JP2023532703A - 免疫シグナル伝達をもたらすため、且つ/又は腸内バリア機能に影響を及ぼすため、且つ/又は代謝状態を調節するためのAmuc-1100ポリペプチドバリアント - Google Patents

免疫シグナル伝達をもたらすため、且つ/又は腸内バリア機能に影響を及ぼすため、且つ/又は代謝状態を調節するためのAmuc-1100ポリペプチドバリアント Download PDF

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Abstract

腸粘膜免疫系機能を調節すること及び/若しくは促進することができ、且つ/又は代謝状態を維持すること及び/若しくは取り戻すことができ、且つ/又は哺乳動物において腸粘膜バリアの物理的完全性を高めることができるアッカーマンシア・ムシニフィラの細胞外ポリペプチドのポリペプチドバリアントが提供される。ポリペプチドバリアント又はそのようなポリペプチドバリアントを含む宿主細胞が、高められた腸粘膜バリアの物理的完全性並びに/又は改善された腸粘膜免疫系機能及び代謝状態から利益を得るさまざまな状態を予防及び/又は処置するために利用されてもよい。

Description

本発明は腸粘膜免疫系、腸粘膜バリア、ポリペプチド及び/又は宿主細胞を含む医薬、食物或いは飼料組成物の分野に関し、これらは腸粘膜免疫系機能を調節すること及び/若しくは促進すること並びに/又は腸粘膜バリアの物理的完全性を維持すること及び/若しくは取り戻すこと及び/若しくは高めることができ、且つ/或いは哺乳動物(例えば、ヒト)におけるグルコース及び/又はコレステロール及び/又はトリグリセリド恒常性を維持すること、取り戻すこと又は改善することができる。
腸粘膜バリアの透過性の増加又は透過性亢進が、腸関連疾患、自己免疫疾患、アレルギー、がん、2型糖尿病、肥満、うつ病、不安、及び多くのその他のもの等のいくつかの障害並びに状態に関与すると考えられる。このため、哺乳動物の胃腸管(GI)を対象とした多くの状態の発病における腸粘膜バリア機能不全の一因を理解することへの関心が増している。
正常な状態下で、腸粘膜バリアは、栄養素、電解質及び水の吸収を可能にし、有害な高分子、微生物、食物由来抗原及び微生物抗原(例えば、食物アレルゲン)への曝露を防ぐ選択的バリアとして働く。腸粘膜バリアは、粘液の層及び下層上皮細胞(本明細書では「腸上皮細胞」と呼ぶ)から基本的に構成される。腸上皮細胞は、本質的に2つの腸上皮細胞の膜間の「物理的な結合」である、いわゆる「タイトジャンクション」によって互いに密接に結合している。腸粘膜バリアの維持、特に腸上皮細胞層の物理的完全性の維持(すなわち、細胞間の結合を厳密に維持すること)は、病原性微生物、抗原、及び他の望ましくない作用物が腸から血流へ移行することから宿主を保護するために非常に重要である。
腸粘膜バリアには、およそ1012~1014の共生微生物、主に嫌気性又は微好気性菌がたくさん定着しており、その大半が宿主と共生している。これらの細菌は、いろいろな意味で宿主に有益である。これらは、病原性細菌に対する保護をもたらし、ビタミンK、及びビタミンB複合体の成分の一部を合成することによって宿主において栄養的役割を果たす。更に、腸粘膜バリアは、共生細菌(すなわち、有益な細菌)と病原性細菌及び他の有害な作用物とを区別するための複雑な「腸粘膜免疫系」を進化させてきた。腸粘膜免疫系は腸粘膜バリアに不可欠な部分であり、リンパ組織及び特殊化した免疫細胞(すなわち、リンパ球及び形質細胞)を含み、これらは腸粘膜バリア全体に広く分散している。健康な対象の粘膜にもともと定着している微生物の1つは、ムチン分解アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)であり、これが腸内バリア機能を高め(Everardら、PNAS 110 (2013年)9066~71ページ;Reunanenら、Appl Environ Microbiol、2015年3月20日)、それによって損なわれた腸バリア機能と関連する疾患に影響を与えることが示されてきた。
特定の状況下において、腸粘膜バリアは、通常、粘膜腸バリアを通過できないにもかかわらず、巧みにそれを(例えば、腸上皮細胞間の緩いタイトジャンクションの結果として生じる隙間を通って)通過する多種多様な感染性生物又は作用物に対して脆弱な場合もある。腸粘膜バリアを通過する生物又は他の作用物は、宿主において疾患又は他の望ましくない状態(例えば、アレルギー)の原因となることもある。そのような疾患の例としては、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠損又はインスリン耐性関連障害、2型糖尿病、1型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、過敏腸症候群(IBS)、耐糖能障害、異常な脂質代謝、アテローム動脈硬化症、高血圧、心臓病の病状、卒中、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、高血糖、脂肪肝、脂質代謝異常、肥満(体重増加)と関連した免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、うつ病、損なわれたバリア機能と関連した他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、上昇したトリグリセリド、アテローム動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、及びがんが挙げられる。
反対に、上記のもの等の疾患並びに食物アレルギー等の他の状態、例えば、乳児が未熟で生まれたことによる、腸の未発達さ、放射線、化学療法及び/又は毒素への曝露、自己免疫性障害、栄養不良、敗血症等は、腸粘膜バリアの物理的完全性を変える(すなわち、腸上皮細胞間のタイトジャンクションの緩みの原因になる)場合もあり、それが、ひいては望ましくない微生物又は他の作用物が宿主の腸粘膜バリアを通過するのを可能にする場合もある。
そのような微生物又は作用物を標的とするいくつかのワクチン及び/又は抗体が、何年もかけて開発されてきた。しかしながら、そのようなアプローチは、ワクチン又は抗体を用いてもいくつかの微生物又は作用物を効果的に標的とできないか、又は根絶できないため、あまり成功しない。
有害な微生物及び他の作用物が宿主の腸粘膜バリアを通過するのを最初の段階で防ぐこと、及び/又は腸粘膜バリアの透過性亢進を防ぐことを目標とした他のアプローチも調査されてきた。例えば、腸粘膜バリアの透過性亢進と関連する状態を予防及び/又は処置するためのグルタミン酸を含む組成物が開発された(WO01/58283)。スペルミン及びスペルミジン並びにその前駆体を含む他の物質も同じ目的のために使用された(Dorhoutら、(1997年)、British J. Nutrition、639~654ページ)。腸粘膜バリアの周辺に生息しているGI細菌に対する有益な効果を促進するためのアラビノキシランを含む調製物も、腸粘膜バリアを調節するために開発された(US2012/0230955)。
WO2016177797は、アッカーマンシア・ムシニフィラ由来のポリペプチド、すなわち、ポリペプチドAmuc-1100を開示しており、これは、腸粘膜バリアの物理的完全性を維持すること、取り戻すこと若しくは高めること並びに/又は哺乳動物におけるグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性を維持すること、取り戻すこと若しくは改善することができ、且つ/或いはとりわけ、トール様レセプター2(TLR2)と相互作用すること、並びに/又はTLR2及び/若しくはNFk-B依存性シグナル伝達経路を調節すること、並びに/又は哺乳動物(例えば、ヒト)の粘膜腸バリアの周辺にある免疫細胞からのサイトカイン放出(例えば、IL-6、IL-8、及びIL-10)を促進することによって哺乳動物の代謝又は免疫状態を改善することができる。
腸粘膜バリアの物理的完全性を維持すること、及び/若しくは取り戻すこと及び/若しくは高めること、並びに/又は哺乳動物(例えば、ヒト)における腸粘膜バリアの透過性亢進を防ぐことに適し、且つ/或いは哺乳動物におけるグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性を維持すること及び/又は取り戻すこと及び/又は改善することに適し、好ましくは、それによって前記哺乳動物における腸粘膜バリアの最適以下の透過性と関連する疾患若しくは状態並びに/又はグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性の不均衡を予防又は処置する、新規若しくは改善された薬剤及び/又はそのような薬剤を含む組成物を提供することが本発明の目的である。代わりに又は加えて、哺乳動物において腸粘膜免疫系機能を調節及び/又は促進するのに適した更なる若しくは改善された薬剤及び/又はそのような薬剤を含む組成物を提供することが本発明の目的である。
WO01/58283 US2012/0230955 WO2016177797 米国特許第4,554,101号
Everardら、PNAS 110 (2013年)9066~71ページ Reunanenら、Appl Environ Microbiol、2015年3月20日 Dorhoutら、(1997年)、British J. Nutrition、639~654ページ Xingら、(2019); Genes & Genomics 41:1253~1264ページ Lee H及びKo G、A ppl Environ Microbiol、2014年10月;80(19):5935~43ページ Syngelakiら、N Engl J Med、2016年2月4日;374(5):434~43ページ Rajilic-Stojanovic及びde Vos、The first 1000 cultured species of the human gastrointestinal microbiota、FEMS Microbiol Rev. 38: 996~1047ページ Derrienら(2004年、Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 54: 1469~76ページ) Lukovacら(2014年、mBio 01438-14) Visweswaran GRら、2014年、Appl Microbiol Biotechnol. 98:4331~45ページ Solankiら、BioMed Res. Int. 2013年、Article ID 620719 Schulz、G. E.ら、Principles of Protein Structure、Springer- Verlag、New York、1979年 Creighton、T.E、Proteins: Structure and Molecular Principles、W.H. Freeman & Co、San Francisco、1984年 Kyteら、J. Mol. Biol. 157、105~132ページ(1982年) Henikoff及びHenikoff、1992年、PNAS 89、915~919ページ Reunanen Jら、2012年、Appl Environ Microbiol 78:2337~44ページ Tailford LEら、2015年、Nat Commun. 6:7624ページ
本発明者らは、腸免疫系機能を調節すること及び/若しくは促進すること並びに/又は腸粘膜バリアの物理的完全性を維持すること及び/若しくは取り戻すこと及び/若しくは高めることができ、且つ/或いは哺乳動物(例えば、ヒト)におけるグルコース及び/又はコレステロール及び/又はトリグリセリド恒常性を維持すること及び/又は取り戻すこと及び/又は改善することができる、アッカーマンシア・グリュカニピラにおけるポリペプチドAmuc-1100の遠いバリアントを特定した。これは、以前の研究がアッカーマンシア・グリュカニピラはAmuc-1100のホモログがないと報告しているため、驚くべきことである(Xingら、(2019); Genes & Genomics 41:1253~1264ページを参照)。
いかなる理論にも縛られることを望まないが、本開示のポリペプチドの有益な効果は、哺乳動物の腸粘膜バリアの周辺にある免疫細胞の表面に存在するTLR2シグナル伝達経路と相互作用する能力の結果として生じると考えられる。更に具体的には、本発明者らは、本明細書中で教示されるポリペプチドが、免疫細胞の表面に存在するTLR2と相互作用すること並びに/又は免疫細胞からのサイトカイン(例えば、IL-6、IL-8、及びIL-10)の分泌を刺激するよう、腸粘膜バリアの周辺にある前記免疫細胞においてTLR2シグナル伝達経路を調節すること及び/若しくは刺激することができることを発見した。
更に、本発明者らは、本明細書中で教示されるポリペプチドが、哺乳動物の腸粘膜バリアの上皮膜抵抗(transepithelial resistance)を調節すること及び/又は高めることができることを発見した。高まった上皮膜抵抗測定値は腸粘膜バリアの透過性の低下の指標の役割を果たすため、バリアントを含む本明細書中で教示されるポリペプチドが、腸粘膜バリアの物理的完全性を、特に上皮細胞間のタイトジャンクションのレベルで調節することができると考えられる。
一緒に合わせると、これらの効果は、改善された、又は高められた腸粘膜免疫系機能(例えば、腸粘膜バリアのサイトカインの更に多くの放出)並びに特に腸上皮細胞間の結合のレベルで(すなわち、細胞間のより狭いタイトジャンクションにより)、腸粘膜バリアの改善された、又は高められた物理的完全性をもたらすと考えられる。
更に、HFDを与えられたマウスの本開示によるポリペプチドによる処置は、食物摂取量に影響を及ぼすことなく、体重及び脂肪量増加を顕著に低減させることがわかった。本ポリペプチドによる処置はまた、血清HDL-コレステロールの有意な低下及びLDL-コレステロールの同様の傾向を伴い、HFDにより誘発された高コレステロール血症も治す場合もある。更に、本ポリペプチドの投与は、アッカーマンシア・ムシニフィラのAmuc-1100ポリペプチドと同じか、又はそれよりも良好な効力で耐糖能障害を緩和する場合もある。
