JP2023532490A - 環状ペプチド化合物及び使用方法 - Google Patents

環状ペプチド化合物及び使用方法 Download PDF

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Abstract

以下に示す一般式(I)を有する環状ペプチド化合物が提供される。環状ペプチド化合物はまた、脳卒中及び関連する状態又は疾患を予防及び/又は処置するための医薬組成物の調製に使用するために提供される。実験データは、環状ペプチド化合物が脳卒中及び関連する状態/疾患に対して予防及び/又は処置効果を有することができることを示している。Y1-Ala-Ser-X3-Leu-Arg-Lys-Leu-X8-Lys-Arg-Leu-Leu-X13-Y2(配列番号1)(I)【化1】JPEG2023532490000032.jpg22127

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月26日に出願された米国仮特許出願第63/044,493号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、医学の分野に関し、具体的には、脳卒中及び/又は他の炎症性疾患の結果としての神経変性及び脳炎症の処置及び/又は予防における環状ペプチド化合物及びそれらの使用に関する。
脳卒中(Cerebral stroke)は、「脳卒中(stroke)」としても知られており、急性脳血管疾患である。関連する医学的研究により、脳卒中は、脳内の血管の突然の破裂又は血管の閉塞による脳内への血流障害に起因する脳組織損傷を引き起こす疾患群であり、それぞれ出血性又は虚血性脳卒中として知られていることが示されている。脳卒中は、高い罹患率、高い死亡率、及び高い障害率という特徴を有する。
脳卒中の処置としては、血栓溶解、抗血小板療法、早期抗凝固及び神経保護が挙げられる。非特異的処置としては、降圧療法、血糖管理、脳浮腫及び頭蓋内圧亢進の管理が挙げられる。しかしながら、異なるタイプの脳卒中は、異なる処置を有する。有効な処置法がないため、現在、予防が最良の手段と考えられている。
したがって、脳卒中に関連する神経変性及び脳炎症に対する改善された処置及び/又は予防効果を有する薬物を開発するという満たされていない必要性が依然として存在する。
本発明者らは、アポリポタンパク質-Eペプチド(apoE-ペプチド)に基づく一連の環状ペプチドが、脳卒中及び/又は他の炎症性疾患の処置及び/又は予防のための優れた神経保護及び/又は抗炎症効果を有することを発見した。
一態様では、本発明は、以下の式(I)の構造及び配列番号1の残基1から13の配列を有する環状ペプチド化合物を提供し、
(配列番号1)(I)

式中、
X3及びX13は、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、ハロゲン化アラニン、及びそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸から選択される独立したアミノ酸残基であり、
X8は、アミノイソ酪酸(Aib)であり、
記号「

」は、X3とX13との間の化学結合から構成される結合基を表し、ここで、
-化学結合は、-SS-、-CH-S-CH-、-CO-NH-、-CO-O-、-CH-NH-、-(CH)n-(n=2~15)、又は-(CH-CH=CH-(CH-(n=2~15)から選択され、又は
-化学結合は、-S-(CH-R-(CH-S-であり、式中、Rは、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基、n=1~3であり、
Y1は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Y1はR-CO-であり、式中、Rは、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、
Y2は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Y2はカルボキシ末端基である。
一実施形態では、
-X13はCysであり、X8はAibであり、X3はCysであり(配列番号2)、
-X13はCysであり、X8はAibであり、X3はD-Cysであり(配列番号3)、
-X13はD-Cysであり、X8はAibであり、X3はCysであり(配列番号4)、
-X13はD-Cysであり、X8はAibであり、X3はD-Cysであり(配列番号5)、
-X13はGlu又はAspであり、X8はAibであり、X3はLys、Orn、Dab又はDapであり(配列番号6)、
-X13はLys、Orn、Dab又はDapであり、X8はAibであり、X3はGlu又はAspであり(配列番号7)、
-X13はGlu又はAspであり、X8はAibであり、X3はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapであり(配列番号8)、
-X13はD-Glu又はD-Aspであり、X8はAibであり、X3はLys、Orn、Dab又はDapであり(配列番号9)、
-X13はD-Glu又はD-Aspであり、X8はAibであり、X3はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapであり(配列番号10)、
-X13はLys、Orn、Dab又はDapであり、X8はAibであり、X3はD-Glu又はD-Aspであり(配列番号11)、
-X13はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapであり、X8はAibであり、X3はGlu又はAspであり(配列番号12)、
-X13はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapであり、X8はAibであり、X3はD-Glu又はD-Aspであり(配列番号13)、
-X13はハロゲン化アラニンであり、X8はAibであり、X3はCysであり(配列番号14)、
-X13はハロゲン化D-アラニンであり、X8はAibであり、X3はCysであり(配列番号15)、又は
-X13はハロゲン化D-アラニンであり、X8はAibであり、X3はD-Cysである(配列番号16)。
一実施形態では、Y1はR-CO-であり、式中、Rは、C1~C4直鎖若しくは分岐アルキル、C2~C4直鎖若しくは分岐アルケニル、C2~C4アルキニル、5~10員アリール基、又はO、S及びNから選択される5~10員ヘテロアリール基から選択される。
一実施形態では、Y1は、アセチル、ピコリニル又はピラジンカルボニルから選択される。
一実施形態では、Y2及びX13によって表されるアミノ酸の-COOH末端は、-CH-OH又は-CORから選択される構造を形成し、式中、Rは、-NH、H、-CH、-OCH、-OC、-NH-OH、-NH-CH、-N(CH、-NH-C、-NH-C又は-NH-C-NOから選択される。
一実施形態では、Rはフェニル又はシクロプロピルである。
一実施形態では、環状ペプチド化合物は、

(配列番号2、化合物1)、

(配列番号2、化合物2)、

(配列番号2、化合物3)、

(配列番号5、化合物4)又は

(配列番号5、化合物5)である。
一態様では、本発明は、式(II)の構造及び(配列番号17)の残基1から13のアミノ酸配列であるY1-Ala-Ser-X3-Leu-Arg-Lys-Leu-X8-Lys-Arg-Leu-Leu-X13-Y2を有する環状ペプチド化合物を提供し、
式中、
X3、X8及びX13は、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、ハロゲン化アラニン、及びそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸、又はアミノイソ-酪酸(Aib)から選択される独立したアミノ酸残基であり、
記号「

