニウム(15ml)で連続的に洗浄した。保持された硫酸化ステロールを、80%メタノール中5%水酸化アンモニウム(10ml)でそれぞれ溶出した。10倍容積のアセトニトリルで希釈した後、溶媒を窒素ガス流下で蒸発乾個し、上記ステロールスルフェートを白色粉末形態で得た。
5-コレステン-3β,25-ジオール3-スルフェートの酵素動態試験
DNMT1活性アッセイには、基質溶液の、50mMトリス-HCl(pH7.5)、50mM NaCl、5mM EDTA、5mM DTT、1mM PMSF、5%グリセロール、0.01%Brij35、1%DMSO中の0.001mg/mlポリ(dI-dC):ポリ(dI-dC)を使用した。DNMT3a/3b活性アッセイには、50mMトリス-HCl(pH7.5)、50mM NaCl、5mM EDTA、5mM DTT、1mM PMSF、5%グリセロール、1%DMSO中の0.0075mg/mlラムダ(Lambda)DNAを使用した。上記に示したDNMT1、DNMT3a、又はDNMT3bを適切な基質溶液に添加し、穏やかに混合した。DMSO中5.08E-09~0.0001Mの量のコレステロール(Xol)、25HC、27HC、Xol3S、25HC3S、又は27HC3Sを、音響技術(Acoustic Technology)(Echo 550、LabCyte Inc.(カリフォルニア州、サニーベール))を用いて反応混合物に添加した。この混合物を最初に15分間インキュベートし、次いで3H-SAMを反応混合物に添加して反応を開始し、混合物を30℃で60分間インキュベートした。インキュベーション後、放射能計数の検出のため、最後に反応混合物を濾紙に移した。
グローバルなメチル化の解析、長鎖散在反復配列1(Long Interspersed Nucleotide Element 1(LINE-1)アッセイ
グローバルなDNAメチル化解析のため、500ngの抽出されたゲノムDNAを、EZ DNAメチル化キット(Zymo Research, Inc.、カリフォルニア州)を用いてバイサルファイト処理した。製造者のプロトコル(GE Healthcare Life Sciences)どおりにPCR反応及び生成物精製を行った。製造者の使用説明書(Pyrosequencing、Qiagen)に従って、PCR産物10μlをPSQ96 HS Systemのパイロシーケンシングによりシークエンスした。QCpGソフトウェア(Pyrosequencing、Qiagen)を用いて、各CpGサイトのメチル化状態を人工C/T SNPとして個別に決定した。各CpGサイトのメチル化レベルは、メチル化アレルを、メチル化アレル及び非メチル化アレルの全ての合計で割ったパーセントとして算出した。平均メチル化レベルは、各遺伝子の標的領域内の全ての測定されたCpGサイトのメチル化レベルを用いて算出した。各実験は、入力DNAの不完全なバイサルファイト変換を検出するための内部対照として非CpGシトシンを含んでいた。さらに、各PCRアッセイにおいて、一連の非メチル化DNA及びメチル化DNAを対照として含めた。さらに、非メチル化対照DNAをin vitroでメチル化DNAと様々な比率(0%、5%、10%、25%、50%、75%、及び100%)で混合し、その後バイサルファイト修飾、PCR、及びパイロシーケンシング解析を行うことにより、PCRバイアス試験を実施した。
全ヒトゲノムバイサルファイトシーケンシング(WGBS)の解析
各サンプル5.2μgの、26ngラムダDNAをスパイクしたゲノムDNAを、Covaris S220を用いて超音波処理により200~300bpに断片化し、その後末端修復してアデニル化した。製造者の使用説明書のとおりに、シトシン-メチル化バーコードを、超音波処理したDNAに連結した。これらのDNA断片を、EZ DNA Methylation-Gold TM Kit (Zymo Research)を用いてバイサルファイトで2回処理し、その後、結果として得られた一本鎖DNA断片を、KAPA HiFi Hot Start Uracil and Ready Mix(2X)を用いてPCR増幅した。Qubit(登録商標)2.0 Flurometer(Life Technologies、米国、カリフォルニア州)及び定量PCRによりライブラリ濃度を定量し、Agilent Bio Analyser 2100システム上でインサートサイズをアッセイした。
ライブラリ調製物をIllumina Hiseq 2500/4000又はNovaseqプラットフォームでシークエンスし、125bp/150bpのペアドエンドリードを生成した。画像解析及びベースコーリングはIllumina CASAVAパイプラインにより行った。クオリティコントロールにはTrimmomatic(Trimmomatic-0.36)ソフトウェアを使用した。Bismarkソフトウェア(バージョン0.16.3;Krueger F, 2011)を使用して、参照ゲノム(-X700--dovetail)に対するバイサルファイト処理したリードのアラインメントを行った。DSSソフトウェア(23)を使用して、差示的メチル化領域(DMR)を同定した。KOBASソフトウェアを使用して、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)経路におけるDMR関連遺伝子の統計的エンリッチメントを検定した。
転写プロファイリング及びデータ解析
SV全RNA単離システム(Promega、ウィスコンシン州、マディソン)を使用して、HepG-2細胞から全RNAを抽出して精製した。cDNAを調製し、GeneChip(登録商標)Human Genome U133 Plus 2.0 Array、Affymetrix(米国、サンタクララ)を、Shanghai Biotechnology Corporationの技術サポートを得て先に記載されたとおりに使用して解析した。両サンプルにおいて、5個超のアレイ検出シグナルと共に2倍超の低下に基づいて、本研究における直接標的遺伝子を選択した。少なくとも1つのサンプルにおいて2を上回る倍率変化及び7個を上回るアレイ検出シグナルを示す遺伝子を、発現変動遺伝子として選択した。DAVIDソフトウェア(https://david.ncifcrf.gov/conversion.jsp)を使用して、発現変動遺伝子のGOエンリッチメントを解析した。