最後に、メトホルミンがアッカーマンシアの増殖を刺激することが知られており(Lee H及びKo G、A ppl Environ Microbiol、2014年10月;80(19):5935~43ページ)、したがって、本ポリペプチドとしてのアッカーマンシア及び同様の機能性を有するその細胞外ペプチドが、妊娠糖尿病及び妊娠高血圧腎症に対してメトホルミンと同様の効果を有する場合もある可能性がある(Syngelakiら、N Engl J Med、2016年2月4日;374(5):434~43ページ)。
ポリペプチド
本開示は、
a)(全長にわたり)配列番号9と少なくとも25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、100%の配列同一性を有する;
b)以下のセットのアミノ酸残基のうちの少なくとも1、2、3、4、5、6、又は7個を含む
i.配列番号9のそれぞれ位置1、2、8、20、23、及び/又は27と対応する位置にR、S、I、S、A、及び/若しくはP(又はその保存的置換);
ii.配列番号9のそれぞれ位置92、93、95、97、及び/又は100と対応する位置にC、K、K、I、及び/若しくはT(又はその保存的置換);
iii.配列番号9のそれぞれ位置105、106、107、及び/又は108と対応する位置にW、L、G、及び/若しくはF(又はその保存的置換);
iv.配列番号9のそれぞれ位置126、及び/又は127と対応する位置にF及び/若しくはE(又はその保存的置換);
v.配列番号9のそれぞれ位置149、150、及び/又は151と対応する位置にV、Y、及び/若しくはR(又はその保存的置換);
vi.配列番号9のそれぞれ位置179、181、182、184、185、188、190、及び/又は191と対応する位置にP、E、I、F、Q、R、S、及び/若しくはV(又はその保存的置換);
vii.配列番号9のそれぞれ位置220、222、229、230、231、234、248、258、260、262、264、172、175、279、283、及び/又は285と対応する位置にP、P、P、A、A、P、G、T、A、E、A、P、Q、K、G、及び/若しくはE(又はその保存的置換)、
ことを特徴とする単離ポリペプチドを教示する。
上で定義されたポリペプチドは、免疫シグナル伝達をもたらすことができ、且つ/又は腸内バリア機能に影響を及ぼすことができ、且つ/又はグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性に影響を及ぼすことができる。好ましくは、前記単離ポリペプチドは、配列番号1又は配列番号1と50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99超若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含まない。本明細書中で教示されるポリペプチドは、Toll様レセプター2(TLR2)と結合することができる場合もある。
ある実施形態において、上で定義されたポリペプチドは、好ましくは、担体、例えば、生理学的に許容される担体又は薬学的に許容される担体又は消化的に許容される担体又は栄養的に許容される担体を更に含む、組成物に含まれる。担体は、任意の不活性担体であってもよい。例えば、適した生理学的又は薬学的に許容される担体の非限定例としては、任意の周知の生理学的又は薬学的担体、緩衝剤、希釈剤、及び賦形剤が挙げられる。
一実施形態において、本明細書中で教示されるポリペプチド及びそのバリアントは、細胞においてTLR2シグナル伝達経路を刺激すること、細胞からのサイトカイン(例えば、IL-6、IL-8、IL-10等)の放出を刺激すること及び/又は哺乳動物、例えば、ヒト細胞の上皮膜抵抗(TER)を高めること、及び/又は哺乳動物、例えば、マウス若しくはヒトの代謝若しくは免疫状態を改善することができる。
a)以下に記載されているとおり、本明細書中で教示されるポリペプチドはまた、配列番号9のアミノ酸配列のバリアントも含む場合があり、前記バリアントのアミノ酸配列は、配列番号9のアミノ酸配列と25%超の配列同一性を有する。本ポリペプチドのバリアントはまた、1つ以上のアミノ酸置換、欠失又は挿入によって、配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチドから誘導されたポリペプチドも含む。好ましくは、そのようなポリペプチドは、配列番号9のアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上、最大約100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15個のアミノ酸置換、欠失又は挿入を含む。記述のとおり、本ポリペプチドは、例えば、全長にわたり、配列番号9と少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性、例えば、配列番号9と少なくとも50%の配列同一性を有してもよい。本開示によるポリペプチドは、リーダー配列を含んでも、又は含まなくてもよい。
ある実施形態において、本開示によるポリペプチドは、
- i)以下に定義されるとおりの少なくとも5個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- ii)以下に定義されるとおりの少なくとも4個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- iii)以下に定義されるとおりの少なくとも3個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- iv)以下に定義されるとおりの少なくとも1個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- v)以下に定義されるとおりの少なくとも2個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- vi)以下に定義されるとおりの少なくとも7個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);及び/又は
vii)以下に定義されるとおりの少なくとも15個(又は少なくとも12個)のアミノ酸残基(又はその保存的置換)を含む。代わりに又は同時に、本明細書中で教示されるポリペプチドは、特に、上で定義されたとおりの以下のセットのアミノ酸残基を含んでもよい
- i);
- i)及びvii);
- i)、ii)、vi)及びvii);
- i)、iii)、iv)、及びvii);
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)。
代わりに又は同時に、本明細書中で教示されるポリペプチドは、例えば、全長にわたり、配列番号9と少なくとも75%の配列同一性を有してもよい。
好適な実施形態において、本開示による単離ポリペプチドは、配列番号9のそれぞれ位置28、29、35、37、(40、)71、78、81、及び/又は88と対応する位置にアミノ酸残基S、N、E、N、(A、)P、Q、L、及び/若しくはL(又はその保存的置換)を更に含む。挙げたこれらのアミノ酸残基のうちの少なくとも8個が含まれるのが好ましい。
更に別の好適な実施形態において、本開示による単離ポリペプチドは、配列番号9のそれぞれ位置116、124、136、142、148、175、198、204、212、213、289、295、298、及び/又は301と対応する位置にアミノ酸残基P、L、N、G、K、W、I、Y、R、I、V、L、F、及び/若しくはP(又はその保存的置換)を更に含む。挙げたこれらのアミノ酸残基のうちの少なくとも13個(又は少なくとも11個)が含まれるのが好ましい。
本開示による単離ポリペプチドは、配列番号9に従うポリペプチドの天然バリアント、例えば、同じ機能性を有する天然に存在するポリペプチド或いは同じ機能性を有する合成ポリペプチド、すなわち、免疫シグナル伝達をもたらすこと、並びに/又は腸内バリア機能に影響を及ぼすこと、並びに/又はグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性に影響を及ぼすことができるポリペプチドであってもよい。前記ポリペプチドは、Toll様レセプター2(TLR2)と結合することができる場合もある。
本明細書中で教示されるポリペプチドは、細胞からのポリペプチドの分泌を刺激するN末端シグナル配列が前に置かれてもよい。ある実施形態において、N末端シグナル配列は、Amuc-1100ポリペプチドの予測される天然に存在するN末端シグナル配列である配列番号3のアミノ酸配列を含むポリペプチドであってもよい。しかしながら、細胞からAmuc-1100が分泌されるのを可能にする他のN末端シグナル配列も利用できる。例えば、そのようなN末端シグナル配列は、細胞からAmuc-1100が分泌されるのを可能にする限り、Amuc-1100ポリペプチドの予測される天然に存在するN末端シグナル配列の切断型又は伸長型が利用されてもよい。或いは、天然に存在しないN末端シグナル配列が利用されてもよい。当業者は、本開示に使用するのに適したN末端シグナル配列を特定することができる。したがって、本開示のポリペプチドは、アミノ酸配列のN末端に配列番号3のアミノ酸配列を含んでもよい。
アミノ酸配列同一性は、当該技術分野において利用可能な任意の適した手段によって求めることができる。例えば、アミノ酸配列同一性は、上で定義されたとおりNeedleman及びWunschアルゴリズム並びにGAPデフォルトパラメータを使用してペアワイズアライメントによって求められてもよい。当然のことながら、ウエスタンブロット、免疫組織化学、ELISA、アミノ酸合成等の多くの方法が、本明細書中で教示されるポリペプチドのバリアントを特定、合成又は単離するために使用可能である。
当然のことながら、本明細書中で教示されるポリペプチドのいかなるバリアントも、本明細書中で教示されるポリペプチドと同じ機能を発揮し、且つ/又は同じ活性を有する。任意のバリアントの機能性又は活性は、当業者がこれらの目的に適していると考えるであろう当該技術分野において既知の任意の方法によって確認されてもよい。
ポリヌクレオチド
本開示はまた、本明細書中で教示されるポリペプチドをコードする核酸配列、例えば、配列番号29若しくは配列番号33に示されるとおりの核酸配列、又は配列番号29若しくは配列番号33と少なくとも60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の配列同一性を有する核酸配列を含む、核酸分子、例えば、単離、合成又は組み換え核酸分子も教示する。
「単離核酸分子」(例えば、cDNA、ゲノムDNA又はRNA)という用語は、天然に存在する核酸分子、人工核酸分子又は合成核酸分子を含む。核酸分子は、本明細書中で教示される任意のポリペプチドをコードしてもよい。前記核酸分子は、本明細書中で教示されるポリペプチドを産生するために使用されてもよい。遺伝子コードの縮重のため、さまざまな核酸分子が、同じポリペプチド(例えば、配列番号9のアミノ酸配列を含むポリペプチド)をコードする場合もある。
当然のことながら、核酸ハイブリダイゼーション、PCR技術、コンピュータによる分析及び核酸合成等の多くの方法が、本明細書中で教示されるポリヌクレオチドのバリアントを特定、合成又は単離するために使用可能である。
本明細書中で教示される核酸分子は、宿主細胞からの本明細書中で教示されるポリペプチドの分泌を刺激するのに適したN末端シグナル配列をコードする核酸分子を含んでもよい。核酸分子をコードする前記N末端シグナル配列は、配列番号4に記載される核酸配列を含んでもよい。
ある実施形態において、本明細書中で教示される核酸分子は、キメラ遺伝子に含まれてもよく、この場合、前記核酸分子は、プロモーターと作動可能に連結される。したがって、本開示はまた、本明細書中で教示される核酸分子を含むキメラ遺伝子にも関する。
当該技術分野において既知で、本明細書中で教示される核酸分子との結合に適した任意のプロモーターが使用されてもよい。適したプロモーターの非限定例としては、構成的な発現又は制御された発現、弱い発現及び強い発現等を可能にするプロモーターが挙げられる。キメラ遺伝子に本明細書中で教示される核酸分子を含めるために当該技術分野において既知の任意の方法が使用されてもよい。
本明細書中で教示される核酸分子を、いわゆる「構成型プロモーター」と作動可能に結合することが有利な場合もある。
或いは、本明細書中で教示されるポリヌクレオチド及びそのバリアントを、いわゆる「誘導型プロモーター」と作動可能に結合することが有利な場合もある。誘導型プロモーターは、(例えば、特定の化合物の外部からの適用により)生理学的に制御されるプロモーターであってもよい。
本明細書中で教示されるキメラ遺伝子は、「ベクター」又は「核酸コンストラクト」に含まれてもよい。したがって、本開示はまた、本明細書中で教示されるキメラ遺伝子又は本明細書中で教示される核酸分子を含むベクターにも関する。
ある態様において、本開示は、例えば、ゲノムに、本明細書中で教示される核酸分子、本明細書中で教示されるキメラ遺伝子又は本明細書中で教示されるベクターを含むよう遺伝子改変された宿主細胞に関する。
本明細書中で教示される遺伝子改変された宿主細胞は、宿主細胞の細胞質内で、又は任意の手段によって細胞から放出される本明細書中で教示されるポリペプチド及びそのバリアントをエクスビボ及び/又はインビトロにおいて産生するために使用されてもよい。本明細書中で教示されるポリペプチドは、特に、可溶性分子又は分泌分子として発現されてもよい。本明細書中で教示される遺伝子改変された宿主細胞は、トランスフォーメーション手順又は遺伝子操作手順に適した任意の宿主細胞であってもよい。適した宿主細胞の非限定例としては、任意の原核細胞又は真核細胞等の培養可能な細胞が挙げられる。ある実施形態において、本開示によるポリペプチドは、大腸菌(Escherichia coli)等の細菌において発現される。
ある実施形態において、本明細書中で教示される宿主細胞は、本明細書中で教示されるポリペプチド又はそのバリアントをもともと発現する任意の細胞であってもよい。そのような場合、宿主細胞は、本明細書中で教示されるポリペプチド又はそのバリアントを過剰発現することもある。