」は、X3とX8又はX8とX13との間の化学結合から構成される結合基を表し、ここで、
-化学結合は、-SS-、-CH-S-CH-、-CO-NH-、-CO-O-、-CH-NH-、-(CH)n-(n=2~15)、又は-(CH-CH=CH-(CH-(n=2~15)から選択され、又は
-化学結合は、-S-(CH-R-(CH-S-であり、式中、Rは、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基、n=1~3であり、
Y1は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Y1はR-CO-であり、式中、Rは、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基から選択され、
Y2は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Y2はカルボキシ末端基である。
別の態様では、本発明の実施形態は、脳卒中及び/又は関連する疾患を予防及び/又は処置するための医薬組成物の調製における本発明の1つ又は複数の環状ペプチド化合物の使用を提供する。
一実施形態では、関連する疾患は、炎症性疾患、神経変性疾患、又は末梢神経損傷疾患である。
一実施形態では、関連する疾患は神経炎症性疾患である。
一実施形態では、関連する疾患は、脳出血、脳虚血、脳外傷、脊髄損傷、多発性硬化症、パーキンソン病、又はアルツハイマー病の1つ又は複数である。
一実施形態では、関連する疾患は、敗血症、大腸炎、変形性関節症及び関節リウマチの1つ又は複数である。
別の態様では、本発明の実施形態は、脳卒中及び/又は関連する疾患を予防及び/又は処置するための環状ペプチド化合物を提供する。
別の態様では、本発明の実施形態は、脳卒中及び/又は関連する疾患を予防及び/又は処置する方法を提供し、有効量の本発明の環状ペプチド化合物を、それを必要とする対象に投与することを含む。
一実施形態では、関連する疾患は、炎症性疾患、神経変性疾患、及び/又は末梢神経損傷疾患である。
一実施形態では、関連する疾患は神経炎症性疾患である。
一実施形態では、関連する疾患は、脳出血、脳虚血、多発性硬化症、パーキンソン病、及びアルツハイマー病からなる群から選択される1つ又は複数である。
一実施形態では、関連する疾患は、敗血症、大腸炎、関節リウマチ及び変形性関節症からなる群から選択される1つ又は複数である。
一実施形態では、投与は、単回投与又は複数回投与を含む。
一実施形態では、複数回投与には、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回、週4回、2週間に1回、又は月1回の方法が含まれる。
一実施形態では、有効量は0.01~1.0mg/kg体重である。
一実施形態では、対象は、哺乳動物、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトである。
別の態様では、本発明の実施形態は、本発明の環状ペプチド化合物を含む医薬組成物を提供する。
一実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤を更に含む。
一実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、結合剤、溶媒、共溶媒、潤滑剤、pH調整剤、緩衝剤、保存剤、分散剤、懸濁化剤、軟膏基剤、乳化剤、皮膚軟化剤、浸透促進剤、界面活性剤、噴射剤、香味剤、甘味剤、及び/又は薬物放出調整剤の1つ又は複数を含む。
一実施形態では、薬学的に許容される賦形剤には、賦形剤、pH調整剤、緩衝剤、溶媒及び/又は結合剤が含まれる。
一実施形態では、賦形剤は、マンニトールを含む。
一実施形態では、pH調整剤は、塩酸、酢酸、酒石酸、クエン酸、及び/又は水酸化ナトリウムの1つ又は複数を含む。
一実施形態では、緩衝剤は、クエン酸アルカリ金属塩溶液及びリン酸アルカリ金属塩溶液、好ましくはクエン酸ナトリウム塩溶液及び/又はリン酸ナトリウム塩溶液の1つ又は複数を含む。
一実施形態では、溶媒は、生理食塩水及び/又はグルコース溶液の1つ又は複数を含む。
一実施形態では、結合剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。
一実施形態では、医薬組成物は、凍結乾燥粉末、注射、水注射、徐放剤及び/又はスプレーから選択される1つ又は複数の剤形であってもよい。
実験により、本発明の環状ペプチド化合物が、安定な構造、低い生物学的毒性、並びに脳卒中及び/又は関連する疾患に対する優れた処置効果及び/又は予防効果を有することができることが確認された。
次に、本発明を、本発明の代表的な実施形態を参照して詳細に説明する。これらの実施形態は単なる例示であり、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。それどころか、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内の全ての代替形態、修正形態、及び均等物を包含することが意図されている。
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
定義:
(i)一般
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」、又は「含有する(containing)」という用語は、本明細書では互換的に使用され、非排他的である、すなわち、記載された要素又は要素の群を含むが、任意の他の要素又は要素の群を除外しないことを意味すると理解される。例えば、一連の構成要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品又は装置は、それらの構成要素に限定されず、組成物、混合物、プロセス、方法、物品又は装置として明示的に列挙されていない他の成分を含むことができる。
更に、本発明の要素又は構成要素に先行する不定冠詞「a」及び「an」は、要素又は構成要素の出現数を限定することを意図しない。したがって、「a」及び「an」は、1つ又は少なくとも1つを含むと理解されるべきであり、数が明示的に単数でない限り、要素又は構成要素の単数形は複数形も含む。
(ii)本発明の環状ペプチド化合物
一実施形態では、本発明の環状ペプチド化合物は、以下に示すように、式(I)の一般構造及び配列番号1の残基1から13のアミノ酸配列を有することができる。

(I)(配列番号1)。
上記構造式(I)において、Leu、Arg、Lys、Ser、His、Alaは、それぞれロイシン、アルギニン、リジン、セリン、ヒスチジン、アラニンを表すアミノ酸の3文字表記である。当業者は、ペプチド鎖構造において、上記のアミノ酸がアミノ酸残基の形態であることを理解する。本発明において、ペプチド鎖構造に含まれるアミノ酸とは、特に明記しない限り、アミノ酸残基をいう。
特に明記しない限り、2つの隣接するアミノ酸は、ペプチド結合としても知られるアミド結合(-CO-NH-)によって連結される。例えば、-Ala-Ser-は、アラニン残基がセリン残基に結合しており、2つがアミド結合によって結合していることを意味し、この場合、Ala及びSerはアミノ酸であるため、ペプチド結合としても知られている。
上記構造式(I)において、Leu、Arg、Lys、Ser、His及びAlaは、L-アミノ酸を表すことができる。
上記構造式(I)において、「

」はペプチド構築物中の隣接していない2つのアミノ酸残基X3とX13との化学結合を表し、それによって環状ペプチド構造化合物を形成する。
他の実施形態では、化学結合「

」が、構造式(II)(配列番号17)のX3とX8との間又はX8とX13との間に存在することができる。したがって、本発明の1つ又は複数の実施形態では、特に明記しない限り、化学結合「

」の位置は、あるペプチドと別のペプチドで変化することができる。
化学結合を使用して環状ペプチドを形成することができる。これらの化学結合は、記号「

」によって省略され、-SS-、-CH-S-CH-、-CO-NH-、-(CH)n-(n=2~15)、及び-(CH)n-CH=CH-(CH)n-(n=2~15)、-S-(CH)n-R-(CH)n-S-(式中、Rは炭化水素基、アリール基及びヘテロアリール基であり、n=1~3である)、又は-CO-CH-S-CH-が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、化学結合「