結果
25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)はDNMT活性を特異的に不活性化する
ステロールスルフェートがエピジェネティック調節標的に与える影響を研究するため、25HS3S、Xol3S、及び27HC3Sを合成し(図1A)、図1Bに示されるように、トリエチルアミンスルフェート錯体法を用いて95%超の純度に精製した。結果は、25HC3Sが、DNMT-1、3a、及び3b活性のみを、それぞれIC50=4.04、3.03、及び9.05 x 10-6 Mで有意に阻害するが(図1C、左)、一方、その前駆体である25HCは、DNMT-1活性をEC50=3.5 x 10-6 Mで8倍活性化することを示す(図1D、左)。対照として、Xol並びにXol3Sは酵素活性に有意には影響を及ぼさず、Xol3SはDNMT3aをIC50=8.2x10-5 Mでわずかに阻害するが、恐らく生理学的に有意ではないだろう(図1C、中)。図1C(右)に示されるとおり、25HC3Sと比較して、27HC3SはDNMTを同様のIC50で阻害し、DNMT1についてはIC50=3.58×10-6 M、DNMT3aについては8.88×10-6 M、DNMT3bについては2.68×10-6 Mであった。対照的に、その前駆体27HCは、DNMT-1の活性化においてはEC50=3.3×10-5 Mとはるかに作用が弱く、他の酵素には影響を与えなかった(図1D、右)。上記の3つのDNMTとは対照的に、9つの他のエピジェネティック酵素は、これらのオキシステロール又はステロールスルフェートによる影響を受けない(データ示さず)。陽性対照として、S-アデノシルホモシステイン(SAH)は、先に報告されたとおり、1μMでDNMT1活性を95%阻害した(データ示さず)。この結果は、25HC3S及び27HC3Sが両方とも、DNMTの強力な阻害剤であることを示した。しかし、in vivoでは25HC3Sのみがヒト肝細胞核内で発見されている:最初に、ミトコンドリアコレステロール送達タンパク質であるStarD1の過剰発現に続いて、20μg/g(約40μM)の濃度で見いだされた。この動態研究は、IC50が1~10μMであることを示す。
25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)は、グローバルなプロモーター領域における5mCpGレベルを低下させる
先の研究は、グローバルなDNAメチル化及び特定遺伝子のメチル化が、内臓の脂肪組織における脂質生成、脂質代謝、及び炎症に関与し、これらがその後メタボリック症候群の特定の病因に関連することを示した。25HC3Sがグローバルなプロモーター領域における5mCpGのメチル化状態に与える影響を研究するため、最初にLINE-1解析を行ってグローバルな脱メチル化を見積もった。メチル化は通常、LINEエレメントのような反復エレメントにおいて生じる。全ヒトゲノム中には、約50万個のLINEエレメントと7億5千万個のコピーが存在する。ヒトLINE-1はレトロ転位可能な領域(プロモーター領域)であり、70万個のコピーしか有しておらず、ヒトゲノムの約17%と相関する。この特定の配列は4つのCpGジヌクレオチド(Pos1、2、3、及び4)を含み、これらはLINE-1におけるメチル化/脱メチル化標的としての役割を果たす。図2Aに示されるとおり、高グルコース培地(HG)中でHuh-7細胞を培養した場合は、Pos 3及びPos 4が比較的高いメチル化を有していたが、一方、エタノール対照中で細胞を培養した後は、4つのPosが全てメチル化を増加させた。Pos 1(-5%)、Pos 3(-10%)、及びPos 4(-5.6%)におけるメチル化の低下(脱メチル化)は、細胞を25HC3Sと共に4時間インキュベートした後で生じた。この結果は、25HC3Sが、HG又はエタノールにより誘導されたプロモーター領域における5mCpGメチル化を有意に低下させることを示す。
25HC3S処理したヒト肝細胞における全ゲノムワイドなDNAメチル化のプロファイル
25HC3S処理したHuh-7細胞における5mCpG脱メチル化の可能な細胞機能を理解するため、上記細胞を、バイサルファイト処理したゲノムDNAのライブラリの構築のために回収した。5つの全WGBSには、2つのライブラリからそれぞれpaired-endシーケンシングにより生成された3億6千6百万個(ビヒクル)及び3億7千万個(25HC3S処理)の生リードが存在していた。ビヒクルライブラリ由来の3億6千6百万個のクリーンリードの中で、77%(2億7千7百万個)が「ヒト参照ゲノム(hg38)」の参照ゲノムに一意的にマッピングされ、一方、25HC3S処理したライブラリ由来の3億6千5百万個のクリーンリードの中で、78%(2億8千6百万個)が参照ゲノムに一意的にマッピングされ、それぞれ22及び20の10平均リード深度を示していた。これらの2つのライブラリ中、80%超のシトシン残基が、「ヒト参照ゲノム(hg38)」中の少なくとも10リードでカバーされた。シーケンシングの深度及び密度は、高品質のゲノムワイドなメチル化解析のために十分であった。その一方で、ライブラリに対するラムダDNAにより示されるバイサルファイト変換の効率は99%超であり、上記WGBSの信頼性があり且つ正確な結果を提供していた(表1.2)。
Figure 2023532866000013
CpGメチル化及び脱メチル化は、遺伝子発現に関連することが文書で十分に裏付けられている。CGコンテキスト下の合計約7,136個の差示的メチル化領域(DMR)を、1,106個の遺伝子(差示的メチル化遺伝子、DMG)中に位置する低メチル化領域として同定した。DMGの97%(1,074個)において、低メチル化領域は、それらのプロモーター中で同定された(図2B)。低メチル化遺伝子は、75個のKEGG経路において高度にエンリッチされた(p<0.05)(表1.3)。上位20個の経路(最も有意な経路から、p<10-9)を、図2E及び2Fに示した。これらの経路の中で、MAPK-ERKシグナル伝達及びカルシウム-cAMPシグナル伝達は、細胞生存、抗酸化、抗アポトーシス、エネルギー代謝、及び脂質恒常性を調節するマスター経路と考えられている。全ゲノムから同定された経路を図2Eに示し、プロモーター領域から同定された経路を図2Fに示す。全ゲノムから同定された経路又はプロモーター領域から同定された経路の、両方の経路のセットは極めて類似している。プロモーター領域から同定された全ての経路は、それらのプロモーター領域において高メチル化CpGを全く有することなく低メチル化されており、アップレギュレートされた遺伝子発現を示していた。