別の実施形態において、本明細書中で教示される宿主細胞は、本明細書中で教示されるポリペプチド又はそのバリアントをもともと発現しない任意の細胞であってもよい。
ある実施形態において、本明細書中で教示される宿主細胞は、種アッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラに属さない。
別の実施形態において、宿主細胞は、種アッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラに属してもよく、本明細書中で教示される核酸分子の付加的なコピーを含むよう、又は本明細書中で教示されるキメラ遺伝子若しくはベクターを含むよう遺伝子改変される。そのようなアッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラ細胞は、本明細書中で教示されるポリペプチド又はそのバリアントを過剰発現する場合もある。
本明細書中で教示される宿主細胞は、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して遺伝子改変されてもよい。例えば、本明細書中で教示される宿主細胞又は生物は、
a)本明細書中で教示されるポリペプチド及びそのバリアントをコードすることができる核酸配列等の、本明細書中で教示される核酸分子で宿主細胞をトランスフォームする工程と;
b)本明細書中で教示される核酸分子の発現及び/又は本明細書中で教示されるポリペプチド若しくはそのバリアントの産生を可能にするのに適した条件下で前記宿主細胞を培養する工程と;
c)任意に、本明細書中で教示される核酸分子を発現すること、及び/又は本明細書中で教示されるポリペプチド若しくはそのバリアントを産生することができる宿主細胞をスクリーニングする工程と
を含む方法によって遺伝子改変されてもよい。
ある実施形態において、本明細書中で教示される遺伝子改変された宿主細胞は、哺乳動物の腸粘膜バリアの周辺又はその内部にもともと生じるか、又は生息している細菌種に属していてもよい。前記細菌種は、「腸粘膜関連細菌種」と呼ばれることも多い。「腸粘膜関連細菌種」の非限定例としては、アッカーマンシア・ムシニフィラ(ATTC BAA-835)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)(A2-165)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)(ATCC 53103)及びビフィドバクテリウム・ブレーべ(Bifidobacterium breve)(DSM-20213)が挙げられる。
特定の実施形態において、本明細書中で教示されるポリヌクレオチド及びそのバリアントのいずれかを有する腸粘膜関連細菌を、例えば、直接哺乳動物(例えば、ヒト)の腸粘膜バリアの周辺又はその内部に、本明細書中で教示されるポリヌクレオチドを発現若しくは過剰発現するよう、又は本明細書中で教示されるポリペプチドを産生若しくは過剰産生するよう遺伝子改変することが有利な場合もある。好適な実施形態において、腸粘膜関連細菌は、種アッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラの任意の細菌であってもよい。そのような過剰産生は、CRISPR/cas様系に基づくツールを使用することによる等、組み換えDNA技術、ゲノム編集を含む遺伝子改変ツールによって、又は古典的な変異選択系によって実現されてもよい。
ある実施形態において、遺伝子改変された宿主細胞は、特に哺乳動物の腸粘膜バリアの周辺又はその内部にもともと生じるか、又は生息している細菌種ではない、任意の細菌であってもよい。そのような細菌の非限定例としては、任意の有益な単離腸細菌株、例えば、プロバイオティック細菌が挙げられ、特に、属ラクトコッカス(Lactococcus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、又はビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)から選択される菌株が使用されてもよい。更に、ヒトの腸管に生じることが知られている属に属する細菌等の偏性嫌気性腸細菌が使用されてもよい(Rajilic-Stojanovic及びde Vos、The first 1000 cultured species of the human gastrointestinal microbiota、FEMS Microbiol Rev. 38: 996~1047ページ)。
ポリペプチドを産生するための方法
別の態様において、本開示は、バリアントを含む、本明細書中で教示されるポリペプチドを産生するための方法であって、
(a)本明細書中で教示されるポリペプチド若しくはそのバリアントの産生を可能にする条件下で本明細書中で教示される宿主細胞を培養する工程と;
(b)任意に、工程(a)で産生されたポリペプチドを単離する工程と
を含む方法に関する。
工程(a)において、本明細書中で教示される宿主細胞は、任意の既知の培養方法に従い、任意の既知の培養培地において培養されてもよい。当業者は、適切な宿主細胞を選択することができ、ポリペプチドの産生を可能にする適した条件を確立することができるであろう。
或いは、本ポリペプチドは、
(a)適した培養培地において種アッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラの細菌を培養する工程と;
(b)任意に、工程(a)で産生されたポリペプチドを単離する工程と
を含む方法によって産生されてもよい。
上の方法の工程(a)で産生されたポリペプチドは、当該技術分野において既知の任意の方法によって単離されてもよい。当業者は、そのような培養培地から産生されたポリペプチドを単離することができるであろう。
適した培養培地は、例えば、Derrienら(2004年、Int. J. Syst. Evol. Microbiol. 54: 1469~76ページ)によって教示されている。Derrienらは、A.ムシニフィラ菌株MucTを単離し、単独炭素及び窒素源としてブタ胃ムチンを含む基本嫌気性培地において増殖させたことを教示している。著者らはまた、A.ムシニフィラを富栄養培地、例えば、コロンビア培養液(CB)並びにブレインハートインフュージョン(BHI)培養液又はグルコース及び高濃度のカジトン及び酵母抽出物を含む基本培地において増殖させることができることも教示している。同様に、Lukovacら(2014年、mBio 01438-14)は、グルコース及びフコース、並びに多量のカジトンを含む基本培地におけるA.ムシニフィラの増殖について教示している。同様の方法を、アッカーマンシア・グリュカニピラに対して使用することができる。
組成物
別の態様において、本開示は、本明細書中で教示される任意のポリペプチドを含む組成物に関する。
更に別の態様において、本開示は、本明細書中で教示される宿主細胞を含む組成物に関する。宿主細胞は、約104から約1015コロニー形成単位(CFU)の範囲の量で存在してもよい。例えば、宿主細胞の有効量は、約105CFUから約1014CFU、好ましくは約106CFUから約1013CFU、好ましくは約107CFUから約1012CFU、より好ましくは約108CFUから約1012CFUの量であってもよい。宿主細胞は、生存可能であってもよく、又は死んでいてもよい。宿主細胞の有効性は、本明細書中で教示されるポリペプチドの存在と相関関係がある。
ある実施形態において、本明細書中で教示される組成物は、担体、例えば、生理学的に許容される担体又は薬学的に許容される担体又は消化的に許容される担体又は栄養的に許容される担体を更に含む。担体は、任意の不活性担体であってもよい。例えば、適した生理学的又は薬学的に許容される担体の非限定例としては、任意の周知の生理学的又は薬学的担体、緩衝剤、希釈剤、及び賦形剤が挙げられる。当然のことながら、適した生理学的若しくは薬学的担体又は消化的担体又は栄養的担体の選択は、本明細書中で教示される組成物の意図される投与様式(例えば、経口)及び組成物の意図される形態(例えば、飲料、ヨーグルト、粉末、カプセル等)によって決まることになる。当業者は、本明細書中で教示される組成物に適した、又は適合した、適切な担体、例えば、生理学的に許容される担体又は栄養的に許容される担体又は薬学的に許容される担体を選択する方法がわかる。
ある実施形態において、本明細書中で教示される組成物は、栄養的又は消化的組成物であってもよい。例えば、本明細書中で教示される組成物は、食物、食物用栄養補助剤、飼料、又は飼料用栄養補助剤、例えば、乳製品、例えば、ヨーグルト若しくはヨーグルトドリンク等の発酵乳製品であってもよい。この場合、組成物は、適した食物ベースであり得る、栄養的に許容される担体又は消化的に許容される担体を含んでもよい。
ある実施形態において、本明細書中で教示される組成物は、医薬組成物であってもよい。医薬組成物はまた、栄養補助剤(例えば、食物用栄養補助剤)として使用するためのものであってもよい。本明細書中で教示される医薬組成物は、本明細書中で教示されるポリペプチド及び/又は本明細書中で教示される宿主細胞に加えて、薬学的、栄養的若しくは消化的又は生理学的に許容される担体を含んでもよい。好ましい形態は、意図される投与様式及び(治療)用途によって決まることになる。担体は、本明細書中で教示されるポリペプチド及び/又は本明細書中で教示される宿主細胞を、哺乳動物(例えば、ヒト)の胃腸管、好ましくは、哺乳動物の腸粘膜バリア(より好ましくは、結腸粘膜バリア)の周辺又はその内部に送達するのに適している任意の適合した生理学的に許容される無毒性物質であってもよい。例えば、滅菌水、又は不活性固体が担体として使用されてもよく、通常、薬学的に許容される補助剤、緩衝剤、分散剤等が補足される。
本明細書中で教示される組成物は、液体形態、例えば、本明細書中で教示されるポリペプチド若しくは本明細書中で教示される宿主細胞の安定化懸濁液、又は固体形態、例えば、凍結乾燥した本明細書中で教示される宿主細胞の粉末であってもよい。本明細書中で教示される宿主細胞が凍結乾燥される場合、ラクトース、トレハロース又はグリコーゲン等の凍結保護物質が利用されてもよい。経口投与に関して、本明細書中で教示されるポリペプチド又は凍結乾燥した本明細書中で教示される宿主細胞は、カプセル、錠剤、及び散剤等の固体剤形で、又はエリキシル剤、シロップ、及び懸濁液等の液体剤形で投与されてもよい。本明細書中で教示されるポリペプチド又は本明細書中で教示される宿主細胞は、ゼラチンカプセル等のカプセル中に不活性成分及び粉末担体、例えば、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロース又はセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、タルク、炭酸マグネシウム等とともにカプセル化されてもよい。
ある実施形態において、本明細書中で教示される組成物は、保存の間及び/又は胆汁への曝露の間及び/又は哺乳動物(例えば、ヒト)の胃腸管の通過の間に生存期間及び/又は生存性を促進するのに適した、且つ/或いは本明細書中で教示されるポリペプチド及び/又は本明細書中で教示される宿主細胞の完全性を維持するのに適した1つ以上の成分を含んでもよい。そのような成分の非限定例としては、胃の通過を可能にする腸溶コーティング、及び制御放出薬剤が挙げられる。当業者は、(ポリペプチドであろうと宿主細胞であろうと)確実に活性成分が作用を発揮する意図される送達先を受け入れるのに適した成分を選択する方法がわかる。
ある実施形態において、本明細書中で教示される組成物は、粘膜結合薬剤(mucosal binding agent)又は粘膜結合ポリペプチドを更に含んでもよい。「粘膜結合薬剤」又は「粘膜結合ポリペプチド」という用語は、本明細書中で使用される場合、組成物を哺乳動物(例えば、ヒト)の腸粘膜バリアの腸粘膜表面に付着させることができる薬剤又はポリペプチドを指す。
或いは、本明細書中で教示されるポリペプチド或いはそれを産生する細胞を付着させるため、又は生きている、若しくは死んでいる非産生細胞でも付着させるための特異的結合系(specific docking system)が使用されてもよい。結合は最も効率的と思われるならC又はN末端のいずれにおいてであってもよく、一方でスペーサーペプチドの使用も示されてきた。例としては、LysMベースのペプチドグリカン結合系の使用が挙げられる(Visweswaran GRら、2014年、Appl Microbiol Biotechnol. 98:4331~45ページ)。更に、さまざまな粘膜結合ポリペプチドが、当該技術分野において開示されてきた。粘膜結合ポリペプチドの非限定例としては、コレラ毒素のBサブユニット、大腸菌易熱性エンテロトキシンのBサブユニット、百日咳菌(Bordetella pertussis)毒素サブユニットS2、S3、S4及び/又はS5、ジフテリア毒素のBフラグメント並びに志賀毒素又は志賀様毒素の膜結合サブユニット等を含む、細菌毒素膜結合サブユニットが挙げられる。他の適した粘膜結合ポリペプチドとしては、大腸菌線毛(K88、K99、987P、F41、FAIL、CFAIII ICES1、CS2及び/又はCS3、CFAIIV ICS4、CS5及び/又はCS6)、P線毛等を含む細菌の線毛タンパク質が挙げられる。線毛の他の非限定例としては、百日咳菌繊維状赤血球凝集素、コレラ菌(Vibrio cholerae)毒素共発現線毛(toxin-coregulate pilus)(TCP)、マンノース感受性赤血球凝集素(MSHA)、フコース感受性赤血球凝集素(PSHA)等が挙げられる。更に別の粘膜結合薬剤としては、インフルエンザ及びセンダイウイルス赤血球凝集素を含むウイルス接着タンパク質並びに免疫グロブリン分子若しくはそのフラグメントを含む動物レクチン又はレクチン様分子、カルシウム依存性(C型)レクチン、セレクチン、コレクチン又はリンゴマイマイ赤血球凝集素が挙げられ、粘膜結合サブユニットを有する植物レクチンとしては、コンカナバリンA、小麦胚芽凝集素、フィトヘマグルチニン、アブリン、リシン等が挙げられる。この送達の利点は、生きた組み換え生物の使用を不要にすることである。