」は、-SS-(ジスルフィド基又はジスルフィド架橋)である。
本発明では、「ヒドロカルビル」という用語は、好ましくはC1~C6-アルキル、C2~C6-アルケニル、C2~C6-アルキニル、C3~C6-シクロアルキル、又は3~7員ヘテロシクロアルキルを含むものとして理解されるべきである。
「C1~C6-アルキル」という用語は、好ましくは1、2、3、4、5又は6個の飽和一価炭化水素基、直鎖又は分岐鎖炭素原子、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソペンチル、2-メチルブチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ネオペンチル、1,1-ジメチルプロピル、4-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2-メチルペンチル、1-メチルアミルペンチル、2-エチルブチル、1-エチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル又は1,2-ジメチルブチル若しくはそれらの異性体を有することを意味すると理解されるべきである。特に、1、2、3又は4個の炭素原子を有する当該基(「C1~C4-アルキル」)、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル基、sec-ブチル、tert-ブチル、より具体的には、1、2又は3個の炭素原子を有する基(「C1~C3-アルキル」)、例えば、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。
「C2~C6-アルケニル」という用語は、好ましくは1つ又は複数の二重結合を含み、2、3、4、5又は6個の炭素原子、特に2又は3個の炭素原子を含む(「C2~C3-アルケニル基」)直鎖又は分岐二価炭化水素鎖を意味すると理解されるべきであり、アルケニル基が2つ以上の二重結合を含む場合、二重結合は互いに単離されていても共役していてもよいことを理解されたい。アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、(E)-2-メチルビニル、(Z)-2-メチルビニル、ホモアリル、(E)-ブタ-2-エニル、(Z)-ブタ-2-エニル、(E)-ブタ-1-エニル、(Z)-ブタ-1-エニル、ペンタ-4-エニル、(E)-ペンタ-3-エン基、(Z)-ペンタ-3-エニル、(E)-ペンタ-2-エニル、(Z)-ペンタ-2-エニル、(E)-ペンタ-1-エニル、(Z)-ペンタ-1-エニル、ヘキサ-5-エニル、(E)-ヘキサ-4-エニル、(Z)-ヘキサ-4-エニル、(E)-ヘキサ-3-エニル、(Z)-ヘキシル-3-アルケニル基、(E)-ヘキシル-2-アルケニル基、(Z)-ヘキシル-2-アルケニル基、(E)-ヘキシル-1-アルケニル基、(Z)-ヘキサン-1-エン、イソプロペニル、2-メチルプロパ-2-エニル、1-メチルプロパ-2-エニル、2-メチルプロパ-1-エニル、(E)-1-メチルプロパン-1-アルケニル、(Z)-1-メチル-プロパ-1-エニル、3-メチルブタ-3-エニル、2-メチルブタ-3-エニル、1-メチルブタ-3-エン、3-メチルブタ-2-エニル、(E)-2-メチルブタ-2-エニル、(Z)-2-メチルブタ-2-エニル、(E)-1-メチルメチルブタ-2-アルケニル基、(Z)-1-メチルブタ-2-アルケニル基、(E)-3-メチルブタ-1-アルケニル基、(Z)-3-メチルブタ-1-アルケニル、(E)-2-メチルブタ-1-エニル、(Z)-2-メチルブタ-1-エニル、(E)-1-メチルブタ-1-エニル、(Z)-1-メチルブタ-1-エニル、1,1-ジメチル-プロパ-2-エニル、1-エチルプロピル-1-エニル、1-プロピルビニル、1-イソプロピルビニル、4-メチルペンタ-4-エニル、3-メチルペンタ-4-エニル、2-メチルペンタ-4-エニル、1-メチルペンタ-4-エニル、4-メチルペンタ-3-エンアルケニル、(E)-3-メチルペンタ-3-エニル、(Z)-3-メチルペンタ-3-エニル、(E)-2-メチルペンタ-3-エニル、(Z)-2-メチルペンタ-3-エニル、(E)-1-メチルペンタ-3-エニル、(Z)-1-メチルペンタ-3-エニル、(E)-4-メチルペンタ-2-エニル、(Z)-4-メチルペンタ-2-エニル、(E)-3-メチルペンタ-2-エニル、(Z)-3-メチルペンタ-2-アルケニル、(E)-2-メチルペンタ-2-エニル、(Z)-2-メチルペンタ-2-エニル、(E)-1-メチルペンタ-2-エニル、(Z)-1-メチルペンタ-2-エニル、(E)-4-メチルペンタ-1-エニル、(Z)-4-メチルペンタ-1-エニル、(E)-3-メチルペンチル-1-アルケニル基、(Z)-3-メチル-ペンタ-1-アルケニル基、(E)-2-メチル-ペンタ-1-アルケニル基、(Z)-2-メチル-ペンタ-1-アルケニル基、(E)-1-メチル-ペンタ-1-アルケニル基、(Z)-1-メチル-ペンタ-1-エニル、3-エチルブチラート-3-エニル、2エチルブチラート-3-アルケニル、1-エチルブタ-3-エニル、(E)-3-エチルブタ-2-エニル、(Z)-3-エチルブタ-2-エニル、(E)-2-エチルブタン-2-アルケニル、(Z)-2-エチルブタ-2-エニル、(E)-1-エチルブタ-2-エニル、(Z)-1-エチルブタ-2-エニル、(E)-3-エチルブタ-1-エニル、(Z)-3-エチルブタ-1-エニル、2-エチルブタ-1-エニル、(E)-1-エチルブタ-1-アルケニル、(Z)-1-エチルブチラート-1-エニル、2-プロピル-プロパ-2-エニル、1-プロピル-プロパ-2-エニル、2-イソプロピル-プロパ-2-アルケニル、1-イソプロピルプロパ-2-エニル、(E)-2-プロピルプロパ-1-エニル、(Z)-2-プロピルプロパ-1-エニル、(E)-1-プロピル-プロパ-1-アルケニル基、(Z)-1-プロピル-プロパ-1-アルケニル基、(E)-2-イソプロピル-プロパ-1-アルケニル基、(Z)-2-イソプロピル-プロパ-1-エニル、(E)-1-イソプロピルプロパ-1-エニル、(Z)-1-イソプロピルプロパ-1-エニル、(E)-3,3-ジメチル-プロパ-1-エニル、(Z)-3,3-ジメチルプロパ-1-エニル、1-(1,1-ジメチルエチル)ビニル、ブタ-1,3-ジエニル、ペンタ-1,4-ジエニル、ヘキサ-1,5-ジエニル又はメチルヘキサジエニルである。特に、基はビニル又はアリルである。
「C2~C6-アルキニル」という用語は、好ましくは、1つ又は複数の三重結合を含み、2、3、4、5又は6個の炭素原子、特に2又は3個の炭素原子を含む(「C2~C3-アルキニル基」)直鎖又は分岐二価炭化水素鎖を意味すると理解されるべきである。C2~C6-アルキニル基は、例えば、エチニル、プロパ-1-イニル、プロパ-2-イニル、ブタ-1-イニル、ブタ-2-イニル、ブタ-3-アルキニル基、ペンタ-1-イニル、ペンタ-2-イニル、ペンタ-3-イニル、ペンタ-4-イニル、ヘキサ-1-イニル、ヘキサ-2-イニル、ヘキサ-3-イニル、ヘキサ-4-イニル、ヘキサ-5-イニル、1-メチルプロパ-2-イニル、-メチルブタ-3-イニル、1-メチルブタ-3-イニル、1-メチルブタ-2-イニル、3-メチルブタ-1-イニル、1-エチルプロパ-2-イニル、3-メチルペンタ-4-イニル、2-メチルペンタ-4-イニル、1-メチルペンタ-4-イニル、2-メチルペンタ-3-イニル、1-メチルペンタ-3-イニル、4-メチルペンタ-2-イニル、1-メチルペンチル-2-イニル、4-メチルペンタ-1-イニル、3メチルペンタ-1-イニル、2-エチルブタ-3-イニル、1-エチルブタ-3-イニル、1-エチルブタ-2-イニル、1-プロピルプロパ-2-イニル、1-イソプロピルプロパ-2-イニル、2,2-ジメチルブタ-3-イニル、1,1-ジメチルブタ-3-イニル、1,1-ジメチルブタ-2-イニル又は3,3-ジメチルブタ-1-イニルである。特に、アルキニル基は、エチニル、プロパ-1-イニル又はプロパ-2-イニルである。
「C~C-シクロアルキル」という用語は、3、4、5又は6個の炭素原子を含む飽和一価単環式炭化水素環(「C~C-シクロアルキル」)を意味すると理解されるべきである。C~C-シクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル環である。
「3~7員ヘテロシクロアルキル」という用語は、2、3、4、5又は6個の炭素原子と、C(=O)、O、S、S(=O)、S(=O)、Rが水素原子を表すヘテロ原子を含むNR基、C~C-アルキル-又はハロゲン化-C~C-アルキル-基から選択される1つ又は複数の基とを含む飽和一価単環式又は二環式炭化水素環を意味すると理解されるべきであり、ヘテロシクロアルキル(存在する場合)は、窒素原子又は炭素原子のいずれかを介して分子の残りの部分に結合している。
特に、3~7員複素環基は、2、3、4又は5個の炭素原子及び1個又は複数のヘテロ原子を含むことができ、上記基(「3~6員ヘテロシクロアルキル基」)、より具体的には、当該ヘテロシクロアルキルは、4又は5個の炭素原子及び1個又は複数のヘテロ原子含有基(「5~6員ヘテロシクロアルキル」)を含むことができ、3~7員ヘテロシクロアルキル、隣接する原子の2つの基は、置換されていてもよいアリール基又はヘテロアリール基を形成する。
特に、ヘテロシクロアルキル基は、例えば、限定されないが、アゼチジン若しくはオキセタニルなどの4員環、又はテトラヒドロフラニル、メタジオキサンアミル(ジオキソリニル)、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル若しくはピロリニルなどの5員環、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、硫黄置換モルホリニル、ピペラジニル若しくはトリチアニルなどの6員環、又はジアザシクロヘプタン環などの7員環であってもよい。場合により、ヘテロシクロアルキル基は、ベンゾ縮合していてもよい。
「アリール」という用語は、好ましくは6、7、8、9、10、11、12、13又は14個の炭素原子を有する(「C~C14-アリール基」)、特に6個の環炭素原子を有する(「C-アリール基」)、例えばフェニル若しくはビフェニルであるか、又は9個の環炭素原子を有する(「C-アリール基」)、例えばインダニル若しくはインデニルであるか、又は10個の環炭素原子を有する(「C10-アリール基」)、例えばテトラヒドロナフチル、ジヒドロナフチル若しくはナフチルであるか、又は13個の環炭素原子を有する(「C13-アリール基」)、例えばフルオレニル基であるか、又は14個の環炭素原子を有する(「C14-アリール基」)、例えばアントラセン基である、一価の芳香族又は部分芳香族の単環式、二環式又は三環式炭化水素環を意味すると理解され、当該アリール基は、3~7員ヘテロシクロアルキル基を形成するために2個の隣接原子を含み、基は置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」という用語は、好ましくは5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14個の環原子(「5-~14員のヘテロアリール」)、特に5又は6又は9又は10個の炭素原子を有する一価の単環式、二環式又は三環式芳香族環系を意味すると理解され、同じであっても異なっていてもよい(ヘテロ原子は、例えば、酸素、窒素又は硫黄である)少なくとも1個のヘテロ原子を含み、更に、それぞれの場合でベンゾ縮合していてもよい。特に、ヘテロアリール基は、チエニル、フリル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チオ-オキサジアゾリル、チアゾール-4H-ピラゾリル(チア-4H-ピラゾリル)など、及びそのベンゾ誘導体、例えばベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、インダゾリル、インドリル、イソインドリルなど、又はピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなど、及びそれらのベンゼン誘導体、例えばキノリニル、キナゾリニル、イソキノリニルなど、又はアゾシニン(アゾシニル)インダジニル、プリニルなど、及び/又はそれらのベンゾ誘導体、又はシンノリニル、フタリドアジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフトピリジニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、キサンテン若しくはオキセピン-イル(オキセピニル)などから選択される。
一般に、特に明記しない限り、ヘテロアリール又はヘテロアリーレン基は、その全ての可能な異性体形態、例えば、その位置異性体を含む。したがって、いくつかの例示的な非限定的な例では、ピリジル又はピリジニレンという用語は、ピリジン-2-イル、ピリジン-2-ラジカル、ピリジン-3-イル、ピリジン-3-ラジカル、ピリジン-4-イル及びピリジン-4-ラジカルを含み、又はチエニル又はチエニレンという用語は、チエン-2-イル、チエン-2-ラジカル、チエン-3-イル及びチエン-3-ラジカルを含む。
一実施形態では、Rはフェニル又はシクロプロピルである。
本発明の一態様では、n-は、1、2又は3を含む代表的な1~3の整数から独立して選択することができる。したがって、一実施形態では、それぞれの化学結合「