全ゲノム及び差示的メチル化領域(DMR)におけるDNAメチル化レベルは、図2Bに示される。2つのライブラリのグローバルnDNAメチル化プロファイルを示すため、CG、CHG(Hはアデノシン又はチミジン残基を表す)、及びCHHコンテキスト下の染色体全体にわたる不均一なメチル化レベルを図2Bに示す。合計で6,923個の差示的にメチル化された遺伝子(DMG)を、2つのライブラリ中からスクリーニングにより明らかにした。さらに、CGコンテキスト下では1,510個が20同定され、CHGコンテキスト下では420個、CHHコンテキスト下では3,359個が同定された。CG及びCHGコンテキスト下では83個が同定され、CG及びCHHコンテキスト下では481個が同定され、CHG及びCHHコンテキスト下では793個が同定されたが、一方、CG、CHG、及びCHHコンテキスト下では277個しか同定されなかった。さらに、2,853個がプロモーター領域として同定され、1,413個がCGコンテキスト下で同定され、186個がCHGコンテキスト下で同定され、787個がCHHコンテキスト下で同定された。これらのDMGについては、59個がCG及びCHGコンテキスト下で同定され、46個がCG及びCHH下で同定され、260個がCHG及びCHHコンテキスト下で同定され、CG、CHG、及びCHHコンテキスト下では103個しか同定されなかった。一方、これらのDMGにおいては、80.93%(5,603個)が低メチル化として同定され、37.55%(2,104個)がプロモーター5領域中で低メチル化として同定された(図2C)。
Figure 2023532866000014
Figure 2023532866000015
先の報告は、NAFLDの研究のためのin vitroモデルである高グルコースインキュベーション(HG)が、DNAプロモーターメチル化シグナル伝達を増加させることにより脂質蓄積を誘導することを示した。HGにより誘導されたプロモーター領域中の高メチル化5mCpGが、25HC3Sにより脱メチル化されたことが注目された。25HC3Sは、MAPKシグナル伝達経路における23個の遺伝子(表1.4)、カルシウム経路における19個の遺伝子(表1.5)、及びcAMP経路における28個の遺伝子(表1.6)のプロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化した。シグナル伝達経路に関与する遺伝子中においては、高メチル化DMRは見られなかった。プロモーター領域におけるHGによる高メチル化5mCpG及び25HC3Sによる低メチル化CpGの染色体及び配列位置を、表中で比較する。これらの遺伝子は、インスリンシグナル伝達経路、2型糖尿病シグナル伝達経路、及びcGMP-PKGシグナル伝達経路などの多くの他のKEGG経路にも関与することが観察される。上記の結果は、25HC3Sのグローバルな調節機構が、MAPK-ERK及びカルシウム-cAMPマスターシグナル伝達経路に関与するDUSPファミリー及びカルシウムチャネルファミリーなどの鍵となる遺伝子のプロモーター領域中の5mCpGの脱メチル化によるものであることを示す。
DNAメチル化レベルは、一般的に、ゲノムの異なる機能領域にわたる多様な分布を示す。CGI(CGアイランド)、CGIショア(CGIから2k bp離れたところまで)、プロモーター(転写開始部位から上流2k bpの配列)、5’非翻訳領域(UTR5)、エクソン、イントロン、3’非翻訳領域(UTR3)、及び反復におけるメチル化レベルは、ビヒクル処理群と25HC3S処理群間の10有意差であった(10 significant different)。25HC3S処理が、ビヒクルよりも有意に高い低メチル化レベルをもたらしたことは興味深い(図2D)。同定された合計34,508個のDMR中、3,676個(1,549個の高メチル化領域及び2,127個の低メチル化領域)はCGIに分布し、2206個(627個の高メチル化領域及び1,579個の低メチル化領域)はCGI-ショアに、3,263個(1,213個の高メチル化領域及び2,050個の低メチル化領域)はエクソンに、9,850個(2,340個の高メチル化領域及び15 7,510個の低メチル化領域)はイントロンに、3,696個(1,187個の高メチル化領域及び2,509個の低メチル化領域)はプロモーターに、8,956個(1,882個の高メチル化領域及び7,774個の低メチル化領域)は反復領域に、61個(16個の高メチル化領域及び45個の低メチル化領域)はTESエレメントに、452個(179個の高メチル化領域及び273個の低メチル化領域)はTSSエレメントに、403個(123個の高メチル化領域及び280個の低メチル化領域)はUTR3領域に、1245個(432個の高メチル化領域及び813個の低メチル化領域)はUTR5領域に分布していた。20のDMRのほぼ全てにおいて、CpGは、高メチル化されるよりも有意により低メチル化されている。プロモーター領域中のCGメチル化は、遺伝子発現のサイレンシングにおいて重要な役割を果たすことが報告された。
合計6,923個のDMG中、CGコンテキスト下の遺伝子は、120のKEGG経路において高度にエンリッチされた(69の低メチル化及び51の高メチル化)。CHGコンテキスト下の遺伝子は、48の経路においてエンリッチされたが(33の低メチル化及び15の高メチル化)、一方、CHHコンテキスト下の遺伝子は、136の経路においてエンリッチされた(101の低メチル化及び35の高メチル化)。プロモーター領域中のDMGは、114(31の高メチル化及び83の低メチル化)の経路において高度にエンリッチされ、これらのうち75(0の高メチル化及び75の低メチル化)はCGコンテキスト下、13(13の高メチル化及び0の低メチル化)はCHGコンテキスト下、26(18の高メチル化及び8の低メチル化)はCHHコンテキスト下にあった(表1.3)。