必須ではないが、本明細書中で教示されるポリペプチド又は本明細書中で教示される宿主細胞を腸粘膜バリアに向けるように、1つ以上の粘膜結合薬剤又は粘膜結合ポリペプチドを本明細書中で教示される組成物に添加することが有利な場合もある。
本明細書中で教示される組成物は、プレバイオティクス、プロバイオティクス、炭水化物、ポリペプチド、脂質、ビタミン、ミネラル、医薬用薬剤、保存料、抗生剤、又はそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される成分を更に含んでもよい。
一実施形態において、本明細書中で教示される組成物は、本明細書中で教示される組成物の栄養価及び/又は治療価値を更に向上させる、1つ以上の成分を更に含んでもよい。例えば、タンパク質、アミノ酸、酵素、無機塩、ビタミン(例えば、チアミンHCl、リボフラビン、ピリドキシンHCl、ナイアシン、イノシトール、塩化コリン、パントテン酸カルシウム、ビオチン、葉酸、アスコルビン酸、ビタミンB12、p-アミノ安息香酸、ビタミンAアセタート、ビタミンK、ビタミンD、ビタミンE等)、糖及び複合糖質(例えば、水溶性及び不水溶性単糖、二糖、及び多糖)、医薬化合物(例えば、抗生剤)、酸化防止剤、微量元素成分(例えば、コバルト、銅、マンガン、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、クロム、モリブデン、ヨウ素、塩素、ケイ素、バナジウム、セレン、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウム等の化合物)から選択される1つ以上の成分(例えば、栄養成分、動物用又は医薬用薬剤等)を添加することが有利な場合もある。当業者は、本明細書中で教示される組成物の栄養価及び/又は治療価値/薬理効果を向上させるのに適した方法及び成分に精通している。
ある実施形態において、宿主細胞は、凍結乾燥形態、又はマイクロカプセル化形態(例えば、Solankiら、BioMed Res. Int. 2013年、Article ID 620719によって調査された)、或いは宿主細胞(例えば、細菌株)の活性及び/又は生存性を保護する任意の他の形態で組み込まれてもよい。
処置の方法
別の態様において、本開示は、哺乳動物において肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠損若しくはインスリン耐性関連障害、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏腸症候群(IBS)、耐糖能障害、異常な脂質代謝、アテローム動脈硬化症、高血圧、心臓病の病状、卒中、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、高血糖、脂肪肝、脂質代謝異常、肥満(体重増加)と関連した免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、うつ病、損なわれたバリア機能と関連した他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、上昇したトリグリセリド、アテローム動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、がん、及び腸粘膜バリアの物理的完全性を変える状態、例えば、食物アレルギー、例えば、乳児が未熟で生まれたことによる、腸の未発達さ、放射線、化学療法及び/又は毒素への曝露、自己免疫性障害、栄養不良、敗血症等の群から選択される障害又は状態を処置及び/又は予防するための方法;哺乳動物の体重減少を促進するための方法;哺乳動物の腸における抗炎症活性を促進するための方法;哺乳動物において腸粘膜免疫系機能を促進するための方法;グルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性を維持する、取り戻す、且つ/又は改善するための方法;並びに哺乳動物において粘膜腸バリアの物理的完全性を維持する、取り戻す、且つ/又は高めるための方法に関する。本方法は、有効量の本明細書中で教示されるポリペプチド、本明細書中で教示される宿主細胞又は本明細書中で教示される組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む。
一実施形態において、本明細書中で教示されるポリペプチド、本明細書中で教示される宿主細胞又は本明細書中で教示される組成物は、任意の既知の投与方法によって投与されてもよい。例えば、本明細書中で教示される組成物は、経口、静脈内、局所、経腸又は非経口投与されてもよい。当然のことながら、投与の様式又は経路は、目下の症例(例えば、対象の年齢、効果の所望の場所、疾患状態等)並びに組成物の意図される形態(例えば、丸薬、液体、粉末等)によって決まることになる。
好適な実施形態において、本明細書中で教示されるポリペプチド、本明細書中で教示される宿主細胞又は本明細書中で教示される組成物は経口投与される。
使用
別の態様において、本開示は、本明細書中で教示されるポリペプチドを産生するため、且つ/又は本明細書中で教示される宿主細胞を形成するための、本明細書中で教示される核酸分子、本明細書中で教示されるキメラ遺伝子及び/又は本明細書中で教示されるベクターの使用に関する。本明細書中で教示されるポリペプチド及び/又は本明細書中で教示される宿主細胞は、本明細書中で教示されるポリヌクレオチド、キメラ遺伝子又はベクターで遺伝子改変されていない宿主細胞(例えば、細菌)と比較して、細胞上のTLR2レセプターと相互作用する向上した能力を有する場合があり、且つ/又は細胞においてTLR2シグナル伝達経路を刺激する向上した能力を有する場合があり、且つ/又は細胞からのサイトカイン、特に、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10及びTNF-αの産生を刺激する向上した能力を有する場合があり、且つ/又は哺乳動物、例えば、ヒトの細胞のTERを高める向上した能力を有する場合がある。
別の態様において、本開示は、医薬としての使用のための;特に、腸粘膜免疫系機能を促進することに使用するための、又は哺乳動物において腸粘膜バリアの物理的完全性を維持する、取り戻す、且つ/又は高めるための;哺乳動物においてグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性を維持する、取り戻す、且つ/又は改善するための;哺乳動物において、肥満、例えば、食事性肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠損若しくはインスリン耐性関連障害、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏腸症候群(IBS)、耐糖能障害、異常な脂質代謝、アテローム動脈硬化症、高血圧、心臓病の病状、卒中、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、高血糖、脂肪肝、脂質代謝異常、肥満(体重増加)と関連した免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、うつ病、損なわれたバリア機能と関連した他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、上昇したトリグリセリド、アテローム動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、がん、並びに腸粘膜バリアの物理的完全性を変える状態、例えば、食物アレルギー、例えば、乳児が未熟で生まれたことによる、腸の未発達さ、放射線、化学療法及び/若しくは毒素への曝露、自己免疫性障害、栄養不良、敗血症等からなる群から選択される障害又は状態を予防及び/又は処置することに使用するための;哺乳動物の腸における抗炎症活性を促進することに使用するための;或いは哺乳動物の体重減少を促進することに使用するための本明細書中で教示されるポリペプチド、本明細書中で教示される宿主細胞又は本明細書中で教示される組成物に関する。
ある実施形態において、哺乳動物、例えば、ヒトは、いかなる年齢群(例えば、乳幼児、成人、高齢者)及びいかなる性別(男性及び女性)であってもよい。ある実施形態において、哺乳動物は、乳幼児(例えば、新生児、乳児、幼児等)、特に未熟で生まれた乳幼児であってもよい。
哺乳動物は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ等であってもよい。好適な実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
本開示の単離ポリペプチドはまた、代わりに
a)(全長にわたり)配列番号5と少なくとも25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性を有する;
b)以下のセットのアミノ酸残基のうちの少なくとも1、2、3、4、5、6、又は7個を含む
i.配列番号5のそれぞれ位置6、7、13、22、25、及び/又は30と対応する位置にR、S、I、S、A、及び/若しくはP(又はその保存的置換);
ii.配列番号5のそれぞれ位置88、89、91、93、及び/又は96と対応する位置にC、K、K、I、及び/若しくはT(又はその保存的置換);
iii.配列番号5のそれぞれ位置101、102、103、及び/又は104と対応する位置にW、L、G、及び/若しくはF(又はその保存的置換);
iv.配列番号5のそれぞれ位置122、及び/又は123と対応する位置にF及び/若しくはE(又はその保存的置換);
v.配列番号5のそれぞれ位置145、146、及び/又は147と対応する位置にV、Y、及び/若しくはR(又はその保存的置換);
vi.配列番号5のそれぞれ位置174、176、177、179、180、183、185、及び/又は186と対応する位置にP、E、I、F、Q、R、S、及び/若しくはV(又はその保存的置換);
vii.配列番号5のそれぞれ位置215、217、221、222、223、226、234、239、241、243、245、150、153、257、261、及び/又は263と対応する位置にP、P、P、A、A、P、G、T、A、E、A、P、Q、K、G、及び/若しくはE(又はその保存的置換)、
ことを特徴とする場合もある。
上で定義されたポリペプチドは、免疫シグナル伝達をもたらすことができ、且つ/又は腸内バリア機能に影響を及ぼすことができ、且つ/又はグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性に影響を及ぼすことができる。好ましくは、前記単離ポリペプチドは、配列番号1又は配列番号1と50、60、70、80、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99超若しくは100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含まない。本ポリペプチドは、Toll様レセプター2(TLR2)と結合することができる場合もある。
ある実施形態において、上で定義されたポリペプチドは、好ましくは、担体、例えば、生理学的に許容される担体又は薬学的に許容される担体又は消化的に許容される担体又は栄養的に許容される担体を更に含む、組成物に含まれる。担体は、任意の不活性担体であってもよい。例えば、適した生理学的又は薬学的に許容される担体の非限定例としては、任意の周知の生理学的又は薬学的担体、緩衝剤、希釈剤、及び賦形剤が挙げられる。
a)以下に記載されているとおり、本ポリペプチドはまた、配列番号5のアミノ酸配列のバリアントも含む場合があり、前記バリアントのアミノ酸配列は、配列番号5のアミノ酸配列と25%超の配列同一性を有する。本ポリペプチドのバリアントはまた、1つ以上のアミノ酸置換、欠失又は挿入によって、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドから誘導されたポリペプチドも含む。好ましくは、そのようなポリペプチドは、配列番号5のアミノ酸配列を有するポリペプチドと比較して、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上、最大約100、90、80、70、60、50、45、40、35、30、25、20、15個のアミノ酸置換、欠失又は挿入を含む。記述のとおり、ポリペプチドは、例えば、全長にわたり、配列番号5と少なくとも25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性、例えば、配列番号5と少なくとも50%の配列同一性を有してもよい。本開示によるポリペプチドは、リーダー配列を含んでも、又は含まなくてもよい。
ある実施形態において、本開示によるポリペプチドは、
- i)以下に定義されるとおりの少なくとも5個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- ii)以下に定義されるとおりの少なくとも4個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- iii)以下に定義されるとおりの少なくとも3個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- iv)以下に定義されるとおりの少なくとも1個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- v)以下に定義されるとおりの少なくとも2個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);
- vi)以下に定義されるとおりの少なくとも7個のアミノ酸残基(又はその保存的置換);及び/又は
- vii)以下に定義されるとおりの少なくとも15個(又は少なくとも12個)のアミノ酸残基(又はその保存的置換)
を含む。
代わりに又は同時に、本明細書中で教示されるポリペプチドは、特に、上で定義されたとおりの以下のセットのアミノ酸残基を含んでもよい
- i);
- i)及びvii);
- i)、ii)、vi)及びvii);
- i)、iii)、iv)、及びvii);
- i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)。