」は、-S-CH-フェニル-CH-S-又は-S-CH-シクロプロピル-CH-S-である。
本発明の一態様では、Y1のアミノ末端部分及びY1が結合しているアミノ酸は、R-CONH-構造を含むことができる。一実施形態では、Y1は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Y1はR-CONH-であり、Rはヒドロカルビル、アリール又はヘテロアリールから選択される。
例えば、以下に示す環状ペプチドの構造において、Y1は、点状及び破線状の楕円、具体的にはピコリニルで示される部分である。

(配列番号2、化合物1)。
本発明の一態様では、Y2に結合したアミノ酸残基は、ペプチドアミン、ペプチドアルコール、ペプチドアルデヒド、ペプチドケトン、ペプチド酸、ペプチドメチルエステル、ペプチドエチルエステル、ペプチドケトン、ペプチドヒドロキサム酸、又はアミン、ペプチドジメチルアミン、ペプチドエチルアミン、ペプチドアニリン若しくはペプチドp-ニトロアニリンなどのペプチド構造を形成することができる。
例えば、以下に示す環状ペプチドの構造において、

(配列番号2、化合物3)
Y2のカルボキシル末端及びその結合したシステインは-COR構造(点状の円で示す)を形成し、式中、Rは-NH、H、-CH、-OCH、-OC、-NH-OH、-NH-CH、-N(CH、-NH-C、-NH-C又は-NH-C-NOから選択される。
特定の実施形態では、以下に示す環状ペプチドの構造において、

(配列番号2、化合物1)
Y2に結合したシステインのカルボキシル末端は、-CONHの構造であるペプチドアミドを形成する。
又は、以下に示す環状ペプチドの構造において、Y2が結合したシステインのカルボキシル末端は、ペプチドアルコール-CHOHの構造を形成する。

(配列番号2、化合物2)。
したがって、一実施形態では、Y2及びX13によって表されるアミノ酸の-COOH末端は、-CHOH又は-CORから選択される構造を形成し、式中、Rは、-NH、H、-CH、-OCH、-OC、-NH-OH、-NH-CH、-N(CH、-NH-C、-NH-C又は-NH-C-NOから選択される。
本発明の一態様では、本発明の環状ペプチド化合物の化学構造式が単純化構造式と矛盾する場合、単純化構造式が優先するものとする。例えば、以下に示す化合物1の以下の化学構造式は、

(配列番号2、化合物1)、
化合物1の単純化構造式であるピコリニル-Ala-Ser-シクロ[Cys-LRKL-Aib-KRLL-Cys]-NH、式C701232315と矛盾し、単純化された式が優先するものとする。
(iii)本発明の環状ペプチド化合物の調製方法
以下の考察は、本発明の環状ペプチド化合物を得るための原理を提供し、本発明の環状ペプチド化合物を調製するために利用可能ないくつかの方法の詳細を提供する。しかしながら、考察は、本発明の環状ペプチド化合物の調製に使用することができる反応又は反応順序の範囲を定義又は限定することを意図していない。本発明の環状ペプチド化合物は、本明細書の以下の例のセクションに開示される工程及び技術、並びに公知の有機合成技術によって調製することができる。
当業者に公知の方法は、様々な参考文献及び公開されたデータによって確認することができる。本発明の化合物の合成における利用可能な反応物の詳細な説明は、例えば、’’Practical Synthetic Organic Chemistry’’,John Wiley&Sons,Inc.,New York 2011、及びSR Sandler et al.,’’Organic Functional Group Preparations’’,2nd Ed,Academic Press,New York,1983、H.O.House,’’Modern Synthetic Reactions’’,2nd Ed.,WA Benjamin,Inc.Menlo Park,Calif.1972、T.L.Gilchrist,’’Heterocyclic Chemistry’’,2nd Ed.,John Wiley&Sons,New York,1992、J.March,’’Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structures’’,4th Ed,Wiley.-Interscience,New York,1992を含む文献及び適切な参考図書に記載される参考文献で利用可能であるか、又は提供される。本発明の化合物の調製に使用することができる反応物の合成の詳細な説明、又は調製方法を記載する文献への参照を提供する他の適切な参考図書及びモノグラフとしては、例えば、Fuhrhop,J.and Penzlin G.’’Organic Synthesis:Concepts,Methods,Starting Materials’’;Second,Revised and Enlarged Edition(1994)John Wiley&Sons ISBN:3-527-29074-5、Hoffman,RV’’Organic Chemistry,An Intermediate Text’’(1996)Oxford University Press,ISBN 0-19-509618-5、Larock,R.C.’’Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations’’2nd Edition(1999)Wiley-VCH,ISBN:0-471-19031-4、Otera,J.(editor)’’Modern Carbonyl Chemistry’’(2000)Wiley-VCH,ISBN:3-527-29871-1、Patai,S.’’Guide to The Chemistry of Functional Groups’’(1992)Interscience ISBN:0-471-93022-9、Quin,L.D.et al.,’’A Guide to Organophosphorus Chemistry’’(2000)Wiley-Interscience,ISBN:0-471-31824-8、Solomons,T.W.G.’’Organic Chemistry’’7th Edition(2000)John Wiley&Sons,ISBN:0-471-19095-0、Stowell,J.C.’’Intermediate Organic Chemistry’’2nd Edition(1993)Wiley-Interscience,ISBN:0-471-57456-2、’’Ullmann’s Encyclopedia:Industrial Organic Chemicals:Starting Materials and Intermediates’’(1999)John Wiley&Sons,ISBN:3-527-29645-X-,in Volume.8’’Organic Reaction’’(1942-2000)John Wiley&Sons,in over 55 Volumes、及び’’Chemistry of Functional Groups’’John Wiley&Sons,in 73 Volumesが挙げられる。
要約すると、本明細書に記載の反応に使用される化合物は、当業者に公知の有機合成技術に従って、市販の化学試薬及び/又は化学文献に記載されている化合物から調製することができる。「市販の化学試薬」は、Acros Organics(ペンシルベニア州ピッツバーグ)、Aldrich Chemical(ウィスコンシン州ミルウォーキー、Sigma Chemical及びFlukaを含む)、Apin Chemicals Ltd.(英国ミルトンパーク)、Avocado Research(英国ランカシャー)、BDH Inc.(カナダのトロント)、Bionet(英国コーンウォール)、Chemservice Inc.(ペンシルベニア州ウェストチェスター)、Crescent Chemical Co.(ニューヨーク州ホーポーグ)、Eastman Organic Chemicals、Eastman Kodak Company(ニューヨーク州ロチェスター)、Fisher Scientific Co.(ペンシルベニア州ピッツバーグ)、Fisons Chemicals(英国レスター)、Frontier Scientific(ユタ州ローガン)、ICN Biomedicals,Inc.(カリフォルニア州コスタメーサ)、Key Organics(英国コーンウォール)、Lancaster Synthesis(ニューハンプシャー州ウィンダム)、Maybridge Chemical Co.(英国コーンウォール)、Parish Chemical Co.(ユタ州オーレム)、Pfaltz&Bauer,Inc.(コネチカット州ウォーターベリー)、Polyorganix(テキサス州ヒューストン)、Pierce Chemical Co.(イリノイ州ロックフォード)、Riedel de Haen AG(ドイツのハノーファー)、Spectrum Quality Product,Inc.(ニュージャージー州ニューブランズウィック)、TCI America(オレゴン州ポートランド)、Trans World Chemicals,Inc.(メリーランド州ロックヴィル)及びWako Chemicals USA,Inc.(バージニア州リッチモンド)を含む標準的な商業的供給源から入手することができる。
特定の反応物及び類似の反応物は、米国化学会のChemical Abstracts Serviceによって調製された既知の化学試薬(ほとんどの公共又は大学の図書館から入手される)の索引によって、又はオンラインデータベースを通じて確認することができる。既知であるがカタログで市販されていない化学試薬は、カスタム化学試薬合成業者によって調製することができ、その多くはカスタム合成サービスを提供する標準的な化学試薬プロバイダ(上記のものなど)である。
Y2に結合したアミノ酸残基は、ペプチドアミン、ペプチドアルコール、ペプチドアルデヒド、ペプチドケトン、ペプチド酸、ペプチドメチルエステル、ペプチドエチルエステル、ペプチドケトン、ペプチドヒドロキサム酸、ペプチドメチルアミン、及びアミン、ペプチドエチルアミン、ペプチドアニリン又はペプチドp-ニトロアニリンなどのペプチドジメチル構造を形成することができる。上記末端構造を得るための、Y2が結合したアミノ酸残基の形成方法は、当業者に公知である。
例えば、下記の模式図に示す化合物2は、下記のペプチドアルコール構造を有する環状ペプチド化合物であってもよい。