Figure 2023532866000016
表1.4- Huh-7細胞を、HGを有するDMEM培地中で72時間培養し、それに続いてエタノール(ビヒクル)及び25μM 25HC3Sで4時間処理した後、QIAamp DNAミニキット(QIAGEN、ドイツ、ヒルデン)を用いて5,000細胞からゲノムDNAを抽出した。全ゲノムバイサルファイトシーケンシング(WGBS)の解析のために各サンプル(6μg)を使用した。KEGG解析は、脱メチル化遺伝子が、MAPKシグナル伝達経路に関与することを示す(p=0.00087)。MAPKシグナル伝達経路における257個の全遺伝子のうち、23個が25HC3S処理により脱メチル化された。これらの23個の遺伝子のうち、10個はHG環境(太字で示される)によりメチル化されたことが見出された。第1列は遺伝子名を表し、第2列(プロモーター領域中のDMR位置)は染色体中の差示的メチル化領域の位置を示し、第3列(DMR(メチル化%))は、高グルコース(HG)によるメチル化率及び25HC3Sにより誘導される脱メチル化率を示す。
Figure 2023532866000017
表1.5- 表1.1に記載される細胞調製及びDNAメチル化。KEGG解析は、脱メチル化遺伝子がカルシウムシグナル伝達経路に関与することを示す(P= 0.00066)。カルシウムシグナル伝達経路における180個の全遺伝子のうち、19個は25HC3S処理により脱メチル化された。これらの19個の遺伝子のうち、10個はHG環境(太字で示される)によりメチル化されたことが見出された。第1列は遺伝子名を表し、第2列(プロモーター領域中のDMR位置)は染色体中の差示的メチル化領域の位置を示し、第3列(DMR(メチル化%))は、高グルコース(HG)によるメチル化率及び25HC3Sにより誘導される脱メチル化率を示す。
Figure 2023532866000018
Figure 2023532866000019
表1.6- 表1.1に記載される細胞調製及びDNAメチル化。KEGG解析は、脱メチル化遺伝子がcAMPシグナル伝達経路に有意に関与することを示す(P=3.69E-07)。cAMPシグナル伝達経路における200個の全遺伝子のうち、28個は25HC3S処理により脱メチル化された。これらの28個遺伝子のうち、13個は、HG環境(太字で示される)によりメチル化されたことが見出された。第1列は遺伝子名を表し、第2列(プロモーター領域中のDMR位置)は染色体中の差示的メチル化領域の位置を示し、第3列(DMR(メチル化%))は、高グルコース(HG)によるメチル化率及び25HC3Sにより誘導される脱メチル化率を示す。
プロモーター領域中の5mCpG脱メチル化と遺伝子発現間の関係:25HC3Sは、プロモーター領域中のHG-誘導性5mCpGレベルを低下させる
KEGG経路解析の結果から、プロモーター5mCpG脱メチル化と遺伝子発現との関係を探索するため、MAPK経路における鍵となる遺伝子(DUSP7、8及びMAPK1)とそれらの標的遺伝子CREB5、PRDX6、及びBAD、並びにカルシウム-AMK経路における鍵となる遺伝子CACNA1D(CaV1)、CACNA1A(CaV2)、及びCACNA1H(CaV3)(カルシウム電位依存性チャネルサブユニットをコードする)とそれらの標的遺伝子(PGC1A、HMGR、及びFAS)の発現を、RT-PCR分析により決定した。DUSP-MAPKシグナル伝達経路は、細胞生存/細胞死及び抗酸化に関与する主要な経路であり、カルシウムシグナル伝達経路は、脂質及びエネルギー代謝を制御する。予測したとおり、25HC3Sは、DUSP8の発現を5倍増加させ、細胞生存及び細胞死に関与する鍵となるエレメントであるその標的遺伝子CREB5の発現を20倍増加させた(図3A及び3B)。その一方で、25HC3S処理は、カルシウムシグナル伝達経路に関与する鍵となる遺伝子、及びその下流エレメントPGC1Aの発現を12倍と有意に増加させたが、他方、25HC3S処理は、図3C及び3Dに示されるとおり、ミトコンドリア中のエネルギー代謝、コレステロール生合成、及び脂肪酸生合成を制御する鍵となる酵素をコードするHMGR遺伝子及びFAS遺伝子の発現を約90%低下させた。
肝細胞中の転写アレイ解析
25HC3Sがヒト肝細胞中の全遺伝子発現に与える影響を調べるため、38,500個の完全長遺伝子及びEST(発現配列タグ)のクラスターのヒトゲノムU133Aplus2.0 Genechip(登録商標)アレイ解析は、HpG-2細胞における25HC3Sによる処理が、多くの遺伝子クラスター発現を有意に調節したことを示した。影響を受けた主なクラスターは、コレステロール代謝及びトリグリセリド代謝、細胞生存、並びに炎症に関与する遺伝子である。図4に示されるとおり、コレステロール及びトリグリセリドの生合成に関連する遺伝子は有意にダウンレギュレートされ、一方、細胞生存、増殖、及び抗酸化に関連する遺伝子は有意にアップレギュレートされた。全体的に見ると、25HC3Sは、1,276個の遺伝子の転写を、時間依存様式で(>1.6倍)調節した。様々なGOプロセス(特定の生物学的機能プロセスに関連する遺伝子の集合物)の遺伝子解析は、8時間で、アップレギュレートされた経路の大部分は細胞生存に関与し(図4A及びB);対照的に、ダウンレギュレートされた遺伝子の大部分は脂質代謝に関与する(図4C及びD)ことを明らかにした。抗アポトーシスに関連するアップレギュレートされた遺伝子(8時間で3~12倍増加した)は図4Eに列挙され;脂質代謝に関連するダウンレギュレートされた遺伝子(50%~95%低下した)は図4Fに列挙される。個々のアップレギュレートされた遺伝子の詳細は表1.7に列挙され;ダウンレギュレートされた遺伝子は表1.8に列挙される。多くの研究は、エピジェネティック修飾が、必須の細胞機能、例えば代謝、炎症、及び細胞死/増殖などに関与する遺伝子発現をグローバルに調節し得たことをこれまでに示してきた。本発明者らのデータは、25HC3Sが、プロモーター領域中のDNA 5mCpG脱メチル化を介して遺伝子発現をエピジェネティックに調節することを示す。
Figure 2023532866000020