代わりに又は同時に、本明細書中で教示されるポリペプチドは、例えば、全長にわたり、配列番号5と少なくとも75%の配列同一性を有してもよい。
好適な実施形態において、本開示による単離ポリペプチドは、配列番号5のそれぞれ位置34、35、41、43、(46、)67、74、77、及び/又は84と対応する位置にアミノ酸残基S、N、E、N、(A、)P、Q、L、及び/若しくはL(又はその保存的置換)を更に含む。挙げたこれらのアミノ酸残基のうちの少なくとも8個が含まれるのが好ましい。
更に別の好適な実施形態において、本開示による単離ポリペプチドは、配列番号5のそれぞれ位置112、120、132、138、144、170、193、199、207、208、297、273、276、及び/又は279と対応する位置にアミノ酸残基P、L、N、G、K、W、I、Y、R、I、V、L、F、及び/若しくはP、(又はその保存的置換)を更に含む。挙げたこれらのアミノ酸残基のうちの少なくとも13個(又は少なくとも11個)が含まれるのが好ましい。
本開示による単離ポリペプチドは、配列番号5に従うポリペプチドの天然バリアント、例えば、同じ機能性を有する天然に存在するポリペプチド或いは同じ機能性を有する合成ポリペプチド、すなわち、免疫シグナル伝達をもたらすこと、並びに/又は腸内バリア機能に影響を及ぼすこと、並びに/又はグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性に影響を及ぼすことができるポリペプチドであってもよい。前記ポリペプチドは、Toll様レセプター2(TLR2)と結合することができる場合もある。
本開示による単離ポリペプチドは、
- (全長にわたり)配列番号5と少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性を有する単離ポリペプチド;
- (全長にわたり)配列番号6と少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性を有する単離ポリペプチド;
- (全長にわたり)配列番号7と少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性を有する単離ポリペプチド;
- (全長にわたり)配列番号8と少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性を有する単離ポリペプチド;及び
- (全長にわたり)配列番号9と少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100%の配列同一性を有する単離ポリペプチド
から選択されてもよく、
好ましくは、本明細書中で教示されるとおりの(セット)の(保存)アミノ酸残基を含む。
一般的定義
本開示の文脈において、「ポリペプチド」という用語は、「タンパク質」という用語と同等である。ポリペプチドは、特定のアミノ酸配列を有する。本開示のポリペプチドの「バリアント」は、好ましくは、参照ポリペプチドと少なくとも25%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。本開示のポリペプチドは、もはやその自然環境にない場合、すなわち、もはや線毛と関連して存在しない場合、且つ/又はもはやアッカーマンシア・ムシニフィラ若しくはアッカーマンシア・グリュカニピラ細胞等の細胞と関連して存在しない場合に単離されている。リーダー配列は、プロモーターとコード領域の間の(コードされた)領域であり、発現の制御に関与する。リーダー配列(又はその一部)は、リーダーペプチドに翻訳され得るが、シグナルペプチドとは対照的に、リーダーペプチドは、構造タンパク質の一部にはならない。
「保存された置換」という用語は、本明細書中で使用される場合、機能性の実質的な低下を伴わないポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸の置換を指す場合もある。ポリペプチドの活性の喪失を伴わずに特定のアミノ酸を別のアミノ酸で置換することができることは通常の一般知識である。例えば、以下のアミノ酸は、一般に互いに交換できる。
Ala、Ser、Thr、Gly(小さな脂肪族の非極性又はやや極性の残基)
Asp、Asn、Glu、Gln(極性で負の電荷をもつ残基及びそれらのアミド)
His、Arg、Lys(極性で正の電荷をもつ残基)
Met、Leu、Ile、Val(Cys)(大きな脂肪族の非極性残基)
Phe、Ty、Trp(大きな芳香族残基)
(例えば、Schulz、G. E.ら、Principles of Protein Structure、Springer- Verlag、New York、1979年、及びCreighton、T.E、Proteins: Structure and Molecular Principles、W.H. Freeman & Co、San Francisco、1984年を参照)
好ましい「置換」は、保存的な置換であり、すなわち、残基が同じ一般タイプの別の残基で置き換えられる。変更する際、アミノ酸の疎水性親水性指標(hydropathic index)が考慮されてもよい(例えば、Kyteら、J. Mol. Biol. 157、105~132ページ(1982年)を参照)。特定のアミノ酸が、同様の疎水性親水性指標又はスコアを有する他のアミノ酸で置換され、依然として同様の生物学的活性を有するポリペプチドをもたらすことが可能なことは当該技術分野において知られている。そのような変更をする際、疎水性親水性指標が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置換が更に好ましく、±0.5のアミノ酸の置換が更に一層好ましい。同様に、選択されたアミノ酸が、米国特許第4,554,101号に記載されるとおり、同様の親水性を有する他のアミノ酸で置換されてもよい。そのような変更をする際、疎水性親水性指標と同様に、親水性指標が±2以内のアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のアミノ酸の置換が更に好ましく、±0.5以内のアミノ酸の置換が更に一層好ましい。
「配列同一性」又は「配列類似性」という用語は、本明細書中で使用される場合、アミノ酸又は核酸配列が別の参照アミノ酸又は核酸配列と配列同一性又は配列類似性を有する状況を指す。「配列同一性」又は「配列類似性」は、グローバル又はローカルアライメントアルゴリズムを使用した2つのポリペプチド又は2つのヌクレオチド配列のアライメントによって求めることができる。配列は、その結果、(例えば、デフォルトパラメータを使用したプログラムGAP又はBESTFITによって最適にアライメントされた場合)少なくともある最低限の割合の配列同一性(下で定義されるとおり)を共有する場合に、「実質的に同一」又は「基本的に類似」と言及されることもある。GAPは、Needleman及びWunschグローバルアライメントアルゴリズムを使用して、2つの配列を全長にわたり整列させ、マッチの数を最大にし、ギャップの数を最小にする。一般に、ギャップ挿入ペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)及びギャップ伸長ペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)で、GAPデフォルトパラメータが使用される。ヌクレオチドに対して使用されるデフォルトのスコア行列はnwsgapdnaであり、タンパク質に対するデフォルトのスコア行列はBlosum62である(Henikoff及びHenikoff、1992年、PNAS 89、915~919ページ)。配列同一性パーセンテージに対する配列アライメント及びスコアは、Accelrys Inc.、9685 Scranton Road、San Diego、CA 92121-3752 USAから入手可能なGCG Wisconsinパッケージ、バージョン10.3、又は(プログラム「needle」を使用した)EmbossWinバージョン2.10.0等のコンピュータプログラムを使用して求めることができる。或いは、類似性又は同一性パーセントは、FASTA、BLAST等のアルゴリズムを使用してデータベースをサーチすることによって求めることができる。好ましくは、配列同一性は、配列の全長にわたる配列同一性を指す。
(TERと略記する)「上皮膜抵抗」は、インビトロにおける上皮細胞層の透過性の尺度である。上皮透過性の増加は、タイトジャンクションの弱化、及びTERの減少と関連づけられてきた。
「キメラ遺伝子」という用語は、本明細書中で使用される場合、任意の天然に存在しない遺伝子、すなわち、種において自然界では通常見られない遺伝子、特に、核酸配列の1つ以上の部分が自然界では互いに結合していない遺伝子を指す。例えば、プロモーターは、自然界では転写領域の一部若しくはすべてと、又は別の制御領域とは結合していない。「キメラ遺伝子」という用語は、異種のプロモーター又は転写制御配列が1つ以上のコード配列、及び任意に3'-非翻訳領域(3'-UTR)と作動可能に連結された発現コンストラクトを含むことが理解される。或いは、キメラ遺伝子は、同じ種由来であるが、その組み合わせでは天然に存在しないプロモーター、コード配列及び任意に3'-UTRを含んでもよい。
「遺伝子改変された宿主細胞」という用語は、本明細書中で使用される場合、例えば、外来性核酸配列の導入によって、又は内在性遺伝子配列の特定の変更によって遺伝子改変された細胞を指す。そのような細胞は、内在性遺伝子における、例えば、1つ以上の変異、挿入及び/又は欠失の導入並びに/或いは遺伝子コンストラクト(例えば、ベクター、若しくはキメラ遺伝子)のゲノムへの挿入によって遺伝子改変されていてもよい。遺伝子改変された宿主細胞は、単離された細胞又は培養物中の細胞を指す場合もある。遺伝子改変された細胞は、細胞が、例えば、改変されたウイルスに感染した「形質導入された細胞」であってもよく、例えば、レトロウイルスが使用されてもよいが、レンチウイルス等の他の適したウイルスも考えられる。トランスフェクション等の非ウイルス方法も使用することができる。したがって、遺伝子改変された宿主細胞は、「安定してトランスフェクトされた細胞」又は「一過性にトランスフェクトされた細胞」であってもよい。トランスフェクションは、遺伝子が発現されるように、DNA(又はRNA)を細胞に導入する非ウイルス方法を指す。核酸のリン酸カルシウムトランスフェクション、PEGトランスフェクション、及びリポソーム又はリポプレックストランスフェクション等のトランスフェクション方法が当該技術分野において広く知られている。そのようなトランスフェクションは、一時的であってもよいが、安定したトランスフェクションであってもよく、遺伝子コンストラクトをゲノムに組み込んだ細胞が選択されてもよい。
「有効量」という用語は、本明細書中で使用される場合、本明細書中で教示される効果を実現するのに必要な量を指す。例えば、本明細書中で教示されるポリペプチド又は遺伝子操作された宿主細胞の有効量は、腸粘膜免疫系機能を調節する、且つ/又は促進するため、並びに/或いは腸粘膜バリアの物理的完全性を維持する、且つ/又は取り戻す、且つ/又は高める(例えば、腸上皮細胞間のより狭いタイトジャンクションの形成を促進する)ため、並びに/或いは免疫細胞においてトール様レセプターシグナル伝達経路(すなわちTLR2経路)を調節する、且つ/又は刺激するため、並びに/或いは免疫細胞においてサイトカイン(例えば、IL-6、IL-8、及びIL-10)産生を高めるため、並びに/或いは肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠損若しくはインスリン耐性関連障害、2型糖尿病、1型糖尿病、炎症性腸疾患(IBD)、過敏腸症候群(IBS)、耐糖能障害、異常な脂質代謝、アテローム動脈硬化症、高血圧、心臓病の病状、卒中、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、高血糖、脂肪肝、脂質代謝異常、肥満(体重増加)と関連した免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、うつ病、損なわれたバリア機能と関連した他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、上昇したトリグリセリド、アテローム動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、がん、並びに腸粘膜バリアの物理的完全性を変える状態、例えば、食物アレルギー、例えば、乳児が未熟で生まれたことによる、腸の未発達さ、放射線、化学療法及び/若しくは毒素への曝露、自己免疫性障害、栄養不良、敗血症等の障害又は状態を予防及び/又は処置するために効果的に有効な量である。
「生理学的に許容される担体」又は「消化的に許容される担体」、「栄養的に許容される担体」又は「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書中で使用される場合、本開示のポリペプチド若しくは宿主細胞の投与形態を提供する際に関与する液体若しくは固体増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒若しくはカプセル化材料等の、生理学的に許容される、又は消化的に許容される担体或いは栄養的に許容される又は薬学的に許容される担体材料を指す。各担体は、組成物の他の成分と適合し、対象に対して有害でないという意味で「許容され」なければならず、すなわち、摂取に適しているか、又は栄養的に許容される。「摂取に適している」又は「栄養的に許容される」という用語は、一般にヒト(及びその他の哺乳動物)の摂取に対して安全であるとみなされる成分又は物質を指す。生理学的に許容される担体又は栄養的に許容される若しくは薬学的に許容される担体として働くことができる材料の非限定例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコース及びスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;(3)セルロース、及びその誘導体、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセタート;(4)粉末トラガント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えば、カカオバター及び座剤ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール;(12)エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;(21)医薬製剤に利用されるその他の無毒の適合した物質等が挙げられる。更に、「栄養的に許容される」及び「薬学的に許容される」という用語は、本明細書中で使用される場合、適切な医学的判断の範囲内で、ヒト及び動物の組織と接触する使用に適しており、過度な毒性、刺激症状、アレルギー反応、又はその他の問題若しくは合併症を伴わず、妥当なベネフィット/リスク比に見あった組成物又は薬剤、材料、若しくは組成物の組み合わせ、及び/或いはそれらの剤形を指す。