(配列番号2、化合物2)。
アミノ酸末端に-OHを有するペプチドアルコール化合物を形成する方法は当業者に公知であり、例えば、Neugebauer,W.,Escher,E.Helve.Chim.Acta.72:1318-1323.(1989)、Liu,etc.,Chinese Journal of Medicinal Chemistry.14(1):33-35(2004)、Chaturvedi,NC,et al,米国特許第6,987,167号(2006)、Wu,Y.-T.,et al,J.Chinese Chem.Soc.46(2):135-138(2013)を参照されたい。
例えば、化合物2の修飾はまた、化合物3と命名される以下のペプチドアルデヒド構造を有する環状ペプチド化合物であってもよい。

(配列番号2、化合物3)
末端アミノ酸が-C(O)Hを有する本発明の実施形態などのペプチドアルデヒド化合物を形成する方法は、当業者に公知であり、例えば、Fehrentz,JA,et Al,Tetrahedron Lett.36:7871-7874(1995)、Douat,C.,et al,Tetrahedron Lett.41(1):37-49.(2000)、Moulin,A.,et al,J.Peptide Sci.13(1):1-15(2010)を参照されたい。
本発明のいくつかの態様では、環状ペプチド化合物は、-SS-、-CH-S-CH-、-CO-NH-、-CO-O-、-CH-NH-、-CH-CH-、-S-(CH)n-R-(CH)n-S-(Rは、炭化水素、アリール又はヘテロアリールであり、n=1~3)、-CO-CH-S-CH-又は-CO-NH-化学結合の群から選択される化学結合によって、内部アミノ酸X3、X8、及びX13のうちの2つの側鎖の間に形成される。化学結合の構築は、当業者に公知の方法を使用して、2つのアミノ酸残基側鎖間に形成されて環状ペプチドを形成する。
例えば、本発明の環状ペプチド化合物内のアミノ酸間に-SS-を形成する方法は当業者に公知であり、例えば、Pohl,M.,et al,J.Peptide Protein Res.41(4):362-375.(1993)、Tam,JP,et al,J ACS.113(17):6657-6662.(1991)、及び環状ペプチド化合物の調製方法を記載する本開示の例Iに見出すことができる。
別の例として、本発明の環状ペプチド化合物内のアミノ酸の側鎖間に-CH-S-CH-を形成する様式も当業者に公知であり、例えば、Aimetti,AA,et al,Chem.Commun.46:4061-4063.(2010)、Elduque,X.,et al,J.Org.Chem.79(7):2843-2853(2014)に見出すことができる。
例えば、化合物4及び化合物5は、安定な環状ペプチド結合を有する以下の環状ペプチド化合物であってもよい。

(配列番号5、化合物4)又は

(配列番号5、化合物5)。
上記に示す環状ペプチド化合物の安定化された形態では、環状ペプチド結合は、-(CH)n-(n=2~15)又は-(CH)n-CH=CH-(CH)n-(n=2~15)によって形成される。これらの安定な結合を形成する方法は、例えばChang,YS,et al,PNAS.110(36):E3445-E3454.(2013)、Kim,Y.-W.,et al,Nature Protocols.6(6):761-771(2011)、Spiegel,J.,et al,Angew.Chem.Int.Ed.53(9):2498-2503.(2014)に見出すことができる。
(iv)本発明の環状ペプチド化合物の医療用途
一態様では、本発明は、脳卒中、関連する状態、及び/又は炎症性疾患を予防及び/又は処置するための医薬組成物の調製における環状ペプチド化合物の使用を提供する。一態様では、本発明の環状ペプチド化合物は、脳卒中、関連する状態、及び/又は炎症性疾患を予防及び/又は処置するために使用することができる。
実験により、本発明の環状ペプチド化合物の実施形態が、安定な構造、低い生物学的毒性、並びに脳卒中及び/又は関連する疾患に対する優れた処置効果及び/又は予防効果を有することができることが確認された(例I及びIIを参照されたい)。
「脳卒中」という用語は、脳血管が血管閉塞により突然破裂する急性脳血管疾患、又は脳組織損傷によって引き起こされる疾患群であり、「虚血性脳卒中」及び「出血性脳卒中」を含む。
「虚血性脳卒中」は、「脳梗塞」、「虚血性脳卒中」又は「虚血」とも呼ぶことができる。特に明記しない限り、「脳梗塞」、「虚血性脳卒中」、及び「虚血」は、本明細書では互換的に使用される。
「出血性脳卒中は、「脳出血」及び「出血性脳卒中」とも呼ぶことができる。特に明記しない限り、「出血性脳卒中」、「脳出血」、「頭蓋内出血」、「出血性脳卒中」は、本明細書では互換的に使用される。
「神経変性疾患」は、ニューロン及び/又はそれらのミエリン鞘の喪失によって引き起こされ、これは経時的に悪化し、機能不全に見える。「神経変性疾患」としては、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、様々なタイプの脊髄小脳失調症(SCA)、ピック病、前頭側頭型認知症(FTD又はFTDP-17)などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「処置」という用語は、症状の部分的若しくは完全な寛解をもたらす、又は処置後の疾患及び/若しくは疾患状態の症状の悪化を予防する、疾患又は疾患状態に罹患している個体への本発明の医薬の投与を意味する。したがって、処置は治癒を含む。本明細書で使用される場合、「有効性」は、疾患若しくは状態の症状若しくは特徴を変化させる、一般に変化させる、緩和する若しくは改善する、又は疾患若しくは状態を治癒する処置によって引き起こされる効果を表す。「処置」はまた、処置を受けていない場合に予想される生存と比較して生存を延長することを意味することができる。「処置」は、障害の発症を予防すること、又は障害の病態を変化させることを意図して行われる介入である。したがって、「処置」は、特定の実施形態では、治療的処置及び予防的又は予防的措置の両方を指す。処置を必要とする者には、既に障害を有する者並びに障害を予防すべき者が含まれる。処置とは、処置をしない時と比較した場合に、病態又は症状の増加を抑制又は低減することを意味し、必ずしも状態の完全な停止を意味するものではない。
本明細書で使用される「予防」という用語は、知覚可能な症状が疾患又は状態に出現又は発生する前に、薬物又は医薬品の投与が基礎疾患の発生及び/又は発症を治療又は予防するように設計されていることを意味する。特に明記しない限り、本発明の用語は「処置」を含み、特定の状態及び/又は疾患では、予防的投与も含むことができる。
本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、投与後に所望の治療有効性を達成する量の活性成分の使用又は送達方法を指す。
本明細書に記載される使用又は方法のいくつかの実施形態では、本発明の環状ペプチド化合物の用量は、一般に、治療される個々の又は組み合わせた障害又は状態又は疾患の重症度、投与速度、及び処方する医師の判断を含む様々な要因に依存する。一般に、体重1kgあたりの有効1日用量は、約0.01~約1.0mg、例えば、約0.01~約1.0、0.01~約0.1、0.01~約0.09、0.01~約0.08、0.01~約0.07、0.01~約0.06、0.01~約0.05、又は0.01~約0.04mg/kg/日の範囲であってもよい。一実施形態では、用量は、初日に0.051mg/kg/日であり、その後の日は0.017mg/kg/日である。正確な用量は、所望の治療有効性を達成するために投与の各日に変更することができる。
本明細書に記載される使用又は方法のいくつかの実施形態では、本発明の環状ペプチド化合物は、単回投与又は複数回投与で投与することができる。一実施形態では、複数回投与には、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回、週4回、2週間に1回、又は月1回が含まれる。
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、ヒト患者及び非ヒト(動物)患者を含む。「非ヒト動物」という用語は、脊椎動物、例えば非ヒト霊長類、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、並びにマウス及びラットなどのげっ歯類などの哺乳動物を含む。
(v)本発明の環状ペプチド化合物の医薬組成物
一態様では、本発明は、本発明の環状ペプチド化合物を有効成分として含む医薬組成物も提供する。本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤を更に含むことができる。当業者は、薬物の所望の製剤形態、投与様式及び薬物放出特性に従って適切な賦形剤を選択することができる。例えば、本発明の実施形態は、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、結合剤、溶媒、共溶媒、潤滑剤、pH調整剤、緩衝剤、保存剤、分散剤、懸濁化剤、軟膏基剤、乳化剤、皮膚軟化剤、浸透促進剤、界面活性剤、噴射剤、香味剤、甘味剤、及び/又は薬物放出調整剤の1つ又は複数を含む薬学的に許容される賦形剤を含む。
本発明の環状ペプチド化合物を含む医薬組成物の一実施形態では、薬学的に許容される賦形剤には、賦形剤、pH調整剤、緩衝剤、溶媒及び/又は結合剤が含まれる。
一実施形態では、賦形剤は、マンニトールを含む。
一実施形態では、pH調整剤は、塩酸、酢酸、酒石酸、クエン酸、及び/又は水酸化ナトリウムの1つ又は複数を含む。
一実施形態では、緩衝剤は、クエン酸のアルカリ金属塩溶液及びリン酸のアルカリ金属塩溶液、好ましくはクエン酸ナトリウム塩溶液及び/又はリン酸ナトリウム塩溶液の1つ又は複数を含む。
一実施形態では、溶媒は、生理食塩水及び/又はグルコース溶液の1つ又は複数を含む。
一実施形態では、結合剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムを含む。
一実施形態では、本発明の活性薬剤及びその組成物は、当該技術分野で利用可能な許容可能な投与形態である任意の固体、半固体、又は液体の剤形での投与のために製剤化することができ、限定されないが、(1)例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、ロゼンジ剤、水性又は非水性の溶液又は懸濁剤、シロップ剤などの経口投与に適したもの、(2)例えば皮下、筋肉内又は静脈内注射、例えば滅菌溶液又は懸濁液などの非経口投与に適したもの、(3)例えば、皮膚又は粘膜用の硬膏、軟膏、クリーム、スプレー又はゲルなどの局所投与に適したもの、(4)例えば、パッチ、ゲル軟膏などの経皮投与に適したもの、(5)例えば、坐剤、エマルジョン、ゲル又は発泡性錠剤などの膣又は直腸投与に適したものが挙げられる。
一実施形態では、本発明の医薬組成物の活性剤は、1つ又は複数の剤形である凍結乾燥粉末注射、水注射、徐放剤、及び/又はスプレーから選択することができる。
以下、例により本発明を更に詳細に説明するが、これらの例は本発明を何ら限定するものではない。