Figure 2023532866000021
Figure 2023532866000022
カルシウムシグナル伝達経路、AMPKシグナル伝達経路、及びPPARシグナル伝達経路は、エネルギー代謝、脂質代謝、及び糖代謝の調節に関与するシグナル伝達経路である。Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ(CaMKK)及びAMPKシグナル伝達経路は、ミトコンドリア新生及び脂質代謝を調節するPGC-1αの発現を増加させ且つアセチル化を低下させる。全ゲノムワイドなDNAメチル化(ゲノムレベル)及びヒトゲノムU133Aplus2.0 Genechip(登録商標)の転写アレイ(mRNAレベル)の解析から得た実施例1に示されるデータは、25HC3S処理が、カルシウムチャネルなどの鍵となる遺伝子、並びにCaMKK及びAMPKの遺伝子のプロモーター領域中の5mCpGを有意に脱メチル化し、それらの発現を増加させ、下流エレメントを調節したことを示した。これらの結果は、図5に示されるとおり、25HC3Sが、主にカルシウム-AMPKシグナル伝達経路を介して代謝経路をグローバルに調節したことの証拠を提供した。25HC及び25HC3Sは、DNAメチル化の調節における強力な調節因子である。25HCはCpGをメチル化し、25HC3Sは5mCpGを脱メチル化するが、一方、鍵となる遺伝子の発現もダウンレギュレート及びアップレギュレートする。PGC-1αは、ミトコンドリア新生、酸化的リン酸化、及びミトコンドリア抗酸化防御の鍵となる調節因子であり、代謝恒常性の維持にも関与する。PGC-1α発現は、CREBタンパク質及びAMPKシグナル伝達経路によりアップレギュレートされる。本知見は、25HC3Sが、それらのプロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化することを介してCREB及びAMPKの発現をアップレギュレートし、その後で細胞内PGC-1αレベルを増加させることを示し(図3)、これは、図5に提案されるとおり、25HC3Sが機能する方法の詳細な機構を提供する。25HC3SはDNMT活性を抑制し、鍵となるプロモーター領域中の5mCpGを脱メチル化する。この脱メチル化は遺伝子発現をアップレギュレートし、MAPK-CREBシグナル伝達を増加させ、これが細胞アポトーシスを妨げ、細胞増殖を誘導する。図5に示されるとおり、上記の脱メチル化は、カルシウム-AMPKシグナル伝達もアップレギュレートし、SREBP-1活性の阻害をもたらしてこれにより脂肪酸及びトリグリセリドの生合成を阻害し、またHMGCR発現の阻害をもたらし、コレステロール生合成を減少させ、マロニル-CoA(malnonyl-CoA)のレベルを増加させる。
結論
オキシステロールスルフェートである25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)は、この実施例において、脂質代謝、炎症応答、及び細胞生存において重要な役割を果たすことが示された。実施例1は、25HC3Sが内因性エピジェネティックレギュレーターとして機能する分子機構の研究を提供する。エピジェネティック酵素の動態研究は、25HC3Sが、DNAメチルトランスフェラーゼであるDNMT1、DNMT3a、及びDNMT3bを、それぞれIC50=4.04、3.03、及び9.05x10-6Mで特異的に阻害したことを示した。ヒト肝細胞において、高グルコースは、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の発症に関与する鍵となる遺伝子のプロモーターCpGメチル化を増加させることにより脂質蓄積を誘導する。このモデルを用いて、25HC3Sは、79個のKEGG経路に関与する1074個の遺伝子のプロモーター領域中の5mCpGをCpGに変換した。MAPK-ERK経路、カルシウム-AMPK経路、及び2型糖尿病経路などのマスターシグナル伝達経路に関与する脱メチル化遺伝子の発現が増加した。メッセンジャーRNAアレイ解析は、アップレギュレートされた遺伝子が細胞生存の保持における鍵となるエレメントをコードしており、ダウンレギュレートされた遺伝子が脂質生合成の低下における鍵となる酵素をコードしていることを示した。実施例1に示される結果は、これらのエレメント及び酵素の発現が脱メチル化シグナル伝達経路により調節され、プロモーター領域中の5mCpGの25HC3S DNA脱メチル化が、強力な調節機構であることを示す。
実施例2
目的
この試験の目的は、雄Sprague Dawleyラットにおける[4-14C]-25HC3S-由来放射能の血漿薬物動態を決定すること、雄Sprague Dawleyラットにおける[4-14C]-25HC3S-由来放射能の消失経路及び排泄マスバランスを決定すること、雄のSprague Dawleyラット及びLong Evansラットにおいて単回静脈内(ボーラス)投与後に定量的全身オートラジオグラフィー法を使用して[4-14C]-25HC3S-由来放射能の組織分布及び組織薬物動態を決定すること、及び[4-14C]-25HC3S-由来放射能の代謝産物プロファイリングのための血漿、尿、及び糞便ホモジネートサンプルを用意することであった。
試験設計
9匹の雄Sprague Dawleyラット(群1)を薬物動態相に指定し、3匹の雄Sprague Dawleyラット(群2)を排泄マスバランス相に指定し、7匹の雄Sprague Dawleyラット(群3)及び9匹の雄Long Evansラット(群4)を組織分布相に指定した。全動物が、10mg/kgの[14C]-25HC3S及び225μCi/kgの標的放射能の単回静脈内投与を受けた。投与後約0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24、48、及び72時間で、群1動物の全てから血液サンプルを採取した。投与後168時間を通して定期的に、群2動物の全てから尿及び糞便を採取した。群3については投与後約0.083、0.5、1、4、8、24、及び168時間で、また群4については投与後約0.083、0.5、1、4、8、24、168、336、及び504時間で、1匹の動物/群/時点をイソフルランで麻酔し、血液サンプルを採取した。血液採取後、動物をCO2吸入により安楽死させ、定量的全身オートラジオグラフィーによる処理のために屠殺体をドライアイス/ヘキサンバス中で凍結させた。全血、血漿、尿、糞便、ケージリンス、及びケージ洗浄液を、液体シンチレーション計数により総放射能について分析した。