「恒常性」という用語は、内部状態が安定し、比較的一定なままであるように、変化するものが調節される系の性質を指す。すべての動物が血中グルコース濃度を調節する。体内のグルコース調節は、体を「グルコース恒常性」に維持するプロセスである。哺乳動物は、さまざまなホルモン(例えば、インスリン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド1、カテコールアミン及び多くのその他のもの)、及びさまざまな神経経路(例えば、神経リレー(nervous relay)、腸→脳→末梢臓器軸(peripheral organ axis))により血中グルコースを調節する。人体は、24時間の絶食後でも、ほぼ終日グルコースレベルを一定に維持する。長期間の絶食間でも、グルコースレベルは、非常にわずかにしか低下しない。膵臓のベータ細胞によって分泌されるインスリンは、細胞自体の使用のために更に多くのグルコースを保持するよう細胞に指示することによってグルコースを体の細胞に効果的に輸送する。細胞内のグルコースが多い場合、細胞は、グルコースを不溶性グリコーゲンに変換して、可溶性グルコースが細胞の代謝を妨げるのを防ぐ。最終的に、これが血中グルコースレベルを低下させ、インスリンが高血糖を防ぐのを助ける。インスリンが不足するか、又は細胞がインスリン耐性になると、糖尿病になる。膵臓のアルファ細胞によって分泌されるグルカゴンは、細胞が、貯蔵されたグリコーゲンを分解するか、又は糖新生により非炭水化物炭素源をグルコースに変換するのを促進し、それにより低血糖を防ぐ。多数の他の因子及びホルモン(例えば、グルカゴン様ペプチド1、カテコールアミン及び多くのその他のもの)がグルコース代謝の制御に関与する。神経経路を含むさまざまなメカニズムも、この複雑な調節に寄与している。
「コレステロール恒常性」は、生きた生物内におけるバランスのとれたコレステロールの内部状態を維持するプロセスに寄与するメカニズムである。人体の系において必須の生体分子であるコレステロールは、胆汁酸、ビタミンD、及びステロイドホルモンの産生のための前駆体として働く等さまざまな生理機能を果たす。これは、体内に存在するすべての細胞の細胞膜において重要な構造要素としても働く。コレステロールの有益で必須の機能にもかかわらず、コレステロール恒常性の不調は、心臓疾患のリスクの増加の原因並びにコレステロール代謝と関連する他の恒常性フィードバック系を狂わせる原因となることがある。コレステロール恒常性を制御する最も際立った臓器は肝臓であり、その理由は、肝臓が循環器系に放出されるコレステロールを生合成するだけでなく、血流の潜在的に有害な浮遊性のコレステロールを分解するからである。HDLは、コレステロール恒常性を維持するのに有益であり、その理由は、それらが、潜在的に危険なコレステロールを拾い上げ、消化器系によって使用される無害な胆汁酸にコレステロールが合成される肝臓に直接送り戻すからである。LDLは、あまり有利な影響を及ぼさない。その理由は、コレステロールを体細胞及び動脈壁に堆積させる傾向があるためである。過剰なレベルのLDLは、心血管疾患に対するリスクを高めることが示されてきた。健康な対象において、コレステロール恒常性は、複雑なフィードバックループによって厳密に調節されている。この場合、健康な対象が多量の食物由来コレステロールを食べても、肝臓における生合成が大幅に低減されて、バランスを維持する。長年にわたる不良な食習慣、又はその他の遺伝学的若しくは医学的状態のいずれかにより高いベースラインLDLレベルを有する健康な対象では、フィードバックループ及び体系的な対処メカニズム(systemic coping mechanism)が同じ多量の摂取によって損なわれて、危険な恒常性のアンバランスをもたらす場合もある。
「トリグリセリド恒常性」は、生きた生物内におけるバランスのとれたトリグリセリドの内部状態を維持するプロセスに寄与するメカニズムである。トリグリセリド代謝は、大きな臨床的関連性がある。高トリグリセリド血症(Hypertriglyceridemia)は、最も豊富な脂肪分子であるトリグリセリドの高い(高(hyper-))血液又は血清レベル(血液の状態(-emia))を意味する。上昇したレベルのトリグリセリドは、高コレステロール血症(高コレステロールレベル)でなくても、アテローム動脈硬化症と関連づけられ、心血管疾患にかかりやすくする。高トリグリセリドレベルは、急性膵炎のリスクも高める。その上、TGレベルの上昇及び増加は、時間とともに糖尿病を発症するリスクを増大させる。インスリン耐性が高レベルのトリグリセリド(TG)と関連することが示されてきた。
「約」という用語は、本明細書中で使用される場合、当該技術分野において通常の許容差の範囲、例えば、平均の2標準偏差以内を示す。「約」という用語は、示した値から最大10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%ずれた値を含むものと理解することができる。
「含むこと(comprising)」又は「含む(to comprise)」という用語及びその活用型は、本明細書中で使用される場合、前記用語が、その語に続く項目は含まれるが、具体的に言及されていない項目は除外されないことを意味する非限定的な意味で使用される状況を指す。これは、更に限定する動詞「基本的に~からなる(to consist essentially of)」及び「からなる(to consist of)」も包含する。
不定冠詞「a」又は「an」による要素に対する言及は、文脈が明らかに1つ及び1つのみの要素が存在することを必要としていない限り、2つ以上の要素が存在する可能性を除外しない。したがって、不定冠詞「a」又は「an」は、通常「少なくとも1つ」を意味する。
総体重増加(g, body weight gain)(n=8~10)を示すグラフである。 時間領域核磁気共鳴によって測定した総脂肪量増加(g, fat mass gain)(n=8~10)を示すグラフである。 1日の食物摂取量(Daily food intake)を示すグラフである。 血漿VLDL、LDL及びHDLコレステロールレベル(n=8~10, Plasma cholesterol)を示すグラフである。 血漿グルコース(mg dl-1, Plasma glucose)プロフィールを示すグラフである。 グルコース負荷後-30から120分の間に測定した平均曲線下面積(AUC, Area under curve)(mg.dl-1.分-1;n=8~10)を示すグラフである。 デンシトメトリーによって測定したローディングコントロールに対する対照とインスリン刺激p-IRβの比(n=3~5)を示すグラフである。 デンシトメトリーによって測定したローディングコントロールに対する対照とインスリン刺激p-Aktthr308の比を示すグラフである。 デンシトメトリーによって測定したローディングコントロールに対する対照とインスリン刺激p-Aktser473の比(n=3~5)を示すグラフである。 Amuc-1100の天然バリアント(配列番号1、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9)における保存残基を示す図である。上から下、左から右に見て、第1のボックスは、相互作用に役割を果たす可能性のある外側に向いた保存残基を示す。第2、第3及び第4のボックスは、構造的完全性に関与する可能性のある疎水性残基を示す。第5のボックスは、相互作用に役割を果たす可能性のある外側に向いた保存残基を示す。第6のボックスは、ループを示す。 Amuc-1100の配列(配列番号1)を示す図である。保存残基は円で囲み、欠失はグレーで示す。 発現プラスミドに使用されるバイシストロニックデザインを示す図である。RBS1によって駆動される短いペプチドの翻訳は、目的のタンパク質の翻訳を駆動するRBS2のアクセシビリティーを確保する。RBS2の直鎖化は、確実に5'UTRにおける潜在的な阻害性二次構造が排除されるようにし、翻訳効率を高める(Mutalikら、2013年;Nieuwkoopら、2019年)。 陽性対照(Pam3CSK4、1ug/ml)及び陰性対照(PBS及びDMEM)並びにTEV切断後に精製されたさまざまなAmuc_1100バリアント(すべて50ug/ml)のSEAP活性(AU単位)を示すグラフである。天然バリアント(の頭)のpTH00×IDは、それぞれのタンパク質を精製するために使用されたプラスミド名を指す。
配列番号1:Amuc-1100ポリペプチドのアミノ酸配列(保存残基に下線が引かれている)
配列番号2:Amuc-1100ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
配列番号3:Amuc-1100ポリペプチドの予測されるN末端シグナル配列のアミノ酸配列
配列番号4:Amuc-1100ポリペプチドの予測されるN末端シグナル配列のヌクレオチド配列
配列番号5:アッカーマンシア・ムシニフィラタンパク質WP_094137363.1のアミノ酸配列(pTH008、保存残基に下線が引かれている)
配列番号6:アッカーマンシア・ムシニフィラタンパク質WP_022398192.1のアミノ酸配列(pTH009、保存残基に下線が引かれている)
配列番号7:アッカーマンシア・ムシニフィラタンパク質WP_102725837.1のアミノ酸配列(pTH010、保存残基に下線が引かれている)
配列番号8:アッカーマンシア種KLE1797タンパク質WP_067981703.1のアミノ酸配列(pTH011、保存残基に下線が引かれている)
配列番号9:アッカーマンシア・グリュカニピラタンパク質WP_067777749.1のアミノ酸配列(pTH012、保存残基に下線が引かれている)
配列番号13
配列番号14
配列番号15
配列番号16
配列番号17
配列番号29(pTH008)
配列番号30(pTH009)
配列番号31(pTH010)
配列番号32(pTH011)
配列番号33(pTH012)
実施例1:Amuc-1100タンパク質を産生するよう遺伝子改変された細菌の形成。
方法:
成熟Amuc-1100をコードするポリヌクレオチド(配列番号2のヌクレオチド配列)をpET28誘導体の誘導型T7プロモーターの制御下においてC末端Hisタグとともに大腸菌TOP10にクローン化し、過剰産生のために大腸菌BL21(DE3)に導入した。このために、生じるポリペプチドがアミノ酸配列MIVNSから始まるよう、配列番号2のヌクレオチド配列にATG開始コドンを付加した。すべてのコンストラクトをSanger配列分析によって確認した。過剰発現されるAmuc-1100をもつコンストラクトは可溶性Amuc-1100タンパク質の過剰産生をもたらし、これをNi-カラムアフィニティークロマトグラフィーによって均一に見えるまで精製し、100~300ug/mlの濃度で使用した。精製したAmuc-1100を使用して、基本的に以前に示されたとおりウサギにおいて抗体を生成した(Reunanen Jら、2012年、Appl Environ Microbiol 78:2337~44ページ)。
結果:
この結果は、ポリヌクレオチド(配列番号2)により形質転換された大腸菌が、示されているとおり(Tailford LEら、2015年、Nat Commun. 6:7624ページ)にNi-カラムクロマトグラフィーを使用して容易に単離できる可溶型のAmuc-1100タンパク質を産生することができたことを示す。同様の結果がポリヌクレオチド配列番号29又は配列番号33でも得られた。
実施例2:TLR2シグナル伝達経路の相互作用及び刺激
方法:
TLR2及びその他のTLRレセプターと結合した後、TLR2及びその他のTLRシグナル伝達経路を刺激するAmuc-1100の能力を試験するために、TLR2及びTLR4レセプターを発現するレポーター細胞株を作製した。TLR2又はTLR4を発現する細胞株と結合した後、前記細胞においてTLR2及び/又はTLR4シグナル伝達経路を刺激するAmuc-1100の能力を、レポーター細胞からのNK-kBの産生を測定することによってインビトロで試験した。
簡単にいえば、hTLR2及びhTLR4細胞株(Invivogen社、CA、USA)を使用した。対応するリガンドによるレセプターの刺激はNF-κB及びAP-1を活性化し、これが、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(Secreted embryonic alkaline phosphatase)(SEAP)の産生を誘導し、そのレベルは、分光光度計(Spectramax)によって測定することができる。維持培地として4.5g/lのD-グルコース、50U/mlのペニシリン、50μg/mlのストレプトマイシン、100μg/mlのNormocin、2mMのL-グルタミン、及び10%(v/v)の加熱不活化ウシ胎仔血清(FBS)を加えたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)を使用して、すべての細胞株を増殖させ、最大70~80%の集密度まで継代培養した。各細胞株に対して、20μlのAmuc-1100の懸濁液を添加することによって免疫応答実験を行った。レポーター細胞を5%CO2インキュベーター内において37℃で20~24時間Amuc-1100とともにインキュベートした。陽性対照としてレセプターリガンドPam3CSK4(hTLR2に対して10ng/ml)及びLPS-EB(hTLR4に対して50ng/ml)を使用し、陰性対照としていかなる選択抗生剤も含まない維持培地を使用した。180μLのQUANTI-Blue(Invivogen社、CA、USA)を20μLの誘発されたhTLR2及びhTLR4上清に添加した15分、1時間、2時間、及び3時間後にOD600を測定することによってSEAP分泌を検出した。実験を3回行った。