例I.環状ペプチド化合物の調製
(1).化合物1の調製及び特性評価
固相反応カラムは、0.328mmol/gのFmoc-RinkアミドMBHA樹脂(3.1g)であり、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)で2回洗浄し、引き続いて円筒形反応容器中でDMF中で30分間膨潤させた。Fmoc保護基を、20%ピペリジン/DMFで2回処理することによって脱保護した。DMFで6回十分に洗浄した後、樹脂をニンヒドリン試薬で試験した。樹脂の濃い青色は、Fmoc基が除去されたことを示した。
2.34gのFmoc-Cys(Trt)-OH(4.0mmol)、540mgのHOBt(4.0mmol)及び1500mgのHBTU(4.0mmol)を秤量し、反応容器内のDMFに溶解し、引き続いて1mlのDIPEA(6.0mmol)を添加した。反応混合物をニンヒドリン試薬と共に室温で1.5時間反応させて、反応の完了を判定した。樹脂が無色透明であれば、反応は完了し、樹脂が着色している場合、反応は完了せず、カップリングを更に1時間延長した(1時間以上)。この基準は、反応の終点を決定するための後続のニンヒドリン試薬に適用される。樹脂をDMFで4回洗浄し、次いで、Fmoc保護基を除去し、ペプチド主鎖のアミノ酸配列に従って適切な順序の全ての後続アミノ酸が完了するまで次の対応するアミノ酸をカップリングすることによって、各アミノ酸の合成サイクルを繰り返した。N末端(ペプチドのアミノ末端)の最終的なFmoc保護基を除去した後、ペプチド結合樹脂をDMFで6回洗浄した。反応容器に、DMF中の500mgのピコリン酸(4.0mmol)、540mgのHOBt(4.0mmol)、及び1500mgのHBTU(4.0mmol)を含む混合物を添加し、続いて1mlのDIPEA(6.0mmol)を添加した。反応混合物をニンヒドリン試薬と共に室温で1.5時間インキュベートして、反応の完了を判定した。色が透明である場合、反応は完了し、そうでない場合、反応は継続又は繰り返された。最後に、ペプチド結合樹脂をDMFで2回、次いでメタノールで2回、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)で2回洗浄し、真空中で乾燥させて、6.3gのペプチド樹脂を得た。
6.3gの化合物1のペプチド結合樹脂を秤量し、41mlのTFA開裂カクテル(95:2.5:2.5:7.0v/v/v/wのTFA:TIS:HO:DTT)を含む100ml丸底フラスコに添加した。開裂反応は室温で2時間撹拌しながら行った。反応終了後、樹脂を濾過し、濾液を回収し、少量のTFAで樹脂を洗浄した。粗ペプチドを650mlの予冷した無水MTBEの添加によって沈殿させ、遠心分離し、ペプチドペレットをMTBEで4回洗浄し、真空中で乾燥させて、1900mgの粗化合物1を得た(粗収率119.4%、ESI-MS:1592.66(計算値M.W.:1593.05)。
1900mg(約1mmol)の直鎖状化合物1ペプチドを秤量し、1Lの酢酸水溶液(HOAc:HO=5:95、v/v)の入った2Lメスフラスコに入れ、完全に溶解させた。このペプチド溶液に、メタノール中のヨウ素溶液を撹拌しながら滴下した。化合物1を含む酢酸水溶液が変色した後、必要に応じて更にヨウ素溶液を添加した。次いで、反応物を撹拌機に1時間置き、試料を回収し、質量をESI-MS:1590.58によって検出し(環化ペプチドについての計算値M.W.:1591.04)、十分な量のビタミンC水溶液を添加して反応を停止させた(化合物1酢酸水溶液の色が薄まった)。反応混合物を凍結乾燥した。
2000mgの粗化合物1環状ペプチドを秤量し、2mlのアセトニトリル+8mlの水の10mLの混合溶媒(1:4、v/v)に溶解し、室温で30×250mm逆相C18半分取カラムにおいてRP-HPLC(紫外線(UV)検出器を波長214nmに設定したWaters Prep150システム)によって精製した。カラム上のペプチドを、移動相の0.1%TFA/HOから0.1%TFA/アセトニトリルまでの従来の勾配を用いて溶出させて、回収されたピークUV吸収画分を溶出し、98.0%純粋なペプチドを含有することが見出された。ペプチドを回転蒸発によって濃縮し、凍結乾燥させて、HPLC純度98.5%(精製収率28.8%)の575.0mgの純粋な環状化合物1ペプチドトリフルオロアセタートの化合物1トリフルオロアセタート微細環状ペプチドを得て、ESI-MS:1590.58(計算値M.W.:1591.04)であった。総収率は19.2%であった。
ペプチドの塩形態の交換:575.0mgの環状化合物1ペプチドトリフルオロアセタートを秤量し、0.4mlのアセトニトリル+6.0mlの水を含む6.4mlの溶液に溶解し、室温で30×250mm逆相C18カラムにロードした。ペプチドを、100%の0.1%HOAc/HOから100%の0.1%HOAc/アセトニトリルまでの従来の勾配で精製した。ピーク画分を回収し、回転蒸発によって濃縮し、凍結乾燥させて、350.0mgの環状化合物1ペプチドアセタートを得た。HPLC純度は97.88%(精製収率60.9%)であり、ESI-MS:1590.58(計算値M.W.:1591.04)であった。総収率は11.7%であった。
例II.シクロペプチド化合物の生物学的活性試験
(1)インビトロでの環状ペプチド化合物の生物学的活性
化合物1のインビトロTNF-α阻害活性
化合物1の生物学的活性の有効性を測定するために、インビトロアッセイを用いて、リポ多糖(LPS)及び異なる濃度の化合物1で処理した細胞の馴化培地中のTNF-α含有量を測定した。1mgの化合物1ペプチド化合物を3.333mLの生理食塩水に添加して、0.22μmメンブレンフィルターでの濾過によって滅菌した189μMペプチド溶液を作製した。細胞の処理のために、三倍連続希釈を行い、189、63、21、7、2.3及び0.76μMの濃度のペプチド溶液を得た。
BV2細胞を回収し、3回以上継代した。良好な増殖状態及び対数増殖期の1.2×10個のBV2ミクログリア細胞を、10%FBSを含むDMEM培地で1.25×10細胞/mLに希釈し、400μLの細胞懸濁液を48ウェル細胞培養プレートの各ウェルに接種した。COインキュベータ内で6時間インキュベートした後、上清を吸引し、400μLのDMEM培地(1%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)で置換し、各ウェルに20μLの各濃度の化合物1を添加し、COインキュベータに45分間入れ、次いで20μLのLPS(LPS溶液の濃度は22μg/mL LPS(Sigma-L6529)である)を、各環状ペプチド化合物濃度について1ウェルにつき3つ以上のセットを用いて各ウェルに添加した。COインキュベータ(5%のCO)内で37℃で24時間インキュベートした後、各ウェルからの100μLの上清を96ウェルプレートの単一ウェルに入れ、1000rpmで5分間遠心分離した。遠心分離後、各ウェルからの10μLの上清をTNF-α含有量検出(TNF-α検出キット、Unitech Biochemicalカタログ番号70-EK282/3-96)に使用した。GraphPad Prismソフトウェアを用いて、TNF-α含有量を使用したIC50計算を行って、化合物1はLPS誘導性TNF-α含有量を半分に減少させるためのIC50が約1.02μMであり、これは有効性及び/又は効力の1つの尺度であることが見出された。
(2)インビボでの環状ペプチド化合物の生物学的活性
化合物1のインビボTNF-α阻害活性
化合物1の生物学的活性の有効性を測定するために、インビボアッセイを用いて、リポ多糖(LPS)及び異なる濃度の化合物1で処置したマウスの全血中のTNF-α含有量を測定した。56匹のICR系雄マウス(12~14g)を動物施設に7日間順応させ、次いで、0、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3及び1.0mg/kgの化合物の用量を投与するために7匹のマウス/群で8つの群に無作為化した。各投与群には、10mL/kgの投与体積で異なる濃度の化合物1ペプチド溶液を静脈内(IV)注射した。30分後、IV LPSを5μg/kg用量及び10ml/kg体積で静脈内投与した。LPS投与の1.5時間後、全血をICR系マウスの眼窩から採取し、4000rpmで10分間遠心分離し、上清を回収し、異なる化合物1用量の各々をTNF-α含有量検出に使用した。(TNF-α検出キット、Unitech生物学的品目番号:70-EK282/3-96)。Graphpad Prismソフトウェアを使用して、化合物1のED50(血中TNF-α含有量の50%の減少が見られた有効用量)を計算したところ、0.045mg/kgであった。