結果及び重要な所見
ラットに10mg/kgで投与された[4-14C]-25HC3Sの単回静脈内(ボーラス)投与後、平均血漿C0は25,900ng-当量/gであり、AUClastは27,900 h*ng-当量/gであった。終末消失相T1/2は26.6時間であった。
排泄データに基づくと、[4-14C]-25HC3Sの10mg/kgでの単回静脈内(ボーラス)投与後に、投与された用量の約100.2%が、ラット由来の尿、糞便、及びケージリンスにおいて168時間にわたり回収された。回収された放射能の大部分は糞便中にあり(83.0%)、胆汁排泄がラットにおける主要な排泄経路であることを示していた。
群3における雄Sprague Dawleyラットへの10mg/kgでの[4-14C]-25HC3Sの単回静脈内(ボーラス)投与後、[4-14C]-25HC3S及び/又はその代謝産物は、目(水晶体)を除く全組織において広く分布し、定量的全身オートラジオグラフィーにより検出された。血漿濃度は、薬物動態相において決定された血漿濃度と類似していた。全血Cmaxは8530ng-当量/gであり、AUClastは25,200h*ng-当量/gであった。血漿曝露と全血曝露には、0.79の血漿:全血AUClast比により測定された無視し得る差が存在し、25HC3Sが、血漿と血液細胞に均等に分配されたことを示していた。T1/2は、血漿中では44.3時間、全血中では52.2時間であった(PK相とQWBA相との間の血漿T1/2の差は、血液採取時点の差によるものである)。
[4-14C]-25HC3S-由来放射能のCmax及びAUClastは、肝臓において、それぞれ87,900ng-当量/gまで、及び364,000h・ng/gまでと最高であった。腎臓(全切片)、小腸(壁)、肺、及び副腎の濃度は43,200ng-当量/g~13,600ng-当量/gであり、最高血漿濃度の12,400ng-当量/gより高かった。胸腺、骨(大腿骨)、ぶどう膜、脂肪、精巣、及び脳の濃度は他の組織と比較して最も低く、<5000ng-当量/g(約1500ng-当量/g)であった。残りの組織は、5000~10,800ng-当量/gの濃度を有していた。Tmaxは、投与後0.083~0.5時間の場合が最も多かった。濃度は、副腎、ハーダー腺、肝臓、及び小腸を除く全組織において、投与後168時間までに定量限界未満となった。AUClastを用いて算出すると、組織:血漿比は、肝臓及び小腸(壁)についてそれぞれ11.4及び7.44と高かった。高い肝臓濃度及び小腸濃度は、静脈内投与後の広範な胆汁(糞便)排泄と一致する。他の全ての組織:血漿比は、残りの組織型に対する限定された親和性を示した。
雄Long Evansラットへの10mg/kgでの[4-14C]-25HC3Sの単回静脈内投与の投与は、Sprague Dawleyラットと対比して、投与後最初の168時間にわたり血漿濃度又は全血濃度において実質的な差異がないことを明らかにし;有色動物(pigmented animals)においては、血漿濃度及び全血濃度は、血漿及び全血において投与後336時間までに定量限界未満となった。有色皮膚若しくは非有色皮膚又はぶどう膜への結合において差異はないようであり;全組織について、濃度は投与後168時間までに定量限界未満であった。
ラット由来の血漿、尿及び糞便を、25HC3S関連放射性標識化物質の決定について分析した。サンプルを、放射線検出を有する高速液体クロマトグラフィーを用いてプロファイリングし、質量分析及びタンデム質量分析を使用して代謝特性評価を行った。
群1のラットから、0.083、0.25、0.5、及び1時間の採取時点で血漿プールを作成した。これらの群1のサンプルプール及び群3の0.083時間の血漿サンプルから、0.083時間及び0.25時間の採取物中に存在する最大成分は、放射能の約58%~92%を示す親25HC3Sに起因していた。0.5時間採取物及び1時間採取物において放射能の>10%で存在する3個の代謝産物は、M14(相対観測強度15%まで)、M24(相対観測強度13%まで)、及びM28(相対観測強度83%まで)であった。代謝産物のプロファイリング及び特性決定に好適な放射能を有する時点(投与後1時間まで)の中で、25HC3S関連放射能に対する曝露(AUC)の約54%は25HC3Sに起因し、約34%はM28に起因し、残りは微量代謝産物に起因していた。
群2については、投与後0~6時間及び6~12時間で尿プールを調製した。存在する最大成分は、放射能の約78%~93%を示す親25HC3Sに起因していた。合計4個の代謝産物を同定したが、用量の>1.2%又は相対観測強度>10%で存在する代謝産物はなかった。少なくとも1つのサンプル中に相対観測強度<10%で存在していた4個の代謝産物は、M7(相対観測強度<5%)、M16(相対観測強度<3%)、M19(相対観測強度<6%)、及びM25(相対観測強度<5%)であった。
群2について、投与後0~12時間、12~24時間、及び24~48時間で糞便プールを調製した。
合計14個の代謝産物を同定した。用量の≧5%で存在していた4個の代謝産物は、M1(用量の21%、相対観測強度23%~30%)、M2(用量の7%、相対観測強度4%~12%)、M3(用量の15%、相対観測強度13%~23%)、並びにM4(用量の8%、相対観測強度6%~12%)であった。親25HC3Sは、用量の2%で存在していた(相対観測強度1%~5%)。
一次代謝経路は25HC3Sの酸化を伴い、スルフェート基のヒドロキシル基への変換、それに続くさらなる酸化をもたらし、デオキシコール酸及びコール酸又はそれらの異性体に関連する胆汁酸構造を形成した。さらに、デオキシコール酸(又はデオキシコール酸の異性体)のグルタチオンコンジュゲーションが、その構造に対応する分子量を有する代謝産物の存在により示唆された。血漿サンプル、尿サンプル、又は糞便サンプルのいずれにおいても、デスモステロールスルフェート又は25-ヒドロキシコレステロールのいずれも検出されなかった。