結果:
この結果は、Amuc-1100がTLR2と相互作用することができたことを示す。更に、この結果は、Amuc-1100がTLR2を発現するレポーター細胞に対して免疫促進効果を発揮したこと、すなわち、Amuc-1100が、レポーター細胞からのNF-κBの放出を刺激することができたことを示す。配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、又は配列番号9のポリペプチドでも同様の結果が得られた。
実施例3.末梢血単核細胞からのサイトカイン放出の刺激。
方法:
末梢血単核細胞(PBMC)からのサイトカイン産生又は放出を刺激するAmuc-1100の能力をインビトロで試験した。簡単にいえば、3人の健康なドナーの末梢血をSanquin Blood Bank、Nijmegen、The Netherlandsから受け取った。製造業者(Amersham biosciences社、Uppsala、Sweden)の手順に従ってFicoll-Paque Plusグラジエント遠心分離を使用して健康なドナーの血液から末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。遠心分離後、単核細胞を回収し、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)+Glutamax(Invitrogen社、Breda、The Netherlands)中で洗浄し、ペニシリン(100U/ml)(Invitrogen社)、ストレプトマイシン(100μg/ml)(Invitrogen社)、及び10%加熱不活化FBS(Lonza社、Basel、Switzerland)を加えたIMDM+Glutamax中で0.5×106細胞/mlに調節した。PBMC(0.5×106細胞/ウェル)を48ウェル組織培養プレートに播いた。各ドナーに対して、陰性対照(培地のみ)を使用した。
生きている若しくは99℃で10分間加熱されたA.ムシニフィラ細胞(PBMCに対して1:10の比率)のいずれか又はAmuc-1100によりPBMCを1日刺激した後、複数の分析(ヒト炎症CBAキット、Becton and Dickinson社)を製造業者の手順に従って使用して培養上清中のサイトカインIL-6、IL-8、IL-10、TNF-α、IL-1β及びIL-12p70の産生をFACS CantoII(Becton Dickinson社)により測定し、BD FCAPソフトウェア(Becton Dickinson社)を使用して解析した。製造業者による検出限界は以下のとおりであった:3.6pg/ml IL-8、7.2pg/ml IL-1β、2.5pg/ml IL-6、3.3pg/ml IL-10、3.7pg/ml TNF-α、1.9pg/ml IL-12p70。
結果
この結果は、対照状態(培地のみ)と比較して、Amuc-1100がサイトカインの産生を刺激することができた、すなわち、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10及びTNF-αのレベルの増加が観察されたことを示している。4.5μg/mlのAmuc-1100によって誘導されたサイトカインのレベルは、生きた又は加熱により死んだ状態のいずれかの5×106細胞のA.ムシニフィラのものと同様のレベルであった(下記Table 1(表1)を参照)。
配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、又は配列番号9のポリペプチドでも同様の結果が得られた。
実施例4:上皮膜抵抗(TER)の調節
方法:
インビトロでCaco-2細胞のTERを刺激するか、又は高めるAmuc-1100の能力を測定することによって、腸上皮細胞層の完全性を促進するAmuc-1100の能力を評価した。簡単にいえば、Caco-2細胞(5×104細胞/インサート)をMillicell細胞培養インサート(3μm孔サイズ;Millipore社)に播き、8日間増殖させた。細菌細胞をRPMI1640で一度洗浄し、RPMI1640中に0.25のOD600nm(およそ108細胞)でインサートに適用した。精製したAmuc-1100を0.05、0.5及び5μg/mlの濃度でインサートに適用した。Amuc-1100添加の0時間及び24時間後の時点の細胞培養物からMillicell ERS-2 TER計測器(Millipore社)により上皮膜抵抗を測定した。
結果:
この結果は、Caco-2細胞との24時間の共培養後に、既に0.05μg/mlのAmuc-1100が、およそ108のA.ムシニフィラ細胞と同様のレベルでTERを著しく高めることができたことを示した。配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、又は配列番号9のポリペプチドでも同様の結果が得られた。
実施例5:食事性代謝機能不全の調節
Everardら(2013年、PNAS. Vol. 110(22):9066~9071ページ)によって以前に記載されたとおり10~11週齢のC57BL/6Jマウスのコホート(部分集団当たりn=10)に対照食(ND)又はHF食(HFD;60%脂肪及び20%炭水化物(kcal/100g)D12492i、Research Diet社、New Brunswick、NJ、USA)を与えた。Lukovacら(2014年、mBio 01438-14)によって示されるとおりの合成培地(1リットルの脱イオン化水当たり0.4gのKH2PO4、0.669gのNa2HPO4.2H2O、0.3gのNH4Cl、0.3gのNaCl、0.1gのMgCl2.6H2O、10gのカジトン、1mMのL-トレオニン、1mlの微量ミネラル溶液、5mMのL-フコース及び5mMのD-グルコースを含む)においてA.ムシニフィラMucTを増殖させ、Everardら、上記に示されるとおり濃縮し、25%グリセロールを含むPBS中に配合し、-80℃で保存した。HFDを与えたマウスの部分集団に毎日、経口強制投与によって無菌嫌気性PBS中に懸濁した2×108cfu/0.15mlのA.ムシニフィラを更に与え(HFD Akk)、これには、10倍希釈のA.ムシニフィラが含まれるため、2.5%グリセロールの最終濃度を得た。Everardら、上記によって以前に示されたとおり、ND及びHFD群を同等の体積の2.5%グリセロールを含む無菌嫌気性PBSの経口強制投与により毎日処置した。HFDを与えたマウスの別の部分集団には、2.5%グリセロールを含む同等の体積の無菌PBS中の3.1μgのタンパク質Amuc_1100の毎日の経口強制投与によって送達されるAmuc-1100ペプチドを更に与えた。HFDを与えたマウスのAmuc-1100による処置は、食物摂取量に影響を及ぼすことなく(図1C)、生きたA.ムシニフィラ菌と比較した場合に、同様又は更に一層の体重及び脂肪量増加の顕著な低減をもたらした(図1A及び図1B)。A.ムシニフィラ又はAmuc-1100による処置はまた、血清HDL-コレステロールの著しい低下及びLDL-コレステロールに関して同様の傾向を伴い、HFDにより誘発された高コレステロール血症を治した(図1D)。
注目すべきことに、Amuc-1100による処置は、HFDを与えた未処置のマウスと比較した場合に血清トリグリセリドの著しい低下をもたらした。更に、Amuc-1100処置はまた、HFDを与えたマウスの脂肪細胞の平均直径を38マイクロメートルから、未処置マウスで見られるのと同様の直径(27マイクロメートル)である29マイクロメートルに減少させた。
興味深いことに、Amuc-1100の投与は、生きた細菌と同じ効力で耐糖能障害を低減した(図1Eから図1F)。
グルコース代謝を更に調査するために、本発明者らは、門脈にインスリンを注射することによってインスリン感受性を調査した。本発明者らは、肝臓におけるインスリンレセプター(IR)及びその下流メディエーターAktのトレオニン(Aktthr)部位及びセリン(Aktser)部位におけるインスリン誘導リン酸化を分析した(図1G)。HFDの投与は、対照食を与えたマウスと比較した場合にすべてのタンパク質のリン酸化を低減させ、Aktthrの場合、有意に達した(図1H)。生きたA.ムシニフィラ又はAmuc-1100による処置は、これらの影響を打ち消し、HFDを与えた未処置のマウスと比較した場合に、Amuc-1100により処置したマウスではp-IR及びp-Aktthrのレベルが著しく高く(図1G~図1H)、生きた細菌により処置したマウスではp-Aktserのレベルが著しく高かった(図1I)。配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、又は配列番号9のポリペプチドでも同様の結果が得られた。
実施例6:Amuc-1100天然バリアント及び変異体の比較分析
目的及びアプローチ
この調査は、構造活性の観点からトール様レセプター2(TLR2)へのAmuc-1100のシグナル伝達能力を理解することを目的とする(Derrienら、2004年;Plovierら、2007年)。これは、アッカーマンシア・ムシニフィラAmucTの基準株のAmuc-1100タンパク質と比較して多様な配列同一性を有する天然バリアント、並びにAmuc-1100の欠損変異体のTLR2シグナル伝達能力を測定することによって取り組む。Amuc-1100並びに天然バリアント及び構造的バリアントの両方を含むすべてのタンパク質は、発現宿主である大腸菌のサイトゾルへの溶解性を確保するために、シグナルペプチド(ΔSP)配列を含むN末端膜アンカーを伴わずに発現させた。
天然バリアント
近縁A.ムシニフィラ菌株においてAmucTのAmuc_1100タンパク質と80%を超えるアミノ酸同一性を有する4つのタンパク質を特定した(pTH008、配列番号5、pTH009、配列番号6、pTH010、配列番号7、pTH011、配列番号8)。更に、28%の配列同一性しかないアッカーマンシア・グリュカニピラの更に遠いバリアントを特定した(pTH012、配列番号9)。
本発明者らは、これらの5つのタンパク質をAmuc_1100の天然バリアントと呼ぶ。Table 2(表2)及び図2は、調査した天然バリアントの保存残基を示す。
遺伝子合成及びクローニング
次に、本発明者らは、SignalP 5.0(Almagro Armenterosら、2019年)を使用して検出された予測されるシグナルペプチドを除外することによって天然バリアントのタンパク質配列に対するDNAコード配列をpTN0003に設計し、最終的にpTN0005を得た。このプラスミド(pTN0005)には、AmucTのAmuc-1100の正確なコード配列を使用した。それは、これが、以前に示されたとおり(Plovierら、2017年)大腸菌において顕著な過剰発現をもたらすことが示されたためである。
すべての発現コンストラクトの骨格として使用したpTN0003ベクターは、p15Aオリジン、カナマイシン耐性遺伝子、T7プロモーター、及びバイシストロニックデザインを含み、それに転写終結配列が続いた(Mutalikら、2013年;Nieuwkoopら、2019年)(概要に関しては図4を参照)。pTN0003発現プラスミド骨格中のエレメントの概要をTable 3(表3)に示す。
本発明者らは、5つの天然バリアント(pTH008、pTH009、pTH010、pTH011、pTH012)に関してタンパク質配列を逆翻訳し、(DNAChiselに基づく)Benchlingのコドン最適化ツール(Benchling、2018年)を使用して大腸菌での発現のためにDNAコード配列を最適化した。pTN0005のこれらの天然バリアント及びAmuc-1100配列に関するDNAをgBlocks(Integrated DNA technologies社;https://eu.idtdna.com/ DT)として注文した。続いて、DNAフラグメントをGibson AssemblyによりPCR増幅直鎖状pTN0003ベクターにクローン化した(Table 4(表4)のプライマー)。発現プラスミドに各バリアントに関して最終的に組み込まれるタンパク質コード配列をTable 5(表5)に示す。
すべての発現プラスミドをBL21(DE3)大腸菌コンピテントセル(New England Biolabs社)に形質転換した。クローニング後、発現コンストラクトの配列を検証した。
タンパク質発現及び精製
タンパク質発現
発現プラスミドを含む菌株を、カナマイシン(50ug/mL)を加えたLB培地において前培養した。カナマイシン(50ug/mL)を加えた1.5LのLB培地を入れたエルレンマイヤーフラスコ(5L)に10mLの前培養物を接種し、培養物が0.6~0.8のOD600に達するまで37℃、120rpmでインキュベートした。誘導に先立って、フラスコを氷の上に30分間置いた。0.4mMのIPTG(最終濃度)で誘導後、培養物を20℃及び120rpmで18時間更にインキュベートした。細胞を遠心分離によって回収し、ペレットを25mLの洗浄緩衝剤(50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、20mMのイミダゾール、pH8.0)で洗浄した。細胞ペレットを-80℃で保存した。
タンパク質精製
細胞ペレットをプロテアーゼ阻害剤の錠剤(Roche cOmplete(商標))を加えた25mLの洗浄緩衝剤中で解凍した。再懸濁させた細胞を超音波処理した(Bandelin社Sonopuls、VS 70/Tプローブ、25%強度、10分間の合計時間の間、1秒オン2秒オフ、氷上)。溶解細胞を遠心分離し(15分、30000×g、4℃)、濾過して(0.45μm)細胞片を除去した。