配列表1 <223>合成構築物
配列表1 <223>Xaaは、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、ハロゲン化アラニン、及びそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸から選択される
配列表1 <223>X3とX13との間の化学結合は、-SS-、-CH2-S-CH2-、-CO-NH-、-CO-O-、-CH2-NH-、-(CH2)n-(n=2~15)、-(CH2)n-CH=CH-(CH2)n-(n=2~15)、又は-S-(CH2)n-R1-(CH2)n-S-であり、式中、R1は、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基である
配列表1 <223>Xaaは、アミノイソ酪酸(Aib)である
配列表1 <223>Xaaは、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、ハロゲン化アラニン、及びそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸から選択される
配列表1 <223>X3とX13との間の化学結合は、SS-、-CH2-S-CH2-、-CO-NH-、-CO-O-、-CH2-NH-、-(CH2)n-(n=2~15)、-(CH2)n-CH=CH-(CH2)n-(n=2~15)、又は-S-(CH2)n-R1-(CH2)n-S-であり、式中、R1は、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基である
配列表2 <223>合成構築物
配列表2 <223>残基3と13との間に-SS-化学結合が存在する
配列表2 <223>X8は、Aibである
配列表3 <223>合成構築物
配列表3 <223>CysはD-Cysであり、残基3と13との間に化学結合が存在する
配列表3 <223>X8は、Aibである
配列表4 <223>合成構築物
配列表4 <223>X8は、Aibである
配列表4 <223>CysはD-Cysであり、残基3と13との間に化学結合が存在する
配列表5 <223>合成構築物
配列表5 <223>CysはD-Cysであり、残基3と13との間に化学結合が存在する
配列表5 <223>X8は、Aibである
配列表5 <223>CysはD-Cysであり、残基3と13との間に化学結合が存在する
配列表6 <223>合成構築物
配列表6 <223>X3は、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、又は2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)であり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表6 <223>X8は、Aibである
配列表6 <223>X13は、Glu又はAspである
配列表7 <223>合成構築物
配列表7 <223>X3は、Glu又はAspであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表7 <223>X8は、Aibである
配列表7 <223>X13は、Lys、Orn、Dab、又はDapである
配列表8 <223>合成構築物
配列表8 <223>X3は、D-Lys、D-Orn、D-Dab、又はD-Dapであり、X3とX1 3との間に化学結合が存在する
配列表8 <223>X8は、Aibである
配列表8 <223>X13は、Glu又はAspである
配列表9 <223>合成構築物
配列表9 <223>X3は、Lys、Orn、Dab、又はDapであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表9 <223>X8は、Aibである
配列表9 <223>X13は、D-Glu又はD-Aspである
配列表10 <223>合成構築物
配列表10 <223>X3は、D-Lys、D-Orn、D-Dab、又はD-Dapであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表10 <223>X8は、Aibである
配列表10 <223>X13は、D-Glu又はD-Aspである
配列表11 <223>合成構築物
配列表11 <223>X3は、D-Glu又はD-Aspであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表11 <223>X8は、Aibである
配列表11 <223>X13は、Lys、Orn、Dab、又はDapである
配列表12 <223>合成構築物
配列表12 <223>X3は、Glu又はAspであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表12 <223>X8は、Aibである
配列表12 <223>X13は、D-Lys、D-Orn、D-Dab、又はD-Dapである
配列表13 <223>合成構築物
配列表13 <223>X3は、D-Glu又はD-Aspであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表13 <223>X8は、Aibである
配列表13 <223>X13は、D-Lys、D-Orn、D-Dab、又はD-Dapである
配列表14 <223>合成構築物
配列表14 <223>X8は、Aibである
配列表14 <223>Alaは、ハロゲン化アラニンであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表15 <223>合成構築物
配列表15 <223>X8は、Aibである
配列表15 <223>Alaは、ハロゲン化D-アラニンであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表16 <223>合成構築物
配列表16 <223>Cysは、D-Cysであり、X3とX13との間に化学結合が存在する
配列表16 <223>X8は、Aibである
配列表16 <223>Alaは、ハロゲン化D-アラニンである
配列表17 <223>合成構築物
配列表17 <223>X3は、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、ハロゲン化アラニン、及びそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸、又はアミノイソ-酪酸(Aib)から選択される
配列表17 <223>X8は、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、ハロゲン化アラニン、及びそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸、又はアミノイソ-酪酸(Aib)から選択される
配列表17 <223>X3とX8、又はX8とX13との間に、-SS-、-CH2-S-CH2、-CO-NH、-CO-O、-CH2-NH、-(CH2)n(n=2~15)、-(CH2)n-CH=CH(CH2)n-(n=2~15)、又は-S-(CH2)n-R1-(CH2)n-S(R1が、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基であり、n=1~3である)から選択される化学結合が存在する
配列表17 <223>X13は、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、ハロゲン化アラニン、及びそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸、又はアミノイソ-酪酸(Aib)から選択される