実施例3
ラットに75mg/kgで投与された[14C]-25HC3Sの単回経口(強制)投与後、血漿Cmaxは3800ng当量/gであり、AUClastは96,400h・ng当量/gであった。終末消失相T1/2は27.3時間であった。
排泄データに基づくと、[14C]-25HC3Sの75mg/kgでの単回経口(強制)投与後に、投与された用量の約94.5%が、ラット由来の尿、糞便、及びケージリンスにおいて回収された。回収された放射能の大部分は糞便中にあり(94.2%)、胆汁排泄が、ラットにおいて吸収された25HC3Sの主要な排泄経路であることを示していた。
雄Sprague Dawleyラットへの75mg/kgでの[14C]-25HC3Sの単回経口(強制)投与後、[14C]-25HC3S及び/又はその代謝産物は、目(水晶体)を除く全組織において広く分布し、定量的全身オートラジオグラフィーにより検出された。目(水晶体)においては、[14C]-25HC3S-由来放射能は検出されなかった。血漿濃度は、薬物動態相において決定された血漿濃度と類似しており、定量下限を超えていた。全血Cmaxは2850ng当量/gであり、AUClastは127,000h・ng当量/gであった。1.12の血漿:全血AUClast比により測定された血漿曝露と全血曝露には無視し得る差が存在し、25HC3Sが血漿と血液細胞にほぼ均等に分配されたことを示していた。
定量的全身オートラジオグラフィーにより分析した組織については、測定可能な場合、[14C]-25HC3S-由来放射能のCmaxは、小腸(壁)、続いて胃(壁)において最も高く、それぞれ424,000ng当量/g及び204,000ng当量/gであった。膵臓濃度及び肝臓濃度は、23,500ng当量/g~28,100ng当量/gであった。ぶどう膜濃度及び脳濃度は、他の組織と比較して最も低く、約1000ng当量/gであった。皮膚、胸腺、前立腺、及び下垂体の組織濃度は<3000ng当量/gであった。残りの組織は、3600ng-当量/g~10,700ng当量/gの濃度を有していた。Tmaxは、投与後6時間以内であった。投与後168時間までに、副腎及び肝臓を除く全組織において、組織濃度は定量限界近く又はそれ未満となった。AUClastを使用して算出すると、組織:血漿比は小腸(壁、15.4)について最も高く、続いて肝臓及び副腎について、それぞれ6.96及び6.64と高かった。高い肝臓濃度及び小腸濃度は、経口投与及び胆汁(糞便)排泄と一致する。他の全ての組織:血漿比は、残りの組織型に対する限定された親和性を示した。
血漿及び糞便抽出物中の放射標識された成分をプロファイリングし、放射線-高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法及び高速液体クロマトグラフィー/質量分析(HPLC/MS)法を使用して同定した。
代謝産物のプロファイリング及び同定を必要とするのに十分な放射能を含む尿サンプルは存在しなかった。
投与後2、4、及び6時間で採取された群1(75mg/kg、[14C]-25HC3S)サンプルについて、血漿プールを調製した。投与後2時間の血漿中、主な放射性標識成分は親25HC3Sであり、これは相対観測強度(ROI)63%及び2090ng-当量/gの濃度で存在していた。1個の代謝産物M29は、37%ROI及び1233ng-当量/gの濃度を有する25-ヒドロキシコレステロールとして同定された。投与後4時間及び6時間の血漿採取物は、放射線プロファイリングに十分な濃度を含んでいなかった。
投与後0~24、24~48、48~72、72~96、96~120、120~144、及び144~168時間から採取した群2(75mg/kg、[14C]-25HC3S)サンプルについて、糞便プールを調製した。合計11個の代謝産物を同定した。用量の≧5%で存在する代謝産物はなかった。用量の2~5%で存在する代謝産物は、M1(総用量の4.5%、及びROI 1%~69%)、M3(総用量の4.6%、及びROI 1%~44%)、M4(総用量の2.0%、及びROI 0%~10%)、M8(総用量の3.1%、及びROI 1%~46%)、M29(総用量の1.9%、及びROI 0%~2%)、並びにM30(総用量の3.3%、及びROI 0%~5%)であった。主な放射性標識成分は親25HC3Sであり、これは総用量の71.1%(ROI 0%~88%)で存在していた。
放射性標識されたデスモステロールスルフェートは、血漿サンプル又は糞便サンプルのいずれにおいても見出されなかった。
一次代謝経路は25HC3Sの酸化を伴い、スルフェート基のヒドロキシル基への変換、それに続くさらなる酸化をもたらし、デオキシコール酸及びコール酸又はそれらの異性体並びに25-ヒドロキシコレステロールに関連する胆汁酸構造を形成した。
上述の発明は、明確な理解を目的として例示及び実施例によりいくらか詳細に記載されているが、本発明の教示を考慮すると、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲を逸脱することなく、これらに特定の変更及び改変を行い得ることが、当業者には容易に理解される。
したがって、前述の例示及び実施例は、単に本発明の原理を例示するに過ぎない。当業者は、本明細書中に明確に記載され又は示されてはいないが、本発明の原理を具現化し、その精神及び範囲内に包含される様々なアレンジメントを考案し得ることが理解されるだろう。さらに、本明細書中に記載される全ての実施例及び条件的な文言は、主に本発明の原理及び本発明者らが当該技術の促進に対して貢献した概念についての読者の理解を補助することを意図するものであり、このように具体的に記載された実施例及び条件に限定されるものではないと解される。さらに、本発明の原理、態様、及び実施形態並びにそれらの具体例について記載している本明細書中の全ての記載は、それらの構造的均等物及び機能的均等物の両方を包含することが意図される。さらに、このような均等物は、現在知られている均等物と、将来開発される均等物(すなわち開発される任意の要素であって、構造に関わらず同じ機能を果たすもの)との両方を含むことが意図される。さらに、本明細書中に開示されるものはいずれも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に記載されているか否かに関わらず、公衆に捧げられることが意図されるものではない。