N末端のHisタグを利用して、Akta FPLCシステムを使用した5mLのHisTrap HPカラム(GE Healthcare社)においてタンパク質を更に精製した。タンパク質を50mMのNaH2PO4、300mMのNaCl、500mMのイミダゾール、pH8.0に溶出した。1:500比の洗浄緩衝剤に対する4℃における一晩の透析(14k MWCO)の間にHisタグを0.7mgのHisタグ付加TEVプロテアーゼを使用して切断した。TEVプロテアーゼをAmuc_1100タンパク質から除去するために、これらを2回目のHisTrapカラムに流した。このとき、目的のタンパク質を含む通過画分は回収されたが、Hisタグ付加TEVプロテアーゼはHisTrapカラムに結合して残った。
ヒトHEK-Blue hTLR2細胞株のインビトロ培養及び刺激
HEK-Blue hTLR2細胞(Invivogen社、CA、USA)を使用して、TLR2活性化をスクリーニングした。この細胞株では、TLR2の刺激並びにそれに続くNF-κB及びAP-1の活性化が、分光光度的に定量可能な分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)の産生を誘導する。
細胞株をGlutaMAX(商標)、4.5g/LのD-グルコース、100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、100μg/mLのnormocin、10%(v/v)の加熱不活化FBS及びHEK-Blue(商標)Selection(Invivogen社)を加えたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)の維持培地において増殖させ、最大70~80%の集密度まで継代培養した。細胞を25回継代まで最大限に維持した。平底96ウェルプレート中のHEK-Blue細胞をHEK-Blue(商標)Selectionを含まない維持培地に接種し、それを24時間後に20μLの目的のタンパク質(50ug/mLの濃度)の添加により刺激することによってTLR2活性化を3回試験した。96ウェルプレートを5%CO2インキュベーターにおいて37℃で20~24時間インキュベートした。レセプターリガンドPam3CSK4を陽性対照として使用し、PBS(目的のタンパク質の希釈試薬)を陰性対照として使用した。分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)活性は、180μLのQUANTI-Blue(Invivogen社)への20μLの誘導されたHEK-Blue hTLR2上清の添加の1時間後に600nmにおける吸光度を測定すること(Synergy(商標)Mx、BioTek Instruments、Inc.社、VT、USA)によって検出し、任意単位(AU)として表した。
結果及び結論
AmucTの精製Amuc-1100タンパク質並びに天然バリアントのTLR2を活性化する能力を上記のとおり測定した。その結果を図5に示す。
1ug/mlのPam3CSK4の陽性対照のTLR2細胞に対する活性は、およそ4.0AUに達したが、陰性対照PBS及びDMEMのものは1.0AUよりも低かった。AmucTのAmuc1100タンパク質(1100)は、およそ2.0AUのバックグラウンドを超えるTLR2細胞に対する顕著な活性を示した。
図5からわかるとおり、ここで試験した天然バリアントはすべて、TLR2レセプターを活性化することができる。驚くべきことに、Amuc-1100天然バリアントのTLR2活性化能力(図5)は、陽性対照のものよりも高く、およそ4.5AUに達した。
3Dモデル化の結果(データは示していない)は、それぞれの領域の欠失がTLR2レセプターと相互作用するタンパク質の能力を低下させる場合もあることを示した。これらの結果は、TLRシグナル伝達活性を改善する構造的特徴として二量体形成の重要性及びAmuc-1100の長い不規則ループの存在を指し示す。
したがって、特定の保存領域の欠失とTLR2を活性化する能力に対するその影響の間の関係をTable 6(表6)に評価する。
特に二量体形成のためにベータストランドを有するN末端及び長い不規則ループの存在が(改善された)TLRシグナル伝達活性に重要である。
(参考文献)
Figure 2023532703000029

Claims (18)

  1. 単離ポリペプチド及び薬学的又は消化的に許容される担体を含む組成物において、前記単離ポリペプチドは、
    a)配列番号9と少なくとも30%の配列同一性を有する;
    b)以下のセットのアミノ酸残基の少なくとも1つを含む
    i.配列番号9のそれぞれ位置1、2、8、20、23、27と対応する位置にR、S、I、S、A、及びP又はその保存的置換;
    ii.配列番号9のそれぞれ位置92、93、95、97、100と対応する位置にC、K、K、I、及びT又はその保存的置換;
    iii.配列番号9のそれぞれ位置105、106、107、108と対応する位置にW、L、G、及びF又はその保存的置換;
    iv.配列番号9のそれぞれ位置126、127と対応する位置にF及びE又はその保存的置換;
    v.配列番号9のそれぞれ位置149、150、151と対応する位置にV、Y、及びR又はその保存的置換;
    vi.配列番号9のそれぞれ位置179、181、182、184、185、188、190、191と対応する位置にP、E、I、F、Q、R、S、及びV又はその保存的置換;
    vii.配列番号9のそれぞれ位置220、222、229、230、231、234、248、258、260、262、264、172、175、279、283、285と対応する位置にP、P、P、A、A、P、G、T、A、E、A、P、Q、K、G、及びE又はその保存的置換、
    ことを特徴とし、前記ポリペプチドは、免疫シグナル伝達をもたらし、且つ/又は腸内バリア機能に影響を及ぼし、且つ/又はグルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性に影響を及ぼす、組成物。
  2. 前記単離ポリペプチドは、前記セットiからviiのアミノ酸残基のすべてを含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記単離ポリペプチドは、配列番号9のそれぞれ位置28、29、35、37、71、78、81、88と対応する位置にアミノ酸残基S、N、E、N、P、Q、L、L又はその保存的置換を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記単離ポリペプチドは、配列番号9のそれぞれ位置116、124、136、142、148、175、198、204、212、213、289、295、298、301と対応する位置にアミノ酸残基P、L、N、G、K、W、I、Y、R、I、V、L、F、P、又はその保存的置換を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記単離ポリペプチドは、配列番号9の天然バリアントである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 前記単離ポリペプチドは、配列番号9の合成バリアントである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 栄養的組成物又は医薬組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に規定のポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子を含む、遺伝子改変された宿主細胞。
  9. 前記宿主細胞は、種アッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラのものではない、請求項8に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  10. 前記宿主細胞は、前記種アッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラのものである、請求項8に記載の遺伝子改変された宿主細胞。
  11. 請求項1~6のいずれか一項に規定のポリペプチドを産生するための方法であって、
    (a)前記ポリペプチドの産生を可能にする条件下で請求項8~10のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養する工程と;
    (b)任意に、工程(a)で産生された前記ポリペプチドを単離する工程と
    を含む、方法。
  12. 医薬として使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物、請求項8~10のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  13. 腸粘膜免疫系機能を促進するのに使用するための、グルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性を維持する、取り戻す又は改善するための、或いは哺乳動物において腸粘膜バリアの物理的完全性を維持する、取り戻す、且つ/又は高めるための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物、請求項8~10のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  14. 哺乳動物において肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠損若しくはインスリン耐性関連障害、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏腸症候群(IBS)、耐糖能障害、異常な脂質代謝、アテローム動脈硬化症、高血圧、心臓病の病状、卒中、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、高血糖、脂肪肝、脂質代謝異常、肥満(体重増加)と関連した免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、うつ病、損なわれたバリア機能と関連した他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、上昇したトリグリセリド、アテローム動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、がん、並びに腸粘膜バリアの物理的完全性を変える状態、例えば、食物アレルギー、例えば、乳児が未熟で生まれたことによる、腸の未発達さ、放射線、化学療法及び/若しくは毒素への曝露、自己免疫性障害、栄養不良、敗血症等からなる群から選択される障害を予防及び/又は処置することに使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物、請求項8~10のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  15. 哺乳動物の腸における抗炎症活性を促進することに使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物、請求項8~10のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  16. 哺乳動物の体重減少を促進することに使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物、請求項8~10のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  17. 哺乳動物において肥満、メタボリックシンドローム、インスリン欠損若しくはインスリン耐性関連障害、2型糖尿病、1型糖尿病、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、炎症性腸疾患(IBD)、過敏腸症候群(IBS)、耐糖能障害、異常な脂質代謝、アテローム動脈硬化症、高血圧、心臓病の病状、卒中、非アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪肝疾患、高血糖、脂肪肝、脂質代謝異常、肥満(体重増加)と関連した免疫系の機能不全、アレルギー、喘息、自閉症、パーキンソン病、多発性硬化症、神経変性疾患、うつ病、損なわれたバリア機能と関連した他の疾患、創傷治癒、行動障害、アルコール依存症、心血管疾患、高コレステロール、上昇したトリグリセリド、アテローム動脈硬化症、睡眠時無呼吸、骨関節炎、胆嚢疾患、がん、及び腸粘膜バリアの物理的完全性を変える状態、例えば、食物アレルギー、例えば、乳児が未熟で生まれたことによる、腸の未発達さ、放射線、化学療法及び/又は毒素への曝露、自己免疫性障害、栄養不良、敗血症等の群から選択される障害を処置及び/又は予防するため;哺乳動物の体重減少を促進するため;哺乳動物の腸における抗炎症活性を促進するため;哺乳動物において腸粘膜免疫系機能を促進するため;グルコース及び/若しくはコレステロール及び/若しくはトリグリセリド恒常性を維持する、取り戻す、又は改善するため;或いは哺乳動物の粘膜腸バリアの物理的完全性を維持する、取り戻す、且つ/又は高めるための方法であって、有効量の請求項1~6のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項8~10のいずれか一項に記載の宿主細胞又は請求項7に記載の組成物を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
  18. 請求項1~6のいずれか一項に記載のポリペプチドを産生するための方法であって、
    (c)適した培養培地において種アッカーマンシア・ムシニフィラ又はアッカーマンシア・グリュカニピラの細菌を培養する工程と;
    (d)任意に、工程(a)で産生された前記ポリペプチドを単離する工程と
    を含む、方法。
JP2022580972A 2020-07-01 2021-06-21 免疫シグナル伝達をもたらすため、且つ/又は腸内バリア機能に影響を及ぼすため、且つ/又は代謝状態を調節するためのAmuc-1100ポリペプチドバリアント Pending JP2023532703A (ja)

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