Claims (33)

  1. 一般式(I)を有する環状ペプチド化合物であって、

    (配列番号1)(I)
    式中、
    X3は、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、2,4-ジアミノ酪酸(Dab)、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap)、Ser、Gln、若しくはハロゲン化アラニン、又はそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸であり、
    X13は、Cys、Glu、Asp、Lys、Orn、Dab、Dap、Ser、Gln、若しくはハロゲン化アラニン、又はそれらの対応する鏡像体D-アミノ酸であり、
    X8は、Aibであり、
    記号

    は、X3とX13との間の化学結合を表し、ここで、化学結合は、
    -SS-、-CH-S-CH-、-CO-NH-、-CO-O-、-CH-NH-、-(CH)n-(n=2~15)、又は-(CH)n-CH=CH-(CH)n-(n=2~15)から選択され、又は
    -S-(CH)n-R-(CH)n-S-であり、式中、Rは、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基、n=1~3であり、
    Y1は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Y1はR-CO-であり、式中、Rは、炭化水素基、アリール基又はヘテロアリール基であり、
    Y2は存在しても存在しなくてもよく、存在する場合、Y2はカルボキシ末端基である、環状ペプチド化合物。
  2. -X13はCysであり、X8はAibであり、X3はCysである(配列番号2)、
    -X13はCysであり、X8はAibであり、X3はD-Cysである(配列番号3)、
    -X13はD-Cysであり、X8はAibであり、X3はCysである(配列番号4)、
    -X13はD-Cysであり、X8はAibであり、X3はD-Cysである(配列番号5)、
    -X13はGlu又はAspであり、X8はAibであり、X3はLys、Orn、Dab又はDapである(配列番号6)、
    -X13はLys、Orn、Dab又はDapであり、X8はAibであり、X3はGlu又はAspである(配列番号7)、
    -X13はGlu又はAspであり、X8はAibであり、X3はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapである(配列番号8)、
    -X13はD-Glu又はD-Aspであり、X8はAibであり、X3はLys、Orn、Dab又はDapである(配列番号9)、
    -X13はD-Glu又はD-Aspであり、X8はAibであり、X3はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapである(配列番号10)、
    -X13はLys、Orn、Dab又はDapであり、X8はAibであり、X3はD-Glu又はD-Aspである(配列番号11)、
    -X13はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapであり、X8はAibであり、X3はGlu又はAspである(配列番号12)、
    -X13はD-Lys、D-Orn、D-Dab又はD-Dapであり、X8はAibであり、X3はD-Glu又はD-Aspである(配列番号13)、
    -X13はハロゲン化アラニンであり、X8はAibであり、X3はCysである(配列番号14)、
    -X13はハロゲン化D-アラニンであり、X8はAibであり、X3はCysである(配列番号15)、又は
    -X13はハロゲン化D-アラニンであり、X8はAibであり、X3はD-Cysである(配列番号16)、
    請求項1に記載の環状ペプチド化合物。
  3. Y1はRCO-であり、RはC1~C4直鎖若しくは分岐アルキル、C2~C4直鎖若しくは分岐アルケニル、C2~C4アルキニル、5~10員アリール、又は5~10員ヘテロアリールO、S、若しくはNである、
    請求項1に記載の環状ペプチド化合物。
  4. Y1は、アセチル、ピコリノイル又はピラジンカルボニルである、
    請求項1に記載の環状ペプチド化合物。
  5. Y2及びX13によって表されるアミノ酸の-COOH末端が、構造-CHOH又は-CORを形成し、式中、Rは、-NH、H、-CH、-OCH、-OC、-CH、-NH-OH、-NH-CH、-N(CH、-NH-C、-NH-C又は-NH-C-NOである、請求項1に記載の環状ペプチド化合物。
  6. がフェニル又はシクロプロピルである、請求項1に記載の環状ペプチド化合物。
  7. 前記環状ペプチド化合物が、

    (配列番号2、化合物1)、

    (配列番号2、化合物2)、

    (配列番号5、化合物4)、又は

    (配列番号5、化合物5)
    である、請求項1に記載の環状ペプチド化合物。
  8. 脳卒中及び関連する状態又は疾患を予防及び/又は処置する方法に使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の環状ペプチド化合物を含む医薬組成物。
  9. 前記関連する状態又は疾患が、炎症性疾患、神経変性疾患、中枢神経系損傷、中枢神経系疾患、末梢神経損傷、又は末梢神経疾患である、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 前記炎症性疾患が、神経炎症性疾患又は脳炎症性疾患若しくは状態である、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 前記関連する状態又は疾患が、脳出血、脳内出血、くも膜下出血、脳虚血、脳外傷、脊髄損傷、多発性硬化症、パーキンソン病、及びアルツハイマー病のうちの1つ又は組み合わせである、請求項8に記載の医薬組成物。
  12. 脳卒中及び関連する状態及び疾患を予防及び/又は処置する方法に使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の環状ペプチド化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物。
  13. 前記関連する状態又は疾患が、炎症性疾患、神経変性疾患、中枢神経系損傷、中枢神経系疾患、末梢神経損傷、又は末梢神経疾患である、請求項12に記載の環状ペプチド化合物。
  14. 前記炎症性疾患が、神経炎症性疾患又は脳炎症性疾患若しくは状態である、請求項13に記載の環状ペプチド化合物。
  15. 前記関連する状態又は疾患が、脳出血、脳内出血、くも膜下出血、脳虚血、脳外傷、脊髄損傷、多発性硬化症、パーキンソン病、及びアルツハイマー病のうちの1つ又は組み合わせである、請求項12に記載の環状ペプチド化合物。
  16. 脳卒中及び関連する状態及び疾患を予防及び/又は処置する方法であって、
    有効量の請求項1から7のいずれかに記載のペプチド化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
  17. 前記関連する状態又は疾患が、炎症性疾患、神経変性疾患、中枢神経系損傷、中枢神経系疾患、末梢神経損傷、又は末梢神経疾患である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記炎症性疾患が、神経炎症性疾患又は脳炎症性疾患若しくは状態である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記関連する状態又は疾患が、脳出血、脳内出血、くも膜下出血、脳虚血、脳外傷、脊髄損傷、多発性硬化症、パーキンソン病、及びアルツハイマー病のうちの1つ又は組み合わせである、請求項16に記載の方法。
  20. 前記投与が、前記環状ペプチド化合物の単回投与又は複数回投与を含む、請求項16に記載の方法。
  21. 前記複数回の投与が、1日1回、1日2回、1日3回、週1回、週2回、週3回、週4回、2週間に1回、又は月1回を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記有効量が0.01~1.0mg/kg体重である、請求項16に記載の方法。
  23. 前記対象が哺乳動物、霊長類、又はヒトである、請求項16に記載の方法。
  24. 請求項1から7のいずれかに記載の環状ペプチド化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を含む医薬組成物。
  25. 薬学的に許容される賦形剤を更に含む、請求項24に記載の医薬組成物。
  26. 前記薬学的に許容される賦形剤が、賦形剤、崩壊剤、希釈剤、結合剤、溶媒、共溶媒、潤滑剤、pH調整剤、緩衝剤、保存剤、分散剤、懸濁化剤、軟膏基剤、乳化剤、皮膚軟化剤、浸透剤、界面活性剤、噴射剤、香味剤、甘味剤、又は薬物放出調整剤の1つ又は複数を含む、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 前記薬学的に許容される賦形剤が、賦形剤、pH調整剤、緩衝剤、溶媒及び/又は結合剤の1つ又は複数を含む、請求項25に記載の医薬組成物。
  28. 前記賦形剤が、マンニトールである、請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 前記pH調整剤が、塩酸、酢酸、酒石酸、クエン酸、又は水酸化ナトリウムの1つ又は複数を含む、請求項27に記載の医薬組成物。
  30. 前記緩衝剤が、クエン酸アルカリ金属塩溶液、リン酸アルカリ金属塩溶液、クエン酸リン酸ナトリウム溶液、又はナトリウム塩溶液の1つ又は複数を含む、請求項27に記載の医薬組成物。
  31. 前記溶媒が、生理食塩水又はグルコース溶液の1つ又は複数を含む、請求項27に記載の医薬組成物。
  32. 前記結合剤が、カルボキシメチルセルロースナトリウムである、請求項27に記載の医薬組成物。
  33. 前記環状ペプチド化合物の徐放を引き起こすために、凍結乾燥粉末として、若しくは注射による投与に適した液体として、又はスプレーとして製剤化される、請求項24に記載の医薬組成物。
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