従って、本発明の範囲は、本明細書中に示され且つ記載される例示的な実施形態に限定されることが意図されるものではない。むしろ、本発明の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲により具体化される。特許請求の範囲において、米国特許法(35 U.S.C.)第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は、「・・・のための方法(means for)」という正確な表現又は「・・・のためのステップ(step for)」という正確な表現が、請求項中の特徴の冒頭に記載されている場合にのみ、かかる請求項中の特徴に対して行使されると明確に規定されており;このような正確な表現が請求項中の特徴において使用されていない場合、米国特許法第112条(f)又は米国特許法第112条(6)は惹起されない。

Claims (19)

  1. 少なくとも1つの自己免疫状態を処置する必要がある対象において該少なくとも1つの自己免疫状態を処置する方法であって:
    該対象に、有効量の25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)、25-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(25HCDS)、27-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(27HC3S)、27-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(27HCDS)、24-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(24HC3S)、24-ヒドロキシコレステロール-ジスルフェート(24HCDS)、及び24,25-エポキシコレステロール-3-スルフェートから選択される少なくとも1つの化合物又はその塩を投与することを含み、
    該少なくとも1つの自己免疫状態が、場合によりエプスタイン・バーウイルス感染症に関連する、前記方法。
  2. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が、肝炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、及び関節リウマチの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が肝炎を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が多発性硬化症を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が全身性エリテマトーデスを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの自己免疫状態が関節リウマチを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの自己免疫状態がエプスタイン・バーウイルス感染症に関連する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記対象に25-ヒドロキシコレステロール-3-スルフェート(25HC3S)又はその塩の有効量を投与することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つの化合物を、以下:
    (a) 0.001mg/kg/日~100mg/kg/日の量;
    (b) 対象の体重に対して0.1mg/kg~100mg/kgの量;及び
    (c) 対象の体重に対して1mg/kg~10mg/kgの量
    からなる群から選択される量で投与する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記投与が、1日当たり1回~3回行われる、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記投与が、経口投与、腸内投与、舌下投与、経皮投与、静脈内投与、腹膜投与、非経口投与、注射による投与、皮下注射、及び筋肉内注射の少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記投与が、前記少なくとも1つの化合物と、生理学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は担体とを含む医薬組成物を投与することを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記医薬組成物が単位剤形に製剤化される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記医薬組成物が固体形態である、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記医薬組成物が:(a) 粉剤、錠剤、カプセル剤、又はトローチ剤の形態である;及び/又は(b) 前記少なくとも1つの化合物を凍結乾燥形態にて増量剤と共に含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記医薬組成物が、液体である担体を含む、請求項12又は13に記載の方法。
  17. 前記少なくとも1つの化合物が、前記液体中で可溶化されているか又は前記液体中で分散している、請求項16に記載の方法。
  18. (a) 前記液体が水性であるか;又は(b) 前記液体が注射用滅菌水若しくはリン酸緩衝生理食塩水である、請求項16又は17に記載の方法。
  19. 前記医薬組成物が、密封されたバイアル、アンプル、シリンジ、又はバッグ中にある、請求項12及び16~18のいずれか1項に記載の方法。
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